JPWO2013024823A1 - エッチング方法及び太陽電池用固体材料の表面加工方法 - Google Patents

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Abstract

(1)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる工程、及び(2)前記固体材料を加熱する工程を含むことで、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、安全で簡便に行うことができ、しかもエッチング速度が向上したエッチング方法を提供できる。前記エッチング方法は、さらに、(3)固体材料に、N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側から露光する工程、及び/又は(4)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、該材料と固体材料との間の残渣とともに除去する工程を含んでもよい。特に、加熱温度を高温として光照射を施すことで、太陽電池用固体材料の表面の光閉じ込め及び/又は反射防止加工のために好適な逆ピラミッド形状の凹部を形成することが可能である。

Description

本発明は、エッチング方法に関する。
半導体製造工程におけるエッチング方法としては、ドライエッチング方法とウェットエッチング方法がある。
一般に、ドライエッチング方法に用いられるフルオロカーボン系ガス又はNFは、地球温暖化係数が高く、環境に対する負荷が非常に大きい。また、フッ素ガスを用いるドライエッチング方法も報告されている(例えば、特許文献1参照)が、フッ素ガスは反応性、毒性が非常に高く、取り扱いが困難であり、残ガスの処理についてもアルカリ水を循環するスクラバーが必要となる。
一方、ウェットエッチング方法としては、フッ酸、フッ硝酸(HF−HNO)、バッファードフッ酸等を用いる方法が行われているが、いずれも高い腐食性と毒性を有しており、取り扱いには然るべき施設を必要とする。
以上から、これらのエッチング方法によって行うリソグラフィー工程は、その工程数が非常に多く、煩雑でありコスト増の原因となっている。
ところで、太陽電池の受光面は、光閉じ込め及び反射防止による変換効率向上を目的として、微小な凹凸(テクスチャ)構造が形成されている。変換効率への効果は、形状によって異なり、ハニカム形状>逆ピラミッド形状>ピラミッド形状の順に優れていることが知られている。どの形状もシリコン基板のエッチングによって形成されている。ドライエッチングを採用した場合は装置コスト及び大面積化への対応が課題である。また、アルカリを用いたウェットエッチングを採用した場合は、(100)面を有するウェハを用いた単結晶シリコン太陽電池にしか適応できず、多結晶又はアモルファス材料を用いた太陽電池には適用できないといった課題を有する。
また、微小電気機械素子(MEMS、Micro Electro Mechanical Systems)、レンズ、ミラーの製造工程も上記と同様に、その工程数が非常に多く、煩雑である。
一方、上記従来のエッチング方法とは別に、エッチングの対象となる固体材料上に、N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む薄膜を形成し、薄膜側から露光することで、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、安全で簡便にエッチングできる(特許文献2〜3)。
特開2002−313776号公報 国際公開第2009/119848号パンフレット 特開2011−139048号公報
表面技術、2005年、56巻、13頁 Appl.Phys. Lett.,1989年、55巻、1363頁 シャープ技報、1998年、第70号、40頁
本発明は、このエッチング方法を応用し、安全で簡便にエッチングできるとともに、エッチング速度を向上させたエッチング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、N−F結合を有する有機化合物を含む材料を特定の固体材料に接触させた後、これを加熱することにより、安全で簡便にエッチングできるとともに、エッチング速度を向上させることができることを見出した。
さらには、上記固体材料のエッチング時に加熱するだけでなく光照射も行うと、先に述べた、太陽電池の受光面の光閉じ込め及び反射防止効果が期待されている、逆ピラミッド型の表面形状がより効率よく形成出来ることも見出した。
本発明は、この知見に基づき研究を重ね、完成されたものである。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.(1)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる工程、及び
(2)前記固体材料を加熱する工程
を含む固体材料のエッチング方法。
項2.前記工程(2)が、前記固体材料を28℃以上に加熱する工程である、項1に記載のエッチング方法。
項3.前記工程(2)が、固体材料を60℃以上に加熱する工程である、項1又は2に記載のエッチング方法。
項4.さらに、
(3)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側から露光する工程
を含む、項1又は2に記載のエッチング方法。
項5.さらに、
(3)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側
から露光する工程
を含む、項3に記載のエッチング方法。
項6.N−F結合を有する有機化合物が、一般式(1)で示される構造単位を有する、項1〜5のいずれかに記載のエッチング方法。
Figure 2013024823
Figure 2013024823
項7.N−F結合を有する有機化合物が、一般式(A1)で示される化合物である、項1〜6のいずれかに記載のエッチング方法。
Figure 2013024823
[式中、
隣接するRとR、RとR、RとR又はRとRは連結して、−CR=CR−CR=CR−を形成していてもよく、
、R、R、R、R、R、R、R及びRは同じか又は異なり、いずれも、水素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシ基;シアノ基;カルバモイル基;ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜5のアシルオキシ基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルケニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリール基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルチオ基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいカルバモイル基;炭素数1〜5のアシル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基;又は有機ポリマー鎖であり、
、R、R、R、R、R、R、R及びRは種々の組合せでヘテロ原子を介して又は介さずに環構造を形成してもよく、
また、
Figure 2013024823
項8.固体材料が、半導体又は絶縁体である項1〜7のいずれかに記載のエッチング方法。
項9.固体材料が、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイト、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1〜8のいずれかに記載のエッチング方法。
項10.項1〜9のいずれかに記載のエッチング方法を使用する、太陽電池用固体材料の表面の光閉じ込め及び/又は反射防止加工方法。
項11.(1)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる工程、及び
(2)前記固体材料を加熱する工程
を含むエッチング処理物の製造方法。
項12.さらに、
(3)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側から露光する工程
を含む、項11に記載の製造方法。
項13.項11又は12に記載の製造方法により製造されたエッチング処理物。
項14.項11又は12に記載の製造方法により、固体材料がエッチング加工されたエッチング処理物を備え、且つ、該固体材料がシリコンである、シリコン太陽電池。
本発明によれば、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、安全で簡便に行うことができ、しかもエッチング速度が向上したエッチング方法を提供できる。
固体材料のエッチングで形成される表面形状において、光照射の効果を示すSEM写真である。 実施例1〜18(p型シリコン、光照射あり)における、温度によるエッチング速度の変化を示すグラフである。 実施例19〜36(n型シリコン、光照射あり)における、温度によるエッチング速度の変化を示すグラフである。 実施例37〜52(p型シリコン、光照射なし)における、温度によるエッチング速度の変化を示すグラフである。 実施例53〜65(n型シリコン、光照射なし)における、温度によるエッチング速度の変化を示すグラフである。 実施例72〜84において、各温度条件における時間とエッチング深さの関係を示すグラフである。 実施例85で得られたエッチング処理(75℃)後のシリコン基板の表面形状を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例86で得られたエッチング処理(100℃)後のシリコン基板の表面形状を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例87〜98において、照射強度及びエッチング時間とエッチング深さとの関係を示すグラフである。 実施例87〜98において、エッチング処理後のシリコン基板の表面形状に、照射強度と時間とが与える影響を示す走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
本発明の固体材料のエッチング方法は、
(1)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる工程、及び
(2)前記固体材料を加熱する工程
を含む。
以下、各工程について、説明する。
工程(1)
