JP5550441B2 - テクスチャー形成用組成物 - Google Patents
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Description
水、塩基、及び下記式(1)
水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、及び下記式(1)
本発明において、テクスチャーを形成するシリコン基板は、公知の方法で製造したものを使用することができ、単結晶および多結晶系のシリコン基板を使用することができる。中でも、得られた表面に凹凸部を有するシリコン基板を太陽電池用途に使用する場合、単結晶基板であることが好ましい。また、単結晶のシリコン基板を使用する場合、下記に詳述するテクスチャー形成用組成物と接触させるシリコン基板表面の面方位は、(100)であることが好ましい。このような面方位の表面と本発明のテクスチャー形成用組成物とを接触させることにより、該表面に良好なテクスチャー(ピラミッド状の凹凸部)を形成できる。
本発明のテクスチャー組成物は、水を含むものである。この水は、下記に詳述する塩基、及びアミド化合物を溶解し、効率よく、両者をシリコン基板表面に作用させる役割を果しているものと考えられる。本発明で使用する水は、テクスチャー(凹凸部)が形成されたシリコン基板の用途に応じて適宜決定すればよいが、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水を使用することができる。これらの水の中でも、含有する金属等の不純物を考慮すると、超純水、純水、イオン交換水が好適である。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、塩基を含むものである。この塩基は、シリコン基板表面をエッチングするのに重要な役割を果たしているものと考えられる。塩基としては、無機塩基、有機塩基の何れであってもよい。無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物や炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等を挙げることができる。また、有機塩基としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、または、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム化合物を挙げることができる。これらの塩基の中でも、シリコンのエッチング速度やテクスチャー形成能を考慮すると、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、TMAHが好適である。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、下記式(1)
本発明においては、アミド化合物としてラクタム化合物を使用することができる。このラクタム化合物は、下記式(2)
R1は、炭素数2〜12のアルキレン基であり、
R2は、水素原子、または炭素数1〜12のアルキル基であり、ただし、総炭素数は2以上20以下である。)で示される化合物であることが好ましい。
本発明においては、アミド化合物としてカルボン酸アミド化合物を使用することができる。このカルボン酸アミド化合物は、下記式(3)
R3は、水素原子、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数1〜10のアルキル基
R4、およびR5は、それぞれ、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基であり、ただし、総炭素数は2以上20以下である。)で示されるカルボン酸アミド化合物であることが好ましい。
本発明においては、アミド化合物としてカルバミド化合物を使用することができる。このカルバミド化合物は、前記式(1)で示される結合が、下記式(4)
R6、およびR7は、それぞれ、水素原子、または炭素数7以下のアルキル基であり、
R8、及びR9は、水素原子、または炭素数1〜10のアルキル基であり、
R8とR9とが結合して環を形成してもよく、ただし、総炭素数は2以上20以下である。)で示される化合物であることが好ましい。
本発明においては、アミド化合物としてイミド化合物を使用することができる。このイミド化合物は、前記式(1)で示される結合が、下記式(6)
R10は、水素原子、または炭素数7以下のアルキル基であり、
R11、およびR12は、それぞれ、水素原子、炭素数10以下のアルキル基であり、
または、R11とR12が結合して環を形成してもよく、ただし、総炭素数は2以上20以下である。)で示される化合物であることが好ましい。
本発明において、得られるシリコン基板の反射率がより低く、さらに、均一な凹凸部を有するものとなるためには、上記アミド化合物の中でも、アミド結合の窒素原子に結合する置換基の一つがメチル基であるアミド化合物が好ましい。具体的な化合物を例示すれば、1−メチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルベンズアミド、ジメチルアセトアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルフタルイミドを挙げることができる。中でも、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これら化合物が特に優れた効果を発揮する理由は明らかではないが、上記構造を有することにより、塩基水溶液中で効率よくシリコン基板表面に付着できるのではないかと考えられる。
