JPWO2014017635A1 - セラミック電子部品 - Google Patents

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ひとみ 星野
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良子 片山
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Abstract

圧電セラミック素体1の主面3aに電極2aが形成されている。圧電セラミック素体1は、主面3a上の電極2aと接する接触界面が、結晶粒子に囲まれた窪み部20を有している。窪み部20の平均深さTは、1〜10μmであるのが好ましく、窪み部20の接触界面における占有率が、面積比率で65%以上であるのが好ましい。これにより圧電セラミック素体と電極(導電部)との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有する圧電部品等のセラミック電子部品を実現する。また、窪み部20の代わりに突部を形成しても同様の作用・効果を奏することができる。

Description

本発明は、セラミック電子部品、及びセラミック電子部品の製造方法に関する。
近年におけるエレクトロニクスの発展に伴い、電子機器には各種セラミック電子部品が搭載されている。
ところで、この種のセラミック電子部品では、外表面に外部電極を形成する場合、従来より、酸性溶液やアルカリ性溶液を使用してセラミック素体の表面をエッチングしたり、或いはサンドブラストを使用したり材料の成分組成や配合量を工夫してセラミック素体の表面を粗面化し、これによりセラミック素体と外部電極との密着性を確保することが行なわれている。
例えば、特許文献1には、セラミック基板の表面に、銀を主成分とする金属成分と、ガラス成分と、CuOまたはMnOのいずれかの金属酸化物とを含有してなる表面配線導体を形成してなる回路基板であって、前記表面配線導体は、前記ガラス成分と前記金属酸化物との合計が、前記金属成分100重量部に対して0.1〜30重量部含有するとともに、前記セラミック基板と表面配線導体が接触する界面の粗さが5μm以上である回路基板が提案されている。
この特許文献1では、金属成分に対するガラス成分と金属酸化物の配合量を調整することによってセラミック基板の表面を粗面化し、これによりセラミック基板と表面配線導体との間でいわゆるアンカー効果を発揮させ、セラミック基板と表面配線導体との接着力を高めようとしている。
特開2002−76609号公報(請求項1、段落番号〔0043〕〜〔0044〕)
しかしながら、特許文献1では、セラミック基板の表面を粗面化しているため、セラミック基板自体の強度が低下し、このためクラックやワレ等の構造欠陥が発生しやすく、信頼性低下を招くおそれがある。また、セラミック基板にソリやうねりなどが生じる等、機械的特性が劣化し、信頼性の低下を招くおそれがある。
また、セラミック素体の表面をエッチングしたり、サンドブラストで処理して密着性を向上させようとした場合であっても、特許文献1と同様、構造欠陥が発生したり、機械的特性の劣化や信頼性の欠如等が生じると考えられる。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、セラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品、及びこのセラミック電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電部が形成されたセラミック電子部品であって、前記セラミック素体は、前記主面上の前記導電部と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子によって形成された構造体を有していることを特徴としている。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記構造体が、結晶粒子によって囲まれた窪み部を有しているのが好ましい。
これによりセラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記窪み部が、平面視で略円形状に形成されているのが好ましい。
さらに、本発明のセラミック電子部品では、前記セラミック素体は、前記窪み部が形成されるように、前記接触界面の少なくも一部が球形凹凸状に形成されているのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品では、前記窪み部は、平均深さが1〜10μmであるのが好ましい。
これにより十分な密着性とバラツキが抑制された良好な機械的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。
さらに、本発明のセラミック電子部品は、前記窪み部の前記接触界面における占有率が、面積比率で65%以上であるのが好ましい。
これにより所望の密着性をより確実に確保することができる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記窪み部が、平面視で略同一の大きさに形成されているのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記構造体が、結晶粒子によって形成された突部を有しているのも好ましい。
この場合も上述と同様、セラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、本発明のセラミック電子部品では、前記突部は、平均高さが0.5〜10μmであるのが好ましい。
これにより十分な密着性とバラツキが抑制された良好な機械的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記突部の前記接触界面における占有率が、面積比率で20%以上であるのが好ましい。
これにより所望の密着性をより確実に確保することができる。
さらに、本発明のセラミック電子部品は、前記突部が、平面視で略同一の大きさに形成されているのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記セラミック素体は内部電極が埋設されているのが好ましい。
また、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、セラミック原料を成形加工してセラミックグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、プレス面の少なくとも一部が凸状に形成された成形用型を用意し、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面を前記成形用型の前記プレス面で押圧し、少なくとも一部が凹状に形成されたセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程と、前記セラミック成形体を焼成し、結晶粒子によって囲まれた窪み部が主面の少なくとも一部に形成されたセラミック素体を作製する焼成工程と、前記セラミック素体の前記表面に電極を形成する電極形成工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明に係るセラミック電子部品の製造方法は、セラミック原料を成形加工してセラミックグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、プレス面の少なくとも一部が凸状に形成された成形用型を用意し、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面を前記成形用型の前記プレス面で押圧し、少なくとも一部が凹状に形成されたセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程と、前記セラミック成形体を焼成し、主面の少なくとも一部に突部が形成されたセラミック素体を作製する焼成工程と、前記セラミック素体の前記表面に電極を形成する電極形成工程とを含むことを特徴としている。
本発明のセラミック電子部品によれば、セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電部が形成されたセラミック電子部品であって、前記セラミック素体は、前記主面上の前記導電部と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子によって形成された構造体(窪み部又は突部)を有しているので、前記接触界面は強固なアンカー効果を呈することから、セラミック素体と導電部との密着性が良好となり、さらにはセラミック素体自体の強度が低下することもないことから、クラックやワレ等の構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、本発明のセラミック電子部品の製造方法によれば、セラミック原料を成形加工してセラミックグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、プレス面の少なくとも一部が凸状に形成された成形用型を用意し、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面を前記成形用型の前記プレス面で押圧し、少なくとも一部が凹状に形成されたセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程と、前記セラミック成形体を焼成し、結晶粒子によって囲まれた窪み部が主面の少なくとも一部に形成されたセラミック素体を作製する焼成工程と、前記セラミック素体の前記表面に電極を形成する電極形成工程とを含むので、成形用型を使用して上記セラミック電子部品を容易に製造することができる。
また、焼成工程が、主面の少なくとも一部が結晶粒子によって形成された突部が形成されたセラミック素体を作製する場合も、上記セラミック電子部品を容易に製造することができる。
