以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のジアミンは、下記式[1]で表されるものである。
(式[1]中、R
1〜R
9のうち二つは1級アミノ基、残りは水素原子またはアミノ基以外の一価の有機基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは1又は2であり、環を形成している飽和炭化水素部の水素原子はハロゲン原子又はアミノ基以外の一価の有機基で置換されていてもよい。)
式[1]において、ハロゲン原子としては、フッ素原子などが挙げられる。また、式[1]において、アミノ基以外の一価の有機基としては、炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、またはカルボキシル基を含む炭化水素基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合などの結合基によって連結された炭化水素基、ケイ素原子を含有する炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。また、アミノ基以外の一価の有機基として、アミノ基が例えばt−ブトキシカルボニル基などのカルバメート系の保護基によって保護された不活性な基なども挙げられる。
また、式[1]において、アミノ基の位置は特に限定されず、ジアミンであれば特に限定はないが、液晶配向性や合成のし易さの観点から、下記式[2]で表される位置が好ましい。
(式[2]中、pは0〜3の整数を表し、R
10はアミノ基以外の一価の有機基を表し、−(R
10)
pは置換基R
10がp個あることを表しそれぞれ同一でも異なっていてもよい。qは0〜4の整数を表し、R
11はアミノ基以外の一価の有機基を表し、−(R
11)
qは置換基R
11がq個あることを表しそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは1又は2であり、環を形成している飽和炭化水素部の水素原子はハロゲン原子又はアミノ基以外の有機基で置換されていてもよい。)
また、上記式[2]に示すように、アミノ基を有するベンゼン環の水素原子は、アミノ基以外の一価の有機基であるR10やR11で置換されていてもよく、試薬の入手性などにより種々選択できる。なお、式[2]において、アミノ基以外の一価の有機基R10、R11としては、炭化水素基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、またはそれらを有する炭化水素基、エーテル結合、エステル結合、アミド結合などの結合基によって連結された炭化水素基、ケイ素原子を含有する炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基などが挙げられる。また、R10やR11として、アミノ基が例えばt−ブトキシカルボニル基などのカルバメート系の保護基によって保護された不活性な基なども挙げられる。しかしながら、試薬の入手性や合成のし易さの観点において、アミノ基を有するベンゼン環の水素原子は未置換であることが好ましい。更に具体的な構造例を下記式[3]に示す。
(式[3]中、nは1又は2であり、mは0〜2(n+1)の整数であり、R
12はフッ素原子又はアミノ基以外の1価の有機基を表し、−(R
12)
mは置換基R
12がm個あることを表しそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
式[1]〜[3]において、n=1の場合はインドリン構造を有するジアミン、n=2の場合はテトラヒドロキノリン構造を有するジアミンとなる。いずれも環を形成する飽和炭化水素部位を有するが、この飽和炭化水素部の炭素の水素原子は、フッ素原子などのハロゲン原子や、アミノ基以外の1価の有機基で置換されていてもよい。なお、式[3]においては、飽和炭化水素部の水素原子を置換する置換基は、R12である。飽和炭化水素部の水素原子を置換するアミノ基以外の1価の有機基としては、炭化水素基、ヒドロキシル基、カルボキシル基等が挙げられる。ここにおける炭化水素基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、また、飽和炭化水素でも不飽和炭化水素でもよく、そして、炭化水素基の水素原子の一部はカルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、或いはケイ素原子やハロゲン原子などに置き換えられてもよく、エーテル結合、エステル結合、アミド結合などの結合基によって連結されていてもよい。一方で、合成のし易さや試薬の入手性の点で、R12は炭素原子と水素原子のみで構成される炭化水素基であるのが好ましい。
飽和炭化水素部の炭素の水素原子を置換する置換基は、炭素数1〜6の炭化水素基であることが好ましい。本発明のジアミンを用いたポリアミック酸等のポリイミド前駆体やポリイミドは溶媒への溶解性が高いので印刷性が良好であるが、飽和炭化水素部の水素原子が炭素数1〜6の炭化水素基で置換されたジアミンとすると、ポリアミック酸等のポリイミド前駆体やポリイミドの有機溶媒への溶解性がさらに高くなって、印刷性がさらに良好になるためである。また、ポリアミック酸等のポリイミド前駆体やポリイミドの溶媒への溶解性が高くなるため、他の重合体との相溶性に優れ、本発明のジアミンを用いたポリイミド前駆体やポリイミドとその他の重合体とを混合して用いた場合においても分離や析出が起こりにくくなり、印刷性に優れる。炭素数1〜6の炭化水素基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、イソプロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、1または2または3−ブテニル基、ヘキセニル基、フェニル基などが挙げられるが、これに限定されない。
これらの置換基で飽和炭化水素部の水素原子が置換される場合、置換位置や数は特に限定されず、合成のし易さや試薬の入手性で種々選択できる。特に好ましい構造は、飽和炭化水素部の水素原子がメチル基で置換されたものである。また、合成のし易さの観点からは、飽和炭化水素部の水素原子が置換されていないものが好ましい。以下に好ましい本発明のジアミンの具体例を示すが、これに限定されない。
特に好ましい本発明のジアミンは、以下である。
このような上記式[1]で表される本発明のジアミンを原料とするポリアミック酸やポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体やポリイミドは、有機溶媒への溶解性が良好なので、液晶配向膜を形成する際にピンホールの形成やエッジ部等の膜厚のムラが生じず印刷性が良好な液晶配向剤を得ることができる。また、この液晶配向剤を用いると、電荷の蓄積が起こりにくく、かつ蓄積した電荷の抜けが早い液晶配向膜を得ることができるため、該液晶配向膜を有する液晶表示素子は、コントラストの低下や焼きつきが起こりにくく、表示特性に優れるという効果を奏する。また、長期に渡る使用によるイオン密度の増加も抑制することができる。さらに、液晶配向性も良好である。
このような効果は、本発明のジアミンが、立体障害として働く部位を有するジフェニルアミン構造及び飽和炭化水素部を有するため、ジフェニルアミンの電気的性質を保ったまま溶解性向上やポリマーの相溶性向上が可能となり、上記のような特性を発現することが可能であると推測される。一方、特許文献3のジアミンは、本発明のジアミンにおける飽和炭化水素部の位置に二重結合を有し飽和炭化水素部を有さない構造であり、この特許文献3のようなジアミンを用いると、後述する比較例に示すように、本発明のジアミンを用いた場合のように、蓄積電荷が少なく蓄積した電荷の緩和が早い液晶配向膜を得ることはできず、また、液晶配向性も悪くなり、そして、ポリイミドの有機溶剤への溶解性や相溶性も悪い結果が得られている。これは、特許文献3のジアミンは、平面性に富み、また、ジフェニルアミンとは異なる電子状態を取るフェニルインドール骨格を有しているためと推測される。
このような本発明のジアミンの主な合成法について説明する。尚、以下で説明した方法は合成例であり、これに限定されない。
本発明のジアミンは、下記反応式で示すように、ジニトロ化合物を還元してニトロ基をアミノ基に変換することで、得ることができる。なお、下記反応式においては、ベンゼン環及び飽和炭化水素部の水素原子がフッ素原子等のハロゲン原子やアミノ基以外の一価の有機基で置換されていないジアミンを例として、記載している。
ジニトロ化合物を還元する方法は特に制限はなく、パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル、白金黒、ロジウム−アルミナ、硫化白金炭素などを触媒として用い、酢酸エチル、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アルコール系などの溶媒中、水素ガス、ヒドラジン、塩化水素などによって還元を行う方法が例示できる。必要に応じてオートクレープなどを用いて加圧下で行ってもよい。一方で、ベンゼン環や飽和炭化水素部の水素原子を置換する置換基の構造に不飽和結合部位を含む場合、パラジウムカーボンや白金カーボンなどを用いるとこの不飽和結合部位が還元されてしまい、飽和結合となってしまう恐れがあるため、還元鉄や錫、塩化錫などの遷移金属を触媒として用いた還元条件が好ましい。
ジニトロ化合物の合成においては、下記反応式に示すように、市販のニトロインドリン誘導体、またはニトロテトラヒドロキノリン誘導体を、ハロゲンなどの脱離基Xが置換されたニトロベンゼンと反応させることにより、該ジニトロ化合物を得ることができる。好ましい脱離基Xとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシラート(−OTs)、メシラート(−OMs)などが挙げられる。
上記反応は、塩基存在下にて行なうことができる。用いる塩基は合成可能であれば特に限定はないが、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウムなどの無機塩基、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの有機塩基などが挙げられる。また、場合によっては、ジベンジリデンアセトンパラジウムやジフェニルフォスフィノフェロセンパラジウムのようなパラジウム触媒や銅触媒などを併用すると、収率を向上させることができる。合成のし易さの観点では、下記反応式で示すように、ニトロインドリン誘導体、またはニトロテトラヒドロキノリン誘導体に存在する−NH−の水素を、水素化ナトリウムなどの塩基を用いて引き抜き、4−ニトロフルオロベンゼンを反応させる方法が好ましいが、この方法以外でも合成は可能であるため、特に合成法は限定されない。
本発明のジアミンは、テトラカルボン酸及びテトラカルボン酸誘導体から選択される少なくとも一種と反応させることにより、本発明のポリアミック酸やポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体を得ることができる。このポリイミド前駆体を得るために、本発明のジアミンと、テトラカルボン酸及びその誘導体とを反応させる割合に特に限定はないが、例えば、テトラカルボン酸及びその誘導体の総モル量を100モル%とするとき、本発明のジアミンが5〜95モル%であることが好ましい。
テトラカルボン酸誘導体としては、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロリド、テトラカルボン酸ジエステル等が挙げられる。例えば、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸二無水物など、テトラカルボン酸又はその誘導体と、本発明のジアミンを含むジアミン成分とを反応させることで、ポリアミック酸を得ることができる。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドと、本発明のジアミンを含むジアミン成分との反応や、テトラカルボン酸ジエステルと本発明のジアミンを含むジアミン成分とを適当な縮合剤や、塩基の存在下等にて反応させることにより、ポリアミック酸エステルを得ることができる。なお、本明細書において、ジアミン成分とは、ポリイミド前駆体やポリイミドを得るために、テトラカルボン酸及びテトラカルボン酸誘導体から選択される少なくとも一種と反応させるジアミンであり、本発明のジアミン単独でも、本発明のジアミンとその他のジアミンとの併用でもよい。
そして、このポリイミド前駆体をイミド化する、具体的には、ポリアミック酸を脱水閉環させる、または、ポリアミック酸エステルを高温で加熱し、脱アルコールを促し閉環させることにより、本発明のポリイミドを得ることができる。
