JPWO2011145684A1 - 建設機械 - Google Patents
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Abstract
建設機械は、作動油の供給により制動状態を解除するネガティブ式のパーキングブレーキ(4)と、建設機械のトランスミッションへ作動油を供給する作動油供給回路(6)から分岐し、パーキングブレーキ(4)に作動油を供給するパーキングブレーキ用油圧回路(5)とを備え、パーキングブレーキ用油圧回路(5)は、パーキングブレーキ(4)側の作動油の作動油供給回路(6)への逆流を防止するチェック弁(72)と、チェック弁(72)よりもパーキングブレーキ(4)側に設けられパーキングブレーキ(4)の作動および解除を切り換える動作切換弁(71)と、チェック弁(72)および動作切換弁(71)間に設けられ開弁時にパーキングブレーキ(4)側の作動油を流出させるリリーフ弁(73)とを有する。
Description
本発明は、ネガティブ式パーキングブレーキ用の油圧回路を備えた建設機械に関する。
ホイールローダなどの建設機械では、ブレーキシリンダ内の作動油を排出してばね等の付勢力によってブレーキを作用させる、いわゆるネガティブ式パーキングブレーキが用いられる(例えば、特許文献1参照)。このようなパーキングブレーキでは、パーキングブレーキ用の油圧回路を介してブレーキシリンダに作動油を供給することにより、パーキングブレーキが解除される。
ところで、建設機械のパーキングブレーキ用油圧回路は、トランスミッションへ作動油を供給する作動油供給回路に接続され、この作動油供給回路から作動油の供給を受けるように構成されることがある。この場合、トランスミッションの変速等の作動時に作動油がトランスミッションに流れることで、作動油供給回路の油圧が一時的に低下することがある。この油圧低下がパーキングブレーキ用油圧回路に及ぶと、ブレーキシリンダ内から作動油が排出されてパーキングブレーキが作動してしまい、走行中にブレーキを引きずる現象が起きてしまう。
そこで、このような現象を防止するために、パーキングブレーキ用油圧回路に作動油供給回路側への逆流を防止するチェック弁が設けられている。トランスミッションの変速等の作動時に作動油供給回路の油圧が一時的に低下しても、チェック弁によりパーキングブレーキ用油圧回路の油圧が所定値以上に保持されるため、パーキングブレーキの解除状態が維持される。
しかしながら、このようにチェック弁を設けた構成では、パーキングブレーキの解除中に、油温の上昇等に伴う油圧の膨張によりパーキングブレーキ用油圧回路の油圧が作動油供給回路の油圧より高くなり過ぎた場合でも、チェック弁によりパーキングブレーキ用油圧回路から作動油が排出されない。従って、パーキングブレーキ用油圧回路の油圧が高い状態に維持されるため、パーキングブレーキ用油圧回路に接続されている油圧センサ等の機器や配管が損傷してしまう可能性がある。
これに対しては、チェック弁にキリ穴やスリットを追加し、パーキングブレーキ用油圧回路の油圧が作動油供給回路の油圧より高くなったときに作動油供給回路側へリークさせることで、パーキングブレーキ用油圧回路の油圧の上昇を抑えることが考えられる。しかし、大型ホイールローダなどに用いられるトランスミッションは、クラッチ容量が大きいため、変速に要する時間が長く、かつその長さも状況によって大きく変化する。このため、変速時の作動油供給回路の油圧低下に伴うパーキングブレーキ用油圧回路から作動油供給回路側へのリーク量が多くなり過ぎてパーキングブレーキ用油圧回路の油圧が低下し、チェック弁を設けたメリットが得られないことになる。
本発明の目的は、適切な油圧を確保してネガティブ式パーキングブレーキの解除状態を確実に維持できるパーキングブレーキ用油圧回路を備えた建設機械を提供することである。
本発明に係る建設機械は、作動油の供給により制動状態を解除するネガティブ式のパーキングブレーキと、建設機械のトランスミッションへ作動油を供給する作動油供給回路から分岐し、前記パーキングブレーキに作動油を供給するパーキングブレーキ用油圧回路とを備え、前記パーキングブレーキ用油圧回路は、前記作動油供給回路からの分岐部より前記パーキングブレーキ側に設けられ、前記パーキングブレーキ側の作動油の前記作動油供給回路への逆流を防止するチェック弁と、前記チェック弁よりも前記パーキングブレーキ側に設けられ、前記パーキングブレーキの作動および解除を切り換える動作切換弁と、前記チェック弁および前記動作切換弁間に設けられ、開弁時に前記パーキングブレーキ側の作動油を流出させるリリーフ弁とを有することを特徴とする。
