JP2010074102A - シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置 - Google Patents

シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2010074102A
JP2010074102A JP2008243198A JP2008243198A JP2010074102A JP 2010074102 A JP2010074102 A JP 2010074102A JP 2008243198 A JP2008243198 A JP 2008243198A JP 2008243198 A JP2008243198 A JP 2008243198A JP 2010074102 A JP2010074102 A JP 2010074102A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon substrate
etching
etching solution
additive
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008243198A
Other languages
English (en)
Inventor
Nozomi Yasunaga
望 安永
Makoto Miyamoto
誠 宮本
Tomotsugu Kamiyama
智嗣 上山
Kouichi Hazumi
公一 筈見
Satoru Hamamoto
哲 濱本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2008243198A priority Critical patent/JP2010074102A/ja
Publication of JP2010074102A publication Critical patent/JP2010074102A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

Abstract

【課題】シリコン基板の表面に効率的にテクスチャーを形成して、低光反射率を有するシリコン基板を形成することができるシリコン基板のエッチング方法、エッチング液、エッチング装置を得ること。
【解決手段】シリコン基板の表面にエッチング液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面に凹凸を形成するシリコン基板のエッチング方法であって、前記エッチング液が、水、アルカリ試薬、および下記の化学式(1)で示されるアルコール誘導体を少なくとも1種類含有すること、を特徴とする。
X−(OH)
(Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(1)
【選択図】 図1

Description

本発明は、シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置に関するものであり、特に、シリコン基板の表面にテクスチャーを形成するためのシリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置に関する。
太陽光発電装置において太陽光を効率良く吸収するためには、該装置を構成するシリコン基板に照射される光をできるだけ多く吸収する、すなわち光の反射率をできるだけ小さくする必要がある。このため、太陽光発電装置の製造においては、シリコン基板を高温のアルカリ溶液でウェットエッチングすることによって、該シリコン基板の表面にテクスチャーを形成している。ここでテクスチャーとは、シリコン基板の表面に形成する微小凹凸の総称である。
その際、より光反射率を低減する方法として、高温のアルカリ溶液にイソプロピルアルコール(IPA)等を添加したエッチング液を用いてシリコン基板をウェットエッチングする方法が一般的である。このようにアルカリ溶液に適当な有機物を添加することにより、シリコン基板表面のウェットエッチングが適度に阻害されるため、効率的にテクスチャーを形成して光反射率を低下させることが可能となる。その結果、より多くの太陽光を吸収でき、光電変換効率の高い太陽光発電装置を製作することができる。
特開2000−1792号公報
しかしながら、イソプロピルアルコール(IPA)の沸点は82℃と低いため、例えばエッチング速度を高めるために85℃以上の高温アルカリ溶液でウェットエッチングを行った場合には、ソプロピルアルコール(IPA)が揮発してアルカリ溶液中の濃度が低下し、期待されるエッチング効果が得られない。その対策として、イソプロピルアルコール(IPA)の濃度が低下しないようにウェットエッチング工程においては順次イソプロピルアルコール(IPA)を添加する必要があり、薬液使用量が増大する。そして、イソプロピルアルコール(IPA)は高価であるため、コストが増大する。
そこで、イソプロピルアルコール(IPA)とエチレングリコール(EG)とをアルカリ溶液に添加したエッチング液を用いてシリコン基板のウェットエッチングを行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、IPAとEGを同時に使用しなければならず、薬品添加工程の増加、薬品の管理が複雑になるなどの問題があった。また、エチレングリコール(EG)を併用するだけではイソプロピルアルコール(IPA)の揮発抑制効果が不十分であるという問題があった。さらに、エチレングリコール(EG)によるエッチング阻害効果はイソプロピルアルコール(IPA)と比較して小さく、効率的にテクスチャーを形成できないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、シリコン基板の表面に効率的にテクスチャーを形成して、低光反射率を有するシリコン基板を形成することができるシリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるシリコン基板のエッチング方法は、シリコン基板の表面にエッチング液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面に凹凸を形成するシリコン基板のエッチング方法であって、前記エッチング液が、水、アルカリ試薬、および下記の化学式(1)で示されるアルコール誘導体を少なくとも1種類含有すること、を特徴とする。
X−(OH)
(Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(1)
この発明によれば、アルコール誘導体がシリコン基板表面のエッチング反応を適度に且つ確実に阻害するため、シリコン基板表面に効果的にテクスチャーを形成することができ、より光反射率の低いシリコン基板を得ることができる、という効果を奏する。その結果、光電変換効率の高い太陽光発電装置を製作することが可能となる。
以下に、本発明にかかるシリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す図面においては、理解の容易のため、各部材の縮尺が実際とは異なる場合がある。各図面間においても同様である。
実施の形態
