JP2013182963A - エッチング方法 - Google Patents

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瑞穂 森田
Junichi Uchikoshi
純一 打越
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健太郎 塚本
Takafumi Nagai
隆文 永井
Kenji Adachi
健二 足達
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Abstract

【課題】安全で簡便にエッチングできるとともに、エッチング速度を向上させたエッチング方法を提供する。
【解決手段】(1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
(1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
(1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
を備える、固体材料のエッチング方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、エッチング方法に関する。
半導体製造工程におけるエッチング方法としては、ドライエッチング方法とウェットエッチング方法がある。
一般に、ドライエッチング方法に用いられるフルオロカーボン系ガス又はNFは、地球温暖化係数が高く、環境に対する負荷が非常に大きい。また、フッ素ガスを用いるドライエッチング方法も報告されている(例えば、特許文献1参照)が、フッ素ガスは反応性、毒性が非常に高く、取り扱いが困難であり、残ガスの処理についてもアルカリ水を循環するスクラバーが必要となる。
一方、ウェットエッチング方法としては、フッ酸、フッ硝酸(HF−HNO)、バッファードフッ酸等を用いる方法が行われているが、いずれも高い腐食性と毒性を有しており、取り扱いには然るべき施設を必要とする。
以上から、これらのエッチング方法によって行うリソグラフィー工程は、その工程数が非常に多く、煩雑でありコスト増の原因となっている。
また、太陽電池の表面テクスチャ構造の形成についても、以下の課題が存在する。ドライエッチング方法の場合は、表面の精緻な形状の作成はできるが、装置が高価なため、大面積化に対応できない。また、ウェットエッチング方法は、(100)面を有するウェハを用いた単結晶シリコン太陽電池にしか適応できず、多結晶又はアモルファス材料を用いた太陽電池には適用できない。
また、微小電気機械素子(MEMS、Micro Electro Mechanical Systems)、レンズ、ミラーの製造工程も上記と同様に、その工程数が非常に多く、煩雑である。
一方、上記従来のエッチング方法とは別に、エッチングの対象となる固体材料上に、N−F結合を有する有機化合物を少なくとも1種含む薄膜を形成し、薄膜側から露光することで、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、安全で簡便にエッチングできる(特許文献2〜3)。
特開2002−313776号公報 国際公開第2009/119848号パンフレット 特開2011−139048号公報
表面技術、2005年、56巻、13頁 Appl.Phys. Lett.,1989年、55巻、1363頁 シャープ技報、1998年、第70号、40頁
本発明は、このエッチング方法を応用し、安全で簡便にエッチングできるとともに、エッチング速度を向上させたエッチング方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電界を印加する(特に、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料とを接触させて電圧を印加する)ことにより、安全で簡便にエッチングできるとともに、金属が存在する箇所のエッチング速度を向上させることができることを見出した。本発明は、この知見に基づき研究を重ね、完成されたものである。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
項1.(1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
(1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
(1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
を備える、固体材料のエッチング方法。
項2.前記工程(1−2a)を備える、項1に記載の固体材料のエッチング方法。
項3.前記工程(1−2a)が、少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料に、固体材料に対して−200〜200Vの電圧を印加する工程である、項1又は2に記載のエッチング方法。
項4.前記工程(1−2b)を備える、項1に記載の固体材料のエッチング方法。
項5.N−F結合を有する有機化合物が、一般式(1)で示される構造単位を有する、項1〜4のいずれかに記載のエッチング方法。
Figure 2013182963
(式中、
Figure 2013182963
はブレンステッド酸の共役塩基である。)
項6.N−F結合を有する有機化合物が、一般式(A1)で示される化合物である、項1〜5のいずれかに記載のエッチング方法。
Figure 2013182963
[式中、
隣接するRとR、RとR、RとR又はRとRは連結して、−CR=CR−CR=CR−を形成していてもよく、
、R、R、R、R、R、R、R及びRは同じか又は異なり、いずれも、水素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシ基;シアノ基;カルバモイル基;ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜5のアシルオキシ基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルケニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリール基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルチオ基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい基炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいカルバモイル基;炭素数1〜5のアシル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基;又は有機ポリマー鎖であり、
、R、R、R、R、R、R、R及びRは種々の組合せでヘテロ原子を介して又は介さずに環構造を形成してもよく、
また、
Figure 2013182963
はブレンステッド酸の共役塩基である。]
項7.固体材料が、半導体又は絶縁体である項1〜6のいずれかに記載のエッチング方法。
項8.固体材料が、シリコン、ゲルマニウム、シリコンカーバイト、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の半導体である項1〜7のいずれかに記載のエッチング方法。
項9.(1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
(1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
