JPWO2010098353A1 - 低脂肪プロセスチーズおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

原材料として使用するチーズ混合物(原料チーズ混合物)の全量中において、水溶性窒素と全窒素の重量比(水溶性N/全N)が24.0%以上である原料チーズを使用し、溶融塩を添加し、加熱溶融工程を含むことを特徴とする、脂肪含量が22重量%以下であって脂肪/タンパク質比が1.0以下である低脂肪プロセスチーズの製造方法によって、チーズらしいコクと旨みが豊かで、口溶けが良好である低脂肪タイプのプロセスチーズが得られる。

Description

本発明は、低脂肪タイプのプロセスチーズとその製造方法に関する。具体的には、高熟度の原料チーズを用いることで、チーズらしいコクと旨みが豊かで、口溶けが良好である低脂肪タイプのプロセスチーズの製造方法に関する。
近年、健康への配慮から低脂肪タイプのプロセスチーズの需要が増加している。低脂肪タイプのプロセスチーズは、一般的に、通常のプロセスチーズと比較して、硬くボソボソとした食感であり、口溶けが悪く、チーズらしいコクや旨みといった風味の面でも劣っているため、広く普及していないのが現状である。
通常、プロセスチーズの製造では、溶融塩のはたらきによって、原料チーズ中のタンパク質である不溶性のカルシウム−パラカゼイネートが、水溶性のナトリウム−パラカゼイネートに変換されるとともに、カゼインが水和されて脂肪とO/W型の均一な乳化状態を形成する。この乳化状態は、脂肪とタンパク質の比率により大きな影響を受け、通常のプロセスチーズにおける脂肪とタンパク質の比率(脂肪/タンパク質比)は1以上である。
一方、低脂肪タイプのプロセスチーズの場合、脂肪含量が下がることにより、相対的にタンパク質含量が高くなる(脂肪/タンパク質比が小さくなる)。その結果、プロセスチーズの組織を構成している水溶性のナトリウム−パラカゼイネートの比率が高くなり、組織がより緻密で均一になって、通常のプロセスチーズと比較して硬く口溶けの悪い組織となると考えられる。
低脂肪タイプのプロセスチーズの物性を改良するための様々な試みがなされている。たとえば、特許文献1には、溶融塩としてクエン酸塩および/またはモノリン酸塩とW/O型乳化剤を併用して、低脂肪プロセスチーズを製造する方法が開示されている。この方法は、加熱調理時に適度なオイルオフが生じて均一に溶け、糸引き性を有するナチュラルチーズ様の低脂肪チーズを製造できるというものであるが、低脂肪チーズにおける口溶け等の食感や風味の改善効果を奏するものではない。
また、特許文献2には、低脂肪タイプのプロセスチーズの口溶けを改良するために、副原料にO/W型の乳化剤を使用する製造方法が提案されている。しかし、使用する乳化剤の種類や量によっては乳化剤由来の臭いや苦味が感じられる場合があり、口溶け等の食感を向上させる効果は記載されているものの、風味面の改善効果については言及されていない。一方、特許文献3には、タンパク質分解酵素を使用して、風味と物性を改良する低脂肪プロセスチーズの製造方法が提案されているが、酵素の不活性化が難しく、製品中に苦味を生じ易い等の問題がある。
日本国特開平6−276936号公報 日本国特開平9−154485号公報 日本国特開平9−51760号公報
このような技術背景のもと、本発明は、口溶けが良好な低脂肪プロセスチーズの製造方法と、この製造方法によって製造された低脂肪プロセスチーズを提供することを第一の目的とする。
さらに、低脂肪でありながらチーズらしいコクや旨みが豊かな低脂肪プロセスチーズの製造方法と、この製造方法によって製造された低脂肪プロセスチーズを提供することを第二の目的とする。
本発明者らは、ナチュラルチーズにおいて、熟成が進行するとともにタンパク質のネットワークが分解されて、その構造が脆弱化することに着目し、鋭意検討した結果、原料となるナチュラルチーズ(以下、原料チーズとも呼ぶ)を特定することによって、プロセスチーズの食感を改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明においては、低脂肪プロセスチーズを製造する際に使用する原料チーズ混合物において、熟度指標である水溶性窒素と全窒素の重量比(水溶性N/全N[重量%])を、24.0%以上に調整したものを、原料チーズ混合物として使用する。
