JPWO2013054921A1 - バナジウム電解液、その製造方法及びその製造装置 - Google Patents

バナジウム電解液、その製造方法及びその製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化還元反応の効率が良く、V2+(2価)のバナジウムイオン溶液とVO (5価)のバナジウムイオン溶液とを同時に同量製造できる効率的なバナジウム電解液の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備する準備工程と、4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解して5価のバナジウムイオン溶液を得ると同時に、4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で還元電解して2価のバナジウムイオン溶液を得る電解工程とを備える製造方法により、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、バナジウム電解液、その製造方法及びその製造装置に関する。更に詳しくは、バナジウム溶液を電解液として用いる循環型のレドックスフロー電池又は非循環型のレドックスノンフロー電池に使用され、充放電を繰り返してもスラッジが発生しにくく、V2+(2価)の負極用活物質とVO (5価)の正極活物質とを同時に同量製造できる効率的なバナジウム電解液の製造方法及びその製造装置、及びその方法で得られたバナジウム電解液に関する。
二次電池は、電気を繰り返し充放電することができる環境負荷の小さいエネルギー貯蔵源として注目を集めている。産業用の二次電池としては、鉛蓄電池、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池等が知られている。このうち、バナジウム電解液を用いたレドックスフロー電池は、室温で作動し、活物質が液体で外部タンクに貯蔵できる。そのため、大型化が容易であり、さらに他の二次電池の電解液と比べて再生が容易で長寿命である等の利点がある。
レドックスフロー電池は、イオン交換膜で正極と負極に分けられた電解セルを用い、それぞれの電解セルに価数の異なるバナジウムイオン溶液を入れ、そのバナジウムイオン溶液が電解セル内を循環する際にバナジウムイオンの価数が変化することで充放電が行われるフロー電池である。充放電による化学反応は下記式のとおりであり、正極では式(1)の充放電反応が起こり、負極では式(2)の充放電反応が起こる。なお、式(1)及び式(2)において、放電時は右辺から左辺に向かい、充電時は左辺から右辺に向かう。
Figure 2013054921
レドックスフロー電池で用いるバナジウム電解液は、通常、酸化硫酸バナジウム(VOSO・nHO)を硫酸水溶液に溶解して4価のバナジウムイオン溶液を調製し、そのバナジウムイオン溶液をそれぞれの電解セルで循環させながら電解して価数の異なるバナジウムイオン溶液を得ている。具体的には、正極側では、4価のバナジウムイオン溶液の酸化反応により正極活物質である5価(VO )のバナジウムイオン溶液を調製し、負極側では、4価のバナジウムイオン溶液の還元反応により負極活物質である2価(V2+)のバナジウムイオン溶液を調製している。
ところで、レドックスフロー電池で用いるバナジウム電解液については様々な先行技術が報告されているが、バナジウムイオンの価数により硫酸水溶液中での安定性が異なり、バナジウム化合物が析出するという問題があった。特にバナジウムイオンの濃度を高めた場合にバナジウム化合物が電解液中に析出しやすく、その析出したバナジウム化合物が電解セル内で詰まり、電池の作動を妨げるという問題があった。こうした問題に対し、例えば特許文献1では、バナジウムイオン及び/又はバナジルイオンを含有する硫酸水溶液に、保護コロイド剤、オキソ酸、錯化剤等を添加することによりバナジウム化合物の析出を防ぐことができるとする技術が提案されている。
特開平8−64223号公報
従来のレドックスフロー電池では、繰り返し充放電されるうちに電解液中にスラッジ等が発生し、そのスラッジ等が電解液の循環を阻害したり、イオン交換膜の目詰まり等を引き起こしたりして、レドックスフロー電池の酸化還元反応の効率を低下させる原因になっていた。こうした問題に対する従来技術はなく、例えば特許文献1の技術であってもスラッジ等の発生を解決できないものであった。
また、バナジウムイオンの酸化還元反応は、正極ではVO2+(4価)→VO (5価)の1段階酸化反応が起こり、負極ではVO2+(4価)→V3+(3価)→V2+(2価)の2段階還元反応が起こる。そのため、正極と負極とでは、活物質を得るための電気量が異なり、負極で1molのV2+(2価)を得るための電気量は、正極で1molのVO (5価)を得るための電気量の2倍になる。したがって、1組の電解セルを用いた酸化還元反応によって価数の異なるバナジウムイオン溶液を得るとする従来のバナジウム電解液の製造方法では、正極で用いるバナジウムイオン溶液を得ることができる電気量を負極に与えても、負極ではバナジウムイオン溶液の還元反応が完全には進行せず、正極活物質であるVO (5価)と負極活物質であるV2+(2価)とを同時に同量製造することはできなかった。そのため、負極側の還元反応のみをその後に別に行って、V2+(2価)の負極用活物質をVO (5価)の正極活物質と同量にしなければならず、バナジウム電解液の製造に長時間を要していた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、酸化還元反応の効率が良く、V2+(2価)のバナジウムイオン溶液とVO (5価)のバナジウムイオン溶液とを同時に同量製造できる効率的なバナジウム電解液の製造方法及びその製造装置を提供することにある。また、本発明の他の目的は、酸化還元反応の効率が良い高濃度のバナジウム電解液を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係るバナジウム電解液の製造方法は、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備する準備工程と、前記4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解して5価のバナジウムイオン溶液を得ると同時に、前記4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で還元電解して2価のバナジウムイオン溶液を得る電解工程と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、不純物元素の合計が0.4質量%未満で溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備し、さらにそのバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解及び還元電解して5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得るので、得られたバナジウム電解液は不純物と溶存酸素が少なく、スラッジの発生を著しく抑えることができる。その結果、酸化還元反応の効率を向上させることができるバナジウム電解液を提供できる。また、この発明によれば、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を同時に同量得ることができるので、効率的にバナジウム電解液を製造できる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法において、前記電解工程での脱気雰囲気は、不活性ガスを流しつつ前記バナジウムイオン溶液中でバブリングさせるように構成する。
この発明によれば、不活性ガスを流しつつバナジウムイオン溶液中でバブリングさせるので、電解工程後のバナジウムイオン溶液の溶存酸素も0.1ppm以下に維持することができる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法において、前記電解工程が第1電解セルと第2電解セルとを有し、前記第1電解セルでは前記バナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行い、前記第2電解セルでは前記バナジウムイオンのみの酸化を前記第1電解セルでの酸化と同じ電気量で行うように構成する。
この発明によれば、第1電解セルではバナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行い、第2電解セルではバナジウムイオンのみの酸化を第1電解セルでの酸化と同じ電気量で行うので、第1電解セルの正極でのバナジウムイオンの酸化反応の2倍の電気量と、第1電解セルの負極でのバナジウムイオンの還元反応及び第2電解セルの負極でのバナジウムイオンの還元反応の合計電気量とが同じになる。その結果、この電解工程では、第1電解セルの正極で4価のバナジウムイオン溶液を5価のバナジウムイオン溶液に酸化でき、第1電解セルの負極と第2電解セル負極で4価のバナジウムイオン溶液を3価のバナジウムイオン溶液とし、さらに2価のバナジウムイオン溶液に還元することができる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法において、前記第2電解セルでの酸化電解は、バナジウムイオン溶液以外の電解液で行うように構成する。
この発明によれば、第2電解セルでの酸化をバナジウムイオン溶液以外の電解液、例えば硫酸ナトリウム溶液等で行うので、第2電解セルの正極でバナジウムイオンの酸化反応を行わずに負極のみでバナジウムイオンの還元反応を行うことができる。その結果、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を同時に同量製造できる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法において、前記4価のバナジウムイオン溶液を、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、酸化ケイ素及び酸化クロムのうち1又は2以上が合計0.5質量%未満の酸化硫酸バナジウム水和物を溶解した硫酸水溶液を脱気して得るように構成する。
この発明によれば、不純物化合物の合計が0.5質量%未満の酸化硫酸バナジウム水和物を溶解した硫酸水溶液を脱気して4価のバナジウムイオン溶液を得るので、得られた4価のバナジウムイオン溶液は不純物と溶存酸素が少ない。その結果、そのバナジウムイオン溶液を電解して製造したバナジウム電解液は、スラッジの発生を著しく抑えることができ、酸化還元反応の効率を向上させることができる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法において、前記電解工程は、(1)定電流電解工程、(2)定電圧電解工程、又は、(3)定電流電解工程と該定電流電解工程後に定電圧電解工程とを有する複合電解工程、のいずれかであることを特徴とする。
