JP4314489B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、運転者によって回動操作される操舵ハンドルと、同操舵ハンドルと一体的に回動する操舵軸と、同操舵軸と車両の転舵輪とを互いに連結して前記操舵軸の回動操作に応じて前記車両の転舵輪を転舵する転舵ユニットと、前記転舵輪の転舵動作に対して所定のトルクを付与する電動モータとを備えた車両の操舵装置に関する。
近年、車両の走行環境、特に、路面反力が小さい雪路や氷路などを走行する場合であっても、常に適切な手応えを操舵ハンドルに付与することが可能な車両の操舵装置の開発は、盛んに行われている。そして、例えば、下記特許文献1には、走行環境に応じて操舵ハンドルに適切な反力トルクを与える電動式パワーステアリング制御装置が示されている。この電動式パワーステアリング制御装置は、操舵ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサと、操舵系の反力トルクを検出する反力トルクセンサと、操舵角センサにより検出された操舵角にゲインを乗じて操舵ハンドルの戻し方向の重畳反力トルクを演算する重畳反力トルク演算部とを備えている。そして、操舵系の反力トルクが大きい時には、重畳反力トルクを低減させ、操舵系の反力トルクが小さい時には、重畳反力トルクを増大するように前記ゲインを制御するようになっている。
しかしながら、上記従来の電動式パワーステアリング制御装置においては、運転者が適切な操舵をした場合に、小さな反力トルクに基づいて、操舵ハンドルに適切な手応えすなわち重畳反力トルクを付与するものである。このため、例えば、路面からの反力が小さい走行環境において、運転者が無理な操舵や不用意に舵を切りすぎる操舵をした場合には、転舵輪の横滑り角が大きくなって同輪のセルフアライニングトルクが急減するために、路面からの小さな反力トルク自体が得られなくなる可能性がある。このように、小さな反力トルクが得られない状況では、適切な重畳反力トルクを形成することが難しくなり、この結果、運転中に操舵ハンドルからの手応えが得られず、運転者は、思うように車両を運転できない場合がある。
この問題に対して、例えば、下記特許文献2には、運転者の操舵に抗する操舵反力を制御する操舵反力制御装置が示されている。この操舵反力制御装置は、操舵輪(転舵輪)を転向可能な操舵手段(例えば、電動パワーステアリング装置)と、この操作手段に対して操作力を付加可能なアクチュエータと、操舵輪(転舵輪)の路面に対する横滑り角を検出する横滑り角検出手段とを備えている。そして、横滑り角の発生に伴い操作手段に操舵反力を付加すべく、操舵輪(転舵輪)の横滑り角の発生している方向に、かつ、横滑り角が大きくなるに従って操舵反力が大きくなるように、アクチュエータを制御するようになっている。
この操舵反力制御装置によれば、転舵輪の横滑り角を検出することにより、同輪の横滑り角が大きいときに発生するセルフアライメントトルクの急減を考慮して、アクチュエータの作動を制御することができる。これにより、セルフアライメントトルクが急減して操舵ハンドルの回動操作に対する手応えが小さくなる走行環境であっても、転舵輪の横滑り角とともに増加する操舵反力を別途発生させて操舵ハンドルに付加することができる。したがって、転舵輪の横滑り角が大きい場合であっても、運転者は、適切な操舵反力を知覚することができる。
特開2002−211427号公報 特開2003−154962号公報
ところで、路面からの反力が小さい雪路や氷路を走行する場合には、現在の転舵輪の向き(転舵方向)を知ることに加えて、車両の旋回挙動を安定化させる転舵方向を知ることが重要となる。この点に関し、上記した各装置によれば、転舵輪の横滑り角が許容範囲内であれば、路面からの反力トルク(操舵反力)を適切に得ることができる。この結果、滑りやすい路面であっても、適切な操舵をしている限り、運転者は、操舵ハンドルに付与される反力トルク(操舵反力)に基づいて現在の転舵輪の向きを知ることができて、車両を運転することができる。しかし、これらのいずれの装置でも、路面反力に基づいて操舵ハンドルに付与される反力トルク(操舵反力)によって、運転者は、現在の転舵輪の転舵方向を知覚するのみであって、車両の旋回挙動を安定化させるための転舵輪の転舵方向を知覚することができない。特に、車両の運転を熟知していない運転者においては、旋回挙動を安定させる転舵輪の転舵方向を確実に知覚できることが重要である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の旋回状態にて作用する車体の横滑り角を考慮して、車両の旋回時における挙動を安定させるための転舵輪の転舵方向を運転者に案内する車両の操舵装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、運転者によって回動操作される操舵ハンドルと、同操舵ハンドルと一体的に回動する操舵軸と、同操舵軸と車両の転舵輪とを互いに連結して前記操舵軸の回動操作に応じて前記車両の転舵輪を転舵する転舵ユニットと、前記転舵輪の転舵動作に対して所定のトルクを付与する電動モータとを備えた車両の操舵装置において、車両を直進状態に維持する転舵輪の転舵角を第1の基準点として、前記操舵ハンドルの回動操作に応じて転舵する前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、車両が旋回状態にあるときに発生する車体の横滑り角を検出する横滑り角検出手段と、前記検出した車体の横滑り角に応じて変化し、同車体の横滑り角に起因して車両に発生する横力の前記車両の旋回状態に対する影響を低減して車両を旋回させる転舵角を決定するための第2の基準点を計算する基準点計算手段と、前記転舵角検出手段が前記第1の基準点に基づいて検出した前記転舵輪の転舵角を、前記第2の基準点に基づく転舵角に変換する転舵角変換手段と、前記変換した転舵角と所定の関係にあるトルクであって、同変換した転舵角を前記第2の基準点に一致させる方向に作用する反力トルクを計算する反力トルク計算手段と、前記電動モータを回転駆動させて、前記計算した反力トルクを発生させる駆動制御手段とを備えたことにある。
これによれば、基準点計算手段は、第1の基準点(静的なゼロ点)に対して、横滑り角検出手段により検出された車体の横滑り角に応じて変化する第2の基準点(動的なゼロ点)を計算することができる。ここで、この計算される第2の基準点は、車体に発生した横滑り角に起因して車両の旋回状態に影響を及ぼす横力を低減し、車両が安定して旋回できる転舵角を決定するための基準点である。そして、転舵角変換手段は、転舵角検出手段により第1の基準点に基づいて検出された転舵角を第2の基準点に基づく転舵角に変換(すなわち、転舵角を検出する基準点を変更)することができ、反力トルク計算手段は、この変換された転舵角と所定の関係にある反力トルクを計算することができる。ここで、この反力トルクは、変換した転舵角を第2の基準点に一致させる方向に作用するトルクである。そして、駆動制御手段は、計算した反力トルクが発生するように電動モータを駆動制御することができる。