工程(1)では、N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる。
N−F結合を有する有機化合物は、フッ素化剤として知られており、一般式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 2013024823
Figure 2013024823
Figure 2013024823
を生成するブレンステッド酸としては、例えば、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、トリニトロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキシエタン)スルホン酸、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸、Δ−コレステン−3−オン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシ−p−メンタン−2−スルホン酸、p−スチレンスルホン酸、β−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸等のスルホン酸;硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸等のハロゲン酸;モノメチル硫酸、モノエチル硫酸等のモノアルキル硫酸;酢酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸等のカルボン酸;HAlF、HBF、HB、HPF、HSbF、HSbF、HSb11、HAsF、HAlCl、HAlClF、HAlFCl、HBCl、HBClF、HBBrF、HSbCl、HSbClF等のルイス酸とハロゲン化水素との化合物;HBPh(Phはフェニル基)、
Figure 2013024823
等のアリール置換ホウ素化合物;(FSONH、(PhSONH(Phはフェニル基)、(CFSONH、(CSONH、(CSONH、(HCFCFSONH、CFSONHSO13
Figure 2013024823
等の酸性アミド化合物;(FSOCH、(CFSOCH、(PhOSOCH(Phはフェニル基)、(CFSOCH、(CFSOCH、(CSOCH、(C17SOCH等の炭素酸化合物等が挙げられる。
安定性の高いN−F結合を有する有機化合物を得るためには、
Figure 2013024823
として酢酸(pKa:4.56)よりも強い酸性度のブレンステッド酸の共役塩基が特に好ましい。
前記共役塩基としては、例えば、BFPFAsFSbFAlFAlClSbClSbClF、Sb11OClOOSOF、OSOCl、OSOOH、OSOOCHOSOCHOSOCFOSOCClOSOOSOOSOCHOSONON(SOCF等が特に好ましい。なかでも、テトラフルオロボレート(BF)又はパーフルオロアルカンスルホネート(OSOCFOSO等)が好ましく、テトラフルオロボレート(BF)がより好ましい。
一般式(1)を満たすN−F結合を有する有機化合物としては、例えば、N−フルオロピリジニウム化合物(A)、N−フルオロキヌクリジニウム塩(B)、N−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン化合物(C)等が挙げられる。
N−フルオロピリジニウム化合物(A)として好ましい化合物は、次の一般式(A1)、(A2)又は(A3)で示される化合物である。
Figure 2013024823
Figure 2013024823
Figure 2013024823
一般式(A1)〜(A3)中、
隣接するRとR、RとR、RとR又はRとRは連結して、−CR=CR−CR=CR−を形成していてもよく、
また、R’とR’、R’とR’、R’とR’又はR’とR’は連結して、−CR’=CR’−CR’=CR’−を形成していてもよく、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は同じか又は異なり、いずれも、水素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシ基;シアノ基;カルバモイル基;ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基(アルカノイル基等)、炭素数1〜5のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等)及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルケニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリール基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシル基(アルカノイル基等);ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等);少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルチオ基(アルカノイルチオ基等);ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいカルバモイル基;炭素数1〜5のアシル基(アルカノイル基等)及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基;又は有機ポリマー鎖であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は種々の組合せでヘテロ原子を介して又は介さずに環構造を形成してもよく、
一般式(A2)において、R、R、R、R、R、R、R、R及びRの1つが
Figure 2013024823
(Rは単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基)であり、
一般式(A3)において、R、R、R、R、R、R、R、R及びRのうちの1つとR’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうちの1つとは単結合で結合して結合鎖を形成している。
また、
Figure 2013024823
Figure 2013024823
本発明に用いられるN−フルオロピリジニウム塩(A)のうち、とくに好ましい化合物としては、次の一般式(A1a):
Figure 2013024823
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a及びR5aは同じか又は異なり、いずれも水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、ハロゲン原子、メチル基もしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基(アルカノイル基等)、炭素数2〜4のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等)、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基又はニトロ基;
Figure 2013024823
がpKaが4.56以下のブレンステッド酸の共役塩基である)
で表される化合物(A1a)、及び次の一般式(A2a):
Figure 2013024823
Figure 2013024823
(rは0〜5、好ましくは0〜2の整数)であり、その他が同じか又は異なり、いずれも水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基又はハロゲン原子である。]
で表される化合物(A2a)よりなる群から選ばれるN−フルオロピリジニウム塩があげられる。
また、次の一般式(A3a):
Figure 2013024823
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R1a’、R2a’、R3a’、R4a’及びR5a’は同じか又は異なり、いずれも水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、ハロゲン原子、メチル基もしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基(アルカノイル基等)、炭素数2〜4のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等)、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基又はニトロ基であり、R1a、R2a、R3a、R4a、R5aのうち1つはR1a’、R2a’、R3a’、R4a’、R5a’のうちの1つと単結合で結合鎖を形成し、
Figure 2013024823
が、pKaが4.56以下のブレンステッド酸の共役塩基である)
で表される化合物(A3a)も挙げられる。
上記の一般式(A1a)、(A2a)及び(A3a)で示される化合物のなかでも、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R1a’、R2a’、R3a’、R4a’及びR5a’は、電子供与性が高いほど安定性が高くなり、電子吸引性が高いほど反応性が高くなる。この観点から、要求特性に応じて適宜選択すればよい。
N−フルオロキヌクリジニウム塩(B)として、特に好ましい化合物は、次の一般式(B):
Figure 2013024823
Figure 2013024823
は式(1)と同じである)
で示される。
また、N−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン化合物(C)として特に好ましい化合物は、一般式(C):
Figure 2013024823
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基;
Figure 2013024823
は同じか又は異なり、いずれも式(1)と同じである)
で示される。
これらのN−F結合を有する有機化合物のなかでも、電子を受け取りやすい芳香環の骨格を有しているという点から、N−フルオロピリジニウム化合物(A)が好ましい。
