JP2014235946A - 電解液及びレドックスフロー電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー密度が高く、かつ高温及び低温で長期間安定な電解液、及びそれを用いたレドックスフロー電池を提供することを目的とする。【解決手段】水と、バナジウムイオンと、アニオン界面活性剤と、を含む、電解液。【選択図】なし

Description

本発明は、電解液及びそれを用いたレドックスフロー電池に関する。
近年、世界的に自然由来のエネルギー源への転換が進んでいる。同時に自然由来のエネルギーを一時貯蔵するための大容量蓄電池の必要性が高まっている。大容量蓄電池として必要な安全性と耐久性を兼ね備えた蓄電池として、近年最も有望視されているものがレドックスフロー電池である。
レドックスフロー電池は、隔膜と、隔膜を介して対向する正極電極及び負極電極からなるセルに正極電解液及び負極電解液をそれぞれ供給して充放電を行う。電解液には、酸化還元により価数が変化する金属イオンを活物質として、これを含有する水溶液が一般的に使用されている。例えば、正極電解液に鉄イオン水溶液、負極電解液にクロムイオン水溶液を用いた鉄−クロム系レドックスフロー電池の他、正負極の電解液にバナジウムイオン水溶液を用いたバナジウム系レドックスフロー電池がよく知られている。
ここでレドックスフロー電池の正極電解液と負極電解液の金属イオンは、隔膜を介して微量ながら相互に透過することから、例えば鉄−クロム系レドックスフロー電池など、正極電解液と負極電解液の金属イオンが異なる場合は、電池の容量が低下してしまう。一方、バナジウム系レドックスフロー電池は、正極電解液と負極電解液の金属イオンが等しい為、電池の容量が低下しないという利点があり、レドックスフロー電池の中でも最も重要視されている。
レドックスフロー電池の課題は、エネルギー密度を向上させることである。例えばバナジウム系レドックスフロー電池のエネルギー密度は、リチウムイオン二次電池と比較すると約1/10、亜鉛−臭素電池と比較すると約1/4である。
レドックスフロー電池のエネルギー密度を向上させる為、例えば特許文献1に挙げるように、正極電解液及び負極電解液中に溶存している金属イオンの濃度を向上させる方法が提案されている。
特開平08−064223号公報
しかしながら、電解液中のバナジウムイオン濃度を高めると、電解液中のバナジウムイオンが化合物となって析出するという課題がある。具体的には、5価のバナジウムイオンを含む電解液においては、温度が50℃程度に上昇した際にバナジウム化合物が電解液中に析出する。また、2価、3価、又は4価のバナジウムイオンを含む電解液においては、温度が−5℃程度に低下した際にバナジウム化合物が電解液中に析出する。
上記のバナジウムイオンの析出を防止するため、例えば特許文献1では、保護コロイド剤やリン酸などを電解液に添加し、析出発生の速度を遅らせている。しかし、特許文献1に記載の手法を用いても、高温状態や、バナジウムイオンの濃度が高い時など、厳しい条件では、バナジウム化合物を析出させずに電解液の安定化を実現することは困難である。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、エネルギー密度が高く、かつ高温及び低温で長期間安定な電解液、及びそれを用いたレドックスフロー電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、電解液に特定の界面活性剤を加えることで、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、下記のとおりである。
〔1〕
水と、バナジウムイオンと、アニオン界面活性剤と、を含む、電解液。
〔2〕
前記アニオン界面活性剤が、スルホン酸型界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、及びリン酸エステル型界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種である、前項〔1〕に記載の電解液。
〔3〕
前記バナジウムイオンのモル濃度が、2.0mol/Lを超える、前項〔1〕又は〔2〕に記載の電解液。
〔4〕
前記アニオン界面活性剤のアニオン当量濃度が、前記バナジウムイオンのモル濃度の0.0001倍以上1倍以下である、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の電解液。
〔5〕
前記アニオン界面活性剤の他に、アニオン性物質を少なくとも1種類含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の電解液。
〔6〕
前記アニオン性物質のモル濃度が、前記バナジウムイオンのモル濃度の10倍以下である、前項〔5〕に記載の電解液。
〔7〕
前項〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の電解液を含む、レドックスフロー電池。
本発明によれば、エネルギー密度が高く、かつ高温及び低温で長期間安定な電解液、及びそれを用いたレドックスフロー電池を提供することができる。
実施例で用いた電解装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下「本実施の形態」ともいう。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔電解液〕