このように、反力トルクを発生させることによって、転舵輪は第2の基準点に向けて転舵されるとともに、転舵ユニットに連結された操舵軸に一体的に組み付けられた操舵ハンドルは第2の基準点に対応する方向に向けて回動(案内)される。これにより、例えば、路面反力が小さい雪路や氷路などを走行する場合であっても、運転者が確実に知覚可能な反力トルクを発生させることができるとともに、同発生した反力トルクによって運転者が操舵ハンドルを回動操作すべき方向を案内することができる。したがって、特に、車両の運転を熟知していない運転者が、雪路や氷路を走行する場合であっても、旋回状態にある車両の挙動を安定させるための操舵ハンドルの回動操作方向、すなわち、第2の基準点に向けた回動操作方向を極めて容易に判断することができる。これにより、車両の旋回時における挙動を安定させるために、操舵ハンドルの回動操作を適切に修正することができ、車両を極めて容易に旋回走行させることができる。
また、前記基準点計算手段は、前記第2の基準点を、旋回状態にある車両の前後輪に装着されたタイヤと路面との間における摩擦力に基づいて車両の旋回中心方向に作用するコーナリングパワーを用いて計算した係数と、前記検出した車体の横滑り角に応じて非線形に変化する前記タイヤの変形特性を考慮した補正項とを前記検出した車体の横滑り角に対して乗算して計算するとよい。ここで、前記補正項は、例えば、車両の横加速度を検出する横加速度検出手段により検出された車両の横加速度に応じて決定されるとよい。
これらによれば、この第2の基準点の計算においては、車体の横滑り角に対して、車両の旋回中心方向に作用するコーナリングパワーを用いて計算される係数と、車体の横滑り角に応じて非線形に変化するタイヤの変形特性を考慮した補正項とを乗算することによって計算することができる。ここで、補正項は、検出された車両の横加速度に応じて変化させることもできる。これにより、車両の旋回状態すなわち発生した車体の横滑り角に応じて最適な第2の基準点を計算することができ、この第2の基準点に向けて転舵輪および操舵ハンドルが案内されることにより、運転者は、車両を極めて容易にかつより安定して旋回走行させることができる。
また、前記基準点計算手段は、前記第2の基準点を、車両が旋回状態にあるときに発生する横加速度と、車両の旋回に伴って車体に発生したローリングの大きさを表すロール角と、前記車体に発生したローリングに伴う荷重移動量とを考慮して算出した車両の旋回中心方向に作用するコーナリングパワーを用いた係数を前記検出した車体の横滑り角に対して乗算して計算するとよい。これによれば、車両の旋回状態を良好に反映したコーナリングパワーを極めて正確に計算することができ、このコーナリングパワーを用いた係数と検出された横滑り角βとから第2の基準点を計算することができる。したがって、車体に発生した横滑り角に起因して車両の旋回状態に影響を及ぼす横力を低減し、車両が安定して旋回できる転舵角を決定するための第2の基準点を極めて正確に計算することができる。
また、前記変換した転舵角と反力トルクとの間の所定の関係は、前記変換した転舵角の絶対値の増大に応じて、前記反力トルクが増大する関係であるとよい。この場合、前記変換した転舵角と反力トルクとの間の所定の関係は、例えば、前記変換した転舵角の絶対値の変化に対して、前記反力トルクが比例する関係であるとよい。これによれば、変換された転舵角の絶対値が大きい状況、例えば、第1の基準点に基づいて検出された転舵角と第2の基準点との差分が大きい状況において、車両の旋回挙動が乱れた場合には、大きな反力トルクを発生することができる。そして、発生した大きな反力トルクによって、転舵輪が転舵されるとともに、操舵ハンドルの回動方向が案内されるため、運転者は、素早くかつ適切に操舵ハンドルの回動操作を修正することができる。
また、前記所定の関係は、路面反力に関係することなく決定することができる。このため、運転者が操舵ハンドルを操舵しやすいように、言い換えれば、車両の旋回状態をコントロールしやすいように、変換された転舵角の絶対値の大きさに対して反力トルクを増加させることができる。これにより、車両の特性、例えば、スポーティーな特性を有する車両であれば、スポーツ走行時に素早く操舵ハンドルの回動操作が修正できるように、前記所定の関係を、変換された転舵角の絶対値の大きさに対して反力トルクがより大きく増加する関係とすることができる。したがって、運転者は、素早くかつ適切に操舵ハンドルの回動操作を修正することができる。
さらに、変換した転舵角の絶対値の増大に対して反力トルクが増大する関係であれば、例えば、第1の基準点と計算される第2の基準点との差分が小さいとき(すなわち車体の横滑り角が小さいとき)には、反力トルクが微増する関係を採用し、差分が大きいとき(すなわち車体の横滑り角が大きいとき)には、反力トルクが大きく増大する関係を採用することもできる。これにより、通常走行時には、発生する車体の横滑り角が小さいため、小さな反力トルクを発生させることにより、運転者は、違和感を覚えることなく運転することができる。一方、例えば、高速走行時などで、運転者の予期しない大きな車体の横滑り角が生じて車両の旋回挙動が乱れた場合には、より大きな反力トルクを発生させることができるため、運転者は素早く操舵ハンドルの回動操作を修正することができる。
また、本発明の他の特徴は、前記操舵軸が、前記操舵ハンドルと一体的に回動する操舵入力軸と、前記転舵ユニットに連結される転舵出力軸とから構成されており、前記操舵入力軸と前記転舵出力軸とが、例えば、前記操舵入力軸の回転量に対して前記転舵出力軸の回転量を相対的に変更する可変ギア機構によって連結されることにもある。これによれば、反力トルクによって転舵輪が転舵するときすなわち操舵ハンドルが案内されるときに、操舵ハンドルの回動量を小さくして、同ハンドルの回動すべき方向を案内することができ、運転者が覚える違和感を小さくすることができる。
以下、本発明の実施形態に係る車両の操舵装置について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係り車両の操舵装置としての電動パワーステアリング装置を概略的に示している。
この電動パワーステアリング装置は、転舵輪としての左右前輪FW1,FW2を転舵するために、運転者によって回動操作される操舵ハンドル11を備えている。この操舵ハンドル11は、操舵軸12の上端に固定されており、操舵軸12の下端は、転舵ギアユニット20に接続されている。
転舵ギアユニット20は、例えば、ラックアンドピニオン方式を採用したギアユニットであり、操舵軸12の下端に一体的に組み付けられたピニオンギア21の回転がラックバー22に伝達されるようになっている。また、転舵ギアユニット20には、運転者が操舵ハンドル11の回動操作によって入力する操舵トルクtを軽減するトルク(以下、このトルクをアシストトルクTaという)を発生するとともに、操舵トルクtに抗する方向にて略等しいトルク(以下、このトルクを反力トルクTzという)を発生する電動モータ23が設けられている。そして、この電動モータ23は、発生したアシストトルクTaと反力トルクTzとをラックバー22に対して伝達可能に組み付けられている。この構成により、操舵ハンドル11から操舵軸12に入力された操舵トルクtがピニオンギア21を介してラックバー22に伝達されるとともに、電動モータ23が発生したアシストトルクTaと反力トルクTzとがラックバー22に伝達される。このように伝達された各トルクに応じて、ラックバー22は軸線方向に変位し、ラックバー22の両端に接続された左右前輪FW1,FW2が左右に転舵されるようになっている。