この発明によれば、上記(1)〜(3)のいずれかの電解工程で電解を行うことができる。中でも(3)の電解工程は特に好ましく用いられ、初めに定電流で電解する電解工程(第1電解工程)を有するので、例えば比較的低い電流密度で定電流電解を行うことにより、電解初期のスラッジの発生を抑制した状態でのバナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)及び還元反応(4価又は3価から2価)を進めることができる。そうした酸化反応及び還元反応を進めた後に定電圧電解する第2電解工程では、例えばバナジウムイオンの酸化還元電位に近づけた電圧で定電圧電解することにより、正極ではバナジウムイオンを可能な限り5価に酸化し、負極では2価に還元することができる。すなわち、初めに行う定電流電解で酸化しきれずに残存した4価のバナジウムイオンを5価のバナジウムイオンとすることができ、又は還元しきれずに残存した3価のバナジウムイオンを2価のバナジウムイオンとすることができる。こうした手段により、スラッジの発生を抑えた高濃度のバナジウム電解液を効率良く製造することができる。
上記課題を解決するための本発明に係るバナジウム電解液の製造装置は、バナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行うための第1電解セルと、バナジウムイオンの酸化を前記第1電解セルでの酸化と同じ電気量で行うための第2電解セルと、前記第1電解セルが備える酸化電解室で酸化反応に供されるバナジウムイオン溶液を循環させるための第1循環槽と、前記第1電解セルが備える還元電解室及び前記第2電解セルが備える還元電解室で還元反応に供されるバナジウムイオン溶液を循環させるための第2循環槽と、前記第2電解セルが備える酸化電解室で酸化反応に供されるバナジウムイオン溶液以外の電解液を循環させるための第3循環槽と、不活性ガスを前記第1循環槽内と前記第2循環槽内に供給するための不活性ガス供給装置とで少なくとも構成されていることを特徴とする。
この発明によれば、上記した本発明に係るバナジウム電解液の製造方法を効果的に実現することができる。
上記課題を解決するための本発明に係るバナジウム電解液は、(A)アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の1.5mol/L〜4mol/Lの5価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液であることを特徴とし、(B)アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の1.5mol/L〜4mol/Lの2価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液であることを特徴とする。
これら(A)(B)の発明によれば、不純物元素の合計が0.4質量%未満で溶存酸素が0.1ppm以下の高濃度バナジウム電解液であるので、高濃度溶液であってもスラッジの発生を著しく抑えることができる。その結果、酸化還元反応の効率をより向上させることができ、例えばレドックスフロー電池用のバナジウム電解液に好ましく用いることができるとともに、レドックスノンフロー電池用のバナジウム電解液としても好ましく用いることができる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法によれば、不純物元素の合計が0.4質量%未満で溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備し、さらにそのバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解及び還元電解して5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得るので、得られたバナジウム電解液は不純物と溶存酸素が少なく、スラッジの発生を著しく抑えることができる。その結果、酸化還元反応の効率を向上させることができるバナジウム電解液を提供できる。また、この発明によれば、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を同時に同量得ることができるので、効率的にバナジウム電解液を製造できる。
本発明に係るバナジウム電解液によれば、高濃度溶液であってもスラッジの発生を著しく抑えることができるので、酸化還元反応の効率をより向上させることができる。このバナジウム電解液は、例えばレドックスフロー電池用電解液に好ましく用いることができるとともに、レドックスノンフロー電池用電解液としても好ましく用いることができる。
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法を示すフローチャートである。 本発明に係るバナジウム電解液の製造方法で用いる電解装置を示す模式図である。 電解工程の一例である複合電解工程の具体例を示す工程フロー図である。
本発明に係るバナジウム電解液、その製造方法及びその製造装置について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明の技術的範囲は、本発明の要旨を含む範囲であれば以下の実施形態の記載や図面に限定されない。
[バナジウム電解液の製造方法]
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法は、図1に示すように、4価のバナジウムイオン溶液を準備する工程(準備工程)と、4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解して5価のバナジウムイオン溶液を得ると同時に、4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で還元電解して2価のバナジウムイオン溶液を得る電解工程とを備える。本願において、「バナジウムイオン溶液」というときは、バナジウムイオンの価数に主眼をおいた場合に用い、「バナジウム電解液」というときは、二次電池で用いられる充放電流体という意味で用いている。以下、詳しく説明する。
<準備工程>
準備工程は、4価のバナジウムイオン溶液を準備する工程である。準備された4価のバナジウムイオン溶液は、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素を合計0.4質量%未満含有する。アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素は、4価のバナジウムイオン溶液中では不純物元素として存在するので、できるだけ少ない方が好ましく、その含有量は合計0.4質量%未満である。なお、4価のバナジウムイオン溶液中には、本発明の効果を妨げない範囲内で、3価のバナジウムイオンが含まれていてもよい。
(不純物元素の含有量)
不純物元素の含有量が合計0.4質量%未満の4価のバナジウムイオン溶液を後述する電解工程で電解して得たバナジウム電解液は、後述する電解工程で電解して得たバナジウム電解液の不純物が少なく、そのバナジウム電解液を二次電池に使用して充放電を繰り返した場合であっても、不純物に由来したスラッジの発生を防ぐことができる。一方、その含有量が0.4質量%以上の4価のバナジウムイオン溶液は、後述する電解工程で電解して得たバナジウム電解液の不純物がやや多くなり、そのバナジウム電解液を二次電池に使用して充放電を繰り返した場合に、不純物に由来したスラッジが発生し易くなる。なお、不純物元素は完全に無くすことはできず、通常、0.05質量%程度は少なくとも含まれる。バナジウムイオン溶液に含まれる不純物元素の含有量は、原子吸光光度法、蛍光X線分析法、イオンクロマトグラフィー、ICP質量分析法等で得た結果から求めることができる。
バナジウムイオン溶液は、酸化硫酸バナジウム(IV)水和物(VOSO・nHO)を硫酸水溶液中に溶解して調製される。酸化硫酸バナジウム水和物は、表1に示すように、純度が99.5質量%以上であり、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、酸化ケイ素及び酸化クロムから選ばれる1又は2以上の不純物化合物が合計0.5質量%未満のものを用いることが好ましい。上記したバナジウムイオン溶液中の不純物元素濃度(0.4質量%)と異なるのは、ここでの不純物化合物は酸化物を構成しているためである。こうした酸化硫酸バナジウム水和物は、市販のものを購入して用いてもよいし、純度のやや低い酸化硫酸バナジウム水和物を再結晶、濾過、蒸留等の操作により精製して用いてもよい。なお、硫酸バナジウム水和物に含まれる不純物化合物の同定と含有量は、蛍光X線分析法、イオンクロマトグラフィー、ICP質量分析法等で得た結果から求めることができる。
Figure 2013054921
(バナジウムイオン濃度)
バナジウムイオン溶液は、所定の濃度に調整された硫酸水溶液を撹拌しながら、その硫酸水溶液中に所定量の酸化硫酸バナジウム水和物を徐々に加えて調製される。バナジウムイオン溶液中のバナジウムイオン濃度は、1.5mol/L以上4mol/L以下の範囲であることが好ましい。バナジウムイオン濃度をこの範囲にすることにより、充放電効率のよい高濃度のバナジウム電解液を製造できる。特にバナジウムイオン濃度が3mol/L以上4mol/L以下の範囲の高濃度のバナジウム電解液は、電極に十分な量のイオンを供給できるので、一般的な循環型のフロー電池用電解液として、また、非循環型のノンフロー電池用電解液として好ましく用いることができる。
バナジウムイオン濃度が1.5mol/L未満のバナジウム電解液では、放電時の電流密度が小さく、レドックス電池の電解液として不十分であり、一方、バナジウムイオン濃度が4mol/Lを超えると、電解液中にバナジウム化合物が析出し易くなる。なお、バナジウムイオン溶液中のバナジウムイオン含有量は、蛍光X線分析法、イオンクロマトグラフィー、ICP質量分析法、原子吸光光度法等で得た結果から求めることができる。
(硫酸濃度)
硫酸水溶液は、硫酸と水とで調製されたものであり、水は、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水等が好ましく用いられる。調製された硫酸水溶液は予め脱気され、溶存酸素をできるだけ除去したものであることが好ましい。バナジウムイオン溶液中の硫酸濃度は、0.5mol/L以上6.5mol/L以下であることが好ましい。この範囲の硫酸濃度は、バナジウムイオン溶液の総量を考慮して調整される。硫酸濃度をこの範囲にすることにより、酸化硫酸バナジウム水和物を溶解でき、充放電効率のよい高濃度のバナジウム電解液を製造できる。硫酸濃度が0.5mol/L未満では、酸化硫酸バナジウム水和物の溶解が不十分になることがあり、一方、硫酸濃度が6.5mol/Lを超える場合も、酸化硫酸バナジウム水和物の溶解が不十分になることがある。なお、バナジウムイオン溶液中の硫酸濃度は、酸化硫酸バナジウム水和物を容易に溶解でき、且つ十分な電解液性能を確保できる観点からは、2.5mol/L以上6.5mol/L以下の範囲であることが好ましい。
バナジウムイオン溶液には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記した含有量の不純物元素の他、他のイオンや元素が含まれていてもよい。
(溶存酸素)