本発明者らは、シリコン基板の表面光反射率を低減するために該シリコン基板の表面にテクスチャーを形成するウェットエッチング処理において、添加剤を使用したアルカリ性条件下でのウェットエッチングの阻害効果について検討した。その結果、アルカリ溶液(水にアルカリ試薬を溶解)に下記の化学式(1)で示される添加剤を添加したエッチング液を用いたシリコン基板に対するウェットエッチングにおいて、X(疎水性)の炭素数Cn、添加剤におけるOH基(ヒドロキシ基、親水性)の数n、およびこれらの数の比率(Cn/n)がシリコン基板のウェットエッチングの阻害効果に大きく影響していることを突き止めた。
X−(OH)
(Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(1)
シリコン基板のケイ素(Si)は、エッチング液中で水酸化ナトリウム(NaOH)等のアルカリと反応してエッチング液中に溶出し、これによりシリコン基板の表面にテクスチャーが形成される。このエッチング反応は以下の式(2)で示され、その際、水素ガスが発生する。また、この反応を促進するため、ウェットエッチングは高温、高アルカリの条件下で実施される。
Si + 2OH +4HO → Si(OH) 2− + 2H↑ ・・・(2)
エッチング液中に上記添加剤が存在すると、シリコン基板表面における式(2)のエッチング反応が阻害される。より具体的には、シリコン基板の表面は疎水性であるため、疎水性である添加剤のXの炭素鎖部分がシリコン基板表面に吸着し、式(2)のエッチング反応を阻害する。
一方、添加剤のOH基は親水性であるため、シリコン基板の表面から離れた場所に位置する。したがって、添加剤の炭素数CnやOH基の数n、あるいはOH基の位置によって、添加剤のシリコン基板表面への吸着力が異なり、エッチング反応に対する阻害効果が異なる。
特許文献1で使用されているイソプロピルアルコール(IPA)がウェットエッチング時にシリコン基板の表面に吸着した場合、図1に示すようにIPAの炭素数Cnは3つであり、その中央の炭素原子に1つにOH基が付いているため、シリコン基板への吸着力が非常に小さい。図1は、IPAがシリコン基板表面に吸着した状態を説明するための模式図である。なお、図1においては水素の記載を省略している(以下の図2、図3においても同様)。図1に示すようにIPAがシリコン基板の表面に吸着する様子は、以下の通り説明される。すなわち、IPAの炭素No.1がシリコン基板表面に吸着するが、IPAの炭素No.2はOH基が付いているためOH基に引っ張られてシリコン基板表面から離れる。IPAの炭素No.3は、分子構造的にシリコン基板表面には吸着しない。したがって、エッチング反応に対するIPAによる阻害効果は小さく、効率的なテクスチャー形成ができない。
また、特許文献1で使用されているエチレングリコール(EG)がウェットエッチング時にシリコン基板の表面に吸着した場合、図2に示すようにEGの炭素数Cnは2つであり、その両端の炭素原子にそれぞれ1つずつOH基がついているため、OH基の親水力が強く、シリコン基板への吸着力が非常に小さい。図2は、EGがシリコン基板表面に吸着した状態を説明するための模式図である。図2に示すようにEGがシリコン基板表面に吸着する様子は、以下の通り説明される。EGの炭素No.1とEGの炭素No.2とがシリコン基板表面に吸着するが、炭素No.1と炭素No.2とにOH基が付いているため、この2つのOH基に引っ張られ、EGのシリコン基板への吸着力が非常に小さくなる。したがって、エッチング反応に対するEGによる阻害効果は小さく、効率的なテクスチャー形成ができない。
そこで、本発明者らは、上記エッチング反応の阻害メカニズムを明らかにし、シリコン基板のウェットエッチングを行うに当たってアルカリ溶液に添加する最適な添加剤は、化学式(1)で表される添加剤において、シリコン基板表面への吸着力を確保するために炭素数Cnが4以上7以下であり、かつOH基の数nが炭素数Cnよりも小さい必要がある(n<Cn)ことを見いだした。このような添加剤を使用することによって、シリコン基板表面のエッチング反応を適度に阻害し、シリコン基板表面に効果的にテクスチャーを形成することができる。
化学式(1)において炭素数Cnが4より小さくなると、エッチング反応の阻害効果が不十分で効果的にテクスチャーを形成することができない。このため、添加剤の炭素数Cnは4以上が好ましい。また、化学式(1)において炭素数Cnが7よりも大きくなると、エッチング反応の阻害効果が非常に大きくなり、逆にエッチング反応が進まなくなる。このため、添加剤の炭素数Cnは7以下が好ましい。また、OH基の数nが炭素数Cnよりも大きいと、OH基の親水力が強いためにシリコン基板への吸着力が小さくなりすぎ、エッチング反応の阻害効果が小さくなりすぎる。
例えば、3−メチル−1,5−ペンタンジオールを添加剤として使用し、3−メチル−1,5−ペンタンジオールがウェットエッチング時にシリコン基板表面に吸着した場合、OH基の親水性と直鎖の炭素原子の疎水性とのバランスが取れる。図3は、3−メチル−1,5−ペンタンジオールがシリコン基板表面に吸着した状態を説明するための模式図である。図3に示すように3−メチル−1,5−ペンタンジオールがシリコン基板の表面に吸着する様子は、以下の通り説明される。3−メチル−1,5−ペンタンジオールの炭素No.1から炭素No.5がシリコン基板表面に吸着する。炭素No.1と炭素No.5とにOH基が付いているため、この2つのOH基によりシリコン基板表面から離れる方向に引っ張られるものの、炭素No.2から炭素No.4がシリコン基板表面に吸着する。すなわち、直鎖の炭素原子はシリコン基板表面へ吸着し、親水性のOH基はエッチング液の方に引っ張られ、添加剤の分子はシリコン基板表面で寝たような分子構造を取る。その結果、シリコン基板表面のエッチング反応を適度に阻害して、より効果的にシリコン基板表面にテクスチャーを形成することができる。これにより、より光反射率の低いシリコン基板を得ることができる。
このような添加剤として、他には、例えば1−ブタノール、2−ブタノール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル2−プロパノール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1−ペンタノール、2−ペンタノール(sec−アミルアルコール)、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール(イソアミルアルコール)、2−メチル−2−ブタノール(tert−アミルアルコール)、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール(ネオペンチルアルコール)、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,3−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、3,4−ヘキサンジオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,2,5−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、3−メチル−2−ペンタノール、2−メチル−3−ペンタノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、4−ヘプタノール、5−ヘプタノール、6−ヘプタノール、7−ヘプタノール、8−ヘプタノール、2,4−ジメチル−3−ペンタノール1,2−ヘプタンジオール、1,3−ヘプタンジオール、1,4−ヘプタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2,3−ヘプタンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2,5−ヘプタンジオール、2,6−ヘプタンジオール、2,7−ヘプタンジオール、3,4−ヘプタンジオール、3,5−ヘプタンジオール、3,6−ヘプタンジオール、3,7−ヘプタンジオール等およびこれらに挙げた物質以外の異性体(同一炭素数で直鎖または側鎖のあるものおよび/またはOH基の位置が異なるもの)が挙げられる。