本発明において、N−F結合を有する有機化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。N−F結合を有する有機化合物を2種類以上組み合わせて使用する場合は、上記のN−F結合を有する有機化合物を任意に組み合わせればよい。特に、N−フルオロピリジニウム化合物(A)を2種類以上組み合わせて使用すると、融点を低くし、室温で液体とすることができるため、例えば、塗布する場合には、そのまま塗布できるため、工程(1)を簡便に行うことができる。
N−F結合を有する有機化合物を2種類以上組み合わせて使用する場合の組成比は、特に制限はなく、融点を低くし、室温で液体とすることができる組成比とすることが好ましい。この場合、各成分の含有量をそれぞれ1〜99質量%程度が好ましい。
さらに、これらN−F結合を有する有機化合物と、これらと相溶性を有する第2の成分とを組み合わせて、機能を向上させることも好ましく採用される。例えば、イオン液体を加えることで、膜の粘度、均一性、塗布の容易さ、固体材料との濡れ性等の密着性等を調整することが出来る。
具体的なイオン液体としては、アルドリッチ社のイオン液体を掲載した試薬カタログ、又は関東化学(株)の脂肪族イオン液体を掲載した試薬カタログに記載されている、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等の化合物を挙げることが出来る。
例えば、水素終端を有するシリコン基板における密着性を向上させる目的では、対カチオン若しくは対アニオンのアルキル鎖長の長いもの、又はこれらイオンの分子量の比較的大きいものが好ましく用いられる。
具体的な例としては、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド等が挙げられる。
また第2の成分として、N−F結合を有する有機化合物と相溶性の高い有機溶媒、高分子、オイル等を混合して用いてもよい。
有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。
また高分子としては、N−F結合を有する有機化合物との相溶性が有る、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン、イオン交換用高分子等、極性基を分子内に含んだ親水性高分子、含フッ素アルキルエーテルポリマー等が挙げられる。
オイルとしては、スクワレン、脂肪酸エステル等の動植物油でも、ジメチルシロキサン等から構成されるシリコンオイル等の合成油でも用いることが出来る。
固体材料としては、半導体や絶縁体等が挙げられるが、半導体としては、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイト(SiC)、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、窒化ガリウム、窒化アルミニウム等を使用できる。また、絶縁体としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム等の金属酸化物及びこれらのシリケート、二酸化ケイ素、石英等のシリコン酸化物、シリコン窒化物、サファイア等を使用できる。なかでも、エッチング速度向上効果の点から、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等)、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、インジウムリン等が好ましい。
なお、これらの固体材料の表面形状等に関しては特に制限はない。
工程(1)で固体材料に接触させたN−F結合を有する有機化合物を含む材料中のN−F結合を有する有機化合物は、結晶、多結晶、アモルファス、液体のいずれでも用いられるが、固体材料との反応を良好に進行させるためにはアモルファス又は液体であることが好ましい。
ここで、N−F結合を有する有機化合物を含む材料を前記固体材料の表面に接触させる工程としては、具体的には、N−F結合を有する有機化合物を溶媒に溶解させ、前記固体材料の表面に塗布し、必要であれば溶媒を除去してもよい。
N−F結合を有する有機化合物が液状であるか、加熱等により液状化できるものを用いれば、固体材料の表面に容易に塗布することができる。
溶媒を使用する場合、特に制限されるわけではないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。なかでも、N−F結合を有する有機化合物の溶解度が高い点から、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンが好ましい。
N−F結合を有する有機化合物を含む材料を、固体材料に接触させる方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、キャスト法、スピンコート法、浸漬法、スプレー法、インクジェット法又はドクターブレード法による塗布法や、液化させたN−F結合を有する有機化合物を含む材料中に固体材料を含浸させることで実施することができる。塗布する場合では、固体材料の全面に塗布してもよいし、部分的にのみ塗布してもよい。なお、部分的に塗布する場合は、マスクをしてスプレーする方法又はインクジェット法で塗布する方法が好ましい。
上記N−F結合を有する有機化合物からなる材料の膜厚は、特に制限はないが、固体材料をより充分にエッチングできる点から、100nm〜50mmが、さらには200nm〜10mmが好ましい。なお、深くエッチングする場合は、厚く形成することが好ましい。
工程(1)において溶媒を使用する場合、溶媒を除去する方法としては、特に制限されるわけではないが、例えば、0.1kPa〜0.1MPa、25〜100℃で熱処理して除去する方法、また常温(20℃程度)、常圧(0.1MPa程度)下で送風する方法などで行うことができる。
この際、温度を25℃以上(好ましくは28℃以上)とすれば、溶媒の除去とともに、後述の工程(2)を同時に行うことができる。
N−F結合を有する有機化合物が、加熱により液状化できる場合、その熱処理温度は、融点、凝固点等にもよるが、0〜150℃が好ましい。また構造の異なるN−F結合を有する有機化合物や、イオン液体、有機溶媒、有機酸塩、アミン塩等のN−F結合を有する有機化合物と相溶性を有する別の材料を混合させる等により融点を下げ、液状化させることも好ましく行われる。
ここで具体的な例を挙げれば、N−フルオロ−3−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点59℃)とN−フルオロ−4−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点66℃)とを質量比で2:1で混合すると、融点は−17℃に低下する。このことから、液体として用いる際には、少なくとも2種類以上のN−F結合を有する有機化合物を混合することが有効な方法である。
なお、上記方法でN−F結合を有する有機化合物を含む材料を固体材料上に接触させた際、該材料が液状又は液状のものを含んでいる場合は、その後乾燥してもよい。乾燥条件は、使用するN−F結合を有する有機化合物により適宜調整すればよい。
また加熱によりN−F結合を有する有機化合物を含む材料を液状化させて固体材料上に接触させた後、冷却により固化させても良い。この場合、加熱はN−F結合を有する有機化合物の融点以上であればよく、冷却温度は凝固点以下であればよい。
工程(2)
加熱温度は、常温(20℃)をこえる温度であれば特に制限はないが、25℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、75℃以上がさらに好ましい。なお、後述の工程(3)(露光)を行う場合は25℃以上が好ましく、行わない場合は28℃以上が好ましい。後述の工程(3)を行う場合と行わない場合のいずれの場合にも、加熱温度を60℃以上(好ましくは75℃以上、より好ましくは150℃以上)とすれば、さらに大きくエッチング速度を向上させることができるとともに、より深くエッチングすることができる。加熱温度の上限値は、特に制限はないが、使用するN−F結合を有する有機化合物の分解温度以下が好ましい。具体的には、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。
加熱時間は特に制限はなく、必要とするエッチング深さに応じて適宜設定すればよいが、具体的には、5分〜10時間程度が好ましい。これにより、さらに効率的に、光閉じ込め及び/又は反射防止に有効な逆ピラミッド形状に表面加工することが可能である。なお、加熱温度が60℃未満の場合は30分〜2時間程度がより好ましく、加熱温度が60℃以上の場合は10〜30分程度がより好ましい。なお、後述の工程(3)(露光)を行う場合は、露光している間は加熱していることが好ましい。
加熱方法としても特に制限はなく、従来から行われている方法を採用することができる。例えば、ホットプレート、ペルチェ素子、水浴、オイルバス、恒温槽、恒温恒湿槽、乾燥機、インキュベーター、加熱炉、電気炉、赤外線照射等を使用することができる。
この工程により、N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料と接触した箇所の固体材料の全面にわたって、エッチング速度を向上させることができる。
反応機構は必ずしも明らかではないが、固体材料がシリコンの場合について例にとると、温度上昇により、N−F結合を有する有機化合物とシリコンとの間の電子授受が活発になり、界面でシリコンがフッ素化されることによるエッチングが促進されると考えられる。なお、高温(具体的には60℃以上)では、N−F結合を有する化合物の粘度が下がり流動しやすくなるため、常にシリコン表面が活性なN−F結合を有する化合物と接することが出来る。
以上の機構を考慮して、固体材料由来のフッ化物が容易に除去できる状態に置けば、エッチング速度を向上させることが可能である。具体的には、減圧下でのエッチングにより、エッチング速度の向上が達成できる。
工程(3)
本発明では、前記工程(2)(加熱)を行う際に、同時に又は別途、N−F結合を有する有機化合物を含む材料側から露光してもよい。ただし、加熱と同時に露光するのが簡便である。また、加熱温度が150℃未満の場合には、よりエッチング速度向上効果を見込むことができる。具体的には、以下の太陽電池表面テクスチャ形成用途で例示するように、60℃以上で十分なエッチング速度が期待できる。
このように、工程(3)で露光することにより、現像することなく、光を照射した箇所をより効果的にエッチングすることができる。これは、固体材料からN−F結合を有する有機化合物への電子移動が、光照射による電子励起を経由して非常に容易になるため、非常に高い速度でエッチングすることができるためと考えられる。
