JPWO2010084972A1 - D−乳酸の製造方法および乳酸においてd−乳酸の光学純度または対糖収率を高める方法 - Google Patents

D−乳酸の製造方法および乳酸においてd−乳酸の光学純度または対糖収率を高める方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 精製した糖蜜を微生物に資化させて培養することによりD−乳酸を製造する方法および乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法を提供する。【解決手段】 糖蜜を微生物に資化させて培養することによりD−乳酸を製造する方法であって、イオン交換樹脂法を用いて前記糖蜜を精製する工程を有する、D−乳酸を製造する方法である。これにより、D−乳酸の光学純度が99.40%e.e.以上の乳酸を効率よく製造することができる。

Description

本発明は、D−乳酸を製造する方法および乳酸においてD−乳酸の光学純度または対糖収率を高める方法に関する。
近年、化石資源の枯渇や価格の上昇、環境問題等により、生物資源(バイオマス)由来の生分解性ポリマーの開発が盛んに行われている。その代表格として挙げられるポリ乳酸は、カーボンニュートラルの観点からサスティナブル(sustainable)なポリマーとして注目されている。ポリ乳酸には、ポリ−L−乳酸(PLLA)やポリ−D−乳酸(PDLA)をはじめ、L−乳酸とD−乳酸とのランダムポリマー、L−乳酸とD−乳酸とのブロックポリマー、あるいはPLLAとPDLAとを混合したステレオコンプレックス型ポリマー等が合成され、開発が進められている。
これらの原料である乳酸モノマーには、L−乳酸とD−乳酸の2種類の光学異性体が存在する。特にD−乳酸は、その骨格が必要なポリマーその他化合物の原料として、医薬分野や農薬分野での利用が期待されており、乳酸における高い光学純度やその対糖収率が要求されている。
従来のD−乳酸を効率的に製造する方法として、自然界に存在し、かつD−乳酸を効率よく産生する微生物をスクリーニングして、適当な条件下で発酵させる方法や、D−乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を微生物に導入した形質転換体を適当な条件下で発酵させる方法を挙げることができる。
例えば、前者の例として、特許文献1には、D−乳酸の光学純度が90%e.e.以上の乳酸を産生するBacillus属に属する微生物を所定の条件下で発酵させる方法が開示されている。また、後者の例として、特許文献2には、ピルビン酸高生産性酵母にLactobacillus plantarum由来のD−乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体を用いてD−乳酸を製造する方法が、特許文献3には、大腸菌にLactobacillus plantarum等由来のD−乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体を用いて、通気条件下でD−乳酸を製造する方法が、特許文献4には、酵母にBacillus laevolacticus由来のD−乳酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子を導入した形質転換体を用いてD−乳酸を製造する方法が、各々開示されている。さらに、特許文献5には、前記D−乳酸高産生微生物を用いて、連続発酵によりD−乳酸を製造する方法が開示されている。
一方、甘しゃ(Cane)の糖汁から原糖を製造する際や、原糖を精製する際、あるいは甜菜から甜菜糖を生産する際に発生する糖蜜は、40〜60%の糖分を含んでいることから、従来、微生物発酵の炭素源として用いられている。例えば、非特許文献1には、甜菜(Beet)糖蜜から過剰なカリウムイオンや蟻酸、酢酸を陽イオン交換法、エーテル抽出法および電気透析法を用いて除去し、イタコン酸発酵培地として好適に用いることができることが開示されている。
特開2003−88392号公報 特開2002−136293号公報 特開2005−102625号公報 特開2007−74939号公報 特開2008−104451号公報
中川允利ら、帯大研法I、17、7〜12(1990)
しかしながら、特許文献1〜特許文献5には、イオン交換樹脂法を用いて、糖蜜を精製して微生物に資化させる点については何ら開示されておらず、また、非特許文献1には、D−乳酸の製造についてや、乳酸におけるD−乳酸の光学純度ないしその対糖収率を高めるための方法については何ら開示されていない。
本発明は、精製した糖蜜を微生物に資化させて培養することにより効率的にD−乳酸を製造する方法すなわち含有するD−乳酸の光学純度が高い乳酸の製造方法および乳酸におけるD−乳酸の光学純度または対糖収率を高める方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、糖蜜をイオン交換樹脂法を用いて精製し、これを微生物に資化させることにより、D−乳酸の光学純度が99.40%e.e.以上の乳酸を製造することができること、およびこの精製した糖蜜に、カリウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよび硫酸イオンからなる群から選択される1または2以上のイオンを加えて微生物に資化させることにより、L−乳酸の対糖収率を抑制しつつD−乳酸の対糖収率を64.1%以上高めることができることを見出し、下記の各発明を完成した。
(1)糖蜜を微生物に資化させて培養することによりD−乳酸を製造する方法であって、イオン交換樹脂法を用いて前記糖蜜を精製する工程を有する、D−乳酸を製造する方法。
(2)前記微生物が乳酸菌である、(1)に記載のD−乳酸を製造する方法。
(3)前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂に接触させる工程を有する、少なくとも2以上のイオン交換樹脂を用いるイオン交換樹脂法である、(1)または(2)に記載のD−乳酸を製造する方法。
(4)前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂カラムまたは陰イオン交換樹脂カラムに流通させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させる、少なくとも2以上のイオン交換樹脂カラムを用いるカラム法である、(1)から(3)の何れかに記載のD−乳酸を製造する方法。
(5)前記カラム法が、最初に用いる陰イオン交換樹脂カラムにおける糖蜜の押出し量が陰イオン交換樹脂1体積部に対して1.8〜4体積部となるカラム法である、(4)に記載のD−乳酸を製造する方法。
(6)前記イオン交換樹脂法または前記カラム法が、イオン交換樹脂またはイオン交換樹脂カラムを加温して用いるイオン交換樹脂法またはカラム法である、請求項1から請求項5の何れかに記載のD−乳酸を製造する方法。
(7)前記糖蜜が、カリウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよび硫酸イオンからなる群から選択される1または2以上のイオンが加えられた糖蜜である、(1)から(6)の何れかに記載のD−乳酸を製造する方法。