溶存酸素は、調製された4価のバナジウムイオン溶液中に0.1ppm以下であることが好ましい。この範囲の溶存酸素を含むバナジウムイオン溶液は、後述する電解工程時及び二次電池の充放電時のいずれの場合においても、過酸化物等のスラッジを発生させたり、溶存酸素の限界電流等による電流効率が低下したりする等の問題が起こりにくいという利点がある。一方、溶存酸素が0.1ppmを超えると、電解工程や二次電池の充放電時に、正極側では過酸化状態になって過酸化バナジウム等のスラッジが発生し易くなり、また、負極側では溶存酸素の限界電流等による電流効率の低下が起きやすくなって、正極と負極の酸化還元反応のバランスが崩れ、スラッジを生成する原因となる。なお、溶存酸素の好ましい範囲は、バナジウムイオン溶液中に0.05ppm以下の場合であり、この範囲で、上記した過酸化物等のスラッジの発生や、溶存酸素の限界電流等による電流効率の低下がより生じにくくなる。
バナジウムイオン溶液中の溶存酸素を0.1ppm以下、好ましくは0.05ppm以下とするためには、溶解、撹拌等の調製作業を不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を挙げることができる。なお、溶存酸素の濃度は、隔膜式溶存酸素計によって測定した結果である。
溶存酸素の除去方法は、液中の溶存酸素をできる限り除去する手段であれば特に限定されず、各種の方法を適用できる。例えば、密閉容器内を減圧して溶液中の溶存酸素を除去する減圧脱気法、液中に投入したノズルから不活性ガスをバブリングして液中の溶存酸素を除去するバブリング脱気法、脱気膜を用いて溶存酸素を除去する脱気膜法等を挙げることができる。こうした各種の脱気法は、硫酸水溶液、バナジウムイオン溶液、バナジウム電解液のそれぞれに対して行うことができる。また、溶液若しくは電解液の保管時、溶液調製の際の撹拌時、後述する電解工程時、フロー型電池での使用時等の場合には、脱気法を循環時に併せて行うことが好ましい。こうすることで、空気の巻き込みによる溶存酸素の上昇を防ぐことができ、それぞれの溶液に対して少なくとも0.1ppm以下、好ましくは0.05ppm以下にすることにより、上記効果を実効的なものとすることができる。
(調製例)
バナジウム電解液の調製例を以下に説明するが、以下の例は一例であって、その方法に限定されない。また、目標液量とは、得ようとする液量のことをいい、目標濃度とは、得ようとする濃度のことをいう。結晶水量とは、硫酸バナジウム水和物に含まれる水和物のことである。
電解対象となるバナジウムイオン溶液は、やや少なめの量の酸化硫酸バナジウム水溶液を準備し、その酸化硫酸バナジウム水溶液に硫酸水溶液を投入し、これに純水を加えて目標液量の溶液を調製して得ることができる。
先ず、結晶水量を考慮したうえで、1.5mol/L以上4.0mol/L以下の目標濃度にするために必要な量の酸化硫酸バナジウム水和物を秤量し、溶解用容器に入れる。次いで、その溶解用容器に、被電解溶液であるバナジウムイオン溶液32,42の目標液量の50%〜70%、好ましくは60%程度となるように純水を投入し、撹拌する。次いで、撹拌しながら、バナジウムイオン溶液32,42の目標液量の70%〜90%、好ましくは80%程度になるように純水を投入する。こうして、酸化硫酸バナジウム水和物の全量を溶解した酸化硫酸バナジウム水溶液を準備する。この水溶液の色は、透明な濃い青色であった。
次に、最終的に得られる被電解溶液であるバナジウムイオン溶液32,42中の硫酸濃度が0.5mol/L以上6.5mol/L以下になるのに必要な量の硫酸を秤量する。秤量された硫酸を、バナジウムイオン溶液32,42の目標液量の10%以下、又は15%以下の程度の量になるように水で希釈調整した硫酸水溶液を準備する。例えばバナジウムイオン溶液32,42が目標液量の80%である場合は、目標液量の10〜15%程度の硫酸水溶液を準備し、バナジウムイオン溶液32,42を撹拌しながら、そのバナジウムイオン溶液32,42中に硫酸水溶液を少量ずつ加え、さらにその後に純水を加えて目標液量に調整することが好ましい。なお、酸化硫酸バナジウム水溶液に硫酸水溶液を一気に加えた場合は、不溶物が生成し易いことがある。用いる水は、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水等が好ましく用いられる。準備された硫酸水溶液は予め脱気され、溶存酸素をできるだけ除去したものであることが好ましい。
以上のように、この準備工程では、不純物元素の合計が0.4質量%未満で溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備するので、準備されたバナジウム溶液は不純物と溶存酸素が少なく、スラッジの発生を著しく抑えることができるバナジウム電解液の原料溶液として好ましく用いることができる。
<電解工程>
電解工程は、図1及び図2に示すように、4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解して5価のバナジウムイオン溶液を得ると同時に、4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で還元電解して2価のバナジウムイオン溶液を得る工程である。
図2は、本発明に係るバナジウム電解液の製造方法で用いる電解装置の一例を示している。図2に示す電解装置1は、第1電解セル11と、第2電解セル21と、第1循環槽31と、第2循環槽41と、第3循環槽51と、不活性ガス供給装置61とで少なくとも構成されている。この電解装置1では、不活性ガス供給装置61からの不活性ガスを常に第1循環槽31内と第2循環槽41内に供給してバブリングし、電解中及び電解後のバナジウムイオン溶液中の溶存酸素を0.1ppm以下、好ましくは0.05ppm以下としている。
第1電解セル11は、バナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行うための電解セルである。詳しくは、4価のバナジウムイオン溶液を酸化して5価のバナジウムイオン溶液にするための正極13を備えた酸化電解室15と、4価又は3価のバナジウムイオン溶液を還元して3価又は2価のバナジウムイオン溶液にするための負極14を備えた還元電解室16と、酸化電解室15と還元電解室16とを仕切る隔膜12とで構成されている。
なお、第1電解セル11はPVC等の樹脂材料で形成され、正極13と負極14は炭素材料等で形成されていることが好ましい。隔膜12はイオン交換膜が用いられる。この隔膜12は、水素イオンは通すがバナジウムイオンは通さないイオン交換膜であればよく、電解が行われると正極13の酸化反応により生成した水素イオンがイオン交換膜を通過して酸化電解室15から還元電解室16に移動し、酸化電解室15中のバナジウムイオン溶液と還元電解室16中のバナジウムイオン溶液との電気的なバランスを保つ。
正極13と負極14には、電源17から一定電流が印加され、正極13ではV4+→V5+に酸化し、負極14ではV4+→V3+又はV3+→V2+に還元する。このとき、酸化と還元は同じ電気当量で行われるので、同量の酸化と還元が行われる。なお、電気当量とは、酸化還元反応について、1モル当量の酸化又は還元反応を引き起こす電子の移動量を電荷量で表したものである。
正極13と負極14で印加する電解電流は、使用する隔膜12の種類によっても若干異なるが、例えば0.5〜20mA/cm程度、好ましくは0.5〜7mA/cmの定電流を上記電流密度で印加して酸化と還元を行う。こうした低い電流密度で定電流電解することにより、電極面で均等な電気分解を達成でき、局部的に大電流が流れるのを防ぐことができる。その結果、正極13側では過酸化状態になるのを防いで過酸化バナジウム等のスラッジが発生するのを防ぐことができ、負極14側でもスラッジが発生するのを防ぐことができる。なお、こうした低い一定電流での定電流電解時の電圧は、通常、0.8〜1.45Vの範囲で行い、上限を1.45Vとして行うことが好ましい。この範囲で良好な酸化電解と還元電解を行うことができる。
なお、一定電流を加えると、4価のバナジウムイオン溶液はその溶液状態(例えバナジウムイオンの状態等)が変化してくる。そのため、その状態変化に応じて所定の電流密度を印加することができる。そうした電流密度は、溶液の量や状態によって異なるが、例えば、スラッジを防いだり電流効率を考慮したりすること等により、適した電流密度に段階的に変化させて印加してもよい。
安定な酸化と還元を行うように、正極13と負極14との間の酸化還元電位をリアルタイムで測定し、電解反応を制御することが好ましい。例えば、2mA/cmの定電流電解を行った場合、酸化還元電位が0.8〜1.45Vの範囲内では安定な酸化と還元が各電極13,14で行われているが、例えば電解電圧が0.8V未満となる場合は、そもそも電流密度が低すぎて十分な電解反応が進行しないことがある。そのため、電解電圧が0.8V未満の場合は、電流密度を上げて電解電圧を0.8V以上にすることが望ましい。一方、電解電圧が1.45Vを超えるような場合は、電流密度が高くなりすぎるので、電流密度を下げて電解電圧が1.45Vを超えないようにすることが望ましい。電解電圧が1.45Vを超えてしまうと、バナジウムイオン溶液を構成する水の電気分解が起きて酸素と水素が発生することがある。
具体的には、酸化電解室15でのバナジウムイオン溶液32の電解を、例えば2mA/cmの定電流電解で行うと、最初は各バナジウムイオン溶液で酸化(4価→5価)と還元(4価→3価、2価)が十分に行われるので電解電圧が低い値を示すが、電解が進行して酸化(4価→5価)と還元(4価→3価、2価)がほぼ終わりに近づいてくると、内部抵抗が増大するのと同じになって、酸化還元電位が上昇するようになる。そして、酸化電解は、酸化電解室15の正極13での酸化電位として+1100mVを上限とし、その電圧に到達するまで継続して行われる。一方、還元電解は、還元電解室16の負極14での還元電位として−350mVを上限とし、その電圧に到達するまで継続して行われる。本発明の製造方法では、酸化電解(4価→5価)を第1電解セル11の1段で行い、還元電解(4価→3価、2価)を第1電解セル11と第2電解セル21の2段で行うので、酸化(4価→5価)と還元(4価→3価、2価)がほぼ同時に終わる。そのため、それぞれの上限(酸化電位:+1100mV、還元電位:−350mV)に到達するタイミングもほぼ同じであり、電解後の5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液では、それぞれの価数のバナジウムイオンを当量生成させることができる。
なお、電解電圧がそれぞれの上限(酸化電位:+1100mV、還元電位:−350mV)に近づいてきた場合は、当初の電流密度を下げ、例えば2mA/cmから1.5mA/cm又は1mA/cmに下げて、電解電圧を下げ、さらに電解を行うことができる。こうすることで、未だ酸化又は還元し尽くしていない4価のバナジウムイオンを全て5価又は2価のバナジウムイオンとすることができる。