本実施の形態に係る電解液は、
水と、バナジウムイオンと、アニオン界面活性剤と、を含む。
〔水〕
本実施の形態において用いられる水としては、特に限定されないが、例えば、蒸留水、イオン交換水を好適に用いることができる。さらに、溶存酸素による酸化の可能性を回避するため、窒素ガスによるバブリングや、真空にて脱気するなどの手段を用い、溶存酸素を減少させた水を用いることが好ましい。
〔バナジウムイオン〕
本実施の形態において用いられるバナジウムイオンのモル濃度は、エネルギー密度を高くする観点から、1.0mol/L以上であることが好ましく、2.0mol/Lを超えることがより好ましく、3.0mol/L以上であることがさらに好ましい。なお、バナジウムイオンのモル濃度の上限は特に限定されないが、10.0mol/L以下が好ましい。なお、本明細書において、バナジウムイオンはバナジルイオンを含む。
本実施の形態に係る電解液中に溶解させるバナジウムイオンの供給源、すなわちバナジウムの原料は、特に限定されないが、水への溶解度が高いという観点から、酸化硫酸バナジウムが好ましい。
〔アニオン界面活性剤〕
本実施の形態において用いられるアニオン界面活性剤は、アニオン性官能基と疎水基とを有する化合物またはその塩からなる界面活性剤である。アニオン界面活性剤のなかでも、アニオン性官能基としてスルホ基を有する化合物又はその塩であるスルホン酸型界面活性剤、アニオン性官能基としてカルボキシ基を有する化合物又はその塩であるカルボン酸型界面活性剤、アニオン性官能基として硫酸エステル基を有する化合物又はその塩である硫酸エステル型界面活性剤、アニオン性官能基としてリン酸エステル基を有する化合物又はその塩であるリン酸エステル型界面活性剤が好ましく、このなかでも、スルホン酸型界面活性剤がより好ましい。このようなアニオン界面活性剤を用いることにより、エネルギー密度がより高く、かつ高温及び低温でより長期間安定な電解液が得られる傾向にある。上記アニオン界面活性剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施の形態において、アニオン界面活性剤のアニオン性官能基にバナジウムイオンが引き寄せられていること、又は結合していることが好ましい。
5価のバナジウムイオンはその強い酸化力により、高温では配位水を酸化する。それが反応の中間生成体となり、最終的に五酸化バナジウムの析出物を発生させる。ここでアニオンが溶液中に存在すると、アニオンの負電荷がバナジウムイオンの正電荷を打ち消す事で酸化力が弱まり、配位水の酸化が起こりにくくなるため、高温でも析出物が発生しにくくなる。同様に、アニオン界面活性剤が溶液中に存在しても、析出物が発生しにくくなる。
一方で2価及び3価及び4価のバナジウムイオンは、バナジウムイオンにアニオンが配位した錯体を溶液中で形成し、低温では錯体同士が凝集して析出物を発生させる。よって、5価のバナジウムを安定化するアニオンは、通常は2価及び3価及び4価のバナジウムイオンの析出物発生防止対策としては不適当である。
アニオン界面活性剤は親水性のアニオン性官能基と、疎水性の部位を有する。アニオン界面活性剤が水溶液中に存在すると、複数の分子により、親水性のアニオン性官能基を外側、疎水性部位を内側にしたミセルを形成する。ここで、アニオン界面活性剤がバナジウムイオンを含む水溶液中に存在すると、バナジウムイオンがアニオン性官能基と結合し、ミセルの外側に固定されるという立体的な障害効果により、バナジウムイオン同士の接触が起こらず、凝集が起こりにくくなるため、低温でも析出物が発生しにくくなる。
このように、アニオン界面活性剤を用いることにより、バナジウムイオン濃度が高い場合でも高温及び低温で長期間安定な電解液を得ることができ、ひいてはエネルギー密度をより向上することができる。
本実施の形態において用いられるアニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸、アルキレンジスルホン酸、ジアルキルサクシネートスルホン酸、モノアルキルサクシネートスルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアリールエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステル、ラウリルリン酸、ラウリル硫酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸からなる群、またはこれらの塩より選択される少なくとも1種が好ましい。
本実施の形態において用いられるアニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、プロトン型と塩型とが挙げられる。なお、プロトン型と塩型の片方を単独で、又は、両者を組み合わせて用いることができる。塩型のアニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム、カリウムなどの金属塩やアンモニウム塩が挙げられる。
本実施の形態において用いられるアニオン界面活性剤は、100cP以下の粘度を有する水分散体であることが好ましく、10cP以下の粘度を有する水分散体であることがより好ましく、1cP以下の粘度を有する水分散体であることがさらに好ましい。このようなアニオン界面活性剤を用いることにより、電解液の粘度が低下し、送液ポンプの圧力損失が低減できるため、送液ポンプの消費電力を低減できるという観点より優れる傾向にある。なお、粘度は、回転型粘度計により測定することができる。