(8)イオン交換樹脂法を用いて糖蜜を精製する工程を有する、乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
(9)前記微生物が乳酸菌である、(8)に記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
(10)前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂に接触させる工程を有する、少なくとも2以上のイオン交換樹脂を用いるイオン交換樹脂法である、(8)または(9)に記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
(11)前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂カラムまたは陰イオン交換樹脂カラムに流通させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させる、少なくとも2以上のイオン交換樹脂カラムを用いるカラム法である、(8)から(10)の何れかに記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
(12)前記カラム法が、最初に用いる陰イオン交換樹脂カラムにおける糖蜜の押出し量が陰イオン交換樹脂1体積部に対して1.8〜4体積部となるカラム法である、(11)に記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
(13)前記イオン交換樹脂法または前記カラム法が、イオン交換樹脂またはイオン交換樹脂カラムを加温して用いるイオン交換樹脂法またはカラム法である、(8)から(12)の何れかに記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
(14)イオン交換樹脂法を用いて精製した糖蜜にカリウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよび硫酸イオンからなる群から選択される1または2以上のイオンを加えて微生物に資化させて培養する工程を有する、D−乳酸の対糖収率を高める方法。
(15)(8)から(14)の方法を用いて含有するD−乳酸の光学純度または対糖収率が高められた乳酸。
本発明により、糖蜜を微生物に資化させて培養する既存の方法と比較して、よりD−乳酸の光学純度が高い乳酸を効率よく製造することができ、さらにはD−乳酸の対糖収率を高めることができることから、経済的にD−乳酸を提供することができる。
HB糖蜜を電気透析により精製して得た電気透析精製HB糖蜜の、経過時間および電流値に対するグルコース、スクロースおよびL−乳酸含有量の関係を示す図である。図中、×は経過時間(分)および電流値(A)を、▲はグルコースの量(g/L)を、■はスクロースの量(g/L)を、◆はL−乳酸の量(g/L)をそれぞれ示す。 HB糖蜜を陽イオン交換樹脂により精製して得た陽イオン交換精製HB糖蜜の、陽イオン交換樹脂量に対するグルコース、スクロースおよびL−乳酸含有量の関係を示す図である。図中、▲はグルコースの量(g/L)を、■はスクロースの量(g/L)を、◆はL−乳酸の量(g/L)をそれぞれ示す。 HB糖蜜を陰イオン交換樹脂により精製して得た陰イオン交換精製HB糖蜜の、陰イオン交換樹脂量に対するグルコース、スクロースおよびL−乳酸含有量の関係を示す図である。図中、▲はグルコースの量(g/L)を、■はスクロースの量(g/L)を、◆はL−乳酸の量(g/L)をそれぞれ示す。 イオン交換樹脂法による脱色効果を示す図(写真)である。向かって右側がHB糖蜜、左側が陽陰イオン交換精製HB糖蜜を示す。 イオン交換樹脂法におけるHB糖蜜の押出し量と陰イオン交換精製HB糖蜜のスクロース含有量との関係を示す図である。図中、■はサンプルNo.1を、×はサンプルNo.2を、▲はサンプルNo.3をそれぞれ示す。 イオン交換樹脂法におけるHB糖蜜の押出し量1000〜1800mLの脱色効果を示す図(写真)である。 スケールアップ前後における培養時間と、pH値および消費スクロース量との関係を示す図である。図中、◆は10Lジャーファーメンター中のpH値の推移を、●は90Lジャーファーメンター中のpH値の推移を、▲は10Lジャーファーメンターにおける消費スクロース量を、■は90Lジャーファーメンターにおける消費スクロース量をそれぞれ示す。
以下、本発明に係るD−乳酸の製造方法および乳酸におけるD−乳酸の光学純度または対糖収率を高める方法について詳細に説明する。本発明に係るD−乳酸を製造する方法は、糖蜜を微生物に資化させて培養することによりD−乳酸を製造する方法である。
本発明に用いられる糖蜜には、糖分を含んだ液体(狭義の糖蜜)のみならず、砂糖の製造時に生成する副産物(廃糖蜜;molasses)や、狭義の糖蜜と廃糖蜜とのいずれにも該当し得るものが含まれる。そのような糖蜜としては、例えば、甘しゃ(Cane)糖蜜、甜菜(Beet)糖蜜、精糖蜜(Refinder’s molasses)、ハイドロル、各種の発酵廃液、残糖類等を挙げることができる。甘しゃ糖蜜としては、例えば、甘しゃ糖分を非結晶性の糖に還元したハイテスト・モラセス等を挙げることができ、甜菜糖蜜としては、例えば、甜菜糖の製造工程に入る前にあらかじめ濃縮された甜菜糖蜜濃縮液(ビーシックジュース)、甜菜糖の精製工程にイオン交換樹脂処理が組み込まれたプロセスから排出されるHA糖蜜、甜菜糖の精製工程にステフェン法を導入したプロセスから排出されるHB糖蜜等を挙げることができる。なお、本発明に用いられる糖蜜は、培地化されたものや、適宜、水や水性溶媒等が加えられたものの他、例えば、グルコース、スクロース等の糖類、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、道、マグネシウム、カリウム等のミネラル、D−乳酸やL−乳酸等、本発明の特徴を損なわない範囲で選択可能な物質が、適宜加えられたものでもよい。
ここで、本発明において、「D−乳酸」という場合は、D−乳酸の光学純度が100%の乳酸のみならず、D−乳酸の光学純度が100%未満である「含有するD−乳酸の光学純度が高い乳酸」を含む趣旨であり、本明細書では、「D−乳酸」と「含有するD−乳酸の光学純度が高い乳酸」とが交換可能に用いられる場合がある。すなわち、本発明において、「D−乳酸を製造する方法」は「含有するD−乳酸の光学純度が高い乳酸を製造する方法」と交換可能に用いられる。
「含有するD−乳酸の光学純度が高い乳酸」とは、糖蜜を微生物に資化させて培養して得られる発酵液の乳酸の濃度にかかわらず、少なくとも含有するD−乳酸の光学純度が90%e.e.以上の乳酸、好ましくは含有するD−乳酸の光学純度が95%e.e.以上の乳酸、より好ましくは、含有するD−乳酸の光学純度が96%e.e.以上の乳酸、さらに好ましくは、含有するD−乳酸の光学純度が97%e.e.以上の乳酸、よりさらに好ましくは、含有するD−乳酸の光学純度が98%e.e.以上の乳酸、最も好ましくは、含有するD−乳酸の光学純度が99%e.e.以上の乳酸をいう。