本発明のポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体、ポリイミドについて、以下にさらに詳述する。上記テトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸及びテトラカルボン酸誘導体から選択される少なくとも一種との反応によりポリアミック酸等のポリイミド前駆体を得るためのジアミン成分において、本発明のジアミンの含有割合に制限はない。本発明のポリイミド前駆体やこれをイミド化したポリイミドを用いて得られる液晶配向膜は、上記に示した本発明のジアミンの含有割合が多くなるほど、蓄積電荷が少なく蓄積した電荷の緩和が早い液晶配向膜を得ることができる。
蓄積した電荷の緩和を早くする目的では、ジアミン成分の1モル%以上が本発明のジアミンであることが好ましい。一方で、液晶配向性、プレチルト角特性等、その他の特性を考慮すると、重合に用いられるジアミン成分における本発明のジアミン成分の含有割合は20〜90モル%が好ましく、特に好ましくは30〜80モル%である。
上記ジアミン成分において、式[1]で表されるジアミンが100モル%未満の場合に使用される、式[1]で表されるジアミン以外のその他のジアミンは特に限定されない。あえてその具体例を挙げるとすれば以下の通りである。
脂環式ジアミン類の例としては、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルアミン、イソホロンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミン類の例としては、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、3,5−ジアミノトルエン、1,4−ジアミノ−2−メトキシベンゼン、2,5−ジアミノ−p−キシレン、1,3−ジアミノ−4−クロロベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸、1,4−ジアミノ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビベンジル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、2,2’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノスチルベン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,5−ビス(4−アミノフェノキシ)安息香酸、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビベンジル、2,2−ビス[(4−アミノフェノキシ)メチル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、α、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフロロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,4−ジアミノジフェニルアミン、1,8−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノアントラキノン、1,3−ジアミノピレン、1,6−ジアミノピレン、1,8−ジアミノピレン、2,7−ジアミノフルオレン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、1,2−ビス(4−アミノフェニル)エタン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェニル)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェニル)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェニル)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェニル)デカン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、1,6−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘキサン、1,7−ビス(4−アミノフェノキシ)ヘプタン、1,8−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタン、1,9−ビス(4−アミノフェノキシ)ノナン、1,10−ビス(4−アミノフェノキシ)デカン、ジ(4−アミノフェニル)プロパン−1,3−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ブタン−1,4−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ペンタン−1,5−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘキサン−1,6−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ヘプタン−1,7−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)オクタン−1,8−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)ノナン−1,9−ジオエート、ジ(4−アミノフェニル)デカン−1,10−ジオエート、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]プロパン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ブタン、1,5−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ペンタン、1,6−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ヘキサン、1,7−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ヘプタン、1,8−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]オクタン、1,9−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ノナン、1,10−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]デカンなどが挙げられる。
芳香族−脂肪族ジアミンの例としては、3−アミノベンジルアミン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノ−N−メチルベンジルアミン、4−アミノ−N−メチルベンジルアミン、3−アミノフェネチルアミン、4−アミノフェネチルアミン、3−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、4−アミノ−N−メチルフェネチルアミン、3−(3−アミノプロピル)アニリン、4−(3−アミノプロピル)アニリン、3−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、4−(3−メチルアミノプロピル)アニリン、3−(4−アミノブチル)アニリン、4−(4−アミノブチル)アニリン、3−(4−メチルアミノブチル)アニリン、4−(4−メチルアミノブチル)アニリン、3−(5−アミノペンチル)アニリン、4−(5−アミノペンチル)アニリン、3−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、4−(5−メチルアミノペンチル)アニリン、2−(6−アミノナフチル)メチルアミン、3−(6−アミノナフチル)メチルアミン、2−(6−アミノナフチル)エチルアミン、3−(6−アミノナフチル)エチルアミンなどが挙げられる。
複素環式ジアミン類の例としては、2,6−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、2,7−ジアミノジベンゾフラン、3,6−ジアミノカルバゾール、2,4−ジアミノ−6−イソプロピル−1,3,5−トリアジン、2,5−ビス(4−アミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
脂肪族ジアミン類の例としては、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,3−ジアミノ−2,2−ジメチルプロパン、1,6−ジアミノ−2,5−ジメチルヘキサン、1,7−ジアミノ−2,5−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−4,4−ジメチルヘプタン、1,7−ジアミノ−3−メチルヘプタン、1,9−ジアミノ−5−メチルヘプタン、1,12−ジアミノドデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタンなどが挙げられる。
また、その他のジアミンとして、側鎖にアルキル基、フッ素含有アルキル基、芳香環、脂肪族環、複素環、並びにそれらからなる大環状置換体を有するジアミン化合物を挙げることができる。具体的には、下記の式[DA−1]〜式[DA−30]で示されるジアミンを例示することができる。
(式中、R
13は、炭素数1〜22のアルキル基又はフッ素含有アルキル基を表し、S
5は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−CH
2−、−O−、−CO−、又は−NH−を表す。)
(式中、S
6は、−O−、−OCH
2−、−CH
2O−、−COOCH
2−、又は−CH
2OCO−を表し、R
14は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基を表す。)
(式中、S
7は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、又は−CH
2−を表し、R
15は炭素数1〜22のアルキル基、アルコキシ基、フッ素含有アルキル基又はフッ素含有アルコキシ基を表す。)
(式中、S
8は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−NHCO−、−COOCH
2−、−CH
2OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CH
2−、−O−、又は−NH−を表し、R
16はフッ素基、シアノ基、トリフルオロメタン基、ニトロ基、アゾ基、ホルミル基、アセチル基、アセトキシ基、又は水酸基を表す。)
(式中、R
17は炭素数3〜12のアルキル基を表し、1,4−シクロへキシレンのシス−トランス異性は、それぞれトランス体である。)
光により配向処理する場合においては、上記式[1]のジアミンと上記[DA−1]〜[DA−30]のジアミンを併用させることで、さらに安定したプレチルトを得ることができる。併用するジアミンとしては式[DA−10]〜[DA−30]が好ましく、より好ましくは[DA−10]〜[DA−16]のジアミンである。これらのジアミンの好ましい含有量は特に限定されないが、ジアミン成分全量に対して、5〜50モル%が好ましく、印刷性の観点では5〜30モル%が好ましい。
また、その他のジアミンとして、以下のジアミンも挙げられる。
(式中、iは0〜3の整数であり、jは1〜5の整数である。)
[DA−31]や[DA−32]を導入することにより電圧保持率(VHR)を向上させることができ、また、[DA−33]〜[DA−38]は蓄積電荷を低減させることができる。
また、下記の式[DA−39]で示されるようなジアミノシロキサンなども挙げることができる。
このようなその他のジアミン化合物は、液晶配向膜とした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類または2種類以上を混合して使用することもできる。
本発明のポリアミック酸等のポリイミド前駆体を得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸及びその誘導体は特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−二無水物、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
更には、上記脂環式構造又は脂肪族構造を有するテトラカルボン酸二無水物に加えて、芳香族テトラカルボン酸二無水物を使用すると、液晶配向性が向上し、かつ液晶セルの蓄積電荷を低減させることができるので好ましい。芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
