JP2014128040A - エレクトレット電極、それを用いた振動発電器および振動発電装置、ならびに振動発電装置を搭載した通信装置と、エレクトレット電極の製造方法 - Google Patents

エレクトレット電極、それを用いた振動発電器および振動発電装置、ならびに振動発電装置を搭載した通信装置と、エレクトレット電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より多くの電荷を保持したエレクトレットを有するエレクトレット電極を提供する。さらに本発明に係るエレクトレット電極を用いることにより、従来よりも高いエネルギー変換効率を有する静電誘導型振動発電器を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板の1つの主面に並列して配置された複数の第1の導電膜と、前記基板の前記1つの主面上でかつ前記複数の第1の導電膜が形成されていない領域に形成された複数の第2の導電膜と、前記複数の第1の導電膜のそれぞれの上に形成されているエレクトレットと、前記複数の第2の導電膜のそれぞれの上に形成されている絶縁膜と、を含み、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が交互に配置され、前記複数の第2の導電膜は互いに直列に接続され、直列に配置された前記複数の第2の導電膜に電流を流すためのソース端子とドレイン端子とを更に含むことを特徴とするエレクトレット電極である。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトレット電極と、エレクトレット電極を用いた振動発電器および振動発電装置と、当該振動発電装置を搭載した電気機器及び当該振動発電装置を搭載した通信装置とに関する。本発明は、またエレクトレット電極の製造方法にも関する。
可変容量の対向する電極の一方に電荷を与え、他方の電極に静電誘導により電荷を誘起し、容量を変化させて誘起される電荷に変化を生じさせ、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出す静電誘導型振動発電装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
図16は、特許文献1に記載された静電誘導型振動発電器、より詳細にはエレクトレットを用いた振動発電器10の断面図である。
振動発電器10は、複数の導電性表面領域(導電膜)13を備えた第1の基板11と、複数のエレクトレット材料領域(エレクトレット)15を備えた第2の基板16とで構成される。第1の基板11と、第2の基板16は、所定の間隔を隔てて配置されている。エレクトレット材料領域15を含む第2の基板16は固定されている。導電性表面領域13を含む第1の基板11の両端部は、それぞれ、固定構造17にバネ19を介して連結されている。第1の基板11は外力を受けると矢印18で示すようにX軸方向に平衡に往復運動を行い、外力が作用しなくなるとバネ19の復元力により定位置に戻ることができる。第1の基板11のこの動きにより、エレクトレット材料領域15と、対向する導電性表面領域13との重なり面積の増減が生じ、導電性表面領域13に電荷の変化が生じる。静電誘導型発電器10は、この電荷の変化を電気エネルギーとして取り出すことにより発電を行う。
このような構成を有する振動発電器では、例えばエレクトレット15および対向する導電膜を分割(微細化)し、その数を増やして、第1の基板11の変位量が同じでもエレクトレット15と導電性表面領域13との重なり面積の増減(回数)を増加させること、およびエレクトレット15が保持する電荷の量を増やすことにより、第1の基板11の変位量が同じでもより多くの発電量を得ることが試みられてきた。
特表2005−529574号公報(第10−11頁、図4)
同じ大きさでより多くの電力を発電できる振動発電器に対するニーズは、益々大きくなっている。この要求に対応するためにエレクトレットが保持する電荷を増やそうとしても従来の構成のエレクトレット電極では保持する電荷の量を増やすことがもはや困難となっていた。
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、多くの電荷を保持したエレクトレット電極を提供することにある。さらに、本発明によるエレクトレット電極を用いることにより、従来よりも高いエネルギー変換効率を有する静電誘導型振動発電器および振動発電装置、ならびに振動発電装置を搭載した通信装置を提供することにある。さらにまた、より多くの電荷を保持したエレクトレット電極の製造方法を提供することにある。
