JPWO2010047076A1 - エレクトレット電極、それを用いたアクチュエータ、振動発電器、および振動発電装置、ならびに振動発電装置を搭載した通信装置 - Google Patents

エレクトレット電極、それを用いたアクチュエータ、振動発電器、および振動発電装置、ならびに振動発電装置を搭載した通信装置 Download PDF

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Abstract

表面電荷密度が向上したエレクトレット電極を提供する。基板102上に導電膜111を形成し、導電膜111上に第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜を交互に積層した後、第3の絶縁膜114および第4の絶縁膜115で下面、上面および側面が覆われたエレクトレット膜110a〜dを配置して、エレクトレット電極100を構成する。エレクトレット膜110a〜dと導電膜111との間に第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113が存在することにより、同じ電荷を保持した場合には膜中の電界強度が小さくなり、同じ電界強度の場合には表面電荷密度(表面電位)を高くすることができる。

Description

本発明は、エレクトレット電極と、エレクトレット電極を用いた静電誘導型振動発電器、アクチュエータおよび振動発電装置、ならびにその振動発電装置を搭載した電気機器、及びこの振動発電装置を搭載した通信装置に関するものである。
可変容量の一方の電極に電荷を与え、対向する電極へ静電誘導により電荷を誘起し、容量の変化により、誘起される電荷に変化を生じさせ、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出す静電誘導型振動発電装置は、既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図7に、前記特許文献1に記載された、静電誘導型振動発電器を示す。図7は、エレクトレットを用いた振動発電器10の概略断面図である。
この静電誘導型発電器は、複数の導電性表面領域13を備えた第1の基板11と、複数のエレクトレット材料領域15を備えた第2の基板16とで構成される。前記第1の基板11と、前記第2の基板16は、互いに所定の間隔を隔てて配置されている。エレクトレット材料領域15を含む第2の基板16は固定されている。導電性表面領域13を含む第1の基板11は固定構造17にバネ19を介して連結されている。バネ19は、第1の基板11の両側面に接続されるとともに、固定構造17に接続されている。このバネ19により、第1の基板11は定位置に戻ることができ、或いは、第1の基板は側方運動(例えばX軸方向運動)を行い、定位置に戻ることができる。この動きにより、エレクトレット材料領域15と、対向する導電性表面領域13との重なり面積の増減が生じ、導電性表面領域13に電荷の変化が生じる。静電誘導型発電器は、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出すことにより発電を行う。
この時、最大出力電力Pmaxは、下記式で表される。式中、σは表面電荷(密度)、εElectretはエレクトレット材料の誘電率、εairは空気の誘電率、εは真空の誘電率、Aはエレクトレット材料領域と導電性表面領域の重なり面積、gは電極間のギャップ、fは振動周波数、dはエレクトレット材料の膜厚、nは重なり面積の数を示している。
Figure 2010047076
上記式によれば、発電量を増加させるためには、エレクトレット材料の表面電荷(密度)を高くする、すなわち、エレクトレット材料の表面電位を高くする必要のあることが分かる。
一方、エレクトレット材料として、シリコン酸化膜が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、エレクトレット材料として用いられているシリコン酸化膜への着電量については、非特許文献2に示されている。
図8は、前記非特許文献1に記載された従来の静電誘導型振動発電器であって、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜を用いたGenerator(静電誘導型振動発電器)20の概略断面図である。図8において、Fixed Electrode(固定電極)22はGlass(ガラス)21の上に形成されている。Suspended Mass(質量構造体)24は、Adhesive bonding(接合)によりGlass21の上に配置される。Electret(エレクトレット)25が形成されたSilicon(シリコン基板)26は、Silicon27の上にAdhesive bondingにより配置される。
この静電誘導型発電器は、Movable Electrode23を有するSuspended Mass24が振動し、それによりCvarの容量が変化することを利用して、発電を行っている。また、この静電誘導型発電器においては、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜が用いられている。エレクトレット材料領域は、電極上にシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜を形成して構成され、電荷を安定させるために熱処理が施されている。
図9は、前記非特許文献2に記載された、シリコン酸化膜への着電時間と表面電位との関係を示すグラフである。○印は、シリコン酸化膜の厚さが0.5マイクロメートル、△印は、シリコン酸化膜の厚さが0.6マイクロメートルである場合の着電時間と表面電位との関係を表す。いずれの場合にも、シリコン酸化膜の表面電位は、着電時間が長くなるほど、増加し、最大値に達すると、着電時間を長くしても、表面電位は増加しない。0.5マイクロメートルのシリコン酸化膜において、表面電位の最大値は240Vであり、0.6マイクロメートルのシリコン酸化膜において、表面電位の最大値は290Vである。前記非特許文献2において、表面電位の最大値は、シリコン酸化膜の絶縁耐圧により決まると記されている。
したがって、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜を用いた静電誘導型振動発電器において、エレクトレット材料の表面電荷(密度)を高くして最大出力電力を向上させるには、シリコン酸化膜の絶縁耐圧を高くすること、即ち、膜厚を大きくする必要がある。
特表2005−529574号公報(第10−11頁、図4)
TRANSDUCERS&EUROSENSORS ‘07 The 14th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems, Lyon, France, June 10-14, 2007 IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation Vol. 13, No. 5; October 2006
しかしながら、シリコン酸化膜の膜厚を大きくすると、膜の内部応力により、クラックおよび基板のそり等が発生するため、シリコン酸化膜の厚膜化には限界があった。即ち、エレクトレット材料がシリコン酸化膜であると、厚膜化による表面電位(及び表面電荷密度)の増加には限界があるという課題があった。このことは、静電誘導型振動発電器において、エレクトレットとして電荷を保持したシリコン酸化膜を用いた場合、表面電位(表面電荷密度)の低さに起因して、発電効率が低いという課題を招いていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたものである。本発明は、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜(SiO膜)を用いた場合でも、表面電位が高くなる構造のエレクトレット電極を提供することを目的とする。また、本発明は、シリコン酸化膜を用いたエレクトレットの表面電位を向上させることによって、発電効率が改善された振動発電器を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記振動発電器を用いた振動発電装置、および当該振動発電装置を搭載した通信装置を提供することを目的とする。
本発明は、
導電膜と、電荷を保持したシリコン酸化膜とを有し、
前記導電膜と前記シリコン酸化膜との間に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とが、前記第1の絶縁膜が前記導電膜に近い側に位置するように積層された積層体を含む絶縁膜を有する、エレクトレット電極を提供する。この構成によって、膜厚を大きくすることが困難なシリコン酸化膜をエレクトレットとして用いる場合に、エレクトレットにおいて電荷が保持された領域と導電膜との間の距離を実質的に大きくすることができ、表面電位(表面電荷密度)を高くすることが可能となる。
本発明のエレクトレット電極は、
前記シリコン酸化膜の下面を覆うように形成された第3の絶縁膜、および
前記シリコン酸化膜の上面および側面を覆うように形成された第4の絶縁膜
を有することが好ましい。この構成により、シリコン酸化膜が絶縁膜で完全に覆われるため、シリコン酸化膜の耐湿性が向上し、エレクトレットに帯電した電荷の抜けが防止される。ここで、シリコン酸化膜の下面とは、シリコン酸化膜を形成したときに、他の層または基体と接する側の面をいい、上面とは、シリコン酸化膜を形成したときに露出している広い面をいい、側面とは、上面とした面とをつなぐ面(厚さ方向に平行な面)である。
前記第3の絶縁膜および第4の絶縁膜を有する場合、第3の絶縁膜が、第2の絶縁膜であり、前記第2の絶縁膜と前記第1の絶縁膜をそれぞれ1つずつ有するように、本発明のエレクトレット電極を構成してよい。その場合、第1の絶縁膜は第2の絶縁膜と導電膜との間に位置することとなる。第3の絶縁膜と第2の絶縁膜を共通させることによって、絶縁膜の成膜回数を減らすことができる。
