JP2013212973A - メソ構造体、メソ構造体の製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、シリカメソ構造体膜、メソポーラスシリカ膜 - Google Patents
メソ構造体、メソ構造体の製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、シリカメソ構造体膜、メソポーラスシリカ膜 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】 構造体の内部にシリンダー形状の構造を備え、構造周期が12nm以上のメソ構造体及びその製造方法、メソポーラスシリカ膜及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 構造周期を有するメソ構造体の製造方法であって、
酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を基材に塗布する工程を有し、
前記ブロックコポリマーが下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするメソ構造体の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 構造周期を有するメソ構造体の製造方法であって、
酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を基材に塗布する工程を有し、
前記ブロックコポリマーが下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするメソ構造体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明はメソ構造体、メソ構造体の製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、シリカメソ構造体膜、メソポーラスシリカ膜に関する。特に、ナノスケールの構造周期を備えるメソ構造体、メソ構造体の製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、シリカメソ構造体膜、メソポーラスシリカ膜に関する。
近年、ナノスケールの構造周期を備えるメソ構造体に関して、さまざまな応用が期待されている。例えば、両親媒性分子集合体がシリカマトリクス中に均一に分散したシリカメソ構造体膜、及びこのシリカメソ構造体膜から分子集合体を除去したメソポーラスシリカ膜は、自己組織化を利用した簡易なプロセスを用いることで、数nm程度の構造周期を有する構造体膜を形成することができる。
例えば特許文献1に記載のX線導波素子において、膜厚方向に10〜20nm程度の構造周期を有するシリカと空気からなる周期構造体をコア材料として用いることにより、吸収損失の少ないX線導波素子の作製が期待される。このX線導波素子においては、使用するX線の波長において、コア−クラッド界面での全反射臨界角よりもブラッグ角が小さい必要があり、この時、構造周期としては12nm以上が求められる。
上記コアに求められる周期構造は、中空ラメラ構造、もしくは、異方性の大きなシリンダー状の細孔がハニカム状にシリカマトリクス中に配された二次元ヘキサゴナル構造が好ましいとされている。ただし、安定な中空ラメラ構造は、作製が極めて困難である。そのため、構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜が求められている。二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜及びメソポーラスシリカ膜において、膜内部における構造周期の選択範囲の拡大は、膜の応用範囲を拡大する上でも重要である。
メソポーラスシリカ膜を作製する前段階として、細孔中に両親媒性分子集合体を含んだ状態の、シリカメソ構造体膜を作製することが必要となる。シリカメソ構造体膜の作製手法として、ポリエチレンオキサイドからなるブロックを分子構造中に含む両親媒性分子を構造規定剤として用いたものが知られている。
非特許文献1では、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド−ポリエチレンオキサイド(以下、PEO−PPO−PEO)の構造からなるトリブロックコポリマーを構造規定剤として用いて製造した、シリンダー状の二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜、及びメソポーラスシリカ膜が開示されている。
非特許文献2には、メソ構造体膜において分子集合体の径を拡大する製造方法として、構造規定剤として用いる両親媒性分子に、さらにトリメチルベンゼンを膨潤剤として加える手法が開示されている。
また、非特許文献3では、メソ構造体膜において分子集合体の径を拡大する製造方法として、膨潤剤としてトリイソプロピルベンゼンを加えた上で、作製法として水熱法を用いることにより、二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体の構造周期を拡大したとの開示がある。
Adv.Mater.,10,No.16,p.1380、1998年
Langmuir、Vol.16、No.22、p.8291(2000年)
Chem.Mater.,21、p.1144(2009年)
しかしながら、メソ構造体膜の構造周期としては、非特許文献1に示されている、PEO20−PPO70−PEO20トリブロックコポリマーを構造規定剤として用いた製造方法であっても、10nmが上限であった。また、非特許文献2、3に示されている膨潤剤を加えることで構造周期を拡大する方法では、内部の構造をシリンダー形状に維持するのが難しかった。
そこで本発明では、構造体の内部にシリンダー形状の構造を備え、構造周期が12nm以上のメソ構造体及びその製造方法を提供する。
本発明は、周期構造を有するメソ構造体の製造方法であって、
酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を基材に塗布する工程を有し、
前記ブロックコポリマーが下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするメソ構造体の製造方法である。
酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を基材に塗布する工程を有し、
前記ブロックコポリマーが下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするメソ構造体の製造方法である。
一般式(1)
ただし、xおよびyは、正の数であり
かつ
0<y/x≦1.46、
および
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。
かつ
0<y/x≦1.46、
および
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。
また、別の本発明は、
膜厚方向に構造周期を有するシリカメソ構造体膜であって、
膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカマトリクスと、前記シリカマトリクスの二次元ヘキサゴナル構造の内部に存在するシリンダー形状のブロックコポリマーの分子集合体とからなり、前記ブロックコポリマーが、下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするシリカメソ構造体膜である。
膜厚方向に構造周期を有するシリカメソ構造体膜であって、
膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカマトリクスと、前記シリカマトリクスの二次元ヘキサゴナル構造の内部に存在するシリンダー形状のブロックコポリマーの分子集合体とからなり、前記ブロックコポリマーが、下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするシリカメソ構造体膜である。
一般式(1)
ただし、xおよびyは、正の数であり
かつ
0<y/x≦1.46、
および
