以下、発明の実施の形態を通じて本発明のいくつかの側面を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る基板接合装置1010を概略的に示す説明図である。基板接合装置1010は、半導体ウェハである第1基板1016と、これに積層する半導体ウェハである第2基板1017の相対的な位置合わせを行うアライメント装置1011を備える。また、アライメント装置1011により位置合わせされた第1基板1016および第2基板1017を、互いに接合する接合装置1012を備える。
第1基板1016は、第1基板ホルダ1014に保持されており、第2基板1017は、第2基板ホルダ1015に保持されている。アライメント装置1011では、第1基板1016と第2基板1017が位置合わせされると、第1基板ホルダ1014と第2基板ホルダ1015はこれらを挟持して一体化され、基板ホルダ対1018を形成する。具体的な基板ホルダ対1018の構成については後述する。
基板接合装置1010は、更に、アライメント装置1011で一体化された基板ホルダ対1018を接合装置1012へ搬送する搬送装置1013を備える。また、搬送装置1013は、半導体ウェハ、基板ホルダ単体でも装置間を搬送することができる。搬送装置1013は、基板ホルダ対1018等の把持物を把持する把持部1019と、回転、伸縮動作により把持物を所定の位置へ移動させるアーム部1020を備える。
図2は、本実施形態に係る半導体ウェハを概略的に示す平面図である。半導体ウェハである第1基板1016、第2基板1017は、単一の単結晶シリコンからなる円形の薄板部材からなり、その一面に複数の回路領域1021が造り込まれている。マトリックス状に区画形成された回路領域1021には、トランジスタ、抵抗体およびキャパシタ等の回路素子が形成されている。回路素子は、リソグラフィ技術を中核として、薄膜形成技術、エッチング技術および不純物拡散技術等の成形技術を用いて形成される。また、それぞれの回路領域1021の内部には、アライメントマークが設けられている。アライメントマークは、基板同士の位置合わせに用いられる指標である。第1基板1016および第2基板1017のそれぞれに設けられている複数のアライメントマークは、その設計座標値が個別にメモリに格納され、管理されている。なお、積層の対象となる半導体ウェハは、既に積層されていてさらに他の半導体ウェハを積み重ねる半導体ウェハであっても良い。この場合、既に積層されている回路層は、薄化工程を経て不要な厚みを除去されていることが好ましい。
図3は、第1基板1016を保持した第1基板ホルダ1014を概略的に示す平面図である。第1基板ホルダ1014は、ホルダ本体1022および吸着ユニット1030を有して、全体としては第1基板1016よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体1022は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体1022は、第1基板1016を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。第1基板1016の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的には、ホルダ本体1022に埋め込まれた電極に、ホルダ本体1022の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、第1基板ホルダ1014と第1基板1016との間に電位差を生じさせて、第1基板1016を第1基板ホルダ1014に吸着させる。なお、第1基板1016の吸着面は、回路領域1021が設けられた面とは反対の面である。
吸着ユニット1030は、第1基板1016を保持する表面において、保持した第1基板1016よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個の吸着ユニット1030が配されている。具体的な構成については後述する。
図4は、第2基板1017を保持した第2基板ホルダ1015を概略的に示す平面図である。第2基板ホルダ1015は、ホルダ本体1023およびマグネットユニット1031を有して、全体としては第2基板1017よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体1023は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体1023は、第2基板1017を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。第2基板1017の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的には、ホルダ本体1023に埋め込まれた電極に、ホルダ本体1023の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、第2基板ホルダ1015と第2基板1017との間に電位差を生じさせて、第2基板1017を第2基板ホルダ1015に吸着させる。なお、第2基板1017の吸着面は、回路領域1021が設けられた面とは反対の面である。
マグネットユニット1031は、第2基板1017を保持する表面において、保持した第2基板1017よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個のマグネットユニット1031が配されている。
マグネットユニット1031は、第1基板ホルダ1014の吸着ユニット1030とそれぞれ対応するように配置されている。そして、第1基板1016を保持した第1基板ホルダ1014と、第2基板1017を保持した第2基板ホルダ1015を、互いに向かい合わせて吸着ユニット1030とマグネットユニット1031を作用させると、第1基板1016と第2基板1017を重ね合わせた状態で挟持して固定することができる。このように挟持されて固定された状態が基板ホルダ対1018である。具体的な構成および吸着の作用等については後述する。
図5は、アライメント装置1011において、基板ホルダ対1018の形成直前の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、第1基板1016を保持した第1基板ホルダ1014が、アライメント装置1011の第1ステージ1051に真空吸着固定され、第2基板1017を保持した第2基板ホルダ1015が、アライメント装置1011の第2ステージ1052に真空吸着固定された状態の断面図である。特に、図3および図4で示すそれぞれA−A線に沿った断面図を表す。
第1ステージ1051は、第2基板1017に対して第1基板1016を積層する方向であるZ軸方向と、Z軸にそれぞれ直交するX軸、Y軸方向に移動することができる。アライメント装置1011は、第1基板1016を観察できるようにアライメント装置1011に配置された第1顕微鏡と、第2基板1017を観察できるようにアライメント装置1011に配置された第2顕微鏡とを用いて、第1基板1016と第2基板1017を位置合わせする。
具体的には、それぞれの顕微鏡により、観察対象となる各基板のアライメントマークを撮像し、撮像された撮像データを画像処理することで、アライメントマークの精確な位置を検出する。そして、対応するアライメントマーク同士の位置ずれ量を演算し、その位置ずれ量に応じて第1ステージ1051を移動させて、第1基板1016と第2基板1017を対向させる。これにより、第1基板1016の回路領域1021のそれぞれが、第2基板1017の対応する回路領域1021のそれぞれに対向する。なお、位置ずれ量の演算は、例えば、第1基板1016の複数のアライメントマークと、第2基板1017の複数のアライメントマークが重ね合わされたときに、相互の位置ずれ量が最も小さくなるように統計的に決定されるグローバルアライメント法等を用いて演算される。
第1基板1016を第2基板1017に対して位置合わせを行うとき、すなわち、第1ステージ1051をXY平面内で移動させるときには、第1基板1016と第2基板1017が接触しないように、両者の間に若干の隙間を形成する。この状態において吸着ユニット1030がマグネットユニット1031に結合しないように、第2ステージ1052は、複数の結合規制ユニット1053を備える。
結合規制ユニット1053は、主に、柱状の部材であるプッシュピン1054とこれを駆動するシリンダー部1055から構成される。プッシュピン1054は、伸長位置において、第2基板ホルダ1015に設けられたホルダ挿通孔1024と、これに一致するように位置合わせされて配設されているマグネットユニット1031に設けられたマグネット挿通孔1032の内部を通って、その先端がマグネット挿通孔1032より突出する。収納位置においては、シリンダー部1055の内部にその一部が収納されて、それぞれの挿通孔から退避する。つまり、プッシュピン1054は、それぞれの挿通孔の内部で、シリンダー部1055の駆動によりZ軸方向に進退する。
図5に示すような、第1基板1016と第2基板1017が相対的にXY方向に移動され得るときには、プッシュピン1054は、吸着ユニット1030の上面に接触するように伸長位置に制御され、吸着ユニット1030のマグネットユニット1031への結合を阻止する。つまり、吸着ユニット1030は吸着子1033とこれを固定する板バネ1034から構成さるが、板バネ1034が弾性変形して吸着子1033がマグネットユニット1031へ結合しないように、プッシュピン1054が吸着子1033を上方から押さえつけて、板バネ1034の弾性変形を抑制する。
なお、アライメント装置1011による第1基板1016と第2基板1017の位置合わせは、最終的な微調整段階においては、プッシュピン1054の先端が吸着ユニット1030の上面を摺動する程度の移動量において実行される。それ以外の段階である、例えば顕微鏡によるアライメントマークの観察段階においては、第1基板1016と第2基板1017は、XYZ軸方向へ相対的に大きく離れた状態となるので、吸着ユニット1030がマグネットユニット1031へ予期せず結合することはない。したがって、プッシュピン1054は、マグネットユニット1031の磁力が吸着ユニット1030へ及び、かつ、両者の結合を規制したいときに、伸長位置に制御され、それ以外のときには収納位置に制御される。
図6は、アライメント装置1011において、基板ホルダ対1018の形成直後の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、図5の状態から、第1基板1016の表面と第2基板1017の表面が接触するように第1ステージ1051をZ軸方向に駆動した状態を示し、さらに、プッシュピン1054が収納位置に制御されて、吸着ユニット1030がマグネットユニット1031に結合した状態を示す。
図5の状態から図6の状態へ移行する過程において、第1基板1016と第2基板1017が位置合わせされ、結合部材であるマグネットユニット1031と被結合部材である吸着ユニット1030が結合する。そして、第1基板ホルダ1014と第2基板ホルダ1015が一体化され、基板ホルダシステムとしての基板ホルダ対1018を形成する。
アライメント装置1011においてZ軸方向は重力方向であり、第1ステージ1051は、第2ステージ1052よりも下方に位置する。すると、重力方向に対する各面の関係は、上から下へ順に、第2基板ホルダ1015の第2基板1017の保持面、第2基板1017と第1基板1016の接合面、第1基板ホルダ1014の第1基板1016の保持面が位置することになる。
図5の状態から図6の状態へ移行する過程において、プッシュピン1054を収納位置に移動させる動作に伴って、板バネ1034が弾性変形し、吸着ユニット1030がマグネットユニット1031に結合する。このとき、吸着ユニット1030の吸着子1033は、ある程度の衝撃を伴ってマグネットユニット1031に結合する。そこでこの時の、吸着子1033とマグネットユニット1031の接触面の重力方向の位置は、第2基板1017と第1基板1016の接合面より下方に位置するように設定する。好ましくは、第1基板ホルダ1014の第1基板1016の保持面よりも更に下方に位置するように設定する。
