JP2024061290A - プロセスチーズの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プロセスチーズ類の製造方法において、タンパクを高比率で配合した場合であっても、撹拌機構付きの乳化機を用いて軟らかく好ましい食感のプロセスチーズを得る製造方法の提供を課題とする。【解決手段】原料チーズ、タンパク質及び溶融塩を含む原料混合物に通電加熱する通電加熱工程と、前記通電加熱した原料混合物を50rpm以上1500rpm以内の範囲で撹拌する撹拌工程と、を備えることを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法を提供する。また、前記通電加熱工程が、75℃以上100℃以下の温度まで昇温させる工程である、製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、プロセスチーズ類の製造方法に関する。
食の多様化を背景に、様々な食感や物性のプロセスチーズ類が求められており、その中のひとつに軟らかく好ましい食感のプロセスチーズ類がある。
特許文献1は、軟質チーズ含有量の高い原料(70~100質量%)を用いて、口溶けの滑らかさ、風味等の品質を充分に備えたチーズ含有食品をオイルオフなく製造することを課題とし、その解決手段として、ジュール加熱機による加熱後に高速剪断クッカーにより均質化を2回以上行う方法を開示している。
特許文献2は、チーズを加熱融解した段階では、製造に必要な適度の粘性を有し、且つ、冷却後のチーズでは、風味の低下なく滑らかで口溶けの良好なチーズを得る方法を課題とし、その解決手段として原料チーズに、110℃以上で高温加熱された原料チーズを添加することで、加熱溶融状態のチーズ粘度及び風味に影響を与えずに、冷却後のチーズの食感、口溶け等の物性及び保存性を改善する方法を開示している。
特開2011-72203号公報 国際公開第2008/010572号公報
プロセスチーズ類の原料としてホエイタンパク質等のタンパク質を高比率で配合すると、プロセスチーズ類製品の食感は硬くなることが知られている。また、プロセスチーズ類の乳化工程では一般的に撹拌機構を有する乳化機を用いるが、これらは装置内で溶融したプロセスチーズ類に混合・撹拌によるせん断を与えることで原料全体の温度を均一に上昇させ、混ぜ合わせることで乳化反応を促進している。また、溶融したプロセスチーズはせん断を多く与えられるほど冷却後に硬く脆い食感になることが知られている。したがって、タンパク質を高比率で配合したプロセスチーズ類を、一般的に用いられる撹拌機構付きの乳化機を使用して乳化すると、乳化機による影響及びタンパク高配合による影響の両者により、プロセスチーズ製品は硬く、好ましくない食感となるという問題があった。
本発明者らは、プロセスチーズ類の製造方法において、タンパク質を高比率で配合した場合であっても、撹拌機構付きの乳化機を用いて軟らかく好ましい食感のプロセスチーズ類を作ることができないか鋭意検討を行った。その結果、プロセスチーズ類の原料混合物を、ジュール加熱機を用いて昇温させ、その後、撹拌を加えて低せん断乳化することで、タンパク質を高比率で配合しても軟らかく好ましい食感のプロセスチーズ類を得ることができることを見出した。
具体的には、本発明は以下の内容に関する。
<1>
原料チーズ、タンパク質及び溶融塩を含む原料混合物に通電加熱する通電加熱工程と、
前記通電加熱した原料混合物を50rpm以上1500rpm以下の範囲で撹拌する撹拌工程と、
を備えることを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
<2>
撹拌工程における撹拌時間が、50秒以上300秒以下である<1>に記載の製造方法。
<3>
通電加熱工程が、40℃以上100℃以下の温度まで昇温させる工程である、<1>又は<2>に記載の製造方法。
<4>
通電加熱工程が、10分以内に40℃以上100℃以下の温度まで昇温させる工程である、<3>に記載の製造方法。
<5>
前記撹拌工程が、硬度を調整する工程である<1>又は<2>に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
<6>
タンパク質がプロセスチーズ類に対して25重量%以上含まれている<1>又は<2>に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
<7>
<1>又は<2>に記載の製造方法により製造されたプロセスチーズ類であって、
タンパク質が25重量%以上含まれ、硬度が30N以下、水分率が45%以上55%以下のプロセスチーズ類。
<8>
原料チーズ、タンパク質及び溶融塩を含む原料混合物を通電加熱する通電加熱工程と、
前記通電加熱した原料混合物を50rpm以上、1500rpm以下の範囲で撹拌する撹拌工程と、
を備えることを特徴とする、プロセスチーズ類の製造方法におけるプロセスチーズの硬度の調整方法。