本発明に係るセラミック電子部品の一実施の形態(第1の実施の形態)としての圧電部品を模式的に示した断面図である。 図1のA部拡大断面図である。 上記圧電素子の製造過程で使用される金型の一例を示す断面図である。 プレス成形時の状態を示す断面図である。 圧電セラミック素体の一例を示す断面図である。 本発明に係るセラミック電子部品の第2の実施の形態の要部拡大断面図である。 第2の実施の形態に係る圧電セラミック素体の一例を示す断面図である。 本発明に係るセラミック電子部品の第3の実施の形態としての圧電部品を模式的に示した断面図である。 試料番号4のSEM像である。 試料番号23のSEM像である。 上記図9において、窪み部が平面視で略円形状に形成されている様子を示す図である。 試料番号44のSEM像である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係るセラミック電子部品としての圧電部品の一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。
この圧電部品は、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、「PZT」という。)等の圧電セラミック材料を主成分とした圧電セラミック素体1と、該圧電セラミック素体1の両主面に形成されたAg等の導電性材料を主成分とした電極2a、2bとを有し、矢印P方向に分極処理されている。
図2は、図1のA部拡大断面図である。
この圧電セラミック素体1は、主面3a上の電極2aと接する接触界面が、球状凹凸部4を形成している。この球状凹凸部4は、具体的には、半球状の凸部5と半球状の凹部6とが交互に規則的に連接されている。そして、半球状の凹部6は、結晶粒子によって囲まれた窪み部20(構造体)を形成している。すなわち、この圧電セラミック素体1は、平均深さTを有する窪み部20が形成されるように、電極2aとの接触界面が球形凹凸状に形成されている。
このように圧電セラミック素体1と電極2aとの接触界面が、結晶粒子によって囲まれた窪み部20を有することにより、前記接触界面は強固なアンカー効果を呈することとなり、圧電セラミック素体1と電極2aとの密着性を向上させることができる。また、上述したように圧電セラミック素体1の電極2aとの接触界面が、結晶粒子で囲まれた窪み部20を有しているので、セラミック素体1自体の強度が低下することもなく、クラックやワレ等の構造欠陥が発生する回避することが可能となる。さらに、窪み部20を構成する球状凹凸部4は、圧電セラミック素体1の主面を単に不規則に粗面化した場合とは異なり、規則的な形状に形成されることから、ソリやうねりの発生や抗折強度の低下に対してより高い抑制効果が得られる。そして、これにより所望の機械的強度を確保することができ、高信頼性を有する圧電部品を得ることが可能となる。
尚、上記第1の実施の形態では、圧電セラミック素体1と電極2aの接触界面を図示しているが、圧電セラミック素体1と電極2bの接触界面も同様であり、主面3b上で電極2bと接する接触界面は、結晶粒子によって囲まれた窪み部20を有している。
ここで、窪み部20の平均深さTは、特に限定されるものではないが、十分な密着性を確保しつつ、良好な機械的特性を確保する観点からは1〜10μmであるのが好ましい。
すなわち、圧電セラミック素体1と電極2a、2bとの接触界面が十分なアンカー効果を発揮して密着性を確保するためには、窪み部20の平均深さTは少なくとも1μm以上が好ましい。
一方、窪み部20の平均深さTが10μmを超えた場合は、抗折強度等の機械的特性が、接触界面を粗面化した場合に比べると良好ではあるものの、前記平均深さTが10μm以下の場合に比べると劣化するおそれがある。
また、圧電セラミック素体1は、電極2a、2bの接触界面の全領域が窪み部20を形成する必要はなく、接触界面の少なくとも一部が窪み部20を形成していればよい。
ただし、窪み部20の接触界面における占有率が、面積比率で65%未満になると、窪み部20の占有率が少なくなることから、密着性の低下を招くおそれがある。
そして、上記第1の実施の形態に係る圧電部品は、以下のようにして製造することができる。
まず、Pb、ZrO、TiO等のセラミック素原料を用意し、所定量秤量する。そして、これら秤量物をPSZ(部分安定化ジルコニア)等の粉砕媒体及び水と共にボールミルに投入して混合し、湿式粉砕を行い、その後、脱水・乾燥処理を行い、次いで所定温度(例えば、800〜1000℃程度)で仮焼処理を行って仮焼物を得る。
次に、この仮焼物に有機バインダ、分散剤、水、及び粉砕媒体をボールミルに投入して混合し、再度湿式粉砕し、セラミックスラリーを作製し、その後、ドクターブレード法等の成形加工法を使用し、所定膜厚のセラミックグリーンシートを作製する。
次いで、成形用金型(成形用型)を用意する。
図3は、成形用金型の一例を示す要部断面図であって、この成形用金型は、下面8aが半球凸状のプレス面形状を有する上金型7aと上面8bが半球凸状のプレス面形状を有する下金型7bとを備えている。
そして、焼成後に所定厚みとなるように所定枚数のセラミックグリーンシートを積層して積層セラミックグリーンシート10を形成し、図4に示すように、下金型7bの上面8bと上金型7aの下面8aとの間に形成された空隙9に前記積層セラミックグリーンシート10を挟み込み、積層セラミックグリーンシート10を矢印B方向から所定圧力で加圧する。そしてこれにより上金型7a及び下金型7bの各プレス面形状が積層セラミックグリーンシート10の主面に転写され、主面が凹凸形状に形成されたセラミック成形体が作製される。
次いで、セラミック成形体を成形用金型から離脱させた後、400〜600℃程度の温度で、脱バインダ処理を施し、その後、密閉された匣(さや)に収容し、所定の焼成プロファイルで焼成処理を行う。そしてこれにより結晶粒子で囲まれた窪み部20を有する圧電セラミック素体1が作製される。
その後、スパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成法やめっき法、電極ペーストの焼付け処理等の任意の方法で圧電セラミック素体1の両主面3a、3b上に電極2a、2bを形成する。
そしてこの後、所定温度に加熱されたシリコーンオイル中で所定電界を印加して分極処理を行い、これにより圧電部品が製造される。
このように上記圧電部品では、圧電セラミック素体1は、主面3上で電極2a、2bと接する接触界面が、結晶粒子で囲まれた窪み部20を有しているので、接触界面は強固なアンカー効果を呈することから、圧電セラミック素体1と電極2a、2bとの密着性が良好となり、さらには圧電セラミック素体1自体の強度が低下することもないことから、クラックやワレ等の構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
尚、上記第1の実施の形態では、窪み部20が球形凹凸状に形成されているが、窪みが存在すればよく、球形凹凸状に限定されるものではない。
図6は、本発明に係るセラミック電子部品としての圧電部品の第2の実施の形態を模式的に示す要部断面図であって、本第2の実施の形態では、圧電セラミック素体31の主面31aに電極32が形成されると共に、前記セラミック素体31は、前記主面31aが平均高さHの突部33(構造体)を有するように形成されている。
尚、圧電セラミック素体の主面形状(窪み部、突部)の作製方法は一義的に決定されるものではなく、セラミック材料種や焼成プロファイル等、焼結状態に寄与する因子により主面形状は調整できる。
このように形成された突部33は、第1の実施の形態で詳述した窪み部20(図2参照)と同様の作用を奏し、接触界面は強固なアンカー効果を呈することから、セラミック素体31と電極32との密着性が良好となる。しかも、この場合も、第1の実施の形態と同様、セラミック素体31自体の強度が低下することもなく、クラックやワレ等の構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となり、本発明の課題を解決することができる。
ここで、突部33の平均高さHは、特に限定されるものではないが、十分な密着性を確保しつつ、バラツキのない良好な機械的特性を確保する観点からは0.5〜10μmであるのが好ましい。
すなわち、圧電セラミック素体31と電極32との接触界面が十分なアンカー効果を発揮して密着性を確保するためには、突部33の平均高さHは少なくとも0.5μm以上が好ましい。
一方、突部33の平均高さHが10μmを超えた場合は、より良好なアンカー効果を発揮することから密着性は更に良好になるが、機械的特性にバラツキが生じやすくなる。したがって、突部33の平均高さHが10μm以下が好ましい。
また、圧電セラミック素体31は、第1の実施の形態と同様、電極32の接触界面の全領域が突部33を形成する必要はなく、接触界面の少なくとも一部が突部33を形成していればよい。
ただし、突部33の接触界面における占有率が、面積比率で20%未満になると、突部33の占有率が少なくなることから、密着性の低下を招くおそれがある。
そして、上記第2の実施の形態に係る圧電部品は、第1の実施の形態と同様の方法・手順により製造することができる。
図8は、本発明に係るセラミック電子部品の第3の実施の形態を示す圧電部品を模式的に示す断面図である。
この圧電部品は、圧電セラミック素体11にAgやAg−Pd等からなる内部電極12が埋設されると共に、該圧電セラミック素体11の主面には外部電極13、14が形成されている。そして、セラミック素体11が、主面と外部電極14との接触界面の少なくとも一部が、第1の実施の形態のような結晶粒子に囲まれた窪み部、又は第2の実施の形態のような結晶粒子によって形成された突部を有している。
すなわち、この圧電セラミック素体11は、2個の圧電セラミック11a、11bを有しており、その主面16a、16bは、前記窪み部又は前記突部が形成されている。そして、内部電極12は、圧電セラミック素体11bの過半分の主面を覆いかつ一端が表面露出するように形成されると共に、該内部電極12及び圧電セラミック素体11b上に圧電セラミック素体11aが積層され、一体化されている。そして、一方の外部電極13は、内部電極12と電気的に接続されるように圧電セラミック素体11の一方の側面部15に形成されている。また、他方の外部電極14は、一部が前記内部電極12と対向状となるように圧電セラミック素体11a、11bの各主面16a、16b上に形成されると共に、他方の側面部17を介して電気的に接続されるように形成されている。
