JP4605879B2 - 圧電振動子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、厚みすべり振動モード型の共振を利用した、フィルター、発振子、共振子等を構成する圧電振動子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、厚みすべり振動モード型の共振を利用した発振子や共振子等に用いられる圧電振動子は、一般的に分極処理が施された圧電板と、分極方向と平行な圧電板の表面にそれぞれ形成された電極とから構成されている。
【0003】
また、このような圧電振動子は、圧電材料からなるブロック体に研削加工を施して所望の寸法形状とした後、ブロック体の対向表面に、印刷法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、PVD法、CVD法、メッキ法等の膜形成手段にて分極用の電極をそれぞれ被着し、分極用の電極間に通電して分極処理を施した後、分極用の電極を除去し、次いで、分極方向と平行にスライシング加工を施して所定の大きさの圧電板を切り出した後、スライシング加工を施した圧電板の表面(分極方向と平行な表面)に上述した膜形成手段にてそれぞれ電極を被着することにより製作するようになっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように製作した圧電振動子の圧電板と、研削や研磨等の加工を施す前のブロック体をなす圧電材料の圧電諸特性、特に厚みすべり振動モードを発生させるのに重要な電気機械結合係数k15を比較すると、圧電振動子を構成する圧電板の電気機械結合係数k15が、ブロック体をなす圧電材料の電気機械結合係数k15よりもかなり小さくなっており、所望の特性を発揮されていないといった課題があった。その為、このような圧電振動子を発振子や共振子として使用すると、共振抵抗が大きくなり周波数帯域が狭まり安定した共振が行えないといった課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では上記課題に鑑み、圧電板の分極方向と平行な表面に電極を備えた圧電振動子において、上記圧電板の分極方向と平行な表面および分極方向と垂直な表面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下であり、上記圧電板の分極方向と平行な表面をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)1.5以下であり、かつ、上記圧電板の分極方向と垂直な表面をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)1.5以下であることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0007】
図1は本発明に係る圧電振動子の一例を示す斜視図である。この圧電振動子1は、図中矢印Pの方向に分極処理を施した矩形状の圧電板2と、該圧電板2の上下面2a,2b、即ち、分極方向と平行な表面にそれぞれ形成した電極3a,3bとからなり、上記電極3a,3b間に電圧を印加することにより、圧電板2に厚みすべり振動を発生させるようになっており、発振子や共振子として用いることができる。
【0008】
また、上記圧電振動子1を構成する圧電板2の材質としては、チタン酸ジルコン酸鉛系又はチタン酸鉛系の圧電セラミックスを用いることができる。また、上記ジルコン酸鉛とチタン酸鉛の2成分系のチタン酸ジルコン酸鉛に、さらに複合ペロブスカイト構造の第3の成分を置換させたマグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)等を主成分とする圧電セラミックスを用いることもできる。
【0009】
また、電極3a,3bの材質としては、金、銀、銅、白金、クロム、ニッケル、パラジウム等の金属あるいはこれらの合金を用いることができる。
【0010】
そして、本発明によれば、電極3a,3bが形成される圧電板2の上下面2a,2b(分極方向と平行な表面)および圧電板2の側面2c(分極方向と垂直な表面)の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下であり、上下面2a,2bをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)1.5以下であり、かつ、圧電板2の側面2c(分極方向と垂直な表面)をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)1.5以下であることを特徴とする。
【0011】
即ち、本件発明者は圧電振動子1の開発にあたり、分極処理を施した圧電板2に研削や研磨等の加工を施すと、加工によって圧電諸特性が劣化するとともに、分極処理前に圧電板2に研削や研磨等の加工を施し、その後に分極処理を施しても所望の圧電諸特性が得られないことを知見した。
【0012】
この原因は明らかではないが、次の理由によるものと考えられる。
【0013】
分極処理前の圧電セラミックスを構成する結晶粒子は自発分極がランダムに配列された分域構造を持ち、自発分極のベクトル総和がゼロで、焼結された圧電セラミックス全体では等方性を呈しているのであるが、分極処理を施すために分極用の電極間に直流電界をかけると、各結晶粒子の分域が一定の方向に揃って歪みを生じ、直流電界をかけることを止めても電界方向に残留分域が存在して極性を示し、圧電性を示すようになる。
【0014】
ところが、分極処理した圧電板2に研削や研磨等の加工を施し、大きな加工圧力が作用したり、加工熱が発生すると、加工表面に存在する結晶に歪みが発生して結晶軸が伸縮するため、予め分極処理により発生していたある一定方向の歪みが解消されて分極の度合いが小さくなるために加工前後で圧電諸特性が劣化するものと思われる。
【0015】
