JP6621584B2 - レドックスフロー電池用電解液およびレドックスフロー電池 - Google Patents

レドックスフロー電池用電解液およびレドックスフロー電池 Download PDF

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Description

本発明は、レドックスフロー電池用電解液に関し、より詳しくは、電池容量が高く、かつ、可逆性の良いレドックスフロー電池用電解液および該電解液を用いたレドックスフロー電池に関する。
レドックスフロー電池は、電力の負荷平準化や瞬間停止対策などとして利用され、新規の電力貯蔵用電池として注目されており、特に、バナジウム塩を活物質にしたレドックスフロー電池が知られている(例えば特許文献1参照)。
一般的に、バナジウム系レドックスフロー電池では、イオン交換膜からなる隔膜を挟んで、カーボン材で作られたフェルト系の正極および負極が電極として用いられ、それぞれの電極と電解液とを包含する形で正極室および負極室がそれぞれ構成され、単セルタイプの電池が形成されている。単セルタイプが複数組み合わされた積層セルタイプの場合、各セル間には正極と負極の集電を兼ねた双極板が用いられる。さらに、前記レドックスフロー電池では、正極電解液を貯留する正極タンクと負極電解液を貯留する負極タンクとが備えられており、正極液を正極用ポンプにより正極室に供給して正極フェルト電極面で正極反応を起こし、また負極液を負極用ポンプにより負極室に供給して負極フェルト電極面で負極反応を起こして放電が行われ、外部に電気が取り出される。一方、充電は、正極液および負極液をそれぞれ正極室および負極室に流しながら、外部から両極に電流を流して行われる。正極および負極での反応式は次の通りになる。
正極:V4+ → V5+ + e-(充電) V4+ ← V5+ + e-(放電)
負極:V3+ + e- → V2+(充電) V3+ + e- ← V2+(放電)
実際には、V4+はVO2+で存在し、V5+ はVO2 +で存在していると推定され、それぞれ水和した状態や硫酸根が配位した状態で存在していると推定される。
このようなバナジウム系レドックスフロー電池は、他の電池に比べて、
1.室温で作動する
2.大変安定でサイクル寿命が長い
3.危険物を使用しないので爆発引火性がない
4.活物質が液体でタンク貯蔵を行うことで蓄電量を大型化しやすい
5.電解液組成を監視することで充放電状態の制御可能
6.イオンが混合しても容易に再生可能である
等の有利な特徴を有している。
しかしながら、バナジウム系レドックスフロー電池のエネルギー密度は、バナジウム系活物質の飽和溶解濃度がさほど高くないこと、および水溶液電解液のために単セルの電池電圧が大きくないことから、他の二次電池と比べて小さい。そのため、大容量電池を構成しようとすると電池システムが非常に大きなものになってしまう。一方、エネルギー密度を改善するために活物質濃度を上げすぎると、充放電で活物質の析出や分解が起こったり、水素発生や酸素発生等の副反応が生じたりして、電池の容量増加にそれほど寄与できないばかりか、サイクル寿命を向上させることができないという問題があった。
また、特許文献2には、コストを下げて充放電効率を高く維持する方法として、レドックス対の負極側の活物質を、硫酸又は硫酸と塩酸の混合液に溶解させたバナジウム2価、3価の溶液で構成し、レドックス対の正極側の活物質を、ハロゲン、ハロゲンイオンの溶液、あるいは塩酸又は塩酸と硫酸の混合液に溶解させた鉄2価、3価の溶液で構成したレドックスフロー電池が記載されている。特許文献2のレドックスフロー電池では、バナジウムの4価、5価イオンのレドックス対を用いていないことから、全体のコストは下がるものの、エネルギー密度の改善には至っていない。
また、特許文献3には、バナジウム電解質の濃度を上げてエネルギー密度を改善する試みとして、正極、負極とも活物質はバナジウムを用いて、電解液に硫酸と塩酸の混合水溶液を用いることで、活物質濃度を上げてエネルギー密度を改善したことが記載されている。しかしながら、実用的には充分なエネルギー密度の改善には至っていない。
上記のとおり、バナジウム系レドックスフロー電池では、実用的には充分なエネルギー密度の改善に至っておらず、また、過充電すると負極側での水素発生や正極側での酸素発生等の副反応が生じ、深い充電を行うと充放電効率が極端に低下してしまうという問題がある。