本発明のパーキングブレーキ用油圧回路を備えた建設機械によれば、パーキングブレーキ用油圧回路はトランスミッションの作動油供給回路へのパーキングブレーキ側の作動油の逆流を防止するチェック弁を有しているため、トランスミッションの変速等の作動時に作動油供給回路の油圧が低下した場合であっても、チェック弁によりパーキングブレーキ側の油圧低下を防止することができる。また、パーキングブレーキ用油圧回路にリリーフ弁を設けたため、油温の上昇等に伴う作動油の膨張によってパーキングブレーキ側の油圧が上昇しそうな場合には、パーキングブレーキ側の作動油を流出させることで、所定の油圧を確保することができる。従って、ネガティブ式パーキングブレーキの解除に必要な適切な油圧を確保し、パーキングブレーキの解除状態を確実に維持することができる。
このような本発明は、作動油の必要量および油圧の変動量が大きく、かつリーク量の管理が難しい建設機械の特異性に着目したものであり、通常の発想ではキリ穴やスリットにより対処しようとするところ、あえてコストアップ要因となり得るリリーフ弁を追加したものである、すなわち、本発明は、通常の発想を超えた技術思想によって構成されており、だからこそ前述した効果を奏することができる。
本発明の建設機械において、前記リリーフ弁は、前記チェック弁を挟んだ前記パーキングブレーキ側の油圧と前記作動油供給回路側の油圧との差がリリーフ圧を超えたときに前記パーキングブレーキ側の作動油を前記作動油供給回路へ流出させることが望ましい。
本発明によれば、リリーフ弁を作動油タンクに接続するドレン管路を設ける必要がないため、パーキングブレーキ用油圧回路を簡易な構成とすることができる。
本発明の建設機械において、前記パーキングブレーキ用油圧回路は、内部に作動油が蓄圧されたアキュムレータと、前記アキュムレータからの作動油の供給または停止を行う電磁弁と、前記動作切換弁から前記パーキングブレーキへの油圧ライン上に設けられ、弁位置の切り換えにより前記パーキングブレーキを前記電磁弁からの油圧ラインに接続して前記パーキングブレーキを解除する緊急解除弁とを備え、前記緊急解除弁は、前記動作切換弁および前記チェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインと、前記電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインとを有し、前記第2パイロットラインの油圧が前記第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに弁位置が切り換わることが望ましい。
本発明によれば、パーキングブレーキ用油圧回路は、アキュムレータからの作動油の供給または停止を行う電磁弁と、パーキングブレーキを電磁弁からの油圧ラインに接続してパーキングブレーキを解除する緊急解除弁とを備えている。このため、何らかの理由でパーキングブレーキに作動油が供給されない場合は、緊急解除弁を介してアキュムレータからの作動油をパーキングブレーキに供給することができるので、パーキングブレーキを強制的に解除させることができる。
ここで、緊急解除弁は、電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインの油圧が、動作切換弁およびチェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに、弁位置が切り換わるように構成されている。このため、動作切換弁側の油圧が高い状態、すなわちパーキングブレーキが通常の解除状態にある場合に、緊急解除弁が切り換えられてパーキングプレーキが強制的に解除された状態となることを防止できる。
