JPWO2012091039A1 - 粒子状製剤 - Google Patents

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Abstract

医薬有効成分が比較的多量に含まれているにもかかわらず、良好な粒子特性等を発揮できる粒子状製剤を提供する。本発明は、薬学的に許容される無機材料及び医薬有効成分を含む粒子からなる粒子状製剤であって、(1)前記無機材料が水難溶性であり、(2)前記医薬有効成分の含有量が50〜95重量%である、ことを特徴とする粒子状製剤に係る。

Description

本発明は、無機材料と医薬有効成分(活性成分)を含む粒子からなる製剤に関する。
製剤の製造技術の一つとして、核粒子を流動状態とし、その状態において薬剤(有効成分)単独又はそれと賦形剤との混合物を投入し、核粒子表面にその薬剤又は混合物をコーティングする手法が知られている。この場合、核粒子には、1)一般に粒径が均一で球状であること、2)コーティング工程において、核粒子が割れない(所定の機械的強度を有する)ことが要求される。
従来から知られている核粒子としては、主に有機材料が使用されている。例えば、結晶セルロース単独の核粒子(特許文献1)、糖単独の核粒子(特許文献2)、糖と結晶セルロースからなる核粒子(特許文献3)、糖と澱粉からなる核粒子(特許文献4)、糖アルコール、ビタミンC及び塩化ナトリウムの群より選ばれた1種を用いる核粒子(特許文献5)等がある。
しかしながら、これらの核粒子は、前記の通り、その表面に有効成分の被膜を形成するものであって、粒子内部に有効成分を含有させることを前提とするものではない。これらの核粒子の内部に有効成分を含有させることも考えられるが、1つの粒子中に多量の有効成分を含有させようとする場合、核を構成する成分の含有量が相対的に少なくなる結果、粒子として良好なハンドリング性、加工性等を確保することが困難である。すなわち、従来技術では、核粒子中に有効成分を多量に含有させると、例えば所定の粒子硬度が維持できなくなり、核粒子が容易に崩壊して粉体化する等の問題が生じる。
特開平7−173050号公報 特開平6−205959号公報 特許第3219787号 特開平9−175999号公報 特許第3447042号
従って、本発明の主な目的は、医薬有効成分が比較的多量に含まれているにもかかわらず、良好な粒子特性等を発揮できる粒子状製剤を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、水難溶性の無機材料を粒子の構成成分として採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の粒子状製剤に係る。
1. 薬学的に許容される無機材料及び医薬有効成分を含む粒子からなる粒子状製剤であって、
(1)前記無機材料が水難溶性であり、
(2)前記医薬有効成分の含有量が50〜95重量%である、
ことを特徴とする粒子状製剤。
2. 前記無機材料が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸アルミニウムの少なくとも1種である、前記項1に記載の粒子状製剤。
3. 前記粒子の粒子硬度が200g/mm以上である、前記項1に記載の粒子状製剤。
4. 前記粒子が、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上500μm未満の粒子が90重量%以上、粒径500μm以上の粒子が5重量%以下である粒度分布を有する、前記項1に記載の粒子状製剤。
5. 前記粒子が、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上150μm未満の粒子が90重量%以上、粒径150μm以上の粒子が5重量%以下である粒度分布を有する、前記項1に記載の粒子状製剤。
6. 無機材料が、20℃における水に対する溶解度が1g/30mL以下である、前記項1に記載の粒子状製剤。
7. 平均粒径が50μm以上である、前記項1に記載の粒子状製剤。
8. 前記粒子が、前記無機材料及び医薬有効成分を含む組成物を造粒して得られる造粒物である、前記項1に記載の粒子状製剤。
9. 前記項1に記載の粒子状製剤の粒子表面にさらに薬学的に許容される成分を含む被膜が形成されてなる製剤。
10. 前記項1に記載の粒子状製剤の粒子表面にさらに医薬有効成分を含む被膜が形成されてなる製剤。
