JPWO2011101979A1 - 操舵制御装置 - Google Patents

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Abstract

操舵制御装置においては、路面反力トルク演算部52は、車速と操舵角と車両モデルとを用いて、キャスタートレール起因トルクと、セルフアライニングトルクと、路面反力トルクとのそれぞれを算出する。反力指令電流演算部53は、路面反力トルク及び車速を用いて、反力指令電流を算出する。

Description

この発明は、運転者のハンドル操作に応じて、操舵系に動力を付与するモータの駆動を制御する操舵制御装置に関する。
一般的なステアリング装置としては、操舵トルクを検出し、操舵トルクに基づいてアシストトルク(操舵補助トルク)を付与する電動パワーステアリング装置が知られている。このような電動パワーステアリング装置の駆動を制御する操舵制御装置は、運転者が操舵ハンドルを操舵した際に感じる操舵トルクを制御することになるため、その車両の操舵フィーリングを形成する重要な因子になる。
ここで、路面反力トルクは、路面と操舵輪との間で作用するタイヤ横力により、操舵ハンドルを中立点に戻す方向に作用するトルクである。車両によっては、操舵系のレイアウトや、タイヤの仕様等より、路面反力トルクが小さくなる場合がある。
このように、路面反力トルクが小さい場合には、その路面反力トルクが、相対的に大きくなる摩擦トルクに打ち勝てない。これによって、運転者の操舵中に、操舵ハンドルを中立点に戻す方向に作用する路面反力トルクが不足する。従って、運転者が意識して戻しトルクを操舵ハンドルに加えて、操舵ハンドルを中立点に戻さなければならない。
この他に、路面反力トルクが小さい場合には、操舵ハンドルが中立点であるか、あるいは操舵ハンドルが中立点からずれて車両が旋回しているかについて、運転者がその手に伝わる反力から感じ取りにくくなる。このため、運転者は、車両を安定して直進させるために、操舵ハンドル位置を目視で確認する必要がある。以上のように、路面反力トルクが小さい場合には、操舵フィーリングが低下するという課題があった。
このような課題に対して、例えば、特許文献1に示すような従来装置では、ECU(Electronic Control Unit)が、舵角と、舵角速度の方向とに応じたハンドル戻しトルクを操舵系に付与するようにモータを駆動させる。
また、例えば、特許文献2に示すような従来装置では、ECUが、車両モデルに基づいて、操舵角からラック軸力を推定し、そのラック軸力推定値に応じて、アシスト制御を実行する。
さらに、例えば、特許文献3に示すような従来装置では、ECUが、操舵角に対する操舵トルクの応答特性のうち、車両モデルとして表された操舵応答特性から、数学的に算出可能な定常応答成分を差し引いた結果を用いて、アシストトルクを算出する。この算出されたアシストトルクによって、操舵角に対する操舵トルクの応答特性のうち高周波成分の特性(非定常応答成分)が打ち消される。
また、例えば、特許文献4に示すような従来装置では、ECUが、サスペンションジオメトリの影響によるコーナリングフォース及びセルフアライニングトルク動特性の伝達遅れを補償するために、検出、又は推定したセルフアライニングトルクを位相補償し、操舵補助指令値を補正する。
特開2002−145100号公報(2頁段落[0007]〜[0021]及び図2) 特開2007−269251号公報(2頁段落[0003]〜[0010]及び図2) 特開2004−338616号公報(2頁段落[0009]〜[0012]及び図2) 特開2008−114687号公報(6頁段落[0019]、9頁段落[0042]〜[0046]及び図11)
上記のような従来装置では、操舵角、又は操舵角から車両モデルを用いて演算した路面反力トルク(特許文献2のものではラック軸力に相当、特許文献3のものではマニュアルステアでの操舵トルクに相当)に基づいてアシストトルクが設定される。しかしながら、従来装置では、操舵角から路面反力トルクまでの車両の物理特性(伝達特性)を数学的に表した車両モデルに、操舵輪の横滑り角が発生した際に操舵輪の一部を構成するタイヤ自体が弾性変形によって捩れることより過渡的に発生するトルク(MS2:以下、本明細書において「タイヤの捩りトルク」とする。)の影響が考慮されていない。
具体的に、従来装置では、キャスタートレール及びタイヤ横力により発生するトルク(MF:以下、本明細書において「キャスタートレール起因トルク」とする)と、タイヤ横力が操舵輪の接地面上に不均一に分布していることによって発生するトルク(MS1:以下、本明細書において「ニューマチックトレール起因トルク」とする)との和として、算出路面反力トルク(MR)を近似していた。これにより、路面反力トルク(MR)がタイヤ横力(FyF)と同位相の状態量になっていた。
ここで、路面反力トルク(MR)は、操舵周波数領域において、タイヤ横力(FyF)よりも位相が進むという特性がある。このため、操舵角を用いて算出した路面反力トルク、又は操舵角及び車両モデルを用いて算出した路面反力トルクと、実際に路面からステアリング軸に作用する路面反力トルクとが異なってしまう。
従って、従来装置では、実際とは異なった路面反力トルクを用いて、電動パワーステアリング装置のアシストトルクを設計することになる。この結果、従来装置では、制御設計者が得ようとする制御効果が十分に発揮されず、自然な操舵フィーリングを実現できないという課題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、設計者が得ようとする制御効果を得られやすく、より自然な操舵フィーリングを実現することができる操舵制御装置を得ることを目的とする。
この発明に係る操舵制御装置は、動力を操舵系に付与するモータの駆動を制御するものであって、前記操舵系の操舵角に応じた操舵角信号を生成する操舵角検出手段から受けた操舵角信号を、前記操舵角から、前記操舵系の操舵輪のセルフアライニングトルクまでの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタを用いてフィルタ処理し、そのフィルタ処理結果に基づいて、前記モータの駆動トルクを設定する操舵制御装置本体を備えるものである。
この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置を示す構成図である。 図1の操舵制御装置本体を示すブロック図である。 アシストマップの一例を示すグラフである。 各種記号の定義を説明するための説明図である。 四輪車両を等価二輪モデルで表現した概略図である。 車両のx軸回りの回転運動を示す概略図である。 タイヤモデルを示す概略図である。 タイヤの剛性を示す概略図である。 図2の指令電流演算系の動作を示すフローチャートである。 換算ゲインマップの一例を示すグラフである。 実測値に基づく周波数特性と、車両モデルについての周波数応答とを示すグラフである。 路面反力トルクで反力指令電流を算出した場合の効果を説明するための周波数特性を示すグラフである。 車速が40km/hの場合の0.2Hz正弦波操舵での操舵角に対する操舵トルクのリサージュ波形である。 車速が40km/hの場合の2Hz正弦波操舵での操舵角に対する操舵トルクのリサージュ波形である。 この発明の実施の形態2による制限値設定マップの一例を示すグラフである。 この発明の実施の形態2による指令電流演算系の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2による操舵制御装置本体の効果を説明するための説明図である。 この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置を示す構成図である。 図18の操舵制御装置本体を示すブロック図である。 この発明の実施の形態4による操舵制御装置本体を示すブロック図である。 図20の反力指令電流演算部による反力指令電流についての補正処理を説明するための説明図である。 この発明の実施の形態5による操舵制御装置本体を示すブロック図である。