このような位置関係となるように設定すると、たとえ吸着ユニット1030とマグネットユニット1031の結合衝撃によって塵埃が発生し、飛散するとしても、塵埃が重力により落下し、第1基板1016と第2基板1017の間に入り込まないことが期待できる。つまり、基板間に入り込む塵埃は、回路動作に不良をもたらし、さらに接合強度不足を招くことにもなるが、上記のような位置関係を採用することにより、このような不都合を回避することが期待できる。
さらに、第1基板ホルダ1014の第1基板1016の保持面よりも下方に位置するように設定すれば、当該面における塵埃の付着も抑制することができる。これにより、繰り返し使用する第1基板ホルダ1014をクリーンな状態に保つことができ、別の第1基板1016を載置する場合にも塵埃を挟み込む恐れがない。したがって、接合装置1012における接合むら、第1基板1016の傾き等を回避することが期待できる。
なお、基板ホルダ対1018が形成された後は、基板ホルダ対1018は、第2ステージ1052からの真空吸着が解除され、第1ステージ1051によって引き下げられて、搬送装置1013により接合装置1012へ搬送される。搬送装置1013の搬送機構および接合装置1012の接合工程については後述する。
次に、マグネットユニット1031の構成について説明する。図7は、マグネットユニット1031を概略的に示す斜視図である。マグネットユニット1031は、磁石1036、磁石1036を収容して支持する支持部1035、および複数の球状凸体1041を備える。
支持部1035は、磁石1036を収容する円筒状の収容部を有し、また、第2基板1017に固定するネジを貫通させるネジ穴1037を有する。支持部1035は、例えば炭素鋼S25Cにより形成される。磁石1036は、支持部1035の収容部に嵌入される円柱形をなした永久磁石であり、例えば、8N程度の大きさの磁力を有する。磁石1036の中心軸には、プッシュピン1054を挿通する挿通孔1038が設けられており、この挿通孔1038に接続するように、支持部1035にも挿通孔1039が設けられている。この2つの挿通孔により、マグネット挿通孔1032を形成する。
支持部1035は、吸着子1033と対向する対向面1040を有する。そして対向面1040には、少なくとも3個の球状凸体1041が埋設されている。球状凸体1041は、対向面1040に設けられた、例えばリング状の真鍮である固定部材1042を介して圧入により埋設され、固定される。または、支持部1035の対向面1040を研削等により加工して、支持部1035と一体的に球状凸体1041を形成するように構成しても良い。
このように球状凸体1041を形成することにより、マグネットユニット1031と吸着子1033とを点接触させることができる。すなわち、球状凸体1041によって仮想的に形成される面が吸着子1033との接触面となるので、両者の接触面積を大幅に低減することができ、よって、塵埃の発生も極力押さえることができる。
図8は、マグネットユニット1031の別の例を概略的に示す斜視図である。図7のマグネットユニット1031とは異なり、対向面1040には、断面形状が三角形をなす凸部である線状凸体1050が形成されている。線状凸体1050は、支持部1035の対向面1040を研削等により加工して支持部1035と一体的に形成しても、別体で形成して対向面1040に固着するように構成しても良い。
このように線状凸体1050を形成することにより、マグネットユニット1031と吸着子1033とを線接触させることができる。たとえば、断面形状が三角形であれば、その頂点を稜とする直線によって仮想的に形成される面が吸着子1033との接触面となるので、面接触に比べ、両者の接触面積を大幅に低減することができ、よって、塵埃の発生も極力押さえることができる。なお、断面形状は三角形に限らず、実質的に線接触を実現できる形状であればいずれの形状であっても良い。また、研削加工等によって接触部に若干の平面部が残ったとしても、実質的に線接触とみなせるのであれば良い。
次に、吸着ユニット1030の構成について説明する。図9は、吸着ユニット1030の板バネ1034を概略的に示す平面図である。
板バネ1034は、第2基板1017を保持する第2基板ホルダ1015の保持面に直交する方向に弾性を有する弾性部材であり、例えば、SUS631等の高強度析出硬化型ステンレス鋼により形成される。また、板バネ1034は、中心付近の円形部1043と耳状に突出した取付け部1044からなり、円形部1043の直径は22mmであり、厚さは0.1mmである。
円形部1043には、互いに同一方向に沿って伸び、かつ伸長方向に直交する方向へ間隔をおいて配置される一対のスリット1046が形成されている。各スリット1046は、円形部1043の中心からの距離が互いに等しい。この2つのスリット1046により、円形部1043の中心付近に帯状部1048が形成される。帯状部1048には、円形部1043の中心となる位置に、吸着子1033を固定させる貫通穴1047が設けられている。同様に、取付け部1044には、板バネ1034を第2基板ホルダ1015に固定するネジを貫通させるネジ穴1045を有する。板バネ1034は、第2基板ホルダ1015に対し、2つのネジ穴1045が第2基板ホルダ1015の周方向に沿い、かつ、スリット1046の伸長方向が第2基板ホルダ1015の略径方向に沿うように、ホルダ本体1023の外周領域に配置される。
図10は、板バネ1034が弾性変形した状態を概略的に示す斜視図である。具体的には、板バネ1034に固定された吸着子1033が、マグネットユニット1031に吸引されて結合したときの変形状態を表す。ただし、図においては吸着子1033は示されていない。
板バネ1034は、吸着子1033がマグネットユニット1031に吸引されることにより、帯状部1048が貫通穴1047を頂点とするように浮き上がり、これに伴って、円形部1043の周辺部のうち帯状部1048と接続される2つの部分が互いに近づこうとするように弾性変形する。このとき、各スリット1046は、それぞれの変形を許容するように、開口形状を変形させる。
図11は、図10で示す板バネ1034の変形状態において、吸着子1033を含めて示す斜視図である。吸着子1033は、貫通穴1047を介して、ネジ等の締結部材により板バネ1034に固定されている。
吸着子1033は、強磁性体により形成される。例えば、炭素鋼S25Cにより形成される。そして、吸着子1033には、マグネットユニット1031との接触面に、緩衝プレート1049が固定されている。緩衝プレート1049の硬度は、マグネットユニット1031の接触面を形成する部材の硬度よりも小さい。例えば、緩衝プレートの材料としては、Si系材料または樹脂系材料が用いられる。
また、緩衝プレート1049は、吸着子1033に対して交換できるように構成されることが好ましい。緩衝プレート1049は、マグネットユニット1031の接触面と接触し、特に球状凸体1041、線状凸体1050のような凸部が設けられている場合には集中的な応力を受けることになるので、衝撃を吸収することにより凹み、削れ等を生じることもあり得る。そこで、一定期間の使用ごとに緩衝プレート1049を交換する。緩衝プレート1049は、吸着子1033に設けられた凹部に嵌入、または接着剤等を用いた貼着により固定される。
なお、上記においては、マグネットユニット1031の支持部1035に球状凸体1041等の凸部を設け、これに対向する吸着子1033に緩衝プレート1049を設ける構成を説明した。しかし、結合部材であるマグネットユニット1031と、被結合部材である吸着ユニット1030は、相対的な関係にあるので、凸部と緩衝プレート1049の形成場所は逆であっても良い。
その例として、図12に、吸着子1033に球状凸体1041を配設した場合の斜視図を示す。マグネットユニット1031の支持部1035に設ける場合と同様に、少なくとも3個の球状凸体1041を、例えばリング状の真鍮である固定部材1042を介して圧入により埋設する。または、研削等により加工して、吸着子1033と一体的に球状凸体1041を形成するように構成しても良い。このように構成した場合は、反対に、マグネットユニット1031の支持部1035に緩衝プレート1049を設ける。
ただし、凸部と緩衝プレート1049の形成場所を逆転させる場合であっても、吸着子1033とマグネットユニット1031の接触面の重力方向の位置は、第2基板1017と第1基板1016の接合面より下方に位置するように設定する。好ましくは、第1基板ホルダ1014の第1基板1016の保持面よりも更に下方に位置するように設定する。
図13は、マグネットユニット1031と吸着ユニット1030の結合作用を示す断面図である。特に、図3および図4で示すそれぞれB−B線に沿った断面図を表す。ただし、第1基板1016、第2基板1017およびプッシュピン1054等の記載は省略している。図13は、吸着子1033がマグネットユニット1031へ結合する前の状態を表す。また、図14は、図13と同一の断面部において、吸着子1033がマグネットユニット1031へ結合した後の状態を表す。
図示されるように、マグネットユニット1031は、第2基板ホルダ1015の表面にネジを介して固定されている。また、吸着子1033の接触面を構成する緩衝プレート1049と接触する平面は、球状凸体1041の頂点によって構成される仮想的な平面であり、この仮想的な平面は、第1基板ホルダ1014の第1基板1016の保持面より下方に位置する。
すなわち、第1基板ホルダ1014には、吸着ユニット1030が設置される領域に対応して、第1基板1016の保持面より一段低い面が形成された凹部1025が設けられている。そして、球状凸体1041の頂点によって構成される仮想的な平面は、第1基板1016の表面と第2基板1017の表面が接する状態においては、この凹部1025の空間内に位置する。
凹部1025には、吸着子1033の上下移動を許容する貫通孔1026が設けられている。また、第1基板ホルダ1014のうち第1基板1016の保持面とは反対の面である裏面側からは、貫通孔1026の周囲に凹部1027が設けられており、この凹部に収まるように板バネ1034と、板バネ1034を第1基板ホルダ1014に対して固定するネジが配置されている。
図13の状態から図14の状態への変化が示すように、吸着子1033が固定される帯状部1048は、吸着子1033が磁石1036に吸引されることにより弾性変形する。このとき、取付け部1044は第1基板ホルダ1014に固定されたままであるので、板バネ1034は、第1基板1016と第2基板1017を挟持して第1基板ホルダ1014と第2基板ホルダ1015を互いに引き寄せる方向に付勢して釣り合う。
図15は、結合規制ユニット1053を概略的に示す縦断面図である。結合規制ユニット1053は、マグネットユニット1031に対応して第2基板ホルダ1015に複数配置されている。シリンダー部1055には、シリンダー部1055の内部の気圧を調整するエアーポンプ1056が接続されている。制御部は、エアーポンプ1056を制御することにより、プッシュピン1054を進退させる。つまり、プッシュピン1054の少なくとも一部がシリンダー部1055の内部に位置する収納位置と、プッシュピン1054の先端1057が緩衝プレート1049を押す伸長位置とを制御する。したがって、プッシュピン1054が緩衝プレート1049を押す押圧力は、板バネ1034の弾性力に抗する大きさを有する。
プッシュピン1054の先端1057は、緩衝プレート1049と点接触するように、球状に加工されている。または、球状凸体1041のような球が先端部に別体として設けられていても良い。
図16は、基板ホルダ対1018を搬送装置1013が把持する状態を概略的に示す側面図である。搬送装置1013は、アーム部1020と、これに接続される把持部1019を備える。把持部1019は、基板ホルダ対1018を下方から支持する支持板1062と、上方から押さえる押え板1063とを有する。支持板1062には、基板ホルダ対1018を真空吸着固定する吸気孔が設けられており、この作用により基板ホルダ対1018は支持板1062に固定される。
