JPWO2019078146A1 - 電解液、およびレドックスフロー電池 - Google Patents

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Abstract

テトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンとを含む水溶液からなる電解液を提供する。

Description

本発明は、電解液に関し、より詳しくは、レドックスフロー電池用電解液および該電解液を備えるレドックスフロー電池に関する。
本願は、2017年10月17日に、日本に出願された特願2017−201097号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
大容量蓄電池としてレドックスフロー電池が知られている。一般に、レドックスフロー電池は、正極電極を備える正極室と、負極電極を備える電極室と、これら両電極室に挟まれるイオン交換膜からなる隔膜とで構成されており、両極室にそれぞれ電解液を供給し、充放電を行う。活物質として、酸化還元により価数が変化する金属イオンを含む水溶液系電解液を用いることが一般的である。例えば、鉄イオンを含む正極電解液と、クロムイオンを含む負極電解液とを用いる鉄―クロム系(Fe−Cr)レドックスフロー電池;マンガンイオンを含む正極電解液と、チタンイオンを含む負極電解液とを用いるマンガン―チタン系(Mn−Ti)レドックスフロー電池;バナジウムイオンを含む正負極電解液を用いる全バナジウム系(V−V)レドックスフロー電池等が挙げられる。その中で、特に、全バナジウム系(V−V)レドックスフロー電池の開発が世界中で広く進められている。
なお、バナジウムイオンを含む電解液を用いたレドックスフロー電池では、充放電の際、バナジウムイオンの反応は以下の通りとされている。
正極:VO2++HO→VO +2H+e (充電)
VO2++HO←VO +2H+e (放電)
負極:V3++e→V2+ (充電)
3++e←V2+ (放電)
しかしながら、レドックスフロー電池において、充放電を繰り返すと、クロスオーバーと呼ばれる、活物質(特に金属イオン)、および溶媒が隔膜を介して移動する現象が生じる。クロスオーバーにより、正負極電解液中の活物質が混合することや、活物質の濃度および電解液量がアンバランスになることで、電気容量が著しく低下する。現状では、隔膜として広く用いられるイオン交換膜だけで、クロスオーバーを防ぐことが困難であるため、様々な工夫が試みられてきた。
特許文献1によれば、同文献記載のレドックスフロー電池は、バナジウムイオンより高起電力を有する有機ラジカル正負活物質と、前記正負活物質を通さない孔径のイオン交換膜とを含むことにより、クロスオーバーの発生が抑えられたとされる。しかし、この方法は金属イオンが活物質として使用されるレドックスフロー電池には適さない。
特許文献2には、「隔膜で分離された正極セルおよび負極セルと、各セルに内蔵された正極および負極と、正極セルに正極用電解液を導入・排出する正極用タンクと、負極セルに負極用電解液を導入・排出する負極用タンクとを具える電解液流通型電池において、各タンク内の電解液の液面よりも低い位置で両タンクを接続する連通管と、連通管に設けられたバルブと、充電状態を検知する手段と、充電状態を検知する手段による検知結果に基づいて電池の充電状態が規定状態よりも低いときにバルブを開放して両タンクの電解液量を等しくするバルブ開閉機構と、を具えることを特徴とする電解液流通型電池。」が開示されている。この電解液流通型電池は、電解液の量を再バランスすることができるが、設備が複雑になり、コストが増加する。
特開2017−117752号公報 特開平11−204124号公報
本発明の目的は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、クロスオーバーを抑制できる電解液およびレドックスフロー電池を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、テトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンとを含む水溶液からなる電解液を用いることより、バナジウムイオンのクロスオーバーが原因であるレドックスフロー電池容量の低減が抑制でき、電池のサイクル寿命が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下[1]〜[12]の発明を含む。
[1] テトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンとを含む水溶液からなる電解液。
[2] 前記テトラフルオロホウ酸イオンの濃度は3M以下である、前項[1]に記載の電解液。
[3] 前記テトラフルオロホウ酸イオンの濃度は0.1〜2Mである、前項[2]に記載の電解液。