本発明に用いられる「微生物」には、D−乳酸を製造することができる真正細菌や古細菌の他、D−乳酸を製造することができる藻類、原生生物、菌類、粘菌等の真核生物、環虫等のごく小型の動物、D−乳酸産生能を獲得した形質転換体が含まれ、好ましい微生物としては、乳酸菌を挙げることができる。
本発明に用いられる乳酸菌としては、例えば、Bacillus coagulans等のバシラス属(Bacillus)、Lactobacillus delbrueckii、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus fructivorans、Lactobacillus hilgardii、Lactobacillus paracasei、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus brevis等のラクトバシラス属(Lactobacillus)、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium adolescentis、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium lactis等のビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus caseliflavus、Enterococcus sulfreus等のエンテロコッカス属(Enterococcus)、Lactococcus lactis、Lactococcus cremoris、Lactococcus diacetylactis、Lactococcus plantarum、Lactococcus rafinolactis等のラクトコッカス属(Lactococcus)、Pediococcus damnosus、Pediococcus pentosaceus等のペディオコッカス属(Pediococcus)、Leuconostoc mesenteroides、Leuconostoc citreum等のロイコノストック属(Leuconostoc)、Carnobacterium divergens、Carnobacterium piscicola等のカルノバクテリウム属、Streptococcus thermophilus、Streptococcus faecalis、Streptococcus pyogenes等のストレプトコッカス属に属する乳酸菌を挙げることができる。
なお、本発明においては、市販の、公的機関等に寄託または公的データベースに登録された公知の微生物のみならず、秘匿された、あるいは新たに単離された微生物が用いられてもよく、さらに、二種類以上の微生物が用いられてもよい。
本発明に係る微生物に資化させて培養するための培地は、糖蜜を含有して前記微生物が成育し得るものであればいずれのものでも適宜選択して用いることができ、例えば、天然培地であるか合成培地であるか、あるいは液体培地であるか固体培地であるかを問わない。前記培地は、炭素源、窒素源、無機塩類等を含有するが、炭素源としては、糖蜜が含有するグルコースやスクロース等の糖類の他、例えば、グルコース、スクロース、フラクトース、マルトース、ガラクトース、ラクトース等の糖類、メタノール、エタノールプロパノール、グリセロール等のアルコール類、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸等の有機酸類を添加する等して用いることができる。窒素源としては、例えば、ペプトン、酵母エキス、麦芽エキス、肉エキス、カザミノ酸、コーンスティープリカー、大豆タンパク、脱脂ダイズ、綿実カス等の天然窒素源の他、尿素等の有機窒素源、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の無機窒素源を用いることができる。無機塩類としては、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、亜鉛等の塩類、硫酸塩類、およびリン酸塩類、具体的には、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、塩化コバルト、硫酸亜鉛、リン酸二水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等を用いることができるが、リン酸二水素カリウム(KHPO)および硫酸マグネシウム(MgSO)、若しくはこれらを溶解して、カリウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよび硫酸イオンとして用いるのが好ましい。その他、必要に応じて、特定のアミノ酸や特定のビタミン等を用いることができる。
本発明における培地の滅菌方法は特に限定されず、当業者によって選択可能ないかなる方法によって行うことができる。例えば、121℃で15分間、オートクレーブで加圧滅菌することができる。また、オートクレーブ滅菌の際に培地成分が化学反応し、その結果、組成が変化する虞のある場合には、それぞれオートクレーブで加圧滅菌することができる。
本発明における培養は、培養する微生物の選択とD−乳酸の製造や精製の状況に応じて、適宜条件を選択し、あるいは変更することができる。例えば、ラクトバシラス属(Lactobacillus)に属する乳酸菌を用いる場合は、嫌気的条件下で行うことが好ましい。なお、嫌気的条件下で培養を行うためには、静置して行うことができるが、不活性ガスを通気しながら行うこともできる。不活性ガスとしては、二酸化炭素、窒素、アンモニア、アルゴン等を用いることができ、通気量、通気手段等はD−乳酸の製造や精製の状況に応じて適宜選択することができる。また、振盪培養あるいは撹拌培養等を行うことができ、培養形態としては、回分培養、半回分培養、連続培養等を行うことができる。さらに、培養時の発泡を抑えるため、消泡剤を適宜選択して培地に添加することができる。消泡剤を添加する場合の量も特に制限されず、当業者により用いられる通常の量とすることができる。
培養温度は、20℃〜50℃であるのが望ましいが、35℃〜47℃であるのが好ましい。培養時間は、24時間〜120時間とするのが通常である。培養中の培養液のpHは、D−乳酸の製造蓄積に応じてpH低下が起こるため、アルカリ溶液、アンモニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等を用いて2.0〜10.0に保持することが望ましいが、3.0〜8に保持するのが好ましく、6.0〜6.5に保持するのがより好ましい。この場合のpHの調整は、アルカリ溶液、アンモニア、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等を用いて行うことができる。