(1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
を備える、エッチング処理物の製造方法。
項10. 前記工程(1−2a)を備える、項9に記載のエッチング処理物の製造方法。
項11.前記工程(1−2b)を備える、項9に記載のエッチング処理物の製造方法。
項12.項9〜11のいずれかに記載の製造方法により製造されたエッチング処理物。
項13.(1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
(1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
(1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
を備える、太陽電池用基板の製造方法。
項14.前記工程(1−2a)を備える、項13に記載の太陽電池用基板の製造方法。
項15.前記工程(1−2b)を備える、項13に記載の太陽電池用基板の製造方法。
項16.項13〜15のいずれかに記載の製造方法により製造された太陽電池用基板。
本発明によれば、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、安全で簡便に行うことができ、しかもエッチング速度が向上したエッチング方法を提供できる。
本発明において、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電圧を印加する実施形態の一例を示す概念図である。 本発明において、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電圧を印加する他の実施形態の一例を示す概念図である。 実施例7において使用した実験装置を示す概念図である。
本発明の固体材料のエッチング方法は、
(1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
(1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
(1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
を備える。
工程(1−1)
工程(1−1)では、上述のとおり、少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を固体材料の表面に接触させる。
N−F結合を有する有機化合物は、フッ素化剤として知られているものであり、一般式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 2013182963
(式中、
Figure 2013182963
はブレンステッド酸の共役塩基である。)
一般式(1)において、
Figure 2013182963
を生成するブレンステッド酸としては、例えば、メタンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、トリニトロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロオクタンスルホン酸、パーフルオロ(2−エトキシエタン)スルホン酸、パーフルオロ(4−エチルシクロヘキサン)スルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロエタンスルホン酸、フルオロスルホン酸、クロロスルホン酸、カンファースルホン酸、ブロモカンファースルホン酸、Δ−コレステン−3−オン−6−スルホン酸、1−ヒドロキシ−p−メンタン−2−スルホン酸、p−スチレンスルホン酸、β−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、パーフルオロ−3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホン酸等のスルホン酸;硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;過塩素酸、過臭素酸、過ヨウ素酸、塩素酸、臭素酸等のハロゲン酸;モノメチル硫酸、モノエチル硫酸等のモノアルキル硫酸;酢酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ジクロロ酢酸、アクリル酸等のカルボン酸;HAlF、HBF、HB、HPF、HSbF、HSbF、HSb11、HAsF、HAlCl、HAlClF、HAlFCl、HBCl、HBClF、HBBrF、HSbCl、HSbClF等のルイス酸とハロゲン化水素との化合物;HBPh(Phはフェニル基)、
Figure 2013182963
等のアリール置換ホウ素化合物;(FSONH、(PhSONH(Phはフェニル基)、(CFSONH、(CSONH、(CSONH、(HCFCFSONH、CFSONHSO13
Figure 2013182963
等の酸性アミド化合物;(FSOCH、(CFSOCH、(PhOSOCH(Phはフェニル基)、(CFSOCH、(CFSOCH、(CSOCH、(C17SOCH等の炭素酸化合物等が挙げられる。
安定性の高いN−F結合を有する有機化合物を得るためには、
Figure 2013182963
として酢酸(pKa:4.56)よりも強い酸性度のブレンステッド酸の共役塩基が特に好ましい。
前記共役塩基としては、例えば、BFPFAsFSbFAlFAlClSbClSbClF、Sb11OClOOSOF、OSOCl、OSOOH、OSOOCHOSOCHOSOCFOSOCClOSOOSOOSOCHOSONON(SOCF等が特に好ましい。なかでも、テトラフルオロボレート(BF)又はパーフルオロアルカンスルホネート(OSOCFOSO等)が好ましく、テトラフルオロボレート(BF)がより好ましい。
一般式(1)を満たすN−F結合を有する有機化合物としては、例えば、N−フルオロピリジニウム化合物(A)、N−フルオロキヌクリジニウム塩(B)、N−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン化合物(C)等が挙げられる。
N−フルオロピリジニウム化合物(A)として好ましい化合物は、次の一般式(A1)、(A2)又は(A3)で示される。
Figure 2013182963
Figure 2013182963
Figure 2013182963
一般式(A1)〜(A3)中、
隣接するRとR、RとR、RとR又はRとRは連結して、−CR=CR−CR=CR−を形成していてもよく、
また、R’とR’、R’とR’、R’とR’又はR’とR’は連結して、−CR’=CR’−CR’=CR’−を形成していてもよく、
、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は同じか又は異なり、いずれも、水素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシ基;シアノ基;カルバモイル基;ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基(アルカノイル基等)、炭素数1〜5のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等)及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルケニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリール基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシル基(アルカノイル基等);ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等);少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルチオ基(アルカノイルチオ基等);ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい基炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいカルバモイル基;炭素数1〜5のアシル基(アルカノイル基等)及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基;又は有機ポリマー鎖であり、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’は種々の組合せでヘテロ原子を介して又は介さずに環構造を形成してもよく、
