JPWO2014054290A1 - 白色発光装置、照明装置、および歯科用照明装置 - Google Patents

白色発光装置、照明装置、および歯科用照明装置 Download PDF

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Abstract

発光スペクトルにおいて特定の波長領域が突出することを防ぎ、太陽光と同様の色合いで見ることができる白色発光装置を提供する。350nm以上490nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備する。蛍光体層は、420nm以上700nm以下の波長領域に互いに異なる発光強度のピークを有する複数の蛍光体を含む。

Description

本発明は、白色発光装置、照明装置、および歯科用照明装置に関する。
近年、省エネルギー対策や二酸化炭素の排出量削減の観点から発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を使用した白色発光装置が注目されている。例えば、タングステンフィラメントを使った従来の白熱電球と比較した場合、LEDは長寿命で、かつ省エネルギーが可能である。従来の白色発光装置では、例えば400nm以上530nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する青色LEDを使用してYAG蛍光体を励起させ、さらに青色LEDの青色光とYAG蛍光体の黄色光とを混合して白色光を実現していた。
LEDを使用した白色発光装置は、信号機や液晶表示装置のバックライト、さらには室内灯などの一般用照明機器としても広く使用されている。従来の青色LEDを使った白色発光装置の発光スペクトルでは、青色LEDの青色光のピーク高さが蛍光体における黄色光のピーク高さの1.5倍以上と高く、青色光の影響が強い傾向があった。
一方、LEDを使用した白色発光装置の普及に伴って、白色発光装置に求められる要求も様々になってきている。例えば、青色LEDとYAG蛍光体を組み合わせた白色発光装置は、見る方向によっては黄色っぽく見えたり、青色や黄色の色むらが発生するといった問題があった。
このような問題を解決するために、例えば紫外発光ダイオードと蛍光体を組み合わせた白色発光装置が提案されている。紫外発光ダイオードと、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体の3種の蛍光体とを組み合わせた白色発光装置によれば、高い演色性が実現されている。
従来の白色発光装置では、高い演色性を実現するため、赤色の発光強度のピークが高くなるように設定されている。このような発光スペクトルを持つ白色発光装置で物を照らすと、被照射物(光が照らされた物)の色合いは鮮明に見える。一方で、洋服などの場合、高い演色性の白色発光装置で照射された色合いと太陽光の下の色合いが異なるように感じることがある。つまり、高い演色性の白色発光装置から放射された光が照射される場合と太陽光が照射される場合において、同じ被照射物であるにも関わらず色の違いを感じるといった問題が生じていた。
青色LEDを使った白色発光装置では、青色LEDの発光が強すぎるために、必要以上に眩しかったり、概日リズム等で人体に悪影響を受けるなどの報告がなされている。このように、青色LEDを使った白色発光装置の普及により、様々な問題が生じている。
白色発光装置の一つに歯科用照明装置が挙げられる。歯科治療として、虫歯の治療、歯茎の治療などの口内治療や、美容のための歯の白色化(いわゆるホワイトニング)といった審美治療など様々な治療方法がある。歯科用照明装置は、口の中を照らすため一定の演色性が求められるが、従来の青色LEDを用いた白色発光装置を具備する照明装置では演色性が不足しているため、口内の色合いを正確に把握できないとの問題があった。このため、高い演色性の白色LED照明として様々な歯科用照明装置が開発されている。
さらに、歯科治療の一種として、専用の歯科用樹脂を用いた治療がある。治療後に歯科用樹脂を塗布し、歯科用樹脂を固めることにより治療箇所を保護することができる。治療箇所と硬化した歯科用樹脂との間に隙間が生じると、過敏症、マイクロリーケージ、エナメル質エッジ欠け、二次的虫歯等を引き起こす可能性が高まる。このため、硬化前の歯科用樹脂を治療箇所に塗布するときには、隙間が生じないように塗布し、その後、硬化させる必要がある。
歯科用樹脂には、一般的に380nm以上450nm以下の波長の光で硬化する光硬化型樹脂が用いられている。従来の歯科用樹脂では、青色LEDの光が強いと早く硬化してしまい、治療箇所と硬化した歯科用樹脂との間に隙間が生じてしまうといった問題が生じていた。また、高い演色性の白色発光装置に関しても同様の問題が生じていた。
特開平10−242513号公報 国際公開第2007/037120号 特表2008−540542号公報 特許第4862098号公報
本発明が解決しようとする課題は、青色の可視光領域の光強度が強いために感じる眩しさ、概日リズムへの影響、歯科治療への影響の少なくとも一つを改善することである。
実施形態の白色発光装置は、350nm以上490nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光を発する発光ダイオードと、発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備する。蛍光体層は、420nm以上700nm以下の波長領域に互いに異なる発光強度のピークを有する複数の蛍光体を含む。
実施形態の白色発光装置の一例を示す図である。 実施形態の照明装置の一例を示す図である。 実施形態の照明装置の一例を示す図である。 実施例1−1の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−2の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−3の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−4の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−5の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−6の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−7の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−8の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例1−9の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例2−1の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例2−2の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例2−3の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 実施例2−4の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 比較例2−1の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 比較例2−2の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 比較例2−3の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 従来の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。 従来の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。
(第1の実施形態)
本実施形態の白色発光装置は、発光ダイオードと、発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備する。
発光ダイオードは、350nm以上490nm以下の波長領域に発光強度のピーク(発光ピーク波長)を有することが好ましい。発光ダイオードとしては、いわゆる紫外線発光、紫色発光または青色発光の発光ダイオードを用いることができる。紫外線発光、紫色発光または青色発光の発光ダイオードは、蛍光体を励起するために好適である。さらに、紫外線発光、紫色発光または青色発光の発光ダイオードと様々な蛍光体を使用することにより白色光を得ることができる。
