JPWO2013054474A1 - 出力バッファ回路 - Google Patents
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Abstract
Description
まず、図4を参照して、一般的なECL回路100の回路構成を説明する。
図4に示すECL回路100は、NMOSトランジスタTr1〜Tr4と、抵抗素子R1、R2と、電流源I1と、外付け抵抗RA、RBとを備えて構成される。
ここで、抵抗素子R1の抵抗成分をr1(Ω)、電流源I1の電流をi1(A)、電源VDDの電圧をvdd(V)とする。すると、NMOSトランジスタTr1の導通状態がオン状態となり、NMOSトランジスタTr2の導通状態がオフ状態となるように差動入力電圧v1(V)、v2(V)が入力されたときのNMOSトランジスタTr3、Tr4のゲート端子の電圧v3(V)、v4(V)を、
v3=vdd−r1×i1 ……式(1)
v4=vdd ……式(2)
のように表すことができる。
この差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間は、NMOSトランジスタTr3、Tr4のスイッチング時間で決まる。つまり、この差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間は、NMOSトランジスタTr3、Tr4のゲート端子の電圧v3(V)、v4(V)の立ち上がり時間および立ち下がり時間で決まる。
Tra∝r1×c3 ……式(3a)
Trb∝r2×c4 ……式(3b)
のように表すことができる。
Tfa∝(r1//rI1)×c3 ……式(4a)
Tfb∝(r2//rI1)×c4 ……式(4b)
のように表すことができる。
このように、従来のバッファ回路においては、出力バッファ回路の差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間とが一致しないという問題があった。
本発明のある態様による出力バッファ回路は、差動対を構成する第1および第2のトランジスタと、前記第1および第2のトランジスタに共通接続される第1の抵抗成分と、前記第1および第2のトランジスタの負荷として、前記第1および第2のトランジスタに対して夫々直列に接続された第1および第2の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子に対して並列に接続され、かつ、前記第1のトランジスタのゲート端子の入力電圧により制御される第2の抵抗成分と、前記第2の抵抗素子に対して並列に接続され、かつ、前記第2のトランジスタのゲート端子の入力電圧により制御される第3の抵抗成分と、を備えることを特徴とする。
本来、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間を決定するための抵抗成分は、第1の抵抗素子の抵抗成分および第2の抵抗素子の抵抗成分である。一方、差動出力信号の各出力電圧の立ち下がり時間を決定するための抵抗成分は、第1の抵抗素子の抵抗成分と第1の抵抗成分との合成抵抗成分、および第2の抵抗素子の抵抗成分と第1の抵抗成分との合成抵抗成分である。
こうすれば、さらに、第1の調整用トランジスタと直列に接続され、かつ第1の調整用トランジスタと共に第1の抵抗素子に対して並列に第1の調整用抵抗素子が接続される。同様に、第2の調整用トランジスタと直列に接続され、かつ第2の調整用トランジスタと共に第2の抵抗素子に対して並列に第2の調整用抵抗素子が接続される。
電流供給素子を定電流源とすれば、上記で説明した定電流源、第1の調整用トランジスタ、第2の調整用トランジスタ、第1の抵抗素子および第2の抵抗素子の各抵抗成分の関係から、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間とを調整することが可能となる。
電流供給素子を電流源とした場合には、例えば、第1の調整用トランジスタおよび第2の調整用トランジスタがPMOSトランジスタであり、電流源I1がNMOSトランジスタであることがある。すると、これらのトランジスタは同一のトランジスタではないため、これらのトランジスタに製造時の固有のばらつきがある場合には、ばらつき方が同じにならないことがある。
こうすれば、出力段としてソースフォロアを有していない回路構成のCML回路であっても、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間とのずれの影響を少なくすることが可能となる。
(第1実施形態に係るECL回路10の回路構成・動作)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るECL回路10の回路構成・動作を説明する。
