しかしながら、特許文献1記載の吐出装置によれば、アーマチャ部とニードル部とが一体構造のバルブステムを、ボディとアクチュエータとの間にアーマチャ部を挟み込ませるように装入し、ボディを貫通させたニードル部をシリンジ内に挿入させるようにして、アクチュエータとボディ及びシリンジを一体化した状態でフレーム本体の上部ブラケットと下部ブラケットとの間にセットしているので、液状物の補充のためにシリンジを交換する際には、シリンジだけでなく、シリンジと共にボディ及びアクチュエータを同時にフレーム本体の上部ブラケット及び下部ブラケットから取り外してからシリンジを交換しなければならない。これはバルブのストローク量を決定する主要構成部品の分解・取外しを行うことと同然であり、再度シリンジを装着した場合に吐出の再現性が得られ難いため、再度の吐出パラメータ調整が必要となり作業性を低下させるという問題を有する。
また、特許文献1記載の発明では、アクチュエータとボディ及びシリンジを一体化した状態でフレーム本体の上部ブラケットと下部ブラケットとの間にセットした後に、シリンジ内の液状物を吐出させるときの空気圧力をシリンジ内部に印加することにより、シリンジを本来の位置に移動させ所定の定位置を確保できるようにしているが、シリンジに印加する吐出圧力が低い場合には、シリンジをシールするОリングが抵抗となり、シリンジが下方に強制的に押し下げられない事態が起こることがある。このことは、近年の電子部品の小型化に伴い吐出圧力が低下傾向にある(0.1MPa以下、さらには0.01MPa程度の微圧となっている)ことから無視できない問題である。即ち、吐出圧が低くなる少量の液状物の吐出・塗布の場合、シリンジを密封するОリングの抵抗でシリンジが所定の位置に押し下げられずに、バルブステムのストロークが本来の開度を得られない事態が起こる。さらに、吐出のための加圧が繰り返されているうちに、シリンジが定位置にまで押し下げられることによってバルブの開閉量・ストローク量が初期値から変動し、吐出量が変動してしまうことがある。例えば、シリンジが使用中に下がることで初期に設定したストローク量が増え、倍以上吐出量が増えてしまうことがある。このことから、少量の吐出を精度良く行うことは難しいものである。
また、特許文献1記載の吐出装置における、円盤構造のアーマチャ部とニードル部とから成るバルブステムは、複数の部品を組み合わせて一体構造とされるため、同軸度を高めるには各部品の加工精度が高精度で要求されるためコスト高となる問題がある。また、アクチュエータとボディ及びシリンジをアーマチャ部とニードル部とが一体構造のバルブステムを内蔵した状態で一体化してフレームに装着するため、各部品相互の同軸度を保つことも難しい。同軸度が確保されていないバルブ構造の場合、バルブシートに対してニードル(弁体)が偏心して嵌合するため片減りを起こして弁の耐久性を損なったり、吐出量の安定性に影響を与え、また実際に吐出する際の液滴の直進性を損なう場合がある。即ち、吐出部の開口状態の偏心のため、吐出される液体の飛び出し状態が悪くなり、真っ直ぐに液状物の吐出ないし滴下ができない事態を招く。さらに、アクチュエータとニードル及び弁座の間での同軸度が十分に確保されていない場合、液状物の吐出動作毎のアーマチャの上下動作で軸が僅かであるが偏心に因る回転を起こすことによって吐出量変動に影響を与えてしまう場合がある。
また、特許文献1記載の発明では、フレームの上部ブラケットに固定されるボディの上端のねじ部に対してソレノイドをねじ込むことでボディとソレノイドとの間の隙間を調節してバルブステムのストローク量を調整するようにしているので、ストローク量の調整と同時にバルブステムを定位置に押し戻すばねそのものの荷重も増減する構造となっている。したがって、アーマチャのソレノイドからの吸引に伴う初期荷重はバルブステムを押し下げるスプリング負荷強度の影響を受けて、励磁初期において引き上げスピードの鈍化を招き、これがバルブ開放の応答の遅れを引き起こし、吐出量が目標値から外れるなどの影響を与える。この現象は、ボディとソレノイドとの間の隙間を狭くする場合、即ち少量吐出時に特に顕著である。また、励磁初期におけるバルブステムの動き出しの遅れは非常に短い時間のバルブの開閉に際しては障害ともなる。つまり、例えば5msとか3ms、さらには1msを切るような短い時間の間に、所望ストローク量だけ開くことにより所定の吐出量が得られるように制御する場合には、ソレノイドに限らずその他のアクチュエータにおいても、定位置に押し戻すばねの力を常時受けているバルブステムが動き出すのには時間がかかることから、実際のバルブ開放時間が無視できないほどに減少してしまう問題がある。その影響は開放時間がもともと少ない場合ほど多く受けることとなり、少量の吐出時に吐出量が一定しない問題として現れる。
また、特許文献1記載の発明にかかる液状物の吐出装置では、タイロットによって上部ブラケットと下部ブラケットとが片持ち支持されているだけの構造で軸方向の負荷に対して剛性が低く上部ブラケットと下部ブラケットとの間が拡がり易い構造である上に、ソレノイドとボディ及びシリンジが一体化された状態で上部ブラケットと下部ブラケットとの間にセットされる構造であるため、液状物の吐出のための空気圧がシリンジ内部に作用したとき、さらには空気圧が僅かに0.1MPa〜0.4MPa程度の範囲で増減された場合にも、下部ブラケットが僅かに傾斜し吐出先の位置がずれてしまう問題がある。また、同フレームは、長手方向・軸方向の剛性が低く上部ブラケットと下部ブラケットとの間が拡がり易い上に、ボディのネック部を上部ブラケットの二股部にの間に挿入するようにしてアクチュエータとボディ及びシリンジを一体化した状態でフレーム本体の上部ブラケットと下部ブラケットとの間にセットしなければならないため、上部ブラケットと下部ブラケットとの間がやや広めに設定せざるを得ず、バルブシートアッセンブリがシリンジに十分にねじこまれていない状態即ち本来の長さよりもねじ込み不足分だけ全長が長くなった状態でフレームにセットされようとしても、これを受け入れてしまう。このため、吐出のための空気圧が印加されたときに、シリンジとバルブシートアッセンブリとの間の締め付け不足による液漏れが発生することがある。
また、バルブステムのストロークを調整する場合、ボディの上端のねじ部に対してソレノイドをねじ込みバルブステムを押さえつけることでバルブステムとバルブシートとの間の隙間を閉じてストローク調整用のロッドとアーマチャの上面との間に隙間が無い状態(ゼロ点という)を求め、そこからソレノイドの周りの目盛を使ってソレノイドを逆回転させて所望のバルブステムのストローク量(バルブ開度)を設定するようにストローク調整を管理するが、ゼロ点を求める作業が作業者の感覚に頼りがちとなり、ゼロ点を正確に求めることができなかった。しかも、ソレノイドそのものを回してバルブステムのストローク量を調整する構造は、バルブステムに大きなトルクを作用させるため、バルブステムが湾曲してしまうことがあり、ゼロ点が正確に求められずに正確なストロークの把握を困難にしている。液状物の吐出に際しては、0〜300μmあるいは400μm程度の範囲でゼロ点の把握とストロークの調整をする必要があるが、ストローク調整を正確に管理できないために吐出量の制御が正確にできないという問題がある。
また、従来から、液状物の供給を受けて所定量ずつ吐出する液状物の吐出装置においては、接液部即ち液体が触れる部分例えばシリンジやカートリッジなどでのトラブルが多く、これを解消するためには、吐出装置そのものを分解しなければならない。
また、今までの液状物の吐出装置は、シリンジ用あるいは機能性カートリッジ用に構成されたものであり、シリンジと機能モジュールとに共通して使用できるものは存在しない。
本発明は、接液部が簡単に取り外し可能な液状物の吐出装置を提供することを目的とする。具体的には、本発明は、バルブシートアッセンブリ及びこれを開閉するニードルを含むシリンジあるいは機能性カートリッジのみを取り外し可能とした液状物の吐出装置を提供することを目的とする。また、本発明は、吐出量を調整するためのニードルを駆動するシステムとしてのみ機能するバルブを提供することを目的とする。さらに本発明は、少量の吐出を精度良く可能とする液状物の吐出装置を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明は、シリンジ内の液状物あるいは機能性カートリッジを介して供給される液状物の吐出が印加される作動ガスの下でのアクチュエータによるニードル弁の開閉により制御される液状物の吐出装置において、シリンジあるいは機能性カートリッジの先端に装着されるバルブシートアッセンブリと、シリンジあるいは機能性カートリッジの内部に挿入されてバルブシートアッセンブリとの間でニードル弁を構成するニードルと、バルブシートアッセンブリ及びニードルを装着したシリンジあるいは機能性カートリッジを収容するシリンジ収容空間を有すると共に、アクチュエータと、アクチュエータと別体若しくは一体に構成されてアクチュエータによって駆動されかつニードルと磁気結合される被駆動部材と、該被駆動部材をシリンジあるいは機能性カートリッジに対して進退動することによりシリンジあるいは機能性カートリッジが連結されると共にシリンジあるいは機能性カートリッジを定位置に向けて付勢するポジショニングメンバーとを内蔵するバルブ本体とを少なくとも備え、シリンジあるいは機能性カートリッジに収められるニードルとバルブ本体内の被駆動部材とが磁気結合によって連結されることによって、ニードルが挿入されかつバルブシートアッセンブリが装着された状態のままシリンジあるいは機能性カートリッジをバルブ本体に対して脱着させることを可能にするようにしている。
ここで、バルブ本体は、ジャンクションボックスと、バルブシートアッセンブリを受け止めて保持するノズルベースと、これらを連結しノズルベースとジャンクションボックスとの間にシリンジ収容空間を区画形成するプラットホームとを少なくとも備え、ジャンクションボックスに、アクチュエータと被駆動部材とポジショニングメンバーとが内蔵され、ポジショニングメンバーがシリンジあるいは機能性カートリッジに連結されることによってジャンクションボックスを介して供給される作動ガスをシリンジあるいは機能性カートリッジに供給する流路が確立されるものであることが好ましい。
また、本発明の液状物の吐出装置において、アクチュエータはソレノイドであり、被駆動部材としてアーマチャと連結部材とがソレノイドと共にバルブ本体に内蔵され、ソレノイドを励磁することで吸引されるアーマチャの動きを連結部材を介してニードルに伝達するように設けられていることが好ましい。
さらに、アーマチャと連結部材とは分離可能な別体構造であり、尚且つ待機位置にあるアーマチャと定位置にある連結部材との間には軸方向の隙間が設定され、アクチュエータによってアーマチャが駆動される際に、隙間が詰まるまでは連結部材が動かされずにアーマチャのみが動き、隙間が詰まった後にはアーマチャと連結部材とが連動してニードルが一緒に動くように設けられていることが好ましい。
また、ポジショニングメンバーはその下部にシリンジあるいは機能性カートリッジと嵌合する連結部を有し、ポジショニングメンバーが降下したときにシリンジあるいは機能性カートリッジと嵌合してシリンジあるいは機能性カートリッジのセンター出しと連結とを可能とする連結機構として機能し、ポジショニングメンバーが可動範囲の上限まで押し上げられることでシリンジあるいは機能性カートリッジから外れると共に被駆動部材を押し上げてシリンジあるいは機能性カートリッジと被駆動部材との間に間隙を生じさせ、ニードルが挿入されたシリンジあるいは機能性カートリッジの離脱を容易にする機構として機能することが好ましい。
また、プラットホームは、シリンジあるいは機能性カートリッジの出し入れを行う前面側を除いて左右両側と背面との三面を囲う断面コの字形を成すものであることが好ましく、さらに好ましくはプラットホームの左右両側壁の間隔をシリンジ側あるいは機能性カートリッジ側の最大径部よりも僅かに広く設定することによって、シリンジあるいは機能性カートリッジが左右方向に傾き無く収容されるようにすることである。
また、本発明にかかる液状物の吐出装置は、プラットホームの左右両側壁にシリンジあるいは機能性カートリッジが見通せる窓を設け、シリンジ収容空間を貫通する排除用ロッドを窓を通して配置し、窓に沿ってロッドを前面側に移動させることによりシリンジ収容空間内のシリンジあるいは機能性カートリッジを排除用ロッドによって押し出すようにすることが好ましい。
また、バルブ本体内のアーマチャを挟んでアクチュエータと対向する面には、アーマチャを吸着するマグネットが配置され、アーマチャを自重のみならず磁力で吸引することにより、待機位置に戻すように設けられていることが好ましい。
さらに、本発明にかかる液状物の吐出装置は、ニードルの上昇端を規制するバルブストローク調整機構と、ニードルを定位置に押し戻すための付勢力を常時与えるための付勢機構とを互いに独立させてバルブ本体に備え、一定の付勢力の下にニードルのストローク量の調整を可能とするようにしている。
ここで、ニードルを定位置に押し戻すための付勢力を常時与えるための付勢機構は、付勢機構を収容する空間の長さを可変にし、付勢機構の付勢する力を無段階で調整可能としても良いし、付勢機構を収容する空間の頂部にカラーが収容され、カラーが高さの異なる他のカラーと取り替えられることで付勢機構を収容する空間の実効長さが変更されることで付勢機構の付勢する力を調整可能とするようにしても良い。さらに好ましくは、付勢機構が複数のマグネットから成り、互いに同じ極性が対向するように配置したものとすることである。
さらに、本発明にかかる液状物の吐出装置は、ニードルの頭頂部の上端面が球面に形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明にかかる液状物の吐出装置は、シリンジ収容空間の軸方向有効長さがバルブシートアッセンブリとニードルを定位置に装着したときのシリンジあるいは機能性カートリッジの全体の長さよりも長く、かつシリンジあるいは機能性カートリッジの先端に装着されるバルブアッセンブリの締め付けが内部の液状物の漏洩を招く程の隙間を空けているときの長さよりも短い長さに設定され、シリンジ収容空間にはバルブシートアッセンブリの締め付けが不足しているシリンジあるいは機能性カートリッジが入り込めない構造としている。
さらに、本発明にかかる液状物の吐出装置において、バルブ本体は、使用が想定される最大容量のシリンジあるいは機能性カートリッジが収まる大きさのシリンジ収容空間を有し、複数サイズのシリンジあるいは機能性カートリッジに接続可能なユニバーサルタイプのアダプタと長さの異なる複数のエクステンションロッドとのいずれか一方あるいは双方を組み合わせて用いることにより、シリンジ長さあるいは機能性カートリッジ長さを調整してシリンジ収容空間に収まる大きさのあらゆるシリンジあるいは機能性カートリッジが装着可能であり、アダプタは、ポジショニングメンバーに連結させるプラグ部を上端に有すると共に接続しようとするシリンジあるいは機能性カートリッジの開口部に対応する形状のプラグ部を他の部位に備えた1つのブロックに一体成型され、さらに各プラグ部の中央をニードルが貫通すると共にエクステンションロッドが中継可能とされる孔が設けられ、エクステンションロッドは、ポジショニングメンバーと連結させる上端のプラグ部と、アダプタあるいは対応するシリンジないし機能性カートリッジに直接連結される下端のプラグ部とを有していることが好ましい。