一般式(A2)において、R、R、R、R、R、R、R、R及びRの1つが
Figure 2013182963
(Rは単結合又は炭素数1〜5のアルキレン基)であり、
一般式(A3)において、R、R、R、R、R、R、R、R及びRのうちの1つとR’、R’、R’、R’、R’、R’、R’、R’及びR’のうちの1つとは単結合で結合して結合鎖を形成している。
また、
Figure 2013182963
は一般式(1)におけるものと同じ、
Figure 2013182963
と同じである。
本発明に用いられるN−フルオロピリジニウム塩(A)のうち、とくに好ましい化合物としては、次の一般式(A1a):
Figure 2013182963
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a及びR5aは同じか又は異なり、いずれも水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、ハロゲン原子、メチル基もしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基(アルカノイル基等)、炭素数2〜4のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等)、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基又はニトロ基;
Figure 2013182963
がpKaが4.56以下のブレンステッド酸の共役塩基である)
で表される化合物(A1a)、及び次の一般式(A2a):
Figure 2013182963
[式中、R1a、R2a、R3a、R4a及びR5aのうち1つが
Figure 2013182963
(rは0〜5、好ましくは0〜2の整数)であり、その他が同じか又は異なり、いずれも水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基又はハロゲン原子である]
で表される化合物(A2a)よりなる群から選ばれるN−フルオロピリジニウム塩があげられる。
また、次の一般式(A3a):
Figure 2013182963
(式中、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R1a’、R2a’、R3a’、R4a’及びR5a’は同じか又は異なり、いずれも水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、ハロゲン原子、メチル基もしくはハロゲンで置換されていてもよいフェニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基(アルカノイル基等)、炭素数2〜4のアシルオキシ基(アルカノイルオキシ基等)、炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基、シアノ基又はニトロ基であり、R1a、R2a、R3a、R4a、R5aのうち1つはR1a’、R2a’、R3a’、R4a’、R5a’のうちの1つと単結合で結合鎖を形成し、
Figure 2013182963
が、pKaが4.56以下のブレンステッド酸の共役塩基である)
で表される化合物(A3a)も挙げられる。
上記の一般式(A1a)、(A2a)及び(A3a)で示される化合物のなかでも、R1a、R2a、R3a、R4a、R5a、R1a’、R2a’、R3a’、R4a’及びR5a’は、電子供与性が高いほど安定性が高くなり、電子吸引性が高いほど反応性が高くなる。この観点から、要求特性に応じて適宜選択すればよい。
N−フルオロキヌクリジニウム塩(B)として、特に好ましい化合物は、次の一般式(B):
Figure 2013182963
(式中、
Figure 2013182963
は式(1)と同じである)
で示される。
また、N−フルオロ−1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]オクタン化合物(C)として特に好ましい化合物は、一般式(C):
Figure 2013182963
(式中、Rは、水酸基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基;
Figure 2013182963
は同じか又は異なり、いずれも式(1)と同じである)
で示される。
これらのN−F結合を有する有機化合物のなかでも、電子を受け取りやすい芳香環の骨格を有しているという点から、N−フルオロピリジニウム化合物(A)が好ましい。
本発明において、N−F結合を有する有機化合物は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。N−F結合を有する有機化合物を2種類以上組み合わせて使用する場合は、上記のN−F結合を有する有機化合物を任意に組み合わせればよい。特に、N−フルオロピリジニウム化合物(A)を2種類以上組み合わせて使用すると、融点を低くし、室温で液体とすることができるため、例えば、塗布する場合には、そのまま塗布できるため、工程(1)を簡便に行うことができる。
N−F結合を有する有機化合物を2種類以上組み合わせて使用する場合の組成比は、特に制限はなく、融点を低くし、室温で液体とすることができる組成比とすることが好ましい。この場合、各成分の含有量をそれぞれ1〜99質量%程度とすることが好ましい。
さらに、これらN−F結合を有する有機化合物と、これらと相溶性を有する第2の成分とを組み合わせて、機能を向上させることも好ましく採用される。例えば、イオン液体を加えることで、膜の粘度、均一性、塗布の容易さ、固体材料との濡れ性等の密着性等を調整することが出来る。
具体的なイオン液体としては、アルドリッチ社のイオン液体を掲載した試薬カタログ、又は関東化学(株)の脂肪族イオン液体を掲載した試薬カタログに記載されている、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等の化合物を挙げることが出来る。
例えば、水素終端を有するシリコン基板における密着性を向上させる目的では、対カチオン若しくは対アニオンのアルキル鎖長の長いもの、又はこれらイオンの分子量の比較的大きいものが好ましく用いられる。
具体的な例としては、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウムクロライド、1−ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリヘキシルテトラデシルホスホニウムジシアナミド等が挙げられる。
また第2の成分として、N−F結合を有する有機化合物と相溶性の高い有機溶媒、高分子、オイル等を混合して用いてもよい。
有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。