本発明のエレクトレット電極はまた、第1の絶縁膜の側面および第2の絶縁膜の側面が、他の導電膜または他の絶縁膜で覆われていない構成を有することが好ましい。そのような構成により、エレクトレット以外の絶縁膜に着電した電荷は、側面から抜けていくこととなる。そのため、加熱または加湿により、エレクトレットのみに電荷を保持することが可能となり、特性を安定化させることができる。
本発明はまた、本発明のエレクトレット電極を用いた振動発電器を提供する。前述のように、本発明のエレクトレット電極においては、表面電位(表面電荷密度)が向上され得るので、本発明のエレクトレット電極を用いた本発明の振動発電器によれば、発電効率の向上を図ることができる。
本発明はまた、前記本発明の振動発電器を含む、振動発電装置を提供する。本発明の振動発電装置は、シリコン酸化膜をエレクトレットとして含む従来の振動発電器を含むものと比較して、発電量のより大きいものとなる。
本発明の振動発電装置は、蓄電回路を含んでよい。蓄電回路を含むことによって、振動発電器からの出力電力が大きい場合には、蓄電回路に電力を蓄えることができる。蓄電回路に蓄えられた電力は、発電器からの出力電力が低下した場合に、供給され、それにより振動発電装置の出力を安定に保つことができる。
本発明はまた、本発明の振動発電装置を含む通信装置を提供する。本発明の通信装置は、電池のみで駆動するものと比較して、電池交換回数の低減を可能にし、或いは用途によっては、電池交換を不要とすることができる。
本発明のエレクトレット電極は、シリコン酸化膜をエレクトレットとして用いたエレクトレット電極の表面電位(表面電荷密度)を向上させることができる。よって、このエレクトレット電極を用いた、本発明の振動発電器によれば、シリコン酸化膜をエレクトレットとして用いた従来の振動発電器に比べ、発電効率を向上させることができる。
また、本発明の振動発電装置は、本発明の振動発電器を含み、比較的高い出力の電力を供給できる。さらに、本発明の振動発電装置が蓄電回路を含む場合には、出力電圧を安定させることが可能である。本発明の振動発電装置は、通信装置の電源として機能することができる。本発明の振動発電装置は、外部から与えられた力(例えば、人間が歩行しているときに加わる力、又は車を運転している間に加わる振動等)で発電可能なものである。よって、本発明の振動発電装置を用いた通信装置は、電池交換等のメンテナンス回数を低減できる等、省資源および環境保護の点でも有利である。
(a)は、本発明の実施の形態1における振動発電器の断面図、(b)は(a)に示すエレクトレット電極部101の断面拡大図 (a)および(b)は、本発明の実施の形態1におけるエレクトレット電極部の他の構成を示す断面拡大図 本発明の実施の形態2における振動発電器の構造を示す上面図 本発明の実施の形態3における振動発電装置を示すブロック図 本発明の実施の形態3における振動発電装置の各部の電圧波形を示す図 本発明の実施の形態4における通信装置を示す図 従来の静電誘導型振動発電器の上面図 従来のシリコン酸化膜を用いた静電誘導型振動発電器の断面図 図9に示す静電誘導型振動発電器のシリコン酸化膜への着電時間と表面電位の関係を示すグラフ
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における振動発電器を示し、(a)は振動発電器100の断面図であり、(b)は、エレクトレット電極部101の拡大断面図である。
図1(a)において、振動発電器100は、エレクトレット電極部101を含む第1の基板102と、第1の基板102を、固定構造体104a、104bに接続する弾性構造体103a、103bと、第2の基板106とを含む。固定構造体104a、104bは、支持体105a、105bにより、第2の基板106に接続される。第2の基板106上には、電極107a、107b、107c、107d、107eが形成されている。
図1(b)において、エレクトレット電極部101は、第1の基板102と、第1の基板上に形成された導電膜111とを含む。導電膜111上には、第1の絶縁膜112、及び第2の絶縁膜113が、交互に積層されて、4層構造の絶縁膜が形成されている。最後に形成された第2の絶縁膜113の表面には、第3の絶縁膜114および第4の絶縁膜115によって、下面、上面および側面が覆われた、エレクトレット110a、110b、110c、110dが形成されている。具体的には、第3の絶縁膜114が第2の絶縁膜113上に形成された後、エレクトレット膜110a、110b、110c、110dが形成され、さらに第4の絶縁膜115が形成されている。このようにエレクトレットとして、シリコン酸化膜を使用する場合には、シリコン酸化膜は、いずれの面(上面、下面および側面)も露出せず、かつ他の膜もしくは基板と直接接触しないように、絶縁膜で封止されることが好ましい。
なお、導電膜111は、金属など導電性を有する任意の材料により構成されてよいが、好ましくはポリシリコンより成る。エレクトレットとして、シリコン酸化膜を使用する場合、高熱処理があるLP−CVD工程での成膜が可能となり、高品質のエレクトレット膜を得ることができる。また、エレクトレット以外にも絶縁膜としてシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を用いる場合においても高温処理が可能となるなど、その効果は大きい。
この構成のエレクトレット電極部101は、エレクトレット膜110a、110b、110c、110dと、電極107a、107b、107c、107d、107eが、それらの間に間隙を有する状態で互いに対向するように、配置される。
本願発明にかかる振動発電器では複数個のエレクトレット膜110(110a、110b、110c、110d)および/または複数個の電極107(107a、107b、107c、107d、107e)が配置されるのが好ましい。複数のエレクトレットおよび/または電極を適正に配置することにより、同じ表面積のエレクトレットおよび/または電極を1個配置する場合と比べ、小さな振動でも、より大きな重なり面積の変化(増減)を得ることができるからである。
図1(a)に示す例では、エレクトレット膜110と電極107の横方向の位置(図1(a)の左右方向の位置)とは、ずらして配置されているが、第1の基板102が横方向に振動することでエレクトレット膜110と電極107の重なり面積が増減すればよいことから、初期状態(第1の基板102が振動していない状態)では、エレクトレット膜110と電極107は、図1(a)のようにずらして配置してもよく。また重なるように配置してもよい。
本発明のエレクトレット電極においては、エレクトレット(エレクトレット膜)として、電荷を保持したシリコン酸化膜(または酸化シリコン膜)を用いる。シリコン酸化膜は、絶縁耐圧および耐熱性に優れているので、実装時のリフロー等の際にも変質又は変形しない。そのため、シリコン酸化膜がエレクトレットとして既に使用されていることは、背景技術の欄で説明したとおりである。
耐湿性を向上させるため、エレクトレットであるシリコン酸化膜は、膜全体が絶縁膜で完全に覆われていることが望ましい。具体的には、シリコン酸化膜は、シリコン窒化膜のような絶縁膜により、その周囲を完全に覆う構造とすることによって、絶縁耐圧、耐熱性および耐湿性において、より優れたエレクトレットとなる。
図示した形態において、第1絶縁膜112および第2絶縁膜113は、第3絶縁膜114と接する第2絶縁膜113の材料が、第3絶縁膜114の材料とは異なるように、適切な絶縁材料を選択して形成する。例えば、第3絶縁膜114がシリコン窒化膜である場合には、第2絶縁膜113はシリコン酸化膜であることが好ましく、第1絶縁膜112はシリコン窒化膜であることが好ましい。第2絶縁膜をシリコン酸化膜とすることにより、エレクトレットを含む積層構造において、一層おきにシリコン酸化膜が存在することとなるので、反りまたは歪みの小さい、積層構造体を得ることができる。また、第1絶縁膜をシリコン窒化膜とすることによって、第4絶縁膜を含む積層構造において、一層おきにシリコン窒化膜が存在することとなるので、反りまたは歪みの小さい積層構造体を得ることができる。あるいは、第1絶縁膜112は、シリコン窒化膜以外の無機材料から成る膜であってよく、例えば、プラズマ窒化膜から成ってもよい。
図1に示す形態においては、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113が交互に形成された構成を示した。変形例において、第3の絶縁膜は、第2の絶縁膜を兼ねてよく、その場合、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜と導電膜との間に位置してよい。即ち、図1において、4層構造の絶縁膜は、単層構造であってよい。このように構成することで、成膜回数を少なくすることができる。その構成において、第1の絶縁膜(単層の絶縁膜)はシリコン酸化膜であることが好ましい。または、絶縁膜は、導電膜側から、第1の絶縁膜/第2の絶縁膜/第1の絶縁膜と積層された三層構造であってよい。その場合、第2の絶縁膜を第3の絶縁膜と同じ材料(例えば、シリコン窒化膜)で形成し、第1の絶縁膜を他の無機材料(例えば、シリコン酸化膜)で形成してよい。
あるいは、可能であれば、第3の絶縁膜を、その厚さが第4の絶縁膜の厚さよりも大きくなるように形成して、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を有しない構成としてよい。その場合には、第4の絶縁膜を絶縁膜Aと呼び、第3の絶縁膜を絶縁膜Bと呼んで、第1および第2の絶縁膜が存在しないことの不自然さを回避してよい。
あるいはまた、図1に示す形態において、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113は同じ材料から成ってよい。その場合には、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113において、例えば、膜の密度が異なるように、成膜条件を適宜調整して、互いに隣り合う膜の物性が異なるようにすることが好ましい。
