JPWO2011115136A1 - コハク酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

コハク酸含有液から、晶析により高純度のコハク酸を製造する方法を提供する。本発明は、攪拌装置を備えた晶析槽内で、コハク酸含有液からコハク酸を攪拌下で晶析するコハク酸の製造方法であって、槽内コハク酸含有液の単位体積あたりの該攪拌所要動力が、0.4kW/m3以上3kW/m3以下であることを特徴とするコハク酸の製造方法、および晶析槽内においてコハク酸含有液からコハク酸を晶析させて製造する方法であって、晶析したコハク酸を該晶析槽から連続的又は間欠的に抜き出すと共に、該晶析槽内にコハク酸含有液を連続的又は間欠的に供給して該晶析槽内の液位を所定範囲内に維持する晶析工程を有することを特徴とするコハク酸の製造方法、に関する。

Description

本発明は食品添加物、医薬原料、樹脂原料などとして有用なコハク酸の工業的製造方法に関する。
コハク酸は食品添加物、医薬原料、樹脂原料などとして工業的に広く用いられている。
従来、コハク酸は、石油由来の無水マレイン酸又はマレイン酸を還元して得られてきたが、最近では、微生物を用いた発酵操作により、広い生物由来原料から高い炭素収率で製造することが報告されている。特にコハク酸をポリマー原料として用いる場合、ポリマーの重合度維持や着色防止などのために高純度のコハク酸が要求される。
コハク酸の製造方法としては、石化原料由来の無水マレイン酸又はマレイン酸を水溶液中で還元してコハク酸とした後、その水溶液を冷却晶析することによって結晶粒子としてコハク酸を得る方法(例えば、特許文献1)などが知られている。しかし、特許文献1には、コハク酸の晶析方法については詳細な記載はない。
また、発酵によりコハク酸を製造する方法として、コハク酸のカルシウム塩を硫酸で分解する方法(例えば、特許文献2)、イオン交換樹脂を用いる方法(例えば、特許文献3、4)、コハク酸アンモニウム塩に硫酸水素アンモニウムおよび/または硫酸を加えコハク酸と硫酸アンモニウム塩を生成する方法(例えば、特許文献5)並びに電気透析を用いる方法(例えば、特許文献6)などが知られている。しかし、特許文献2〜6のいずれにおいてもコハク酸結晶を回収する晶析方法に関しては詳細な方法が記載されていない。
晶析操作については、コハク酸の粒径、粒度分布の制御に関して攪拌条件、過飽和度の制御により制御する方法(例えば、特許文献7)、種晶を用いることにより制御する方法(例えば、非特許文献1)などが知られているが、いずれも粒径および粒度分布の制御に関するもので、コハク酸純度に関する記載はされていない。
また、晶析によるコハク酸回収において、結晶粒径、粒度分布を制御することは重要であり、種々の試みがなされている(例えば、特許文献8および9)。
例えば、特許文献8には、発酵法により製造されたコハク酸含有発酵液からコハク酸を精製するにあたり、予め菌体を分離した発酵液に無機酸を添加し、発酵液のpHを4.0以下に調整してコハク酸をいったん析出せしめ、次に該液を加熱してコハク酸の一部を溶解及び溶融させ、その後撹拌下で冷却して結晶を析出させて分離することが記載されている[第(2)頁左上欄第14行〜同頁右上欄第3行]。このように、酸析処理した発酵液を加熱処理することが重要であり、加熱処理しない場合には晶析した結晶が鱗片状かつ微細となるのに対し、加熱処理した場合には晶析した結晶が粒状かつ大きくなる[第(3)頁左上欄第6〜9行]。
また、特許文献9には、コハク酸含有溶液からコハク酸の結晶を晶析させる方法において、撹拌所要動力比(Pv)を70〜350W/m、無次元過飽和度(Sc)を1〜1.3とすることにより、粒子径の大きく分布の揃った結晶を得ることができると記載されている(請求項1、第0009段落)。
特許文献8及び特許文献9では、バッチ処理によりコハク酸の晶析を行っている。
日本国特公昭44−292466公報 日本国特開平3−030685号公報 日本国特表2002−505310号公報 国際公開第05/030973号 日本国特表2001−514900号公報 日本国特開2005−333886号公報 日本国特開2005−82498公報 日本国特開昭56−11797号公報 日本国特開2005−082498号公報
"Crystal Growth&Design"(米国),(2002),2,p.449−452
本発明は、コハク酸含有液またはコハク酸含有液から晶析により高純度のコハク酸を効率的かつ安定的に製造する方法を提供することを課題とする。また、コハク酸の晶析処理において、結晶粒径、粒度分布を制御する更なる方法が求められており、本発明は、粒度分布が狭くハンドリング性に優れたコハク酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下に記載する本方法により上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明の要旨は以下に存する。
1.攪拌装置を備えた晶析槽内で、コハク酸含有液からコハク酸を攪拌下で晶析させて製造する方法であって、晶析槽内の該コハク酸含有液の単位体積あたりの該攪拌所要動力が、0.4kW/m以上3kW/m以下であることを特徴とするコハク酸の製造方法。
2.晶析槽内においてコハク酸含有液からコハク酸を晶析させて製造する方法であって、
晶析したコハク酸を該晶析槽から連続的又は間欠的に抜き出すと共に、該晶析槽内にコハク酸含有液を連続的又は間欠的に供給して該晶析槽内の液位を所定範囲内に維持する晶析工程を有することを特徴とするコハク酸の製造方法。
3.攪拌装置を備えた晶析槽内において、コハク酸含有液から固体のコハク酸を生成させる晶析工程を有するコハク酸の製造方法であって、晶析したコハク酸を該晶析槽から連続的又は間欠的に抜き出すと共に、該晶析槽内にコハク酸含有液を連続的又は間欠的に供給して該晶析槽内の液位を所定範囲内に維持し、かつ該晶析工程中の少なくとも一部でコハク酸含有液の単位体積あたりの攪拌所要動力が0.4kW/m以上3kW/m以下の攪拌条件下で操作する、コハク酸の製造方法。
4.該晶析槽内のコハク酸含有液の温度を25℃以上60℃以下となるように操作することを特徴とする前項2または3に記載のコハク酸の製造方法。
5.晶析に際して、前記晶析槽内のコハク酸含有液の温度と、晶析槽に投入するコハク酸含有液がコハク酸飽和溶液となる温度との差が10℃以上45℃以下であることを特徴とする、前項4に記載のコハク酸の製造方法。
6.前記コハク酸含有液の、晶析槽における平均滞留時間が、1時間以上5時間以下であることを特徴とする前項2〜5のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
7.晶析操作中に晶析槽内の圧力を外気圧より低くする減圧工程を有する前項2〜6のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
8.前記晶析槽内の圧力が、0.5〜20kPaである前項7に記載のコハク酸の製造方法。
9.前記晶析工程において、コハク酸の種晶を前記晶析槽内に連続的又は間欠的に添加することを特徴とする前項2〜8のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
10.前記種晶が、前記晶析槽から抜き出したコハク酸の少なくとも一部を粉砕処理したものを含有することを特徴とする前項9に記載のコハク酸の製造方法。
11.前記粉砕処理を湿式粉砕機で行うことを特徴とする前項10に記載のコハク酸の製造方法。
12.前記粉砕処理を、該晶析槽内のコハク酸スラリーを抜き出して該晶析槽内に戻す循環手段及び晶析槽内にコハク酸含有液を供給する手段に設けられたポンプから選ばれる少なくとも1つによって行うことを特徴とする前項10または11に記載のコハク酸の製造方法。
13.前記種晶の体積平均粒子径が200μm以下であり、該種晶の添加量がコハク酸の回収量の0.001重量%以上20重量%以下であることを特徴とする前項9〜12のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
14.前記コハク酸含有液中のコハク酸濃度が、10重量%以上45重量%以下である、前項1〜13のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
15.前記コハク酸含有液の溶媒が、比誘電率10以上の液体であることを特徴とする、前項1〜14のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
16.晶析に際して、前記コハク酸含有液を、晶析槽に投入する際の温度より10℃以上冷却することを特徴とする、前項1〜15のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
17.前記コハク酸含有液を晶析槽の液相に供給する、前項1〜16のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
18.前記晶析槽内部の液温が、晶析槽壁面温度よりも低い温度である、前項1〜17のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
19.前項1〜18のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法によって製造されたコハク酸であって、粒径分布をRosin−Rammler分布で近似したときの均等数nが3.0以上であることを特徴とするコハク酸。
20.前項19において、重量基準のメジアン径が400μm以下であることを特徴とするコハク酸。
本発明の方法によれば、コハク酸含有液から晶析により高純度のコハク酸を製造することができる。また、本発明の方法によれば、粒子径の均一性が高く粉体のハンドリング性に優れ、かつ高純度のコハク酸を高い製造効率で安定的に製造することができる。さらに、本発明の方法によれば、コハク酸を連続的に安定して晶析させることにより、粒度分布が狭くハンドリング性に優れた粒度分布を有するコハク酸を得ることができる。
図1は、実施例1−1〜1−3で用いた晶析装置を示す図面である。 図2は、実施例1−1で得られたコハク酸結晶の顕微鏡写真である。 図3は、実施例1−2で得られたコハク酸結晶の顕微鏡写真である。 図4は、実施例1−3で得られたコハク酸結晶の顕微鏡写真である。 図5は、比較例1−1で用いたアンカー翼を示す図面である。 図6は、比較例1−1で用いた晶析装置を示す図面である。 図7は、比較例1−1で得られたコハク酸結晶の顕微鏡写真である。 図8は、実施例2−1、2−2および比較例2−1、2−2、実施例3−1〜3−3および比較例3−1〜3−3で用いた晶析装置を示す図面である。 図9は、実施例2−3で用いた晶析装置を示す図面である。 図10は、実施例2−1〜2−3および比較例2−1〜2−4で得られたコハク酸粒子の粒径分布を示す。 図11は、実施例4−1および比較例4−1で用いた晶析装置を示す図面である。 図12は、比較例4−2で用いた晶析装置を示す図面である。 図13(a)および(b)は、実施の形態に係るコハク酸の製造方法に用いられる晶析装置の模式的な断面図である。 図14は、実施の形態に係るコハク酸の製造方法を説明するフロー図である。 図15は、異なる実施の形態に係るコハク酸の製造方法を説明するフロー図である。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は本発明の実施形態の代表例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変形して実施することができる。本発明において、「重量%」は「質量%」と同義である。
本発明のコハク酸の製造方法は、攪拌装置を備えた晶析槽内で、コハク酸含有液からコハク酸を攪拌下で晶析するコハク酸の製造方法であって、晶析槽内の該コハク酸含有液の単位体積あたりの該攪拌所要動力が、0.4kW/m以上3kW/m以下であることを特徴とする、コハク酸の製造方法である。
また、本発明のコハク酸の製造方法は、晶析槽内においてコハク酸含有液からコハク酸を晶析させて製造する方法であって、晶析したコハク酸を該晶析槽から連続的又は間欠的に抜き出すと共に、該晶析槽内にコハク酸含有液を連続的又は間欠的に供給して該晶析槽内の液位を所定範囲内に維持する晶析工程を有することを特徴とするコハク酸の製造方法である。
<コハク酸含有液>
本発明の製造方法において、コハク酸含有液は、コハク酸含有流体およびコハク酸含有溶液と同義である。晶析に供するコハク酸含有液は、コハク酸を含有する液体であればどのような形態のものであってもよい。
コハク酸含有液は、コハク酸が溶解した溶液であっても、コハク酸が塩として溶解している溶液であってもよい。また、これらの溶液にコハク酸やコハク酸の塩の固体が併存するスラリーであっても構わないし、更にはコハク酸以外の固形分が併存するスラリーであっても構わない。
コハク酸含有液に用いられる溶媒としては、コハク酸またはコハク酸の塩を溶解可能なものであって、晶析操作を行う条件下で液体であるものであれば、どのようなものでも使用可能である。
晶析の際のコハク酸および/またはコハク酸の塩の回収を効率よく行うためには、溶解度の温度依存性が高い溶媒が好ましい。なかでも比誘電率が10以上の溶媒が好ましく、比誘電率が20以上の溶媒がより好ましく、比誘電率が50以上の溶媒が特に好ましい。
より具体的には、例えば、アセトン等のケトン系溶媒、アセトニトリルおよびN,N−ジメチルホルムアミド等の窒素含有溶媒、蟻酸等のカルボン酸系溶媒、エタノール、メタノールおよび1−プロパノール等のアルコール系溶媒、並びに水が挙げられる。
コハク酸が溶解した溶液としては、例えば、無水マレイン酸またはマレイン酸を水溶液中でパラジウムなどの金属触媒存在下水素化処理することで得られたコハク酸水溶液、および生物由来原料から得られたコハク酸またはコハク酸の塩の水溶液などが挙げられる。
コハク酸含有液は特に指定されるものでなく、石化原料、例えば無水マレイン酸の水素化により得られたものでも、生物由来原料由来のものでもかまわない。近年では、微生物を用いた発酵操作により、広い生物由来原料から高い炭素収率でコハク酸を製造することができるため、環境への負荷等を考慮すると生物由来原料から得られるコハク酸含有液が好ましい。
ここで生物由来原料から得られるコハク酸含有液とは、生物由来原料から誘導されるコハク酸を含むものである。該生物由来原料としては、例えば、木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙、製紙残渣、水産物残渣、家畜排泄物、下水汚泥および食品廃棄物等が挙げられる。