本発明のポリアミック酸エステルを得るためにジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸ジアルキルエステルも特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
脂肪族テトラカルボン酸ジエステルの具体的な例としては1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸ジアルキルエステル、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸ジアルキルエステル、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸ジアルキルエステル、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸ジアルキルエステル、シス−3,7−ジブチルシクロオクタ−1,5−ジエン−1,2,5,6−テトラカルボン酸ジアルキルエステル、トリシクロ[4.2.1.02,5]ノナン−3,4,7,8−テトラカルボン酸−3,4:7,8−ジアルキルエステル、ヘキサシクロ[6.6.0.12,7.03,6.19,14.010,13]ヘキサデカン−4,5,11,12−テトラカルボン酸−4,5:11,12−ジアルキルエステル、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンー1,2−ジカルボンジアルキルエステルなどが挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸ジアルキルエステルとしては、ピロメリット酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸ジアルキルエステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,3’,4−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテルジアルキルエステル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジアルキルエステル、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸ジアルキルエステル、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸ジアルキルエステルなどが挙げられる。
なお、本発明のジアミン等のジアミン成分を、ジカルボン酸と反応させることにより、ポリアミドを合成することもできる。ポリアミドを得るためにジアミン成分と反応させるジカルボン酸は特に限定されない。その具体例を以下に挙げる。
ジカルボン酸またはその誘導体の脂肪族ジカルボン酸の具体例として、マロン酸、蓚酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ムコン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライイン酸、セバシン酸およびスベリン酸等のジカルボン酸を挙げることができる。
脂環式系のジカルボン酸としては、1,1−シクロプロパンジカルボン酸、1,2−シクロプロパンジカルボン酸、1,1−シクロブタンジカルボン酸、1,2−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、3,4−ジフェニル−1,2−シクロブタンジカルボン酸、2,4−ジフェニル−1,3−シクロブタンジカルボン酸、1−シクロブテン−1,2−ジカルボン酸、1−シクロブテン−3,4−ジカルボン酸、1,1−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−(2−ノルボルネン)ジカルボン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3−ジカルボン酸、2,5−ジオキソ−1,4−ビシクロ[2.2.2]オクタンジカルボン酸、1,3−アダマンタンジカルボン酸、4,8−ジオキソ−1,3−アダマンタンジカルボン酸、2,6−スピロ[3.3]ヘプタンジカルボン酸、1,3−アダマンタン二酢酸、カンファー酸等を挙げることができる。
芳香族ジカルボン酸としては、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−アミノイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、テトラメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラキノンジカルボン酸、2,5−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,5−ビフェニレンジカルボン酸、4,4"−ターフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビベンジルジカルボン酸、4,4’−スチルベンジカルボン酸、4,4’−トランジカルボン酸、4,4’−カルボニル二安息香酸、4,4’−スルホニル二安息香酸、4,4’−ジチオ二安息香酸、p−フェニレン二酢酸、3,3’−p−フェニレンジプロピオン酸、4−カルボキシ桂皮酸、p−フェニレンジアクリル酸、3,3’−[4,4’−(メチレンジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4’−[4,4’−(オキシジ−p−フェニレン)]ジプロピオン酸、4,4’−[4,4’−(オキシジ−p−フェニレン)]二酪酸、(イソプロピリデンジ−p−フェニレンジオキシ)二酪酸、ビス(p−カルボキシフェニル)ジメチルシラン等のジカルボン酸を挙げることができる。
複素環を含むジカルボン酸としては、1,5−(9−オキソフルオレン)ジカルボン酸、3,4−フランジカルボン酸、4,5−チアゾールジカルボン酸、2−フェニル−4,5−チアゾールジカルボン酸、1,2,5−チアジアゾール−3,4−ジカルボン酸、1,2,5−オキサジアゾール−3,4−ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸、2,6−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジンジカルボン酸、3,5−ピリジンジカルボン酸等を挙げることができる。
上記の各種ジカルボン酸は酸ジハライドあるいは無水の構造のものであってもよい。これらのジカルボン酸類は、液晶分子の配向性を保つために、直線的な構造のポリアミドを与えることが可能なジカルボン酸類であることが好ましい。これらの中でも、テレフタル酸、イソテレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルヘキサフルオロプロパンジカルボン酸、2,2−ビス(フェニル)プロパンジカルボン酸、4、4鋳タ−フェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン酸またはこれらの酸ジハライド等が好ましい。これらの化合物には異性体が存在するものもあるが、それらを含む混合物であってもよい。また、2種以上の化合物を併用してもよい。なお、本発明に使用するジカルボン酸類は、上記の例示化合物に限定されるものではない。
上記テトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸やその誘導体は、液晶配向膜にした際の液晶配向性、電圧保持特性、蓄積電荷などの特性に応じて、1種類または2種類以上を併用することができる。
ジアミン成分と、テトラカルボン酸及びテトラカルボン酸誘導体から選択される少なくとも一種とを反応させてポリアミック酸等のポリイミド前駆体を得る方法として、公知の合成手法を用いることができる。
例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分との反応により、本発明のポリアミック酸を得る方法として、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる方法が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応は、有機溶媒中で比較的容易に進行し、かつ副生成物が発生しない点で有利である。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応に用いる有機溶媒としては、生成したポリアミド酸が溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、ジペンテン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを有機溶媒中で反応させる際には、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物をそのまま、または有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、これらのいずれの方法を用いてもよい。また、テトラカルボン酸二無水物またはジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、あらかじめ混合した状態で反応させても良く、個別に順次反応させてもよく、さらに個別に反応させた低分子量体を混合反応させ高分子量体としてもよい。
その際の重縮合の温度は−20℃〜150℃の任意の温度を選択することができるが、好ましくは−5℃〜100℃の範囲である。また、重縮合反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加してもよい。
ポリアミック酸の重合反応においては、テトラカルボン酸二無水物の合計モル数と、ジアミン成分の合計モル数の比(テトラカルボン酸二無水物の合計モル数/ジアミン成分の合計モル数)は、0.8〜1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成するポリアミック酸の分子量は大きくなる。
また、ポリアミック酸エステルは、上記のようにテトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミン成分との反応や、テトラカルボン酸ジエステルとジアミン成分を適当な縮合剤、塩基の存在下にて反応させることにより得ることができる。または、上記の方法で予めポリアミック酸を合成し、高分子反応を利用してアミック酸中のカルボン酸をエステル化することでも得ることができる。
具体的には、例えば、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1時間〜4時間反応させることによって、ポリアミック酸エステルを合成することができる。
塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンが使用できるが、反応が穏和に進行するためピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
また、テトラカルボン酸ジエステルとジアミン成分を、縮合剤存在下にて重縮合する場合、塩基として、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニル、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物などが使用できる。
また、上記縮合剤を用いる方法において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量は反応させるジアミンまたはテトラカルボン酸ジエステルに対して0.1〜1.0倍モル量であることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、上記にて示したポリアミック酸を合成する際に用いられる溶媒と同様の溶媒で行なうことができるが、モノマーおよびポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、重合体の析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドやテトラカルボン酸ジエステル等のテトラカルボン酸誘導体とジアミン成分の反応溶液中での合計濃度が1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることがよく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
本発明のポリイミドは、上記ポリアミック酸を脱水閉環させることにより得られる。本発明のポリイミドにおいて、アミド酸基の脱水閉環率(イミド化率)は、必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
