JP2013168610A - テクスチャー形成用組成物、シリコン基板の製造方法、及びテクスチャー形成用組成物調製キット - Google Patents

テクスチャー形成用組成物、シリコン基板の製造方法、及びテクスチャー形成用組成物調製キット Download PDF

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昭子 村田
Makoto Sato
佐藤  誠
Tatsuya Hitomi
達矢 人見
Osamu Yatabe
修 谷田部
Seiji Tono
誠司 東野
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Abstract

【課題】エッチング量を低減しながら、むらが低減された表面形態(凹凸構造)を有し、且つ低い光反射率を有するシリコン基板の製造を可能にするテクスチャー形成用組成物を提供する。
【解決の手段】水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、下記式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオンを0.001質量部以上10質量部未満、炭素数6〜14のアルコールを0.000001質量部以上5質量部以下含むテクスチャー形成用組成物である。
【化1】
Figure 2013168610

[前記式(1)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基である。]
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なテクスチャー形成用組成物、シリコン基板の新規な製造方法、及び新規なテクスチャー形成用組成物調製キットに関する。
近年、結晶系シリコン太陽電池等に用いられるシリコン基板は、太陽電池の効率を高めるために、基板表面に凹凸構造(例えば、ピラミッド状の微細な凹凸構造)を形成させ、表面からの入射光を効率良く基板内部に取り込む方法が用いられている。これらの凹凸構造は、「テクスチャー」と呼ばれている。入射光をより効率よく基板内部に取り込み、光電変換効率をより向上させるためには、該凹凸構造を有する基板面の光反射率をより低くすることが望まれている。
シリコン基板表面にこのテクスチャーを形成する方法として、単結晶シリコン基板表面に、塩基性水溶液に添加剤を加えたテクスチャー形成用組成物を接触させて異方性エッチング処理を行い、ピラミッド状(四角錐状)の微細な凹凸構造(テクスチャー)を形成する方法が知られている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。
従来の方法では、添加剤として、イソプロピルアルコール(非特許文献1)、炭素数が4〜7のアルコール誘導体(特許文献1)を使用した例が記載されている。
イソプロピルアルコールを使用した場合には、一定の効果は得られるものの、基板表面に形成された凹凸構造にむらが生じるという問題や、添加物(イソプロピルアルコール)の揮発等による液組成の変動を防ぐため厳密な管理が必要となるという問題があった。基板表面の凹凸構造にむらがあると、外観不良の原因となる他、基板表面において光反射率が十分に低減されない箇所が発生するので、光電変換効率を向上させることが困難になる。
また、炭素数が4〜7のアルコール誘導体を使用した場合には、添加物が揮発する問題は少なくなるが、微細な凹凸構造が形成できず、光反射率を低くするという点で改善の余地があった。
さらに、近年の太陽電池普及を目指した低コスト化の要求により、シリコン材料の使用量低減が求められている。そのため、シリコン基板を溶解除去(エッチング)して凹凸構造を形成するテクスチャー工程において、少ない溶解除去量(エッチング量)で光反射率を低減することへの要求が増してきている。光反射率を低減させるために、シリコン基板のエッチング量が増大すると、廃棄物量が増加してしまい、後処理工程が煩雑になる。また、シリコン材料の使用量を低減するために、薄型基板を用いる方法が検討されているが、エッチング量が多くなると、基板の厚みが薄くなりすぎ、後の工程で基板が割れて歩留まりが低下してしまうという問題が生じている。
このため、少ないエッチング量で光反射率を効率よく低減できるテクスチャー形成用組成物の開発が望まれていた。
特開2010−74102号公報
Progress in Photovoltaics: Research and Applications, Vol. 4, 435−438 (1996).
そこで、本発明の目的は、少ないエッチング量でむらが低減された表面形態(凹凸構造)を有し、且つより低い光反射率となるシリコン基板の製造を可能にするテクスチャー形成用組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、太陽電池等の光電変換素子用途に好適に使用できる、表面にテクスチャー(ピラミッド状の凹凸構造)が形成されたシリコン基板の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上記テクスチャー形成用組成物の調製に好適に使用できる、テクスチャー形成用組成物調製キットを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。その結果、特定のスルホン酸アニオン、及び特定のアルコールを含有する塩基水溶液を使用してシリコン基板をエッチング処理することにより、シリコン基板表面に微細なテクスチャー構造(ピラミッド状の凹凸構造)を少ないエッチング量で形成することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明について説明する。
本発明の第1の態様は、シリコン表面に凹凸構造を形成するための、テクスチャー形成用組成物であって、
水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、下記式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオンを0.001質量部以上10質量部未満、及び炭素数6〜14のアルコールを0.000001質量部以上0.5質量部以下含むことを特徴とする、テクスチャー形成用組成物である。
Figure 2013168610
[前記式(1)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基である。]。