この中でも、木材、稲わら、籾殻、米ぬか、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、おから、コーンコブ、タピオカカス、バガス、植物油カス、芋、そば、大豆、油脂、古紙および製紙残渣等の植物資源が好ましく、より好ましくは、木材、稲わら、籾殻、古米、とうもろこし、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ、芋、油脂、古紙および製紙残渣であり、最も好ましくはとうもろこし、サトウキビ、キャッサバおよびサゴヤシである。
これらの生物由来原料は、一般に、窒素元素またはNa、K、MgおよびCa等の多くのアルカリ金属、アルカリ土類金属を含有する。
そしてこれらの生物由来原料は、特に限定はされないが、例えば酸およびアルカリ等の化学処理、微生物を用いた生物学的処理、並びに物理的処理等の公知の前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導される。
前記工程には、特に限定はされないが、例えば、生物由来原料をチップ化する、削る、擦り潰す等の前処理による微細化工程が含まれる。必要に応じて、更にグラインダーやミルでの粉砕工程が含まれる。こうして微細化された生物由来原料は、更に前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導される。
前処理・糖化の工程の具体的な方法としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸および燐酸等の強酸での酸処理、アルカリ処理、アンモニア凍結蒸煮爆砕法、溶媒抽出、超臨界流体処理、並びに酸化剤処理等の化学的方法;微粉砕、蒸煮爆砕法、マイクロ波処理および電子線照射等の物理的方法;微生物または酵素処理による加水分解等の生物学的処理が挙げられる。
上記の生物由来原料から誘導される炭素源としては、例えば、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボースおよびタガトース等のヘキソース、アラビノース、キシロース、リボース、キシルロースおよびリブロース等のペントース、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、澱粉およびセルロース等の2糖・多糖類、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノクチン酸、アラキジン酸、エイコセン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リグノセリン酸およびセラコレン酸等の脂肪酸、並びにグリセリン、マンニトール、キシリトールおよびリビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が挙げられる。このうちグルコース、マルトース、フルクトース、スクロース、ラクトース、トレハロースおよびセルロースが好ましい。
これらの炭素源を用いて、微生物変換による発酵法若しくは加水分解・脱水反応・水和反応・酸化反応・還元反応等の反応工程を含む化学変換法またはこれらの発酵法と化学変換法の組み合わせによりコハク酸が合成されるが、これらの中でもコハク酸生産能を有する微生物を利用した微生物変換による発酵法が好ましい。
コハク酸生産能を有する微生物はコハク酸生産能を有する微生物であるかぎり特に制限されないが、エシェリヒア・コリ等の腸内細菌、バチルス属細菌およびコリネ型細菌などが挙げられる。中でも、好気性微生物、通性嫌気性微生物または微好気性微生物を使用することが好ましい。
好気性微生物としては、例えば、コリネ型細菌(Coryneform Bacterium)、バチルス(Bacillus)属細菌、リゾビウム(Rhizobium)属細菌、アースロバクター(Arthrobacter)属細菌、マイコバクテリウム(Mycobacterium)属細菌、ロドコッカス(Rhodococcus)属細菌、ノカルディア(Nocardia)属細菌およびストレプトマイセス(Streptomyces)属細菌などが挙げられる。これらの中でもコリネ型細菌がより好ましい。
コリネ型細菌は、これに分類されるものであれば特に制限されないが、例えば、コリネバクテリウム属に属する細菌、ブレビバクテリウム属に属する細菌およびアースロバクター属に属する細菌などが挙げられる。
これらの中でもコリネバクテリウム属又はブレビバクテリウム属に属する細菌が好ましくコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)およびブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacteriumlactofermentum)に分類される細菌がより好ましい。
さらに後述の実施例に記載のように、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性が増強され、ラクテートデヒドロゲナーゼ活性が低下した株を用いることが好ましい。
微生物変換における反応温度および圧力等の反応条件は、選択される菌体およびカビなど微生物の活性に依存することになるが、コハク酸を得るための好適な条件を各々の場合に応じて選択すればよい。
微生物変換においては、pHが低くなると微生物の代謝活性が低くなったり、或いは微生物が活動を停止するようになり、製造歩留まりが悪化したり、微生物が死滅するため、通常には中和剤を使用する。
通常はpHセンサーによって反応系内のpHを計測し、所定のpH範囲となるように中和剤の添加によりpHを調節する。pH値は、用いる菌体およびカビ等の微生物の種類に応じて、その活性が最も有効に発揮される範囲に調整する。中和剤の添加方法については特に制限はなく、連続添加であっても間欠添加であってもよい。
中和剤としては、例えば、アンモニア、炭酸アンモニウム、尿素、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩およびアルカリ土類金属の炭酸塩が挙げられる。これらの中でもアンモニア、炭酸アンモニウムおよび尿素が好ましい。
なお前記アルカリ(土類)金属の水酸化物としては、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)、Mg(OH)等、或いはこれらの混合物などが挙げられる。また、前記アルカリ(土類)金属の炭酸塩としては、例えば、NaCO、KCO、CaCO、MgCOおよびNaKCO等、並びにこれらの混合物などが挙げられる。
微生物変換後の発酵液は、微生物を除去した後の発酵液を用いることが好ましい。微生物の除去方法は特に限定は無いが、沈降分離、遠心分離、ろ過分離ならびにそれらを組み合わせた方法などが用いられる。工業的には遠心分離、膜ろ過分離などの方法で行う。
遠心分離においては、遠心沈降および遠心ろ過などを用いることができる。遠心分離において、その操作条件は特に限定されるものではないが、通常100G〜100,000Gの遠心力で分離することが好ましい。またその操作は連続式でも、バッチ式でも使用できる。
膜ろ過分離においては、精密ろ過および/または限外ろ過等を使用することが出来る。膜の材質としては、特に限定は無く、例えば、ポリオレフィン、ポリスルフィン、ポリアクリロニトリルおよびポリフッ化ビニリデン等の有機膜、並びにセラミック等の無機材質の膜が挙げられる。
操作方法としては、デッドエンド型およびクロスフロー型のいずれでも用いることができる。膜ろ過分離では、微生物が膜に目詰まりすることが多いので、遠心分離などで微生物を粗取りを行ってから膜ろ過を行うなどの方法も用いられる。
さらに微生物を除去した後の発酵液は、その後の精製工程での操作性や効率性を考慮して適宜濃縮してもよい。濃縮方法としては、特に限定されないが、例えば、不活性ガスを流通させる方法、加熱により水を留去させる方法および減圧で水を留去させる方法並びにこれらを組み合わせる方法などが挙げられる。また濃縮操作は、バッチ操作で行っても、連続操作で行ってもよい。
(プロトン化)
上述のように発酵工程で中和剤を用いた場合には、コハク酸の塩が得られ、水溶液中に存在する場合には、得られたコハク酸の塩は水中に安定的に存在するため、塩からコハク酸へ変換することが好ましい。
すなわち、コハク酸塩に酸を加え、塩交換することでコハク酸に変換する。この変換を以下プロトン化と呼ぶ場合があり、この工程を以下プロトン化工程と呼ぶ場合がある。
プロトン化工程で用いる酸は、コハク酸塩と塩交換する必要があるので、通常はコハク酸より強い酸、すなわち酸解離定数pKaがコハク酸より小さい酸、通常はpKa<4なる酸を用いる。さらに用いる酸は有機酸よりも無機酸の方が好ましい。
コハク酸塩に無機酸を加えることで無機塩が副生する。例えば発酵操作で中和剤としてアンモニアを用いた場合、コハク酸はアンモニウム塩として存在するが、本工程で硫酸を用いた場合は、硫酸アンモニウムが副生塩として発生する。
酸添加量は用いる酸の強度にもよるが、通常はコハク酸塩を構成するカチオン量に対し0.1〜5倍等量程度の酸を添加することが好ましい。
通常、酸の添加はpHで調整することが好ましい。pHはコハク酸の酸強度pKaにもよるが、少なくともpKa以下とすることが好ましい。通常はpH4以下で操作することが好ましい。
一方、酸を過剰に加えてもpHの下がり方は徐々に鈍化し、過剰の酸はコハク酸塩とは塩交換せず酸として系内に存在することとなる。余剰の酸は中和処理等が必要になり非効率である。従ってpHは通常1以上で制御することが好ましい。
(濃縮処理)
一般に生物由来原料から得られるコハク酸含有液はコハク酸濃度が希薄であるため、通常濃縮操作が必要となる。濃縮度は特に限定されるものではないが、最終濃縮液中のコハク酸の溶解度が飽和溶解度以下であり、かつ極力飽和溶解度に近いほうが好ましい。
晶析槽に供給するコハク酸含有液中のコハク酸濃度は、10重量%以上45重量%以下であることが好ましく、15重量%以上40重量%以下であることがより好ましく、20重量%以上35重量%以下であることがさらに好ましい。
コハク酸含有液中のコハク酸濃度を10重量%以上とすることにより、晶析操作でのコハク酸収率が高く効率的である。また、コハク酸濃度を45重量%以下とすることにより、コハク酸の溶解およびそのハンドリングに高温を要することなく、ハンドリングが容易となる。
コハク酸含有液の温度は、晶析工程でコハク酸を回収することが可能である温度差を作ることができる条件であれば特に制限は無く、コハク酸濃度にもよるが、コハク酸回収率と得られるコハク酸純度等の観点から、通常晶析槽投入の際の温度と晶析の際の温度差が10℃以上90℃以下であることが好ましく、20℃以上80℃以下であることがより好ましく、30℃以上70℃以下であることが更に好ましい。
前記温度差を10℃以上とすることにより、コハク酸の回収率が高くなり効率的である。また、前記温度差を90℃以下とすることにより、スラリー濃度が高すぎることなくハンドリングが容易であり、得られるコハク酸粒子の均一性を向上し、コハク酸純度を向上することができる。
<晶析槽>
本発明に用いる晶析槽は、攪拌装置を備えている容器であればその構造としては特に限定されるものではなく、通常知られる攪拌装置を有する容器を使用することができるが、底部を有する円筒形の容器が好ましい。また、効率的にコハク酸含有液に剪断を与えるため、槽内に邪魔板を設置することが好ましい。さらに晶析槽内の流れを整えるためにドラフトチューブと称するなど円筒形のガイドを有する容器も使うことができる。
容器の形状に特に制限は無いが、装置内でスラリーをより均一とし、さらに効率的に剪断を与えるために、容器の径と高さの比(L/D)が通常0.5以上3以下であることが好ましく、0.7以上2.5以下であることがより好ましく、1以上2以下であることが更に好ましい。
<攪拌装置>
本発明の攪拌に用いる攪拌装置としては、攪拌翼を備えている攪拌装置が用いられる。
攪拌翼は特殊な翼である必要は無く、公知の攪拌翼を用いることができる。例えば、パドル翼およびタービン翼などの剪断型翼、後退翼、ファウドラー翼、マックスブレンド翼(住友重機械工業社登録商標)およびフルゾーン翼(神鋼パンテック社登録商標)などの吐出型翼などが挙げられる。ただし、本発明においては効率的に動力を与えるため、パドル翼およびタービン翼などの剪断型翼を用いることが好ましい。
剪断型翼、吐出型翼の区別は、例えば、動力数Npと吐出流量数Nqdの比Np/Nqdで評価することができる(例えば、別冊化学工業23−2設計・操作シリーズNo.1改訂攪拌装置P21−25、p.38−39参照)。ここでは、Np/Nqd≧1.7を満たす攪拌翼、好ましくはNp/Nqd≧2を満たす翼から選ぶことが好ましい。
攪拌翼の大きさにも特に制限は無いが、本発明においては、攪拌翼を備えた攪拌装置に加えてコハク酸含有液を循環させるような他の攪拌装置を併用してもかまわない。他の攪拌装置としては、例えば晶析槽から導いたコハク酸含有液を遠心ポンプなどの流体移送用ポンプにより、晶析槽へ循環させる装置を使用することができる。
<攪拌>
本発明においては、晶析槽内のコハク酸含有液を、該コハク酸含有液の単位体積あたりの攪拌所要動力(以下、Pvと略記することがある)が0.4kW/m以上3kW/m以下となるような攪拌条件下で晶析する。
Pvを0.4kW/m以上とすることにより、コハク酸結晶の純度を向上することができる。Pvを0.4kW/m以上とすることにより、コハク酸結晶の純度が向上するのは、槽内の攪拌が十分なため結晶が晶析母液を巻き込んで凝集するのを防ぐためであると考えられる。
一方、Pvを3kW/m以下とすることにより、晶析のために無駄にエネルギーが必要になることがなく、コハク酸結晶が小さくなりすぎて後続の固液分離工程に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。また常圧で晶析を行う場合においては、攪拌により気相部から巻き込まれたガスがコハク酸に付着してコハク酸が浮かび上がり晶析操作の障害になるのを防ぐことができる。
<晶析>
本発明における晶析とは、コハク酸含有液に何がしかの変化を与えて、コハク酸の溶解度を変化させることによって、コハク酸含有液からコハク酸結晶を析出させる操作であるが、コハク酸含有液からコハク酸を結晶として析出させる操作であれば、どのような方法であっても構わない。
晶析方法としては、より具体的には、例えば、晶析槽内部を減圧にすることでコハク酸含有液の温度を変化させて、コハク酸の溶媒に対する溶解度の温度依存性を利用して、コハク酸を析出させる冷却晶析法、加熱および減圧などにより溶液から溶媒を揮発させてコハク酸含有液中のコハク酸濃度を高めてコハク酸を析出させる濃縮晶析方法およびコハク酸含有液にコハク酸溶解度を減少させる第三成分(貧溶媒)を添加してコハク酸を析出させる貧溶媒晶析方法、並びにこれらの組み合わせによる方法などが挙げられる。