ここで、本発明にかかる液状物の吐出装置は、バルブ本体側にガイド部を備え、アダプタあるいはエクステンションロッドのポジショニングメンバーに連結されるプラグ部と隣接する部位と、ガイド部とを突き当てることで奥行き側への位置規制が行われることが好ましい。
また、バルブストローク調整機構にはトルクリミッタが設けられ、バルブストローク調整機構に設定値以上のトルクが作用したときに空回りさせることでゼロ点が正確に求められるようにしている。
さらに、本発明にかかる液状物の吐出装置は、ジャンクションボックスの内部空間に収容されるロックアップスリーブを備え、連結部材及びポジショニングメンバーがロックアップスリーブに収められてからジャンクションボックス内に収容され、ロックアップスリーブはその周面に突出するダボを有し、該ロックアップスリーブを収容するジャンクションボックスの内部空間を区画する内周壁面にはダボ穴と該ダボ穴に繋がる周方向の横溝とジャンクションボックスの開口部に至る軸方向の縦溝とで成るL形のガイド溝とを備え、ダボをガイド溝を経由してその末端のダボ穴に嵌入させることでロックアップスリーブとジャンクションボックスとが一体化され、ロックアップスリーブを周方向に回転させてダボ穴から離脱させたダボを縦溝に位置させた状態でシリンジを定位置に押しつけるためのフラッシングエアをかけることによって、被駆動部材並びにポジショニングメンバーと共にロックアップスリーブを取り付け取り外し可能な構造とすることが好ましい。
請求項1記載の液状物の吐出装置によれば、バルブ本体に内蔵されたアクチュエータとシリンジあるいは機能性カートリッジ側に挿入されたニードルとが分離された別体構造とされ、両者が磁気結合により分離可能に接続されているので、ニードルを挿入しかつシートバルブアッセンブリを装着した状態のシリンジあるいは機能性カートリッジがそのままの状態でバルブ本体へ簡単に装着できると共に、またバルブ本体から簡単に取り外すことが可能である。しかも、バルブ本体に内蔵されているアクチュエータはシリンジあるいは機能性カートリッジを装着あるいは取外す際にバルブ本体から取外すことがなく、再度シリンジを装着する場合にもシリンジあるいは機能性カートリッジがバルブ本体のシリンジ収容空間内にセットされると同時にアクチュエータとニードルとの磁力による結合の際に磁気吸引力によるセンタリング効果で位置合わせが自動的に行われるので、シリンジの交換時に発生する微妙な再調整が必要ない構造となっている。したがって、再度の吐出パラメータ調整を必要とせず、そのまま吐出の再現性が容易に得られることから、シリンジあるいは機能性カートリッジの交換作業を迅速かつ簡易なものとすることができる。
また、請求項1記載の液状物の吐出装置は、アクチュエータとニードルとの間が磁気吸着により強固に連結されるため、アクチュエータとニードルとの間に多少の芯ずれや傾きがあっても、アクチュエータの軸方向への動きをニードルに伝達するのに影響を与えない。そこで、少なくともシリンジあるいは機能性カートリッジ側に挿入されたニードルとバルブシートとの間の同軸度が保たれていれば、アクチュエータとニードルとの間に芯ずれや芯の傾きが生じていても、偏心に起因する回転が起こることがない。即ち、アクチュエータ側の部材とニードル側の部材との間に厳密な同軸度を必要とせず、多少の芯ずれや傾きがあっても、独立してシリンジあるいは機能性カートリッジ内における同軸度が保たれているニードルの直進性が確保され、ニードルの駆動に支障を与えることがない。このため、各部品間での総合的な同軸度をあまり必要としないことから、各部品の加工コストと手間を大幅に低減できる。
また、アクチュエータとニードルとは磁気カップリングにより連動される関係にあり、独立してシリンジあるいは機能性カートリッジ内における同軸度が保たれるニードルの直進性が確保されるので、アクチュエータとニードルとの間の同軸度が十分に確保されていなくとも液状物の吐出動作毎にニードルが偏心に起因する回転を伴うことが無く、バルブシートに対してニードルが偏心して当たることがない。このため、バルブシートの片減りを起こして弁の耐久性を損なったり、吐出量を不安定にしたり、また吐出する液滴の直進性を損なうことがない。即ち、バルブ本体側のアクチュエータとシリンジあるいは機能性カートリッジ側のニードルとの間の芯ずれや傾きに影響を受けずに、バルブシートとニードルとの同軸度が保たれるため、吐出される液体の飛び出し状態が良好に保たれ、真っ直ぐに吐出ないし滴下させ得る。
さらに、請求項1記載の液状物の吐出装置は、シリンジあるいは機能性カートリッジに挿入されたニードルがバルブ本体のアクチュエータとの間で磁気吸引力により吊り下げられた状態となるので、シリンジあるいは機能性カートリッジの自立保持が可能となる。しかも、シリンジあるいは機能性カートリッジがポジショニングメンバーによって定位置に向けて付勢され定位置にセットされるため、吐出作業中にシリンジあるいは機能性カートリッジの位置がずれてバルブの開閉量・ストローク量が変動し、吐出量が変動してしまうような事態を回避でき、吐出量の制御特に少量吐出における制御を精度良く行うことができる。
また、請求項2記載の発明によれば、バルブ本体は、ジャンクションボックスと、ノズルベースと、これらを連結してシリンジ収容空間を区画形成するプラットフォームとを少なくとも備え、さらにジャンクションボックスには、アクチュエータと該アクチュエータにより上下方向に駆動される部材並びに上下動によりシリンジあるいは機能性カートリッジを脱着するポジショニングメンバーとが備えられているので、シリンジあるいは機能性カートリッジがシリンジ収容空間内にセットされると同時にアクチュエータにより駆動される被駆動部材とニードルとの位置合わせが磁力による結合で自動的に行われると共に連結される。このため、バルブシートアッセンブリ及びこれを開閉するニードルを含むシリンジあるいは機能性カートリッジを1つのブロックとして、バルブ本体のシリンジ収容空間へのセット、またシリンジ収容空間からの取り外しを可能にする。しかも、シリンジあるいは機能性カートリッジとポジショニングメンバーとの嵌合による連結によってシリンジが定位置にセットされるため、吐出作業中にシリンジあるいは機能性カートリッジの位置がずれてバルブの開閉量・ストローク量が変動し、吐出量が変動してしまうような事態を回避できることから、吐出量の制御特に少量吐出における制御を精度良く行うことができる。
また、請求項3記載の発明によれば、アクチュエータはソレノイドであり、ソレノイドによって駆動される被駆動部材としてアーマチャと連結部材とがソレノイドと共にバルブ本体に内蔵されているので、ソレノイドを励磁することで吸引されるアーマチャの動きを連結部材を介してニードルに伝達することにより、応答性に優れる吐出が可能となる。
また、請求項4記載の発明によれば、ソレノイドによって磁気吸引されるアーマチャと、ニードルと連動する連結部材とが分離された別体構造とされ、尚かつ待機位置にあるアーマチャと連結部材との間に軸方向の隙間・助走空間を設けて、ソレノイドでの吸引当初にはアーマチャのみを引き上げられる構造とされているので、吐出量が少量で吐出時間が短くなる場合においても、一定の助走距離・時間を付加してソレノイドを駆動する時間を嵩上げすることができる。つまり、アーマチャを吸引するに十分な助走時間を確保した上で、さらに実際にアーマチャを吸引する必要がある時間だけソレノイドを駆動させることができる。しかも、励磁初期にはニードルを定位置に押し戻すための付勢力の付加の影響を全く受けないでアーマチャのみを移動できるため、タイムラグもなく、ソレノイドの励磁に応じて動作することができる。これによって、より少量の吐出が可能となる。例えば、1msを切るような短い時間の間に、所望のストローク量だけバルブを開いて所定の吐出量が得られるように制御することができる。
請求項6記載の発明によれば、ポジショニングメンバーを上下動させるだけで、ニードルを挿入しかつシートバルブアッセンブリを先端に装着した状態のシリンジあるいは機能性カートリッジが、そのままの状態でバルブ本体に取り付けられあるいはバルブ本体から取り外される。しかも、ポジショニングメンバーとシリンジあるいは機能性カートリッジとの同軸度は連結と同時に担保される。
請求項7記載の発明によれば、ジャンクションボックスとノズルベースとを連結しシリンジ収容空間を区画形成するプラットホームが横断面コの字形を成しているので、全体的に剛性が高く、フラッシングエアをかけてもシリンジ収容空間がその長手方向に拡がったりノズルベースが傾斜することがない。したがって、吐出先の位置がずれてしまうことがなく、液状物例えば接着剤を塗布しようとする位置・狙い位置が狂うことがない。
請求項8記載の発明によれば、バルブ本体のシリンジ収容空間に極僅かな隙間をあけてシリンジ側あるいは機能性カートリッジ側の最大径部が収まるので、シリンジあるいは機能性カートリッジが左右に大きくずれることがなく位置決めされる。このことから、シリンジあるいは機能性カートリッジとバルブ本体との間の芯出しが容易になる。
請求項9記載の発明によれば、シリンジ収容空間を貫通する排出用のロッドをプラットホームの左右両側面の窓に沿って手前側に移動させることにより、ニードルと連結部材との間の磁気結合が強い場合でも、シリンジをシリンジ収容空間の外に簡単に取り出すことができる。
請求項10記載の発明によれば、マグネットの吸引力によりアーマチャを待機位置に強制的に戻すようにしているので、アーマチャの定位置への戻りが遅れてしまうことがなく、早いレスポンスでのアクチュエータのON・OFF動作即ち吐出動作が実行可能となる。換言すれば、少量吐出が精度良く行える。しかも、バルブ本体の省スペース化と、スプリング設置などの場合に起こり得るスプリングとアーマチャの接合部からの発塵等を防ぐことも可能となることから、液状物の汚染を防ぐことができる。
また請求項11記載の発明にかかる液状物の吐出装置は、ニードルの上昇端を規制するバルブストローク調整機構とニードルを定位置に押し戻すための付勢力を常時与える付勢機構とを互いに独立させてバルブ本体側に備え、一定の付勢力の下にニードルのストローク調整を可能としているので、ストローク量の大小にかかわらずニードルを定位置に押し戻すための付勢力は変わらず一定に付与されることから、少量吐出時即ちニードルのストローク量が小さくなるように調整されたときにも、励磁初期におけるニードルの引き上げスピードの鈍化、引いてはバルブ開放の応答の遅れを引き起こすことがなく、吐出量が目標値から外れるなどの影響を与えることがない。
ここで、ニードルを定位置に押し戻すための付勢力を常時与える付勢機構を納めている空間の全長を微調整可能なものとすることで無段階での付勢力例えばスプリング荷重の調整を可能とできるので、付勢力を液状物の粘性に応じて最適な強さに調整して、液状物の吐出後の飛散を防止できる。しかも、荷重に応じた付勢機構例えば低荷重用のばねや高荷重用のばねを予め用意しておき交換しなくとも済むので、部品点数が少なくなり部品管理が簡便になると共に交換作業などの手間がかからない。また、付勢機構を収容する空間の頂部に配置されたカラーを、高さの異なる他のカラーと取り替えることで空間の実効長さを変更する場合には、簡単に段階的に付勢機構の付勢する力を調整することができる。
さらに、ニードルを定位置に押し戻すための付勢力を常時与える付勢機構として、マグネットの反発力を利用する場合には、スプリングを用いる場合に起こり得るアーマチャの接合部からの発塵等を防いで液状物の汚染を防ぐことができる。
また、請求項15記載の発明によれば、ニードルの頭頂部の上端面が球面であるため、シリンジあるいは機能性カートリッジをバルブ本体から取り外すために傾ける際に、バルブ本体に内蔵された被駆動部材と干渉する虞が少なくなり、スムーズに取り外すことができる。しかも、磁気結合によって連結されているアクチュエータとニードルとの間の接触面角度にばらつきがあった場合でも、マグネットで吸引される面の片当りがなくなることから、連結面の高い加工精度が必要とされない。
また、請求項16記載の発明によれば、シリンジあるいは機能性カートリッジの先端に装着されるバルブアッセンブリの締め付けが内部の液状物の漏洩を招く程の隙間を空けている状態で装着しようとする場合には、バルブ本体のシリンジ収容空間への収納ができない。このため、シリンジあるいは機能性カートリッジとバルブアッセンブリとを組み付けたものの適切な管理が容易に実現可能となり、バルブシートアッセンブリの締め付け不足による液漏れが発生することがなくなる。
さらに、請求項17記載の発明によれば、ユニバーサルタイプのアダプタの向きやエクステンションロッドの組み合わせを変えることによって、1つのバルブ本体でいろいろなサイズのシリンジや機能性カートリッジの装着を可能にすることができる。即ち、1つのバルブを多種多様なシリンジだけでなく、機能性カートリッジにも共用することができる。
さらに、請求項18記載の発明によれば、アダプタあるいはエクステンションロッドのポジショニングメンバーに連結されるプラグ部と隣接する部位と、バルブ本体側のガイド部とを突き当てることで奥行き側への位置規制が行われるように設けられているので、アダプタあるいはエクステンションロッドをガイド部に押し当てるだけで降下してくるポジショニングメンバーに対しておおよその芯合わせが行われることとなり、スムーズな嵌合を可能とする。しかも、アダプタ及びエクステンションロッドのガイド部に当接する部分の形状を共通にすることで、異なるサイズや形状のシリンジや機能性カートリッジを装着する場合にも位置決めが可能となる。
また、請求項19記載の発明によれば、ニードルのストローク調整時にバルブストローク調整機構が空回りすることでゼロ点を正確に求めることができるので、検出されたゼロ点を基準に所望量だけマイクロアジャストメントキャップを回してストローク調整用ロッドの上端部に所望の隙間が生まれ、正確に所望のニードルのストローク量を設定することができる。依って、液状物の吐出に際して求められる0〜300μmあるいは400μm程度の極微小な範囲でもストローク調整を正確に管理できるため吐出量の制御が正確にできる。
さらに、請求項20記載の発明によれば、ロックアップスリーブをL形のガイド溝の縦溝部分まで逆回転させてフラッシングエアをかけるだけで、ポジショニングスリーブが押し下げられる作用を利用してロックアップスリーブをジャンクションボックスの外に一瞬にして押し出すことができる。したがって、ジャンクションボックスの外にロックアップスリーブと共にポジショニングメンバー、アーマチャ及び連結部材を簡単に取り出し、それぞれの部品毎に分解して容易にメンテナンスを施すことが可能である。また、部品のメンテナンス後には、再び部品をロックアップスリーブ内に組み込んでから、ロックアップスリーブをジャンクションボックスの内部空間に挿入し、ダボ穴に向けて回転させるだけで、ロックアップスリーブはジャンクションボックスに固定される。