ポリアミック酸をイミド化させる方法としては、ポリアミック酸の溶液をそのまま加熱する熱イミド化や、ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
ポリアミック酸を溶液中で熱イミド化させる場合の温度は、100℃〜400℃、好ましくは120℃〜250℃であり、イミド化反応により生成する水を系外に除きながら行うことが好ましい。
ポリアミック酸の触媒イミド化は、ポリアミック酸の溶液に、塩基性触媒と酸無水物とを添加し、−20〜250℃、好ましくは0〜180℃で攪拌することにより行うことができる。塩基性触媒の量はアミド酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミド酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミンなどを挙げることができ、中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。酸無水物としては、無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などを挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。触媒イミド化によるイミド化率は、触媒量と反応温度、反応時間を調節することにより制御することができる。
また、上述のように、ポリアミック酸エステルを高温で加熱し、脱アルコールを促し閉環させることによっても、ポリイミドを得ることができる。
なお、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体や、ポリイミドの反応溶液から、生成したポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミドを回収する場合には、反応溶液を貧溶媒に投入して沈殿させればよい。沈殿に用いる貧溶媒としてはメタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン、水などを挙げることができる。貧溶媒に投入して沈殿させたポリイミド前駆体やポリイミドは濾過して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱して乾燥することができる。また、沈殿回収したポリイミド前駆体やポリイミドを、有機溶媒に再溶解させ、再沈殿回収する操作を2〜10回繰り返すと、重合体中の不純物を少なくすることができる。この際の貧溶媒として、例えば、アルコール類、ケトン類、炭化水素などが挙げられ、これらの内から選ばれる3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有させるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体やポリイミドの分子量は、得られる塗膜の強度及び、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性を考慮した場合、GPC(Gel Permeation Chromatography)法で測定した重量平均分子量で5,000〜1,000,000とするのが好ましく、より好ましくは、10,000〜150,000である。
本発明の上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体及びポリイミドは、溶媒と共に用いて、液晶配向剤とすることができる。液晶配向剤とは液晶配向膜を形成するための溶液であり、液晶配向膜を形成するための重合体成分を有機溶媒に分散または溶解した溶液である。なお、液晶配向膜とは液晶を所定の方向に配向させるための膜である。そして、本発明においては、上記重合体成分として、本発明の上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体及びポリイミドから選択される少なくとも一種を含有する。
本発明の液晶配向剤において、含有する重合体成分は、全てが本発明の上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体やポリイミドであってもよく、また、本発明の上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体やポリイミドに、その他の重合体が混合されていてもよい。重合体成分としてその他の重合体を含有する場合、重合体成分全量におけるその他の重合体の含有量は0.5質量%〜50質量%、好ましくは1質量%〜30質量%である。複数種の重合体の混合物とすることにより、液晶配向剤や液晶配向膜の特性を向上させることができる。
このようなその他の重合体としては、例えば、テトラカルボン酸ニ無水物成分と反応させるジアミン成分として、本発明の上記式[1]で表されるジアミン以外のジアミンを使用して得られるポリアミック酸、ポリアミック酸エステルやポリイミドなどが挙げられる。
液晶配向剤において、本発明の上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル等のポリイミド前駆体及びポリイミドから選択される少なくとも一種、及び、必要に応じて混合するその他の重合体の含有割合は、重合体成分全量で1質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜15質量%、特に好ましくは3〜10質量%である。
本発明の液晶配向剤に用いる溶媒は、重合体成分を溶解させる有機溶媒であれば特に限定されない。その具体例として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、2−ピロリドン、N−エチルピロリドン、N−ビニルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロパンアミド、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、エチルアミルケトン、メチルノニルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジグライム、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンなどが挙げられる。これらは単独で使用しても、混合して使用してもよい。
本発明の液晶配向剤は、上記以外の成分を含有してもよい。その例としては、液晶配向剤を塗布した際の膜厚均一性や表面平滑性を向上させる溶媒や化合物、液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物などである。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる溶媒(貧溶媒)の具体例としては、例えば、イソプロピルアルコール、メトキシメチルペンタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−tert−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノアセテートモノプロピルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジイソプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルブチレート、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロへキセン、プロピルエーテル、ジヘキシルエーテル、1−ヘキサノール、n−へキサン、n−ペンタン、n−オクタン、ジエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステルなどの低表面張力を有する溶媒などが挙げられる。
これらの貧溶媒は1種類でも複数種類を混合して用いてもよい。上記のような溶媒を用いる場合は、液晶配向剤に含まれる溶媒全体の5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜60質量%である。
膜厚の均一性や表面平滑性を向上させる化合物としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ノ二オン系界面活性剤などが挙げられる。より具体的には、例えば、エフトップEF301、EF303、EF352(トーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F173、R−30(大日本インキ社製)、フロラードFC430、FC431(住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106(旭硝子社製)などが挙げられる。これらの界面活性剤の使用割合は、液晶配向剤に含有される樹脂成分の100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物の具体例としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタン等の官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物などが挙げられる。
更に、基板と膜の密着性向上に加え、バックライトによる電気特性低下などを防ぐ目的で以下のようなフェノプラスト系の添加剤を導入してもよい。具体的なフェノプラスト系添加剤を以下に示すが、この構造に限定されない。
基板との密着性を向上させる化合物を使用する場合、その使用量は、液晶配向剤に含有される重合体成分100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜20質量部である。使用量が0.1質量部未満であると密着性向上の効果は期待できず、30質量部よりも多くなると液晶の配向性が悪くなる場合がある。
本発明の液晶配向剤には、上記の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、液晶配向膜の誘電率や導電性などの電気特性を変化させる目的で、誘電体や導電物質、さらには、液晶配向膜にした際の膜の硬度や緻密度を高める目的の架橋性化合物を添加してもよい。
本発明の液晶配向剤は、基板上に塗布、焼成した後、ラビング処理や光照射などで配向処理をして、又は垂直配向用途などでは配向処理無しで液晶配向膜として用いることができる。このような本発明の液晶配向膜は、本発明のジアミンを用いて形成されたポリイミド前駆体やポリイミドを含有するため、ピンホールの形成やエッジ部等の膜厚のムラがなく、また、電荷の蓄積が起こりにくく、かつ蓄積した電荷の抜けが早いものである。
基板としては透明性の高いものであれば特に限定されず、ガラス基板、若しくはアクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板などを用いることができる。また、液晶駆動のためのITO電極などが形成された基板を用いることがプロセスの簡素化の観点から好ましい。そして、反射型の液晶表示素子では片側の基板のみにならばシリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極はアルミ等の光を反射する材料も使用できる。また、TFT型の素子のような高機能素子においては、液晶駆動のための電極と基板の間にトランジスタの如き素子が形成されたものが用いられる。
液晶配向剤の塗布方法は特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェットなどで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ、ロールコーター、スリットコーター、スピンナーなどがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向剤を基板上に塗布した後の焼成は、ホットプレート、熱風循環炉、赤外線炉などの加熱手段により50〜300℃、好ましくは80〜250℃で行い、溶媒を蒸発させて、塗膜を形成させることができる。焼成後に形成される塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5〜300nm、より好ましくは10〜100nmである。液晶を水平配向や傾斜配向させる場合は、焼成後の塗膜をラビング又は偏光紫外線照射などで処理する。
本発明の液晶表示素子は、上記した手法により本発明の液晶配向剤から液晶配向膜付き基板を得た後、公知の方法で液晶セルを作製し、液晶表示素子としたものである。一例を挙げるならば、対向するように配置された2枚の基板と、基板間に設けられた液晶層と、基板と液晶層との間に設けられ本発明の液晶配向剤により形成された上記液晶配向膜とを有する液晶セルを具備する液晶表示素子である。
本発明の液晶表示素子に用いる基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されないが、通常は、基板上に液晶を駆動するための透明電極が形成された基板である。具体例としては、上記液晶配向膜で記載した基板と同様のものを挙げることができる。