押え板1063は、支持板1062の端部に設けられた支柱1064に設けられ、基板ホルダ対1018を挟み込む方向に進退できる。押え板1063が、支持板1062に固定された基板ホルダ対1018に押圧力を作用させることにより、押え板1063と支持板1062で基板ホルダ対1018を挟持することができる。搬送装置1013は、この状態でアーム部1020を作動させることにより、基板ホルダ対1018をアライメント装置1011から接合装置1012へ搬送する。
図17は、接合装置1012の要部を概略的に示す側面図である。接合装置1012は、第1基板ホルダ1014の下方に配置された下部加圧ステージ1065と、第2基板ホルダ1015の上方に配置された上部加圧ステージ1066とを備える。上部加圧ステージ1066は、下部加圧ステージ1065と協働して基板ホルダ対1018を加圧すべく、下部加圧ステージ1065に接近する方向に移動できる。下部加圧ステージ1065および上部加圧ステージ1066の内部にはヒータが内蔵されており、載置された基板ホルダ対1018に加圧だけでなく、加熱も行うことができる。基板ホルダ対1018が加圧、加熱されることにより、第1基板1016と第2基板1017の互いに接触した電極同士が溶着する。これにより第1基板1016と第2基板1017のそれぞれ対応する回路領域1021が接合される。
以上説明したように、吸着子1033とマグネットユニット1031の接触面積を相対的に小さくすることにより塵埃が挟み込まれることが少なくなる。よって、吸着子1033又はマグネットユニット1031の接触面に付着した塵埃が結合時の挟みこみにより粉砕され、細分化されて飛散することが抑制される。塵埃の細分化、飛散が抑制されれば、これらが基板方向へ流入することも抑制される。特に、塵埃が粉砕されて細分化されると、基板ホルダ対1018の搬送時、第1基板1016、第2基板1017の着脱時等の動作時に生じる風圧により、細分化された塵埃が舞い上がり易くなるという問題が生じるが、上記の実施形態においては、このような問題が生じにくい。さらに、挟み込まれる塵埃を減少させることができれば、吸着子1033とマグネットユニット1031の結合時にこれらの接触面が削られることも抑制できる。したがって、新たな塵埃発生の防止にも利する。
(第2実施形態)
図18は、第2実施形態に係る基板接合装置2010を概略的に示す説明図である。基板接合装置2010は、半導体ウェハである第1基板2016と、これに積層する半導体ウェハである第2基板2017の相対的な位置合わせを行うアライメント装置2011を備える。また、アライメント装置2011により位置合わせされた第1基板2016および第2基板2017を、互いに接合する接合装置2012を備える。
第1基板2016は、第1基板ホルダ2014に保持されており、第2基板2017は、第2基板ホルダ2015に保持されている。アライメント装置2011では、第1基板2016と第2基板2017が位置合わせされると、第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015はこれらを挟持して一体化され、基板ホルダ対2018を形成する。具体的な基板ホルダ対2018の構成については後述する。
基板接合装置2010は、更に、アライメント装置2011で一体化された基板ホルダ対2018を接合装置2012へ搬送する搬送装置2013を備える。また、搬送装置2013は、半導体ウェハ、基板ホルダ単体でも装置間を搬送することができる。搬送装置2013は、基板ホルダ対2018等の把持物を把持する把持部2019と、回転、伸縮動作により把持物を所定の位置へ移動させるアーム部2020を備える。
図19は、本実施形態に係る半導体ウェハを概略的に示す平面図である。半導体ウェハである第1基板2016、第2基板2017は、単一の単結晶シリコンからなる円形の薄板部材からなり、その一面に複数の回路領域2021が造り込まれている。マトリックス状に区画形成された回路領域2021には、トランジスタ、抵抗体およびキャパシタ等の回路素子が形成されている。回路素子は、リソグラフィ技術を中核として、薄膜形成技術、エッチング技術および不純物拡散技術等の成形技術を用いて形成される。また、それぞれの回路領域2021の内部には、アライメントマークが設けられている。アライメントマークは、基板同士の位置合わせに用いられる指標である。第1基板2016および第2基板2017のそれぞれに設けられている複数のアライメントマークは、その設計座標値が個別にメモリに格納され、管理されている。なお、積層の対象となる半導体ウェハは、既に積層されていてさらに他の半導体ウェハを積み重ねる半導体ウェハであっても良い。この場合、既に積層されている回路層は、薄化工程を経て不要な厚みを除去されていることが好ましい。
図20は、第1基板2016を保持した第1基板ホルダ2014を概略的に示す平面図である。第1基板ホルダ2014は、ホルダ本体2022および結合部としての吸着ユニット2030を有して、全体としては第1基板2016よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体2022は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体2022は、第1基板2016を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。第1基板2016の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的には、ホルダ本体2022に埋め込まれた電極に、ホルダ本体2022の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、第1基板ホルダ2014と第1基板2016との間に電位差を生じさせて、第1基板2016を第1基板ホルダ2014に吸着させる。なお、第1基板2016の吸着面は、回路領域2021が設けられた面とは反対の面である。
吸着ユニット2030は、第1基板2016を保持する表面において、保持した第1基板2016よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個の吸着ユニット2030が配されている。具体的な構成については後述する。
第1基板ホルダ2014には、第1基板2016を保持する領域とそれぞれの吸着ユニット2030との間の領域に、ホルダ本体2022を貫通する第1貫通穴2101が設けられている。第1貫通穴2101は、図の場合、各々の吸着ユニット2030の組と第1基板2016を保持する領域との間にそれぞれ3個ずつ設けられているが、例えば、吸着ユニット2030の個数分設けても良いし、吸着ユニット2030の組の形状に合わせて長穴形状に設けても良い。
図21は、第2基板2017を保持した第2基板ホルダ2015を概略的に示す平面図である。第2基板ホルダ2015は、ホルダ本体2023および結合部としてのマグネットユニット2031を有して、全体としては第2基板2017よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体2023は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体2023は、第2基板2017を保持する領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。第2基板2017の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的には、ホルダ本体2023に埋め込まれた電極に、ホルダ本体2023の裏面に設けられた電圧印加端子を介して電圧を加えることにより、第2基板ホルダ2015と第2基板2017との間に電位差を生じさせて、第2基板2017を第2基板ホルダ2015に吸着させる。なお、第2基板2017の吸着面は、回路領域2021が設けられた面とは反対の面である。
マグネットユニット2031は、第2基板2017を保持する表面において、保持した第2基板2017よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個のマグネットユニット2031が配されている。
マグネットユニット2031は、第1基板ホルダ2014の吸着ユニット2030とそれぞれ対応するように配置されている。そして、第1基板2016を保持した第1基板ホルダ2014と、第2基板2017を保持した第2基板ホルダ2015を、互いに向かい合わせて吸着ユニット2030とマグネットユニット2031を作用させると、第1基板2016と第2基板2017を重ね合わせた状態で挟持して固定することができる。このように挟持されて固定された状態が基板ホルダ対2018である。具体的な構成および吸着の作用等については後述する。
第2基板ホルダ2015には、第2基板2017を保持する領域とそれぞれのマグネットユニット2031との間の領域に、ホルダ本体2023を貫通する第2貫通穴2102が設けられている。第2貫通穴2102は、図の場合、各々のマグネットユニット2031の組と第2基板2017を保持する領域との間にそれぞれ3個ずつ設けられているが、例えば、マグネットユニット2031の個数分設けても良いし、マグネットユニット2031の組の形状に合わせて長穴形状に設けても良い。第1貫通穴2101と第2貫通穴2102は、塵埃流入抑止機構を構成するが、具体的な作用については後述する。
図22は、アライメント装置2011において、基板ホルダ対2018の形成直前の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、第1基板2016を保持した第1基板ホルダ2014が、アライメント装置2011の第1ステージ2051に真空吸着固定され、第2基板2017を保持した第2基板ホルダ2015が、アライメント装置2011の第2ステージ2052に真空吸着固定された状態の断面図である。特に、図20および図21で示すそれぞれA−A線に沿った断面図を表す。
第1基板ホルダ2014は、第1ステージ2051の内部を通って表面に連通する第1吸気配管2071が吸気装置2075による吸引力を発揮して、第1ステージ2051の表面に真空吸着固定される。第1吸気配管2071は、第1ステージ2051の表面に対して複数に枝分かれしており、第1基板ホルダ2014の裏面を広く均一に吸引する。吸気装置2075の吸引力は、第1バルブ2073により調整され、第1基板ホルダの14の着脱を制御する。
同様に、第2基板ホルダ2015は、第2ステージ2052の内部を通って表面に連通する第2吸気配管2072が吸気装置2075による吸引力を発揮して、第2ステージ2052の表面に真空吸着固定される。第2吸気配管2072は、第2ステージ2052の表面に対して複数に枝分かれしており、第2基板ホルダ2015の裏面を広く均一に吸引する。吸気装置2075の吸引力は、第2バルブ2074により調整され、第2基板ホルダの15の着脱を制御する。
第1ステージ2051は、第2基板2017に対して第1基板2016を積層する方向であるZ軸方向と、Z軸にそれぞれ直交するX軸、Y軸方向に移動することができる。アライメント装置2011は、第1基板2016を観察できるようにアライメント装置2011に配置された第1顕微鏡と、第2基板2017を観察できるようにアライメント装置2011に配置された第2顕微鏡とを用いて、第1基板2016と第2基板2017を位置合わせする。
具体的には、それぞれの顕微鏡により、観察対象となる各基板のアライメントマークを撮像し、撮像された撮像データを画像処理することで、アライメントマークの精確な位置を検出する。そして、対応するアライメントマーク同士の位置ずれ量を演算し、その位置ずれ量に応じて第1ステージ2051を移動させて、第1基板2016と第2基板2017を対向させる。これにより、第1基板2016の回路領域2021のそれぞれが、第2基板2017の対応する回路領域2021のそれぞれに対向する。なお、位置ずれ量の演算は、例えば、第1基板2016の複数のアライメントマークと、第2基板2017の複数のアライメントマークが重ね合わされたときに、相互の位置ずれ量が最も小さくなるように統計的に決定されるグローバルアライメント法等を用いて演算される。
第1基板2016を第2基板2017に対して位置合わせを行うとき、すなわち、第1ステージ2051をXY平面内で移動させるときには、第1基板2016と第2基板2017が接触しないように、両者の間に若干の隙間を形成する。この状態において吸着ユニット2030がマグネットユニット2031に結合しないように、第2ステージ2052は、複数の結合規制ユニット2053を備える。