また高分子としては、N−F結合を有する有機化合物との相溶性が有る、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン、イオン交換用高分子等、極性基を分子内に含んだ親水性高分子、含フッ素アルキルエーテルポリマー等が挙げられる。
オイルとしては、スクワレン、脂肪酸エステル等の動植物油でも、ジメチルシロキサン等から構成されるシリコンオイル等の合成油でも用いることが出来る。
固体材料としては、半導体や絶縁体等が挙げられるが、半導体としては、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等)、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、シリコンカーバイト(SiC)、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、窒化ガリウム、窒化アルミニウム等を使用できる。また、絶縁体としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化クロム等の金属酸化物及びこれらのシリケート、二酸化ケイ素、石英等のシリコン酸化物、シリコン窒化物、サファイア等を使用できる。なかでも、エッチング速度の向上効果の点から、シリコン(単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン等)、ゲルマニウム、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、インジウムリン等がより好ましい。
なお、これらの固体材料の表面形状などに関しては特に制限はない。
工程(1−1)で固体材料に接触させた材料中のN−F結合を有する有機化合物は、結晶、多結晶、アモルファス、液体のいずれでも用いられるが、固体材料との反応を良好に進行させるためには、アモルファス又は液体であることが好ましい。
ここで、工程(1−1)としては、具体的には、
(1−1a)N−F結合を有する有機化合物を溶媒に溶解させ、前記固体材料の表面に塗布し、必要に応じて溶媒を除去する工程
等が挙げられる。
N−F結合を有する有機化合物が液状であるか、加熱等により液状化できるものを用いれば、固体材料の表面に容易に塗布することができる。
工程(1−1a)で溶媒を使用する場合、特に制限されるわけではないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、メチルスルホラン等が挙げられる。なかでも、N−F結合を有する有機化合物の溶解度が高い点から、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタンが好ましい。
N−F結合を有する有機化合物を含む材料を、固体材料表面に接触させる方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、キャスト法、スピンコート法、浸漬法、スプレー法、インクジェット法又はドクターブレード法による塗布法や、液化させたこれら材料中に固体材料を含浸させることで実施することができる。塗布する場合では、固体材料の全面に塗布してもよいし、部分的にのみ塗布してもよい。なお、部分的に塗布する場合は、マスクをしてスプレーする方法又はインクジェット法で塗布する方法が好ましい。
上記N−F結合を有する有機化合物を含む材料の膜厚は、特に制限はないが、固体材料をより充分にエッチングできる点から、100nm〜50mmが、さらには200nm〜10mmが好ましい。なお、深くエッチングする場合は、厚く形成することが好ましい。
工程(1−1a)において溶媒を使用する場合、溶媒を除去する方法としては、特に制限されるわけではないが、例えば、0.1kPa〜0.1MPa、25〜100℃で熱処理して除去する方法、また常温(20℃程度)、常圧(0.1MPa程度)下で送風する方法等で行うことができる。
N−F結合を有する有機化合物が、加熱により液状化できる場合、その熱処理温度は、融点、凝固点等にもよるが、0〜150℃が好ましい。また構造の異なるN−F結合を有する有機化合物や、イオン液体、有機溶媒、有機酸塩、アミン塩等のN−F結合を有する有機化合物と相溶性を有する別の材料を混合させる等により融点を下げ、液状化させることも好ましく採用される。
ここで具体的な例を挙げれば、N−フルオロ−3−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点59℃)とN−フルオロ−4−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点66℃)とを質量比で2:1で混合すると、融点は−17℃に低下する。このことから、液体として用いる際には、少なくとも2種類以上のN−F結合を有する有機化合物を混合することが有効な方法である。
なお、上記N−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料を接触させた際に、上記材料が液状又は液状のものを含んでいる場合は、その後乾燥してもよい。乾燥条件は、使用するN−F結合を有する有機化合物により適宜調整することが好ましい。
また加熱によりN−F結合を有する有機化合物を液状化させて塗布した後、冷却により固化させてもよい。この場合、加熱はN−F結合を有する有機化合物の融点以上が好ましく、冷却温度は凝固点以下が好ましい。
工程(1−2)
工程(1−2)では、上述のとおり、
(1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
(1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
を備える。
<工程(1−2a)>
工程(1−2a)では、上述のとおり、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電圧を印加する。
印加する電圧については、N−F結合を有する有機化合物を含む材料に、固体材料に対して正の電位を印加してもよいし、負の電位を印加してもよい。いずれの場合にも、電圧を印加しない場合と比較し、エッチング速度を向上させることができる。具体的には、印加する電圧は、N−F結合を有する有機化合物を含む材料に、固体材料に対して−200〜200V、特に−100〜100Vの電圧を印加することが好ましい。
工程(1−2a)において、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電圧を印加する方法としては、特に制限されないが、一例として、図1を参酌して説明する。
まず、上記工程(1−1)でN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させた後、まず、裏面電極上に、固体材料を接触させる。
ここで裏面電極と固体材料との接触は、固体材料を設置することでも可能であるが、これ以外にも、真空チャック、静電チャック、バネ、ネジ、空気圧シリンダ、ソレノイドアクチュエータで圧着することでも達成できる。
裏面電極としては、例えば、金、白金、銀、タングステン、タングステンカーバイト、ニッケル、アルミニウム、銅等の金属が挙げられる。この裏面電極をアースに接続してもよい。
次に、Wプローブを、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と接触させ、裏面電極との間に所定の電圧を印加する。これにより、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に所定の電圧を印加することができる。
この際、Wプローブの接触位置に対応する箇所の固体材料のエッチング速度が上昇する。このため、より細いWプローブを使用すれば、より選択的にエッチングすることが可能となる。
