JP5824706B1 - シリコンウエーハの表面処理組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】テクスチャが形成されたシリコンウエーハの調製にあたって、単結晶シリコンインゴットからの切削工程、洗浄工程、マクロエッチングの停止工程及びテクスチャ形成工程の各工程に、同じ組成の処理液を用いることができ、又前工程の処理液の悪影響が実質的に無いため、工程間の水洗を簡素化でき、工程管理が容易で、製造効率を顕著に向上させることができるシリコンウエーハの表面処理組成物を提供すること。【解決手段】(A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、水とを含有し、且つ酸化剤を含有しない、シリコンウエーハの表面処理組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池のシリコン基板として用いられるシリコンウエーハの表面処理組成物に関する。
太陽電池のシリコン基板として用いられるシリコンウエーハの表面には、テクスチャとよばれる微細なピラミッド状の凹凸形状が形成されている。かかるテクスチャは、シリコンウエーハである基板表面において、受けた光の多重反射を引き起こして、基板表面の反射率を下げて、基板への入射光を増加することによって、太陽電池の発電効率を向上させるものである。
シリコン基板として用いられるテクスチャが形成されたシリコンウエーハは、通常、単結晶シリコンインゴットを、切削液を用いて、ワイヤーソー等でスライスして、シリコンウエーハを切り出す切削工程、スライスされたシリコンウエーハに付着した汚れを、洗浄液で洗浄する工程、スライス時の損傷や歪を除去するためのアルカリ剤によるマクロエッチング工程、次いでその表面を、テクスチャ形成用エッチング液を用いて、異方性エッチングしてテクスチャを形成するテクスチャ形成工程を行うことによって、調製されている。
従来、シリコン基板として用いられるシリコンウエーハの表面に、テクスチャを形成するエッチング液としては、例えば、一分子中に一個以上の水酸基を有し、所定の溶解度パラメータ及び沸点を有する化合物と水酸化アルカリとを含む水溶液からなるエッチング液(特許文献1参照)、ケイ素化合物を含有するアルカリ水溶液(特許文献2参照)、アルカリ化合物と、有機溶剤と、界面活性剤とを含むエッチング液組成物(特許文献3参照)等が公知である。一方、テクスチャ形成に先立って、1種以上の界面活性剤を含む前処理組成物で、シリコンウエーハを前処理することが公知である(特許文献4参照)。
しかしながら、上記特許文献1〜3のテクスチャ形成用エッチング液は、前記のテクスチャ形成工程にのみ用いられるものであり、又上記特許文献4のテクスチャ形成前処理組成物は、テクスチャ形成工程の前処理にのみ用いられるものである。そのため、従来、テクスチャが形成されたシリコンウエーハの調製にあたっては、前記の切削工程、洗浄工程、マクロエッチング工程、及びテクスチャ形成工程の各工程に、それぞれ異なる処理液を用いる必要があり、又前工程の処理液残渣の悪影響(テクスチャの仕上がりのバラツキ等)を防止すべく念入りな水洗が必要な場合もあって、極めて煩雑な工程管理が要求され、製造効率が低かった。
また、シリコンウエーハのテクスチャ形成前に、アルカリ清浄化剤又は酸清浄化剤でウエーハ表面から汚染物質と共に自然酸化物であるSiOを除去後、1種以上の酸化剤を含み、7を超えるpHを有する酸化性組成物で酸化処理してから、テクスチャ形成工程を行う方法が公知である(特許文献5参照)。この酸化性組成物に用いられる酸化剤としては、オゾン、過酸化物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜臭素酸塩、臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸塩、有機過酸およびその塩、無機過酸およびその塩等が挙げられ、この過酸化物として、過酸化水素、尿素過酸化水素、過ホウ素酸塩等が例示されている。しかしながら、この酸化性組成物は、含有する酸化剤の強い酸化作用によって上記自然酸化物を修復させるために使用される(特許文献5段落〔0038〕)ことからして、テクスチャ形成工程の前処理にのみ用いられるものであると考えられる。そのため、この酸化性組成物を用いる場合にも、テクスチャが形成されたシリコンウエーハの調製にあたっては、前記の切削工程やテクスチャ形成工程等の各工程に、それぞれ異なる処理液を用いる必要があり、やはり、極めて煩雑な工程管理が要求され、製造効率が低かった。
特開2010−141139号公報 特開2012−256713号公報 特開2012−227304号公報 特開2012−114449号公報 特開2011−205058号公報
本発明の目的は、テクスチャが形成されたシリコンウエーハの調製にあたって、単結晶シリコンインゴットからの切削工程、洗浄工程、マクロエッチングの停止工程及びテクスチャ形成工程の各工程に、同じ組成の処理液を用いることができ、又前工程の処理液残渣の悪影響(テクスチャの仕上がりのバラツキ等)が実質的に無いため、工程間の水洗を簡素化でき、工程管理が容易で、製造効率を顕著に向上させることができるシリコンウエーハの表面処理組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、シリコンウエーハの表面処理組成物の成分組成について、鋭意研究した。その結果、無機アルカリ剤、界面活性剤、グリコール類、グリコールエーテル類、尿素及びアミノ酸類と、水とを含有し、且つ酸化剤を含有しない、表面処理組成物によれば、上記の切削工程、洗浄工程、マクロエッチング停止工程及びテクスチャ形成工程の各工程に、同じ組成の処理液を用いることができ、上記目的を悉く達成し得ることを見出し、これに基づいて更に種々検討して、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示す、シリコンウエーハの表面処理組成物を提供するものである。