また、光照射強度を段階的に調節することで、直線的な形状以外の構造体の加工も可能にする。具体的には、斜面、局面構造体等の作成ができる。また、同様にエッチング操作の際に、2種類以上のヒーターを用いて基板上の温度に変化を付ければ、より複雑な形状を形成することも可能となる。
一方、加熱温度が150℃以上の場合には、工程(3)(光照射)の有無でエッチング速度の違いはほとんど見られない。
ただし、工程(3)(光照射)の有無でエッチング処理物の表面状態が変わる。
具体的には、工程(3)(光照射)を行わない場合には、図1の(c1)〜(c5)に示されるように、当初は大きさ1〜6μm程度の大きいピラミッド状の凸部が形成されるが、その後当該ピラミッド状の凸部が消滅する。さらにエッチングを続けると、最終的に大きさ20〜30nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部がほぼ全面にわたって形成される。
一方、工程(3)(光照射)を行う場合には、例えば図1の(a4)及び(b1)〜(b4)に示されるような条件で実施した際には、当初は大きさ300〜700nm程度の孔がほぼ全面にわたって形成され、その後、大きいピラミッド状の凸部が形成される。最終的には、表面に大きさ100〜300nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部がほぼ全面にわたって形成された、大きさ1〜3μm程度のピラミッド状の凸部が形成される。
これらの他、N−F結合を有する有機化合物を含む材料を、固体材料から除去する工程の前に、第2の加工操作を行うことも好ましく行われる。この連続エッチング操作によれば、複雑な形状を1工程で加工できる。ここで得られる固体材料の加工プロセスの利点は、通常のエッチング操作では達成できない。
露光する方法としては、例えば、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子ビーム、イオンビーム、レーザービーム等を照射する方法が挙げられる。この際、薄膜全面に照射してもよいが、部分的に照射する場合は、マスクする方法も使用できるが、プロジェクタ等を用いても、簡便に所望の箇所を照射することができる。これらの光のなかでも、可視光又は紫外線が好ましい。また、X線を使用した場合には、空間分解能を向上させることができる。
なお、ここで、可視光とは波長が400〜800nm程度、紫外線とは波長が10〜400nm程度、赤外線とは波長が800nm〜25μm程度、X線とは波長が0.01〜70nm程度、電子ビームとは加速電圧が0.1kV〜200kV程度、イオンビームとは加速電圧が1kV〜200kV程度である。また、レーザービームは、光の照射範囲を正確かつ容易にコントロールできる点で優れており、パルス巾、出力、波長、発振方式及び媒体にこだわらず使用可能である。
露光強度は、0.001〜100W/mmが、さらには0.01〜10W/mmが好ましい。また、露光時間は、1秒〜24時間が、さらには10秒〜5時間が好ましい。さらに、露光量は、0.001〜100W・h/mmが、さらには0.01〜10W・h/mmが好ましい。
工程(4)
以上のように、固体材料をエッチングした後、
(4)前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料を、固体材料との間の残渣とともに除去する工程
により、所望の形状にエッチングされた固体材料を得てもよい。
この際、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料を除去する具体的な方法としては、特に限定されるわけではないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、メチルスルホラン等の有機溶媒に浸漬する方法、回転させながら前記有機溶媒を吹き付ける方法等が挙げられる。
なお、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料を除去した後、再度上記有機溶媒中に浸漬し、必要に応じて攪拌、超音波照射等を施すことで、シリコン基板等の固体材料上に付着する残渣をより確実に除去することができる。
本発明のエッチング方法は、上述のように、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、半導体製造、太陽電池のテクスチャ構造形成、微小電気機械素子(MEMS、Micro Electro Mechanical Systems)製造、レンズ製造、X線ミラー製造、ミラー製造等に適用することができ、様々な方向からエッチングすることが可能であるため、同じ装置構成でより複雑な形状のエッチング処理物を簡便にかつ安全に製造することができる。特に、レーザー光等で狭い範囲を高熱にしながら、高い光強度で処理を行えば、エッチングの高速度化が達成できることから、LSI高集積化に必要な貫通電極形成等に有用である。また、加熱と光照射を組合せることにより、表面の形状を上記のとおり、小さい逆ピラミッド状の凹部を有するピラミッド状の凸部を有する形状とすることが可能であり、このような形状とすれば、特に太陽電池用固体材料の表面の光閉じ込め及び/又は反射防止加工(テクスチャ構造形成)に特に有用である。
なお、太陽電池用固体材料の表面の光閉じ込め及び/又は反射防止加工(テクスチャ構造形成)において、そのテクスチャ形状により光利用効果が異なり、ピラミッド型より逆ピラミッド型の方が望ましいことが報告されている(非特許文献1〜2)。また凹凸のパタン幅も、基板(例えばシリコン基板)の厚さと同程度が望ましいことが知られている(非特許文献3)。具体的には100nm〜1μm程度が望ましい。今回の発明で形成されるエッチング表面形状に関しては、高温条件下(60℃以上)で光照射を施した方が、これに近い形状であることから、太陽電池用固体材料の表面の光閉じ込め及び/又は反射防止加工については、高温条件下(60℃以上)で光照射を施した工程がより望ましいと考えられる。テクスチャ形成において、ピラミッド構造はアルカリエッチングにより形成することが可能であるが、逆ピラミッド構造はマスクの使用が必要とされている(非特許文献1)。今回のように、エッチング試薬を用いた1工程での加工方法は、製造コスト削減の面で利点を有している。
太陽電池用テクスチャ形成においては、光照射によるエッチング速度の向上効果により、75℃以上の温度に加熱すれば十分な処理速度が期待できる。この際の具体的な処理時間は5〜30分程度が好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されない。
なお、以下の実施例において、N−F結合を有する有機化合物、固体材料及び照射光源としては、以下のものを使用した。
<N−F結合を有する有機化合物>
N−F結合を有する有機化合物(I):N−フルオロ−3−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点59℃)
Figure 2013024823
N−F結合を有する有機化合物(II):N−フルオロ−4−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点66℃)
Figure 2013024823
<固体材料>
シリコン基板(1):CZ法により作製(ドーパント:B、p型、面方位(100)、抵抗率:10〜20Ωcm、厚さ550μm)
シリコン基板(2):CZ法により作製(ドーパント:P、n型、面方位(100)、抵抗率:10〜30Ωcm、厚さ450μm)
ゲルマニウム基板:融液成長法により作製(ドーパント:In、p型、面方位(100)、抵抗率:0.05〜0.25Ωcm、厚さ525±25μm、大きさ10mm角
ガリウムヒ素基板:LEC(Liquid Encapsulated Czochralski)法により作製(ドーパント:ノンドープ、面方位(100)、抵抗率:4.3〜6.3×10Ω・cm、厚さ350±10μm、大きさ10mm角)
窒化ガリウム基板:(株)パウデックより購入品;厚さ800μmのサファイヤ基板(0001)上にGaNをエピタキシャル成長させたもの(ドーパント:ノンドープ、GaN層の厚み:2μm、面方位(0001)(Ga面)、シート抵抗:6000〜10000Ω/sq、大きさ15mm×20mm)
インジウムリン基板:圧制御引上げ法(VCZ法)により作製(n型、面方位(100)、抵抗率:9.2×10−4Ωcm、厚さ:639μm)
<照射光源>
キセノンランプ:浜松ホトニクス(株)製、高安定キセノンランプL2274型(出力150W、透過波長220〜2000nm、放射強度2μw/cm・nm−1
ハロゲンランプ:ウシオライティング(株)製、JCR100V150EC型(波長域375〜3500nm)
実施例1
<工程A:基板の前処理>
2cm角のシリコン基板(1)を超純水で3分間洗浄し、97%硫酸と30%過酸化水素水(硫酸:過酸化水素水=4:1(体積比))で10分間処理してシリコン基板上の有機物を除去した。これを超純水で10分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。さらに、97%硫酸と30%過酸化水素水(硫酸:過酸化水素水=4:1(体積比))で10分間処理して表面を親水性にし、最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。冷却後、ここで得られた混合物を工程Aにより前処理して乾燥させたシリコン基板上に塗布した。
<工程C:基板の温度制御>
冷却機能付きのホットプレート(商品名:クールプレート;アズワン(株);型式:SCP125)上に、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を載せ、プレート温度を28℃に設定した。温度センサーを用いて表面温度を測定し、実験中の温度が設定通りであることを確認した。
<工程D:光照射>
工程Cで表面温度を28℃に調整しているシリコン基板に、N−F結合を有する有機化合物の側からキセノンランプにより白色光(露光波長200〜2000nm、露光強度0.5W/cm)を30分間照射した。
<工程E:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
シリコン基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程F:エッチング評価>
工程Eにより得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例2
工程Cにおいて、温度を75℃に設定すること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例3
