JP6354575B2 - 圧電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子に関する。
圧電素子として、互いに対向する一対の主面を有し且つ圧電セラミックからなる圧電基板と、一対の主面上に配置されている一対の電極と、を備えているものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。圧電素子(圧電基板)は、圧電セラミックの各結晶粒が分極されることにより、圧電特性を発現している。
特開2001−57449号公報
本発明は、優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上及び変位量のばらつきの低減を図ることが可能な圧電素子を提供することを目的とする。
本発明者らは、優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上を図り得る圧電素子について、調査研究を行った。その結果、本発明者らは、以下の事実を見出した。
圧電セラミックの各結晶粒は、形状の変化を伴い分極される。圧電基板上には、電極が配置されている。このため、圧電基板における電極との界面及び界面近傍に位置する結晶粒(以下、単に、「界面近傍に位置する結晶粒」と称する)は、電極により、形状の変化が抑制されることとなり、その分極が阻害されてしまう懼れがある。分極が阻害された結晶粒が存在していると、圧電素子(圧電基板)では、発現する圧電特性の低下は否めず、圧電基板内における分極が均一ではなく圧電素子の変位量にばらつきが生じてしまう。すなわち、界面近傍に位置する結晶粒の分極の阻害が軽減されれば、圧電素子は、優れた圧電特性を発現することとなる。
一対の電極により圧電基板に電界を印加し、圧電素子を駆動する際に、圧電基板は変位しようとするものの、電極自体は変位しようとはしない。このため電極は、圧電基板の変位を阻害するように作用し、また圧電基板内においても分極が均一でないため、圧電素子の変位量が小さくなりばらつきが生じてしまう懼れがある。すなわち、圧電基板の変位の阻害が軽減されれば、圧電素子は、変位量の向上とばらつきの改善が図られることとなる。
そして、本発明者らは、更なる調査研究を行い、以下の事実を見出し、本発明を想到するに至った。
圧電基板の主面のうち少なくとも一面が粗面であり、粗面に沿って粗面上に形成されている電極は、結晶粒が分極される際に、界面近傍に位置する結晶粒の変形の阻害を軽減する。圧電素子が駆動される際に、粗面上に形成された上記電極は、圧電基板の変位の阻害を軽減する。
そこで、本発明に係る圧電素子は、互いに対向する一対の主面を有し且つ圧電セラミックからなる圧電基板と、一対の主面上に配置されている一対の電極と、を備え、一対の主面のうち少なくとも一面は粗面であり、粗面が形成された主面上の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、第1の方向と前記第1の方向と交差する第2の方向で異なり、一対の電極のうち粗面に配置される電極は、粗面である主面に沿って主面上に形成されていることを特徴とする。
本発明に係る圧電素子では、粗面に配置される電極は、粗面であり、粗面である主面に沿って主面上に形成されているので、電極自体が、粗面に沿った山谷を有する形状を呈する。このため、粗面に配置される電極は、主面に平行な方向での電極自体の変形を許容しやすく、粗面に配置される電極は、界面近傍に位置する結晶粒の変形の阻害を軽減するとともに、圧電基板の変位の阻害を軽減する。
更に、粗面を粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が、第1の方向と、第1の方向と交差する第2の方向において異なるように形成すると、結晶粒の変形の程度を方向により変化させ変位量をコントロールすることができる。
上記一対の主面は長方形であり、前記長方形の長辺に平行な方向が第1の方向であっても良い。また、第1の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が第2の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)に比べて小さくても良い。この場合、用途に応じて長辺に平行な方向と短辺に平行な方向とで変位量を異ならせることが出来る。
一対の主面は両面とも粗面であっても良い。この場合、主面のうち少なくとも一面のみを粗面にした場合に比べ、圧電基板の変位の阻害をより軽減することが出来る。
前記主面は焼成後に表面処理をしていない面であっても良い。この場合、圧電基板の脱粒が生じにくくパーティクルの発生が抑制できる。
本発明によれば、優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上を図ることが可能な圧電素子を提供することができる。