結合規制ユニット2053は、主に、柱状の部材であるプッシュピン2054とこれを駆動するシリンダー部2055から構成される。プッシュピン2054は、伸長位置において、第2基板ホルダ2015に設けられたホルダ挿通孔2024と、これに一致するように位置合わせされて配設されているマグネットユニット2031に設けられたマグネット挿通孔2032の内部を通って、その先端がマグネット挿通孔2032より突出する。収納位置においては、シリンダー部2055の内部にその一部が収納されて、それぞれの挿通孔から退避する。つまり、プッシュピン2054は、それぞれの挿通孔の内部で、シリンダー部2055の駆動によりZ軸方向に進退する。
図22に示すような、第1基板2016と第2基板2017が相対的にXY方向に移動され得るときには、プッシュピン2054は、吸着ユニット2030の上面に接触するように伸長位置に制御され、吸着ユニット2030のマグネットユニット2031への結合を阻止する。つまり、吸着ユニット2030は吸着子2033とこれを固定する板バネ2034から構成さるが、板バネ2034が弾性変形して吸着子2033がマグネットユニット2031へ結合しないように、プッシュピン2054が吸着子2033を上方から押さえつけて、板バネ2034の弾性変形を抑制する。
なお、アライメント装置2011による第1基板2016と第2基板2017の位置合わせは、最終的な微調整段階においては、プッシュピン2054の先端が吸着ユニット2030の上面を摺動する程度の移動量において実行される。それ以外の段階である、例えば顕微鏡によるアライメントマークの観察段階においては、第1基板2016と第2基板2017は、XYZ軸方向へ相対的に大きく離れた状態となるので、吸着ユニット2030がマグネットユニット2031へ予期せず結合することはない。したがって、プッシュピン2054は、マグネットユニット2031の磁力が吸着ユニット2030へ及び、かつ、両者の結合を規制したいときに、伸長位置に制御され、それ以外のときには収納位置に制御される。
第1吸気配管2071から枝分かれして第1ステージ2051の表面に連通する分岐管の一部は、第1連通管2111として、第1ステージ2051に固定された第1基板ホルダ2014の第1貫通穴2101に接続される。また、第2吸気配管2072から枝分かれして第2ステージ2052の表面に連通する分岐管の一部は、第2連通管2112として、第2ステージ2052に固定された第2基板ホルダ2015の第2貫通穴2102に接続される。また、第1吸気配管2071から枝分かれして第1ステージ2051の表面に連通する分岐管の他の一部は、第3連通管2113として、第1ステージ2051に固定された第1基板ホルダ2014の板バネ2034の裏面側の空間に接続される。
図23は、アライメント装置2011において、基板ホルダ対2018の形成直後の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、図22の状態から、第1基板2016の表面と第2基板2017の表面が接触するように第1ステージ2051をZ軸方向に駆動した状態を示し、さらに、プッシュピン2054が収納位置に制御されて、吸着ユニット2030がマグネットユニット2031に結合した状態を示す。
図22の状態から図23の状態へ移行する過程において、第1基板2016と第2基板2017が位置合わせされ、結合部材であるマグネットユニット2031と被結合部材である吸着ユニット2030が結合する。そして、第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015が一体化され、基板ホルダシステムとしての基板ホルダ対2018を形成する。
アライメント装置2011においてZ軸方向は重力方向であり、第1ステージ2051は、第2ステージ2052よりも下方に位置する。すると、重力方向に対する各面の関係は、上から下へ順に、第2基板ホルダ2015の第2基板2017の保持面、第2基板2017と第1基板2016の接合面、第1基板ホルダ2014の第1基板2016の保持面が位置することになる。
図22の状態から図23の状態へ移行する過程において、プッシュピン2054を収納位置に移動させる動作に伴って、板バネ2034が弾性変形し、吸着ユニット2030がマグネットユニット2031に結合する。このとき、吸着ユニット2030の吸着子2033は、ある程度の衝撃を伴ってマグネットユニット2031に結合する。そこでこの時の、吸着子2033とマグネットユニット2031の接触面の重力方向の位置は、第2基板2017と第1基板2016の接合面より下方に位置するように設定する。好ましくは、第1基板ホルダ2014の第1基板2016の保持面よりも更に下方に位置するように設定する。
このような位置関係となるように設定すると、たとえ吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって塵埃が発生し、飛散するとしても、塵埃が重力により落下し、第1基板2016と第2基板2017の間に入り込まないことが期待できる。それでも一部の塵埃が第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015の間の空間から第1基板2016および第2基板2017の方向へ向かう場合、第1貫通穴2101または第2貫通穴2102からこれらの塵埃が回収されることが期待できる。
具体的には、第1連通管2111に接続されている第1貫通穴2101、および、第2連通管2112に接続されている第2貫通穴2102は共に、吸気装置2075の作用により吸気状態にあり、その開口付近の雰囲気を吸い込む。そして、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって発生した塵埃の一部がこれらの開口付近を通過しようとするとき、周囲の雰囲気ごといずれかの開口に吸い込まれて第1吸気配管2071または第2吸気配管2072へ回収される。つまり、発生した塵埃は、第1基板2016と第2基板2017の間に入り込むことなく、その手前で回収されることが期待できる。基板間に入り込む塵埃は、回路動作に不良をもたらし、さらに接合強度不足を招くことにもなるが、上記のような構成を採用することにより、このような不都合を軽減することができる。
さらに、板バネ2034の裏面側の空間には第3連通管2113が接続されており、第3連通管2113からも、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって発生した塵埃が回収されることを期待できる。つまり、第3連通管2113も吸気装置2075の作用により吸気状態にあり、板バネ2034の裏面側の空間の雰囲気を吸い込むので、発生した塵埃は雰囲気ごと吸引され第1吸気配管2071へ回収される。
なお、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031が結合する時点から所定時間の間だけ、第1バルブ2073および第2バルブ2074を調整して第1吸気配管2071と第2吸気配管2072の吸引力を強くしても良い。このように吸引力を強くすることで、塵埃をより高い確率で回収することができる。
基板ホルダ対2018が形成された後は、基板ホルダ対2018は、第2ステージ2052からの真空吸着が解除され、第1ステージ2051によって引き下げられて、搬送装置2013により接合装置2012へ搬送される。搬送装置2013の搬送機構および接合装置2012の接合工程については後述する。
次に、マグネットユニット2031の構成について説明する。図24は、マグネットユニット2031を概略的に示す斜視図である。マグネットユニット2031は、磁石2036、磁石2036を収容して支持する支持部2035を備える。
支持部2035は、磁石2036を収容する円筒状の収容部を有し、また、第2基板ホルダ2015に固定するネジを貫通させるネジ穴2037を有する。支持部2035は、例えば炭素鋼S25Cにより形成される。支持部2035は、吸着子2033と対向する対向面2040を有する。磁石2036は、支持部2035の収容部に嵌入される円柱形をなした永久磁石であり、例えば、8N程度の大きさの磁力を有する。磁石2036の中心軸には、プッシュピン2054を挿通する挿通孔2038が設けられており、この挿通孔2038に接続するように、支持部2035にも挿通孔2039が設けられている。この2つの挿通孔により、マグネット挿通孔2032を形成する。
次に、吸着ユニット2030の構成について説明する。図25は、吸着ユニット2030の板バネ2034を概略的に示す平面図である。板バネ2034は、第2基板2017を保持する第2基板ホルダ2015の保持面に直交する方向に弾性を有する弾性部材であり、例えば、SUS631等の高強度析出硬化型ステンレス鋼により形成される。また、板バネ2034は、中心付近の円形部43と耳状に突出した取付け部2044からなり、中心部の直径は22mmであり、厚さは0.1mmである。
円形部43には、互いに同一方向に沿って伸び、かつ伸長方向に直交する方向へ間隔をおいて配置される一対のスリット2046が形成されている。各スリット2046は、円形部43の中心からの距離が互いに等しい。この2つのスリット2046により、円形部43の中心付近に帯状部2048が形成される。帯状部2048には、円形部43の中心となる位置に、吸着子2033を固定させる貫通穴2047が設けられている。同様に、取付け部2044には、板バネ2034を第2基板ホルダ2015に固定するネジを貫通させるネジ穴2045を有する。板バネ2034は、第2基板ホルダ2015に対し、2つのネジ穴2045が第2基板ホルダ2015の周方向に沿い、かつ、スリット2046の伸長方向が第2基板ホルダ2015の略径方向に沿うように、ホルダ本体2023の周縁部に配置される。
図26は、板バネ2034が弾性変形した状態を概略的に示す斜視図である。具体的には、板バネ2034に固定された吸着子2033が、マグネットユニット2031に吸引されて結合したときの変形状態を表す。ただし、図においては吸着子2033は示されていない。
板バネ2034は、吸着子2033がマグネットユニット2031に吸引されることにより、帯状部2048が貫通穴2047を頂点とするように浮き上がり、これに伴って、円形部43の周辺部のうち帯状部2048と接続される2つの部分が互いに近づこうとするように弾性変形する。このとき、各スリット2046は、それぞれの変形を許容するように、開口形状を変形させる。
図27は、図26で示す板バネ2034の変形状態において、吸着子2033を含めて示す斜視図である。吸着子2033は、貫通穴2047を介して、ネジ等の締結部材により板バネ2034に固定されている吸着子2033は、強磁性体により形成される。例えば、炭素鋼S25Cにより形成される。
図28は、マグネットユニット2031と吸着ユニット2030の結合作用を示す断面図である。特に、図20および図21で示すそれぞれB−B線に沿った断面図を表す。ただし、第1基板2016、第2基板2017およびプッシュピン2054等の記載は省略している。図28は、吸着子2033がマグネットユニット2031へ結合する前の状態を表す。また、図29は、図28と同一の断面部において、吸着子2033がマグネットユニット2031へ結合した後の状態を表す。
図示されるように、マグネットユニット2031は、第2基板ホルダ2015の表面にネジを介して固定されている。そして、吸着子2033と対向する対向面2040は、第1基板ホルダ2014の第1基板2016の保持面より下方に位置する。すなわち、第1基板ホルダ2014には、吸着ユニット2030が設置される領域に対応して、第1基板2016の保持面より一段低い面が形成された凹部2025が設けられている。つまり、マグネットユニット2031が吸着子2033と接触する接触予定面である対向面2040は、第1基板2016の表面と第2基板2017の表面が接する状態においては、この凹部2025の空間内に位置する。
凹部2025には、吸着子2033の上下移動を許容する貫通孔2026が設けられている。また、第1基板ホルダ2014のうち第1基板2016の保持面とは反対の面である裏面側からは、貫通孔2026の周囲に凹部2027が設けられており、この凹部に収まるように板バネ2034と、板バネ2034を第1基板ホルダ2014に対して固定するネジが配置されている。