このように、酸化還元電位をリアルタイムで測定し、電解電流を制御して定電流電解することが好ましい。そうした測定は、ORP(酸化還元電位)計68で行うことが好ましい。OPR計は、酸化還元可逆平衡状態にある水溶液に標準水素電極と白金電極を挿入して1つの可逆電池を構成し、その溶液の酸化還元平衡状態に応じて一定の電位差を検出する原理によって測定する装置である。ORP計68は、図2に示すように、酸化電解室15にバナジウムイオン溶液32を流入させるために設けられた循環配管34の途中と、還元電解室16にバナジウムイオン溶液42を流入させるために設けられた循環配管44の途中に設けられる。このORP計68は、交換できるように着脱可能に設けられていることが好ましい。
第1電解セル11を循環通過するバナジウムイオン溶液の流速は、小さい方が好ましく、例えば0.4〜1mL/秒・cmとすることが好ましい。第1電解セル11を低流速で循環通過することにより、バナジウムイオンの酸化又は還元を効率的に行うことができる。なお、第1電解セル11の厚さは特に限定されないが、例えば5〜10mm程度で得あり、その薄い厚さのセル内を通過する間に、全面に設けられた正極13と負極14との間で効率的にバナジウムイオンが酸化又は還元される。
第2電解セル21は、バナジウムイオンの酸化を第1電解セル11での酸化と同じ電気量で行うための電解セルであり、バナジウムイオン溶液以外の電解液を酸化するための正極23を備えた酸化電解室25と、4価又は3価のバナジウムイオン溶液を還元して3価又は2価のバナジウムイオンにするための負極24を備えた還元電解室26と、酸化電解室25と還元電解室26とを仕切る隔膜22とで構成されている。なお、第1電解セル11の場合と同様、第2電解セル21はPVC等の樹脂材料で形成され、隔膜22はイオン交換膜が用いられ、正極23と負極24は炭素材料又は金属バナジウム等で形成されていることが好ましい。
この第2電解セル21は、酸化電解室25を循環させる電解液が、バナジウムイオン溶液ではなく、他の電解液である。そうした電解液としては、一般的な電解液を適用でき、例えば硫酸ナトリウム溶液、硫酸カリウム溶液、リン酸ナトリウム溶液、リン酸カリウム溶液等を用いることができる。特に、硫酸ナトリウム溶液を用いることが好ましい。第2電解セル21は、酸化電解室25をこうした電解液の酸化反応室とし、一方の還元電解室26を第1電解セル11との間で循環するバナジウムイオン溶液中のバナジウムイオンを還元させる還元反応室としている。こうして構成した第2電解セル21を設けることによって、バナジウム電解液を構成する5価のバナジウムイオンと2価のバナジウムイオンとを同時に同量得ることを可能にしている。
正極23と負極24には、電源27から一定電流が印加され、正極23ではバナジウムイオン溶液以外の電解液を酸化し、負極24ではV4+→V3+又はV3+→V2+に還元する。このとき、酸化と還元は同じ電気当量で行われるので、同量の酸化と還元が行われる。
正極23と負極24でも、第1電解セル11の場合と同様、例えば0.5〜20mA/cm程度、好ましくは0.5〜7mA/cmの低電流密度を印加して酸化と還元を行う。こうした低電流密度で電解することにより、局部的に大電流が流れるのを防ぐことができ、スラッジが発生するのを防ぐことができる。なお、こうした低い一定電流での定電流電解時の電流値、電圧値の設定や制御は、第1電解セル11の説明欄で説明したのと同様であり、酸化還元電位の測定及びその作用効果、さらに第2電解セル21内の循環流速についても、上記した第1電解セル11の場合と同じである。
このように、第1電解セル11ではバナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行い、第2電解セル21ではバナジウムイオンのみの酸化を第1電解セル11での酸化と同じ電気量で行うので、第1電解セル11の正極13でのバナジウムイオンの酸化反応の2倍の電気量と、第1電解セル11の負極14でのバナジウムイオンの還元反応及び第2電解セルの負極でのバナジウムイオンの還元反応の合計電気量とが同じになる。その結果、この電解工程では、第1電解セル11の正極13で4価のバナジウムイオン溶液を5価のバナジウムイオン溶液に酸化でき、第1電解セル11の負極14と第2電解セル21の負極24で4価のバナジウムイオン溶液を3価のバナジウムイオン溶液とし、さらに2価のバナジウムイオン溶液に還元することができる。
第1循環槽31は、第1電解セル11の酸化電解室15で酸化反応に供されるバナジウムイオン溶液(4価と5価のバナジウムイオンが混在する溶液)を循環させるための循環槽である。また、第2循環槽41は、第1電解セル11の還元電解室16及び第2電解セル21の還元電解室26で還元反応に供されるバナジウムイオン溶液(4価と3価と2価のバナジウムイオンが混在する溶液)を循環させるための循環槽である。
第1循環槽31と第2循環槽41は、循環させる溶液は異なるものの、その構成は同じものにすることができる。例えば図2に示すように、一定量の容積を持つ第1循環槽31と第2循環槽41中にバナジウムイオン溶液32,42を所定量入れ、槽内でオーバーフローする仕切板33,43を備えている。各循環槽31,41には、液面センサ62,63、温度センサ64、その他のセンサ65、リーク弁66、攪拌器67、等が必要に応じて設けられている。また、各循環槽31,41には不活性ガスが注入され、全体を不活性ガス雰囲気にするとともに、バブリングによってバナジウムイオン溶液に混入する可能性がある溶存酸素の脱気を常時行っている。
バナジウムイオン溶液32,42の循環は、図2の例では、循環ポンプ73,74がバナジウムイオン溶液32,42を循環配管34,44を経由して第1電解セル11側に送る。第1電解セル11に送られたバナジウムイオン溶液のうち、酸化電解セル15に送られるバナジウムイオン溶液32は、第1電解セル11の酸化電解室15で酸化された後に再び第1循環槽31に戻る。一方、第1電解セル11に送られたバナジウムイオン溶液のうち、還元電解セル16に送られるバナジウムイオン溶液42は、第1電解セル11の還元電解室16で還元された後、さらに第2電解セル21の還元電解室26で還元され、その後に第2循環槽41に戻る。
なお、符号71,72は必要に応じて設けられる流量計であり、符号76は必要に応じて設けられる補助ポンプであり、符号77,78は準備された4価のバナジウムイオン溶液を第1循環槽31と第2循環槽41にそれぞれ送るためのポンプである。
第3循環槽51は、第2電解セル21の酸化電解室25で酸化反応に供されるバナジウムイオン溶液以外の電解液52を循環させるための循環槽であり、その電解液52は循環ポンプ75で第2電解セル21の酸化電解室25内に送られる。
こうして構成された本発明に係るバナジウム電解液の製造方法及びその製造方法を実施する電解装置1によれば、不純物元素の合計が0.4質量%未満で溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備し、さらにそのバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解及び還元電解して5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得るので、得られたバナジウム電解液は不純物と溶存酸素が少なく、スラッジの発生を著しく抑えることができる。その結果、酸化還元反応の効率を向上させることができるバナジウム電解液を提供できる。また、この発明によれば、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を同時に同量得ることができるので、効率的にバナジウム電解液を製造できる。
(各電解工程)
電解工程は、上記した定電流電解工程であってもよいし、定電圧電解工程であってもよいし、最初に定電流で電解を行い、その後に定電圧で電解を行う複合電解工程であってもよい。
定電流電解は、一定電流を印加して酸化と還元を行う電解手段であり、上記のように、例えば0.5〜20mA/cm程度、好ましくは0.5〜7mA/cmの定電流を印加することにより、電極面で均等な電気分解を達成でき、局部的に大電流が流れるのを防ぐことができる。その結果、正極13側では過酸化状態になるのを防いで過酸化バナジウム等のスラッジが発生するのを防ぐことができ、負極14側でもスラッジが発生するのを防ぐことができる。こうした低い一定電流での定電流電解時の電圧は、通常、0.8〜1.45Vの範囲で行い、上限を1.45Vとして行うことが好ましい。
定電圧電解は、一定電圧を印加して酸化と還元を行う電解手段であり、例えば0.8〜1.45Vの範囲内の定電圧を印加することにより、定電流電解と同様、電極面で均等な電気分解を達成でき、局部的に大電流が流れるのを防ぐことができる。その結果、正極13側では過酸化状態になるのを防いで過酸化バナジウム等のスラッジが発生するのを防ぐことができ、負極14側でもスラッジが発生するのを防ぐことができる。その定電圧の値は、流れる電流密度が、0.5〜20mA/cm程度、好ましくは0.5〜7mA/cmの低い電流密度になるように上記範囲から設定される。なお、一定電圧を加えると、4価のバナジウムイオン溶液はその溶液状態(例えバナジウムイオンの状態等)が変化してくる。そのため、その状態変化に応じて流れる電流密度が変化する可能性があるので、適した電圧を段階的に変化させて印加してもよい。
複合電解工程は、最初に定電流で電解(第1電解工程)を行い、その後に定電圧で電解(第2電解工程)を行う工程である。以下、この複合電解工程を詳しく説明する。
第1電解工程は、定電流で電解する工程であり、具体的には、図3(A)(C)に示すように一の定電流を印加する工程、又は、図3(B)(D)に示すように段階的に増した2以上の定電流を順次印加する工程である。こうした定電流電解は、例えば定電流値として、比較的低い例えば1〜3mA/cmの電流密度(絶対値)に設定することにより、電解初期のスラッジの発生を抑制した状態でのバナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)と還元反応(4価又は3価から2価)を進めることができる。
また、段階的に増した2以上の定電流を順次印加することにより、酸化電解と還元電解の効率を高めることができる。例えば、図3(B)(D)に示すように、初期の1段目の電流密度を1〜3mA/cmの程度とし、次の2段目の電流密度を3〜6mA/cmの程度に増すことができる。また、例えば、初期の1段目の電流密度を1〜2mA/cmの程度とし、次の2段目の電流密度を2〜4mA/cmの程度に増し、次の3段目の電流密度を4〜6mA/cmの程度に増すことができる。これらの例は2段階と3段階であるが、さらに4段階以上で行ってもよい。このような段階的に電流密度を増すことにより、スラッジの発生を抑制しつつ、酸化電解と還元電解の効率を高めて電解時間を短縮することができる。
なお、段階的に増す電流密度は、増す前の電流密度よりも少なくとも0.5mA/cm以上大きくすることが好ましく、電解時間の短縮の観点からは1.0mA/cm以上大きくすることが好ましい。本願中又は図面中では、段階的に増す定電流値を「範囲」で示している関係で、段階的に増す前後で電流密度の範囲が一部重なっている表記になっている。しかし、段階的に増した後の電流密度は、前記のように増す前の電流密度よりも少なくとも0.5mA/cm以上大きいので、実際には重ならない。