なお、添加剤は、上述した物質に限らず、化学式(1)においてCとCの結合は単結合に加えて二重結合や三重結合が存在してもよい。また、炭素Cとケイ素Siが結合した有機ケイ素化合物でもよい。
また、化学式(1)で表されるアルコール誘導体であって、炭素数CnとOH基の数nの比(Cn/n)が1≦Cn/n≦4となる添加剤を使用することがより好ましい。さらに、炭素数CnとOH基の数nの比(Cn/n)が1≦Cn/n≦3となる添加剤を使用することがより好ましい。またさらに、添加剤のエッチング液への溶解性やシリコン基板表面への吸着力も考慮すると、炭素数CnとOH基の数nの比(Cn/n)が2≦Cn/n≦3となる添加剤を使用することがより好ましい。
このような炭素数CnとOH基の数nの比(Cn/n)を有するアルコール誘導体を使用することによって、エッチング液の溶解性およびテクスチャー形成効果の両方を維持することができる。そして、炭素数CnとOH基の数nの比(Cn/n)が2≦Cn/n≦3の場合が、エッチング液の溶解性およびテクスチャー形成効果のバランスが良く、得られる効果が最も大きい。
また、化学式(1)で表されるアルコール誘導体であって、直鎖の炭素原子を有して構成され、直鎖の両端にOH基がついた添加剤を使用することが好ましい。炭素原子の直鎖の両端にOH基が存在することによって、親水基であるOH基が疎水性であるシリコンと反発してシリコン基板表面から離れ、一方、疎水基である直鎖の炭素原子がシリコン基板表面に対して寝そべるような分子構造で吸着することによって適度な吸着力を持つ。したがって、このような添加剤がシリコン基板表面のエッチング反応を最も効果的に阻害できる。
これらの条件に当てはまる添加剤を使用することによって、シリコン基板表面のエッチング反応を適度に阻害して、より効果的にシリコン基板表面にテクスチャーを形成することができる。
このような添加剤を使用したエッチング液によりウェットエッチングを行うことで、シリコン基板として単結晶および多結晶どちらのシリコン基板を使用した場合でも、シリコン基板表面に効果的にテクスチャーを形成することができる。
以上のような本実施の形態にかかるエッチング液を用いたエッチング時には、空気、酸素、窒素、オゾン、水素、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、キセノン、メタン、プロパンのうち少なくとも1つを含む気体を、エッチング液に供給することが好ましい。これは、気体を供給することによってエッチング液の拡散が促進され、シリコン基板表面でのエッチング反応が効率的に進行するためである。また、エッチング液に上記添加剤が添加されると、径の小さい気泡が生成して、よりエッチング液の循環を促進し、またエッチング反応を促進することができる。
また、上述したようにエッチング時にはエッチング反応により水素ガスが発生するが、気体を供給することによって、この発生した水素ガスの気泡径も小さくなり、よりエッチング液の循環を促進し、またエッチング反応を促進することができる。
エッチング液に対する気体の1分間あたりの供給量は、エッチング液量に対して体積比で0.01倍〜10倍とすることが好ましい。体積比が0.01倍より小さい場合は、気体の供給量が不十分であり、エッチング液の拡散が不十分となる。また、体積比が10倍より大きい場合は、エッチング液に添加剤を存在していても気泡径が大きくなり、エッチング反応を促進することができない。さらに、シリコン基板に対する気泡の衝撃も大きくなり、シリコン基板の振動が大きくなって、隣接して配置されたシリコン基板同士が接触したり、割れたりする、という問題がある。
図4は、上述した本実施の形態にかかる添加剤のエッチング液における添加量(含有量)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの(実施例)、添加剤の添加量(g/L)と波長700nmにおける光反射率(%)との関係を示す特性図である(実際には波長300〜1200nmのシリコン基板の光反射率を測定し、シリコン基板の光反射率が他のシリコン基板の光反射率とかぶらない(=交差しない)ため、代表的な波長として700nmを採用)。エッチング液は、濃度1wt%の水酸化ナトリウム溶液に添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを添加して調製した。そして、エッチング液の温度90℃、エッチング時間5分の条件で、エッチング液に空気を供給しながらシリコン基板をエッチング処理した。また、比較例として、添加剤としてIPAを使用した場合の添加剤の添加量(g/L)と波長700nmにおける光反射率(%)との関係を併せて図4に示す。
図4から分かるように、実施例では添加剤の添加量が0.1g/L以上、20g/L以下の範囲において波長700nmの光反射率は25%以下程度となっており、低い光反射率を得られている。したがって、本実施の形態にかかる添加剤の添加量(実施例)は、エッチング液に対して0.1g/L以上、20g/L以下とすることが好ましい。添加量が0.1g/L未満である場合は、添加剤濃度が低く、シリコン基板表面のエッチング反応の阻害が不十分なため、効果的にテクスチャーを形成できない。また、添加量が20g/Lより多い場合は、添加剤濃度が高すぎてシリコン基板表面のエッチング反応が大幅に阻害され、エッチング反応が進まなくなる。またこの添加量の範囲は、温度、時間、アルカリ濃度等のエッチング条件が変わっても変わらないことを確認済みである。
一方、図4から分かるように、比較例では波長700nmの光反射率は最小でも26%程度であり、全体的に数値が高い。また、26%程度の光反射率を得るためには、IPAの添加量として10g/L以上が必要となる。したがって、実施例の方が少ない添加量でシリコン基板の光反射率を低くすることが可能である。なお、上述した他の添加剤でも同様の添加範囲において3−メチル−1,5−ペンタンジオールと同様の効果があることが確認されている。
エッチング液の溶媒にはイオン交換水等の水が用いられる。また、エッチング液の溶質(アルカリ試薬)としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのうち少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの試薬は、低価格であり、また入手が容易である。