いずれのように(材料を同じにする形態にして、または異なる形態にして)第1および第2の絶縁膜を形成する場合にも、互いの成膜時の応力(得られた絶縁膜に生ずる残留応力)を緩和するように、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113の材料及び/又は物性を選択して形成することが好ましい。成膜時の応力の緩和は、例えば第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113の一方を形成した際にその露出表面に生ずる残留応力が引張り応力である場合に、他方を形成した際にその露出表面に生ずる残留応力が圧縮応力となるように、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113との組み合わせを選択することにより実現できる。
すなわち、成膜時の応力を緩和するとは、例えば、一方の膜を形成したときに、膜の露出表面が導電膜側に凸を形成するように応力が生じる場合には、他方の膜を、膜の露出表面が導電膜側に凹を形成するような材料等を選択して形成することをいう。
図1(b)に示すように、第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113の側面は、導電膜、または絶縁膜で覆われていない、即ち、露出していることが望ましい。このように構成することで、例えば、第2の絶縁膜113をエレクトレットと同じシリコン酸化膜とした場合においても、エレクトレット膜に着電された電荷以外は、周辺の空間中へ拡散する。その結果、安定なエレクトレット電極を得ることが可能となる。
第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113の厚さは、各絶縁膜の特性(脆さ、硬さ等)を考慮して、エレクトレット110a〜dと導電膜111との間の距離が、エレクトレット電極の表面にて所望の表面電位を得るのに必要な大きさとなるように選択する。例えば、エレクトレット110a〜dと導電膜111との間の距離は、1μm程度としてよい。その場合には、厚さ100nmの第1の絶縁膜112と、厚さ100nmの第2の絶縁膜113とを、それぞれ5層ずつ、計10層となるように積層するとよい。
次に、上記のように構成されたエレクトレット電極を用いて、図1(a)のように構成した、振動発電器の動作について説明を行う。
振動発電器100は、外部からの力または振動108が加わると、弾性構造体103aおよび103bが伸縮し、それにより第1の基板102は第2の基板106に対して相対的に変位する。この相対的な変位は、エレクトレット電極部101(特にエレクトレット110a〜d)と第2の基板上の電極107a〜eとの重なり面積の増減をもたらす。この重なり面積の増減により、エレクトレット電極部101に誘起される電荷量が増減する。この電荷の増減を電気エネルギーとして取り出すことによって、発電を行う。また、第1の基板101が振動を続ける限り、この重なり面積の増減は続く。
本発明の実施の形態にかかる振動発電器100によれば、エレクトレット膜の表面電荷密度(表面電位)を高くすることができるという効果を得ることができる。この効果について、以下に詳細な説明を行う。
エレクトレット膜110a〜dは、導電膜111上に形成された第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113から成る積層体の上に形成されている。したがって、エレクトレット膜110a〜eが保持する電荷により発生する電界は、エレクトレット膜110a〜e、第3の絶縁膜114、及び第1および第2の絶縁膜112および113に存在することとなる。その結果、電荷を保持した領域と導電膜111との間の距離が大きくなり、同じ電荷を保持した場合には、電界強度が小さくなり、同じ電界強度の場合には、表面電荷密度(表面電位)を高くすることが可能となる。
シリコン酸化膜から成るエレクトレットにおいては、絶縁破壊が約5MV/cmで発生する。よって、例えば、シリコン酸化膜の厚さが1マイクロメートルであると、表面電位500Vが限界となる。これに対し、導電膜111との間に1マイクロメートルの絶縁層(同程度の絶縁耐圧を有するシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜)を形成すると、表面電位の限界を1000Vまで高くすることが可能となる。
図1(a)に示す形態では、導電膜111をエレクトレット膜110の下方全体に、連続した一枚の膜として形成する構成を示した。
導電膜は、図2(a)に示すように、エレクトレット膜120a〜dの下方に、エレクトレット膜120a〜dに対応する位置にのみに形成(図2(a)に示す例では、エレクトレット膜120a〜dが存在する部分の下部にのみ導電膜121a〜dを形成)してもよい。あるいは、エレクトレットを導電膜に対応するように配置(図2(a)に示す例では、導電膜121a〜dが存在する部分の上部にのみエレクトレット膜120a〜dを配置)するのが好ましい。
このようにエレクトレット膜120a〜dの位置(図2(a)の左右方向の位置)と導電膜121a〜dの位置を対応(一致)させることにより、着電時にエレクトレット膜により多くの電荷を与えることができるという利点がある。
すなわち、エレクトレット膜と導電膜の位置を対応させることにより、着電のためにエレクトレット膜と導電膜との間に所定の電圧を印加した際、電界がエレクトレット膜より外側に拡がろうとするのを抑制できる。この結果、同じ電圧を印加しても、広い一枚の導電膜を用いた場合と比べ、より多くの電荷をエレクトレットに与えることが可能となる。
なお、図2において、符号122は、第1の絶縁膜に相当し、符号123は、第2の絶縁膜に相当し、符号124は第3の絶縁膜に相当し、符号125は第4の絶縁膜に相当する。エレクトレット120a〜dおよび各絶縁膜の機能および材料は、先に図1を参照して説明したとおりであるから、ここではそれらの説明を省略する。
図2(b)に示すように、導電膜121a〜dを、間隔をあけて形成する場合には、図2(b)に示すように、第1の絶縁膜132および第2の絶縁膜133は、エレクトレット130a〜dおよび導電膜131a〜dに対応して、a〜dのセクションに分け、セクションとセクションとの間に間隙を有するように形成してよい。それにより、エレクトレット以外に着電された電荷を周辺の空間中へより効果的に拡散させ得る。より具体的には、第1の絶縁膜132と第2の絶縁膜133は、それぞれ132a〜dおよび133a〜dとなるように、形成される。セクション間の間隙は、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を形成した後に、形成してよい。これらのエレクトレットならびに第1および第2の絶縁膜の機能および材料は、先に図1を参照して説明したとおりであるから、ここではそれらの説明を省略する。また、図2(a)において、符号134は第3の絶縁膜に相当し、符号135は第4の絶縁膜に相当する。これらの絶縁膜の機能および材料は、先に図1を参照して説明したとおりであるから、ここでは省略する。
図1(b)および図2(a)、(b)に示す実施形態では、基板102上に直接、導電膜111(121a〜d、131a〜d)を形成しているが、基板上に熱酸化膜等の絶縁膜を形成し、その絶縁膜上に導電膜を形成するのが好ましい。
基板102は、通常、例えばシリコンのような導電性基板を用いる。そして、このような導電性基板の上に直接導電膜が形成されていると、着電時にエレクトレット膜と導電膜との間に電圧を印加した際に、エレクトレットと導電性基板との間で、エレクトレットの外側(図2(a)の左右方向)に拡がる電界を生じ、エレクトレットに与えられる電荷が減少する場合がある。
しかし、導電膜と導電性基板との間に絶縁層を形成することにより、エレクトレットと基板との間にこのような電界が生ずるのを防止でき、エレクトレットに、より多くの電荷を与えることができるという効果がある。
また、導電膜と基板との間に絶縁層を形成することに代えて、基板102として、例えば抵抗率の高いシリコン基板、或いはガラス基板のような絶縁性基板を用いることで同じ効果を得ることができる。
本実施の形態ではエレクトレットとして、シリコン酸化膜を用いている。エレクトレットは、可能であれば、シリコン酸化膜以外のエレクトレット材料で形成してよく、その場合にも、エレクトレット材料に応じて、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を適宜選択することによって、同様の効果を得ることができる。
エレクトレットとしてシリコン酸化膜を用いた場合、エレクトレットは正電荷にも負電荷にも帯電することができる。よって、エレクトレット電極部101は、正の電荷と負の電荷を有するエレクトレット膜を交互に配置して構成してよい。そのような構成により、振動による出力電力を向上させることが可能となる等、利用上の効果は大きい。
本実施の形態では、振動発電器の例を示した。振動発電器以外の装置(またはデバイス)であって、高い表面電荷密度が必要な装置(またはデバイス)においても、本発明のエレクトレット電極の構成は有効である。例えば、本発明のエレクトレット電極は、アクチュエータを構成するために用いてよい。アクチュエータにおいて、エレクトレット膜の表面電荷密度が高いほど、発生力はより大きくなる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態1におけるエレクトレット電極部の上面図である。
図3において、エレクトレット電極部201は、導電膜211と第2の絶縁膜215(215a、215b、215c、215d)と基板202とから構成されている。このエレクトレット電極部201の断面は、例えば、図2(b)で示される断面と同じになる。
実施の形態2において、導電膜211は、エレクトレット電極部201において、エレクトレット膜130に保持された電荷の対向電極となり、導電膜211は、例えばGND端子と電気的に接続される。このように構成することにより、エレクトレット膜表面の表面電位が固定され、発電器においてGNDを中心とした交流信号を出力することが可能となる。よって、この構成のエレクトレット電極は、有利に使用できる。図3において、エレクトレットは、例えば、50〜300μm×数百μm〜数mmの矩形としてよく、隣り合うエレクトレット間の間隔は例えば、エレクトレットの短辺の長さ程度としてよい。