次に、電動モータ23の作動を制御する電気制御装置について説明する。電気制御装置は、車速センサ31、操舵トルクセンサ32、転舵角センサ33、横加速度センサ34および横滑り角センサ35を備えている。車速センサ31は、車両の車速Vを検出して出力する。操舵トルクセンサ32は、操舵軸12に組み付けられていて、同軸12に入力されたトルクTを検出して出力する。なお、トルクTは、車両の前進方向に対して、操舵軸12を左方向に回転させるトルク値を正の値で表し、右方向に回転させるトルク値を負の値で表す。
転舵角センサ33は、転舵ギアユニット20に組み付けられていて、ラックバー22の軸線方向への変位量を検出し、同検出した変位量に対応する左右前輪FW1,FW2の転舵角δを出力する。ここで、転舵角センサ33は、左右前輪FW1,FW2が転舵されておらず、車両が直進状態となるラックバー22の中立位置(以下、この中立位置を静的なゼロ点という)を基準とし、同静的なゼロ点に対応する転舵角δを「0」として出力する。そして、転舵角センサ33は、車両の前進方向に対して、静的なゼロ点から右方向へのラックバー22の変位量を検出するとすなわち左右前輪FW1,FW2が左方向に転舵されると転舵角δを正の値として出力し、左方向へのラックバー22の変位量を検出するとすなわち左右前輪FW1,FW2が右方向に転舵されると転舵角δを負の値として出力する。横加速度センサ34は、車両に発生した横加速度Gを検出して出力するものである。車両の前進方向に対して、左方向の横加速度を正の値として出力し、右方向の横加速度を負の値として出力する。
横滑り角センサ35は、旋回状態にある車両の車体に発生した横滑り角βを検出して出力する。ただし、車体の横滑り角βは、車両の前進方向に対して、左方向に生じる横滑り角を負の値で表し、右方向に生じる横滑り角を正の値で表す。ここで、車体の横滑り角βの検出については、種々の方法が考えられるが、例えば、以下に示すように検出するとよい。すなわち、今、車両の前後方向の車速を車速Vxとし、車両の左右方向の車速を車速Vyとすれば、車体の横滑り角βは、下記式1に従って計算して検出することができる。
β=tan−1(Vy/Vx) …式1
なお、車速Vxおよび車速Vyは、例えば、光または音響を利用した検出器を用いて検出するとよい。
これらのセンサ31〜35は、電子制御ユニット36に接続されている。電子制御ユニット36は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするものであり、各センサ31〜35の検出値を用いてプログラムを実行することによって、転舵ギアユニット20の電動モータ23の駆動を制御する。このため、電子制御ユニット36の出力側には、電動モータ23を駆動するための駆動回路37が接続されている。この駆動回路37内には、電動モータ23に流れる駆動電流を検出するための電流検出器37aが設けられている。そして、電流検出器37aによって検出された駆動電流は、電動モータ23の駆動を制御するために、電子制御ユニット36にフィードバックされる。
次に、上記のように構成した実施形態に係る電動パワーステアリング装置の動作について詳細に説明する。運転者によって図示しないイグニッションスイッチがオン状態とされると、電子制御ユニット36(より詳しくは、CPU)は、図2に示す反力トルク制御プログラムを所定の短時間ごとに繰り返し実行する。
すなわち、電子制御ユニット36は、反力トルク制御プログラムの実行をステップS10にて開始し、ステップS11にて、車速センサ31、転舵角センサ33、横加速度センサ34および横滑り角センサ35によって検出された各検出値、具体的には、車速V、転舵角δ、横加速度Gおよび車体の横滑り角βを入力する。そして、電子制御ユニット36は、各センサ31,33,34,35からそれぞれの検出値を入力すると、ステップS12に進む。
ステップS12においては、電子制御ユニット36は、前記ステップS11にて入力した車体の横滑り角βの絶対値が予め設定された正の小さな車体の横滑り角βoよりも大きいか否かを判定する。ここで、車体の横滑り角βoは、車体に生じた横滑り角βによって車両の旋回挙動が悪化するか否かを判定するための値である。すなわち、電子制御ユニット36は、車体の横滑り角βが所定の車体の横滑り角βoよりも大きければ、発生した車体の横滑り角βによって悪化した車両の旋回挙動を修正する必要があるため、「Yes」と判定してステップS13に進む。
一方、電子制御ユニット36は、車体の横滑り角βが所定の車体の横滑り角βo以下であれば、車両の旋回挙動を修正する必要がないため、「No」と判定してステップS17に進み、反力トルク制御プログラムの実行を一旦終了する。
この場合には、電子制御ユニット36は、操舵トルクセンサ32によって検出されたトルクT(すなわち、操舵トルクt)に応じて、操舵ハンドル11の回動操作によって入力された操舵トルクtと同一方向にて所定の大きさのアシストトルクTaを電動モータ23に発生させる。ここで、アシストトルクTaは、その大きさが、例えば、検出車速Vが小さくなるに伴って大きくなり、検出車速Vが大きくなるに伴って小さくなるように設定されている。そして、電動モータ23が発生したアシストトルクTaは、ラックバー22に対して伝達される。
これにより、ラックバー22には、運転者によって入力された操舵トルクtに対して電動モータ23の発生したアシストトルクTaが付与されて、左右前輪FW1,FW2を転舵させるために必要な操舵トルクtは大幅に軽減される。したがって、運転者は、操舵ハンドル11を回動操作することによって、左右前輪FW1,FW2を極めて容易に転舵することができる。そして、所定の短時間が経過すると、電子制御ユニット36は、ふたたび、反力トルク制御プログラムの実行をステップS10にて開始する。
ステップS13においては、電子制御ユニット36は、上述した静的なゼロ点に対して、車体に発生した横滑り角βの影響を加味して車両の旋回挙動を安定させるための動的なゼロ点δoを計算する。以下、この動的なゼロ点δoの計算について詳細に説明する。
まず、左右前輪FW1,FW2が、静的なゼロ点を基準として、例えば、転舵角δcに転舵されたときの車両の旋回挙動に対して、車体の横滑り角βが与える影響について説明する。左右前輪FW1,FW2は、運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、転舵ギアユニット20のラックバー22が軸線方向に変位して、転舵角δcに転舵される。これにより、車両は、直進状態から旋回状態に移行し、または、旋回状態を維持する。このように、旋回状態にある車両には、旋回に伴って発生する遠心力と旋回の中心方向に発生する求心力とが作用している。そして、旋回状態にある車両に作用する求心力は、車両の前後輪(より詳しくは、前後輪に装着されたタイヤ)と路面との間にて旋回中心方向に作用する横力(以下、この横力をコーナリングフォースという)により与えられる。
具体的に説明すると、左右前輪FW1,FW2の転舵角δcに基づいて決定される所定の旋回円上を走行する(以下、この走行方向を進行方向という)車両にあっては、タイヤが進行方向に対して横滑りする。そして、タイヤが横滑りすることによって、車両は求心力を得て旋回円上を走行する。このため、旋回状態にある車体においては、進行方向と車体の前後方向との角度差で表される車体の横滑り角βを有することになる。ところで、前後輪は車体に一体的に組み付けられているため、車体が横滑り角βを有する状況においては、前後輪のタイヤは、車両に作用する慣性力の方向に、路面に対して相対的に変位しようとする。