また、コハク酸含有液がコハク酸塩を含むものである場合には、コハク酸含有液に硫酸または塩酸などの強酸を加えることでコハク酸塩を非解離形のコハク酸に変化させるとともに、上記の冷却、濃縮、貧溶媒添加などの方法と組み合わせてコハク酸結晶を析出させることができる。
冷却晶析では、その冷却方法として、例えば、コハク酸含有液を外部の熱交換器などに循環させ冷却する方法、冷媒の流通する管(インナーコイル)をコハク酸含有液中に投入する方法、および装置内を減圧することにより溶液中の溶媒を揮発させて、溶媒の気化熱により冷却する方法などが挙げられる。
これらの中でも、装置内を減圧することにより溶液中の溶媒を揮発させて、溶媒の気化熱により冷却する方法では、熱交換界面にコハク酸が析出することによる熱移動の阻害を防止することができるとともに、溶液中のコハク酸の濃縮も伴い、晶析収率の点から好ましい。
晶析をする際の晶析槽内のコハク酸含有液の温度(以下、晶析温度ということがある)は、コハク酸含有液からコハク酸結晶が結晶化する温度が設定される。
晶析温度は、コハク酸の回収率を高めることができ、しかもコハク酸をポリマー原料として用いた場合に、ポリマーの着色を低減できるという観点から、通常25℃以上60℃以下とすることが好ましく、30℃以上50℃以下とすることがより好ましい。さらに、晶析温度と、晶析槽に投入するコハク酸を含む溶液がコハク酸飽和溶液となる温度との差が10℃以上、45℃以下であることが好ましい。
晶析温度を25℃以上とすることにより、回収されたコハク酸をポリマー原料として用いたとき、ポリマーへの着色を抑えることができる。
晶析温度を60℃以下とすることにより、回収されたコハク酸をポリマー原料として用いたときポリマー着色の問題がないとともに、晶析工程におけるコハク酸の回収率を向上し、効率的にコハク酸を製造することができる。
また、コハク酸含有液をジャケットまたはインナーコイルに冷媒を流すことで冷却する方法においては、伝熱面でのコハク酸スラリーと冷媒の温度差が大きくなりすぎることがなく、激しくスケーリングするのを防ぐことができる。
晶析温度と回収されたコハク酸をポリマー原料として用いたときのポリマー着色度には明確な相関があり、晶析温度の低下によりなんらかの不純物がコハク酸に残留し、重合時着色原因となっていると思われる。ただし現在その原因物質は不明である。
ジャケットやインナーコイルに冷媒を流すことで冷却する方法においては、スケーリング防止の観点から、伝熱面でのコハク酸スラリーと冷媒の温度差は通常20℃以下とすることが好ましく、10℃以下とすることがより好ましい。
また、晶析槽壁面温度は晶析温度よりも高い温度で保つことが好ましい。晶析槽壁面温度を晶析温度よりも高い温度とすることにより、晶析壁面でコハク酸が析出することを防止し、安定に連続運転をすることが可能となり、壁面で析出したコハク酸が周期的に晶析槽内部に剥れ落ちることでコハク酸純度を不安定にしたり、悪化させたりすることを防止することが可能となる。
晶析をする際の晶析槽内部の圧力は外気圧より低くすることが好ましい。晶析槽内部の圧力を外気圧より低くすることにより、溶液中の溶媒を揮発させてコハク酸の濃度を高めたり、溶媒の気化熱によりコハク酸含有液を冷却したりすることが可能となり、コハク酸を晶析することができる。
また、晶析槽内部の圧力を外気圧より低くすることにより、例えば熱交換によりコハク酸含有液を冷却する方法に比べて、熱交換界面にコハク酸が析出することによる熱移動の阻害を防止することができる。それとともに、熱交換界面に析出したコハク酸がコハク酸含有液中の不純物を取り込むことを防止したり、コハク酸の固体を析出させる速度を制御したり、析出した固体の凝集を制御したりすることが可能となる。これにより得られるコハク酸の固体がコハク酸含有液中の不純物を伴うことを防止することが可能となり、より純度の高いコハク酸を製造することが可能となる。
晶析槽内部の圧力を外気圧より低くする方法としては、コハク酸含有液からコハク酸を結晶として析出させる際に晶析槽内部の圧力を外気圧より低くすることができれば、どのような方法であっても構わず、例えば真空発生装置を利用することができる。
また減圧下で晶析する方法における晶析槽内の圧力は、求める晶析温度によって決まり、通常0.5kPa以上20kPa以下とすることが好ましく、1kPa以上20kPa以下とすることがより好ましく、1kPa以上15kPa以下とすることがさらに好ましく、1.5kPa以上10kPa以下とすることが特に好ましい。
また、例えば溶媒が水の場合は、通常3kPa以上20kPa以下とすることが好ましく、4kPa以上15kPa以下とすることがより好ましく、5kPa以上10kPa以下とすることが特に好ましい。
圧力を0.5kPa以上とすることにより、供給するコハク酸含有液の濃度により晶析槽内のスラリー濃度が高くなりすぎるのを防ぎ、ハンドリングが容易となるとともに、圧力の制御が容易となる。また減圧のための設備が限定されることなく、一般には設備費用を抑えることができ、経済的に好ましい。例えば減圧にスチームエゼクターを用いた場合は、減圧度が大きくなると、スチームエゼクターの段数を増やすなど設備費用が大きくなる。
また、圧力を外気圧より低くすることにより、晶析槽内の温度が上昇するのを抑え、晶析槽内のスラリー濃度が低すぎることなく効率が向上する。
真空発生装置は求められる圧力、水とともに蒸発する溶媒の有無とその種類などにより、公知の方法から選択することができる。公知の方法としては、例えば、設計・操作シリーズNo.3改訂晶析(化学工学社)P292−293に挙げられる方法、例えば、水またはスチームエゼクター、および油封回転型真空ポンプなどが挙げられる。
晶析操作では、コハク酸結晶の粒度分布を制御するためにコハク酸の核化、結晶成長を制御することが好ましい。コハク酸の核化、結晶成長は、通常、槽内のコハク酸の過飽和度により制御されるが、そのためには通常晶析時間を制御する方法が用いられる。晶析時間は通常0.5時間以上10時間以下とすることが好ましく、1時間以上5時間以下とすることがより好ましい。
晶析時間を前記下限以上とすることにより、槽内のコハク酸過飽和度が大きくなりすぎることなく、微結晶の発生を抑えるとともに、また過飽和度を残したままスラリーが晶析槽から抜き出されることで後続の工程でスケーリングしたりするなどのトラブルを防ぐことができる。また、晶析時間を前記下限以下とすることにより、無用に晶析槽が大きくなることなく、効率的である。
例えば、バッチ操作による冷却晶析の場合ならコハク酸含有液を所定の温度まで下げるのに0.5時間以上5時間以下かけてコハク酸含有液を冷却し、さらに0.1時間以上5時間以下熟成することが好ましい。そのときのコハク酸含有液の冷却速度は通常0.05℃/分以上2℃/分以下とすることが好ましく、0.1℃/分以上1.5℃/分以下とすることがより好ましく、0.2℃/分以上1℃/分以下とすることが更に好ましい。
晶析は、晶析槽の中が空になることが無く連続的または間欠的にコハク酸含有液を供給するとともに、晶析槽内でコハク酸を結晶化させ、生成したコハク酸およびコハク酸含有液を含むコハク酸スラリーを連続的または間欠的に晶析槽から抜き出すことで連続操作を行うこともできる。
晶析槽が空になることが無ければ、任意の時期に任意の量のコハク酸含有液を晶析槽に供給して構わないが、晶析槽の有効容積以上量とならないように調整する。連続操作は、スケール的に限界のあるバッチ操作と異なり、高い生産効率が求められる大規模な工業スケールの晶析操作においては必要不可欠な操作である。
コハク酸含有液の供給方法に特に制限は無いが、例えば、コハク酸含有液を送液ポンプで送液する方法、および圧送する方法などが挙げられる。
コハク酸含有液の供給速度は、晶析槽でのコハク酸含有液の平均滞留時間が1時間以上5時間以下となるように供給することが好ましい。
平均滞留時間を前記下限以上とすることにより、槽内のコハク酸過飽和度が大きくなりすぎることなく、微結晶の発生を抑えるとともに、また過飽和度を残したままスラリーが晶析槽から抜き出されることで後続の工程でスケーリングしたりするなどのトラブルを防ぐことができる。また、平均滞留時間を前記上限以下とすることにより、無用に晶析槽が大きくなることなく、効率的である。
コハク酸含有液は、晶析槽内部のスラリーからなる液相部へ供給することが好ましい。コハク酸含有液を晶析槽内部の液相部に供給することにより、コハク酸の微小な結晶が大量に発生したり、配管閉塞などのトラブルが発生したりすることを防止することが可能となる。
(コハク酸スラリーの抜出)
連続式で晶析を行う際に得られたコハク酸を晶析槽から抜き出す際には、通常コハク酸含有液とともにスラリーとして抜き出す。抜出は、晶析槽が空にならなければ任意の時期に任意の量を抜き出して構わない。この際の抜出は、晶析槽の中が空になることが無いように、供給したコハク酸含有液の量と適宜対比して、連続的または間欠的にスラリーポンプまたは晶析槽よりも減圧とした受槽に圧力差を利用して圧送などで抜出す方法などにより行われる。
また、晶析槽の中が空になることが無いように、コハク酸含有液を晶析槽に供給し、且つ晶析槽から抜出す方法としては、供給量と抜出量を同一にする方法、および液面センサーなどにより晶析槽内の液面が一定以下になった場合に供給し、一定以上になった場合に抜出す操作を繰り返す方法などが挙げられる。
<固液分離>
晶析槽から抜出したコハク酸は、通常、コハク酸含有液との混合物として取り出されるため、通常コハク酸とコハク酸含有液とを固液分離工程で分離する。固液分離工程では、従前公知の方法でコハク酸結晶および母液を固液分離処理する。
固液分離方法は、コハク酸とコハク酸含有液とを分離可能な方法であれば特に限定するものではなく、例えば、ろ過分離、沈降分離および遠心分離などが挙げられる。また、操作はバッチでも連続でもよい。効率の良い固液分離装置として、例えば、連続式の遠心ろ過機およびデカンター等の遠心沈降機などが挙げられる。
また、固液分離操作で分離した固形分を冷水等でリンス処理して表面に付着したコハク酸含有液を除去することが、得られるコハク酸の純度を高めるという点で好ましい。
<乾燥>
固液分離工程で得られたコハク酸は、通常その表面にコハク酸含有液が付着しているため、必要に応じて冷水等でリンス処理した上で、乾燥してコハク酸を得る。乾燥方法は特に限定するものではないが、例えば、バンド式乾燥機、流動乾燥機のような対流伝熱式乾燥機およびドラム式乾燥機のような伝導伝熱式乾燥機などが挙げられる。
特に大量かつ連続処理可能で、かつ乾燥処理の過程で結晶の破砕などが小さい流動乾燥機が好ましい。また、流動乾燥機を使用するときは、コハク酸の粉塵爆発防止の観点から窒素供給下で乾燥することが好ましく、その雰囲気酸素濃度は12%以下とすることが好ましい。
また、乾燥時のコハク酸温度は、分子内脱水により無水コハク酸が生成する虞があることから、コハク酸の温度が好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下となるように乾燥する。
本発明の製造方法により得られるコハク酸は、重量基準の粒径分布をRosin−Rammler分布で近似したときの均等数nが3.0以上であることが好ましく、3.0〜6.0であることがより好ましく、特に3.2〜5.0であるのがさらに好ましい。また、平均粒径が400μm以下であることが好ましく、100〜300μmであることがより好ましい。ここで平均粒径とは、篩分級で得られる重量基準のメジアン径のことをいう。
<蒸発晶析によるコハク酸の製造方法の一例>
以下に、図13及び図14を用いて蒸発晶析によるコハク酸の製造方法の一例を説明する。図13(a)は実施の形態に係るコハク酸の製造方法に用いられる晶析装置の模式的な断面図、図13(b)は図13(a)のB−B線に沿う水平断面図、図14は実施の形態に係るコハク酸の製造方法の一例を説明するフロー図である。
(晶析装置)
本発明に用いる晶析装置は、撹拌装置を備えている容器であればその構造としては特に限定されるものではなく、通常知られる撹拌装置を有する容器を使用することができるが、底部を有する円筒形の容器が好ましい。また効率的にスラリーに剪断を与えるため、槽内に邪魔板を設置することが好ましい。さらに晶析槽内の流れを整えるためにドラフトチューブと称するなど円筒形のガイドを有する容器も使うことができる。
容器の形状に特に制限はないが、装置内でスラリーをより均一とし、さらに効率的に剪断を与えるために、通常容器の径と高さとの比(L/D)が好ましくは0.5以上3以下の容器が用いられ、より好ましくは0.7以上2.5以下、特に好ましくは1以上2以下の容器が用いられる。
晶析槽としては、槽内コハク酸含有液の組成と抜出コハク酸含有液の組成が等しい、すなわち完全混合槽型反応機(以下、CSTR型と略記することがある)を用いることもできるし、晶析装置として広く用いられている分級機能をもつ晶析装置なども用いることができる。ここでは晶析装置として広く用いられているダブルプロペラ型晶析装置(以下、DP型と略記することがある)について図13を用いて説明する。
このDP型晶析装置10は、被処理液が供給される槽体1と、この槽体1内に設けられたドラフトチューブ2と、このドラフトチューブ2の内側及び外側に設けられた回転羽根3及び4と、を主に有する。
槽体1は、略円筒状の上位部1aと、該上位部1aよりも大径の略円筒状であり、該上位部1aの下半側を収容した中位部1bと、該中位部1bの下端に連なる下位部1cとを有している。この上位部1aのうち中位部1b内に収容された部分がバッフルプレート5となっている。この下位部1cは、中位部1bの下端から下側に向かって縮径するコーン部と、該コーン部の下端を閉止する底面部とからなる。この下位部1cのコーン部に原液供給口1d及びスラリー抜出口1eが設けられ、この下位部1cの底面部に抜出口1hが設けられ、中位部1bに清澄母液出口1fが設けられ、上位部1aの上端を覆う鏡部にベーパー出口1gが設けられている。
ドラフトチューブ2の上端は清澄母液出口1fの上端よりも高位となっており、ドラフトチューブ2の下端は下位部1cの途中高さ位置まで延在している。このドラフトチューブ2は、上部ドラフトチューブ2aと下部ドラフトチューブ2bとからなっており、上部ドラフトチューブ2aの内周面及び外周面に回転羽根3及び4が固設されている。この内側の回転羽根3の中心に回転シャフト6が固設されており、この回転シャフト6をモータ7で回転させることにより、回転羽根3及び4が上部ドラフトチューブ2aと共に回転可能とされている。これら回転羽根3及び4は該バッフルプレート5内に配置されている。
但し、図14の通り、ドラフトチューブ2を上部、中間部及び下部に3分割し、中間部に回転羽根3及び4を設けてもよく、またドラフトチューブ2を一体物としてもよい。