[4] 前記バナジウムイオンの総濃度は1M〜4Mである、前項[1]〜[3]のいずれかに記載の電解液。
[5] 硫酸イオンを含む前項[1]〜[4]のいずれかに記載の電解液。
[6] 前記硫酸イオンの濃度は1M〜10Mである前項[5]に記載の電解液。
[7] さらに、アニオンAを含有し、
前記アニオンAは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、およびリン酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、前項[1]〜[6]のいずれかに記載の電解液。
[8] 前記アニオンAの濃度は0.01M〜2Mである、前項[7]に記載の電解液。
[9] さらに、モリブデンイオンを含む前項[1]〜[8]のいずれかに記載の電解液。
[10] 前記モリブデンイオンの濃度は0.01M〜3Mである、前項[9]に記載の電解液。
[11] レドックスフロー電池用の前項[1]〜[10]のいずれかに記載の電解液。
[12] 前項[1]〜[10]のいずれかに記載の電解液を備えるレドックスフロー電池。
本発明によれば、クロスオーバーが抑制できるレドックスフロー電池用電解液、およびレドックスフロー電池を提供することができる。
実施例1〜6、及び比較例1におけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度とバナジウムイオン移動量の関係を示す図である。 実施例1〜6、及び比較例1におけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度とクーロン効率の関係を示す図である。 実施例1〜6、及び比較例1におけるテトラフルオロホウ酸イオン濃度と放電容量低減率の関係を示す図である。 実施例及び比較例で用いたレドックスフロー電池の概略模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で変更して実施することができる。
[電解液]
本実施形態に係る電解液は、少なくともテトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンとを含む水溶液からなる。
[テトラフルオロホウ酸イオン]
前記電解液中のテトラフルオロホウ酸イオン(BF )の濃度は、クロスオーバーを抑制すること、およびセル抵抗の上昇を抑えることの両観点から、好ましくは3M(Mは「mol/L」を意味し、以下も同様である。)以下であり、より好ましくは0.1M〜2M、さらに好ましくは0.1M〜1.5M、最も好ましくは0.5〜1.5Mである。前記電解液中に溶解していることで、テトラフルオロホウ酸イオンを生じさせる原料としては、任意に選択できるが、テトラフルオロホウ酸、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸リチウム等が好ましく挙げられる。これらの中で、活物質以外の金属イオンを電解液中で増加させない点において、テトラフルオロホウ酸が好ましい。
[バナジウムイオン]
前記電解液中のバナジウムイオンは、2価のバナジウムイオン(V2+)、3価のバナジウムイオン(V3+)、4価のバナジウムイオン(VO2+)、および5価のバナジウムイオン(VO )の、少なくとも一種である。前記電解液に溶解して、このようなバナジウムイオンを生じさせる原料としては、任意に選択できるが、水または酸性水溶液に溶解できる、バナジウム塩が好ましい。バナジウム塩の種類は任意に選択できるが、水への溶解度が高いという観点から、酸化硫酸バナジウムがより好ましい。前記電解液中のバナジウムイオンの総濃度は、好ましくは1M〜4Mであり、この範囲内であれば、エネルギー密度を確保しつつ、バナジウム化合物の沈殿の発生が抑制される。より好ましくは1.0M〜3M、特に好ましくは1.0M〜2.5Mである。
電解液において、テトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンの濃度の比率は、必要に応じて、任意に選択できる。例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/バナジウムイオン濃度で表される比は、0.1〜1.0であることが好ましく、0.2〜0.5であることがより好ましい。その他の例としても、例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/バナジウムイオン濃度の比の範囲の下限は、0.001や、0.01や、0.1や、1などであっても良い。上記比の上限は、100や、50や、10や、5や、3や、1などであっても良い。求められる特性に応じで、任意に設定することができる。
[硫酸イオン]
本実施形態における電解液は、硫酸イオン(SO 2−)を含むことが好ましい。硫酸イオンが存在すると、バナジウムイオンがより安定に溶解する傾向がある。硫酸イオンの濃度は任意に選択できるが、好ましくは1M〜10M、より好ましくは1M〜8M、さらに好ましくは2M〜6Mである。電解液に溶解して硫酸イオンを生じさせる原料としては、任意に選択できるが、硫酸またはバナジウムの硫酸塩等が挙げられ、電解液を酸性に保つ点において好ましくは硫酸が挙げられる。