ここで、緊急解除弁は、電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインの油圧が、動作切換弁およびチェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに、弁位置が切り換わるように構成されている。このため、動作切換弁側の油圧が高い状態、すなわちパーキングブレーキが通常の解除状態にある場合に、緊急解除弁が切り換えられてパーキングプレーキが強制的に解除された状態となることを防止できる。
本発明の建設機械において、当該建設機械は、ホイールローダであり、エンジンの出力を車輪へ伝達するトランスミッションを備え、前記トランスミッションの変速に伴う前記作動油供給回路の油圧低下が、所定時間以上継続することが望ましい。
本発明によれば、当該建設機械は、トランスミッションの変速に伴う作動油供給回路の油圧低下が所定時間以上継続する特性を有したホイールローダである。この場合、作動油供給回路の油圧低下が長く継続するため、チェック弁にキリ穴やスリットを追加すると、チェック弁からのリーク量が多くなり、パーキングブレーキへの影響の度合いが大きくなってしまう。これに対し、本発明ではチェック弁よりもパーキングブレーキ側の油圧がリリーフ圧を超えた場合にのみリリーフ弁が開くため、前述した特性を有するホイールローダであっても、パーキングブレーキの解除に必要な適切な油圧を確保することができる。
以上の本発明によれば、建設機械のパーキングブレーキ用油圧回路にチェック弁およびリリーフ弁を設けたことにより、ネガティブ式パーキングブレーキの解除に必要な適切な油圧を確保し、パーキングブレーキの解除状態を確実に維持することができる。
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態では、以下に説明する第1実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。なお、後述する第2実施形態では、以下に説明する第1実施形態での構成部品と同じ部品および同様な機能を有する部品には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
図1は、本実施形態に係るホイールローダ1を示す側面図である。
図1において、ホイールローダ1は、掘削して得た土砂等を運搬しトラック等に積み込む建設機械である。このホイールローダ1は、作業機フレーム2および車体フレーム3を備えている。
図1において、ホイールローダ1は、掘削して得た土砂等を運搬しトラック等に積み込む建設機械である。このホイールローダ1は、作業機フレーム2および車体フレーム3を備えている。
作業機フレーム2は、車体フレーム3に対し、図示しないセンターピンを揺動中心軸として所定のアーティキュレート角度範囲で揺動可能である。つまり、ホイールローダ1は、各フレーム2,3を有したアーティキュレート構造の車両である。
車体フレーム3の前方側部分で、ホイールローダ1の略中央にはキャブ31が設けられており、キャブ31内のオペレータの操作により、ホイールローダ1を操作できるように構成されている。車体フレーム3内部には、エンジン32、トランスミッション33、トルクコンバータ34、エンジン32により駆動される図示しない作業機ポンプ、後述するパーキングブレーキ4およびパーキングブレーキ用油圧回路5(ともに図2参照)等が設けられている。
車体フレーム3の前方側部分で、ホイールローダ1の略中央にはキャブ31が設けられており、キャブ31内のオペレータの操作により、ホイールローダ1を操作できるように構成されている。車体フレーム3内部には、エンジン32、トランスミッション33、トルクコンバータ34、エンジン32により駆動される図示しない作業機ポンプ、後述するパーキングブレーキ4およびパーキングブレーキ用油圧回路5(ともに図2参照)等が設けられている。
エンジン32の出力は、トランスミッション33に接続された図示しないフロントプロペラシャフトおよびリヤプロペラシャフトを介して、作業機フレーム2側のフロントアクスルおよび車体フレーム3側のリヤアクスルに伝達され、前後の車輪20,30を回転させる。また、作業機ポンプから供給された作動油により、作業機フレーム2に設けられたチルトシリンダ21が伸縮してブーム22、ベルクランク23、およびリンク24を介してバケット25をチルト動作させ、図示しないリフトシリンダが伸縮してブームの前方側が昇降しバケット25を上下動させる。