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電動パワーステアリング装置を示す構成図である。
図1において、電動パワーステアリング装置100は、操舵ハンドル1、ステアリング軸2、減速器3、モータ4、タイロッド5、ギアボックス(図示せず)、及び一対の操舵輪6A,6Bを有している。操舵ハンドル1、ステアリング軸2、タイロッド5、ギアボックス、及び一対の操舵輪6A,6Bは、操舵系を構成している。操舵ハンドル1は、ステアリング軸2の一端に固定されている。また、操舵ハンドル1は、運転者によって操作される。
減速器3は、ステアリング軸2の中間部に取り付けられている。モータ4は、減速器3を介して、ステアリング軸2に結合されている。タイロッド5の中間部は、ギアボックスを介して、ステアリング軸2に接続されている。一対の操舵輪6A,6Bは、タイロッド5の両端部に回転自在に取り付けられている。運転者による操舵ハンドル1の回転角度の変化に応じて、一対の操舵輪6A,6Bの舵角が変化される。
モータ4の駆動トルクは、減速器3によって増幅されて、ステアリング軸2に加わる。従って、ステアリング軸2には、モータ4の増幅後のトルクと、運転者が操舵ハンドル1を回転させることによって生じる操舵トルクとが加わる。これらのモータ4による駆動トルクと操舵トルクとの和によって、操舵輪6A,6Bからステアリング軸2へ伝わる路面反力トルクに抗して、ステアリング軸2及び操舵輪6A,6Bが回転される。
操舵ハンドル1には、操舵角検出手段としての操舵角センサ10が取り付けられている。操舵角センサ10は、操舵ハンドル1の操舵角に応じた操舵角信号を生成する。ステアリング軸2には、操舵トルク検出手段としての操舵トルクセンサ11が取り付けられている。操舵トルクセンサ11は、ステアリング軸2に作用している操舵トルクに応じた操舵トルク信号を生成する。
電動パワーステアリング装置100の動作は、操舵制御装置本体50によって制御される。操舵制御装置本体50には、操舵角センサ10からの操舵角信号と、操舵トルクセンサ11からの操舵トルク信号と、車速検出手段としての車速センサ12からの車速信号とが入力される。操舵制御装置本体50は、操舵角信号、操舵トルク信号及び車速信号を用いて、操舵角、操舵トルク及び車速を監視する。また、操舵制御装置本体50は、モータ4の駆動電流を監視する。さらに、操舵制御装置本体50は、監視している操舵角、操舵トルク、車速、及びモータ4の駆動電流のそれぞれの変化を記憶する。
また、操舵制御装置本体50は、操舵角信号、操舵トルク信号及び車速信号に基づいて、モータ4の駆動トルクを発生するのに必要な指令電流(操舵補助電流)を算出する。また、操舵制御装置本体50は、モータ電流信号に基づくモータ電流と指令電流とが一致するように電流制御(フィードバック制御)を実行し、その電流制御による印加電圧をモータ4に付与する。
図2は、図1の操舵制御装置本体50を示すブロック図である。図2において、操舵制御装置本体50は、アシスト指令電流演算部51、路面反力トルク演算部52、反力指令電流演算部53、減算部54、電流制御部55、駆動回路56、及び電流検出手段としての電流センサ57を有している。ここで、路面反力トルク演算部52、反力指令電流演算部53及び減算部54による操舵角から指令電流を演算する演算処理がフィルタ処理に相当する。
アシスト指令電流演算部51、路面反力トルク演算部52、反力指令電流演算部53及び減算部54は、指令電流演算系60を構成している。指令電流演算系60は、指令電流を算出する。
アシスト指令電流演算部51は、車速及び操舵トルクを用いて、運転者の操舵トルクを軽減するための基本アシスト指令電流を算出する。具体的に、アシスト指令電流演算部51には、図3に示すようなアシストマップ、即ち車速及び操舵トルクに対する基本アシスト指令電流の値が予め登録されている。アシスト指令電流演算部51は、アシストマップ、車速及び操舵トルクを用いて、基本アシスト指令電流を算出する。なお、この基本アシスト指令電流に相当するモータ4の駆動トルクを基本アシストトルクとする。
路面反力トルク演算部52は、車速及び操舵角と、後述の式(1)〜(13)に示す車両モデル(一種のフィルタ)とを用いて、キャスタートレール起因トルクMFと、セルフアライニングトルクMSと、路面反力トルクMRとのそれぞれを算出する。なお、セルフアライニングトルクMSには、後述の式(9)に示すように、タイヤ横力FyFが操舵輪6A,6Bの接地面上に不均一に分布していることによって発生するニューマチックトレール起因トルクMS1と、タイヤの捩りトルクMS2とが含まれている。
反力指令電流演算部53は、路面反力トルク演算部52から路面反力トルクMRの算出結果を受ける。また、反力指令電流演算部53は、路面反力トルクMR及び車速を用いて、反力指令電流を算出する。この反力指令電流とは、路面反力トルクMRの大きさに対応するように、モータ4の駆動トルクの大きさを調整するための電流である。
減算部54は、アシスト指令電流演算部51から基本アシスト指令電流の算出結果を受ける。また、減算部54は、反力指令電流演算部53から反力指令電流の算出結果を受ける。さらに、減算部54は、基本アシスト指令電流から反力指令電流を減算し、その減算して得た電流値をモータ4の指令電流として電流制御部55に送る。
電流制御部55は、電流センサ57を介してモータ電流を監視する。また、電流制御部55は、指令電流及びモータ電流に基づいて、モータ4に流れる電流が指令電流に一致するようにモータ4の印加電圧を算出する。駆動回路56は、電流制御部55によって算出された印加電圧がモータ4の付与されるようにPWM(Pulse Width Modulation)駆動を実行する。
ここで、操舵制御装置本体50は、演算処理装置(CPU)、記憶装置(ROM及びRAM等)、信号入出力装置、駆動回路56、及び電流センサ57を有するハードウェア(図示せず)により構成することができる。このハードウェアの記憶装置には、アシスト指令電流演算部51、路面反力トルク演算部52、反力指令電流演算部53、減算部54及び電流制御部55の機能を実現するためのプログラムが格納されている。