本発明の粒子状製剤は、医薬有効成分が特定の無機材料とともに含まれることから、医薬有効成分が50重量%以上という高い含有量で含まれているにもかかわらず、粒子として優れた特性を発揮することができる。
より具体的には、比較的高い粒子硬度、良好な流動性等を有することから、例えばハンドリング性(取り扱い性)、加工性等の点で優れた効果を発揮することができる。従って、例えば本発明の粒子状製剤を原料としてさらに別の剤形の製剤を調製するような場合も、所望の製剤をより確実に容易に製造することが可能となる。
また、医薬有効成分が高い含有量で含まれることから、製剤の小型化に寄与することができる。これにより、製剤の服用感を改善ないしは向上させることができるほか、製剤の軽量化を図ることもできるので、コスト的にも有利となる。
実施例で用いた原料粉末(炭酸マグネシウム粉末)を走査型電子顕微鏡(400倍)で観察した結果を示す図である。 実施例で用いた原料粉末(無水リン酸水素カルシウム粉末)を走査型電子顕微鏡(2000倍)で観察した結果を示す図である。 実施例で用いた原料粉末(メトフォルミン塩酸塩粉末)を走査型電子顕微鏡(100倍)で観察した結果を示す図である。 実施例で用いた原料粉末(イブプロフェン粉末)を走査型電子顕微鏡(350倍)で観察した結果を示す図である。 実施例1で得られた粒子状製剤を走査型電子顕微鏡(50倍及び350倍)で観察した結果を示す図である。 実施例2で得られた粒子状製剤を走査型電子顕微鏡(50倍及び400倍)で観察した結果を示す図である。 実施例3で得られた粒子状製剤を走査型電子顕微鏡(100倍及び1000倍)で観察した結果を示す図である。 実施例4で得られた粒子状製剤を走査型電子顕微鏡(150倍及び450倍)で観察した結果を示す図である。 実施例5で得られた粒子状製剤を走査型電子顕微鏡(60倍及び300倍)で観察した結果を示す図である。 実施例6で得られたコーティング処理を行った粒子状製剤を走査型電子顕微鏡(70倍及び350倍) 実施例6で得られたコーティング処理を行った粒子状製剤の溶出試験の結果を示すグラフである。
本発明の粒子状製剤は、薬学的に許容される無機材料及び医薬有効成分を含む粒子(本発明粒子)からなる粒子状製剤であって、
(1)前記無機材料が水難溶性であり、
(2)前記医薬有効成分の含有量が50〜95重量%である、
ことを特徴とする。
1.粒子状製剤
本発明の粒子状製剤(本発明製剤)に含まれる無機材料としては、薬学的(薬理的)に許容されるものであって、水に対して難溶性のものを用いる。特に、20℃における水に対する溶解度が1g/30mL以下、特に1g/100mL以下である無機材料を好ましく用いることができる。水に溶解し得る材料では水の浸透によって保形性が低下することがあるのに対し、本発明では水に難溶性の無機材料を用いることによって、安定した保形性等を達成することができる。
無機材料の種類としては、水に難溶性である限りは特に限定されず、製剤用として使用されている公知又は市販の無機材料も使用することができる。例えば、リン酸塩、ケイ酸塩、酸化物及び水酸化物の無水物あるいは水和物の少なくとも1種の水難溶性無機材料を例示することができる。この中でも、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸アルミニウムの少なくとも1種を好適に用いることができる。これらの無機材料によれば、その使用量が比較的少量であっても、所定の保形性、粒子硬度等を有する粒子を形成することができる。すなわち、有効成分の含有量が50重量%以上という高含有量であっても、優れた特性の粒子を形成することができる。
本発明製剤(本発明粒子)中における無機材料の処方は特に制限されないが、通常50重量%以下、特に30重量%以下、さらに20〜5重量%とすることが望ましい。前記の範囲に設定することによって、有効成分の高含有量を維持しながら優れた保形性等を発揮することができる。
本発明製剤(本発明粒子)では、医薬有効成分が50〜95重量%、好ましくは60〜95重量%含まれる。このような高含有量を有することにより、本発明製剤(本発明粒子)を用いて他の剤形に製剤化するに際して製剤の小型化等に貢献することができる。すなわち、医薬有効成分の含有量が低い場合、所定の医薬有効成分含有量(用量)を確保するためには多量の粒子を使用する必要があり、その体積が増大してしまう。これに対し、本発明製剤のように医薬有効成分が50重量%以上であれば、少量の粒子で所定の用量を確保することができる結果、より投与しやすい製剤等をつくることができる。