図2に示すように、パーキングブレーキ4は、ブレーキシリンダ41およびばね42を備え、トランスミッション33のケースに設けられている。このパーキングブレーキ4はネガティブ式であり、ブレーキシリンダ41内の作動油が排出されると、ばね42の付勢力によってパーキングブレーキ4に制動力が生じ、ブレーキシリンダ41内に作動油が供給されると、パーキングブレーキ4が解除される。従って、作業終了後にエンジン32を停止させ、ホイールローダ1の使用を終えた場合には、エンジン32が停止していることでブレーキシリンダ41には作動油が供給されないため、ホイールローダ1は、パーキングブレーキ4に制動力が生じた状態で駐車されることになる。
パーキングブレーキ用油圧回路5は、作動油供給回路6、動作切換用回路7、作動油タンク8、および圧力センサ9を備えている。
作動油供給回路6は、トランスミッション33およびトルクコンバータ34へ作動油を供給する回路であり、かつパーキングブレーキ4に作動油を供給する回路でもある。この作動油供給回路6は、第1および第2油圧ポンプ61A,61Bと、第1および第2フィルタ63A,63Bと、第1および第2リリーフ弁64A,64Bと、メインリリーフ弁62とを備えている。
各油圧ポンプ61A,61Bは、それぞれエンジン32で駆動される。
第1油圧ポンプ61Aは、作動油タンク8内の作動油を昇圧してトランスミッション33およびパーキングブレーキ4に供給する。第1油圧ポンプ61Aから吐出された作動油は、第1フィルタ63Aを通過することで、作動油内の金属の摩耗粉やその他の不純物が捕集される。この第1フィルタ63Aの上流側および下流側を接続するように、第1リリーフ弁64Aが設けられている。第1フィルタ63Aの目詰まり等の理由により、第1フィルタ63Aの上流側および下流側間の圧力差が予め設定されたリリーフ圧を超えると、第1リリーフ弁64Aが開いて第1フィルタ63Aがバイパスされ、作動油がトランスミッション33側に送られるようになっている。
第1油圧ポンプ61Aは、作動油タンク8内の作動油を昇圧してトランスミッション33およびパーキングブレーキ4に供給する。第1油圧ポンプ61Aから吐出された作動油は、第1フィルタ63Aを通過することで、作動油内の金属の摩耗粉やその他の不純物が捕集される。この第1フィルタ63Aの上流側および下流側を接続するように、第1リリーフ弁64Aが設けられている。第1フィルタ63Aの目詰まり等の理由により、第1フィルタ63Aの上流側および下流側間の圧力差が予め設定されたリリーフ圧を超えると、第1リリーフ弁64Aが開いて第1フィルタ63Aがバイパスされ、作動油がトランスミッション33側に送られるようになっている。
第2油圧ポンプ61Bは、作動油タンク8内の作動油を昇圧してトルクコンバータ34に供給する。第2油圧ポンプ61Bから吐出された作動油は、第2フィルタ63Bを通過し、トルクコンバータ34に送られる。この際、第2フィルタ63Bの上流側および下流側間の圧力差が予め設定されたリリーフ圧を超えると、第2油圧ポンプ61B側の作動油が、第2リリーフ弁64Bを介して第2フィルタ63Bをバイパスするようになっている。このようにしてトルクコンバータ34に供給された作動油は、図示略の潤滑回路を経て作動油タンク8に戻される。なお、トルクコンバータ34側においては、作動油の圧力が、例えば0.98MPa(10kgf/cm2)となるように、回路構成がなされている。
メインリリーフ弁62は、トランスミッション33の動作およびパーキングブレーキ4の解除に必要な油圧を確保するとともに、作動油供給回路6の油圧の過剰な上昇を防止する。具体的に、メインリリーフ弁62は、その開閉により、トランスミッション33およびパーキングブレーキ4側の油圧を、予め設定されたリリーフ圧(例えば、約2.9MPa(30kgf/cm2))以下にする。また、トランスミッション33が作動しておらず、かつパーキングブレーキ4が解除されていない場合は、このメインリリーフ弁62が開いて、作動油をトルクコンバータ34側へ逃がすようになっている。
動作切換用回路7は、作動油供給回路6のトランスミッション33へ向かう管路63から分岐して設けられている。この動作切換用回路7は、動作切換弁71、チェック弁72、リリーフ弁73、電磁弁74、緊急解除弁75、およびアキュムレータ76を備えている。