ここで、本発明において、「式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオンを含み」とは、上記組成物が形成された状態、即ち水溶液の状態で当該アニオンが存在していることを意味する。上記組成物中で当該アニオンを発生させるためには、対応するアルキルスルホン酸又はその塩(以下、総称してアルキルスルホン酸化合物ともいう)を配合すればよい。塩を添加する場合には、上記組成物は当該塩におけるカチオンを含むことになる。また、アルキルスルホン酸を添加した場合には、上記組成物中には塩基が過剰に存在するため、当該アルキルスルホン酸は中和され、組成物全体としては塩基性を示すことになる。
したがって、本発明の第1の態様のテクスチャー形成用組成物はこれらアルキルスルホン酸化合物を含む組成物であるともいえ、アルキルスルホン酸アニオンの量はアルキルスルホン酸化合物の配合量により調整できる。アルキルスルホン酸アニオンの量を上記範囲とするためには、アルキルスルホン酸化合物におけるカチオン種に応じてその質量を勘案し、アルキルスルホン酸化合物の配合量を制御すればよい。
アルキルスルホン酸化合物がアルキルスルホン酸の場合には、アルキルスルホン酸アニオンの質量はアルキルスルホン酸の質量と実質的に同じであるため、アルキルスルホン酸化合物の配合量がそのままアルキルスルホン酸アニオンの含有量になると考えてよい。
また、アルキルスルホン酸化合物がアルキルスルホン酸塩の場合には、アルキルスルホン酸アニオンの質量は当該塩の質量よりも小さくなる。そのため、水100質量部に対して、アルキルスルホン酸塩を0.001質量部を越え10質量部以下含む場合には、アルキルスルホン酸アニオンは、0.001質量部以上10質量部未満含まれることになる。
本発明の第1の態様において、テクスチャー形成用組成物は、水100質量部に対して、さらにケイ酸塩を0.1質量部以上10.0質量部以下含むことが好ましい。
本発明において、「ケイ酸塩」とは、ケイ素のオキソ酸の塩を意味し、オルトケイ酸イオン(SiO 4−)やメタケイ酸イオン(SiO 2−)の塩の他、ピロケイ酸イオン(Si 6−)やポリケイ酸イオン(例えば一次元鎖状型ポリケイ酸イオン(SiO 2−等。)等の縮合ケイ酸イオンの塩をも包含する概念である。「ケイ酸塩」には、例えばケイ酸ソーダ(NaO・xSiO)のように、ケイ素と金属元素とのモル比が異なるケイ酸塩の混合物であるものも含まれる。なお、ケイ酸イオンと塩を形成する対カチオンは何ら限定されるものではなく、例えばアルカリ金属が挙げられる。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物と、シリコン基板表面とを接触させる工程を含むことを特徴とする、表面に凹凸構造を有するシリコン基板の製造方法である。
本発明の第2の態様は、
水、及び塩基を含有する第1の溶液と、
水、下記式(2)で表されるアルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールを含有する第2の溶液と
からなるテクスチャー形成用組成物調製キットである。
Figure 2013168610
[前記式(2)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基であり、Xはアルカリ金属元素である。]
ここで、テクスチャー形成用組成物調製キットとは、テクスチャー形成用組成物を調製するための専用の中間原料のセットを意味し、例えば輸送時等においてはそれぞれ別の容器内に収容され、使用時においては、混合するだけ、或いは混合した後に単に水で希釈するだけでテクスチャー形成用組成物を調製することができるというものである。本発明の第3の実施態様においては、テクスチャー形成用組成物の原料が上記第1の溶液と上記第2の溶液とに分けられ、夫々独立して容器内に収容され、セットで使用される。
本発明の第3の態様において、上記第1の溶液又は上記第2の溶液が、さらにケイ酸塩を含有してもよい。
本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物によれば、水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、前記式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオンを0.001質量部以上10質量部未満、及び炭素数6〜14のアルコールを0.000001質量部以上0.5質量部以下含むことにより、アルキルスルホン酸アニオンと炭素数6〜14のアルコールとが添加剤として相乗的な効果を発揮し、少ないシリコンのエッチング量で、むらが低減された表面形態(凹凸構造)を有し、且つ低い光反射率を有するシリコン基板の製造を可能にする、テクスチャー形成用組成物を提供することができる。
本発明の第1の態様において、テクスチャー形成用組成物が、水100質量部に対して、ケイ酸塩を0.1質量部以上10.0質量部以下含むことにより、本発明のテクスチャー形成用組成物を使い回して複数回バッチ方式にシリコン基板のテクスチャー形成処理を行った際に、該処理後のシリコン基板表面特性のバッチによるばらつきを抑制することが可能になる。特に、1バッチ目(初期バッチ)においても安定したテクスチャー形成特性を発揮させることが可能になる。また、本発明のテクスチャー形成用組成物を使い回せるバッチ処理回数(寿命)の減少を抑制しつつ、ケイ酸塩を含有させることによる上記効果を確実に発揮させることが容易になる。
本発明の第2の態様に係るシリコン基板の製造方法によれば、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物を用いてシリコン基板表面にテクスチャーを形成するので、少ないシリコンのエッチング量で、むらが低減された表面形態(凹凸構造)を有し、且つ低い光反射率のシリコン基板を製造することができる。したがって、本製造方法によって製造したテクスチャー化されたシリコン基板は、十分な厚さを有し、後に続く製造工程で割れ等の問題が起こり難い。その結果、該シリコン基板を使用することにより、高い歩留まりで太陽電池等の光電変換素子を製造することが可能となる。