図5は、エッチング液におけるアルカリ濃度(wt%)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング液のアルカリ濃度(wt%)とエッチング速度(μm/sec)との関係を示す特性図である。エッチング液の溶媒(アルカリ試薬)として水酸化ナトリウム濃度を、本実施の形態にかかる添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを使用してエッチング液を調製した。添加剤の添加量は、5g/Lである。そして、エッチング液の温度90℃、エッチング時間5分の条件で、エッチング液に空気を供給しながらシリコン基板をエッチング処理した。
図5から分かるように、エッチング液におけるアルカリ濃度(wt%)が0.1wt%以上においてエッチング速度が急激に速くなっており、エッチング液のアルカリ濃度としてはエッチング液量に対してアルカリを重量比で0.1%以上10%以下とすることが好ましい。エッチング液のアルカリ濃度が重量比で0.1%未満の場合、エッチング反応が非常に遅くなる。また、エッチング液のアルカリ濃度が重量比で10%より大きくなると、エッチング液の粘性が高くなるとともにエッチング槽の腐食が進行しやすくなるため好ましくない。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることが確認されている。
図6は、本実施の形態にかかるエッチング液を使用し、エッチング時間(分)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング時間(分)と波長700nmにおける光反射率(%)との関係を示す特性図である(実際には波長300〜1200nmのシリコン基板の光反射率を測定し、シリコン基板の光反射率が他のシリコン基板の光反射率とかぶらない(=交差しない)ため、代表的な波長として700nmを採用)。エッチング液は、濃度1wt%の水酸化ナトリウム溶液に添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを添加して調製した。添加剤の添加量は、5g/Lである。そして、エッチング液の温度90℃の条件で、エッチング液に空気を供給しながらシリコン基板をエッチング処理した。
図6から分かるように、エッチング時間は1分〜20分とすることが好ましい。エッチング時間が1分より短いとエッチング反応が十分に進まず、シリコン基板表面に効果的にテクスチャーを形成することができない。また、エッチング時間が20分より長いとシリコン基板のエッチングが過度に進行し、形成したテクスチャーが破壊されてしまい、その結果反射率が高くなるため好ましくない。さらに、シリコン基板が薄くなって割れやすくなるという問題もある。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることが確認されている。
図7は、本実施の形態にかかるエッチング液を使用し、エッチング液の温度(℃)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング液の温度(℃)と波長700nmにおける光反射率(%)との関係を示す特性図である(実際には波長300〜1200nmのシリコン基板の光反射率を測定し、シリコン基板の光反射率が他のシリコン基板の光反射率とかぶらない(=交差しない)ため、代表的な波長として700nmを採用)。エッチング液は、濃度1wt%の水酸化ナトリウム溶液に添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを添加して調製した。添加剤の添加量は、5g/Lである。そして、エッチング時間5分の条件で、エッチング液に空気を供給しながらシリコン基板をエッチング処理した。
図7から分かるように、エッチング液の温度は50℃以上、より好ましくは60℃以上とすることが好ましい。エッチング温度が50℃未満の場合、エッチング反応が進まない、もしくは非常に遅くなり好ましくない。また、エッチング温度を95℃よりも高くすると、エッチング反応がより速く進行するが、エッチング液の水分蒸発が大きくなりすぎるため好ましくない。エッチング液の水分蒸発が大きくなりすぎると、エッチング液の濃度管理が難しくなり、エッチング液の濃度を精度良く管理することができない。このため、エッチング液の温度は95℃以下とすることが好ましい。なお、本添加剤の沸点は100℃を超えており、IPAのように揮発して添加剤濃度が低下しないため、エッチング工程の途中で新たに添加剤を追加する必要がない。なお、上述した他の添加剤でも同様の効果があることが確認されている。
なお、上記においては、エッチング液の添加剤として、アルコール誘導体について述べたが、親水基を持つ添加剤であればこれに限る必要はなく、例えばエーテル基を持つ物質でもアルコール誘導体を添加剤とした使用した場合と同様の効果が得られる。エーテルとしては、例えば、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられる。
次に、上記添加剤を採用したエッチング液を用いてシリコン基板のウェットエッチングを行うウェットエッチング装置について説明する。図8は、本実施の形態にかかるウェットエッチング処理装置の構成を示す模式図である。エッチング液貯留部であるエッチング槽1にはアルカリ試薬供給配管9、アルコール誘導体供給配管13、イオン交換水供給配管17および気体供給配管15が接続されている。アルカリ試薬貯留槽7およびアルカリ試薬供給ポンプ8は順次アルカリ試薬供給配管9を介してエッチング槽1に接続されている。アルコール誘導体貯留槽11およびアルコール誘導体供給ポンプ12は順次アルコール誘導体供給配管13を介してエッチング槽1に接続されている。
エッチング槽1内には気体供給部14、ヒータ10、キャリア支持台6が配置されている。ヒータ10は、ヒータ配線18を介してヒータ電源19に接続されている。また、キャリア支持台6上には、エッチング液貯留部内において前記シリコン基板を保持する保持部であり、シリコン基板4が配置可能とされたキャリア5が載置される。1台のキャリア5には、例えば10枚〜100枚のシリコン基板が配置可能である。キャリア支持台6上への載置可能キャリア数は、例えば1個〜10個である。エッチング液循環ポンプ2がエッチング液循環配管3を介してエッチング槽1に接続されている。エッチング槽1内には、オーバーフロー槽16が併設されている。また、エッチング槽1には、ドレーン20が接続されている。
次に、ウェットエッチング装置の動作について説明する。まず、エッチング槽1に所定量のイオン交換水がイオン交換水供給配管17を介して投入される。また、アルカリ試薬貯留槽7から所定量のアルカリ試薬が、アルカリ試薬供給ポンプ8によってアルカリ試薬供給配管9を介してエッチング槽1に投入される。また、アルコール誘導体貯留槽11から所定量のアルコール誘導体が、アルコール誘導体供給ポンプ12によってアルコール誘導体供給配管13を介してエッチング槽1に投入される。これにより、所定の濃度のエッチング液が調製される。エッチング槽1からあふれたエッチング液はオーバーフロー槽16に貯留される。