図28の状態から図29の状態への変化が示すように、吸着子2033が固定される帯状部2048は、吸着子2033が磁石2036に吸引されることにより弾性変形する。このとき、取付け部2044は第1基板ホルダ2014に固定されたままであるので、板バネ2034は、第1基板2016と第2基板2017を挟持して第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015を互いに引き寄せる方向に付勢して釣り合う。
図30は、結合規制ユニット2053を概略的に示す縦断面図である。結合規制ユニット2053は、マグネットユニット2031に対応して第2基板ホルダ2015に複数配置されている。シリンダー部2055には、シリンダー部2055の内部の気圧を調整するエアーポンプ2056が接続されている。制御部は、エアーポンプ2056を制御することにより、プッシュピン2054を進退させる。つまり、プッシュピン2054の少なくとも一部がシリンダー部2055の内部に位置する収納位置と、プッシュピン2054の先端2057が吸着子2033を押す伸長位置とを制御する。したがって、プッシュピン2054が吸着子2033を押す押圧力は、板バネ2034の弾性力に抗する大きさを有する。なお、プッシュピン2054の先端2057は、吸着子2033と点接触するように、球状に加工されている。
図31は、基板ホルダ対2018を搬送装置2013が把持する状態を概略的に示す側面図である。搬送装置2013は、アーム部2020と、これに接続される把持部2019を備える。把持部2019は、基板ホルダ対2018を下方から支持する支持板2062と、上方から押さえる押え板2063とを有する。支持板2062には、基板ホルダ対2018を真空吸着固定する吸気孔が設けられており、この作用により基板ホルダ対2018は支持板2062に固定される。
押え板2063は、支持板2062の端部に設けられた支柱2064に設けられ、基板ホルダ対2018を挟み込む方向に進退できる。押え板2063が、支持板2062に固定された基板ホルダ対2018に押圧力を作用させることにより、押え板2063と支持板2062で基板ホルダ対2018を挟持することができる。搬送装置2013は、この状態でアーム部2020を作動させることにより、基板ホルダ対2018をアライメント装置2011から接合装置2012へ搬送する。
図32は、接合装置2012の要部を概略的に示す側面図である。接合装置2012は、第1基板ホルダ2014の下方に配置された下部加圧ステージ2065と、第2基板ホルダ2015の上方に配置された上部加圧ステージ2066とを備える。上部加圧ステージ2066は、下部加圧ステージ2065と協働して基板ホルダ対2018を加圧すべく、下部加圧ステージ2065に接近する方向に移動できる。下部加圧ステージ2065および上部加圧ステージ2066の内部にはヒータが内蔵されており、載置された基板ホルダ対2018に加圧だけでなく、加熱も行うことができる。基板ホルダ対2018が加圧、加熱されることにより、第1基板2016と第2基板2017の互いに接触した電極同士が溶着する。これにより第1基板2016と第2基板2017のそれぞれ対応する回路領域2021が接合される。
(第2実施形態の変形例1)
図33は、第2実施形態の第1の変形例としての塵埃流入抑止機構を備える第1基板ホルダ2014を概略的に示す平面図である。図20を用いて説明した第1基板ホルダ2014は、第1基板2016を保持する領域とそれぞれの吸着ユニット2030との間の領域に、ホルダ本体2022を貫通する第1貫通穴2101が設けられていた。これに対し本変形例においては、これらの第1貫通穴2101に加えて、第1基板2016を保持する領域を取り囲むように複数の貫通穴を設ける。これらの貫通穴全体として、ホルダ本体2022上に円環貫通穴2121を形成する。
第1基板ホルダ2014の円環貫通穴2121に対応して、第2基板ホルダ2015にも円環状に貫通穴を複数設ける。そして、第1貫通穴2101に接続される第1連通管2111、第2貫通穴2102に接続される第2連通管2112のように、第1ステージ2051または第2ステージ2052に真空吸着されたときに、それぞれの貫通穴は対応する連通管に接続される。連通管に接続された貫通穴は、吸気装置2075による作用により、その開口付近の雰囲気を吸気する。このように構成された基板ホルダ対2018によれば、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって発生する塵埃だけでなく、周辺雰囲気に浮遊する塵埃についても、第1基板2016と第2基板2017の間に入り込むことなく、その手前で回収されることが期待できる。
なお、上記の実施形態においては、第1吸気配管2071または第2吸気配管2072から枝分かれさせた連通管を用いて貫通穴から吸気するように構成した。しかし、第1基板ホルダ2014の貫通穴または第2基板ホルダの貫通穴と接続されるそれぞれの連通管の少なくとも一方を、第1吸気配管2071または第2吸気配管2072とは別系統として設けても良い。そして、一方を吸気、他方を噴気として制御すれば、基板を保持する領域の周囲にエアカーテンを形成することができ、この領域の外部から塵埃が侵入することを防ぐことが期待できる。
(第2実施形態の変形例2)
図34は、第2実施形態の第2の変形例としての塵埃流入抑止機構を備える第1基板ホルダ2014を概略的に示す平面図である。図20を用いて説明した第1基板ホルダ2014は、第1基板2016を保持する領域とそれぞれの吸着ユニット2030との間の領域に、ホルダ本体2022を貫通する第1貫通穴2101が設けられていた。これに対し本変形例においては、第1貫通穴2101に代えて、第1基板2016の保持面から凸状に突出させて第1防塵壁2131を形成する。第1防塵壁2131は、図の場合、吸着ユニット2030の組に対応して円弧状に3つ設ける。円弧の中心角は、一組の吸着ユニット2030が円周方向に占める円弧に対する中心角よりも大きく設定されている。
図35は、第2の変形例としての塵埃流入抑止機構を備える第2基板ホルダ2015を概略的に示す平面図である。図21を用いて説明した第2基板ホルダ2015は、第2基板2017を保持する領域とそれぞれのマグネットユニット2031との間の領域に、ホルダ本体2023を貫通する第2貫通穴2102が設けられていた。これに対し本変形例においては、第2貫通穴2102に代えて、第2基板2017の保持面から凸状に突出させて第2防塵壁2132を形成する。第2防塵壁2132は、図の場合、マグネットユニット2031の組に対応して円弧状に3つ設ける。円弧の中心角は、一組のマグネットユニット2031が円周方向に占める円弧に対する中心角よりも大きく設定されている。
図36は、第2の変形例としての基板ホルダ対2018形成直後の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、第1基板2016を保持した第1基板ホルダ2014が、アライメント装置2011の第1ステージ2051に真空吸着固定され、第2基板2017を保持した第2基板ホルダ2015が、アライメント装置2011の第2ステージ2052に真空吸着固定された状態の断面図である。特に、図34および図35で示すそれぞれC−C線に沿った断面図を表す。
図示するように、第1防塵壁2131と第2防塵壁2132は、第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015を重ね合わせたときに、入れ子状に形成されている。第1防塵壁2131の高さは、第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015を重ね合わせたときに、第1基板2016と第2基板2017の接触面を越えて第2基板ホルダ2015側まで伸び、かつ、第2基板2017を保持する第2基板ホルダ2015の保持面に接触しない高さである。第2防塵壁2132の高さは、第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015を重ね合わせたときに、第1基板2016と第2基板2017の接触面を越えて第1基板ホルダ2014側まで伸び、かつ、第1基板2016を保持する第1基板ホルダ2014の保持面に接触しない高さである。そして、互いの防塵壁が干渉しないように、例えば第1防塵壁2131が第2防塵壁2132よりも外周側に形成されている。外周側または内周側の関係は、逆であっても良いし、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の組み合わせごとに変更しても良い。
このように構成することにより、たとえ吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって塵埃が発生し、飛散するとしても、塵埃が直接的に第1基板2016および第2基板2017の方向へ向かうことがない。すなわち、飛散する塵埃は、第1基板2016または第2基板2017まで到達する前に、第1防塵壁2131または第2防塵壁2132に侵入を阻まれ、これらに付着することが期待できる。
なお、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の接触面の重力方向の位置が、第1基板ホルダ2014の第1基板2016の保持面よりも下方に位置するように設定されている場合、第1防塵壁2131を第2防塵壁2132よりも外周側に設けることが好ましい。これにより、塵埃が第1基板2016および第2基板2017の方向へより向かいにくい経路とすることができる。
第1防塵壁2131および第2防塵壁2132の形状は上述のような円弧形状に限らない。例えば、第1防塵壁2131は、吸着ユニット2030の組ごとに取り囲むように、円弧形状に放射形状の部分を加えても良い。これに対応して、第2防塵壁2132は、マグネットユニット2031についても、それぞれの組を取り囲むように、円弧形状に放射形状の部分を加える。また、第1防塵壁2131を、第1基板2016を保持する領域の周囲を取り囲むように円形状に形成してもよい。これに対応して、第2防塵壁2132も、第2基板2017を保持する領域の周囲を取り囲むように円形状に形成する。以上のような形状であっても、円弧形状と同様に、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって発生する塵埃が第1基板2016および第2基板2017へ到達する経路を複雑化させることができるので、防塵効果を期待できる。
(第2実施形態の変形例3)
図37は、第2実施形態の第3の変形例としての塵埃流入機構を備えるマグネットユニット2031の外観斜視図である。本変形例におけるマグネットユニットは、図24を用いて説明したマグネットユニット2031に対して更にシールド部2141を備える。シールド部2141は、支持部2035の円筒外装に嵌合して装着され、対向面2040を外周方向から覆うようにスカート形状により形成されている。
図38は、シールド部2141を装着したマグネットユニット2031が吸着ユニット2030に接触した状態を示す断面図である。吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の接触面の重力方向の位置は、第1基板ホルダ2014の第1基板2016の保持面よりも更に下方に位置するように設定されている。したがって、第1基板ホルダ2014と第2基板ホルダ2015が重ね合わされるときには、シールド部2141が第1基板ホルダ2014の第1基板2016の保持面よりも下方に侵入できるように、凹部2025は逃げ部としての役割を担う。
このようなシールド部2141を備えるマグネットユニット2031によれば、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって発生する塵埃をシールド部2141の内部で捕獲することができる。したがって、第1基板2016および第2基板2017へ到達する塵埃を極めて少なくすることが期待できる。