この圧電部品は矢印Q方向に分極されており、外部電極13、14間に電圧を印加することにより、内部電極12と外部電極14との間に電界が発生し、屈曲モードで振動する。
この圧電部品は、以下のようにして製造される。
まず、上記第1の実施の形態と同様の方法・手順でセラミックグリーンシートを作製する。
次いで、内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートの一部に塗布して導電層を形成した後、該セラミックグリーンシートの上面に導電層の形成されていないセラミックグリーンシートを積層し、積層セラミックグリーンシートを作製する。
次に、第1の実施の形態と同様、上面が半球凸状のプレス面形状を有する下金型と下面が半球凸状のプレス面形状を有する上金型とを使用し、前記積層セラミックグリーンシートを下金型と上金型との間に挟持し、所定圧力で加圧し、これにより主面が球形凹凸状に形成されたセラミック成形体を作製する。そして、このセラミック成形体を焼成し、これにより主面に窪み部又は突部が形成されたセラミック焼結体を作製する。
次に、このセラミック焼結体の両主面にAg等をターゲットにスパッタリング処理を施し、分極処理用電極を形成する。次いで、150℃の絶縁オイル中で両主面間に所定電圧の直流電圧を印加して分極処理を施し、その後分極処理用電極をエッチング除去し、これにより内部電極12が埋設された圧電セラミック素体11を得る。
そしてその後、内部電極12が所定位置に配されるように適宜切断し、次いで再びAg等をターゲットにしてスパッタリング処理を施し、圧電セラミック素体11の外表面に外部電極13、14を形成し、これにより圧電部品が製造される。
このように本第3の実施の形態では、圧電セラミック素体11の主面の少なくとも一部に外部電極(導電部)14が形成され、かつ、圧電セラミック素体11は、主面16a、16b上の外部電極14と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子に囲まれた窪み部又は結晶粒子によって形成された突部を有しているので、第1及び第2の実施の形態と同様、圧電セラミック素体11と外部電極14との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保でき、高信頼性を有する圧電部品を得ることができる。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記各実施の形態では、半球凸状8a、8bを有する上金型7a及び下金型7bを使用してセラミック成形体の主面を半球凹状に形成し、焼成することによりセラミック焼結体の主面が球形凹凸状の窪み部20又は突部33となるように形成したが、上金型7a及び下金型7bのプレス面形状は半球凸状8a、8bは好ましい一実施の形態であり、プレス面形状は凸状を有していれば、窪み部20又は突部20を容易に形成することができる。
また、本発明は、圧電セラミック素体1の主面と電極2a、2bとの接触界面の少なくとも一部が窪み部20又は突部33等の構造体を有していればよく、斯かる構造体の形成方法も上記実施の形態に限定されるものではない。ただし、窪み部20又は突部33等の構造体が圧電セラミック素体1、31の接触界面の主面全域乃至略全域に形成されている場合は、圧電セラミック素体1、31と電極2a、2b、32との密着性や、機械的強度がより良好なセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、窪み部20又は突部33等の構造体の形状も特に限定されるものではなく、略円形形状や多角形形状等、種々の形状が可能である。そして、窪み部20又は突部33を平面視した時の大きさが略同一の場合は、圧電セラミック素体1、31と電極2、32との密着性や、機械的強度がより良好な圧電部品等のセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、上記実施の形態では、積層セラミックグリーンシートを上金型と下金型との間に挟み込み、圧着して成形加工しているが、上述したセラミックスラリーを脱水、乾燥した後、上金型と下金型との間に形成された金型枠のキャビティに流し込み、加熱・圧着してプレス成形し、これによりセラミック成形体を形成してもよい。
また、上記実施の形態では、圧電部品を例示して説明したが、本発明は、セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電層が形成されたセラミック電子部品であれば、広く適用することができ、上述した圧電部品の他、各種の積層型セラミック電子部品や、セラミック基板、セラミック多層基板等に広範に応用可能である。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
(試料の作製)
〔試料番号1〜17〕
まず、PZT系材料:100重量部、有機バインダー:7.5重量部、水:15重量部の比率で、これらPZT材料、有機バインダー、及び水を適量の添加剤と共にPZT(部分安定化ジルコニア)ボールが内有されたボールミルに投入し、湿式で十分に混合粉砕し、セラミックスラリーを作製した。
次いで、ドクターブレード法を使用し、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上でセラミックスラリーに成形加工を施し、厚みが約30μmのセラミックグリーンシートを作製した。
そして、焼成後の圧電セラミック素体の厚みが約150μmとなるように、複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、積層セラミックグリーンシートを得た。
次いで、上面が半球凸状のプレス面を有する下金型と下面が半球凹状のプレス面を有する上金型との間に前記積層セラミックグリーンシートを挟持させ、480MPa(500kg/cm)の圧力で加圧し、上記プレス面形状を積層セラミックグリーンシートの主面に転写させた。そしてこの後、約20mm×30mmの大きさに切断し、これにより主面が球形凹凸状に形成されたセラミック成形体を得た。
そしてその後、セラミック成形体を焼成し、圧電セラミック素体を得た。
次いで、圧電セラミック素体の両主面にAgを蒸着し、外部電極を形成した後、直流電圧を印加して分極処理を行い、これにより試料番号1〜17の本発明試料を得た。
〔試料番号18〕
積層セラミックグリーンシートを作製した後、上面及び下面がいずれも平滑なプレス面を有する下金型及び上金型を使用し、積層セラミックグリーンシートに加圧成形を施してセラミック成形体を作製した以外は、試料番号1〜17と同様の方法・手順で試料番号18の試料を作製し、この試料番号18を基準品とした。
〔試料番号19〕
試料番号18の製造過程で得られたセラミック成形体の両主面をサンドブラストで粗面化した以外は、試料番号18と同様の方法・手順で、試料番号19の試料を作製し、この試料番号19をサンドブラスト品とした。
(試料の評価)
試料番号1〜17の各試料10個について、レーザ顕微鏡で撮像された画像を処理して各試料の窪み部の平均深さT、及び圧電セラミック素体と電極との接触界面における窪み部の占有率を求めた。
次いで、試料番号1〜19の各試料10個について、クラック、ワレ等の構造欠陥が発生していないか否かを目視で観察した。そして、各試料10個のうち、1個でも構造欠陥が発生した試料を不良品(×)とし、構造欠陥の発生が皆無の試料を良品(○)と判断し、構造欠陥を評価した。
また、試料番号1〜19の各試料10個について、引張試験機を使用して引き剥がし試験を行ない、これにより圧電セラミック素体と電極との密着強度を測定し、密着性を評価した。
また、試料番号1〜19の各試料10個について、3点曲げ試験を行って抗折強度を測定し、機械的特性を評価した。
表1は、試料番号1〜19の各試料における窪み部の平均深さT、窪み部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値とその標準偏差σを示している。
試料番号18は、圧電セラミック素体と電極との接触界面が平滑であり、結晶粒子からなる窪み部や突部等の構造体が存在しないため、密着強度が1.08MPaと低く、密着性に劣ることが分かった。
試料番号19は、圧電セラミック素体の主面がサンドブラスト処理されており、粗面化されていることから、密着強度は4.04MPaとなって基準品(試料番号18)よりも向上している。しかしながらその一方で、圧電セラミック素体自体の機械的強度が上記粗面化によって低下するため、クラックやワレ等の構造欠陥の発生が認められた。また、抗折強度も78MPaと低く、更にはその標準偏差σも17と大きくバラツキも大きくなり、信頼性も低下した。
このように結晶粒子からなる窪み部や突部等の構造体が圧電セラミック素体の主面に存在せず、圧電セラミック素体の主面をサンドブラスト等で単に粗面化しただけでは、構造欠陥が生じ、また、機械的特性の低下を招き、信頼性も低下することが分かった。
これに対し試料番号1〜17は、圧電セラミック素体の主面が結晶粒子で囲まれた窪み部(構造体)を有しているので、密着強度は2.27〜3.82MPaとなり、基準品(試料番号18)に比べ、密着性が飛躍的に向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で99〜107MPa、標準偏差σは4〜10であり、サンドブラスト品(試料番号19)とは異なり、構造欠陥も生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号11、12は、窪み部の平均深さTが15〜20μmであり、10μmを超えているため、抗折強度が99MPaと若干低くなり、その標準偏差σは8〜10とバラツキが若干大きくなる傾向にあることが分った。
また、試料番号13〜15は、窪み部の占有率が48〜62%であり、65%未満であるため、密着強度が低下する傾向のあることが分った。
