JP6796784B2 - 固体電解質およびそれを用いた二次電池 - Google Patents
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Description
[1.固体電解質]
二価のマグネシウムイオンは、一価のリチウムイオンに比べて、固体電解質中のアニオンとの静電相互作用が大きく、したがって、固体電解質中で拡散しにくい。そのため、マグネシウムイオンを伝導する固体電解質において、イオン伝導率の向上が望まれる。
本実施形態の固体電解質は、例えば、物理堆積法又は化学堆積法によって形成されうる。物理堆積法の例としては、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、及びパルスレーザ堆積(PLD)法が挙げられる。化学堆積法の例としては、原子層堆積法(ALD)、化学気相蒸着(CVD)法、液相成膜法、ゾル・ゲル法、金属有機化合物分解(MOD)法、スプレイ熱分解(SPD)法、ドクターブレイド法、スピンコート法、及び、印刷技術が挙げられる。CVD法の例としては、プラズマCVD法、熱CVD法、及びレーザCVD法が挙げられる。液相成膜法は、例えば湿式メッキであり、湿式メッキの例としては、電解メッキ、浸漬メッキ、及び無電解メッキが挙げられる。印刷技術の例としては、インクジェット法及びスクリーンプリンティングが挙げられる。しかし、固体電解質の形成方法は、これらの方法に制限されるものではない。固体電解質は、望ましくは、スパッタリング法、真空蒸着法、PLD法、CVD法のいずれかにより成膜されうる。
[3−1.構成]
本実施形態に係る二次電池の一例について、図1Aを用いて説明する。図1Aは、本実施形態の二次電池10の構成例を模式的に示す断面図である。
図1Bは、本実施形態の第1の変形例に係る二次電池10Aの構成を示す模式的な断面図である。
図1Cは、本実施形態の第2の変形例に係る二次電池10Bの構成を示す模式的な断面図である。
本実施形態に係る二次電池の構造は、上記に限定されない。例えば、二次電池は、正極活物質粒子を一括して覆う第1の固体電解質層と、負極活物質粒子を一括して覆う第2の固体電解質層とを備えてもよい。例えば、二次電池は、第1の固体電解質層を備えず、第2の固体電解質層を備えてもよい。例えば、二次電池は、正極活物質粒子のそれぞれを個別に覆う第1の固体電解質被膜と、負極活物質粒子のそれぞれを個別に覆う第2の固体電解質被膜とを備えてもよい。例えば、二次電池は、第1の固体電解質被膜を備えず、第2の固体電解質被膜を備えてもよい。例えば、二次電池の正極および負極の少なくとも1つは平板状の金属電極であってもよい。
[4−1.実施例1]
[4−1−1.サンプルの作製]
実施例1として、固体電解質の複数のサンプルを作製した。
実施例1の固体電解質の組成を、X線電子分光分析法(X‐Ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により評価した。ここでは、シリコン基板上に形成された固体電解質がサンプルとして用いられた。XPS装置(Quamtera SXM:アルバック・ファイ株式会社製)を用いて、固体電解質のXPS測定と固体電解質に対するArスパッタとを交互に繰り返し、これによって、膜の深さ方向における元素濃度プロファイルを測定した。測定の結果、実施例1の固体電解質の組成は、Mg1.77SiO4.15であった。
実施例1の固体電解質の結晶性を、X線回折(X−Ray Diffraction:XRD)により評価した。ここでは、ガラス基板上に形成された固体電解質がサンプルとして用いられた。XRD装置(SmartLab:株式会社リガク社製)を用いて、広角X線回折法のθ‐2θ法によって、サンプルの構造を解析した。図2に示すように、実施例1の固体電解質は非晶質体であった。なお、θ=20〜30°付近に見られるブロードなピークは、ガラス基板に由来するものである。
実施例1の固体電解質のイオン伝導率を、交流インピーダンス法により測定した。ここでは、石英基板上に形成された固体電解質がサンプルとして用いられた。まず、サンプルをチャンバー内の加熱ステージにセットし、チャンバー内を窒素雰囲気で置換した。その後、サンプルの温度を変えながら、サンプルの固体電解質における交流インピーダンスを測定した。具体的には、電気化学測定システム(Modulab;株式会社リガク社製)を用い、周波数範囲0.01Hz〜1MHz、振幅30mVのACバイアスの条件で、固体電解質における交流インピーダンスを測定した。このようにして、固体電解質層の主面の法線方向に沿った抵抗値を測定し、測定された抵抗値をイオン伝導率に換算した。図4は、実施例1の固体電解質における温度とイオン伝導率の関係を示す。実施例1の固体電解質のイオン伝導率は、500℃において、約2.0×10-7S/cmであった。
[4−2−1.サンプルの作製]
実施例2として、固体電解質の複数のサンプルを作成した。製造方法は、(i)スパッタリングガスが流量22sccmのArガスである点、(ii)そのガス圧が0.13Paである点、及び、(iii)スパッタリングパワーが100W(RF)である点を除き、実施例1と同様であった。これにより、膜厚が520nmの固体電解質が形成された。
実施例2の固体電解質の組成を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。測定の結果、実施例2の固体電解質の組成は、Mg1.42SiO3.67であった。
実施例2の固体電解質の結晶性を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図2に示すように、実施例2の固体電解質は非晶質体であった。
実施例2の固体電解質のイオン伝導率を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図4は、実施例2の固体電解質における温度とイオン伝導率の関係を示す。実施例2の固体電解質のイオン伝導率は、500℃において、1.7×10-9S/cmであった。
