JPH09249586A - 高純度2,6−ジメチルナフタレンの製法 - Google Patents
高純度2,6−ジメチルナフタレンの製法Info
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- JPH09249586A JPH09249586A JP8059741A JP5974196A JPH09249586A JP H09249586 A JPH09249586 A JP H09249586A JP 8059741 A JP8059741 A JP 8059741A JP 5974196 A JP5974196 A JP 5974196A JP H09249586 A JPH09249586 A JP H09249586A
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Abstract
Nを析出させ、高純度の2,6-DMNを得るに際して、長
期間にわたって安定して所定以上の純度を維持すること
のできる工業的に有利な方法を提供する。 【解決手段】ジメチルナフタレン混合物から2,6-ジメチ
ルナフタレンを結晶化させるに際して、溶媒の存在下、
結晶の凝集を抑制しつつ冷却する。結晶の凝集を抑制す
る方法としては、(1)結晶化槽での平均滞留時間を小
さくすること、(2)凝集物を破砕すること、(3)結
晶化槽内の撹拌を十分に強くすることなどが挙げられ
る。
Description
カルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の
原料として有用な2,6-ジメチルナフタレンの製造方法に
関する。2,6-ナフタレンジカルボン酸やそのジメチルエ
ステルである2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルは優
れた引っ張り強度と耐熱性を有するポリエチレンナフタ
レート繊維やフィルム等の製造に用いられる高性能ポリ
エステルの原料として工業的に重要な用途を持ってい
る。
ナフタレンをDMNと記す)は、酸化されて2,6-ナフタ
レンジカルボン酸となり、場合によってはさらにジメチ
ルエステル化されて2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチ
ルとなる。ポリエチレンナフタレート繊維やフィルム等
の製造に用いられる高性能ポリエステルの原料としての
2,6-ナフタレンジカルボン酸や2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸ジメチルは高純度のものである必要があり、その原
料としての2,6-DMNも高純度が要求される。即ちDM
Nには2個のメチル基の位置により10個の異性体が存在
するが、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の原料としての
2,6-DMNは他の異性体を実質的に含まず、さらにモノ
メチルナフタレンやトリメチルナフタレン等の不純物を
も実質的に含まない高純度のものである必要がある。
物自体が酸化、エステル化されて2,6-ナフタレンジカル
ボン酸等の純度を低下させる。2,6−DMN中の不純
物に由来して、酸化、エステル化工程で生成する不純物
の一部は除去することが著しく困難であり、高純度の2,
6-ナフタレンジカルボン酸や2,6-ナフタレンジカルボン
酸ジメチルを得ることが著しく困難となる。さらに、こ
れらの不純物が存在すると酸、エステルの純度のみなら
ず、2,6-DMN基準の酸、エステルの収率が顕著に低下
する。従って、工業的に有利な条件で2,6-ナフタレンジ
カルボン酸や2,6-ナフタレンジカルボン酸ジメチルを製
造するには、高純度の2,6-DMNを得ることが必須であ
るといえる。
極力高い方が良いが、2,6−DMNの純度を上げるた
めには精製の負荷が大きくなる。従って酸化原料として
の2,6−DMNの純度は、DMNとしての精製の負
荷、DMN純度の酸化反応の成績、酸化生成物純度への
影響、更に2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルと
して精製する場合は、メチルエステル化の反応成績、メ
チルエステルの精製の負荷等も考慮して決めるべきであ
る。通常これらを総合的に考慮して、2,6-DMNの純度
は少なくとも98.0%以上の高純度とする必要があ
る。
