JP2005060160A - メソ構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い構造規則性と結晶性細孔壁を兼ね備え、より電気伝導性に優れたメソ構造体薄膜を提供する。
【解決手段】スズ化合物、アンチモン化合物、界面活性剤を含有する反応溶液、又はスズ化合物、フッ素化合物、界面活性剤を含有する反応溶液、又はインジウム化合物、スズ化合物、界面活性剤を含有する反応溶液を用意する工程、前記反応溶液を基板上に付与する工程、及び、該基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程を経て、メソ構造体を製造する。前記基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程を100℃以下で実施することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、メソ構造体およびその製造方法に関する。より具体的にはドーピングされたメソ構造体薄膜及びその製造方法に関するものである。
多孔質材料は、吸着、分離など様々な分野で利用されている。そして、この多孔質材料を機能性材料として利用するために、より孔径が均質であり、また、細孔構造が規則性を有する材料が望まれている。
近年、径の揃った孔が蜂の巣状に配列した構造を有するメソポーラスシリカが、ほぼ同時に異なる二つの方法で開発された。
一方は、非特許文献1に記載されており、具体的には、界面活性剤の存在下でケイ素のアルコキシドを加水分解させて合成されるMCM−41と呼ばれる物質である。他方は、非特許文献2に記載されており、具体的には層状ケイ酸の一種であるカネマイトの層間にアルキルアンモニウムをインターカレートさせて合成されるFSM−16と呼ばれる物質である。両者ともに、界面活性剤の集合体が鋳型(template)となってメソポーラスシリカの構造制御が行われていると考えられる。
そして、このような規則的な細孔構造を有するメソポーラスシリカは、種々のマクロスコピックな形態を示すことが知られている。例示すると、薄膜、ファイバー、微小球、モノリスなどが挙げられる。
これらの多様な形態制御が可能であるがゆえに、メソポーラスシリカは、触媒、吸着用材料以外としても、光学材料や電子材料等の機能性材料への応用が期待されている。
一般的に、界面活性剤が除去され細孔が空孔となっているものをメソポーラスと称し、細孔内に界面活性剤が保持されているもの、空孔となっているもの両方を総称してメソ構造体と呼んでいる。そして、近年、メソ構造体作製時にあらかじめ機能性界面活性剤を用いることで細孔内に機能性材料を導入する方法やあらかじめ機能性材料を界面活性剤と共存させてメソ構造体を作製する方法等が数多く提案されており、細孔内に界面活性剤が保持されたままのメソ構造体への期待も高まっている。
またさらに、シリカだけでなく、遷移金属酸化物、金属、硫化物等の種々の材料からなるメソ構造体の研究も盛んになっている。特に、金属酸化物や、他の材料をドープして価電子制御された金属酸化物は、電気伝導性もしくは半導体特性といったシリカにはない特性を発現する可能性が高く、これらの材料でメソ構造体を形成する技術は、機能性材料への応用に向けて重要な課題のひとつとなっている。
これらの課題に対して、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)のような酸化物は一般的に透明電極材料として幅広く使われているが、非特許文献3ではメソポーラスITOの作製について報告がなされている。
"Nature"第359巻、710頁 "Journal of Chemical Society Chemical Communications"の1993巻680頁 "Journal of the American Chemical Society"124巻29号8516頁(2002)