1.(A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、水とを含有し、且つ酸化剤を含有しない、シリコンウエーハの表面処理組成物。
2.(A)無機アルカリ剤が、水酸化カリウム及び/又は水酸化ナトリウムである上記項1に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
3.(B)界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ラウリン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩、アルキル(炭素数8〜12)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1又は上記項2に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
4.(C)グリコール類が、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜2000)、及びポリプロピレングリコール(平均分子量300〜3000)からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1乃至上記項3のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
5.(D)グリコールエーテル類が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1乃至上記項4のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
6.(F)アミノ酸類が、アラニン、シスチン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、γ−アミノ酪酸、アスパラギン酸、アミノプロピオン酸、グルタミン酸、及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1乃至上記項5のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
7.(A)無機アルカリ剤の濃度が、0.1〜10%(W/V)であり、(B)界面活性剤の濃度が0.0001〜1.0%(W/V)であり、(C)グリコール類の濃度が0.3〜60%(W/V)であり、(D)グリコールエーテル類の濃度が0.3〜30%(W/V)であり、(E)尿素の濃度が0.1〜15%(W/V)であり、及び(F)アミノ酸類の濃度が0.1〜15%(W/V)である上記項1乃至上記項6のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
8.単結晶シリコンインゴットからシリコンウエーハをスライスする際に、切削液として使用する上記項1乃至上記項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
9.単結晶シリコンインゴットからスライスされたシリコンウエーハを洗浄する際に、洗浄液として使用する上記項1乃至上記項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
10.スライスされたシリコンウエーハの洗浄後、アルカリ剤によるマクロエッチングをした後に、マクロエッチング停止液として使用する上記項1乃至上記項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
11.マクロエッチング停止後、シリコンウエーハ表面を異方性エッチングしてテクスチャを形成する際に、テクスチャ形成用エッチング液として使用する上記項1乃至上記項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
本発明のシリコンウエーハの表面処理組成物によれば、(A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、水とを含有し、且つ酸化剤を含有しない、ことを必須とし、これら(A)〜(F)の各成分の機能が総合的に作用することによって、次の様な顕著な効果を得ることができる。
(1)テクスチャが形成されたシリコンウエーハを調製する場合に、単結晶シリコンインゴットからの切削工程、洗浄工程、マクロエッチングの反応停止工程及びテクスチャ形成工程の各工程に、同じ組成の処理液を用いることができることによって、前工程の処理液残渣の悪影響(テクスチャの仕上がりのバラツキ等)が実質的に無いので、工程間の水洗を簡素化でき、工程管理が容易で、製造効率を顕著に向上させることができる。