医薬有効成分としては限定的でなく、公知又は市販のものをいずれも使用することができる。例えば、高脂血症薬、抗潰瘍薬、降圧剤、抗うつ薬、抗喘息薬、抗てんかん薬、抗アレルギー薬、抗菌薬、抗ガン剤、鎮痛薬、抗炎症薬、糖尿病薬、代謝拮抗薬、骨粗しょう症薬、抗血小板薬等、制吐剤、ホルモン剤、麻酔剤等のいずれも採用することができる。
また、医薬有効成分の性状は、無機材料に混合(又は担持)できる限り、固体(粉末状)、液体等のいずれであっても良い。さらに、医薬有効成分の水に対する溶解性についても限定的でなく、水溶性、水難溶性、疎水性等のいずれでも良い。
本発明製剤(本発明粒子)では、前記の無機材料及び医薬有効成分のほかにも、必要に応じて公知又は市販の医薬用添加剤が含まれていても良い。医薬用添加剤としては、例えば賦形剤(乳糖等)、崩壊剤(クロスポピドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)等)、結合剤(メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等)、pH調整剤(クエン酸、酢酸、硫酸、塩酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)等を用いることができる。医薬用添加剤の含有量は、本発明の効果を妨げない範囲内であれば特に制限されないが、通常は20重量%以下の範囲内とすることが望ましい。
本発明製剤の形状(粒子形状)は特に限定されず、例えば球状、筒状、板状、不定形状等のいずれであっても良いが、一般的には流動性等の見地より球状であることが望ましい。
本発明製剤の硬度(粒子硬度)は、制限されないが、通常は200g/mm以上であることが望ましい。粒子硬度を上記範囲に設定することによって、本発明製剤を用いて別の剤形の製剤を調製するような場合において、粒子が割れたり、粉化することをより効果的に防止することができる。この場合、硬度の上限値は限定的ではないが、一般的には3000g/mm程度とすれば良い。
本発明製剤の平均粒径は、一般的には50μm以上の範囲で適宜設定できるが、特に50〜500μm、さらには50〜350μmであることが好ましい。
また、粒度分布としては、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上500μm未満の粒子が90重量%以上、粒径500μm以上の粒子が5重量%以下であることが望ましい。
従って、本発明では、例えば、以下のA)〜C)ような粒度分布をもつ粒子を好適に採用することができる。
A)粒径45μm未満の粒子が5重量%以下(好ましくは2重量%以下)、粒径45μm以上350μm未満の粒子が90重量%以上(好ましくは96重量%以上)、粒径350μm以上の粒子が5重量%以下(好ましくは2重量%以下)である粒子
B)粒径45μm未満の粒子が5重量%以下(好ましくは2重量%以下)、粒径45μm以上150μm未満の粒子が90重量%以上(好ましくは96重量%以上)、粒径150μm以上の粒子が5重量%以下(好ましくは2重量%以下)である粒子
C)粒径350μm未満の粒子が5重量%以下(好ましくは2重量%以下)、粒径350μm以上500μm未満の粒子が90重量%以上(好ましくは96重量%以上)、粒径500μm以上の粒子が5重量%以下(好ましくは2重量%以下)である粒子
前記A)又はB)の粒子は、粒径が比較的小さく、例えば錠剤、散剤等として用いる場合は舌のザラツキ等がなく飲用しやすい薬剤を提供することができる。このような微細な粒子は、有機系核粒子で実現することが困難ないし不可能であることから、無機材料の使用を前提とする本発明の大きな特徴である。また、前記C)の粒子は、粒径が比較的大きく、例えばカプセル剤に充填するための薬剤に用いる粒子として好適に用いることができる。
本発明製剤(本発明粒子)の嵩密度は、一般的には0.2〜1.2g/mL程度、特に0.4〜1.0g/mLとすることが、コーティング加工のし易さ等の見地より望ましい。
本発明製剤(本発明粒子)における安息角は、通常は40度以下、特に37度以下、さらには35度以下とすることが、装置への均一な投入/排出という点、均一なコーティング層の形成の点等で好ましい。
本発明製剤は、前記無機材料及び医薬有効成分を含む組成物(原料粉末)を造粒して得られる粒子(造粒物)であることが好ましい。前記原料粉末中には前記無機材料及び医薬有効成分のほか、必要に応じて前記で述べた医薬用添加剤が含まれていても良い。造粒方法は、例えば後記2.で説明する方法を好適に採用することができる。