白色光の350nm以上780nm以下の波長領域において、任意の発光強度の極大値に対する、長波長側で該極大値に最近接する発光強度の極小値の比(極小値のピーク高さ/極大値のピーク高さ)は、極大値を1としたとき0.5以上であることが好ましい。例えば、JIS−C−8152に準じた積分球を使った全光束測定により、白色発光装置の発光スペクトルを測定することができる。
発光強度の極大値(以下、極大値という)とは、発光スペクトルが山形状を示す部分の最大値である。つまり、極大値は、上がって下がる山形状における最大値を示す。また、発光強度の極小値(以下、極小値という)は、発光スペクトルが谷形状を示す部分の最小値を示す。つまり、極小値は、下がって上がる谷形状における最小値を示す。そのため、なだらかに上がり続ける場合(平行も含む)、つまりは下がる部分が無い場合は極大値とは呼ばない。また、なだらかに下がり続ける場合(平行も含む)、つまりは上がる部分が無い場合は極小値とは呼ばない。
白色光における任意の極大値に対する、長波長側で該極大値に最近接する極小値の比を、極大値を1としたとき、0.5以上と大きくすること、つまりは白色光の発光スペクトルの凹凸を小さくすることにより、可視光領域において不足する波長領域を無くし、物体の色の見え方を太陽光(自然光)の場合の見え方と同等にすることができる。また、極大値があっても長波長側で極大値に最近接する極小値がない場合において、極大値に対する極小値の比は限定されない。言い換えれば、発光スペクトルにおいて極大値に対する、極大値に最近接する極小値がある場合、すべての極大値に対する極小値の比が、極大値を1としたとき0.5以上になる。
発光スペクトルの凹凸を小さくする観点から、白色光の350nm以上780nm以下の波長領域において、任意の発光強度の極大値に対する、長波長側で該極大値に最近接する発光強度の極小値の比は、極大値を1としたとき、0.7以上であることがより好ましい。なお、極大値と長波長側に最近接する極小値の比の上限は、1であることが好ましく、また、製造性を考慮すると0.95以下であることが好ましい。
ここで、図4を用いて極大値と極小値の測定例を示す。図4は、後述する実施例1−1の発光スペクトルを示す図である。図4において、最大ピーク強度は、波長635nmに存在する。このとき、任意の極大値は、極大値(1)(409nm)となり、長波長側で極大値(1)に最近接する極小値は、極小値(2)(429nm)となる。最大ピーク強度を1としたとき、極大値(1)に対する極小値(2)の比は、0.54(極小値(2)の発光強度=0.12/極大値(1)の発光強度=0.22)となる。このように、350nm以上490nm以下の波長領域における発光強度の極大値を任意の極大値にしてもよい。
白色光の色温度は、2500K以上7000K以下であることが好ましい。色温度の単位はケルビン(K)である。この色温度が2500K未満または7000Kを超えると、太陽光にない色温度となってしまうおそれがある。さらに、色温度は2700K以上6700K以下であることがより好ましい。なお、色温度は、各色の蛍光体の混合比によって調整可能である。色温度は、発光スペクトルから計算により求められる。
白色光は、490nmを超えて780nm以下の波長領域に最大ピーク強度を有することが好ましい。最大ピーク強度が490nmを超えて780nm以下の波長領域にあるということは、350nm以上490nm以下の波長領域に最大ピーク強度がないことを意味する。最近の研究では、アジア(日本含む)や欧州の人が比較的、青色光を眩しく感じると報告されている。また、長時間青色光を浴びることによる人体への悪影響についても報告されている。例えば、網膜障害やメラトニン分泌抑制等の問題である。また、紫外光を長時間浴びることによる人体への悪影響についても報告されている。そのため、白色光の発光スペクトルにおいて、紫外線領域から青色の可視光領域までの最大ピーク強度をなくすことにより、人体への悪影響を抑制することができる。
紫外線領域から青色の可視光領域までの発光成分は、なるべく少ない方が望まれる。具体的には、黒体輻射のスペクトルに含まれる青色光等の成分と同程度であることが望ましい。人は、太陽光、炎の下で長年生活してきた。人工光が人の生活に取り入れられたのは、たかだか100年余りであり、人にとって慣れ親しんだ光は太陽光である。よって、人の健康にとって最も望ましい光は太陽光であり、太陽光に相当する黒体輻射の連続スペクトルが望まれる。特に、歯科用照明装置のような顔に近い距離で使用される照明装置に関しては、白色光の発光スペクトルが太陽光の発光スペクトルに近似していることが望まれる。
よって、紫外線領域から青色の可視光領域までの発光成分について、望ましい強度を以下のように定義する。上記白色発光装置の白色光のスペクトルと、同一の色温度の黒体輻射のスペクトルと、を視感輝度を同じにして比較した場合、上記黒体輻射のスペクトルの発光強度に対する、白色光の380nm以上490nm以下の波長領域における最大発光強度の比は、1.5以下であることが好ましい。
上記強度の比が1.5以下であると、ほぼ太陽光に近いスペクトル分布と看做すことができ、この光源を人が不快に感じることはない。なお、上記強度比は、小さいほど望ましい。しかしながら、強度比が極端に小さ過ぎると、光源中の青色成分が少なくなり、物の見え方が不自然になる。よって、光源には青色光も一定強度以上含まれていることが望ましく、上記強度の比のより望ましい範囲は、0.8以上1.2以下である。
実施形態の白色発光装置によれば、例えば図21に示す従来の白色発光装置の発光スペクトルと比較して白色発光装置の発光スペクトルの凹凸を小さくしているので、太陽光を照射したときと同様に物体の色合いを感じ取ることができる。図21は、紫外発光ダイオードと、青色蛍光体、緑色蛍光体および赤色蛍光体を組み合わせた従来の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。また、例えば図20に示す従来の白色発光装置の発光スペクトルと比較して青色の可視光領域の発光スペクトルの割合を制御することにより、歯科用樹脂における必要以上の早期の硬化を防止することができる。図20は、青色発光ダイオードとYAG蛍光体を組み合わせた従来の白色発光装置の発光スペクトルを示す図である。
(第2の実施形態)
本実施形態の白色発光装置は、発光ダイオードと、発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備する。
発光ダイオードは、380nm以上480nm以下、特に380nm以上420nm以下の波長領域に発光強度のピーク(発光ピーク波長)を有することが好ましい。ピークが380nm未満の波長領域に存在する場合、紫外線光が強くなり過ぎ、蛍光体層から紫外線光が漏れたときに人体へ悪影響がでるおそれがある。また、ピークが480nmの波長領域に存在する場合、後述する蛍光体の発光源として適切でなく、演色性を低下させるおそれがある。また、380nm以上420nm以下の波長領域に発光ピーク波長を有する発光ダイオードは、蛍光体の励起源として好適である。また、380nm以上420nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する発光ダイオードを用いることにより白色光の発光スペクトルを調整しやすい。
白色光の555nmの波長での放射束に対して430nm以上480nm以下の波長領域でのピーク放射束(放射束の最大値)の比は、0.5以上1.3以下であることが好ましい。また、白色光の555nmの波長での放射束に対して380nm以上420nm以下の波長領域でのピーク放射束の比が0以上1.3以下であることが好ましい。
白色光の380nm以上780nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Aとし、380nm以上480nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Bとしたとき、積分値Aに対する積分値Bの比(積分値B/積分値A)は、0.3以下であることが好ましい。積分値B/積分値Aが0.3を超えると、発光スペクトル中に380nm以上480nm以下の波長成分が多すぎて、人体への影響や、歯科用樹脂の早期硬化を招くおそれがある。380nm以上480nm以下の波長の光とは、紫外線領域から青色の可視光領域までの光であり、上記波長の光は、色温度および演色性の調整に必要である。しかしながら、例えば図20の発光スペクトルを有する白色発光装置のように、380nm以上480nm以下の波長領域の光成分が多すぎると、いわゆるブルーハザードの問題が生じる。また、歯科用樹脂は、380nm以上480nm以下の波長領域の光で硬化しやすく、歯科治療中に必要以上に早く硬化してしまうおそれがある。