分、石油留分から分離する方法、ナフタレン或いはメチ
ルナフタレンをメチル化後に異性化分離する方法等があ
る。これらの留分や生成物は10種の異性体のほとんど
を含み、多くの異性体混合物から2,6−DMNを分離
する必要がある。一方特開昭49−134634号には
オルトキシレンとブタジエンからO-トリルペンテン-2を
高収率で得る方法が示されている。また特開昭50−8
9353号にはO-トリルペンテン-2を環化して1,5−
ジメチルテトラリンを製造する方法が、特開昭48−7
6852号には1,5−ジメチルテトラリンを脱水素し
て高収率高選択率で1,5−DMNを製造する方法が示
されている。さらに特開昭50−129534号には
1,5−DMNを異性化して、主として1,5−、1,
6−、2,6−DMNからなる異性体混合物を得る方法
が示されている。従って2,6−DMNの製造法とし
て、これらの方法を組み合わせることにより、オルトキ
シレンとブタジエンから、主として1,5−、1,6
−、2,6−DMNからなる異性体混合物を得、この異
性体混合物から2,6−DMNを分離する方法もある。
法では、DMN異性体混合物から2,6−DMNを分
離、回収する必要がある。ジメチルナフタレン10異性
体の沸点は非常に近接しており、通常有機化合物の分離
精製によく用いられている蒸留により2,6−DMNを
精製することは極めて困難である。2,6−DMNの精
製方法として、結晶化による方法、吸着による方法、あ
る種の有機化合物を用いて2,6−DMNと錯体を形成
させ、これを分離した後、該錯体を分解する方法等が提
案されている。これら各方法の内では、結晶化による方
法が最も簡便であり、工業的精製法として適している。
特に、オルトキシレンとブタジエンから1,5−DMN
を製造し、これより主として1,5−、1,6−、2,
6−DMNからなる異性体混合物を製造し、これから分
離する場合は、精製原料中の異性体種が少ないことか
ら、結晶化による方法が有効である。ナフタレン類をメ
チル化後に異性化分離する場合、タール留分、石油留分
から分離する場合は、多くの異性体混合物から2,6−
DMNを分離する必要があり、この場合は吸着法と結晶
化法の組み合わせが好ましい。
−DMN、2,3−DMNと共晶を形成することが知ら
れている。従って異性体混合物から結晶化により2,6
−DMNを結晶として析出させるためには、混合物中の
2,6−DMNとこれら異性体との量比が共晶組成比よ
りも大きい必要がある。即ち、混合物中の2,6−DM
Nに対する1,5−DMNのモル比が1.9以下、2,
7−DMNのモル比が1.4以下、2,3−DMNのモ
ル比が1.1以下である異性体混合物を冷却したとき、
2,6−DMNが結晶として最初に析出する。
DMNを分離する方法として、特公昭50-22553号には、
該混合物を冷却し、析出した結晶をメタノールで処理す
る方法が示されている。また特開昭48-5767 号には、該
混合物を芳香族炭化水素を用いて洗浄、あるいは再結晶
する方法が示されている。これらの方法によって、純度
が97.5〜99.3%の2、6-DMNが得られるとしている
が、いずれの方法も煩雑な操作、設備を必要とする。ま
た高純度2,6−DMNを採取するためには、結晶化に
より得られたスラリーを固液分離する必要がある。そし
て工業的に実施する際は、結晶化と固液分離を連続で、
長時間安定に運転する必要があるが、連続的に結晶化と
固液分離を行った際の結晶性状の変化及び得られる結晶
の純度の変化について述べられたものは見当たらない。
キシレンとブタジエンを原料として1,5-DMNを合成
し、これを異性化して、主として1,5-、1,6-、2,6-DM
Nからなる異性体混合物となし、該異性体混合物を溶媒
と混合した上で攪拌機付きのジャケット冷却式結晶化槽
に連続的に供給しながら、ジャケットに冷却媒を流して
間接冷却し、2,6-DMNの結晶を析出させた(平均滞留
時間は8時間)。その結果、運転開始直後は99%以上の
純度で結晶を分離できるものの、経時的な結晶純度の低
下が起こり、所定の純度の結晶を継続的に得ることはで
きなかった。なお結晶の純度は、次の工程である酸化反
応に供されるものの純度であり、蒸留などで容易に除去
できる溶媒やリンス液は考慮に入れていない。
結晶化により2,6-DMNを析出させ、高純度の2,6-DM
Nを得るに際して、長期間にわたって安定して所定以上
の純度を維持することのできる工業的に有利な方法を提
供することである。
有する高純度の2,6-DMNの製造法について鋭意検討を