次に、指令電流演算系60の演算処理について、より具体的に説明する。指令電流演算系60は、車速V及び操舵角θhを読み込んで、次の式(1)〜式(13)に示す車両モデルを用いて路面反力トルクMRを算出する。なお、これらの車両モデルは、操舵制御装置本体50に予め記憶されている。また、操舵制御装置本体50の演算処理に用いられる各種記号(パラメータ)は、図4に示すように定義される。さらに、操舵制御装置本体50の演算処理に用いられる各種記号は、図5〜8に示す車両モデルと対応している。
操舵角θhから操舵輪に発生するタイヤ横力FyFまでの運動のモデルは、次の式(1)〜式(6)で表される。
操舵角θhから操舵輪の舵角δへの換算:
Figure 2011101979
車両のy軸(横)方向運動方程式:
Figure 2011101979
車両のz軸(鉛直方向軸)回りの回転運動方程式:
Figure 2011101979
車両のx軸(車体前後方向軸)回りの回転運動方程式:
Figure 2011101979
タイヤ横力(コーナリングフォース)発生モデル:
Figure 2011101979
タイヤ横力によりステアリング軸2に作用する路面反力トルクMRのモデルは、次の式(7)で表される。
Figure 2011101979
この式(7)に示すように、路面反力トルクMRには、キャスタートレール起因トルクMFと、タイヤの垂直軸周りモーメントであるセルフアライニングトルクMSとが含まれている。キャスタートレール起因トルクMFは、式(8)を用いて算出可能である。セルフアライニングトルクMSは、式(9)を用いて算出可能である。
さらに、セルフアライニングトルクMSには、式(9)に示すように、タイヤ横力FyFが操舵輪6A,6Bの接地面上に不均一に分布していることによって発生するニューマチックトレール起因トルクMS1と、タイヤの捩りトルクMS2とが含まれている。ニューマチックトレール起因トルクMS1は、式(10)を用いて算出可能である。
タイヤの捩りトルクMS2は、式(11)〜(13)に示すようにモデル化することができる。式(11)〜(13)は、前輪横滑り角に対して、ゲインがタイヤ捩り剛性に基づく位相進み要素、言い換えると、ゲインがタイヤ捩り剛性に基づくハイパスフィルタ特性となっており、これによりタイヤの捩りトルクMS2を表現する。
なお、タイヤ捩れ応答時定数T1は、車速に応じて変化する時定数であり、式(13)に示すように設定することができる。また、タイヤ捩れ応答距離L1は、操舵後タイヤの捩れが解消されるまでに必要な走行距離を意味する。さらに、路面反力トルクMRは、操舵周波数領域において、タイヤ横力FyFよりも位相が進み、その影響は、低速域でより顕著になる特性がある。
また、式(8)、式(10)及び式(12)の右辺の係数の「2」は、左右2輪分を示している。さらに、式(8)、式(10)及び式(12)のそれぞれの右辺をオーバーオールステアリングギア比GSで割っているのは、路面反力トルクをステアリング軸2に作用するトルクとして換算するためである。
また、オーバーオールステアリングギア比GSは、操舵角によって可変に設計されている場合があり、ラック軸力推定値だと実際に路面からステアリング軸に作用する路面反力トルクと異なる場合がある。式(8),(10),(12)のように、オーバーオールステアリングギア比GSを考慮することにより、実際に路面からステアリング軸に作用する路面反力トルクを精度良く演算することが可能になる。
ここで、式(1)〜(13)に示す車両モデルには、パラメータ(変数)として車速Vが含まれる。このため、この車両モデルに基づくキャスタートレール起因トルクMF及びセルフアライニングトルクMSの算出結果は、車速Vに応じて変化する。
次に、指令電流演算系60の動作について説明する。図9は、図2の指令電流演算系60の動作を示すフローチャートである。図9において、指令電流演算系60は、記憶している車速、操舵トルク及び操舵角を読み込む(ステップS101)。この後に、指令電流演算系60は、アシストマップと、読み込んだ車速及び操舵トルクとを用いて、基本アシスト指令電流を算出する(ステップS102)。
また、指令電流演算系60は、読み込んだ車速及び操舵角から、先の式(1)〜(13)に示す車両モデルを用いて路面反力トルクMRを算出する(ステップS103)。この後に、指令電流演算系60は、予め設定された換算ゲインマップ(図10参照)と車速とを用いて、換算ゲインK1を設定する(ステップS104)。そして、指令電流演算系60は、次の式(14)に示すように、換算ゲインK1と路面反力トルクMRとを掛けて、反力指令電流IRを算出する(ステップS105)。
Figure 2011101979
この後に、指令電流演算系60は、基本アシスト指令電流から反力指令電流IRを減算して、指令電流を算出する(ステップS106)。この算出された指令電流の情報は、電流制御部55に送られ、電流制御部55によって、指令電流に応じた電流がモータ4に流れるように制御される。そして、指令電流演算系60は、ステップS101〜S106の処理を繰り返し実行する。
ここで、路面反力トルクMRから反力指令電流IRへの換算ゲインK1は、図10に示すように、車速に対して異なる値が予め設定されている。具体的に、車速における0km/hを含む極低速域では、操舵トルクの低減を行うことが主な目的である。このため、極低速域での反力指令電流IRが0となるように、換算ゲインK1が設定されている。これによって、極低速域での操舵トルクが軽くなり、極低速域での操舵フィーリングが操作性重視となる。
また、低速域では、操舵角に対する操舵トルクの傾きが元来小さい。このため、低速域の換算ゲインK1が、より大きな値に設定されている。これによって、操舵フィーリングが向上する。さらに、高速域では、操舵角に対する操舵トルクの傾きが元来大きい。このため、換算ゲインK1が低速域よりも小さな値に設定されている。これによって、操舵角に対する操舵トルクの傾きが、適切な範囲で増加する。
このように換算ゲインK1が車速に対して異なる値に設定されていることから、操舵反力感(いわゆるオンセンター感)が改善されつつ、より適切な操作性が実現される。従って、換算ゲインK1を車速に対して変化させることによって、全車速域で操舵フィーリングを改善させることができる。
次に、反力指令電流演算部53によって算出される反力指令電流を用いることにより得られる制御効果について説明する。まず、特許文献3に示すような従来装置のように操舵角に対する操舵トルクの特性を高周波に至るまで平坦にした人工的な操舵フィーリングを好む運転者がいる。これに対して、操舵角に対する操舵トルクの特性が、マニュアルステア(車両そのものの特性)に近い自然な操舵フィーリングを好む運転者もいる。
特に、車両のレイアウトの制約によりキャスタートレールが小さい場合や、タイヤ仕様によりニューマチックトレールが小さい場合には、路面反力トルクMRが小さくなる。このように路面反力トルクMRが小さい場合には、操舵角変化に対する操舵トルク変化の比率が小さく、操舵反力感が不足する。このため、操舵フィーリングが悪くなる。
このような車両に対し、マニュアルステアに近い自然な操舵フィーリングを実現するような制御効果を得ることが目標である。即ち、操舵輪6A,6Bに作用している路面反力トルクMRを算出し、その算出した路面反力トルクMRに基づいた反力をモータ4からステアリング軸2に付与することによって、擬似的に路面反力トルクを増加させ、マニュアルステアに近い自然な操舵フィーリングを実現するような制御効果を得ることが目標である。