380nm以上429nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Cとし、430nm以上480nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Dとしたとき、積分値Aに対する積分値Cの比(積分値C/積分値A)は0.01以上0.12以下であることが好ましく、積分値Aに対する積分値Dの比(積分値D/積分値A)は0.08以上0.25以下であることが好ましい。380nm以上429nm以下の波長領域(紫外線領域から紫色の可視光領域までの波長領域)の積分値(面積比)および430nm以上480nm以下の波長領域(青色の可視光領域)の積分値(面積比)を上記範囲にすることにより、演色性を低下させずに色温度を調整することができる。なお、例えばJIS−C−8152に準じて積分球を使った全光束測定により、白色光の発光スペクトルを測定することができる。
発光スペクトルのピーク高さを調整することが好ましい。例えば、555nmの波長での放射束のピーク(ピーク555nm)を1としたとき、555nmの波長での放射束のピークに対して430nm以上480nm以下の波長領域でのピーク放射束(ピーク430−480nm)の比(ピーク430−480nm/ピーク555nm)は、0.5以上1.3以下であることが好ましい。555nmを基準とするのは、CIE(国際照明委員会)において、人間の目の光に対する感度を視感度と呼び、標準分光比視感度V(λ)として定めており、このCIEが定めた分光視感効率V(λ)において、約555nmの波長の光が最も高い感度で認識することができるとされているためである。430nm以上480nm以下の波長領域でのピーク放射束(ピーク430−480nm)は、430nm以上480nm以下の波長領域の中で最も高い発光強度のピークを示す。ピーク430−480nm/ピーク555nmが0.5未満の場合、発光スペクトル中の青色成分が不足するために演色性が低下するおそれがあり、また目的とする色温度が得られないおそれがある。また、ピーク430−480nm/ピーク555nmが1.3を超える場合、発光スペクトル中の青色成分が多すぎて、必要以上に眩しく感じたり、概日リズムへの影響が懸念される。また、歯科用樹脂が早期に硬化してしまうおそれがある。そのため、ピーク430−480nm/ピーク555nmは、0.5以上1.3以下であることが好ましく、さらに0.5以上1.2以下であることが好ましい。
555nmの波長での放射束のピーク(ピーク555nm)を1としたとき、555nmの波長での放射束のピークに対して380nm以上420nm以下の波長領域でのピーク放射束(ピーク380−420nm)の比(ピーク380−420nm/ピーク555nm)は、0以上1.3以下であることが好ましい。380nm以上420nm以下の波長領域でのピーク放射束は、380nm以上420nm以下の波長領域の中で最も高い発光強度のピークを示す。ピーク380−420nm/ピーク555nmが0の場合、380nm以上420nm以下の波長領域の発光成分が無いことを示す。また、ピーク380−420nm/ピーク555nmが1.3を超える場合、紫外線領域または紫色の可視光領域の光成分が多すぎて必要以上に眩しく感じたり、概日リズムへの影響が懸念される。また、歯科用樹脂が早期に硬化してしまうおそれがある。そのため、ピーク380−420nm/ピーク555nmを0以上1.3以下にすることが好ましく、さらには0以上1.0以下にすることが好ましい。歯科用樹脂は、紫外線領域から青色の可視光領域までの光の量および強さに応じて硬化する。本実施形態の白色発光装置のように、積分値(光の量)と強さ(ピークの高さ)を制御することにより、必要以上に眩しく感じること(ぎらつき感)や概日リズムへの影響を低減することができる。さらには、歯科用照明装置などの照明装置の場合において、歯科用樹脂における必要以上の早期の硬化を防止することができる。
歯科用照明装置などの照明装置は、JIS T5753:2012で色度範囲が規定されている。色度範囲を相関色温度に変換した場合、白色発光装置の相関色温度は、3600K以上6400K未満であることが好ましい。相関色温度とは、光源色と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表される温度である。相関色温度の単位はケルビン(K)である。相関色温度は、光源の光色(青っぽい、赤っぽいなど)を表す尺度であり、光源と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表示した値である。相関色温度が3600K未満では、光源の光色が赤っぽくなり過ぎて演色性が低下する。一方、6400K以上では光源の光色が青くなり過ぎ、青色の可視光領域の突出した発光スペクトルとなりやすい。そのため、相関色温度は3600K以上6400K未満、さらには4250K以上5500K以下が好ましい。相関色温度は、発光スペクトルから計算により求められる。
平均演色評価数RaもJIS5753:2012に規定があり、白色発光装置の平均演色評価数Raは、85よりも大きいことが好ましい。演色性とは、太陽光(自然光や黒体放射ともいう)と比較して物を見たときに、その照明での色の見え方の特性である。太陽光により照らされたときと似た色の見え方であったときに高い演色性の白色発光装置となる。平均演色評価数Raは、客観的判断基準として設定された値であり、評価したい光源と規定の基準光源との比較で、評価したい光源が演色評価用の色票を照明したときに生じる色ずれを、指数として表した値である。平均演色評価数Raの最大値は、100であり、演色性の色ずれが大きくなるに従って数値が小さくなり、太陽光の下でみえる自然色とかけ離れた見え方になる。よって、平均演色評価数Raは、85よりも大きく、さらには90よりも大きいことが好ましい。なお、例えばJIS−Z−8726に準じた測定により平均演色評価数Raを測定することができる。
特殊演色評価数R9は、80以上であることが好ましい。近年は発光色への要求が厳しくなり、特殊演色評価数R9ないしR15がJIS規格において設定されている。本実施形態の白色発光装置では、特殊演色評価数R9が80以上であることが好ましい。特殊演色評価数R9が80以上の場合、基準光源と比べて赤色の色合いが自然光に近い。特殊演色評価数R9を選定した理由は、演色性を向上させるために赤色を調整することが重要であるからである。また、特殊演色評価数R9の測定は、JIS−Z−8726に準じた方法により行なわれる。
(第3の実施形態)
本実施形態では、上記第1の実施形態および第2の実施形態における白色発光装置の蛍光体の例について説明する。
第1の実施形態および第2の実施形態における白色発光装置の蛍光体層は、複数の蛍光体を含む。蛍光体は、発光ダイオードの発光を励起源として発光する。例えば、青色LED、緑色LED、赤色LEDの3種の発光ダイオードを組合せて白色光を再現する方法もあるが、発光ダイオードの光はシャープな発光スペクトルを示すため、人には眩しく感じられる。特に、歯科治療のように顔の近くで使う場合には適さない。また、第1の実施形態および第2の実施形態における白色発光装置のような発光スペクトルを有することは困難である。蛍光体の発光スペクトルは、発光ダイオードの発光スペクトルと比較してブロードな発光スペクトルである。そのため、蛍光体の光を利用して白色発光装置の白色光を形成すると、第1の実施形態および第2の実施形態のような発光スペクトルを有する白色光を形成し易い。
複数の蛍光体のそれぞれは、420nm以上700nm以下の波長領域に互いに異なる発光強度のピークを有することが好ましい。例えば、複数の蛍光体は、互いに異なる発光強度のピークを有する蛍光体を3種以上、さらには4種以上有することが好ましい。特に、発光ダイオードの発光強度のピークが350nm以上420nm以下の範囲にある場合、4種以上の蛍光体を使うことが好ましい。また、発光ダイオードの発光強度のピークが421nm以上490nm以下の範囲にある場合、3種以上の蛍光体を使うことが好ましい。上記蛍光体としては、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の中から3種、さらには4種を選択することが好ましい。
上記複数の蛍光体の少なくとも一つにおける発光ピーク波長(発光強度のピーク)の半値幅は、50nm以上であることが好ましい。発光ピーク波長の半値幅が50nm以上とブロードな発光スペクトルを持つ蛍光体を用いることにより、例えば任意の発光強度の極大値に対する、長波長側で該極大値に最近接する発光強度の極小値の比を、極大値を1としたときに0.5以上に調整しやすくなる。また、人の目に優しい白色光を得ることができる。また、異なる発光強度のピークを有する3種以上の蛍光体を用いる場合、少なくとも1種の蛍光体の発光ピーク波長の半値幅が50nm以上であればよいが、2種、さらには3種以上の蛍光体の発光ピーク波長の半値幅が50nm以上であることがより好ましい。また、半値幅の上限は100nm以下であることが好ましい。