本発明のテクスチャー形成用組成物においては、使用する塩基、アミド化合物、該組成物とシリコン基板との接触時間等により、各成分の最適な濃度が異なる。そのため、各成分の配合量は、一概に限定することはできないが、以下の配合割合を満足する場合、効率よく、シリコン基板表面にテクスチャー(凹凸部)を形成できる。
本発明のテクスチャー形成用組成物には、水、前記塩基、および前記アミド化合物の他、本発明の効果を阻害しない範囲で通常のテクスチャー形成用組成物に使用される添加剤、有機溶媒を配合することもできる。ただし、これら添加剤、有機溶媒は、配合されなくてもよく、配合される場合であっても、水100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水、前記塩基、および前記アミド化合物とを混合し、均一な溶液とすることにより調製できる。均一な溶液は、テクスチャー形成用組成物をシリコン基板と接触させる温度において、目視により確認できる。これら成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、所定濃度の塩基性水溶液に所定量のアミド化合物を添加し、溶解させる方法を採用することができる。また、所定濃度のアミド化合物の水溶液に所定量の塩基を添加し、溶解させる方法も採用できる。さらに、所定濃度の塩基性水溶液と所定濃度のアミド化合物の水溶液を混合する方法を採用することもできる。ただし、アミド化合物の種類によっては、塩基により分解し易いものも存在するため、その場合、塩基とアミド化合物は、なるべく使用する直前に混合することが好ましい。
本発明においては、前記テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させることにより、シリコン基板表面に凹凸部(テクスチャー)を形成することができる。テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させる方法としては、テクスチャー形成用組成物中に、シリコン基板を浸漬させればよく、通常の湿式エッチング処理を行えばよい。この方法は、従来のエッチング液(公知のテクスチャー形成用組成物)を用いた場合と特に変わる点はなく、例えば、本発明のテクスチャー形成用組成物が導入された処理槽にシリコン基板を浸漬させればよい。このとき、シリコン基板表面に均一にテクスチャー(凹凸部)を形成させるため、処理槽中でシリコン基板を揺動させたり、振動することもできる。また、処理槽中のテクスチャー形成用組成物を撹拌したり、循環混合を行いながら、シリコン基板表面と接触させることもできる。
(テクスチャー形成用組成物の調製)
水酸化ナトリウム2.0gを純水100gに溶解させた。この溶液とアミド化合物として、1−メチル−2−ピロリドン2.5gを混合し、テクスチャー形成用組成物を調製した。配合割合を表1にまとめた。
上記のようにして得られたテクスチャー形成用組成物を処理槽中で80℃に加温した。このテクスチャー形成用組成物中に基板表面の面方位が(100)である単結晶シリコン基板を30分浸漬した。所定時間後シリコン基板を該組成物中から取り出し、基板表面を純水で洗浄・乾燥させて、テクスチャー形成基板を得た。
上記のようにして得られたテクスチャー形成基板表面の反射率を測定した。反射率の測定は、日本分光株式会社製紫外可視赤外分光光度計V−670を使用した。波長700nmの反射率を5箇所測定した。この5箇所の平均反射率の結果を表1にまとめた。また、凹凸部の均一性は、5箇所測定した反射率の標準偏差値で評価した。
実施例1において、使用した塩基の種類、塩基の使用量、使用したアミド化合物の種類、アミド化合物の量を表1に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法でテクスチャー形成用組成物を調製した。また、シリコン基板の処理方法も、実施例1と同様の方法で実施し、得られたテクスチャー形成基板表面の反射率を同様に測定した。その結果を表1に示す。なお、比較例は、水酸化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、または水酸化カリウム単独での結果である。
Claims (4)
- シリコン基板表面と接触して該表面に凹凸部を形成するテクスチャー形成用組成物であって、
水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、及び下記式(1)
- 前記アミド化合物が、総炭素数が2以上20以下の化合物であって、かつラクタム化合物、カルボン酸アミド化合物、カルバミド化合物、及びイミド化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のテクスチャー形成用組成物。
- 請求項1に記載のテクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させて、シリコン基板表面に凹凸部を形成することを特徴とする表面に凹凸部を有するシリコン基板の製造方法。
- テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させる温度を50℃以上100℃以下とする請求項3に記載の表面に凹凸部を有するシリコン基板の製造方法。
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