しかし、前記非特許文献3で報告されているメソポーラスITOのメソ構造は、X線回折分析の結果ではメソ構造に起因する回折ピークがブロードであることから、構造規則性が非常に低く、ワームホールと呼ばれるほぼランダムなメソ構造であるとされている。しかし、電子デバイス、光学デバイスへの応用を考えた場合、高い構造規則性が重要と考えられる。また、これら機能性材料への応用にはメソ構造体が基板上に均一に保持される、つまり膜状であることも重要である。しかし、該メソポーラスITOの形状は粒子であった。 また、電気伝導性の向上には酸化物の結晶化が有効であるが、前記非特許文献3に記載の報告では、400℃という高温での焼成処理によってIn2O3の結晶化を行っている。しかし、高温での焼成はメソ構造自体を壊し、構造規則性をさらに乱す可能性がある。また、上述のように機能性界面活性剤や機能性材料を保持したままメソ構造体として利用する場合、焼成処理を行うと該機能性を破壊してしまう、界面活性剤や機能性材料そのものを除去してしまうといった問題が発生してしまう可能性が高い。
そこで、本発明によるメソ構造体は、部材中に界面活性剤の集合体が規則性を持って配置されたメソ構造体において、該部材が酸化スズを主成分として、アンチモン、フッ素のうち少なくとも一種を含む、もしくは酸化インジウムを主成分としてスズを含み、且つ、部材中に酸化物の結晶を含むことを特徴とする。
前記メソ構造体は膜状であり、前記界面活性剤の集合体の構造は選択配向性を有する。
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
また、本発明によるメソ構造体の製造方法は、スズ化合物、アンチモン化合物、界面活性剤を含有する反応溶液、もしくは、スズ化合物、フッ素化合物、界面活性剤を含有する反応溶液、もしくは、インジウム化合物、スズ化合物、界面活性剤を含有する反応溶液を用意する工程、該反応溶液を基板上に塗布する工程、及び、該基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程を有することを特徴とする。
前記スズ化合物、アンチモン化合物、インジウム化合物のうち少なくともひとつは塩化物であることが好ましい。
前記フッ素化合物はフッ化アンモニウムであることが好ましい。
前記基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程は100℃以下で行われることが望ましく、前記水蒸気を含む雰囲気中は、相対湿度40%以上100%以下の範囲であることが望ましい。
金属化合物、添加物、界面活性剤を含む反応溶液を基板に塗布し、基板を水蒸気を含む雰囲気中に一定時間保持することにより、保持中の温度が低温でも細孔壁を結晶化することが可能となり、高い構造規則性を持ったメソ構造と結晶性細孔壁を兼ね備え、より電気伝導性に優れた金属酸化物メソ構造体薄膜を得ることができる。
以下、実施態様を用いて本発明を説明する。
本発明におけるメソ構造体は、細孔壁が金属酸化物を主成分としてドーパントとなる物質を含み、さらに該細孔壁が酸化物の結晶を含んでいることを特徴とする。さらに、該メソ構造体は高い構造規則性を持ったメソ構造を有していることを特徴とする。また、該細孔壁内の酸化物の結晶化は、該細孔内に界面活性剤の集合体を保持したまま行うことが出来る。
なお、本発明における結晶には、微結晶は勿論、多結晶、単結晶をも含み、非晶質に比べ構造の規則性が増したものを指す。
よって、本発明における結晶化した細孔壁とは、細孔壁全体が結晶化しているもの、細孔壁内の一部に実質的に結晶が含まれているもの両方を含む。
また、一般的には多孔質材料の空孔部分を細孔と称するが、本件ではメソ構造体において界面活性剤が保持されている領域も細孔と称し説明する。また、界面活性剤ミセルの周囲の部材から構成される領域を細孔壁と称し説明する。
IUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)によれば、多孔体は、細孔径が2nm以下のマイクロポーラス、2〜50nmのメソポーラス、50nm以上のマクロポーラスに分類される。本発明は、界面活性剤を鋳型として細孔を形成するため、特にマイクロ孔より孔径の大きなメソ孔の形成に大きな効果が期待できる。
まず、本発明におけるメソ構造体の製造方法について図1を用いて説明する。図1は本発明におけるメソ構造体の形成方法を示す工程図である。図1において、工程Aは金属化合物、ドーパントとなる添加物、界面活性剤、溶媒を含む反応溶液を用意する工程、工程Bは該反応溶液を基板上に塗布する工程、工程Cは該基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程を示す。