続けた結果、結晶化操作を連続的に継続することにより
結晶の純度が低下する原因は、結晶化槽内に滞留してい
る結晶が互いに凝集して巨大な集合体を形成し、その際
に母液を抱き込むためであり、結晶の凝集を抑制するよ
うな方策を講じることにより、長期間にわたって安定し
て所定値以上の純度を維持することができることを見出
し、本発明に到達した。
から2,6-ジメチルナフタレンを結晶化させるに際して、
溶媒の存在下、結晶の凝集を抑制しつつ冷却することを
特徴とする高純度2,6-ジメチルナフタレンの製法であ
る。結晶の凝集を抑制する方法としては、(1)結晶化
槽での平均滞留時間を小さくすること、(2)凝集物を
破砕すること、(3)結晶化槽内の撹拌を十分に強くす
ることなどが挙げられる。
集を抑制することにより、凝集された結晶の内部に存在
する母液を極力排除し、もって高純度の2,6−DMN
を製造するものである。結晶の凝集し易さはその結晶固
有の性質であり、物質により異なる。本発明者らは2,
6−DMN結晶が凝集し易く、結晶の凝集を抑制するこ
とにより2,6−DMN結晶の純度が低下することを見
出した。本発明において結晶化の際、適当な溶媒を使用
する場合がある。結晶の凝集し易さは結晶自体の性質に
よる。従って凝集を抑制する意味では、溶媒の使用は必
ずしも必要ではない。しかし2,6−DMN結晶は無溶
媒下で析出させた場合鱗片状となり、濾過性が非常に悪
い。これに対し溶媒を共存させた場合は盤状の結晶とな
り、濾過性が大幅に改善される。従って簡単な濾過、リ
ンス操作により高純度の結晶を得るためには、溶媒が用
いられる。特に98%以上の純度を有する結晶を得るた
めには溶媒の使用が必須である。溶媒としては炭化水
素、特に脂肪族飽和炭化水素や脂環式飽和炭化水素が濾
過性向上効果が大きく好適である。
ては、前述の如く(1)結晶化槽での平均滞留時間を小
さくすること、(2)凝集物を破砕すること、(3)結
晶化槽内の撹拌を十分に強くすることが挙げられる。結
晶化分離においては、通常大きな結晶を作ることに注意
が払われる。これは結晶を大きくした方が、結晶単位重
量当たりの表面積が小さくなり、その結果として母液付
着量が減って純度が上がり、かつ固液分離も容易になる
ことによる。上記の(1)〜(3)の操作は何れも、通
常結晶を大きくするためには避けるべき方法であり、従
来技術で一般に行われていた方法とは全く異なるもので
ある。
常結晶が成長し、大きくなる。この性質を利用して、結
晶化槽とは別に熟成槽を設けて滞留時間を長くする方法
がしばしば採られる。しかし本発明者らがDMN異性化
生成物からの2,6−DMNの結晶化について検討した
ところ、滞留時間を長くすると、結晶の成長よりはむし
ろ、結晶の凝集が起こり易いことを見出した。更に平均
滞留時間と結晶純度の変化の関係を調べ、平均滞留時間
を小さくすることにより、凝集が抑制され、高純度の
2,6−DMN結晶を長時間安定に採取できることを見
出した。本発明において結晶化槽での滞留時間を小さく
することにより結晶の凝集を防ぐ場合の平均滞留時間は
6時間以下であり、好ましくは4時間以下、更に好まし
くは3時間以下である。平均滞留時間を短くすれば、凝
集していない盤状結晶の割合が増す。また凝集物の直径
はほとんど変わらないが、厚みが全体に薄くなり、厚さ
方向の凝集が抑えられる。その結果、結晶純度は向上
し、上記の平均滞留時間において高純度の2,6−DM
N結晶が継続して得られる。
凝集物は剪断力を加えることにより比較的容易に破砕さ
れ、更に個々の結晶は剪断力を加えても容易に破壊され
ないことを見出した。通常、剪断力をかけることは結晶
を砕いて小さくすることとなり、結晶化においては避け
るべきこととされている。しかしながら、2,6−DM
Nの結晶については、剪断力を加えることにより結晶の
凝集が抑制され、かつ結晶の破砕が比較的少なく、結晶
に抱き込まれる母液が減少する結果、ケーキ純度の向上
に優れた効果がある。2,6−DMN結晶がこのような
性質を持っていることはこれまで報告されていない。剪
断力を加える方法としては、例えば結晶化槽に循環ポン
プを設置し、槽内のスラリーを循環させる方法があり、
ポンプの形式、循環量を調節することにより剪断力を調
節することができる。結晶凝集物を破砕し、結晶の凝集
を抑制するための槽内のスラリーを循環量は、結晶化槽
の形状により異なるが、結晶化原料の供給量に対する槽
内スラリー循環量の比率を少なくとも1.0以上とする