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。
かつ
0<y/x≦1.46、
および
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。
また、別の本発明は、
膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有し、ブラッグブレンターノ配置において反射率で50%を超えるブラッグ回折のピーク強度を示すことを特徴とするメソポーラスシリカ膜である。
膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有し、ブラッグブレンターノ配置において反射率で50%を超えるブラッグ回折のピーク強度を示すことを特徴とするメソポーラスシリカ膜である。
また、上記の課題を解決するための本発明は、以下の工程を備えるメソ構造体の製造方法である。
即ち、酸化物の前駆体物質とブロックコポリマーとを含む溶液を基板に塗布してメソ構造体を形成する工程を備え、前記ブロックコポリマーが下記分子式に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするメソ構造体の製造方法。
一般式(1)
ただし、xおよびyは、
0.46≦y/x≦1.46、
かつ、
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。
0.46≦y/x≦1.46、
かつ、
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。
また、上記の課題を解決するための本発明のメソ構造体の製造方法は以下の構成を有する。
即ち、ナノスケールの構造周期を備えるメソ構造体の製造方法であって、酸化物の前駆体物質とポリマーとを含む溶液を基板に塗布する工程を備え、前記基板に前記溶液を塗布する方法としてディップコート法を用い、前記ディップコート法は、前記基板と前記溶液との引き抜きの相対的な速度が200μm/s以下である。
内部にシリンダー形状の構造を備え、かつ12nm以上の周期構造を備えるメソ構造体、及びその製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、メソポーラスシリカ膜、シリカメソ構造体を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態において構造規定剤として用いられるポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーについて示した図である。図2は、本実施形態における二次元ヘキサゴナル構造を有するメソ構造体膜の断面を模式的に示した図である。
[シリカメソ構造体膜の構造]
まず、図2を用いて本実施形態におけるメソ構造体、及びその周期構造について説明する。分かりやすさのためにシリカメソ構造体を用いて以下では説明するが、本発明のメソ構造体は、シリカメソ構造体に限定されるものではなく、一般式(1)に示されるブロックコポリマーを用いて形成できるメソ構造体であれば、マトリクスがその他の酸化物、例えば、チタニア等の導電性を有する酸化物からなるメソ構造体とすることも可能である。
まず、図2を用いて本実施形態におけるメソ構造体、及びその周期構造について説明する。分かりやすさのためにシリカメソ構造体を用いて以下では説明するが、本発明のメソ構造体は、シリカメソ構造体に限定されるものではなく、一般式(1)に示されるブロックコポリマーを用いて形成できるメソ構造体であれば、マトリクスがその他の酸化物、例えば、チタニア等の導電性を有する酸化物からなるメソ構造体とすることも可能である。
なお、本発明におけるメソポーラス膜とは、第一の材料からなる多孔質マトリクスからなる膜を示すものであり、本発明におけるメソ構造体とは、第一の材料からなる多孔質マトリクスと、多孔質マトリクス内部に充填され第一の材料とは異なる第二の材料とからなる構造体であり、第二の材料が、第一の材料の内部において、2nm以上50nm以下の大きさの集合体を形成し分散している構造を指す。また、本発明におけるメソポーラスシリカとは、シリカからなる多孔質マトリクスマのことを指す。
図2は、基板21上に形成したシリンダー状の両親媒性分子集合体22からなる二次元ヘキサゴナル構造を有するメソ構造体24を、分子集合体22の長軸方向に対して垂直な面で切断した場合の断面の模式図である。本発明における二次元ヘキサゴナル構造とは、シリンダー状の分子集合体がマトリクス23中に多数配置され、かつシリンダー状の分子集合体22およびマトリクス23をシリンダー状分子集合体の長軸方向に垂直な方向で切断した際に、マトリクス23中にシリンダー状の分子集合体22がハニカム状に充填された状態で配置された構造を示す。ここで、メソ構造体24の膜厚方向の周期構造とは、ハニカム状に配置されたシリンダー状分子集合体22の、基板面に対して垂直方向の繰り返し周期のことを指し、図2中で構造周期dとして示されるものである。なお、ここで記載するハニカム状とは、蜂の巣状のような立体を隙間なく並べた形状のことを示し、六方最密充填状も含む概念である。また、基板面に対して平行方向の繰り返し周期d´に関しては、二次元ヘキサゴナル構造においては理想的には、上記dの2√3/3倍となるが、実際には膜厚方向の収縮が発生することがあるため、上記dの2√3/3倍よりも大きくなる傾向にある。本実施形態のメソ構造体におけるd´は、13nm以上50nm以下の範囲に含まれる。また、本実施形態のメソ構造体における細孔の孔半径rは、5nm以上15nm以下の範囲に含まれる。
なお、本発明および本明細書において、シリンダー状とは分子集合体が筒状(ただし、長軸方向に垂直な断面の形状については円に限定されずに、三角形、四角形等の多角形、もしくは楕円も含むこととする)となるように形成されている構造のことを指す。
上記の構造周期dは、シリカ細孔壁の厚さと、シリンダー状分子集合体の径の大きさ(すなわち、シリンダー状分子集合体の筒状構造の長軸方向に垂直な断面における径の大きさであり、図2におけるシリカマトリクスの孔半径rの2倍)の二つの要素によって決まる。
しかし、構造周期dの大きなシリカメソ構造体を作製するために、シリカマトリクスの厚さを厚くするような反応条件で作製した場合、構造体内部における構造規則性が低下してしまう。そのため、大きな構造周期を実現するためには、シリンダー状分子集合体の径を大きくする必要がある。なお、ここで記載するシリカマトリクスの孔とは、シリカマトリクス内におけるシリンダー状分子集合体が存在することによってシリカが欠如した部分のことを表すものであり、シリンダー状分子集合体を除去した場合には孔となる部分のことを示す。
ここで、構造規則性を低下させることなく、構造周期dの大きい、二次元ヘキサゴナル構造のシリカメソ構造体を実現する上では、シリンダー状の分子集合体を形成する両親媒性分子の選択が重要となる。
本発明者らがこれらの構造規定剤について鋭意検討を進めた結果、特定の構造を有するポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマー(以下、PEO−b−PPO)を用いることで、構造規則性を維持したまま、シリンダー形状の分子集合体を備える構造周期の大きなシリカメソ構造体を安定して形成できることを見出した。以下、図1を用いて、本実施形態において構造規定剤として用いるPEO−b−PPOについて説明する。
[PEO−b−PPOについて]
メソ構造体において、シリンダー状の分子集合体を形成するためには、構造規定剤である両親媒性分子において、疎水性部と親水性部の親疎水コントラストが大きすぎないことが好ましいことを見出した。親疎水コントラストが大きい両親媒性分子は球状分子集合体、もしくはラメラ状分子集合体を形成しやすく、また、親疎水コントラストが比較的小さい両親媒性分子はシリンダー状の分子集合体を形成しやすいことが分かった。
メソ構造体において、シリンダー状の分子集合体を形成するためには、構造規定剤である両親媒性分子において、疎水性部と親水性部の親疎水コントラストが大きすぎないことが好ましいことを見出した。親疎水コントラストが大きい両親媒性分子は球状分子集合体、もしくはラメラ状分子集合体を形成しやすく、また、親疎水コントラストが比較的小さい両親媒性分子はシリンダー状の分子集合体を形成しやすいことが分かった。