特開昭62−186473号公報 特開平4−19966号公報 米国特許出願公開第2012/0107660号明細書
本発明の目的は、従来のバナジウム単独のレドックスフロー電池よりもエネルギー密度が高く、かつ、サイクル寿命が長いレドックスフロー電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、活物質としてモリブデン塩を含む酸性水溶液からなる電解液を用いることにより、電池反応を効率的に行い、さらに電池容量を大きく改善することを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、例えば、以下の態様を含む。
[1] 活物質としてモリブデン塩を含有する酸性水溶液からなることを特徴とするレドックスフロー電池用電解液。
[2] 前記モリブデン塩が、Mo3+からなる塩、Mo4+からなる塩、Mo5+からなる塩、Mo6+からなる塩、MoO2 +からなる塩およびMoO2OH+からなる塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、項[1]に記載のレドックスフロー電池用電解液。
[3] 前記酸性水溶液が、硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液、または、硫酸、塩酸および硝酸から選ばれる2種以上を含む混酸水溶液であることを特徴とする、項[1]または[2]に記載のレドックスフロー電池用電解液。
[4] 前記酸性水溶液が、バナジウムイオンからなる塩およびバナジン酸イオンからなる塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のバナジウム塩をさらに含有することを特徴とする、項[1]〜[3]のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液。
[5] 前記モリブデン塩の濃度が、0.2モル/リットル以上5.0モル/リットル以下であることを特徴とする、項[1]〜[4]のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液。
[6] 前記バナジウム塩の濃度が、0.2モル/リットル以上4.0モル/リットル以下であることを特徴とする、項[4]に記載のレドックスフロー電池用電解液。
[7] 前記酸性水溶液の酸濃度が、1.0モル/リットル以上20グラム当量/リットル以下であることを特徴とする、項[1]〜[6]のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液。
[8] 項[1]〜[7]のいずれか1項に記載されたレドックスフロー電池用電解液を含むことを特徴とするレドックスフロー電池。
本発明のレドックスフロー電池は、充放電効率が高く、かつ、エネルギー密度も高いという格別な効果を奏する。
実施例1の初回放電での電圧曲線を時間経過で示したものである。 実施例2の初回放電での電圧曲線を時間経過で示したものである。 比較例1の初回放電での電圧曲線を時間経過で示したものである。 実施例で用いた実験セルの模式図である。
以下、本発明に係るレドックスフロー電池用電解液およびレドックスフロー電池について詳細に説明する。
[レドックスフロー電池用電解液]
本発明のレドックスフロー電池用電解液(以下、単に「本発明の電解液」ともいう。)は、活物質としてモリブデン塩を含有する酸性水溶液からなることを特徴とする。
モリブデン塩としては、特に限定されるものではないが、Mo3+からなる塩、Mo4+からなる塩、Mo5+からなる塩、Mo6+からなる塩、MoO2 +からなる塩およびMoO2OH+からなる塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このようなモリブデン塩の具体例としては、MoCl3、MoCl5、MoO2Cl、MoO2OHCl、MoBr3、MoO2Br、MoO2OHBr等のハロゲン塩、ならびに、Mo(SO43/2、MoO2HSO4、MoO2(SO41/2、MoO2ClSO4、MoO2OH(SO41/2、MoPO4、MoO2NO3等の塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩や炭酸塩などが挙げられる。これらの中では、電解液の安定性の観点から、塩酸塩または硫酸塩または塩酸塩と硫酸塩の混合塩が好ましい。なお、ここでいう塩は、あくまでも酸性水溶液に溶かす活物質の塩の構造であり、必ずしも上記例示物である必要はなく、例えば(NH46Mo724、Na6Mo724、Na2MoO4等のモリブデン酸塩などでもよい。