[4−3−1.サンプルの作製]
実施例3として、固体電解質の複数のサンプルを作成した。製造方法は、(i)スパッタリングガスが流量22sccmのN2ガスである点、及び(ii)そのガス圧が2.6Paである点を除き、実施例1と同様であった。これにより、膜厚が400nmの固体電解質が形成された。
実施例3の固体電解質の組成を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。測定の結果、実施例3の固体電解質の組成は、Mg1.87SiO4.03N0.06であった。
実施例3の固体電解質の結晶性を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図3に示すように、実施例3の固体電解質は非晶質体であった。
実施例3の固体電解質のイオン伝導率を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図5は、実施例3の固体電解質における温度とイオン伝導率の関係を示す。実施例3の固体電解質のイオン伝導率は、500℃において、8.3×10-9S/cmであった。
[4−4−1.サンプルの作製]
実施例4として、固体電解質の複数のサンプルを作成した。製造方法は、(i)スパッタリングガスが流量22sccmのN2ガスである点、及び、(ii)そのガス圧が0.65Paである点を除き、実施例1と同様であった。これにより、膜厚が590nmの固体電解質が形成された。
実施例4の固体電解質の組成を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。測定の結果、実施例4の固体電解質の組成は、Mg1.84SiO3.82N0.14であった。
実施例4の固体電解質の結晶性を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図3に示すように、実施例4の固体電解質は非晶質体であった。
実施例4の固体電解質のイオン伝導率を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図5は、実施例4の固体電解質における温度とイオン伝導率の関係を示す。実施例4の固体電解質のイオン伝導率は、500℃において、1.9×10-9S/cmであった。
[4−5−1.サンプルの作製]
実施例5として、固体電解質の複数のサンプルを作成した。製造方法は、(i)スパッタリングガスが流量22sccmのN2ガスである点、及び、(ii)そのガス圧が0.13Paである点を除き、実施例1と同様であった。これにより、膜厚が510nmの固体電解質が形成された。
実施例5の固体電解質の組成を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。測定の結果、実施例5の固体電解質の組成は、Mg1.69SiO3.37N0.40であった。
実施例5の固体電解質の結晶性を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図3に示すように、実施例5の固体電解質は非晶質体であった。
実施例5の固体電解質のイオン伝導率を、実施例1に記載の方法と同様の方法によって測定した。図5は、実施例5の固体電解質における温度とイオン伝導率の関係を示す。実施例5の固体電解質のイオン伝導率は、500℃において、1.1×10-9S/cmであった。
本開示は、上述の実施形態および実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形、変更が可能である。例えば、実施形態及び/又は実施例に記載の技術的特徴を、適宜、差し替える、または、組み合わせることができる。
11 基板
12 正極集電体
13 正極、正極活物質層
13P 正極活物質粒子
14 固体電解質
14C 固体電解質被膜
14L 電解液
14S 固体電解質層
15 負極、負極活物質層
15P 負極活物質粒子
16 負極集電体
Claims (13)
- 一般式MgxSiOyNz(ただし、1<x<2、3<y<5、0≦z<1)で示される組成を有し、かつ、非晶質体である、
固体電解質。 - 前記zが、さらに、0<z<1を満たす、
請求項1に記載の固体電解質。 - 前記zが、さらに、z=0を満たす、
請求項1に記載の固体電解質。 - 前記xが、さらに、1.5<x<2を満たす、
請求項1から3のいずれか一項に記載の固体電解質。 - 前記yが、さらに、3.5<y<4.5を満たす、
請求項1から4のいずれか一項に記載の固体電解質。 - 前記zが、さらに、0<z<0.5を満たす、
請求項2に記載の固体電解質。 - 前記固体電解質は、膜厚が100ナノメートル以上20マイクロメートル以下の膜である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の固体電解質。 - 正極活物質を含む正極と、
負極活物質を含む負極と、
請求項1から7のいずれか一項に記載の固体電解質と、を備える、
二次電池。 - 前記正極、前記固体電解質および前記負極は、積層されている、
請求項8に記載の二次電池。 - 前記正極および前記負極の間の空間に充填され、非水溶媒と前記非水溶媒に溶解したマグネシウム塩とを含有する電解液をさらに備え、
前記固体電解質は、前記正極を覆う、
請求項8に記載の二次電池。 - 前記正極は、複数の正極活物質粒子を含む正極活物質層を含み、
前記固体電解質は、前記正極活物質層の上に配置され、かつ、前記複数の正極活物質粒子を一括して覆う1つの層である、
請求項10に記載の二次電池。 - 前記正極活物質層は、前記複数の正極活物質粒子によって画定される凹凸面を有し、
前記固体電解質は、前記凹凸面に沿って形成されている、
請求項11に記載の二次電池。 - 前記正極は、複数の正極活物質粒子を含む正極活物質層を含み、
前記固体電解質は、前記複数の正極活物質粒子を個別に覆う複数の被膜である、
請求項10に記載の二次電池。
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