このように、テクスチャが形成されたシリコンウエーハを調製する場合において、上記の全ての工程に、同じ組成の処理液を好適に使用できるという顕著な効果は、該ウエーハの製造上極めて有益であり、本発明特有の驚くべき効果である。勿論、かかる効果は、従来、全く得られたことが無い。
(2)上記切削工程における切削液(クーラント)として用いた場合、シリコンウエーハのスライス時の潤滑・冷却に効果を発揮し、又水素ガス発生、ワイヤーソー断線の抑制にも効果があり、エッチング加工し易い切断面を構築できる。
(3)上記洗浄工程における洗浄液として用いた場合、洗浄時の表面濡れ性が向上していることから、スライス直後のシリコンウエーハ表面に付着したシリコンの微粉等の汚れを、容易に洗浄・除去することができる。特に、前工程である切削工程で、同じ成分組成の処理液を使用している場合には、相溶性に優れることから、より高い効率で洗浄することができる。
(4)マクロエッチングの反応停止工程に用いた場合、その後の洗浄性を向上させ、又ウエーハ表面の濡れ性を向上させ、後工程のテクスチャ形成工程におけるテクスチャの均一性の向上にも効果がある。
(5)テクスチャ形成工程におけるテクスチャ形成用エッチング液として用いた場合、シリコンウエーハ表面の異方性ウエットエッチング時の適度な反応抑制をもって、ムラやテカリが抑制された、微細で均一なピラミッド形成を、安定して再現性良く行うことができる。また、テクスチャ形成液ライフが向上している。
尚、テカリとは、ウエーハ表面の反射率が高くなって、白っぽく見えることをいい、通常、ピラミッドの形成が均一でないために起こるものである。
実施例1で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 実施例1で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のレーザー顕微鏡写真(倍率500倍)である。 比較例2で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 比較例2で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のレーザー顕微鏡写真(倍率500倍)である。 比較例3で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)である。 比較例3で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のレーザー顕微鏡写真(倍率500倍)である。
シリコンウエーハの表面処理組成物
本発明のシリコンウエーハの表面処理組成物は、(A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、水とを、必須成分として含有し、且つ酸化剤を含有しない、ことによって、特徴付けられる。
(A)無機アルカリ剤
無機アルカリ剤は、シリコンウエーハ表面で、アルカリエッチング反応をする成分である。無機アルカリ剤としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いる。これらの内、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムの少なくとも1種を用いるのが好ましい。
(B)界面活性剤
界面活性剤は、アルカリエッチング反応によるシリコン溶解を抑制し、シリコンウエーハ表面に吸着して、シリコン析出を促してピラミッド形成のきっかけを作るという機能を有するものと考えられる。界面活性剤としては、例えば、ヤシ油脂肪酸カリウム石鹸、牛脂脂肪酸カリウム石鹸、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、アルキル(炭素数8〜12)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)脂肪酸モノエタノールアミン塩、(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)脂肪酸ジエタノールアミン塩、ラウリン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸ジエタノールアミン塩、(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)脂肪酸トリエタノールアミン塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩、(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)アルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)アミン、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)アミド、ポリオキシエチレンオレイルアミドの非イオン性界面活性剤;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤;ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸)等の両性界面活性剤等を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いる。これらの内、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ラウリン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩、アルキル(炭素数8〜12)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム等の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