このように圧電セラミック素体の主面が結晶粒子で囲まれた窪み部を形成することにより、基準品(試料番号18)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(試料番号19)のような構造欠陥が生じることもなく、機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、窪み部の平均深さTは1〜10μm、窪み部の占有率は65%以上が好ましいことが分った。
図9は、試料番号4の圧電セラミック素体主面のSEM像を示し、図10は試料番号18の圧電セラミック素体主面のSEM像を示している。
図10に示す試料番号18(基準品)では、積層セラミックグリーンシートの両主面が平面状を維持した状態で加圧され、焼結されるため、焼結面も平面状に形成されている。
これに対し図9に示す試料番号4では、上面が半球凸状に形成された下金型と下面が半球凸状に形成された上金型を使用して積層セラミックグリーンシートの両主面を加圧し、プレス面形状を各主面に転写した後、焼結されることから、結晶粒子は立体的な球形凹凸状の窪み部を形成し、これにより圧電セラミック素体の主面が形成されている。
図11は、試料番号4のSEM像において、窪み部に相当する箇所を破線で示している。
この図11から明らかなように、本実施例では、窪み部は略円形形状に形成されている。そして、このように接触界面が結晶粒子からなる窪み部を形成することにより、圧電セラミック素体と外部電極との密着性が良好で、かつ所望の良好な機械的強度を確保できるセラミック電子部品を得ることが可能となる。
実施例1と同様の方法・手順でセラミックグリーンシートを作製した。
次いで、Ag−Pdを主成分とする内部電極用導電性ペーストを用意し、内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートの一部に塗布し、導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを作製した。
そして、焼成後の圧電セラミック素体の厚みが約150μmとなるように、導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを積層し、導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートを最上層に載置し、これにより積層セラミックグリーンシートを得た。
そしてその後は、実施例1と同様の方法・手順でセラミック成形体を作製した後、焼成し、主面に窪み部を有する圧電セラミック素体を得た。
次いで、圧電セラミック素体の両主面及び側面にAgを蒸着し、外部電極を形成した後、両主面に直流電圧を印加して分極処理し、これにより試料番号21〜39の試料を得た。ここで、試料番号21〜37が本発明試料、試料番号38が基準品試料、試料番号39がサンドブラスト品試料である。
次いで、試料番号21〜39の各試料10個について、実施例1と同様の方法・手順で、窪み部の平均深さT、窪み部の占有率、構造欠陥の発生有無、密着強度、及び抗折強度を測定した。
表2は、試料番号21〜39の各試料における窪み部の平均深さT、窪み部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値と標準偏差σを示している。
試料番号38は、圧電セラミック素体と外部電極との接触界面が平滑であり、結晶粒子からなる窪み部や突部等の構造体が存在しないため、試料番号18と略同様、密着強度が1.04MPaと低くなった。
試料番号39は、圧電セラミック素体の主面がサンドブラスト処理されており、粗面化されているため、試料番号19と略同様、密着強度は3.94MPaとなって基準品(試料番号38)よりも向上した。しかしながらその一方で、圧電セラミック素体自体の機械的強度が上記粗面化によって低下するため、クラックやワレ等の構造欠陥の発生が認められた。また、抗折強度も91MPaと低下し、更にはその標準偏差σも16と大きくバラツキも大きくなり、信頼性も低下した。
このように圧電セラミック素体に内部電極を埋設した場合であっても、実施例1と同様、結晶粒子からなる窪み部や突部等の構造体が圧電セラミック素体の主面に存在せず、圧電セラミック素体の主面をサンドブラスト等で単に粗面化しただけでは、構造欠陥が生じ、しかも機械的特性の低下を招き、信頼性も低下することが分かった。
これに対し試料番号21〜37は、圧電セラミック素体の少なくとも外部電極と接する主面に結晶粒子からなる窪み部が存在しているので、密着強度は2.09〜3.75MPaとなり、基準品(試料番号38)に比べ、密着性が向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で112〜122MPa、標準偏差σは4〜10であり、サンドブラスト品(試料番号39)のような構造欠陥が生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号31、32は、窪み部の平均深さTが15〜20μmであり、10μmを超えているため、抗折強度が112〜115MPaと若干低くなり、その標準偏差σは9〜10とバラツキが若干大きくなる傾向にあることが分った。
また、試料番号33〜35は、窪み部の占有率が48〜62%であり、65%未満であるため、密着強度が2.25〜2.77MPaとなり、密着性が若干低下することが分った。
すなわち、圧電セラミック素体に内部電極を埋設させた場合も、圧電セラミック素体の外部電極と接する主面が結晶粒子からなる窪み部を形成することにより、実施例1と同様、基準品(試料番号38)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(試料番号39)とは異なり、良好な機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、実施例1と同様、窪み部の平均深さTは1〜10μm、窪み部の占有率は65%以上が好ましいことが分った。
実施例1と同様の方法・手順で試料番号41〜57の試料を作製した。
次いで、試料番号41〜57の各試料10個について、レーザ顕微鏡で撮像された画像を処理して各試料の突部の平均高さH、及び圧電セラミック素体と電極との接触界面における突部の占有率を求めた。
また、試料番号41〜57の各試料10個について、実施例1と同様の方法・手順で、構造欠陥の発生有無、密着強度、及び抗折強度を測定した。
表3は、試料番号41〜57の各試料における突部の平均高さH、突部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値と標準偏差σを示している。
この表3から明らかなように試料番号41〜57は、圧電セラミック素体の主面が結晶粒子からなる突部を有しているので、密着強度は2.19〜3.69MPaとなり、基準品(表1、試料番号18)に比べ、密着性が飛躍的に向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で102〜107MPa、標準偏差σは3〜10であり、サンドブラスト品(表1、試料番号19)のような構造欠陥が生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号51、52は、突部の平均高さHが15〜20μmであり、10μmを超えているため、標準偏差σが9〜10となって、バラツキが若干大きくなる傾向にあることが分った。
また、試料番号53〜55は、突部の占有率が5〜16%であり、20%未満であるため、密着強度が低下する傾向のあることが分った。
このように圧電セラミック素体の主面が結晶粒子からなる突部を有することにより、基準品(表1、試料番号18)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(表1、試料番号19)とは異なり、構造欠陥が生じることもなく機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、突部の平均高さHは0.5〜10μm、突部の占有率は20%以上が好ましいことが分った。
図12は、試料番号44の圧電セラミック素体主面のSEM像であり、黒色の矢印が突部を示し、白色の矢印が平坦な粒界部分を示している。
実施例2と同様の方法・手順で、試料番号61〜77の試料を作製した。
次に、試料番号61〜77の各試料10個について、実施例3と同様の方法・手順で、突部の平均高さH、突部の占有率、構造欠陥の発生有無、密着強度、及び抗折強度を測定した。
表4は、試料番号61〜77の各試料における突部の平均高さH、突部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値と標準偏差σを示している。
この表4から明らかなように試料番号61〜77は、圧電セラミック素体の少なくとも外部電極と接する主面が結晶粒子からなる突部を有しているので、密着強度は2.08〜3.71MPaとなり、基準品(表2、試料番号38)に比べ、密着性が向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で117〜122MPa、標準偏差σは3〜9であり、サンドブラスト品(表2、試料番号39)のような構造欠陥が生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号71、72は、突部の平均高さHが15〜20μmであり、10μmを超えているため、標準偏差σが9となって若干バラツキが大きくなることが分った。
また、試料番号73〜75は、突部の占有率が5〜15%であり、20%未満であるため、密着強度が2.06〜2.47MPaとなり、密着性が若干低下することが分った。
すなわち、圧電セラミック素体に内部電極を埋設させた場合も、圧電セラミック素体の外部電極と接する主面が結晶粒子からなる突部を有するように形成することにより、実施例2と同様、基準品(表2、試料番号38)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(表2、試料番号39)とは異なり、良好な機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、実施例3と同様、突部の平均高さHは0.5〜10μm、突部の占有率は20%以上が好ましいことが分った。