続いてエッチング槽1内のエッチング液に気体供給配管15を介して気体供給部14から気体が供給される。そして、オーバーフロー槽16に貯留されたエッチング液が、エッチング液循環ポンプ2によってエッチング液循環配管3を介して汲み出され、エッチング液循環配管3を介して再度エッチング槽1に送られて循環される。また、エッチング槽1内のエッチング液が、ヒータ10によって所定温度まで加熱される。
次に、シリコン基板4が配置されたキャリア5がロボットアーム等によってエッチング槽1内のキャリア支持台6の上に載置される。これにより、シリコン基板4がエッチング液内に浸漬され、所定時間だけウェットエッチング処理が実施される。その後、再度ロボットアーム等によってエッチング槽1からキャリア5ごとシリコン基板4が引き上げられ、次工程に送られる。以上により、1バッチ分のシリコン基板4のウェットエッチングが終了する。なお、シリコン基板4は予めダメージエッチング処理が実施されていることが好ましい。ダメージエッチング処理としては、所定時間だけシリコン基板4をアルカリ試薬に浸漬する等の方法がある。
続いて、上記と同様にして未処理のシリコン基板4が配置されたキャリア5がロボットアーム等によってエッチング槽1に投入されて、順次ウェットエッチング処理が実施される。所定バッチ数のウェットエッチング処理が完了すると、エッチング槽1内のエッチング液はドレーン20を介して排出され、上記のようにして新たにエッチング液がエッチング槽1内で調製される。バッチ数はシリコン基板4からエッチング液に溶出されたシリコンの量等から決定される。またウェットエッチング処理時間はバッチ数毎に異なり、バッチ数が増えるほど長くなる。バッチ数が増えるほどエッチング反応によってアルカリが消費されるため、エッチング速度(単位時間あたりにウェハからエッチング液に溶出するシリコン量)が低下する。エッチング速度がある値まで低下した場合、エッチング液を全量もしくは任意の割合で交換する、もしくはアルカリを所定量、例えばウェットエッチング初期と同量もしくは任意の量を追加することによって、さらにウェットエッチング処理を継続することが可能となる。エッチング液のアルカリ濃度としてはエッチング液量に対してアルカリを重量比で0.1%以上10%以下とすることが好ましい。
ここで供給されるアルカリ試薬、アルコール誘導体は液体のほうが好ましいが、固体をイオン交換水等に溶解させて供給してもよい。もしくは固体を直接エッチング槽1に所定量投入してもよい。
上述したように、本実施の形態にかかるシリコン基板のエッチング方法では、水、アルカリ試薬、および上記の化学式(1)で示されるアルコール誘導体を少なくとも1種類含有するエッチング液を用いてシリコン基板表面のウェットエッチングを行うことにより、アルコール誘導体がシリコン基板の表面に適度の比率で吸着し、シリコン基板表面のエッチング反応を適度に且つ確実に阻害するため、シリコン基板表面に効果的にテクスチャーを形成することができ、より光反射率の低いシリコン基板を得ることができる。そして、本実施の形態にかかるシリコン基板のエッチング方法により得られたシリコン基板を用いることにより、光電変換効率の高い太陽光発電装置を製作することが可能となる。
また、本実施の形態にかかるシリコン基板のエッチング方法では、エッチング液の添加剤は沸点が100℃を超えており、IPAのように揮発して添加剤濃度が低下しないため、エッチング工程の途中で新たに添加剤を追加する必要がない。これにより、エッチング液の長期使用が可能となり、環境保全にも貢献する。したがって、本実施の形態にかかるシリコン基板のエッチング方法によれば、エッチング作業が簡略であり、また少ない薬液量で低コストのエッチングを実現することができる。
また、本実施の形態にかかるシリコン基板のエッチング方法では、エッチング液の添加剤は1種類で足りるため、薬品添加工程の増加、薬品の管理が複雑になるなどの問題がない。
図8に示したウェットエッチング装置を用いて、シリコン基板のウェットエッチング処理を実施した。エッチング液は、イオン交換水に対して水酸化ナトリウムを溶解させた濃度3wt%の水酸化ナトリウム溶液に添加剤として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを3g/Lで添加して調製した。エッチング液量は40L、エッチング液の温度は90℃、循環エッチング液量は1分間あたりエッチング液量の1/10とした。また、気体供給部14としてフッ素樹脂製のバブラーを使用して、エッチング液に空気を供給した。供給気体流量は、循環エッチング液量の1/10とした。
そして、サイズ15cm×15cm、厚さ200μmのシリコン基板が50枚入れられた2台のキャリアをエッチング液中に浸漬して、300秒間、シリコン基板のウェットエッチング処理を実施した。以上により、基板表面にテクスチャーを形成した実施例1のシリコン基板を作製した。
また、比較例1として、3−メチル−1,5−ペンタンジオールの代わりにIPAを3wt%添加したエッチング液を調製し、その他の条件は実施例1の場合と同様にして、シリコン基板のウェットエッチング処理を実施した。以上により、基板表面にテクスチャーを形成した比較例1のシリコン基板を作製した。
図9に、実施例1および比較例1のシリコン基板の表面を波長300nm〜1200nmの光でスキャンしたときの、波長(nm)と光反射率(シリコン基板50枚分の平均値)との関係を示す。また、図10に、実施例1および比較例1のシリコン基板の表面における700nmの光の反射率(シリコン基板50枚分の平均値)を示す。
図9より、実施例1のシリコン基板の方が、波長1200nm近傍を除いた大半の波長域において光反射率が低いことが分かる。また、図10から分かるように、実施例1のシリコン基板の方が光反射率が3.7%低かった。したがって、実施例1のウェットエッチング方法の方が比較例1のウェットエッチング方法よりも効果的にテクスチャーを形成できる、といえる。また、実施例1のエッチング液における添加剤濃度は比較例1のエッチング液における添加剤濃度の約1/10であり、少ない添加量で効果的にテクスチャーを形成できる、といえる。
次に、以上のようにしてウェットエッチング工程を完了したシリコン基板を用いて太陽光発電装置を作製した。図11−1および図11−2は、上述したウェットエッチングにより表面にテクスチャーを形成した実施例1のシリコン基板を用いて作製した太陽光発電装置を示す図であり、図11−1は太陽光発電装置の要部断面図、図11−2は太陽光発電装置の上面図である。図11−1および図11−2に示す太陽光発電装置は、基板表層にN層31aを有するシリコン基板31と、シリコン基板31の受光面側の面(表面)に形成された反射防止膜32と、シリコン基板31の受光面側の面(表面)に形成された受光面側電極33と、シリコン基板31の受光面と反対側の面(裏面)に形成された裏面電極34と、を備える。
また、受光面側電極33としては、グリッド電極33aおよびバス電極33bを含み、図11−1においてはグリッド電極33aの長手方向に垂直な断面における断面図を示している。そして、シリコン基板31には、上述した実施例1のウェットエッチング方法を用いて基板表面にテクスチャー構造を形成したシリコン基板を使用して、15cm角の太陽光発電装置を構成している。
次に、上述したシリコン基板を用いて図11−1および図11−2に示す太陽光発電装置を製造するための工程を説明する。なお、ここで説明する工程は、一般的な多結晶シリコン基板を用いた太陽光発電装置の製造工程と同様であるため、特に図示しない。