ここで、モリブデン塩を活物質に用いた時の推定反応を以下に記載する。
正極:Mo5+ → Mo6+ + e-(充電) Mo5+ ← Mo6+ + e-(放電)
負極:Mo5++ 2e-→ Mo3+(充電) Mo5+ + 2e-← Mo3+(放電)
標準の反応電位は、正極で+1.05V程度、負極で+0.09V程度である。両極の電位差はそれほど大きくないが、負極での充放電反応が2電子反応であるため、負極における一度の反応容量は1電子反応の2倍になる。
ここで、充電深度を深くし、電池容量を高く上げるためには、活物質の溶解度が大きいこと、さらにはレドックス反応が1電子反応だけではなく2電子反応も含んでいること、または一つの活物質の酸化還元反応だけに頼らず、複数の活物質を負極または正極または両方に活用し、正極でも負極でも複数の物質が酸化還元反応を行い、かつ電池を稼働中または待機中にイオン交換膜を通過しても電池性能に大きな影響を与えないこと、さらには元の健全な充電状態に容易に復帰できる構成の活物質を選択することが重要である。
このような観点から、本発明の電解液は、活物質として、前記モリブデン塩とともに、バナジウムイオンからなる塩およびバナジン酸イオンからなる塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のバナジウム塩を含有することが、より好ましい。この場合、充電および放電において、モリブデンイオンの酸化還元とバナジウムイオンおよび/またはバナジン酸イオンの酸化還元の両方が利用できる。
バナジウム塩としては、特に限定されないが、例えば、正極用にはバナジウムの4価と5価で酸化還元できる塩が良く、負極ではバナジウムの2価と3価で酸化還元できる塩が好ましい。モリブデンと同じようにバナジウムを溶解する時にはV23のような酸化物の構造などでもよい。
酸性水溶液は、特に限定されないが、硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液、リン酸水溶液または、硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸から選ばれる2種以上を含む混酸水溶液が好ましい。また、活物質としてモリブデン塩とバナジウム塩の混合系を用いる場合、硫酸と塩酸の混合系が活物質を溶解させやすいことから、より好ましい。
本発明の電解液におけるモリブデン塩の濃度は、正極液の場合、好ましくは0.2モル/リットル以上5.0モル/リットル以下、より好ましくは0.5モル/リットル以上4.5モル/リットル以下、特に好ましくは1.0モル/リットル以上4.0モル/リットル以下であり、負極液の場合、好ましくは0.1モル/リットル以上4.0モル/リットル以下、より好ましくは0.2モル/リットル以上3.0モル/リットル以下、特に好ましくは0.5モル/リットル以上2.0モル/リットル以下である。なお、正極液および負極液における前記モリブデン塩の好ましい濃度は、モリブデン塩単独の場合およびモリブデン塩とバナジウム塩の混合系の場合のいずれにおいても同様である。
バナジウム塩を用いた場合、本発明の電解液におけるバナジウム塩の濃度は、好ましくは0.2モル/リットル以上4.0モル/リットル以下、より好ましくは0.4モル/リットル以上3.5モル/リットル以下、特に好ましくは0.5モル/リットル以上3.0モル/リットル以下である。
活物質としてモリブデン塩とバナジウム塩の混合系を用いる場合、モリブデン塩濃度とバナジウム塩濃度の比率は、好ましくは1:3〜2:1の範囲である。
酸性水溶液中における硫酸、塩酸、硝酸等の合計の酸濃度は、好ましくは1.0グラム当量/リットル以上20.0グラム当量/リットル以下、より好ましくは2.0グラム当量/リットル以上15.0グラム当量/リットル以下、特に好ましくは4.0グラム当量/リットル以上12.0グラム当量/リットル以下である。
一般的に、活物質については、なるべく高濃度とすることが好ましく、酸性水溶液については、活物質をよく溶解し、安定で、揮発性が少なく、粘度が低く、電気伝導度が高く維持できるものが好ましい。しかしながら、これらの要因はお互いに関連し、両立できない因子もあるので、レドックスフロー電池の使用環境(温度、電解液タンク設置面積など)や仕様(必要電力、必要容量密度、充放電深度など)に合った条件等を採用すればよい。