また、液晶配向膜は、この基板上に本発明の液晶配向剤を塗布した後焼成することにより形成されるものであり、詳しくは上述したとおりである。
本発明の液晶表示素子の液晶層を構成する液晶材料は特に限定されず、従来の垂直配向方式で使用される液晶材料、例えばメルク社製のMLC−2003、MLC−6608、MLC−6609などを用いることができる。
液晶セル作製の一例を挙げるならば、液晶配向膜の形成された1対の基板を用意し、一方の基板の液晶配向膜上にビーズ等のスペーサーを散布し、液晶配向膜面が内側になるようにして、もう一方の基板を貼り合わせ、液晶を減圧注入して封止する方法、又は、スペーサーを散布した液晶配向膜面に液晶を滴下した後に基板を貼り合わせて封止を行う方法などが例示できる。このときのスペーサーの厚みは、好ましくは1〜30μm、より好ましくは2〜10μmである。
以上のようにして、本発明の液晶配向剤を用いて作製された液晶表示素子は、信頼性に優れたものとなり、大画面で高精細の液晶テレビなどに好適に利用できる。
以下、実施例に基づいてさらに詳述するが、本発明はこの実施例により何ら限定されるものではない。
[ジアミンの合成]
下記で用いた略号は以下の通りである。
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
RT:室温(25℃)
(合成実施例1)下記式で表される1−(4−アミノフェニル)−5−アミノインドリン[Diamine−1]の合成
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドリンの合成
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)9.30g(213mmol)、脱水DMF100mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら5−ニトロインドリンのDMF溶液(5−ニトロインドリン:35.0g(213mmol)、DMF:100mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温にて2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:33.0g(234.5mmol)、DMF:100mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより橙色の固体54.7g(収率90%)を得た。
(第二工程) Diamine−1の合成
300mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドリン15.0g(52.6mmol)と、10質量%パラジウムカーボン1.50gを測り取り、エタノール150mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−1)である薄紫色の固体10.5g(収率:89%)を得た。その構造は、分子内水素原子の核磁気共鳴スペクトルである1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D6]−DMSO)δ: 6.87−6.23(Aromatic−H、7H)、4.77−4.68(s−br、2H)、4.39−4.38(s−br、2H)、3,62−3,58(t、2H)、2.89−2.87(t、2H)
(合成実施例2)下記式で表される1−(4−アミノフェニル)−2−メチル−5−アミノインドリン[Diamine−2]の合成(ラセミ混合)
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−2−メチル−5−ニトロインドリンの合成
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)2.45g(56.1mmol)、脱水DMF100mL加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら2−メチル−5−ニトロインドリンのDMF溶液(2−メチル−5−ニトロインドリン:10.0g(56.1mmol)、DMF:50mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温で2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:8.7g(61.7mmol)、DMF:50mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより橙色の固体14.4g(収率:86%))を得た。
(第二工程)Diamine−2の合成
300mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−2−メチル−5−ニトロインドリン10.0g(56.1mmol)と、10質量%パラジウムカーボン1.00gを測り取り、エタノール150mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−2)である薄ピンク色の固体7.03g(収率:89%)を得た。その構造は、1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D6]−DMSO)δ: 6.86−6.84(d、2H)、6.56−6.22(Aromatic−H、7H)、4.77−4.68(s−br、2H)、4.39−4.38(s−br、2H)、4.83−4.81(m、1H)、3,42−3,38(dd、1H)、2.89−2.87(dd、1H)1.48−1.47(s、3H)
(合成実施例3)1−(4−アミノフェニル)−2,3,3−トリメチル−5−アミノインドリン[Diamine−3]の合成(ラセミ混合)
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドリンの合成
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)2.16g(48.5mmol)、脱水DMF100mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドリンのDMF溶液(2,3,3−トリメチル−5−ニトロインドリン:10.0g(48.5mmol)、DMF:50mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温で2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:7.52g(53.3mmol)、DMF:50mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより橙色の固体13.5g(収率:85%)を得た。
(第二工程)Diamine−3の合成
300mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−2,3,3−ジメチル−5−ニトロインドリン10.0g(30.5mmol)と、10質量%パラジウムカーボン1.00gを測り取り、エタノール150mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−3)である薄紫色の固体7.50g(収率:92%)を得た。その構造は1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D6]−DMSO)δ: 6.86−6.22(Aromatic−H、7H)、4.74−4.66(s−br、2H)、4.41−4.39(s−br、2H)、4.23−4.21(m、1H)、1.48−1.14(s、9H)
(合成実施例4)下記式で表される1−(4−アミノフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン[Diamine−4]の合成
(第一工程)6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノキノリンの合成
200mL四口フラスコに6−アミノキノリン5.00g(34.7mmol)をTHF100mLに溶解させ、二炭酸tertブチルを7.57g(34.7mmol)加え、窒素雰囲気下にて20時間還流させた。
反応終了後、ロータリーエバポレーターによりTHFを除去し、酢酸エチルを加え、純水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた。ろ過にて無水硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、残渣を酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(1:4体積比)にて再結晶を行い、白色の固体7.29g(86%)を得た。
(第二工程)6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの合成
100mL二口フラスコに第一工程で得られた6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノキノリン5.00g(20.4mmol)と10質量%パラジウムカーボン0.50gを測り取り、メタノール50mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、60℃にて激しく撹拌させた。
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(2:3質量比)にて再結晶を行い、白色のガラス状固体3.65g(収率:72%)を得た。
(第三工程)1−(4−ニトロフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンの合成
100mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)0.615g(14.1mmol)、脱水DMF20mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら第二工程で得られた6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンのDMF溶液(6−(tert-ブトキシカルボニル)アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン:3.50g(14.1mmol)、DMF:20mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:2.19g(15.5mmol)、DMF:20mL)を滴下し、窒素雰囲気下にて室温で20時間撹拌した。
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水30mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水100mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより黄色の固体を得た。この固体に4N塩酸−酢酸エチル溶液を加え、40℃で2時間撹拌させた。反応溶液に純水を加え、水層を回収し、炭酸水素ナトリウムを用いて中和し、酢酸エチルを加え抽出し、水、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥させた。ろ過にて無水硫酸マグネシウムを除去した後、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー法(酢酸エチルとジクロロエタンの混合溶媒1:1体積比)にて行い、黄色の固体2.20g(収率:58%)を得た。
(第四工程)1−(4−アミノフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン[Diamine−4]の合成
500mL四口フラスコに第三工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−6−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを10.0(37.1mmol)、10質量%パラジウムカーボン1.00gを測り取り、エタノール300mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、室温にて激しく撹拌させた。
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、n−ヘキサンと酢酸エチルの混合溶液(5:1質量比)にて再結晶を行い、目的のジアミン(Diamine−4)である薄紫色の固体7.30g(収率:82%)を得た。その構造は1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D6]−DMSO)δ: 6.85−6.35(Aromatic−H、7H)、5.00−4.98(s−br、2H)、4.59−4.58(s−br、2H)、3,94−3,93(m、2H)、2.89−2.87(m、2H)、2.66−2.64(m、2H)