このような制御効果を得ようとした場合に、路面反力トルク演算部52において、タイヤの捩りトルクMS2を考慮したことによる効果について説明する。図11(a),(b)の実線は、実車の車速40km/hでの実測データから求めた、操舵角からキャスタートレール起因トルクMFまでの周波数特性である。図11(c),(d)の実線は、実車の車速40km/hでの実測データから求めた、操舵角からセルフアライニングトルクMSまでの周波数特性である。
図11に示すように、キャスタートレール起因トルクMF(タイヤ横力FyFと同位相)と、セルフアライニングトルクMSとでは、位相が異なる。具体的に、セルフアライニングトルクMSの位相が、キャスタートレール起因トルクMFの位相よりも進んでいる。また、操舵周波数2Hz付近のゲインの落ち込み度合いに関しては、セルフアライニングトルクMSの方が、キャスタートレール起因トルクMFよりも小さい。
さらに、セルフアライニングトルクMSのゲインの方が、キャスタートレール起因トルクMFのゲインよりも大きい。また、セルフアライニングトルクMSの方が、キャスタートレール起因トルクMFよりも、路面反力トルクMRの全体の占める割合が高い。従って、路面反力トルクMRを精度良く演算するためには、セルフアライニングトルクMSを精度良く算出する必要がある。
次に、図11(a),(b)の破線は、車両モデルにおける操舵角からキャスタートレール起因トルクMFまでの周波数応答である。図11(c),(d)の破線は、車両モデルにおける操舵角からセルフアライニングトルクMSまでの周波数応答である。この図11に示すように、タイヤの捩りトルクMS2を考慮したことによって、セルフアライニングトルクMSが実測値に近くなる。
よって、キャスタートレール起因トルクMFとセルフアライニングトルクMSとの和である路面反力トルクMRも実測値により近い車両モデルとなる。なお、従来装置のように、タイヤの捩りトルクMS2を考慮せずに、路面反力トルクMRをMF+MS1と近似して算出する場合には、算出した路面反力トルクMRと実際の路面反力トルクMRとの差が比較的大きくなる。
次に、路面反力トルクMR(=MF+MS1+MS2)で反力指令電流を算出した場合の効果を図12(a),(b)に示す。なお、図12(b)は、実線と破線とが一致している特性を示している。図12(a),(b)の破線は、反力指令電流が0の場合(K1=0)の、操舵角から路面反力トルクMRまでの周波数特性を示している。図12(a),(b)の実線は、路面反力トルクMRで反力指令電流を演算し、擬似的に路面反力トルクMRを増加させた場合の結果(路面反力トルクMRと反力指令電流によるアシストトルクとで操舵反力トルクを増加させた結果)を示している。
この図12(a),(b)に示すように、路面反力トルクMRを用いて反力指令電流を算出した場合には、路面反力トルクMRの位相はほぼ変化なく、ゲインのみ増加をさせており、マニュアルステアの位相特性を維持し、操舵反力感を大きくして、マニュアルステアの操舵特性を強調できる。
図12(c),(d)の破線は、反力指令電流が0の場合の、操舵角から路面反力トルクMRまでの周波数特性を示している。図12(c),(d)の実線は、MF+MS1で反力指令電流を算出し、擬似的に路面反力トルクMRを増加させた結果(路面反力トルクMRと反力指令電流によるアシストトルクとで操舵反力トルクを増加させた結果)を示している。図12(c),(d)に示すように、ゲインの増加特性は、図12(a)の実線で示す特性とほぼ同等であるが、位相は、概ね1Hz以上の周波数領域で図12(b)の破線で示す路面反力トルクMRの特性よりも遅れてしまう。
図13は、車速が40km/hの場合の0.2Hz正弦波操舵(低周波操舵)での操舵角に対する操舵トルクのリサージュ波形である。この0.2Hz正弦波操舵は、通常のレーンチェンジに相当し、頻繁に行われる操舵パターンである。図13(a)は、操舵トルクセンサ11で検出した操舵トルクと車速センサ12で検出した車速とに基づいて、運転者の操舵をアシストした結果である。
ここで、一般的に、リサージュ波形のヒステリシス幅が大きいほど、摩擦感が大きい。また、原点付近の操舵角に対する操舵トルクの傾きが小さいほど、操舵反力感が不足し、直進しているか、あるいは旋回しているかについて運転者がわかりにくく、操舵フィーリングが悪くなる。このため、このような操舵フィーリングの悪化を解消すべく、制御や、車両特性を調整する。ただし、両者とも適値があり、摩擦感が極端に小さい場合や操舵反力感が極端に大きい場合にも操舵フィーリングは悪くなる。
図13(b)〜(d)に示すリサージュ波形は、原点付近での操舵角に対する操舵トルクの傾きが同一になるように、下記の仕様で制御を行ったものである。図13(b)のリサージュ波形は、基本アシスト指令電流から操舵角に比例した反力指令電流を減算した結果を示す。図13(b)によれば、操舵角に対する操舵トルクの傾きが大きく、操舵反力感が改善されていることがわかる。ただし、操舵角に比例した反力指令電流を用いた場合には、この場合の反力指令電流の位相と路面反力トルクの位相とが一致しないため、リサージュ波形のヒステリシス幅が狭くなりすぎており、操舵フィーリングが悪くなる。
図13(c)のリサージュ波形は、タイヤ横力FyFと同位相であるMF+MS1に比例した反力指令電流を、基本アシスト指令電流から減算して求めた指令電流によってモータ4を駆動した結果である。図13(d)のリサージュ波形は、路面反力トルクMR(=MF+MS1+MS2)に比例した反力指令電流を、基本アシスト指令電流から減算して求めた指令電流によってモータ4を駆動した結果である。
図13(c),(d)に示すリサージュ波形では、原点付近での操舵角に対する操舵トルクの傾きが図13(b)と同レベルまで大きくなり、操舵反力感が改善されていることがわかる。また、図13(c),(d)のリサージュ波形のヒステリシス幅が、図13(a)のリサージュ波形よりも狭く、図13(b)のリサージュ波形よりも広がっている。このことから、適度な摩擦感となっており、自然な操舵フィーリングが得られていることがわかる。
ここで、0.2Hz操舵では、タイヤ横力FyFと同位相であるMF+MS1の位相及びゲインが、路面反力トルクMRの位相及びゲインとほぼ同等である。このため、MF+MS1でも、路面反力トルクが擬似的に増加し、マニュアルステアに近い自然な操舵フィーリングを実現することができる。
次に、車速が40km/hの場合の2Hz正弦波操舵(高周波操舵)の結果を図14に示す。2Hz正弦波操舵は、比較的急なレーンチェンジや、同一レーン内で片側により過ぎたときにレーンの中心付近に復帰する際に行われる操舵に相当する。なお、この2Hz正弦波操舵は、0.2Hz正弦波操舵ほどではないものの、比較的頻繁に行われる操舵パターンである。また、図14(a)〜(d)のそれぞれの制御仕様は、図13(a)〜(d)のそれぞれの制御仕様と同一である。
図14(a)のリサージュ波形は、操舵トルク及び車速に基づいて、運転者の操舵をアシストした結果である。図14(a)によれば、リサージュ波形のヒステリシス幅が大きいことから摩擦感が大きいことがわかる。また、操舵角に対する操舵トルクの傾きが小さいことから操舵反力感が不足していることがわかる。さらに、切り返し後の操舵トルクがほぼ0であることから、操舵ハンドル位置を中心位置に戻す反力トルクが不足していることがわかる。