動作切換弁71は、パーキングブレーキ4の動作を切り換えるための切換弁であり、その弁位置の切換により、パーキングブレーキ4が作動油供給回路6または作動油タンク8に選択的に接続される。パーキングブレーキ4が作動油供給回路6に接続されると、パーキングブレーキ4のブレーキシリンダ41に作動油が供給される。また、パーキングブレーキ4が作動油タンク8に接続されると、作動油がブレーキシリンダ41から排出され、作動油タンク8に戻される。動作切換弁71の弁位置は、キャブ31内に設けられたパーキングブレーキスイッチ等の入力手段の操作に連動して切り換えられる。
ここで、パーキングブレーキ4は、トランスミッション33のケースに設けられているため、作動油供給回路6や作動油タンク8への戻り回路をトランスミッション33と共有することで、パーキングブレーキ用油圧回路5の簡素化が図れる。そして、これら回路の共有化により、作動油の共通化を図ることができるので、例えば、作動油タンク8への戻り回路において、異なる作動油同士が混合することを防止できる。
チェック弁72は、動作切換弁71よりも作動油供給回路6側に設けられ、パーキングブレーキ4側の作動油の作動油供給回路6への逆流を防止する。
リリーフ弁73は、動作切換弁71およびチェック弁72間に設けられ、動作切換用回路7の油圧がリリーフ圧(セット圧)を超えたときに動作切換用回路7から作動油を流出させる。すなわち、リリーフ弁73は、動作切換弁71およびチェック弁72間の管路77の油圧がリリーフ圧以下のときに動作切換用回路7と作動油タンク8との接続を遮断し、当該油圧がリリーフ圧を超えたときに動作切換用回路7を作動油タンク8に接続する。
リリーフ弁73は、動作切換弁71およびチェック弁72間に設けられ、動作切換用回路7の油圧がリリーフ圧(セット圧)を超えたときに動作切換用回路7から作動油を流出させる。すなわち、リリーフ弁73は、動作切換弁71およびチェック弁72間の管路77の油圧がリリーフ圧以下のときに動作切換用回路7と作動油タンク8との接続を遮断し、当該油圧がリリーフ圧を超えたときに動作切換用回路7を作動油タンク8に接続する。
電磁弁74は、アキュムレータ76からの作動油の供給または停止を行う。この電磁弁74は、動作切換弁71よりもパーキングブレーキ4側に設けられ、何らかの理由で作動油供給回路6から作動油が供給されない場合や動作切換弁71が切り換えられない場合に、緊急解除弁75を介して、パーキングブレーキ4を強制的に解除させる。すなわち、電磁弁74の弁位置が、パーキングブレーキ4側と作動油タンク8とを接続する通常位置から、パーキングブレーキ4側とアキュムレータ76とを接続する位置に切り換わると、アキュムレータ76内に蓄圧されている作動油が緊急解除弁75に向けて流れ、緊急解除弁75を駆動する。この電磁弁74の弁位置は、キャブ31内に設けられた緊急解除スイッチ等の入力手段の操作に連動して切り換えられる。
緊急解除弁75は、動作切換弁71からパーキングブレーキ4への油圧ライン78上に設けられている。この緊急解除弁75は、緊急解除時の電磁弁74の切り換えに伴ってその弁位置を切り換えて、パーキングブレーキ4を電磁弁74からの油圧ライン79に接続する。具体的に、緊急解除弁75は、動作切換弁71およびチェック弁72間の油圧が導かれる第1パイロットライン751と、電磁弁74からの油圧が導かれる第2パイロットライン752とを有し、第2パイロットライン752の油圧が第1パイロットライン751の油圧より所定値以上大きいときに、その弁位置が切り換わる。すなわち、電磁弁74の切り換えによりアキュムレータ76から作動油が流れ込んで第2パイロットライン752の油圧が上昇すると、緊急解除弁75は、緊急解除時の弁位置に切り換わってパーキングブレーキ4側とアキュムレータ76とを接続する。これにより、アキュムレータ76に蓄圧されていた作動油が、電磁弁74および緊急解除弁75を通ってパーキングブレーキ4のブレーキシリンダ41に供給され、パーキングブレーキ4が解除される。
圧力センサ9は、パーキングブレーキ4のブレーキシリンダ41に作用する油圧を検出する。この圧力センサ9からの検出信号は、パーキングブレーキ4の信頼性確認や、ホイールローダ1における他の装置の制御等に用いられる。