N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電圧を印加することでエッチング速度が向上する反応機構は必ずしも明らかではない。固体材料がシリコンの場合について例にとると、シリコンからN−F結合を有する有機化合物への電子移動が起こり、界面でシリコンのフッ素化反応が進行し、生成するSiF4が除去されてシリコンがエッチングされるが、電圧を印加することで、この電子移動が起こりやすくなるためと考えられる。
N−F結合を有する有機化合物に、固体材料に対して正の電圧を印加した場合は、固体材料であるシリコン上に形成したN−F結合を有する有機化合物を含む材料のLUMO(電子を受け取る最低のエネルギーレベル)が下がるので、シリコンの導電体に励起した電子をN−F結合を有する有機化合物を含む材料が受け取りやすくなる。つまり、電子移動が起こりやすくなると考えられる。また、シリコンへ外部から電子を加えることが可能なので、励起により欠乏した電子を補充し、電子が欠乏することで反応が進み難くなるのを抑制する効果もあると考えられる。
N−F結合を有する有機化合物に、固体材料に対して負の電圧を印加した場合は、エッチングの進行に従い電子欠乏状態になったシリコンに対して、電極を通じてN−F結合を有する有機化合物側から電子の注入が行なわれる。このようにして、シリコンの電子欠乏が改善されることでエッチングが加速されると考えられる。
また、後述のように、N−F結合を有する有機化合物と金属とが接する状態においたり、電圧を印加する際に加熱したりすれば、上記の電子移動ないしはフッ素化反応のどちらか、あるいは両方において、反応速度がさらに向上すると考えられる。
以上の機構を考慮して、固体材料由来のフッ化物が容易に除去できる状態に置けば、エッチング速度を向上させることが可能である。具体的には、減圧下でのエッチングにより、エッチング速度の向上が達成できる。
<工程(1−2b)>
工程(1−2b)では、上述のとおり、N−F結合を有する有機化合物を含む材料又は固体材料をアースに接続する。
アースと接続する方法は特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
なお、N−F結合を有する有機化合物を含む材料又は固体材料をアースに接続した後、工程(1−2a)と同様にN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加してもよい。
このように、N−F結合を有する有機化合物を含む材料又は固体材料をアースと接続することによってもエッチング速度を向上させることができる。このエッチング速度向上の反応機構は明らかではないが、以下のような機構を考えることが可能である。つまり、エッチングの進行に従い電子欠乏状態になったシリコンに対して、アースを通じての電子の注入が可能であり、このようにすれば、シリコンの電子欠乏が改善されため、エッチングが加速されると考えられる。
また、後述のように、N−F結合を有する有機化合物と金属とが接する状態においたり、N−F結合を有する有機化合物を含む材料又は固体材料をアースと接続する際に加熱したりすれば、上記の電子移動ないしはフッ素化反応のどちらか、あるいは両方において、反応速度がさらに向上すると考えられる。
以上の機構を考慮して、固体材料由来のフッ化物が容易に除去できる状態に置けば、エッチング速度を向上させることが可能である。具体的には、減圧下でのエッチングにより、エッチング速度の向上が達成できる。
なお、上記説明では、特に、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電圧を印加する工程(1−2)として、固体材料と電極を接触させ、N−F結合を有する有機化合物とWプローブとを接触させる態様について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料とを含む系全体に電界を印加し、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と、固体材料との間に電界を印加することも好ましく行われる。この際には、図2に示されるように、N−F結合を有する有機化合物を含む材料を形成した固体材料を、片側の電極上に設置した絶縁性ステージ上に接触させ、反対側の電極をN−F結合を有する有機化合物を含む材料の上方に設置し、電極間に電圧を印加することが好ましい。
金属
また、さらにエッチング速度の向上を目的として、金属をN−F結合を有する有機化合物と接する状態におくことも好ましい。
具体的には、上記の工程(1−1)を、
(1−1−a1)金属、及び少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を固体材料の表面上に接触させる工程
とすることが挙げられる。
また、上記の工程(1−1)を、
(1−1−b1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を固体材料の表面に接触させる工程、及び
(1−1−b2)金属を含む層を、前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と接するように形成する工程
とすることも好ましい。
これにより、金属が存在する箇所の固体材料のエッチング速度をさらに向上させることができる。なお、後述の工程(2)のように、エッチング速度のさらなる向上を目的として露光する場合は、該金属が光をさえぎるが、それでもなお、金属が存在しない箇所よりもエッチング速度を向上させることができる。
<工程(1−1−a1)>
工程(1−1−a1)では、上述のとおり、金属、及び少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、固体材料の表面に接触させる。
金属としては、N−F結合を有する有機化合物が液体の場合又はN−F結合を有する有機化合物を液状化させる場合は必要に応じて液状化した該N−F結合を有する有機化合物中に分散できるものであれば特に制限はない。また、有機溶媒等を使用する場合は該有機溶媒中に分散できるものであれば特に制限はない。具体的には、銅、亜鉛、ニッケル、銀、白金、マンガン、パラジウム等が挙げられる。これらの金属は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いても、或いはこれらを含む合金を用いてもよい。
これらの金属のなかでも、後述の工程(2)を行わない場合(例えば28℃)では、よりエッチング速度を向上させられるため、銅、亜鉛、ニッケル、銀、白金、マンガン、パラジウム等が好ましく、銅、亜鉛、ニッケル、白金等がより好ましく、亜鉛、ニッケル等がより好ましい。また、後述の工程(2)を行う場合(例えば100℃)では、よりエッチング速度を向上させられるため、銅、亜鉛、ニッケル、白金等が好ましく、銅、白金等がより好ましい。なお、これらの金属は、公知又は市販のものを使用することができる。
金属の形状は、特に制限されない。粒子状でもよいし、粉末状でもよい。また、平均粒径も後述のN−F結合を有する有機化合物が液体の場合又はN−F結合を有する有機化合物を液状化させる場合は必要に応じて液状化した該N−F結合を有する有機化合物中に分散できれば特に制限はないが、固体材料の表面にN−F結合を有する有機化合物とともに均一に広がることが望ましい。例えば、10nm〜1000μm程度とすることが好ましい。この平均粒径に関して言えば、微粒子の粒径が必ずしも揃っている必要はなく、分散した粒径に分布があっても構わない。
N−F結合を有する有機化合物及び固体材料としては、前記したものが使用できる。その他の条件や方法等も、N−F結合を有する有機化合物を含む材料中に金属を分散させること以外は前記した工程(1−1)と同様である。