PEO−b−PPO分子は、親水基であるポリエチレンオキサイド(PEO)部と、疎水基であるポリプロピレンオキサイド(PPO)部を有する。これらの分子構造上の違いは、図1に示すように側鎖のメチル基の有無であり、PEO部とPPO部の親疎水コントラストは比較的小さい。このため、PEO−b−PPOを構造規定剤として用いた場合、製造条件によってはシリンダー状の分子集合体を形成する。ただし、PEO部とPPO部のブロック比によっても、形成される分子集合体の形状は影響を受ける。PEO−b−PPOの中でも、ある範囲のブロック比を満たすものを構造規定剤として用いた場合において、シリンダー状の二次元ヘキサゴナル構造を形成することが分かった。
また、構造規定剤であるPEO−b−PPOの分子量も、シリカメソ構造体の作製におけるシリンダー状の分子集合体の径に影響を及ぼすことが分かった。そのため、シリンダー状の分子集合体の径を大きくするには、大きな分子量を有するPEO−b−PPOを用いることが好ましい。
さらに、このシリカメソ構造体からなる膜を特許文献1に記載のX線導波路のコアとして用いる場合であれば、構造周期dは35nm以下であることが好ましい。というのも、構造周期dを35nm以下とすることで、導波するX線の損失を小さくすることができるためである。そのため、構造周期dが12nm以上35nm以下のシリンダー状のシリカメソ構造体膜を形成するようにPEO−b−PPOの分子量を選定しても良い。
以上の観点から、本発明者らは両親媒性分子としてPEO−b−PPOを用い、またPEO−b−PPO中のPPO部/PEO部のブロック比、及びPEO−b−PPOの分子量の各々の条件について鋭意検討を進めた。その結果、下記の構造を有するPEO−b−PPOであれば、シリンダー状の構造を備え、構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜を形成し得ることを見出した。
本実施形態で用いるPEO−b−PPOの分子式を以下の一般式(1)に示す。
一般式(1)
ここでxはPEO部の繰り返し数を、yはPPO部の繰り返し数をそれぞれ示す。また、一般式(1)におけるxおよびyは、いずれも正の数であり、以下の式1および式2の条件のいずれをも満たすものとする。
(式1)0<y/x≦1.46
(式2)6400≦44.1x+58.1y
(式1)0<y/x≦1.46
(式2)6400≦44.1x+58.1y
一般式(1)に示されるPEO−b−PPOの分子鎖の端部(末端)に結合する基については、シリンダー状分子集合体の形成を阻害しないものであれば特に限定されないが、が、例えば、水素や炭化水素基が挙げられる。
図8は、実施例、比較例の実験結果をまとめた表である。詳しくは後述するが、ここからも上記の式を満たす必要があると言える。また、図9は、二次元ヘキサゴナル構造を有するメソ構造体を形成し得るPEO−b−PPOの分子構造式に関する実験結果である。横軸は上記(式1)のy/x、縦軸は上記(式2)の44.1x+58.1yとし、異なるブロック比からなるPEO−b−PPOについてそれぞれメソ構造体膜を作製し、二次元ヘキサゴナル構造の形成の可否について検討した結果を示す。図9中、黒丸で示すプロットは、その座標によって示される構造を有するPEO−b−PPOを構造規定剤として用いた場合に、構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を形成し得る条件があったことを示す。一方、白丸で示すプロットは、二次元ヘキサゴナル構造を形成しなかった、もしくは形成しても構造周期が12nm未満であったことを示す。図9からも分かる通り、上記式1および式2は、実際に構造規定剤であるPEO−b−PPOの、PEO部とPPO部の比率や分子量等の条件を変えて実験した結果から導いたものである。尚、実験条件等について、詳しくは実施例にて後述する。
まず式1について説明する。式1は、上記のPEO−b−PPOにおいて、シリンダー形状の分子集合体を形成し得る分子構造の範囲に関するものであり、特にPEO−b−PPOからなる分子中でのPEO部とPPO部との二つの成分の比をパラメーターとして表わしたものである。y/xが0の場合、すなわち、疎水基となるPPO基が無い場合は、このポリマーは十分な界面活性を示さないため、シリンダー形状の分子集合体を形成することが出来ない。そのため、y/xは少なくとも0より大きい必要がある。特に、y/xが0.25以上の場合においては、シリンダー形状の分子集合体を形成し得るような作製条件の範囲が広く、より再現良く二次元ヘキサゴナル構造を形成できるため、好ましい。さらに、0.46≦y/x≦1.46である場合においては、得られる二次元ヘキサゴナル構造に関して膜厚方向の構造規則性がより優れているため、より好ましい。
一方、y/xが1.46より大きいPEO−b−PPOを構造規定剤として用いたシリカメソ構造体膜においては、シリカ成分とPEO−b−PPOがラメラ状に積層したメソ構造が膜内部に形成される。これは、疎水部位の体積が大きく、分子集合体がラメラ構造を形成しやすいためと考えられる。よって、シリンダー形状のシリカメソ構造体膜を形成する上では不適である。
y/xが0より大きく1.46以下であるPEO−b−PPOを構造規定剤として用いることで、シリンダー状の分子集合体が、ハニカム状に、好ましくは六方最密充填状に、シリカマトリクス中に配された二次元ヘキサゴナル構造を有するメソ構造体膜が得られる。
次に、式2について説明する。式2は、PEO−b−PPOにおいて、構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を達成し得る分子量の範囲を表わしたものである。44.1は一つのPEOブロックの分子量を、58.1は一つのPPOブロックの分子量をそれぞれ意味し、式2はPEOx−b−PPOyとした時のポリマー全体としての分子量を示す。なおPEO−b−PPOの両末端部に関しては、合成手法や目的によって構造が異なり、かつ全体の分子量に対する寄与が小さいため、分子量の合計からは除いている。
44.1x+58.1yの値が6400未満の場合、シリカメソ構造体中においてPEOx−b−PPOyが形成する分子集合体の径が12nmよりも小さくなる場合がある。尚、分子量があまりに大きすぎる場合には、PEO−b−PPO分子の溶媒に対する溶解性が低下するため、使用可能なPEO−b−PPOの分子量の上限としては100000以下とするのが好ましく、50000以下であると更に好ましい。即ち、以下の式3を満たすことが好ましく、式4を満たすことがより好ましい。
(式3)6400≦44.1x+58.1y≦100000
(式4)6400≦44.1x+58.1y≦50000
(式3)6400≦44.1x+58.1y≦100000
(式4)6400≦44.1x+58.1y≦50000
尚、ポリマーはある程度の分子量分布を持つため、上記の式1、式2に示したx、yは平均の値としてある。本実施形態では分子量の値として、用いるPEO−b−PPOを核磁気共鳴法で分析することにより求めた。ただし、その他の公知の分子量の測定法を用いて測定しても良い。
[シリカメソ構造体膜の製造方法]
次に、式1及び式2を満たすPEO−b−PPOを構造規定剤として用いた、二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜の製法について説明する。
次に、式1及び式2を満たすPEO−b−PPOを構造規定剤として用いた、二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜の製法について説明する。
本実施形態では、ゾルゲル法を用いたシリンダー形状かつナノスケールの構造周期を備え、二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜の作製方法について説明する。ただし、二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜の製法に関しては、ゾルゲル法、水熱法、気相法などの方法を用いても良い。
まず始めに、ゾル液を作製する。ゾル液は、構造規定剤である一般式(1)に示すPEO−b−PPO、シリカ壁を形成する原料であるシリカ前駆体、有機溶媒、酸又は塩基触媒、及び水を含む。