本発明によって、低脂肪でありながら口溶けが良好な低脂肪プロセスチーズを製造できる。
さらに、本発明は、前述のように、熟度指標を用いて特定した原料チーズを使用することにより、口溶けの改善だけではなく、風味においても、従来の低脂肪タイプのプロセスチーズには無い、チーズらしいコクと旨味に富んだ低脂肪タイプのプロセスチーズを製造できるということも見出した。
すなわち本発明は、
[1]原材料として使用するチーズ混合物の全量中において、水溶性窒素と全窒素の重量比が24.0%以上である原料チーズを使用し、溶融塩を添加し、加熱溶融工程を含むことを特徴とする、脂肪含量が22重量%以下であって脂肪/タンパク質比が1.0以下である低脂肪プロセスチーズの製造方法、
[2]水溶性窒素と全窒素の重量比が25.0%以上である[1]に記載の低脂肪プロセスチーズの製造方法、
[3]水溶性窒素と全窒素の重量比が26.0%以上である[2]に記載の低脂肪プロセスチーズの製造方法、
[4]脂肪含量が17.5重量%以下である[3]に記載の低脂肪プロセスチーズの製造方法、および
[5]前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される、脂肪含量が22重量%以下であって脂肪/タンパク質比が1.0以下である低脂肪プロセスチーズ、
に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。しかしながら、以下説明する形態はある例であって、当業者にとって自明な範囲で適宜修正することができる。
本発明における「プロセスチーズ」の語句は、加熱溶融の工程を経て得られるチーズを意味し、各種のプロセスチーズの他、チーズフード、チーズスプレッドを含むものとして定義される。
本発明において使用される原料チーズとしては、ゴーダチーズ、チェダーチーズ等のナチュラルチーズやこれらを低脂肪化したもの、脱脂チーズ等を用いることができる。これらを1種類または2種類以上組み合わせて、原料チーズの全量中における、水溶性窒素(水溶性N)と全窒素(全N)の重量比(水溶性N/全N(%)と表記)を24.0%以上に調整するとともに、製品中の脂肪含量を22重量%以下、脂肪/タンパク質比を1.0以下に調整する。
原料チーズの熟度は、水溶性N/全N(%)で表すことができる。本明細書において、水溶性窒素とは、熟成中にタンパク質が酵素によって分解されて生成する、分子量5,000以下のペプチドまたはアミノ酸に含まれる窒素のことである。これらの含量は、原料チーズ中で熟成の進行とともに増大する。熟成が進行したナチュラルチーズでは、タンパク質のネットワークが高度に分解されて、タンパク質構造が脆弱化している。このようなチーズをプロセスチーズの原料として使用することにより、その構造がプロセスチーズの組織にも反映され、口溶けの良い食感になるものと考えられる。本発明においては、原料チーズ全量中における水溶性N/全Nが24.0%以上で40.0%以下、より好ましくは25.0%以上で40.0%以下、さらに好ましくは26.0%以上で40.0%以下、さらに好ましくは28.0%以上で40.0%以下、最も好ましくは31.0%以上で40.0%以下となるように1種類または2種類以上の原料チーズを組み合わせて使用する。
原料チーズの全量中における、水溶性窒素(水溶性N)と全窒素(全N)の重量比は、以下の計算方法で算出できる。
水溶性N/全N(%)=水溶性窒素含量/全窒素含量×100
全窒素含量及び水溶性窒素含量は以下の方法で測定することができる。
[全窒素含量]
(1)試料(チーズ)5gに約50℃に加温した0.05Mクエン酸ナトリウム・二水和物溶液を60ml加え、回転式ホモゲナイザーを用いて8000rpmで約3分間、ホモジナイズする。
(2)ホモゲナイザーを蒸留水で洗いこみながら100gとする。
(3)(2)の試料液2mlを取り、ケルダール法により窒素を定量する。得られた値がチーズ1gあたりの全窒素量である。