圧電セラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を得ることができ、高信頼性を確保できる。
1 圧電セラミック素体(セラミック素体)
2a、2b 電極(導電部)
3a 主面
4 球状凹凸部
7a 上金型(成形用型)
7b 下金型(成形用型)
11 圧電セラミック素体
12 内部電極
14 外部電極(導電部)
16a、16b 主面
20 窪み部
31 圧電セラミック素体(セラミック素体)
31a 主面
32 電極(導電部)
33 突部
本発明は、セラミック電子部品に関する。
近年におけるエレクトロニクスの発展に伴い、電子機器には各種セラミック電子部品が搭載されている。
ところで、この種のセラミック電子部品では、外表面に外部電極を形成する場合、従来より、酸性溶液やアルカリ性溶液を使用してセラミック素体の表面をエッチングしたり、或いはサンドブラストを使用したり材料の成分組成や配合量を工夫してセラミック素体の表面を粗面化し、これによりセラミック素体と外部電極との密着性を確保することが行なわれている。
例えば、特許文献1には、セラミック基板の表面に、銀を主成分とする金属成分と、ガラス成分と、CuOまたはMnOのいずれかの金属酸化物とを含有してなる表面配線導体を形成してなる回路基板であって、前記表面配線導体は、前記ガラス成分と前記金属酸化物との合計が、前記金属成分100重量部に対して0.1〜30重量部含有するとともに、前記セラミック基板と表面配線導体が接触する界面の粗さが5μm以上である回路基板が提案されている。
この特許文献1では、金属成分に対するガラス成分と金属酸化物の配合量を調整することによってセラミック基板の表面を粗面化し、これによりセラミック基板と表面配線導体との間でいわゆるアンカー効果を発揮させ、セラミック基板と表面配線導体との接着力を高めようとしている。
特開2002−76609号公報(請求項1、段落番号〔0043〕〜〔0044〕)
しかしながら、特許文献1では、セラミック基板の表面を粗面化しているため、セラミック基板自体の強度が低下し、このためクラックやワレ等の構造欠陥が発生しやすく、信頼性低下を招くおそれがある。また、セラミック基板にソリやうねりなどが生じる等、機械的特性が劣化し、信頼性の低下を招くおそれがある。
また、セラミック素体の表面をエッチングしたり、サンドブラストで処理して密着性を向上させようとした場合であっても、特許文献1と同様、構造欠陥が発生したり、機械的特性の劣化や信頼性の欠如等が生じると考えられる。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、セラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係るセラミック電子部品は、セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電部が形成されたセラミック電子部品であって、前記セラミック素体は、前記主面上の前記導電部と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子によって囲まれた窪み部からなる構造体を有し、前記窪み部は、粗面化したものではなく、立体的な球形凹凸状を有すると共に、前記窪み部の前記接触界面における占有率は、面積比率で65%以上であることを特徴としている。
これによりセラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記窪み部が、平面視で略円形状に形成されているのが好ましい。
さらに、本発明のセラミック電子部品は、前記窪み部が、平面視で略同一の大きさに形成されているのが好ましい。
また、本発明のセラミック電子部品では、前記窪み部は、半球状の凹部と凸部が規則的に連接されているのが好ましい。
これによりセラミック素体の主面を単に不規則に粗面化した場合とは異なり、規則的な形状に形成されることから、ソリやうねりの発生や抗折強度の低下に対してより高い抑制効果が得られ、所望の機械的強度を確保することができ、高信頼性を有する圧電部品を得ることが可能となる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記セラミック素体は、前記窪み部が形成されるように、前記接触界面の少なくとも一部が球形凹凸状に形成されているのが好ましい。
さらに、本発明のセラミック電子部品は、前記窪み部は、平均深さが1〜10μmであるのが好ましい。
これにより十分な密着性とバラツキが抑制された良好な機械的特性を有するセラミック電子部品を得ることができる。
また、本発明のセラミック電子部品は、前記セラミック素体は内部電極が埋設されているのが好ましい。
本発明のセラミック電子部品によれば、セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電部が形成されたセラミック電子部品であって、前記セラミック素体は、前記主面上の前記導電部と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子によって囲まれた窪み部からなる構造体を有し、前記窪み部は、粗面化したものではなく、立体的な球形凹凸状を有すると共に、前記窪み部の前記接触界面における占有率は、面積比率で65%以上であるので、前記接触界面は強固なアンカー効果を呈することから、セラミック素体と導電部との密着性が良好となり、さらにはセラミック素体自体の強度が低下することもないことから、クラックやワレ等の構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
本発明に係るセラミック電子部品の一実施の形態(第1の実施の形態)としての圧電部品を模式的に示した断面図である。 図1のA部拡大断面図である。 上記圧電素子の製造過程で使用される金型の一例を示す断面図である。 プレス成形時の状態を示す断面図である。 圧電セラミック素体の一例を示す断面図である。 本発明に係るセラミック電子部品の第の実施の形態としての圧電部品を模式的に示した断面図である。 試料番号4のSEM像である。 試料番号23のSEM像である。 上記図7において、窪み部が平面視で略円形状に形成されている様子を示す図である。 本発明に関連する参考例としてのセラミック電子部品の要部拡大断面図である。 上記参考例の圧電セラミック素体の一例を示す断面図である。 試料番号44のSEM像である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係るセラミック電子部品としての圧電部品の一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す断面図である。
この圧電部品は、チタン酸ジルコン酸鉛(以下、「PZT」という。)等の圧電セラミック材料を主成分とした圧電セラミック素体1と、該圧電セラミック素体1の両主面に形成されたAg等の導電性材料を主成分とした電極2a、2bとを有し、矢印P方向に分極処理されている。
図2は、図1のA部拡大断面図である。
この圧電セラミック素体1は、主面3a上の電極2aと接する接触界面が、球状凹凸部4を形成している。この球状凹凸部4は、具体的には、半球状の凸部5と半球状の凹部6とが交互に規則的に連接されている。そして、半球状の凹部6は、結晶粒子によって囲まれた窪み部20(構造体)を形成している。すなわち、この圧電セラミック素体1は、平均深さTを有する窪み部20が形成されるように、電極2aとの接触界面が立体的な球形凹凸状を有している。
このように圧電セラミック素体1と電極2aとの接触界面が、結晶粒子によって囲まれた窪み部20を有することにより、前記接触界面は強固なアンカー効果を呈することとなり、圧電セラミック素体1と電極2aとの密着性を向上させることができる。また、上述したように圧電セラミック素体1の電極2aとの接触界面が、結晶粒子で囲まれた窪み部20を有しているので、セラミック素体1自体の強度が低下することもなく、クラックやワレ等の構造欠陥が発生する回避することが可能となる。さらに、窪み部20を構成する球状凹凸部4は、圧電セラミック素体1の主面を単に不規則に粗面化した場合とは異なり、規則的な形状に形成されることから、ソリやうねりの発生や抗折強度の低下に対してより高い抑制効果が得られる。そして、これにより所望の機械的強度を確保することができ、高信頼性を有する圧電部品を得ることが可能となる。
尚、上記第1の実施の形態では、圧電セラミック素体1と電極2aの接触界面を図示しているが、圧電セラミック素体1と電極2bの接触界面も同様であり、主面3b上で電極2bと接する接触界面は、結晶粒子によって囲まれた窪み部20を有している。
ここで、窪み部20の平均深さTは、特に限定されるものではないが、十分な密着性を確保しつつ、良好な機械的特性を確保する観点からは1〜10μmであるのが好ましい。
すなわち、圧電セラミック素体1と電極2a、2bとの接触界面が十分なアンカー効果を発揮して密着性を確保するためには、窪み部20の平均深さTは少なくとも1μm以上が好ましい。
一方、窪み部20の平均深さTが10μmを超えた場合は、抗折強度等の機械的特性が、接触界面を粗面化した場合に比べると良好ではあるものの、前記平均深さTが10μm以下の場合に比べると劣化するおそれがある。
また、圧電セラミック素体1は、電極2a、2bの接触界面の全領域が窪み部20を形成する必要はなく、接触界面の少なくとも一部が窪み部20を形成していればよい。
ただし、窪み部20の接触界面における占有率が、面積比率で65%未満になると、窪み部20の占有率が少なくなることから、密着性の低下を招くおそれがある。
そして、上記第1の実施の形態に係る圧電部品は、以下のようにして製造することができる。