構造規定剤であるPEO−b−PPOとしては前述したように、一般式(1)に示すものであり、式1及び式2の条件を満たす分子構造を有するものを用いる。この際、構造規則性の低下や分子集合体形状の変化が起こらない範囲であれば、分子集合体の径の大きさを調整する目的で、ゾル液に膨潤剤を少量添加する等しても良い。
シリカ前駆体としては、一般的なゾルゲル法でシリカを形成する際に用いるものが挙げられ、具体的にはシリコンアルコキシド、4塩化ケイ素、シリカオリゴマー等が挙げられる。それらの中でも反応性が高く、かつゾル液中における分散均一性に優れることから、シリコンアルコキシドが好ましい。シリコンアルコキシドとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどが挙げられる。以下、シリカ前駆体としてシリコンアルコキシドを用いた場合を例として説明するが、シリコンアルコキシド以外のシリカ源(シリカ前駆体、シリカそのものなどを含む)を用いた場合は、その種類に応じて、各種材料比などの最適な合成条件は変化し得る。
また有機溶媒としては、一般式(1)に示されるPEO−b−PPO及びシリコンアルコキシドと相溶性を有するものが望ましいため、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノールなどのアルコールやテトラヒドロフランなどを適宜用いることができる。これらの有機溶媒を用いる場合は、単独で用いても良く、複数の有機溶媒を混在させて用いても良い。複数の有機溶媒を混在させて用いる例としては、アルコールとTHFを混合させた混合液を用いる場合が挙げられる。
シリコンアルコキシドを加水分解・脱水縮合してシリカを形成するための触媒としては、酸もしくは塩基が一般的に用いられる。具体的には、塩酸、酢酸、硝酸、水酸化ナトリウム、アンモニア、及びこれらの水溶液などが用いられる。
シリコンアルコキシドの加水分解に必要な水は、上述の触媒水溶液の形で添加しても良く、もしくは別途水を添加しても良い。また、開放系の容器内でゾル液の攪拌を行うことにより、空気中の水分を取り込む形でも良い。
ゾル液に含まれる各成分の成分比は、用いる材料、調製時の温度、撹拌条件、撹拌時間等、各種条件によって最適値が異なる。ただし、ゾルゲル反応の原理上、シリコンアルコキシドと水の量の比は、シリコンアルコキシドを1とした時のモル比で1:2以上であることが好ましく、1:4以上であることがより好ましい。
また、シリンダー形状の分子集合体を形成する上で、壁材であるシリカと、構造規定剤であるPEO−b−PPOの比も重要である。仮にシリンダー形状の分子集合体を形成し得るPEO−b−PPOを選択したとしても、シリカメソ構造体膜中において、シリカに対するPEO−b−PPOの量の比が小さすぎる場合には球状の分子集合体からなるメソ構造を形成しやすい場合がある。またPEO−b−PPOの量の比が大きすぎる場合には、ラメラ状のメソ構造が混在する場合がある。そのため、シリコンアルコキシドに対するPEO−b−PPOの量の比は、二次元ヘキサゴナル構造を形成する上ではこれらの条件の中間が好ましい。例えば、シリコンアルコキシドとしてテトラエトキシシランを用いた場合であれば、一般式(1)に示される構造規定剤とシリコンアルコキシドとの重量比は、一般式(1)に示される構造規定剤:シリコンアルコキシド=1:2〜6とするのが望ましい。ただし、この重量比に限定されるわけではない。また、ここで言う重量比とは、前駆体溶液を作製する段階で、溶液中に投入する重量の比を指す。
一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを構造規定剤として用いるメソ構造体の製造方法において、式1及び式2により規定される範囲内のPEO−b−PPOの全てが単独で容易に有機溶媒に溶解するわけではない。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、以下に記す方法により、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOが均一に溶解したゾル液を得ることが好ましいことがわかった。まず、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを有機溶媒中に溶解又は分散させる。この時、必要に応じて加熱(例えば40℃程度に)しながら撹拌しても良い。次に、この液に対して、水及び、触媒となる酸触媒を添加して第一の溶液を作製する。この段階で、液全体が透明となり、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOが液中に均一に分散した状態となる。その上で、最後にシリカ前駆体を添加して所定の時間撹拌することで、塗布に用いる第二の溶液(ゾル液)が得られる。なお、ゾル液は、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOと有機溶媒と水と酸触媒とを混合させて第一の溶液を得た後に、第一の溶液にシリカ前駆体を添加して第二の溶液を得る順番であれば、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOと有機溶媒と水を混合させた液に酸触媒を添加しても良いし、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOと有機溶媒との混合液に酸触媒と水とを添加しても良い。
以上により得られたゾル液を、基板上へ塗布する。塗布方法についてはスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法など、一般的な方法を用いることが可能であるがディップコート法であることが好ましい。基材は、メソポーラスシリカ膜の作製プロセスに耐えられるものであれば、特に限定はなく、シリコンや石英ガラスなどが好適に使用される。なお、本実施形態においては、ゾル液を基板に塗布しているが、本発明においてゾル液を塗布する対象は、基板のような平坦なものや、ある曲率を有する曲面状のものも含む基材である。
次に、このようにして基板上に得られた塗布膜を乾燥させる。乾燥させることで、不要な溶媒が蒸発するだけでなく、シリカ壁の縮合反応も進行する。乾燥方法については、ホットプレートや乾燥炉を用いた加熱、恒温槽内での所定時間の静置など、各種方法が適用できる。使用する材料や求める構造、乾燥プロセスの効率等に応じて、最適な乾燥方法を選択すればよい。
以上により得られた、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを構造規定剤としたメソ構造体膜を、断面SEMなどにより観察すると、シリンダー形状の分子集合体からなる二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造膜が確認された。これらSEM像の断面については後述する。シリカメソ構造体膜について、X線回折により膜内部の構造解析を行った結果、構造周期に起因するブラッグ回折ピークが確認され、その際の構造周期は12nm以上の値を示すことが分かった。
構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜を、特にX線光学素子などへ応用する上では、極めて高い構造規則性が必要となり、理想的には単一のドメインから構成されることが望ましい。しかしながら、スピンコート法や、速い引き上げ速度でのディップコート法を用いてシリカメソ構造体膜を作製した場合には、膜全体にわたってシリンダー形状の二次元ヘキサゴナル構造が確認されても、膜厚方向に対しては細かなドメインが混在してしまうことが多い。
このようなドメインが混在してしまう現象は、シリカメソ構造体膜の膜厚の増加に伴い顕著になり、特に膜厚が500nmを超える条件で作製した場合には、膜内部における構造規則性がほとんど見られなくなってしまうこともある。
そこで、本実施形態におけるシリカメソ構造体膜の作製において、構造規則性が維持される作製方法についても、本発明者らは鋭意検討した。その結果、通常のディップコート法における引き上げ速度に比べて、非常に遅い基板引き上げ速度でのディップコート法が構造規則性を高める上で有効となり好ましいことを見出した。以下、図3を用いて、本実施形態で用いたディップコート法について説明する。