基板と、前記基板の1つの主面に並列して配置された複数の第1の導電膜と、前記基板の前記1つの主面上でかつ前記複数の第1の導電膜が形成されていない領域に形成された複数の第2の導電膜と、前記複数の第1の導電膜のそれぞれの上に形成されているエレクトレットと、前記複数の第2の導電膜のそれぞれの上に形成されている絶縁膜と、を含み、前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が交互に配置され、前記複数の第2の導電膜は互いに直列に接続され、直列に配置された前記複数の第2の導電膜に電流を流すためのソース端子とドレイン端子とを更に含むことを特徴とするエレクトレット電極である。
本発明により、より多くの電荷を保持したエレクトレットを有するエレクトレット電極を提供することが可能となる。また、本発明に係るエレクトレット電極を用いることにより、従来よりも高いエネルギー変換効率を有する静電誘導型振動発電器および振動発電装置、ならびに振動発電装置を搭載した通信装置を提供できる。さらに、より多くの電荷を保持したエレクトレット電極の製造方法を提供できる。
図1は、本発明の実施の形態1に係るエレクトレット電極100の断面図である。 図2は、エレクトレット電極100の基板101(絶縁膜106)上の第1の導電膜102と第2の導電膜104の配置を示す平面図である。 図3は、コロナ放電による着電方法を示す模式図である。 図4は、基板上に第1の絶縁膜を形成しないエレクトレット電極110の断面図である。 図5は、第1の導電膜132の幅よりもエレクトレット133の幅が大きいエレクトレット電極130の断面図である。 図6は本実施形態の変形例に係る、複数の第2の導電膜104Aの配置を示す平面図である。 図7は、図6に示した複数の第2の導電膜104Aのうちの1つの拡大図である。 図8(a)は、本願発明の実施の形態2に係るエレクトレット電極300の断面図であり、図8(b)は、図8(a)において、点線で示した丸の部分の拡大図である。 図9は、エレクトレット電極300を得るために、第2の導電膜304を通電加熱した際の、第2の絶縁膜305の温度分布を示すシミュレーション結果である。 図10は、本発明の実施の形態3に係る振動発電器413の断面図である。 図11は、振動発電装置500のブロック図である。 図12は振動発電装置500の各回路から出力される電圧波形を示している。 図13は、自動車に搭載されるタイヤ空気圧モニタリングシステムにおいて使用される通信装置のブロック図である。 図14は、エレクトレットに電荷を注入する方法として一般的な、コロナ放電による電荷注入方法を示す模式図である。 図15は、従来のエレクトレット電極25の断面図である。 図16は、特許文献1に記載された静電誘導型振動発電器、より詳細にはエレクトレットを用いた振動発電器10の断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一の部分又は部材を示す。
(本願発明に至った経緯)
本願発明に至った経緯について説明する。
静電誘導型振動発電器の最大出力電力Pmaxは、下記(1)式で表される。(1)式中、σは表面電荷(密度)、εElectretはエレクトレット材料の誘電率、εairは空気の誘電率、εは真空の誘電率、Aはエレクトレット材料領域(エレクトレット)と導電性表面領域(導電膜)の重なり面積、gは電極間のギャップ(すなわち、エレクトレットとエレクトレットに対向して配置された導電膜との間の距離)、fは振動周波数、dはエレクトレット材料の膜厚、nは重なり面積の数を示している。
なお、本明細書において「エレクトレット」は、電荷を保持した材料のことを示す。
(1)式によれば、発電量(最大出力電力Pmax)を増加させるためには、i)エレクトレットを振動方向に対して微細化する(すなわち、振動方向に対するエレクトレットの長さを短くし、エレクトレットおよび対向する導電膜の数を増やす)ことにより、同じ基板の変位量で、エレクトレットと対向する導電膜の重なり面積の増減回数を増加させること、および ii)エレクトレットの表面電荷量(密度)を多くすること、すなわち、エレクトレットの表面電位を高くすることが有効である。
図14は、エレクトレットに電荷を注入する方法として一般的な、コロナ放電による電荷注入方法を示す模式図である。図14に示す電荷注入方法では、電極20を用い、第1の直流高圧電源23により電極20とステージ22との間に例えば10kV程度の高電圧を印加し、電極20から電子を所定時間放電させてステージ22の上に配置されたエレクトレット電極25のエレクトレット33(図15参照)に電荷を注入する。これにより、エレクトレット33の表面電位が上昇する。このとき、電極20とエレクトレット電極25の間には、第2の直流高圧電源24に接続され、例えば1kV程度の電圧が印加されているグリッド電極21が配置されている。
エレクトレット電極25は、従来のエレクトレット電極であり、例えば図15に示し上述した構成を有している。
なお、本明細書で用いる用語「エレクトレット電極」は、少なくとも、基板と、当該基板の1つの主面に形成されたエレクトレットとを有する電極を意味する。