必要がある。剪断力による破砕手段を設けると、凝集物
の全体に占める割合や厚みはそれほど変わらないが、凝
集物の直径が小さくなり、長さ方向の凝集が抑えられ
る。その結果、結晶純度は向上し、高純度の2,6−D
MN結晶が継続して得られるようになる。
て、結晶化槽内の撹拌を十分に強くすることが挙げられ
る。通常、結晶化槽内の撹拌を強くすることは、結晶を
小さくすることとなるため、攪拌強度は必要な循環流が
維持される程度に小さくするのが一般的であり、必要以
上の攪拌強度を与えることは、結晶化においては避ける
べきこととされている。しかしながら2,6−DMNの
結晶については、結晶化槽内の撹拌を強くすることによ
り、結晶の凝集が抑制され、かつ攪拌強度を上げても結
晶の破砕が比較的少ないことから、結晶に抱き込まれる
母液が減少することになり、ケーキ純度の向上に優れた
効果があることが認められた。この性質は剪断力に関し
て有した性質と類似のものであり、これまで報告されて
いない。2,6−DMNの結晶の凝集が抑制するための
攪拌強度は結晶化槽の形状などにより異なるが、単位容
積当たりの動力(PV)としてほぼ1.5Kw/m3 以
上とする必要がある。撹拌を強くすると凝集物の全体に
占める割合や厚みはそれほど変わらないが、凝集物の直
径が小さくなり、長さ方向の凝集が抑えられ、その結果
ケーキ純度は向上し、高純度の2,6−DMN結晶が継
続して得られるようになる。
の凝集を抑制するものであればその他のどのような手段
であってもケーキ純度向上には有効である。また上記の
3つの手段はそれぞれ単独で用いても良く、複数を組み
合わせて用いても良い。本発明を実施するに際しての結
晶化槽には特に制限はなく、通常結晶化に用いられる結
晶化槽を用いることができる。このように結晶の凝集を
抑制する方法を用いて結晶化させたスラリーは母液の抱
き込みが少なくなる。2,6−DMNの結晶を分離する
手段としては特に制限はなく、通常固液分離に用いられ
る手段、例えば遠心分離器やフィルター等を用いること
ができる。なお2,6−DMNとして更に高純度が要求
される場合には、以上に方法により得られた2,6−D
MN結晶を再度溶媒に分散した後、結晶を分離すること
により後の実施例に示すように極めて高純度の2,6−
DMNが得られる。
細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。なお、以下の各実施例、比較例における
各成分の濃度はガスクロマトグラフィーにより求めた。
2500mmの縦型円筒容器を結晶化槽として、ロータ
リーバキュームフィルターを結晶分離機として用いて、
結晶化、結晶分離を行った。結晶化槽内には4枚のバッ
フルを設けた。結晶化槽内部の温度は結晶化槽下部に設
置した温度計によりモニターした。結晶化原料は結晶化
槽上部から供給し、生成したスラリーは結晶化槽下部よ
りポンプにより抜き出してロータリーバキュームフィル
ターに供給し、ロータリーバキュームフィルターにより
濾過、リンスを行った。
1,5−DMNを異性化して得た異性化反応生成物とノ
ルマルヘプタンを混合して得られた表1に示す組成の混
合物を結晶化原料とした。まず始めに結晶化槽に65℃
の結晶化原料を0.6m3 張り込み、その後ジャケット
に30℃の冷却水を流し、結晶化槽内液を撹拌しなが
ら、ゆっくりと5時間かけて晶析槽内温を40℃まで下
げた。晶析槽内温が40℃となった時点で、結晶化原料
を200kg/hrの一定速度で連続的に供給を開始
し、結晶化槽内部の温度が40℃を保つ様に冷却水の流
量を制御した。結晶化原料の供給を開始すると同時に、
結晶化槽内のスラリーを結晶化槽から連続的に抜き出し
て、ロータリーバキュームフィルターにて濾過した。こ
の間、ロータリーバキュームフィルターの回転数を制御
して、結晶化槽のスラリー量を0.6m3 に維持した。
2.6時間である。結晶化槽の攪拌は100rpm、攪
拌動力はPV=0.6Kw/m3 とした。ロータリーバ
キュームフィルターの運転においては、40℃のノルマ
ルヘプタンをリンス液として、リンス量30kg/hr
にてケーキを均一にリンスした。この結晶化、結晶分離
操作を72時間継続し、所定時間毎にロータリーバキュ
ームフィルターから出てくる結晶をサンプリングして結
晶中の2,6−DMN純度を調べた。運転経過時間と結
晶純度の関係を表2に示した。運転中、結晶化槽中のス
ラリー濃度は約14重量%とほぼ一定であった。
は実施例1と同様に操作して結晶化、結晶分離を行っ