[ディップコート法]
図3は、本実施形態で用いたディップコート法を示した概略図である。容器31中に存在するゾル液32に基板33を含浸させた後、一定の速さでゾル液32から基板33を引き上げることにより、基板33の表面に薄膜を形成する。この時の引き上げ速度をuとすると、uの低下とともに、基板33上に形成される膜の膜厚も小さくなることが一般に知られている。
図3は、本実施形態で用いたディップコート法を示した概略図である。容器31中に存在するゾル液32に基板33を含浸させた後、一定の速さでゾル液32から基板33を引き上げることにより、基板33の表面に薄膜を形成する。この時の引き上げ速度をuとすると、uの低下とともに、基板33上に形成される膜の膜厚も小さくなることが一般に知られている。
一方、同じゾル液を使用して、通常のディップコート法で用いる引き上げ速度に比べて、著しく遅い引き上げ速度、具体的には200μm/s以下の引き上げ速度でディップコートを行った場合には、引き上げ速度uの低下に伴う膜厚減少は起こらなくなり、むしろ膜厚は増加することを見出した。即ち、基板がゾル液から引き抜かれる際の基板とゾル液との(多くの場合、基板とゾル液を保持する容器との)相対的な速度が200μm/s以下となるようなディップコート法を用いた製造方法により、得られるメソ構造体膜の内部における構造規則性を高められることが分かった。
本実施形態のように200μm/s以下の遅い引き上げ速度uで成膜した二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜について、膜内部における構造規則性を断面SEMにより観察したところ、500nmを超える膜厚で作製した場合であっても、膜厚方向の構造規則性が維持されていた。
即ち、このような200μm/s以下の遅い引き上げ速度uで成膜した二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜は、構造規則性に優れるという効果を奏すると言える。即ち、膜厚方向に構造周期を有するシリカメソ構造体膜であって、膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造であり、一般式(1)に示されるポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーがシリンダー状分子集合体の形状で充填されているシリカメソ構造体膜を得ることができる。また、構造規定剤として、PEO20−PPO70−PEO20についても、上述した200μm/s以下の遅い引き上げ速度のディップコート法を用いることにより、同様に構造規則性の高い二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体を製造できた。ここから、構造規定剤については、PEOx−PPOy−PEOzであっても、200μm/s以下の遅い引き上げ速度uで成膜した際には、上記の効果を得ることができると言える。
なお、本実施形態においては、ディップコート法の一例として、ゾル液中に基板を含浸させた後、一定の速さでゾル液から基材を引き上げる方法を挙げたが、本発明のディップコート法には、基板側を固定してゾル液の入った容器を下方に引き下げる方法も含まれる。このような方法によって成膜した場合でも、実質的には本実施形態のディップコート法と同じ原理により、シリカメソ構造体膜が作製される。この場合であれば、容器を引き下げる速度が、本実施形態における基板を引き上げる速度と同じものを意味する。すなわち、このような場合には、「基板がゾル液から引き抜かれる際の相対的な速度が200μm/s以下」とは「基材から容器を引き下げる際の相対的な速度が200μm/s以下」であることを意味する。なお、基材とゾル液とを逆の方向に動かす際には基材もしくはゾル液が動く方向における速度の差を意味する。
[メソポーラスシリカ膜]
次に、本実施形態により得られる二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体から、さらに構造規定剤である一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを除去して二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜を得る方法について、説明する。
次に、本実施形態により得られる二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体から、さらに構造規定剤である一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを除去して二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜を得る方法について、説明する。
構造規定剤である一般式(1)に示されるPEO−b−PPOの除去としては、電気炉などを用いた加熱による焼成除去、UVオゾン処理を用いた分解除去、抽出による除去といった各種手法が利用可能である。構造規定剤を除去する際の、膜厚方向の構造収縮を抑える上では、抽出による構造規定剤の除去が最も好ましい。この時の抽出媒体としては、抽出操作を行うときの温度条件において、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを溶解可能な溶媒であれば特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、テトラヒドロフランなどが用いられる。また、抽出媒体として二酸化炭素などを用いた超臨界抽出も用いることができる。
抽出によって一般式(1)に示されるPEO−b−PPOをシリカメソ構造体膜内部から除去することにより、構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜を得ることができる。また、二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜の細孔中に機能性物質を導入して、機能性薄膜として使用することもできる。この際、メソポーラスシリカ膜の細孔中に導入可能な分子の大きさは、膜の構造周期と密接な関係がある細孔径に依存することとなる。
以上説明したように、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを構造規定剤として用いて、引き上げ速度が200μm/s以下のディップコート法により基板上に成膜することで、構造周期が12nm以上で、かつ膜内部における構造規則性が極めて優れた二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜を得ることができる。さらにこのシリカメソ構造体膜から、一般式(1)に示されるPEO−b−PPOを抽出により除去することで、構造規定剤除去に伴う構造周期の収縮を抑制することができる。
このようにして得られた二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜は、ブラッグブレンターノ配置において、反射率で50%を超えるブラッグ回折のピーク強度を可能にする高い規則性を有する。これは、無機の多層膜からなるX線ミラーの反射率に匹敵する、極めて高い値である。従来技術に従い、先述のトリブロックポリマーであるPEO20−PPO70−PEO20トリブロックコポリマーを構造規定剤として用いて作製された二次元ヘキサゴナルメソポーラスシリカ膜では、上記の反射率は40%強程度が限界であった。
本実施形態のメソポーラスシリカ膜を用いることにより、真空プロセスなどを用いることなく、低コストで、上記の高い反射率を利用したX線光学素子を作製することが可能となる。
[その他のメソ構造体]
さらに、このようにして得られたメソポーラスシリカ膜の細孔に、有機材料や無機材料の機能性分子材料を導入することで、機能性薄膜として使用可能な機能性メソ構造体とすることも可能である。即ち、上述した各工程を用いて製造されたシリカメソ構造体に対し、ブロックコポリマーを除去して細孔とする工程を備える。ブロックポリマーを除去する方法としては焼成もしくは抽出が好ましい。さらに、細孔に有機材料や無機材料の機能性分子材料を導入することで、導入された分子材料によるさらなる機能の追加が期待できる。ここで導入される分子材料としては、種種の材料を用いることが可能であるが、例えば発光性半導体高分子化合物等が導入可能であり、低閾値でレーザー発振する発光材料に用いる等の応用が可能となる。