なお、シールド部2141は、マグネットユニット2031に対して着脱自在に形成されても良い。着脱自在であれば、塵埃によりシールド部2141の内部が汚損された場合でも取り替えることができ、メンテナンスが容易である。逆に、シールド部2141を支持部2035と一体的に形成しても良い。一体的に形成すれば、部品点数を削減することができ、組み立ても容易となる。
上述のように、第2基板ホルダ2015のホルダ本体2023には電極が埋め込まれており、第2基板ホルダ2015と第2基板2017との間に電位差を生じさせて、第2基板2017を第2基板ホルダ2015に吸着させている。そこで、この電極と接続する帯電部をシールド部2141に設けて、シールド部2141を帯電させるように構成しても良い。シールド部2141を帯電させると、塵埃を吸着させる効果を期待できるので、より塵埃捕獲の効率を上げることができる。
また、上記の変形例においては、マグネットユニット2031に対してシールド部を設けた。しかし、吸着子2033に対してシールド部2141を装着するように構成しても良い。このように構成しても、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合衝撃によって発生する塵埃の飛散を抑制することができる。
以上説明したように、いずれの実施形態においても基板ホルダ対2018には、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031を結合させた状態で、第1基板2016および第2基板2017の載置領域側への塵埃の流入を抑止することができる。すなわち、吸着ユニット2030とマグネットユニット2031の結合時の衝撃により両者から発生する塵埃の流入を抑止できる。また、結合後に基板ホルダ対2018として搬送される時に、第1基板ホルダ2014および第2基板ホルダ2015の間に侵入する塵埃の、第1基板2016および第2基板2017の載置領域側への流入についても抑止されることが期待できる。したがって、基板ホルダ対2018を用いて製造されるデバイスに対しては、塵埃の侵入による回路不良が抑制された、高品質を期待できる。また、製造工程においても高い歩留まりが期待できる。
(第3実施形態)
図39は、本実施形態に係る基板接合装置3010を概略的に示す説明図である。基板接合装置3010は、半導体ウェハである第1基板3016と、これに積層する半導体ウェハである第2基板3017の相対的な位置合わせを行うアライメント装置3011を備える。また、アライメント装置3011により位置合わせされた第1基板3016および第2基板3017を、互いに接合する接合装置3012を備える。接合装置3012は、第1基板3016と第2基板3017を加圧、または、加圧および加熱して恒久的な接合を実現する。
第1基板3016は、第1基板ホルダ3014に保持されており、第2基板3017は、第2基板ホルダ3015に保持されている。アライメント装置3011では、第1基板3016と第2基板3017が位置合わせされると、第1基板ホルダ3014と第2基板ホルダ3015はこれらを挟持して一体化され、基板ホルダ対3018を形成する。具体的な基板ホルダ対3018の構成については後述する。
基板接合装置3010は、更に、アライメント装置3011で一体化された基板ホルダ対3018を接合装置3012へ搬送する搬送装置3013を備える。また、搬送装置3013は、半導体ウェハ、基板ホルダ単体でも装置間を搬送することができる。搬送装置3013は、基板ホルダ対3018等の把持物を把持する把持部3019と、回転、伸縮動作により把持物を所定の位置へ移動させるアーム部3020を備える。
図40は、本実施形態に係る半導体ウェハを概略的に示す平面図である。半導体ウェハである第1基板3016、第2基板3017は、単一の単結晶シリコンからなる円形の薄板部材からなり、その一面に複数の回路領域3021が造り込まれている。マトリックス状に区画形成された回路領域3021には、トランジスタ、抵抗体およびキャパシタ等の回路素子が形成されている。回路素子は、リソグラフィ技術を中核として、薄膜形成技術、エッチング技術および不純物拡散技術等の成形技術を用いて形成される。また、それぞれの回路領域3021の内部には、アライメントマークが設けられている。アライメントマークは、基板同士の位置合わせに用いられる指標である。第1基板3016および第2基板3017のそれぞれに設けられている複数のアライメントマークは、その設計座標値が個別にメモリに格納され、管理されている。なお、積層の対象となる半導体ウェハは、既に積層されていてさらに他の半導体ウェハを積み重ねる半導体ウェハであっても良い。この場合、既に積層されている回路層は、薄化工程を経て不要な厚みを除去されていることが好ましい。
図41は、第1基板3016を保持した第1基板ホルダ3014を概略的に示す平面図である。第1基板ホルダ3014は、ホルダ本体3022および結合部としての吸着ユニット3030を有して、全体としては第1基板3016よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体3022は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体3022は、第1基板3016を載置して保持する、載置領域をその表面に備える。この載置領域は研磨されて高い平坦性を有する。図においては、ほぼ第1基板3016の外周に囲まれた領域が載置領域に相当する。第1基板3016の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的な構成は後述する。なお、第1基板3016の吸着面は、回路領域3021が設けられた面とは反対の面である。
吸着ユニット3030は、第1基板3016を保持する表面において、第1基板3016の載置領域よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個の吸着ユニット3030が配されている。具体的な構成については後述する。
第1基板ホルダ3014には、第1基板3016の載置領域とそれぞれの吸着ユニット3030との間に、塵埃を捕獲する第1塵埃捕獲領域3101が設けられている。第1塵埃捕獲領域3101は、図の場合、各々の吸着ユニット3030の組と第1基板3016の載置領域との間にそれぞれ設けられているが、例えば、吸着ユニット3030の個数に合わせて設けることもできる。第1塵埃捕獲領域3101は、静電力を利用して、特に吸着ユニット3030から飛散してくる塵埃を捕獲する領域である。具体的な構成については後述する。
図42は、第2基板3017を保持した第2基板ホルダ3015を概略的に示す平面図である。第2基板ホルダ3015は、ホルダ本体3023および結合部としてのマグネットユニット3031を有して、全体としては第2基板3017よりも径がひとまわり大きな円板状をなす。ホルダ本体3023は、セラミックス、金属等の高剛性材料により一体成形される。
ホルダ本体3023は、第2基板3017を載置して保持する、載置領域をその表面に備える。この保持領域は研磨されて高い平坦性を有する。図においては、ほぼ第2基板3017の外周に囲まれた領域が載置領域に相当する。第2基板3017の保持は、静電力を利用した吸着により行われる。具体的な構成は後述する。なお、第2基板3017の吸着面は、回路領域3021が設けられた面とは反対の面である。
マグネットユニット3031は、第2基板3017を保持する表面において、第2基板3017の載置領域よりも外側である外周領域に複数配置される。図の場合、2個を一組として120度毎に合計6個のマグネットユニット3031が配されている。
マグネットユニット3031は、第1基板ホルダ3014の吸着ユニット3030とそれぞれ対応するように配置されている。そして、第1基板3016を保持した第1基板ホルダ3014と、第2基板3017を保持した第2基板ホルダ3015を、互いに向かい合わせて吸着ユニット3030とマグネットユニット3031を作用させると、第1基板3016と第2基板3017を重ね合わせた状態で挟持して固定することができる。このように挟持されて固定された状態が基板ホルダ対3018である。具体的な構成および吸着の作用等については後述する。
第2基板ホルダ3015には、第2基板3017の載置領域とそれぞれのマグネットユニット3031との間に、塵埃を捕獲する第2塵埃捕獲領域3102が設けられている。第2塵埃捕獲領域3102は、図の場合、各々のマグネットユニット3031の組と第2基板3017の載置領域との間にそれぞれ設けられているが、例えば、マグネットユニット3031の個数に合わせて設けることもできる。第2塵埃捕獲領域3102は、静電力を利用して、特にマグネットユニット3031から飛散してくる塵埃を捕獲する領域である。具体的な構成については後述する。
図43は、アライメント装置3011において、基板ホルダ対3018の形成直前の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、第1基板3016を保持した第1基板ホルダ3014が、アライメント装置3011の第1ステージ3051に真空吸着固定され、第2基板3017を保持した第2基板ホルダ3015が、アライメント装置3011の第2ステージ3052に真空吸着固定された状態の断面図である。特に、図41および図42で示すそれぞれA−A線に沿った断面図を表す。
第1基板ホルダ3014は、第1ステージ3051の内部を通って表面に連通する第1吸気配管3071が吸気装置3075による吸引力を発揮して、第1ステージ3051の表面に真空吸着固定される。第1吸気配管3071は、第1ステージ3051の表面に対して複数に枝分かれしており、第1基板ホルダ3014の裏面を広く均一に吸引する。吸気装置3075の吸引力は、第1バルブ3073により調整され、第1基板ホルダの14の着脱を制御する。
同様に、第2基板ホルダ3015は、第2ステージ3052の内部を通って表面に連通する第2吸気配管3072が吸気装置3075による吸引力を発揮して、第2ステージ3052の表面に真空吸着固定される。第2吸気配管3072は、第2ステージ3052の表面に対して複数に枝分かれしており、第2基板ホルダ3015の裏面を広く均一に吸引する。吸気装置3075の吸引力は、第2バルブ3074により調整され、第2基板ホルダの15の着脱を制御する。
第1ステージ3051は、第2基板3017に対して第1基板3016を積層する方向であるZ軸方向と、Z軸にそれぞれ直交するX軸、Y軸方向に移動することができる。アライメント装置3011は、第1基板3016を観察できるようにアライメント装置3011に配置された第1顕微鏡と、第2基板3017を観察できるようにアライメント装置3011に配置された第2顕微鏡とを用いて、第1基板3016と第2基板3017を位置合わせする。
具体的には、それぞれの顕微鏡により、観察対象となる各基板のアライメントマークを撮像し、撮像された撮像データを画像処理することで、アライメントマークの精確な位置を検出する。そして、対応するアライメントマーク同士の位置ずれ量を演算し、その位置ずれ量に応じて第1ステージ3051を移動させて、第1基板3016と第2基板3017を対向させる。これにより、第1基板3016の回路領域3021のそれぞれが、第2基板3017の対応する回路領域3021のそれぞれに対向する。なお、位置ずれ量の演算は、例えば、第1基板3016の複数のアライメントマークと、第2基板3017の複数のアライメントマークが重ね合わされたときに、相互の位置ずれ量が最も小さくなるように統計的に決定されるグローバルアライメント法等を用いて演算される。
第1基板3016を第2基板3017に対して位置合わせを行うとき、すなわち、第1ステージ3051をXY平面内で移動させるときには、第1基板3016と第2基板3017が接触しないように、両者の間に若干の隙間を形成する。この状態において吸着ユニット3030がマグネットユニット3031に結合しないように、第2ステージ3052は、複数の結合規制ユニット3053を備える。