[水溶性窒素量]
(1)試料(チーズ)5gに約50℃に加温した0.05Mクエン酸ナトリウム・二水和物溶液を60ml加え、回転式ホモゲナイザーを用いて8000rpmで約3分間、ホモジナイズする。
(2)ホモゲナイザーを蒸留水で洗いこみながら100gとする。
(3)スターラーで攪拌しながら、6規定塩酸溶液でpH4.40±0.05に調製する。
(4)東洋ろ紙No.5Aでろ過し、ろ液2mlを取り、ケルダール法により窒素を定量する。得られた値がチーズ1gあたりの水溶性窒素量である。
さらに、上記の原料チーズは、原料チーズの全量中における、水溶性N/全N(%)を調整したり、低脂肪タイプに調整したり、脂肪/タンパク質比を1.0以下にするために、タンパク質として脱脂粉乳やナトリウムカゼイン、レンネットカゼイン、酸カゼイン等の各種カゼインを添加することができ、脂肪として、乳脂肪、植物性脂肪等の各種脂肪を使用することも可能である。これらを組み合わせることで、原料チーズの全量中における、水溶性N/全N(%)を24.0%以上で40.0%以下、より好ましくは25.0%以上で40.0%以下、さらに好ましくは26.0%以上で40.0%以下、さらに好ましくは28.0%以上で40.0%以下、最も好ましくは31.0%以上で40.0%以下に調整するとともに、最終製品である低脂肪プロセスチーズ中の脂肪含量が0.05%重量以上で22重量%以下、より好ましくは0.05%重量以上で19.3重量%以下、さらに好ましくは0.05%重量以上で17.5重量%以下、脂肪/タンパク質比が0.01以上で1.0以下、より好ましくは0.01以上で0.83以下、さらに好ましくは0.01以上で0.7以下となるように原料を調整する。
本発明の低脂肪プロセスチーズの製造で用いられる溶融塩は、リン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩など、通常のプロセスチーズの製造に用いられている溶融塩を使用することができる。溶融塩の化合物の種類としては、特に限定されないが、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラメタリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、クエン酸三ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カルシウム等が挙げられ、これらを1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。その添加量は、原料チーズに対して、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜3重量%がより好ましい。
また、本発明の低脂肪プロセスチーズには、物性調整のための各種乳化剤や安定剤、pH調整剤、風味づけのために使用する香辛料等の各種食品を添加することも可能である。
本発明の低脂肪プロセスチーズの、製造方法における加熱溶融工程は、原料を撹拌しながら、通常、75〜100℃、好ましくは80〜100℃、より好ましくは85〜100℃まで加熱することにより行う。本発明において原料を加熱溶融して乳化する装置としては、ケトル型チーズ乳化釜、横型クッカー、高速剪断乳化釜、及び連続式熱交換機(ショックステリライザー、コンビネーター等)など、いずれも使用可能である。また、溶融装置と、ホモゲナイザー、インラインミキサー、コロイドミルなどの乳化機を組み合わせることも可能である。尚、加熱溶融時間について特に限定されないが、例えば、ケトル型チーズ乳化釜であれば8〜10分程度、連続式熱交換機であれば1分以内が挙げられ、装置にあわせて、溶融時間を適宜調節することができる。
原料チーズを加熱溶融した後は、容器に充填してから冷却する方法、一旦仮容器に充填してから冷却成形した後に取り出してカット包装する方法、連続的に冷却しつつ成形して包装する方法など、いずれの方法でも目的の製品(プロセスチーズ)を製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