本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す斜視図及びその一部拡大図である。 自然面、本実施形態に係る圧電素子のA−A断面、及びB−B断面を模式的に示す図である。 自然面、本実施形態の粗面の写真図である。 圧電素子の分極前後の変形を説明する模式図である。 実施例における第1の方向と第2の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定結果を示すグラフである。 本実施例及び比較例に係る圧電素子における圧電歪定数と標準偏差の測定結果を示すグラフである。 本実施形態に係る圧電素子の変形例を示す斜視図及びその一部拡大図である
まず、図1〜図3を参照して、本実施形態に係る圧電素子1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る圧電素子を模式的に示す斜視図及びその一部拡大図である。図2(a)は、自然面、図2(b)は、本実施形態に係る圧電素子のA−A断面、図2(c)は、本実施形態に係る圧電素子のB−B断面それぞれの粗面を模式的に示す図である。図3(a)は、自然面、図3(b)は、本実施形態の粗面の写真図である。
圧電素子1は、図1に示されるように、圧電基板2と、一対の電極3,4と、を備えている。圧電素子1は、たとえば、磁気ディスクを備えたディスク装置などに適用される。すなわち、デュアル・アクチュエータ方式のディスク装置において、ボイスコイルモータ以外の第二のアクチュエータとして、圧電素子1が用いられる。圧電素子1は、矩形板状を呈している。圧電素子1の厚さは、たとえば、30μm〜200μmに設定される。
圧電基板2は、互いに対向する一対の主面2a,2bと、一対の主面2a,2bを連結するように一対の主面2a,2bの対向方向に延びる側面2cを有している。一対の主面2a,2bは、図1に示されるような山谷が異方性を有する粗面である。本実施形態では、圧電基板2は、矩形板状を呈している。したがって、一対の主面2a,2bは長方形である。任意の第1の方向Sに対して第2の方向Tは第1の方向Sと交差する。第1の方向Sの粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、第2の方向Tの粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)より小さい。本実施例では第1の方向Sは長辺の方向であり、第2の方向Tとは短辺の方向である。第1の方向Sは第2の方向Tと直交する。圧電基板2の厚さは、たとえば、30μm〜200μmに設定される。
圧電基板2は、圧電セラミックからなる。圧電セラミックとしては、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb、La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)などが挙げられる。
一対の電極3,4は、一対の主面2a,2b上に配置されている。一対の電極3,4は、粗面である一対の主面2a,2bに沿って一対の主面2a,2b上に形成されているので、粗面に沿った山谷を有する形状を呈する。一対の電極3,4は、たとえば、スパッタリング法又は蒸着法などにより一対の主面2a,2b上に形成されている。一対の電極3,4は、一対の主面2a,2b全体を覆っている。側面2cは、一対の電極3,4で覆われていない。一対の電極3,4は、圧電基板2に電界を印加するための電極として機能する。一対の電極3,4は、たとえば、Au、Ni、Cr、Cu、又はPtからなる。一対の電極3,4の厚さは、たとえば、20nm〜1μmに設定される。
一対の主面2a,2bに形成された粗面の第1の方向Sの算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.5μm〜1.5μmであり、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は例えば20μm〜50μmとなる。また、一対の主面2a,2bに形成された粗面の第2の方向Tの算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.3μm〜1.0μmであり、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は例えば50μm〜80μmとなる。
圧電基板2の側面2cは、樹脂(不図示)で覆われていてもよい。この場合、樹脂は、側面2cの全体を覆うように配置されていてもよい。樹脂の材料には、エポキシ樹脂などが用いられる。
次に、上述した圧電素子1の製造過程について説明する。
まず、圧電基板2を構成する圧電セラミック粉(原料粒子)にバインダや有機溶剤などの成分を加え、圧電セラミック粉のペーストを得る。次に、ペーストから所定厚さのグリーンシートを作成する。グリーンシートは、たとえば、ドクターブレード法により作成される。所定厚さは、たとえば、50μm〜500μmに設定される。
次に、作成したグリーンシートを重ね合わせて積層体とする。その後、積層体を積層方向にプレス処理することにより、圧電体グリーンを得る。プレス処理は、たとえば、一軸プレス機などを用い、金型を50℃〜100℃ほどの温度に保持した状態で、圧力を約100MPaとして行われる。
次に、得られた圧電体グリーンの各主面を、第2の方向Tに沿って研磨処理する。研磨処理に使用される研磨材は、たとえば、アルミナ、炭化ケイ素、ダイヤモンドなどである。研磨材の中心径は、例えば5μm〜50μmとし、研磨処理後には十分に洗浄を行い、研磨剤の残差を洗い流すのがより好ましい。研磨処理を行うことにより、圧電体グリーンの主面は粗面となる。