しかしながら、前後輪のタイヤが路面に対して相対的に変位しようとすれば、前後輪のタイヤと路面との間に摩擦力が発生し、この結果、車両は慣性力の作用方向ではなく旋回円上を進行方向に走行する。言い換えれば、この摩擦力に基づいてコーナリングフォースが発生し、この発生したコーナリングフォースによって車両を進行方向へ走行させるための求心力が発生する。そして、発生した左右前輪FW1,FW2(より詳しくは、左右前輪FW1,FW2のタイヤ)のコーナリングフォースが操舵ハンドル11に伝達されることによって、運転者は反力トルクを知覚するとともに、現在の左右前輪FW1,FW2の転舵方向(すなわち転舵角δc)も知覚することができる。
したがって、左右前輪FW1,FW2が転舵角δcに転舵されて旋回状態にある車両の求心力は、前後輪に発生するコーナリングフォース、より詳しくは、単位横滑り角βあたりのコーナリングフォースであるコーナリングパワーを用いた下記式2に従って計算することができる。
M・α=2・Kf・δc+2・(Kf+Kr)・β+ε …式2
ここで、前記式2中のMは車両の質量である。また、前記式2中のαは旋回の中心方向に作用する加速度(以下、この加速度を求心加速度という)であり、下記式3のように表すことができる。
α=V2・(1/R) …式3
ただし、Rは転舵角δcに基づいて決定される車両の旋回半径を表しており、1/Rは旋回円の曲率(所謂、旋回曲率)を表すものである。
ここで、転舵角δcと旋回曲率1/Rとの間には、下記式4に示す関係が成立する。
δc=L・(1+A・V2)・(1/R) …式4
ただし、前記式4中のLは車両のホイールベースを表す予め定められた所定値であり、Aは車両の挙動安定性を表す予め定められた所定値である。そして、前記式4を変形することにより、旋回曲率1/Rは、下記式5により表すことができる。
1/R=δc/(L・(1+A・V2)) …式5
したがって、求心加速度αは、前記式3に対して前記式5を代入することによって、下記式6により表すことができる。
α=(V2/(L・(1+A・V2)))・δc …式6
また、前記式2の右辺において、Kfは左右前輪FW1,FW2に発生するコーナリングパワーを表し、Krは後輪に発生するコーナリングパワーを表す。また、車体の横滑り角βは、上述したように、転舵角δcが正すなわち車両が左方向に旋回していれば右方向に発生するために正の値を有し、転舵角δcが負すなわち車両が右方向に旋回していれば左方向に発生するために負の値を有する。なお、前記式2の右辺において、εは、例えば、車両の旋回時に発生するヨーレートなどに関連して発生する極めて小さな力であるため、無視することができる。したがって、旋回状態にある車両の求心力は、前記式2に代えて、下記式7に示すように表すことができる。
M・α=2・Kf・δc+2・(Kf+Kr)・β …式7
前記式7によれば、車両に発生する求心力M・αは、左右前輪FW1,FW2の転舵角δcに比例する横力(以下、この横力を転舵横力という)と、車体の横滑り角βに比例する横力(以下、この横力をすべり横力という)とを合算して計算される。ところで、すべり横力は、前記式7からも明らかなように、車体に横滑り角βが発生する状況において必然的に発生する横力であって、運転者が操舵ハンドル11を回動操作して直接制御することが難しい横力である。このように、必然的にすべり横力が発生することによって、運転者が操舵ハンドル11の回動操作により見込んだ求心力よりも大きな求心力が車両に作用することになる。
これにより、車両は運転者が見込んだ旋回半径で旋回できず、運転者は、見込んだ旋回半径で車両が旋回するように、操舵ハンドル11を適宜回動操作(以下、この回動操作を修正操舵という)して、転舵角δcを修正する必要がある。すなわち、運転者は、車両の旋回に伴って必然的に発生するであろうすべり横力分だけ求心力M・αが小さくなるように、操舵ハンドル11を修正操舵する必要がある。このように、必然的に発生する車体の横滑り角βは、左右前輪FW1,FW2が転舵角δcに転舵された車両の旋回挙動に対して影響を与える。
したがって、電子制御ユニット36は、ステップS13にて、旋回状態にある車両において必然的に発生したすべり横力(より詳しくは、車体の横滑り角β)の影響を排除して、車両の旋回挙動を安定化させるための動的なゼロ点δoを計算する。
すなわち、上述したように、左右前輪FW1,FW2が転舵角δcに転舵されることによって車体の横滑り角βが発生する状況においては、求心力M・αは、前記式7に従って転舵横力にすべり横力が合算されて(上乗せされて)計算される。言い換えれば、操舵ハンドル11の回動操作に起因して車両を旋回させるために必要な横力は転舵横力であり、すべり横力は不必要な横力となる。したがって、運転者が操舵ハンドル11の回動操作によって見込んだ旋回半径で車両を旋回させるための転舵角を目標転舵角δdとすれば、同転舵角δdによって発生する転舵横力は、前記式7の両辺からすべり横力を減じた下記式8により表すことができる。
2・Kf・δd=M・α−2・(Kf+Kr)・β …式8
これにより、目標転舵角δdは、前記式8を変形することによって得られる下記式9によって表すことができる。
δd=(M/(2・Kf))・α−(1+Kr/Kf)・β …式9
そして、前記式6を用いて前記式9を変形すると、下記式10が成立する。
δd=(M/(2・Kf))・(V2/(L・(1+A・V2)))・δc−(1+Kr/Kf)・β …式10
ここで、前記式10の右辺第1項は、運転者による操舵ハンドル11の回動操作によって入力された転舵角δcに起因する項であるため、同項を運転者によって入力された転舵角δc1として置換すると、前記式10は、下記式11に示すように表すことができる。
δd=δc1−(1+Kr/Kf)・β …式11
この式11によれば、目標転舵角δdは、運転者による操舵ハンドル11の回動操作によって入力された転舵角δc1から車体の横滑り角βに比例する項を減ずることによって決定される。このため、運転者は、上述した修正操舵を行う場合には、前記式9に従って決定される目標転舵角δdとなるように操舵ハンドル11を回動操作することになる。言い換えれば、旋回状態にある車両の車体に生じた横滑り角βの影響を排除して、車両の旋回挙動を安定化させるための左右前輪FW1,FW2の転舵方向は、車体の横滑り角βの発生方向に左右前輪FW1,FW2(すなわち、ラックバー22)を(1+Kr/Kf)・βで表される角度分だけ切り戻した方向となる。
このことは、旋回状態にある車両において、ラックバー22の中立位置(静的なゼロ点)を横滑り角βの発生方向(より具体的には、現在の操舵ハンドル11の切り戻し方向)に(1+Kr/Kf)・βだけ移動させ、この移動させたラックバー22の位置(以下、変更中立位置という)を動的なゼロ点δoとして決定し、この変更中立位置(動的なゼロ点δo)を基準として左右前輪FW1,FW2を転舵することに等しくなる。このため、動的なゼロ点δoは、下記式12のように示すことができる。
δo=−(1+Kr/Kf)・β・N …式12
ここで、前記式12中のNは、車体の横滑り角βの発生に伴い非線形に変化する左右前輪FW1,FW2のタイヤの変形特性を線形として扱うための補正量である。そして、この補正量Nは、例えば、下記式13に示すように、検出される横加速度Gの関数として計算される。