図1に示す(出力バッファ回路である)ECL回路10は、(第1および第2のトランジスタである)NMOSトランジスタTr1、Tr2の2つのトランジスタにより差動対を構成している。そして、NMOSトランジスタTr1、Tr2のドレイン端子と電源VDDとの間には、負荷として、それぞれ(第1および第2の抵抗素子である)抵抗素子R1、R2が接続される。また、NMOSトランジスタTr1、Tr2のソース端子とグランドGNDとの間には、電流供給素子として(第1の抵抗成分または電流供給素子または定電流源である)電流源I1が接続される。NMOSトランジスタTr1、Tr2のゲート端子には、(入力電圧である)差動入力電圧v1(V)、v2(V)が入力される。また、NMOSトランジスタTr1、Tr2のドレイン端子は、NMOSトランジスタTr3、Tr4のゲート端子に接続される。
ECL回路10は、さらに調整用トランジスタとして機能するPMOSトランジスタTr5、Tr6を有している点で従来のECL回路100と異なっている。
この調整用トランジスタとして機能する(第2の抵抗成分または第1の調整用トランジスタである)PMOSトランジスタTr5は、抵抗素子R1に対して並列に接続される。一方、(第3の抵抗成分または第2の調整用トランジスタである)PMOSトランジスタTr6は、抵抗素子R2に対して並列に接続される。すなわち、PMOSトランジスタTr5、Tr6のドレイン端子およびソース端子には、抵抗素子R1、R2の両端が接続される。また、PMOSトランジスタTr5、Tr6のゲート端子には、NMOSトランジスタTr1、Tr2のゲート端子が接続され、差動入力電圧v1(V)、v2(V)が入力される。
Tra∝(r1//rTr5)×c3 ……式(5a)
Trb∝(r2//rTr6)×c4 ……式(5b)
のように表すことができる。
つまり、各素子の抵抗成分が、下記の式(6)に示すような関係になると共に、式(7)に示すような関係になると、各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間との時間差を減らして、立ち上がり時間と立ち下がり時間とを精度良く一致させることができるようになる。
(r1//rTr5)=(r2//rI1) ……式(6)
とすれば良い。
同様に、出力電圧OUT2(V)の立ち上がり時間と出力電圧OUT1(V)の立ち下がり時間との関係をTrb=Tfaとするには、
(r2//rTr6)=(r1//rI1) ……式(7)
とすれば良い。
続いて、図2を参照して、本発明の第2実施形態に係るECL回路20の回路構成・動作を説明する。
図2に示す(出力バッファ回路である)ECL回路20は、図1に示した第1実施形態に係るECL回路10を構成する素子と同じ素子を有しており、ECL回路10と同じ回路構成をもつ回路部を有している。しかしながら、ECL回路20は、さらに調整用抵抗素子として機能する抵抗素子R3、R4を有している点と電流供給素子として機能する素子として電流源I1ではなく、(第1の抵抗成分または電流供給素子または抵抗素子である)抵抗素子R5を用いている点でECL回路10と異なる。この調整用抵抗素子として機能する(第1の調整用抵抗素子である)抵抗素子R3は、PMOSトランジスタTr5と直列に接続される。このとき、直列に接続されたPMOSトランジスタTr5と抵抗素子R3とが、抵抗素子R1に対して並列に接続される。また、(第2の調整用抵抗素子である)抵抗素子R4は、PMOSトランジスタTr6と直列に接続される。このとき、直列に接続されたPMOSトランジスタTr6と抵抗素子R4とが、抵抗素子R2に対して並列に接続される。
ここで、抵抗素子R5の抵抗成分をr5(Ω)とする。すると、NMOSトランジスタTr1の導通状態がオン状態となり、NMOSトランジスタTr2の導通状態がオフとなるように差動入力電圧v1(V)、v2(V)が入力されたときのNMOSトランジスタTr3、Tr4のゲート端子の電圧v3(V)、v4(V)を、
v3=(r5/(r1+r5))×vdd ……式(8)
v4=vdd ……式(9)
のように表すことができる。これより、抵抗成分r1と抵抗成分r5に応じて差動出力信号の振幅を調整することができる。つまり、第1実施形態に係るECL回路10では、差動出力信号の振幅を電流源I1と抵抗素子R1(抵抗素子R2)とによって調整していたが、本実施形態に係るECL回路20では、差動出力信号の振幅を各抵抗素子による抵抗分圧によって調整することできる。
Tra∝(r1//r3)×c3 ……式(10a)
Trb∝(r2//r4)×c4 ……式(10b)
のように表すことができる。
Tfa∝(r1//r5)×c3 ……式(11a)
Tfb∝(r2//r5)×c4 ……式(11b)
のように表すことができる。
(r1//r3)=(r2//r5) ……式(12)