次に、研磨処理を施した圧電体グリーンに脱バインダ処理を施す。脱バインダ処理は、たとえば、圧電体グリーンを安定化ジルコニアで構成されたセッターに載置した状態で施される。続いて、圧電体グリーンを焼成し、圧電体を得る。焼成は、たとえば、圧電体グリーンを載置した状態でセッターをマグネシア質の匣鉢に入れ、1100℃にて行われる。
図2に示される一部断面図は、(a)が自然面、(b)が本実施形態に係る圧電素子のA−A断面の粗面、(c)が本実施形態に係る圧電素子のB−B断面の粗面に対応する。なお、自然面とは焼成前及び焼成後に研磨処理などの表面処理がされていない面である。図2(a)に示されるように、自然面は、平滑な表面状態を有する。図2(b)に示されるように、A−A断面の粗面は、自然面よりも粗い形状を呈する。図2(c)に示されるように、B−B断面の粗面は、自然面よりも粗くA−A断面よりも山谷の間隔が広い形状を呈する。
図3に示される写真図は、(a)が自然面、(b)が本実施形態における粗面に対応する。図3(b)は、粗面であり、研磨材としてアルミナを用いて研磨処理を行うことにより得られた主面である。図3に示されるように、本実施形態における粗面は、自然面とは相違し、表面の山谷が強調されている。
研磨処理後、圧電体の各主面に対して、それぞれ電極膜を形成する。各電極膜は、たとえば、Au、Ni、Cr、Cu、又はPtからなる。各電極膜は、スパッタリング法又は蒸着法などにより形成される。各電極膜は、圧電体の粗面である各主面に沿って各主面上に形成され、粗面に沿った山谷を有する形状を呈する。圧電体は、個片化された状態の複数の圧電基板2が繋がった状態であり、各電極膜は、個片化された状態の複数の各電極3,4が繋がった状態である。
以上の過程により、圧電体及び電極膜を備える圧電素子基板が得られる。次に、圧電素子基板に分極処理を行う。分極処理では、たとえば、100℃の温度下で、電界強度3kV/mmの電圧を3分間印加する。続いて、分極処理後の圧電素子基板をダイサーなどの切断機で製品形状に加工する。これにより、個片化された圧電基板2及び各電極3,4を備える圧電素子1が得られる。
次に、上述のように構成された圧電素子1の作用及び効果について説明する。ここでは、図4を参照して、圧電素子1と従来の圧電素子11とを比較しながら、圧電素子1の各電極3,4が、粗面である各主面2a,2bに沿って各主面2a,2b上に形成されていることによる作用及び効果について説明する。
図4は、本実施形態に係る圧電素子1の分極状態を分極処理前の圧電素子1及び従来の圧電素子11と比較して説明する図であり、具体的には、図4(a)は、図1の圧電素子の分極処理前における自発分極の状態を説明する図であり、図4(b)は、従来の圧電素子の分極処理後における分極状態を説明する図であり、図4(c)は、図1の圧電素子の分極処理後における分極状態を説明する図である。
図4(a)に示されるように、圧電基板2は、圧電セラミックの多結晶体であり、複数の結晶粒8を含んでいる。分極処理前の圧電素子1は、各結晶粒8の自発分極の方向がランダムである。すなわち、結晶粒8ごとに自発分極の方向が、自然発生的にあらゆる方向を向いて揃っていないため、この状態で電圧を印加しても、各結晶粒8は自身の自発分極の向きに変位しようとして変位が相互に打ち消し合い、全体として変位が生じ難い。分極処理前の圧電素子1は、厚さD、長辺の長さLである。
図4(b)に示されるように、従来の圧電素子11は、互いに対向する一対の主面12a,12b及び、4つの側面12cを有し且つ圧電セラミックからなる圧電基板12と、各主面12a,12b上に配置されている一対の電極13,14と、を備えている。各主面12a,12bは、自然面である。一対の電極13,14は、自然面である各主面12a,12bに沿って各主面12a,12b上に形成されている。圧電基板12は、圧電セラミックの多結晶体であり、複数の結晶粒18を含んでいる。圧電素子11は、圧電基板12の各主面12a,12bが粗面ではなく、自然面である点で、本実施形態の圧電素子1と主に相違し、それ以外の点で共通する。
圧電素子11では、図示しないが、分極処理前は、圧電素子1と同様に、圧電セラミックの各結晶粒18の自発分極の方向がランダムで、全体として変位が生じ難い状態である。分極処理前の圧電素子11は、厚さD、長辺の長さLである。分極処理は、一対の電極13,14間に電圧を印加し、圧電基板12に電界を印加することにより行われる。その結果、各結晶粒18の変形を伴いながら、図4(b)に示されるような分極状態が得られる。分極処理後の圧電素子11は、厚さD(>D)、長辺の長さL(<L)である。
分極処理後の圧電素子11では、各結晶粒18の自発分極の方向が、各主面12a,12bの対向方向に平行な方向に概ね揃っている。しかしながら、界面近傍に位置する結晶粒18は、各電極13,14により形状の変形が抑制されることとなり、分極が阻害される。したがって、界面近傍に位置する結晶粒18では、他の各結晶粒18に比べて、自発分極の方向が揃い難い。このように分極が阻害され、自発分極の方向が揃っていない結晶粒18が存在していると、圧電素子11(圧電基板13)では、発現する圧電特性の低下は否めない。