まず、Pb、ZrO、TiO等のセラミック素原料を用意し、所定量秤量する。そして、これら秤量物をPSZ(部分安定化ジルコニア)等の粉砕媒体及び水と共にボールミルに投入して混合し、湿式粉砕を行い、その後、脱水・乾燥処理を行い、次いで所定温度(例えば、800〜1000℃程度)で仮焼処理を行って仮焼物を得る。
次に、この仮焼物に有機バインダ、分散剤、水、及び粉砕媒体をボールミルに投入して混合し、再度湿式粉砕し、セラミックスラリーを作製し、その後、ドクターブレード法等の成形加工法を使用し、所定膜厚のセラミックグリーンシートを作製する。
次いで、成形用金型(成形用型)を用意する。
図3は、成形用金型の一例を示す要部断面図であって、この成形用金型は、下面8aが半球凸状のプレス面形状を有する上金型7aと上面8bが半球凸状のプレス面形状を有する下金型7bとを備えている。
そして、焼成後に所定厚みとなるように所定枚数のセラミックグリーンシートを積層して積層セラミックグリーンシート10を形成し、図4に示すように、下金型7bの上面8bと上金型7aの下面8aとの間に形成された空隙9に前記積層セラミックグリーンシート10を挟み込み、積層セラミックグリーンシート10を矢印B方向から所定圧力で加圧する。そしてこれにより上金型7a及び下金型7bの各プレス面形状が積層セラミックグリーンシート10の主面に転写され、主面が凹凸形状に形成されたセラミック成形体が作製される。
次いで、セラミック成形体を成形用金型から離脱させた後、400〜600℃程度の温度で、脱バインダ処理を施し、その後、密閉された匣(さや)に収容し、所定の焼成プロファイルで焼成処理を行う。そしてこれにより結晶粒子で囲まれた窪み部20を有する圧電セラミック素体1が作製される。
その後、スパッタリング法や真空蒸着法等の薄膜形成法やめっき法、電極ペーストの焼付け処理等の任意の方法で圧電セラミック素体1の両主面3a、3b上に電極2a、2bを形成する。
そしてこの後、所定温度に加熱されたシリコーンオイル中で所定電界を印加して分極処理を行い、これにより圧電部品が製造される。
このように上記圧電部品では、圧電セラミック素体1は、主面3上で電極2a、2bと接する接触界面が、結晶粒子で囲まれた立体的な球形凹凸状の窪み部20を有しているので、接触界面は強固なアンカー効果を呈することから、圧電セラミック素体1と電極2a、2bとの密着性が良好となり、さらには圧電セラミック素体1自体の強度が低下することもないことから、クラックやワレ等の構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となる。
は、本発明に係るセラミック電子部品の第の実施の形態を示す圧電部品を模式的に示す断面図である。
この圧電部品は、圧電セラミック素体11にAgやAg−Pd等からなる内部電極12が埋設されると共に、該圧電セラミック素体11の主面には外部電極13、14が形成されている。そして、セラミック素体11が、主面と外部電極14との接触界面の少なくとも一部が、第1の実施の形態と同様、結晶粒子に囲まれた立体的な球形凹凸状の窪み部を有している。
すなわち、この圧電セラミック素体11は、2個の圧電セラミック11a、11bを有しており、その主面16a、16bは、前記窪み部又は前記突部が形成されている。そして、内部電極12は、圧電セラミック素体11bの過半分の主面を覆いかつ一端が表面露出するように形成されると共に、該内部電極12及び圧電セラミック素体11b上に圧電セラミック素体11aが積層され、一体化されている。そして、一方の外部電極13は、内部電極12と電気的に接続されるように圧電セラミック素体11の一方の側面部15に形成されている。また、他方の外部電極14は、一部が前記内部電極12と対向状となるように圧電セラミック素体11a、11bの各主面16a、16b上に形成されると共に、他方の側面部17を介して電気的に接続されるように形成されている。
この圧電部品は矢印Q方向に分極されており、外部電極13、14間に電圧を印加することにより、内部電極12と外部電極14との間に電界が発生し、屈曲モードで振動する。
この圧電部品は、以下のようにして製造される。
まず、上記第1の実施の形態と同様の方法・手順でセラミックグリーンシートを作製する。
次いで、内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートの一部に塗布して導電層を形成した後、該セラミックグリーンシートの上面に導電層の形成されていないセラミックグリーンシートを積層し、積層セラミックグリーンシートを作製する。
次に、第1の実施の形態と同様、上面が半球凸状のプレス面形状を有する下金型と下面が半球凸状のプレス面形状を有する上金型とを使用し、前記積層セラミックグリーンシートを下金型と上金型との間に挟持し、所定圧力で加圧し、これにより主面が球形凹凸状に形成されたセラミック成形体を作製する。そして、このセラミック成形体を焼成し、これにより主面に窪み部又は突部が形成されたセラミック焼結体を作製する。
次に、このセラミック焼結体の両主面にAg等をターゲットにスパッタリング処理を施し、分極処理用電極を形成する。次いで、150℃の絶縁オイル中で両主面間に所定電圧の直流電圧を印加して分極処理を施し、その後分極処理用電極をエッチング除去し、これにより内部電極12が埋設された圧電セラミック素体11を得る。
そしてその後、内部電極12が所定位置に配されるように適宜切断し、次いで再びAg等をターゲットにしてスパッタリング処理を施し、圧電セラミック素体11の外表面に外部電極13、14を形成し、これにより圧電部品が製造される。
このように本第の実施の形態では、圧電セラミック素体11の主面の少なくとも一部に外部電極(導電部)14が形成され、かつ、圧電セラミック素体11は、主面16a、16b上の外部電極14と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子に囲まれた立体的な球形凹凸状の窪み部を有しているので、第1の実施の形態と同様、圧電セラミック素体11と外部電極14との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保でき、高信頼性を有する圧電部品を得ることができる。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記各実施の形態では、半球凸状8a、8bを有する上金型7a及び下金型7bを使用してセラミック成形体の主面を半球凹状に形成し、焼成することによりセラミック焼結体の主面が球形凹凸状の窪み部20となるように形成したが、上金型7a及び下金型7bのプレス面形状は半球凸状8a、8bは好ましい一実施の形態であり、プレス面形状は凸状を有していれば、窪み部20を容易に形成することができる。
また、本発明は、圧電セラミック素体1の主面と電極2a、2bとの接触界面の少なくとも一部が窪み部20からなる立体的な球形凹凸状の構造体を有していればよく、斯かる構造体の形成方法も上記実施の形態に限定されるものではない。また、窪み部20が圧電セラミック素体1の接触界面の主面全域乃至略全域に形成されている場合は、圧電セラミック素体1と電極2a、2bとの密着性や、機械的強度がより良好なセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、窪み部20を平面視した時の大きさが略同一の場合は、圧電セラミック素体1と電極2との密着性や、機械的強度がより良好な圧電部品等のセラミック電子部品を得ることが可能となる。
また、上記実施の形態では、積層セラミックグリーンシートを上金型と下金型との間に挟み込み、圧着して成形加工しているが、上述したセラミックスラリーを脱水、乾燥した後、上金型と下金型との間に形成された金型枠のキャビティに流し込み、加熱・圧着してプレス成形し、これによりセラミック成形体を形成してもよい。
また、上記実施の形態では、圧電部品を例示して説明したが、本発明は、セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電層が形成されたセラミック電子部品であれば、広く適用することができ、上述した圧電部品の他、各種の積層型セラミック電子部品や、セラミック基板、セラミック多層基板等に広範に応用可能である。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
(試料の作製)
〔試料番号1〜17〕
まず、PZT系材料:100重量部、有機バインダー:7.5重量部、水:15重量部の比率で、これらPZT材料、有機バインダー、及び水を適量の添加剤と共にPZT(部分安定化ジルコニア)ボールが内有されたボールミルに投入し、湿式で十分に混合粉砕し、セラミックスラリーを作製した。
次いで、ドクターブレード法を使用し、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上でセラミックスラリーに成形加工を施し、厚みが約30μmのセラミックグリーンシートを作製した。
そして、焼成後の圧電セラミック素体の厚みが約150μmとなるように、複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、積層セラミックグリーンシートを得た。
次いで、上面が半球凸状のプレス面を有する下金型と下面が半球凹状のプレス面を有する上金型との間に前記積層セラミックグリーンシートを挟持させ、480MPa(500kg/cm)の圧力で加圧し、上記プレス面形状を積層セラミックグリーンシートの主面に転写させた。そしてこの後、約20mm×30mmの大きさに切断し、これにより主面が球形凹凸状に形成されたセラミック成形体を得た。
そしてその後、セラミック成形体を焼成し、圧電セラミック素体を得た。
次いで、圧電セラミック素体の両主面にAgを蒸着し、外部電極を形成した後、直流電圧を印加して分極処理を行い、これにより試料番号1〜17の本発明試料を得た。
〔試料番号18〕
積層セラミックグリーンシートを作製した後、上面及び下面がいずれも平滑なプレス面を有する下金型及び上金型を使用し、積層セラミックグリーンシートに加圧成形を施してセラミック成形体を作製した以外は、試料番号1〜17と同様の方法・手順で試料番号18の試料を作製し、この試料番号18を基準品とした。