本発明の第3の態様に係るテクスチャー形成用組成物調製キットによれば、上記本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物を調製することができる。ここで、本発明の第3の態様に係るテクスチャー形成用組成物調製キットにおいては、塩基と上記式(2)のアルキルスルホン酸塩とが別個の溶液に溶解されているので、各溶液を高濃度に調製しても、アルキルスルホン酸塩、または、炭素数6〜14のアルコールが析出することがない。よって、均一な高濃度溶液として製造及び輸送できるので、輸送コストを低減できるほか、本調製キットの使用者は容易に、上記本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物を、所期の濃度の均一な溶液として調製することができる。したがって、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物の調製に好適に使用することができる。
本発明の上記した作用および利得は、以下に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明の実施の形態について説明する。
<1.テクスチャー形成用組成物>
本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物は、シリコン表面に凹凸構造を形成するためのテクスチャー形成用組成物であって、水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、下記式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオンを0.001質量部以上10質量部未満、及び炭素数6〜14のアルコールを0.000001質量部以上0.5質量部以下の量で含む。
Figure 2013168610
(前記式(1)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基である。)。
以下、順を追って説明する
(表面にテクスチャーを形成するシリコン基板)
本発明のテクスチャー形成用組成物を適用してテクスチャーを形成するシリコン基板は、公知の方法で製造したものを使用することができ、単結晶又は多結晶系のシリコン基板を使用することができる。中でも、テクスチャー形成処理により得られた表面に凹凸部を有するシリコン基板を太陽電池用途に使用する場合、単結晶基板であることが好ましい。また、単結晶のシリコン基板を使用する場合、本発明のテクスチャー形成用組成物と接触させる、シリコン基板表面の面方位は、(100)であることが好ましい。このような面方位の表面と本発明のテクスチャー形成用組成物とを接触させることにより、該表面に良好なテクスチャー(ピラミッド状の凹凸構造)を形成できる。
また、本発明においては、シリコン基板の一部、あるいは全部をシリコン酸化膜やシリコン窒化膜、レジスト等で被覆処理(マスク)した基板も使用することができる。さらに、シリコン基板は、表面を研磨したもの、または、単にスライスしたもの(アズスライス品)の何れであってもよい。
その表面にテクスチャーを形成するシリコン基板の厚みは、特に制限されるものではないが、100〜300μmである。中でも、本発明のテクスチャー形成用組成物は、エッチング量を低減することができるため、厚みが100〜220μmのシリコン基板のテクスチャー形成に好適に使用できる。
(水)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水を含む。この水は、下記に詳述する塩基、アルキルスルホン酸アニオン、及び炭素数6〜14のアルコールを溶解し、効率よく、両者をシリコン基板表面に作用させる役割を果しているものと考えられる。本発明で使用する水は、テクスチャー(凹凸構造)が形成されたシリコン基板の用途に応じて適宜決定すればよいが、超純水、純水、イオン交換水、蒸留水、通常の水道水を使用することができる。これらの水の中でも、含有する金属等の不純物を考慮すると、超純水、純水、イオン交換水が好適である。
(塩基)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、塩基を含む。この塩基は、シリコン基板表面をエッチングするのに重要な役割を果たしているものと考えられる。塩基としては、無機塩基、有機塩基の何れであってもよい。本発明において使用可能な無機塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;及び、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等を挙げることができる。また、本発明において使用可能な有機塩基としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、または、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第4級アンモニウム化合物を挙げることができる。これらの塩基の中でも、シリコンのエッチング速度やテクスチャー形成能を高めることが容易である等の観点からは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及びTMAHを好適に採用することができる。なお、塩基は、2種以上の塩基を組み合わせて用いてもよい。
(アルキルスルホン酸アニオン)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、下記式(1)で示されるアルキルスルホン酸アニオンを含む。
Figure 2013168610
(上記式(1)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基である。)。
上記式(1)において、アルキル基Rの炭素数は6以上である。また、アルキル基Rの炭素数は12以下であり、特に好ましくは10以下である。
アルキル基Rの炭素数を上記下限値以上とすることにより、テクスチャー形成能の発現のために必要なアルキルスルホン酸アニオンの含有量を低減することが可能になり、そのため廃液の処理が容易になる。
また、アルキル基Rの炭素数を上記上限値以下とすることにより、組成物のテクスチャー形成能を安定化するためのアルキルスルホン酸アニオン濃度の管理を簡略化することが可能になる。また、テクスチャー形成用組成物を使い回して連続的にバッチ処理を繰り返す際には当該組成物中の塩濃度(例えばシリコンの反応により生じるケイ酸塩の濃度)が次第に上昇するが、アルキル基Rの炭素数が上記上限値以下であることにより、このように塩濃度が上昇した場合におけるテクスチャー形成能の低下を抑制することが容易になる。よって、テクスチャー形成用組成物の使用可能バッチ処理回数(寿命)を増すことが容易になる。このような観点からは、アルキル基Rの炭素数は10以下であることが特に好ましく、8以下であることがさらに好ましい。