表1の通り、熟度指標である水溶性N/全N(%)が各々異なる原料チーズ混合物を用いて低脂肪プロセスチーズを試作した。
Figure 2010098353
熟度の異なるチェダーチーズ1.2kgおよび熟度一定の脱脂チーズ0.8kgを粉砕して表1に示す熟度指標(18%、23%、25%、26%、28%、31%)となるように調整した原料チーズ混合物をケトル型溶融釜に投入し、溶融塩としてトリポリリン酸ナトリウムを60g添加し、最終製品(低脂肪プロセスチーズ)の水分含有率が50重量%になるように水を加え、攪拌しながら90℃まで加温して溶融した。90℃達温後、パラフィルムとカルトンを使用して225gずつ包装し冷蔵し、本発明の低脂肪プロセスチーズを製造した。試作番号1A〜1Fの低脂肪プロセスチーズの脂肪含量と脂肪/タンパク質比は表1の通りであった。試作番号1A〜1Fの低脂肪プロセスチーズを3日間十分冷却した後、各種試験を行った。
試作番号1A〜1Fについて、専門パネラーにより官能評価(口溶け、旨味)を行った。
試作番号1A〜1Fについて、チーズ中に存在する旨味成分を評価した。旨味成分は、最終製品である低脂肪プロセスチーズ中のPTA可溶性窒素含量(PTA可溶性N含量と表記する)を測定し、最終製品1g中のPTA可溶性窒素量を算出することで評価した。PTA可溶性窒素とは、タンパク質が酵素によって分解されて生成する、分子量約600以下の低分子ペプチドやアミノ酸に含まれる窒素のことであり、チーズ中に存在する旨味成分量の指標として使用することができる。チーズ中のPTA可溶性窒素含量の測定法は次のとおりである。
[PTA可溶性窒素量]
(1)試料(チーズ)5gに約50℃に加温した0.05Mクエン酸ナトリウム・二水和物溶液を60ml加え、回転式ホモゲナイザーを用いて8000rpmで約3分間、ホモジナイズする。
(2)ホモゲナイザーを蒸留水で洗いこみながら100gとする。
(3)スターラーで攪拌しながら、6規定塩酸溶液でpH4.40±0.05に調製する。
(4)東洋ろ紙No.5Aでろ過し、ろ液から10mlを採取する。
(5)(4)に25%硫酸溶液を6ml、12.5%リンタングステン酸(PTA)溶液を4ml加えてよく攪拌した後、16時間室温で放置する。
(6)(5)を再び東洋ろ紙No.5Aでろ過し、ろ液を2ml取り、ケルダール法により窒素を定量する。得られた値がチーズ1gあたりのPTA可溶性窒素量である。
試作番号1A〜1Fについて、最終製品の硬さを評価した。硬さはレオメーターの針入硬度で評価した。針入硬度は、レオメーター(不動工業社製)を用いて定法に従い測定した。針入硬度の測定には直径3mmの円柱状プランジャーを使用し、試料台の昇降スピードは5cm/分とした。
試作番号1A〜1Fの評価結果を表2に示す。
Figure 2010098353
官能評価の結果、原料チーズ混合物の熟度指標(水溶性N/全N)25%以上の原料を使用した試作品(1C、1D、1E、1F)は、口溶けが良好であり、チーズらしいコクと旨味にも富んでいた。また、熟度指標(水溶性N/全N)25%以上の原料を使用した試作品(1C、1D、1E、1F)は、熟度指標(水溶性N/全N)23%以下の原料を使用した試作品(1A、1B)と比較して、針入硬度は小さい値を示し、PTA可溶性窒素含量は高い値を示した。これらは、熟度指標(水溶性N/全N)25%以上の原料を使用した試作品が、口溶けが良好であり、チーズらしいコクと旨味に富んでいることを客観的に示しており、官能評価と一致するものであった。
表3に示す内容でプロセスチーズを試作した。
Figure 2010098353
熟度の異なるチェダーチーズ1.2kgおよび熟度一定の脱脂チーズ0.8kgを粉砕して表3に示す熟度指標(18%、25%)となるように調整した原料チーズ混合物をケトル型溶融釜に投入し、溶融塩としてトリポリリン酸ナトリウムを60g添加し、最終製品(プロセスチーズ)の水分含有率が50重量%になるように水を加え、2AではさらにO/W型乳化剤(コハク酸モノステアリン酸グリセリン)を0.5重量%となるように添加し、攪拌しながら90℃まで加温して溶融した。90℃達温後、パラフィルムとカルトンを使用して225gずつ包装し冷蔵した。3日間十分冷却した後、実施例1と同様に、試作品の針入硬度(10℃)およびPTA可溶性窒素含量を測定し、専門パネラーにより官能評価(口溶け、旨味)を行った。結果を表4に示す。