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。尚、本明細書において、特に断りがない限り、上下方向とはバルブ本体の長手方向(バルブを開閉するためのニードルの移動する方向:軸方向)であり、上はバルブ本体のジャンクションボックス側、下はノズルベース側を指す。また、前後方向とは、バルブ本体の長手方向と直交する奥行き方向で、後ろとはバルブ本体の奥側、前とはシリンジの出し入れを行う手前側を指す。さらに左右方向とは、バルブ本体の長手方向並びに前後方向とそれぞれ直交する幅方向を指し、バルブ本体の実際の向きに関係なく、長手方向に移動する場合には昇降あるいは上昇ないし下降と呼ぶ。また、バルブと一般に呼ばれる本発明にかかる液状物の吐出装置は、一般的には、下向きに液状物を吐出するが、被塗物の形状によってはバルブ本体の取付角度を変えて斜め下方に向けて吐出されることもある。しかし、本明細書においては下向きに吐出するケースを挙げて主に説明する。
本発明にかかる液状物の吐出装置(一般にバルブとも呼ばれる)は、図1あるいは図14に示すように、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の先端に装着されるバルブシートアッセンブリ3と、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の内部に挿入されて先端のバルブシートアッセンブリ3のバルブシート46と当接するニードル(弁体)4と、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2を着脱自在に保持すると共にシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に収容されるニードル4と磁気結合されてニードル4をバルブシートに向けて進退動させるアクチュエータ5を内蔵するバルブ本体6とを少なくとも備え、ニードル4及びバルブシートアッセンブリ3を予め装着したシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をバルブ本体6にセットするだけで、バルブ本体6のアクチュエータ5とシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2内に装着されたニードル4とが磁気結合されて一体化され、シリンジ1内の液状物あるいは機能性カートリッジ2を介して供給される液状物の吐出がアクチュエータ5により制御されるようにしたものである。尚、ニードル4は、バルブ本体6に内蔵されるアクチュエータ5によって直接的に駆動されるようにしても良いし、アクチュエータ5によって駆動される部材を介して間接的に駆動されるようにしても良い。そこで、本実施形態においては、アクチュエータ5として応答性に優れるソレノイドが採用され(以下、アクチュエータを指してソレノイド5とも呼ぶ)、アーマチャ7と連結部材8とがアクチュエータ5によって駆動される部材(以下、総称して被駆動側部材とも呼ぶ)としてバルブ本体6に内蔵され、ソレノイドを励磁することで吸引されるアーマチャ7の動きを連結部材8を介してニードル4に伝達するように設けられた一例を挙げて主に説明する。
ここで、バルブ本体6は、図1及び図5に示すように、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の連結と駆動を図る機構部を収容するボックス状のフレームであると共に機構部に動力供給手段例えば電源ケーブル124や空気圧を印加するためのエアホース125を接続するためのジャンクションボックスとしても機能するメインフレーム(本明細書ではジャンクションボックスと呼ぶ)9と、バルブシートアッセンブリ3を受け止めて保持するノズルベース10と、これらを三面で連結する横断面コ形のプラットホーム11とを少なくとも備えている。さらにジャンクションボックス9には、アクチュエータとしてのソレノイド5と該ソレノイド5により上下方向に駆動される被駆動部材としてのアーマチャ7と連結部材8並びに空気圧の印加により上下動してシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2側のアダプタ12あるいはエクステンションロッド13と嵌合するポジショニングメンバー14とが備えられ、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に内蔵されるニードル4と磁気結合によって連結されることよって、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2にニードル4を挿入した状態のままバルブ本体6に対する脱着を可能にするように設けられている。即ち、被駆動側部材の一部である連結部材8とニードル4とを別体構造として、必要とされる両者の結合にはマグネット15を用いて両者の強固な締結を可能とさせている。このため、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2がプラットホーム11内にセットされると同時にアーマチャ7と一体的に昇降する連結部材8とニードル4との軸合わせが磁力による結合で自動的に行われるので、シリンジの交換時に発生する微妙な再調整が必要ない構造となっている。尚、ニードル4とアクチュエータ5の一部あるいはアクチュエータ5によって駆動される部材たる連結部材8とを磁気結合する手段としては、マグネット15が用いられ、バルブ本体6内のアクチュエータ5の一部あるいは連結部材8側あるいはニードル4側の少なくともいずれか一方、または好ましく双方に装備される。
連結部材8は、本実施形態の場合、図5及び図6に示すように、アーマチャ7がソレノイド5に磁気吸引されて上昇するときにのみ係合するフック16と、ニードル4の頭部のコネクトスリーブ21を磁気吸引するマグネット15を納めたヨーク17と、これらの間に配置されて磁気遮断を図る非鉄金属若しくはエンジニアリングプラスチック製の中間コネクタ18及びこれらを互いに連結するねじ軸19とから構成されている。そして、フック16はアーマチャ7の中央に設けられた孔20を貫通するように配置され、孔20の底部から径方向内向きに突出するフランジ22と係合する径方向外向きのフランジ23を上部に有し、アーマチャ7側のフランジ22と上部のフランジ23との係合により上昇するアーマチャ7に対してのみ連動するように設けられている。即ち、フック16は、下降するアーマチャ7に対しては、互いのフランジ22,23が離反する方向に移動する関係となるため連動せずに、ニードル4を定位置に押し戻す付勢手段24の付勢力によって強制的に押し下げられる。尚、中間コネクタ18の外周面には環状溝26が形成され、Oリング25が納められており、かつヨーク17と中間コネクタ18とフック16とは同じ外径であり、ポジショニングメンバー14の中央の孔28を貫通するように設けられている。
さらに、待機位置にあるアーマチャ7と定位置にある連結部材8のフック16との間には、図6に示すように、両者のフランジ22,23が相対向する面の間に軸方向の隙間29が設定され、ソレノイド5によってアーマチャ7が動き始めるときには、隙間29の区間ではニードル4を動かさずにアーマチャ7のみが動くように設けられている。そして、アーマチャ7と連結部材8のフック16との間に隙間29が無くなって当接したときに、アーマチャ7によってフック16が動かされ連結部材8を介してニードル4が一緒に動くように設けられている。これにより、励磁初期にニードル4を定位置に押し戻そうとする付勢手段24の強力な付勢力例えばばね負荷を受けずにアーマチャ7のみが励磁に伴う吸引を受けて動き出すことができるため、ニードル4の引き上げの初期負荷が軽減されると同時に本来必要とされるニードル4の引き上げ時間(バルブ噴射時間)よりも実際にソレノイド5が励磁される時間が長くなり、ソレノイドの吸引力が強められるため短い吐出時間であっても確実にニードルを駆動させることができ、より少量の液状物の吐出を可能としている。即ち、アーマチャ7とフック16とは終始連動するのではなく、アーマチャ7が待機位置から動き始める当初にはニードル4を動かさずにアーマチャ7のみが動く助走区間が設けられており、実際の吐出時間にアーマチャ7のみの一定の助走時間を付加してソレノイド5を駆動する時間を全体に嵩上げすることにより、短い吐出時間でもアーマチャ7が吸引され易くしている。この助走区間の設定により、アーマチャ7が確実に駆動させることができ、より短い吐出時間を得ることができる。一般にソレノイド5は励磁時間が短くなるほど、吸引力が弱くなり、アーマチャ7を吸引できなくなる問題がある。しかし、アーマチャ7のみがソレノイド5に吸引されて移動する助走区間が存在するため、吸着(引き上げ)し易い状態となり、より少量の液状物の正確な吐出を可能とする。ここで、待機位置とは、ロックアップスリーブ30の上端面にアーマチャ7が載置されている状況での位置をいう。尚、上述のアーマチャ7と連結部材8とを分離し、それらの間に軸方向の隙間29を設けて駆動初期にアーマチャ7のみが動く助走区間を設ける技術は、ソレノイドをアクチュエータとして用いるバルブ例えば特開2001−157862号公報に記載のバルブなどにも適用できることは言うまでもない。
また、アーマチャ7とフック16とが分離され尚且つそれらの間に軸方向の隙間29が設定されることによって、プッシャ31を介してニードル4を定位置に押し戻す付勢手段24の力がニードル4側のフック16には負荷されているものの、アーマチャ7側にはニードル4を定位置に押し戻す付勢手段24の力を受けない構造とされている。このため、ソレノイド5の励磁初期における付勢手段24の力(ばね負荷)の影響による吸引遅れを軽減することができる。尚、アーマチャ7の内側のフランジ22とフック16の上端の外側フランジ23との間には金属同士の衝突による摩耗を防ぐ樹脂ブロック27が設置された上で、軸方向の隙間29が設けられている。勿論、フック16そのものを樹脂で成形する場合には、緩衝用の樹脂ブロック27を配置する必要はない。
尚、本実施形態では、アクチュエータ5によって駆動される被駆動側部材としてのアーマチャ7と連結部材8とは、分離可能な別体構造としているが、これに限られず、アーマチャ7と連結部材8とを一体に成形してもあるいはねじや溶接などで一体化しても良い。例えば図19に示すように、円盤状のアーマチャ7の裏面側に中間コネクタ18の端面の凹凸と嵌合する凹凸とねじ孔とを備えるボス121が削りだし等でアーマチャ7と一体に形成され、ねじ軸19で中間コネクタ18とマグネット15を納めたヨーク17とを連結することにより一体化しても良い。ソレノイド5の吸引力がアーマチャ7の助走空間を必要としない程に強力な場合には、アーマチャ7単独での助走区間が存在しなくともソレノイド5の印加とアーマチャ7の動作との関係にほとんど遅れがなくダイレクトに駆動できるので、高サイクルでの吐出が可能となる吐出装置を実現できる。つまり、アーマチャ7と連結部材8とは、必ずしも互いに分離しなくとも良いが、ニードル4に対しては分離される必要はある。
また、連結部材8を構成するフック16、中間コネクタ18及びヨーク17は、基本的には一体構造でも良いが、本実施形態においてはアーマチャ7とマグネット15との間の磁気遮断のために中間コネクタ18に関しては非鉄金属若しくはエンジニアリングプラスチックを採用可能とするためセパレート構造としている。
また、本実施形態ではヨーク17によってマグネット15を囲繞しているが、必ずしもヨーク17を用いなくとも、脆く衝撃に弱いマグネット15を保護しながらフック16側に保持させるための囲い込む構造とすることが好ましい。例えば図19に示すように、ヨーク17のコネクトスリーブ21と当接する先端側を樹脂製スリーブ122で構成するようにしても良い。この場合には、金属製のコネクトスリーブ21の上端面49とヨーク17との間の摩耗を無くすことができる。これにより、マグネット15とコネクトスリーブ21の上端面49との間に形成される隙間の存在と相俟って、マグネット15とコネクトスリーブ21との間での発塵を防ぐことができる。マグネット15をヨーク17で包囲する構造は、ソレノイド5からの吸引に対してフック16上面が極性を持たない面となるため好ましい。
ジャンクションボックス9は、機構部を収納するための下向きに開口する円形の内部空間106と、バルブストローク調整機構を組み付けるための上向きに開放された凹部とを有し、機構部を収容する内部空間106を画成する内周壁面に4本のエア流路114a〜114dが開口されると共に内部空間106と凹部とがそれらを仕切る隔壁の中央に開けられた貫通孔によって互いに連通されている。したがって、収容されるソレノイド5は、図5に示すように、ハウジング33の外周面に嵌められたOリング109によって、ジャンクションボックス9との間に気密が図られると同時に固定されている。具体的には、ボビン34に巻回されたコイル35がハウジング33で覆われ、ボビン34の中心の孔を貫通するようにコイルコア36が嵌合され、ハウジング33の底部開口が絶縁プレート37で塞がれてジャンクションボックス9の内部空間106に固定されている。また、ジャンクションボックス9の内部空間106にはOリング115,116が外周面に嵌められたロックアップスリーブ30が収納され、該ロックアップスリーブ30によってポジショニングメンバー14が出没可能に支持されている。このロックアップスリーブ30によって囲まれたポジショニングメンバ14のピストン部63の上のソレノイド5との間の空間38にはアーマチャ7が収納され、ソレノイド5による励磁でソレノイド5側へ吸着されることにより軸方向へ移動可能に設けられている。尚、ポジショニングメンバー14はシリンダを兼ねるロックアップスリーブ30に収められてからジャンクションボックス9の内部空間106に収容される必要は無く、場合によってはロックアップスリーブ30を用いずにジャンクションボックス9の内部空間106に直に収納してから環状の座板などで蓋をすることにより出没可能に支持させるようにしても良い。
ロックアップスリーブ30は、ジャンクションボックス9に対して脱着可能に設けられている。具体的には、ロックアップスリーブ30は、例えば図6に示すように、ダボ39をその周面に突出させ、ジャンクションボックス9の機構部を収容する内部空間106を区画する内周壁に設けられているダボ穴40に嵌入させることで、ジャンクションボックス9と一体化されている。ダボ39はジャンクションボックス9の内周壁に形成された下端開口部の縁から軸方向に延びる縦溝と周方向の横溝とで成るL形の溝40gを経由して、その奥側の末端のダボ穴40に嵌入される。本実施形態の場合、ダボ39はロックアップスリーブ30の周方向に等間隔に3つ備えられており、ジャンクションボックス9の内周面に形成された3箇所のL形溝40gから導入されて等間隔に配置された3箇所のダボ穴40に嵌入される。したがって、ロックアップスリーブ30を逆回転させてダボ穴40からダボ39を外してL形溝40gの縦溝部分(横溝の反対側の端)40gvまで周方向移動させれば、ロックアップスリーブ30を軸方向移動させることでジャンクションボックス9から取り外すことができる。また、ボールプランジャ41がロックアップスリーブ30の周面に備えられ、ジャンクションボックス9の内周面に開けられた凹部に嵌合してジャンクションボックス9の位置決めと固定を図るように設けられている。尚、ロックアップスリーブ30の外周面とジャンクションボックス9の内周面との間は、ロックアップスリーブ30の外周面に嵌め込まれているOリング115,116によってシールされている。したがって、ポジショニングメンバー14のピストン部63の上の空間38並びに下の空間117に供給される作動ガスがロックアップスリーブ30とジャンクションボックス9との間から漏洩することはない。