以上のパーキングブレーキ用油圧回路5において、作動油供給回路6は、エンジンが回転している間、各油圧ポンプ61A,61Bにより作動油を常時供給している。従って、パーキングブレーキスイッチ等の入力手段を操作して動作切換弁71を切り換えると、作動油供給回路6からの作動油がブレーキシリンダ41に供給されて、パーキングブレーキ4が解除される。
ここで、トランスミッション33の変速等の作動により作動油供給回路6の油圧が低下しても、チェック弁72により、パーキングブレーキ4側の作動油が作動油供給回路6に逆流することがない。このため、ブレーキシリンダ41に作動油が供給されたままとなり、パーキングブレーキ4の解除状態が維持される。従って、意図せずにパーキングブレーキ4が解除されることがなく、走行中のブレーキ引きずりの発生を防止することができる。
ところで、ホイールローダ1が総重量約70トン未満の中小型の場合、トランスミッション33の容量が小さいため、変速時の油圧低下時間が0.6秒以下となる。この場合、油温上昇等に伴う油圧の増加により圧力センサ9等の機器や配管が損傷してしまうことを防止するために、仮にチェック弁72にキリ穴やスリットを追加しても、チェック弁72からのリーク量が限られるため、パーキングブレーキ4の動作に影響はない。
一方、ホイールローダ1が総重量約70トン以上の大型の場合、ホイールローダ1には、中小型ホイールローダの場合と比べて容量の大きなトランスミッション33が搭載される。この場合、トランスミッション33のクラッチを作動させるために必要な作動油量が多くなるため、変速時の作動油供給回路6の油圧低下時間が0.6秒よりも長くなる。このため、チェック弁72にキリ穴やスリットを追加すると、チェック弁72からのリーク量が多くなり、パーキングブレーキ4の動作への影響の度合いが大きくなってしまう。
これに対し、ホイールローダ1では、油温の上昇等により動作切換用回路7の油圧がリリーフ弁73のリリーフ圧を超えると、リリーフ弁73が開いて動作切換用回路7の作動油が作動油タンク8に戻される。この際、動作切換用回路7の油圧がリリーフ圧を超えた場合にのみリリーフ弁73が開くため、パーキングブレーキ4の解除に必要な適切な油圧を維持することができる。従って、動作切換用回路7における過度の油圧上昇を防止することができるため、動作切換用回路7に接続されている圧力センサ9等の機器や配管が損傷することを防止できる。
一方、パーキングブレーキ4を作動させるには、パーキングブレーキスイッチ等の入力手段を操作して、動作切換弁71をブレーキ作動側に切り換える。これにより、ブレーキシリンダ41内の作動油が動作切換弁71を通って作動油タンク8に戻され、ばね42の付勢力によりパーキングブレーキ4が作動する。
以上のように、ホイールローダ1は、作動油供給回路6への作動油の逆流を防止するチェック弁72とリリーフ弁73とを有するパーキングブレーキ用油圧回路5を備えているため、トランスミッション33の作動時に作動油供給回路6の油圧が低下した場合や、油温の上昇等により動作切換用回路7の油圧が過度に上昇しそうな場合でも、動作切換用回路7の適切な油圧を確保して、パーキングブレーキ4の解除状態を確実に維持することができる。
〔第2実施形態〕
次に、図3に基づき、本発明の第2実施形態に係るパーキングブレーキ用油圧回路5を備えたホイールローダ1について説明する。
前述した第1実施形態のホイールローダ1のパーキングブレーキ用油圧回路5において、リリーフ弁73は、パーキングブレーキ4側の油圧がリリーフ圧を超えたときにパーキングブレーキ4側の作動油を作動油タンク8に流出させていた。
次に、図3に基づき、本発明の第2実施形態に係るパーキングブレーキ用油圧回路5を備えたホイールローダ1について説明する。
前述した第1実施形態のホイールローダ1のパーキングブレーキ用油圧回路5において、リリーフ弁73は、パーキングブレーキ4側の油圧がリリーフ圧を超えたときにパーキングブレーキ4側の作動油を作動油タンク8に流出させていた。
これに対し、図3に示す第2実施形態のホイールローダ1のパーキングブレーキ用油圧回路5では、リリーフ弁73は、パーキングブレーキ4側の油圧と作動油供給回路6側の油圧との差がリリーフ圧を超えたときに、パーキングブレーキ4側の作動油を作動油供給回路6へ流出させる点が相違する。