(C)グリコール類
グリコール類は、界面活性剤を分散させて均一なミセルを形成させてアルカリエッチング反応を均一に抑制したり、グリコールエーテル類を均一に分散させる等の機能を有するものと考えられる。グリコール類としては、例えば、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜2000)、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(平均分子量300〜3000)、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリブチレングリコール、トリペンチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラプロピレングリコール、テトラブチレングリコール、テトラペンチレングリコール等を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いる。これらの内、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜2000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量300〜3000)等の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
(D)グリコールエーテル類
グリコールエーテル類は、本発明組成物のシリコンに対する親水性を向上させ、又シリコンに対する親水性が高いことによってシリコンの溶解の補助を行う機能を有するものと考えられる。グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いる。これらの内、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテル等の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
(E)尿素
尿素は、親水性が高く、シリコン表面に適度な親水性を付与すると共に、グリコール類を均一に分散させてその機能を発揮させるという重要な機能を有し、更に、その親水性によって、界面活性剤のシリコン溶解抑制作用を適度に阻害すると共に、ウエーハ表面で無機アルカリ剤による異方性エッチング反応を助長するという重要な機能をも有するものと考えられる。
(F)アミノ酸類
アミノ酸類は、尿素の分解を抑制する機能を有することによって、尿素の作用を維持するものであると考えられる。アミノ酸類は、消泡剤としての作用も有する。アミノ酸類としては、例えば、アラニン、シスチン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、γ−アミノ酪酸、アスパラギン酸、アミノプロピオン酸、グルタミン酸、グリシン、ロイシン、イソロイシン、グルタミン、アスパラギン等を挙げることができ、これらの少なくとも1種を用いる。これらの内、アラニン、シスチン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、γ−アミノ酪酸、アスパラギン酸、アミノプロピオン酸、グルタミン酸、グリシン等の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
任意成分
本発明のシリコンウエーハの表面処理組成物には、任意成分として、例えば、オルソケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリケイ酸塩、シリカ、消泡剤、キレート剤、分散剤、防食剤等を含有させることができる。
ここで、本発明のシリコンウエーハの表面処理組成物は、(A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、水とを、必須成分として含有するが、その一方で、酸化剤を含有しないことが、必要である。酸化剤を含有する場合には、その酸化作用のために、後記比較例1に示されるように、切削工程で水素ガスが発生したり、ワイヤーソーが断線したり、クーラントのノズル詰まりが発生したりするという問題を生じ、又後記比較例3に示されるように、テクスチャ形成工程でピラミッドの頂点が崩れ、ピラミッドの大きさがばらついたり、ウエーハ表面の反射率が大幅に高くなって、著しいテカリが発生したりするという問題を生じることになる。このような酸化剤としては、前記特許文献5の酸化性組成物に用いられる、オゾン、過酸化物、過ホウ酸塩、過炭酸塩、次亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜臭素酸塩、臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸塩、有機過酸およびその塩、無機過酸およびその塩等が挙げられる。また、上記過酸化物として尿素過酸化水素が包含される。
シリコンウエーハの表面処理組成物の調製
