JP6157895B2 - テクスチャー形成用組成物、シリコン基板の製造方法、及びテクスチャー形成用組成物調製キット - Google Patents
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R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。)
R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。)
本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物は、シリコン表面に凹凸構造を形成するためのテクスチャー形成用組成物であって、水、塩基を含み、更に下記式(1)で表されるアミノアルコール化合物を2種類以上含むことを特徴とする、テクスチャー形成用組成物である。
R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。)
以下、順を追って説明する。
本発明のテクスチャー形成用組成物を適用してテクスチャーを形成するシリコン基板は、公知の方法で製造したものを使用することができ、単結晶又は多結晶系のシリコン基板を使用することができる。中でも、テクスチャー形成処理により得られた表面に凹凸部を有するシリコン基板を太陽電池用途に使用する場合、単結晶基板であることが好ましい。また、単結晶のシリコン基板を使用する場合、本発明のテクスチャー形成用組成物と接触させる、シリコン基板表面の面方位は、(100)であることが好ましい。このような面方位の表面と本発明のテクスチャー形成用組成物とを接触させることにより、該表面に良好なテクスチャー(ピラミッド状の凹凸構造)を形成できる。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水を含む。この水は、下記に詳述する塩基、アミノアルコール化合物を溶解し、効率よく、両者をシリコン基板表面に作用させる役割を果しているものと考えられる。本発明で使用する水は、テクスチャー(凹凸構造)が形成されたシリコン基板の用途に応じて適宜決定すればよいが、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水を使用することができる。これらの水の中でも、含有する金属等の不純物を考慮すると、超純水、純水、イオン交換水が好適である。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、塩基を含む。この塩基は、シリコン基板表面をエッチングするのに重要な役割を果たしているものと考えられる。塩基としては、無機塩基、有機塩基の何れであってもよい。本発明において使用可能な無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;及び、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等を挙げることができる。また、本発明において使用可能な有機塩基としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、または、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム化合物を挙げることができる。これらの塩基の中でも、シリコンのエッチング速度やテクスチャー形成能を高めることが容易である等の観点からは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びTMAHを好適に採用することができる。なお、塩基は、2種以上の塩基を組み合わせて用いてもよい。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、下記式(1)で示されるアミノアルコール化合物を2種類以上含むことを最大の特徴とする。
R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。)
HLB値=20x親水部の式量の総和/分子量 (2)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水、塩基を含み、更に前記アミノアルコール化合物を含む。これらの量は、特に限定されるものでは無く、使用する塩基の種類、アミノアルコール化合物の種類、該組成物とシリコン基板との接触温度や時間等により、各成分の最適な濃度を適宜選択すれば良い。しかし、工業的に有効な処理時間でシリコン基板へ均一で微細なテクスチャー形成を可能にするとの観点から、例えば、以下のような配合割合が好ましい。
本発明のテクスチャー形成用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらにケイ酸塩を含有させることができる。ケイ酸塩を含有させることにより、本発明のテクスチャー形成用組成物を使い回して複数回バッチ方式にシリコン基板のテクスチャー形成処理を行った際に、該処理後のシリコン基板の表面特性(例えば光反射率。)のバッチによるばらつきを抑制することが可能になる。特に、1バッチ目(初期バッチ)においても安定したテクスチャー形成特性を発揮させることが可能になる。
本発明のテクスチャー形成用組成物には、水、前記塩基、および前記アミノアルコール化合物の他、本発明の効果を阻害しない範囲で通常のテクスチャー形成用組成物に使用される公知の添加剤として、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ジオール類、グリコールエーテル類の有機溶媒を含有させても良い。ただし、これら添加剤、有機溶媒は、配合されなくてもよく、配合される場合であっても、水100質量部に対して、好ましくはそれぞれ5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水、上記塩基、上記アミノアルコール化合物を混合し、均一な溶液とすることにより調製できる。これら成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、所定濃度の塩基性水溶液に所定量のアミノアルコール化合物を添加し、溶解させる方法を採用することができる。また、所定濃度のアミノアルコール化合物の水溶液に所定量の塩基を添加し、溶解させる方法も採用できる。さらに、所定濃度の塩基性水溶液と所定濃度のアミノアルコール化合物の水溶液とを混合する方法を採用することもできる。
本発明の第2の態様に係る、表面に凹凸構造を有するシリコン基板の製造方法は、上記本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物と、シリコン基板表面とを接触させる工程を有する。該工程により、シリコン基板表面がエッチングされ、シリコン基板表面に微細なピラミッド状の凹凸構造(テクスチャー)を形成することができる。
テクスチャー形成用組成物調製キットとは、テクスチャー形成用組成物を調製するための専用の中間原料のセットを意味し、例えば輸送時等においてはそれぞれ別の容器内に収容され、使用時においては、混合するだけ、或いは混合した後に単に水で希釈するだけでテクスチャー形成用組成物を調製することができるというものである。本発明の第3の実施態様においては、テクスチャー形成用組成物の原料が下記第1の溶液と下記第2の溶液とに分けられ、夫々独立して容器内に収容され、セットで使用される。