かかる工程A〜Cを経ることにより、前記基板上に膜状のメソ構造体が形成される。このような構造体が形成されるのは、界面活性剤が自己集合することでミセルを形成して細孔の鋳型となり、また金属化合物、及び、添加物もしくはこれらから生成した中間体と界面活性剤との自己組織化が促進され、細孔壁が形成されるためである。そして、工程Cにおける水蒸気雰囲気中への基板の保持を行うと、形成されるメソ構造体の構造規則性は高いものとなる。また、水が上記構造体に徐々に供給されることで、金属化合物や添加物、若しくはこれらから生成した中間体の加水分解、縮合が進むと考えられる。
尚、本発明によると工程Cにおける保持温度が低温の場合でも、メソ構造体の高い構造規則性が維持されたまま、細孔壁の結晶化が可能となる。なお、完全に結晶化していることが好ましいが所望の機能が発揮できれば、多結晶あるいは微結晶状態であってもよい。
なお、結晶化させる方法として、400℃といった高温で焼成する方法は、前記非特許文献3に報告されているが、斯かる高温での焼成はメソ構造を乱す可能性が大きく好ましくない。本発明の方法では保持温度は100℃以下が好ましく、具体的には40℃といった低温で可能である。
また、界面活性剤が除去される温度以下で全ての処理を行えば、細孔の鋳型となる界面活性剤を保持したまま、結晶化した細孔壁を有するメソ構造体を提供できる。
以下、各工程について詳細に説明する。
(工程A:反応溶液の調整)
まず、本発明のメソ構造体の形成に用いる反応溶液について説明する。
反応溶液は金属化合物、添加物、界面活性剤、溶媒を含む。
金属化合物は、所望のメソ構造体の主成分となる酸化物の前駆体である。よって、酸化スズを主成分としたメソ構造体を形成したい場合は、塩化第一スズ、塩化第二スズ等のスズの塩化物やスズイソプロポキシド、スズエトキシド等のスズのアルコキシドを用いることができる。また、酸化インジウムを主成分としたメソ構造体を形成したい場合は、塩化インジウムやインジウムイソプロポキシド、インジウムエトキシドといったインジウムのアルコキシドを用いることが出来る。
添加物は所望のメソ構造体の主成分となる金属酸化物に対して有効なドーパントとなる材料の前駆体である。よって、例えば、アンチモンドープ酸化スズメソ構造体を形成したい場合は添加物としてアンチモン化合物、具体的には塩化アンチモンやアンチモンイソプロポキシド、アンチモンエトキシド等のアンチモンのアルコキシドが好適に用いられる。例えば、フッ素ドープ酸化スズメソ構造体を形成したい場合は添加物としてフッ素化合物、具体的にはフッ化アンモニウムが好適に用いられる。また例えば、スズドープ酸化インジウムメソ構造体を形成したい場合は添加物としてスズ化合物、具体的には塩化第一スズ、塩化第二スズ等のスズの塩化物やスズイソプロポキシド、スズエトキシド等のスズのアルコキシドが好適に用いられる。
界面活性剤には非イオン性界面活性剤が有用であり、例えばポリオキシエチレン(10)ドデシルエーテル<C1225(CH2 CH2 O)10OH>、ポリオキシエチレン(10)テトラデシルエーテル<C1429(CH2 CH2 O)10OH>、ポリオキシエチレン(10)ヘキサデシルエーテル<C1633(CH2 CH2 O)10OH>、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル<C1837(CH2 CH2 O)10OH>を用いることが出来る。界面活性剤は細孔を形成する鋳型となるため、その形状により細孔径及び形状を決定することが出来る。例えば、アルキル鎖長の減少とともに細孔径を減少させることが可能であり、所望の細孔径にあわせて適宜界面活性剤を選択すればよい。
さらには、HO(CH2 CH2 O)20(CH2 CH(CH3 )O)70(CH2 CH2 O)20Hのようなブロックコポリマーを用いれば大きな細孔を形成することも可能である。
また、さらに反応(重合等)可能な部位やイオン伝導性を有する部位等、機能性を持った界面活性剤を使用することも可能である。
溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコールが適しているが、アルコールと水といった混合溶媒でも使用が可能で、前記金属化合物と添加物、界面活性剤を溶解可能であればこれに限るものではない。