第1電解工程で最初に印加する電流値は、電流密度で1〜3mA/cmの程度であることが好ましい。この範囲内の電流密度を印加することにより、電解中又は電解後のスラッジの発生を抑制することができる。電流密度が1mA/cm未満では、酸化又は還元に費やされる電気量が小さく、電解時間が極めて長くなってしまう。一方、電流密度が3mA/cmを超えると、初期段階でスラッジが発生してしまい、その後に効果的に酸化又は還元を行うことの妨げになってしまう。
定電流電解を1段で行う場合は、1〜3mA/cmの範囲内の電流密度を最初から最後まで定電流電解で印加する。一方、定電流電解を2段以上で行う場合は、最初に印加する1〜3mA/cmの範囲内の電流密度を定電流電解で印加し、その後に上記したように段階的に増した電流密度を定電流電解で印加する。このとき、最大の電流密度は、4〜6mA/cmの範囲内とすることが望ましい。この範囲内の電流密度を最大値とすることにより、定電流電解でのスラッジの発生を抑制することができる。例えば、電流密度が6mA/cmを超えると、スラッジが発生し易く、もしスラッジが発生した場合は、その後に効果的に酸化と還元を行うことの妨げになってしまう。
第2電解工程は、定電圧で電解する工程であり、具体的には、図3(A)(B)に示すように1の定電圧を印加する、又は、図3(C)(D)に示すように段階的に増した2以上の定電圧を順次印加する。こうした定電圧電解は、例えば、第1電解工程での定電流電解から第2電解工程での定電圧電解に切り替えた後の電極間電圧を、例えば1.40V〜1.55Vの範囲内の一定の電圧値に設定することにより、切り替え直後のスラッジの発生を抑制した状態でのバナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)と還元反応(4価又は3価から2価)を進めることができる。
また、段階的に増した2以上の定電圧を順次印加することにより、バナジウムイオン溶液32に含まれるバナジウムイオンを可能な限り5価に酸化できるとともに、バナジウムイオン溶液42に含まれるバナジウムイオンを可能な限り2価に還元でき、酸化電解又は還元電解の効率を高めることができる。例えば、図3(C)(D)に示すように、定電流電解から定電圧電解に切替直後の1段目の電極間電圧を1.40V〜1.50Vの程度とし、次の2段目の電極間電圧を1.45〜1.55Vの程度に増すことができる。また、例えば、切替直後の1段目の電極間電圧を1.40V〜1.45Vの程度とし、次の2段目の電極間電圧を1.45〜1.50Vの程度とし、次の3段目の電極間電圧を1.50V〜1.55Vの程度とすることができる。これらの例は2段階と3段階であるが、さらに4段階以上で行ってもよい。このような段階的に電極間電圧を増すことにより、スラッジの発生を極力抑制した状態でのバナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)又は還元反応(4価又は3価から2価)をより一層進めることができる。なお、段階的に増す電極間電圧は、増す前の電極間電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きくしたものであることが好ましい。
なお、段階的に増す電極間電圧は、増す前の電極間電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きい。本願中又は図面中では、段階的に増す定電圧値を「範囲」で示している関係で、段階的に増す前後で電極間電圧の範囲が一部重なっている表記になっている。しかし、段階的に増した後の電極間電圧は、前記のように増す前の電極間電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きいので、実際には重ならない。
第2電解工程で定電圧電解に切り替えた後に最初に印加する電極間電圧は、1.40V〜1.50Vの程度であることが好ましい。この範囲内の電極間電圧を印加することにより、電解中又は電解後のスラッジの発生を極力抑制した状態で酸化反応又は還元反応を進めることができる。この1.40V〜1.50Vの程度の電極間電圧は、上記した第1電解工程の定電流電解において、電極間電圧のリミッタ電圧として通常設定されている。したがって、例えば2mA/cmの電流密度で定電流電解を行っている途中で抵抗成分が増して仮にリミッタ電圧(例えば1.40V)に到達した場合は、電極間電圧は1.40Vを超えず、電流値が低下することになる。なお、「リミッタ電圧」とは、一定電流を流す定電流電解時に抵抗成分が増すと、その電流値を継続して流そうとして電圧が自動的に上昇することが起こらないように、一定の電圧(リミッタ電圧)を限度として設定した電圧のことである。したがって、定電流電解中に抵抗成分が増してリミッタ電圧に達した場合は、電流値が低下する。
第2電解工程で最初に印加する電極間電圧は、定電流電解時にリミッタ電圧が設定されていない場合には、その切替時点での電極間電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きいことが好ましい。0.2V〜0.5Vの範囲内で大きくした電極間電圧を印加して定電圧電解することにより、スラッジの発生を極力抑制した状態で酸化反応又は還元反応を進めることができる。0.2V未満しか大きくしない電極間電圧を加えた場合は、酸化反応又は還元反応を十分に進めることができるということができない。また、0.5Vを超えて大きくした電極間電圧を加えた場合は、電流値が一時的に大きくなって局部的な酸化反応又は還元反応が起こり、スラッジが発生し易い状況になることがある。
また、最初に印加する電極間電圧は、定電流電解時にリミッタ電圧が設定されているがその切替時点での電極間電圧がリミッタ電圧に到達していない場合には、上記同様である。すなわち、印加する電極間電圧は、その切替時点での電極間電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きいことが好ましい。それ以外は上記同様であるので説明は省略する。
また、最初に印加する電極間電圧は、定電流電解時にリミッタ電圧が設定されており且つその切替時点でリミッタ電圧に到達している場合は、そのリミッタ電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きいことが好ましい。それ以外は上記同様であるので説明は省略する。
本発明では、リミッタ電圧は、通常、1.35V〜1.50Vの範囲内に設定し、好ましくは1.40V〜1.45Vの範囲内に設定している。したがって、第2電解工程で最初に印加する電極間電圧は、リミッタ電圧よりも0.2V〜0.5Vの範囲内で大きく、通常、1.37V〜1.55Vの範囲内であり、好ましくは1.40V〜1.50Vの範囲内となる。バナジウムの酸化電位の最大値は約+1250mV(参照電極:銀−塩化銀電極。本願において同じ。)であり、バナジウムの還元電位の最大値は−400mVであり、したがって、バナジウムの酸化還元電位の最大幅は約1650mVである。こうした電位窓の酸化還元電位を持つバナジウムの電解において、定電流電解でのリミッタ電圧を1.35V〜1.50Vの範囲内とし、好ましくは1.40V〜1.45Vの範囲内とすることは、バナジウムの酸化又は還元を行う上で適当な範囲であるということができる。そのリミッタ電圧を1.35V未満とした場合は、まだ定電流電解で十分に電解することができる余地を残しているということができるので、リミッタ電圧を1.35V以上、好ましくは1.40V以上にしてもよい。一方、リミッタ電圧を1.50Vを超えるようにした場合は、バナジウムの酸化電位の最大値に近づいているので、定電流電解で十分に電解した状態になっているということができ、定電圧電解に切り替えてもよい電圧といってもよい。
定電圧電解解を1段で行う場合は、上記した切り替え後に最初に印加する上記範囲(通常1.37V〜1.55Vの範囲内、好ましくは1.40V〜1.50Vの範囲内)の電極間電圧を最初から最後まで定電圧電解で印加する。一方、定電圧電解を2段以上で行う場合は、最初に印加する前記範囲の電極間電圧を定電圧電解で印加し、その後に上記した0.2V〜0.5Vの範囲内で大きくした電極間電圧を定電圧電解で印加する。このように、電極間電圧を、例えばバナジウムイオンの酸化還元電位により近づけた電圧で行うことができるので、第1電解工程で酸化しきれずに残存した4価のバナジウムイオンを5価のバナジウムイオンとすることができ、又は還元しきれずに残存した3価のバナジウムイオンを2価のバナジウムイオンとすることができる。こうした手段により、スラッジの発生を抑えた高濃度のバナジウム電解液を必要なだけ効率良く製造することができる。
次に、定電流電解から定電圧電解への切替タイミングについて説明する。第1電解工程での定電流電解と第2電解工程での定電圧電解は、酸化還元電位をモニタリングしながら行い、具体的には、以下の(A)又は(B)のタイミングで定電流電解から定電圧電解に切り替えることが好ましい。本願では、酸化還元電位は銀−塩化銀電極を参照電極とした場合の電位で表している。また、酸化還元電位のモニタリングの対象は、5価のバナジウムイオンを得るための酸化電解の場合は、作用電極である陽極であり、2価のバナジウムイオンを得るための酸化電解の場合は、作用電極である陰極である。
(A)陽極又は陰極に印加する初期の電流密度(絶対値)を1〜3mA/cmの範囲内で定電流電解を行い、陽極の酸化還元電位が+600mV〜+1100mVの範囲内に到達したとき又は陰極の酸化還元電位が+300mV〜−200mVの範囲内に到達したときに、定電圧電解に切り替える、又は、
(B)陽極又は陰極に印加する初期の電流密度(絶対値)を1〜3mA/cmの範囲内で定電流電解を行い、陽極の酸化還元電位が+600mV〜+850mVの範囲内に到達したとき又は陰極の酸化還元電位が+300mV〜±0mVの範囲内に到達したときに、電流密度(絶対値)を3〜6mA/cmの範囲内に引き上げてさらに定電流電解を行い、陽極の酸化還元電位が+850mV〜+1100mVの範囲内に到達したとき又は陰極の酸化還元電位が±0mV〜−200mVの範囲内に到達したときに、定電圧電解に切り替える。
バナジウムイオン溶液32,42を定電流電解し始めた酸化還元電位は、通常、+450mV前後である。定電流電解を行いながら上記(A)(B)のタイミングで定電流電解から定電圧電解に切り替えることにより、初期電流を比較的低い電流密度で印加して電解初期のスラッジの発生を抑えることができる。また、電流値を段階的に増した定電流電解を上記(B)のタイミングで行うことにより、酸化電解又は還元電解の効率を高めることができる。
(A)(B)において、陽極の酸化還元電位が約+450mV程度から+600mVに到達する前、及び、陰極の酸化還元電位が約+450mV程度から+300mVに到達する前は、バナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)又は還元反応(4価又は3価から2価)がまだ十分に進んでいないので、その段階で定電圧電解に切り替えるのは未だ早く、不効率で電解時間も長くなってしまう。電解が十分に進んでいない段階で定電圧電解に切り換えると、その定電圧を維持するための電解電流が大きく跳ね上がり、スラッジ発生の原因になる。