工程Cにおいて、温度を100℃に設定すること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例4
工程Dにおいて、露光強度を1.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例5
工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例6
工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例7
工程Dにおいて、露光強度を1.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例8
工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例9
工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例10
工程Dにおいて、露光強度を2.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例11
工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例12
工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例13
工程Dにおいて、露光強度を2.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例14
工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例15
工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例16
工程Dにおいて、露光強度を3.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例17
工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を3.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例18
工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を3.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例19
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用いること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例20
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定すること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例21
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定すること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例22
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Dにおいて、露光強度を1.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例23
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例24
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例25
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Dにおいて、露光強度を1.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例26
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例27
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を1.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例28
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Dにおいて、露光強度を2.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例29
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例30
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例31
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Dにおいて、露光強度を2.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例32
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例33
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を2.5W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例34
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Dにおいて、露光強度を3.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例35
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を3.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例36
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、露光強度を3.0W/cmとすること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例1〜36の結果を図2〜3に示す(図2は実施例1〜18(p型シリコン、光照射あり)、図3は実施例19〜36(n型シリコン、光照射あり)の結果である)。シリコン基板のエッチング深さは、光照射強度だけではなく、照射時の温度の上昇に応じて向上することがわかる。なお、100℃においてはp型シリコンの方がn型シリコンよりも若干エッチングが進行し易いが、75℃や28℃ではほとんど差が無かった。
実施例37
光照射を施さないこと以外は実施例1と同様にした。具体的には、以下のとおりである。
<工程A:基板の前処理>
2cm角のシリコン基板(1)を超純水で3分間洗浄し、97%硫酸と30%過酸化水素水(硫酸:過酸化水素水=4:1(体積比))で10分間処理してシリコン基板上の有機物を除去した。これを超純水で10分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。さらに、97%硫酸と30%過酸化水素水(硫酸:過酸化水素水=4:1(体積比))で10分間処理して表面を親水性にし、最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。冷却後、ここで得られた混合物を工程Aにより前処理して乾燥させたシリコン基板上に塗布した。
<工程C:基板の温度制御>
冷却機能付きのホットプレート上に、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を載せ、プレート温度を28℃に設定し、暗室中で30分間放置した。温度センサーを用いて表面温度を測定し、実験中の温度が設定通りであることを確認した。
<工程E:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
シリコン基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程F:エッチング評価>
工程Eにより得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例38
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を、60分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例39
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を、120分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例40
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を、240分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例41
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、5分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例42
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、10分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例43
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例44
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、60分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例45
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、120分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例46