また、ロックアップスリーブ30のソレノイド5と対向する面には、アーマチャ7を吸着するマグネット42が配置され、アーマチャ7を自重のみならず磁力で吸引することにより、待機位置に戻すように設けられている。ここで、円周方向に等間隔で3点設置されたマグネット42は、ソレノイド5の吸引力よりは遥かに弱い磁力であり、ソレノイド5によるアーマチャ7の上方への吸引の抵抗とはならないものである。勿論、アーマチャ7は自重のみで下方に落下させることで待機位置に戻すようにしても良いが、落下スピード(移動速度)に制限があるため、早いレスポンスでのON・OFF動作の場合にアーマチャ7の定位置への戻り即ち落下が遅れてしまうことがあることから、アーマチャ7を待機位置に強制的に戻すマグネット42の設置が好ましい。尚、アーマチャ7を待機位置に戻す手段としては、特にマグネット42に限定されるものではなく、場合によっては圧縮ばねなどでソレノイド5側からロックアップスリーブ30側へ向けて常時付勢するようにしても良いが、マグネット42による吸着の方がより省スペース化とスプリング設置などの場合に起こり得るスプリングとアーマチャ7の接合部からの発塵等を防ぐことも可能となることから好ましい。
ジャンクションボックス9は、さらにニードル4のストローク調整のためのバルブストローク調整機構50と、ニードル4を定位置に押し戻すための付勢力を常時与えるための付勢機構24とを互いに独立させて備え、一定のばね荷重の付与下にストローク調整を可能とし、少量吐出時の励磁初期に強力な負荷を受けることがないようにしている。具体的には、アーマチャ7と連結部材8とをセパレート構造とし、連結部材8のフック16に対してのみストローク調整用ロッド32の先端が当接して、ニードル4部の上昇端を規制し得るように設けられている。他方、ストローク調整用ロッド32の周囲には、ねじによって互いに接続されたコイルコア36とアッパーコア43とでスプリング収容空間が形成され、フック16に押し当てられるスリーブ状のプッシャ31と、該プッシャ31をフック16に向けて押し下げニードル4を定位置に押し戻す力を付勢する付勢機構24としてのばねとが配置されている。このばね24の上方には、樹脂製カラー44を介してスプリングプラグ45が配置され、ばね24に対して所望の変形・変位を与えるように設けられている。これにより、吐出量即ちストローク量に関係なく、ニードル4を定位置に押し戻す一定のばね力が付与される。したがって、少量吐出時にスプリング負荷が大きくなることはない。また、吐出量即ちストローク量とは関係なく、一定のスプリング負荷が影響することによる励磁初期における吸引遅れが問題となることはない。勿論、アーマチャ7と連結部材8とをセパレート構造にしなくとも、ストローク調整用ロッド32とニードル4を定位置に押し戻すばね24とは互いに独立して連結部材8のフック16に作用するので、ストローク調整用ロッド32によるストローク調整とリターンコイルばね24の負荷の変動とを切り離せる。尚、本実施形態では、コイルコア36とアッパーコア43とで連続する1つの空間・スプリング収容空間が区画されているが、場合によっては単一のコイルコアによって形成しても良いし、ソレノイド部品とは無関係の円筒部品で構成するようにしても良い。
さらに、本実施形態のバルブストローク調整機構の場合、ソレノイド5などの機構部を主要する内部空間106側からバルブストローク調整機構50を収める凹部側へこれらを仕切る隔壁の中央の貫通孔を貫通するように突出しているアッパーコア43の上部のねじにスプリングプラグ45を備え、このスプリングプラグ45を回すことでニードル4を定位置に押し戻すばね24を収容する空間の長さを変更可能とし、ばね荷重を調整可能としている。これにより、ばね24そのものを低荷重用のものあるいは高荷重用のものに交換しなくとも、プラグ45を回すだけでばね荷重を無段階で調整することができる。スプリング荷重が一定の場合には液状物の粘性によっては吐出後に飛散することがあり、例えば、低粘度の液状物の場合にはスプリング荷重が強すぎて液滴が吐出時に飛散してしまい所望する場所以外に液状物を付着させてしまうことがある。そこで、ばね24を収容する空間の長さを変更することによりスプリング荷重を調整して液状物の吐出後の飛散を防止できるようにしている。尚、ニードル4を定位置に押し戻す付勢手段24としては、本実施形態のようなばねに限らず、場合によってはマグネット(図示省略)でも可能である。この場合、例えば、リング状のマグネットが互いに反発するように配置し、マグネットの反発力でプッシャ31をフック16に付勢するようにしても良い。マグネットによってニードル4を定位置に押し戻す方が発塵等を防ぐことも可能となることから好ましい。
また、上述のスプリングプラグ45による調整ねじ方式に限られず、例えばスプリングプラグ45の固定位置を一定にして異なる高さの複数種の樹脂製カラー44を組み替えることによって、ばね24を収容する空間の実効長さを変更してばね強さを調整可能としても良い。この場合には、スプリングプラグ45の締め付け量を微妙に調整する必要が無く、異なる高さの複数種の樹脂製カラー44の中から選択された樹脂製カラー44を収めて定位置までスプリングプラグ45を締め付けるだけでばね荷重の調整を完了できる。
また、ばね24を付勢機構として用いる場合においても、図示していないが、ポリテトラフルオロエチレンやポリアセタール、ポリアミドなどの低摩擦係数・低摩耗性の樹脂材料から成る鞘管や低摩擦コート剤を内周面にコーティングした鞘管などをばね24の外に被せて鞘管に沿ってばね24が相対的に摺動させることで簡易に発塵を防ぐことができる。また、ストローク調整用ロッド32は一般に鏡面仕上げとされることから、ばね24の外周面側がコイルコア36から離れ内周面側がストローク調整用ロッド32に沿ってばね24が相対的に摺動するようにばね24の巻き径を調整することでも簡易に発塵を防ぐことができる。
ニードル4は、本実施形態の場合、図7に示すように、バルブシート46と当接する先端部分のタングステンカーバイト製インパクトスティック47と、それを支持するステンレススティール製インパクトロッド48及びインパクトロッド48の頭部即ちニードル4の頭部に冠着されているコネクトスリーブ21とで構成されている。本実施形態の場合、バルブ本体6の連結部材8と磁気結合させるため、インパクトロッド48の頭部に強磁性材料から成るコネクトスリーブ21が冠着されているが、これに特に限られるものではなく、ニードル4全体あるいはインパクトロッド48が強磁性材料で構成される場合には、コネクトスリーブ21は特に必要とされない。勿論、ニードル4の頭頂部にマグネット15を装備する場合には、ニードル4の材料には影響されない。
ニードル4の頭頂部、即ちコネクトスリーブ21のマグネット15及びヨーク17と接する上端面49は、緩やかなR形状即ち球面に形成されていることが好ましい。例えばノズルリテーナプラグ83の内面とノズルアダプタ84の外面とが接触する部分からニードル頭頂部までの長さL(図12参照)程度の半径の球面に形成されている。これにより、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をバルブ本体6から取り外すためにノズルリテーナプラグ83に当接するノズルアダプタ84を回転中心に図13に示すように傾ける際に、定位置にある連結部材8と頭頂部との間の隙間を狭く設定しても、ニードル4の頭頂部即ちコネクトスリーブ21の上端面49が定位置にある連結部材8の下端即ちヨーク17と干渉することがなくなる。しかも、コネクトスリーブ21の球面から成る頭頂部・上端面49は、バルブ本体6側の連結部材8に対するニードル4の相対的な傾きを容易にし、アーマチャ7と連結部材8をバルブシート46に対して同軸度を要求しないかたちで、連結することができる。即ち、ニードル4とソレノイド5側の連結部材8との間に偏心が生じていても、マグネット15がカップリングのような役目を果たすことで、両者の連結がなされると同時に磁気吸引によるセンタリング効果で位置合わせが自動的に行われる。バルブ本体6側の連結部材8とニードルとの間に同軸度が担保されていなくとも、ニードル4とバルブシート46との間の関係に影響を与えないため、ニードル4とバルブシート46との間の同軸度さえ確保できる構造にすれば良く、各部品間での総合的な同軸度をあまり必要としない。仮に、接触面角度にばらつきがあった場合でも、マグネット15で吸引される面の片当りがなくなる。しかも、磁気吸引力によりソレノイド5と連動する連結部材8のマグネット15に吊り下げられた状態となり自立保持が可能となる。このため、シリンジを所定の位置に装着した後、マグネット15によりニードル4が吸引される状態でシリンジが自立できるため手を放してもシリンジ1や機能性カートリッジ2が傾いたり、倒れる恐れがない。また、コネクトスリーブ21の球面状の上端面49は、比較的脆いマグネット15と直に接触せずに、マグネット15よりも僅かに突出したマグネット15の周りのヨーク17と接触する。これにより、比較的脆いマグネット15を保護すると共に磁気吸引力が強く作用するようにしている。
ニードル4とシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の同軸度はシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の両端のバルブシート46とユニバーサルアダプタ12あるいはバルブシート46とエクステンションロッド13とにより保たれる。他方、バルブ本体6側のソレノイド5とはマグネット15により締結されているため角度の自由度が高く、バルブ本体6との偏心に左右されない構造を得ることが出来る。即ち、バルブ本体6側の連結部材8とニードル4との間に心ずれ傾きが生じた場合にも、ニードル4とバルブシート46の同軸度を保持することが可能である。
バルブストローク調整機構50にはトルクリミッタが設けられている。本実施形態のトルクリミッタは、図5に示すように、スラストベアリング52を介してマイクロアジャストメントキャップ53に対して回転自在に設けられるトルクリミッタハウジング51に保持されているボールプランジャ55と、マイクロアジャストメントキャップ53と一体化されるトルクリミッタホルダ54に設けた凹部または孔56とで構成され、トルクリミッタホルダ54側の凹部または孔56にトルクリミッタハウジング51側のボールプランジャ55のボールを嵌合させることで一定の負荷をかけるようにしている。マイクロアジャストメントキャップ53、トルクリミッタハウジング51並びにトルクリミッタホルダ54は、軽量化のためアルミニウムで構成されている。このため、トルクリミッタハウジング51には、ストローク調整用ロッド32の頭部と当接するステンレススティール製の止めねじ57がねじ込まれ、ストローク調整用ロッド32の頂部を受け止めることによってニードル4の上方のストローク端を定めるように設けられている。また、場合によっては、図19に示すようにトルクリミッタハウジング51にストローク調整用ロッド32を止めねじや圧入などの固定手段で固定するようにして、ストローク調整用ロッド32とトルクリミッタハウジング51とを一体化しても良い。この場合には、シリンジ1などに印加されている圧力を抜かずにマイクロアジャストメントキャップ53を取り外したとしても、ストローク調整用ロッド32だけが外へ飛び出す虞がない。マイクロアジャストメントキャップ53とストローク調整用ロッド32とが固定された従来の構造であると、ゼロ点を求める作業が作業者の感覚に頼りがちとなり、ゼロ点を正確に求めることができなかったが、バルブストローク調整機構50にトルクリミッタを設けることで、設定値以上のトルクが作用したときにマイクロアジャストメントキャップ53を空回りさせることでゼロ点を正確に求めることができる。そこで、検出されたゼロ点を基準に外周面の目盛58を目安に所望量だけマイクロアジャストメントキャップ53を戻すように回して止めねじ57の位置を引き上げることで、正確に所望のニードル4のストローク量を設定可能としている。一方、マイクロアジャストメントキャップ53はアッパーコア43の上部のねじに螺合されている。したがって、マイクロアジャストメントキャップ53を回すと、上あるいは下へ移動し、止めねじ57の位置即ちストローク調整用ロッド32の上昇端を調整する。ストローク調整用ロッド32はスプリングプラグ45との間に配置されているOリングの摩擦力により自由落下しないため、アーマチャ7のソレノイド5による吸引で止めねじ57に突き当たる位置まで押し上げられたところで保持される。
尚、トルクリミッタホルダ54とこれに螺着されているマイクロアジャストメントキャップ53とは、ジャンクションボックス9側に円周状に複数設置されたスプリングプランジャー59により絶えず上方に押し上げられている。スプリングプランジャー59は、マイクロアジャストメントキャップ53を押し上げることでねじ部の遊びを吸収すると共にマイクロアジャストメントキャップ53に対して摩擦力を与えて回り止めとしても機能させる。さらに好ましくは、図19に示すように、キャップ53の底面に環状の滑り止め部材120を嵌め込み、滑り止め部材120を介在させてトルクリミッタホルダ54にスプリングプランジャー59を押しつけさせるようにすることである。この場合、高速ショット時に発生する振動によるマイクロアジャストメントキャップ53の回転・緩みをより確実に防ぐことができる。滑り止め部材120としては、少なくとも金属よりも滑らない程度の低摩擦係数の素材のパッキン例えばウレタンゴムやシリコンゴムなどのエラストマー製パッキンの使用が好ましい。尚、上述のバルブストローク調整機構50は、アクチュエータ5側とニードル4側とが磁気結合される本実施形態のバルブ構造に限られず、ねじ送り機構を用いたストローク調整用ロッド32の回転による昇降によってニードルのストローク量を調整する全てのバルブ構造に適用可能である。
ここで、ゼロ点とは、ニードル4とバルブシート46間が閉じている状態でストローク調整用ロッド32とアーマチャ7のセンターの穴20に設置されたフック16の上面との間に隙間が無い状態を言う。この状態ではソレノイド5の励磁によってアーマチャ7は上方へ引き上げられるが、フック16はストローク調整用ロッド32の最下面に押さえつけられているため上方に押し上げられることができない。同時にこの状態ではニードル4の先端と接するバルブシート46も同様に開かれることのない状態となり、どんなに長い時間ソレノイド5の励磁を受けても吐出が出来ない状態である。