また、(A)(B)において、陽極の酸化還元電位が+1100mVを超えた場合、及び、陰極の酸化還元電位が−200mVを超えた場合は、バナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)又は還元反応(4価又は3価から2価)が十分に進み、抵抗成分が増してリミッタ電圧に達して電流値が低下していることが考えられる。そのため、その値を超える前に定電圧電解に切り替えることは、酸化反応で酸化しきれずに残存した4価のバナジウムイオンを5価のバナジウムイオンに、又は還元反応で還元しきれずに残存した3価のバナジウムイオンを2価のバナジウムイオンにするのに有利である。
また、(B)の途中で段階的に切り替える酸化還元電位を、陽極の酸化還元電位として+850mVとし、陰極の酸化還元電位として±0mVとしている。この酸化還元電位では、1〜3mA/cmの範囲の電流密度でのバナジウムイオンの酸化反応(4価から5価)又は還元反応(4価又は3価から2価)が比較的進んでいることが多い。その結果、その酸化還元電位で電流密度を3〜6mA/cmの範囲に高くすることにより、スラッジの発生を抑制した状態で、効率的な電解を行って電解時間を短縮することができる。
次に、定電圧電解とその切替タイミングについて説明する。第2電解工程での定電圧電解は、酸化還元電位をモニタリングしながら行い、具体的には、以下の(a)又は(b)のタイミングで電極間電圧を段階的に増すように切り替えることが好ましい。
(a)定電流電解から定電圧電解に切り替える場合、陽極又は陰極に印加する電極間電圧を1.40V〜1.50Vの範囲内で第1の定電圧電解を行い、その第1の定電圧電解中に電流密度が0.2〜1mA/cm(絶対値)の範囲内まで低下したときに、電極間電圧を0.2V〜0.5Vの範囲内で増した第2の定電圧電解を行う、又は、
(b)定電流電解から定電圧電解に切り替える場合、陽極又は陰極に印加する電極間電圧を1.40V〜1.50Vの範囲内で第1の定電圧電解を行い、その第1の定電圧電解中に電流密度が0.2〜1mA/cm(絶対値)の範囲内まで低下したときに、電極間電圧を0.2V〜0.5Vの範囲内で増した第2の定電圧電解を行い、その第2の定電圧電解中に電流密度が0.2〜1mA/cm(絶対値)の範囲内まで低下したときに、電極間電圧を0.2V〜0.5Vの範囲内で増した第3の定電圧電解を行う。
(a)(b)では、定電流電解から定電圧電解への切り替えは、上記した(A)(B)で説明した切替タイミングで行う。その切替によって、1.40V〜1.50Vの範囲内で第1の定電圧電解を行う。この(a)(b)で定電流電解から定電圧電解に切り替える場合の電極間電圧を1.40V〜1.50Vの範囲内とした理由については、上記した「リミッタ電圧」の説明箇所で説明したのと同様である。ここではその説明を一部省略するが、本発明では、リミッタ電圧をとして、通常、1.35V〜1.50Vの範囲内に設定し、好ましくは1.40V〜1.45Vの範囲内に設定している。そのため、第2電解工程で最初に印加する電極間電圧は、定電流電解時のリミッタ電圧よりも0.2V〜0.5V大きい電圧値であることが好ましく、通常、1.37V〜1.55Vの範囲内であり、好ましくは1.40V〜1.50Vの範囲内となる。これらの数値範囲の理由は、上記した「リミッタ電圧」の説明箇所で説明したのと同様である。
また、(a)(b)での切替タイミングは、いずれも、定電圧電解中に電流密度が0.2〜1mA/cm(絶対値)の範囲内まで低下したときに、電極間電圧を0.2V〜0.5Vの範囲内で増した定電圧電解を行うことに特徴がある。すなわち、定電圧電解中に電流密度が0.2〜1mA/cm(絶対値)の範囲内まで低下したときに、電極間電圧を0.2V〜0.5Vの範囲内で増した次の定電圧電解を行う。したがって、電極間電圧を上記の範囲で増した段階的な定電圧電解は、2段階でも3段階でもそれ以上であってもよい。電極間電圧を0.2V〜0.5Vの範囲で行うことにより、切り替え直後の電流値が局部的に上昇するのに基づいたスラッジの発生を抑えることができる。電極間電圧が0.2V未満では、電極間電圧があまり変化せず、酸化又は還元しきれないバナジウムイオンの酸化又は還元を十分に進めることができず、電解時間が長くなって効率的でない。一方、電極間電圧が0.5Vを超えると、切り替え直後の電流値が局部的に上昇することがあり、その局部的な上昇に基づいたスラッジの発生を抑えることができる。
また、電流密度が0.2〜1mA/cm(絶対値)の範囲内まで低下したときを切替タイミングとして次の段階の電極間電圧を印加するようにしたのは、0.2mA/cm(絶対値)未満の電流密度まで低下したまま放置したのでは、酸化又は還元しきれないバナジウムイオンの酸化又は還元を十分に進めることができず、電解時間が長くなって効率的でない。一方、電流密度が1mA/cm(絶対値)まで下がりきらずに次の電極間電圧を印加したのでは、酸化又は還元しきれないバナジウムイオンの酸化又は還元が進んでいるのを中断することになり、また、再度高い電極間電圧を印加して電解を進めることによってスラッジの発生のおそれがあるからである。
こうした第2電解工程は、酸化還元電位をモニタリングしながら上記した(a)又は(b)のタイミングで電圧値を段階的に増すので、切り替え直後の電流値の上昇に基づいたスラッジの発生を抑えることができる。また、電圧値を段階的に増した定電圧電解を上記(b)のタイミングで行うので、バナジウムイオン溶液32に含まれるバナジウムイオンを可能な限り5価に酸化できるとともに、バナジウムイオン溶液42に含まれるバナジウムイオンを可能な限り2価に還元でき、酸化電解と還元電解の効率を高めることができる。
正極と負極には電源から一定電流が印加される。正極と負極に印加される電解電流(電流密度)は、使用する隔膜の種類によっても若干異なるが、上記したように、初期の電流密度は1〜3mA/cmの程度であることが好ましく、その後に増した電流密度は3〜6mA/cmの程度であることが好ましい。こうした低い電流密度で初期の定電流電解を行い、必要に応じて上記電流密度の範囲に増して定電流電解を行うことにより、電極面で均等な電気分解を達成でき、局部的に大電流が流れるのを防ぐことができる。その結果、正極側では過酸化状態になるのを防いで過酸化バナジウム等のスラッジが発生するのを防ぐことができる。なお、こうした低い一定電流での定電流電解時の電極間電圧は、通常、約1.40V以下程度で行われる。そのため、通常、リミッタ電圧は、上記のように、1.35V〜1.50Vの範囲内、好ましくは1.40V〜1.45Vの範囲内に設定されている。本発明では、この範囲で良好な酸化電解と還元電解を行うことができる。
本発明では、安定な酸化と還元を行うように、正極と負極との間の酸化還元電位をリアルタイムで測定し、電解反応を上記した(A)(B)のように制御していることにも特徴がある。リアルタイムで測定した酸化還元電位は、初期の電流密度を段階的に高める場合の目安にしたり、定電流電解から定電圧電解への切替タイミングの目安にしたりすることができる。そうした測定は、ORP(酸化還元電位)計で行うことが好ましい。ORPは、酸化還元可逆平衡状態にある水溶液に銀−塩化銀電極(標準水素電極に対する参照電極)と白金電極(カウンター電極)とを挿入して1つの可逆電池を構成し、その溶液の酸化還元平衡状態に応じて一定の電位差を検出する原理によって測定する装置である。
第1電解工程と第2電解工程とで構成される電解工程は、少なくともバナジウムイオン溶液32,42を反応セルと循環槽との間で循環させながら行うことができる。バナジウムイオン溶液32,42を循環させる流量は、拡散圧や浸透圧による液のクロスオーバーが起きない範囲で設定される。その流量は特に限定されないが、隔膜有効面積を考慮して設定され、例えば0.4mL/min・cm以上、1mL/min・cm以下の程度とすることができる。また、酸化還元電解が進行すると、電極表面の近傍で反応種が減少し易くなって内部抵抗の増大に繋がる。そのため、状況によってはバナジウムイオン溶液32,42を循環させてもよい。また、バナジウムイオン溶液32,42を循環させる場合は、酸化還元電解が進行するにしたがって、バナジウムイオン溶液32,42を循環させる流量を段階的に大きくしてもよい。
以上説明したように、複合電解工程は、その第1電解工程が最初に比較的低い電流密度、例えば2mA/cmで定電流電解で行うので、電極面で均等な電気分解を達成してスラッジの発生を防ぐことができる。そして、電解が進行するにしたがって、必要に応じて電流密度を段階的に大きくするので、スラッジの発生を防ぎつつ、より効率良く電解を進行させることができる。なお、第1電解工程の初期段階では、バナジウムイオン溶液32中のバナジウムイオンの酸化(4価→5価)とバナジウムイオン溶液42中のバナジウムイオンの還元(4価又は3価→2価)の進行に伴って、電極間電圧が徐々に上昇し、酸化還元電位も徐々に変化する。その後、さらに電解が進行して酸化(4価→5価)又は還元(3価→2価)が進むと、酸化と還元しきれないバナジウムイオンの酸化と還元を十分に進めることができず、電解時間が長くなって効率的でない。そのため、定電流電解から定電圧電解に切り替えたり、定電圧電解に切り替えたりした後の定電圧電解を段階的に増して行う。こうすることにより、バナジウムイオン溶液32に含まれるバナジウムイオンを可能な限り5価に酸化でき、バナジウムイオン溶液42に含まれるバナジウムイオンを可能な限り2価に還元することができる。こうした手段により、スラッジの発生を抑えた高濃度のバナジウム電解液を必要なだけ効率良く製造することができる。
この製造方法により得られたバナジウム電解液は、例えばレドックスフロー電池用電解液に好ましく用いることができるとともに、レドックスノンフロー電池用電解液としても好ましく用いることができる。
<その他>
本発明に係るバナジウム電解液の製造方法における応用例、変形例としては、例えば、第1電解セル11と、第1循環槽31及び第2循環槽41とで、レドックスフロー電池に用いる電解セルをそのまま用いることもできる。
[バナジウム電解液]
本発明に係るバナジウム電解液は、上記したバナジウム電解液の製造方法で製造されたものであって、(A)アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の1.5mol/L〜4mol/Lの5価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液、及び、(B)アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の1.5mol/L〜4mol/Lの2価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液、であることに特徴がある。
5価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液は、酸化還元電位が+1100mV程度であり、高濃度なバナジウム電解液であるので、レドックスフロー電池の電解液としてだけでなく、非循環型のノンフローレドックス電池の電解液として用いることもできる。一方、2価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液は、酸化還元電位が−350mV程度であり、高濃度なバナジウム電解液であるので、レドックスフロー電池の電解液としてだけでなく、非循環型のノンフローレドックス電池の電解液として用いることもできる。