本発明のシリコンウエーハの表面処理組成物は、必須成分である(A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、必要に応じて、更に前記任意成分とを、常法に従って、水中に溶解することによって、調製することができる。水としては、イオン交換水、蒸留水等を用いることができる。
本発明組成物は、上記各成分の濃厚水溶液として、調製される。各必須成分の濃度は、それぞれ、次の様な濃度とする。(A)無機アルカリ剤の濃度は、通常、0.1〜10%(W/V)程度であるのが好ましく、0.5〜5.0%(W/V)程度であるのがより好ましい。(B)界面活性剤の濃度は、通常、0.0001〜1.0%(W/V)程度であるのが好ましく、0.005〜0.5%(W/V)程度であるのがより好ましい。(C)グリコール類の濃度は、通常、0.3〜60%(W/V)程度であるのが好ましく、3〜50%(W/V)程度であるのがより好ましい。(D)グリコールエーテル類の濃度は通常、0.3〜30%(W/V)程度であるのが好ましく、1〜20%(W/V)程度であるのがより好ましい。(E)尿素の濃度は、通常、0.1〜15%(W/V)程度であるのが好ましく、0.3〜10%(W/V)程度であるのがより好ましい。また、(F)アミノ酸類の濃度は、通常、0.1〜15%(W/V)程度であるのが好ましく、0.3〜10%(W/V)程度であるのがより好ましい。尚、任意成分については、濃度は、適宜決定すればよい。上記各成分の濃厚水溶液として調製された組成物は、通常、各成分の合計濃度が、5〜90重量%程度であるのが好ましく、10〜70重量%程度であるのがより好ましい。
シリコンウエーハの表面処理組成物の使用方法
本発明のシリコンウエーハの表面処理組成物は、上記濃厚水溶液を、水(イオン交換水、蒸留水等)で適宜希釈して、テクスチャが形成されたシリコンウエーハを調製する場合に、単結晶シリコンインゴットからの切削工程、洗浄工程、及びテクスチャ形成工程の各工程に、用いることができる。また、マクロエッチング工程の反応停止用にも好適に用いることができる。それによって、前工程の処理液残渣の悪影響(テクスチャの仕上がりのバラツキ等)が実質的に無いので、工程間の水洗を簡素化でき、工程管理が容易で、製造効率を顕著に向上させることができる。各工程における、温度、時間、撹拌、その他の処理条件は、適宜決定することができる。
本発明組成物を、上記切削工程における切削液として用いる場合、前記の本発明組成物の濃厚水溶液を、通常、1〜20倍程度に、水で希釈し、pH8〜11程度に調整して、用いるのが好ましい。pH調整時に、必要であれば、水酸化アルカリ水溶液等を、用いてもよい。この場合、シリコンウエーハのスライス時の潤滑・冷却に効果を発揮し、又水素ガス発生、ワイヤーソー断線の抑制にも効果があり、エッチング加工し易い切断面を構築できる。
本発明組成物を、上記洗浄工程における洗浄液として用いる場合、前記の本発明組成物の濃厚水溶液を、通常、4〜100倍程度に、水で希釈し、pH8〜14程度に調整して、用いるのが好ましい。pH調整時に、必要であれば、水酸化アルカリ水溶液等を、用いてもよい。この場合、スライス直後のシリコンウエーハ表面に付着したシリコンの微粉等の汚れを、容易に洗浄・除去することができる。特に、前工程である切削工程で、同じ処理組成物を用いている場合には、より高い効率で洗浄することができる。
上記切削工程でスライスされたシリコンウエーハの加工による損傷や歪等を除去するために、例えば1〜40重量%程度の水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液を用いて行われるマクロエッチング後に反応停止液として、本発明組成物を用いる場合は、前記の本発明組成物の濃厚水溶液を、通常、5〜200倍程度に、水で希釈し、pH10〜13.5程度に調整して、用いるのが好ましい。pH調整時に、必要であれば、水酸化アルカリ水溶液等を、用いてもよい。この場合、その後の洗浄性を向上させ、又ウエーハ表面の濡れ性を向上させ、後工程のテクスチャ形成工程におけるテクスチャの均一性の向上にも効果がある。
本発明組成物を、上記テクスチャ形成工程におけるテクスチャ形成用エッチング液として用いる場合、前記の本発明組成物の濃厚水溶液を、通常、5〜300倍程度に、水で希釈し、pH12〜14程度に調整して、用いるのが好ましい。pH調整時に、必要であれば、水酸化アルカリ水溶液等を、用いてもよい。これによって、通常、高さが2〜10μm程度の範囲の微細で均一なピラミッド形状のテクスチャを形成できる。また、テクスチャの密度が高いので、反射率が、乱反射(SCI)が13%以下程度であり、直接反射(SCE)が13%以下程度と十分に低い反射率である。また、シリコンウエーハ表面の異方性ウエットエッチング時の適度な反応抑制をもって、ムラやテカリが抑制された、均一なピラミッド形成を、安定して再現性良く行うことができる。更に、テクスチャ形成液ライフが向上している。
本発明組成物は、テクスチャ形成工程において、次の様にして、均一で微細なピラミッド形状のテクスチャを形成するものと、推定される。即ち、組成物中の界面活性剤がシリコンウエーハ表面に吸着され、グリコール類によって界面活性剤がミセルを形成し、グリコールエーテル類及び尿素が、その親水性によって、ウエーハ表面で無機アルカリ剤による異方性エッチング反応を助長し、溶解したシリコンが表面から離れたり、付着したりを繰り返し、そこを起点として、ピラミッドの形成が始まり、進展していき、最終的に、微細で均一なピラミッドからなるテクスチャが形成される。また、アミノ酸類は、尿素の分解を抑制することによって、かかるピラミッド形成に間接的に寄与するものと思われる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は、これらの各例によって、限定されるものではない。