結合規制ユニット3053は、主に、柱状の部材であるプッシュピン3054とこれを駆動するシリンダー部3055から構成される。プッシュピン3054は、伸長位置において、第2基板ホルダ3015に設けられたホルダ挿通孔3024と、これに一致するように位置合わせされて配設されているマグネットユニット3031に設けられたマグネット挿通孔3032の内部を通って、その先端がマグネット挿通孔3032より突出する。収納位置においては、シリンダー部3055の内部にその一部が収納されて、それぞれの挿通孔から退避する。つまり、プッシュピン3054は、それぞれの挿通孔の内部で、シリンダー部3055の駆動によりZ軸方向に進退する。
図43に示すような、第1基板3016と第2基板3017が相対的にXY方向に移動され得るときには、プッシュピン3054は、吸着ユニット3030の上面に接触するように伸長位置に制御され、吸着ユニット3030のマグネットユニット3031への結合を阻止する。つまり、吸着ユニット3030は吸着子3033とこれを固定する板バネ3034から構成さるが、板バネ3034が弾性変形して吸着子3033がマグネットユニット3031へ結合しないように、プッシュピン3054が吸着子3033を上方から押さえつけて、板バネ3034の弾性変形を抑制する。
なお、アライメント装置3011による第1基板3016と第2基板3017の位置合わせは、最終的な微調整段階においては、プッシュピン3054の先端が吸着ユニット3030の上面を摺動する程度の移動量において実行される。それ以外の段階である、例えば顕微鏡によるアライメントマークの観察段階においては、第1基板3016と第2基板3017は、XYZ軸方向へ相対的に大きく離れた状態となるので、吸着ユニット3030がマグネットユニット3031へ予期せず結合することはない。したがって、プッシュピン3054は、マグネットユニット3031の磁力が吸着ユニット3030へ及び、かつ、両者の結合を規制したいときに、伸長位置に制御され、それ以外のときには収納位置に制御される。
第1基板ホルダ3014のホルダ本体3022には、第1基板3016の載置領域に対応して、第1基板電極3116が埋め込まれている。第1基板電極3116は、第1基板配線3126により第1電圧印加端子3121に接続されている。第1ステージ3051には、第1電圧印加端子3121に対応する位置に第1電圧供給端子3131が設けられており、第1基板ホルダ3014が第1ステージ3051に固定されると、第1電圧印加端子3121と第1電圧供給端子3131が接続される。第1電圧供給端子3131には、第1ステージ3051内を通して設置される導線を介して、外部電源から電圧が供給される。外部電源から第1電圧供給端子3131への電圧供給は、アライメント装置3011の制御部により制御される。このような構成により、第1基板3016と第1基板ホルダ3014との間には電位差が発生し、第1基板3016は、第1基板ホルダ3014の載置領域に静電吸着されて、第1基板ホルダ3014に対する姿勢を維持する。
第2基板ホルダ3015のホルダ本体3023には、第2基板3017の載置領域に対応して、第2基板電極3117が埋め込まれている。第2基板電極3117は、第2基板配線3127により第2電圧印加端子3122に接続されている。第2ステージ3052には、第2電圧印加端子3122に対応する位置に第2電圧供給端子3132が設けられており、第2基板ホルダ3015が第2ステージ3052に固定されると、第2電圧印加端子3122と第2電圧供給端子3132が接続される。第2電圧供給端子3132には、第2ステージ3052内を通して設置される導線を介して、外部電源から電圧が供給される。外部電源から第2電圧供給端子3132への電圧供給は、アライメント装置3011の制御部により制御される。このような構成により、第2基板3017と第2基板ホルダ3015との間には電位差が発生し、第2基板3017は、第2基板ホルダ3015の載置領域に静電吸着されて、第2基板ホルダ3015に対する姿勢を維持する。
第1基板ホルダ3014のホルダ本体3022には更に、第1塵埃捕獲領域3101に対応して、第1塵埃捕獲電極3111が埋め込まれている。第1塵埃捕獲電極3111は、第1塵埃配線3113により第1電圧印加端子3121に接続されている。従って、第1基板ホルダ3014が第1ステージ3051に固定されると、第1塵埃捕獲電極3111にも電圧が供給される。このような構成において、第1塵埃捕獲電極3111に電圧を供給すると、第1塵埃捕獲領域3101は電荷を帯びる。浮遊する塵埃は多くの場合マイナスに帯電しているので、第1塵埃捕獲領域3101がプラスに帯電するように第1塵埃捕獲電極3111に電圧を供給すれば、これらの塵埃を第1塵埃捕獲領域3101へ引き寄せ、吸着させることができる。
上述のように、第1基板電極3116への電圧供給と第1塵埃捕獲電極3111への電圧供給は、共通した第1電圧印加端子3121を介して行われる。しかしながら、第1基板配線3126と第1塵埃配線3113の配線抵抗をそれぞれ異ならせるなどして、第1基板3016の載置領域における単位面積当たりの静電吸着力と、第1塵埃捕獲領域3101における単位面積当たりの静電吸着力に差を設けても良い。具体的には、浮遊する塵埃をより強力に引き寄せるべく、第1基板3016の載置領域における単位面積当たりの静電吸着力よりも、第1塵埃捕獲領域3101における単位面積当たりの静電吸着力が大きくなるように構成すると良い。
また、第1基板3016を載置する方向へ第1塵埃捕獲電極3111と第1基板電極3116を投影したときの形状が互いに重ならないように、それぞれ第1塵埃捕獲電極3111と第1基板電極3116の外形形状およびホルダ本体3022への埋め込み位置を定める。これにより、第1基板3016の載置領域と第1塵埃捕獲領域3101を分離することができるので、捕獲した塵埃が第1基板3016へ移動することを回避できる。
第2基板ホルダ3015のホルダ本体3023には更に、第2塵埃捕獲領域3102に対応して、第2塵埃捕獲電極3112が埋め込まれている。第2塵埃捕獲電極3112は、第2塵埃配線3114により第2電圧印加端子3122に接続されている。従って、第2基板ホルダ3015が第2ステージ3052に固定されると、第2塵埃捕獲電極3112にも電圧が供給される。このような構成において、第2塵埃捕獲電極3112に電圧を供給すると、第2塵埃捕獲領域3102は電荷を帯びる。第1塵埃捕獲領域3101と同様に、第2塵埃捕獲領域3102もプラスに帯電するように第2塵埃捕獲電極3112に電圧を供給すれば、これらの塵埃を第2塵埃捕獲領域3102へ引き寄せ、吸着させることができる。
第1基板ホルダ3014と同様に、第2基板3017の載置領域における単位面積当たりの静電吸着力よりも、第2塵埃捕獲領域3102における単位面積当たりの静電吸着力が大きくなるように構成することが望ましい。また、第2基板3017を載置する方向へ第2塵埃捕獲電極3112と第2基板電極3117を投影したときの形状が互いに重ならないように、それぞれ第2塵埃捕獲電極3112と第2基板電極3117の外形形状およびホルダ本体3023への埋め込み位置を定める。
図44は、アライメント装置3011において、基板ホルダ対3018の形成直後の状態を概略的に示す断面図である。具体的には、図43の状態から、第1基板3016の表面と第2基板3017の表面が接触するように第1ステージ3051をZ軸方向に駆動した状態を示し、さらに、プッシュピン3054が収納位置に制御されて、吸着ユニット3030がマグネットユニット3031に結合した状態を示す。
図43の状態から図44の状態へ移行する過程において、第1基板3016と第2基板3017が位置合わせされ、結合部材であるマグネットユニット3031と被結合部材である吸着ユニット3030が結合する。そして、第1基板ホルダ3014と第2基板ホルダ3015が一体化され、基板ホルダシステムとしての基板ホルダ対3018を形成する。
板バネ3034が弾性変形し、吸着ユニット3030がマグネットユニット3031に結合する過程において、吸着ユニット3030の吸着子3033は、ある程度の衝撃を伴ってマグネットユニット3031に結合する。このとき、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031の結合衝撃によって塵埃が発生し、飛散する場合がある。これらの塵埃が第1基板3016、第2基板3017の基板間および近傍に付着すると、その後の接合装置3012における接合工程において、不均一な加熱加圧を招き、接合強度不足を引き起こすことがある。また、完成した半導体デバイスにおいて、挟み込んだ塵埃により回路動作に不良をきたすこともある。
このような問題に対して本実施形態においては、少なくとも吸着ユニット3030がマグネットユニット3031に接触してからしばらくの間は、制御部が第1塵埃捕獲電極3111と第2塵埃捕獲電極3112に電圧を印加して、第1塵埃捕獲領域3101および第2塵埃捕獲領域3102で飛散する塵埃を捕獲する。このような構成を採用することにより、発生した塵埃は、第1基板3016と第2基板3017の間に入り込むことなく、その手前で回収されることが期待できる。
基板ホルダ対3018が形成された後は、基板ホルダ対3018は、第2ステージ3052からの真空吸着が解除され、第1ステージ3051によって引き下げられて、搬送装置3013により接合装置3012へ搬送される。搬送装置3013の搬送機構および接合装置3012の接合工程については後述する。
次に、マグネットユニット3031の構成について説明する。図45は、マグネットユニット3031を概略的に示す斜視図である。マグネットユニット3031は、磁石3036、磁石3036を収容して支持する支持部3035を備える。
支持部3035は、磁石3036を収容する円筒状の収容部を有し、また、第2基板ホルダ3015に固定するネジを貫通させるネジ穴3037を有する。支持部3035は、例えば炭素鋼S25Cにより形成される。支持部3035は、吸着子3033と対向する対向面3040を有する。磁石3036は、支持部3035の収容部に嵌入される円柱形をなした永久磁石であり、例えば、8N程度の大きさの磁力を有する。磁石3036の中心軸には、プッシュピン3054を挿通する挿通孔3038が設けられており、この挿通孔3038に接続するように、支持部3035にも挿通孔3039が設けられている。この2つの挿通孔により、マグネット挿通孔3032を形成する。
次に、吸着ユニット3030の構成について説明する。図46は、吸着ユニット3030の板バネ3034を概略的に示す平面図である。板バネ3034は、第2基板3017を保持する第2基板ホルダ3015の保持面に直交する方向に弾性を有する弾性部材であり、例えば、SUS631等の高強度析出硬化型ステンレス鋼により形成される。また、板バネ3034は、中心付近の円形部43と耳状に突出した取付け部3044からなり、中心部の直径は22mmであり、厚さは0.1mmである。
円形部43には、互いに同一方向に沿って伸び、かつ伸長方向に直交する方向へ間隔をおいて配置される一対のスリット3046が形成されている。各スリット3046は、円形部43の中心からの距離が互いに等しい。この2つのスリット3046により、円形部43の中心付近に帯状部3048が形成される。帯状部3048には、円形部43の中心となる位置に、吸着子3033を固定させる貫通穴3047が設けられている。同様に、取付け部3044には、板バネ3034を第2基板ホルダ3015に固定するネジを貫通させるネジ穴3045を有する。板バネ3034は、第2基板ホルダ3015に対し、2つのネジ穴3045が第2基板ホルダ3015の周方向に沿い、かつ、スリット3046の伸長方向が第2基板ホルダ3015の略径方向に沿うように、ホルダ本体3023の周縁部に配置される。
図47は、板バネ3034が弾性変形した状態を概略的に示す斜視図である。具体的には、板バネ3034に固定された吸着子3033が、マグネットユニット3031に吸引されて結合したときの変形状態を表す。ただし、図において吸着子3033は示されていない。
板バネ3034は、吸着子3033がマグネットユニット3031に吸引されることにより、帯状部3048が貫通穴3047を頂点とするように浮き上がり、これに伴って、円形部43の周辺部のうち帯状部3048と接続される2つの部分が互いに近づこうとするように弾性変形する。このとき、各スリット3046は、それぞれの変形を許容するように、開口形状を変形させる。
図48は、図47で示す板バネ3034の変形状態において、吸着子3033を含めて示す斜視図である。吸着子3033は、貫通穴3047を介して、ネジ等の締結部材により板バネ3034に固定されている吸着子3033は、強磁性体により形成される。例えば、炭素鋼S25Cにより形成される。