培養して得られた培養液等の培養物からD−乳酸を回収する方法は、当業者によって選択可能ないかなる方法によって行うことができ、例えば、培養物を酸性化した後直接蒸留する方法、D−乳酸のラクチドを形成させて蒸留する方法、アルコールと触媒とを加えてD−乳酸をエステル化した後に蒸留する方法、有機溶媒中にD−乳酸を抽出する方法、イオン交換カラムでD−乳酸を分離する方法、電気透析によりD−乳酸を濃縮分離する方法等やそれらを組み合わせた方法を挙げることができるが、前記培養物から菌体を除去したものの除タンパクと塩置換とを行い、濾過および濃縮して得られる結晶を適宜再結晶化し、酸により分離する方法が好ましい。
得られた乳酸に含有されるD−乳酸の光学純度を求める方法は特に限定されないが、例えば、次式、
光学純度(%)=100×(D−L)/(D+L):左式中、LはL−乳酸の濃度、DはD−乳酸の濃度を表す。
により算出して求める他、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography;HPLC)を用いる方法やF−キット(ロシュ社、ベーリンガーインゲルハイム社等)を用いる方法等がある。
また、本発明に係るD−乳酸を製造する方法は、前記糖蜜が電気透析法および/またはイオン交換樹脂法を用いて精製された精製糖蜜である。
電気透析法は、イオン交換膜と電気とを利用する膜分離法であり、一般には電気透析装置に陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とを装着して行われる。本発明における電気透析法で用いられるイオン交換膜や電気透析装置等はいずれのものでもよく、適宜選択して用いることができる。
イオン交換樹脂法は、接触する電解質溶液に含まれるイオンを樹脂が取り込み、代わりに樹脂の持つ別種のイオンを放出することで、イオン種の入れ換え(イオン交換)を行う精製方法である。本発明におけるイオン交換樹脂法では、陰イオン(アニオン)交換樹脂の他、さらに陽イオン(カチオン)交換樹脂を用いることができ、それぞれ強塩基であるか弱塩基であるか、あるいは強酸であるか弱酸であるかを問わず、市販のもの等を適宜選択して用いることができる。また、前記イオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンとの共重合体からなる母体を有する一般的なものに限定されず、拡散透析に用いられるイオン交換膜等を含む。
本発明におけるイオン交換樹脂法は、糖蜜にイオン交換樹脂を投入して撹拌することにより行うバッチ法と、カラムにイオン交換樹脂を充填して糖蜜をダウンフローまたはアップフローすることにより行うカラム法との、いずれも適用することができる。糖蜜をダウンフローすることにより行うカラム法としては、イオン交換クロマトグラフィーのような溶離展開法や漏出法等を挙げることができる。
ここで、本発明における「接触」とは、前記イオン種の入れ換え(イオン交換)が樹脂の一部または全部で行われる程度の接触をいい、例えば、「浸漬」、「通液」、「流通」、等と交換可能に用いられる場合がある。また、「精製」とは、前記接触により糖蜜に含まれるL−乳酸、グルコース、イオン、重金属等の少なくともいずれかを除去し、減少させ、あるいは生成を抑制することをいうが、L−乳酸を除去し、減少させ、あるいは生成を抑制する態様が好ましく、L−乳酸を除去し、減少させ、あるいは生成を抑制するとともに、グルコース、陽イオンおよび重金属の少なくともいずれかを除去し、または減少させる態様がより好ましく、L−乳酸を除去し、減少させ、ないし生成を抑制するとともに、グルコース、陽イオン、重金属の少なくともいずれかを除去し、または減少させ、脱色させる態様がさらに好ましい。
また、本発明におけるイオン交換樹脂法は、陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を再び陰イオン交換樹脂に接触させる工程を有するイオン交換樹脂法であってもよく、陽イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂に接触させる工程を有するイオン交換樹脂法であってもよい。すなわち、本発明におけるイオン交換樹脂法は、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を、直ちに、あるいは保存等した後に、陰イオン交換樹脂に接触させるイオン交換樹脂法であってもよく、この工程の前後に1または2以上のイオン交換樹脂に接触させる工程を有するイオン交換樹脂法であってもよい。
また、本発明に係るD−乳酸を製造する方法は、イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂カラムまたは陰イオン交換樹脂カラムに流通させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させる、少なくとも2以上のイオン交換樹脂カラムを用いるカラム法であってもよい。
さらに、本発明におけるカラム法が、最初に用いる陰イオン交換樹脂カラムにおける糖蜜の押出し量が陰イオン交換樹脂1体積部に対して1.8〜4体積部となるカラム法であることが好ましい。
ここで、本発明における陽イオン交換樹脂カラムや陰イオン交換樹脂カラムには、カラムに陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂のみが充填されたイオン交換樹脂カラムのみならず、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが混合するように充填されたイオン交換樹脂カラムや陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが複層形成するように充填されたイオン交換樹脂カラム等、カラムに陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とが充填されて、それぞれ、陽イオン交換樹脂カラムまたは陰イオン交換樹脂カラムとして機能するように形成された陽イオン交換樹脂カラムや陰イオン交換樹脂カラムが含まれる。
また、本発明において用いられるイオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂および/または陰イオン交換樹脂)および/またはイオン交換樹脂カラム(陽イオン交換樹脂カラムおよび/または陰イオン交換樹脂カラム)は、加温して用いることが好ましい。この場合、90℃未満の温度まで加温することが好ましく、88℃以下の温度まで加温することがより好ましく、86℃以下の温度まで加温することがさらに好ましく、84℃以下の温度まで加温することがよりさらに好ましく、82℃以下の温度まで加温することが最も好ましい。
また、糖蜜の押出し量、すなわち糖蜜をカラムに通液する量は、最初に用いる陰イオン交換樹脂1体積部に対して1.8〜4体積部とすることが好ましいが、最初に用いる陰イオン交換樹脂1体積部に対して2〜3.2体積部とすることがより好ましい。
以下、本発明に係るD−乳酸の製造方法および乳酸におけるD−乳酸の光学純度または対糖収率を高める方法について、実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実施例1>HB糖蜜を用いた検討
(1)HB糖蜜の測定