本発明製剤は、そのまま医薬品として使用することができるほか、別の剤形からなる製剤の原料としても使用することができる。例えば、カプセル剤、錠剤、細粒剤等の原料として本発明製剤を好適に用いることができる。
また、本発明製剤は、本発明製剤(本発明粒子)の表面に薬学的に許容される成分を含む被膜(薬学的に許容される成分からなる被膜)を形成することによって、用いることもできる。これにより、例えば医薬有効成分の複合化・合剤化、溶出速度の調整、保存安定性の強化等を行うことができる。前記成分としては、医薬有効成分のほか、賦形剤、崩壊剤、防湿剤、安定化剤、結合剤等の医薬添加剤を例示することができる。従って、例えば本発明製剤(本発明粒子)の表面に医薬有効成分を含む被膜を形成することによって用いることもできる。すなわち、医薬有効成分を含む組成物を本発明製剤(本発明粒子)表面にコーティングすることによって所定の製剤(医薬品)を製造することができる。この場合に使用できる医薬有効成分としては、前記で例示したものを使用することができる。また、前記組成物中には、必要に応じて賦形剤、崩壊剤、防湿剤、安定化剤、結合剤等の医薬品添加物が含まれていても良い。医薬品添加物の含有量は、その添加剤の種類、医薬有効成分の含有量等に応じて適宜設定することができる。このようにして得られたコーティング品は、さらに別の剤形からなる製剤の製造にも使用することができる。
前記コーティング品を製造する場合、医薬有効成分を含む組成物を本発明製剤(本発明粒子)表面にコーティングする方法は、限定的でなく、例えば攪拌造粒法、流動層造粒法、転動造粒法等の公知の造粒方法を採用することができる。この場合、公知又は市販の造粒装置を用いて造粒を実施すれば良い。この場合、医薬有効成分を含む被膜の厚みは、通常1〜100μm程度の範囲内で調節することができる。
2.粒子状製剤の製造方法
本発明製剤は、例えば目的とする粒子を構成し得る無機材料及び医薬有効成分を含む組成物を造粒することによって得ることができる。
前記組成物としては限定的ではないが、通常は粉末状の形態で使用することができる。この場合の粉末の平均粒径は、本発明製剤の所望の粒径等に応じて適宜決定でき、必要に応じて粒径を調整すれば良い。医薬有効成分が液体である場合は、無機材料の粉末に担持又は含浸させれば良い。
造粒方法は特に制限されず、例えば転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法、圧縮成型法(圧縮造粒法)、成膜処理法、磁気特性処理法、表面改質法、焼結成型法、振動成型法、圧力スイング法、真空成型法、スプレードライ法等のほか、凍結乾燥法、共沈法等を利用する方法等のいずれであっても良い。造粒に際しては、公知又は市販の造粒装置を用いて実施することができる。これらの造粒方法の中でも、本発明では、攪拌造粒法により好適に造粒することができる。
また、造粒は、湿式法又は乾式法のいずれであっても良いが、本発明では特に湿式法により好適に造粒することができる。湿式法により造粒する場合、溶媒の種類は限定的ではなく、水又は水系溶媒を好適に用いることができる。水系溶媒としては、例えばエタノール−水の混合溶媒(体積比でエタノール:水=1:0〜5程度)を好適に用いることができる。溶媒の使用量は、原料粉末100重量部に対して通常30〜300重量部程度とすれば良い。
好適な造粒方法の一例としては、例えば高速攪拌型混合造粒機を用い、原料粉末を前記造粒機に投入し、溶媒を噴射しながら攪拌機で攪拌して流動化することにより造粒することができる。前記の高速攪拌型混合造粒機において、攪拌機としてアジテーター及びチョッパーを用いる場合は、他の条件にもよるが、例えばアジテーター回転数:500〜1000rpm程度、チョッパー回転数:1000〜1500rpm程度に設定することにより好適に造粒することができる。形成された湿式造粒物は、造粒機(ホッパー)内で乾燥しても良いし、あるいは造粒機(ホッパー)から湿式造粒物を取り出して乾燥すれば良い。その後、目的とする粒度分布となるように分級することにより本発明粒子を得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
実施例1〜5
出発原料として、表1に示す無機材料及び医薬有効成分を用い、表2に示す組成となるように高速攪拌型混合造粒機(深江パウテック製「LFS−GS−2J」)に投入し、水を添加して湿式造粒した後、80℃で24時間乾燥することにより、粒子状製剤を調製した。各実施例における造粒条件は表2に示す通りである。
Figure 2012091039
Figure 2012091039