Figure 2010098353
試作番号2Aは、先の実施例1における1Aに乳化剤を添加して製造したものである。乳化剤の添加により、熟度の低い原料チーズであっても口溶けは向上したが、旨みは満足のいくものではなかった。これに対し、熟度が25%で乳化剤を添加しない2Bは、口溶けが良好で、さらに、官能評価による風味(旨味)の評価も良好で、かつ、旨味の指標となるPTA可溶性窒素含量も2Bは2Aよりも高い値を示した。これらの結果から、熟度指標(水溶性N/全N)25.0%の原料を使用した試作品(2B)は、乳化剤を添加しなくても、乳化剤を使用した試作品2Aと同等の良好な口溶けを有することに加えて、チーズらしいコクと旨味を有していることがわかる。
表5の通り、原料チーズの混合割合を変更し、脂肪含量の異なる低脂肪プロセスチーズを試作した。
Figure 2010098353
熟度一定のチェダーチーズおよび脱脂チーズを粉砕して異なる割合で混合し、表5に示す最終製品(低脂肪プロセスチーズ)の脂肪含量となるように原料チーズ混合物を調整した。原料チーズ混合物2.0kgをケトル型溶融釜に投入し、溶融塩としてトリポリリン酸ナトリウムを60g添加し、最終製品(低脂肪プロセスチーズ)の水分含有率が50重量%になるように水を加え、攪拌しながら90℃まで加温して溶融した。90℃達温後、パラフィルムとカルトンを使用して225gずつ包装し冷蔵し、本発明の低脂肪プロセスチーズを製造した。3日間十分冷却した後、専門パネラーにより官能評価(口溶け、旨味)を行った。結果を表6に示す。
Figure 2010098353
脂肪含量、脂肪/タンパク質比の異なった、いずれのサンプルも口溶けが良好であり、チーズらしいコクと旨味を有していた。
粉砕したゴーダチーズ28kgおよびチェダーチーズ36kg、脱脂チーズ36kgを混合して原料チーズとした。原料チーズ混合物の熟度指標は24%であった。これに、溶融塩としてトリポリリン酸ナトリウムを3kgと、最終製品(低脂肪プロセスチーズ)の水分含有率が49重量%となるように水を加え、ケトル型溶融釜で蒸気を吹き込みながら攪拌して89℃まで加温して溶融した。89℃達温後、チーズ充填機にて20gのポーションの形状に充填した。冷却後の製品は、脂肪含量18.5%、脂肪/タンパク質比0.72であり、通常の脂肪含量のプロセスチーズ製品と同等の口溶けとチーズらしいコクと旨味を有していた。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2009年2月24日出願の日本特許出願(特願2009−040156)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明の方法により、低脂肪でありながら口溶けが良好で、チーズらしいコクと旨味に富む、低脂肪タイプのプロセスチーズを提供することができる。

Claims (5)

  1. 原材料として使用するチーズ混合物の全量中において、水溶性窒素と全窒素の重量比が24.0%以上である原料チーズを使用し、溶融塩を添加し、加熱溶融工程を含むことを特徴とする、脂肪含量が22重量%以下であって脂肪/タンパク質比が1.0以下である低脂肪プロセスチーズの製造方法。
  2. 水溶性窒素と全窒素の重量比が25.0%以上である請求項1に記載の低脂肪プロセスチーズの製造方法。
  3. 水溶性窒素と全窒素の重量比が26.0%以上である請求項2に記載の低脂肪プロセスチーズの製造方法。
  4. 脂肪含量が17.5重量%以下である請求項3に記載の低脂肪プロセスチーズの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造される、脂肪含量が22重量%以下であって脂肪/タンパク質比が1.0以下である低脂肪プロセスチーズ。
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