このような第2実施形態のホイールローダ1によっても、パーキングブレーキ用油圧回路5のリリーフ弁73のリリーフ圧をパーキングブレーキ4の解除圧以上とすることで、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、パーキングブレーキ用油圧回路5にリリーフ弁73と作動油タンク8とを接続するドレン管路を設ける必要がないため、パーキングブレーキ用油圧回路5を簡易な構成とすることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記第2実施形態では、差圧で開弁するタイプのリリーフ弁73を用いていたがこれに限られず、動作切換弁71およびチェック弁72間の油圧のみをパイロット圧として開弁するタイプのものを用いてもよい。
例えば、前記第2実施形態では、差圧で開弁するタイプのリリーフ弁73を用いていたがこれに限られず、動作切換弁71およびチェック弁72間の油圧のみをパイロット圧として開弁するタイプのものを用いてもよい。
前記各実施形態では、パーキングブレーキ用油圧回路5はホイールローダ1において用いられていたが、パーキングブレーキ用油圧回路5を適用する建設機械としては、ホイールローダ1に限られず、油圧ショベルやブルドーザ等の他の建設機械でもよい。また、建設機械以外にも、フォークリフト等の産業用車両にパーキングブレーキ用油圧回路5を用いてもよい。
本発明は、建設機械に利用できる他、ネガティブ式のパーキングブレーキを有する他の機械にも利用することができる。
1…ホイールローダ(建設機械)、4…パーキングブレーキ、5…パーキングブレーキ用油圧回路、6…作動油供給回路、7…動作切換用圧回路、33…トランスミッション、71…動作切換弁、72…チェック弁、73…リリーフ弁、74…電磁弁、75…緊急解除弁、76…アキュムレータ、751…第1パイロットライン、752…第2パイロットライン。
本発明に係る建設機械は、作動油の供給により制動状態を解除するネガティブ式のパーキングブレーキと、建設機械のトランスミッションへ作動油を供給する作動油供給回路から分岐し、前記パーキングブレーキに作動油を供給するパーキングブレーキ用油圧回路とを備え、前記パーキングブレーキ用油圧回路は、前記作動油供給回路からの分岐部より前記パーキングブレーキ側に設けられ、前記パーキングブレーキ側の作動油の前記作動油供給回路への逆流を防止するチェック弁と、前記チェック弁よりも前記パーキングブレーキ側に設けられ、前記パーキングブレーキの作動および解除を切り換える動作切換弁と、前記チェック弁および前記動作切換弁間に設けられ、開弁時に前記パーキングブレーキ側の作動油を流出させるリリーフ弁と、内部に作動油が蓄圧されたアキュムレータと、前記アキュムレータからの作動油の供給または停止を行う電磁弁と、前記動作切換弁から前記パーキングブレーキへの油圧ライン上に設けられ、弁位置の切り換えにより前記パーキングブレーキを前記電磁弁からの油圧ラインに接続して前記パーキングブレーキを解除する緊急解除弁とを備え、前記緊急解除弁は、前記動作切換弁および前記チェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインと、前記電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインとを有し、前記第2パイロットラインの油圧が前記第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに弁位置が切り換わることを特徴とする。
このような本発明は、作動油の必要量および油圧の変動量が大きく、かつリーク量の管理が難しい建設機械の特異性に着目したものであり、通常の発想ではキリ穴やスリットにより対処しようとするところ、あえてコストアップ要因となり得るリリーフ弁を追加したものである、すなわち、本発明は、通常の発想を超えた技術思想によって構成されており、だからこそ前述した効果を奏することができる。
また、本発明によれば、パーキングブレーキ用油圧回路は、アキュムレータからの作動油の供給または停止を行う電磁弁と、パーキングブレーキを電磁弁からの油圧ラインに接続してパーキングブレーキを解除する緊急解除弁とを備えている。このため、何らかの理由でパーキングブレーキに作動油が供給されない場合は、緊急解除弁を介してアキュムレータからの作動油をパーキングブレーキに供給することができるので、パーキングブレーキを強制的に解除させることができる。