一対の電極13,14間に電圧を印加し、圧電基板12に電界を印加することにより、圧電素子11を駆動する際に、圧電基板12は変位しようとするものの、電極13,14自体は変位しようとはしない。このため電極13,14は、圧電基板12の変位を阻害するように作用し、圧電素子1の変位量が小さくなってしまう懼れがある。
これに対して、図4(c)に示されるように、分極処理後の圧電素子1では、各結晶粒8の自発分極の方向が、界面近傍に位置する結晶粒8も含めて、各主面2a,2bの対向方向に平行な方向に概ね揃っている。これは、各電極3,4が、粗面である各主面2a,2bに沿って各主面2a,2b上に形成されているためである。各電極3,4は、各主面2a,2bに平行な方向での各電極3,4自体の変形を許容しやすく、圧電素子1では、界面近傍に位置する結晶粒8の変形の阻害が軽減される。したがって、界面近傍に位置する結晶粒8においても、自発分極の方向が揃いやすい。分極処理後の圧電素子1は、厚さD(>D>D)、長辺の長さL(<L<L)である。
このように、本実施形態に係る圧電素子1は、各電極3,4が、粗面である各主面2a,2bに沿って各主面2a,2b上に形成されているため、従来の圧電素子11よりも優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上を図ることができる。
更に、本実施形態に係る圧電素子1の各主面2a,2bに形成される粗面は、第1の方向Sと第2の方向Tにおいて粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が異なり、第1の方向Sの粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、第2の方向Tの粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)より小さい。そのため各主面2a,2b上に沿って形成される各電極3,4は、各主面2a,2bの第1の方向Sに平行な方向での各電極3,4自体の変形を許容しやすく、第2の方向Tに平行な方向での各電極3,4自体の変形は第1の方向Sに比べて許容し難い。圧電素子1では、第1の方向Sにおいて界面近傍に位置する結晶粒8の変形の阻害が軽減され、第2の方向Tにおいて界面近傍に位置する結晶粒8の変形の阻害が第1の方向Sに比べて軽減され難い。
すなわち、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の小さな方向ほど、分極時の各電極3,4による界面近傍に位置する結晶粒8の変形の阻害が小さくなる。このため圧電基板はいずれか一方の方向を指定して変位量をコントロールすることができることにより、図4(b)に示される様な従来の形態よりも分極を一定にしやすい。そのため、図4(b)に示された圧電基板12よりも分極が安定するため変位量のばらつきが改善する。
ここで、本実施形態によれば、優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上とばらつきの改善を図ることが可能であることを、実施例と比較例とによって、具体的に示す。
実施例では、図1に対応する圧電素子を用いた。実施例に係る圧電素子では、サンプルサイズは1.5mm×1mm、厚さ0.10mmとした。圧電基板は、PZTを主成分とする圧電セラミック粉(Pb[Zr0.53Ti0.47]O3+0.5wt%WO3)を用い、厚さ100μmとした。各電極膜は、Cr/Ni−Cu/Au積層構造(圧電基板側から順にCr層、Ni−Cu合金層、Au層が積層された構造)とし、スパッタリング法により、厚さ500nmで形成した。圧電基板の各主面は、長方形であり、長方形の長辺の方向を第1の方向とした時、第1の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が、第1の方向に交差して直交する第2の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)より小さくなるような研磨処理により粗面とした。なお、研磨処理は圧電体グリーンの時点で乾式研磨処理により研磨方向に留意し、第2の方向に沿って研磨を行い粗面とした。研磨材として#1000の研磨紙を使用し、研磨方向に留意し研磨処理を行った。
なお、算術平均粗さ(Ra)、及び粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定は、JIS−B0601(2001)に従い、三次元測定機(東京精密社製 SURECOM 1500SD2)を用いて測定した。測定条件は、カットオフ波長0.8mm、測定長さ2mm、測定レンジ±32μm、測定速度0.15mm/sの条件で一対の主面の山谷が形成された粗面を第1の方向及び第2の方向に沿って測定した。