(合成比較例1)1−(4−アミノフェニル)−5−アミノインドール[Diamine−5]の合成
(第一工程)1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドールの合成
500mL二口フラスコに水素化ナトリウム(純度55%)4.48g(101.8mmol)、脱水DMF50mLを加え、窒素雰囲気下にて撹拌しながら5−ニトロインドールのDMF溶液(5−ニトロインドール:15.0g(92.5mmol)、DMF:100mL)を30℃を超えないように滴下した。滴下終了後室温で2時間撹拌した。この反応溶液に4−フルオロニトロベンゼンのDMF溶液(4−フルオロニトロベンゼン:13.1g(92.5mmol)、DMF:100mL)を滴下し、窒素雰囲気下室温にて6時間撹拌した。
反応終了後、反応溶液を撹拌しながら純水100mLをゆっくり注ぎ、固体を析出させ、析出した固体をろ過し、再度DMFに溶解させ、純水500mLに注ぎ再沈殿させ再び固体をろ過し回収した。得られた固体をメタノール、n−ヘキサンにて分散洗浄し、真空乾燥させることにより黄色の固体25.0g(収率95%)を得た。
(第二工程)1−(4−アミノフェニル)−5−アミノインドール[Diamine−5]の合成
500mL四口フラスコに第一工程で得られた1−(4−ニトロフェニル)−5−ニトロインドールを20.0g(70.6mmol)、10質量%パラジウムカーボン2.00gを測り取り、エタノール300mLを加え、十分窒素置換した後、水素ガス雰囲気にし、42時間還流させた。
反応終了後、パラジウムカーボンをガラスフィルターを用いてろ過し、ろ液をロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した。得られた残渣をアセトンに溶解させ活性炭を加えしばらく撹拌し、活性炭をろ過し、ロータリーエバポレーターにてアセトンを除去した後、残渣をn−ヘキサンにて洗浄することにより、目的のジアミン(Diamine−5)である薄ピンク色の固体15.0g(収率:95%)を得た。その構造は1H−NMRスペクトルにて確認した。測定データを以下に示す。
1H NMR (400 MHz,[D6]−DMSO)δ: 7.25−6.28(Aromatic−H、9H)、5.20(s−br、2H)、4.56(s−br、2H)
[ポリアミック酸及びポリイミドの合成並びに液晶配向剤の調製]
下記に使用した化合物の略号は、以下のとおりである。また、各実施例及び比較例で合成した重合体の原料及び液晶配向剤の組成を表1及び表2に示す。
<テトラカルボン酸二無水物>
CBDA:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TDA:3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物
CBDE:1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸ジメチルエステル
<ジアミン>
p−PDA:1,4−フェニレンジアミン
DDM:4,4−ジアミノジフェニルメタン
C16DAB:4−ヘキサデシルオキシ−1,3−ジアミノベンゼン
<縮合剤>
DMT−MM:4−(4,6−ジメトキシー1,3,5−トリアジンー2−イル)4−メトキシモルホリウムクロリド n−水和物
<有機溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
γ−BL:γ−ブチロラクトン
BC:ブチルセロソルブ
DPM:ジプロピレングリコールモノメチルエーテル
<分子量の測定>
重合反応により得られたポリマーの分子量は、該ポリマーをGPC(常温ゲル浸透クロマトグラフィー)装置によって測定し、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド換算値として数平均分子量と重量平均分子量を算出した。
GPC装置:Shodex社製 (GPC−101)
カラム:Shodex社製 (KD803、KD805の直列)
カラム温度:50℃
溶離液:N,N−ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム−水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o−リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
流速:1.0mL/分
検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量 約900,000、150,000、100,000、30,000)、および、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
<イミド化率の測定>
ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6、0.05%TMS混合品)0.53mLを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液を日本電子データム(株)製NMR測定器(JNW−ECA500)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピーク積算値と、9.5〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。なお、上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロトンのピーク積算値、αはポリアミック酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のNH基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
(実施例1)CBDA/Diamine−1を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例1で得られたDiamine−1を1.50g(6.65mmol)、NMPを15.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.22g(6.20mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−1)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−1)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−1)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−1を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,300、重量平均分子量は33,100であった。
(実施例2)CBDA/Diamine−2を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例2で得られたDiamine−2を1.50g(6.25mmol)、NMPを15.0gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.14g(5.80mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−2)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−2)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−2)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−2を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,700、重量平均分子量は35,600であった。
(実施例3)CBDA/Diamine−3を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例3で得られたDiamine−3を1.50g(5.80mmol)、NMPを14.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.02g(5.20mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−3)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−3)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−3)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−3を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は11,000、重量平均分子量は31,300であった。
(実施例4)CBDA/Diamine−4を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例4で得られたDiamine−4を1.50g(6.25mmol)、NMPを15.0gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.14g(5.80mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−4)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−4)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−4)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、本発明の液晶配向剤−4を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は14,200、重量平均分子量は36,700であった。
(比較例1)CBDA/Diamine−5を用いたポリアミック酸の合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成比較例1で得られたDiamine−5を1.50g(6.75mmol)、NMPを15.4gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.23g(6.25mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−5)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−5)溶液15.0gを50mL三角フラスコに移し、NMPを15.0g、BCを7.50gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−5)が6質量%、NMPが74質量%、BCが20質量%の溶液とし、比較対象とする液晶配向剤−5を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,300、重量平均分子量は32,100であった。
(実施例5)CBDA/Diamine−1、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例1で得られたDiamine−1を2.00g(8.88mmol)、C16DABを0.774g(2.22mmol)、NMPを27.2gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.81g(10.3mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−6)の濃度15質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−6)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.19gとピリジン0.90gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール180mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−1)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,200、重量平均分子量は23,500であった。また、イミド化率は81%であった。