発光ダイオードの発光スペクトルおよび複数の蛍光体のそれぞれの発光スペクトルのうち、複数の発光スペクトルが重なる領域を有することが好ましい。第1の実施形態の白色発光装置および第2の実施形態の白色発光装置では、可視光領域、特に420nm以上700nm以下の波長領域において単独で突出した領域を作らないことが有効である。そのためには、発光ダイオードの発光スペクトルおよび複数の蛍光体のそれぞれの発光スペクトルのうち、2以上の発光スペクトル(例えば発光強度のピークが隣接する発光スペクトル)が重なる領域を少なくとも1か所有することが好ましい。また、発光スペクトルが重なる領域は2か所、さらには3か所と多い方が好ましい。
蛍光体として適用可能な蛍光体材料は、発光ダイオードの光によって可視光を発することができるのであれば、特に限定されない。例えば、以下に示す材料が挙げられる。
青色蛍光体(B)の例としては、ユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩蛍光体(発光ピーク波長が440nm以上455nm以下)やユーロピウム付活バリウムマグネシウムアルミン酸塩蛍光体(発光ピーク波長が450nm以上460nm以下)などが挙げられる。また、青緑色蛍光体として、ユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩蛍光体(発光ピーク波長が480nm以上500nm以下)や、ユーロピウム、マンガン付活バリウムマグネシウムアルミン酸塩蛍光体(発光ピーク波長が510nm以上520nm以下)などが挙げられる。
緑色蛍光体(G)の例としては、ユーロピウム付活オルソ珪酸塩蛍光体(発光ピーク波長が520nm以上550nm以下)、ユーロピウム付活βサイアロン蛍光体(発光ピーク波長が535m以上545nm以下)、ユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン蛍光体(発光ピーク波長が510nm以上530nm以下)などが挙げられる。
黄色蛍光体(Y)の例としては、ユーロピウム付活オルソ珪酸塩蛍光体(発光ピーク波長が550nm以上580nm以下)やセリウム付活希土類アルミニウムガーネット蛍光体(発光ピーク波長が550nm以上580nm以下)などが挙げられる。
赤色蛍光体(R)の例としては、ユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン蛍光体(発光ピーク波長が600nm以上650nm以下)、ユーロピウム付活カルシウムストロンチウム窒化物蛍光体(発光ピーク波長が610nm以上650nm以下)、ユーロピウム付活酸硫化ランタン蛍光体(発光ピーク波長が620nm以上630nm以下)、マンガン付活マグネシウムフロロジャーマネート(発光ピーク波長が640nm以上660nm以下)やユーロピウム付活アルカリ土類窒化物蛍光体(発光ピーク波長が600nm以上650nm以下)などが挙げられる。
蛍光体の平均粒径は、1μm以上100μm以下、さらには5μm以上50μm以下であることが好ましい。例えば、発光強度のピークが異なる3種以上の蛍光体を用いる場合、各蛍光体を均一に混合する必要があるため、平均粒径は、1μm以上100μm以下、さらには5μm以上50μm以下であることが好ましい。
(第4の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態および第2の実施形態における白色発光装置の構造例、および白色発光装置を具備する照明装置について説明する。
本実施形態の白色発光装置として、パッケージ型白色発光装置を図1に示す。図1は、本実施形態の白色発光装置の例を示す図である。
図1に示す白色発光装置1は、LEDチップ3と、LEDチップ3が設置された基体部2と、LEDチップ3を覆うように設けられた透明樹脂層4と、さらに透明樹脂層4上に設けられた蛍光体層5と、を具備する。透明樹脂層4の厚さは、0.01mm以上0.1mm以下の範囲であることが好ましい。LEDチップ3の発光強度のピークが380nm以上420nm以下の波長領域にある場合、透明樹脂層4を設けることにより、紫外線漏れを低減でき、人体への影響を低減および周辺部材の劣化を防止することができる。透明樹脂層4は、特に限定されないが、シリコーン樹脂であることが好ましい。なお、透明樹脂層4は、必要に応じて設ければよく、例えばLEDチップ3の発光強度のピークが421nm以上480nm以下の波長領域にある場合は、透明樹脂層4を設けなくてもよい。
蛍光体層5は、蛍光体と樹脂とを混合した層であることが好ましい。また、蛍光体ペーストを塗布して硬化することにより蛍光体層5を作製する方法や、蛍光体ペーストをキャップ状に成形した成形体を被せることにより蛍光体層5を作製する方法などを用いてもよい。蛍光体層5の厚さは0.01mm以上3mm以下の範囲であることが好ましい。蛍光体層5の厚さが0.01mm未満の場合、蛍光体層5が薄すぎてLEDチップ3の光が漏れて、目的とするピーク比を有する発光スペクトルが得難い。一方、蛍光体層5の厚さが3mmを超える場合、LEDチップ3の光が蛍光体層中に均一に届かないため発光色のばらつきが生じるおそれがある。
図1では、一つのLEDチップに一つの蛍光体層を設けた構造(ワンチップ型白色発光装置)となっているが、複数のLEDチップを蛍光体層で覆う構造(マルチチップ型白色発光装置)であってもよい。
さらに、照明装置の一例を図2に示す。図2に示す照明装置6は、基材7と、基材7に複数個配置された白色発光装置1と、を具備する。白色発光装置1としては、例えば上記実施形態の白色発光装置を用いることができる。なお、必要に応じてレンズやカバーなどの別の部品を取り付けてもよい。照明装置6は、例えば歯科用照明装置として用いられる。
なお、図2では、平板の基材上に複数個の白色発光装置を配置した例を示したが、これに限定されず、照明装置の形状は、電球型などの形状であってもよい。また、特許第4862098号公報(特許文献4)に記載されたようなグローブの内面に蛍光体層を設けた構造であってもよい。また、グローブの内面に蛍光体層を設けた白色発光装置を複数個配置して照明装置としてもよい。
さらに、照明装置の他の例を図3に示す。図3に示す照明装置6は、白色発光装置1と、白色発光装置8と、を具備する。白色発光装置1としては、例えば上記実施形態の白色発光装置を用いることができる。また、白色発光装置8としては、白色発光装置1とは異なる発光スペクトルを示す白色発光装置を用いることができる。図3では、白色発光装置1と白色発光装置8を複数配置して照明装置を構成している。なお、照明装置の構造によっては、白色発光装置1のみを照明装置に設けてもよい。また、リフレクタやレンズなどを配置して光の指向性を調整してもよい。
例えば、白色発光装置8の発光スペクトルを図20に示したような青色の可視光領域が突出する発光スペクトルにすることにより、青色の可視光領域の突出を抑えた発光スペクトルの白色光を発光する白色発光装置1と青色の可視光領域の突出した発光スペクトルの白色光を発光する白色発光装置8を組み合わせ、発光させる白色発光装置を目的に応じて切り替え、例えば歯科治療において治療処理と歯科用樹脂の硬化処理を一つの照明装置で対応することができる。
以上のような白色発光装置および照明装置の白色光は、太陽光の発光スペクトルに近似している凹凸の小さい発光スペクトルを有しているため必要以上に眩しく感じることがない。また、太陽光を照射した場合と色合いが同等に見えるため、口内の色が自然に見える。そのため、歯科用照明装置のように顔に近い位置で使用する照明装置にも有効である。また、紫外線領域から青色の可視光領域までの発光スペクトルにおいて発光強度のピークがないように制御することにより、歯科用樹脂における必要以上の早期の硬化を防止することができる。
本実施形態の照明装置は、アンビエント照明やタスク照明など様々な照明装置に適用することができる。一般的に室内全体などの広い範囲を明るくするための照明をアンビエント照明、パソコンなどの事務作業を行う際に手元などの比較的狭い範囲を明るくするための照明をタスク照明という。タスク照明の場合、JIS−Z−9110の照度基準で500ルクス以上750ルクス以下程度の光が推奨されている。また、タスク照明の場合、長時間作業も想定されることから、青色の可視光領域の発光スペクトルが突出した白色光であると、目に負担がかかる。一方、青色の可視光領域において発光スペクトルの突出を抑制することにより、目にかかる負担を抑制することができる。