図5は、実施例における第1の方向と第2の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定結果を示すグラフであり、具体的には図5(a)は本実施例における第1の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定結果を示すグラフであり、図5(b)は本実施例における第2の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定結果を示すグラフである。粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)とは、ある基準長さ における粗さ曲線に含まれる1周期分の凹凸が生じている長さを平均した値である。なお、図5に示されるように、第1の方向Sに沿った方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は約37μmであったのに対して、第2の方向Tに沿った方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は約79μmであった。
比較例では、上述した従来の圧電素子11に対応する圧電素子を用いた。比較例に係る圧電素子では、圧電基板の各主面は、研磨処理などの表面処理がされていない自然面のままとした以外は、実施例と同じ条件とした。実施例と比較例とでは、長辺方向伸び振動の圧電歪定数d31を測定した。
図6は、実施例及び比較例に係る圧電素子における圧電歪定数の測定結果を示すグラフである。圧電歪定数とは、圧電体の圧電特性を示す定数である。すなわち、圧電歪定数とは、圧電体に電界を印加したときにどれだけ変位するかを表す定数である。図6に示されるように、比較例に係る圧電素子における圧電歪定数d31の平均値は約294(10−12mV)標準偏差δは4(10−12mV)であったのに対して、実施例に係る圧電素子における圧電歪定数d31の平均値は約299(10−12mV)標準偏差δは2(10−12mV)であった。
したがって、実施例に係る圧電素子は、比較例に係る圧電素子よりも圧電特性が優れ、変位量のばらつきが低減することが確認された。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
各主面2a,2bの粗面は、研磨処理で形成されているとしたが、研磨処理以外の方法で形成されていてもよい。たとえば、グリーンシートを重ね合わせた積層体に対してプレス処理を行う際に、トタン状の圧痕が残るような粗面を有したプレス金型を使用してもよい。
各主面2a,2bには粗面が形成されているが、図7に示すような各主面2a,2bの内どちらか一方に形成されていてもよい。この場合も従来に比べ同様の効果が見込める。
各電極3,4は、スパッタリング法又は蒸着法などにより形成されているとしたが、これに限られない。各電極3,4は、スパッタリング法のように膜の内部応力を大きくする成膜方法により形成された場合であっても、粗面である各主面2a,2bに沿って各主面2a,2b上に形成されていることにより、各主面2a,2bに平行な方向での電極自体の変形を許容しやすい。したがって、界面近傍に位置する結晶粒の変形の阻害を軽減するとともに、圧電基板2の変位の阻害を軽減する。この結果、圧電素子1では、優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上を図ることができる。
圧電素子1(圧電基板2)は、矩形板状を呈しているとしたが、これに限られない。円板状や、円柱状、直方体状であってもよい。圧電基板2の厚さは、特に制限されないが、厚さが薄い方が、圧電基板2における界面近傍に位置する結晶粒の占める割合が高まるため、圧電素子1では、優れた圧電特性を発現するとともに、変位量の向上を図ることができるという効果が顕著となりやすい。圧電素子1の厚さが0.5mm以下であって、圧電基板2の厚さが0.2mm以下のときにこの果がより顕著となる。
1…圧電素子、2…圧電基板、2a,2b…主面、3,4…電極、S…第1の方向、T…第2の方向。

Claims (6)

  1. 互いに対向する一対の主面を有し且つ圧電セラミックからなる圧電基板と、
    前記一対の主面上に配置されている一対の電極と、を備え、
    前記一対の主面のうち少なくとも一面は粗面であり、
    前記粗面が形成された前記主面上の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、
    第1の方向と前記第1の方向と交差する第2の方向で異なり、
    前記一対の電極のうち前記粗面に配置される電極は、前記粗面である前記主面に沿って前記主面上に形成されていることを特徴とする圧電素子。
  2. 前記一対の主面は長方形であり、
    前記長方形の長辺と平行な方向が第1の方向である請求項1に記載の圧電素子。
  3. 前記第1の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が、前記第2の方向の粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)より小さい請求項2に記載の圧電素子。
  4. 前記一対の主面は、両面とも粗面である請求項1〜3に記載の圧電素子。
  5. 前記一対の主面は、焼成後に表面処理をしていない面である請求項1〜4に記載の圧電素子。
  6. 前記一対の電極は、主面の全面上に配置されている請求項1〜4に記載の圧電素子。
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