また、反応溶液に、これら金属化合物、添加物、界面活性剤、溶媒以外の物質を混合して使用することも可能である。例えば機能性材料をあらかじめ反応溶液に混合し、該機能性材料を内部に取り込んだ形でメソ構造体を形成することも可能である。
また、反応速度を制御するために酸等の触媒を加えることも可能である。
(工程B:反応溶液の塗布)
次に反応溶液を基板に塗布する工程について説明する。
前記基板としては、反応溶液に対して安定なもの、即ち反応溶液と基板とが化学反応を起こさない、あるいは起こし難いものが好ましい。例示すると、ガラス、セラミクス、樹脂(例えばポリイミド)、金属等が使用可能である。勿論、プラスチックなどのフレキシブルなフィルムを基板として用いることもできる。
塗布の際の基板が置かれている雰囲気の温度(第1の温度)としては、塗布時のムラを防ぐために0℃から50℃の範囲が好ましい。もちろん、第1の温度は室温(例えば15℃〜35℃の範囲)でもよい。塗布を行う際の湿度としては、0〜80%の範囲、好ましくは10%から70%の範囲で好適に行うことができる。
該基板に簡便かつ短時間に塗布できる方法としてはキャスト法が有効である。
また、より均一に塗布したい場合や、膜厚を制御したい場合は、ディップコート法が有効である。これは、反応溶液に基板を浸し、一定速度で基板を引き上げることで基板上に均一に溶液を塗布する方法である。塗布量、つまり形成される薄膜の膜厚は、例えば引き上げ速度で制御が可能である。引き上げ速度が速ければ厚く、遅ければ薄い膜となる。
さらに、より均一な膜を形成したい場合はスピンコート法が有効である。これは、反応溶液を基板上に滴下し、基板を回転させることで、基板上に均一に溶液を塗布する方法である。塗布量、つまり、形成される薄膜の膜厚は、基板の回転速度で制御可能である。回転速度が速ければ薄く、遅ければ厚い膜となる。また、滴下分だけ溶液量があればよいため、反応溶液が少量の場合でも塗布可能である。
また、他に大量生産性に優れているスプレーコート法等、基板上に反応溶液を塗布できる方法であればこれに限らない。
以上が反応溶液を塗布する工程Bであるが、該工程Bの後、工程Cに移行する前に、基板上の反応溶液(特に溶媒)を一旦乾燥させることが好ましい。例えば、工程Bの後、25℃から50℃の範囲で、10%〜30%の湿度で溶媒を乾燥させる乾燥工程を経て、その後工程Cを行うことが好ましい。
(工程C:水蒸気を含む雰囲気中への基板の保持)
次に、反応溶液を塗布した基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程について説明する。
工程Cにおける水蒸気を含む雰囲気(第2の雰囲気)とは、飽和状態の水蒸気雰囲気中あるいは、湿度40%以上100%以下、好ましくは60%以上100%以下、さらに好ましくは70%以上100%以下の湿度を有する雰囲気中である。
なお、前記工程Bにおける第1の雰囲気が、水蒸気を含む雰囲気中であってもよい。特に第1の雰囲気と第2の雰囲気における湿度を変えることも可能である。
工程Cを15℃以上100℃以下の低温で行うことにより、細孔の内部に界面活性剤を含んだままの状態で、細孔壁に金属酸化物の結晶を含むメソ構造体を得ることができる。特に、細孔の内部に界面活性剤が保持されていると、メソ構造の強度の点で好ましい。また、あらかじめ機能性を持った界面活性剤を使用する、反応溶液中に界面活性剤と機能性材料を共存させて機能性を有するメソ構造体を形成するといった場合においても、これら機能性界面活性剤、機能性材料を高温処理で破壊することなく、細孔壁内に結晶を生成することが可能となる。ここでいう、機能とは、例えば光の照射により導電性が表れるような機能である。
工程Cにおける、基板の処理時間は、数分から数百時間の間で行うことができる。なお、工程Cは湿度100%の雰囲気で行う場合であっても、液体中ではなく気体雰囲気中で行うのがよい。
以上、説明したように工程Aから工程Cを経ることで、基板上に薄膜状のメソ構造体が形成されることになる。
以上説明した本発明の要旨は、金属化合物、添加物、界面活性剤を含む反応溶液を基板に塗布し、基板を水蒸気中に保持することで、高い構造規則性を持ったメソ構造と結晶性細孔壁を兼ね備え、ドープされた金属酸化物メソ構造体を得るものである。