N=(a+b・G2)/(c+d・G2) …式13
ただし、前記式13中のa,b,c,dの値は、車種とタイヤに対応して決定される定数である。なお、補正量Nは、前記式13に従って計算されるものに限らず、車両の特性に対応して予め設定されるものや運転者が適宜変更するものであってもよい。そして、電子制御ユニット36は、前記ステップS11にて入力した横加速度Gおよび横滑り角βを用い、前記式12,13に従って、動的なゼロ点δoを計算する。
このように、動的なゼロ点δoを計算すると、電子制御ユニット36は、ステップS14およびステップS15を実行することにより、左右前輪FW1,FW2を計算した動的なゼロ点δoを基準に転舵させる、言い換えれば、運転者の操舵ハンドル11の回動操作方向を案内するための反力トルクTzを計算する。以下、この反力トルクTzの計算について詳細に説明する。
上述したように、動的なゼロ点δoは、横滑り角βの影響を排除して、旋回状態にある車両の旋回挙動を安定化させる左右前輪FW1,FW2の転舵角の基準点である。すなわち、旋回状態にある車両において、左右前輪FW1,FW2を動的なゼロ点δoを基準に転舵すれば、最も車両の旋回挙動を安定させることができる。このため、車体の横滑り角βの発生により車両の旋回挙動が乱れた状態では、左右前輪FW1,FW2の転舵角を、動的なゼロ点δoを基準にして転舵することにより、車両の旋回挙動を安定させる必要がある。
ここで、車両が左方向に旋回している場合においては、上述したように、車体の横滑り角βは右方向すなわち正の値として生じるため、動的なゼロ点δoは、前記式12に従って負の値となる。また、車両が右方向に旋回している場合には、車体の横滑り角βは左方向すなわち負の値として生じるため、動的なゼロ点δoは、前記式12に従って正の値となる。したがって、計算した動的なゼロ点δoの正負に応じて左右前輪FW1,FW2を転舵するときには、動的なゼロ点δoが負の値であれば左右前輪FW1,FW2が右方向に転舵(切り戻し)され、正の値であれば左右前輪FW1,FW2が左方向に転舵(切り戻し)される。
このため、電子制御ユニット36は、運転者の操舵ハンドル11の回動操作によって転舵された左右前輪FW1,FW2を計算した動的なゼロ点δoを基準に転舵させる(切り戻す)ためのトルク、すなわち、運転者によって入力された操舵トルクtに抗して動的なゼロ点δo方向に操舵ハンドル11を案内するための反力トルクTzを計算する。
反力トルクTzを計算するにあたり、電子制御ユニット36は、まず、ステップS14にて、動的なゼロ点δoを基準としたときの左右前輪FW1,FW2の転舵角δaを下記式14に従って計算する。
δa=δ−δo …式14
ただし、前記式14中のδは、転舵角センサ33によって検出される転舵角、すなわち、静的なゼロ点を基準として検出された転舵角である。
このように、前記式14に従って計算された転舵角δaは、転舵角δの検出基準点を、静的なゼロ点から動的なゼロ点δoに変更して検出したものと等しくなる。言い換えれば、転舵角δaは、静的なゼロ点を基準点として転舵角センサ33が検出した転舵角δを、動的なゼロ点δoを基準点とした転舵角に変換したものとなる。そして、電子制御ユニット36は、ステップS15にて、計算された(変換された)転舵角δaの大きさに対応した反力トルクTzを計算する。
反力トルクTzは、図3に示すように、動的なゼロ点δoにて「0」に設定されるとともに、左右方向への転舵角δaの増大、言い換えれば、転舵角δaの絶対値に比例して増大する変化特性を有している。具体的には、転舵角δaの絶対値が大きい場合、すなわち、検出転舵角δと動的なゼロ点δoとの差分の絶対値が大きい場合には、大きな反力トルクTzが計算される。また、転舵角δaの絶対値が小さい場合、すなわち、検出転舵角δと動的なゼロ点δoとの差分の絶対値が小さい場合には、小さい反力トルクTzが計算される。なお、反力トルクTzは、左右前輪FW1,FW2が転舵し得る(すなわち、ラックバー22が軸線方向に変位し得る)最大転舵角の近傍にて反力トルクTzの最大値を有するように設定されている。
なお、反力トルクTzの変化特性に関し、本実施形態においては、転舵角δaの絶対値に対して比例するとともに、最大転舵角近傍で一定値となる変化特性を採用して実施する。しかしながら、図3にて二点鎖線で示すように、最大転舵角で反力トルクTzの最大値となり、転舵角δaに対して一様に増大する変化特性(例えば、上に凸となる関数曲線など)を採用して実施することも可能である。
ここで、操舵ハンドル11に付与される反力トルクTzについて説明しておく。一般的に、電動パワーステアリング装置においては、ステアリング系に存在する粘性トルク、慣性トルクおよびセルフアライメントトルク(以下、単にSATという)の反力トルク和と、運転者によって入力された操舵トルクtおよびアシストトルクTaの操舵トルク和が等しくなる。言い換えれば、運転者が入力する操舵トルクtが大きくならないように、操舵ハンドル11の回動操作に伴って変化するSATの大きさに応じて、電動モータがアシストトルクTaを発生する。ここで、ステアリング系に存在する粘性トルクとしては、例えば、転舵ギアユニット20に満たされた油の流動抵抗に伴って発生するトルクであり、慣性トルクとしては、例えば、操舵ハンドルの慣性能率に伴って発生するトルクである。
ところで、本実施形態においては、操舵ハンドル11を動的なゼロ点δoを基準として案内するために、電子制御ユニット36が電動モータ23を駆動制御して反力トルクTzを付与する。このため、ステアリング系に存在する反力トルク和は、粘性トルク、慣性トルク、SATおよび反力トルクTzとなる。すなわち、操舵ハンドル11の回動操作に伴って、図3にて一点鎖線で示すように車体の横滑り角β方向を中心に路面反力として必然的に作用するSATと動的なゼロ点δoを中心に作用する反力トルクTzとが、互いに重なって作用するため、反力トルク和が大きくなる。したがって、電子制御ユニット36は、操舵トルクtが大きくならないように、電動モータ23を駆動制御してアシストトルクTaの大きさを適宜調整する。
ここで、電子制御ユニット36によるアシストトルクTaの調整においては、粘性トルク、慣性トルクおよびSATの和と等しくなるようにアシストトルクTaを調整する場合と、粘性トルク、慣性トルク、SATおよび反力トルクTzの和と等しくなるようにアシストトルクTaを調整する場合が考えられる。
まず、粘性トルク、慣性トルクおよびSATの和と等しくなるように、電子制御ユニット36がアシストトルクTaを調整する場合には、反力トルクTzと操舵トルクtとが等しい状態となる。言い換えれば、ラックバー22、ピニオンギア21および操舵軸12を介して操舵ハンドル11に伝達される反力トルクTzによって、操舵ハンドル11を動的なゼロ点δoを基準に案内することができる。なお、この場合、操舵トルクtが運転者によって入力されていない状態においては、電子制御ユニット36は、粘性トルクが反力トルクTzと一致するように電動モータ23を駆動制御すなわちアシストトルクTaを調整し、操舵ハンドル11を動的なゼロ点δoに戻す。
また、粘性トルク、慣性トルク、SATおよび反力トルクTzの和と等しくなるように、電子制御ユニット36がアシストトルクTaを調整する場合には、SATおよび反力トルクTzと操舵トルクtとが等しい状態となる。この状態においては、ラックバー22、ピニオンギア21および操舵軸12を介して操舵ハンドル11に伝達されるSATによって、操舵ハンドル11が車体の横滑り角β方向に案内されるとともに、同様に伝達される反力トルクTzによって、操舵ハンドル11が動的なゼロ点δo方向に案内される。