なお、晶析処理時には、図13(a)のように、液位Lが中位部1bの上端及びドラフトチューブ2の上端よりも高位となり、上位部1aのうち該液位Lよりも上方が蒸発室8となる。
DP型晶析装置10の主な仕様の一例は以下に示す通りである。
主寸法(中位部1b)の内径:φ350
容量:230L
回転数:93〜375回転/分
動力:2.2kW、200V
材質:SUS316
なお、晶析装置の構成は上記のDP型晶析装置10に限定されるものではなく、例えば、日本国特公昭43−19851号公報や日本国特開2004−154618号公報の晶出装置を用いてもよい。
(蒸発晶析による製造例)
次に、図14を用いてコハク酸の蒸発晶析による製造例を説明する。
(1)原液
ジャケット付原料タンク20内に、所定濃度のコハク酸含有液を貯留する。コハク酸濃度はその溶解温度にもよるが通常10〜50重量%である。コハク酸溶解温度は、コハク酸が溶解すれば特に限定されるものではないが、通常30〜90℃の温度範囲で行う。
(2)晶析装置10への液張り等
このコハク酸含有液を、原液供給ポンプPを作動させてタンク20から抜き出し、上水を添加して希釈してから晶析装置10に供給する。この希釈後の原液中のコハク酸濃度は、晶析装置10内で析出しない濃度であれば特に限定されるものではないが、例えば5〜40重量%である。
図13(a)のように、晶析装置10内の液位Lがドラフトチューブ2の上端よりも高位となるまで、コハク酸含有液の晶析装置10への供給を行った後、所定の撹拌回転数(例えば、100〜350回転/分)で回転羽根3,4を回転させる。これにより、図13(a)に示す通り、原液供給口1dからドラフトチューブ2内に供給されたコハク酸含有液は、回転羽根3の回転力によって上昇してドラフトチューブ2の上端から流出した後、回転羽根4の回転力によって該ドラフトチューブ2とバッフルプレート5との間を下降し、再度ドラフトチューブ2の下端から該ドラフトチューブ2内に流入する。このようにしてコハク酸含有液はドラフトチューブ2の内外を循環する。
また、必要に応じてスラリー循環ポンプPを稼動させ、コハク酸含有液の外部循環を開始する。このポンプPとしては晶析したコハク酸結晶の少なくとも一部を破砕するものが好ましく、たとえばスラリー用遠心ポンプなどがあげられる。またその流量は配管内で結晶が均一に流れれば特に指定されるものではなく、その結晶サイズにもよるが通常、線速0.2〜5m/秒となるよう設定する。また吐出圧力はポンプ、配管サイズ、流量等によって決まるものであるが通常0.01〜0.5MPaである。スラリー熱交換器21には、冷媒を流しても流さなくても構わず、熱媒を流してもよい。
(3)晶析装置10内の減圧及び濃縮
晶析装置10内の圧力を徐々に下げ溶媒を蒸発させてコハク酸含有液を濃縮するとともに、蒸発潜熱により液温を低下させ、コハク酸の晶析を開始する。晶析温度は特に限定されるものではなく通常5〜50℃である。ここで圧力を下げすぎると蒸発した溶媒を凝縮させるのが困難となり望ましくなく、逆に圧力が高すぎるとコハク酸回収率が低すぎて効率が悪くなる。なお、コハク酸含有液の外部循環を行う場合には、スラリー熱交換器21に熱媒を流すことにより、コハク酸含有液の濃縮が促進される。
減圧に伴って蒸発室8内に蒸発した蒸気を、ベーパー出口1gから抜き出す。抜き出した蒸気は、コンデンサー22で凝縮され、分離器23で気液分離された後に溶媒がタンク24に貯留される。また、タンク20内のコハク酸含有液を、希釈することなく晶析装置10内に間欠的又は連続的に供給する。この供給量は、槽体1内の液位Lがドラフトチューブ2の上端よりも上位を維持する程度の量であり、例えば20〜200L/時程度である。このようにして、晶析装置10内のコハク酸含有液を濃縮する。
(4)コハク酸の抜き出し
晶析装置10内のコハク酸含有スラリーが所定スラリー濃度(例えば20〜40重量%)に達した後、必要に応じ、タンク20から晶析装置10内へのコハク酸含有液の供給量を変更する。供給量は、例えば20〜200L/時程度である。このコハク酸含有液の供給は、間欠供給及び連続供給のいずれとしてもよいが、連続供給とした方がより安定してコハク酸を生産することができる。従って、上記(3)で間欠供給とした場合には、連続供給に切替えるのが好ましい。
また、晶析装置10内のスラリーを、液位Lレベル見合いで連続的又は間欠的にスラリー抜出口1hから抜き出す。スラリーの抜出量は、20〜200L/時特に30〜150L/時が好ましい。間欠的に抜き出す場合、スラリー抜出頻度は5〜30分/回特に10〜20分/回程度が好ましい。このとき、液位Lが晶析装置10内のドラフトチューブ2上面高さより高いレベルを維持するように注意する。
スラリーの抜出しは、晶析槽よりも減圧としたスラリー抜出槽へ晶析槽缶底弁から圧力差により間欠的に抜出したり、スラリーポンプにより連続的に抜出すことができる。さらにスラリーを循環するケースにおいては、循環するスラリーの一部を連続的に又は間欠的に抜出すことができる。ポンプの選定は、流量、揚程、求めるコハク酸粒子サイズなどから選定することができる。
ポンプは、大きく分けて羽根車をケーシング内で高速回転させ、液体にエネルギーを与えるターボ型ポンプ、一定の空間容積にある液体を往復運動又は回転運動にて容積変化させ液体にエネルギーを与える容積型ポンプ、特殊形ポンプなどに分類され、流量、揚程の他コハク酸粒子の破砕度合いから目的に応じて選定するが、コハク酸粒子を積極的にポンプで破砕するには、高速回転する羽根車でコハク酸含有液にエネルギーを与えるターボ型ポンプを用い、逆にコハク酸粒子の破砕を極力抑えたいケースにおいては容積型ポンプなどを用いる。スラリーの抜出しにおいては、コハク酸粒子の破砕を極力抑制することができる容積式のポンプ、例えばスネークポンプなどを用いることが望ましい。
抜き出したスラリーをバスケット型遠心分離機23で固液分離し、湿潤ケーキと母液に分離する。回収した湿潤ケーキを真空乾燥機(図示略)で乾燥する(例えば80℃/50Torr)。このようにして、コハク酸粒子を製造する。
なお、バッフルプレート5と晶析槽1の中位部1bとの間に、コハク酸粒子の含有量の少ない清澄母液が滞留する。この清澄母液を、ポンプPを用いて清澄母液出口1fから連続的又は間欠的に抜き出してもよい。抜き出された清澄母液はジャケット付清澄母液タンク25に貯留され、必要に応じ、ポンプPによってジャケット付原液タンク20に返送される。
また、晶析装置10内にコハク酸の種晶を添加してもよい。これにより、粒度分布が狭くハンドリング性に優れた粒度分布を有するコハク酸粒子を晶析させることができる。この種晶の体積平均粒子径は200μm以下特に50〜150μmであるのが好ましい。この種晶の添加量は、コハク酸の系外への回収量が0.001〜20重量%であるのが好ましく、特に0.01〜10重量%であるのが好ましい。
この種晶の添加方法には特に限定はなく、例えば、種晶スラリー供給用ポット26から、コハク酸の種晶を晶析装置10内に添加してもよい。また、上記スラリー循環ポンプPを稼動させてコハク酸含有液の外部循環を行う場合には、循環液中のコハク酸粒子を該スラリー循環ポンプPによって粉砕して、これを種晶として作用させることもできる。このとき、スラリー熱交換器21には冷媒や熱媒を流しても流さなくてもよく、冷媒や熱媒を流さない場合には、コハク酸含有液をスラリー熱交換器21のバイパスライン(図示略)に通液するようにしてもよい。
ここで用いるスラリー循環ポンプは、大きく分けて羽根車をケーシング内で高速回転させ液体にエネルギーを与えるターボ型ポンプ、一定の空間容積にある液体を往復運動又は回転運動にて容積変化させ液体にエネルギーを与える容積型ポンプ、特殊形ポンプなどから、流量、揚程の他コハク酸粒子の破砕度合いから目的に応じて選定することができる。
コハク酸粒子を積極的にポンプで破砕するには、高速回転する羽根車でコハク酸含有液にエネルギーを与えるターボ型ポンプを用いることが望ましい。逆にコハク酸粒子の破砕を極力抑えたいケースにおいては容積型ポンプなどを用いることが望ましい。
コハク酸粒子を高速回転する羽根車で積極的に破砕するターボ型ポンプは、さらに羽根車から吐き出されるコハク酸含有液が主として主軸に垂直な内面にある遠心ポンプ、羽根車から吐き出されるコハク酸含有液が主軸の中心軸を軸とする円錐面内にある斜流ポンプ、羽根車から吐き出されるコハク酸含有液が主軸と同心の円筒面内にある軸流ポンプに分類され、ポンプの種類はその流量、揚程だけでなく、コハク酸粒子の破砕度から用途に応じて適切に選定され、特に効率的にコハク酸粒子を破砕したいケースにおいては通常遠心ポンプを選定することが望ましい。さらに遠心ポンプ、斜流ポンプでは羽根の形状が羽根の側板の有無によりオープンインペラ、クローズインペラなどに分類できるが、コハク酸粒子の破砕効果という観点ではクローズインペラが効率的と考えられるが、スラリーをハンドリングする場合、ポンプ内で閉塞するおそれがあるため通常はオープンインペラが用いられる。
(冷却晶析方法の一例)
図15は冷却晶析方法の一例を示すフロー図である。本例で示す晶析装置の仕様は、主寸法:φ350、容量:63L、撹拌回転数:10〜120回転/分、動力:0.75kW(200V)、材質:SUS316(JIS)ステンレス鋼である。本例でも、ジャケット付原料タンク(図示略)内に、所定濃度(例えば10〜50重量%)及び所定温度(例えば30〜90℃)のコハク酸含有液を貯留する。
このコハク酸含有液を原液供給配管31から晶析槽30内に所定量(例えば10〜50L)供給する。次いで、撹拌機30aにより所定撹拌回転数(例えば10〜100回転/分)にて撹拌を開始すると共に、ポンプ32aを備えた循環配管32を介し、晶析槽30内のコハク酸含有液を熱交換器33に循環させる。この循環量は、例えば0.5〜5m/時程度である。
次いで、温度制御器(TIC)を用いて熱交換器33の冷媒の流量を制御することにより、所定時間(例えば1〜5時間)をかけて晶析槽30内の液温を所定温度(例えば10〜40℃)まで下げる。その後、晶析槽30内の液温をこの所定温度に維持し、所定時間熟成する。この熟成時間は1〜5時間程度が好ましい。
次いで、原液供給配管31からコハク酸含有液を間欠的又は連続的に供給すると共に、晶析槽30内のスラリーを液位レベル見合いで連続的又は間欠的に抜き出す。例えば、循環配管32の途中に電磁弁34を備えた抜出ライン34aを設けておき、該電磁弁34をタイマー制御により所定頻度で開とすることにより、晶析槽30内のスラリーを液位レベル見合いで抜き出す。この原液供給配管31からの供給量は10〜100L/時程度が好ましく、抜出ライン34aから抜き出すときの該所定頻度は5〜30分/回程度が好ましい。
抜き出したスラリーは、図14の場合と同様に、バスケット型遠心分離機で固液分離し、湿潤ケーキと母液に分離する。回収した湿潤ケーキは真空乾燥機で乾燥する。このようにして、コハク酸粒子を製造する。
[実施例]
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により制限されるものではない。
<粒径分布の測定>
得られたコハク酸の粒径分布は、JIS Z8801で規定された内径200mm、深さ45mmの目開き850μm、710μm、500μm、300μm、150μmの標準網篩および受け皿と蓋を用い、JIS Z8815 に準拠した方法で、振動数300rpm、ハンマー打数150回/分のロータップ式篩振盪機(テラオカ製F2−0003 typeS−2)を15分間振盪することで篩分けを行い、粒径分布を測定した。
メジアン径(以下、d50と略記することがある)の算出は、粒径を横軸(対数)にとり、篩下重量分率を縦軸にとり、篩下重量分率が50%となる粒径を内挿法により算出した。同様に篩下重量分率20%にあたる径(以下、d20と略記することがある)、篩下重量分率80%にあたる径(以下、d80と略記することがある)を算出した。
<コハク酸およびフマル酸の定量>
カラム;信和化工(株)製 ULTRON PS−80H 8.0mmI.D.× 30cm
溶離液:水(過塩素酸添加)(過塩素酸60%水溶液1.8ml/1L−HO)
温度:60℃
<アンモニウムイオンの定量>
本実施例におけるアンモニウムイオンの定量分析は、下記の条件によるイオンクロマトグラフィ−により行った。
カラム;GL−IC−C75(4.6mmI.D × 150mm)
溶離液;3.5mmol/L硫酸
カラム温度:40℃
<コハク酸結晶の観察>
本実施例により得られたコハク酸結晶は、キーエンス社製デジタルマイクロスコープ VH−8000 を用いて観察、撮影した。
<晶析槽>
本実施例では、晶析槽として容量1Lまたは7Lのガラス製ジャケット付セパラブルフラスコ、または容量63Lまたは230Lのステンレス製攪拌槽を用いた。容量1Lまたは7Lの晶析槽における攪拌所用動力の測定は下記方法に従い行った。
<攪拌所要動力の測定>
容量1Lまたは7Lの晶析槽における攪拌所要動力は、攪拌翼をトルク測定可能なトルク変換器付攪拌機(新東科学株式会社スリーワンモーター BL600Te)に接続し、連続的にトルクを測定しながら攪拌した。トルクはデータロガー(グラフテック株式会社GL800)に晶析操作中20秒に1回の頻度で連続的に取込み、PvをトルクTから以下の式により算出した。
Pv=T×(2nπ/60)/V
Pv:単位体積あたりの攪拌所要動力[kW/m
T:攪拌トルク[N・m]
n:攪拌回転数[回転/分]
V:コハク酸含有液体積[m
<ポリエステルの製造およびポリマーの評価>
[重縮合用触媒の調製]
撹拌装置付き500cmのガラス製ナス型フラスコに酢酸マグネシウム・4水和物を62.0g入れ、更に250gの無水エタノール(純度99重量%以上)を加えた。更にエチルアシッドホスフェート(モノエステル体とジエステル体の混合重量比は45:55)を35.8g加え、23℃で撹拌を行った。15分後に酢酸マグネシウムが完全に溶解したことを確認後、テトラ−n−ブチルチタネートを75.0g添加した。更に10分間撹拌を継続し、均一混合溶液を得た。この混合溶液を、1000cmのナス型フラスコに移し、60℃のオイルバス中でエバポレーターによって減圧下で濃縮を行った。1時間後に殆どのエタノールが留去され、半透明の粘稠な液体が残った。
オイルバスの温度を更に80℃まで上昇させ、5Torrの減圧下で更に濃縮を行った。粘稠な液体は表面から粉体状へと徐々に変化し、2時間後には完全に粉体化した。その後、窒素を用いて常圧に戻し、室温まで冷却し、淡黄色粉体108gを得た。得られた触媒の金属元素分析値は、チタン原子含有量が10.3重量%、マグネシウム原子含有量が6.8重量%、リン原子含有量が7.8重量%であり、モル比としては、T/P=0.77,M/P=1.0であった。更に、粉体状の触媒を1,4−ブタンジオールに溶解させ、チタン原子として34、000ppmとなるように調製した。