図14(b)のリサージュ波形は、基本アシスト指令電流から操舵角に比例した反力指令電流を減算した結果である。図14(b)によれば、切り返し後の操舵トルクがほぼ0となることがわかる。図14(c)のリサージュ波形は、タイヤ横力FyFと同位相であるMF+MS1に比例した反力指令電流を、基本アシスト指令電流から減算して求めた指令電流によってモータ4を駆動した結果である。
ここで、図14(c)のリサージュ波形では、MF+MS1の位相が実際の路面反力トルクの位相とは異なる。このため、操舵角が0度付近で、ヒステリシス幅が極端に細くなっている。また、切り返し後の操舵トルクがほぼ0となっている。このように、図14(b),(c)に示す場合の制御仕様では、リサージュ波形が滑らかでなく、非円滑的な操舵反力感になってしまうという課題がある。
図14(d)は、路面反力トルクMR(=MF+MS1+MS2)に比例した反力指令電流を、基本アシスト指令電流から減算して求めた指令電流によってモータ4を駆動した結果である。図14(d)によれば、0度付近の操舵角に対する操舵トルクの変化率が増加しており、適切な操舵反力感が実現できていることがわかる。また、切り返し後の操舵トルクが0付近になっておらず、滑らかなリサージュ波形となっている。さらに、適切なヒステリシス幅となっており摩擦感が低減されている。
以上のように、実施の形態1によれば、操舵制御装置本体50が、操舵角から操舵輪6A,6BのセルフアライニングトルクMSまでの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタにてフィルタ処理し、そのフィルタ処理結果に基づいて、モータ4の駆動トルクを設定する。この構成により、設計者が得ようとする制御効果を得られやすく、より自然な操舵フィーリングを実現することができる。
また、フィルタの所定の周波数特性には、タイヤの捩りトルクMS2の特性が含まれている。この構成により、操舵制御装置本体50が実際の路面反力トルクの位相と同位相となるように路面反力トルクMRを算出することから、従来装置よりも、路面反力トルクMRの算出精度を向上させることができる。
これに加えて、この算出した路面反力トルクMRを用いてモータ4の駆動トルクを補正することにより、タイヤの捩りトルクMS2を考慮していない従来装置に比べて、路面反力トルクMRを精度良く擬似的に増加することができる。特に、運転者が急なレーンチェンジ等の比較的早い操舵を行った場合にも、マニュアルステアに近く違和感のない自然な操舵フィーリングを実現することができる。
さらに、操舵制御装置本体50が、操舵角からニューマチックトレール起因トルクMS1までの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタを用いて、操舵角信号をフィルタ処理し、そのフィルタ処理結果に基づいて、モータ4の駆動トルクを補正する。この構成により、違和感のない自然な操舵フィーリングを達成することができるとともに、微妙な操舵フィーリングの最適化が容易に実現できる。
なお、ある特定車速の操舵フィーリングを改善したい場合には、その特定車速に限定するように、式(1)〜(13)に示す車両モデルを設計すればよい。この場合、演算負荷や、演算用のメモリ容量を軽減することが可能になる。
実施の形態2.
実施の形態1では、路面反力トルク演算部52が、路面反力トルクMRに換算ゲインK1を乗じて、反力指令電流を算出した。これに対して、実施の形態2では、路面反力トルク演算部52が、キャスタートレール起因トルクMFとセルフアライニングトルクMSとのそれぞれに換算ゲインK1,K2を乗じて、それらの和を求めることにより、反力指令電流IRを算出する。
実施の形態2の操舵制御装置本体50の構成の概要は、実施の形態1の操舵制御装置本体50と同様である。実施の形態2の操舵制御装置本体50の路面反力トルク演算部52及び反力指令電流演算部53の処理内容の一部が、実施の形態1の路面反力トルク演算部52及び反力指令電流演算部53とは異なっている。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
実施の形態2の路面反力トルク演算部52は、車速信号及び操舵角信号を取り込む。また、路面反力トルク演算部52は、車速信号及び操舵角信号と、式(1)〜(13)に示す車両モデルとを用いて、キャスタートレール起因トルクMF、及びセルフアライニングトルクMSをそれぞれ算出する。
実施の形態2の操舵制御装置本体50には、実施の形態1の図10に示すように、所定のゲインとしての換算ゲインK1,K2についての換算ゲインマップが予め登録されている。換算ゲインK1,K2は、キャスタートレール起因トルクMF及びセルフアライニングトルクMSのそれぞれを反力指令電流へ変換するための値である。また、換算ゲインK1,K2は、実施の形態1の換算ゲインK1と同様に、図10に示すように、車速に対して異なる値が予め設定されている。
反力指令電流演算部53は、反力指令電流IRを算出する際に、換算ゲインマップと車速とを用いて、換算ゲインK1,K2を設定する。また、反力指令電流演算部53は、路面反力トルク演算部52によって算出されたキャスタートレール起因トルクMF及びセルフアライニングトルクMSに、それぞれ換算ゲインK1,K2を乗じて、これらの和を求めることにより、反力指令電流IRを算出する。
具体的に、車速における0km/hを含む極低速域では、操舵トルクの低減が行うことが主な目的なので、反力指令電流を0とすれば、操舵トルクを軽くして、操作性重視の操舵フィーリングとなる。低速域では、操舵角に対する操舵トルクの傾きが元来小さいため、換算ゲインK1,K2を大きく設定すれば、操舵フィーリングを向上できる。
また、高速域では、操舵角に対する操舵トルクの傾きが元来大きいため、換算ゲインK1,K2を低速域よりも小さく設定すれば、操舵角に対する操舵トルクの傾きを適切な範囲で増加させ、反力感(いわゆるオンセンター感)を改善しながらも適切な操作性を得ることができる。このように、K1,K2を車速に応じて可変とすることで、全車速域で操舵フィーリングを改善させることができる。なお、換算ゲインK1,K2には、それぞれ異なる値を設定することが可能である。
次に、操舵制御装置本体50には、図15に示すように、車速に対する制限値についてのマップ値(制限値設定マップ)が予め登録されている。反力指令電流演算部53は、車速に応じて、制限値を設定する。また、反力指令電流演算部53は、反力指令電流IRを算出した後に、反力指令電流IRの大きさが、その設定した制限値以内となるように制限する。
このように反力指令電流IRの大きさを制限することにより、大舵角で路面反力トルクが十分発生しているときの反力指令電流IRの増大による操舵トルクの増加を抑制できる。また、制限値を車速に応じて異なる値に設定することにより、各車速で適切な制限値を設定することができる。例えば、高速域で制限値を小さく設定することで、操舵ハンドルが中立点付近の反力感だけを改善させるように調整することが可能になる。