コロナ放電により電荷が生成され、エレクトレット33に電荷が注入されるが、エレクトレット33に注入された電荷が増加するに従い、コロナ放電により生成された電荷との間で静電反発力が発生し、エレクトレットの帯電量(電荷量)は制限されるという課題を有している。
この傾向は、エレクトレット33を微細化(幅を狭く)ししていくとより顕著となる。これは、コロナ放電による電荷とエレクトレット33に注入された電荷との間で静電反発力が発生することにより、コロナ放電により放出された電荷(電子)は、エレクトレット33の周囲に配置された第2の導電膜34または第1の絶縁膜36等へ流れやすくなるためである。第1の導電膜32および第2の導電膜34は通常GND接地されており、また、第1の基板31は、GND接地されたステージ22上に配置されるため、静電反発力を受けた電荷はエレクトレット33以外へ流れ易くなる。この静電反発力による電荷の流出は、エレクトレットの端部でより生じやすい。このため、エレクトレット33を微細化し、エレクトレット33に占める端部の比率が高くなるほど、エレクトレットに保持される電荷量が制限される傾向はより顕著になる。
以上から、上記i)に従い、エレクトレットを微細化すると、注入されるエレクトレット電荷量が減少(エレクトレットの表面電位が低下)し、上記ii)の効果を十分に得ることができず、従って従来のエレクトレット25を用いた振動発電器は、エネルギー変換効率の限界から出力電力が低いという課題を有している。
本発明は、上記課題に鑑み、エレクトレットの表面電位を高くできる構成を見出し、多くの電荷を保持したエレクトレット電極を提供することにある。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
1.実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係るエレクトレット電極100の断面図である。
図2は、エレクトレット電極100の基板101(絶縁膜106)上の第1の導電膜102と第2の導電膜104の配置を示す平面図である。
図1に示すエレクトレット電極100は、基板101と、基板101の上面全体を覆うように形成された第1の絶縁膜106と、第1の絶縁膜106上に互いに間隔を空けて形成された複数の第1の導電膜(第1の電極)102と、それぞれの第1の導電膜102上に形成されたエレクトレット103、及び第1の絶縁膜106上に形成された第2の導電膜(第2の電極)104と、それぞれの第2の導電膜104上に形成された第2の絶縁膜105で構成される。
なお、本実施の形態では、基板101と第1の絶縁膜106とを合わせて1つの絶縁基板を構成していると見なすことができる。
図2に示す実施形態では、第1の導電膜(第1の電極)102は基板101に垂直な方向から平面視した形状が短冊状で、基板101上において、複数の第1の導電膜102が並列して(または整列して)配置されている。第1の絶縁膜106上において、第1の導電膜102の間で、第1の導電膜102が形成されていない領域に、基板101に垂直な方向から平面視した形状が短冊状の第2の導電膜(第2の電極)104が並列して(または整列して)形成されている。第1の導電膜102の上に形成されたエレクトレット103も、短冊状の平面視した形状を有してよい。同様に、第2の導電膜104の上に形成された第2の絶縁膜105も短冊状の平面視した形状を有してよい。
第1の導電膜と102と第2の導電膜104とは、図1に示すように交互に配置されている。
なお、図1に示した実施形態では、第1の導電膜102と第2の絶縁膜105とが分離しているが、第1の導電膜102と第2の絶縁膜105とが接触していてもよい。
第2の絶縁膜105は、詳細を後述するようにエレクトレット103に着電する前に形成され、エレクトレット103の着電時に、エレクトレット103とともに帯電する。
エレクトレット電極100では、エレクトレット103により多くの電荷を帯電させることができ、表面電位を高くすることができるという効果を得ることができる。この効果について、以下に詳細な説明を行う。
第2の絶縁膜105が無い場合、着電の際にコロナ放電により生成された電荷がエレクトレット103に荷電(着電)した電荷による静電反発力を受け、第2の導電膜102へ流れることは上述した通りである。
第2の絶縁膜105を形成することにより、着電の際に第2の絶縁膜105が帯電されることとなり、第2の絶縁膜105の表面電位が第2の導電膜104だけの場合と比べて高くなり、コロナ放電により生成された電荷は、第2の絶縁膜105に帯電した電荷により静電反発力を受け第2の導電膜104へ電荷が流れるのを抑制する。その結果、エレクトレット103以外の領域へ電荷が流れるのを抑制することができ、エレクトレット103は、より多くの電荷を保持する(帯電させる)ことが可能となる。