[脂肪族ポリエステルの製造]
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100重量部、三菱化学社製工業グレードの1,4−ブタンジオール99.2重量部、リンゴ酸0.38重量部(コハク酸に対して総リンゴ酸量0.33mol%)を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。
次に、系内を撹拌しながら1時間かけて230℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。その後、上記の触媒溶液を添加した。添加量は得られるポリエステルあたりチタン原子として50ppmとなる量とした。反応温度を250℃まで徐々に昇温し、同時に2時間かけて0.06×10Paになるように減圧し、更に同減圧度で2.5時間反応を行い、重合を終了し、ポリエステルを得た。
[ポリマーの評価]
・黄色度(以下、YIと略記することがある)
得られたポリエステルのYIをJIS K7105の方法に基づいて日本電色工業株式会社製 Color meter ZE−6000を用いて、セルにポリマーのチップを入れて、反射法により4回測定し、その平均値をYIとした。
・ポリエステル還元粘度
得られたポリエステルを濃度0.5g/dLとなるようにフェノール/テトラクロロエタン(1/1(質量比)混合液)に溶解し、溶液が30℃の恒温槽中で粘度管を落下する時間t(sec)を測定した。また溶媒のみの落下する時間t(sec)を測定し30℃での還元粘度ηsp/C(=(t−t)/t・C)を算出した(Cは溶液の濃度)。
・ポリエステル末端カルボキシル基量
得られたポリエステルをベンジルアルコールに溶解し0.1N NaOHにて滴定した値であり、1×10g当たりのカルボキシル基当量である。
<コハク酸含有液(晶析供給液)の作成>
・ピルビン酸カルボキシラーゼ(PC)増強株の作製
(A)ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株ゲノムDNAの抽出
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233は、1975年4月28日に通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P−3068として寄託され、1981年5月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP−1497の受託番号で寄託されている。
A培地[尿素 2g、(NHSO 7g、KHPO 0.5g、KHPO 0.5g、MgSO・7HO 0.5g、FeSO・7HO 6mg、MnSO・4−5HO6mg、ビオチン 200μg、チアミン 100μg、イーストエキストラクト 1g、カザミノ酸 1g、グルコース 20g、蒸留水1Lに溶解]10mLに、ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株を対数増殖期後期まで培養し、遠心分離(10000g、5分)により菌体を集めた。得られた菌体を10mg/mLの濃度にリゾチームを含む10mM NaCl/20mMトリス緩衝液(pH8.0)/1mM EDTA・2Na溶液0.15mLに懸濁した。
次に、上記懸濁液にプロテナーゼKを、最終濃度が100μg/mLになるように添加し、37℃で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が0.5%になるように添加し、50℃で6時間保温して溶菌した。この溶菌液に、等量のフェノール/クロロフォルム溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000G、20分間、10〜12℃)し、上清画分を分取し、酢酸ナトリウムを0.3Mとなるように添加した後、2倍量のエタノールを加え混合した。遠心分離(15,000G、2分)により回収した沈殿物を70%エタノールで洗浄した後、風乾した。得られたDNAに10mMトリス緩衝液(pH7.5)−1mM EDTA・2Na溶液5mLを加え、4℃で一晩静置し、以後のPCRの鋳型DNAに使用した。
(B)PC遺伝子プロモーター置換用プラスミドの構築
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株由来ピルベートカルボキシラーゼ遺伝子のN末端領域のDNA断片の取得は、上記(A)で調製したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されているコリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13032株の該遺伝子の配列(GenBank Database Accession No.BA000036のCgl0689)を基に設計した合成DNA(配列番号1および配列番号2)を用いたPCRによって行った。尚、配列番号1のDNAは5’末端がリン酸化されたものを用いた。
反応液組成:鋳型DNA1μL、PfxDNAポリメラーゼ(インビトロジェン社製)0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.3μM各々プライマー、1mM MgSO、0.25μMdNTPsを混合し、全量を20μLとした。
反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で1分らなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は4分とした。
増幅産物の確認は、0.75%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約0.9kbの断片を検出した。ゲルからの目的DNA断片の回収は、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて行い、これをPC遺伝子N末端断片とした。
一方、ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株由来で構成的に高発現するTZ4プロモーター断片はプラスミドpMJPC1(日本国特開2005−95169号公報)を鋳型とし、配列番号3および配列番号4に記載の合成DNAを用いたPCRにより調製した。尚、配列番号4のDNAは5’末端がリン酸化されたものを用いた。
反応液組成:鋳型DNA1μL、PfxDNAポリメラーゼ(インビトロジェン社製)0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.3μM各々プライマー、1mM MgSO、0.25μMdNTPsを混合し、全量を20μLとした。
反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で30秒分らなるサイクルを25回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は3分とした。
増幅産物の確認は、1.0%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約0.5kbの断片を検出した。ゲルからの目的DNA断片の回収は、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて行い、これをTZ4プロモーター断片とした。
上記にて調製したPC遺伝子N末端断片とTZ4プロモーター断片を混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結後、制限酵素PstIで切断し、1.0%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離し、約1.0kbのDNA断片をQIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて回収し、これをTZ4プロモーター::PC遺伝子N末端断片とした。さらにこのDNA断片と大腸菌プラスミドpHSG299(宝酒造製)をPstIで切断して調製したDNAと混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結した。
得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mL
カナマシンおよび50μg/mL X−Galを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上で白色のコロニーを形成したクローンを、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。得られたプラスミドDNAを制限酵素PstIで切断することにより、約1.0kbの挿入断片が認められ、これをpMJPC17.1と命名した。
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233株由来ピルベートカルボキシラーゼ遺伝子の5’上流領域のDNA断片の取得は、上記(A)で調製したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されているコリネバクテリウム・グルタミカム ATCC13032株の該遺伝子の配列(GenBank Database Accession No.BA000036)を基に設計した合成DNA(配列番号5および配列番号6)を用いたPCRによって行った。
反応液組成:鋳型DNA1μL、PfxDNAポリメラーゼ(インビトロジェン社製) 0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.3μM各々プライマー、1mM MgSO、0.25μMdNTPsを混合し、全量を20μLとした。
反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で30秒からなるサイクルを35回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は5分とした。
増幅産物の確認は、1.0%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、約0.7kbの断片を検出した。ゲルからの目的DNA断片の回収は、QIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて行った。
回収したDNA断片は、T4 ポリヌクレオチドキナーゼ(T4 Polynucleotide Kinase:宝酒造製)により5’末端をリン酸化した後、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて大腸菌ベクターpUC119(宝酒造製)のSmaI部位に結合し、得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mL アンピシリンおよび50μg/mL X−Galを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上で白色のコロニーを形成したクローンを、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。
得られたプラスミドDNAを、配列番号7および配列番号6で示した合成DNAをプライマーとしたPCR反応に供した。反応液組成:上記プラスミド1ng、Ex−TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造社製) 0.2μL、1倍濃度添付バッファー、0.2μM各々プライマー、0.25μMdNTPsを混合し、全量を20μLとした。反応温度条件:DNAサーマルサイクラー PTC−200(MJResearch社製)を用い、94℃で20秒、60℃で20秒、72℃で50秒からなるサイクルを20回繰り返した。但し、1サイクル目の94℃での保温は1分20秒、最終サイクルの72℃での保温は5分とした。このようにして挿入DNA断片の有無を確認した結果、約0.7kbの増幅産物を認めるプラスミドを選抜し、これをpMJPC5.1と命名した。
次に、上記pMJPC17.1およびpMJPC5.1をそれぞれ制限酵素XbaIで切断後混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結した。これを制限酵素SacIおよび制限酵素SphIで切断したDNA断片を0.75%アガロース(SeaKem GTG agarose:FMCBioProducts製)ゲル電気泳動により分離し、約1.75kbのDNA断片をQIAQuick Gel Extraction Kit(QIAGEN製)を用いて回収した。このPC遺伝子の5’上流領域とN末端領域の間にTZ4プロモーターが挿入されたDNA断片を、sacB遺伝子を含むプラスミドpKMB1(日本国特開2005−95169号公報)をSacIおよびSphIで切断して調製したDNAと混合し、ライゲーションキットver.2(宝酒造製)を用いて連結した。
得られたプラスミドDNAで大腸菌(DH5α株)を形質転換した。この様にして得られた組換え大腸菌を50μg/mLカナマシンおよび50μg/mLX−Galを含むLB寒天培地に塗抹した。この培地上で白色のコロニーを形成したクローンを、常法により液体培養した後、プラスミドDNAを精製した。得られたプラスミドDNAを制限酵素SacIおよびSphIで切断することにより、約1.75kbの挿入断片が認められ、これをpMJPC17.2と命名した。
(C)PC増強株の作製
ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/ΔLDH(ラクテートデヒドロゲナーゼ遺伝子破壊株:日本国特開2005−95169号公報)の形質転換に用いるプラスミドDNAは、pMJPC17.2のプラスミドDNAを用いて塩化カルシウム法(Journal of Molecular Biology,53,159,1970)により形質転換した大腸菌JM110株から再調製した。ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/ΔLDH株の形質転換は電気パルス法(Res.Microbiol.、Vol.144, p.181−185, 1993)によって行い、得られた形質転換体をカナマイシン 25μg/mLを含むLBG寒天培地[トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、NaCl 5g、グルコース 20g、及び寒天15gを蒸留水1Lに溶解]に塗抹した。この培地上に生育した株は、pMJPC17.2がブレビバクテリウム・フラバムMJ233株菌体内で複製不可能なプラスミドであるため、該プラスミドのPC遺伝子とブレビバクテリウム・フラバムMJ233株ゲノム上の同遺伝子との間で相同組み換えを起こした結果、ゲノム上に該プラスミドに由来するカナマイシン耐性遺伝子およびsacB遺伝子が挿入されているはずである。