R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。)
第1の溶液は、水及び塩基を含む。第1の溶液における水としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記水を適宜採用することができる。また、第1の溶液における塩基としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記塩基を適宜採用することができる。体積及び重量を低減する観点から、第1の溶液の濃度は可能な限り高い濃度とすることが好ましい。ただし、使用時に溶液が均一であることを確実にする観点から、保管及び輸送等の状況において本発明の調製キットがさらされ得ることが想定される温度範囲(以下、「設計温度範囲」ということがある。)内で塩基の析出が起きない濃度とする。そのような観点から第1の溶液における塩基の含有量は、例えば水100質量部に対して10.0質量部以上、100質量部以下、特に15.0質量部以上80質量部以下とすることが好ましい。
第2の溶液は、水、上記式(1)で表されるアミノアルコール化合物を含む。第2の溶液における水としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記水を適宜採用することができる。また、第2の溶液におけるアミノアルコール化合物としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記式(1)に表されるアミノアルコール化合物を適宜採用することができる。
本発明のテクスチャー形成用組成物調製キットの第1の溶液又は第2の溶液は、その他の成分として、上記本発明のテクスチャー形成用組成物の項目において説明したケイ酸塩、その他の添加剤を含んでいてもよい。該ケイ酸塩、その他の添加剤を第1の溶液又は第2の溶液のどちらに含有させるか、また第1の溶液及び第2の溶液のどちらにも含有させるか、は特に限定されるものではないが、高濃度の塩基と反応し得る物質の場合には経時劣化を避ける観点から、第1の溶液ではなく第2の溶液に含有させることが好ましい。第1の溶液又は第2の溶液に含有させる際の当該添加剤の含有量は、塩基又はアミノアルコール化合物の含有量との比が適切な範囲内となる含有量とする。
第1の溶液と第2の溶液とを、水で希釈しながら適切な比率で混合することにより、本発明のテクスチャー形成用組成物を調製することができる。
(テクスチャー形成用組成物の調製)
水酸化ナトリウム2.0gを純水100gに溶解させた。この溶液にアミノアルコール化合物としてN−メチルジエタノールアミン4.0gとN−エチルジエタノールアミン1.0gを混合溶解し、テクスチャー形成用組成物を調製した。配合割合を表1に示す。
上記のようにして得られたテクスチャー形成用組成物を処理槽中で80℃に加温した。このテクスチャー形成用組成物中に基板表面の面方位が(100)である単結晶シリコン基板1枚を25分浸漬した後シリコン基板を該組成物中から取り出し、基板表面を純水で洗浄及び乾燥させて、テクスチャー形成基板を得た。
上記のようにして得られたテクスチャー形成基板表面の光反射率を測定した。光反射率の測定は、日本分光株式会社製紫外可視赤外分光光度計V−670を使用した。波長700nmの光の反射率を基板上の5箇所で測定した。この5箇所の測定結果の平均値である平均反射率の結果を表1に示す。また、凹凸部の均一性は、5箇所で測定した5つの光反射率の値の標準偏差値で評価した。
実施例1において、使用した塩基の種類や量、使用したアミノアルコール化合物の種類や量を表1に記載した通りに変更した以外は同様にして、テクスチャー形成用組成物を調製した。また、シリコン基板の処理方法も、実施例1と同様の方法で実施し、得られたテクスチャー形成基板表面の光反射率を同様に測定した。その結果を表1に示す。
実施例1において、使用した塩基の種類や量、使用した添加剤の種類や量を表1に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてテクスチャー形成用組成物を調製した。また、シリコン基板の処理方法も、実施例1と同様の方法で実施し、得られたテクスチャー形成基板表面の光反射率を同様に測定した。その結果を表1に示す。
(実施例1〜15)
表1に示すように、本発明のテクスチャー形成用組成物によれば、アミノアルコール化合物を複数添加した際においてシリコン基板表面の光反射率を低く抑制できた。また、基板表面における光反射率のばらつきも低減することが可能であった。すなわち、図1(実施例1で得られたシリコン基板のレーザー顕微鏡画像)の如く、むらが低減された表面形態(ピラミッド状の微細凹凸構造)とすることが出来た。
表1に示すように、アミノアルコール化合物を2種類併用した上記実施例と比較して光反射率が高い。また標準偏差も上記実施例と比較して大きい結果となった。
Claims (9)
- シリコン基板表面と接触して該表面に凹凸部を形成するテクスチャー形成用組成物であって、水、塩基、及びHLB値が0.5以上異なる下記式(1)で表されるアミノアルコール化合物を2種類以上含むことを特徴とするテクスチャー形成用組成物。
R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。) - アミノアルコール化合物として、HLB値が4.5以上であるものを少なくとも1種類含むことを特徴とする請求項1記載のテクスチャー形成用組成物。
- 水100質量部に対して、塩基を0.1質量部以上15質量部以下、前記アミノアルコール化合物を0.01質量部以上15質量部以下含むことを特徴とする請求項1〜2に記載のテクスチャー形成用組成物。
- さらにケイ酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜3記載のテクスチャー形成用組成物。
- 前記水100質量部に対して、前記ケイ酸塩を0.1質量部以上10.0質量部以下含むことを特徴とする、請求項4に記載のテクスチャー形成用組成物。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載のテクスチャー形成用組成物と、シリコン基板表面とを接触させる工程を有することを特徴とする、表面に凹凸構造を有するシリコン基板の製造方法。
- テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させる温度を50℃以上100℃以下とする請求項6に記載の表面に凹凸部を有するシリコン基板の製造方法。
- 水及び塩基を含有する第1の溶液と、水及びHLB値が0.5以上異なる下記式(1)で表されるアミノアルコール化合物を2種類以上含有する第2の溶液とからなる、テクスチャー形成用組成物調製キット。
R1、およびR2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数6〜18のアリール基であり、R3は炭素数2〜6のアルキレン基である。mは1〜4の整数、また、aは0または1、bは0または1、cは1〜3の整数でa+b+c=3であり、cが2以上の場合、−(R3O)m−Hで表される基はそれぞれ独立な基でも良い。) - 前記第1の溶液又は前記第2の溶液がさらにケイ酸塩を含有する、請求項8に記載のテクスチャー形成用組成物調製キット。
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