テトラフルオロホウ酸イオンと、硫酸イオンの濃度の比率は、必要に応じて、任意に選択できる。例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/硫酸イオン濃度で表される比は、0.01〜1.0や、0.05〜0.5や、0.05〜0.2などの範囲に含まれることも好ましい。ただしこれらの範囲のみに限定されない。
例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/硫酸イオン濃度の比の範囲の下限は、0.0001や、0.001や、0.1などであっても良い。上記比の上限は、50や、10や、5や、3や、1などであっても良い。求められる特性に応じで、任意に設定することができる。
[アニオンA]
本実施形態に係る電解液は、フッ素イオン(F)、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、およびリン酸イオン(PO 3−)からなる群から選ばれる少なくとも一種のイオン(以下、「アニオンA」と言うことがある。)をさらに含有することが好ましい。これらの中でも、塩素イオン(Cl)を含むことがより好ましい。アニオンAを含むことにより、電解液のイオン伝導度や金属イオンの反応性が高くなると考えられ、そのため、電池の内部抵抗が小さくなる。さらに、電解液中のバナジウムイオンおよび後述するモリブデンイオンの溶解度の向上が得られる。アニオンAの総濃度は任意に選択できるが、好ましくは0.01M〜2M、より好ましくは0.1M〜1.5M、さらに好ましくは0.1M〜1Mである。前記電解液に溶解してアニオンAを生じさせる原料としては、アニオンAを含む酸、バナジウム塩、モリブデン塩が好ましい。
テトラフルオロホウ酸イオンと、アニオンAの濃度の比率は、必要に応じて、任意に選択できる。例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/アニオンAの濃度で表される比は、1〜1000や、5〜100などの範囲に含まれることも好ましい。ただしこれらの範囲のみに限定されない。
例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/アニオンAの濃度の比の範囲の下限は、0.01や、0.01や、0.1や1などであっても良い。上記比の上限は、500や、100や、30や、10や、5や、3や、1などであっても良い。求められる特性に応じで、任意に設定することができる。
[モリブデンイオン]
本実施形態に係る電解液は、エネルギー密度を向上させる観点から、さらにモリブデンイオンを含有することが好ましい。充放電の際、バナジウムイオンとモリブデンイオン両方が活物質として酸化還元される。モリブデンイオンの濃度は、好ましくは0.01M〜3M、より好ましいくは0.01M〜2M、さらに好ましくは、0.1M〜2Mである。この濃度範囲内であれば、バナジウムイオンの溶解度が低減することなく、また、副反応として水分解が生じ難くなり、結果としてエネルギー密度の向上が計れる。モリブデンイオンが活物質として作用した時の反応式は以下のように推定される。
正極:Mo(V)→Mo(VI)+e (充電)
Mo(V)←Mo(VI)+e (放電)
負極:Mo(V)+2e→Mo(III) (充電)
Mo(V)+2e←Mo(III) (放電)
前記電解液に溶解してモリブデンイオンを生じさせる原料は任意に選択でき、モリブデン塩であれば特に限定されない。しかしながら、3価〜6価のモリブデンイオンを含む塩、またはモリブデン酸化物であることが好ましい。具体的には、MoCl、MoCl、MoOCl、MoOOHCl、MoBr、MoOBr、MoOOHBr等のハロゲン塩;Mo(SO3/2、MoOHSO、MoO(SO1/2、MoOClSO、MoOOH(SO1/2等の硫酸塩、MoPO等のリン酸塩、MoONO等の硝酸塩、および酸化モリブデン等が挙げられる。これらの中では、溶解性の観点から前記塩酸塩、アニオンを増加させない観点から酸化モリブデンがより好ましい。
テトラフルオロホウ酸イオンと、モリブデンイオンの濃度の比率は、必要に応じて、任意に選択できる。例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/モリブデンイオンの濃度で表される比は、0.1〜100や、0.3〜50や、0.5〜20などの範囲に含まれることも好ましい。ただしこれらの範囲のみに限定されない。
例えば、テトラフルオロホウ酸イオン濃度/モリブデンイオン濃度の比の範囲の下限は、0.01や、0.01や、0.1や1などであっても良い。上記比の上限は、500や、100や、30や、10や、5や、3や、1などであっても良い。求められる特性に応じで、任意に設定することができる。