実施例1
(1)シリコンウエーハ表面処理組成物の調製
水酸化カリウム濃度が1.5%(W/V)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(非イオン性界面活性剤、エチレンオキサイド単位数の平均値14.7、HLB=14.6)濃度が0.04%(W/V)、オレイン酸トリエタノールアミン塩(アニオン性界面活性剤)濃度が0.03%(W/V)、平均分子量600のポリエチレングリコール濃度が15%(W/V)、ジエチレングリコール濃度が24%(W/V)、1,4−ブタンジオール濃度が8%(W/V)、エチレングリコールモノブチルエーテル濃度が13%(W/V)、尿素濃度が4%(W/V)及びグリシン濃度が3%(W/V)となるように、各成分をイオン交換水中に溶解して、本発明のシリコンウエーハ表面処理組成物(濃厚水溶液)を得た。この組成物中、各成分の合計量は約65重量%で、イオン交換水は約35重量%であった。
(2)シリコンウエーハの切削工程
上記(1)で得た表面処理組成物を、イオン交換水で約3倍に希釈して、pH9の切削液を得た。この切削液を循環・撹拌させながら、ワイヤーソーの切り込み速度0.5〜0.75mm/min及びワイヤースピード700m/minで、室温下に、単結晶シリコンインゴットから、(100)面に沿って、厚さ230μmのシリコンウエーハをスライスし、これを一辺が約156mmの正方形状に切り取って、1枚当たりの重量約10.3gのシリコンウエーハを得た。ワイヤーソーとしては、ピアノ線の外周面に平均粒径10μm〜20μm のダイヤモンド砥粒をレジンボンドで固着したレジンワイヤーで、平均外径が120μmのものを使用した。尚、この切削工程において、水素ガスの発生、ワイヤーソーの断線、クーラントのノズル詰まり等は、発生しなかった。
(3)シリコンウエーハの洗浄工程
上記(1)で得た表面処理組成物を、イオン交換水で約100倍に希釈し(pH9.5)、70℃、2.5分、揺動して粗洗浄を行った。更にイオン交換水で浸漬洗浄した。これにより、上記(2)のスライス直後のウエーハ表面に付着したシリコン微粉等を大部分洗浄除去した。次いで、上記(1)で得た表面処理組成物をイオン交換水で約33倍に希釈し、34重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、pH13.5に調整した洗浄液を得た。この洗浄液を循環・撹拌させ、又超音波による搖動及び窒素ガスのバブリングをしながら、70℃のイオン交換水で2.5分洗浄し、更に、室温のイオン交換水で2.5分浸漬、揺動し洗浄して、ウエーハ面を清浄にした。
(4)シリコンウエーハのマクロエッチング工程
上記(3)で洗浄したウエーハを、24重量%水酸化ナトリウム水溶液を入れたマクロエッチング槽中で、この水酸化ナトリウム水溶液を循環・撹拌させ、又超音波による搖動及び窒素ガスのバブリングをしながら、マクロエッチング(エッチング量1.5g)して、平坦化して、スライス時の損傷や歪を除去した。次いで、上記(1)で得た表面処理組成物を、イオン交換水で約20倍に希釈したpH13.2の希釈液を入れたマクロエッチング反応停止槽中で、室温で、反応を停止させた後、40℃のイオン交換水で洗浄した。
(5)シリコンウエーハのテクスチャリング工程
上記(1)で得た表面処理組成物を、イオン交換水で約143倍に希釈し、34重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、pH13.5に調整して、テクスチャ形成用エッチング液を得た。このエッチング液を循環・撹拌させ、又超音波による搖動及び窒素ガスのバブリングをしながら、上記(4)でマクロエッチングしたウエーハを、20分間テクスチャリング(エッチング量1.3g)し、次いで、室温のイオン交換水で浸漬洗浄して、テクスチャが形成されたシリコンウエーハを得た。
(6)シリコンウエーハ表面に形成されたテクスチャの評価
上記(5)によってテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面は、肉眼で観察すると、表面全体が梨地状であり、ムラやテカリが無く、角度を変えて見ると黒く見える角度があった。また、走査型電子顕微鏡を用いて、観察したところ、高さが2〜12μm程度の範囲の微細で均一なピラミッド形状のテクスチャが形成されていた。また、テクスチャの密度が高く、分光測色計(コニカミノルタ社製「CM-2600d」)を用いて、波長650nmで反射率を測定したところ、乱反射率(SCI)が11.82%で、直接反射率(SCE)が11.44%であり、いずれも十分に低い反射率であった。また、SCI−SCEは0.38%(この数値が小さいほど、ピラミッドが均一である)と小さかった。
図1に、実施例1で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を、図2に、実施例1で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のレーザー顕微鏡写真(倍率500倍)を、それぞれ示した。図1から、本発明のシリコンウエーハ表面処理組成物を用いて、形成されたテクスチャが微細で均一なピラミッド形状からなっていることが分かる。尚、写真中のゲージは、1目盛5μmである。また、図2から、実施例1で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面は、ムラやテカリが実質的に無いことが分かる。