レドックスフロー電池の用途が電力貯蔵用であり、かつ、活物質がモリブデン塩単独である場合、活物質の濃度は、1.0モル/リットル以上5.0モル/リットル以下であることが好ましく、酸性水溶液は、硫酸単独または硫酸と塩酸の混酸であることが好ましく、酸濃度は、3グラム当量/リットル以上10グラム当量/リットル以下であることが好ましい。前記用途において、活物質がモリブデン塩とバナジウム塩の混合系である場合、活物質の合計濃度は、2.0モル/リットル以上5.0モル/リットル以下であることが好ましく、酸性水溶液は、硫酸と塩酸の混酸水溶液が好ましく、酸濃度の合計は、3グラム当量/リットル以上10グラム当量/リットル以下であることが好ましい。
上記のような条件を採用することにより、レドックスフロー電池の充放電を繰り返しても、電解液を安定に存在させることができ、電気容量も高く維持することができる。中でも、モリブデン塩とバナジウム塩の混合活物質を硫酸と塩酸の混酸に溶解した系が、電池容量を大きくできてエネルギー密度も高くできることから、特に好ましい。
本発明の電解液は、モリブデン塩を単独で用いる場合、モリブデン塩を酸性水溶液に溶解して調製することができる。例えば、5塩化モリブデンを塩酸と硫酸の混酸にゆっくり溶解して所望の濃度に調整すればよい。電解液の調製に用いるモリブデン塩は、特に限定されないが、入手や取り扱いの容易さ、および電解液の調製のしやすさなどから、5塩化モリブデンを使用することが便利である。
モリブデン塩とバナジウム塩の混合系の電解液の調製方法は、特に限定されないが、例えば、バナジウム系電解液を調製した後、該電解液にモリブデン塩を溶解する方法が挙げられる。バナジウム系電解液の調製方法は、特に限定されないが、例えば特開昭62−186473号公報や特開平5−290871号公報に記載の方法で調製することができ、その他公知の方法で調製してもよい。このようにして混合系の電解液を調製することができるが、溶解順や活物質の対イオンなどは上記方法に限定されるものではない。例えばモリブデン塩は硫酸モリブデンでもよいし、またバナジウム塩は硫酸塩でも塩酸塩でも酸化物塩でもよい。
本発明の電解液には、塩の析出防止や副反応防止の観点から、本発明の効果を損なわない範囲で公知の添加剤を含有させてもよい。
[レドックスフロー電池]
本発明のレドックスフロー電池は、上述した本発明の電解液を含むことを特徴とする。本発明のレドックスフロー電池は、公知の構成を採用することができる(例えば、NTT Building Technology Institute 2004「電力貯蔵システムの最新動向」参照。)。単セルでの電圧は0.9V〜1.4V程度と低いため、単セルを100枚程度積層した電池セルスタックを構成して使用することができる。
正極側および負極側の電解液はセルスタック部と分離して貯蔵可能であり、その場合、電池の使用時に電解液を循環してセルスタックに送ることになる。このとき、ゴムまたはプラスチックのような強酸に侵されない物質で内面を加工したタンクやプラスチックで作製したタンクに電解液を貯蔵し、ポンプによってセルスタック部へ供給を行うことが好ましい。充放電の際にセルスタック部が発熱するため、必要に応じて水冷または空冷式冷却システムを設けることが有効である。
セルの電極に関し、正極は、酸素過電圧が高く、かつ、活物質の酸化還元過電圧が低いものがよく、負極は、水素過電圧が高く、かつ、活物質の酸化還元過電圧が低いものがよい。電極としては、カーボンフェルトのようなカーボン材又はそれを黒鉛化したものを用いることが好ましく、あるいは、食塩電解で用いられているようなチタン若しくはジルコニウムの基板に、貴金属メッキを施したもの又はカーボンコートしたものを用いることが好ましい。
正極と負極の間はイオン交換膜で区切られる。イオン交換膜は、特に限定されず、例えば、フッ素系の樹脂やポリイミド系樹脂に陽イオン交換能を付与したものなどが挙げられる。
本発明のレドックスフロー電池は、従来のバナジウム単独のレドックスフロー電池よりもエネルギー密度が高く、かつ、サイクル寿命が長い。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