本発明は、タンパク質を高比率で配合したプロセスチーズ類の製造方法において、ジュール加熱機を用いて昇温させ、その後、一定の撹拌を加えて低せん断乳化することで、特別な組成の工夫をすることなく、適度な軟らかさのプロセスチーズ類を製造する方法を提供することができた。また、本発明の製造方法により高タンパク質配合で軟らかなプロセスチーズを提供することができた。
〔プロセスチーズ類〕
本発明のプロセスチーズは、タンパク質と原料チーズと、溶融塩と、その他の副原料を含み、硬度が30N以下であるプロセスチーズ類に関する。
硬度の下限としては、好ましくは18N以上であり、さらに好ましくは20N以上である。したがって硬度の好ましい範囲としては18N以上30N以下であり、さらに好ましくは20N以上30N以下である。
また、本発明のプロセスチーズ類の水分率は、45%以上55%以下が好ましい。
本発明において、「プロセスチーズ類」とは、プロセスチーズ、チーズフードなど、乳等省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)、公正競争規約の成分規格において規定されたものの他、乳等を主要原料とする食品などの当該技術分野における通常の意味を有する範囲のものを全て包含する意味で用いられる。
(原料チーズ)
本発明のプロセスチーズ類の原料チーズとしては、通常プロセスチーズ類の製造に使用される硬質又は半硬質のナチュラルチーズを用いることが可能である。硬質又は半硬質のナチュラルチーズとしては、チェダーチーズ、ゴーダチーズ、エダムチーズ、パルメザンチーズ、カマンベールチーズ、ブルーチーズ、クリームチーズ、カッテージチーズ、スキムチーズなどのナチュラルチーズを例示することができる。
原料チーズの熟度に関しても、最終的に得られるプロセスチーズ類において必要となる風味などにより選択すれば良い。また、プロセスチーズ類を原料の一部として用いることも可能であり、2種類以上の原料チーズを混合して使用しても良い。
原料チーズの全プロセスチーズに対する配合量は50重量%以上80重量%以下が挙げられ、好ましくは60重量%以上80重量%以下、さらに好ましくは65重量%以上75重量%以下、もっとも好ましくは68重量%以上70重量%以下である。
(タンパク質)
本発明のプロセスチーズに配合するタンパク質としては、特に限定されず、乳タンパク質、乳清タンパク質、ホエイタンパク質、カゼインタンパク質、ソラマメタンパク質、リョクトウタンパク質、ヒヨコマメタンパク質、エンドウ豆タンパク質などを例示することができる。
本発明のプロセスチーズのタンパク質配合量は特に限定されることはないが、タンパク質を高比率で配合することで生じる硬度上昇を抑える効果があるため、高比率で配合する方が良い。したがって、プロセスチーズのタンパク質配合量は、例えば、15重量%以上が好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、25重量%以上がよりいっそう好ましい。また、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。好ましい範囲としては15重量%以上40重量%以下が好ましく、20重量%以上30重量%以下がより好ましく、25重量%以上27重量%以下がよりいっそう好ましい。
(溶融塩)
本発明で用いる溶融塩としては、特に限定されず、一般的にチーズ類の製造に使用されるようなポリリン酸塩、クエン酸塩、リン酸塩等を例示することができる。これらは最終的に得られるプロセスチーズ類及び製造工程において必要な物性、風味等が得られるような配合をすれば良い。溶融塩は風味や保存中のpH変化等により適宜選択すればよく、1種ないしは2種以上併用使用しても良い。溶融塩は、プロセスチーズ類中に0.5重量%以上4重量%以下であればよく、好ましくは1重量%以上3.5重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以上3.0重量%以下である。
(その他)
本発明のプロセスチーズ類の特徴を妨げない範囲で、プロセスチーズ類の製造において一般的に使用されている原材料を使用することができる。脱脂粉乳などの乳製品、乳成分、安定剤、乳化剤、デンプン、加工デンプン、植物性脂肪、糖質類、香辛料、香料、pH調整剤(重曹、リン酸及びリン酸塩、クエン酸や乳酸などの有機酸など)等が例示される。
本明細書中の%は特に断らない限りすべて重量%である。
〔プロセスチーズの製造方法〕
本発明のプロセスチーズ類の製造方法は、原料チーズ、溶融塩、タンパク質などの原料を混合した原料混合物を通電加熱する工程と、通電加熱した原料を50rpm以上1500rpm以内の範囲で撹拌する工程を備えることを要する。以下、本発明のプロセスチーズの製造工程毎に詳しく説明する。
(原料混合工程)
本発明のプロセスチーズの製造方法における原料の混合工程は、前記原料チーズ、タンパク質及び溶融塩と、必要に応じて、その他の原材料を混合する工程である。
原料類の混合方法は、特に限定はされないが、混合時に原料類へ付加されるせん断応力が小さい混合方法が好ましく、ケトル型乳化機、ステファン型乳化機、サーモシリンダーのような連続式乳化機などによる混合方法などが挙げられる。