また、研削や研磨等の加工を施した後に分極処理を施しても所望の圧電諸特性が得られないのは、加工によって加工表面に加工傷や破壊変質層あるいはマイクロクラック等が発生すると、その後に分極処理を施すための直流電界をかけても、加工傷や破壊変質層あるいはマイクロクラックが発生した結晶粒内の各分域が一定の方向に揃わないため、本来の圧電諸特性が得られないものと思われる。
【0016】
そこで、圧電板2がもつ本来の圧電諸特性が得られるようにするため種々研究を重ねたところ、圧電諸特性、特に圧電板2の厚みすべり振動に重要な電気機械結合係数k15と圧電板2の表面に存在する結晶のX線回折強度との間には相関があり、圧電板2の分極方向と平行な上下面2a,2bをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)が大きくなるほど、電気機械結合係数k15の値が小さくなり、また、圧電板2の分極方向と垂直な側面2cをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)が大きくなるほど、電気機械結合係数k15の値が小さくなることを見出し、その最適な条件について実験を繰り返したところ、圧電板2の分極方向に平行な上下面2a,2bについては、それぞれの表面をX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)が1.5以下、及び圧電板2の分極方向に垂直な側面2cについては、それぞれの面をX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)が1.5以下となるようにすれば良いことを見出し、本発明に至った。
【0017】
なお、正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)あるいは正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)を測定するにあたっては、理学製のRINT1400V型のX線回折を行い、X線源をCu、X線源の管電圧を50kV、管電流を200mAとして2軸の縦型ゴニオメータにてステップ幅を0.020°とし、回折角度40°〜50°の範囲に現れる正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bを測定することにより算出することができる。
【0018】
また、X線回折は、測定物の表面から30μ程度の深度までの結晶状態を確認することができるため、圧電板2の分極方向と平行な上下面2a,2bに形成する電極3a,3bの厚さが30μ未満であれば、電極3a,3b上から直接測定することもでき、この場合、事前に電極3a,3bのみの回折角度40°〜50°におけるX線回折の強度値を確認しておき、後でピーク強度の補正を行えば良い。
【0019】
ところで、上記圧電板2の分極方向と平行な上下面2a,2bをX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)を1.5以下、圧電板2の分極方向と垂直な側面2cをX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)を1.5以下とするには、圧電板2に研削や研磨等の加工が施された表面の表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下の平滑面とすることが必要である。
【0020】
即ち、研削や研磨等の加工が施された圧電板2の表面2a,2b,2cが算術平均粗さ(Ra)で0.3μmを超えるか、又は最大高さ(Ry)で3.0μmを超えると、加工が施された表面2a,2b,2cには大きな加工傷や破壊変質層あるいは多数の大きなマイクロクラックが存在し、このような圧電板2に分極処理を施しても加工傷や破壊変質層あるいはマイクロクラックの存在する領域の結晶をある一定方向に揃わせることができないため、圧電板2がもつ本来の圧電諸特性を得ることができないからである。
【0021】
しかも、電極3a,3bを形成する上下面2a,2bにおいては、その表面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.3μmを越えるか、又は最大高さ(Ry)で3.0μmを越えるような粗い面であると、電極3a,3bと圧電板2との密着性が悪くなるため、圧電板2を効率良く共振させることもできなくなる。
【0022】
その為、研削加工やラッピング加工が施された圧電板2の表面2a,2b,2cは、その表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下の平滑面とすることが重要である。
【0023】
次に、図1に示す圧電振動子1の製造方法について説明する。
【0024】
まず、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT系)、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)等を主成分とする圧電セラミックスからなるブロック体を用意し、このブロック体を所定の寸法となるように研削や研磨等の加工を施す。例えば、平面研削盤や両面ラップ盤等を用いて厚み加工を行い、ダイヤモンドホイールやダイヤモンドブレード等を用いて外辺の加工を行うことにより、ブロック体の上下面及び側面の表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下とした後、上記ブロック体の上下面に、印刷法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法、PVD法、CVD法、メッキ法等の周知の薄膜形成手段により、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム等の金属あるいはこれらの合金からなる分極用の電極を被着し、次いで、分極用の電極間に直流電界をかけてブロック体の上下面間に分極処理を施した後、分極用の電極を除去し、しかる後、分極方向と平行にスライシング加工を施して所定の寸法をもつた矩形状の圧電板2を製作し、上記圧電板2のスライシング加工が施された上下面2a,2bにラッピング加工を施してその表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下とした後、圧電板2の上下面2a,2bに、金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム等の金属あるいはこれらの合金からなる電極3a,3bを上述したのと同様の薄膜形成手段にてそれぞれ被着することにより、本発明の圧電振動子1を得ることができる。
