JPWO2011122435A1 - 膨張弁 - Google Patents

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Abstract

弁本体20の上端に形成された有底のパワーエレメント収容室24の上端開口は弁本体の上端に電子ビーム溶接等により固着される閉鎖部材50により気密状態に密閉される。パワーエレメント40は、閉鎖部材の下面に設けられた凸部53とパワーエレメント収容室の底壁27との間に挟み込まれて固定される。パワーエレメントと弁本体にねじ加工を行う必要がなく、パワーエレメントの周囲にシール部材を設ける必要がないので、部品点数及び製品コストを低減することができる。第2の通路31を流れる低圧冷媒は、弁本体20の貫通孔47を通じてパワーエレメント収容室24に導入される。パワーエレメント40は、周囲が冷媒で満たされて外気温度の影響を受けにくくなり、冷媒流量制御の精度を向上する。また、パワーエレメント収容室24は第2の通路31よりも上方に設けられているので、第2の通路31を流れる低圧冷媒の圧損を小さくすることができる。

Description

本発明は、冷凍サイクルに組み入れられて冷媒の温度に応じてオリフィスを流れる冷媒の流量を制御する膨張弁に関する。
自動車に搭載される空調装置等の冷凍サイクルにおいては、コンデンサ(凝縮器)からの高圧の液相冷媒を、オリフィスを通過させることで低圧にしてエバポレータ(蒸発器)に送るとともに、エバポレータからコンプレッサに戻る低圧の気相冷媒を通過させて、その気相冷媒の温度と圧力に応じてオリフィスの開度を制御することにより、冷媒の通過量を調整する感温機構内蔵型の温度膨張弁が使用されている(特許文献1参照)。
上記の特許文献1に開示されている膨張弁は、図8に示すように、コンデンサからエバポレータへ向かう冷媒が通る第1の通路102、この第1の通路102の上方に設けられエバポレータからコンプレッサへ向かう冷媒が通る第2の通路103及び第1の通路102の途中に設けられたオリフィス104を有する弁本体101と、オリフィス104の下端に形成された弁座104aに接離してオリフィス104を開閉する弁体105と、弁本体101に摺動自在に支持された作動棒106と、第2の通路103の上方に設けられ作動棒106を介して弁体105を駆動するパワーエレメント107とを備えており、負荷の程度に応じて冷凍サイクルを循環する冷媒の流量を制御している。
パワーエレメント107の弁本体101への取付けについては、パワーエレメントに形成された雄ねじ107aと弁本体101に形成された雌ねじ101aとの螺合により行われている。この場合、雄ねじと雌ねじのねじ加工が必要であるが、このねじ加工は膨張弁の製造コスト上昇をもたらす要因となっている。また、パワーエレメント107と弁本体101の間から気相冷媒が外部に漏れるのを防止するために弁本体101とパワーエレメント107との間を別部品のシール部材108でシールしており、このシール部材108が部品点数の増加と製造コストの上昇の要因となっている。
ところで、従来の一般的な膨張弁においては、パワーエレメントは、弁本体の外部に露出するように設けられているため、作動棒を駆動するダイアフラム駆動媒体を充填した圧力室が外気温度の影響を受け易く、エバポレータから出た冷媒の温度変化に対する応答性が低下するという問題がある。
図9には、こうした問題の解決を図った膨張弁の一例の縦断面図が示されている。図9に示す膨張弁においては、図8に示す膨張弁の構成要素と同等のものには同じ符号を付して、再度の説明を省略する。図9に示す膨張弁においては、パワーエレメント107が第2の通路103内に突出して設けられている突端部109に対して固着されており、第2の通路103の天井に設けた凹所110にパワーエレメント107を配設している。このように構成することで、パワーエレメント107内部に封入されたダイアフラム駆動媒体が外気温度の影響を受けにくくなるため、ダイアフラム駆動媒体が第2の通路103を流れる冷媒の温度を忠実に感知するようになり、正確な冷媒流量制御を行うことができる(特許文献2)。
しかしながら、この膨張弁においては、パワーエレメント107が第2の通路103内に突出して設けられている突端部109に対して固着されており、この突端部109及びパワーエレメント107の下側の一部が第2の通路103を流れる冷媒に対して抵抗となるため、当該冷媒の圧損を招いている。