本実施の形態において用いるアニオン性官能基について説明する。なお。本明細書内では、電解液単位体積当たりに含まれるアニオン界面活性剤のアニオン当量を、「アニオン当量濃度」と呼ぶ。アニオン当量濃度の単位は「Eq/L」であり、モル濃度のmol/Lと同じ次元で表される。なお、アニオン当量濃度は実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施の形態において用いられるアニオン界面活性剤のアニオン当量濃度は、バナジウムイオンのモル濃度の1.0倍以下であることが好ましく、0.3倍以下であることがより好ましく、0.1倍以下であることがさらに好ましい。また、アニオン当量濃度は、バナジウムイオンのモル濃度の0.0001倍以上であることが好ましく、0.0005倍以上であることがより好ましく、0.001倍以上であることがさらに好ましく、0.03倍以上であることがよりさらに好ましい。アニオン当量濃度が上記範囲内であることにより、溶液の粘度を適切な範囲とすることができ、送液ポンプによる消費電力をより削減できる傾向にある。
〔アニオン性物質〕
本実施の形態に係る電解液は、アニオン界面活性剤の他に、アニオン性物質を少なくとも1種類含有することが好ましい。アニオン性物質と、アニオン界面活性剤と、を併用することで、さらに溶液中アニオン濃度を高めることができるため、5価のバナジウムイオンの高温安定性を向上することができるという観点より、優れる傾向にある。
本実施の形態において用いられるアニオン性物質としては、特に限定されないが、例えば、硫酸イオン、リン酸イオン、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ素イオンのような無機酸イオン;ギ酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、シュウ酸イオン、アミノ酸イオン、メタンスルホン酸イオン、安息香酸イオン、サリチル酸イオン、マンデル酸イオンなどの有機酸イオンが挙げられる。このなかでも、硫酸イオンを含むことが好ましい。これらアニオン性物質は、1種を単独で用いても、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態において用いられるアニオン性物質のモル濃度は、バナジウムイオンのモル濃度の10倍以下であることが好ましく、5倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましく、2.5倍以下であることがよりさらに好ましく、2倍以下であることがさらにより好ましい。アニオン性物質のモル濃度がバナジウムイオンのモル濃度の10倍以下であることにより、低温においても2価、3価、及び4価バナジウムイオンがより安定する傾向にある。また、アニオン性物質のモル濃度の下限は、特に限定されないが、バナジウムイオンの0倍以上が好ましく、0.5倍以上であることがより好ましく、0.8倍以上であることがさらに好ましい。
上記のアニオン性物質には、電解液のバナジウムの原料として、バナジウムの塩を用いた場合に、水に溶解した際に発生するアニオンも含めるものとする。このようなケースとして、例えば酸化硫酸バナジウムを用いた場合の硫酸イオンが挙げられる。
〔電解液の調製方法〕
本実施の形態に係る電解液の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、上記各成分を所定の温度下、撹拌することで調製することができる。
〔レドックスフロー電池〕
本実施の形態に係るレドックスフロー電池は、上記電解液を含む。本実施形態に係るレドックスフロー電池は、炭素電極からなる正極を含む正極セル室と、炭素電極からなる負極を含む負極セル室と、正極セル室と、負極セル室とを隔離分離させる、隔膜としての電解質膜と、を含む電解槽を有することができる。正極セル室は活物質を含む正極電解液を、負極セル室は活物質を含む負極電解液を含むものである。活物質を含む正極電解液及び負極電解液は、例えば、正極電解液タンク及び負極電解液タンクによって貯蔵され、ポンプ等によって各セル室に供給される。また、レドックスフロー電池によって生じた電流は、交直変換装置を介して、直流から交流に変換されてもよい。
本実施の形態に係るレドックスフロー電池は、正極電解液中に4価若しくは5価のバナジウムイオン、又はその双方の価数のバナジウムイオンが溶存しており、負極電解液に2価若しくは3価のバナジウムイオン、又はその双方の価数のバナジウムイオンが溶存していることが好ましい。電池の充電及び放電が行われるとき、充電時には、正極セル室においては、バナジウムイオンが電子を放出するため4価のバナジウムイオンが5価のバナジウムイオンに酸化され、負極セル室では外路を通じて戻って来た電子により3価のバナジウムイオンが2価のバナジウムイオンに還元される。この酸化還元反応では、正極セル室ではプロトン(H)が過剰になり、一方負極セル室では、プロトン(H)が不足する。隔膜は正極セル室の過剰なプロトンを選択的に負極室に移動させ電気的中性が保たれる。放電時には、この逆の反応が進む。
また、本実施の形態に係るレドックスフロー電池において、バナジウムイオンの価数を除いた溶液の組成が、正極電解液と負極電解液で等しいことが好ましい。これにより、浸透圧により隔膜を透過するイオン量を最小限に抑えることができる。また、電池の充放電や継時変化に伴い、電解液の組成が変化したとしても、元々の正極電解液と負極電解液の組成が等しいため、定期的に正極と負極の液を混合することで、液の組成を元に戻し、充放電や継時変化の影響をリセットすることができる。