HB糖蜜のグルコースおよびスクロースの含有量を多機能バイオセンサBF−5(王子計測機器社)により、D−乳酸およびL−乳酸の含有量をD/L−乳酸測定用キット(SL11−0011;王子計測機器社)およびD−乳酸測定用キット(SL11−0018;王子計測機器社社)により、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅およびマグネシウムの含有量をICP発光分光分析(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry:ICP−AESまたはInductively Coupled Plasma Optical Emission Spectrometry:ICP−OES)装置(ICPE−9000;島津製作所社)により、カリウムを原子吸光分析装置(AA−6300;島津製作所社)により測定した。その結果、HB糖蜜にはD−乳酸は含まれず、また、グルコース、スクロースおよびL−乳酸の含有量はそれぞれ1.9wt%(g/100g)、52.6wt%(g/100g)および2.03g/Lであった。
(2)電気透析精製HB糖蜜の測定
本実施例1(1)のスクロース含有量の測定結果を基にして、totalのスクロース含有量が100g/Lとなるように、かつHB糖蜜160gに対し蒸留水1Lの割合でメスアップしてHB糖蜜水溶液を調製した後、電気透析法にて精製した電気透析精製HB糖蜜を得た。電気透析は、縦3.5cm×横9.5cm、厚さ1.0mmの陽イオン交換膜および陰イオン交換膜(いずれもAC220−10;アストム社)を、小型電気透析装置(アストム社)に装着して電気透析槽を形成し、この電気透析槽にHB糖蜜水溶液を全量入れることにより行った。
経過時間および電流値と、電気透析精製HB糖蜜に含まれるグルコース、スクロースおよびL−乳酸の量との関係を図1に示す。図1に示すように、電気透析精製HB糖蜜に含まれるL−乳酸の量は通電する電流値に比例して減少する傾向にあるが、電気透析精製HB糖蜜に含まれるグルコースおよびスクロースの量は経過時間や電流値にかかわらずほぼ一定の傾向にあることが確認できる。また、得られた電気透析精製HB糖蜜のグルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量を、実施例1(1)と同様の手法で測定した。なお、得られた電気透析精製HB糖蜜から、電気透析法による脱色効果は確認されなかった。
(3)イオン交換樹脂法によるHB糖蜜の精製
本実施例1(2)と同様の手法によりHB糖蜜水溶液を調製した後、イオン交換樹脂法にて精製した陽イオン交換精製HB糖蜜および陰イオン交換精製HB糖蜜を得た。イオン交換は、直径5cm、高さ1mのガラスカラム2本を作製し、陽イオン(強酸イオン)交換樹脂および陰イオン(強塩基イオン)交換樹脂(いずれもアンバーライト;オルガノ社)を充填しない状態、カラム容積の20v/v%充填した状態、同40v/v%充填した状態および同60v/v%充填した状態の陽イオン交換樹脂カラムおよび陰イオン交換樹脂カラムについて、それぞれにHB糖蜜水溶液の全量を流通させることにより行った。
陽イオン交換樹脂量と、陽イオン交換精製HB糖蜜に含まれるグルコース、スクロースおよびL−乳酸の量との関係を図2に、陰イオン交換樹脂量と、陰イオン交換精製HB糖蜜に含まれるグルコース、スクロースおよびL−乳酸の量との関係を図3に示す。図2より、陽イオン交換精製HB糖蜜に含まれるスクロースおよびL−乳酸の量は陽イオン交換樹脂量の増加に伴って緩やかに減少する傾向にあるが、陽イオン交換精製HB糖蜜に含まれるグルコースの量は陽イオン交換樹脂量にかかわらず激減する傾向にあることが確認できる。また、図3より、陰イオン交換精製HB糖蜜に含まれるスクロースおよびL−乳酸の量は陰イオン交換樹脂量の増加に比例して減少する傾向にあるが、陰イオン交換精製HB糖蜜に含まれるグルコースの量は陰イオン交換樹脂量に伴ってやや減少傾向にあることが確認できる。
すなわち、図2および図3より、イオン交換樹脂法によってHB糖蜜を精製する場合、陽イオン交換樹脂カラムに流通させて陽イオン交換樹脂に接触させたHB糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させて陰イオン交換樹脂に接触させることにより、または陰イオン交換樹脂カラムに流通させて陰イオン交換樹脂に接触させたHB糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させて陰イオン交換樹脂に接触させることにより、グルコースおよびL−乳酸の含有量を効率よく減少させることができることが分かる。
(4)陽イオン交換後に陰イオン交換を行うHB糖蜜の精製
本実施例1(2)と同様の手法によりHB糖蜜水溶液を7L調製した後、まず、陽イオン(強酸イオン)交換樹脂(アンバーライト;オルガノ社)をカラム容積の60v/v%充填した陽イオン交換樹脂カラムにこのHB糖蜜水溶液を全量流通させて回収し、次いで、陰イオン(強塩基イオン)交換樹脂(アンバーライト;オルガノ社)をカラム容積の60v/v%充填した陰イオン交換樹脂カラムに全量を流通させることにより精製を行い、得られた陽陰イオン交換精製HB糖蜜のグルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量を、本実施例1(1)と同様の手法で測定した。また、得られた陽陰イオン交換精製HB糖蜜から、イオン交換樹脂法による脱色効果が確認された。これを図4(写真)に示す。
(5)電気透析精製HB糖蜜および陽陰イオン交換精製HB糖蜜を用いた発酵および得られた乳酸の測定
電気透析精製HB糖蜜および陽陰イオン交換精製HB糖蜜をそれぞれ7L調製し、窒素源である酵母エキス5g/Lを加えてpHを6.0〜6.5に調整後、121℃で15分間、オートクレーブで加圧滅菌して冷却し、炭酸カルシウム30g/Lを加えて培地を調製した。いずれも仕込み量を10Lジャーファーメンターの70%(7.0L)とし、製糖工程より分離した公知の乳酸菌であるLactobacillus delbrueckii株をそれぞれ2%(v/v)接種して、45℃、150rpm/分で振盪培養を48時間行った。培養後にそれぞれの発酵液を回収し、8000rpmで10分間遠心分離して菌体を除去した後、得られた上清にpHが10.0以上になるよう水酸化カルシウム(消石灰)を加え、80℃で1時間加熱することにより除タンパクと塩置換とを行い、室温まで冷却して濾過した。濾液を濃縮して析出した結晶を濾別し、少量の蒸留水で洗浄し再結晶化を行った。濾別した濾液は再び濃縮し、析出した結晶を濾別して再結晶化した。この工程を数回繰り返すことにより乳酸カルシウムの白色結晶を得た。これに蒸留水を加えて60℃で融解し、冷却後、pHが約1.5〜1.7となるように濃硫酸を添加して、乳酸を含む上清と硫酸カルシウムとに分離した。濾別して得た上清を65℃の減圧下で濃縮することにより残存する硫酸カルシウムを除去し、それぞれの乳酸(電気透析精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸)を得た。
電気透析精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸におけるD−乳酸の光学純度を、次式により算出して求めた。