次に、上記相同組み換え株をカナマイシン25μg/mLを含むLBG培地にて液体培養した。この培養液の菌体数約100万相当分を10%ショ糖含有LBG培地に塗抹にした。結果、2回目の相同組み換えによりsacB遺伝子が脱落しショ糖非感受性となったと考えられる株を数十個得た。この様にして得られた株の中には、そのPC遺伝子の上流にpMJPC17.2に由来するTZ4プロモーターが挿入されたものと野生型に戻ったものが含まれる。PC遺伝子がプロモーター置換型であるか野生型であるかの確認は、LBG培地にて液体培養して得られた菌体を直接PCR反応に供し、PC遺伝子の検出を行うことによって容易に確認できる。TZ4プロモーターおよびPC遺伝子をPCR増幅するためのプライマー(配列番号8および配列番号9)を用いて分析すると、プロモーター置換型では678bpのDNA断片を認めるはずである。
上記方法にてショ糖非感受性となった菌株を分析した結果、TZ4プロモーターが挿入された株を選抜し、該株をブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDHと命名した。
(D)ピルベートカルボキシラーゼ酵素活性の測定
上記(C)で得られた形質転換株ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDH株をグルコース2%、カナマイシン25mg/Lを含むA培地100mLで終夜培養を行った。得られた菌体を集菌後、50mM リン酸カリウム緩衝液(pH7.5)50mLで洗浄し、同組成の緩衝液20mLに再度懸濁させた。懸濁液をSONIFIER 350(BRANSON製)で破砕し、遠心分離した上清を無細胞抽出液とした。
得られた無細胞抽出液を用いピルベートカルボキシラーゼ活性を測定した。酵素活性の測定は100mM Tris/HCl緩衝液(pH7.5)、0.1mg/10mlビオチン、5mM 塩化マグネシウム、50mM 炭酸水素ナトリウム、5mM ピルビン酸ナトリウム 、5mM アデノシン3リン酸ナトリウム、0.32 mM NADH、20units/1.5mlリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(WAKO製、酵母由来)及び酵素を含む反応液中で25℃で反応させることにより行った。1Uは1分間に1μmolのNADHの減少を触媒する酵素量とした。ピルベートカルボキシラーゼの発現を強化した無細胞抽出液における比活性は0.1U/mg蛋白質であった。尚、親株であるMJ233/△LDH株を同様に培養した菌体では、本活性測定方法検出限界以下であった。
以下、ブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDH株を有機酸生産菌として菌体調製用培養、および有機酸生産反応に用いた。
・コハク酸塩含有培養液の調製
(種培養)
尿素:4g、硫酸アンモニウム:14g、リン酸1カリウム:0.5g、リン酸2カリウム0.5g、硫酸マグネシウム・7水和物:0.5g、硫酸第一鉄・7水和物:20mg、硫酸マンガン・水和物:20mg、D−ビオチン:200μg、塩酸チアミン:200μg、酵母エキス:5g、カザミノ酸:5g、及び蒸留水:1000mLの培地100mLを500mLの三角フラスコにいれ、120℃、20分加熱滅菌した。これを室温まで冷やし、あらかじめ滅菌した50%グルコース水溶液を4mL添加し、上記で構築したブレビバクテリウム・フラバムMJ233/PC−4/ΔLDHを接種して24時間30℃にて種培養した。
(本培養)
硫酸アンモニウム:1.0g、リン酸1カリウム:1.5g、リン酸2カリウム1.5g、塩化カリウム:1.67g、硫酸マグネシウム・7水和物:0.5g、硫酸第一鉄・7水和物:40mg、硫酸マンガン・水和物:40mg、D−ビオチン:1.0mg、塩酸チアミン:1.0mg、酵母エキス10g、消泡剤(CE457:日本油脂製):1.0g及び蒸留水:1000mLの培地400mLを1Lの発酵糟に入れ、120℃、20分加熱滅菌した。これを室温まで冷やした後、あらかじめ滅菌した72%グルコース水溶液:20mLを添加し、これに前述の種培養液を20mL加えて、30℃に保温した。pHは9.3%アンモニア水を用いて7.0以下にならないように保ち、通気は毎分300mL、攪拌は毎分600回転で24時間本培養を行った。
溶存酸素濃度は培養開始直後から徐々に低下し、培養開始後4時間でほぼ0となった。その後、培養開始後15時間で溶存酸素濃度が上昇したため、あらかじめ滅菌した72%グルコース水溶液を380μL添加したところ、再び急速に低下し、ほぼ0となった。約13分後同様に溶存酸素濃度の上昇が観察されため、あらかじめ滅菌した72%グルコース水溶液を380μL添加し再び低下させた。以後、約13分毎に同様の上昇が見られたが、その都度同様の方法で低下させた。培養24時間後のOD660は87.3であった。
(有機酸生産培養)
リン酸1アンモニウム:84.4mg、リン酸2アンモニウム:75.8mg、塩化カリウム149.1mg、硫酸マグネシウム・7水和物:0.2g、硫酸第一鉄・7水和物:8mg、硫酸マンガン・水和物:8mg、D−ビオチン:80μg、塩酸チアミン:80μg及び蒸留水:200mLの培地を500mLの三角フラスコに入れ、120℃、20分加熱滅菌した。室温まで冷やした後、1Lのジャーファーメンターに入れた。この懸濁液200mLに上記の本培養により得られた培養液90mL、あらかじめ滅菌した72%グルコース溶液:40mL、滅菌水:125mLを添加して混合し、35℃に保温した。pHは炭酸アンモニウム:154g、28%アンモニア水:239ml、蒸留水:650mLの水溶液を用いて7.6に保ち、毎分200回転で攪拌しながら有機酸生産反応を行った。反応開始後21時間における生産コハク酸濃度は34.8g/Lであり、少量のフマル酸が含有されていた。
このようにして調整したコハク酸発酵液を遠心分離(10,000G、10分)処理して得られたコハク酸アンモニウムを含有する水溶液を得た。
・コハク酸含有流液(晶析供給液)の調製
培養で得られたコハク酸アンモニウム水溶液を減圧加温下で濃縮を行った。濃縮された培養液を攪拌しながら、47%硫酸を培養液に滴下して溶液のpHを2とした。硫酸を添加した培養液に有機溶媒として培養液と等容量のメチルエチルケトン(以下、MEKと略記することがある)を添加し、25℃で、約30分攪拌した。得られた液を静置後、有機層と水層とに分け、分液された水層に水層の体積の半分の容量のMEKを加え、25℃で、30分攪拌した。同様に液を静置後、有機層と水層とに分けた。同様の操作を更に3回繰り返し、全有機層をあわせた。有機層を液体クロマトグラフィー(LC)で分析した結果、有機層には、使用ブロス中に含有していた97.9%量のコハク酸が抽出された。
次に得られたMEK抽出液から70℃にて400mmHgから100mmHgへ減圧度を調整しながらMEKを留去して、MEK抽出有機層を濃縮した。その後、得られた溶液を70℃から40℃まで30分かけて降温し、その後、40℃で、1時間攪拌した。析出した結晶を濾過後、冷水でリンスして、粗結晶を得た。一方、濾液は、さらに40℃から10℃まで30分かけて降温し、10℃で、1時間攪拌した。析出した結晶を濾過後、冷水でリンスして、粗結晶を得た。得られた粗結晶は先に得られた粗結晶と均一に混合し、次工程に用いた。
得られた粗結晶は、30重量%の粗コハク酸含有液となるよう純水を加え80℃で溶解した後、コハク酸に対して0.3重量%量の粉末活性炭(三菱化学カルゴン株式会社製:ダイヤホープ8ED)を加えた。活性炭処理は、80℃に保温した恒温式振盪器を用いて3時間実施した。その後、80℃で活性炭を濾別した。
さらに得られたコハク酸含有液をSUS316製500ml誘導攪拌オートクレーブに仕込み、5%Pd/C(和光カタログ326−81672、触媒量:コハク酸に対して0.06重量%)存在下、水素圧が0.8MPa、反応温度が80℃、反応時間が3時間の条件下で水素処理を実施した。その結果、粗コハク酸中にコハク酸に対して1.8重量%量含有されていたフマル酸はすべてコハク酸へ誘導された。反応終了後、触媒を濾別した。ここで得られたコハク酸含有液を以下の実施例、比較例に供した。ここでコハク酸含有液のコハク酸濃度は32重量%であり、アンモニウムイオン濃度は30ppm(対コハク酸94ppm)であった。また、32重量%コハク酸水溶液の飽和温度は70℃であった。このようにして得られたコハク酸を含む溶液を以下の実施例、比較例に供した。
実施例1−1
前記コハク酸含有液500ml(540g)を、巾10mmの邪魔板4枚、および径50mm、巾15mmの下向45°4枚パドル翼を2段有する攪拌装置を備えた、内径86mmのジャケット付セパラブルフラスコからなる、図1に示すような晶析装置に仕込み、500回転/分の撹拌下、ジャケットに温水を流すことで80℃に保温した。その後、ジャケットの通水温度を1℃/分の速度で1時間かけて20℃まで冷却し、その後晶析槽内の温度が20℃となるようにさらに1時間冷却保持した。晶析終了後にトルクTから単位体積あたりの撹拌所要動力Pvを算出したところ1kW/mであった。
その後コハク酸スラリーを濾別してコハク酸ウェットケーキ155gと母液380gを分離回収した。得られたコハク酸ウェットケーキ155gは700gの純水とともに1Lビーカー内で懸濁洗浄し、さらにそのスラリーを濾別した。得られたウェットケーキは70℃、12時間真空乾燥し白色の無臭のコハク酸を得た。得られた結晶を顕微鏡で観察したところ、図2に示すような平滑表面の結晶が得られたことがわかった。また、コハク酸中のNH イオン量を測定したところ0.2ppmであった。
実施例1−2
実施例1−1において、ジャケットの通水温度を0.4℃/分の速度で2.5時間かけて20℃まで冷却し、その後晶析槽内の温度が20℃となるようにさらに1時間冷却保持した以外は、実施例1と同じ方法で晶析操作を行った。単位体積あたりの攪拌所要動力Pvは1.0kW/mであった。得られた結晶を顕微鏡で観察したところ、図3に示すような平滑表面の結晶が得られたことがわかった。また、コハク酸中のNH イオン量を測定したところ0.2ppmであった。
実施例1−3
実施例1−1において、攪拌回転数を400回転/分とする以外は同じ方法で晶析操作を行った。単位体積あたりの攪拌所要動力Pvは0.5kW/mであった。得られた結晶を顕微鏡で観察したところ、図4に示すような平滑表面の結晶が得られたことがわかった。また、コハク酸中のNH イオン量を測定したところ0.2ppmであった。
比較例1−1
前記コハク酸含有液5L(5400g)を、図5に示すような径120mm、高さ50mm、巾15mmのアンカー翼を有する攪拌装置を備えた、内径150mmのジャケット付セパラブルフラスコからなる、図6に示すような晶析装置に仕込み、300回転/分の撹拌下、ジャケットに温水を流すことで80℃に保温した。
その後、ジャケットの通水温度を0.4℃/分の速度で2.5時間かけて20℃まで冷却し、その後晶析槽内の温度が20℃となるようにさらに1時間冷却保持した。晶析終了後にトルクTから単位体積あたりの動力Pvを算出し、さらに晶析操作中の攪拌所要動力Pvの平均値を算出したところ0.3kW/mであった。晶析により得られたコハク酸スラリーを濾別して、コハク酸ウェットケーキ1500gと母液3900gを分離回収した。得られたコハク酸ウェットケーキ1500gは7000gの純水とともに10Lポリ容器内で懸濁洗浄し、さらにそのスラリーを濾別した。得られたウェットケーキは70℃、12時間真空乾燥し白色の無臭のコハク酸を得た。得られた結晶を顕微鏡で観察したところ、図7に示すようないくつかの結晶が凝集しているような凹凸が多い結晶であることが分かった。また、コハク酸中のNH イオンを分析したところ1.0ppmであった。
実施例2−1
前記コハク酸含有液を、図8に示すような、巾10mmの邪魔板4枚、および径50mm、巾15mmの下向45°4枚傾斜パドル翼を2段有する攪拌装置を備えた、内径86mmのジャケット付セパラブルフラスコからなる晶析装置に内部が空になることがないように供給して冷却晶析を行った。
ジャケットに80℃温水を流した攪拌槽に、前記コハク酸含有液を500ml入れ、パドル翼を500回転/分で攪拌し、コハク酸含有液を固形分が観察されなくなる状態に完全に溶解した。
コハク酸が溶解したことを確認した後、ジャケットへ供給している温水を約1時間かけ20℃まで下げ、晶析槽内の温度を20℃まで冷却した。20℃に到達後、温度を維持しながらさらに1時間攪拌を続けた。
その後、晶析槽内の温度を20℃に維持できるようジャケットに通液する冷水温度を調整しながら、前記コハク酸含有液を250ml/分で連続的に供給するとともに、約15分に一回の頻度で攪拌槽内のコハク酸スラリー容積がほぼ一定となるように固体コハク酸含有スラリーをスラリー抜出槽へ間欠的に抜き出した。抜き出したコハク酸含有スラリーは真空ろ過し、その都度コハク酸ウェットケーキと晶析母液に分離した。
晶析槽内の温度20℃を維持するようジャケットへ供給する冷水温度を調整しながら、この連続晶析操作を7時間継続した。その後、前記コハク酸含有液の連続供給およびコハク酸スラリーの間欠抜出しを停止し、さらに温度20℃を保ちながら1時間攪拌を続けた。
ここで晶析操作中の単位体積あたりの攪拌所要動力Pvの平均値は1.0kW/mで、連続晶析操作の6時間目から7時間目までの間に得られたコハク酸ウェットケーキは76gであった。このコハク酸ウェットケーキは350gの冷水で懸濁洗浄した後、当該スラリーを真空ろ過した。こうして得られたウェットケーキを80℃で真空乾燥し、コハク酸55gを回収した。
乾燥したコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表1に示す。また、アンモニウムイオンの量を測定したところ、0.2ppmであった。
Figure 2011115136
実施例2−2
攪拌回転数を400回転/分にした以外は、実施例2−1と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。この場合の単位体積あたりの攪拌所要動力Pvの平均値は、0.5kw/mであった。得られたコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表2に示す。アンモニウムイオンの量を測定したところ、0.3ppmであった。