次に、ニューマチックトレール起因トルクMS1と、タイヤの捩りトルクMS2との関係について説明する。ニューマチックトレール起因トルクMS1と、タイヤの捩りトルクMS2との関係は、式(1)〜(13)により、次の式(15)に示すような関係がある。また、次の式(16)に示す前輪横滑り角βfとタイヤの捩りトルクMS2との関係は、次の式(17)に示すような関係がある。ただし、式(15),(17)におけるsは、ラプラス演算子である。
Figure 2011101979
この式(15)によれば、タイヤの捩りトルクMS2は、ニューマチックトレール起因トルクMS1に対する微分特性が生じる。このため、ニューマチックトレール起因トルクMS1に比べて、タイヤの捩りトルクMS2は、ノイズが大きくなる傾向がある。よって、路面反力トルク演算部52は、例えば、次の式(18)に示すようなローパスフィルタ処理を捩りトルクMS2に施してもよい。ただし、式(18)におけるsは、ラプラス演算子である。
Figure 2011101979
ここで、ローパスフィルタの時定数T2は、人間の操舵周波数限界である5Hz以上で、かつ操舵フィーリングに影響する周波数帯域以上に予め設定されている。上限は、路面反力トルク演算部52の演算周期に対するナイキスト周波数に予め設定されている。これにより、タイヤの捩りトルクMS2に生じる操舵周波数以上のノイズを低減でき、ノイズによる操舵フィーリングの低下を抑制できる。
次に、動作について説明する。図16は、この発明の実施の形態2による指令電流演算系60の動作を示すフローチャートである。図16において、指令電流演算系60は、記憶している車速、操舵トルク及び操舵角を読み込む(ステップS201)。この後に、指令電流演算系60は、アシストマップと、読み込んだ車速及び操舵トルクとを用いて、基本アシスト指令電流を算出する(ステップS202)。
また、指令電流演算系60は、読み込んだ車速及び操舵角と、先の式(1)〜(13)に示す車両モデルとを用いて、キャスタートレール起因トルクMF及びセルフアライニングトルクMSを算出する(ステップS203)。この後に、指令電流演算系60は、予め設定された換算ゲインマップ(図10参照)と車速とを用いて、換算ゲインK1,K2を設定する(ステップS204)。
そして、指令電流演算系60は、次の式(19)に示すように、換算ゲインK1を乗じたキャスタートレール起因トルクMFと、換算ゲインK2を乗じたセルフアライニングトルクMSとの和を求めて、反力指令電流IRを算出する(ステップS205)。
Figure 2011101979
この後に、指令電流演算系60は、算出した反力指令電流IRを制限値以内になるように制限する(ステップS206)。そして、指令電流演算系60は、基本アシスト指令電流から反力指令電流IRを減算して、指令電流を算出する(ステップS207)。この算出された指令電流の情報は、電流制御部55に送られ、電流制御部55によって、指令電流に応じた大きさの電流がモータ4に流れるように制御される。そして、指令電流演算系60は、ステップS201〜S206の処理を繰り返し実行する。
次に、実施の形態2の操舵制御装置本体50による制御効果について説明する。図17は、この発明の実施の形態2による操舵制御装置本体50の効果を説明するための説明図である。図17(a)のリサージュ波形は、セルフアライニングトルクMSに比例した反力指令電流を、基本アシスト指令電流から減算して求めた指令電流によってモータ4を駆動した場合の40km/hの0.2Hz正弦波操舵の結果である。
図17(a)によれば、操舵角が原点付近での操舵角に対する操舵トルクの傾きが図13(b)と同レベルまで大きくなり、反力感が改善されていることがわかる。また、図17(a)のリサージュ波形のヒステリシス幅が、図13(a)のリサージュ波形よりも狭く、かつ図13(b)のリサージュ波形よりも広がっている。このことから、適度な摩擦感が得られており、より自然な操舵フィーリングが得られていることがわかる。
また、図17(b)のリサージュ波形は、セルフアライニングトルクMSに比例した反力指令電流を、基本アシスト指令電流から減算して求めた指令電流によってモータ4を駆動した場合の2Hz正弦波操舵の結果である。図17(b)によれば、0度付近の操舵角に対する操舵トルクの変化率が増加しており、より適切な反力感を実現できていることがわかる。また、切り返し後の操舵トルクが0付近になっておらず、滑らかなリサージュ波形が得られていることがわかる。さらに、適切なヒステリシス幅となっており摩擦感を低減できていることがわかる。
先の実施の形態1における図11に示すように、キャスタートレール起因トルクMFよりもセルフアライニングトルクMSのゲインが大きく、セルフアライニングトルクMSの方が路面反力トルクMRに占める割合が高い。このため、セルフアライニングトルクMSに基づいて反力指令電流IRを算出しても、路面反力トルクMRに基づいて反力指令電流IRを算出した結果と同等のリサージュ波形を得ることが可能であり、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
上記のような実施の形態2によれば、従来の電動パワーステアリング装置よりも実際に近い路面反力トルクMRを算出し、その算出したセルフアライニングトルクMSに基づいて、モータ4に電流を付与することが可能になる。この結果、制御設計者が得ようとするマニュアルステアの操舵特性を強調できる。また、低周波操舵領域から高周波操舵領域において違和感のない自然な操舵フィーリングを実現することができる。
さらに、指令電流演算系60が、換算ゲインK1を乗じたキャスタートレール起因トルクMFと、換算ゲインK2を乗じたセルフアライニングトルクMSとの和を求めて、反力指令電流IRを算出する。この構成により、擬似的に増加させる路面反力トルクに占めるキャスタートレール起因トルクMFとセルフアライニングトルクMSとの割合を調整することができる。つまり、リサージュ波形における原点付近での操舵角に対する操舵トルクの傾き(操舵反力感)と、ヒステリシス幅(摩擦感)とを独立して調整することができる。
ここで、実施の形態1では、路面反力トルクMRに基づいた反力指令電流によって、マニュアルステアに近く違和感のない自然な操舵フィーリングが実現された。しかしながら、例えば、高周波操舵において、操舵反力感をそのまま強調しつつ、リサージュ波形のヒステリシス幅を若干細くして摩擦感を調整したい等、運転者の好みに応じてフィーリングを細かく調整したい場合がある。
この場合、K1をK2よりも大きく設定することで、リサージュ波形のヒステリシス幅を若干細くすることが可能になる。この結果、マニュアルステアに近く違和感のない自然な操舵フィーリングを実現しつつ、微妙な操舵フィーリングの最適化を容易に実現することができる。
また、換算ゲインK1を0とすれば、セルフアライニングトルクMSによる反力感のみを増加させる調整ができる。これにより、セルフアライニングトルクMSが作用するマニュアルステア感を強調することができる。
なお、実施の形態2では、反力指令電流演算部53において、式(19)のように換算ゲインK1,K2をトルクMF,MSに乗じることにより、反力指令電流IRを求めた。しかしながら、この例に限定するものではなく、キャスタートレール起因トルクMF、セルフアライニングトルクMS又は路面反力トルクMRと、車速とに対するマップ値として、反力指令電流IRを指令電流演算系60に予め登録してもよい。
実施の形態3.