本実施形態の照明装置を、印刷物、食材、人物のいずれか1種以上を照らすための照明に用いることも効果的である。印刷物とは、新聞や雑誌などである。食材は、食べ物、飲み物すべてを含む。また、人物は主に人の顔である。上記実施形態の白色発光装置であれば、優れた演色性を有していることから、太陽光で照らしたときと同等の色合いで対象物を見ることができる。そのため、長時間印刷物を読む際の目の負担を抑制し、食材や人物の色合いを太陽光で照らしたときと同等の色合いで感じ取ることができる。また、本実施形態の照明装置は、照射対象物(物体)との距離が1.5m以下である照明装置にも効果的である。前述のタスク照明のように、事務作業の手元を照らす電気スタンドで洋服や食材などを照らした場合に太陽光で照らした場合と同等の色合いで物体の色合いを感じ取ることができる。また、青色の可視光領域が突出した発光スペクトルを有しないように制御しているため、照明装置と照射対象物との距離を1.5m以下、さらには1m以下と近づけたとしても目の負担を抑制することができる。
人の目と近い位置で使用する照明装置の例として、歯科用照明装置が挙げられる。歯科用照明装置は口内を照らすことができる。本実施形態の照明装置を使用することにより、口内を鮮明に見ることができる。また、青色の可視光領域の発光スペクトルの突出を低減しているため、歯科用樹脂を用いた治療において、歯科用樹脂における必要以上の早期の硬化を防止することができる。また、人の顔と近い位置で歯科用照明装置を使用したとしても、必要以上に眩しさを感じることがないため、不快感を低減することができる。
<実施例1>
本実施例では、上記第1の実施形態に基づく白色発光装置の具体例について説明する。
(実施例1−1)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約18μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=5:10:15:20:50の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層(厚さ0.01mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、2800Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.4mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、JIS−C−8152に準じて積分球を使った全光束測定により、実施例1−1の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図4に示す。図4から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−2)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活βサイアロン緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約13μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として、青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=10:5:15:20:50の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層(厚さ0.05mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、2800Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.2mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に積分球を使った全光束測定により、実施例1−2の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図5に示す。図5から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−3)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波により発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が635nmであるユーロピウム付活アルカリ土類窒化物赤色蛍光体を用意した。なお、蛍光体の平均粒径は、約28μmであった。
さらに各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=5:5:15:25:50の比率で混合し、さらに透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層(厚さ0.1mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、2700Kであった。また、蛍光体層の厚さを1.0mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例1−3に係る白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図6に示す。図6から分かる通り、極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−4)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約18μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=10:15:25:20:50の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層(厚さ0.05mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、3800Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.5mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例1−4に係る白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図7に示す。図7から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−5)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活βサイアロン緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約10μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=10:15:20:25:30の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混ぜて、透明樹脂層(厚さ0.03mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、4200Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.3mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例1−5の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図8に示す。図8から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−6)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活βサイアロン緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約10μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=30:15:20:15:20の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混ぜて、透明樹脂層(厚さ0.03mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、5000Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.3mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例1−6の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図9に示す。図9から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−7)