本発明の電解液は、上記材料を純水などの水に混ぜることで、好ましく形成することができる。
本発明の電解液は、(a)テトラフルオロホウ酸イオンを生じさせる原料と、(b)純水と、(c)バナジウムイオンを生じさせる原料と、(d)硫酸イオンを生じさせる原料、アニオンAを生じさせる原料、及び、モリブデンイオンを生じさせる原料からなる群から選択される少なくとも一種と、を含むことが好ましい。また本発明の電解液は、前記(a)から(c)のみからなること、あるいは、前記(a)から(d)のみからなることも好ましい。
[レドックスフロー電池]
本発明に係るレドックスフロー電池は前記電解液を含むことを特徴とする。本発明のレドックスフロー電池は、公知の構成を採用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(電解液の調製)
硫酸(HSO)濃度が4M(mol/L)の硫酸水溶液100mlと、テトラフルオロホウ酸(HBF)濃度が5Mであるテトラフルオロホウ酸水溶液0.4mlを混合して、混合水溶液を得た。前記混合水溶液に、0.12molの硫酸バナジウム(V(SO)と、0.12molの酸化硫酸バナジウム(VOSO)を溶解して、溶液の体積が200mlになるように、純水を添加して、電解液を200ml作製した。電解液中の各イオン濃度は、表2に記載する。
(充放電特性の測定)
実験に使用したレドックスフロー電池の模式図を、図4に示す。電池セル2は、正極電極10および負極電極20として面積50cm(5cm×10cm)の東洋紡(株)製カーボンフェルト(AAF304ZS)と、イオン交換膜としてNafion(商標)212を用いた。正極電解液および負極電解液として、前記作製した電解液を、それぞれ50mlずつ用意した。正極セル11および負極セル21に、電解液を50ml/minの流量で循環しながら、10Aの電流(電流密度0.2A/cm)で充放電を行った。最初に充電を行い、電圧が1.75Vになったところで充電を停止し、次に放電を行い、電圧が1.0Vになったところで放電終了とした。この充放電をさらに7サイクル(全部で8サイクル)繰り返した。各サイクルの充電時間(h)、放電時間(h)、および充放電中のセル電圧(V)を測定した。充電時間の半分になる時点のセル電圧をV、放電時間の半分になる時点のセル電圧をVとした。そして、第4サイクル目(cyc4)の充電容量(Ah)、放電容量(Ah)、クーロン効率(%)、セル抵抗(Ω・cm)と、第8サイクル目の放電容量(Ah)、および第4サイクル目(cyc4)と第8サイクル目(cyc8)の放電容量低減率を、以下の通り求めた。求めた値を表2に記載する。
・充電容量(Ah)=充電電流×充電時間
・放電容量(Ah)=放電電流×放電時間
・クーロン効率(%)=([放電容量]/[充電容量])×100
・セル抵抗(Ω・cm)=(V−V)/(2×電流密度)
・放電容量低減率(%)=(1−[放電容量(cyc8)]/[放電容量(cyc4)])×100
(バナジウムイオン移動量の測定)
バナジウムイオン移動量の測定では、充放電実験と同じセルを用いた。前記作製した電解液と、硫酸水溶液(3.2M)をそれぞれ50mlずつ用意した。正極セル11に電解液、負極セル21に硫酸水溶液を、それぞれ50ml/minの流量で、2h循環させた。2h循環後、正極セル11から、イオン交換膜を通過して、負極セル21に移動した、バナジウムイオン数を求めるため、UV−vis分光光度計(SHIMADZU社製 UV−1700)を用いて、硫酸水溶液中のバナジウムイオン濃度(以下「バナジウムイオン移動量」を言う)を測定した。求めた値を表2に記載する。
[実施例2〜6]
テトラフルオロホウ酸水溶液の量は表1に示す通りとした以外は、実施例1と同様に電解液を作製し、実施例1と同様に、充放電特性の測定、およびバナジウムイオン移動量の測定を実施した。
[実施例7]
硫酸(HSO)濃度が4Mの硫酸水溶液100mlと、テトラフルオロホウ酸(HBF)濃度が5Mのテトラフルオロホウ酸水溶40mlと、塩酸濃度が12Mの塩酸水溶液8.3mlを混合して、混合水溶液を得た。前記混合水溶液に、0.12molの硫酸バナジウム(V(SO)と、0.12molの酸化硫酸バナジウム(VOSO)を溶解して、溶液の体積が200mlになるように、純水を添加して、電解液を作製した。それ以外は実施例1と同様に、充放電特性の測定およびバナジウムイオン移動量の測定を実施した。
[実施例8]
塩酸濃度が12Mの塩酸水溶液の代わりに、リン酸濃度が2Mのリン酸水溶液を10ml用いた以外は、実施例7と同様に、電解液を作製し、充放電特性の測定およびバナジウムイオン移動量の測定を実施した。
[実施例9]