<工程(1−1−b1)>
工程(1−1−b1)では、上述のとおり、少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を固体材料の表面に接触させる。
この際、使用できるN−F結合を有する有機化合物及び固体材料は、工程(1−1)と同様のものを用いることができる。
また、N−F結合を有する有機化合物からなる材料を固体材料へ接触させる方法や条件等も、工程(1−1)と同様とすることができる。
<工程(1−1−b2)>
工程(1−1−b2)では、上述のとおり、金属を含む層を、前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と接するように形成する。
金属を含む層としては、金属を含んでいれば特に制限はされず、工程(1−1−a1)にて説明した材料を含むことが好ましい。具体的な形状としては、金属蒸着膜、金属箔でもよいし、金属膜を加工したメッシュでもよい。
金属を含む層の形成方法としては、上記の金属を含む層が少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と接するように積層することが好ましい。
また、該金属を含む層を安定させるため、さらにその上に透明基板を積層することも可能である。
透明基板としては、特に制限はなく、ガラス、プラスチック等から構成することが好ましい。
金属を含む層の上に透明基板を積層させる場合には、例えば、金属箔、金属膜を加工したメッシュ等の上に透明基板を積層させてもよいし、蒸着等で表面に金属薄膜を形成した透明基板を用い、これを金属を含む層及び透明基板として用いてもよい。
工程(1−1’)
本発明では、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する際、又はN−F結合を有する有機化合物を含む材料又は固体材料をアースに接続する際(具体的には、工程(1−1)の後で工程(1−2)の前又は同時)に、
(1−1’)前記固体材料を加熱する工程
を施すことも可能である。
これにより、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料が接触した箇所の固体材料の全面にわたって、エッチング速度をより向上させることができる。
加熱温度は、常温(20℃)をこえる温度であれば特に制限はないが、25℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。なお、後述の工程(2)(露光)を行う場合は25℃以上が好ましく、行わない場合は28℃以上が好ましい。加熱温度の上限値は、特に制限はないが、使用するN−F結合を有する有機化合物の分解温度以下とすることが好ましい。具体的には、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。
加熱時間は特に制限はなく、必要とするエッチング深さに応じて適宜設定すればよいが、具体的には、5分〜10時間程度が好ましく、30分〜2時間程度がより好ましい。なお、電界を印加している間は加熱していることが好ましい。また、後述の工程(2)(露光)を行う場合は、電界の印加及び露光している間は加熱していることが好ましい。
加熱方法としても特に制限はなく、従来から行われている方法を採用することができる。例えば、ホットプレート、ペルチェ素子、水浴、オイルバス、恒温槽、恒温恒湿槽、乾燥機、インキュベーター、加熱炉、電気炉、赤外線照射等を使用することが好ましい。
工程(2)
本発明のエッチング方法は、
(2)前記固体材料に、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料側から露光する工程
を含んでいてもよい。
なお、前記工程(2)(加熱)を行う場合は、露光するタイミングは、工程(2)と同時に又は別途のいずれでもよい。ただし、同時に露光するのが簡便であり、且つ、よりエッチング速度向上効果を見込むことができる。また、加熱温度が150℃未満の場合には、よりエッチング速度向上効果を見込むことができる。具体的には、以下の太陽電池表面テクスチャ形成用途で例示するように、75℃以上で十分なエッチング速度が期待できる。
工程(2)で露光することにより、現像することなく、光を照射した箇所をより効果的にエッチングすることができる。前記したように、所定の箇所に電圧を印加することにより、選択的にエッチングすることが可能であるが、これと所定箇所の露光を組合せることにより、さらに選択的に固体材料をエッチングすることが可能である。これは、固体材料からN−F結合を有する有機化合物への電子移動が、光照射による電子励起を経由して非常に容易になるため、露光した箇所をさらに非常に高い速度でエッチングすることができるためと考えられる。
また、光照射強度を段階的に調節することで、直線的な形状以外の構造体の加工も可能にする。具体的には、斜面、曲面構造体等の作製ができる。また、同様にエッチング操作の際に、2種類以上のヒーターを用いて基板上の温度に変化を付ければ、より複雑な形状を形成することも可能となる。
一方、加熱温度が150℃以上の場合には、工程(2)(光照射)の有無でエッチング速度の違いはほとんど見られない。
さらには、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料を、固体材料から除去する工程(後述の工程(3))の前に、第2の加工操作を行うことも好ましく行われる。この連続エッチング操作によれば、複雑な形状を1工程で加工できる。ここで得られる固体材料の加工プロセスの利点は、通常のエッチング操作では達成できない。またさらには、光照射強度を段階的に調節することで、直線的な形状以外の構造体の加工も可能にする。具体的には、斜面、曲面構造体等の作製ができる。
露光する方法としては、例えば、可視光、紫外線、赤外線、X線、電子ビーム、イオンビーム、レーザービーム等を照射する方法が挙げられる。この際、固体材料の表面全面に照射してもよいが、部分的に照射する場合は、マスクする方法も使用できるが、プロジェクタ等を用いても、簡便に所望の箇所を照射することができる。これらの光のなかでも、可視光又は紫外線が好ましい。また、X線を使用した場合には、空間分解能を向上させることができる。
なお、ここで、可視光とは波長400〜800nm程度、紫外線とは波長10〜400nm程度、赤外線とは波長800nm〜25μm程度、X線とは波長0.01〜70nm程度、電子ビームとは加速電圧が0.1kV〜200kV程度、イオンビームとは加速電圧が1kV〜200kV程度のものをいう。また、レーザービームは、光の照射範囲を正確かつ容易にコントロールできる点で優れており、パルス巾、出力、波長、発振方式及び媒体にこだわらず使用可能である。
露光強度は、0.001〜100W/mmが、さらには0.01〜10W/mmが好ましい。また、露光時間は、1秒〜24時間が、さらには10秒〜5時間が好ましい。さらに、露光量は、0.001〜100W・h/mmが、さらには0.01〜10W・h/mmが好ましい。
工程(3)
以上のように、固体材料をエッチングした後、
(3)前記N−F結合を有する有機化合物からなる材料を、固体材料との間の残渣とともに除去する工程
により、所望の形状にエッチングされた固体材料を得ることも可能である。
この際、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料を除去する具体的な方法としては、特に限定されるわけではないが、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、メチルエチルケトン、t−ブチルメチルケトン、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、スルホラン、メチルスルホラン等の有機溶媒に浸漬する方法、回転させながら前記有機溶媒を吹き付ける方法等が挙げられる。