なお、アルキル基Rは、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基のどちらでもよい。また、2種類以上の上記式(1)のアルキルスルホン酸アニオンを組み合わせて用いてもよい。ただし、より均一なテクスチャー形成等の観点からは、Rが直鎖アルキル基であることが好ましい。
本発明において好ましく用いることのできるアルキルスルホン酸アニオンを具体的に例示すると、1−ヘキサンスルホン酸アニオン、1−ヘプタンスルホン酸アニオン、1−オクタンスルホン酸アニオン、1−ノナンスルホン酸アニオン、1−デカンスルホン酸アニオン、1−ウンデカンスルホン酸アニオン、及び1−ドデカンスルホン酸アニオンといった、1−ノルマルアルキルスルホン酸アニオンから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを挙げることができる。これらの1−ノルマルアルキルスルホン酸アニオンを与える化合物としては、例えばこれらの1−ノルマルアルキルスルホン酸アニオンの共役酸(すなわち1−ノルマルアルキルスルホン酸)及びアルカリ金属塩(すなわち1−ノルマルアルキルスルホン酸アルカリ金属塩)から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせを好ましく用いることができる。
特に、より均一な凹凸構造であって、光反射率の低い表面凹凸構造を有するシリコン基板を形成する観点からは、上記1−ノルマルアルキルスルホン酸アニオンの中でも、1−ヘキサンスルホン酸アニオン、1−ヘプタンスルホン酸アニオン、1−オクタンスルホン酸アニオン、1−ノナンスルホン酸アニオン、及び1−デカンスルホン酸アニオンから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが好ましい。さらに、これらの中でも、1−ヘキサンスルホン酸アニオン、1−ヘプタンスルホン酸アニオン、1−オクタンスルホン酸アニオンから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが特に好ましい。また、アルキルスルホン酸アニオンを与える化合物としてアルカリ金属塩を用いる場合、アルキルスルホン酸塩の製造コスト等の観点からは、ナトリウム塩が好ましい。
また、アルキル基Rの炭素数に関して上述した事情からは、1−ノルマルアルキルスルホン酸アニオンの中でも、炭素数6〜10、すなわち1−ヘキサンスルホン酸アニオン、1−ヘプタンスルホン酸アニオン、1−オクタンスルホン酸アニオン、1−ノナンスルホン酸アニオン、及び1−デカンスルホン酸アニオンから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが特に好ましく、炭素数6〜8、すなわち1−ヘキサンスルホン酸アニオン、1−ヘプタンスルホン酸アニオン、及び1−オクタンスルホン酸アニオンから選ばれる1種又は2種以上の組み合わせがさらに好ましい。
このアルキルスルホン酸アニオンがテクスチャー(凹凸構造)を形成するのにどのような作用を果しているかは現時点では明らかではないが、本発明者らは次のように推測している。すなわち、これらのアルキルスルホン酸アニオンはシリコン基板表面に均一に分散して吸着し易く、その吸着点を起点にシリコン基板表面がエッチングされるため、均一性が高く良好なテクスチャーを形成することが可能になったものと推定している。加えて、本発明が用いる上記アルキルスルホン酸アニオンは、従来用いられてきた添加剤に比較してシリコン基板の表面から汚れを除去する能力が高いものと考えられる。そのため、表面に更に均一なピラミッド状凹凸構造を有し、かつ、表面の光反射率が更に低減されたシリコン基板が得られるものと考えられる。
(炭素数6〜14のアルコール)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、前記アルキルスルホン酸アニオンと炭素数6〜14のアルコールとを含むことを最大の特徴とする。アルコールとしては、炭素数が6〜14であり、炭素原子にヒドロキシ基が結合した化合物であればよい。ヒドロキシ基の数は、1つ以上であればよいが、好ましくは1〜2つであり、特に優れた効果を発揮するのは1つである。
アルコールの炭素数を上記下限値以上とすることにより、エッチング量を低減しながら、且つ、良好なテクスチャー構造を形成することができる。さらに、使用時において、液組成の変動を小さくすることができ、安定してテクスチャーを形成することができる。つまり、上記下限値未満であると、揮発し易く、液組成の変動が大きくなってしまうため好ましくない。
また、炭素数を上記上限値以下とすることより、やはり、エッチング量を低減しながら、且つ、良好なテクスチャー構造を形成することができる。さらに、エッチングを短時間で実施することもできる。一方、上記上限値を超えると、テクスチャー形成用組成物中での溶解度が低下し、さらには、シリコンのエッチングを阻害するため好ましくない。
さらには、炭素数が8〜10のアルコールを使用することにより、四角垂状(ピラミッド状)微細凹凸構造の乱れを抑制でき、テクスチャー構造の光反射率をより低く維持できる。
本発明において好ましく用いることのできるアルコールを具体的に例示すると、1−ヘキシルアルコール、1−ヘプチルアルコール、1−オクチルアルコール、1−ノニルアルコール、1−デシルアルコール、1−ドデシルアルコール、1−トリデシルアルコール、1−テトラデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール等の直鎖状、または分岐の1級アルコール類、2−オクチルアルコール、4−オクチルアルコール、2−デシルアルコール、4−デシルアルコール等の2級アルコール類が挙げられる。