(r2//r4)=(r1//r5) ……式(13)
続いて、図3を参照して、本発明の第3実施形態に係るCML回路30の回路構成・動作を説明する。
図3に示す(出力バッファ回路である)CML回路30は、第2実施形態に係るECL回路20を構成する素子のうち、NMOSトランジスタTr3、Tr4だけを有していない回路構成である。つまり、CML回路30は、出力段としてソースフォロアを有していない回路構成である。CML回路30は、NMOSトランジスタTr3、Tr4を有していないが、回路動作にあっては、第2実施形態に係るECL回路20と同じである。このため、上記で説明した要領で、各出力電圧の立ち上がり時間および立ち下がり時間との時間差を減らして、立ち上がり時間と立ち下がり時間とを精度良く一致させることができる。このように、出力バッファ回路は、上記の各実施形態で説明したようなECL回路に限定されることなく、CML回路であっても良い。
各実施形態に係るECL回路およびCML回路においては、調整用トランジスタや調整用抵抗素子として機能する素子を新たに接続することによって、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間を決定するための抵抗成分に、それらの素子の抵抗成分を加えている。また、電流供給素子として機能する素子に電流源だけでなく、抵抗素子を接続することによって、差動出力信号の各出力電圧の立ち下がり時間を決定するための抵抗成分を、抵抗素子に変更することもできる。そして、上記で説明したような各素子の抵抗成分の関係によって、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間とが同じになるように調整する。
30……CML回路(バッファ回路)
R1、R2……抵抗素子
Tr1〜Tr4……NMOSトランジスタ
C3、C4……NMOSトランジスタTr3、Tr4のゲート端子につく容量素子
R3、R4……抵抗素子(調整用抵抗素子)
Tr5、Tr6……PMOSトランジスタ(調整用トランジスタ)
I1……電流源(電流供給素子)
R5……抵抗素子(電流供給素子)
RA、RB……外付け抵抗
本発明のある態様による出力バッファ回路は、差動対を構成する第1および第2のトランジスタと、前記第1および第2のトランジスタに共通接続される第1の抵抗成分と、前記第1および第2のトランジスタの負荷として、前記第1および第2のトランジスタに対して夫々直列に接続された第1および第2の抵抗素子と、前記第1の抵抗素子に対して並列に接続され、かつ、前記第1のトランジスタのゲート端子の入力電圧により制御される第2の抵抗成分と、前記第2の抵抗素子に対して並列に接続され、かつ、前記第2のトランジスタのゲート端子の入力電圧により制御される第3の抵抗成分と、を備え、前記第1の抵抗成分は、前記第1および第2のトランジスタに電流を供給する電流供給素子である抵抗素子を備え、前記第2の抵抗成分は、ゲート端子が前記第1のトランジスタのゲート端子に接続された第1の調整用トランジスタと、前記第1の調整用トランジスタと直列に接続された第1の調整用抵抗素子とを備え、前記第3の抵抗成分は、ゲート端子が前記第2のトランジスタのゲート端子に接続された第2の調整用トランジスタと、前記第2の調整用トランジスタと直列に接続された第2の調整用抵抗素子とを備え、前記電流供給素子である抵抗素子、前記第1の調整用抵抗素子、及び、前記第2の調整用抵抗素子で、差動出力信号の立ち上がり時間と立下り時間とを調整することを特徴とする。
また、第1の調整用抵抗素子が、第1の調整用トランジスタと直列に接続され、かつ第1の調整用トランジスタと共に第1の抵抗素子に対して並列に接続される。同様に、第2の調整用抵抗素子が、第2の調整用トランジスタと直列に接続され、かつ第2の調整用トランジスタと共に第2の抵抗素子に対して並列に接続される。
これによって、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間を決定するための抵抗成分に、第1の調整用抵抗素子の抵抗成分と第2の調整用抵抗素子の抵抗成分とを加えている。そして、これらの各素子の抵抗成分によって、差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間とが同じになるように調整することが可能となる。
また、電流供給素子を電流源とした場合には、例えば、第1の調整用トランジスタおよび第2の調整用トランジスタがPMOSトランジスタであり、電流源I1がNMOSトランジスタであることがある。すると、これらのトランジスタは同一のトランジスタではないため、これらのトランジスタに製造時の固有のばらつきがある場合には、ばらつき方が同じにならないことがある。