ポリイミド(SPI−1)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−1)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−6を得た。
(実施例6)CBDA/Diamine−2、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例2で得られたDiamine−2を2.00g(8.36mmol)、C16DABを0.728g(2.09mmol)、NMPを6.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.90g(9.71mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−7)の濃度15質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−7)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.12gとピリジン0.88gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール160mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−2)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,800、重量平均分子量は24,200であった。また、イミド化率は80%であった。
ポリイミド(SPI−2)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−2)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−7を得た。
(実施例7)CBDA/Diamine−3、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例3で得られたDiamine−3を2.00g(7.47mmol)、C16DABを0.651g(1.87mmol)、NMPを24.7gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.51g(8.68mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−8)の濃度15質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−8)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.00gとピリジン0.83gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール160mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−3)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,500、重量平均分子量は22,200であった。また、イミド化率は81%であった。
ポリイミド(SPI−3)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−3)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−8を得た。
(実施例8)CBDA/Diamine−4、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例4で得られたDiamine−4を2.00g(8.36mmol)、C16DABを0.728g(2.09mmol)、NMPを6.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを1.90g(9.71mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−8)の濃度15質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−8)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.12gとピリジン0.88gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール180mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール100mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−4)の薄紫色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は10,200、重量平均分子量は28,900であった。また、イミド化率は82%であった。
ポリイミド(SPI−4)2.00gに、γ−BL18.0gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL8.0g、BC12.0gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−4)が5質量%、γ−BLが65質量%、BCが30質量%の液晶配向剤−9を得た。
(比較例2)CBDA/Diamine−5、C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成比較例1で得られたDiamine−5を2.00g(8.96mmol)、C16DABを0.781g(2.24mmol)、NMPを27.3gを加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.04g(10.4mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−9)の濃度15質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−9)溶液20gに、NMPを30.0g加えて希釈し、無水酢酸2.20gとピリジン0.91gを加え、40℃で反応させたが、しばらく経つとゲル化が始まり撹拌不能となった。可溶性ポリイミド(SPI−5)の調製はできなかった。よって比較対象となる液晶配向剤−10は調製できなかった。
(実施例9)
<CBDA/Diamine−1、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例1で得られたDiamine−1を2.50g(11.1mmol)、DDMを0.943g(4.77mmol)、NMPを17.9g、γ−BLを17.9g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.89g(14.8mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−10)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−10)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−10)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA1)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は10,400、重量平均分子量は29,100であった。
<TDA/p−PDA,C16DABを用いた可溶性ポリイミドの合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、p−PDAを2.00g(18.5mmol)、C16DABを0.718g(2.06mmol)、NMPを35.4gを加え、約10℃に冷却し、TDAを6.12g(20.4mmol)加え、窒素雰囲気下40℃で20時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−15)の濃度20質量%の溶液を得た。
ポリアミック酸(PAA−15)溶液40.0gに、NMPを93.3g加えて希釈し、無水酢酸9.51gとピリジン7.36gを加え、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を室温程度まで冷却後、約10℃に冷やしたメタノール500mL中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール300mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリイミド(SPI−6)の白色粉末を得た。このポリイミドの数平均分子量は9,500、重量平均分子量は20,900であった。また、イミド化率は85%であった。
ポリイミド(SPI−6)7.00gに、γ−BL80.5gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL29.2gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリイミド(SPI−6)が6質量%、γ−BLが94質量%の溶液とし、ブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)を得た。
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA1)を200mL三角フラスコに40g測り取り、調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−1を得た。
(実施例10)
<CBDA/Diamine−2、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例2で得られたDiamine−2を2.50g(10.4mmol)、DDMを0.887g(4.47mmol)、NMPを17.3g、γ−BLを17.3g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.72g(13.9mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−11)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−11)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−11)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA2)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は11,200、重量平均分子量は31,000であった。
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA2)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−2を得た。
(実施例11)
<CBDA/Diamine−3、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例3で得られたDiamine−3を2.50g(9.35mmol)、DDMを0.794g(4.01mmol)、NMPを16.2g、γ−BLを16.2g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.43g(12.4mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−12)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−12)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−12)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA3)を得たこのポリアミック酸の数平均分子量は13,600、重量平均分子量は36,000であった。
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA3)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−3を得た。
(実施例12)