以下、実施例を用いてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、材料、反応条件等は、同様な構造の金属酸化物メソ構造体が得られる範囲で自由に変えることが可能である。
本実施例は、アンチモンがドープされた酸化スズメソ構造体を作製した例である。
まず、ガラス基板の表面をイソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン発生装置中でUV照射し表面をクリーニングした。
次にエタノール10gに塩化第二スズ2.7g、三塩化アンチモン0.11g、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル<C1837(CH2CH2O)10OH>1.0gを溶解し、30分撹拌して反応溶液とした。
その後、キャスト法でガラス基板に反応溶液を塗布した。
次に、反応溶液が塗布された該基板を反応容器内に移した。反応容器内では温度40℃、湿度20%RHで10時間維持し、その後、1時間かけて温度40℃、湿度80%にし、そのまま150時間維持し、1時間かけて再び温度40℃、湿度20%にした。その後、室温下に基板を取り出したところ、基板上には薄膜が形成されていた。
上記方法で基板上に形成された薄膜は亀裂等なく均一であり、さらに透明であった。
該薄膜について、X線回折分析を行ったところ、図2のように面間隔4.8nmに強く鋭い回折ピークが観測され、規則性の高いメソ構造をもつことが確認された。
次に透過電子顕微鏡観察を行ったところ、膜平面上では図3のようにチューブ状の細孔が確認され、膜断面では図4のようにハニカム構造の細孔が形成されていることが確認された。よって、チューブ状の細孔が選択配向性をもった構造、つまり、該細孔が基板と平行に配向した構造であることが確認された。
次に、該薄膜の、特に透過電子顕微鏡観察で規則性の高いメソ構造が確認された領域で電子線回折分析を行ったところ、酸化スズ結晶の回折パターンとほぼ一致するパターンが得られた。
また、観察中に電子線によりメソ構造が破壊されることはなかった。
つまり、メソ構造は保持されたまま、細孔壁内で結晶が成長したと言える。
これらの結果から、本発明により、高い規則性を持ったメソ構造と結晶性の細孔壁を兼ね備えた、連続性、均一性、透明性の高いアンチモンドープ酸化スズメソ構造体薄膜が得られることを確認した。
本実施例はフッ素ドープ酸化スズメソ構造体を作製した例である。
実施例1と同様にガラス基板の表面をイソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン発生装置中でUV照射し表面をクリーニングした。
次にエタノール10gに塩化第二スズ2.9g、フッ化アンモニウム0.018g、トリブロックコポリマー<HO(CH2CH2O)20(CH2CH(CH3)O)70(CH2CH2O)20H>1.0gを溶解し、30分撹拌して反応溶液とした。
その後、ディップコート法でガラス基板に反応溶液を塗布した。ディップコート時の引き上げ速度は1mm/秒であった。
次に、反応溶液が塗布された該基板を反応容器内に保持した。反応容器内は実施例1と同様に温度40℃、湿度20%RHで10時間維持し、その後、一時間かけて温度40℃、湿度80%にし、そのまま150時間維持し、一時間かけて再び温度40℃、湿度20%にした。その後、室温下に基板を取り出したところ、基板上には薄膜が形成されていた。
上記方法で基板上に形成された薄膜は亀裂等なく均一であり、さらに透明であった。
該薄膜について、X線回折分析を行ったところ、面間隔7.6nmに強く鋭い回折ピークが観測され、規則性の高いメソ構造をもつことが確認された。
次に透過電子顕微鏡観察を行ったところ、膜平面上では図3のようにチューブ状の細孔が確認され、膜断面では図4のようにハニカム構造の細孔が形成されていることが確認された。よって、チューブ状の細孔が選択配向性をもった構造、つまり、該細孔が基板と平行に配向した構造であることが確認された。
次に、該薄膜の特に透過電子顕微鏡観察で規則性の高いメソ構造が確認された領域で電子線回折分析を行ったところ、酸化スズ結晶の回折パターンとほぼ一致するパターンが得られた。
ま た、観察中に電子線によりメソ構造が破壊されることはなかった。つまり、メソ構造は保持されたまま、細孔壁内で結晶が成長したと言える。