(配合割合)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下含む。塩基の含有量が上記範囲内であることにより、シリコン基板表面にテクスチャー(凹凸構造)を形成するために必要な処理時間を短縮することが可能になる。また、凹凸構造のむらを低減することが可能になるので、光反射率のばらつきが低減されたシリコン基板を製造することが可能になる。塩基濃度が前記下限値未満の場合には十分なテクスチャー形成能が得られず、塩基濃度が前記上限値を越える場合にはテクスチャー形成後におけるシリコン基板の光反射率を十分に低くすることができない。また、塩基濃度が前記上限値を超える越える場合には、アルキルスルホン酸アニオンの溶解性を低下させるため好ましくない。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下含むことに加えて、更に前記式(1)で示されるアルキルスルホン酸アニオンと、炭素数6〜14のアルコールを含む。
アルキルスルホン酸アニオンの濃度は、水100質量部に対して、上記式(1)のアルキルスルホン酸アニオンを0.001質量部以上10質量部未満である。アルキルスルホン酸アニオンの含有量が上記範囲内であることにより、シリコン基板全体としての光反射率を低減することが容易になる。加えて、使用中に発生し得る程度の液組成の変動が組成物の特性に及ぼす影響がより抑制されるので、液組成の管理を簡略化することが容易になる。上記式(1)のアルキルスルホン酸アニオンが0.001質量部未満の場合には、テクスチャー形成能を十分に発揮することができないため好ましくない。一方、10質量部以上の場合には、シリコン基板表面に付着したアルキルスルホン酸アニオンの除去に時間がかかり、太陽電池作製において工程が煩雑になるため好ましくない。
また、アルコールの濃度は、水100質量部に対して、炭素数6〜14のアルコールを0.000001質量部以上0.5質量部以下である。上記のアルキルスルホン酸アニオンとアルコールの含有量が上記範囲内であることにより、アルキルスルホン酸アニオンと相乗的に作用するものと考えられるが、少ないシリコンのエッチング量で、むらが低減された表面形態(凹凸構造)を有し、且つ光反射率の低いテクスチャーをシリコン基板表面に容易に形成できる。加えて、使用中に発生し得る程度の液組成の変動が組成物の特性に及ぼす影響がより抑制されるので、液組成の管理を簡略化することが容易になる。炭素数6〜14のアルコールが0.000001質量部未満の場合には、エッチング量を低減する効果が発揮されないため好ましくない。一方、0.5質量部を超えると、テクスチャー形成能が低下するため好ましくない。
さらに、より操作性を高め、優れた効果を発揮する観点からは、水100質量部に対して、塩基を0.5質量部以上12.0質量部以下、上記アルキルスルホン酸アニオンを0.005質量部以上9.0質量部未満、上記アルコールを0.00001質量部以上0.5質量部以下とすることが好ましく、
水100質量部に対して、塩基を0.5質量部以上10.0質量部以下、上記アルキルスルホン酸アニオンを0.01質量部以上8.0質量部未満、上記アルコールを0.00005質量部以上0.3質量部以下とすることがさらに好ましい。
最も好ましい組み合わせとしては、塩基に水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを使用し、アルキルスルホン酸アニオンに1−ヘキサンスルホン酸アニオン、1−ヘプタンスルホン酸アニオン、及び1−オクタンスルホン酸アニオンから選ばれる少なくとも1種のアルキルスルホン酸アニオンを使用し、炭素数6〜14のアルコールに1−オクチルアルコール、1−ノニルアルコール、又は1−デシルアルコールから選ばれる少なくとも1種のアルコールを使用し、以下の配合割合とした場合である。具体的には、上記各成分を使用した場合には、水100質量部に対して、上記塩基を1質量部以上8質量部以下、上記アルキルスルホン酸アニオンを0.5質量部以上6質量部以下、上記アルコールを0.0001質量部以上0.1質量部以下することが好ましい。
(ケイ酸塩)
本発明のテクスチャー形成用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲でさらにケイ酸塩を含有させることができる。ケイ酸塩を含有させることにより、本発明のテクスチャー形成用組成物を使い回して複数回バッチ方式にシリコン基板のテクスチャー形成処理を行った際に、該処理後のシリコン基板の表面特性(例えば、光反射率)のバッチによるばらつきを抑制することが可能になる。特に、1バッチ目(初期バッチ)においても安定したテクスチャー形成特性を発揮させることが可能になる。
本発明において、ケイ酸塩の種類は特に限定されるものではない。ただし、コストや添加の容易さ等の観点からは、例えば、メタケイ酸ナトリウムやケイ酸ソーダ等を好適に用いることができる。ケイ酸塩を含有させる場合、その含有量は、水100質量部に対して、0.1質量部以上とすることが好ましく、また、10.0質量部以下とすることが好ましい。ケイ酸塩の含有量を上記下限値以上とすることにより、テクスチャー形成特性を安定化させる上記効果を確実に発揮させることが容易になる。また、ケイ酸塩の含有量を上記上限値以下とすることにより、本発明のテクスチャー形成用組成物を使い回せるバッチ処理回数(寿命)の減少を抑制することが可能になる。
(その他の添加成分)
本発明のテクスチャー形成用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で通常のテクスチャー形成用組成物に使用される公知の添加剤又は有機溶媒をさらに含有させてもよい。ただし、これら添加剤又は有機溶媒は、配合されなくてもよく、配合される場合であっても、水100質量部に対して、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下である。このような添加剤又は有機溶剤としては、例えば、テトラヒドロフランやアセトンなどの水溶性有機溶剤等が挙げられる。
(テクスチャー形成用組成物の調製方法)
本発明のテクスチャー形成用組成物は、水、上記塩基、及び上記アルキルスルホン酸アニオンを与える化合物(例えば、アルキルスルホン酸アルカリ金属塩等)、上記炭素数6〜14のアルコールを混合し、均一な溶液とすることにより調製できる。
これら成分を混合する方法は、特に制限されるものではなく、所定濃度の塩基性水溶液に所定量のアルキルスルホン酸化合物を添加し、溶解させる方法を採用することができる。また、所定濃度のアルキルスルホン酸化合物の水溶液や、所定濃度の炭素数6〜14のアルコール水溶液を予め調製しておき、これらに所定量の塩基を添加し、溶解させる方法も採用できる。さらに、所定濃度の塩基性水溶液と所定濃度のアルキルスルホン酸化合物の水溶液、所定濃度の炭素数6〜14のアルコール水溶液とを混合する方法を採用することもできる。なお、アルキルスルホン酸化合物が炭素数6〜14のアルコールを含む場合には、このアルコールの量を考慮して、炭素数6〜14のアルコールを所定の濃度となるように調製すればよい。