これらの発明に係るバナジウム電解液は、不純物元素の合計が0.4質量%未満で溶存酸素が0.1ppm以下の高濃度バナジウム電解液であるので、高濃度溶液であってもスラッジの発生を著しく抑えることができる。その結果、酸化還元反応の効率をより向上させることができ、例えばレドックスフロー電池用のバナジウム電解液に好ましく用いることができるとともに、レドックスノンフロー電池用のバナジウム電解液としても好ましく用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
純度が99.5質量%以上の酸化硫酸バナジウム(IV)水和物950gを1mol/Lの希硫酸水溶液に溶解して1Lの4価のバナジウムイオン溶液を調製した。こうして得られた4価のバナジウムイオン溶液のバナジウムイオン濃度は2.7mol/Lである。このバナジウムイオン溶液を、酸化電解用の第1循環槽31と還元電解用の第2循環槽41に入れ、その後、窒素ガスを注入させるとともに、槽内で窒素ガスをバブリングさせて、バナジウムイオン溶液中の溶存酸素を0.02ppmを上限として管理した。一方、硫酸ナトリウムを用い、純水に溶解して3mol/Lの硫酸ナトリウム溶液を1L調製した。この硫酸ナトリウム溶液を第3循環槽51に入れた。
第1循環槽31、第2循環槽41及び第3循環槽51に入れた各溶液を、図2に示すように、循環ポンプ73,74,75で循環させた。酸化電解用の第1循環槽31内の4価のバナジウムイオン溶液32は、第1電解セル11の酸化電解室15を循環し、還元電解用の第2循環槽41内の4価のバナジウムイオン溶液42は、第1電解セル11の還元電解室16と第2電解セル21の還元電解室26とを循環し、第3循環槽51内の硫酸ナトリウム溶液52は、第2電解セル21の酸化電解室25を循環するようにした。
第1電解セル11の正極13と負極14間に1.5mA/cmの定電流密度を印加し、さらに第2電解セル21の正極23と負極24間に1.5mA/cmの定電流密度を印加して、両電解セル11,21で酸化還元電解を行った。このときの電解電圧は当初は低く、電解が進むにしたがって上昇した。電圧値の上昇に伴い電流密度を下げ、最終的に、酸化還元電位が正極で+1100mVになり、負極で−350mVになり、電流密度が0.2mA/cmまで低下させたときを終点とした。第1循環槽31には、V+5の特徴である黄色の透明液からなる5価のバナジウムイオン溶液が得られた。また、第2循環槽41には、V+2の特徴である紫の透明液からなる2価のバナジウムイオン溶液が得られた。いずれのバナジウムイオン溶液も、2.7mol/Lのバナジウムイオン濃度であることを確認した。
[実施例2]
実施例1において、溶存酸素の濃度を0.1ppmを上限として管理した他は、実施例1と同様にして、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得た。
[実施例3]
実施例1において、酸化硫酸バナジウム水和物の配合量を調整して、バナジウムイオン濃度が4mol/Lになるように調製した他は、実施例1と同様にして、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得た。
[実施例4]
実施例1〜3で得られた5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を用いて循環型のレドックスフロー電池を構成した。循環時でも窒素ガスをバブリングさせて溶存酸素の濃度が0.02ppmを超えないように管理した。
[実施例5]
実施例1〜3で得られた5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を用いて非循環のレドックスノンフロー電池を構成した。二次電池の電解セルは、空気の混入がないように密閉し、溶存酸素の濃度が当初の濃度を超えないように管理した。
[比較例1]
実施例1において、第1電解セル11は用いたが第2電解セル21は用いない電解装置を構成し、それ以外は実施例1と同様にして、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得た。
[比較例2]
実施例1において、純度が95質量%の酸化硫酸バナジウム(IV)水和物を用いた他は、実施例1と同様にして、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得た。
[比較例3]
実施例1において、溶存酸素の濃度を0.1ppmを超える程度に管理した他は、実施例1と同様にして、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得た。
[比較例4]
実施例1において、電解を30mA/cmの定電流条件で行った他は、実施例1と同様にして、5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を得た。
[比較例5]
比較例2〜4で得られた5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を用いて循環型のレドックスフロー電池を構成した。循環時は窒素ガス雰囲気にしなかった。
[比較例6]
比較例2〜4で得られた5価のバナジウムイオン溶液と2価のバナジウムイオン溶液を用いて非循環のレドックスノンフロー電池を構成した。二次電池の電解セルは、空気の混入がないように密閉し、溶存酸素の濃度が当初の濃度を超えないように管理した。
[結果]
実施例1〜3で得られたバナジウムイオン溶液では、スラッジが生成しなかった。また、実施例1〜3で得られたバナジウムイオン溶液を実施例4,5の各二次電池に適用して充放電を繰り返しても、スラッジが生成しなかった。
一方、比較例1では、5価と2価のバナジウムイオン溶液を得る電解が進行すると、徐々に電流が流れにくくなり、最終的には、正極では過酸化物であるスラッジが発生し、両極で気体が発生した。このとき、正極液は黄色を呈して5価のバナジウムイオン溶液になっていたが、陰極液は紫色を呈することはなく、5価のバナジウムイオンと当量の2価のバナジウムイオンが生成されていなかった。このときの電解液の酸化還元電位を測定したところ、正極液は+1100mVであったが、負極液は−230mVであった。正極液が+1100mVであるにもかかわらず、負極液が−230mVしかなかったことは、正極では酸化(4価→5価)が十分に行われたが、負極では還元(4価→3価,2価)が十分に行われなかったことを意味している。得られた電解液を比較例5のレドックスフロー電池に用いたところ、実施例1の場合よりも放電時間が短く、出力電流が理論値の1/10であった。
また、比較例2〜4で得られたバナジウムイオン溶液では、スラッジが生成した。また、比較例2〜4で得られたバナジウムイオン溶液を比較例5,6の各二次電池に適用して充放電を繰り返すと、スラッジが生成した。
[実施例6]
実施例1で調製したバナジウムイオン溶液32,42を用いた。そのバナジウムイオン溶液32,42を、実施例1と同じ電解装置(図2参照)に投入して循環し、溶存酸素が0.1ppm以下、通常は0.05ppm以下になるように脱気しながら酸化還元電解を行った。隔壁12にはアニオン交換膜を用い、電極(正極13及び負極14)は、有効面積が縦16cm×横16cmのカーボン電極を用いた。バナジウムイオン溶液32,42を循環させる流量は、隔膜有効面積1cmあたりの流量として0.4mL/min・cmとした。なお、これらも実施例1と同じである。
電解工程の第1ステップとして、正極13と負極14との間に2mA/cmの電流密度を印加して定電流電解を行った。このときの定電流電解は、電極間電圧のリミッタ電圧を1.40Vとして行った。電解工程は、正極13の酸化還元電位と負極14の酸化還元電位をORP計(図3中の符号68。商品名:PH−SD、ORP−SOTA、ハウザー製、株式会社佐藤商事、参照電極:銀−塩化銀電極)でモニタリングしながら行った。正極13の酸化還元電位は、電解当初は約+450mVであったが、時間の経過と共に上昇した。一方、負極14の酸化還元電位も電解当初は約+450mVであったが、時間の経過と共にマイナス側に移行した。切替タイミングは、正極13の酸化還元電位が+600mVに達した時点、又は、負極14の酸化還元電位が+150mVに到達した時点で行い、第2ステップとして電流密度を4mA/cmに変化させた。変化させた後の正極13の酸化還元電位は、時間の経過と共にさらに上昇し、負極14の酸化還元電位は、時間の経過と共にさらにマイナス側に移行した。
正極13の酸化還元電位が+800mVに達した時点、又は、負極14の酸化還元電位が±0mVに達した時点で、第3ステップとして、電極間電圧を1.40Vとした定電圧電解に切り替えた。なお、この切り替え時点での電極間電圧は、未だリミッタ電圧(1.40V)に達していなかった。1.40Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下し、一方、正極13の酸化還元電位は徐々に上昇し、負極14の酸化還元電位は徐々にマイナス側に移行した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cmになった時点(併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位が+900mVに達していたか、又は、負極14の酸化還元電位が−100mVに達していた。)で、第4ステップとして電解電圧を1.45Vに切り替えた。1.45Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cmになった時点(併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位が+1000mVに達していたか、又は、負極14の酸化還元電位が−200mVに達していた。)で、第5ステップとして電解電圧を1.50Vに切り替えた。1.50Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cm以下になり、且つ併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位が+1100mVに達した時点、又は、負極14の酸化還元電位が−350mVに達した時点を終点とした。
こうして、バナジウムイオン溶液32,42から、5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液と2価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液を製造した。5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液は、V5+の特徴である黄色の透明液であった。一方、2価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液は、V2+の特徴である青紫色の透明液であった。これらのバナジウム電解液に含まれるバナジウムイオン濃度を原子吸光光度法で測定したところ、いずれも2.7mol/Lであることを確認した。製造された両方のバナジウム電解液には、スラッジが発生していなかった。
[実施例7]