また、原料チーズを除く溶融塩やpH調整剤などの粉類を添加して混合する方法は特に限定されないが、均一に混合しやすくするために、これらを予め水に溶解・分散させた後に添加することが好ましい。
プロセスチーズ類の脂肪分は、原料混合工程において原料チーズ、バター、クリーム、植物性油脂等の脂肪分を含む原料の種類と配合量により調整すればよい。
また、プロセスチーズ類のpHは、原料混合工程において、上記した溶融塩やpH調整剤の種類と配合量により調整すればよい。なお、原料混合工程において得られた原料混合物のpHと、最終的に得られるプロセスチーズ類のpHはほぼ同じ値になる。
また、本発明の原料混合物は、上記原料の混合工程により準備することができるが、あらかじめ所定の混合比率で混合された原料混合物を購入することによっても準備できる。
(通電加熱工程)
本発明の原料混合物を通電加熱する工程は、原料混合物に直接電気を流して加熱処理する工程である。通電加熱処理は、ジュール加熱装置を用いて行うことが好ましい。ジュール加熱装置は二つの電極間に挟まれた食品に直接電気を流し、食品自らを発熱させるという原理を利用する加熱方式であり、むらなく均一に短時間で加熱することができるというメリットがある。
ジュール加熱装置は、上記原理によるものであればどのようなものでも用いることができるが、(株)フロンティアエンジニアリング製のジュール加熱装置等を例示できる。
加熱処理の条件は、食品として流通可能な製品となるよう、風味や保存期間等を考慮して適宜調整すればよいが、40℃以上100℃以下に昇温させればよく、75℃以上100℃以下に昇温させる条件が好ましく、80℃以上85℃以下に昇温させる条件がよりいっそう好ましい。
また、昇温工程は一定時間以内に昇温させることが好ましく、10分以内に40℃以上100℃以下の温度まで昇温させることが好ましく、10分以内に75℃以上100℃以下に昇温させる条件がより好ましく、10分以内に80℃以上85℃以下に昇温させる条件がよりいっそう好ましい。
昇温後は、当該温度を維持することが好ましく、少なくとも本工程に続く撹拌工程において維持することが好ましい。さらにまた、本加熱処理により、殺菌処理を兼ねることも可能である。
(撹拌工程)
撹拌は通常のプロセスチーズ類の製造方法で用いられる方法であればどのようなものでもよい。通常、プロセスチーズを製造する時に行う、高せん断では、チーズの硬度が固くなるため、本発明では、低せん断が好ましい。本発明の製造方法における撹拌工程の条件について、せん断速度は、50rpm以上1500rpm以下が好ましく、100rpm以上500rpm以下がさらに好ましい。また、軟らかさという点からは50rpm以上300rpm以下が好ましく、さらに、50rpm以上200rpm以下が好ましい。滑らかさの点からは200rpm以上500rpm以下が好ましく、軟らかさと滑らかさという点では200rpm以上300rpm以下が好ましい場合もある。
撹拌時間は50秒以上300秒以下が好ましく、120秒以上240秒以下がさらに好ましい。
撹拌工程は、通電加熱工程で昇温した温度を維持した温度で行うのが望ましい。例えば、昇温後のプロセスチーズ類を真空断熱容器に移し、容器内で撹拌することで昇温した温度を維持して撹拌することが可能である。
乳化は、溶融塩が溶融することで乳化反応が行われるため、通電加熱工程により乳化が始まり、撹拌工程を通して乳化が行われる。
通電加熱工程とそれに続く上記条件の撹拌工程は、1回ずつ行われるのが好ましく、循環を要しない。したがって、上記条件の撹拌工程後は、冷却されることが好ましい。
撹拌工程後は、冷却されることにより成型されたプロセスチーズ類が得られる。撹拌工程後のプロセスチーズ類は、65℃以上で充填されるホットパック方式(ポーション、個別包装スライス、カルトン等)、15℃から35℃程度まで冷却しながら成型し、その後、さらに冷却して包装するコールドパック方式などにより充填・包装することができる。
(pH)
本発明のプロセスチーズ類のpHは、プロセスチーズ類12gに水40gを加え、ホモブレンダーで3分間均質化し、この均質溶液のpHをpHメーターで測定することにより確認することができる。pHの範囲は好ましくは5.5以上6.1以下である。
以下に、本発明の実施例などを挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[比較例1]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、予め氷水でケトル内部を5℃以下に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(比較例品1)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は47.41%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。タンパク質配合率は、原料チーズのタンパク量とホエイプロテインコンセントレートのタンパク質の合計で示される。