<CBDA/Diamine−4、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成実施例4で得られたDiamine−4を2.50g(10.4mmol)、DDMを0.887g(4.47mmol)、NMPを17.3g、γ−BLを17.3g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.72g(13.9mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−13)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−13)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−13)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は12,500、重量平均分子量は30,800であった。
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−4を得た。
(比較例3)
<CBDA/Diamine−5、DDMを用いたポリアミック酸の合成>
50mL四口フラスコにジアミン成分として、合成比較例1で得られたDiamine−5を2.50g(11.2mmol)、DDMを0.952g(4.80mmol)、NMPを18.1g、γ−BLを18.1g加え、約10℃に冷却し、CBDAを2.92g(14.9mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下6時間反応させ、ポリアミック酸(PAA−14)の濃度15質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAA−14)溶液30.0gを100mL三角フラスコに移し、NMPを28.0g、γ−BLを2.20g、BCを15.0gを加えて希釈し、ポリアミック酸(PAA−14)が6質量%、NMPが54質量%、γ−BLが20質量%、BCが20質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA5)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量は13,600、重量平均分子量は37,700であった。
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を200mL三角フラスコにそれぞれ40g測り取り、実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリイミド溶液(BL−SPI)10.0gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−5を得た。
(実施例13)
<ブレンド用PAE>
100mL四口フラスコにCBDEを6.35g(24.4mmol)、ジアミン成分として、p−PDAを250g(23.1mmol)、C16DABを0.896g(2.57mmol)、NMPを71.5g、トリエチルアミン0.60g(5.90mmol)を加え、約10℃に冷却し、DMT−MMを21.3g(77.1mmol)加え、室温に戻し窒素雰囲気下24時間反応させ、ポリアミック酸エステル(PAE−1)の濃度12質量%の溶液を得た。
このポリアミック酸(PAE−1)溶液にNMPを81.2g加え、約10℃に冷やしたメタノール1.0L中に攪拌しながらゆっくり注ぎ、固体を析出させた。沈殿した固体を回収し、さらに、メタノール500mLで計2回分散洗浄し、100℃で減圧乾燥することで、ポリアミック酸エステル(PAE−1)の白色粉末を得た。このポリアミック酸エステルの数平均分子量は12,300、重量平均分子量は27,000であった。
このポリアミック酸エステル(PAE−1)7.00gに、γ−BL80.5gを加え、50℃で20時間攪拌した。攪拌終了時点でポリイミドは完全に溶解していた。さらにこの溶液にγ−BL29.2gを加え、50℃で20時間攪拌し、ポリアミック酸エステル(PAE−1)が6質量%、γ−BLが94質量%の溶液とし、ブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を得た。
<ブレンド系液晶配向剤の調製>
実施例9と同様の方法で調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA1)を200mL三角フラスコに40g測り取り、調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−6を得た。
(実施例14)
実施例10と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA2)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−7を得た。
(実施例15)
実施例11と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA3)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−8を得た。
(実施例16)
実施例12と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA4)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−9を得た。
(比較例4)
比較例3と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸溶液(BL−PAA5)を200mL三角フラスコに40g測り取り、実施例13と同様にして調製したブレンド用ポリアミック酸エステル溶液(BL−PAE)を10.0g加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌させ、ブレンド系液晶配向剤BL−10(比較例)を得た。
(試験例1)ワニス(液晶配向剤)印刷性試験
実施例1〜16及び比較例1〜4で調製した液晶配向剤を、洗浄したCr板上に配向膜印刷機(日本写真印刷社製「オングストローマー」)を用いてフレキソ印刷を行なうことにより塗布性試験を行なった。アニロックスロールに約1.0mLの液晶配向剤を滴下し、空運転を10回実施した後、10分間印刷機を止め、印刷版を乾燥させた。その後、Cr基板1枚に印刷を行い、印刷後の基板は70℃のホットプレート上に5分間放置して、塗膜の仮乾燥を行い、膜状態の観察を行った。観察は目視と光学顕微鏡(ニコン社製「ECLIPSE ME600」)にて50倍で観察した。ピンホールが観察されなかった場合を良好、ピンホールが観察された場合を不良とし、また、エッジ部の膜厚にムラが生じなかった場合を良好、エッジ部の膜厚にムラが生じた場合を不良として評価した。結果を表3に示す。
[液晶セルの作製]
実施例1〜16及び比較例1〜4で調製した液晶配向剤について、以下のようにして液晶セルを作製した。液晶配向剤を透明電極付きガラス基板にスピンコートし、80℃のホットプレート上で70秒間乾燥させた後、220℃のホットプレート上で10分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させた。ラビングによる液晶配向処理について、この塗膜面をロール径120mmのラビング装置でレーヨン布を用いて、ロール回転数1000rpm、ロール進行速度50mm/sec、押し込み量0.3mmの条件でラビングし、液晶配向膜付き基板を得た。
このように液晶配向処理を行なった液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜面上に6μmのスペーサーを散布した後、その上からシール剤を印刷し、もう1枚の基板を液晶配向膜面が向き合いラビング方向が直行するようにして張り合わせ(ツイストネマティック液晶セル)、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、ツイストネマティックセルにおいては液晶MLC−2003(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、ツイストネマティック液晶セルを得た。
(試験例2)高温エージング試験前後のイオン密度の測定
上記の[液晶セルの作製]に記載の方法で作製した液晶セルについて、初期状態のイオン密度を測定し、また、100℃で30時間保持(高温エージング)した後のイオン密度測定を行った。イオン密度測定においては、液晶セルに電圧±10V、周波数0.01Hzの三角波を印可した時のイオン密度を測定した。測定温度は80℃で行った。測定装置は、いずれの測定も東陽テクニカ社製6245型液晶物性評価装置を用いた。結果を表3に示す。
(試験例3)高温エージング試験前後の蓄積電荷(RDC)測定
作製した液晶セルに、23℃の温度下で直流電圧を0Vから0.1V間隔で1.0Vまで印加し、各電圧でのフリッカー振幅レベルを測定し、フリッカー振幅と印加直流電圧における検量線を作成した。5分間アースした後、輝度が半分となる交流電圧(V50)と、直流電圧5.0Vを印加し、1時間後のフリッカー振幅レベルを測定し、予め作成した検量線と照らし合わせる事によりRDCを見積もった(フリッカー参照法)。その後、直流電圧を0Vにし、同様の方法にて10分後のRDCを見積もることで、RDCの緩和を測定した。このようにして測定したRDCを、表3の「DCon 1h後(蓄積)及びDCoff 10min後のRDC(緩和)」の欄に示す。また、尚、表3に示したRDCのデータは液晶セルを100℃で30時間保持(高温エージング)した後のRDCの結果である。
(試験例4)配向性の評価
作製した液晶セルを目視にて観察し、液晶の配向状態を観察した。液晶が欠陥なく配向していた場合を良好、配向欠陥が生じた場合を不良として、結果を表3に示す。
この結果、実施例1〜4及び比較例1は、ジアミンとCBDAのホモポリマー(ポリアミック酸)とした評価であるが、本発明のジアミン化合物を用いた実施例1〜4は、本発明のジアミン化合物を用いなかった比較例1と比較して、RDCの蓄積(DCon 1時間後のRDC値)と、緩和(DCoff 10分後のRDC値)が、顕著に小さかった。また、ポリアミック酸単独であるため印刷性に大きな差は確認できなかったが、実施例1〜4は、比較例1と比較して、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。そして、実施例1〜4では、液晶が欠陥無く配向していたが、比較例1では液晶に欠陥が生じ実施例1〜4と比較して配向性が悪かった。
実施例5〜8及び比較例2は、可溶性ポリイミドとした評価であるが、本発明のジアミンを用いた実施例5〜8では、可溶性ポリイミドを作成でき、印刷時の相分離や析出は生じずピンホール及び膜ムラもなく、印刷性が良好であった。また、実施例5〜8では、RDCの蓄積と緩和も、顕著に小さかった。そして、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。一方、特許文献3のジアミンであるDiamine−5を用いた比較例2では、可溶性ポリイミドを作成できなかった。また、実施例5〜8では、液晶が欠陥無く配向していた。
実施例9〜12及び比較例3は、可溶性ポリイミドと、本発明のジアミンを用いたポリアミック酸とのブレンド系材料の評価であるが、本発明のジアミンは可溶性ポリイミドとの相溶性に優れるため、実施例9〜12の液晶配向剤においては、印刷時の相分離や析出は生じずピンホール及び膜ムラもなく、印刷性は良好であった。一方、比較例3では、可溶性ポリイミドとポリアミック酸が局在化して相分離し、本印刷試験中に分離しエッジ部の印刷性が悪い結果となった。また、実施例9〜12では、RDCの蓄積と緩和が、比較例3と比較して顕著に小さかった。そして、実施例9〜12は、比較例3と比較して、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。また、実施例9〜12のいずれにおいても、液晶が欠陥無く配向していた。
実施例13〜16及び比較例4においては、ポリアミック酸エステルと、本発明等のジアミンを用いたポリアミック酸とのブレンド系材料の評価であるが、本発明のジアミンはポリアミック酸エステルとの相溶性に優れるため、実施例13〜16の液晶配向剤においては、印刷時の相分離や析出が生じずピンホール及び膜ムラもなく、印刷性は良好であった。一方、比較例4の液晶配向剤は、比較例3と同様に、相分離性が悪く、印刷時に分離する傾向にあり、エッジ部の印刷性が悪い結果となった。また、実施例13〜16では、RDCの蓄積と緩和が、比較例4と比較して顕著に小さかった。そして、実施例13〜16は、比較例4と比較して、初期状態も高温エージング後もイオン密度が小さく、実用上問題のない値であった。また、実施例13〜16のいずれにおいても、液晶が欠陥無く配向していた。
これらの結果より、本発明のジアミンを用いた液晶配向剤および液晶配向膜は、印刷性が良好で、かつ、蓄積電荷が少なく蓄積した電荷の緩和が早い液晶配向膜を得ることができることが確認された。