また、本発明のテクスチャー形成用組成物の商業的な生産を行う場合には、塩基、アルキルスルホン酸化合物、及び炭素数6〜14のアルコールの濃度を可能な限り高濃度となるように調製し、使用時に水で所定濃度に希釈して使用することが好ましい。この方式を採用するにあたっては、例えば後述する本発明の第3の態様に係るテクスチャー形成用組成物調製キットを特に好適に用いることができる。
<2.表面に凹凸構造を有するシリコン基板の製造方法>
本発明の第2の態様に係る、表面に凹凸構造を有するシリコン基板の製造方法は、上記本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物と、シリコン基板表面とを接触させる工程を有する。該工程により、シリコン基板表面がエッチングされ、シリコン基板表面に微細なピラミッド状の凹凸構造(テクスチャー)を形成することができる。
上記テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させる方法としては、湿式エッチング処理に使用可能な公知の方法を特に制限なく用いることができる。例えば、テクスチャー形成用組成物中に、シリコン基板を浸漬する方法を採用することができる。この方法は、従来のエッチング液(公知のテクスチャー形成用組成物)を用いた場合と特に変わる点はなく、例えば、本発明のテクスチャー形成用組成物が導入された処理槽にシリコン基板を浸漬させればよい。このとき、シリコン基板表面における均一なテクスチャー(凹凸構造)形成を容易にする観点から、処理槽中でシリコン基板を揺り動かす又は振動させることもできる。また、処理槽中のテクスチャー形成用組成物を撹拌しながら、或いは循環混合を行いながら、シリコン基板表面と接触させる態様も好ましく採用できる。
本発明のテクスチャー形成用組成物を用いてシリコン基板表面を処理する温度は、特に限定されない。ただし、テクスチャー形成速度やテクスチャー形状、生産性などを考慮すると、テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させる温度は50℃以上100℃以下が好ましく、60℃以上97℃以下がより好ましい。
また、本発明のテクスチャー形成用組成物を用いて、シリコン基板を処理する時間(テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させる時間)は、特に限定されないが、テクスチャー形成速度やテクスチャー形状、生産性などを考慮すると1分〜60分が好ましく、3分〜30分がより好ましい。
本発明においては、上記方法に従い、テクスチャー形成用組成物とシリコン基板表面とを接触させればよいが、その後、処理後のシリコン基板に一定の電位を印加する電気化学処理を施してもよい。
上記の方法によれば、シリコン基板表面に均一なテクスチャー(凹凸構造)を形成することができる。この均一なテクスチャー(凹凸構造)は、波長700nmの光に対する光反射率が13.0%以下となるような構造とすることができる。そして、本発明においては、該凹凸構造は、波長700nmの光の反射率がより好ましくは11.0%以下、さらに好ましくは10.0%以下となるような構造とすることも可能である。また、実施例に詳細に示すが、波長700nmの光に対する反射率をシリコン基板表面の5箇所で測定した際、その標準偏差を1以下とすることができ、均一な凹凸構造を形成できる。本発明においては、該標準偏差は、好ましくは0.75以下、より好ましくは0.6以下、さらに好ましくは0.4以下とすることも可能である。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、1回(1バッチ)の使用に限られず、使い回してバッチ処理を繰り返すことが可能である。本発明のテクスチャー形成用組成物を使い回してバッチ処理を繰り返す場合には、水及び塩基が次第に減少するので、水及び塩基を適宜追加することが好ましい。
<3.テクスチャー形成用組成物調製キット>
本発明の第3の態様に係るテクスチャー形成用組成物調製キットは、水及び塩基を含有する第1の溶液と、水、下記式(2)で表されるアルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールを含有する第2の溶液とからなる。
Figure 2013168610
(前記式(2)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基であり;Xはアルカリ金属元素である。)。
(第1の溶液)
第1の溶液は、水及び塩基を含む。第1の溶液における水としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記水を適宜採用することができる。
また、第1の溶液における塩基としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記塩基を適宜採用することができる。体積及び重量を低減する観点から、第1の溶液の濃度は可能な限り高い濃度とすることが好ましい。ただし、使用時に溶液が均一であることを確実にする観点から、保管及び輸送等の状況において本発明の調製キットがさらされ得ることが想定される温度範囲(以下、「設計温度範囲」ということがある。)内で塩基の析出が起きない濃度とする。そのような観点から第1の溶液における塩基の含有量は、例えば水100質量部に対して10.0質量部以上、100質量部以下、特に15.0質量部以上80質量部以下とすることが好ましい。
(第2の溶液)
第2の溶液は、水、上記式(2)で表されるアルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールを含む。
第2の溶液における水としては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記水を適宜採用することができる。
また、第2の溶液におけるアルキルスルホン酸塩としては、水中に溶解された際に本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記式(1)に表されるアルキルスルホン酸アニオンを与える上記式(2)のアルキルスルホン酸塩を適宜採用することができる。そのため、上記式(2)において、Rは、炭素数6〜10の直鎖アルキル基であることが好ましく、さらに炭素数6〜8の直鎖アルキル基であることが好ましい。