特開2008−180476号公報 実願昭62−85873号(実開昭63−196058号)のマイクロフィルム
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであって、第1の目的は、パワーエレメントを弁本体に固着するためのねじ加工やパワーエレメントの周囲をシールするシール部材を不要にして製造コストの低減を図ることができる膨張弁を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、パワーエレメントが外気温度の影響を受けにくくすることにより冷媒流量制御の精度向上を図るとともに、エバポレータからコンプレッサへ向かう低圧冷媒の圧力損失を低減することができる膨張弁を提供することにある。
上記第1の目的を達成するため、本発明による第1の膨張弁は、コンデンサからエバポレータへ向かう冷媒が通る第1の通路、該第1の通路の上方に設けられエバポレータからコンプレッサへ向かう冷媒が通る第2の通路及び前記第1の通路の途中に設けられたオリフィスを有する弁本体と、前記オリフィスを開閉する弁体と、前記弁本体に摺動自在に支持された作動棒と、該作動棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントとを備えた膨張弁であって、前記弁本体の上端に開口する有底のパワーエレメント収容室と、前記弁本体の上端に固着され前記パワーエレメントを前記パワーエレメント収容室の底壁との間に挟み込んで固定するとともに前記パワーエレメント収容室の開口を気密状態に密閉する閉鎖部材とを設けたことを特徴としている。
本発明による第1の膨張弁において、気密性の向上のために閉鎖部材を溶接又は溶着により弁本体に固着するのが好ましい。そして、弁本体と閉鎖部材がアルミニウム又はその合金等の金属製である場合には、閉鎖部材を電子ビーム溶接又はレーザー溶接により弁本体に固着することができる。
また、本発明による第1の膨張弁において、弁本体と閉鎖部材が合成樹脂製である場合には、閉鎖部材を超音波溶着により弁本体に固着することができる。
また、上記第2の目的を達成するため、本発明による第2の膨張弁は、コンデンサからエバポレータへ向かう冷媒が通る第1の通路、該第1の通路の上方に設けられエバポレータからコンプレッサへ向かう冷媒が通る第2の通路及び前記第1の通路の途中に設けられたオリフィスを有する弁本体と、前記オリフィスを開閉する弁体と、前記弁本体に摺動自在に支持された作動棒と、該作動棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントとを備えた膨張弁であって、前記第2の通路の上方に前記パワーエレメントを収容する有底のパワーエレメント収容室を設けるとともに、該パワーエレメント収容室と前記第2の通路とを連通させたことを特徴としている。
この場合、前記弁本体に溶接又は溶着により固着される閉鎖部材により前記パワーエレメント収容室の上面を密閉するようにすると、前記閉鎖部材と前記弁本体の間にシール部材を設ける必要がなくなるので好ましい。この場合、前記閉鎖部材を電子ビーム溶接又はレーザー溶接により前記弁本体に固着するようにすると、溶接部を幅狭にすることができるため、パワーエレメント収容室の周壁の厚みを小さくすることができるので、膨張弁を小型化するうえで好ましい。
また、前記閉鎖部材が前記パワーエレメントを前記パワーエレメント収容室の底壁との間に挟み込んで固定するようにすると、前記パワーエレメントを前記弁本体に固定するねじ部等の固定構造が不要になるので好ましい。この場合、例えば、前記閉鎖部材を前記弁本体に固着した状態で前記閉鎖部材と前記パワーエレメントとの間及び前記パワーエレメントと前記底壁との間にそれぞれ隙間が形成され、前記第2の通路を流れる低圧冷媒が前記各隙間を介して前記パワーエレメントの周囲に流通するように構成することができる。
本発明による第1の膨張弁は、パワーエレメントを弁本体に固着する構造として雄ねじと雌ねじとのねじ締結を用いていないので、ねじを形成することに起因した製造コストの上昇を回避することができる。また、閉鎖部材を弁本体に気密的に固着するので、シール部材を用いなくてもパワーエレメントの周囲を冷媒漏れがないようにシールすることができ、シール部材を省略して部品点数を低減し、製造コスト上昇を回避することができる。