以下の構成を有する単セル(以下「実験セル」ともいう。)を用いて実験を行った。前記実験セルの模式図を図4に示す。正極および負極として投影面積が25cm2の自製のカーボンフェルト(圧縮前の厚みが3mm)を用い、イオン交換膜としてNafion(商標)117膜を用いた。両極周囲をEPDM製ガスケットで密閉して液漏れが起きないようにして、カーボン製集電板で正極および負極の厚みがそれぞれ2mmになるまで挟みこんで実験セルを構成した。実験セルには、電解液タンクから、送液ポンプにより循環配管を通して、正極室および負極室の下部に電解液を送り込むための液の入口を10カ所設け、また、正極室および負極室の上部から電解液を電解液タンクに戻すための液の出口を10カ所設けた。正極および負極の電解液(以下、それぞれ「正極液」および「負極液」ともいう。)として、6グラム当量/リットルの硫酸水溶液に5塩化モリブデンを3.5モル/リットルとなる量で溶解した液を用いた。
なお、電池の無負荷電圧を常時測定して充電深さを測るために、構造は同じで実験セルを1/5に小さくしたミニセルを、無負荷状態での開回路電圧モニターセルとした。正極液はミニセルの正極を通してから実験セルに流れるようにし、負極液はミニセルの負極を通してから実験セルの負極に流れるようにした。
上記実験セルにおいて、正極液が負極液の2倍量となるようにして電解液を循環させながら、電流密度50mA/cm2で充電試験を行った。計算上、正極活物質のモリブデンイオンの全てが6価に、負極活物質のモリブデンイオンの全てが3価になった状態を100%の充電深度として、充電深度が80%になるまで充電試験を行った。ここでいう充電深度とは、用いた活物質の充電における理論反応量を100%とした場合、実際に充電した割合を百分率で示したものをいう。充電深度は、正極の6価モリブデンイオンの濃度と負極の3価モリブデンイオンの濃度を測定することによって、予め準備した濃度と無負荷電圧との関係から、その濃度での電圧を決定して求めた。実際の充電終止電圧は1.21Vであった。次いで、上記充電試験と同じ流速で電解液を実験セルに流し、電圧が0.4Vになるまで電流密度50mA/cm2で放電試験を行った。その時の実際の電圧変化を図1に示す。サイクル1回目の放電の電力量を分子とし、電解液の体積を分母としたエネルギー密度は47.7kWh/m3であった。さらに充放電を繰り返し行ったところ、100サイクルを経過しても放電容量は1サイクル目の95%を維持していた。
[実施例2]
実施例1と同じ実験セルを用いて、負極液として、6グラム当量/リットルの硫酸と5グラム当量/リットルの塩酸の混酸に5塩化モリブデンを2.0モル/リットルおよびV23を2.0モル/リットルとなる量で溶解した液を用い、正極液として、前記混酸に5塩化モリブデンを2.0モル/リットルおよびVOSO4を2.0モル/リットルとなる量で溶解した液を用いた。実験セルにおける循環電解液量は、正極液が負極液の1.5倍量となるようにした。これらの条件以外は実施例1と同様にして充電深度が80%になるまで充電試験を行った。実際の充電終止電圧は1.56Vであった。次いで、上記充電試験と同じ流速で電解液を実験セルに流し、電圧が0.4Vになるまで電流密度50mA/cm2で放電試験を行った。その時の実際の電圧変化を図2に示す。サイクル1回目の放電のエネルギー密度は42.2kWh/m3であった。さらに充放電を繰り返し行ったところ、100サイクルを経過しても放電容量は1サイクル目の98%を維持していた。
[実施例3]
実施例1と同じ実験セルを用いて、負極液として、6グラム当量/リットルの硫酸と5グラム当量/リットルの塩酸の混酸に5塩化モリブデンを2.5モル/リットルおよびV23を1.5モル/リットルとなる量で溶解した液を用い、正極液として、前記混酸に5塩化モリブデンを2.5モル/リットルおよびVOSO4を1.5モル/リットルとなる量で溶解した液を用いた。実験セルにおける循環電解液量は、正極液が負極液の1.6倍量となるようにした。これらの条件以外は実施例1と同様にして充電深度が80%になるまで充電試験を行った。実際の充電終止電圧は1.52Vであった。次いで、上記充電試験と同じ流速で電解液を実験セルに流し、電圧が0.4Vになるまで電流密度50mA/cm2で放電試験を行った。サイクル1回目の放電のエネルギー密度は45.3kWh/m3であった。さらに充放電を繰り返し行ったところ、100サイクルを経過しても放電容量は1サイクル目の96%を維持していた。
[実施例4]