試験例1
各実施例で得られた粒子状製剤について、粒子の外観形状、粒子硬度、嵩密度、安息角及び粒度分布を測定した。その結果を表2に示す。なお、各物性の測定方法は以下のとおりである。
(1)粒子の外観形状
走査型電子顕微鏡により観察した。
(2)粒子硬度
粒子硬度測定装置(岡田精工(株)製「グラノ」)を用い、1個の粒子の圧潰強度のピーク値(g)を測定し、粒子20個の平均値として求めた。
(3)嵩密度
試料20gを50mLメスシリンダーに入れ、そのメスシリンダーを粉体減少度測定器(筒井理化学器械製「TMP−7−P」)にセットし、測定条件としてタッピング回数100回、タッピング高さ4cm、タッピング速度36回/分で試験した後、容量F(mL)を目視で測定した。その後、20/Fにて嵩密度(g/mL)を算出した。
(4)安息角
直径50mmの皿の上方の高さ100mmの位置にホッパーを配置し、このホッパーから試料を少量ずつ皿に落下させて円錐状の試料の山を作り、その山の試料がずり落ちずに安定した時の高さ(h)を測定し、皿と山の斜面がなす角度〔安息角α=tan−1(h/25mm)〕を算出した。
(5)粒度分布
試料を超音波攪拌(周波数400Hz)した後にアセトン中に分散させてレーザー回折法によりアセトン溶媒中にて測定を行った。測定装置として「MICROTRAC HRA Model No.9320−X100」Honeywell社製を用いた。
試験例2
各実施例で使用した原料粉末について、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果をそれぞれ図1〜図4に示す。また、これらの原料粉末を用いて実施例1〜5で得られた粒子状製剤について、走査型電子顕微鏡で観察した。その結果をそれぞれ図5〜図9に示す。これらの結果からも明らかなように、不定形状の粒子からなる原料を用いて、略球状の粒子からなる製剤を調製できることがわかる。
実施例6
実施例3で得られた粒子状製剤を用い、その粒子表面にコーティング処理を行った。前記粒子状製剤200gに対し、メチルセルロース20g、タルク20g及び超純水400gの混合物をコーティング組成物として使用した。コーティング処理の条件は、表3に示す。
Figure 2012091039
試験例2
実施例6でコーティング処理された粒子状製剤について、試験例1と同様の方法で粒子の外観形状、粒子硬度、安息角及び粒度分布を測定した。その結果を表4に示す。粒子の外観形状の観察結果は図10に示す。
Figure 2012091039
試験例3
実施例6でコーティング処理された粒子状製剤について、表5及び表6ならびに下記に示す条件にて溶出試験を行った。その結果を表7及び図11に示す。
(1)イブプロフェンの含量の測定
医薬有効成分であるイブプロフェンの含量の測定方法は、次に示す通りである。まず、前記粒子状製剤17mgを精密に量りとり、日局第2液が約80mL入ったメスフラスコに入れ、日局第2液にて100mLとする。これを20mL以上とり、孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過する。初めのろ液10mLを除き、残りのろ液を試料溶液とする。別途に、イブプロフェン標準品25mgを精密に量り、アセトニトリルに溶かし、正確に50mLとする。この液5mLを正確に量り、日局第2液を加えて正確に25mLとし、標準溶液とする(約100ppm)。次いで、試料溶液及び標準溶液50μLずつを正確にとり、日局一般試験法の液体クロマトグラフィー<2.01>に従い、それぞれの液のイブプロフェンのピーク面積AT及びASを測定し、下式によりイブプロフェン(C1318)の含量を算出する。
イブプロフェン(C1318)の含量(重量%)=WS×5/50×1/25×(AT/AS)×10/C
(WS:イブプロフェン標準品の秤取量(mg) C :イブプロフェンの秤取量(g))

なお、上記の液体クロマトグラフィーにおける試験条件は、表5に示す通りである。
Figure 2012091039
(2)溶出試験
溶出試験でサンプリングした液をそのまま試料溶液とする。この試料溶液について、液体クロマトグラフィー<2.01>による分析を行う。試料溶液におけるイブプロフェンの含量の測定条件は、前記(1)に従って行う。