本発明による第2の膨張弁は、パワーエレメントの周囲が第2の通路から導入される低圧冷媒で満たされることにより、パワーエレメントが外気温度の影響を受けにくくなるため、オリフィスを通過する冷媒流量を高精度に制御することができる。また、パワーエレメント収容室が第2の通路から上方に離れた状態で設けられることで、第2の通路を流れる低圧冷媒の流れがパワーエレメントにより阻害されないため、従来の膨張弁よりも低圧冷媒の圧損を小さくすることができる。
本発明による膨張弁の一実施例を示す縦断面図である。 図1に示す膨張弁の一部を拡大して示す断面図である。 図1に示すパワーエレメント収容室の底壁の一部を拡大して示す斜視図である。 図1に示す膨張弁のパワーエレメントを拡大して示す斜視図である。 本発明による膨張弁の別の実施例を示す縦断面図である。 図5に示す膨張弁の一部を拡大して示す断面図である。 本発明による膨張弁の更に別の実施例を示す縦断面図である。 従来の膨張弁の一例を示す断面図である。 従来の膨張弁の別の例を示す縦断面図である。
以下、添付した図面に基づいて、本発明による膨張弁の実施例を説明する。図1に示す膨張弁1は、自動車等の空気調和装置の冷凍サイクルにおいて用いられるものであって、アルミニウム等からなる角柱状の弁本体20の内部には、コンデンサの冷媒出口からレシーバを介してエバポレータの冷媒入口へと向かう冷媒が通過する高圧側通路となる第1の通路30と、エバポレータの冷媒出口からコンプレッサの冷媒入口へと向かう冷媒が通過する第2の通路31とが上下に相互に離間して形成されている。
第1の通路30の途中には、弁室32と、冷媒を断熱膨張させるためのオリフィス33とが形成されている。弁室32内には、オリフィス33の入口側に形成された弁座に接離してオリフィス33を開閉する球状の弁体34が配置され、この弁体34は支持部材35により支持されている。支持部材35は弁室32の下端に螺着されたプラグ37との間に配置された圧縮コイルばねの如き付勢手段36の付勢力によって、弁座に接近する方向に付勢されている。プラグ37と弁本体20との間にはOリング37aのようなシール部材が介装されている。
さらに、弁本体20には、第1の通路30と第2の通路31との間の隔壁21を縦断する貫通孔22が形成されており、この貫通孔22にはステンレス等からなる作動棒38が摺動自在に挿通されている。この作動棒38の下端部は弁体34に当接しており、作動棒38の上端部は後述する感温駆動部となるパワーエレメント40に連結されている。
パワーエレメント40は、可撓性のあるステンレス等の金属製薄板からなるダイアフラム41と、その周辺部を挟持する上カバー42及び下カバー43と、ダイアフラム41と上カバー42との間に形成される上部圧力室44に封入されるダイアフラム駆動媒体と、上部圧力室44にダイアフラム駆動媒体を注入する開口部を密閉する栓46とを備えている。ダイアフラム41と下カバー43の間に形成される下部圧力室45は、弁本体20にオリフィス33の中心線に対して同心的に形成された貫通孔47を通じて第2の通路31に連通されている。第2の通路31にはエバポレータからの冷媒蒸気が流れ、その冷媒の圧力が貫通孔47を通じて下部圧力室45に作用する。下部圧力室45内にはダイアフラム41の下面に当接するストッパ部48が設けられており、このストッパ部48は、下部圧力室45内を上下に摺動すべく下カバー43に支持され、作動棒38の上端部に連結されている。
エバポレータの出口側冷媒温度は、直接に又はストッパ部48を介して上部圧力室44へ伝達される。上部圧力室44中のダイアフラム駆動媒体の圧力は伝達される温度に対応して変化し、ダイアフラム41の上面に作用する。ダイアフラム41はその上面に作用するダイアフラム駆動媒体の圧力とダイアフラム41の下面に作用する冷媒圧力との差により上下に変位し、その中心部の上下への変位は作動棒38を介して弁体34に伝達され、弁体34をオリフィス33の弁座に対して接近または離間させる。この結果、冷媒流量が制御されることとなる。例えば、エバポレータの熱負荷が増加すると、エバポレータの出口温度が高くなって、その熱を受けた上部圧力室44の圧力が高くなり、それに応じて作動棒38が下方へ駆動されて弁体34を押し下げるため、オリフィス33の開度が大きくなる。これによりエバポレータへの冷媒の供給量が多くなり、エバポレータの温度が低下する。逆にエバポレータの熱負荷が減少すると、オリフィス33の開度が小さくなってエバポレータへの冷媒の供給量が減少する。