次に、本実施の形態のエレクトレット電極を用いた振動発電器の動作のうち、本実施の形態を用いることによる特徴的な部分についてのみ、説明する。
振動発電器においては、外部振動により、電極107(107a〜e)とエレクトレット膜130(130a〜d)との重なり面積が増減する。この重なり面積の増減により、電極107に誘起される電荷を電気エネルギーとして取り出して、発電を行う。このとき、電極107は同じ電位となるように一体に形成されるため、電気的な端子としては1つとなる。そのため負荷の電極端子の一方は電極107に接続され、もう一方はGNDに接続される。かかる接続により、発電による交流成分と、エレクトレット膜130に重畳される直流成分とが合わせられた出力を得ることができる。しかしながら、エレクトレット電極部201を構成する導電膜211をGNDに接地することによって、直流成分を除去することが可能となる。
その結果、発生電力はGNDを中心とした交流信号となるため、交流電力のみを考慮した回路設計を行うことができるといった効果を得ることができる。
また、本実施の形態に示すエレクトレット電極部では、導電膜211をエレクトレットの着電工程における基準電位としても利用することが可能であり、利用上の効果は非常に大きい。
本実施の形態では、エレクトレット電極部の断面構造が図2(b)に示す構造の例を示した。エレクトレット電極が図1(b)または図2(a)に示す構造のものであっても、同様の効果を得られることは言うまでもない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、振動発電装置を説明する。図4は、振動発電装置300のブロック図である。図4において、振動発電器は、実施の形態1または実施の形態2として示された振動発電器である。
図4において、振動発電装置300は、振動発電器301、整流回路302、電圧変換回路303、出力切替回路304、蓄電回路305、および電圧制御回路306を含む。振動発電器301から出力された交流電圧は、整流回路302により直流電圧に変換される。直流電圧は、電圧変換回路303に入力され、振動発電装置300の出力電圧レベルまで、電圧変換に付される。変換された電圧は、出力切替回路304により、電圧制御回路306、または蓄電回路305に入力される。電圧制御回路306では、出力電圧が一定となるように電圧制御されて出力される。
以上のように構成された振動発電装置300の動作について、図5を参照して説明を行う。図5は振動発電装置300の各回路から出力される電圧波形を示している。図5の(a)は、振動発電器301の出力電圧波形である。本実施の形態では、簡単のため、第1の基板の変位方向が変わるときでも発電は効率よく行われていると仮定し、振動による重なり面積の増減により正弦波電圧が出力されるとしている。ここで、振動発電器301の出力電圧の電圧振幅Vgは、第1の基板の振動振幅、第1の基板と第2の基板との間のギャップ、エレクトレットの保持電荷量、及び振動発電器301から見た外部インピーダンスの大きさ等により異なる。振動発電器301から出力された交流電圧は、整流回路302により直流電圧VDC1に変換される(図5(b))。VDC1は、振動発電装置300の出力電圧レベルVDC2まで、電圧変換回路303により電圧変換される。
出力切替回路304は、振動発電装置300から電圧を出力する必要がない場合、電圧変換回路303からの出力を電圧制御回路306に送らず、蓄電回路305に送る役割をする。蓄電回路305は、発電された電力を蓄える。出力切替回路304は、振動発電装置300からの電圧出力が必要である場合には、電圧制御回路306から電力が出力されるように、回路を切り替える。出力切替回路304は、さらに、発電量が小さい場合には、蓄電回路305に蓄えられた電力を出力するように、回路を切り替える。出力切替回路304からの出力は、電圧制御回路306により所望の出力電圧VOUTに制御されて、振動発電装置300外へ出力される(図5(c))。
前述したように、振動発電器300の出力電圧は、さまざまな要因で変動する。これに対応するため、VDC2は、最終的に出力される電圧VOUTよりも若干高い電圧に設定することが望ましい。このように設定を行うことにより、微小な電圧変動に対しても、出力電圧を一定とすることが可能となる。例として、1.8Vの電圧で電力を出力する場合について説明する。この場合において、VDC2が1.8Vに設定されていて、かつ振動発電器の出力電圧が減少すると、振動発電器300の出力電圧も減少する。しかし、例えば、VDC2を2Vに設定しておけば、0.2Vの電圧減少に対しても十分に制御が可能となる。したがって、VDC2>VOUTに設定することにより、出力電圧を一定にして安定して電力を供給できる。
(実施の形態4)
図6は、自動車に搭載されるタイヤ空気圧モニタリングシステムにおいて使用される通信装置のブロック図である。図6において、発電装置は、実施の形態3の振動発電装置を示す。
図6において、通信装置400は、振動により発電を行う発電装置401、通信装置の主電源または発電装置401のサブ電源としての電池402、発電装置401からの出力と電池402からの出力を切り替えて回路部に供給する電源制御部403、タイヤの空気圧を測定する圧力センサ404、圧力センサからの出力を処理し、通信部に伝える処理部405、処理部405からの入力信号を高周波信号に変換してアンテナ407へ伝える通信部406、およびアンテナ407を含む。
以上のように構成された通信装置400の動作について説明を行う。
圧力センサ404、処理部405、および通信部406が動作するのに必要な電力を、電源制御部403を介して、発電装置401、或いは電池402から供給する。圧力センサ404は、タイヤの空気圧を測定し、測定結果を電圧信号に変換して処理部405へ入力する。処理部405で処理された信号は、通信部406へ入力され、高周波信号としてアンテナ407から伝搬される。
このように作動する通信装置において、振動発電装置を通信装置の電源として利用する場合、電池交換等のメンテナンス作業回数を低減することができ、或いは電池交換を不要とすることができる。このことは、通信装置それ自体の利便性を向上させるとともに、省資源および環境保護にも寄与する。
本実施の形態では、振動発電装置と電池とを併用する例を示した。振動発電装置からの出力電力が、圧力センサ、処理部、通信部等の回路で消費する電力、および通信に必要な電力を十分にまかなうことができれば、振動発電装置のみを電源として用いてよい。その場合、電池、及び電源制御部が不要となり、機器の小型化の点で有利である。
本実施の形態では、実施の形態1から3に示す振動発電器、および振動発電装置を用いる例を示した。振動発電器は、外部からの力または振動を電力に変換可能である限りにおいて、他の振動発電器であってもよく、その場合において同様の効果が得られることは言うまでもない。
本発明の振動発電器および振動発電装置は、通信装置以外の電気機器において、主電源または副電源として使用してよい。具体的には、具体的には、腕時計、体温計、温度計、歩数計、リモートコントローラ、携帯オーディオ製品、キーレスエントリー用携帯機、補聴器、心臓ペースメーカー、携帯電話およびゲーム機において、使用することができる。
本明細書において開示された実施の形態において、すべての構成要素は例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記の説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のエレクトレット電極の構成は、高い表面電位または表面電荷密度を得ることを可能とするので、静電誘導型振動発電器のエレクトレット電極として有用であり、または静電アクチュエータにおいて都合良く用いられる。また、本発明の振動発電器は、小電力の無線通信モジュール等の用途において、電源として非常に有用である。
100 振動発電器
101、201 エレクトレット電極部
102 第1の基板
103a、103b 弾性構造体
104a、104b 固定構造体
105a、105b 支持体
106 第2の基板
107a、107b、107c、107d、107e 電極
108 振動
110a、110b、110c、110d エレクトレット膜
111 導電膜
112 第1の絶縁膜
113 第2の絶縁膜
114 第3の絶縁膜
115 第4の絶縁膜
300 振動発電装置
400 通信装置
本発明は、エレクトレット電極と、エレクトレット電極を用いた静電誘導型振動発電器、アクチュエータおよび振動発電装置、ならびにその振動発電装置を搭載した電気機器、及びこの振動発電装置を搭載した通信装置に関するものである。
可変容量の一方の電極に電荷を与え、対向する電極へ静電誘導により電荷を誘起し、容量の変化により、誘起される電荷に変化を生じさせ、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出す静電誘導型振動発電装置は、既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図7に、前記特許文献1に記載された、静電誘導型振動発電器を示す。図7は、エレクトレットを用いた振動発電器10の概略断面図である。
この静電誘導型発電器は、複数の導電性表面領域13を備えた第1の基板11と、複数のエレクトレット材料領域15を備えた第2の基板16とで構成される。前記第1の基板11と、前記第2の基板16は、互いに所定の間隔を隔てて配置されている。エレクトレット材料領域15を含む第2の基板16は固定されている。導電性表面領域13を含む第1の基板11は固定構造17にバネ19を介して連結されている。バネ19は、第1の基板11の両側面に接続されるとともに、固定構造17に接続されている。このバネ19により、第1の基板11は定位置に戻ることができ、或いは、第1の基板は側方運動(例えばX軸方向運動)を行い、定位置に戻ることができる。この動きにより、エレクトレット材料領域15と、対向する導電性表面領域13との重なり面積の増減が生じ、導電性表面領域13に電荷の変化が生じる。静電誘導型発電器は、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出すことにより発電を行う。