発光ピーク波長が400nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、400nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活βサイアロン緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約13μmであった。各蛍光体の混合比は重量比(質量比)として、青色蛍光体:青緑色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=30:15:15:20:20の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層(厚さ0.02mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、5000Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.2mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、青緑色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に積分球を使った全光束測定により、実施例1−7の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図10に示す。図10から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−8)
発光ピーク波長が445nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、445nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約17μmであった。次に、各蛍光体を、重量比(質量比)として、緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=20:30:50の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、LEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、2700Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.5mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に積分球を使用した全光束測定により、実施例1−8の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図11に示す。図11から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
(実施例1−9)
発光ピーク波長が445nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、445nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が530nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約15μmであった。次に、各蛍光体を、重量比(質量比)として、緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=30:40:30の比率で混合し、 透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、LEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、2700Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.4mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例1−1と同様に積分球を使用した全光束測定により、実施例1−9の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図12に示す。図12から分かる通り、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比は、極大値を1としたとき、いずれも0.5以上であった。
なお、実施例1−1ないし実施例1−9において、350nm以上780nm以下の波長領域の任意の極大値に対する、極大値を1としたときの長波長側で極大値に最近接する極小値の比を、表1に示す。
Figure 2014054290
(比較例1−1、比較例1−2)
比較例1−1として図20の発光スペクトルを有するワンチップ型の白色発光装置、比較例1−2として図21の発光スペクトルを有するワンチップ型の白色発光装置を用意した。
(実施例1−1Aないし実施例1−9A、比較例1−1A、比較例1−2A)
実施例1−1ないし実施例1−9、比較例1−1、比較例1−2の白色発光装置を用いて、特殊演色評価数R9(赤色)を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2014054290
太陽光と同じ色合いに見えるためには、平均演色評価数Raのみならず、特殊演色評価数Ri(iは9以上15以下)による評価が必要である。特殊演色評価に使用する色票は平均演色評価に使用する色票に比べ彩度が高くなっており、色再現性等の色の評価を行うには高彩度域も必要であることから、平均演色評価数のみではなく、Riとの併用を行う必要がある。本実施例では特殊演色評価数のうち、代表的に使用されるR9を用いた。
表1および表2から分かる通り、本実施例に係る白色発光装置は優れた特性を示すことが分かった。また、実施例1−1Aないし実施例1−9Aにおける白色発光装置において、特殊演色評価数R9は、大きい値であった。このようなR9を示す白色発光装置であれば、太陽光を照射した場合と同等の色合いで見える。そのため、例えば口内を照らす歯科用照明装置に好適である。
(実施例1−10ないし実施例1−20、比較例1−3、比較例1−4)
次に、作製した白色発光装置について、得られた光源の人体への影響を確認するテストを行った。試験光源に関し、同一照度下で人が曝露された場合に、不快に感じるかどうかについて、官能テストを実施した。
比較例1−3、比較例1−4には、比較例1−1、比較例1−2と同じ白色発光装置を用いた。また実施例1−10ないし実施例1−20の白色発光装置は以下のように作製した。
発光ピーク波長が380nmのLEDチップを用意した。次に、380nmの波長の電磁波を照射することにより発光する蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が490nmであるユーロピウム付活ストロンチウムアルミン酸塩青緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活βサイアロン緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約13μmであった。各蛍光体を所定の比率で混合し、シリコーン樹脂と混合して、透明樹脂層(厚さ0.02mm)を設けたLEDチップ上に塗布することにより、白色発光装置を作製した。なお、各蛍光体の混合比率を種々の比率に変更することにより、発光色の相関色温度が2500K以上7000K以下の範囲にある様々な白色発光装置を得た。各実施例および各比較例の色温度を表3に示す。また、実施例1−19は青色蛍光体成分を極少量含有する混合蛍光体であり、実施例1−20は、青色の可視光領域に発光ピーク波長を有する蛍光体成分を抜きにした混合蛍光体である。また、蛍光体層の厚さを0.2mmとした。
実施例1−1と同様に積分球を使った全光束測定により、比較例1−3、比較例1−4、実施例1−10ないし実施例1−20の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。350nm以上780nm以下の波長領域の任意の極大値に対する、極大値を1としたときの長波長側で極大値に最近接する極小値の比を、表3に示す。実施例1−10ないし実施例1−20の発光スペクトルでは、いずれにおいても、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比(極小値/極大値)が極大値を1としたとき0.5以上であることを確認した。また、実施例1−10ないし実施例1−20に係る白色発光装置の発光スペクトルは、いずれも最大ピーク強度が490nmよりも大きく780nm以下の範囲にあった。