貫通孔22の上端は大径となっており、この部分には、第1の通路30と第2の通路31の間の気密性を確保するために作動棒38の周囲をシールするOリングのような密封部材(図示せず)と、作動棒38を周囲から安定して支持する防振用のばね部材23とが設けられている。
弁本体20の上端にはパワーエレメント収容室24が設けられている。このパワーエレメント収容室24は、弁本体20の上端に開口するように有底に形成され、弁本体20の周壁26の上端に固着された閉鎖部材50により密閉されている。閉鎖部材50は、弁本体20との間をシールするシール部材を不要とするために溶接又は溶着により周壁26の上端に固着される。
閉鎖部材50の下面は、パワーエレメント40の上カバー42の表面に略合わせた形状に形成されており、閉鎖部材50の下面の周縁部には周方向に間隔をおいて複数の凸部53が設けられている。パワーエレメント収容室24にパワーエレメント40を収容し、閉鎖部材50の周縁部を周壁26に固着すると、閉鎖部材50の凸部53が上カバー42に当接し、パワーエレメント40がパワーエレメント収容室24の底壁27上に押圧されて固定される。これらの凸部53は、閉鎖部材50のパワーエレメント40に対する複数の部分的な当接部となっている。
閉鎖部材50の弁本体20に対する固着方法は、例えば、線状の熱源であって溶け込みを深くすることができる電子ビーム溶接とすることができる。電子ビーム溶接によって、弁本体20及び閉鎖部材50は融点以上に加熱されて溶融溶接がなされる。本実施例の場合、電子ビーム溶接は、弁本体20の周壁26に対応する閉鎖部材50の周縁部52をその上方から下方向に向かって電子ビームBを照射し、その照射状態を維持しながら弁本体20と閉鎖部材50とを回転させることで照射位置を相対的に移動して、閉鎖部材50の周縁部52を周壁26の上面26aに対して連続的に溶接することで行われる。
電子ビーム溶接を用いると、幅狭の領域での溶接が可能であるため、周壁26の厚みを小さくすることができる。これによって、弁本体20におけるパワーエレメント収容室24が設けられた部分の横幅を小さくできるため、弁本体20の側面を全高に亘ってストレートな面とすることができ、冷凍サイクルにおける膨張弁周りの配管の取り付けに支障が無くなるとともに膨張弁の小型化を図ることができる。
上記の周方向に連続的な溶接によって、閉鎖部材50は弁本体20に確実に且つ気密的に固定され、パワーエレメント40が曝される冷媒の漏れを防止することができる。従来のようにパワーエレメント40を弁本体20にねじ締結で固着する場合には、パワーエレメント40及び弁本体20の両方にねじ加工が必要であったが、本発明ではそのようなねじ加工が不要になる。また、閉鎖部材50と弁本体20の間がシールされるので、Oリングのようなシール部材も不要になる。よって、製造コストを低減することができる。
図2は、図1に示す膨張弁の一部を拡大して示す断面図である。図3は図1に示すパワーエレメント収容室24の底壁27の一部を拡大して示す斜視図であり、図4は図1に示す膨張弁のパワーエレメント40を拡大して示す斜視図である。
図3に示すように、底壁27には、中央の貫通孔47の周囲において放射状に形成されるとともに貫通孔47に連通する複数の凹部61が設けられている。そして、隣り合う凹部61間には支持部62が形成されており、パワーエレメント40の下カバー43は、これらの複数の部分的な支持部62によってパワーエレメント収容室24の底壁27に受け止められて支持される。隣り合う支持部62,62間において凹部61の端面63は傾斜面となっていて下カバー43との間に隙間64(図4参照)を形成しており、この隙間64を通じて貫通孔47とパワーエレメント収容室24とが連通している。したがって、第2の通路31を流れる冷媒は、図2に矢印で示すように、凹部61を通じてパワーエレメント収容室24に導入される。
図2に示す実施例では、パワーエレメント収容室24の底壁27に複数の凹部61を設けているが、これに代えて、パワーエレメント40の下カバー43を十分な厚みに形成する場合には、下カバー43において、底壁27に面する側に凹部61と同様の凹部を設けてもよい。また、底壁27に形成する複数の凹部61に加えて、下カバー43の底壁27に面する側にも同様の凹部を設けることができる。更に、周方向に波形に形成されている部材を底壁27と下カバー43との間に介在させることで、凹部61と同様の効果を持たせるようにしてもよい。