本発明のプロセスチーズ類のpHは、プロセスチーズ類12gに水40gを加え、ホモブレンダーで3分間均質化し、この均質溶液のpHをpHメーターで測定することにより確認した。
本発明のプロセスチーズ類の水分率は、ミキサーで粉砕したチーズ1.5gを水分計に供して測定した。水分計としては、マイクロ波加熱水分計(SMART System5(CEM社製))を使用した。
[実施例1]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、すぐに真空保温容器(魔法瓶、以下同じ)に移して50rpmで120秒間撹拌を加えた。撹拌翼の径は123 mmであった(以下、実施例2,3,4,5,6において同じ)。撹拌終了後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(実施例品1)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は46.73%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[実施例2]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、すぐに真空保温容器に移して100rpmで120秒間撹拌を加えた。撹拌終了後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(実施例品2)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は46.66%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[実施例3]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、すぐに真空保温容器に移して200rpmで240秒間撹拌を加えた。撹拌終了後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(実施例品3)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は46.69%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[実施例4]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、すぐに真空保温容器に移して300rpmで240秒間撹拌を加えた。撹拌終了後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(実施例品4)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は46.38%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[実施例5]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、すぐに真空保温容器に移して400rpmで240秒撹拌を加えた。撹拌終了後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(実施例品5)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は46.89%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[実施例6]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したケトル式乳化機(ニチラク機械製)に投入し150rpmで300秒混合した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。得られた混合原料を、ジュール加熱機に供して通電させ、チーズの温度が85℃に達温した時点で通電を停止し、すぐに真空保温容器に移して500rpmで240秒撹拌を加えた。撹拌終了後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(実施例品6)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は46.31%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[比較例2]