次に、可視光(380nm以上780nm以下)中の紫ないし青色の可視光領域(380nm以上490nm以下)の発光スペクトルの最大ピーク強度を測定し、380nm以上490nm以下の範囲の最大ピーク強度を示す波長と同一波長の黒体輻射スペクトルの強度とを比較した。このとき、比較に用いた発光スペクトルは以下の通りである。実施形態の光源の発光スペクトルをA(λ)、実施形態の光源と同一色温度の黒体輻射のスペクトルをB(λ)、分光視感効率のスペクトルをV(λ)としたとき、∫A(λ)・V(λ)dλ=∫B(λ)・V(λ)dλを満足するA(λ)、B(λ)のスペクトルを求め、A(λ)、B(λ)両スペクトルの形状を比較した。発光スペクトルA(λ)の380nm以上490nm以下の波長領域において、スペクトル強度が最大となる波長をλ*、最大強度をA*、そして波長λ*におけるB(λ)のスペクトル強度をB*として、強度比(A*/B*)を求めた。
次に、実施例1−10ないし実施例1−20、比較例1−3、比較例1−4の白色発光装置を、被験者100名の前で点灯させ、光源の見え方に関する官能試験を実施した。被験者には10歳以上25歳以下、26歳以上40歳以下、41歳以上55歳以下、56歳以上70歳以下、71歳以上の男女各10名を無作為に抽出し、試験をお願いした。被験者には、各光源の見え方を、「快適である」、「不快でない」、「不快な感じがする」、「不快である」、「非常に不快である」、の5段階のランク付により、評価をお願いした。
実施例1−10ないし実施例1−20、比較例1−3、比較例1−4の白色発光装置の発光特性、官能試験の結果を表3に示す。なお、官能試験の結果の記載としては、100人の評価において、最も人数の多かったランクの特性を記載した。( )内は該当ランクの回答者の人数である。なお、表3では、任意の極大値に対する、長波長側で極大値に隣接する極小値の比(極小値/極大値)のうち、最も小さな比を示した。
Figure 2014054290
表3の結果より、上記白色発光装置の官能試験では、強度比(A*/B*)が1.5を超えると、明らかに不快であるとの判定となり、1.5以下で数値が減少するにつれて徐々に不快感が低減し、強度比が1.0前後になると、快適であると評価する被験者の数が増加した。このように、青色成分の強度が黒体輻射のスペクトルに近い場合または低い場合に人に不快感を与えない良好な光源になることがわかる。また、実施例1−10ないし実施例1−20の白色光の相対色温度は、2500K以上7000K以下であった。
(実施例1−1Bないし実施例1−20B、比較例1−1B)
実施例1−1ないし実施例1−20および比較例1−1の白色発光装置をそれぞれ20個ずつ用いて照明装置を作製した(実施例1−1Bないし実施例1−20B、比較例1−1B)。それぞれの照明装置を用いて、歯科充填用コンポジットレジンに5000lxの照度で照射して樹脂が硬化するまでの時間を測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 2014054290
表4から実施例1−1Bないし実施例1−20Bに係る照明装置は、比較例1−1Bに係る照明装置よりも歯科用樹脂の硬化時間が長いことがわかる。以上のように、本実施例に係る照明装置は、歯科用樹脂の硬化時間を長くすることができるため、歯科治療において、歯科用樹脂における必要以上の早期の硬化を防止することができる。
<実施例2>
本実施例では、上記第2の実施形態に基づく白色発光装置の具体例について説明する。
(実施例2−1)
発光ピーク波長が405nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、LEDチップを透明樹脂であるシリコーン樹脂で覆い透明樹脂層を形成した。
次に、蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が520nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約10μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=93.0:1.5:2.0:3.5の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混ぜて、透明樹脂層上に蛍光体層を設けることにより、白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、4780Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.3mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、積分球を使った全光束測定により、実施例2−1の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図13に示す。さらに、歯科充填用コンポジットレジンに5000lxの照度で白色発光装置の光を照射して樹脂が硬化するまでの時間を測定した。
(実施例2−2)
発光ピーク波長が405nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、LEDチップを透明樹脂であるシリコーン樹脂で覆い透明樹脂層を形成した。
次に、蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が520nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩緑色蛍光体、発光ピーク波長が540nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約18μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=93.4:1.7:1.5:3.4の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層上に蛍光体層を設けることにより白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、5360Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.5mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例2−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例2−2の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図14に示す。また、実施例2−1と同様に歯科充填用コンポジットレジンの樹脂硬化時間を測定した。
(実施例2−3)
発光ピーク波長が405nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、LEDチップを透明樹脂であるシリコーン樹脂で覆い透明樹脂層を形成した。
次に、蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が530mであるユーロピウム付活βサイアロン緑色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、および発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約18μmであった。さらに、各蛍光体を重量比(質量比)として青色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=92.9:2.5:1.5:3.1の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層上に蛍光体層を設けることにより白色発光装置を作製した。上記白色発光装置の発光色の相関色温度は、5290Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.5mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例2−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例2−3の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図15に示す。
また、実施例2−1と同様に歯科充填用コンポジットレジンの樹脂硬化時間を測定した。
(実施例2−4)
発光ピーク波長が405nmのLEDチップを用意し、アルミナ基板上に配置した。次に、LEDチップを透明樹脂であるシリコーン樹脂で覆い透明樹脂層を形成した。