実施の形態1,2では、アシスト指令電流演算部51が、車速及び操舵トルクに基づいて基本アシスト指令電流を算出した。これに対して、実施の形態3では、実施の形態1における操舵トルクセンサ11が省略され、アシスト指令電流演算部51が、路面反力トルク演算部52によって算出された路面反力トルクMRと、車速とに基づいて、基本アシスト指令電流を算出する。
図18は、この発明の実施の形態3による電動パワーステアリング装置を示す構成図である。図18において、実施の形態3の電動パワーステアリング装置100の構成の概要は、実施の形態1の電動パワーステアリング装置100の構成と同様である。また、実施の形態3の電動パワーステアリング装置100の構成は、実施の形態1における操舵トルクセンサ11が省略されている点が実施の形態1の電動パワーステアリング装置100とは異なる。
図19は、図18の操舵制御装置本体50を示すブロック図である。図19において、実施の形態3の操舵制御装置本体50の構成の概要は、実施の形態1の操舵制御装置本体50の構成と同様である。また、実施の形態3の操舵制御装置本体50では、アシスト指令電流演算部51が、操舵トルクセンサ11からの操舵トルク信号に代えて、路面反力トルク演算部52からの路面反力トルクの算出結果を受ける点が実施の形態1の操舵制御装置本体50とは異なる。
アシスト指令電流演算部51は、路面反力トルク演算部52によって算出された路面反力トルクMRと、車速とに基づいて、基本アシスト指令電流を算出する。ここで、実施の形態3の操舵制御装置本体50には、例えば、車速と路面反力トルクとに対する基本アシスト指令電流の値がアシストマップとして予め記憶されている。アシスト指令電流演算部51は、そのアシストマップを用いて、車速と路面反力トルクとに対応する基本アシスト指令電流を算出する。他の構成及び動作は、実施の形態1と同様である。
以上のように、実施の形態3によれば、ステアリング軸2に作用する路面反力トルクMRに、タイヤの捩りトルクMS2も含まれる。このため、操舵トルクセンサ11を省略した構成であっても、タイヤ自体が捩れることより発生する操舵トルク変化に対して、適切なアシスト制御を実行することができる。
なお、実施の形態3において、キャスタートレール、ニューマチックトレール又はコーナリングパワーが小さい車両に適用する場合には、アシスト指令電流演算部51を省略してもよい。この場合、反力指令電流演算部53によって算出された反力指令電流をモータ4の指令電流とすればよい。これにより、マニュアル操舵フィーリングを維持し、操舵反力トルクを大きくすることができる。
また、この発明は、ステアバイワイヤシステムのように、操舵ハンドルと操舵輪とが機械的に非連結状態であり、路面反力トルクが操舵ハンドルまで伝達されないシステムを採用したステアリング装置にも適用できる。この場合、反力指令電流演算部53によって算出された反力指令電流を、操舵ハンドル側に取り付けたモータの指令電流とすればよい。これにより、従来装置よりも実際の路面反力トルクに近い操舵反力トルクを運転者に付与することができ、マニュアル操舵フィーリングを再現することができる。この結果、ステアバイワイヤシステムを採用したステアリング装置であっても、操舵フィーリングを向上させることができる。
実施の形態4.
実施の形態1では、反力指令電流演算部53が、路面反力トルクMR及び車速を用いて反力指令電流IRを算出した。これに対して、実施の形態4では、反力指令電流演算部53が、路面反力トルクMR及び車速を用いて、反力指令電流IRを算出し、操舵トルクを用いて反力指令電流IRを補正する。
また、実施の形態4では、反力指令電流演算部53の内部処理の一部が実施の形態1,2の反力指令電流演算部53と異なっており、ここでは、実施の形態1,2との違いを中心に説明する。図20は、この発明の実施の形態4による操舵制御装置本体50を示すブロック図である。図21は、図20の反力指令電流演算部53による反力指令電流についての補正処理を説明するための説明図である。
図20,21において、実施の形態4の反力指令電流演算部53は、実施の形態1又は2と同様に、反力指令電流IRを算出する。また、反力指令電流演算部53は、絶対値算出部53aと、補正ゲイン設定部53bと、乗算部53cとを有している。絶対値算出部53aは、操舵トルクセンサ11からの操舵トルク信号を受けて、操舵トルクの絶対値を算出する。
補正ゲイン設定部53bには、操舵トルクに対する補正ゲインのマップ値である補正ゲインマップが予め登録されている。この補正ゲインマップは、操舵トルクの増加に対して、補正ゲインが減少するように登録されている。補正ゲイン設定部53bは、絶対値算出部53aによって算出された操舵トルクの絶対値に対応する補正ゲインを補正ゲインマップに基づいて設定する。乗算部53cは、反力指令電流演算部53が実施の形態1又は2と同様に算出した反力指令電流IRに対して、操舵トルクによって設定される補正ゲインを乗じて補正する。他の構成及び動作は、実施の形態1又は2と同様である。
以上のように、実施の形態4によれば、補正ゲインマップが、操舵トルクの増加に対して、補正ゲインが減少するように登録されている。これにより、操舵トルクが十分大きく、路面反力トルク付与を必要としない領域において、反力指令電流を低減させ、操舵トルクの増加を抑制できる。また、路面摩擦係数が小さい場合には、操舵トルクも小さくなるため、補正ゲインは減少せず、付与される路面反力トルクを維持できる。
なお、実施の形態4では、操舵トルクに対応付けて補正ゲインが補正ゲイン設定部53bに登録されていた。しかしながら、この例に限定するものではなく、反力指令電流演算部53が操舵角信号から操舵速度を算出可能に構成し、その操舵速度に応じた操舵速度対応の補正ゲインを補正ゲイン設定部53bに予め登録してもよい。この場合、例えば、操舵速度が大きくなるにつれて、補正ゲインが小さくするように設定すれば、運転者が大舵角を短時間で操舵しなければならない状況では、反力指令電流が低減し反力感が減少するが、小さな操舵トルクで操舵することができる。
また、操舵角に対応する補正ゲインを補正ゲイン設定部53bに予め登録してもよい。この場合、左右操舵で補正ゲインを異なる値に設定すれば、元々車両が持っている路面反力トルク特性の左右差を抑制することができる。また、左右の操舵方向に関しては、操舵トルクの符号(+・−)で判定することも可能であり、操舵トルクの符号で異なる補正ゲインを設定してもよい。
実施の形態5.