〔試料番号19〕
試料番号18の製造過程で得られたセラミック成形体の両主面をサンドブラストで粗面化した以外は、試料番号18と同様の方法・手順で、試料番号19の試料を作製し、この試料番号19をサンドブラスト品とした。
(試料の評価)
試料番号1〜17の各試料10個について、レーザ顕微鏡で撮像された画像を処理して各試料の窪み部の平均深さT、及び圧電セラミック素体と電極との接触界面における窪み部の占有率を求めた。
次いで、試料番号1〜19の各試料10個について、クラック、ワレ等の構造欠陥が発生していないか否かを目視で観察した。そして、各試料10個のうち、1個でも構造欠陥が発生した試料を不良品(×)とし、構造欠陥の発生が皆無の試料を良品(○)と判断し、構造欠陥を評価した。
また、試料番号1〜19の各試料10個について、引張試験機を使用して引き剥がし試験を行ない、これにより圧電セラミック素体と電極との密着強度を測定し、密着性を評価した。
また、試料番号1〜19の各試料10個について、3点曲げ試験を行って抗折強度を測定し、機械的特性を評価した。
表1は、試料番号1〜19の各試料における窪み部の平均深さT、窪み部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値とその標準偏差σを示している。
試料番号18は、圧電セラミック素体と電極との接触界面が平滑であり、結晶粒子からなる窪み部が存在しないため、密着強度が1.08MPaと低く、密着性に劣ることが分かった。
試料番号19は、圧電セラミック素体の主面がサンドブラスト処理されており、粗面化されていることから、密着強度は4.04MPaとなって基準品(試料番号18)よりも向上している。しかしながらその一方で、圧電セラミック素体自体の機械的強度が上記粗面化によって低下するため、クラックやワレ等の構造欠陥の発生が認められた。また、抗折強度も78MPaと低く、更にはその標準偏差σも17と大きくバラツキも大きくなり、信頼性も低下した。
このように結晶粒子からなる窪み部が圧電セラミック素体の主面に存在せず、圧電セラミック素体の主面をサンドブラスト等で単に粗面化しただけでは、構造欠陥が生じ、また、機械的特性の低下を招き、信頼性も低下することが分かった
これに対し試料番号1〜17は、圧電セラミック素体の主面が結晶粒子で囲まれた窪み部(構造体)を有しているので、密着強度は2.27〜3.82MPaとなり、基準品(試料番号18)に比べ、密着性が飛躍的に向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で99〜107MPa、標準偏差σは4〜10であり、サンドブラスト品(試料番号19)とは異なり、構造欠陥も生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号13〜15は、窪み部の占有率が48〜62%であり、65%未満であるため、密着強度が低下する傾向のあることが分った。
また、試料番号11、12は、窪み部の平均深さTが15〜20μmであり、10μmを超えているため、抗折強度が99MPaと若干低くなり、その標準偏差σは8〜10とバラツキが若干大きくなる傾向にあることが分った。
このように圧電セラミック素体の主面が結晶粒子で囲まれた窪み部を形成することにより、基準品(試料番号18)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(試料番号19)のような構造欠陥が生じることもなく、機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、窪み部の平均深さTは1〜10μm、窪み部の占有率は65%以上が好ましいことが分った。
は、試料番号4の圧電セラミック素体主面のSEM像を示し、図は試料番号18の圧電セラミック素体主面のSEM像を示している。
に示す試料番号18(基準品)では、積層セラミックグリーンシートの両主面が平面状を維持した状態で加圧され、焼結されるため、焼結面も平面状に形成されている。
これに対し図に示す試料番号4では、上面が半球凸状に形成された下金型と下面が半球凸状に形成された上金型を使用して積層セラミックグリーンシートの両主面を加圧し、プレス面形状を各主面に転写した後、焼結されることから、結晶粒子は立体的な球形凹凸状の窪み部を形成し、これにより圧電セラミック素体の主面が形成されている。
は、試料番号4のSEM像において、窪み部に相当する箇所を破線で示している。
この図から明らかなように、本実施例では、窪み部は略円形形状に形成されている。そして、このように接触界面が結晶粒子からなる窪み部を形成することにより、圧電セラミック素体と外部電極との密着性が良好で、かつ所望の良好な機械的強度を確保できるセラミック電子部品を得ることが可能となる。
実施例1と同様の方法・手順でセラミックグリーンシートを作製した。
次いで、Ag−Pdを主成分とする内部電極用導電性ペーストを用意し、内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートの一部に塗布し、導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを作製した。
そして、焼成後の圧電セラミック素体の厚みが約150μmとなるように、導電膜の形成されたセラミックグリーンシートを積層し、導電膜の形成されていないセラミックグリーンシートを最上層に載置し、これにより積層セラミックグリーンシートを得た。
そしてその後は、実施例1と同様の方法・手順でセラミック成形体を作製した後、焼成し、主面に窪み部を有する圧電セラミック素体を得た。
次いで、圧電セラミック素体の両主面及び側面にAgを蒸着し、外部電極を形成した後、両主面に直流電圧を印加して分極処理し、これにより試料番号21〜39の試料を得た。ここで、試料番号21〜37が本発明試料、試料番号38が基準品試料、試料番号39がサンドブラスト品試料である。
次いで、試料番号21〜39の各試料10個について、実施例1と同様の方法・手順で、窪み部の平均深さT、窪み部の占有率、構造欠陥の発生有無、密着強度、及び抗折強度を測定した。
表2は、試料番号21〜39の各試料における窪み部の平均深さT、窪み部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値と標準偏差σを示している。
試料番号38は、圧電セラミック素体と外部電極との接触界面が平滑であり、結晶粒子からなる窪み部や突部等の構造体が存在しないため、試料番号18と略同様、密着強度が1.04MPaと低くなった。
試料番号39は、圧電セラミック素体の主面がサンドブラスト処理されており、粗面化されているため、試料番号19と略同様、密着強度は3.94MPaとなって基準品(試料番号38)よりも向上した。しかしながらその一方で、圧電セラミック素体自体の機械的強度が上記粗面化によって低下するため、クラックやワレ等の構造欠陥の発生が認められた。また、抗折強度も91MPaと低下し、更にはその標準偏差σも16と大きくバラツキも大きくなり、信頼性も低下した。
このように圧電セラミック素体に内部電極を埋設した場合であっても、実施例1と同様、結晶粒子からなる窪み部や突部等の構造体が圧電セラミック素体の主面に存在せず、圧電セラミック素体の主面をサンドブラスト等で単に粗面化しただけでは、構造欠陥が生じ、しかも機械的特性の低下を招き、信頼性も低下することが分かった。
これに対し試料番号21〜37は、圧電セラミック素体の少なくとも外部電極と接する主面に結晶粒子からなる窪み部が存在しているので、密着強度は2.09〜3.75MPaとなり、基準品(試料番号38)に比べ、密着性が向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で112〜122MPa、標準偏差σは4〜10であり、サンドブラスト品(試料番号39)のような構造欠陥が生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号31、32は、窪み部の平均深さTが15〜20μmであり、10μmを超えているため、抗折強度が112〜115MPaと若干低くなり、その標準偏差σは9〜10とバラツキが若干大きくなる傾向にあることが分った。
また、試料番号33〜35は、窪み部の占有率が48〜62%であり、65%未満であるため、密着強度が2.25〜2.77MPaとなり、密着性が若干低下することが分った。
すなわち、圧電セラミック素体に内部電極を埋設させた場合も、圧電セラミック素体の外部電極と接する主面が結晶粒子からなる窪み部を形成することにより、実施例1と同様、基準品(試料番号38)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(試料番号39)とは異なり、良好な機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、実施例1と同様、窪み部の平均深さTは1〜10μm、窪み部の占有率は65%以上が好ましいことが分った。
参考例
図10は、本発明に関連する参考例としてのセラミック電子部品(圧電部品)を模式的に示す要部断面図であって、本参考例では、圧電セラミック素体31の主面31aに電極32が形成されると共に、前記セラミック素体31は、前記主面31aが平均高さHの突部33(構造体)を有するように形成されている。
尚、圧電セラミック素体の主面形状(突部)の作製方法は一義的に決定されるものではなく、セラミック材料種や焼成プロファイル等、焼結状態に寄与する因子により主面形状は調整できる。
このように形成された突部33は、本発明の第1の実施の形態で詳述した窪み部20(図2参照)と同様の作用を奏し、接触界面は強固なアンカー効果を呈することから、セラミック素体31と電極32との密着性が良好となる。しかも、この場合も、第1の実施の形態と同様、セラミック素体31自体の強度が低下することもなく、クラックやワレ等の構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を確保できる高信頼性を有するセラミック電子部品を得ることが可能となり、本発明の課題を解決することができる。