【0025】
そして、圧電板2の上下面2a,2b及び側面2cをそれぞれ算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下とするには、平面研削盤を用いる場合、番手が#600〜#3000のダイヤモンド砥石を用い、また両面ラップ盤を用いる場合、粒度が#1000〜#4000のメッシュで分級されたSiCやAl23、ダイヤモンド等の砥粒を用い、ダイシングソーを用いる場合、粒径4〜20μmのダイヤモンド砥粒を固着したダイヤモンドホイールやダイヤモンドブレードを用い、かつその加工速度を15mm/sec以下、好ましくは5mm/sec程度とすることが重要である。
【0026】
即ち、ダイヤモンド砥石の番手が#600未満であったり、砥粒の粒度が#1000未満であったり、ダイヤモンド砥粒の粒径が20μmを超えると、圧電板2の表面を算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下とすることができず、加工表面に大きな加工傷や破壊変質層あるいはマイクロクラックが多数発生するからである。ただし、ダイヤモンド砥石の番手が#3000を超えたり、砥粒の粒度が#4000を超えたり、ダイヤモンド砥粒の粒径が4μm未満であると、表面粗さを上記範囲とすることができたとしても加工に時間がかかり過ぎて作業効率が悪い。その為、厚み加工におけるダイヤモンド砥石の番手は#600〜#3000、両面ラップ盤に用いる砥粒の粒度が#1000〜#4000、ダイシングソーに用いるダイヤモンド砥粒の粒径は4〜20μmのものを用いることが好ましい。
【0027】
また、加工速度が15mm/secを超えると、圧電板2に大きな加工圧力が作用するとともに、大きな加工熱を発生するため、分極の度合いの劣化を抑えることができないからである。
【0028】
このような条件にて研削加工やラッピング加工を施せば、圧電板2の上下面2a,2b及び側面2cの表面粗さを算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下とすることができ、このような表面状態に形成することで、圧電板2の分極方向に平行な上下面2a,2bをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)を1.5以下とすることができるとともに、圧電板2の分極方向に垂直な側面2cをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)を1.5以下とすることができる。
【0029】
以上、本実施形態では、図1に示す圧電振動子1を例にとって説明したが、本発明は図1に示した構造のものに限定されるものではなく、例えば、圧電板2の上下面2a,2b全面に形成された電極3a,3bの一部をエッチング等により除去して、図2に示すような、エネルギー閉じ込め型の厚みすべり振動モードの共振を利用した圧電振動子1としても良い。また、本発明の圧電振動子1の形状は、特に限定されるものではなく、所望の共振周波数帯に不要なスプリアス振動が発生しないように、圧電板2及び電極3a,3bの幅、長さ及び厚み等を必要に応じて適宜設計したものを用いれば良い。
【0030】
【実施例】
ここで、図1に示す矩形状の圧電振動子1を製作し、圧電振動子1の各表面2a,2b,2cにおける表面粗さと、各表面2a,2b,2cのX線回折における正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの強度比を異ならせた時の厚みすべり振動特性に影響を与える電気機械結合係数k15との関係について調べる実験を行った。
【0031】
まず、圧電板2を製作するため、原料粉末として、Pb34、ZrO2、TiO2、SrCO3、BaCO3、ZnO、Sb23、NiO、TeO2を用意し、それぞれの金属元素のモル比率がPb:0.94、Zr:0.47、Ti:0.45、Sr:0.04、Ba:0.02、Zn:0.025、Sb:0.05、Ni:0.0025、Te:0.0025となるように秤量したものに溶媒としてイオン交換水を加え、ボールミルにて20時間湿式混合した。次にこの混合物を乾燥し、800℃の温度で3時間熱処理を加えて仮焼した。次に、水を加え、ZrO2製のボールを使用しボールミルにて20時間、湿式混合粉砕した。さらに、このスラリーに有機バインダーを混練した後乾燥させて造粒粉を作製し、1.5×108N/m2の成形圧で、30mm×50mm×20mmの成形体を形成し、脱脂処理した後、1240℃前後の温度で焼成することにより、24mm×40mm×16mmのブロック体を作製した。
【0032】
次に、得られたブロック体の上下面に銀とガラス成分からなる分極用の電極を焼付けによって形成した後、80℃のシリコンオイル中で直流電圧を30分印加し、3.0kV/mmの電界にて分極処理した。その後、150℃恒温の中で2hrのエージング処理を施した。
【0033】
次に、分極用の電極を取り除いた後、ブロック体の厚み加工と外辺の加工を行った。ここでは、20mm×35mm×12mmの寸法とするため、粒度が#3000(粒径2〜6μm)のSiC砥粒を用いて両面ラップ盤にて厚み加工を施し、#2000(粒径4〜6μm)のダイヤモンド砥粒を固着したダイヤモンドホイールを用いて分極方向に平行にスライスし、35mm×12mm×0.5mmの短冊状の圧電板を得た。その後、圧電板2の厚み加工を行った。ここでは、35mm×12mm×0.25mmの寸法とするため、粒度が#400(粒径40〜60μm)、#600(粒径20〜30μm)、#1000(粒径8〜20μm)、#2000(粒径4〜8μm)、#3000(粒径2〜6μm)、#4000(粒径2〜4μm)の6種類のSiC砥粒を用いて両面ラップ盤にて厚み加工を施した。