また、アクチュエータとしてソレノイド5を用いる場合、使用状況によってはソレノイド5が発熱して励磁力が弱くなり、その結果吐出量が不安定となることがある。そこで、ソレノイド5の温度上昇を冷却流体、例えば空気、水、液体窒素などにより冷却して一定励磁力を保つようにしている。このときソレノイド5の温度変化に対応させるため温度センサ(図示省略)を近傍に設け、ソレノイド5の温度を一定に保つために空気送風量を電空変換を用いて調整するようにしても良いが、本実施形態ではソレノイド5のコイルハウジング33を囲い込むジャンクションボックス9との間の隙間にエア流路114a,114bと連通する冷却空気の出入口を設けて圧縮空気をコイルハウジング33の周りに単に流すことで冷却する方式を採用して効率的にソレノイド5の冷却を図るようにしている。
ポジショニングメンバー14は、図7に示すように、その下部に装着しようとするシリンジ1や機能性カートリッジ2の端部形状に適合した形状の連結部60を有する。ここで、シリンジ1や機能性カートリッジ2の端部形状とは、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をバルブ本体6へアダプタ12あるいはエクステンションロッド13を介在させて装着しようとする場合には、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の一部となるアダプタ12のプラグ61あるいはエクステンションロッド13のプラグ62を意味し、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2を直に連結部60に装着しようとする場合にはその端部を意味するものである。ポジショニングメンバー14は、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2側のアダプタ12あるいはエクステンションロッド13のプラグ61,62と連結部60を嵌合させることによりシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2のセンター出しと連結とを可能とすると共にジャンクションボックス9、ロックアップスリーブ30及びシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2側のアダプタ12あるいはエクステンションロッド13のプラグ61,62との間でシールを構成するものであり、作動ガス例えば圧縮空気や窒素ガス等の不活性ガス(以下、単に圧縮空気と呼ぶ)の圧力によりシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2へ向けて降下し同軸上に納まる構造となっている。同時に、このポジショニングメンバー14は、その可動範囲の上限まで押し上げられることで、下端の連結部60がユニバーサルアダプタ12のプラグ61あるいはエクステンションロッド13のプラグ62から外れ、さらにアーマチャ7を押し上げフック16がロッド32に突き当たるまで連結部材8を押し上げるため、ヨーク17とユニバーサルアダプタ12あるいはエクステンションロッド13との間に間隙を生じさせる働きを為す。即ち、本実施形態のポジショニングメンバー14は、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に向けて進退動することによりシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をバルブ本体6に着脱させる機構と、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をノズルベース10に向けて押し続ける付勢機構と、かつバルブ本体6を介して供給される空気をシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2内に供給する流路を確立するシール機構とを兼ねるものである。勿論、これら各機構はそれぞれ別個の部材によって構成するようにしても良い。本実施形態のポジショニングメンバー14は、ピストン部63とピストンロッド部64及び円筒状の連結部60(以下、連結ポート60とも呼ぶ)とを有し、その中央に連結部材8を貫通させるための孔28を備えている。この孔28の上方側の開口部28aはアーマチャ7の下面中央に突出するフランジ22を収容する凹部とされている。尚、作動ガスとしては一般に圧縮空気が用いられるが、吐出される溶剤の変質を防ぐために窒素等の不活性ガスが必要に応じて用いられることもある。
ここで、ポジショニングメンバー14と連結部材8並びにユニバーサルアダプタ12あるいはエクステンションロッド13のプラグ61,62との間には、以下の関係となるようにОリングが配置されている。
まず、アーマチャ7及びポジショニングメンバー14が収容されている空間38にポジショニングメンバー14を下方に押し下げるための圧縮空気がエア流路114cを経て送り込まれることによってポジショニングメンバー14が下方に移動し始めた状態では、ピストン部63の周面のOリング65と中間コネクタ18の周面のOリング25との2つのОリングがポジショニングメンバー14を下方に動作する場合のシールとなって、アーマチャ7のある空間38に圧力を印加することを可能とするように設けられている。他方、ピストン部63の下の空間117の空気は、該空間117への空気圧力の印加を司るバルブ(図示省略)が解放状態のため圧縮されることなく出入り口118及びエア流路114dを経て外に放出され、ポジショニングメンバー14が空気圧力の印加により下降するように設けられている。
そして、下降中のポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60の内周面にユニバーサルアダプタ12のプラグ61あるいはエクステンションロッド13のプラグ62が嵌合すると、プラグ61,62の周面のOリング67,68が連結ポート60の内周面と接触し、さらにポジショニングメンバー14を下方に押し下げるために必要なシールを構成する。
さらに、圧縮空気の供給によりポジショニングメンバー14が下方に押し下げられるとき、中間コネクタ18の周りのОリング25がポジショニングメンバー14の中心の孔28から外れることにより、ロックアップスリーブ30のシリンダ部分の上部空間38とシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の内部とを連通する通路のシールを破って、圧縮空気がポジショニングメンバー14の中心に貫通する孔28とヨーク17との間の隙間を通り抜けてシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2内に流入するように設けられている。そして、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2内を圧力で満たしながら、ポジショニングメンバー14の連結ポート60と嵌合するユニバーサルアダプタ12のプラグ61あるいはエクステンションロッド13のプラグ62のOリング67,68によって外への空気圧力のリークを防ぐシールを構成するように設けられている。
さらに、ポジショニングメンバー14の下降によりシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2が定位置に押しつけられた状態、即ち図6及び図7に示すようにニードル4がアーマチャ7と連動して動作する状態では、中間コネクタ18の周りのOリング25はポジショニングメンバー14の中心の孔28の外即ちポジショニングメンバー14との間でシールを構成しない位置に配置される一方、ポジショニングメンバー14のピストン部63の周りのOリング65とロックアップスリーブ30のシリンダ部分の内周面との間並びにポジショニングメンバー14の連結ポート60の内周面とユニバーサルアダプタ12のプラグ61あるいはエクステンションロッド13のプラグ62のOリング67,68との間でシールを構成するように設けられている。したがって、ソレノイド5の励磁によってアーマチャ7と連動してフックアッセンブリ即ち連結部材(フック16、中間コネクタ18及びヨーク17(マグネット15を含む))8が上下動しても、中間コネクタ18の周りのОリング25は摺動抵抗とならずにニードル4の動作をスムーズなものとする。即ち、ニードル4が動作するときには、Оリング25の摺動抵抗を一切受けないためニードル4は摺動抵抗による動作への拘束を受けない構造となり、ソレノイド5の励磁時間に沿った正確な動作をすることが可能となり、これが繰り返し性のある正確な吐出精度を生みだすことを可能とする。同時にシリンジ1への圧力印加の通路が確保される。また、ポジショニングメンバー14と触れていないためにОリング25の耐久性も上がる。仮にОリング25の位置が摺動する箇所にある場合には、正確な吐出動作が出来ないばかりか、吐出動作(ソレノイド5の励磁動作)毎にОリング25は摺動動作にさらされるためその消耗も早くなり本来のポジショニングメンバー14のシリンジ取外しに伴う動作時に消耗して空気圧力を漏らさずに維持することが困難となる。
他方、ポジショニングメンバー14が空気圧により押し上げられる過程では、中間コネクタ18の周りのOリング25が孔28の内側に入ってポジショニングメンバー14との間でシールを構成してロックアップスリーブ30のシリンダ部分の上部空間38とシリンジ内とを連通する通路・孔28を遮断した後に、ポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60がユニバーサルアダプタ12のプラグ61あるいはエクステンションロッド13のプラグ62から外れるように設けられている。そして、さらにポジショニングメンバー14が空気圧により押し上げられ上限にまで達した状態では、ポジショニングメンバー14のピストン部63の周面のOリング65と、ピストンロッド部64の周面のOリング66と、中間コネクタ18の周面のOリング25との3つのOリングでロックアップスリーブ30並びに中間コネクタ18との間でシールを構成するように設けられている。ちなみに、この状態でポジショニングメンバー14を押し上げた空気圧力をOFFにすると、ポジショニングメンバー14はプッシャ31を介したスプリング24の力により若干は下に押し戻されるが、ロックアップスリーブ30の最上段端面にアーマチャ7の下面が当たってその位置でアーマチャ7が拘束されるため、ポジショニングメンバー14は3つのОリング25,65,66が抵抗となり自重による降下・落下が防がれる。
本実施形態のプラットホーム11は、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の出し入れを行う前面側を除いて、左右両側と背面との三面を覆う断面コの字形を成している。このことから、全体的に剛性が高く、フラッシングエアをかけてもプラットホーム11が軸方向・長手方向(ジャンクションボックス9とバルブシートアッセンブリ3を受け止めるノズルベース10との間)に拡がることがなく、液状物例えば接着剤を塗布しようとする位置・狙い位置が狂うことがない。しかも、プラットホーム11の左右両側壁69の間に、シリンジ1側の最大径部であるユニバーサルアダプタ12のフランジ部70が収容されることによって、フランジ部70を左右両側から挟み付けるようにしてプラットホーム11の左右両側壁69で囲われるように設けられている。したがって、ユニバーサルアダプタ12のフランジ部70の直径あるいは少なくとも幅とプラットホーム11の左右の両側壁69の間の幅との寸法関係を、シリンジ1の装入に支障をきたさない程度の僅かな隙間しか空かないような設定することによって、シリンジをバルブ本体6に装着するのと同時にフランジ部70の左右方向の位置決めが完了し、シリンジ1が左右に傾くのを未然に防ぐことができる。本明細書において、シリンジ側あるいは機能性カートリッジ側の最大径部とは、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の最も横幅方向に突出した部位を意味するものであり、上述のユニバーサルアダプタ12のフランジ部70に限られないものであり、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の形態並びにサイズ毎に適合するアダプタが用意される場合には、各アダプタの最大径部であり、またアダプタ12やエクステンションロッド13を介在させない場合にはシリンジ1そのもののあるいは機能性カートリッジ2そのものの最大横幅を意味する。尚、シリンジ1の三方を囲う横断面コの字形のプラットホーム11の採用は、バルブ本体6の剛性特に軸方向への変位・変形を抑制するのに効果的な剛性を得ると共にシリンジのバルブ本体6への取り付け時の位置決めをアシストする上で好ましいが、必ずしもこれに限られるものではなく、特許文献1記載のフレーム構造のように、ジャンクションボックス9とノズルベース10とをタイロットによって連結する構造としても良い。
さらに、ユニバーサルアダプタ12のフランジ部70の上の第2の肩部71並びにエクステンションロッド13の上端のプラグ62と隣接する位置決め用肩部80は、ジャンクションボックス9の底面から下へ突出したロックアップスリーブ30の下端の半円形状のガイド部81の奥側の内周面に突き当てられることで、奥行き側への位置規制が行われるように設けられている。即ち、エクステンションロッド13の位置決め用肩部80の大きさはユニバーサルアダプタ12の第2の肩部71と同じ大きさに設定されている。したがって、ユニバーサルアダプタ12を嵌合したシリンジ1をバルブ本体6のプラットホーム11に装入し、第2の肩部71がガイド部81の奥側の内周面に突き当たるまで押し込めば、あるいはエクステンションロッド13の位置決め用肩部80がガイド部81の奥側の内周面に突き当たるまで押し込めば、プラットホーム11惹いてはポジショニングメンバー14に対する左右並びに奥側へのおおよその芯合わせが行われることとなる。そこで、ポジショニングメンバー14を降下させれば、その下部の連結ポート60にユニバーサルアダプタ12の第3のプラグ部61あるいはユニバーサルアダプタ12に連結されたエクステンションロッド13の上端のプラグ62が嵌入されて、バルブ本体6側とシリンジ1側との芯出しと連結とが同時に完了する。しかも、アダプタ12の第2の肩部71並びにエクステンションロッド13の位置決め用肩部80の形状を同一形状・寸法にしておけば、異なるサイズや形状のシリンジ1や機能性カートリッジ2を装着する場合にも、一定の位置決めが可能となる。