硫酸(HSO)濃度が4Mの硫酸水溶液100mlと、テトラフルオロホウ酸(HBF)濃度が5Mのテトラフルオロホウ酸水溶40mlを混合して、混合水溶液を得た。この混合水溶液に0.03molの酸化モリブデン(MoO)を添加し、室温でスターラーを用いて48h撹拌し、モリブデンイオン(Mo6+)を含む溶液を得た。その後、前記モリブデンイオンを含む溶液に、0.12molの硫酸バナジウム(V(SO)と、0.12molの酸化硫酸バナジウム(VOSO)を溶解して、溶液の体積が200mlになるように、純水を添加して、電解液を作製した。それ以外は実施例1と同様に充放電特性の測定を実施した。
[比較例1]
硫酸(HSO)濃度が4Mの硫酸水溶液100mlに、0.12molの硫酸バナジウム(V(SO)と、0.12molの酸化硫酸バナジウム(VOSO)を溶解して、純水を添加して、電解液を200ml作製した。それ以外は実施例1と同様に、充放電特性の測定およびバナジウムイオン移動量の測定を実施した。
上記実施例および比較例に、電解液を作製するため、使用された原料の量を表1にまとめた。各実施例および比較例の電解液に含まれる各イオンの濃度と、バナジウムイオン移動量の測定結果、及び充放電特性の測定結果を表2に示す。
Figure 2019078146
Figure 2019078146
表2の比較例1と実施例1〜6、及び図1〜3に示したように、電解液中にわずかでもテトラフルオロホウ酸イオン(BF )が含まれると、以下の結果が得られることが分かった。すなわち、急激にバナジウムイオン移動量と放電容量低減率とが低下し、さらに電解液中のテトラフルオロホウ酸イオンの濃度が増加するとともに、バナジウムイオン移動量と放電容量低減率がさらに低くなり、また、クーロン効率が高くなることが分かった。従って、テトラフルオロホウ酸イオンを含むことにより、電解液のクロスオーバーを抑制できることが確認された。なお、比較例1に対して、実施例2〜6ではセル抵抗の上昇(実施例2〜4は1%、実施例5は3%、実施例6は6%)が生じた。しかしながら、それにもかかわらず、いずれの実施例のクーロン効率および放電容量も向上した。そのため、テトラフルオロホウ酸イオンの濃度は、3M以下であれば、セル性能の劣化には至らないと考えられる。
実施例7〜8では、テトラフルオロホウ酸イオン(BF )の他、アニオンAをさらに含むことで、電解液のイオン伝導度およびバナジウムイオンの反応性が向上したと推定される。そのため、比較例1と比較して、バナジウムイオンのクロスオーバーを抑制するとともに、セル抵抗を低減させることができた。このような電解液は、特に高電流密度(充放電電流密度は100mA/cm以上)レドックスフロー電池には、好適に利用できる。
実施例9では、第4サイクル目の放電容量は1.30Ahであった。比較例1および実施例4に対して、放電容量はそれぞれ10%および7%向上した。モリブデンイオンを含むことで、電池容量の向上が確認できた。
クロスオーバーを抑制できる電解液およびレドックスフロー電池を提供できる。本発明のレドックスフロー電池において、少なくともテトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンとを含む水溶液からなる電解液を用いることにより、電解液中のバナジウムイオンのクロスオーバーが抑制できる。
1 レドックスフロー電池
2 電池セル
3 交流/直流変換器
4 交流電源
5 負荷電源
10 正極電極
11 正極セル
12 正極電解液タンク
13 正極往路配管
14 正極復路配管
15 ポンプ
20 負極電極
21 負極セル
22 負極電解液タンク
23 負極往路配管
24 負極復路配管
25 ポンプ
30 隔膜

Claims (12)

  1. テトラフルオロホウ酸イオンと、バナジウムイオンとを含む水溶液からなる電解液。
  2. 前記テトラフルオロホウ酸イオンの濃度は3M以下である、請求項1に記載の電解液。
  3. 前記テトラフルオロホウ酸イオンの濃度は0.1〜2Mである、請求項2に記載の電解液。
  4. 前記バナジウムイオンの総濃度は1M〜4Mである、請求項1〜3のいずれかに記載の電解液。
  5. 硫酸イオンを含む請求項1〜4のいずれかに記載の電解液。
  6. 前記硫酸イオンの濃度は1M〜10Mである、請求項5に記載の電解液。
  7. さらに、アニオンAを含有し、
    前記アニオンAは、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、およびリン酸イオンからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載の電解液。
  8. 前記アニオンAの濃度は0.01M〜2Mである、請求項7に記載の電解液。
  9. さらに、モリブデンイオンを含有する請求項1〜8のいずれかに記載の電解液。
  10. 前記モリブデンイオンの濃度は0.01M〜3Mである、請求項9に記載の電解液。
  11. レドックスフロー電池用の請求項1〜10のいずれかに記載の電解液。
  12. 請求項1〜10のいずれかに記載の電解液を備えるレドックスフロー電池。
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