図49は、マグネットユニット3031と吸着ユニット3030の結合作用を示す断面図である。特に、図41および図42で示すそれぞれB−B線に沿った断面図を表す。ただし、第1基板3016、第2基板3017およびプッシュピン3054等の記載は省略している。図49は、吸着子3033がマグネットユニット3031へ結合する前の状態を表す。また、図50は、図49と同一の断面部において、吸着子3033がマグネットユニット3031へ結合した後の状態を表す。
図示されるように、マグネットユニット3031は、第2基板ホルダ3015の表面にネジを介して固定されている。そして、吸着子3033と対向する対向面3040は、第1基板ホルダ3014の第1基板3016の保持面より下方に位置する。すなわち、第1基板ホルダ3014には、吸着ユニット3030が設置される領域に対応して、第1基板3016の保持面より一段低い面が形成された凹部3025が設けられている。つまり、マグネットユニット3031が吸着子3033と接触する接触予定面である対向面3040は、第1基板3016の表面と第2基板3017の表面が接する状態においては、この凹部3025の空間内に位置する。
凹部3025には、吸着子3033の上下移動を許容する貫通孔3026が設けられている。また、第1基板ホルダ3014のうち第1基板3016の保持面とは反対の面である裏面側からは、貫通孔3026の周囲に凹部3027が設けられており、この凹部に収まるように板バネ3034と、板バネ3034を第1基板ホルダ3014に対して固定するネジが配置されている。
図49の状態から図50の状態への変化が示すように、吸着子3033が固定される帯状部3048は、吸着子3033が磁石3036に吸引されることにより弾性変形する。このとき、取付け部3044は第1基板ホルダ3014に固定されたままであるので、板バネ3034は、第1基板3016と第2基板3017を挟持して第1基板ホルダ3014と第2基板ホルダ3015を互いに引き寄せる方向に付勢して釣り合う。
図51は、結合規制ユニット3053を概略的に示す縦断面図である。結合規制ユニット3053は、マグネットユニット3031に対応して第2基板ホルダ3015に複数配置されている。シリンダー部3055には、シリンダー部3055の内部の気圧を調整するエアーポンプ3056が接続されている。制御部は、エアーポンプ3056を制御することにより、プッシュピン3054を進退させる。つまり、プッシュピン3054の少なくとも一部がシリンダー部3055の内部に位置する収納位置と、プッシュピン3054の先端3057が吸着子3033を押す伸長位置とを制御する。したがって、プッシュピン3054が吸着子3033を押す押圧力は、板バネ3034の弾性力に抗する大きさを有する。なお、プッシュピン3054の先端3057は、吸着子3033と点接触するように、球状に加工されている。
図52は、基板ホルダ対3018を搬送装置3013が把持する状態を概略的に示す側面図である。搬送装置3013は、アーム部3020と、これに接続される把持部3019を備える。把持部3019は、基板ホルダ対3018を下方から支持する支持板3062と、上方から押さえる押え板3063とを有する。支持板3062には、基板ホルダ対3018を真空吸着固定する吸気孔が設けられており、この作用により基板ホルダ対3018は支持板3062に固定される。
押え板3063は、支持板3062の端部に設けられた支柱3064に設けられ、基板ホルダ対3018を挟み込む方向に進退できる。押え板3063が、支持板3062に固定された基板ホルダ対3018に押圧力を作用させることにより、押え板3063と支持板3062で基板ホルダ対3018を挟持することができる。搬送装置3013は、この状態でアーム部3020を作動させることにより、基板ホルダ対3018をアライメント装置3011から接合装置3012へ搬送する。なお、搬送装置3013は、搬送中においても、第1電圧印加端子3121、第2電圧印加端子3122に電圧を供給できるように構成されている。これにより、第1基板3016、第2基板3017を静電吸着させることができ、搬送中においても基板と基板ホルダが相対的にずれる恐れがない。
図53は、接合装置3012の要部を概略的に示す側面図である。接合装置3012は、第1基板ホルダ3014の下方に配置された下部加圧ステージ3065と、第2基板ホルダ3015の上方に配置された上部加圧ステージ3066とを備える。上部加圧ステージ3066は、下部加圧ステージ3065と協働して基板ホルダ対3018を加圧すべく、下部加圧ステージ3065に接近する方向に移動できる。下部加圧ステージ3065および上部加圧ステージ3066の内部にはヒータが内蔵されており、載置された基板ホルダ対3018に加圧だけでなく、加熱も行うことができる。基板ホルダ対3018が加圧、加熱されることにより、第1基板3016と第2基板3017の互いに接触した電極同士が溶着する。これにより第1基板3016と第2基板3017のそれぞれ対応する回路領域3021が接合される。
(第3実施形態の変形例1)
図54は、第3実施形態の第1の変形例としての塵埃捕獲領域を備える第1基板ホルダ3014を概略的に示す平面図である。図41を用いて説明した第1基板ホルダ3014は、第1基板3016の載置領域とそれぞれの吸着ユニット3030との間に、塵埃を捕獲する第1塵埃捕獲領域3101が設けられていた。これに対し本変形例においては、これらの第1塵埃捕獲領域3101を接続して、第1基板3016の載置領域を取り囲むように円環状に塵埃捕獲領域3161を設ける。この塵埃捕獲領域3161に対応して、塵埃捕獲電極も円環状に形成してホルダ本体3022に埋め込む。
第1基板ホルダ3014の塵埃捕獲領域3161に対応して、第2基板ホルダ3015にも円環状の塵埃捕獲領域を設ける。このように構成された基板ホルダ対3018によれば、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031の結合衝撃によって発生する塵埃だけでなく、周辺雰囲気に浮遊する塵埃についても、第1基板3016と第2基板3017の間に入り込むことなく、その手前で捕獲されることが期待できる。
(第3実施形態の変形例2)
図55は、第3実施形態の第2の変形例としての塵埃捕獲領域を備える第1基板ホルダ3014を概略的に示す平面図である。図41を用いて説明した第1基板ホルダ3014は、第1基板3016の載置領域とそれぞれの吸着ユニット3030に挟まれた領域において円弧状に、塵埃を捕獲する第1塵埃捕獲領域3101が設けられていた。これに対し本変形例においては、これら円弧状の領域に加えて、さらに吸着ユニット3030の周囲を取り囲む領域を含むように塵埃捕獲領域3171を設定する。この塵埃捕獲領域3171に対応して、塵埃捕獲電極も吸着ユニット3030を取り囲む形状に形成してホルダ本体3022に埋め込む。
第1基板ホルダ3014の塵埃捕獲領域3161に対応して、第2基板ホルダ3015にもマグネットユニット3031を取り囲むように塵埃捕獲領域を設ける。このように構成された基板ホルダ対3018によれば、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031の結合衝撃によって発生する塵埃をより確実に捕獲できる。
(第3実施形態の変形例3)
図56は、第3実施形態の第3の変形例としての塵埃捕獲領域を備える第1基板ホルダ3014を概略的に示す平面図である。図41を用いて説明した第1基板ホルダ3014は、第1基板3016の載置領域とそれぞれの吸着ユニット3030との間に、塵埃を捕獲する第1塵埃捕獲領域3101が設けられていた。これに対し本変形例においては、これら第1塵埃捕獲領域3101に追加して搬送時塵埃捕獲領域3181を設ける。この搬送時塵埃捕獲領域3181に対応して、搬送時塵埃捕獲電極をホルダ本体3022に埋め込む。
第1基板ホルダ3014が搬送装置3013、その他のスライダー機構等で搬送されるときは、搬送方向に対する第1基板ホルダ3014の姿勢が予め定められていることが多い。そこで、第1基板ホルダ3014のうち搬送方向側の領域に搬送時塵埃捕獲領域3181を設けて、搬送方向前方より飛来する塵埃を捕獲し、第1基板3016へ付着することを防止する。搬送装置3013、その他のスライダー機構等で第1基板ホルダ3014を搬送するときに、搬送時塵埃捕獲領域3181が搬送方向側になるように、搬送装置側で第1基板ホルダ3014の姿勢を制御しても良い。
第1基板ホルダ3014の搬送時塵埃捕獲領域3181に対応して、第2基板ホルダ3015にも搬送時塵埃捕獲領域を設ける。このように構成された基板ホルダ対3018によれば、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031の結合衝撃によって発生する塵埃だけでなく、搬送時に飛来する塵埃についても、第1基板3016と第2基板3017の間に入り込むことなく、その手前で捕獲されることが期待できる。
第1塵埃捕獲領域3101および第2塵埃捕獲領域3102は、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031の結合衝撃によって発生する塵埃を捕獲することが目的であるが、搬送時塵埃捕獲領域3181は、搬送時に飛来する塵埃を捕獲することが目的である。したがって、それぞれの領域が作用する期間を、互いに異ならせると良い。具体的には、第1塵埃捕獲領域3101および第2塵埃捕獲領域3102が作用する期間は、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031が接触してからしばらくの期間であり、搬送時塵埃捕獲領域3181が作用する期間は、第1基板ホルダ3014、第2基板ホルダ3015が単独で搬送される期間、あるいは基板ホルダ対3018として搬送される期間である。搬送時塵埃捕獲電極は、第1塵埃捕獲電極3111および第2塵埃捕獲電極3112に対して独立して電圧印加できるように配線が分けられて構成されており、制御部は、状況に応じて選択的に塵埃捕獲領域を作用させることができる。
吸着ユニット3030とマグネットユニット3031の結合衝撃によって発生する塵埃が存在しない、または無視し得る程度であれば、第1塵埃捕獲領域3101および第2塵埃捕獲領域3102を省略することもできる。この場合、搬送時塵埃捕獲領域3181だけを設けて、搬送時に飛来する塵埃を捕獲させる。
以上説明した本実施形態は、各変形例を含めて第1基板3016および第2基板3017をそれぞれ第1基板電極3116および第2基板電極3117による静電吸着で吸着固定するものとして説明した。しかし、基板の吸着は静電吸着に限らない。それぞれのホルダに吸引孔をもうけて真空引きし、真空吸着により吸着固定するように構成しても良い。この場合であっても各塵埃捕獲領域において浮遊する塵埃を静電吸着することができる。
また、上記の第1基板ホルダ3014および第2基板ホルダ3015を用いて、基板接合装置3010によりデバイスを製造する場合は、第1基板3016および第2基板を重ね合わせる工程として、以下の工程を経る。すなわち、第1基板ホルダ3014に第1基板3016を載置する工程と、第2基板ホルダ3015に第2基板3017を載置する工程と、第1塵埃捕獲電極3111および第2塵埃捕獲電極3112の少なくとも一方に通電して静電力を発生させつつ、吸着ユニット3030とマグネットユニット3031を結合させて第1基板ホルダ3014と第2基板ホルダ3015を一体化させる工程である。
また、第1基板3016がチップ化される前の基板の状態で搬送される工程として、以下の工程を経る。すなわち、第1基板3016を第1基板ホルダ3014に載置する工程と、搬送時塵埃捕獲電極に通電して静電力を発生させつつ、第1基板ホルダ3014と共に第1基板3016を搬送する工程である。
以上の各実施形態で説明した塵埃流入抑止部を備えることにより、基板接合装置における各プロセスで発生しうる塵埃および基板ホルダ自身から発生し得る塵埃に対して、発生を抑制し、または、基板を挟持する領域への流入、付着を妨げる効果が期待できる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。