さらに、このようにして得られたメソポーラスシリカ膜の細孔に、有機材料や無機材料の機能性分子材料を導入することで、機能性薄膜として使用可能な機能性メソ構造体とすることも可能である。即ち、上述した各工程を用いて製造されたシリカメソ構造体に対し、ブロックコポリマーを除去して細孔とする工程を備える。ブロックポリマーを除去する方法としては焼成もしくは抽出が好ましい。さらに、細孔に有機材料や無機材料の機能性分子材料を導入することで、導入された分子材料によるさらなる機能の追加が期待できる。ここで導入される分子材料としては、種種の材料を用いることが可能であるが、例えば発光性半導体高分子化合物等が導入可能であり、低閾値でレーザー発振する発光材料に用いる等の応用が可能となる。
また、本実施形態にかかる一般式(1)に示されるPEO−b−PPOに関して、式1及び式2の条件を満たす分子構造を有するものであれば、2種類以上の一般式(1)に示されるPEO−b−PPOが混在した状態で用いても良い。
尚、ゾル液として、本実施形態で説明してきた材料のほかに、膜質調整などの目的で更に別の添加物を加える等しても良い。
また、シリカ前駆体に代わって、酸化物の前駆体を用いるとしても良い。遷移金属酸化物、金属、硫化物等の種々の材料からなる前駆体、例えば、酸化スズや酸化チタン、ジルコニアを主成分とした前駆体、酸化インジウムを主成分とした無機酸化物の前駆体を用いるとしても良い。また、金属酸化物や、他の材料をドープして価電子制御された金属酸化物を用いるとしても良い。シリカ以外の酸化物をマトリクスとして本発明の手法を適用した場合においても、シリカの場合と同様に、大きな構造周期を有するメソ構造体膜を形成することが出来る。
以下では、本発明の各実施例について説明する。ただし、実施形態で説明したのと同一の点について、説明は省略する。
(実施例1)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマー(PEO68−b−PPO60)0.490gをエタノール7.09gに分散させ、40℃で10分撹拌した後で、水0.350g及び0.1M塩酸水溶液0.280gを滴下し、さらにテトラエトキシシラン1.46gを添加して16時間撹拌し、ゾル液を得た。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマー(PEO68−b−PPO60)0.490gをエタノール7.09gに分散させ、40℃で10分撹拌した後で、水0.350g及び0.1M塩酸水溶液0.280gを滴下し、さらにテトラエトキシシラン1.46gを添加して16時間撹拌し、ゾル液を得た。
ここで用いたPEO68−b−PPO60は、y/xが0.88、分子量、即ち、44.1x+58.1yが6485となる。そのため、前述した式1、式2の条件を満たす。
UVオゾン洗浄及び超純水洗浄を施したシリコン基板上に、スピンコート法(回転速度3000rpm、回転時間60秒)により上記ゾル液を塗布し、塗布膜を得た。その後25℃、相対湿度40%の環境下で24時間静置して乾燥させ、メソ構造体膜を得た。
図4は本実施例のメソ構造体膜の断面をSEMにより観察したSEM像を示した図である。断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、図に示すような二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は14nmであった。
(実施例2)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO130−b−PPO60を用いた。それ以外は実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO130−b−PPO60を用いた。それ以外は実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO130−b−PPO60は、y/xが0.46、分子量、即ち、44.1x+58.1yが9219となる。そのため、前述した式1、式2の条件を満たす。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は20nmであった。
(実施例3)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO136−b−PPO60を用いた。それ以外は実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO136−b−PPO60を用いた。それ以外は実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO136−b−PPO60は、y/xが0.44、分子量、即ち、44.1x+58.1yが9484となる。そのため、前述した式1、式2の条件を満たす。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は20nmであった。
(実施例4)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO98−b−PPO60を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO98−b−PPO60を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO98−b−PPO60は、y/xが0.61、分子量、即ち、44.1x+58.1yが7808となる。そのため、前述した式1、式2の条件を満たす。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は17nmであった。
(実施例5)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO77−b−PPO60を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO77−b−PPO60を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO77−b−PPO60は、y/xが0.78、分子量、即ち、44.1x+58.1yが6882となる。そのため、前述した式1、式2の条件を満たす。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は15nmであった。
(実施例6)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO80−b−PPO95を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO80−b−PPO95を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO80−b−PPO95は、y/xが1.19、分子量、即ち、44.1x+58.1yが9048となり、式1、式2の条件を満たす。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は19nmであった。
(実施例7)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO65−b−PPO95を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO65−b−PPO95を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO65−b−PPO95は、y/xが1.46、分子量、即ち、44.1x+58.1yが8386となる。そのため、式1、式2の条件を満たす。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は18nmであった。
(実施例8)