Figure 2011115136
実施例2−3
前記コハク酸含有液を、図9に示すような、巾10mmの邪魔板4枚、および径50mm、巾15mmの下向45°4枚傾斜パドル翼を2段有する攪拌装置を備えた、内径86mmのジャケット付セパラブルフラスコからなる晶析装置に、内部が空になることがないように供給して、以下の手順で真空冷却晶析を行った。
ジャケットに80℃温水を流した攪拌槽に、前記コハク酸含有液を500ml入れ、パドル翼を500回転/分で攪拌し、コハク酸含有液を固形分が観察されなくなる状態に完全に溶解した。
コハク酸が溶解したことを確認した後、ジャケットへの温水供給を止め、攪拌槽内の圧力を大気圧から徐々に減圧し、槽内を冷却した。減圧に伴い留出した蒸気は5℃の冷水を通水したコンデンサーに導入し、凝縮、回収した。約1時間かけて圧力を2kPaまで減圧することで、晶析槽内の温度を20℃まで冷却した。その後、さらに圧力、温度を保ちながら1時間攪拌を続けた。
その後、晶析槽内の圧力2kPa、温度20℃を保ちながら、コハク酸水溶液を300ml/分の速度で連続供給するとともに、晶析槽内の液面レベルが一定となるように約15分に一回の頻度で攪拌槽からコハク酸スラリーをスラリー抜出槽へ間欠的に抜き出した。
晶析槽内の温度20℃を維持するよう圧力を調整しながら、この連続晶析操作を7時間継続した。その後、前記コハク酸含有液の連続供給およびコハク酸スラリーの間欠抜出しを停止し、圧力を大気圧に戻した後ジャケットに冷水を流すことで晶析槽内の温度を20℃に保ちながら1時間攪拌を続けた。
ここで晶析操作中の単位体積あたりの攪拌所要動力Pvの平均値は1.0kW/mであった。連続晶析操作の6時間目から7時間目までの間に得られたコハク酸ウェットケーキを冷水で懸濁洗浄し、当該スラリーを真空ろ過し、さらに得られたウェットケーキを80℃で真空乾燥しコハク酸を回収した。
乾燥したコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表3に示す。また、アンモニウムイオンの量を測定したところ、0.3ppmであった。
Figure 2011115136
比較例2−1
攪拌回転数を300回/分にした以外は、実施例2−1と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。この場合の単位体積あたりの攪拌所要動力Pvの平均値は、0.2kW/mであった。得られたコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表4に示す。表4に示すように、得られたコハク酸の粒径分布は広く、得られたコハク酸結晶は実施例のものに比べ均一性に劣るものであった。また、アンモニウムイオンの量を測定したところ、0.4ppmであった。
Figure 2011115136
比較例2−2
実施例2−1において用いた、新東科学株式会社スリーワンモーター BL600Teの代わりに、スリーワンモーターBL1200(新東科学株式会社)を用いて、攪拌回転数を800回転/分とした以外は、実施例2−1と同様の方法に従い、コハク酸を晶析し回収した。ただし、攪拌所要動力は、一般に攪拌所要動力Pv∝攪拌回転数nであることから、Pv=1×(800/500)=4kW/mであるとした。
攪拌されている状態では晶析槽の中は一見均一に見えたが、攪拌を止めるとコハク酸結晶に気泡が多量に付着しており、コハク酸結晶は殆ど浮かんだ状態で、結晶を間欠的に抜き出そうとしてもスラリー状態が不安定で、安定的に抜き出すことができなかった。
得られたコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表5に示す。表5に示すように、得られたコハク酸の粒径分布は広く、得られたコハク酸結晶は実施例のものに比べ均一性に劣るものであった。またアンモニウムイオン含量は0.3ppmであった。
Figure 2011115136
比較例2−3
内径63mmのマックスブレンド翼(邪魔板無し)を用い300回/分で攪拌した以外は、実施例2−1と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。ここで単位体積あたりの攪拌所要動力Pvの平均値は、0.3kW/mであった。得られたコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表6に示す。表6に示すように、得られたコハク酸の粒径分布は広く、かつ粗大粒子が多いもので、コハク酸結晶は実施例のものに比べ均一性に劣るものであった。
Figure 2011115136
比較例2−4
晶析槽内に内径60mmのドラフトチューブを挿入し、巾15mmの下向45°4枚傾斜パドル翼で500回/分攪拌した以外は、実施例2−1と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。ここで単位体積あたりの攪拌所要動力Pvの平均値は、0.2kW/mであった。得られたコハク酸の粒径分布を前記粒径分布の測定方法により測定した結果を、下記表7に示す。表7に示すように、得られたコハク酸の粒径分布は広く、かつ粗大粒子が多いものでコハク酸結晶は実施例のものに比べ均一性に劣るものであった。
Figure 2011115136
以上示したとおり、本発明の製造方法で連続的に製造されたコハク酸は、粒子径の均一性に優れ、かつ純度の高いものであった。
実施例3−1
前記コハク酸を含む溶液を、図8に示すような巾10mmの邪魔板4枚および径50mm、巾15mmの下向45°4枚傾斜パドル翼を2段備えた内径86mmのジャケット付セパラブルフラスコを用いて、内部が空になることがないように冷却晶析を行った。
ジャケットに80℃温水を流した攪拌槽に、前記32重量%のコハク酸を含む溶液を500ml入れ、パドル翼を500回転/分で攪拌し、コハク酸を含む溶液を固形分が観察させなくなる状態に完全に溶解した。
コハク酸が溶解したことを確認した後、ジャケットへ供給している温水を約1時間かけ40℃まで下げ、晶析槽内の温度を40℃まで冷却した。40℃に到達後、温度を維持しながらさらに1時間攪拌を続けた。
その後、晶析槽内の温度を40℃に維持できるようジャケットに通液する冷水温度を調整しながら、前記コハク酸を含む溶液を250ml/分で連続的に供給するとともに、約15分に一回の頻度で攪拌槽内のコハク酸スラリー容積がほぼ一定となるように固体コハク酸含有スラリーをスラリー抜出槽へ間欠的に抜き出した。抜き出したコハク酸含有スラリーは真空ろ過し、その都度コハク酸ウェットケーキと晶析母液に分離した。
晶析槽内の温度40℃を維持するようジャケットへ供給する冷水温度を調整しながら、この連続晶析操作を7時間継続した。その後、前記コハク酸を含む溶液の連続供給およびコハク酸スラリーの間欠抜出しを停止し、さらに温度20℃を保ちながら1時間攪拌を続けた。
連続晶析操作の5時間目から7時間目までの間に得られたコハク酸ウェットケーキ124gについて、600gの冷水で懸濁洗浄した後、当該スラリーを真空ろ過した。得られたウェットケーキを80℃で真空乾燥し、コハク酸80gを回収した。
得られたコハク酸を原料に、前記[脂肪族ポリエステルの製造]に従いポリエステルを製造し、得られたポリマーを評価したところ、YIは3、還元粘度(ηsp/c)は2.3、末端カルボキシル基量は24当量/トンであった。
実施例3−2
晶析温度を30℃にした以外は、実施例3−1と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。さらに得られたコハク酸を用い、ポリエステルを製造し、ポリマーの評価を行った結果、YIは5、還元粘度(ηsp/c)は2.2、末端カルボキシル基量は24当量/トンであった。
実施例3−3
実施例3−2において、晶析槽へのコハク酸を含む溶液の供給を167ml/分とする以外は実施例3−2と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。さらに得られたコハク酸を用い、ポリエステルを製造し、ポリマーの評価を行った結果、YIは5、還元粘度(ηsp/c)は2.2、末端カルボキシル基量は24当量/トンであった。
比較例3−1
晶析温度を20℃にした以外は、実施例3−1と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。さらに得られたコハク酸を用い、ポリエステルを製造し、ポリマーの評価を行った結果、YIは10、還元粘度(ηsp/c)は2.3、末端カルボキシル基量は24当量/トンであった。
比較例3−2
前記コハク酸を含む溶液500ml(540g)を、実施例3−1と同じ巾10mmの邪魔板4枚および径50mm、巾15mmの下向45°4枚パドル翼を2段備えた内径86mmのジャケット付セパラブルフラスコに仕込み、500回転/分の撹拌下、ジャケットに温水を流すことで80℃に保温した。その後、ジャケットの通水温度を1℃/分の速度で1時間かけて20℃まで冷却し、更に晶析槽内の温度が20℃となるように1時間冷却保持しコハク酸を晶析させた。
得られたコハク酸スラリーを濾別してコハク酸ウェットケーキ155gと母液380gを分離回収した。得られたコハク酸ウェットケーキ155gは700gの純水とともに1Lビーカー内で懸濁洗浄し、さらにそのスラリーを濾別した。得られたウェットケーキを真空乾燥してコハク酸110gを回収した。得られたコハク酸を用い、ポリエステルを製造し、ポリマーの評価を行った結果、YIは2、還元粘度(ηsp/c)は2.3、末端カルボキシル基量は24当量/トンであった。
比較例3−3
晶析温度を40℃にした以外は、比較例3−2と同じ方法に従い、コハク酸を製造した。さらに得られたコハク酸を用い、ポリエステルを製造し、評価を行った結果、YIは2、還元粘度(7sp/c)は2.4、末端カルボキシル基量は25当量/トンであった。
以上のように、晶析槽内が空になることが無いようにコハク酸を含む溶液を晶析槽に供給するとともに、該固体のコハク酸を晶析槽から抜出す工程を有するコハク酸の製造方法においては、晶析槽内のコハク酸含有液の温度を35℃以上50℃以下にすることにより、YI値の小さい着色の少ないポリマーを得ることができる。
実施例4−1
所定量の食品添加グレードのコハク酸(川崎化成)を所定量の80℃温水に溶解して、コハク酸含有液を調製した。
内径86mmのガラス製(熱伝導度:1W/(m・℃)、肉厚約1.5mm)ジャケット付フラスコおよびJIS G 4304に規定されるSUS304ステンレス鋼製(熱伝導度:15W/(m・℃))の径50mm、巾15mmの下向き45°4枚パドル翼2段、巾10mmの邪魔板4枚を備えた攪拌槽を用いてコハク酸の断熱減圧冷却晶析を以下の手順で行った。装置フローを図11に示す。
ジャケットに80℃温水を流した攪拌槽に予め調整した30重量%コハク酸含有液を500mlを添加し、パドル翼を500回転/分で攪拌し、コハク酸含有液を完全に溶解した。コハク酸が溶解したことを確認した後、ジャケットへの温水供給を止め、攪拌槽内の圧力を大気圧から徐々に減圧し、槽内を冷却した。減圧に伴い留出した蒸気は5℃の冷水を通水したコンデンサーに導入し、凝縮、回収した。約1時間かけて圧力を2kPaまで減圧することで、晶析槽内の温度を20℃まで冷却した。
その後、さらに圧力、温度を保ちながら1時間攪拌を続けた。その後、晶析槽内の圧力2kPa、温度20℃を保ちながら、コハク酸含有液を300ml/分で連続供給するとともに、晶析槽内の液面レベルが一定となるように約15分に一回の頻度で攪拌槽からコハク酸スラリーをスラリー抜出槽へ間欠的に抜き出した。
本連続晶析を6時間継続したのち、コハク酸含有液の連続供給およびコハク酸スラリーの間欠抜出しを停止し、さらに圧力を保ちながら1時間攪拌を続けた。スラリー全量抜き出した後、晶析槽の内部を観察したところ晶析槽内部には目立ったコハク酸のスケーリングは見られなかった。
比較例4−1
実施例4−1と同じ装置を用い、以下の手順でコハク酸の間接冷却晶析を行った。ジャケットに80℃の温水を流した攪拌槽に予め調整した35重量%コハク酸含有液を添加し、パドル翼を500回転/分で攪拌し、コハク酸含有液を完全に溶解した。コハク酸が溶解したことを確認した後、ジャケットへ供給している温水を約1時間かけ20℃まで下げ、晶析槽内の温度を20℃まで冷却した。20℃に到達後、温度を維持しながらさらに1時間攪拌を続けた。
その後、晶析槽内の温度を20℃に維持できるようジャケットに通液する冷水温度を調整しながら、コハク酸含有液を250ml/分で連続供給するとともに、約15分に一回の頻度で攪拌槽からコハク酸スラリーをスラリー抜出槽へ間欠的に抜き出した。晶析槽にコハク酸含有液を連続供給し始めたときの冷水温度は19.0℃だった。
晶析槽内の温度20℃を維持するようジャケットへ供給する冷水温度を調整しながら、連続晶析を6時間継続した。6時間後にジャケットに流す冷水温度は17.5℃であった。コハク酸含有液の連続供給およびコハク酸スラリーの間欠抜出しを停止し、さらに温度20℃を保ちながら1時間攪拌を続けた。
スラリー全量抜き出した後、晶析槽の内部を観察したところ晶析槽内部には一面に厚さ数mmのコハク酸結晶のスケーリングが見られた。
比較例4−2
SUS304製アンカー翼を備えた(邪魔板無)内径350mm、容量63Lの完全混合型攪拌槽、外部熱交換器(二重管熱交、伝熱面積0.8m(内管:内径35.7mm、外径42.7mm、肉厚3.5mm、外管:内径67.9mm、外径76.3mm、肉厚4.2mm))、晶析槽と熱交換器にスラリーを循環させるための遠心式ポンプを備えた晶析装置を用いて、以下の手順でコハク酸の外部熱交換器による冷却晶析を行った。装置フローを図12に示す。
コハク酸含有液供給槽にコハク酸および水を加え、30重量% のコハク酸含有液を調製した。ここでジャケットには蒸気を流し温度を約70℃に調製した。調製したコハク酸含有液を晶析槽に約50L仕込み50回転/分で攪拌を開始するとともに、熱交換機へのスラリー循環を開始した。温度制御器(TIC)の設定温度を少しずつ下げながら約3時間かけて晶析槽温度を20℃まで下げ、さらにその後TICの設定温度を20℃とし約1時間熟成した。その後、コハク酸含有液供給槽から晶析槽へコハク酸含有液を約25L/時で供給するとともに、スラリーを約15分に一回の頻度で晶析槽の液面レベル見合いで抜出した。抜出したスラリーはバスケット型遠心分離機で固液分離し、湿潤ケーキと母液に分離した。この連続運転を約4時間継続した。
連続運転開始直後の冷媒入口の温度は13℃であったのが、4時間連続運転時には6℃まで下がっていた。
また、本晶析操作の過程における熱交換器の総括伝熱係数Uを下記計算式に従い算出した。