以下、本実施の形態を実施例に基づいて具体的に説明するが、本実施の形態は下記実施例に制限されるものではない。
〔アニオン当量濃度の測定方法〕
アニオン当量濃度を、滴定法により定量した。
プロトン型のアニオン界面活性剤の場合、アニオン界面活性剤を純水に溶解し、0.001mol/Lのアニオン界面活性剤溶液を調整した。アニオン界面活性剤溶液を、25℃、飽和NaCl水溶液30mLと混和し、攪拌しながら30分間放置した。次いで、飽和NaCl水溶液中のプロトンを、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いてアニオン界面活性剤溶液を滴定し、アニオン当量濃度を求めた。
塩型のアニオン界面活性剤の場合、塩型アニオン界面活性剤に純水を加えて0.004mol/Lのアニオン界面活性剤溶液を調整した。一方で、塩化ベンゼトニウムに純水を加えて0.04mol/L塩化ベンゼトニウム溶液を調整した。0.04mol/L塩化ベンゼトニウム溶液を用いてアニオン界面活性剤溶液を滴定し、アニオン当量濃度を求めた。
〔実施例1〕
(4価のバナジウムイオンを含む電解液の調製)
100mLメスフラスコに、酸化硫酸バナジウム3.5水和物(新興化学工業社製)を67.8gと、ドデシルベンゼンスルホン酸(東京化成工業社製)9.8gと、蒸留水(和光純薬工業社製)を加えて、全体量を70mLとした。撹拌子を加えて、50℃のウォーターバスで加温しながら30分撹拌し、溶解させた。次いで、撹拌子を除き、36N硫酸(関東化学社製)16.6mLを加え、蒸留水で全体量を100mLにメスアップした。以上の手順により、バナジウムイオン濃度が3mol/L、硫酸イオン濃度が6mol/Lでバナジウムイオン濃度の2倍であり、アニオン界面活性剤のアニオン当量濃度が0.3Eq/Lでバナジウムイオン濃度の0.1倍である、4価のバナジウムイオンを含む電解液100mLを得た。
(5価のバナジウムイオンを含む電解液の調製)
上記と同様の作業を行うことで、4価のバナジウムイオンを含む電解液100mLを得た。それを下記の方法で電解を行い、3価のバナジウムイオンを含む電解液と5価のバナジウムイオンを含む電解液を得た。
(電解方法)
電解条件に詳細に説明する。図1に電解装置の概略図を示す。電解装置は炭素電極からなる正極を含む正極セル室と、炭素電極からなる負極を含む負極セル室と、正極セル室と、負極セル室とを隔離分離させる、隔膜としての電解質膜と、を含むセル1を有する。以下、正極セル室に含まれる電解液を正極電解液、負極セル室に含まれる電解液を負極電解液とする。正極電解液及び負極電解液は、正極電解液タンク2及び負極電解液タンク3によって貯蔵され、送液チューブポンプ4等によって送液チューブ5を介して各セル室に供給される。
電解装置の正極電解液タンク2と、負極電解液タンク3に、4価のバナジウムイオンを含む電解液を50mLずつ供給した。セル1の正極と負極間の電位差をモニタしながら、セル1に定電流50mA/cmを通電し、負極電解液中のバナジウムイオンの4価から3価への還元と、正極電解液中のバナジウムイオンの4価から5価への酸化を行った。電解中、正極及び負極の電解液は送液チューブポンプ4にて50mL/minにて送液チューブ5を介して送液し、正極電解液タンク2及び負極電解液タンク3中には窒素を10mL/minでフローさせた。セル1の正極と負極間の電位差が約1.7V程度になった時点で、液の色を目視で確認すると、負極は濃緑色、正極は赤茶色であった。その時点で正極液を採取し、正極側の電解液から5価のバナジウムイオンを含む電解液を得た。
(析出試験)
(4価のバナジウムイオンを含む電解液)
50mLポリプロピレン製容器内に4価のバナジウムイオンを含む電解液を10mL入れ、−5℃に保持した冷却槽内に60分間静置し、液中の青色の粉もしくは結晶状の析出物発生の有無を調べた。析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。なお、表1では、析出物が発生しなかった場合を○で表し、析出物が発生した場合を×で表す(以下同じ)。
(5価のバナジウムイオンを含む電解液)
50mLポリプロピレン製容器内に5価のバナジウムイオンを含む電解液を10mL入れ、ウォーターバスにて50℃で60分間加温し、赤茶色の粉状の析出物発生の有無を調べた。析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。なお、表1では、析出物が発生しなかった場合を○で表し、析出物が発生した場合を×で表す(以下同じ)。