ここで、緊急解除弁は、電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインの油圧が、動作切換弁およびチェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに、弁位置が切り換わるように構成されている。このため、動作切換弁側の油圧が高い状態、すなわちパーキングブレーキが通常の解除状態にある場合に、緊急解除弁が切り換えられてパーキングプレーキが強制的に解除された状態となることを防止できる。
また、本発明によれば、パーキングブレーキ用油圧回路は、アキュムレータからの作動油の供給または停止を行う電磁弁と、パーキングブレーキを電磁弁からの油圧ラインに接続してパーキングブレーキを解除する緊急解除弁とを備えている。このため、何らかの理由でパーキングブレーキに作動油が供給されない場合は、緊急解除弁を介してアキュムレータからの作動油をパーキングブレーキに供給することができるので、パーキングブレーキを強制的に解除させることができる。
ここで、緊急解除弁は、電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインの油圧が、動作切換弁およびチェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに、弁位置が切り換わるように構成されている。このため、動作切換弁側の油圧が高い状態、すなわちパーキングブレーキが通常の解除状態にある場合に、緊急解除弁が切り換えられてパーキングプレーキが強制的に解除された状態となることを防止できる。
Claims (4)
- 作動油の供給により制動状態を解除するネガティブ式のパーキングブレーキと、
建設機械のトランスミッションへ作動油を供給する作動油供給回路から分岐し、前記パーキングブレーキに作動油を供給するパーキングブレーキ用油圧回路とを備え、
前記パーキングブレーキ用油圧回路は、
前記作動油供給回路からの分岐部より前記パーキングブレーキ側に設けられ、前記パーキングブレーキ側の作動油の前記作動油供給回路への逆流を防止するチェック弁と、
前記チェック弁よりも前記パーキングブレーキ側に設けられ、前記パーキングブレーキの作動および解除を切り換える動作切換弁と、
前記チェック弁および前記動作切換弁間に設けられ、開弁時に前記パーキングブレーキ側の作動油を流出させるリリーフ弁とを有することを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において、
前記リリーフ弁は、前記チェック弁を挟んだ前記パーキングブレーキ側の油圧と前記作動油供給回路側の油圧との差がリリーフ圧を超えたときに前記パーキングブレーキ側の作動油を前記作動油供給回路へ流出させることを特徴とする建設機械。 - 請求項1に記載の建設機械において、
前記パーキングブレーキ用油圧回路は、
内部に作動油が蓄圧されたアキュムレータと、
前記アキュムレータからの作動油の供給または停止を行う電磁弁と、
前記動作切換弁から前記パーキングブレーキへの油圧ライン上に設けられ、弁位置の切り換えにより前記パーキングブレーキを前記電磁弁からの油圧ラインに接続して前記パーキングブレーキを解除する緊急解除弁とを備え、
前記緊急解除弁は、前記動作切換弁および前記チェック弁間の油圧が導かれる第1パイロットラインと、前記電磁弁からの油圧が導かれる第2パイロットラインとを有し、前記第2パイロットラインの油圧が前記第1パイロットラインの油圧より所定値以上大きいときに弁位置が切り換わることを特徴とする建設機械。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載の建設機械において、
当該建設機械は、ホイールローダであり、
エンジンの出力を車輪へ伝達するトランスミッションを備え、
前記トランスミッションの変速に伴う前記作動油供給回路の油圧低下が、所定時間以上継続することを特徴とする建設機械。
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