光学純度(%)=100×(D−L)/(D+L):左式中、LはL−乳酸の濃度、DはD−乳酸の濃度を表す。
次いで、電気透析精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸のグルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量を、本実施例1(1)と同様の手法で測定した。
<比較例1>HB糖蜜を用いた発酵および得られた乳酸の測定
精製を行わないHB糖蜜について発酵および得られた乳酸の測定を行った。実施例1(2)と同様の手法によりHB糖蜜水溶液(totalスクロース量100g/L)を7L調製した後、実施例1(5)と同様の手法で、培地を調製して発酵を行い、濃縮して乳酸(HB糖蜜乳酸)を得た。得られたHB糖蜜乳酸における、D−乳酸の光学純度と、グルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量とを、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定した。表1に実施例1および本比較例1の測定結果を示す。
Figure 2010084972
表1より、電気透析精製HB糖蜜および陽陰イオン交換精製HB糖蜜に含まれるグルコース、L−乳酸、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅およびマグネシウムの量は、HB糖蜜に含まれるそれらの量と比較して極めて減少していることが確認できる。そのため、電気透析精製HB糖蜜および陽陰イオン交換精製HB糖蜜に含まれるスクロースの割合が高くなっていることが確認できる。また、陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸におけるD−乳酸の光学純度は、HB糖蜜乳酸のD−乳酸における光学純度と比較して極めて高い値を示すことが確認でき、陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸には、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムが残存していることが確認できる。このうちカルシウムについては、塩置換のための水酸化カルシウムの添加によるものと考えられる。さらに、電気透析精製HB糖蜜と同様に得られた電気透析精製HB糖蜜乳酸の脱色は確認できないが、陽陰イオン交換精製HB糖蜜と同様、陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸の脱色が確認できる。
<実施例2>甜菜糖蜜濃縮液を用いた検討
(1)甜菜糖蜜濃縮液の測定
甜菜糖蜜濃縮液のグルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量を、実施例1(1)と同様の手法で測定した。その結果、甜菜糖蜜濃縮液には、グルコース、D−乳酸およびL−乳酸は含まれず、また、含まれるスクロース量は61.2wt%(g/100g)であった。
(2)電気透析法による甜菜糖蜜濃縮液の精製
本実施例2(1)のスクロース含有量の測定結果を基にして、totalのスクロース量が100g/Lとなるように、かつ甜菜糖蜜濃縮液160gに対し蒸留水1Lの割合でメスアップして7Lの甜菜糖蜜濃縮液水溶液を調製した後、実施例1(2)と同様にして電気透析に供して電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液を得た。
(3)イオン交換樹脂法による甜菜糖蜜濃縮液の精製
本実施例2(2)と同様の手法により甜菜糖蜜濃縮液水溶液を7L調製した後、まず、実施例1(4)で用いた陽イオン交換樹脂カラムにこの甜菜糖蜜濃縮液水溶液を全量流通させて回収し、次いで、実施例1(4)で用いた陰イオン交換樹脂カラムにこれの全量を流通させて陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液を得た。
(4)電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液および陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液を用いた発酵および得られた精製乳酸の測定
実施例1(5)と同様の手法で、電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液および陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液から培地を調製して発酵を行い、濃縮してそれぞれの乳酸(電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸および陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸)を得た。得られた電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸および陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸における、D−乳酸の光学純度と、グルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量とを、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定した。
<比較例2>甜菜糖蜜濃縮液を用いた発酵および得られた乳酸の測定
精製を行わない甜菜糖蜜濃縮液について発酵および得られた乳酸の測定を行った。実施例2(2)と同様の手法により甜菜糖蜜濃縮液水溶液(totalスクロース量120g/L)を7L調製した後、実施例1(5)と同様の手法で、培地を調製して発酵を行い、濃縮して乳酸(甜菜糖蜜濃縮液乳酸)を得た。得られた甜菜糖蜜濃縮液乳酸における、D−乳酸の光学純度と、グルコース、スクロース、D−乳酸、L−乳酸、ナトリウム、カルシウム、鉄、マンガン、亜鉛、銅、マグネシウムおよびカリウムの含有量とを、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定した。表2に実施例2および本比較例2の測定結果を示す。
Figure 2010084972
表2より、陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸におけるD−乳酸の光学純度は、電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸および精製をしない甜菜糖蜜濃縮液乳酸におけるD−乳酸の光学純度と比較して高い値を示すことが確認できる。また、陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸には、カルシウム、鉄、マンガンおよびマグネシウムが残存していることが確認できる。このうちカルシウムについては、実施例1および比較例1の結果と同様、塩置換のための水酸化カルシウムの添加によるものと考えられる。さらに、得られた電気透析精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸の脱色は確認できないが、陽陰イオン交換精製甜菜糖蜜濃縮液乳酸の脱色が確認できる。