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、240分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例47
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、5分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例48
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、10分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例49
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例50
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、60分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例51
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、120分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例52
工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、240分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例53
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を、60分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例54
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を、120分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例55
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板を、240分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例56
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、10分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例57
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例58
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、60分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例59
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、120分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例60
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を75℃に設定し、240分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例61
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、10分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例62
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例63
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、60分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例64
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、120分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例65
固体材料として、2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したシリコン基板をホットプレート上に載せ、プレート温度を100℃に設定し、240分間ホットプレート上に放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例37〜65で得られたデータを図4〜5に示す(図4は実施例37〜52(p型シリコン、光照射なし)、図5は実施例53〜65(n型シリコン、光照射なし)の結果である)。温度を高くすればするほど、エッチングが進行することが判った。p型シリコンとn型シリコンでは、どの温度においてもほとんどエッチング速度に差が観られなかった。以上から、温度を上げることによって、N−F結合を有する有機化合物とシリコンの間の反応が促進され、シリコンのエッチング速度が向上することが判った。
実施例66
<工程A:基板の前処理>
ゲルマニウム基板を超純水で3分間洗浄し、UVオゾンで10分間処理して基板上の有機物を除去した。これを超純水で3分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の調製と塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。冷却後、ここで得られた混合物を工程Aにより前処理して乾燥させたゲルマニウム基板上に塗布した。
<工程C:基板の温度制御>
冷却機能付きのホットプレート(商品名:クールプレート;アズワン(株);型式:SCP125)上に、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したゲルマニウム基板を載せ、プレート温度を28℃に設定した。温度センサーを用いて表面温度を測定し、実験中の温度が設定通りであることを確認した。
<工程D:光照射>
工程Cで表面温度を28℃に調整しているゲルマニウム基板に、N−F結合を有する有機化合物の側からキセノンランプにより白色光(露光波長200〜2000nm、露光強度3.0W/cm)を30分間照射した。
<工程E:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
ゲルマニウム基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程F:エッチング評価>
工程Eにより得られたゲルマニウム基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面を計測した。その結果、ゲルマニウム表面が約209nmエッチングされていることを確認した。
実施例67
<工程A:基板の前処理>
ガリウムヒ素基板を超純水で3分間洗浄し、UVオゾンで10分間処理して基板上の有機物を除去した。これを超純水で3分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の調製と塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。冷却後、ここで得られた混合物を工程Aにより前処理して乾燥させたガリウムヒ素基板上に塗布した。
<工程C:基板の温度制御>
冷却機能付きのホットプレート(商品名:クールプレート;アズワン(株);型式:SCP125)上に、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したガリウムヒ素基板を載せ、プレート温度を28℃に設定した。温度センサーを用いて表面温度を測定し、実験中の温度が設定通りであることを確認した。
<工程D:光照射>
工程Cで表面温度を28℃に調整しているガリウムヒ素基板に、N−F結合を有する有機化合物の側からキセノンランプにより白色光(露光波長200〜2000nm、露光強度3.0W/cm)を30分間照射した。
<工程E:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
ガリウムヒ素基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程F:エッチング評価>
工程Eにより得られたガリウムヒ素基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面を計測した。その結果、ガリウムヒ素表面が約3544nm(3.544μm)エッチングされていることを確認した。
実施例68
<工程A:基板の前処理>
ガリウムヒ素基板を超純水で3分間洗浄し、UVオゾンで10分間処理して基板上の有機物を除去した。これを超純水で3分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の調製と塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。冷却後、ここで得られた混合物を工程Aにより前処理して乾燥させたガリウムヒ素基板上に塗布した。
<工程C:基板の温度制御>
冷却機能付きのホットプレート(商品名:クールプレート;アズワン(株);型式:SCP125)上に、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布したガリウムヒ素基板を載せ、プレート温度を28℃に設定し、暗室中で240分間放置した。温度センサーを用いて表面温度を測定し、実験中の温度が設定通りであることを確認した。
<工程E:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
ガリウムヒ素基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程F:エッチング評価>
工程Eにより得られたガリウムヒ素基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面を計測した。その結果、ガリウムヒ素表面が約1637nm(1.637μm)エッチングされていることを確認した。
実施例69
<工程A:基板の前処理>