ところで、SATと反力トルクTzとが重なって作用する場合においては、操舵ハンドル11の回動操作に伴って操舵トルクtが不連続に変化する場合がある。すなわち、SATと反力トルクTzとの和と操舵トルクtとが等しいため、SATが「0」となる操舵ハンドル11の回動位置(横滑り角βと一致する回動位置)と反力トルクTzが「0」となる操舵ハンドル11の回動位置(動的なゼロ点δoと一致する位置)において、操舵トルクtが小さくなる(所謂、トルクの谷が発生する)。
この場合には、SATの大きさに対して反力トルクTzの大きさを十分に大きく設定することにより、SATによるトルクの谷の影響を小さくすることができる。そして、このように、トルクの谷の影響を小さくした場合では、SATが「0」となる操舵ハンドル11の回動位置にてわずかに操舵トルクtが変化するようになる。言い換えれば、操舵トルクtが変化する操舵ハンドル11の回動位置にて左右前輪FW1,FW2が横滑り角β方向に転舵されているため、運転者は、操舵トルクtの変化に基づいて容易に左右前輪FW1,FW2の転舵方向が車両の進行方向に一致したことを知覚することができる。
そして、電子制御ユニット36は、前記式14に基づいて計算した転舵角δaを用いて、図3に示した反力トルクTzの特性テーブルを参照することによって、電動モータ23に発生させる反力トルクTzを計算する。そして、電子制御ユニット36は、反力トルクTzを計算すると、ステップS16に進む。
ステップS16においては、電子制御ユニット36は、前記ステップS13にて計算した反力トルクTzを発生させるために、転舵ギアユニット20の電動モータ23を駆動制御する。
具体的に反力トルクTzを発生させる駆動制御を説明すると、電子制御ユニット36は、操舵トルクセンサ32から操舵軸12(すなわちラックバー22)に作用している検出トルクTを入力する。そして、電子制御ユニット36は、検出トルクTが前記計算された反力トルクTzとなるように電動モータ23の回転をフィードバック制御する。また、電子制御ユニット36は、駆動回路37から電動モータ23に流れる駆動電流も入力し、反力トルクTzに対応した大きさの駆動電流が適切に流れるように駆動回路37をフィードバック制御する。
このように、電動モータ23が駆動制御されることにより、同モータ23が発生した反力トルクTzが伝達される。また、ラックバー22に反力トルクTzが伝達されることにより、操舵軸12を介して、操舵ハンドル11に反力トルクTzが伝達される。これにより、操舵ハンドル11は、動的なゼロ点δoを基準とした反力で回動(案内)される。
そして、電子制御ユニット36は、操舵トルクセンサ32によって検出されたトルクTが前記計算した反力トルクTzと等しくなると、電動モータ23の駆動制御を中止して、ステップS17に進む。そして、電子制御ユニット36は、ステップS17にて、反力トルク制御プログラムの実行を一旦終了し、所定の短時間が経過すると、ふたたび、同プログラムの実行を開始する。
以上の説明からも理解できるように、この実施形態によれば、電子制御ユニット36は、前記ステップS13にて、第1の基準点としての静的なゼロ点に対して、横滑り角センサ35により検出された車体の横滑り角βに応じて変化する第2の基準点としての動的なゼロ点δoを、前記式12に従って計算することができる。また、電子制御ユニット36は、前記ステップS14にて、転舵角センサ33により静的なゼロ点を基準として検出した転舵角δを、前記式14に従って動的なゼロ点δoを基準としたときの転舵角δaに変換することができる。また、電子制御ユニット36は、前記ステップS15にて、この変換された転舵角δaと所定の関係にある反力トルクTzを計算することができる。そして、電子制御ユニット36は、前記ステップS16にて、駆動回路37を介して、計算した反力トルクTzが発生するように電動モータ23を駆動制御することができる。
このように、反力トルクTzを発生させることによって、転舵ギアユニット20に連結された操舵軸12に一体的に組み付けられた操舵ハンドル11は、動的なゼロ点δoを基準とした反力で回動(案内)される。これにより、例えば、路面反力が小さい雪路や氷路などを走行する場合であっても、運転者が確実に知覚可能な反力トルクTzを発生させることができるとともに、同発生した反力トルクTzによって運転者が操舵ハンドル11を回動操作すべき方向を案内することができる。
したがって、特に、車両の運転を熟知していない運転者が、雪路や氷路を走行する場合であっても、旋回状態にある車両の挙動を安定させるための操舵ハンドル11の回動操作方向、すなわち、動的なゼロ点δoに向けた回動操作方向を極めて容易に判断することができる。これにより、車両の旋回時における挙動を安定させるために、操舵ハンドル11の回動操作を適切に修正することができ、車両を極めて容易に旋回走行させることができる。
また、前記式12からも明らかなように、動的なゼロ点δoの計算においては、車体の横滑り角βに対して、車両の旋回中心方向に作用するコーナリングパワーKf,Krを用いて計算される係数と、前記式13によって表されるように車体の横滑り角βに応じて非線形に変化するタイヤの変形特性を考慮した補正項Nとを乗算することによって計算することができる。ここで、補正項Nは、横加速度Gの関数として表される。これにより、車両の旋回状態すなわち発生した車体の横滑り角βに応じて最適となる動的なゼロ点δoを計算することができ、この動的なゼロ点δoを基準として操舵ハンドル11が案内されることにより、運転者は、車両を極めて容易にかつより安定して旋回走行させることができる。
また、転舵角δaの絶対値が大きい状況において、車両の旋回挙動が乱れた場合には、大きな反力トルクTzを発生することができる。そして、発生した大きな反力トルクTzによって、操舵ハンドル11の回動方向を案内することができるため、運転者は、素早くかつ適切に操舵ハンドルの回動操作を修正することができる。また、反力トルクTzの大きさを自由に設定することができるため、例えば、運転者が操舵ハンドル11を操舵しやすいように、言い換えれば、車両の旋回状態をコントロールしやすいように、転舵角δaの絶対値の大きさに対して反力トルクTzを増加させることもできる。これにより、車両の特性、例えば、スポーティーな車両であれば、スポーツ走行時に素早く操舵ハンドル11の回動操作が修正できるように、転舵角δaの絶対値の大きさに対して反力トルクTzがより大きく増加するようにすることもできる。
さらに、上記実施形態においては、静的なゼロ点に対して、動的なゼロ点δoを計算し、この動的なゼロ点δoを基準とした反力トルクTzを計算することにより、電動モータ23を駆動させるようにした。このことにより、従来の電動パワーステアリング装置に対して、別途装置や機構を設けることなく、電動モータを反力トルクTzが発生するように駆動させることにより実施可能である。したがって、従来の電動パワーステアリング装置に対しても、極めて容易に適用することができて製造コストを低減することができる。