比較例1
(1)比較用シリコンウエーハ表面処理組成物の調製
実施例1(1)において、尿素に代えて、酸化剤である尿素過酸化水素を、その尿素濃度が4%(W/V)となるように、イオン交換水中に溶解した以外は、実施例1(1)と同様にして、比較例1のシリコンウエーハ表面処理組成物(濃厚水溶液)を得た。この組成物中、各成分の合計量は約67重量%で、イオン交換水は約33重量%であった。
(2)シリコンウエーハの切削工程
上記(1)で得た比較例1の表面処理組成物を用いた以外は、実施例1(2)と同様にして、単結晶シリコンインゴットから、シリコンウエーハをスライスしたが、切削抵抗が高めで、水素ガスが発生し、発泡が多く、ワイヤーソーが断線したり、クーラントのノズル詰まりが発生したりするという問題を生じたため、途中で中止した。
比較例2
実施例1(1)において、尿素を用いない以外は、実施例1(1)と同様にして、比較例2のシリコンウエーハ表面処理組成物(濃厚水溶液)を得た。このシリコンウエーハ表面処理組成物(濃厚水溶液)を、イオン交換水で約143倍に希釈し、34重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、pH13.5に調整して、テクスチャ形成用エッチング液を得た。このエッチング液を循環・撹拌させ、又超音波による搖動及び窒素ガスのバブリングをしながら、実施例1(4)でマクロエッチングしたウエーハを、20分間テクスチャリングし、次いで、室温のイオン交換水で浸漬洗浄して、テクスチャが形成されたシリコンウエーハを得た。得られたシリコンウエーハ表面の乱反射率(SCI)及び直接反射率(SCE)を、分光測色計(コニカミノルタ社製「CM-2600d」)を用いて、波長650nmで測定した。
図3に、比較例2で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を、図4に、比較例2で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のレーザー顕微鏡写真(倍率500倍)を、それぞれ示した。図3において、写真中のゲージは、1目盛5μmである。
比較例3
実施例1(1)において、尿素に代えて、尿素過酸化水素を、その尿素濃度が4%(W/V)となるように、イオン交換水中に溶解した以外は、実施例1(1)と同様にして、比較例3のシリコンウエーハ表面処理組成物(濃厚水溶液)を得た。このシリコンウエーハ表面処理組成物(濃厚水溶液)を、イオン交換水で約143倍に希釈し、34重量%水酸化カリウム水溶液を用いて、pH13.5に調整して、テクスチャ形成用エッチング液を得た。このエッチング液を循環・撹拌させ、又超音波による搖動及び窒素ガスのバブリングをしながら、実施例1(4)でマクロエッチングしたウエーハを、20分間テクスチャリングし、次いで、室温のイオン交換水で浸漬洗浄して、テクスチャが形成されたシリコンウエーハを得た。得られたシリコンウエーハ表面の乱反射率(SCI)及び直接反射率(SCE)を、分光測色計(コニカミノルタ社製「CM-2600d」)を用いて、波長650nmで測定した。
図5に、比較例3で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面の走査型電子顕微鏡写真(倍率1000倍)を、図6に、比較例3で得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のレーザー顕微鏡写真(倍率500倍)を、それぞれ示した。図5において、写真中のゲージは、1目盛5μmである。
比較例2及び3でシリコンウエーハ表面に形成されたテクスチャの評価
(1)上記比較例2の表面処理組成物及び比較例3の表面処理組成物を用いてテクスチャリングした場合のエッチング量及び得られたテクスチャが形成されたシリコンウエーハ表面のSCI(%)、SCE(%)及び「SCI−SCE」(%)を、実施例1の場合と共に、下記表1に示した。
(2)上記表1に示したエッチング量及びシリコンウエーハ表面の反射率の結果、並びに、図1〜6の各顕微鏡写真の結果より、次の点が明らかである。尚、図2、4及び6のレーザー顕微鏡写真において、白く見えるところはテカリである。
実施例1の本発明シリコンウエーハ表面処理組成物によって、テクスチャリングした場合は、尿素を含有していることに基づき、尿素の親水性により界面活性剤のシリコン溶解抑制作用が適度に阻害されると共に、ウエーハ表面で無機アルカリ剤による異方性エッチング反応が適度に助長されて、均一なピラミッド形状が形成されている。また、エッチング量が少なく、SCI及びSCE共に反射率が低く、テカリが無い。
これに対して、比較例2のシリコンウエーハ表面処理組成物によって、テクスチャリングした場合は、尿素を含有していないため、ピラミッドの大きさがばらついている。また、反射率が上昇しており、SCIとSCEの差も拡大したことから、大きいピラミッドと小さいピラミッドの大きさの差が拡大したことが分かる。また、尿素が含まれないために、エッチング反応が過剰に促進され、エッチング量も増加している。テカリも発生している。