た。この場合の結晶化槽内での平均滞留時間は8.0時
間となる。スラリー中の結晶濃度は約14%とほぼ一定
であった。実施例1と同様に、所定時間毎にロータリー
バキュームフィルターから出てくる結晶をサンプリング
して2,6-DMNの純度を調べた。経過時間と結晶純度の
関係を表2に示す。
結晶化槽下部よりスラリーを抜き出し、結晶化槽上部に
スラリーを循環させた以外は比較例1と同様に操作して
結晶化、結晶分離を行った。循環ポンプは、2ポール、
3.7kwのモーターを取り付けたオープンインペラー
タイプの遠心ポンプであり、スラリーを2 m3 /hrで
循環させた。スラリー中の結晶濃度は約14%とほぼ一
定であった。比較例1と同様に、所定時間毎に結晶をサ
ンプリングして2,6-DMNの純度を調べた。経過時間と
結晶純度の関係を表2に示す。
V=1.8Kw/m3とした以外は比較例1と同様に操
作して結晶化を行った。この場合、理論上はスラリーに
加えられる動力は比較例1の3.4倍となる。スラリー
中の結晶濃度は約14%とほぼ一定であった。比較例1
と同様に所定時間毎に結晶をサンプリングして2,6-DM
Nの純度を調べた。経過時間と結晶純度の関係を表2に
示す。運転開始後48時間経過した時点で、ロータリー
バキュームフィルターから出てくる結晶を採取した。こ
の結晶中にはノルマルヘプタンが26重量%含まれてい
た。ヘプタンを除いたケーキの重量組成(リスラリー
前)を表3に示す。この26%のヘプタンを含む結晶1
重量部を20℃のノルマルヘプタン1重量部中に分散さ
せた後、G2ガラスフィルター(標準最大孔径100〜
150μm)により吸引濾過した。得られた結晶のヘプ
タンを除いた重量組成(リスラリー後)を表3示す。こ
のリスラリー後に得られた結晶中の2,6−DMN量は
ノルマルヘプタンに分散させたケーキ中の2,6−DM
N量の86%であった。ロータリーバキュームフィルタ
ーから出てくる結晶を再度溶媒によりリスラリーするこ
とにより、極めて高純度の結晶が得られることが分か
る。
法によって結晶の凝集を抑制することにより、母液の抱
き込みが少ない結晶が得られ、結晶化および結晶分離操
作を連続的に実施しても高純度の2,6-DMN結晶を長時
間安定に得ることが出来る。従って本発明により高純度
の2,6-DMN結晶が工業的に容易に得られるようにな
り、本発明の工業的意義は極めて大きい。
から2,6-ジメチルナフタレンを結晶化させるに際して、
溶媒の存在下、結晶の凝集を抑制することを特徴とする
高純度2,6-ジメチルナフタレンの製法である。結晶の凝
集を抑制する方法としては、(1)結晶化槽での平均滞
留時間を小さくすること、(2)凝集物を破砕するこ
と、(3)結晶化槽内の撹拌を十分に強くすることなど
が挙げられる。
常結晶が成長し、大きくなる。この性質を利用して、結
晶化槽とは別に熟成槽を設けて滞留時間を長くする方法
がしばしば採られる。しかし本発明者らがDMN異性化
生成物からの2,6−DMNの結晶化について検討した
ところ、滞留時間を長くすると、結晶の成長よりはむし
ろ、結晶の凝集が起こり易いことを見出した。更に平均
滞留時間と結晶純度の変化の関係を調べ、平均滞留時間
を小さくすることにより、凝集が抑制され、高純度の
2,6−DMN結晶を長時間安定に採取できることを見
出した。本発明において結晶化槽での滞留時間を小さく
することにより結晶の凝集を防ぐ場合の平均滞留時間は
6時間以下であり、好ましくは4時間以下である。平均
滞留時間を短くすれば、凝集していない盤状結晶の割合
が増す。また凝集物の直径はほとんど変わらないが、厚
みが全体に薄くなり、厚さ方向の凝集が抑えられる。そ
の結果、結晶純度は向上し、上記の平均滞留時間におい
て高純度の2,6−DMN結晶が継続して得られる。
凝集物は剪断力を加えることにより比較的容易に破砕さ
れ、更に個々の結晶は剪断力を加えても容易に破壊され
ないことを見出した。通常、剪断力をかけることは結晶
を砕いて小さくすることとなり、結晶化においては避け
るべきこととされている。しかしながら、2,6−DM
Nの結晶については、剪断力を加えることにより結晶の
凝集が抑制され、かつ結晶の破砕が比較的少なく、結晶
に抱き込まれる母液が減少する結果、ケーキ純度の向上
に優れた効果がある。2,6−DMN結晶がこのような
性質を持っていることはこれまで報告されていない。剪
断力を加える方法としては、例えば結晶化槽に循環ポン
プを設置し、槽内のスラリーを循環させる方法があり、
ポンプの形式、循環量を調節することにより剪断力を調