【0034】
その後、上記圧電板2の上下面2a,2bにCrの蒸着膜とAuの蒸着膜との2層からなる電極3a,3bを形成し、2.5mm×10mm×0.25mmの形状に番手が#400(粒径30〜40μm)、#600(粒径20〜30μm)、#1000(粒径8〜20μm)、#2000(粒径4〜6μm)、#3000(粒径2〜6μm)の5種類のダイヤモンド砥粒を固着したダイヤモンドブレードを用いてダイシングソーにて外辺の加工を行い、図1に示す矩形状をした圧電振動子1を得た。そして、各圧電振動子1を形成する圧電板の電気機械結合係数k15を測定した。
【0035】
なお、電気機械結合係数k15の測定は、日本電子工業学会規格EMAS−6100に準拠して行った。
【0036】
また、圧電板2の各表面における表面粗さ(Ra)及び(Ry)と、圧電板2の分極方向と平行な上下面2a,2bをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)と、分極方向と垂直な側面2cをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)を算出するためX線回折の測定を行った。
【0037】
ここで、表面粗さの測定はJISB0601−1994に準拠した表面粗さの測定を測定装置にサーフコーダーSE−2300(小坂研究所製)を用いて加工度合いを調べた。
【0038】
また、正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)、及び正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)の測定にあたっては、理学製のRINT1400V型のX線回折を行い、X線源をCu、X線源の管電圧を50kV、管電流を200mAとして2軸の縦型ゴニオメータにてステップ幅を0.020°とし、回折角度40°〜50°の範囲に現れる正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bを測定して算出すれば良い。
【0039】
そして、総合判定は、加工後の電気機械結合係数k15が加工前の電気機械結合係数k15の70%以上のものを良好と判断した。
【0040】
これは、加工後の電気機械結合係数k15が加工前の70%未満では、圧電振動子1が持つ本来の共振特性を十分に発揮することができないからである。
【0041】
結果は表1に示す通りである。
【0042】
【表1】
Figure 0004605879
【0043】
この結果、表1に示すように、試料No.13〜15、17〜20、22〜25、27〜30の本発明の圧電板2は、加工後の圧電板2の上下面2a,2b及び側面2cにおける表面粗さ(Ra)0.3μm以下、最大高さ(Ry)3.0μm以下であり、圧電板2の分極方向と平行な上下面2a,2bをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)1.5以下であり、かつ、圧電板2と分極方向に垂直な側面2cをそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)1.5以下あることから、加工表面に大きな加工傷がなく、破壊変質層やマイクロクラックが殆どなく、分極の度合いの劣化を招くことなく、加工後の電気機械結合係数k15が加工前の70%以上と高い値を得ることができ、圧電板2が本来発揮するべき高い圧電諸特性を維持することができ、優れていた。
【0044】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、圧電板の分極方向と平行な表面に電極を備えた圧電振動子において、上記圧電板の分極方向と平行な表面および分極方向と垂直な表面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下であり、上記圧電板の分極方向と平行な表面をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)1.5以下であり、かつ、上記圧電板の分極方向と垂直な表面をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)1.5以下であることによって、圧電板がもつ本来の圧電諸特性を発揮させることができる。その為、本発明の圧電板を発振子や共振子等の圧電振動子に用いれば、より一層安定した共振特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る圧電振動子の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る圧電振動子の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:圧電振動子 2:圧電板 2a:圧電板の上面
2b:圧電板の下面 2c:圧電板の側面
3a,3b:電極

Claims (1)

  1. 圧電板の分極方向と平行な表面に電極を備えた圧電振動子において、上記圧電板の分極方向と平行な表面および分極方向と垂直な表面の表面粗さが算術平均粗さ(Ra)で0.3μm以下、最大高さ(Ry)で3.0μm以下であり、上記圧電板の分極方向と平行な表面をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶002回折のピーク強度Bと正方晶200回折のピーク強度Aとの比(B/A)1.5以下であり、かつ、上記圧電板の分極方向と垂直な表面をそれぞれX線回折にて測定した時の正方晶200回折のピーク強度Aと正方晶002回折のピーク強度Bとの比(A/B)1.5以下であることを特徴とする圧電振動子。
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