また、比較例3のシリコンウエーハ表面処理組成物によって、テクスチャリングした場合は、尿素に代えて酸化剤である尿素過酸化水素を含有しているため、ピラミッドの頂点が崩れ、ピラミッドの大きさがばらついている。このばらつきは、酸化剤の酸化作用のためにエッチング量が大幅に増加したことによるものと考えられる。更に、反射率が大幅に高くなり、著しいテカリが見られる。
以上の結果から明らかな通り、本発明のシリコンウエーハ表面処理組成物によれば、尿素を含有させたことによって、シリコンウエーハ表面の異方性ウエットエッチング時の適度な反応抑制をもって、ムラやテカリが抑制された、微細で均一なピラミッド形成を、安定して再現性良く行うことができる。これに対して、尿素を含有していない場合や、尿素に代えて酸化剤である尿素過酸化水素を含有している場合には、均一なピラミッドを形成することができず、又エッチング量が増加したり、反射率が高くなってテカリが発生してしまい、良好なテクスチャリングを行うことができないことが明らかである。
本発明組成物は、テクスチャが形成されたシリコンウエーハを調製する場合に、単結晶シリコンインゴットからの切削工程、洗浄工程、マクロエッチングの反応停止工程及びテクスチャ形成工程の各工程に、同じ組成の処理液を用いることができるので、太陽電池セルや太陽電池パネル等を生産する太陽電池産業及びその関連産業上、極めて有効に利用できる。

Claims (11)

  1. (A)無機アルカリ剤、(B)界面活性剤、(C)グリコール類、(D)グリコールエーテル類、(E)尿素及び(F)アミノ酸類と、水とを含有し、且つ酸化剤を含有しない、シリコンウエーハの表面処理組成物。
  2. (A)無機アルカリ剤が、水酸化カリウム及び/又は水酸化ナトリウムである請求項1に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  3. (B)界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数8〜22の飽和又は不飽和)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンオレイルアミド、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ラウリン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸ジエタノールアミン塩、オレイン酸トリエタノールアミン塩、アルキル(炭素数8〜12)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びラウリルアルコール硫酸エステルナトリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  4. (C)グリコール類が、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量200〜2000)、及びポリプロピレングリコール(平均分子量300〜3000)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  5. (D)グリコールエーテル類が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  6. (F)アミノ酸類が、アラニン、シスチン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、γ−アミノ酪酸、アスパラギン酸、アミノプロピオン酸、グルタミン酸、及びグリシンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  7. (A)無機アルカリ剤の濃度が0.1〜10%(W/V)であり、(B)界面活性剤の濃度が0.0001〜1.0%(W/V)であり、(C)グリコール類の濃度が0.3〜60%(W/V)であり、(D)グリコールエーテル類の濃度が0.3〜30%(W/V)であり、(E)尿素の濃度が0.1〜15%(W/V)であり、及び(F)アミノ酸類の濃度が0.1〜15%(W/V)である請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  8. 単結晶シリコンインゴットからシリコンウエーハをスライスする際に、切削液として使用する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  9. 単結晶シリコンインゴットからスライスされたシリコンウエーハを洗浄する際に、洗浄液として使用する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  10. スライスされたシリコンウエーハの洗浄後、アルカリ剤によるマクロエッチングをした後に、マクロエッチング停止液として使用する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。
  11. マクロエッチング停止後、シリコンウエーハ表面を異方性エッチングしてテクスチャを形成する際に、テクスチャ形成用エッチング液として使用する請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のシリコンウエーハの表面処理組成物。

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