この時、最大出力電力Pmaxは、下記式で表される。式中、σは表面電荷(密度)、εElectretはエレクトレット材料の誘電率、εairは空気の誘電率、εは真空の誘電率、Aはエレクトレット材料領域と導電性表面領域の重なり面積、gは電極間のギャップ、fは振動周波数、dはエレクトレット材料の膜厚、nは重なり面積の数を示している。
Figure 2010047076
上記式によれば、発電量を増加させるためには、エレクトレット材料の表面電荷(密度)を高くする、すなわち、エレクトレット材料の表面電位を高くする必要のあることが分かる。
一方、エレクトレット材料として、シリコン酸化膜が知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、エレクトレット材料として用いられているシリコン酸化膜への着電量については、非特許文献2に示されている。
図8は、前記非特許文献1に記載された従来の静電誘導型振動発電器であって、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜を用いたGenerator(静電誘導型振動発電器)20の概略断面図である。図8において、Fixed Electrode(固定電極)22はGlass(ガラス)21の上に形成されている。Suspended Mass(質量構造体)24は、Adhesive bonding(接合)によりGlass21の上に配置される。Electret(エレクトレット)25が形成されたSilicon(シリコン基板)26は、Silicon27の上にAdhesive bondingにより配置される。
この静電誘導型発電器は、Movable Electrode23を有するSuspended Mass24が振動し、それによりCvarの容量が変化することを利用して、発電を行っている。また、この静電誘導型発電器においては、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜が用いられている。エレクトレット材料領域は、電極上にシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜を形成して構成され、電荷を安定させるために熱処理が施されている。
図9は、前記非特許文献2に記載された、シリコン酸化膜への着電時間と表面電位との関係を示すグラフである。○印は、シリコン酸化膜の厚さが0.5マイクロメートル、△印は、シリコン酸化膜の厚さが0.6マイクロメートルである場合の着電時間と表面電位との関係を表す。いずれの場合にも、シリコン酸化膜の表面電位は、着電時間が長くなるほど、増加し、最大値に達すると、着電時間を長くしても、表面電位は増加しない。0.5マイクロメートルのシリコン酸化膜において、表面電位の最大値は240Vであり、0.6マイクロメートルのシリコン酸化膜において、表面電位の最大値は290Vである。前記非特許文献2において、表面電位の最大値は、シリコン酸化膜の絶縁耐圧により決まると記されている。
したがって、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜を用いた静電誘導型振動発電器において、エレクトレット材料の表面電荷(密度)を高くして最大出力電力を向上させるには、シリコン酸化膜の絶縁耐圧を高くすること、即ち、膜厚を大きくする必要がある。
特表2005−529574号公報(第10−11頁、図4)
TRANSDUCERS&EUROSENSORS ‘07 The 14th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems, Lyon, France, June 10-14, 2007 IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation Vol. 13, No. 5; October 2006
しかしながら、シリコン酸化膜の膜厚を大きくすると、膜の内部応力により、クラックおよび基板のそり等が発生するため、シリコン酸化膜の厚膜化には限界があった。即ち、エレクトレット材料がシリコン酸化膜であると、厚膜化による表面電位(及び表面電荷密度)の増加には限界があるという課題があった。このことは、静電誘導型振動発電器において、エレクトレットとして電荷を保持したシリコン酸化膜を用いた場合、表面電位(表面電荷密度)の低さに起因して、発電効率が低いという課題を招いていた。
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたものである。本発明は、エレクトレット材料としてシリコン酸化膜(SiO膜)を用いた場合でも、表面電位が高くなる構造のエレクトレット電極を提供することを目的とする。また、本発明は、シリコン酸化膜を用いたエレクトレットの表面電位を向上させることによって、発電効率が改善された振動発電器を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記振動発電器を用いた振動発電装置、および当該振動発電装置を搭載した通信装置を提供することを目的とする。
本発明は、
導電膜と、電荷を保持したシリコン酸化膜とを有し、
前記導電膜と前記シリコン酸化膜との間に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とが、前記第1の絶縁膜が前記導電膜に近い側に位置するように積層された積層体を含む絶縁膜を有する、エレクトレット電極を提供する。この構成によって、膜厚を大きくすることが困難なシリコン酸化膜をエレクトレットとして用いる場合に、エレクトレットにおいて電荷が保持された領域と導電膜との間の距離を実質的に大きくすることができ、表面電位(表面電荷密度)を高くすることが可能となる。
本発明のエレクトレット電極は、
前記シリコン酸化膜の下面を覆うように形成された第3の絶縁膜、および
前記シリコン酸化膜の上面および側面を覆うように形成された第4の絶縁膜
を有することが好ましい。この構成により、シリコン酸化膜が絶縁膜で完全に覆われるため、シリコン酸化膜の耐湿性が向上し、エレクトレットに帯電した電荷の抜けが防止される。ここで、シリコン酸化膜の下面とは、シリコン酸化膜を形成したときに、他の層または基体と接する側の面をいい、上面とは、シリコン酸化膜を形成したときに露出している広い面をいい、側面とは、上面とした面とをつなぐ面(厚さ方向に平行な面)である。
前記第3の絶縁膜および第4の絶縁膜を有する場合、第3の絶縁膜が、第2の絶縁膜であり、前記第2の絶縁膜と前記第1の絶縁膜をそれぞれ1つずつ有するように、本発明のエレクトレット電極を構成してよい。その場合、第1の絶縁膜は第2の絶縁膜と導電膜との間に位置することとなる。第3の絶縁膜と第2の絶縁膜を共通させることによって、絶縁膜の成膜回数を減らすことができる。
本発明のエレクトレット電極はまた、第1の絶縁膜の側面および第2の絶縁膜の側面が、他の導電膜または他の絶縁膜で覆われていない構成を有することが好ましい。そのような構成により、エレクトレット以外の絶縁膜に着電した電荷は、側面から抜けていくこととなる。そのため、加熱または加湿により、エレクトレットのみに電荷を保持することが可能となり、特性を安定化させることができる。
本発明はまた、本発明のエレクトレット電極を用いた振動発電器を提供する。前述のように、本発明のエレクトレット電極においては、表面電位(表面電荷密度)が向上され得るので、本発明のエレクトレット電極を用いた本発明の振動発電器によれば、発電効率の向上を図ることができる。
本発明はまた、前記本発明の振動発電器を含む、振動発電装置を提供する。本発明の振動発電装置は、シリコン酸化膜をエレクトレットとして含む従来の振動発電器を含むものと比較して、発電量のより大きいものとなる。
本発明の振動発電装置は、蓄電回路を含んでよい。蓄電回路を含むことによって、振動発電器からの出力電力が大きい場合には、蓄電回路に電力を蓄えることができる。蓄電回路に蓄えられた電力は、発電器からの出力電力が低下した場合に、供給され、それにより振動発電装置の出力を安定に保つことができる。
本発明はまた、本発明の振動発電装置を含む通信装置を提供する。本発明の通信装置は、電池のみで駆動するものと比較して、電池交換回数の低減を可能にし、或いは用途によっては、電池交換を不要とすることができる。
本発明のエレクトレット電極は、シリコン酸化膜をエレクトレットとして用いたエレクトレット電極の表面電位(表面電荷密度)を向上させることができる。よって、このエレクトレット電極を用いた、本発明の振動発電器によれば、シリコン酸化膜をエレクトレットとして用いた従来の振動発電器に比べ、発電効率を向上させることができる。
また、本発明の振動発電装置は、本発明の振動発電器を含み、比較的高い出力の電力を供給できる。さらに、本発明の振動発電装置が蓄電回路を含む場合には、出力電圧を安定させることが可能である。本発明の振動発電装置は、通信装置の電源として機能することができる。本発明の振動発電装置は、外部から与えられた力(例えば、人間が歩行しているときに加わる力、又は車を運転している間に加わる振動等)で発電可能なものである。よって、本発明の振動発電装置を用いた通信装置は、電池交換等のメンテナンス回数を低減できる等、省資源および環境保護の点でも有利である。
(a)は、本発明の実施の形態1における振動発電器の断面図、(b)は(a)に示すエレクトレット電極部101の断面拡大図 (a)および(b)は、本発明の実施の形態1におけるエレクトレット電極部の他の構成を示す断面拡大図 本発明の実施の形態2における振動発電器の構造を示す上面図 本発明の実施の形態3における振動発電装置を示すブロック図 本発明の実施の形態3における振動発電装置の各部の電圧波形を示す図 本発明の実施の形態4における通信装置を示す図 従来の静電誘導型振動発電器の上面図 従来のシリコン酸化膜を用いた静電誘導型振動発電器の断面図 図9に示す静電誘導型振動発電器のシリコン酸化膜への着電時間と表面電位の関係を示すグラフ