総括伝熱係数U[kcal/時/m/℃]=Q[kcal/時]/伝熱面積S[m]/△T[℃]
ここで、Qは熱交換器における交換熱量[kcal/時]を表し、下記計算式で計算される。
熱交換器における交換熱量Q[kcal/時]=冷媒熱量F[kg/時]×冷媒比熱[kcal/kg/℃]×(冷媒出口温度[℃]−冷媒入口温度[℃])
また△Tは熱交換器における対数平均温度差を表し、下記計算式で計算される。
対数平均温度差△T[℃]=(△T1−△T2)/ln(△T1/△T2)
ここで、
熱交換器入口温度差△T1=熱交換器プロセス入口温度[℃]−熱交換器冷媒出口温度[℃]
熱交換機出口温度差△T2=熱交換器プロセス出口温度[℃]−熱交換器冷媒入口温度[℃]
算出された総括伝熱係数Uは、連続晶析直後350kcal/時/m/℃であったが、4時間後には170kcal/時/m/℃となっていた。
実施例5−1
図13および図14に示す蒸発晶析によるコハク酸の製造方法に従い、以下の要領でコハク酸を製造した。
(1)原液
コハク酸(川崎化成製(食品添加物グレード))と上水とをジャケット付原料タンク20内で混合し、ジャケットに蒸気を流してタンク20内を約70℃に保持することにより、30重量%のコハク酸水溶液を調製した。
(2)晶析装置10への液張り等
このように調製したコハク酸水溶液を原液供給ポンプPでタンク20から抜き出し、上水を添加してコハク酸濃度を約6.5重量%に希釈してから晶析装置10に供給した。図13(a)のように、晶析装置10内の液位Lがドラフトチューブ2の上端よりも高位となるまで、コハク酸水溶液の晶析装置10への供給を行った後、回転羽根3及び4を225回転/分にて回転させた。このようにして、コハク酸水溶液を図13(a)の矢印の方向に循環させた。
(3)晶析装置10内の減圧及び濃縮
晶析装置10内の真空度を徐々に下げ、圧力を2kPa、液温を20℃に低下させた。減圧に伴って蒸発室8内に蒸発した水蒸気を、ベーパー出口1gから抜き出した。また、晶析装置10内の液位Lを所定範囲内に維持するように、タンク20内のコハク酸水溶液を上水で希釈することなく間欠的に供給した。このようにして、晶析装置10内のコハク酸水溶液を濃縮した。
(4)コハク酸の抜き出し
晶析装置10内のコハク酸スラリー濃度が30重量%に達した後、タンク20から晶析装置10内へのコハク酸水溶液の供給を、間欠供給から連続供給に切り替えた。コハク酸水溶液の供給流量は50L/時とした。また、晶析装置10内のスラリーを、液位Lレベル見合いで間欠的にスラリー抜出口1eから抜き出した。スラリー抜出頻度は15分に1回とした(滞留時間:2時間)。このコハク酸の抜出運転を、6時間(滞留時間の3倍)継続した。このとき、液位Lを晶析装置10内のドラフトチューブ2上面高さより高いレベルに維持した。なお、清澄母液出口1fからの排出は行わなかった。
この抜出運転を上記時間継続した後に抜き出したスラリーを、バスケット型遠心分離機22で固液分離し、湿潤ケーキと母液に分離した。回収した湿潤ケーキを真空乾燥機(図示略)で乾燥した(80℃/50Torr)。次いで、篩い分け法(JIS:Z 8815)に従い、粒度分布を測定した。この粒度分布からメジアン径を得ると共に、粒度分布をRosin−Rammler分布で近似し、均等数を算出した。その結果を表8に示す。
実施例5−2
上記(4)において、コハク酸水溶液の供給流量を67L/時とし、スラリー抜出頻度を15分に1回とし(滞留時間:1.5時間)、このコハク酸の抜出運転を4.5時間(滞留時間の3倍)継続したこと以外は、実施例5−1と同様の操作を行った。その結果を表8に示す。
実施例5−3
回転羽根3及び4の回転数を337回転/分としたこと以外は実施例5−1と同様の操作を行った。その結果を表8に示す。
実施例5−4
(4)において以下の要領でコハク酸の種晶スラリーを添加したこと以外は、実施例5−3と同様の操作を行った。その結果を表8に示す。
(コハク酸種晶の添加)
予めコハク酸(川崎化成製(食品添加物グレード))を、卓上カッターミルを用いて粉砕し、100mesh(150μm)アンダーのコハク酸種晶を得た。このコハク酸種晶を、予め調製したコハク酸飽和水溶液に対してスラリー濃度が30重量%となるように添加し、種晶スラリーを調製した。
上記(4)において、この種晶スラリーを30分に1回の頻度で晶析装置10内に間欠的に添加した。添加量は2.5L/時(晶析装置10から抜き出されたコハク酸の約5重量%に相当する。)とした。
実施例5−5
種晶スラリーの添加量を1.2L/時(晶析装置10から抜き出されたコハク酸の約2重量%に相当する。)としたこと以外は実施例5−4と同様の操作を行った。その結果を表8に示す。
実施例5−6
(4)において以下の要領でコハク酸水溶液の外部循環を行ったこと以外は実施例5−3と同様の操作を行った。その結果を表8に示す。
(コハク酸水溶液の外部循環)
上記(4)において、スラリー循環ポンプP(オープンインペラの遠心ポンプ、吐出圧:0.2MPaG)を作動させ、外部循環を行った。ここではスラリー循環用配管(50A)でのスラリーの線速が1.0m/秒となるよう約8m/時で循環を行った。なお、スラリー熱交換器21には冷媒を流さなかった。
実施例5−7
図15に示す冷却晶析によるコハク酸の製造方法に従い、以下の要領でコハク酸を製造した。
晶析槽としては、撹拌翼としてアンカー翼を供えた邪魔板完全混合型(CSTR型)晶析槽(内径350φ、容量63L、高さ600mm)を用いた。熱交換器33としては、二重管熱交換器(伝熱面積0.8m。内管:内径35.7mm、外径42.7mm、肉厚3.5mm。外管:内径67.9mm、外径76.3mm、肉厚4.2mm)を用いた。ポンプ32aとしては、遠心式ポンプを用いた。
コハク酸(川崎化成製(食品添加物グレード))と上水とをジャケット付原料タンク20内で混合し、ジャケットに蒸気を流してタンク20内を約70℃に保持することにより、30重量%のコハク酸水溶液を調製した。
このコハク酸水溶液を原液供給配管31から晶析槽30内に50L供給した。撹拌機30aを撹拌回転数50回転/分にて回転させた。また、ポンプ32aを作動させ、晶析槽30内のコハク酸水溶液を循環配管32及び熱交換器33に循環させた。この外部循環は、流量4m/時(吐出圧0.15MPa)にて行った。
次いで、温度制御器(TIC)を用いて熱交換器33の冷媒の流量を制御することにより、2時間をかけて晶析槽30内の液温を20℃まで下げた。その後、晶析槽30内の液温を20℃に維持し、1時間熟成した。
次いで、この外部循環量を4m/時に維持した状態で、原液供給配管31からコハク酸水溶液を流量50L/時にて連続供給すると共に、15分に1回の頻度(滞留時間:2時間)で晶析槽30内のスラリーを液面見合いで抜出ライン34aから間欠的に抜き出した。このコハク酸の抜出運転を、6時間(滞留時間の3倍)継続した。
この抜出運転を上記時間継続した後に抜き出したスラリーを、バスケット型遠心分離機で固液分離し、湿潤ケーキと母液に分離した。回収した湿潤ケーキを真空乾燥機で乾燥した(80℃/50Torr)。次いで、篩い分け法(JIS:Z 8815)に従い、粒度分布を測定した。この粒度分布からメジアン径を得ると共に、粒度分布をRosin−Rammler分布で近似し、均等数を算出した。その結果を表8に示す。
比較例5−1
市販のコハク酸(キシダ化学製)について、篩い分け法(JIS:Z 8815)に従い、粒度分布を測定した。この粒度分布からメジアン径を得ると共に、粒度分布をRosin−Rammler分布で近似し、均等数を算出した。その結果を表8に示す。
比較例5−2
70℃、30重量%のコハク酸水溶液200gを、幅10mmの邪魔板4枚、および径50mmで巾15mmの下向き45°の傾斜パドル翼4枚を2段有する撹拌翼を備えた、内径86mmのガラス製500mLジャケット付セパラブルフラスコに入れ、ジャケットに70℃の温水(プログラム付恒温循環槽)を流すとともに、撹拌回転数300回転/分で撹拌、ホールドした。
その後ジャケットに通液する温水をプログラム付恒温循環槽で70℃から20℃まで2時間かけて直線的に降温し、20℃に到達後さらに1時間熟成させた。その後スラリーは真空ろ過機でろ過し、湿潤ケーキと母液に分離した。湿潤ケーキは真空乾燥機で乾燥し、篩い分け法(JIS:Z 8815)に従い、粒度分布を測定した。この粒度分布からメジアン径を得ると共に、粒度分布をRosin−Rammler分布で近似し、均等数を算出した。その結果を表8に示す。
Figure 2011115136
表8に示すように、実施例5−1〜5−7のコハク酸は、均等数が3以上であり、比較例5−1(均等数2.19)と比べて分布の幅が狭くて粒径の均一性が高いものであった。
また、実施例5−4〜5−7のコハク酸は、平均粒径(メジアン径)が400μm以下であった。これに対し、比較例5−2のコハク酸は、平均粒径(メジアン径)が584μmと過大であった。
実施例5−3(種晶無添加)、実施例5−4(種晶添加量2.5L/時)及び実施例5−5(種晶添加量1.2L/時)を比較すると、実施例5−4の場合に均等数が最大となった。また、種晶の添加量が多くなるほど、平均粒径(メジアン径)が小さくなった。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお本出願は、2010年3月16日付で出願された日本特許出願(特願2010−059578)、2010年3月17日付で出願された日本特許出願(特願2010−060674)、2010年4月1日付で出願された日本特許出願(特願2010−085561)、2010年4月7日付で出願された日本特許出願(特願2010−089048)および2010年8月11日付で出願された日本特許出願(特願2010−179896)に基づいており、その全体が引用により援用される。
1 槽体
2 ドラフトチューブ
3,4 回転羽根
5 バッフルプレート
6 回転シャフト
7 モータ
8 蒸発室
10 晶析装置
20 ジャケット付原料タンク
21 スラリー熱交換器
22 コンデンサ
23 バスケット型遠心分離機
25 清澄母液タンク
30 晶析槽
33 熱交換器

Claims (20)

  1. 攪拌装置を備えた晶析槽内で、コハク酸含有液からコハク酸を攪拌下で晶析させて製造する方法であって、晶析槽内の該コハク酸含有液の単位体積あたりの該攪拌所要動力が、0.4kW/m以上3kW/m以下であることを特徴とするコハク酸の製造方法。
  2. 晶析槽内においてコハク酸含有液からコハク酸を晶析させて製造する方法であって、
    晶析したコハク酸を該晶析槽から連続的又は間欠的に抜き出すと共に、該晶析槽内にコハク酸含有液を連続的又は間欠的に供給して該晶析槽内の液位を所定範囲内に維持する晶析工程を有することを特徴とするコハク酸の製造方法。
  3. 攪拌装置を備えた晶析槽内において、コハク酸含有液から固体のコハク酸を生成させる晶析工程を有するコハク酸の製造方法であって、晶析したコハク酸を該晶析槽から連続的又は間欠的に抜き出すと共に、該晶析槽内にコハク酸含有液を連続的又は間欠的に供給して該晶析槽内の液位を所定範囲内に維持し、かつ該晶析工程中の少なくとも一部でコハク酸含有液の単位体積あたりの攪拌所要動力が0.4kW/m以上3kW/m以下の攪拌条件下で操作する、コハク酸の製造方法。
  4. 該晶析槽内のコハク酸含有液の温度を25℃以上60℃以下となるように操作することを特徴とする請求項2または3に記載のコハク酸の製造方法。
  5. 晶析に際して、前記晶析槽内のコハク酸含有液の温度と、晶析槽に投入するコハク酸含有液がコハク酸飽和溶液となる温度との差が10℃以上45℃以下であることを特徴とする、請求項4に記載のコハク酸の製造方法。
  6. 前記コハク酸含有液の、晶析槽における平均滞留時間が、1時間以上5時間以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  7. 晶析操作中に晶析槽内の圧力を外気圧より低くする減圧工程を有する請求項2〜6のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  8. 前記晶析槽内の圧力が、0.5〜20kPaである請求項7に記載のコハク酸の製造方法。
  9. 前記晶析工程において、コハク酸の種晶を前記晶析槽内に連続的又は間欠的に添加することを特徴とする請求項2〜8のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  10. 前記種晶が、前記晶析槽から抜き出したコハク酸の少なくとも一部を粉砕処理したものを含有することを特徴とする請求項9に記載のコハク酸の製造方法。
  11. 前記粉砕処理を湿式粉砕機で行うことを特徴とする請求項10に記載のコハク酸の製造方法。
  12. 前記粉砕処理を、該晶析槽内のコハク酸スラリーを抜き出して該晶析槽内に戻す循環手段及び晶析槽内にコハク酸含有液を供給する手段に設けられたポンプから選ばれる少なくとも1つによって行うことを特徴とする請求項10または11に記載のコハク酸の製造方法。
  13. 前記種晶の体積平均粒子径が200μm以下であり、該種晶の添加量がコハク酸の回収量の0.001重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  14. 前記コハク酸含有液中のコハク酸濃度が、10重量%以上45重量%以下である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  15. 前記コハク酸含有液の溶媒が、比誘電率10以上の液体であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  16. 晶析に際して、前記コハク酸含有液を、晶析槽に投入する際の温度より10℃以上冷却することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  17. 前記コハク酸含有液を晶析槽の液相に供給する、請求項1〜16のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  18. 前記晶析槽内部の液温が、晶析槽壁面温度よりも低い温度である、請求項1〜17のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項に記載のコハク酸の製造方法によって製造されたコハク酸であって、粒径分布をRosin−Rammler分布で近似したときの均等数nが3.0以上であることを特徴とするコハク酸。
  20. 請求項19において、重量基準のメジアン径が400μm以下であることを特徴とするコハク酸。
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