これらの結果から、本発明により、高い規則性を持ったメソ構造と結晶性の細孔壁を兼ね備えた、連続性、均一性、透明性の高いフッ素ドープ酸化スズメソ構造体薄膜が得られることを確認した。
本実施例はスズドープ酸化インジウムメソ構造体を作製した例である。
まず、実施例1と同様にガラス基板の表面をイソプロピルアルコール、及び純水で洗浄し、オゾン発生装置中でUV照射し表面をクリーニングした。
次にエタノール10gに塩化インジウム2.3g、塩化第二スズ0.13g、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル<C1837(CH2CH2O)10OH>1.0gを溶解し、30分撹拌して反応溶液とした。
その後、スピンコート法でガラス基板に反応溶液を塗布した。スピンコートの回転速度は1000rpmで20秒間行った。
次に、反応溶液が塗布された該基板を反応容器内に保持した。反応容器内は実施例1と同様に温度40℃、湿度20%RHで10時間維持し、その後、一時間かけて温度40℃、湿度80%にし、そのまま150時間維持し、一時間かけて再び温度40℃、湿度20%にした。その後、室温下に基板を取り出したところ、基板上には薄膜が形成されていた。
上記方法で基板上に形成された薄膜は亀裂等なく均一であり、さらに透明であった。
該薄膜について、X線回折分析を行ったところ、面間隔4.9nmに鋭く強い回折ピークが観測され、規則性の高いメソ構造をもつことが確認された。
次に透過電子顕微鏡観察を行ったところ、膜平面上では図3のようにチューブ状の細孔が確認され、膜断面では図4のようにハニカム構造の細孔が形成されていることが確認された。よって、チューブ状の細孔が選択配向性をもった構造、つまり、該細孔が基板と平行に配向した構造であることが確認された。
次に、該薄膜の特に透過電子顕微鏡観察で規則性の高いメソ構造が確認された領域で電子線回折分析を行ったところ、酸化インジウム結晶の回折パターンとほぼ一致するパターンが得られた。
また、観察中に電子線によりメソ構造体が破壊されることはなかった。つまり、メソ構造は保持されたまま、細孔壁内で結晶が成長したと言える。
これらの結果から、本発明により、高い構造規則性を持ったメソ構造と結晶性の細孔壁を兼ね備えた、連続性、均一性、透明性の高いスズドープ酸化インジウムメソ構造体薄膜が得られることを確認した。
本実施例は、実施例1と同様な反応溶液を用いディップコート法で作製したアンチモンドープ酸化スズメソ構造体と、アンチモンをドープしていない酸化スズメソ構造体との電気特性を比較した例である。
(アンチモンドープ酸化スズメソ構造体基板の作製)
まず、図5のような白金によるくし型電極パターンが形成された石英基板の表面をオゾン発生装置中でUV照射し表面をクリーニングした。
次に実施例1と同様にエタノール10gに塩化第二スズ2.7g、三塩化アンチモン0.11g、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル<C1837(CH2CH2O)10OH>1.0gを溶解し、30分撹拌して反応溶液とした。
その後、ディップコート法で上記基板の白金くし型電極パターン上に反応溶液を塗布した。ディップコート時の引き上げ速度は2mm/秒であった。
次に、反応溶液が塗布された該基板を反応容器内に移した。反応容器内は実施例1と同様に温度40℃、湿度20%RHで10時間維持し、その後、1時間かけて温度40℃、湿度80%にし、そのまま150時間維持し、1時間かけて再び温度40℃、湿度20%にした。その後、室温下に基板を取り出したところ、基板上には透明均一な薄膜が形成されていた。これを、アンチモンドープ酸化スズメソ構造体基板とした。
(未ドープ酸化スズメソ構造体基板の作製)
まず、図5のような白金によるくし型電極パターンが形成された石英基板の表面をオゾン発生装置中でUV照射し表面をクリーニングした。
次にエタノール10gに塩化第二スズ2.9g、ポリオキシエチレン(10)ステアリルエーテル<C1837(CH2CH2O)10OH>1.0gを溶解し、30分撹拌して反応溶液とした。
その後、ディップコート法で上記基板の白金くし型電極パターン上に反応溶液を塗布した。ディップコート時の引き上げ速度は2mm/秒であった。