節することができる。結晶凝集物を破砕し、結晶の凝集
を抑制するための槽内のスラリーを循環量は、結晶化槽
の形状により異なるが、結晶化原料の供給量に対する槽
内スラリー循環量の比率を少なくとも1.0以上とする
ことが好ましい。剪断力による破砕手段を設けると、凝
集物の全体に占める割合や厚みはそれほど変わらない
が、凝集物の直径が小さくなり、長さ方向の凝集が抑え
られる。その結果、結晶純度は向上し、高純度の2,6
−DMN結晶が継続して得られるようになる。
Claims (6)
- 【請求項1】ジメチルナフタレン混合物から2,6-ジメチ
ルナフタレンを結晶化させるに際して、溶媒の存在下、
結晶の凝集を抑制しつつ冷却することを特徴とする高純
度2,6-ジメチルナフタレンの製法。 - 【請求項2】結晶化槽での平均滞留時間を6時間以内と
する請求項1記載の高純度2,6-ジメチルナフタレンの製
法。 - 【請求項3】結晶凝集物の破砕手段を設ける請求項1記
載の高純度2,6-ジメチルナフタレンの製法。 - 【請求項4】結晶化槽の外部に循環ポンプを設置し、結
晶化槽内のスラリーを循環させることにより結晶を破砕
する請求項3記載の高純度2,6-ジメチルナフタレンの製
造方法。 - 【請求項5】結晶の凝集を抑制される程度に結晶化槽内
を撹拌する請求項1記載の高純度2,6-ジメチルナフタレ
ンの製法。 - 【請求項6】脂肪族飽和炭化水素および脂環式飽和炭化
水素から選ばれた一種以上の溶媒を用いる請求項1〜5
いずれかに記載の高純度2,6-ジメチルナフタレンの製
法。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8059741A JPH09249586A (ja) | 1996-03-15 | 1996-03-15 | 高純度2,6−ジメチルナフタレンの製法 |
US08/777,078 US5948949A (en) | 1996-02-28 | 1996-12-30 | Process for producing 2,6-dimethylnaphthalene |
DE69730364T DE69730364T2 (de) | 1996-02-28 | 1997-01-29 | Verfahren zur Reinigung von 2,6-Dimethylnaphthol und dessen Verwendung bei der Herstellung von 2,6-Naphtholdicarbonsäure |
EP01115667A EP1151981B1 (en) | 1996-02-28 | 1997-01-29 | Process for the purification of 2,6-dimethylnaphthalene and its use in the production of 2,6-naphthalenedicarboxylic acid |
DE69711974T DE69711974T2 (de) | 1996-02-28 | 1997-01-29 | Verfahren zur Reinigung von 2,6-Dimethylnaphthol und dessen Verwendung bei der Herstellung von 2,6-Naphtholdicarbonsäure |
EP97101328A EP0792858B1 (en) | 1996-02-28 | 1997-01-29 | Process for the purification of 2,6-dimethylnaphthalene and its use in the production of 2,6-naphthalenedicarboxylic acid |
TW086101313A TW450958B (en) | 1996-02-28 | 1997-02-04 | Process for producing 2,6-dimethylnaphthalene and a process for producing 2,6-naphthalenedicarboxylic acid |
KR1019970005315A KR100528401B1 (ko) | 1996-02-28 | 1997-02-21 | 2,6-디메틸나프탈렌의제조방법및2,6-나프탈렌디카르복시산의제조방법 |
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