上記式(2)のアルキルスルホン酸塩において、アルキル基Rは上記式(1)のアルキルスルホン酸アニオンと同一であり、その好ましい態様等は既に述べたのでここでは説明を省略する。Xはアルカリ金属元素である。Xとして採用可能なアルカリ金属を具体的に例示すると、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらの中でも、ナトリウムを好適に採用することができる。
また、第2の溶液におけるアルコールとしては、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物において使用可能な上記炭素数6〜14のアルコールを適宜採用することができる。
第2の溶液を構成する各成分の濃度は、体積及び重量を低減する観点から、可能な限り高い濃度とすることが好ましい。ただし、使用時に溶液が均一であることを確実にする観点から、設計温度範囲内で上記アルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールの析出が起きない濃度とする。そのような観点から、第2の溶液におけるアルキルスルホン酸塩の濃度は、例えば、水100質量部に対して、0.01質量部以上100質量部以下、特に1質量部以上50質量部以下とすることが好ましい。また、第2の溶液における炭素数6〜14のアルコールの濃度は、例えば水100質量部に対して、0.00001質量部以上50質量部以下、さらに0.0001質量部以上20質量部以下、特に0.001質量部以上10質量部以下とすることが好ましい。
この第2の溶液において、水、アルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールを混合することにより、高濃度の溶液を作製できる。つまり、アルキルスルホン酸塩が配合されることにより、炭素数6〜14のアルコールの溶解性を高めることができるため、高濃度の溶液を準備できる。
(添加剤)
本発明のテクスチャー形成用組成物調製キットの第1の溶液又は第2の溶液は、上記本発明のテクスチャー形成用組成物の項目において説明したケイ酸塩、その他の添加剤を含んでいてもよい。これら添加剤を第1の溶液又は第2の溶液のどちらに含有させるかは特に限定されるものではないが、高濃度の塩基と反応し得る物質の場合には経時劣化を避ける観点から、第1の溶液ではなく第2の溶液に含有させることが好ましい。第1の溶液又は第2の溶液に含有させる際の当該添加剤の含有量は、塩基又はアルキルスルホン酸塩の含有量との比が適切な範囲内となる含有量とする。
(使用方法)
第1の溶液と第2の溶液とを、水で希釈しながら適切な比率で混合することにより、本発明のテクスチャー形成用組成物を調製することができる。
従来においては、塩基とカルボン酸塩(添加剤)とを同一の溶液に溶解しておき、必要に応じて希釈してテクスチャー形成用組成物を調製する方式が常識であった。しかし、このような一液式の態様においては、濃縮度(使用時に希釈すべき倍率)を高めようとするとカルボン酸塩が固体として析出するおそれがあった。これは、塩基に含まれる金属イオン等が存在する場合に、共通イオン効果でカルボン酸塩の溶解度が低下するためである。固体として析出した成分があると、全体として不均一な固液混合物になるため、所定の量を採取して所定の倍率に希釈しても、所望の濃度のテクスチャー形成用組成物を再現することができない。そのため、可能な濃縮度は数倍程度までに留まり、効果的に体積及び重量を低減することが困難であった。
これに対し、本発明の上記調製キットにおいては、塩基と、アルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールとが別々の溶液(第1の溶液及び第2の溶液)に溶解されているので、当該2つの溶液を高濃度に調製しても、アルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールが析出することがない。よって、均一な溶液状態のまま、高濃度溶液として2つの溶液を製造、輸送、及び保管できる。本発明の上記調製キットにおいては、例えば数十倍程度にまで濃縮度を高めることが可能である。そのため、輸送及び保管にかかる費用を低減できるほか、本調製キットの使用者は容易に、上記本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物を、所期の濃度の均一な溶液として調製することができる(再現性に優れる)。したがって、本発明の上記調製キットは、本発明の第1の態様に係るテクスチャー形成用組成物の調製に特に好適に使用することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
実施例1
(テクスチャー形成用組成物の調製)
水酸化ナトリウム5.0gを純水100gに溶解させた。この溶液にスルホン酸化合物として、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム2.5gを混合溶解し、さらに、1−ヘキシルアルコール0.003gを混合溶解し、テクスチャー形成用組成物を調製した。配合割合を表1に示す。なお、この場合のアルキルスルホン酸アニオン(1−ヘキサンスルホン酸アニオンの濃度は、水100質量部に対して、2.2質量部である。)
(シリコン基板の処理方法)
上記のようにして得られたテクスチャー形成用組成物を処理槽中で80℃に加温した。このテクスチャー形成用組成物中に基板表面の面方位が(100)である単結晶シリコン基板1枚(厚さ:200μm)を20分浸漬した後シリコン基板を該組成物中から取り出し、基板表面を純水で洗浄及び乾燥させて、テクスチャー形成基板を得た。
(光反射率の測定)
上記のようにして得られたテクスチャー形成基板表面の光反射率を測定した。光反射率の測定は、日本分光株式会社製紫外可視赤外分光光度計V−670を使用した。波長700nmの光の反射率を基板上の5箇所で測定した。この5箇所の測定結果の平均値である平均反射率の結果を表1に示す。また、凹凸部の均一性は、5箇所で測定した5つの光反射率の値の標準偏差値で評価した。
(エッチング量の測定)
上記のようにして得られたテクスチャー形成基板表面のエッチング量を測定した。エッチング量の測定は、処理前後の重量差と初期膜厚から下記式を用いて求め、両面が均一にエッチングされているとして片面換算のエッチング量で評価した。
エッチング量(μm:片面換算)=(W−W)/W×T/2