原料チーズとしてチェダーチーズ(ニュージーランド産)1.8kgおよびゴーダチーズ(オランダ産)1.2kgと、溶融塩としてポリリン酸ナトリウムを76gと、pH調整剤として重曹或いは乳酸と、タンパク質素材としてホエイプロテインコンセントレート287gと、水(水分が47重量%になるように加水)とを、5℃に冷却したステファン式乳化機(撹拌翼径:178mm、ニチラク機械製)に投入し、1500rpmで撹拌しながら85℃に昇温するまでジャケット加熱した。この際に添加する原料チーズの温度は10℃程度であった。85℃に昇温するまでに掛かった時間は617秒だった。昇温後、5℃に設定した冷蔵庫内で冷却してプロセスチーズを製造した(比較例品2)。なお、得られたプロセスチーズ類のpHは6.0、水分率は47.24%であり、プロセスチーズ類のタンパク質配合率は25.9重量%だった。
[試験例1]評価試験
各実施例品1~6、比較例品1~2のプロセスチーズについて、硬度の測定及び専門パネラーによる官能評価を行った。各試験方法を以下に示す。
1.硬度の測定方法
プロセスチーズの硬度は、以下の方法で測定した。実施例品1~6,比較例品1~2のプロセスチーズ類を1辺10mmの立方体に切り出し、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社)で直径75mmの円盤形の治具を用いてプロセスチーズ類を80%圧縮し、得られた最大荷重を硬度(N)とした。
2.官能評価方法
(1)硬さ
喫食時の「硬さ」を以下の基準により評価した。
「3点」 軟らかい
「2点」 普通
「1点」 硬い
上記の評価は4人の専門パネラーにより行い、4人の平均値を求め、以下の基準で評価した。
「×」 1.0点より大きく1.5点未満である。
「△」 1.5点以上2.0点未満である。
「〇」 2.0点以上2.5点未満である。
「◎」 2.5点以上3.0点以下である。
(2)滑らかさ
口溶けの滑らかさを以下の基準により評価した。
「3点」 ザラつきがなく滑らかである
「2点」 普通である
「1点」 ザラつきがあり滑らかでない
上記の評価は4人の専門パネラーにより行い、4人の平均値を求め、以下の基準で評価した。
「×」1.0点より大きく1.5点未満である。
「△」1.5点以上2.0点未満である。
「〇」2.0点以上2.5点未満である。
「◎」2.5点以上3.0点以下である。
(3)総合評価
上記の官能評価の硬さと口溶けの滑らかさの評価結果(平均値)の平均を求め、以下の基準で評価した。
「×」1.0点より大きく1.5点未満である。
「△」1.5点以上2.0点未満である。
「〇」2.0点以上2.5点未満である。
「◎」2.5点以上3.0点以下である。
3.結果及び考察
各プロセスチーズの製造条件、出来たチーズの硬度測定結果及び官能評価結果を表1に示す。本結果によれば、撹拌工程において、撹拌回転数(rpm)及び撹拌時間(s)が50rpm、120秒から、1500rpm、240秒の範囲内であれば、喫食時の硬さ及び口溶けの滑らかさの総合評価は「〇」以上と優れたものであった(実施例1~6)。さらに、200rpm、240秒以上から、400rpm、240秒未満の範囲内であれば総合評価は「◎」と大変優れたものであった。
一方、0rpm、0秒又は1500rpm、377秒の場合は、喫食時の硬さ、又は口溶けの滑らかさのいずれかが「×」となり、総合評価も「△」であった。
本発明によって、ジュール加熱機を用いて昇温させ、その後、撹拌を加えて低せん断乳化することで、特別な組成の工夫をすることなく、高タンパク配合で軟らかいプロセスチーズ類を簡易な方法により提供することができた。

Claims (8)

  1. 原料チーズ、タンパク質及び溶融塩を含む原料混合物に通電加熱する通電加熱工程と、
    前記通電加熱した原料混合物を50rpm以上1500rpm以内の範囲で撹拌する撹拌工程と、
    を備えることを特徴とするプロセスチーズ類の製造方法。
  2. 撹拌工程における撹拌時間が、50秒以上300秒以内である請求項1に記載の製造方法。
  3. 通電加熱工程が、40℃以上100℃以下の温度まで昇温させる工程である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 通電加熱工程が、10分以内に40℃以上100℃以下の温度まで昇温させる工程である、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記撹拌工程が、硬度を調整する工程である請求項1又は2に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  6. タンパク質がプロセスチーズ類に対して25重量%以上含まれている請求項1又は2に記載のプロセスチーズ類の製造方法。
  7. 請求項1又は2に記載の製造方法により製造されたプロセスチーズ類であって、
    タンパク質が25重量%以上含まれ、硬度が30N以下、水分率が45%以上55%以下のプロセスチーズ類。
  8. 原料チーズ、タンパク質及び溶融塩を含む原料混合物を通電加熱する通電加熱工程と、
    前記通電加熱した原料混合物を50rpm以上1500rpm以内の範囲で撹拌する撹拌工程と、
    を備えることを特徴とする、プロセスチーズ類の製造方法におけるプロセスチーズの硬度の調整方法。
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