<実施例3>L−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜を用いた検討
(1)L−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜の調製
サトウキビ黒糖蜜はL−乳酸を含んでいないため、L−乳酸を含んでいるサトウキビ由来廃糖蜜の入手を試みたが、時期的な事由により入手が不可能であったため、サトウキビ黒糖蜜にL−乳酸を添加したL−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜を作製し、これを擬似的なサトウキビ由来廃糖蜜として検討を行った。
黒糖シロップ(粗糖、糖蜜、黒糖;垣乃花社,スクロース65%含有)を、totalのスクロース含有量が100g/Lとなるようにイオン交換水を加え、これにL−乳酸(SIGMA社)を1.5g/Lとなるように添加することにより作製した。
(2)イオン交換樹脂法によるL−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜の精製
本実施例1(1)で作製したL−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜について、実施例1(4)と同様の手法により陽イオン交換後に陰イオン交換を行い、陽陰L−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜を得た。得られた陽陰L−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜を、実施例1(5)と同様の手法により発酵させた後、実施例1(5)と同様の手法により乳酸(陽陰L−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜乳酸)を得た。得られた陽陰L−乳酸添加サトウキビ黒糖蜜乳酸におけるD−乳酸の光学純度と、グルコース、スクロース、D−乳酸およびL−乳酸の含有量とを、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定した。表3に本実施例3の測定結果を示す。
Figure 2010084972
<実施例4>イオン交換樹脂カラムからの糖蜜の押出し量の検討
イオン交換樹脂法は化学的吸着と物理的押出しとを利用した精製法であるため、回収領域を設定しなければスクロース濃度が低下する。また、糖蜜の押出し量の増加に伴って樹脂のイオン吸着能が低下するため、L−乳酸除去能は低下する。そこで、仕込み量と同量またはこれに近い量のスクロースが回収できる糖蜜の押出し量の検討を行った。
直径5cm、高さ100cmのカラムに陰イオン(強塩基イオン)交換樹脂(アンバーライト;オルガノ社)500mLを充填して陰イオン交換樹脂カラムを形成し、実施例1(2)と同様の手法によりHB糖蜜水溶液7Lを流通させた後、押し出された陰イオン交換精製HB糖蜜を回収して、HB糖蜜の押出し量と、回収した陰イオン交換精製HB糖蜜のグルコース、スクロースおよびL−乳酸の含有量とを、実施例1(1)と同様の手法で測定した。その測定結果を表4に、HB糖蜜の押出し量とスクロース含有量との関係を図5に、イオン交換樹脂法におけるHB糖蜜の押出し量1000〜1800mLの脱色効果を図6にそれぞれ示す。
Figure 2010084972
表4および図5より、HB糖蜜の押出し量が900〜2000mLの場合、回収した陰イオン交換精製HB糖蜜から仕込み量と同量またはこれに近い量のスクロースを得られ、さらに、L−乳酸の含有量が0.0g/Lであることが確認できる。すなわち、糖蜜の押出し量:陰イオン交換樹脂量=1.8:1〜4:1(体積比)である場合に、仕込み量と同量またはこれに近い量のスクロースを得ることができるとともにL−乳酸を確実に除去することができるといえる。また、図6より、HB糖蜜の押出し量が1600mLを超えると、すなわち陰イオン交換樹脂1体積部に対して3.2体積部を超えると陰イオン交換樹脂カラムの脱色効果は低下することが確認できる。
<実施例5>陽陰イオン交換精製HB糖蜜を用いた発酵における培養の安定化とこれによる乳酸におけるD−乳酸の光学純度の向上についての検討
実施例1(3)により、HB糖蜜を陽イオン交換樹脂カラムに流通させて陽イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させて陰イオン交換樹脂に接触させることにより、または陰イオン交換樹脂カラムに流通させて陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させて陰イオン交換樹脂に接触させることにより、グルコース、L−乳酸、陽イオンおよび重金属を取り除くことができ、D−乳酸の光学純度の高い乳酸を製造することが可能であることが確認された。しかしながら、使用するHB糖蜜によっては、得られるD−乳酸の量に差が生じる傾向がみられる。そこで、陽陰イオン交換精製HB糖蜜にリン酸二水素カリウム(KHPO)および硫酸マグネシウム(MgSO)を添加して培養し、発酵することにより、その効果を調べた。
実施例1(4)と同様の手法で調製した陽陰イオン交換精製HB糖蜜350mLと、これにKHPOを0.2wt/v%およびMgSOを0.01wt/v%添加した陽陰イオン交換精製HB糖蜜とを、500mLの培養瓶に350mLの培地を入れて、張込みスターラーで100〜150rpm/分振盪培養を行った他は実施例1(5)と同様の手法により、培地を調製して発酵を行い、濃縮して乳酸(陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜添加乳酸)を得た。得られた陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜添加乳酸における、培養時間ごとのD−乳酸の光学純度と、培養時間ごとのグルコース、スクロース、D−乳酸およびL−乳酸の含有量とを、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定した。その測定結果を表5に示す。
Figure 2010084972
表5より、陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜添加乳酸に含まれるグルコースの量は、それぞれ42.21g/Lおよび29.82g/Lであることが確認できる。このことから、KHPOおよびMgSOを添加して培地を調製することにより、残存グルコースの量を減少させることができ、対糖収率を高めることができるといえる。また、陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜添加乳酸に含まれるL−乳酸の量が、それぞれ0.12g/Lおよび0.11g/Lと、ほぼ同量であるのに対し、陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸および陽陰イオン交換精製HB糖蜜添加乳酸に含まれるD−乳酸の量は、それぞれ51.2g/Lおよび73.4g/Lと、その量に差があることが確認でき、D−乳酸の対糖収率が43.4%以上高めることができることが確認できる。