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における振動発電器を示し、(a)は振動発電器100の断面図であり、(b)は、エレクトレット電極部101の拡大断面図である。
図1(a)において、振動発電器100は、エレクトレット電極部101を含む第1の基板102と、第1の基板102を、固定構造体104a、104bに接続する弾性構造体103a、103bと、第2の基板106とを含む。固定構造体104a、104bは、支持体105a、105bにより、第2の基板106に接続される。第2の基板106上には、電極107a、107b、107c、107d、107eが形成されている。
図1(b)において、エレクトレット電極部101は、第1の基板102と、第1の基板上に形成された導電膜111とを含む。導電膜111上には、第1の絶縁膜112、及び第2の絶縁膜113が、交互に積層されて、4層構造の絶縁膜が形成されている。最後に形成された第2の絶縁膜113の表面には、第3の絶縁膜114および第4の絶縁膜115によって、下面、上面および側面が覆われた、エレクトレット110a、110b、110c、110dが形成されている。具体的には、第3の絶縁膜114が第2の絶縁膜113上に形成された後、エレクトレット膜110a、110b、110c、110dが形成され、さらに第4の絶縁膜115が形成されている。このようにエレクトレットとして、シリコン酸化膜を使用する場合には、シリコン酸化膜は、いずれの面(上面、下面および側面)も露出せず、かつ他の膜もしくは基板と直接接触しないように、絶縁膜で封止されることが好ましい。
なお、導電膜111は、金属など導電性を有する任意の材料により構成されてよいが、好ましくはポリシリコンより成る。エレクトレットとして、シリコン酸化膜を使用する場合、高熱処理があるLP−CVD工程での成膜が可能となり、高品質のエレクトレット膜を得ることができる。また、エレクトレット以外にも絶縁膜としてシリコン酸化膜、シリコン窒化膜等を用いる場合においても高温処理が可能となるなど、その効果は大きい。
この構成のエレクトレット電極部101は、エレクトレット膜110a、110b、110c、110dと、電極107a、107b、107c、107d、107eが、それらの間に間隙を有する状態で互いに対向するように、配置される。
本願発明にかかる振動発電器では複数個のエレクトレット膜110(110a、110b、110c、110d)および/または複数個の電極107(107a、107b、107c、107d、107e)が配置されるのが好ましい。複数のエレクトレットおよび/または電極を適正に配置することにより、同じ表面積のエレクトレットおよび/または電極を1個配置する場合と比べ、小さな振動でも、より大きな重なり面積の変化(増減)を得ることができるからである。
図1(a)に示す例では、エレクトレット膜110と電極107の横方向の位置(図1(a)の左右方向の位置)とは、ずらして配置されているが、第1の基板102が横方向に振動することでエレクトレット膜110と電極107の重なり面積が増減すればよいことから、初期状態(第1の基板102が振動していない状態)では、エレクトレット膜110と電極107は、図1(a)のようにずらして配置してもよく。また重なるように配置してもよい。
本発明のエレクトレット電極においては、エレクトレット(エレクトレット膜)として、電荷を保持したシリコン酸化膜(または酸化シリコン膜)を用いる。シリコン酸化膜は、絶縁耐圧および耐熱性に優れているので、実装時のリフロー等の際にも変質又は変形しない。そのため、シリコン酸化膜がエレクトレットとして既に使用されていることは、背景技術の欄で説明したとおりである。
耐湿性を向上させるため、エレクトレットであるシリコン酸化膜は、膜全体が絶縁膜で完全に覆われていることが望ましい。具体的には、シリコン酸化膜は、シリコン窒化膜のような絶縁膜により、その周囲を完全に覆う構造とすることによって、絶縁耐圧、耐熱性および耐湿性において、より優れたエレクトレットとなる。
図示した形態において、第1絶縁膜112および第2絶縁膜113は、第3絶縁膜114と接する第2絶縁膜113の材料が、第3絶縁膜114の材料とは異なるように、適切な絶縁材料を選択して形成する。例えば、第3絶縁膜114がシリコン窒化膜である場合には、第2絶縁膜113はシリコン酸化膜であることが好ましく、第1絶縁膜112はシリコン窒化膜であることが好ましい。第2絶縁膜をシリコン酸化膜とすることにより、エレクトレットを含む積層構造において、一層おきにシリコン酸化膜が存在することとなるので、反りまたは歪みの小さい、積層構造体を得ることができる。また、第1絶縁膜をシリコン窒化膜とすることによって、第4絶縁膜を含む積層構造において、一層おきにシリコン窒化膜が存在することとなるので、反りまたは歪みの小さい積層構造体を得ることができる。あるいは、第1絶縁膜112は、シリコン窒化膜以外の無機材料から成る膜であってよく、例えば、プラズマ窒化膜から成ってもよい。
図1に示す形態においては、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113が交互に形成された構成を示した。変形例において、第3の絶縁膜は、第2の絶縁膜を兼ねてよく、その場合、第1の絶縁膜が第3の絶縁膜と導電膜との間に位置してよい。即ち、図1において、4層構造の絶縁膜は、単層構造であってよい。このように構成することで、成膜回数を少なくすることができる。その構成において、第1の絶縁膜(単層の絶縁膜)はシリコン酸化膜であることが好ましい。または、絶縁膜は、導電膜側から、第1の絶縁膜/第2の絶縁膜/第1の絶縁膜と積層された三層構造であってよい。その場合、第2の絶縁膜を第3の絶縁膜と同じ材料(例えば、シリコン窒化膜)で形成し、第1の絶縁膜を他の無機材料(例えば、シリコン酸化膜)で形成してよい。
あるいは、可能であれば、第3の絶縁膜を、その厚さが第4の絶縁膜の厚さよりも大きくなるように形成して、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を有しない構成としてよい。その場合には、第4の絶縁膜を絶縁膜Aと呼び、第3の絶縁膜を絶縁膜Bと呼んで、第1および第2の絶縁膜が存在しないことの不自然さを回避してよい。
あるいはまた、図1に示す形態において、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113は同じ材料から成ってよい。その場合には、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113において、例えば、膜の密度が異なるように、成膜条件を適宜調整して、互いに隣り合う膜の物性が異なるようにすることが好ましい。
いずれのように(材料を同じにする形態にして、または異なる形態にして)第1および第2の絶縁膜を形成する場合にも、互いの成膜時の応力(得られた絶縁膜に生ずる残留応力)を緩和するように、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113の材料及び/又は物性を選択して形成することが好ましい。成膜時の応力の緩和は、例えば第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113の一方を形成した際にその露出表面に生ずる残留応力が引張り応力である場合に、他方を形成した際にその露出表面に生ずる残留応力が圧縮応力となるように、第1の絶縁膜112と第2の絶縁膜113との組み合わせを選択することにより実現できる。
すなわち、成膜時の応力を緩和するとは、例えば、一方の膜を形成したときに、膜の露出表面が導電膜側に凸を形成するように応力が生じる場合には、他方の膜を、膜の露出表面が導電膜側に凹を形成するような材料等を選択して形成することをいう。
図1(b)に示すように、第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113の側面は、導電膜、または絶縁膜で覆われていない、即ち、露出していることが望ましい。このように構成することで、例えば、第2の絶縁膜113をエレクトレットと同じシリコン酸化膜とした場合においても、エレクトレット膜に着電された電荷以外は、周辺の空間中へ拡散する。その結果、安定なエレクトレット電極を得ることが可能となる。
第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113の厚さは、各絶縁膜の特性(脆さ、硬さ等)を考慮して、エレクトレット110a〜dと導電膜111との間の距離が、エレクトレット電極の表面にて所望の表面電位を得るのに必要な大きさとなるように選択する。例えば、エレクトレット110a〜dと導電膜111との間の距離は、1μm程度としてよい。その場合には、厚さ100nmの第1の絶縁膜112と、厚さ100nmの第2の絶縁膜113とを、それぞれ5層ずつ、計10層となるように積層するとよい。
次に、上記のように構成されたエレクトレット電極を用いて、図1(a)のように構成した、振動発電器の動作について説明を行う。
振動発電器100は、外部からの力または振動108が加わると、弾性構造体103aおよび103bが伸縮し、それにより第1の基板102は第2の基板106に対して相対的に変位する。この相対的な変位は、エレクトレット電極部101(特にエレクトレット110a〜d)と第2の基板上の電極107a〜eとの重なり面積の増減をもたらす。この重なり面積の増減により、エレクトレット電極部101に誘起される電荷量が増減する。この電荷の増減を電気エネルギーとして取り出すことによって、発電を行う。また、第1の基板101が振動を続ける限り、この重なり面積の増減は続く。
本発明の実施の形態にかかる振動発電器100によれば、エレクトレット膜の表面電荷密度(表面電位)を高くすることができるという効果を得ることができる。この効果について、以下に詳細な説明を行う。