次に、蛍光体として、発光ピーク波長が445nmであるユーロピウム付活アルカリ土類ハロ燐酸塩青色蛍光体、発光ピーク波長が530mであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、発光ピーク波長が555nmであるユーロピウム付活オルソ珪酸塩黄色蛍光体、発光ピーク波長が630nmであるユーロピウム付活ストロンチウムサイアロン赤色蛍光体を用意した。なお、各蛍光体の平均粒径は、約18μmであった。さらに、各蛍光体を、重量比(質量比)として青色蛍光体:緑色蛍光体:黄色蛍光体:赤色蛍光体=91.7:2.2:2.1:4.0の比率で混合し、透明樹脂(シリコーン樹脂)と混合して、透明樹脂層上に蛍光体層を設けることにより白色発光装置を作製した。実施例2−4にかかる白色発光装置の発光色の相関色温度は、4040Kであった。また、蛍光体層の厚さを0.5mmとした。
なお、上記蛍光体のうち、青緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光ピーク波長の半値幅は、50nm以上であった。また、青色蛍光体、緑色蛍光体、黄色蛍光体、赤色蛍光体の発光スペクトルにおいて、それぞれ発光ピーク波長が隣り合う蛍光体の発光スペクトルが重なる領域を有していた。
次に、実施例2−1と同様に、積分球を使った全光束測定により、実施例2−4の白色発光装置の発光スペクトルを測定した。測定結果を図16に示す。また、実施例2−1と同様に歯科充填用コンポジットレジンの樹脂硬化時間を測定した。
(比較例2−1ないし比較例2−3)
発光ダイオードの発光ピーク波長を変えたり、蛍光体の種類、蛍光体の含有量を変えることにより、比較例2−1ないし比較例2−3の白色発光装置を用意した。なお、比較例2−1の白色発光装置の発光スペクトルを図17に示し、比較例2−2の白色発光装置の発光スペクトルを図18に示し、比較例2−3の白色発光装置の発光スペクトルを図19に示す。
実施例2−1ないし実施例2−4および比較例2−1ないし2−3にかかる白色発光装置において、積分値A(380nm以上780nm以下の放射束積分値)、積分値B(380nm以上480nm以下の放射束積分値)、積分値C(380nm以上429nm以下の放射束積分値)、積分値D(430nm以上480nm以下の放射束積分値)を測定し、積分値B/積分値A、積分値C/積分値A、積分値D/積分値Aを求めた。同様に、発光スペクトルの555nmのピーク放射束に対して430nm以上480nm以下の範囲でのピーク放射束比および380nm以上420nm以下の範囲でのピーク放射束比をそれぞれ求めた。その結果を表5に示す。
Figure 2014054290
実施例2−1ないし実施例2−4および比較例2−1ないし比較例2−3にかかる白色発光装置において、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9についても調べた。さらに、照射光のギラツキ感の有無、手のひらの血管色(血管の見え方)およびJIS色見本の白との日中太陽光との対比(白の見え方)を表6に示した。なお、ギラツキ感が「ある」と必要以上に眩しく感じることになる。また、歯科充填用コンポジットレジンの樹脂硬化時間も示した。
Figure 2014054290
表6から分かる通り、本実施例にかかる白色発光装置において、歯科充填用コンポジットレジンの早期の硬化が抑制されていることがわかる。また、平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9が所定の範囲であるため、ギラツキ感がなく必要以上に眩しく感じることがない。また、血管の見え方や白の見え方が自然に見えるので口内のみならず、タスク照明、印刷物、食材、人物のいずれかを照らすための照明、被照射物に1.5m以下と近い所で使う照明においても優れた演色性を示すことが分かる。
1…白色発光装置、2…基体部、3…発光ダイオード、4…透明樹脂層、5…蛍光体層、6…照明装置、7…基材、8…白色発光装置。

Claims (15)

  1. 350nm以上490nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光を発する発光ダイオードと、
    前記発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備し、
    前記蛍光体層は、420nm以上700nm以下の波長領域に互いに異なる発光強度のピークを有する複数の蛍光体を含み、
    前記白色光の相対色温度は、2500K以上7000K以下であり、
    前記白色光の350nm以上780nm以下の波長領域において、任意の発光強度の極大値に対する、長波長側で前記極大値に最近接する発光強度の極小値の比は、前記極大値を1としたとき0.5以上である白色発光装置。
  2. 前記白色光の発光スペクトルと、前記白色光と同一色温度である黒体輻射の発光スペクトルと、を視感輝度を同じにして比較した場合、前記黒体輻射の発光強度に対する、前記白色光の380nm以上490nm以下の波長領域における最大発光強度の比は、1.5以下である請求項1に記載の白色発光装置。
  3. 前記白色光は、490nmよりも大きく780nm以下の波長領域に最大ピーク強度を有する請求項1に記載の白色発光装置。
  4. 前記発光ダイオードの発光スペクトルおよび前記複数の蛍光体のそれぞれの発光スペクトルのうち、2以上の発光スペクトルが重なる領域を有する請求項1に記載の白色発光装置。
  5. 前記複数の蛍光体の少なくとも一つにおける発光強度のピークの半値幅は、50nm以上100nm以下である請求項1に記載の白色発光装置。
  6. 350nm以上490nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光を発する発光ダイオードと、
    前記発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備し、
    前記蛍光体層は、420nm以上700nm以下の波長領域に互いに異なる発光強度のピークを有する複数の蛍光体を含み、
    前記白色光の相関色温度は、3600K以上6400K未満であり、
    前記白色光の平均演色評価数Raは、85よりも大きく、
    前記白色光の555nmの波長での放射束に対して430nm以上480nm以下の波長領域でのピーク放射束の比は、0.5以上1.3以下であり、
    前記白色光の555nmの波長での放射束に対して380nm以上420nm以下の波長領域でのピーク放射束の比は、0以上1.3以下である白色発光装置。
  7. 特殊演色評価数R9が80以上である請求項6に記載の白色発光装置。
  8. 前記複数の蛍光体の少なくとも一つにおける発光強度のピークの半値幅は、50nm以上100nm以下である請求項6に記載の白色発光装置。
  9. 350nm以上490nm以下の波長領域に発光強度のピークを有する光を発する発光ダイオードと、
    前記発光ダイオードの光による励起により白色光を発する蛍光体層と、を具備し、
    前記蛍光体層は、420nm以上700nm以下の波長領域に互いに異なる発光強度のピークを有する複数の蛍光体を含み、
    前記白色光の相関色温度は、3600K以上6400K未満であり、
    前記白色光の平均演色評価数Raは、85よりも大きく、
    前記白色光の380nm以上780nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Aとし、380nm以上480nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Bとしたとき、積分値Aに対する積分値Bの比が0.3以下である白色発光装置。
  10. 前記白色光の380nm以上429nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Cとし、430nm以上480nm以下の波長領域における放射束積分値を積分値Dとしたとき、積分値Aに対する積分値Cの比が0.01以上0.12以下であり、積分値Aに対する積分値Dの比が0.08以上0.25以下である請求項9に記載の白色発光装置。
  11. 前記白色光の555nmの波長での放射束に対して430nm以上480nm以下の波長領域でのピーク放射束の比は、0.5以上1.3以下であり、
    前記白色光の555nmの波長での放射束に対して380nm以上420nm以下の波長領域でのピーク放射束の比は、0以上1.3以下である請求項9に記載の白色発光装置。
  12. 特殊演色評価数R9が80以上である請求項9に記載の白色発光装置。
  13. 前記複数の蛍光体の少なくとも一つにおける発光強度のピークの半値幅は、50nm以上100nm以下である請求項9に記載の白色発光装置。
  14. 請求項1、請求項6、および請求項9のいずれか1項に記載の白色発光装置を具備する照明装置。
  15. 請求項1、請求項6、および請求項9のいずれか1項に記載の白色発光装置を具備する歯科用照明装置。
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