〔実施例2〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gの代わりに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(和光純薬工業社製)10.5gを加えた以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、どちらも析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔実施例3〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gの代わりに、ラウリルリン酸(BOC Sciences社製)8.0gを加えた以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、どちらも析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔実施例4〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gの代わりに、ラウリル硫酸ナトリウム(関東化学社製)8.6gを加えた以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、どちらも析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔実施例5〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gの代わりに、ラウリン酸(東京化成工業社製)6.0gを加えた以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、どちらも析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔実施例6〕
36N硫酸16.6mLの代わりに、36N硫酸8.3mLと12N塩酸12.5mLを加えた以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、どちらも析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔実施例7〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gの代わりに、ドデシルベンゼンスルホン酸3.3gを加えた以外は、実施例6と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、どちらも析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔比較例1〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gを加えない以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、析出物が発生した。一方、5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、析出物は発生しなかった。その結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ドデシルベンゼンスルホン酸9.8gおよび36N硫酸16.6mLを加えない以外は、実施例1と同様の方法で4価および5価のバナジウムイオンを含む電解液を調整した。4価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、析出物は発生しなかった。一方、5価のバナジウムイオンを含む電解液の析出試験の結果、析出物が発生した。その結果を表1に示す。
実施例1〜7及び比較例1、2の結果から明らかなように、アニオン界面活性剤を添加することで、バナジウムイオン濃度が3mol/Lという高い水準において、4価と5価両方のバナジウム析出物の発生を抑制することができることが確認された。
バナジウム系レドックスフロー電池のエネルギー容量は、バナジウムイオンのモル数に比例する。電解液中のバナジウムイオン濃度が高ければ、体積当たりのバナジウムイオンのモル数が増加するため、エネルギー密度が高いといえる。これにより、本発明に係るアニオン界面活性剤を用いることにより、高いエネルギー密度のバナジウム系レドックスフロー電池が得られることが示された。
本発明に係る電解液は、バナジウム系レドックスフロー電池の電解液として産業上の利用可能性を有する。
1:セル
2:正極電解液タンク
3:負極電解液タンク
4:送液チューブポンプ
5:送液チューブ

Claims (7)

  1. 水と、バナジウムイオンと、アニオン界面活性剤と、を含む、電解液。
  2. 前記アニオン界面活性剤が、スルホン酸型界面活性剤、カルボン酸型界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、及びリン酸エステル型界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の電解液。
  3. 前記バナジウムイオンのモル濃度が、2.0mol/Lを超える、請求項1又は請求項2に記載の電解液。
  4. 前記アニオン界面活性剤のアニオン当量濃度が、前記バナジウムイオンのモル濃度の0.0001倍以上1倍以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解液。
  5. 前記アニオン界面活性剤の他に、アニオン性物質を少なくとも1種類含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電解液。
  6. 前記アニオン性物質のモル濃度が、前記バナジウムイオンのモル濃度の10倍以下である、請求項5に記載の電解液。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電解液を含む、レドックスフロー電池。
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