図4に示すように、閉鎖部材50(二点鎖線で示す)の下面に設けられた凸部53がパワーエレメント40の上カバー42の上面周縁部に当接した状態で凸部53間に隙間54が形成され、凹部61からパワーエレメント収容室24内に流入する低圧冷媒はこの隙間54を通じて閉鎖部材50とパワーエレメント40の間の空間に流入する。上カバー42及び下カバー43は、凸部53及び支持部62に当接している箇所以外は低圧冷媒が接触することになるため、上部圧力室44内のダイアフラム駆動媒体が外気温の影響を受けにくい。
なお、閉鎖部材50に形成する複数の凸部53に代えて、閉鎖部材50又は上カバー42に凹部を設けることで、閉鎖部材50と上カバー42の間に冷媒が流通する隙間を形成するようにしてもよい。更に、周方向に波形に形成されている部材を上カバー42と閉鎖部材50の間に介在させることにより、閉鎖部材50と上カバー42の間に冷媒が流通する隙間を形成するようにしてもよい。
以上のように、パワーエレメント40の周囲が第2の通路31からパワーエレメント収容室24に導入される低圧冷媒で満たされることになり、パワーエレメント40が外気温度の影響を受けにくくなるため、オリフィス33を通過する冷媒流量を高精度に制御することができる。また、パワーエレメント収容室24が第2の通路31から上方に離れた状態で設けられており、パワーエレメント40が第2の通路31内に張り出さないとともに第2の通路31の内面をほぼ平坦にすることができるため、第2の通路31を流れる低圧冷媒の流れが阻害されることがないので、低圧冷媒の圧損を小さくすることができる。
図5は本発明による膨張弁の別の実施例を示す縦断面図であり、図6は図5に示す膨張弁の一部を拡大して示す断面図である。本実施例において、図1に示す実施例の要素及び部位と同等の部位には、図1で用いたのと同じ符号を用いることで重複する説明を省略する。
この膨張弁においては、閉鎖部材50が弁本体20の上面に形成された円筒状の周壁26の内側に嵌合するように形成されている。閉鎖部材50が周壁26に嵌合した状態で、図6に示すL1又はL2の方向からレーザー光が全周にわたって照射され、閉鎖部材50が周壁26に溶接固定される。閉鎖部材50の下面に形成された環状の凸部53がパワーエレメント40の上カバー42に当接し、これによってパワーエレメント40がパワーエレメント収容室24の底壁27上に押圧固定される。凸部53の下面には、周方向に間隔をおいて複数の凹部が設けられ、上カバー42との間に隙間54を形成している。
また、この膨張弁では、パワーエレメント40の下カバー43が幅の小さい断面楔形の環状に形成されており、その内周部はストッパ部48の外周部と径方向に間隔をおいて対向している。下カバー43の下面には、周方向に間隔をおいて複数の凹部が設けられ、パワーエレメント収容室24の底壁27との間に隙間43aを形成している。そして、ストッパ部48は、弁本体20に形成された凹部28に収容されている。ストッパ部48は、大径部とその下面に形成された小径部とから成り、大径部の下面には、周方向に間隔をおいて複数の凹部が設けられ、凹部28の底面との間に複数の隙間48aを形成している。第2の通路31を流れる低圧冷媒は、貫通孔47、隙間48aを介してパワーエレメント収容室24に流入し、隙間43a及び54を介してパワーエレメント40の周囲に流通する。
図1に示す実施例では、ストッパ部48の下方への位置決めをパワーエレメント40の下カバー43で行っているのに対し、本実施例では、この位置決めを弁本体20に形成された凹部28の底面で行っているので、図1の実施例よりも膨張弁の高さを小さくすることができる。また、弁本体20とストッパ部48との間に下カバー43を挟み込んでいないため、下カバー43の厚みのバラツキがダイアフラム41の位置に影響を与えることがない。したがって、弁本体20の切削加工とストッパ部48の加工精度のみによってダイアフラム41の位置が決まることになるので、性能のバラツキを少なくすることができる。
図7は弁本体及び閉鎖部材を樹脂製とした実施例である。図1に示す実施例の要素及び部位と同等の部位には、図1で用いたのと同じ符号を用いることで再度の説明を省略する。図7に示す膨張弁55においては、弁本体20への閉鎖部材50の固着は例えば超音波溶着で行うことができる。