実施例6の第1電解工程において、正極13と負極14との間に3mA/cmの電流密度を印加して定電流電解を行った。このときの定電流電解も、電極間電圧のリミッタ電圧を1.40Vとして行った。正極13の酸化還元電位は、電解当初は約+450mVであったが、時間の経過と共に上昇した。一方、負極14の酸化還元電位も電解当初は約+450mVであったが、時間の経過と共にマイナス側に移行した。正極13の酸化還元電位が+800mVに達した時点、又は、負極14の酸化還元電位が−50mVに達した時点で、第2ステップとして、電極間電圧を1.40Vとした定電圧電解に切り替えた。それ以降は、実施例1の第2電解工程と同じ条件で段階的な定電圧電解を行った。こうして、バナジウムイオン溶液32から5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液と、バナジウムイオン溶液42から2価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液とを製造した。製造されたバナジウム電解液には、スラッジが発生していなかった。
[実施例8]
実施例6の第1電解工程において、正極13と負極14との間に2mA/cmの電流密度を印加して定電流電解を行った。このときの定電流電解も、電極間電圧のリミッタ電圧を1.40Vとして行った。正極13の酸化還元電位は、電解当初は約+450mVであったが、時間の経過と共に上昇した。一方、負極14の酸化還元電位も電解当初は約+450mVであったが、時間の経過と共にマイナス側に移行した。正極13の酸化還元電位が+800mVに達した時点、又は、負極14の酸化還元電位が±0mVに達した時点で、第2ステップとして、電極間電圧を1.50Vとした定電圧電解に切り替えた。1.50Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cm以下になり、且つ併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位は+1100mVに達した時点、又は、負極14の酸化還元電位が−300mVに達した時点を終点とした。この実施例8では、定電流電解を1段階とし、定電圧電解も1段階とした。こうして、バナジウムイオン溶液32から5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液と、バナジウムイオン溶液42から2価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液とを製造した。製造されたバナジウム電解液には、スラッジが発生していなかった。
[実施例9]
実施例6の第1電解工程において、正極13の酸化還元電位が+800mVに達した時点又は負極14の酸化還元電位が±0mVに達した時点で、第3ステップとして、電極間電圧を1.45Vとした定電圧電解に切り替えた。なお、この切り替え時点での電極間電圧は、ほぼリミッタ電圧(1.40V)に近い値であった。1.45Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下し、一方、正極13の酸化還元電位は徐々に上昇し、負極14の酸化還元電位は徐々にマイナス側に移行した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cmになった時点(併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位が+1000mVに達していた、又は負極14の酸化還元電位が−200mVに達していた。)で、第4ステップとして電解電圧を1.55Vに切り替えた。1.55Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cm以下になり、且つ併せてモニタリングしている酸化還元電位が+1100mVに達した時点又は負極14の酸化還元電位が−350mVに達した時点を終点とした。それ以外は、実施例6と同様にして、バナジウムイオン溶液32から5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液と、バナジウムイオン溶液42から2価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液とを製造した。製造されたバナジウム電解液には、スラッジが発生していなかった。
[実施例10]
実施例6の第1電解工程において、正極13の酸化還元電位が+800mVに達した時点又は負極14の酸化還元電位が±0mVに達した時点で、第3ステップとして、電極間電圧を1.45Vとした定電圧電解に切り替えた。なお、この切り替え時点での電極間電圧は、ほぼリミッタ電圧(1.40V)に近い値であった。1.45Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下し、一方、正極13の酸化還元電位は徐々に上昇し、負極14の酸化還元電位は徐々にマイナス側に移行した。その電流値が電流密度換算で1mA/cmを下回った時点(併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位が+950mVに達していた、又は負極14の酸化還元電位が−150mVに達していた。)で、第4ステップとして電解電圧を1.50Vに切り替えた。1.50Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で1mA/cmを下回った時点(併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位は+1050mVに達していた、又は負極14の酸化還元電位が−250mVに達していた。)で、第5ステップとして電解電圧を1.52Vに切り替えた。1.52Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で1mA/cmを下回った時点(併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位は+1100mVに達していた、又は負極14の酸化還元電位が−300mVに達していた。)で、第6ステップとして電解電圧を1.54Vに切り替えた。1.54Vでの定電圧電解は、時間の経過と共に電流値が徐々に低下した。その電流値が電流密度換算で0.2mA/cm以下になり、且つ併せてモニタリングしている正極13の酸化還元電位が+1150mVに達した時点又は負極14の酸化還元電位が−350mVに達した時点を終点とした。
それ以外は、実施例6と同様にして、バナジウムイオン溶液32から5価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液と、バナジウムイオン溶液42から2価のバナジウムイオンを含有するバナジウム電解液とを製造した。製造されたバナジウム電解液には、スラッジが発生していなかった。
1 電解装置
11 第1電解セル
12 隔膜
13 正極
14 負極
15 酸化電解室
16 還元電解室
17 電解電源
21 第2電解セル
22 隔膜
23 正極
24 負極
25 酸化電解室
26 還元電解室
27 電解電源
31 第1循環槽
32 バナジウムイオン溶液
33 仕切板
34 循環配管
41 第2循環槽
42 バナジウムイオン溶液
43 仕切板
44 循環配管
51 第3循環槽
52 電解液
53 循環配管
61 不活性ガス供給装置
62,63 液面センサ
64 温度センサ
65 その他のセンサ
66 リーク弁
67 攪拌器
68 ORP計
71,72 流量計
73,74,75 循環ポンプ
76 補助ポンプ
77,78 ポンプ

Claims (9)

  1. アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の4価のバナジウムイオン溶液を準備する準備工程と、
    前記4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で酸化電解して5価のバナジウムイオン溶液を得ると同時に、前記4価のバナジウムイオン溶液を脱気雰囲気で還元電解して2価のバナジウムイオン溶液を得る電解工程と、を備えることを特徴とするバナジウム電解液の製造方法。
  2. 前記電解工程での脱気雰囲気は、不活性ガスを流しつつ前記バナジウムイオン溶液中でバブリングさせる、請求項1に記載のバナジウム電解液の製造方法。
  3. 前記電解工程が第1電解セルと第2電解セルとを有し、前記第1電解セルでは前記バナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行い、前記第2電解セルでは前記バナジウムイオンのみの酸化を前記第1電解セルでの酸化と同じ電気量で行う、請求項1又は2に記載のバナジウム電解液の製造方法。
  4. 前記第2電解セルでの酸化電解は、バナジウムイオン溶液以外の電解液で行う、請求項3に記載のバナジウム電解液の製造方法。
  5. 前記4価のバナジウムイオン溶液を、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化鉄、酸化ケイ素及び酸化クロムのうち1又は2以上が合計0.5質量%未満の酸化硫酸バナジウム水和物を溶解した硫酸水溶液を脱気して得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバナジウム電解液の製造方法。
  6. 前記電解工程は、定電流電解工程、定電圧電解工程、又は、定電流電解工程と該定電流電解工程後に定電圧電解工程とを有する複合電解工程、のいずれかである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバナジウム電解液の製造方法。
  7. バナジウムイオンの酸化及び還元を同じ電気量で行うための第1電解セルと、バナジウムイオンの酸化を前記第1電解セルでの酸化と同じ電気量で行うための第2電解セルと、前記第1電解セルが備える酸化電解室で酸化反応に供されるバナジウムイオン溶液を循環させるための第1循環槽と、前記第1電解セルが備える還元電解室及び前記第2電解セルが備える還元電解室で還元反応に供されるバナジウムイオン溶液を循環させるための第2循環槽と、前記第2電解セルが備える酸化電解室で酸化反応に供されるバナジウムイオン溶液以外の電解液を循環させるための第3循環槽と、不活性ガスを前記第1循環槽内と前記第2循環槽内に供給するための不活性ガス供給装置と、で少なくとも構成されていることを特徴とするバナジウム電解液の製造装置。
  8. アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の1.5mol/L〜4mol/Lの5価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液であることを特徴とするバナジウム電解液。
  9. アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、鉄、ケイ素及びクロムのうち1又は2以上の元素が合計0.4質量%未満であり、溶存酸素が0.1ppm以下の1.5mol/L〜4mol/Lの2価のバナジウムイオン含有硫酸水溶液であることを特徴とするバナジウム電解液。
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