次に、反応溶液が塗布された該基板を反応容器内に移した。反応容器内は実施例1と同様に温度40℃、湿度20%RHで10時間維持し、その後、1時間かけて温度40℃、湿度80%にし、そのまま150時間維持し、1時間かけて再び温度40℃、湿度20%にした。その後、室温下に基板を取り出したところ、基板上には透明均一な薄膜が形成されていた。これを、未ドープ酸化スズメソ構造体基板とした。
(電流―電圧測定)
薄膜を形成した上記ふたつの基板を真空チャンバー内に入れ、図5のように電極1、電極2をくし型電極パターンと導通させた。さらに電極1と電極2はチャンバー外部にある図示しない直流電圧源つき微小電流計に接続した。電気測定時の、薄膜に吸着している水分の影響を減らすために、チャンバー内は5×10-5torr以下に真空引きを行い、さらに図示しないヒーターで基板を100℃に加熱して10時間放置した。
基板が室温まで冷めた後に、直流電圧源つき微小電流計によって電圧を印加し、このときにメソ構造体を流れる電流を測定した。この結果、比較例として作製した未ドープ酸化スズメソ構造体よりもアンチモンドープ酸化スズメソ構造体のほうが流れる電流量は多く、明らかに電気伝導率が上昇したことがわかった。
以上の結果から、本発明により、高い規則性を持ったメソ構造と結晶性の細孔壁を兼ね備えた、連続性、均一性、透明性の高いアンチモンドープ酸化スズメソ構造体薄膜が得られ、かつ、該アンチモンドープ酸化スズメソ構造体薄膜はドープしていない酸化スズメソ構造体薄膜より電気伝導率が向上していることを確認した。
以上説明したように、高い構造規則性を持ったメソ構造と結晶性細孔壁を兼ね備え、より電気伝導性に優れた金属酸化物メソ構造体薄膜を得ることができ、産業上の利用価値は極めて大きい。
本発明におけるメソ構造体の形成方法を示す工程図である。 実施例1におけるアンチモンドープ酸化スズメソ構造体薄膜のX線回折パターンである。 本発明による金属酸化物メソ構造体薄膜の平面TEM像の模式図である。 本発明による金属酸化物メソ構造体薄膜の断面TEM像の模式図である。 実施例4における白金くし型電極パターンが形成された石英基板の模式図である。
符号の説明
31 金属酸化物メソ構造体
32 細孔
41 金属酸化物メソ構造体
42 細孔
51 石英基板
52 Ptくし型電極パターン
53 電極1
54 電極2

Claims (9)

  1. 部材中に界面活性剤の集合体が規則性を持って配置されたメソ構造体において、該部材が酸化スズを主成分として、アンチモン、フッ素のうち少なくとも一種を含む、もしくは酸化インジウムを主成分としてスズを含み、且つ、部材中に酸化物の結晶を含むことを特徴とするメソ構造体。
  2. 前記メソ構造体は膜状であることを特徴とする請求項1に記載のメソ構造体。
  3. 前記界面活性剤の集合体の構造が選択配向性を有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかの項に記載のメソ構造体。
  4. 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載のメソ構造体。
  5. スズ化合物、アンチモン化合物、界面活性剤を含有する反応溶液、もしくは、スズ化合物、フッ素化合物、界面活性剤を含有する反応溶液、もしくは、インジウム化合物、スズ化合物、界面活性剤を含有する反応溶液を用意する工程、該反応溶液を基板上に塗布する工程、及び、該基板を水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程を有することを特徴とするメソ構造体の製造方法。
  6. 前記スズ化合物、アンチモン化合物、インジウム化合物のうち少なくともひとつが塩化物であることを特徴とする請求項5に記載のメソ構造体の製造方法。
  7. 前記フッ素化合物がフッ化アンモニウムであることを特徴とする請求項5に記載のメソ構造体の製造方法。
  8. 前記基板を、水蒸気を含む雰囲気中に保持する工程が100℃以下で行われることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかの項に記載のメソ構造体の製造方法。
  9. 前記水蒸気を含む雰囲気中は、相対湿度40%以上100%以下の範囲であることを特徴とする請求項5乃至8のいずれかの項に記載のメソ構造体の製造方法。






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