なお、前記N−F結合を有する有機化合物を含む材料を除去した後、再度上記有機溶媒中に浸漬し、必要に応じて攪拌、超音波照射等を施すことで、シリコン基板等の固体材料上に付着する残渣をより確実に除去することができる。
本発明のエッチング方法は、上述のように、地球温暖化を引き起こす環境負荷が高いガス類、又は反応性、毒性の高く危険なフッ素ガス、フッ酸を用いることなく、半導体製造、太陽電池用基板のテクスチャ構造形成、微小電気機械素子(MEMS、Micro Electro Mechanical Systems)製造、レンズ製造、X線ミラー製造、ミラー製造等に適用することができ、様々な方向からエッチングすることが可能であるため、同じ装置構成でより複雑な形状のエッチング処理物を簡便にかつ安全に製造することができる。特に、N−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する場合は、電圧を印加する箇所が選択的にエッチングできることから、優れた加工技術となりえる点で有用である。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、N−F結合を有する有機化合物及び固体材料としては、以下のものを使用した。
<N−F結合を有する有機化合物>
N−F結合を有する有機化合物(I):N−フルオロ−3−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点59℃)
Figure 2013182963
N−F結合を有する有機化合物(II):N−フルオロ−4−メチルピリジニウム テトラフルオロボレート(融点66℃)
Figure 2013182963
<固体材料>
シリコン基板(1):CZ法により作製(ドーパント:P、n型、面方位(100)、抵抗率:10〜30Ωcm、厚さ700±15μm)
シリコン基板(2):CZ法により作製(ドーパント:B、p型、面方位(100)、抵抗率:10〜20Ωcm、厚さ600±25μm)
実施例1
<工程A:基板の前処理>
2cm角のシリコン基板(1)を超純水で3分間洗浄し、UVオゾンで10分間処理してシリコン基板上の有機物を除去した。これを超純水で3分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の調製と塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。ここで得た混合物6μLを、冷却後、工程Aにより前処理して乾燥させたシリコン基板上に塗布した。
<工程C:電圧印加>
電圧印加には、図1に示す装置を使用した。具体的には、
装置メーカー:Agilent Technologies
型式:HP 4156B PRECISION SEMICONDUCTOR PARAMETER ANALYZER
プローブ:タングステン針、直径0.25 mm
金属試料台:材質アルミニウム板(表面ニッケルめっき処理)、厚さ26 mm
を使用した。
この装置により、プローブ−試料台(裏面電極)間に、金属試料台に対してプローブに−1Vの電圧を印加し、暗室中で室温下に4時間放置し、シリコン基板をエッチングした。これにより、固体材料に対してN−F結合を有する有機化合物に−5Vの電圧を印加することとなる。
<工程D:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
シリコン基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程E:エッチング評価>
工程Dにより得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例2
工程Cにおいて、印加電圧を−5Vとすること以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例3
工程Cにおいて、印加電圧を−10Vとすること以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例4
工程Cにおいて、印加電圧を−20Vとすること以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例5
工程Cにおいて、印加電圧を+5Vとすること以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例6
シリコン基板として、シリコン基板(2)を使用し、且つ、工程Cにおいて、印加電圧を−5Vとすること以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
比較例1
工程Cにおいて、電圧を印加しない(0V)こと以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
比較例2
シリコン基板として、シリコン基板(2)を使用し、且つ、工程Cにおいて、電圧を印加しない(0V)こと以外は実施例1と同様の処理を行い、得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡により表面(エッチング深さ)を計測した。
実施例1〜6及び比較例1〜2の結果を表1に示す。
Figure 2013182963
上記の実施例1〜6及び比較例1〜2の結果から、正の電圧及び負の電圧のいずれを印加した場合にも、エッチング速度を向上させることができることが確認された。
実施例7
<工程A:基板の前処理>
2cm角のシリコン基板(1)を超純水で3分間洗浄し、UVオゾンで10分間処理してシリコン基板上の有機物を除去した。これを超純水で3分間洗浄した後、希フッ酸で1分間処理して表面の酸化皮膜を除去した。最後に超純水で10分間洗浄した。
<工程B:N−F結合を有する有機化合物の調製と塗布>
N−F結合を有する有機化合物(I)とN−F結合を有する有機化合物(II)とを2:1(質量比)で秤量し、一旦95℃に加熱して溶融させ、均一に混合した。ここで得た混合物を、冷却後、工程Aにより前処理して乾燥させたシリコン基板上に図3に示すように2箇所塗布した。
<工程C:アースとの接続>
電圧印加には、図3に示す装置を使用した。具体的には、
装置メーカー:Agilent Technologies
型式:HP 4156B PRECISION SEMICONDUCTOR PARAMETER ANALYZER
プローブ:タングステン針、直径0.25 mm
を使用した。
所定の温度で処理するため、上記N−F結合を有する有機化合物を形成したシリコン基板をクールプレート(アズワン(株);型式:SCP125)上に設置した。
図3に示すようにして、N−F結合を有する有機化合物を塗布した箇所の一方と、シリコン基板のうち、N−F結合を有する有機化合物が塗布されていない部分の2箇所に、W−プローブを接触させた。この際のシリコン基板は、アースに接続した。なお、電圧は印加しないことを明確にするため、0Vとした。
この状態で、暗室中クールプレートを100℃に昇温後、2時間放置し、シリコン基板をエッチングした。
<工程D:N−F結合を有する有機化合物を含む材料の除去>
シリコン基板表面のN−F結合を有する有機化合物を含む材料を、アセトニトリル中に漬けて、20秒間超音波洗浄して除去した。さらに、残った残渣をアセトン中に漬けて、20秒間超音波照射して除去した。
<工程E:エッチング処理>
工程Dにより得られたシリコン基板を位相シフト干渉顕微鏡(ZYGO社製、NewView)により表面(エッチング深さ)を計測した。