窒化ガリウム基板を超純水で3分間洗浄し、97%硫酸と30%過酸化水素水(硫酸:過酸化水素水=4:1(体積比))で10分間処理して基板上の有機物を除去した。これを超純水で10分間洗浄した後、50%フッ酸で10分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の調製と塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。冷却後、ここで得た混合物を、工程Aにより前処理して乾燥させた窒化ガリウム基板上に塗布した。
<工程C:基板の温度制御>
冷却機能付きのホットプレート(商品名:クールプレート;アズワン(株);型式:SCP125)上に、工程Bで得たN−F結合を有する有機化合物を塗布した窒化ガリウム基板を載せ、プレート温度を28℃に設定した。温度センサーを用いて表面温度を測定し、実験中の温度が設定通りであることを確認した。
<工程D:光照射>
工程Cで表面温度を28℃に調整している窒化ガリウム基板に、N−F結合を有する有機化合物の側からキセノンランプにより白色光(露光波長200〜2000nm、露光強度3.0W/cm)を30分間照射した。
<工程E:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
窒化ガリウム基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程F:エッチング評価>
工程Eにより得られた窒化ガリウム基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面を計測した。その結果、窒化ガリウム表面が約8.5nmエッチングされていることを確認した。
実施例70
ゲルマニウム基板の代わりにインジウムリン基板を用いること以外は実施例66と同様の処理を行い、得られたインジウムリン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、インジウムリン表面が約1.2nmエッチングされていることを確認した。
実施例71
工程Cにおいて、温度を125℃に設定すること以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約5600nm(5.6μm)エッチングされていることを確認した。
実施例72
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を1分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約2.4μmエッチングされていることを確認した。
実施例73
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を5分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約7.8μmエッチングされていることを確認した。
実施例74
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を10分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約9.4μmエッチングされていることを確認した。
実施例75
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を15分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約10.2μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(a4))。大きさ3μm程度のピラミッド状の凸部が形成されており、その表面ほぼ全面にわたって大きさ100〜250nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部が形成されていることを確認した。
実施例76
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を1分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約5.6μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(b1))。大きさ500nm程度の孔がほぼ全面にわたって形成されていることを確認した。
実施例77
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を5分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約9.4μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(b2))。大きさ1〜2μm程度のピラミッド状の凸部が形成されており、その表面ほぼ全面にわたって大きさ100〜200nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部が形成されていることを確認した。
実施例78
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を10分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約10.2μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(b3))。ほぼ全面にわたって大きさ200nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部が形成されており、大きいピラミッド状の凸部も形成されていることを確認した。
実施例79
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を15分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約9.4μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(b4))。ほぼ全面にわたって大きさ50〜250nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部が形成されており、大きいピラミッド状の凸部も形成されていることを確認した。
実施例80
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、暗室で1分間放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約7.225μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(c1))。大きさ1〜6μm程度の大きいピラミッド状の凸部が形成されていることを確認した。
実施例81
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、暗室で5分間放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約9.5μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(c2))。ピラミッド状の凸部及び逆ピラミッド状の凹部ともに確認できなかった。
実施例82
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、暗室で10分間放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約10.025μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(c3))。表面に微細な凹凸が形成されていることを確認した。
実施例83
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、暗室で15分間放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約10.725μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(c4))。大きさ25nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部が形成されていることを確認した。
実施例84
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を175℃に設定し、暗室で30分間放置したこと以外は実施例37と同様にした。また、実施例37と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。その結果、シリコン表面が約10.62μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した(図1(c5))。大きさ20nm程度の小さい逆ピラミッド状の凹部が形成されていることを確認した。
実施例72〜84において、各温度条件における時間とエッチング深さの関係を図6に示す。
最もエッチング速度の速い条件(175℃、光照射なし、1分間)においては、エッチング速度は120nm/s(7.2μm/min)となり、従来のドライエッチング速度(6nm/s;11μm/30min)を大きく上回る速度でエッチングすることが可能であった。また、高温(175℃)においては、光照射の有無でエッチング速度に明確な差異は見られなかった。
また、光照射の有無により、エッチング後の表面形状に違いが見られた。
実施例85
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を75℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を15分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、ほぼ全面にわたって大きさ50〜100nm程度の逆ピラミッド状の凹部が形成されていることを確認した(図7)。
実施例86
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を100℃に設定し、工程Dにおいて、キセノンランプにて、露光強度4.0W/cmの白色光を15分間照射したこと以外は実施例1と同様にした。また、実施例1と同様の後処理を行った。