上記の実施例1のウェットエッチング処理が完了したシリコン基板を熱酸化炉へ投入し、オキシ塩化リン(POCl)蒸気の存在下で加熱してシリコン基板の表面にリンガラスを形成することでシリコン基板中にリンを拡散させ、シリコン基板の表層にN層31aを形成する。
次に、フッ酸溶液中でシリコン基板のリンガラス層を除去した後、反射防止膜32としてプラズマCVD法により窒化シリコン膜(SiN膜)をN層31a上に受光面側電極33の形成領域を除いて形成する。反射防止膜の膜厚および屈折率は、光反射を最も抑制する値に設定する。なお、屈折率の異なる2層以上の膜を積層してもよい。また、反射防止膜32は、スパッタリング法など、異なる成膜方法により形成しても良い。
次に、シリコン基板の受光面に銀の混入したペーストを櫛形にスクリーン印刷にて印刷し、シリコン基板の裏面にアルミニウムの混入したペーストを全面にスクリーン印刷にて印刷した後、焼成処理を実施して受光面側電極33と裏面電極34とを形成する。以上のようにして、実施例1の太陽光発電装置として、図11−1および図11−2に示す太陽光発電装置が作製される。
次に、作製した太陽光発電装置を実際に作動させ、発電特性を測定して評価した。その結果として光電変換効率η(%)、開放電圧Voc(V)、短絡電流Isc(mA/cm)、曲線因子F.F.を表1に示す。
Figure 2010074102
また比較例1の太陽光発電装置として、上記の比較例1のシリコン基板を使用して15cm角の太陽光発電装置を作製した。そして、この比較例1の太陽光発電装置を実際に作動させ、発電特性を測定して評価した。その結果として光電変換効率η(%)、開放電圧Voc(V)、短絡電流Isc(mA/cm)、曲線因子F.F.を表1に併せて示す。
表1から分かるように、実施例1にかかる太陽光発電装置では、比較例1の太陽光発電装置と比較して光電変換効率ηが0.6%高くなり、光電変換効率が向上している。これにより、実施例1にかかるウェットエッチング方法により基板表面にテクスチャーを形成したシリコン基板を使用して太陽光発電装置を構成することにより、シリコン基板の表面反射損失の抑制が奏功して、短絡電流が増大し、光電変換効率の向上に寄与することがわかった。
なお、上記においては気体供給部14としてフッ素樹脂製のバブラーを使用する婆について説明したが、気体供給部14としてフッ素樹脂製のバブラーの代わりに微細気泡発生装置21(スリット式、多孔質板式、配列多孔板式、極細ニードル式、メンブレン式、加圧溶解式、ベンチュリ式)を使用しても同様の効果を得ることができる。微細気泡発生装置21を用いる場合のウェットエッチング装置の形態を図12に示す。この場合は、図12に示すように気体供給部14を取り外し、エッチング液を循環するエッチング液循環ポンプ2とエッチング槽1との間に微細気泡発生装置21を取り付け、微細気泡発生装置21に気体供給配管15を介して気体(空気)を供給する。
また、上記においてはバッチ式のウェットエッチング処理について説明したが、枚葉式でのウェットエッチング処理を実施することも可能である。
実施例1で実施したウェットエッチング処理を1バッチとして、19バッチ実施した後にウェットエッチング処理を1バッチ実施した。なお、1バッチごとにエッチング液量を保つためにイオン交換水を供給した。エッチング時間は600秒間とし、その他の条件は実施例1で実施した条件と同じとした。以上により、基板表面にテクスチャーを形成した実施例2のシリコン基板を作製した。
また、比較例2として、比較例1と同じ条件でIPAを使用したウェットエッチング処理を19バッチ実施した後に、ウェットエッチング処理を1バッチ実施した。なお、1バッチごとにエッチング液量およびIPA濃度を保つためにイオン交換水およびIPAを供給した。エッチング時間は600秒間とし、その他の条件は比較例1の条件と同じとした。以上により、基板表面にテクスチャーを形成した比較例2のシリコン基板を作製した。
図13に、実施例2および比較例2のシリコン基板の表面を波長300nm〜1200nmの光でスキャンしたときの光反射率(シリコン基板50枚分の平均値)の測定結果を示す。また、図14に、実施例2および比較例2のシリコン基板の表面における700nmの光の反射率(シリコン基板50枚分の平均値)を示す。
図13より、実施例2のシリコン基板の方が、全波長域において光反射率が低いことが分かる。また、図14から分かるように、実施例2のシリコン基板の方が光反射率が3.2%低かった。したがって、実施例2のウェットエッチング方法の方が比較例2のウェットエッチング方法よりも効果的にテクスチャーを形成できる、といえる。また、実施例1のエッチング液における添加剤濃度は比較例1のエッチング液における添加剤濃度の約1/10であり、少ない添加量で効果的にテクスチャーを形成できる、といえる。
次に、以上のようにしてウェットエッチング工程を完了した実施例2のシリコン基板を用いて、実施例2の太陽光発電装置として、実施例1と同様にして図11−1および図11−2に示す太陽光発電装置を作製した。
そして、作製した太陽光発電装置を実際に作動させ、発電特性を測定して評価した。その結果として光電変換効率η(%)、開放電圧Voc(V)、短絡電流Isc(mA/cm)、曲線因子F.F.を表2に示す。
Figure 2010074102
また比較例2の太陽光発電装置として、上記の比較例2のシリコン基板を使用して比較例1と同様にして図11−1および図11−2に示す太陽光発電装置を作製した。そして、この比較例2の太陽光発電装置を実際に作動させ、発電特性を測定して評価した。その結果として光電変換効率η(%)、開放電圧Voc(V)、短絡電流Isc(mA/cm)、曲線因子F.F.を表2に併せて示す。
表2から分かるように、実施例2の太陽光発電装置では、比較例2の太陽光発電装置と比較して光電変換効率ηが0.5%高くなり、光電変換効率が向上している。これにより、実施例2のウェットエッチング方法により基板表面にテクスチャーを形成したシリコン基板を使用して太陽光発電装置を構成することにより、シリコン基板の表面反射損失の抑制が奏功して、短絡電流が増大し、光電変換効率の向上に寄与することがわかった。
なお、図12に示したように、気体供給部14としてフッ素樹脂製のバブラーの代わりに微細気泡発生装置21(スリット式、多孔質板式、配列多孔板式、極細ニードル式、メンブレン式、加圧溶解式、ベンチュリ式)を使用しても同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明にかかるシリコン基板のエッチング方法は、良好な反射特性を有するシリコン基板の作製に有用であり、特に、太陽光発電装置の基板の作製に適している。