:エッチング前のウエハ重量(g)、W:エッチング後のウエハ重量(g)。
:エッチング前のウエハ膜厚(μm)。
<実施例2〜9>
実施例1において、使用した塩基の種類、塩基の量、使用したスルホン酸化合物の種類、スルホン酸化合物の量、他の添加剤の種類や量を表1に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてテクスチャー形成用組成物を調製した。また、シリコン基板の処理方法も実施例1と同様の方法で実施し、得られたテクスチャー形成基板表面の光反射率の測定、及びエッチング量の測定も実施例1と同様の方法で行った。その結果を表1に示す。
Figure 2013168610
<比較例1〜6>
実施例1において、使用した塩基の種類、塩基の量、使用した添加剤の種類、添加剤の量を表2に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてテクスチャー形成用組成物を調製した。また、シリコン基板の処理方法も、実施例1と同様の方法で実施し、得られたテクスチャー形成基板表面の光反射率の測定、及びエッチング量の測定も実施例1と同様の方法で行った。その結果を表2に示す。
Figure 2013168610
実施例10
第1の溶液として、水酸化ナトリウム5.0gを純水5.0gに溶解させた。また、第2溶液として、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム2.5g、及び1−ヘキシルアルコール0.003gを純水25.0gに溶解させた。この第1溶液、及び第2の溶液を23℃、3日、保存した。保存後の第1の溶液、及び第2の溶液共に、目視にて析出物は確認できなかった。
その後、純水70.0gに第1の溶液、及び第2の溶液を順次混合し、実施例1と同じ濃度のテクスチャー形成用組成物を製造した。得られたテクスチャー形成用組成物を使用して、実施例1のシリコン基板の処理方法と同様の方法でテクスチャー形成基板を製造し、同様の方法で光反射率、エッチング量を測定した。その結果を表1に示す。
実施例11
第1の溶液として、水酸化ナトリウム5.0gを純水5.0gに溶解させた。第2溶液として、1−オクタンスルホン酸ナトリウム2.0g、及び1−オクチルアルコール0.001gを純水25.0gに溶解させた以外は、実施例10と同様の操作を行った。保存後の第1の溶液、及び第2溶液の溶液共に、目視にて析出物は確認できなかった。
その後、純水70.0gに第1の溶液、及び第2の溶液を順次混合し、実施例4と同じ濃度のテクスチャー形成用組成物を製造した。得られたテクスチャー形成用組成物を使用して、実施例1のシリコン基板の処理方法と同様の方法でテクスチャー形成基板を製造し、同様の方法で光反射率、エッチング量を測定した。その結果を表1に示す。
比較例7(実施例10との対比)
実施例1のテクスチャー形成用組成物の濃縮液として、水酸化ナトリウム5.0g、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウム2.5g、1−ヘキシルアルコール0.003g、純水30.0gを混合したが、1−ヘキサンスルホン酸ナトリウムの析出物が確認された。
比較例8(実施例11との対比)
実施例4のテクスチャー形成用組成物の濃縮液として、水酸化ナトリウム5.0g、1−オクタンスルホン酸ナトリウム2.0g、1−オクチルアルコール0.001g、純水30.0gを混合したが、1−オクタンスルホン酸ナトリウムの析出物が確認された。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うテクスチャー形成用組成物、シリコン基板の製造方法、及びテクスチャー形成用組成物調製キットもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明のテクスチャー形成用組成物は、太陽電池等の光電変換素子を製造するためのシリコン基板表面にテクスチャーを形成する際に好適に用いることができる。本発明のシリコン基板の製造方法は、表面に凹凸構造(テクスチャー)を有するシリコン基板を製造する際に好適に用いることができる。また、本発明のテクスチャー形成用組成物調製キットは、本発明のテクスチャー形成用組成物を調製する際に特に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. シリコン表面に凹凸構造を形成するための、テクスチャー形成用組成物であって、
    水100質量部に対して、塩基を0.3質量部以上15質量部以下、下記式(1)で表されるアルキルスルホン酸アニオンを0.001質量部以上10質量部未満、及び炭素数6〜14のアルコールを0.000001質量部以上0.5質量部以下含むことを特徴とする、テクスチャー形成用組成物。
    Figure 2013168610
    [前記式(1)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基である。]
  2. 水100質量部に対して、さらにケイ酸塩を0.1質量部以上10.0質量部以下含むことを特徴とする、請求項1に記載のテクスチャー形成用組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のテクスチャー形成用組成物と、シリコン基板表面とを接触させる工程を含むことを特徴とする、表面に凹凸構造を有するシリコン基板の製造方法。
  4. 水、及び塩基を含有する第1の溶液と、
    水、下記式(2)で表されるアルキルスルホン酸塩、及び炭素数6〜14のアルコールを含有する第2の溶液と
    からなるテクスチャー形成用組成物調製キット。
    Figure 2013168610
    [前記式(2)中、Rは炭素数6〜12のアルキル基であり、Xはアルカリ金属元素である。]
  5. 前記第1の溶液又は前記第2の溶液がさらにケイ酸塩を含有する、請求項4に記載のテクスチャー形成用組成物調製キット。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019068087A (ja) * 2014-12-29 2019-04-25 バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー エッチング液及びその使用方法

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