得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、ほぼ全面にわたって大きさ100〜200nm程度の逆ピラミッド状の凹部が形成されていることを確認した(図8)。
実施例87
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度4.0W/cmで1分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約5.6μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例88
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度4.0W/cmで5分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約6.6μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例89
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度4.0W/cmで10分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約7.1μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例90
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度4.0W/cmで15分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約7.2μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例91
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度4.0W/cmで30分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約8.5μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例92
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度4.0W/cmで60分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約9.0μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例93
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度7.0W/cmで1分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約5.3μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例94
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度7.0W/cmで5分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約7.5μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例95
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度7.0W/cmで10分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約8.0μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例96
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度7.0W/cmで15分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約8.8μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例97
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度7.0W/cmで30分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約9.1μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例98
固体材料として2cm角のシリコン基板(2)を用い、工程Cにおいて、温度を150℃に設定し、工程Dにおいて、ハロゲンランプにより照射強度7.0W/cmで60分間照射したこと以外は、実施例1と同様にした。同様の後処理後、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
その結果、シリコン表面が約9.3μmエッチングされていることを確認した。
また、得られたシリコン基板の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。
実施例87〜98の照射強度及びエッチング時間とエッチング深さとの関係を図9に示す。
また、得られたシリコン基板表面状態のSEM観察結果を図10に示す。照射強度によらず、照射開始から5分程度経過した後に、逆ピラミッド型の表面形状が形成され始めることが分かった。一方で、照射強度が高い方が、表面の逆ピラミッド形状の穴の大きさが速く大きくなる傾向が観られた。これはエッチング速度が照射強度に比例しているためと考えられる。

Claims (14)

  1. (1)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる工程、及び
    (2)前記固体材料を加熱する工程
    を含む固体材料のエッチング方法。
  2. 前記工程(2)が、前記固体材料を28℃以上に加熱する工程である、請求項1に記載のエッチング方法。
  3. 前記工程(2)が、固体材料を60℃以上に加熱する工程である、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
  4. さらに、
    (3)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側から露光する工程
    を含む、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
  5. さらに、
    (3)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側から露光する工程
    を含む、請求項3に記載のエッチング方法。
  6. N−F結合を有する有機化合物が、一般式(1)で示される構造単位を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のエッチング方法。
    Figure 2013024823
    Figure 2013024823
    はブレンステッド酸の共役塩基である。)
  7. N−F結合を有する有機化合物が、一般式(A1)で示される化合物である、請求項1〜6のいずれかに記載のエッチング方法。
    Figure 2013024823
    [式中、
    隣接するRとR、RとR、RとR又はRとRは連結して、−CR=CR−CR=CR−を形成していてもよく、
    、R、R、R、R、R、R、R及びRは同じか又は異なり、いずれも、水素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシ基;シアノ基;カルバモイル基;ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜5のアシルオキシ基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルケニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリール基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルチオ基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のAリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいカルバモイル基;炭素数1〜5のアシル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基;又は有機ポリマー鎖であり、
    、R、R、R、R、R、R、R及びRは種々の組合せでヘテロ原子を介して又は介さずに環構造を形成してもよく、
    また、
    Figure 2013024823
    はブレンステッド酸の共役塩基である。]
  8. 固体材料が、半導体又は絶縁体である請求項1〜7のいずれかに記載のエッチング方法。
  9. 固体材料が、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイト、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載のエッチング方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載のエッチング方法を使用する、太陽電池用固体材料の表面の光閉じ込め及び/又は反射防止加工方法。
  11. (1)N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料を、固体材料の表面に接触させる工程、及び
    (2)前記固体材料を加熱する工程
    を含むエッチング処理物の製造方法。
  12. さらに、
    (3)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む材料側から露光する工程
    を含む、請求項11に記載の製造方法。
  13. 請求項11又は12に記載の製造方法により製造されたエッチング処理物。
  14. 請求項11又は12に記載の製造方法により、固体材料がエッチング加工されたエッチング処理物を備え、且つ、該固体材料がシリコンである、シリコン太陽電池。
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