しかしながら、電流供給素子を、第1の調整用抵抗素子および第2の調整用抵抗素子と同じ抵抗素子とすることで、各抵抗間のばらつき方は比較的同じにすることができる。これにより、回路を構成する素子の製造時のばらつきによる差動出力信号の各出力電圧の立ち上がり時間と立ち下がり時間とのずれの影響を少なくすることが可能となる。
Claims (10)
- 差動対を構成する第1および第2のトランジスタと、
前記第1および第2のトランジスタに共通接続される第1の抵抗成分と、
前記第1および第2のトランジスタの負荷として、前記第1および第2のトランジスタに対して夫々直列に接続された第1および第2の抵抗素子と、
前記第1の抵抗素子に対して並列に接続され、かつ、前記第1のトランジスタのゲート端子の入力電圧により制御される第2の抵抗成分と、
前記第2の抵抗素子に対して並列に接続され、かつ、前記第2のトランジスタのゲート端子の入力電圧により制御される第3の抵抗成分と、
を備えることを特徴とする出力バッファ回路。 - 前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第2の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分との差分が少なくなるように調整され、
かつ、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第3の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分との差分が少なくなるように調整されたことを特徴とする請求項1に記載の出力バッファ回路。 - 前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第2の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分と、が等しいまたは略等しく、
かつ、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第3の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分と、が等しいまたは略等しいことを特徴とする請求項1に記載の出力バッファ回路。 - 前記第1の抵抗成分は、前記第1および第2のトランジスタに電流を供給する電流供給素子を備え、
前記第2の抵抗成分は、ゲート端子が前記第1のトランジスタのゲート端子に接続された第1の調整用トランジスタを備え、
前記第3の抵抗成分は、ゲート端子が前記第2のトランジスタのゲート端子に接続された第2の調整用トランジスタを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の出力バッファ回路。 - 前記第2の抵抗成分は、前記第1の調整用トランジスタと直列に接続された第1の調整用抵抗素子を備え、
前記第3の抵抗成分は、前記第2の調整用トランジスタと直列に接続された第2の調整用抵抗素子を備えることを特徴とする請求項4に記載の出力バッファ回路。 - 前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の調整用抵抗素子の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分との差分が少なくなるように調整され、
かつ、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第2の調整用抵抗素子の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分との差分が少なくなるように調整されたことを特徴とする請求項5に記載の出力バッファ回路。 - 前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の調整用抵抗素子の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分と、が等しいまたは略等しく、
かつ、前記第2の抵抗素子の抵抗成分と前記第2の調整用抵抗素子の抵抗成分との合成抵抗成分と、前記第1の抵抗素子の抵抗成分と前記第1の抵抗成分との合成抵抗成分と、が等しいまたは略等しいことを特徴とする請求項5に記載の出力バッファ回路。 - 前記電流供給素子は、定電流源であることを特徴とする請求項4に記載の出力バッファ回路。
- 前記電流供給素子は、抵抗素子であることを特徴とする請求項4に記載の出力バッファ回路。
- 出力段としてソースフォロアを備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の出力バッファ回路。
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