<実施例6>イオン交換樹脂カラムを加温した場合の検討
HB糖蜜を用いて、イオン交換樹脂カラムを加温した場合の検討を行った。イオン交換樹脂カラムを80℃に加温した他は、実施例1(4)と同様の手法により陽陰イオン交換精製HB糖蜜を得た。得られた陽陰イオン交換精製HB糖蜜を、実施例1(5)と同様の手法により発酵させた後、実施例1(5)と同様の手法により乳酸(陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸)を得た。得られた陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸におけるD−乳酸の光学純度および対糖収率を、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定した。その結果、D−乳酸の光学純度は99.4%e.e.、対糖収率は64.1%まで高められた。
<実施例7>スケールアップの検討
以上実施例1〜4に基づき、D−乳酸の光学純度の高い乳酸を量産するため、培養仕込み量を10Lジャーファーメンターの70%(7.0L)から90Lジャーファーメンターの65%(58.5L)へスケールアップした。実施例1(4)と同様の手法で陽陰イオン交換精製HB糖蜜を58.5L調製し、45℃、60rpm/分で振盪培養を行った他は、実施例1(5)と同様の手法で、培地を調製して発酵を行い、濃縮して乳酸(陽陰イオン交換精製HB糖蜜乳酸)を得た。スケールアップ前後における培養時間と、pH値および消費スクロース量との関係を図7に示す。
図7より、90Lスケールアップ後のスクロース量は10Lスケールと同様に培養時間約500分で消費され、pHも10Lスケールと同様に安定することが確認できる。なお、90Lスケールアップ後のD−乳酸の光学純度と、グルコース、スクロース、D−乳酸およびL−乳酸の含有量とを、実施例1(1)および(5)と同様の手法で測定したところ、D−乳酸およびL−乳酸の量はそれぞれ276.0g/Lおよび0.8g/Lであり、光学純度99.4%e.e.のD−乳酸を得ることができ、かつD−乳酸回収率は43%であった。
以上のような本実施例によれば、糖蜜を微生物に資化させて培養する既存の方法と比較して、よりD−乳酸の光学純度が高い乳酸を効率よく製造することができ、さらにはD−乳酸の対糖収率を高めることができる。
なお、本発明に係るD−乳酸の製造方法および乳酸においてD−乳酸の光学純度を高める方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。

Claims (15)

  1. 糖蜜を微生物に資化させて培養することによりD−乳酸を製造する方法であって、イオン交換樹脂法を用いて前記糖蜜を精製する工程を有する、D−乳酸を製造する方法。
  2. 前記微生物が乳酸菌である、請求項1に記載のD−乳酸を製造する方法。
  3. 前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂に接触させる工程を有する、少なくとも2以上のイオン交換樹脂を用いるイオン交換樹脂法である、請求項1または請求項2に記載のD−乳酸を製造する方法。
  4. 前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂カラムまたは陰イオン交換樹脂カラムに流通させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させる、少なくとも2以上のイオン交換樹脂カラムを用いるカラム法である、請求項1から請求項3の何れかに記載のD−乳酸を製造する方法。
  5. 前記カラム法が、最初に用いる陰イオン交換樹脂カラムにおける糖蜜の押出し量が陰イオン交換樹脂1体積部に対して1.8〜4体積部となるカラム法である、請求項4に記載のD−乳酸を製造する方法。
  6. 前記イオン交換樹脂法または前記カラム法が、イオン交換樹脂またはイオン交換樹脂カラムを加温して用いるイオン交換樹脂法またはカラム法である、請求項1から請求項5の何れかに記載のD−乳酸を製造する方法。
  7. 前記糖蜜が、カリウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよび硫酸イオンからなる群から選択される1または2以上のイオンが加えられた糖蜜である、請求項1から請求項6の何れかに記載のD−乳酸を製造する方法。
  8. イオン交換樹脂法を用いて糖蜜を精製する工程を有する、乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
  9. 前記微生物が乳酸菌である、請求項8に記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
  10. 前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂に接触させた糖蜜を陰イオン交換樹脂に接触させる工程を有する、少なくとも2以上のイオン交換樹脂を用いるイオン交換樹脂法である、請求項8または請求項9に記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
  11. 前記イオン交換樹脂法が、陽イオン交換樹脂カラムまたは陰イオン交換樹脂カラムに流通させた糖蜜を陰イオン交換樹脂カラムに流通させる、少なくとも2以上のイオン交換樹脂カラムを用いるカラム法である、請求項8から請求項10の何れかに記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
  12. 前記カラム法が、最初に用いる陰イオン交換樹脂カラムにおける糖蜜の押出し量が陰イオン交換樹脂1体積部に対して1.8〜4体積部となるカラム法である、請求項11に記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
  13. 前記イオン交換樹脂法または前記カラム法が、イオン交換樹脂またはイオン交換樹脂カラムを加温して用いるイオン交換樹脂法またはカラム法である、請求項8から請求項12の何れかに記載の乳酸におけるD−乳酸の光学純度を高める方法。
  14. イオン交換樹脂法を用いて精製した糖蜜にカリウムイオン、マグネシウムイオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオンおよび硫酸イオンからなる群から選択される1または2以上のイオンを加えて微生物に資化させて培養する工程を有する、D−乳酸の対糖収率を高める方法。
  15. 請求項8から請求項14の方法を用いて含有するD−乳酸の光学純度または対糖収率が高められた乳酸。
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