エレクトレット膜110a〜dは、導電膜111上に形成された第1の絶縁膜112および第2の絶縁膜113から成る積層体の上に形成されている。したがって、エレクトレット膜110a〜eが保持する電荷により発生する電界は、エレクトレット膜110a〜e、第3の絶縁膜114、及び第1および第2の絶縁膜112および113に存在することとなる。その結果、電荷を保持した領域と導電膜111との間の距離が大きくなり、同じ電荷を保持した場合には、電界強度が小さくなり、同じ電界強度の場合には、表面電荷密度(表面電位)を高くすることが可能となる。
シリコン酸化膜から成るエレクトレットにおいては、絶縁破壊が約5MV/cmで発生する。よって、例えば、シリコン酸化膜の厚さが1マイクロメートルであると、表面電位500Vが限界となる。これに対し、導電膜111との間に1マイクロメートルの絶縁層(同程度の絶縁耐圧を有するシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜)を形成すると、表面電位の限界を1000Vまで高くすることが可能となる。
図1(a)に示す形態では、導電膜111をエレクトレット膜110の下方全体に、連続した一枚の膜として形成する構成を示した。
導電膜は、図2(a)に示すように、エレクトレット膜120a〜dの下方に、エレクトレット膜120a〜dに対応する位置にのみに形成(図2(a)に示す例では、エレクトレット膜120a〜dが存在する部分の下部にのみ導電膜121a〜dを形成)してもよい。あるいは、エレクトレットを導電膜に対応するように配置(図2(a)に示す例では、導電膜121a〜dが存在する部分の上部にのみエレクトレット膜120a〜dを配置)するのが好ましい。
このようにエレクトレット膜120a〜dの位置(図2(a)の左右方向の位置)と導電膜121a〜dの位置を対応(一致)させることにより、着電時にエレクトレット膜により多くの電荷を与えることができるという利点がある。
すなわち、エレクトレット膜と導電膜の位置を対応させることにより、着電のためにエレクトレット膜と導電膜との間に所定の電圧を印加した際、電界がエレクトレット膜より外側に拡がろうとするのを抑制できる。この結果、同じ電圧を印加しても、広い一枚の導電膜を用いた場合と比べ、より多くの電荷をエレクトレットに与えることが可能となる。
なお、図2において、符号122は、第1の絶縁膜に相当し、符号123は、第2の絶縁膜に相当し、符号124は第3の絶縁膜に相当し、符号125は第4の絶縁膜に相当する。エレクトレット120a〜dおよび各絶縁膜の機能および材料は、先に図1を参照して説明したとおりであるから、ここではそれらの説明を省略する。
図2(b)に示すように、導電膜121a〜dを、間隔をあけて形成する場合には、図2(b)に示すように、第1の絶縁膜132および第2の絶縁膜133は、エレクトレット130a〜dおよび導電膜131a〜dに対応して、a〜dのセクションに分け、セクションとセクションとの間に間隙を有するように形成してよい。それにより、エレクトレット以外に着電された電荷を周辺の空間中へより効果的に拡散させ得る。より具体的には、第1の絶縁膜132と第2の絶縁膜133は、それぞれ132a〜dおよび133a〜dとなるように、形成される。セクション間の間隙は、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を形成した後に、形成してよい。これらのエレクトレットならびに第1および第2の絶縁膜の機能および材料は、先に図1を参照して説明したとおりであるから、ここではそれらの説明を省略する。また、図2(a)において、符号134は第3の絶縁膜に相当し、符号135は第4の絶縁膜に相当する。これらの絶縁膜の機能および材料は、先に図1を参照して説明したとおりであるから、ここでは省略する。
図1(b)および図2(a)、(b)に示す実施形態では、基板102上に直接、導電膜111(121a〜d、131a〜d)を形成しているが、基板上に熱酸化膜等の絶縁膜を形成し、その絶縁膜上に導電膜を形成するのが好ましい。
基板102は、通常、例えばシリコンのような導電性基板を用いる。そして、このような導電性基板の上に直接導電膜が形成されていると、着電時にエレクトレット膜と導電膜との間に電圧を印加した際に、エレクトレットと導電性基板との間で、エレクトレットの外側(図2(a)の左右方向)に拡がる電界を生じ、エレクトレットに与えられる電荷が減少する場合がある。
しかし、導電膜と導電性基板との間に絶縁層を形成することにより、エレクトレットと基板との間にこのような電界が生ずるのを防止でき、エレクトレットに、より多くの電荷を与えることができるという効果がある。
また、導電膜と基板との間に絶縁層を形成することに代えて、基板102として、例えば抵抗率の高いシリコン基板、或いはガラス基板のような絶縁性基板を用いることで同じ効果を得ることができる。
本実施の形態ではエレクトレットとして、シリコン酸化膜を用いている。エレクトレットは、可能であれば、シリコン酸化膜以外のエレクトレット材料で形成してよく、その場合にも、エレクトレット材料に応じて、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜を適宜選択することによって、同様の効果を得ることができる。
エレクトレットとしてシリコン酸化膜を用いた場合、エレクトレットは正電荷にも負電荷にも帯電することができる。よって、エレクトレット電極部101は、正の電荷と負の電荷を有するエレクトレット膜を交互に配置して構成してよい。そのような構成により、振動による出力電力を向上させることが可能となる等、利用上の効果は大きい。
本実施の形態では、振動発電器の例を示した。振動発電器以外の装置(またはデバイス)であって、高い表面電荷密度が必要な装置(またはデバイス)においても、本発明のエレクトレット電極の構成は有効である。例えば、本発明のエレクトレット電極は、アクチュエータを構成するために用いてよい。アクチュエータにおいて、エレクトレット膜の表面電荷密度が高いほど、発生力はより大きくなる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態1におけるエレクトレット電極部の上面図である。
図3において、エレクトレット電極部201は、導電膜211と第2の絶縁膜215(215a、215b、215c、215d)と基板202とから構成されている。このエレクトレット電極部201の断面は、例えば、図2(b)で示される断面と同じになる。
実施の形態2において、導電膜211は、エレクトレット電極部201において、エレクトレット膜130に保持された電荷の対向電極となり、導電膜211は、例えばGND端子と電気的に接続される。このように構成することにより、エレクトレット膜表面の表面電位が固定され、発電器においてGNDを中心とした交流信号を出力することが可能となる。よって、この構成のエレクトレット電極は、有利に使用できる。図3において、エレクトレットは、例えば、50〜300μm×数百μm〜数mmの矩形としてよく、隣り合うエレクトレット間の間隔は例えば、エレクトレットの短辺の長さ程度としてよい。
次に、本実施の形態のエレクトレット電極を用いた振動発電器の動作のうち、本実施の形態を用いることによる特徴的な部分についてのみ、説明する。
振動発電器においては、外部振動により、電極107(107a〜e)とエレクトレット膜130(130a〜d)との重なり面積が増減する。この重なり面積の増減により、電極107に誘起される電荷を電気エネルギーとして取り出して、発電を行う。このとき、電極107は同じ電位となるように一体に形成されるため、電気的な端子としては1つとなる。そのため負荷の電極端子の一方は電極107に接続され、もう一方はGNDに接続される。かかる接続により、発電による交流成分と、エレクトレット膜130に重畳される直流成分とが合わせられた出力を得ることができる。しかしながら、エレクトレット電極部201を構成する導電膜211をGNDに接地することによって、直流成分を除去することが可能となる。
その結果、発生電力はGNDを中心とした交流信号となるため、交流電力のみを考慮した回路設計を行うことができるといった効果を得ることができる。
また、本実施の形態に示すエレクトレット電極部では、導電膜211をエレクトレットの着電工程における基準電位としても利用することが可能であり、利用上の効果は非常に大きい。
本実施の形態では、エレクトレット電極部の断面構造が図2(b)に示す構造の例を示した。エレクトレット電極が図1(b)または図2(a)に示す構造のものであっても、同様の効果を得られることは言うまでもない。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3として、振動発電装置を説明する。図4は、振動発電装置300のブロック図である。図4において、振動発電器は、実施の形態1または実施の形態2として示された振動発電器である。
図4において、振動発電装置300は、振動発電器301、整流回路302、電圧変換回路303、出力切替回路304、蓄電回路305、および電圧制御回路306を含む。振動発電器301から出力された交流電圧は、整流回路302により直流電圧に変換される。直流電圧は、電圧変換回路303に入力され、振動発電装置300の出力電圧レベルまで、電圧変換に付される。変換された電圧は、出力切替回路304により、電圧制御回路306、または蓄電回路305に入力される。電圧制御回路306では、出力電圧が一定となるように電圧制御されて出力される。
以上のように構成された振動発電装置300の動作について、図5を参照して説明を行う。図5は振動発電装置300の各回路から出力される電圧波形を示している。図5の(a)は、振動発電器301の出力電圧波形である。本実施の形態では、簡単のため、第1の基板の変位方向が変わるときでも発電は効率よく行われていると仮定し、振動による重なり面積の増減により正弦波電圧が出力されるとしている。ここで、振動発電器301の出力電圧の電圧振幅Vgは、第1の基板の振動振幅、第1の基板と第2の基板との間のギャップ、エレクトレットの保持電荷量、及び振動発電器301から見た外部インピーダンスの大きさ等により異なる。振動発電器301から出力された交流電圧は、整流回路302により直流電圧VDC1に変換される(図5(b))。VDC1は、振動発電装置300の出力電圧レベルVDC2まで、電圧変換回路303により電圧変換される。