この膨張弁55においては、弁本体20の円筒状の周壁56の上端は同心状の段差構造に構成されており、閉鎖部材50はこの段差構造に嵌合するように、周縁部57が段差構造に構成されている。閉鎖部材50の下面の周縁部には周方向に間隔をおいて複数の凸部58が設けられており、パワーエレメント収容室24にパワーエレメント40を収容し、閉鎖部材50の周縁部を周壁56に固着すると、閉鎖部材50の凸部58が上カバー42に当接し、パワーエレメント40がパワーエレメント収容室24の底壁27上に押圧されて固定される。超音波溶着は、閉鎖部材50の周縁部57の上方から超音波Sを周方向に連続して作用させることにより、閉鎖部材50と周壁56の段差構造の嵌合部において樹脂が連続溶融されて行われる。
上記の周方向に連続的な溶着によって、閉鎖部材50は弁本体20に確実に且つ気密的に固定され、パワーエレメント40が曝される冷媒の漏れを防止することができる。本実施例においても、パワーエレメント40及び弁本体20のねじ加工が不要で、閉鎖部材50と弁本体20の間のシール部材も不要であるため、製造コストを低減することができる。
なお、上記の各実施例において、閉鎖部材を弁本体に固着する手段として電子ビーム溶接、超音波溶着、レーザー溶接を用いた場合について説明したが、これに代えて、TIG溶接等、溶接するべき材料(同種金属同士のみならず異種金属同士)に応じて、種々の公知の手段を用いることができる。
以上、本発明の具体的な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施例に種々の改変を施すことができる。

Claims (9)

  1. コンデンサからエバポレータへ向かう冷媒が通る第1の通路、該第1の通路の上方に設けられエバポレータからコンプレッサへ向かう冷媒が通る第2の通路及び前記第1の通路の途中に設けられたオリフィスを有する弁本体と、前記オリフィスを開閉する弁体と、前記弁本体に摺動自在に支持された作動棒と、該作動棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントとを備えた膨張弁において、
    前記弁本体の上端に開口する有底のパワーエレメント収容室と、前記弁本体の上端に固着され前記パワーエレメントを前記パワーエレメント収容室の底壁との間に挟み込んで固定するとともに前記パワーエレメント収容室の開口を気密状態に密閉する閉鎖部材とを設けたことを特徴とする膨張弁。
  2. 前記閉鎖部材が溶接又は溶着により前記弁本体に固着されることを特徴とする請求項1記載の膨張弁。
  3. 前記弁本体と前記閉鎖部材が金属製であり、前記閉鎖部材が電子ビーム溶接又はレーザー溶接により前記弁本体に固着されることを特徴とする請求項2記載の膨張弁。
  4. 前記弁本体と前記閉鎖部材が合成樹脂製であり、前記閉鎖部材が超音波溶着により前記弁本体に固着されることを特徴とする請求項2記載の膨張弁。
  5. コンデンサからエバポレータへ向かう冷媒が通る第1の通路、該第1の通路の上方に設けられエバポレータからコンプレッサへ向かう冷媒が通る第2の通路及び前記第1の通路の途中に設けられたオリフィスを有する弁本体と、前記オリフィスを開閉する弁体と、前記弁本体に摺動自在に支持された作動棒と、該作動棒を介して前記弁体を駆動するパワーエレメントとを備えた膨張弁において、
    前記第2の通路の上方に前記パワーエレメントを収容する有底のパワーエレメント収容室を設けるとともに、該パワーエレメント収容室と前記第2の通路とを連通させたことを特徴とする膨張弁。
  6. 前記弁本体に溶接又は溶着により固着される閉鎖部材により前記パワーエレメント収容室の上面が密閉されることを特徴とする請求項5記載の膨張弁。
  7. 前記弁本体と前記閉鎖部材が金属製であり、前記閉鎖部材が電子ビーム溶接又はレーザー溶接により前記弁本体に固着されることを特徴とする請求項6記載の膨張弁。
  8. 前記閉鎖部材が前記パワーエレメントを前記パワーエレメント収容室の底壁との間に挟み込んで固定することを特徴とする請求項5又は6記載の膨張弁。
  9. 前記閉鎖部材を前記弁本体に固着した状態で前記閉鎖部材と前記パワーエレメントとの間及び前記パワーエレメントと前記底壁との間にそれぞれ隙間が形成され、前記第2の通路を流れる低圧冷媒が前記各隙間を介して前記パワーエレメントの周囲に流通するように構成したことを特徴とする請求項8記載の膨張弁。
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