IPAがシリコン基板表面に吸着した状態を説明するための模式図である。 EGがシリコン基板表面に吸着した状態を説明するための模式図である。 3−メチル−1,5−ペンタンジオールがシリコン基板表面に吸着した状態を説明するための模式図である。 エッチング液における添加剤の添加量と波長700nmにおける光反射率との関係を示す特性図である。 エッチング液におけるアルカリ濃度(wt%)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング液のアルカリ濃度(wt%)とエッチング速度(μm/sec)との関係を示す特性図である。 エッチング時間(分)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング時間(分)と波長700nmにおける光反射率(%)との関係を示す特性図である。 エッチング液の温度(℃)を変化させてシリコン基板をエッチング処理したときの、エッチング液の温度(℃)と波長700nmにおける光反射率(%)との関係を示す特性図である。 本実施の形態にかかるウェットエッチング処理装置の構成を示す模式図である。 実施例1および比較例1のシリコン基板の表面における、波長(nm)と光反射率との関係を示す特性図である。 実施例1および比較例1のシリコン基板の表面における700nmの光の反射率を示す図である。 実施例1にかかる基板を用いて作製した太陽光発電装置を示す断面図である。 実施例1にかかる基板を用いて作製した光起電力装置を示す上面図である。 微細気泡発生装置を使用したときのウェットエッチング装置の構成を示す模式図である。 実施例2および比較例2のシリコン基板の表面における波長(nm)と光反射率との関係を示す特性図である。 実施例2および比較例2のシリコン基板の表面における700nmの光の反射率を示す図である。
符号の説明
1 エッチング槽
2 エッチング液循環ポンプ
3 エッチング液循環配管
4 シリコン基板
5 キャリア
6 キャリア支持台
7 アルカリ試薬貯留槽
8 アルカリ試薬供給ポンプ
9 アルカリ試薬供給配管
10 ヒータ
11 アルコール誘導体貯留槽
12 アルコール誘導体供給ポンプ
13 アルコール誘導体供給配管
14 気体供給部
15 気体供給配管
16 オーバーフロー槽
17 イオン交換水供給配管
18 ヒータ配線
19 ヒータ電源
20 ドレーン
21 微細気泡発生装置
31 半導体基板
31a N層
32 反射防止膜
33 受光面側電極
33a グリッド電極
33b バス電極
34 裏面電極

Claims (8)

  1. シリコン基板の表面にエッチング液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面に凹凸を形成するシリコン基板のエッチング方法であって、
    前記エッチング液が、水、アルカリ試薬、および下記の化学式(1)で示されるアルコール誘導体を少なくとも1種類含有すること、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング方法。
    X−(OH)
    (Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(1)
  2. 前記エッチング液は、前記アルコール誘導体を0.1g/L〜20g/Lの範囲で含有していること、
    を特徴とする請求項1に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  3. 前記アルカリ試薬として、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムのうち少なくとも一方を含むこと、
    を特徴とする請求項1に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  4. 前記シリコン基板を前記エッチング液に浸漬し、前記エッチング液に気体を供給しながら前記ウェットエッチングを行うこと、
    を特徴とする請求項1に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  5. 前記エッチング液の温度が50℃以上95℃以下であること、
    を特徴とする請求項1に記載のシリコン基板のエッチング方法。
  6. シリコン基板の表面に凹凸を形成するためのウェットエッチングに用いるエッチング液であって、
    水、アルカリ試薬、および下記の化学式(2)で示されるアルコール誘導体を少なくとも1種類含有すること、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング液。
    X−(OH)
    (Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(2)
  7. シリコン基板の表面にエッチング液を供給してウェットエッチングにより前記シリコン基板の表面に凹凸を形成するシリコン基板のエッチング装置であって、
    前記エッチング液を貯留するエッチング液貯留部と、
    前記エッチング液貯留部内において前記シリコン基板を保持する保持部と、
    を備え、
    前記エッチング液が、水、アルカリ試薬、および下記の化学式(3)で示されるアルコール誘導体を少なくとも1種類含有すること、
    を特徴とするシリコン基板のエッチング装置。
    X−(OH)
    (Xは炭素数Cnが4以上7以下の飽和または不飽和炭化水素基、nは1以上の整数、n<Cn) ・・・(3)
  8. 前記エッチング液貯留部内のエッチング液に気体を供給する気体供給部を備えること、
    を特徴とする請求項7に記載のシリコン基板のエッチング装置。
JP2008243198A 2008-09-22 2008-09-22 シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置 Pending JP2010074102A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008243198A JP2010074102A (ja) 2008-09-22 2008-09-22 シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008243198A JP2010074102A (ja) 2008-09-22 2008-09-22 シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010074102A true JP2010074102A (ja) 2010-04-02

Family

ID=42205585

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008243198A Pending JP2010074102A (ja) 2008-09-22 2008-09-22 シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010074102A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010141139A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Shinryo Corp シリコン基板のエッチング液およびシリコン基板の表面加工方法
WO2011114675A1 (ja) * 2010-03-16 2011-09-22 三菱電機株式会社 シリコンウェハのエッチング方法、エッチング液、エッチング装置、および半導体装置
JP2012519389A (ja) * 2009-03-03 2012-08-23 ゲブリューダー シュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング シリコンウエハを織地化する方法、その方法のための処理液及びその使用