出力切替回路304は、振動発電装置300から電圧を出力する必要がない場合、電圧変換回路303からの出力を電圧制御回路306に送らず、蓄電回路305に送る役割をする。蓄電回路305は、発電された電力を蓄える。出力切替回路304は、振動発電装置300からの電圧出力が必要である場合には、電圧制御回路306から電力が出力されるように、回路を切り替える。出力切替回路304は、さらに、発電量が小さい場合には、蓄電回路305に蓄えられた電力を出力するように、回路を切り替える。出力切替回路304からの出力は、電圧制御回路306により所望の出力電圧VOUTに制御されて、振動発電装置300外へ出力される(図5(c))。
前述したように、振動発電器300の出力電圧は、さまざまな要因で変動する。これに対応するため、VDC2は、最終的に出力される電圧VOUTよりも若干高い電圧に設定することが望ましい。このように設定を行うことにより、微小な電圧変動に対しても、出力電圧を一定とすることが可能となる。例として、1.8Vの電圧で電力を出力する場合について説明する。この場合において、VDC2が1.8Vに設定されていて、かつ振動発電器の出力電圧が減少すると、振動発電器300の出力電圧も減少する。しかし、例えば、VDC2を2Vに設定しておけば、0.2Vの電圧減少に対しても十分に制御が可能となる。したがって、VDC2>VOUTに設定することにより、出力電圧を一定にして安定して電力を供給できる。
(実施の形態4)
図6は、自動車に搭載されるタイヤ空気圧モニタリングシステムにおいて使用される通信装置のブロック図である。図6において、発電装置は、実施の形態3の振動発電装置を示す。
図6において、通信装置400は、振動により発電を行う発電装置401、通信装置の主電源または発電装置401のサブ電源としての電池402、発電装置401からの出力と電池402からの出力を切り替えて回路部に供給する電源制御部403、タイヤの空気圧を測定する圧力センサ404、圧力センサからの出力を処理し、通信部に伝える処理部405、処理部405からの入力信号を高周波信号に変換してアンテナ407へ伝える通信部406、およびアンテナ407を含む。
以上のように構成された通信装置400の動作について説明を行う。
圧力センサ404、処理部405、および通信部406が動作するのに必要な電力を、電源制御部403を介して、発電装置401、或いは電池402から供給する。圧力センサ404は、タイヤの空気圧を測定し、測定結果を電圧信号に変換して処理部405へ入力する。処理部405で処理された信号は、通信部406へ入力され、高周波信号としてアンテナ407から伝搬される。
このように作動する通信装置において、振動発電装置を通信装置の電源として利用する場合、電池交換等のメンテナンス作業回数を低減することができ、或いは電池交換を不要とすることができる。このことは、通信装置それ自体の利便性を向上させるとともに、省資源および環境保護にも寄与する。
本実施の形態では、振動発電装置と電池とを併用する例を示した。振動発電装置からの出力電力が、圧力センサ、処理部、通信部等の回路で消費する電力、および通信に必要な電力を十分にまかなうことができれば、振動発電装置のみを電源として用いてよい。その場合、電池、及び電源制御部が不要となり、機器の小型化の点で有利である。
本実施の形態では、実施の形態1から3に示す振動発電器、および振動発電装置を用いる例を示した。振動発電器は、外部からの力または振動を電力に変換可能である限りにおいて、他の振動発電器であってもよく、その場合において同様の効果が得られることは言うまでもない。
本発明の振動発電器および振動発電装置は、通信装置以外の電気機器において、主電源または副電源として使用してよい。具体的には、具体的には、腕時計、体温計、温度計、歩数計、リモートコントローラ、携帯オーディオ製品、キーレスエントリー用携帯機、補聴器、心臓ペースメーカー、携帯電話およびゲーム機において、使用することができる。
本明細書において開示された実施の形態において、すべての構成要素は例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記の説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のエレクトレット電極の構成は、高い表面電位または表面電荷密度を得ることを可能とするので、静電誘導型振動発電器のエレクトレット電極として有用であり、または静電アクチュエータにおいて都合良く用いられる。また、本発明の振動発電器は、小電力の無線通信モジュール等の用途において、電源として非常に有用である。
100 振動発電器
101、201 エレクトレット電極部
102 第1の基板
103a、103b 弾性構造体
104a、104b 固定構造体
105a、105b 支持体
106 第2の基板
107a、107b、107c、107d、107e 電極
108 振動
110a、110b、110c、110d エレクトレット膜
111 導電膜
112 第1の絶縁膜
113 第2の絶縁膜
114 第3の絶縁膜
115 第4の絶縁膜
300 振動発電装置
400 通信装置

Claims (20)

  1. 導電膜と、電荷を保持したシリコン酸化膜とを有し、
    前記導電膜と前記シリコン酸化膜との間に、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜とが、前記第1の絶縁膜が前記導電膜に近い側に位置するように積層された積層体を含む絶縁膜を有する、エレクトレット電極。
  2. 前記電荷を保持したシリコン酸化膜を複数有する請求項1に記載のエレクトレット電極。
  3. 前記導電膜は、前記電荷を保持したシリコン酸化膜が存在する領域の下方にのみ形成されている、請求項1または2に記載のエレクトレット電極。
  4. 前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜のうち、少なくとも一方を2層以上含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  5. 前記シリコン酸化膜の下面を覆うように形成された第3の絶縁膜、および
    前記シリコン酸化膜の上面および側面を覆うように形成された第4の絶縁膜を
    有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  6. 前記第3の絶縁膜が、前記第2の絶縁膜であり、前記第1の絶縁膜が、前記第2の絶縁膜と前記導電膜との間に位置し、前記第2の絶縁膜と前記第1の絶縁膜をそれぞれ1つずつ有する、請求項5に記載のエレクトレット電極。
  7. 前記第3の絶縁膜は、前記第1の絶縁膜、または前記第2の絶縁膜のいずれか一方と同じ材料から成り、かつ前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜のうち、少なくとも一方を2層以上含む、請求項5に記載のエレクトレット電極。
  8. 前記第1の絶縁膜および前記第2の絶縁膜がそれぞれ、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  9. 前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜が、同じ組成の材料から成り、かつ互いに異なる物性を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  10. 前記第1の絶縁膜、及び前記第2の絶縁膜の側面が、他の導電膜または他の絶縁膜で覆われていない請求項1〜9のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  11. 前記導電膜は、導電性基板上に、絶縁膜を介して形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  12. 前記導電膜は、絶縁性基板上に形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  13. 前記導電膜は、前記電荷を保持したシリコン酸化膜が形成されている領域の外において外部端子と電気的に接続されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  14. 導電膜と、電荷を保持したシリコン酸化膜とを有し、
    シリコン酸化膜の上面および側面を覆うように形成された絶縁膜A、および
    シリコン酸化膜の下面を覆うように形成された絶縁膜Bを有し、
    前記絶縁膜Bの厚さが、前記絶縁膜Aの厚さよりも大きい、
    エレクトレット電極。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のエレクトレット電極を用いた、振動発電器。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載のエレクトレット電極を用いた、静電アクチュエータ。
  17. 請求項15に記載の振動発電器と、
    前記振動発電器からの交流出力電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、
    前記整流回路から出力された直流電圧を所定の電圧レベルに変換する電圧変換回路と、
    振動発電装置からの出力が不要な場合に、振動発電器により発電された電力を蓄える蓄電回路と、
    前記電圧変換回路、または前記蓄電回路からの出力電圧を、所定の電圧に制御する電圧制御回路と、
    前記電圧変換回路からの出力が送られる回路を、蓄電回路または電圧制御回路に切り替える出力切替回路と、
    を備えた振動発電装置。
  18. 前記電圧変換回路からの出力電圧が、前記電圧制御回路からの出力電圧よりも高く設定されている、請求項17に記載の振動発電装置。
  19. 請求項17または18に記載の発電装置を含む、通信装置。
  20. さらに電池を含む、請求項19に記載の通信装置。
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