実施例1と同じ実験セルを用いて、負極液として、8グラム当量/リットルの硫酸と2グラム当量/リットルの塩酸の混酸に5塩化モリブデンを1.0モル/リットルおよびV23を1.5モル/リットルとなる量で溶解した液を用い、正極液として、前記混酸に5塩化モリブデンを1.0モル/リットルおよびVOSO4を1.5モル/リットルとなる量で溶解した液を用いた。実験セルにおける循環電解液量は、正極液が負極液の1.4倍量となるようにした。これらの条件以外は実施例1と同様にして充電深度が80%になるまで充電試験を行った。実際の充電終止電圧は1.58Vであった。次いで、上記充電試験と同じ流速で電解液を実験セルに流し、電圧が0.4Vになるまで電流密度50mA/cm2で放電試験を行った。サイクル1回目の放電のエネルギー密度は29.8kWh/m3であった。さらに充放電を繰り返し行ったところ、100サイクルを経過しても放電容量は1サイクル目の99%を維持していた。
[実施例5]
実施例1と同じ実験セルを用いて、負極液として、8グラム当量/リットルの硫酸水溶液に5塩化モリブデンを2.0モル/リットルおよびV23を1.0モル/リットルとなる量で溶解した液を用い、正極液として、前記硫酸水溶液に5塩化モリブデンを2.0モル/リットルおよびVOSO4を1.0モル/リットルとなる量で溶解した液を用いた。実験セルにおける循環電解液量は、正極液が負極液の1.6倍量となるようにした。これらの条件以外は実施例1と同様にして充電深度が80%になるまで充電試験を行った。実際の充電終止電圧は1.56Vであった。次いで、上記充電試験と同じ流速で電解液をセルに流し、電圧が0.4Vになるまで電流密度50mA/cm2で放電試験を行った。サイクル1回目の放電のエネルギー密度は36.2kWh/m3であった。さらに充放電を繰り返し行ったところ、100サイクルを経過しても放電容量は1サイクル目の98%を維持していた。
[比較例1]
実施例1と同じ実験セルを用いて、負極液として、6グラム当量/リットルの硫酸水溶液にV23を2.0モル/リットルとなる量で溶解した液を用い、正極液として、前記硫酸水溶液にVOSO4を2.0モル/リットルとなる量で溶解した液を用いた。実験セルにおける循環電解液量は、正極液と負極液が同じ量となるようにした。これらの条件以外は実施例1と同様にして充電深度が80%になるまで充電試験を行った。実際の充電終止電圧は1.61Vであった。次いで、上記充電試験と同じ流速で電解液をセルに流し、電圧が0.4Vになるまで電流密度50mA/cm2で放電試験を行った。その時の実際の電圧変化を図3に示す。サイクル1回目の放電のエネルギー密度は27.8kWh/m3であった。さらに充放電を繰り返し行ったところ、100サイクルを経過しての放電容量は1サイクル目の87%であった。
上記実施例および比較例の結果を表1に示す。
Figure 0006621584

Claims (6)

  1. 活物質としてモリブデン塩を含有し、さらにバナジウムイオンからなる塩およびバナジン酸イオンからなる塩からなる群より選ばれる少なくとも1種のバナジウム塩を含有する酸性水溶液からなり、
    前記モリブデン塩の濃度が、正極液の場合、0.2モル/リットル以上5.0モル/リットル以下であり、負極液の場合、0.1モル/リットル以上4.0モル/リットル以下であることを特徴とするレドックスフロー電池用電解液。
  2. 前記モリブデン塩が、Mo3+からなる塩、Mo4+からなる塩、Mo5+からなる塩、Mo6+からなる塩、MoO2 +からなる塩およびMoO2OH+からなる塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載のレドックスフロー電池用電解液。
  3. 前記酸性水溶液が、硫酸水溶液、塩酸水溶液、硝酸水溶液、リン酸水溶液、または、硫酸、塩酸、硝酸およびリン酸から選ばれる2種以上を含む混酸水溶液であることを特徴とする、請求項1または2に記載のレドックスフロー電池用電解液。
  4. 前記バナジウム塩の濃度が、0.2モル/リットル以上4.0モル/リットル以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液。
  5. 前記酸性水溶液の酸濃度が、1.0グラム当量/リットル以上20.0グラム当量/リットル以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のレドックスフロー電池用電解液。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載されたレドックスフロー電池用電解液を含むことを特徴とするレドックスフロー電池。
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