バルブ本体6の下部においてバルブシートアッセンブリ3を受け止めて保持するノズルベース10は、図8に示すように、プラットホーム11によってジャンクションボックス9と連結され、ジャンクションボックス9のポジショニングメンバー14と同軸上に配置されると共にノズルレシーバ82及びノズルリテーナプラグ83を保持し、ジャンクションボックス9との間にシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2を収容するシリンジ収容空間93を区画形成している。他方、本実施形態のバルブシートアッセンブリ3は、外周面にねじ部を有するシートホルダ85、ノズルリテーナ86、バルブシート46、ノズル87及びノズルアダプタ84とで構成され、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の先端の口部に設けられた雌ねじ部にシートホルダ85のねじ部を螺合させることにより固定するルアーロック(ねじ込み)式とされている。このバルブシートアッセンブリ3は、ノズルアダプタ84の外面のテーパ面あるいは球面をノズルベース10側のノズルリテーナプラグ83のテーパ面あるいは球面の内面に当接させることで定位置に位置決めできるように設けられている。勿論、バルブシートアッセンブリ3は、場合によっては、ルアースルー(非ねじ込み)式とすることも可能であり、さらには少なくともバルブシート46として機能するものをシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の先端に装着できるものであれば、上述の部品を全て必要とするものではない。
ノズルベース10とノズルレシーバ82との間には、ボール88、好ましくはセラミック製ボールが配置されてヒータ89とバルブ本体6(ノズルベース10)との間を点接触として断熱効果を持たせる構造をとっている。また、ノズルレシーバ82とシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2との間には隙間90が設定され、ノズルレシーバ82に内蔵されるヒータ89の熱がシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の周壁から伝熱され難いように設けられている。したがって、ヒータ89の熱はノズルベース10からプラットホーム11及びジャンクションボックス9側へは伝わり難く、通常、カートリッジヒータ89と温度センサ91が内蔵されたノズルレシーバ82からノズルリテーナプラグ83及びノズルアダプタ84へと伝わってシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の先端のバルブシートアッセンブリ3に熱が伝わる。シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2内の液状物への温調管理は液状物粘度の安定のために必要であるが、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2全体を加温することは液状物にヒートダメージを与える場合がある。そこで、本実施形態のバルブは、通常は、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の先端部のノズル87を集中して加温するようにしている。しかしながら、液状物によってはシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の全体を加温することが必要な場合がある。この場合、ノズルレシーバ82とシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2との間の隙間90を埋めるように、熱伝導性に優れる材質の円筒状の伝熱管92をシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に嵌め込めば、伝熱管92を介してヒータ89の熱が伝熱管92で包囲された範囲のシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に伝えられ、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の広域を容易に温調することができる。
ここで、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2にバルブシートアッセンブリ3を取り付けるときに、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2へのバルブシートアッセンブリ3の締め付けが甘いと、嵌合部から液漏れを引き起こし実際に吐出する製品にこぼれ落ちる危険性がある。そこで、本実施形態では、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の先端にバルブシートアッセンブリ3が完全に装着されていない場合にはバルブ本体6への装着を受け入れない構造とし、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に取り付ける部品の装着状態を管理することを容易にしている。即ち、本実施形態のバルブは、図12に示すように、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2にバルブシートアッセンブリ3とニードル4並びに必要に応じてユニバーソルアダプタ12あるいはエクステンションロッド13を装着した全体の長さ(ノズルリテーナプラグ83の内面とノズルアダプタ84の外面とが接触する部分からニードル頭頂部までの長さ)Lが、バルブ本体6のシリンジ収容空間93の軸方向有効長さよりも長い場合には、バルブシートアッセンブリ3やユニバーサルアダプタ12などが組み付けられたシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2がポジショニングメンバー14の下の空間即ちシリンジ収容空間93に入り込めない構造とされている。ここで、シリンジ収容空間93の軸方向有効長さとは、バルブシートアッセンブリ3が押し当てられるノズルリテーナプラグ83の位置(定位置)から最上端位置にまで押し上げられた状態のポジショニングメンバー14の連結ポート60の下端までの間隔・長さを言う。具体的には、本実施形態の場合、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2とバルブシートアッセンブリ3との取付隙間が規定値内例えば2mm未満に収まらない場合には、ポジショニングメンバー14とユニバーサルアダプタ12が衝突してシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の装入ができない構造とされている。これにより、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2とバルブシートアッセンブリ3との間の締め付け不足による液漏れが発生することがなくなる。つまり、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に対するバルブシートアッセンブリ3の締め付けが緩い場合には、ポジショニングメンバー14が上に押し上げられた状態における最大寸法よりもシリンジ側全長Lが長くなるので、バルブ本体6のシリンジ収容空間93へ納めることができないこととなる。勿論、ニードル4のストロークの調整量によっては、例えば少量吐出時にストロークを絞り気味のときなどには、ストローク調整用ロッド32の先端に押されたフック16と連結するヨーク17の下端部分がシリンジ収容空間93内の軸方向有効長さを規定値以下としていることもある。この場合、シリンジ等の装着時には、マイクロアジャストメントキャップ53を逆転させてロッド32を引き込めることなどで対応することができる。
本実施形態において、シリンジ収容空間93に装入されるシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2とバルブ本体6のジャンクションボックス9との連結は、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2側に嵌合されたアダプタ12あるいはエクステンションロッド13をポジショニングメンバー14の連結ポート60に嵌合させることで行われる。この場合、アダプタ12あるいはエクステンションロッド13の連結ポート60に嵌合させる側の端部の形状を規格化し、他端側を接続しようとするシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2もしくはアダプタ12に対応させる形状にすることで、シリンジ収容空間93に収まる大きさであればあらゆるシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2にワンタッチで装着可能となる。勿論、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2とバルブ本体6との連結即ちジャンクションボックス9のポジショニングメンバー14との連結に際しては、アダプタ12あるいはエクステンションロッド13の介在は必須ではなく、ポジショニングメンバー14の連結部60とこれに対応するシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の端部形状を互いに適合する形状あるいは形態とすることにより、直結可能としても良い。
アダプタ12は、シリンジ1のサイズ毎あるいは機能性カートリッジ2の形態並びにサイズ毎に適合するものを各々用意しても良いが、本実施形態の場合、市場に流通するシリンジのうち最も流通性が高い例えば55cc、30cc、10cc及び5ccの4種類のシリンジに適合可能な1つのユニバーサルアダプタ12を用いることで全てのシリンジの装着可能としている。勿論、機能性カートリッジ2に対応させるようにしても良い。このユニバーサルアダプタ12は、図7及び図10に示すように、55cc及び30ccのシリンジ1の開口縁と当接するフランジ部70と、該フランジ部70の下に隣接して55cc及び30ccのシリンジの内周面と嵌合する第1のプラグ部72と、さらにそれよりも下の先端側となる領域に10ccのシリンジの内周面と嵌合する第2のプラグ部73と、10ccのシリンジの開口縁と当接する第1の肩部74と、フランジ部70を境に反対側には5ccのシリンジの開口縁と当接する第2の肩部71と、その上で5ccのシリンジの内周面と嵌合する第3のプラグ部(ポジショニングメンバー14の連結ポート60と嵌合するプラグ)61とを有する1つのブロックに一体成型され、さらに各プラグ部61,72,73の中央を貫通するようにニードル4を通過させると共にエクステンションロッド13を嵌合可能とする孔75が設けられている。本実施形態の場合、孔75の入り口部分はねじ孔とされている。ここで、50cc、30cc及び10ccのシリンジ1が使用されるときには、シリンジ1の外に露出する反対側の5cc用の第3のプラグ部61は、ポジショニングメンバー14の下端の嵌合用の円筒部即ち連結ポート60と嵌合する連結手段として利用される。つまり、連結ポート60の内径は、5cc用のシリンジの内径と同じ径に形成されている。また、10cc用の第2のプラグ部73の径も、連結ポート60の内径と同じに形成されている。したがって、ユニバーサルアダプタ12は、5cc用の第3のプラグ部61とその反対側の10cc用の第2のプラグ部73のいずれを使っても、ポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60と嵌合して連結手段として利用され、かつエクステンションロッド13を嵌合させ該エクステンションロッド13を介してポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60と嵌合して連結される。尚、第1〜第3の各プラグ部61,72,73には、Oリング67,76を取り付けるための溝77,78,79がそれぞれ設けられ、対応するシリンジの内径サイズに応じたOリングが取り付けられることによってシール可能な構造として使用される。また、ユニバーサルアダプタ12のフランジ部70とプラットホーム11の左右の両側壁69との間にはシリンジの装入に支障をきたさない程度の僅かな隙間しか空かないような寸法関係に設定されている。したがって、シリンジ1をバルブ本体6に装着しようとする際には、シリンジ1が左右に傾くのをバルブ本体6のプラットホーム11で規制することができる。
ここで、フランジ部70の上の第2の肩部71あるいは第2のプラグ部73は、ロックアップスリーブ30の下端のガイド部81の奥側の内周面に突き当てることで位置決めが行われる。つまり、第2の肩部71あるいは第2のプラグ部73は、5ccのシリンジに嵌合させるときの位置決めとなるばかりか、シリンジ1をバルブ本体6に装着する際の奥行き側への位置合わせの証として利用される。尚、本実施形態では、ユニバーサルアダプタ12側に第2の肩部71を設けてあるいは第2のプラグ部73を利用してロックアップスリーブ30の下端のガイド部81の奥側の内周面に突き当てて奥行き側の位置決めを図る証として機能させるようにしているが、これに特に限られるものではなく場合によってはロックアップスリーブ30側にユニバーサルアダプタ12側に向けて突出する半円形状の突起を形成し(図示省略)、第3のプラグ61の位置決めのための証として機能させるようにようにしても良い。この場合、第2のプラグ部73側には対応する凹部を設ける必要がある。また、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の一部がバルブ本体6側の何らかの位置決め手段に直接当たって奥行き側の位置決めを図る構造とすることも可能である。さらに付言すれば、ガイド部81は、ロックアップスリーブ30と一体的に設ける必要も、半円形状である必要もない。ガイド部81を例えばジャンクションボックス9と一体的に設けることも構造的には可能である。しかしながら、この場合にはアダプタ12もしくはエクステンションロッド13の外形を大きくする必要があり、機能的とはいえない。他方、半円形状のガイド部81をロックアップスリーブ30と一体的に設けてジャンクションボックスから突出するように備える場合には、アダプタ12若しくはエクステンションロッド13の外形を最小限のものとすることができるため機能的であると共に、ロックアップスリーブ30をジャンクションボックス9から取り外すためにロックアップスリーブ30を周方向に回転させる際の把手の働きをガイド部81が果たすため、ロックアップスリーブ30を手で捻り易い構造にすることができる。
また、バルブ本体6のサイズは、各シリンジサイズ毎の大きさに設計しても良いが、バルブの共通化を図るために使用目的に合致した最も大きなシリンジサイズ、例えば本実施形態では55ccのシリンジの外径・長さに適合するように設計されている。したがって、最も大きなシリンジサイズである55ccを装着する場合には、ユニバーサルアダプタ12の55cc用プラグ即ち第1のプラグ部72をシリンジ開口部に嵌合し、反対側に突出する5cc用プラグ即ち第3のプラグ部61をポジショニングメンバー14に嵌合するだけで、バルブ本体6に装着可能であるが、使用可能な最大シリンジサイズよりも小さな30cc、10cc、5ccのシリンジを使用する場合には、バルブ本体6が想定しているシリンジの長さよりも短いので、エクステンションロッド13を利用してシリンジ長さの調整を行い、シリンジ1の固定を可能とすることが好ましい。