本実施例は、ディップコート法を用いてゾル液を基板に塗布し、その際、基板引き上げ速度を200μm/sと低速とした。実施例1に記載の手法によりゾル液を得ているため、その説明については省略する。
本実施例は、ディップコート法を用いてゾル液を基板に塗布し、その際、基板引き上げ速度を200μm/sと低速とした。実施例1に記載の手法によりゾル液を得ているため、その説明については省略する。
UVオゾン洗浄及び超純水洗浄を施したシリコン基板上に、ディップコート法(基板引き上げ速度200μm/s)によりゾル液を塗布し、塗布膜を得た。その後25℃、相対湿度40%の環境下で24時間静置して乾燥させることで、メソ構造体薄膜を得た。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、図5に示すように、膜厚方向の構造規則性が非常に優れた二次元ヘキサゴナル構造が確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は14nmであった。
(実施例9)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO329−b−PPO293を用いた。それ以外は、実施例8と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO329−b−PPO293を用いた。それ以外は、実施例8と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO329−b−PPO293は、y/xが0.89、分子量、即ち、44.1x+58.1yが31532となる。そのため、式1、式2の条件を満たす。このゾル液を用いて、実施例8と同様の手法により、メソ構造体膜を得た。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。この時の断面SEM像を図10に示す。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は35nmであった。
(実施例10)
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO118−b−PPO29を用いた。それ以外は、実施例8と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
本実施例ではゾル液として、ジブロックコポリマーPEO118−b−PPO29を用いた。それ以外は、実施例8と同様の手法により、メソ構造体膜を得ているため、それらの説明については省略する。
ここで用いたPEO118−b−PPO29は、y/xが0.25、分子量、即ち、44.1x+58.1yが6889となる。そのため、式1、式2の条件を満たす。このゾル液を用いて、実施例8と同様の手法により、メソ構造体膜を得た。
実施例1と同様、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は14nmであった。
(実施例11)
本実施例は、ディップコート法を用いてゾル液を基板に塗布し、その際の基板引き上げ速度が50μm/sで作成したシリカメソ構造体膜から、二次元ヘキサゴナルメソポーラスシリカ膜を作成した。それ以外は実施例8と同様の手法により作製するため、それらの説明については省略する。本実施例により作成された二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜に対して、トリメチルクロロシランの存在下、密封容器中に80℃で14時間保持した。その後、基板をエタノール中に浸漬して密封し、80℃で8時間抽出処理を施した。その後、基板を取出し、表面をエタノールで再度洗浄して、二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜を得た。
本実施例は、ディップコート法を用いてゾル液を基板に塗布し、その際の基板引き上げ速度が50μm/sで作成したシリカメソ構造体膜から、二次元ヘキサゴナルメソポーラスシリカ膜を作成した。それ以外は実施例8と同様の手法により作製するため、それらの説明については省略する。本実施例により作成された二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜に対して、トリメチルクロロシランの存在下、密封容器中に80℃で14時間保持した。その後、基板をエタノール中に浸漬して密封し、80℃で8時間抽出処理を施した。その後、基板を取出し、表面をエタノールで再度洗浄して、二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜を得た。
図6は、このメソポーラスシリカ膜について、X線の入射角に対する反射率を測定した図である。このメソポーラスシリカ膜について、ブラッグブレンターノ配置におけるブラッグ回折を測定したところ、図6に示すように、構造周期14nm、ブラッグピークにおけるX線の反射率は56%であった。
(比較例1)
ジブロックコポリマーとしてPEO61−b−PPO95を用いた。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得た。
ジブロックコポリマーとしてPEO61−b−PPO95を用いた。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得た。
ここで用いたPEO61−b−PPO95は、y/xが1.56、分子量、即ち、44.1x+58.1yが8210となり、式2の条件は満たすが、式1の条件は満たしていない。
図8は本比較例のメソ構造体膜の断面をSEMにより観察したSEM像を示した図である。SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、図に示すような不定形及びラメラ状の分子集合体が不規則に配列した構造であった。ゾル液の成分比、撹拌条件、成膜条件などの各種条件を変更して作成した場合にも、二次元ヘキサゴナル構造は得られなかった。
(比較例2)
ジブロックコポリマーとしてPEO45−b−PPO31を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得た。
ジブロックコポリマーとしてPEO45−b−PPO31を用いることを特徴とする。それ以外は、実施例1と同様の手法により、メソ構造体膜を得た。
ここで用いたPEO45−b−PPO31は、y/xが0.69、分子量、即ち、44.1x+58.1yが3786となる。そのため、式1の条件は満たすが、式2の条件は満たしていない。
他の比較例と同様に、断面SEMによりこのメソ構造体膜の膜内部の構造を観察したところ、二次元ヘキサゴナル構造を有することが確認された。また、X線回折によりメソ構造の構造周期を評価した結果、構造周期は10nmであった。
すなわち、
一般式(1)に示されるブロックポリマーにおけるxおよびyが
0<y/x≦1.46、
および
6485≦44.1x+58.1y≦31532を満たす場合に二次元ヘキサゴナル構造を有するメソ構造体膜となることを確認した。
一般式(1)に示されるブロックポリマーにおけるxおよびyが
0<y/x≦1.46、
および
6485≦44.1x+58.1y≦31532を満たす場合に二次元ヘキサゴナル構造を有するメソ構造体膜となることを確認した。
本発明によって得られる二次元ヘキサゴナル構造を有するメソポーラスシリカ膜は、従来技術では導入できなかった大きさの機能性材料を導入でき、各種触媒担体、発光素子、電気素子、鋳型材料として利用できる。また、本発明によって得られる二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカメソ構造体膜及びメソポーラスシリカ膜は、膜厚方向の構造規則性に優れており、各種X線光学素子などに利用できる。
21 基板
22 シリンダー状分子集合体
23 シリカマトリックス(シリカ壁)
24 シリカメソ構造体膜
31 容器
32 ゾル液
33 基板
22 シリンダー状分子集合体
23 シリカマトリックス(シリカ壁)
24 シリカメソ構造体膜
31 容器
32 ゾル液
33 基板
Claims (15)
- 周期構造を有するメソ構造体の製造方法であって、
酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を基材に塗布する工程を有し、
前記ブロックコポリマーが下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするメソ構造体の製造方法。
一般式(1)
ただし、xおよびyは、いずれも正の数であり、
かつ
0<y/x≦1.46、
および
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。 - 前記xおよび前記yが、0.25≦y/x≦1.46を満たすことを特徴とする請求項1に記載のメソ構造体の製造方法。
- 前記xおよび前記yが、
6400≦44.1x+58.1y≦100000
を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメソ構造体の製造方法。 - 前記酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を、
前記ブロックコポリマーと有機溶媒と水と酸とが混合した第一の溶液を得る工程と、該第一の溶液と前記酸化物の前駆体とを混合させた第二の溶液を得る工程により作製することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のメソ構造体の製造方法。 - 前記酸化物の前駆体とブロックコポリマーとを含む溶液を前記基材に塗布する方法として、前記基材と前記溶液との引き抜きの相対的な速度が200μm/s以下であるディップコート法を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のメソ構造体の製造方法。
- 前記酸化物の前駆体がシリカ前駆体であり、前記メソ構造体がシリカメソ構造体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のメソ構造体の製造方法。
- 前記シリカ前駆体がテトラエトキシシランであることを特徴とする請求項6に記載のメソ構造体の製造方法。
- 前記ブロックコポリマーと前記テトラエトキシシランとの重量比が、1:2〜6であることを特徴とする請求項7に記載のメソ構造体の製造方法。
- 前記メソ構造体中の構造周期が12nm以上35nm以下の周期であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のメソ構造体の製造方法。
- メソポーラス膜の製造方法であって、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載のメソ構造体の製造方法によりメソ構造体を得る工程と、
前記メソ構造体に含まれる前記ブロックコポリマーを除去する工程と、
を有するメソポーラス膜の製造方法。 - 前記メソポーラス膜の細孔の孔径が、5nm以上15nm以下であることを特徴とする請求項10に記載のメソポーラス膜の製造方法。
- 機能性メソ構造体の製造方法であって、
請求項10もしくは11に記載のメソポーラス膜の製造方法によりメソポーラス膜を得る工程と、
前記メソポーラス膜の細孔に機能性物質を充填する工程と、
を有することを特徴とする機能性メソ構造体の製造方法。 - 膜厚方向に構造周期を有するシリカメソ構造体膜であって、
膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有するシリカマトリクスと、前記シリカマトリクスの二次元ヘキサゴナル構造の内部に存在するシリンダー形状のブロックコポリマーからなる分子集合体とからなり、前記ブロックポリマーが、下記一般式(1)に示すポリエチレンオキサイド−b−ポリプロピレンオキサイドジブロックコポリマーであることを特徴とするシリカメソ構造体膜。
一般式(1)
ただし、xおよびyは、いずれも正の数であり、
かつ
0<y/x≦1.46、
および
6400≦44.1x+58.1y
を満たす。 - 前記xおよび前記yが、0.25≦y/x≦1.46を満たすことを特徴とする請求項13に記載のシリカメソ構造体膜。
- 膜厚方向の構造周期が12nm以上の二次元ヘキサゴナル構造を有し、ブラッグブレンターノ配置において反射率で50%を超えるブラッグ回折のピーク強度を示すことを特徴とするメソポーラスシリカ膜。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013015704A JP2013212973A (ja) | 2012-03-06 | 2013-01-30 | メソ構造体、メソ構造体の製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、シリカメソ構造体膜、メソポーラスシリカ膜 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012049664 | 2012-03-06 | ||
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JP2013015704A JP2013212973A (ja) | 2012-03-06 | 2013-01-30 | メソ構造体、メソ構造体の製造方法、メソポーラス膜の製造方法、機能性シリカメソ構造体膜の製造方法、シリカメソ構造体膜、メソポーラスシリカ膜 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2013212973A true JP2013212973A (ja) | 2013-10-17 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2013212973A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016534174A (ja) * | 2013-11-18 | 2016-11-04 | エルジー・ケム・リミテッド | ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法 |
US9751981B2 (en) | 2013-10-30 | 2017-09-05 | Lg Chem, Ltd. | Manufacturing method of organic zinc catalyst and manufacturing method of polyalkylene carbonate resin |
US9803048B2 (en) | 2013-11-04 | 2017-10-31 | Lg Chem, Ltd. | Organic zinc catalyst and preparation method thereof |
-
2013
- 2013-01-30 JP JP2013015704A patent/JP2013212973A/ja active Pending
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US9751981B2 (en) | 2013-10-30 | 2017-09-05 | Lg Chem, Ltd. | Manufacturing method of organic zinc catalyst and manufacturing method of polyalkylene carbonate resin |
US9803048B2 (en) | 2013-11-04 | 2017-10-31 | Lg Chem, Ltd. | Organic zinc catalyst and preparation method thereof |
JP2016534174A (ja) * | 2013-11-18 | 2016-11-04 | エルジー・ケム・リミテッド | ポリアルキレンカーボネート樹脂の製造方法 |
US9732187B2 (en) | 2013-11-18 | 2017-08-15 | Lg Chem, Ltd. | Manufacturing method of polyalkylene carbonate resin |
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