上記実施形態のおいては、前記式12で示したように、前輪のコーナリングパワーKfおよび後輪のコーナリングパワーKrと、車両の旋回状態に応じて変化する左右前輪FW1,FW2のタイヤの変形特性を補正するための補正量Nとを用いて、動的なゼロ点δoを計算するように実施した。このように、補正量Nを用いるのは、前後輪のコーナリングパワーKf,Krは、タイヤの変形特性の変化、言い換えれば、車両の旋回状態の変化によらず一定としたためである。したがって、車両の旋回状態に応じて変化する前後輪のコーナリングパワーKf,Krを計算することによって、補正量Nを省略することができる。以下、この変形例を説明するが、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
上記実施形態において説明したように、運転者によって操舵ハンドル11が回動操作されると、左右前輪FW1,FW2が、例えば、転舵角δcに転舵されて、車両は、直進状態から旋回状態に移行し、または、旋回状態を維持する。そして、旋回状態にある車両には、上述したように、前記式7で示した求心力と遠心力とが作用する。
ところで、一般的に、前後輪側(所謂、ばね下)と車体側(所謂、ばね上)とは、サスペンション装置によって、上下方向に相対変位可能に結合されている。このため、特に、旋回状態において、車両の横方向運動に伴う慣性力(遠心力)が車体の重心点に作用すると、車体は慣性力が作用する方向に傾く、言い換えれば、車体にローリングが発生する。このように、車体にローリングが発生している状況、言い換えれば、車両にロール角φが発生している状況においては、前後輪とも、左右輪の一方は荷重が増し、他方は荷重が減少する。このため、車両が旋回状態にある場合には、発生したローリングによる荷重移動を考慮して、コーナリングパワーKf、Krを計算する必要がある。
すなわち、この変形例においては、横加速度Gで旋回する車両における前後輪のコーナリングパワーKf,Krを下記式15,16に従って計算する。
Kf=Kfo+ξ・((Nf・φ+mf・hf・G)/Tr)2 …式15
Kr=Kro+ξ・((Nr・φ+mr・hr・G)/Tr)2 …式16
ただし、前記式15中のKfoと前記式16中のKroは、それぞれ、車両静止時における前後輪荷重(以下、静止時荷重という)に対する前輪と後輪のコーナリングパワーを表す。また、前記式15,16中のNf、Nrは、それぞれ、前輪側と後輪側のロール剛性値を表し、mf,mrは、それぞれ、前輪側と後輪側の車体質量を表し、hf,hrは、それぞれ、前輪側と後輪側における路面とロールセンタとの距離(高さ)を表す。さらに、前記式15,16中におけるξは、コーナリングパワーの荷重依存係数を表し、φは、車体のロール角を表し、Trは、前後輪のトレッド幅を表す。
ここで、ローリングの発生に伴う荷重移動について説明しておく。横加速度Gで旋回している車両に発生するロール角φは、下記式17に従って計算することができる。
φ=(m・Gd・hs)/(Nf+Nr−m・g・hs) …式17
ただし、前記式17中のmは、ばね上質量を表し、hsは、車両の重心点とロールセンタとの間の距離を表す。
そして、前後輪の左右荷重移動量は、ロール角φに依存した荷重移動と、ロールセンタに加わる横力による荷重移動との和として計算することができる。このため、静止時の前後輪の荷重をFo,Roとすれば、荷重移動後の前後輪荷重Ff,Frは、それぞれ、下記式18,19のように示すことができる。
Ff=Fo±(Nf・φ+mf・hf・G)/Tr …式18
Fr=Ro±(Nr・φ+mr・hr・G)/Tr …式19
一方、荷重Ff,Frが前後輪に作用する場合におけるコーナリングパワーKf,Krは、下記式20,21により表すことができる。
Kf=Ff・(nCp+ξ・(Ff−Fzo)) …式20
Kr=Fr・(nCp+ξ・(Fr−Fzo)) …式21
ただし、前記式20,21中のnCpは、コーナリングパワーKf,Krをある瞬間の荷重で除算することにより得られるコーナリングパワー係数であって、基準荷重時の正規化コーナリングパワー係数を表す。また、前記式20,21中のFzoは、所定の基準荷重を表す。
これにより、前記式20,21に対して、前記式18,19をそれぞれ代入するとともに、静止時荷重における前後輪のコーナリングパワーをKfo,Kroとして整理すれば、前記15,16式を導出することができる。このように、前記式15,16式に従って計算されるコーナリングパワーKf,Krは、車体に発生したロール角φを考慮しているため、車両の旋回状態を反映した適切な値として計算することができる。これにより、前記式12から補正量Nを省略して、動的なゼロ点δoを正確に計算することができる。したがって、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態および変形例においては、操舵ハンドル11と転舵ギアユニット20とを操舵軸12によって連結し、ラックバー22の電動モータ23による動的なゼロ点δo方向への変位を直接操舵ハンドル11に伝達するように実施した。これにより、操舵ハンドル11が動的なゼロ点δoに対応した回動操作方向が案内され、運転者は、車両の旋回挙動を安定化させる左右前輪FW1,FW2の転舵方向を極めて容易に知覚できるようにした。
しかし、転舵角センサ33によって検出された左右前輪FW1,FW2の転舵角δと動的なゼロ点δoとが大きく離れている場合すなわち転舵角δaの絶対値が大きい場合には、動的なゼロ点δoまでのラックバー22の軸線方向への変位に対応した操舵ハンドル11の回動量が大きくなり、この結果、運転者が違和感を覚える場合もある。このため、図4に示すように、操舵ハンドル11の回転方向への変位とラックバー22の軸線方向への変位とを相対的に変位可能とする可変ギア機構40を設けるように変更して実施することも可能である。なお、可変ギア機構40の構造および作動については、周知であるためその詳細な説明を省略する。
この場合、車両の操舵装置としての電動パワーステアリング装置においては、上記実施形態の操舵軸12が、操舵ハンドル11と一体的に回転可能な操舵入力軸12aと転舵ギアユニット20に接続された転舵出力軸12bから構成されている。そして、可変ギア機構40は、操舵入力軸12aと転舵出力軸12bとを互いにに接続している。この可変ギア機構40は、電動モータ41および減速機42を備えており、操舵入力軸12aの回転量と減速機42に接続された転舵出力軸12bの回転量を適宜相対的に変更するものである。
電動モータ41は、そのモータハウジングが操舵入力軸12aと一体的に接続されており、運転者による操舵ハンドル11の回動操作に従って一体的に回転するようになっている。また、電動モータ41の駆動シャフト41aは減速機42に接続されており、同電動モータ41の回転力が駆動シャフト41aを介して減速機42に伝達されるようになっている。減速機42は、所定のギア機構(例えば、遊星ギア機構など)によって構成されており、転舵出力軸12bはこのギア機構に接続されている。この構成により、可変ギア比アクチュエータ40は、電動モータ41の駆動シャフト41aおよび減速機42を介して、操舵入力軸12aと転舵出力軸12bとを相対回転可能に連結しており、操舵入力軸12aの回転量と転舵出力軸13の回転量との比を適宜変更することができる。
したがって、反力トルクTzによって左右前輪FW1,FW2が転舵するときには、転舵出力軸12bの回転量に対する操舵入力軸12aの回転量の比を変更することによって、操舵ハンドル11の回動量を小さくすることができ、運転者が覚える違和感を小さくすることができる。なお、この場合におけるその他の効果については、上記実施形態および変形例と同様の効果が期待できる。