30cc、10cc及び5ccの3つのシリンジ用の各エクステンションロッド13は、図9及び図10に示すように、それぞれ下端にはユニバーサルアダプタ12の中心の孔75に嵌合されるプラグ94とOリング110、上端にはポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60に嵌合可能なプラグ62とOリング68とをそれぞれ有している。そして、各エクステンションロッド13の中央のニードル4が貫通する孔95は、その上部開口端付近がコネクトスリーブ21が移動できるスペースが形成されるように設けられている。各エクステンションロッド13は、その長さが対応するシリンジの種類毎に異なるが、それ以外の構造例えば両端のプラグ部分や中央のニードル4を通過させる孔95などのサイズは同一である。
尚、ポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60と嵌合するアダプタ12の第3のプラグ部61、エクステンションロッド13のプラグ62及び連結ポート60に直結される場合の機能性カートリッジ2の各頭頂部は、コネクトスリーブ21の上端面49と同様に、緩やかなR形状即ち球面に形成されていることが好ましい。例えばノズルリテーナプラグ83の内面とノズルアダプタ84の外面とが接触する部分からニードル頭頂部までの長さL(図12参照)程度の半径の球面に形成されている。これにより、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をバルブ本体6に装着するときあるいはバルブ本体6から取り外すためにノズルリテーナプラグ83を回転中心に図13に示すように傾ける際に、定位置にある連結部材8と各頭頂部との間の隙間を狭く設定しても、アダプタ12の第3のプラグ部61、エクステンションロッド13のプラグ62及び機能性カートリッジ2の各頭頂部が定位置にある連結部材8の下端と干渉する虞が少なくなる。勿論、上述の如く第3のプラグ部61等の各頭頂部は、コネクトスリーブ21の上端面49と同様に、緩やかなR形状即ち球面に形成されていることが好ましいが、必須の条件ではない。例えば、連結ポート60の先端とアダプタ12の第2の肩部71等を当接させることにより位置決めを図る場合などには、アダプタ12の第3のプラグ部61、エクステンションロッド13のプラグ62及び機能性カートリッジ2の各頭頂部までの高さを低くすることにより、シリンジ1等のバルブ本体6のシリンジ収容空間93内への装着時に、連結部材8側のヨーク17やポジショニングメンバー14の下端の連結ポート60と干渉することがないようにすることもできる。
ところで、本発明にかかるバルブ(液状物の吐出装置)はロボット等の自動機に搭載されて使用されることが多い。このような使用形態においては、ティーチングを誤ってZ軸動作量が設定された場合、ロボットのZ軸(縦軸)動作でバルブ本体6を液状物を吐出・塗布する相手側部材に対してZ軸方向に衝突させて、損傷してしまう虞がある。そこで、本実施形態の場合、図11に示すように、プラットホーム11の背面側には、バルブ本体6を自動機(ロボット)や壁などに取り付けるためのブラケット95が備えられている。このブラケット95は、バルブ本体6と向かい合う面の四隅にボールプランジャ96を備えると共に、ほぼ中央にバルブ本体6との距離を保ちながら連結するための断熱性スリーブで覆われたフック97が設けられている。他方、プラットホーム11側には、大きな穴と小さな長穴とが連結されて1つの穴とされただるま穴98が設けられ、だるま穴98の下穴からフック97を挿入して上方にスライドさせて上側の小さな長穴にフック97の軸部を通すことによって、プラットホーム11とブラケット95が係合されると共にブラケット95とバルブ本体6との距離を一定に保つように設けられている。これにより、だるま穴98へのフック97の係合と同時に、ブラケット95の四隅のボールプランジャ96のボールが相対するプラットホーム11の穴99に合致して着脱可能に固定される構造とされている。したがって、このブラケット95はバルブ本体6との間で断熱とZ軸(バルブ本体6の長手方向・軸方向)衝突時のバッファー効果を持たせる。即ち、液状物を吐出・塗布する相手側部材に対してZ軸方向に衝突して、バルブ本体6とそれを支えるブラケット95との間にある一定トルク以上の値がZ軸方向に加えられると、ボールプランジャ96がトルクリミッタの役割を果たして上下に外れる構造になっており、思わぬロボットの暴走によってバルブ本体6が損傷されることを防止できる。また、ボールプランジャ96による4点の点接触と断熱性スリーブを介在したフック97での接触により、バルブ本体6と取り付け相手側部材・ロボットとの間での熱の授受を抑えることができる。さらに、バルブが取り付けられようとする相手側部材例えば自動機や壁などの平面度が出されていなくとも、プラットホーム11側が歪まないように装着できる。尚、ブラケット95は自動機(ロボット)などへねじ123で取り付けられる。
以上のように構成された液状物の吐出装置によれば、ニードル4並びにバルブシートアッセンブリ3を予め装着したシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2をバルブ本体6にセットするだけで、制御された量の液状物を吐出することができる。以下に、シリンジ1を用いた例を挙げて主に説明する。
まず、バルブ本体6へのシリンジ1のセットの手順について説明する。シリンジ1の先端にバルブシートアッセンブリ3を装着し、さらに後端開口に対応するアダプタ例えばユニバーサルアダプタ12を嵌め込んでから、ユニバーサルアダプタ12の中心の孔75からシリンジ1の内部にニードル4を挿入する(図1参照)。ここで、使用するシリンジ1が少量用のもの、例えば5cc用や10cc用、30cc用の場合、バルブ本体6に適合可能な最大長さのシリンジの長さよりも短いので、エクステンションロッド13を利用してシリンジ長さの調整を行い、シリンジ1の固定を可能とする(図14参照)。本実施形態のユニバーサルアダプタ12は、市場に流通する数種類のシリンジのうちの最も流通性が高い55cc、30cc、10cc、5ccの4種類のシリンジに適合可能な構造とされているので、アダプタ12の嵌合する向きを変え、適当なエクステンションロッド13を採用することで、全てのシリンジの装着がひとつのアダプタ12で対応可能である。尚、バルブシートアッセンブリ3のうち、ノズル87とノズルリテーナ86はシリンジ1をバルブ本体6に装着した後にノズルリテーナプラグ83越しに嵌め込むことも可能である。
次いで、図13に示すように、ニードル内装状態のシリンジ1をバルブ本体6の前面の開口部からバルブ本体6のノズルリテーナプラグ83へ向けて斜めに装入し、シリンジ1の先端のノズルアダプタ84部分をバルブ本体6のノズルリテーナプラグ83内に納め、ノズルリテーナプラグ83内面とノズルアダプタ84の外面とが接触している部分を中心にしてシリンジ1を起こし、シリンジ収容空間93にシリンジ全体を収納する(図2参照)。このとき、バルブ本体6はシリンジ1の装入に備えてポジショニングメンバー14が待機位置に戻されているので、下端の連結ポート60部分がロックアップスリーブ30内に引き込まれて、規定寸法の高さのシリンジ収容空間93がポジショニングメンバー14下につくられている。そこで、シリンジがバルブ本体6内へ装着可能なときには、シリンジ側の全長が規定値内に収まっているということであるから、シリンジ1とバルブシートアッセンブリ3との間の締め付け不足による液漏れが発生することがない。その反面、シリンジ側の全長が規定値内に収まっていない場合には、ポジショニングメンバー14とユニバーサルアダプタ12が衝突してシリンジ1の装入ができない。
シリンジ収容空間93へ納められたシリンジ1は、図5に示すように、バルブ本体6のロックアップスリーブ30の度当たり即ちガイド部81に向けてユニバーサルアダプタ12の第2の肩部71あるいはエクステンションロッド13の位置決め用肩部80が当接するまで押し込むことにより、シリンジのバルブ本体6への位置決めが自動的に行なわれる。即ち、ロックアップスリーブ30のガイド部81にユニバーサルアダプタ12の第2の肩部71あるいはエクステンションロッド13の位置決め用肩部80が当接した状態において、ポジショニングメンバー14とユニバーサルアダプタ12あるいはエクステンションロッド13惹いてはニードル4並びにシリンジ1とが同心上に配置されることとなる。このとき、コネクトスリーブ21は対向するバルブ本体6側の連結部材8のマグネット15及びヨーク17に吸引されるため、接近させるだけで定位置で連結され、手を離してもシリンジ1がバルブ本体6の外に倒れ出る恐れがない。しかも、バルブ本体6にソレノイド5、アーマチャ7並びに連結部材8が内蔵されそれらの間の位置関係が固定されているため、シリンジ1の交換時に発生する微妙な再調整を必要としない。尚、シリンジ1に限らず、機能性カートリッジ2などを用いる場合においても同様であり、機能性カートリッジ2にニードル4を挿入し、あるいは必要に応じてエクステンションロッド13を機能性カートリッジ3に嵌め込んでからニードル4を挿入し、さらには機能性カートリッジ3の先端にノズルシートアッセンブリ3を装着して、バルブ本体6に装着する。
バルブ本体6へのシリンジ1の位置決めが完了した後、シリンジ内の液状物を吐出させるときの空気圧力よりも高い圧力のフラッシングエアをロックアップスリーブ30の内方でかつポジショニングメンバー14のピストン部63の上の空間38にかけて、ポジショニングメンバー14を降下させる。この時、ピストン部63の周面のOリング65と、中間コネクタ18の周面のOリング25との2つのОリングがポジショニングメンバー14を下方に動作させるためのシールとなって、アーマチャ7のある空間38に圧力を印加することを可能とする。なお、ポジショニングメンバー14のピストン部63の下の空間117の圧縮空気は、この空間117への空気圧の印加を制御するバルブ(図示省略)が解放状態とされることにより、圧縮されることなくエア流路114dから外に放出される。したがって、ポジショニングメンバー14が抵抗なくスムーズに降下する。ポジショニングメンバー14の降下によって、ポジショニングメンバー14の下部空所・連結ポート60にユニバーサルアダプタ12の第3のプラグ部61あるいはユニバーサルアダプタ12に連結されたエクステンションロッド13の上端のプラグ62が嵌合し、同プラグ61,62の周面のOリング67,68とポジショニングメンバー14の連結ポート60の内周面とが摺動すると、バルブ本体6側とシリンジ1側との芯出しと連結とが同時に完了すると共に、ポジショニングメンバー14をさらに下方に押し下げるために必要な3つ目のシールを構成する。その後もポジショニングメンバー14の降下が進むと、孔28をシールしていた中間コネクタ18の周面のOリング25が外れるため、ピストン部63の上の空間38に供給されている空気が孔28並びにユニバーサルアダプタ12の孔75(場合によってはエクステンションロッド13の孔100)を経てシリンジ内に漏れ出る。これにより、圧縮空気がシリンジ内を圧力で満たしながら、さらにポジショニングメンバー14が押し下げられる。
そして、降下中のポジショニングメンバー14の連結ポート60の天井面がユニバーサルアダプタ12のプラグ61の上端面に当接すると、シリンジ全体が押し下げられ、バルブ本体6のノズルリテーナプラグ83の内周面とノズルアブプタ84の外周面とを密着させるように押しつけ、本来の定位置までシリンジ位置を強制的に移動させる。同時に、ニードル4もバルブシートアッセンブリ3のタングステン・カーバイト製のシート46に向けて押し下げられ密着する。これにより、シリンジ1(あるいは機能性カートリッジ2)が定位置へセットされる。また、シリンジ内に加圧された十分な空気圧力によって、シリンジ1をシールするユニバーサルアダプタ12に装着されたОリング76は上方に持ち上げられ、ポジショニングメンバー14はユニバーサルアダプタ12の上面に接触する状態で行き止まる。つまり、その後も液状物を吐出させる空気圧の印加により下向きの力が付与され続けるポジショニングメンバー14によって、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2はバルブシートアッセンブリ3に押し当てられ、定位置に保持される。したがって、その後の液状物の塗布作業中にシリンジ1の位置やニードル4の可動領域が変動して吐出量が変動することがない。
シリンジ1の定位置へのセット完了後、図示していない制御装置によって、ポジショニングメンバー14のピストン部63の上方のシリンダ内空間38を経てシリンジ内に加えられる空気圧力が液状物の吐出に適した圧力に切り替えられ、液状物の吐出・塗布作業に備えられる。そこで、吐出しようとする液状物の量に対応するニードル4の可動量・ストローク量となるように必要に応じてバルブストローク調整機構50を調整しかつ吐出時間を設定した後、ソレノイド5の励磁を行うと、アーマチャ7が吸引されその動きに一瞬遅れてニードル4が持ち上げられることによってノズル87が開口され、ニードル4が持ち上げられている間だけシリンジ内の液状物が吐出される。このとき、アーマチャ7と連結部材8とは分離されているので、プッシャ31を介してニードル4を定位置に押し戻すばね24の力はニードル4側のフック16には負荷されているものの、アーマチャ7側には負荷されていない。このため、ばね負荷に起因するソレノイド5の励磁初期における吸引遅れを軽減することができる。しかも、励磁初期にニードル4を定位置に押し戻すばね24の強力な負荷を受けずにアーマチャ7のみが励磁に伴う吸引を受け、アーマチャ7の始動後に連結部材8と連動してニードル4を引き上げようとするため、バルブの引き上げの初期負荷が軽減されると同時にソレノイド5の励磁時間よりも実開度は短いものとなり、1msを切るような短い時間でも吐出が可能となる。しかも、バルブ本体6側のソレノイド5により駆動される部材・連結部材8とシリンジ1側のニードル4とはマグネット15による磁気カップリングにより連動される関係にあり、独立してシリンジ1内における同軸度が保たれるニードルの直進性が確保されるので、ソレノイド5とニードル4との間の同軸度が十分に確保されていなくとも吸引のたびにニードルが偏心に起因する回転を伴うことが無い。因みに、液状物の吐出作業時には、プッシャ31を介してばね24によってニードル4は絶えず押さえつけられる状態となっており、シリンジ1を外そうとしてもばね24の力によって取り出し難い状態となっている。