ここで、突部33の平均高さHは、特に限定されるものではないが、十分な密着性を確保しつつ、バラツキのない良好な機械的特性を確保する観点からは0.5〜10μmであるのが好ましい。
すなわち、圧電セラミック素体31と電極32との接触界面が十分なアンカー効果を発揮して密着性を確保するためには、突部33の平均高さHは少なくとも0.5μm以上が好ましい。
一方、突部33の平均高さHが10μmを超えた場合は、より良好なアンカー効果を発揮することから密着性は更に良好になるが、機械的特性にバラツキが生じやすくなる。したがって、突部33の平均高さHは10μm以下が好ましい。
また、圧電セラミック素体31は、第1の実施の形態と同様、電極32の接触界面の全領域が突部33を形成する必要はなく、接触界面の少なくとも一部が突部33を形成していればよい。
ただし、突部33の接触界面における占有率が、面積比率で20%未満になると、突部33の占有率が少なくなることから、密着性の低下を招くおそれがある。
尚、上記参考例の圧電部品も、第1の実施の形態と同様の方法・手順により製造することができる。
次に、上記参考例について具体的に説明する。
[参考例1]
実施例1と同様の方法・手順で試料番号41〜57の試料を作製した。
次いで、試料番号41〜57の各試料10個について、レーザ顕微鏡で撮像された画像を処理して各試料の突部の平均高さH、及び圧電セラミック素体と電極との接触界面における突部の占有率を求めた。
また、試料番号41〜57の各試料10個について、実施例1と同様の方法・手順で、構造欠陥の発生有無、密着強度、及び抗折強度を測定した。
表3は、試料番号41〜57の各試料における突部の平均高さH、突部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値と標準偏差σを示している。
この表3から明らかなように試料番号41〜57は、圧電セラミック素体の主面が結晶粒子からなる突部を有しているので、密着強度は2.19〜3.69MPaとなり、基準品(表1、試料番号18)に比べ、密着性が飛躍的に向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で102〜107MPa、標準偏差σは3〜10であり、サンドブラスト品(表1、試料番号19)のような構造欠陥が生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号51、52は、突部の平均高さHが15〜20μmであり、10μmを超えているため、標準偏差σが9〜10となって、バラツキが若干大きくなる傾向にあることが分った。
また、試料番号53〜55は、突部の占有率が5〜16%であり、20%未満であるため、密着強度が低下する傾向のあることが分った。
このように圧電セラミック素体の主面が結晶粒子からなる突部を有することにより、基準品(表1、試料番号18)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(表1、試料番号19)とは異なり、構造欠陥が生じることもなく機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、突部の平均高さHは0.5〜10μm、突部の占有率は20%以上が好ましいことが分った。
図12は、試料番号44の圧電セラミック素体主面のSEM像であり、黒色の矢印が突部を示し、白色の矢印が平坦な粒界部分を示している。
[参考例2]
実施例2と同様の方法・手順で、試料番号61〜77の試料を作製した。
次に、試料番号61〜77の各試料10個について、実施例3と同様の方法・手順で、突部の平均高さH、突部の占有率、構造欠陥の発生有無、密着強度、及び抗折強度を測定した。
表4は、試料番号61〜77の各試料における突部の平均高さH、突部の占有率(平均値)、構造欠陥の有無、密着強度(平均値)、及び抗折強度の平均値と標準偏差σを示している。
この表4から明らかなように試料番号61〜77は、圧電セラミック素体の少なくとも外部電極と接する主面が結晶粒子からなる突部を有しているので、密着強度は2.08〜3.71MPaとなり、基準品(表2、試料番号38)に比べ、密着性が向上することが分った。また、抗折強度は、平均値で117〜122MPa、標準偏差σは3〜9であり、サンドブラスト品(表2、試料番号39)のような構造欠陥が生じることもなく、良好な機械的特性を確保でき、信頼性の良好なセラミック電子部品の得られることが分かった。
ただし、試料番号71、72は、突部の平均高さHが15〜20μmであり、10μmを超えているため、標準偏差σが9となって若干バラツキが大きくなることが分った。
また、試料番号73〜75は、突部の占有率が5〜15%であり、20%未満であるため、密着強度が2.06〜2.47MPaとなり、密着性が若干低下することが分った。
すなわち、圧電セラミック素体に内部電極を埋設させた場合も、圧電セラミック素体の外部電極と接する主面が結晶粒子からなる突部を有するように形成することにより、実施例2と同様、基準品(表2、試料番号38)に比べ密着性が飛躍的に向上し、サンドブラスト品(表2、試料番号39)とは異なり、良好な機械的特性を確保でき、信頼性も許容範囲内に抑制することができる。そして、密着性や機械的特性をより良好なものとし、かつ製品間のバラツキを抑制してより良好な信頼性を確保するためには、実施例3と同様、突部の平均高さHは0.5〜10μm、突部の占有率は20%以上が好ましいことが分った。
圧電セラミック素体と導電部との密着性が良好で構造欠陥が生じるのを回避でき、かつ所望の良好な機械的特性を得ることができ、高信頼性を確保できる。
1 圧電セラミック素体(セラミック素体)
2a、2b 電極(導電部)
3a 主面
4 球状凹凸部
7a 上金型(成形用型)
7b 下金型(成形用型)
11 圧電セラミック素体
12 内部電極
14 外部電極(導電部)
16a、16b 主面
20 窪み部

Claims (14)

  1. セラミック素体の少なくとも一方の主面の少なくとも一部に導電部が形成されたセラミック電子部品であって、
    前記セラミック素体は、前記主面上の前記導電部と接する接触界面の少なくとも一部が、結晶粒子によって形成された構造体を有していることを特徴とするセラミック電子部品。
  2. 前記構造体は、前記結晶粒子によって囲まれた窪み部であることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品。
  3. 前記窪み部は、平面視で略円形状に形成されていることを特徴とする請求項2記載のセラミック電子部品。
  4. 前記セラミック素体は、前記窪み部が形成されるように、前記接触界面の少なくも一部が球形凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3記載のセラミック電子部品。
  5. 前記窪み部は、平均深さが1〜10μmであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のセラミック電子部品。
  6. 前記窪み部の前記接触界面における占有率は、面積比率で65%以上であることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のセラミック電子部品。
  7. 前記窪み部は、平面視で略同一の大きさに形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のセラミック電子部品。
  8. 前記構造体は、結晶粒子によって形成された突部であることを特徴とする請求項1記載のセラミック電子部品。
  9. 前記突部は、平均高さが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項8記載のセラミック電子部品。
  10. 前記突部の前記接触界面における占有率は、面積比率で20%以上であることを特徴とする請求項8又は請求項9記載のセラミック電子部品。
  11. 前記突部は、平面視で略同一の大きさに形成されていることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載のセラミック電子部品。
  12. 前記セラミック素体は内部電極が埋設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載のセラミック電子部品。
  13. セラミック原料を成形加工してセラミックグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
    プレス面の少なくとも一部が凸状に形成された成形用型を用意し、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面を前記成形用型の前記プレス面で押圧し、少なくとも一部が凹状に形成されたセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程と、
    前記セラミック成形体を焼成し、結晶粒子によって囲まれた窪み部が主面の少なくとも一部に形成されたセラミック素体を作製する焼成工程と、
    前記セラミック素体の前記表面に電極を形成する電極形成工程とを含むことを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
  14. セラミック原料を成形加工してセラミックグリーンシートを作製するグリーンシート作製工程と、
    プレス面の少なくとも一部が凸状に形成された成形用型を用意し、前記セラミックグリーンシートの少なくとも一方の主面を前記成形用型の前記プレス面で押圧し、少なくとも一部が凹状に形成されたセラミック成形体を作製するセラミック成形体作製工程と、
    前記セラミック成形体を焼成し、主面の少なくとも一部に突部が形成されたセラミック素体を作製する焼成工程と、
    前記セラミック素体の前記表面に電極を形成する電極形成工程とを含むことを特徴とするセラミック電子部品の製造方法。
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