WO2012150669A1 (ja) * 2011-05-02 2012-11-08 三菱電機株式会社 シリコン基板の洗浄方法および太陽電池の製造方法
JP2013143404A (ja) * 2012-01-06 2013-07-22 Mitsubishi Electric Corp シリコン基板のエッチング方法
JP5295437B2 (ja) * 2011-05-02 2013-09-18 三菱電機株式会社 シリコン基板の洗浄方法および太陽電池の製造方法
WO2014148443A1 (ja) 2013-03-19 2014-09-25 長州産業株式会社 光起電力素子及びその製造方法
JP2014203835A (ja) * 2013-04-01 2014-10-27 株式会社トクヤマ テクスチャー形成用組成物、シリコン基板の製造方法、及びテクスチャー形成用組成物調製キット
JPWO2014013536A1 (ja) * 2012-07-17 2016-06-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 太陽電池の製造方法

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010141139A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Shinryo Corp シリコン基板のエッチング液およびシリコン基板の表面加工方法
JP2012519389A (ja) * 2009-03-03 2012-08-23 ゲブリューダー シュミット ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング シリコンウエハを織地化する方法、その方法のための処理液及びその使用
WO2011114675A1 (ja) * 2010-03-16 2011-09-22 三菱電機株式会社 シリコンウェハのエッチング方法、エッチング液、エッチング装置、および半導体装置
JP5295437B2 (ja) * 2011-05-02 2013-09-18 三菱電機株式会社 シリコン基板の洗浄方法および太陽電池の製造方法
CN103189966A (zh) * 2011-05-02 2013-07-03 三菱电机株式会社 硅基板的洗净方法和太阳能电池的制造方法
WO2012150669A1 (ja) * 2011-05-02 2012-11-08 三菱電機株式会社 シリコン基板の洗浄方法および太陽電池の製造方法
US8865509B2 (en) 2011-05-02 2014-10-21 Mitsubishi Electric Corporation Cleaning method of silicon substrate and manufacturing method of solar battery
KR101464453B1 (ko) 2011-05-02 2014-11-21 미쓰비시덴키 가부시키가이샤 실리콘 기판의 세정 방법 및 태양전지의 제조 방법
JP2013143404A (ja) * 2012-01-06 2013-07-22 Mitsubishi Electric Corp シリコン基板のエッチング方法
JPWO2014013536A1 (ja) * 2012-07-17 2016-06-23 パナソニックIpマネジメント株式会社 太陽電池の製造方法
WO2014148443A1 (ja) 2013-03-19 2014-09-25 長州産業株式会社 光起電力素子及びその製造方法
CN105144399A (zh) * 2013-03-19 2015-12-09 长州产业株式会社 光伏元件及其制造方法
JP5945066B2 (ja) * 2013-03-19 2016-07-05 長州産業株式会社 光起電力素子の製造方法
JPWO2014148443A1 (ja) * 2013-03-19 2017-02-16 長州産業株式会社 光起電力素子の製造方法
JP2014203835A (ja) * 2013-04-01 2014-10-27 株式会社トクヤマ テクスチャー形成用組成物、シリコン基板の製造方法、及びテクスチャー形成用組成物調製キット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010074102A (ja) シリコン基板のエッチング方法、シリコン基板のエッチング液、シリコン基板のエッチング装置
JP4837285B2 (ja) シリコン表面および層のためのエッチングペースト
TW201246320A (en) Method for cleaning silicon substrate, and method for producing solar cell
JP5339880B2 (ja) シリコン基板のエッチング液およびシリコン基板の表面加工方法
JP4989042B2 (ja) 太陽電池用基板の製造方法
JP2011159745A (ja) 太陽光発電装置の製造方法、エッチング方法、およびエッチング装置
TW201206857A (en) Method for passivating a silicon surface
CN104562011B (zh) 多晶硅片的制绒辅助剂及制绒工艺
JP2012227304A (ja) エッチング液組成物およびエッチング方法
US7521407B2 (en) Remover composition
JP2014529641A (ja) シリコン基板の表面を処理するための水性アルカリ性組成物および方法
TW201207907A (en) Methods of forming a multi-doped junction with porous silicon
JP5648053B2 (ja) ウェハパターンの保護膜形成用薬液、薬液の調製方法およびウェハ処理方法
CN103562344B (zh) 用于晶体硅片的纹理蚀刻溶液组合物以及纹理蚀刻方法
JP6768432B2 (ja) シリコン基板の製造方法
JP6279254B2 (ja) 入射光の反射率を低減させるための単結晶半導体基体のテクスチャー化
JP5447649B2 (ja) シリコンウェハのエッチング方法およびエッチング液
JP2014146753A (ja) 太陽電池用基板製造装置及びこれを用いた太陽電池用基板の製造方法
CN104205354B (zh) 用于太阳能电池制造的气态臭氧(o3)处理
KR20130101113A (ko) 태양전지용 웨이퍼 및 그 제조 방법
JP5874675B2 (ja) テクスチャ形成方法及び太陽電池の製造方法
EP2387801A2 (en) Solution for increasing wafer sheet resistance and/or photovoltaic cell power density level
CN109411565A (zh) 太阳能电池片及其制备方法、光伏组件
WO2014208353A1 (ja) 太陽光発電装置用基板の製造方法および太陽光発電装置用基板の製造装置
TW202235683A (zh) 濕式蝕刻溶液及濕式蝕刻方法