実施の形態5では、路面反力トルク演算部52が、車重(車両重量)又は路面摩擦係数に基づいて、先の式(1)〜(13)に示す車両モデルを補正する。
実施の形態5の操舵制御装置本体50の構成の概要は、実施の形態1の操舵制御装置本体50の構成の概要と同様である。また、実施の形態5の操舵制御装置本体50では、車重センサ13及び路面摩擦係数センサ14が接続されている点と、路面反力トルク演算部52の内部処理とが、実施の形態1の操舵制御装置本体50とは異なる。ここでは、実施の形態1との違いを中心に説明する。
図22は、この発明の実施の形態5による操舵制御装置本体50を示すブロック図である。図22において、車重取得手段としての車重センサ13は、車重mを検出し又は推定し、車重mに応じた車重信号を生成する。路面摩擦係数取得手段としての路面摩擦係数センサ14は、路面摩擦係数、又はそれに相当する物理量を検出し、もしくは推定し、路面摩擦係数信号を生成する。
ここで、式(1)〜(13)に示す車両モデルの演算式には、車重mがパラメータ(変数)として含まれている。このため、路面反力トルク演算部52は、車重センサ13からの車重信号を用いて車重mの変化を監視し、その車重mに基づいて、車両モデルの特性を変更する。また、車重mの変化は、乗員や積載物や燃料の重量に起因する変化が主であるため、車重mに基づいて、式(1)〜(13)に示す車両モデルのバネ上質量mSを変更してもよい。即ち、実施の形態1で固定値としていた車重mやバネ上質量mSを、実施の形態5では変数とする。
また、前後輪のコーナリングパワーKf,Krは、車重や路面摩擦係数に応じて変化する。このため、路面反力トルク演算部52は、車重や路面摩擦係数に基づいて車両モデルのコーナリングパワーKf,Krを変更する。例えば、車重の増大に応じて、車両モデルのコーナリングパワーKf,Krを増加させるように設定してもよい。さらに、路面摩擦係数が低く、滑りやすい路面では、車両モデルのコーナリングパワーKf,Krが小さくなるように設定してもよい。
以上のように、実施の形態5によれば、車重が大きく変化した場合や、滑りやすい路面を走行した場合にも対応して、操舵角からセルフアライニングトルクMSを含めて、より実際に近い路面反力トルクMRを算出することができる。この結果、車重や路面変化に対応した路面反力トルクMRを擬似的に増やすことができ、より自然な操舵フィーリングを実現することができる。
なお、実施の形態5では、車重及び路面摩擦係数の両方に基づいて、車両モデルのコーナリングパワーKf,Krを変化させた。しかしながら、この例に限定するものではなく、車重及び路面摩擦係数のいずれか一方のみに基づいて車両モデルのコーナリングパワーKf,Krを変化させてもよい。
また、車両モデルを含むフィルタについて、車両の車速、操舵トルク、操舵角、車重、路面摩擦係数、操舵速度及び操舵方向のうちの少なくともいずれか1つの変化に対応して変化するようにフィルタを設定してもよい。これにより、車速や操舵状況に応じて、適切で違和感のない自然な操舵フィーリングを実現することができる。
さらに、実施の形態1〜5では、セルフアライニングトルクMSを算出する際に、式(1)〜(13)に示す車両モデルを用いた。しかしながら、この例に限定するものではない。例えば、式(1)〜(13)に示す車両モデルを用いずに、計測した操舵角と計測したセルフアライニングトルクとから、予め登録された車両モデルを同定し、その同定した車両モデルを用いて反力指令電流を算出しても、実施の形態1〜5と同様の効果を得ることができる。
また、実施の形態1〜5では、操舵制御装置本体50が操舵角センサ10を介して、操舵角の変化を監視した。ここで、モータ4の回転角度や、操舵輪6A,6Bの回転角度(舵角)は、操舵角に応じて変化する物理量である。従って、操舵制御装置本体50が、操舵角センサ10を介さずに、(他のセンサを介して)これらの物理量の変化を監視することによって、操舵角の変化を監視してもよい。
さらに、実施の形態1〜5では、反力指令電流及び基本アシスト指令電流に基づいて、モータ4が発生するアシストトルクが算出された。しかしながら、この例に限定するものではなく、実施の形態1〜5におけるアシストトルクを、式(1)〜(13)に示す車両モデルを用いて算出されたセルフアライニングトルクMS、又は路面反力トルクMRに基づく種々のモータ発生トルクに置き換えてもよい。

Claims (6)

  1. 動力を操舵系に付与するモータの駆動を制御する操舵制御装置であって、
    前記操舵系の操舵角に応じた操舵角信号を生成する操舵角検出手段から受けた操舵角信号を、前記操舵角から、前記操舵系の操舵輪のセルフアライニングトルクまでの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタを用いてフィルタ処理し、そのフィルタ処理結果に基づいて、前記モータの駆動トルクを設定する操舵制御装置本体
    を備える操舵制御装置。
  2. 前記フィルタの所定の周波数特性には、前記操舵輪のタイヤ自体が弾性変形によって捩れることより発生し前記操舵系に作用するトルクであるタイヤの捩りトルクの特性が含まれている
    請求項1記載の操舵制御装置。
  3. 前記操舵制御装置本体は、前記操舵角から、キャスタートレールとタイヤ横力とにより発生し前記操舵系に作用するトルクであるキャスタートレール起因トルクまでの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタを用いて、前記操舵角信号をフィルタ処理し、そのフィルタ処理結果に基づいて、前記駆動トルクを補正する
    請求項1又は請求項2に記載の操舵制御装置。
  4. 前記操舵制御装置本体は、
    前記操舵角から、前記操舵輪のセルフアライニングトルクまでの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタを用いて、前記操舵角信号をフィルタ処理し、
    前記操舵角から、キャスタートレールとタイヤ横力とにより発生し前記操舵系に作用するトルクであるキャスタートレール起因トルクまでの車両特性を表現した所定の周波数特性を含むフィルタを用いて、前記操舵角信号をフィルタ処理し、
    これらのフィルタ処理結果のそれぞれに所定のゲインを乗じて、そのゲインを乗じた結果に基づいて、前記駆動トルクを補正する
    請求項1又は請求項2に記載の操舵制御装置。
  5. 前記操舵制御装置本体は、
    運転者から前記操舵系に加えられる操舵トルクに応じた操舵トルク信号を生成する操舵トルク検出手段からの前記操舵トルク信号に基づいて、基本アシストトルクを算出し、
    その算出した基本アシストトルクを用いて、前記駆動トルクを補正する
    請求項1又は請求項2に記載の操舵制御装置。
  6. 前記フィルタの特性は、
    前記車両の車速と、
    運転者から前記操舵系に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段によって検出された操舵トルクと、
    前記操舵角検出手段によって検出された操舵角と、
    車重を検出あるいは推定する車重取得手段によって取得された車重と、
    路面摩擦係数を検出あるいは推定する路面摩擦係数取得手段によって取得された路面摩擦係数と、
    前記操舵角に基づく操舵速度と、
    前記操舵角及び前記操舵トルクのいずれか一方に基づく操舵方向と
    のうちの少なくともいずれか1つの変化に対応して変化する
    請求項1又は請求項2に記載の操舵制御装置。
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