別途に、イブプロフェン標準品25mgを精密に量り、アセトニトリルに溶かし、正確に50mLとする。この液5mLを正確に量り、日局第2液を加えて正確に25mLとし、標準溶液とする(約100ppm)。別に、この液5mLを正確に量り、日局第2液を加えて正確に50mLとしたものを50ppm標準溶液とし、この液10mLを正確に量り、日局第2液を加えて正確に25mLとしたものを200ppm標準溶液とする。これらの標準溶液について液体クロマトグラフを行い、イブプロフェン標準品のピーク面積と濃度をプロットしたときに得られる直線の傾き(a)と切片(t)を求める。その上で、試料溶液における含量Bを下式に当てはめることによって溶出率を求める。

溶出率(%)={(Qt−t)/a×900/1000}/(C×B/100)×100
(Qt :試料溶液のピーク面積
、C :イブプロフェンの秤取量(mg)、B :コーティング品のイブプロフェン含量(%))
Figure 2012091039
Figure 2012091039
表7及び図11の結果からも明らかなように、医薬有効成分の単品よりも、実施例6のコーティング済み粒子状製剤の方が医薬有効成分であるイブプロフェンの溶出速度が速くなっていることがわかる。
すなわち、本発明は、下記の粒子状製剤に係る。
1. 薬学的に許容される無機材料及び医薬有効成分を含む粒子からなる粒子状製剤であって、
(1)前記無機材料が水難溶性であり、
(2)前記医薬有効成分の含有量が50〜95重量%であり、
(3)前記無機材料及び医薬有効成分を含む組成物を湿式造粒して得られる造粒物であり、
(4)前記粒子の粒子硬度が200g/mm 以上である、
ことを特徴とする粒子状製剤。
2. 前記無機材料が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸アルミニウムの少なくとも1種である、前記項1に記載の粒子状製剤。
3. 前記粒子が、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上500μm未満の粒子が90重量%以上、粒径500μm以上の粒子が5重量%以下である粒度分布を有する、前記項1に記載の粒子状製剤。
4. 前記粒子が、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上150μm未満の粒子が90重量%以上、粒径150μm以上の粒子が5重量%以下である粒度分布を有する、前記項1に記載の粒子状製剤。
5. 無機材料が、20℃における水に対する溶解度が1g/30mL以下である、前記項1に記載の粒子状製剤。
6. 平均粒径が50μm以上である、前記項1に記載の粒子状製剤。
7. 前記項1に記載の粒子状製剤の粒子表面にさらに薬学的に許容される成分を含む被膜が形成されてなる製剤。
8. 前記項1に記載の粒子状製剤の粒子表面にさらに医薬有効成分を含む被膜が形成されてなる製剤。

Claims (10)

  1. 薬学的に許容される無機材料及び医薬有効成分を含む粒子からなる粒子状製剤であって、
    (1)前記無機材料が水難溶性であり、
    (2)前記医薬有効成分の含有量が50〜95重量%である、
    ことを特徴とする粒子状製剤。
  2. 前記無機材料が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びケイ酸アルミニウムの少なくとも1種である、請求項1に記載の粒子状製剤。
  3. 前記粒子の粒子硬度が200g/mm以上である、請求項1に記載の粒子状製剤。
  4. 前記粒子が、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上500μm未満の粒子が90重量%以上、粒径500μm以上の粒子が5重量%以下である粒度分布を有する、請求項1に記載の粒子状製剤。
  5. 前記粒子が、粒径45μm未満の粒子が5重量%以下、粒径45μm以上150μm未満の粒子が90重量%以上、粒径150μm以上の粒子が5重量%以下である粒度分布を有する、請求項1に記載の粒子状製剤。
  6. 無機材料が、20℃における水に対する溶解度が1g/30mL以下である、請求項1に記載の粒子状製剤。
  7. 平均粒径が50μm以上である、請求項1に記載の粒子状製剤。
  8. 前記粒子が、前記無機材料及び医薬有効成分を含む組成物を造粒して得られる造粒物である、請求項1に記載の粒子状製剤。
  9. 請求項1に記載の粒子状製剤の粒子表面にさらに薬学的に許容される成分を含む被膜が形成されてなる製剤。
  10. 請求項1に記載の粒子状製剤の粒子表面にさらに医薬有効成分を含む被膜が形成されてなる製剤。
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