また、シリンジ1の交換あるいはシリンジ1を取り外して液状物を再充填して再装着する場合には、ポジショニングメンバー14のピストン部63の下の空間117に空気圧をかけ、ポジショニングメンバー14を上昇させることによって行われる。ポジショニングメンバー14の上昇に伴ってユニバーサルアダプタ12の第3のプラグから連結ポート60が離脱し、ポジショニングメンバー14に因るシリンジ1への拘束が解かれる。その後、ポジショニングメンバー14がバルブストローク調整用ロッド32の底部にフック16が突き当たるまで上昇するので、アーマチャ7が待機位置よりも上へ僅かであるが押し上げられることで連結部材8が引き上げられ、これに伴い磁気的結合状態にあるニードルも引き上げられるが、磁気結合は吸引面との同軸方向の結合は強いが、横方向へのスライドさせる力には比較的弱いためシリンジを引っ張ることで容易にシリンジ1を傾けることができ、シリンジ1を簡単にバルブ本体6から取り外せる。そして、新たなシリンジあるいは再充填したシリンジを前述の手順で装着できる。
尚、ニードル4と連結部材8との間の磁気結合が強い場合、シリンジ1を摘まんでシリンジ収容空間93の外に引き出すことが容易でないことがある。そこで、軽量化及びシリンジ1の内容物・液状物の残量の確認を可能とするためにプラットホーム11の側面に穿った斜めの窓111を利用して、シリンジ収容空間93を貫通する排出用のロッド112を挿入し、窓111に沿ってロッド112を手前側に移動させることによりシリンジ収容空間93内のシリンジ1をロッド112によって押し出すように設けることが好ましい。この場合、シリンジ1などの上側を押すほど、シリンジ1を容易に傾け取り出すことができる。このロッド112は、必要に応じて窓111からシリンジ1の背後に挿入するようにしても良いが、シリンジ収容空間93に常備させるようにしても良い。例えば、図1及び図2などに示すように、シリンジ収容空間93を貫通してプラットホーム11の両側壁の窓111から突出する取り外し用のロッド112の両端に抜け止め用フランジを備えるローラ113を嵌合することで、両側壁の窓111を利用して脱落せずかつスライド可能に支持させるように備えるようにしても良い。この場合には、シリンジ1をシリンジ収容空間93内にセットすると同時に取り外し用のロッド112がシリンジ1の背部に自動的に接したまま移動しエジェクトに備えて待機することとなる。尚、本実施形態では、バルブ本体6を鉛直方向に配置してロボットなどへ搭載された場合に、窓111が前下がりに傾斜するような配置となってロッド112が前方へ自重で移動するように設けられているが、これに特に限られるものではなく、水平に配置される窓111でも実施可能であるし、場合によっては後下がりに傾斜する配置となってロッド112が後方(シリンジ収容空間93の奥行き方向)へ自重で移動するように設けても良い。いずれにしても、ロッド112をシリンジ収容空間93の前方側へ移動させることによって、シリンジ1や機能性カートリッジ2あるいはエクステンションロッド13を組み込む場合にはエクステンションロッド13を背後から押して、ノズルリテーナプラグ83とノズルアダプタ84とが接触している部分を回転中心として前傾させ、シリンジ1などをシリンジ収容空間93の外に排出することができる。
また、メンテナンスなどのためにロックアップスリーブ30およびこれに支持されるポジショニングメンバー14、アーマチャ7並びに連結部材8をジャンクションボックス9から取り外す場合には、ロックアップスリーブ30をL形溝40gの縦溝部分40gvに向けて周方向に逆回転させてダボ孔40からダボ39を離脱させると共にL形溝40g内を移動させてL形溝40gの縦溝部分40gvに配置させることによって、ジャンクションボックス9内から取り出すことができる。このとき、ロックアップスリーブ30を手で引き抜くことも可能であるが、Оリングの摺動抵抗もあり簡単には取り外すことができず、やや時間を要することとなる。しかしながら、本発明にかかるバルブにおいては、エア流路114cを経てシリンジを定位置に押し下げるためのフラッシングエアをかけることによって、フラッシングエアの圧力によりポジショニングスリーブが押し下げられる作用を利用してロックアップスリーブ30をジャンクションボックス9の外に一瞬にして押し出すことができる。そして、ジャンクションボックス9の外にロックアップスリーブ30とポジショニングメンバー14、アーマチャ7及び連結部材8を取り出すことができるので、それぞれの部品毎に分解して容易にメンテナンスを施すことが可能である。また、部品のメンテナンス後には、再び部品をロックアップスリーブ30内に組み込んでから、ロックアップスリーブ30をダボ穴に向けて回転させれば、ダボのダボ穴への嵌入により、ロックアップスリーブ30はジャンクションボックス9に固定される。
因みに、ポジショニングメンバー14が空気圧により押し上げられた状態においては、ピストン部63の周面のOリング65と、ピストンロッド部64の周面のOリング66と、中間コネクタ18の周面のOリング25との3つのOリングでロックアップスリーブ30並びに中間コネクタ18との間がシールされている。したがって、ポジショニングメンバー14が上端まで押し上げられた後に空気圧が解除されて待機状態とされても、ポジショニングメンバー14はプッシャ31を介したばね24の力により若干は下に押し戻されるものの、3つのОリングが抵抗となり自重によりそれ以上落下することはない。他方、ロックアップスリーブ30の上端面49にアーマチャ7の下面が当たってその位置でアーマチャ7はマグネット42による吸着力で拘束される。その状態で、アーマチャ7が置かれている空間38に圧縮空気が送り込まれると、ポジショニングメンバー14が下方に移動し始める。
また、本発明にかかるバルブは、バルブ本体6を把持して手作業により液状物の塗布作業を行うこともあるが、ロボットなどに搭載して液状物を目標の箇所に向けて所定量だけ吐出させることが一般的である。そこで、ロボットなどへの搭載は、ロボットに予め固定されたブラケット95のフック16部分をプラットホーム11の背面のだるま孔98の大きい方の孔に挿入してからバルブ本体6を押し下げることによりワンタッチで簡単に行える。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、液状物を充填したシリンジ1をバルブ本体6に装着して使用するシリンジ内蔵型の吐出装置の例を挙げて主に説明したが、この使用例に特に限られるものではなく、各種機能モジュールを装着可能とし、液状物を加圧タンクからの圧送で外部から供給するタイプや、シリンジ外付けタイプ、ポンプ循環供給方式などの、さまざまな形式の液状物供給方式として使用することもできる。
ポンプ循環供給方式の場合、図示していないポンプで液圧をかけて液状物を循環させる循環路に本発明のバルブを組み込み、圧送される液状物の供給を受けながらニードルの開閉操作により所望の量の液状物を吐出させるようにできる。即ち、上述の実施形態のシリンジ1の代わりに、液状物の導入口101と排出口102とを有すると共にそれらの間にフィルターエレメント103を内蔵した図15及び図16に示すような機能性カートリッジ2をバルブ本体6に装着することによって、本発明のバルブを塗装などで用いられるスプレーガンとして利用することも可能である。このポンプ循環供給方式の場合、循環する液状物そのものに圧力がかけられているので、液状物を吐出させるためのエアをバルブ本体6のジャンクションボックス経由で機能性カートリッジ2内に供給する必要はない。そこで、図16に示すように、カートリッジ2内をフィルターエレメント103を挟込むようにシール用プラグ104で密封すると共にシール用プラグ104を貫通するようにニードル4を配置する一方、シール用プラグ104の間の密封空間105に連通する供給用の導入口101と還流用の排出口102とを備えることで、非吐出時にはカートリッジ2内を液状物が通過して循環し、吐出時にはフィルタエレメント103を通過してバルブシート46から噴射されるように設けられている。ここで、シリンジ1の位置決めと同様に、ポジショニングメンバー14にフラッシングエアを印加して降下させ機能性カートリッジ2を定位置に押しつけた後も、バルブ本体6のジャンクションボックス9並びにエクステンションロッド13経由で液状物を吐出させる程度の空気圧を機能性カートリッジ2の上部にかけ続けることにより、機能性カートリッジ2を定位置に保持させると共に、機能性カートリッジ内の密封空間105との間の圧力差をなくすことが可能である。この場合には、ニードル4を緊迫するシール用プラグ104のUパッキン107の圧力差に起因する広がりを抑えてニードル4の動きをスムーズにすることができる。このポンプ循環供給方式の場合、ヒータ89とフィルターをバルブ本体6並びに機能モジュールに内蔵できるため、循環システムからヒータ89とフィルターとを除いて簡略化できる。換言すれば、高価な液状物を少量しか塗布しない用途では、循環路上にヒータ及びフィルター機器を備える必要がないことから、これらを満たすために必要な十分な液状物容量が不要なため、液体回路内の液状物を最少量でポンプ循環が可能となる。尚、機能性カートリッジ2はエクステンションロッド13の中継によってバルブ本体6に装着可能としているが、カートリッジそのものの長さをエクステンションロッド13が不要となる長さとすることで、機能性カートリッジ2を直接バルブ本体6に装着するようにしても良い。この場合、機能性カートリッジ2の後端をユニバーサルアダプタ12の第3のプラグ(エクステンションロッド13のプラグ62)61と同じサイズ・同じ形状とすることにより、ポジショニングメンバー14の連結ポート60に直接嵌合される。
また、エクステンションロッド13と機能性カートリッジ2とは、機能性カートリッジ2の上端に開口する孔108にエクステンションロッド13の下端のプラグ部94を嵌合することで接続される。接続構造は図16に示すようなねじを利用した嵌合でも良いが、ねじが切られずに単にOリングを介在させて挿入する嵌め合いの差し込み方式としても良い。また、図9や図10に示すエクステンションロッド13とユニバーサルアダプタ12との間の接続も同様である。
また、図17に示すように、加圧タンクから圧送される液体の供給を受ける方式に適用することもできる。この場合のカートリッジ2には、図示していない外部の加圧タンクから加圧状態の液状物が供給されるだけなので、循環のための還流用の排出口102が不要である。
また、図18に示すように、シリンジ1をバルブ本体6の外に取り付けて液状物の供給を受けるシリンジ外付け方式としても適用可能である。この場合には、シリンジ1の大きさや形態に影響を受けず、アダプタ12’の形状・構造にも制約を受けることがない。
以上のように、本発明のバルブは、様々な容量・形態のシリンジ1あるいは各種機能モジュール2を組み合わせることができ、またエクステンションロッド13を利用することで様々な長さのシリンジ1あるいは各種機能モジュール2を組み合わせることができる。したがって、単一のバルブでシリンジと機能モジュールとに共通して使用できる。しかも、接液部たるシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2とニードル4及びバルブシートアッセンブリ3が予め組み込まれた1つのモジュールとなるため、接液部のメンテナンスが簡単に実施できる。
また、上述の実施形態では、ユニバーサルアダプタ12やエクステンションロッド13を使用して1つのバルブ本体6でいろいろなサイズのシリンジや機能性カートリッジを装着可能とした例を挙げて説明したが、これに限られず、シリンジサイズ毎にあるいは機能性カートリッジのサイズや形態毎に対応する専用のバルブ本体6を用意し、専用アダプタを介してあるいは介さずに各々装着するようにしても良い。
また、本実施形態ではアクチュエータ5として応答性に優れるソレノイドが採用されているが、これに特に限定されるものではなく、油圧あるいは空圧の流体圧シリンダやモータ、ダイアフラムなどのアクチュエータ、特に空気圧を利用したアクチュエータの利用も可能である。この場合、アクチュエータ5でジャンクションボックス9内のアーマチャ7を直接駆動するようにしても良いし、場合によっては連結部材8を直接駆動するようにしても良い。例えば、ダイアフラムを利用する場合には、ダイアフラムに連結部材8を固着しておき、ダイアフラムに圧力変化を与えることで連結部材8の昇降動作を制御することができるし、流体圧シリンダを利用する場合にはピストンそのものを連結部材8としたり、あるいはピストンに連結部材8を連係させるようにしても良い。つまり、アクチュエータの一部を被駆動部材としても良い。
また、上述の実施形態では、シリンジ収容空間93に装入されるシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2とバルブ本体6側の連結に関与する部分、即ち上述の実施形態ではポジショニングメンバー14の連結ポート60とをアダプタ12あるいはエクステンションロッド13を介して連結するようにしているが、これに特に限定されるものではなく、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2の端部形状を連結ポート60に嵌合可能な共通な形状とすることにより、直結することも可能である。これにより、特定のシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に対応する専用のバルブ、あるいは上端開口部が規格化されたシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2に対応するバルブの場合、アダプタ12あるいはエクステンションロッド13を介在させずに、シリンジ収容空間93に収まる大きさであればあらゆるシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2にワンタッチで装着可能である。またポジショニングメンバー14の下端の連結部60は、場合によっては、アダプタ12やエクステンションロッド13の穴あるいはシリンジ1や機能性カートリッジ2の穴に直接嵌合されるプラグ状のシール機構付き差し込み部(例えばアダプタ12のプラグ61のような形状)としても良い。
さらに、上述の実施形態では、圧縮空気の付加によりポジショニングメンバー14を上下動させるようにしているが、これに特に限られるものではなく、手動によってポジショニングメンバー14を直接上げ下げさせることにより、シリンジ1あるいは機能性カートリッジ2のポジショニングメンバー14への嵌合即ちバルブ本体6への装着を行うようにしても良い。例えばジャンクションボックス9の外に突出した取っ手あるいはレバーなどポジショニングメンバー14に設け、これを把持してポジショニングメンバー14をシリンジ収容空間93に収めたシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2へ向けて進退動させるようにしても良い。この場合、ポジショニングメンバー14とロックアップスリーブ30あるいはジャンクションボックス9との間に圧縮コイルばねなどの弾性部材を介在させることにより下向きの力を付与し続ける構造とすることで、バルブシートアッセンブリ3に押し当てられたシリンジ1あるいは機能性カートリッジ2を定位置に保持させることができる。