また、上記実施形態および変形例においては、転舵角δaの絶対値の変化に対して、反力トルクTzが比例するように実施した。これに対して、例えば、図5に示すように、転舵角δaの絶対値の大きさに応じて、反力トルクTzを段階的に変化させるように実施することも可能である。
これによれば、通常走行時には、発生する車体の横滑り角βが小さいため、小さな反力トルクTzを操舵ハンドル11に付与することにより、運転者は、違和感を覚えることなく運転することができる。なお、このように付与する小さな反力トルクTzとしては、例えば、運転者が操舵ハンドル11を介して入力する操舵トルクtと電動モータ23が付与するアシストトルクTaとの差分(t−Ta)となるように決定することができる。これにより、運転者は、通常走行時において付与される反力トルクTzに対して違和感を覚えることがなく、車両を運転することができる。一方、例えば、高速走行時などで、運転者の予期しない大きな車体の横滑り角βが生じ、車両の旋回挙動が乱れた場合には、より大きな反力トルクTzを操舵ハンドル11に付与することができるため、運転者は素早く操舵ハンドル11の回動操作を修正することができる。
また、上記実施形態および変形例においては、横滑り角センサ35が、検出器によって検出した車速Vxおよび車速Vyを用いた前記式1を計算することによって、車体の横滑り角βを検出するように実施した。これに代えて、例えば、車両に発生した横加速度α(求心加速度αに相当)やヨーレートωを検出するための加速度センサやヨーレートセンサが、予め車両に搭載されている場合には、これらのセンサによる検出値を用いて車体の横滑り角βを検出して実施することもできる。この場合には、車体の横滑り角βは、下記式22に従って計算されて検出されるとよい。
β=∫(ω−α/V)dt …式22
ただし、前記式22中のVは、車速センサ31によって検出される車速Vである。
これによれば、横加速度αおよびヨーレートγが発生するまでの時間的な遅れなどにより、車体の横滑り角βの検出精度が若干劣るものの、上記実施形態および変形例のように、別途検出器を設ける必要が無い。このため、操舵装置の製造コストを低減することができる。
さらに、上記実施形態および変形例においては、転舵ギアユニット30にラックアンドピニオン式を採用して実施したが、例えば、ボールねじ機構を採用して実施してもよい。また、電動モータ23を転舵ギアユニット20に組み付け、同モータ23の駆動力をラックバー22に伝達するように実施した。しかしながら、電動モータ23の駆動力を操舵軸12に伝達するように構成して実施することも可能である。
本発明の実施形態に係る車両の操舵装置の概略図である。 図1の電子制御ユニットによって実行されるゼロ点変更プログラムを示すフローチャートである。 転舵角と反力トルクとの関係を示すグラフである。 本発明の変形例に係る車両の操舵装置の概略図である。 本発明の変形例に係る転舵角と反力トルクとの関係を示すグラフである。
符号の説明
FW1,FW2…前輪、11…操舵ハンドル、12…操舵軸、20…転舵ギアユニット、21…ピニオンギア、22…ラックバー、23…電動モータ、31…車速センサ、32…操舵トルクセンサ、33…転舵角センサ、34…横加速度センサ、35…横滑り角センサ、36…電子制御ユニット、37…駆動回路、40…可変ギア機構

Claims (7)

  1. 運転者によって回動操作される操舵ハンドルと、同操舵ハンドルと一体的に回動する操舵軸と、同操舵軸と車両の転舵輪とを互いに連結して前記操舵軸の回動操作に応じて前記車両の転舵輪を転舵する転舵ユニットと、前記転舵輪の転舵動作に対して所定のトルクを付与する電動モータとを備えた車両の操舵装置において、
    車両を直進状態に維持する転舵輪の転舵角を第1の基準点として、前記操舵ハンドルの回動操作に応じて転舵する前記転舵輪の転舵角を検出する転舵角検出手段と、
    車両が旋回状態にあるときに発生する車体の横滑り角を検出する横滑り角検出手段と、
    前記検出した車体の横滑り角に応じて変化し、同車体の横滑り角に起因して車両に発生する横力の前記車両の旋回状態に対する影響を低減して車両を旋回させる転舵角を決定するための第2の基準点を計算する基準点計算手段と、
    前記転舵角検出手段が前記第1の基準点に基づいて検出した前記転舵輪の転舵角を、前記第2の基準点に基づく転舵角に変換する転舵角変換手段と、
    前記変換した転舵角と所定の関係にあるトルクであって、同変換した転舵角を前記第2の基準点に一致させる方向に作用する反力トルクを計算する反力トルク計算手段と、
    前記電動モータを回転駆動させて、前記計算した反力トルクを発生させる駆動制御手段とを備えたことを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記基準点計算手段は、
    前記第2の基準点を、旋回状態にある車両の前後輪に装着されたタイヤと路面との間における摩擦力に基づいて車両の旋回中心方向に作用するコーナリングパワーを用いて計算した係数と、前記検出した車体の横滑り角に応じて非線形に変化する前記タイヤの変形特性を考慮した補正項とを前記検出した車体の横滑り角に対して乗算して計算することを特徴とする車両の操舵装置。
  3. 請求項2に記載した車両の操舵装置において、
    さらに、車両の横加速度を検出する横加速度検出手段を備え、
    前記補正項は、
    前記横加速度検出手段により検出された車両の横加速度に応じて決定されることを特徴とする車両の操舵装置。
  4. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記基準点計算手段は、
    前記第2の基準点を、車両が旋回状態にあるときに発生する横加速度と、車両の旋回に伴って車体に発生したローリングの大きさを表すロール角と、前記車体に発生したローリングに伴う荷重移動量とを考慮して算出した車両の旋回中心方向に作用するコーナリングパワーを用いた係数を前記検出した車体の横滑り角に対して乗算して計算することを特徴とする車両の操舵装置。
  5. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記変換した転舵角と反力トルクとの間の所定の関係は、
    前記変換した転舵角の絶対値の増大に応じて、前記反力トルクが増大する関係であることを特徴とする車両の操舵装置。
  6. 請求項5に記載した車両の操舵装置において、
    前記変換した転舵角と反力トルクとの間の所定の関係は、
    前記変換した転舵角の絶対値の変化に対して、前記反力トルクが比例する関係であることを特徴とする車両の操舵装置。
  7. 請求項1に記載した車両の操舵装置において、
    前記操舵軸は、
    前記操舵ハンドルと一体的に回動する操舵入力軸と、前記転舵ユニットに連結される転舵出力軸とから構成されており、
    前記操舵入力軸と前記転舵出力軸とが、前記操舵入力軸の回転量に対して前記転舵出力軸の回転量を相対的に変更する可変ギア機構によって連結されることを特徴とする車両の操舵装置。
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