プローブが接触していたN−F結合を有する有機化合物の塗布場所が752nm、プローブが接触していなかったN−F結合を有する有機化合物の塗布場所が1100〜1400nmエッチングされていたことを確認した。なお、プローブを設置しないで実施したブランク試験では、エッチング深さは506nmであった。
以上から、電圧印加だけでなく、アースの設置によっても、シリコン基板がN−F結合を有する有機化合物により効率的にエッチングされることが分かる。

Claims (16)

  1. (1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
    (1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
    (1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
    を備える、固体材料のエッチング方法。
  2. 前記工程(1−2a)を備える、請求項1に記載の固体材料のエッチング方法。
  3. 前記工程(1−2a)が、少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料に、固体材料に対して−200〜200Vの電圧を印加する工程である、請求項1又は2に記載のエッチング方法。
  4. 前記工程(1−2b)を備える、請求項1に記載の固体材料のエッチング方法。
  5. N−F結合を有する有機化合物が、一般式(1)で示される構造単位を有する、請求項1〜4のいずれかに記載のエッチング方法。
    Figure 2013182963
    (式中、
    Figure 2013182963
    はブレンステッド酸の共役塩基である。)
  6. N−F結合を有する有機化合物が、一般式(A1)で示される化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載のエッチング方法。
    Figure 2013182963
    [式中、
    隣接するRとR、RとR、RとR又はRとRは連結して、−CR=CR−CR=CR−を形成していてもよく、
    、R、R、R、R、R、R、R及びRは同じか又は異なり、いずれも、水素原子;ハロゲン原子;ニトロ基;ヒドロキシ基;シアノ基;カルバモイル基;ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜5のアシル基、炭素数1〜5のアシルオキシ基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルケニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリール基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数2〜15のアルコキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数7〜15のアリールオキシカルボニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルホニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルキルスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールスルフィニル基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルコキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のアリールオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルオキシ基;少なくとも1種のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜15のアシルチオ基;ハロゲン原子及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数1〜15のアルカンスルホニルオキシ基;ハロゲン原子及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい基炭素数6〜15のアリールスルホニルオキシ基;炭素数1〜5のアルキル基及び炭素数6〜10のアリール基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいカルバモイル基;炭素数1〜5のアシル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよいアミノ基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数6〜15のN−アルキルピリジニウム塩基;ハロゲン原子、炭素数6〜10のアリール基及び炭素数1〜5のアルキル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種で置換されていてもよい炭素数11〜15のN−アリールピリジニウム塩基;又は有機ポリマー鎖であり、
    、R、R、R、R、R、R、R及びRは種々の組合せでヘテロ原子を介して又は介さずに環構造を形成してもよく、
    また、
    Figure 2013182963
    はブレンステッド酸の共役塩基である。]
  7. 固体材料が、半導体又は絶縁体である請求項1〜6のいずれかに記載のエッチング方法。
  8. 固体材料が、シリコン、ゲルマニウム、シリコンカーバイト、シリコンゲルマニウム、ガリウムヒ素、ガリウムアルミニウムヒ素、インジウムリン、インジウムアンチモン、窒化ガリウム及び窒化アルミニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の半導体である請求項1〜7のいずれかに記載のエッチング方法。
  9. (1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
    (1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
    (1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
    を備える、エッチング処理物の製造方法。
  10. 前記工程(1−2a)を備える、請求項9に記載のエッチング処理物の製造方法。
  11. 前記工程(1−2b)を備える、請求項9に記載のエッチング処理物の製造方法。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法により製造されたエッチング処理物。
  13. (1−1)少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料とを接触させる工程、並びに
    (1−2a)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料との間に電圧を印加する工程、若しくは
    (1−2b)前記少なくとも1種のN−F結合を有する有機化合物を含む材料と固体材料のいずれかをアースに接続する工程
    を備える、太陽電池用基板の製造方法。
  14. 前記工程(1−2a)を備える、請求項13に記載の太陽電池用基板の製造方法。
  15. 前記工程(1−2b)を備える、請求項13に記載の太陽電池用基板の製造方法。
  16. 請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法により製造された太陽電池用基板。
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