さらに、エレクトレット電極100では、詳細を後述するように、エレクトレット103に十分な電荷を帯電させた後、第2の導電膜104を通電加熱することにより、第2の絶縁膜105を加熱して、第2の絶縁膜105に帯電した電荷を消滅させている。一方、第2の導電膜104を通電加熱しても、エレクトレット103は、ほとんど温度が上昇しない(例えば、100℃程度以下)ことからエレクトレット103の電荷はほとんど消失しない。
この結果、エレクトレット電極100では、エレクトレット103に隣接する第2の絶縁膜105がほとんど電荷を帯電していない状態で、微細化されたエレクトレット103に、多くの電荷を帯電させることが可能となる。
このようなエレクトレット電極100を用いた振動発電器は、振動による変位量が同じであっても、より多くの発電量を得ることができる。
本実施の形態に係るエレクトレット電極では、より容易にかつ確実に第2の導電膜104を通電加熱し、これにより第2の絶縁膜105をより容易かつ確実に加熱できる構成を有する。
この構成について、図2を参照して以下に説明する。
上述のように複数の第1の導電膜102と複数の第2の導電膜104とが基板101上に第1の絶縁膜106を介して設けられている(図2では、それぞれ3つずつ)。第1の導電膜102と複数の第2の導電膜104とは、交互(特に、振動発電器に用いた際に、基板が振動する方向に平行な方向に交互)に配置されている。
複数の第2の導電膜104は、互いに電気的に直列に接続されている。図2に示す実施形態では、第2の導電膜104は、基板101(第1の絶縁膜106)上に配置された第2の接続用導電膜109Aにより、直列に接続されている。しかし、この形態に限定されるものではなく、ワイヤーを用いて接続する等、任意の方法により第2の導電膜104を直列に接続してよい。
そして、直列に接続した第2の導電膜104のそれぞれに電流を供給できるようにソース端子107とドレイン端子108が設けられている。ソース端子107とドレイン端子108とは、それぞれ、例えば、図2に示すように、第2の導電膜104および第2の接続用導電膜109Aのいずれか一方に接して(例えば、端部に接して)設けてよい。ソース端子107とドレイン端子108は、好ましくは、直列に接続した第2の導電膜104のそれぞれの全長に電流を供給できるように設けられる。
なお、本明細書において、第2の導電膜104を電気的に直列に接続する形態は、図2に示すように、全ての第2の導電膜104が、単一の導電経路で直列に接続されていることが好ましい。しかし、これに限定されるものではない。例えば、5つの第2の導電膜104が形成されている場合、第1の導電経路には3つの第2の導電膜104が直列に接続され、第2の導電経路には2つの第2の導電膜104が直列に接続されている形態のように、直列に接続された第2の導電膜104を有する導電経路を複数有してよい。
このように、複数の導電経路を有する場合、1つのソース端子107と1つのドレイン端子108との間に電圧を印加することで、全ての第2の導電膜104に電流が流れるようにそれぞれの通電経路を形成することが好ましい。しかし、複数のソース端子107および/または複数のドレイン端子108を設けることにより、全ての第2の導電膜104に電流が流れるようにそれぞれの通電経路を形成してもよい。
第2の導電膜104の電気抵抗は、好ましくは、第1の導電膜102の電気抵抗よりも高い。第2の導電膜104に電流を流した際に第2の導電膜を確実に昇温できるからである。第2の導電膜104の電気抵抗を第1の導電膜102の電気抵抗よりも高くする方法として、第2の導電膜104を形成している材料の抵抗率を第1の導電膜102を形成している材料の抵抗率より高くすることを例示できる。例えば、第1の導電膜102と第2の導電膜104とをシリコン薄膜により形成する場合、第1の導電膜102にドープする不純物の濃度と第2の導電膜104にドープする不純物濃度とを異ならせることにより、第2の導電膜104を形成している材料の抵抗率を第1の導電膜102を形成している材料の抵抗率より高くすることができる。
第1の導電膜102も、互いに電気的に接続されている。しかし、第1の導電膜102は、図2に示すように並列に接続してもよく、また直列に接続してもよい。第1の導電膜102同士の接続は、ワイヤー109Cおよび/または基板101(第1の絶縁膜106)上に形成した第2の接続用導電膜109Bのような任意の手段を用いて行ってよい。
図2に示す実施形態では、ソース端子107、第2の導電膜104、第2の接続用導電膜109Aおよびドレイン端子108は、それぞれ区別できるよう形成されているが、これらの要素の一部または全てを個々に区別ができないように一体的に形成してもよい。同様に、第1の導電膜102および第1の接続用導電膜109Bは、それぞれ区別できるよう形成されているが、これらの要素を個々に区別ができないように一体的に形成してもよい。
なお、第1の導電膜102,第2の導電膜103,第1の接続用導電膜109A、ソース端子107、ドレイン端子108、第2の接続用導電膜109Bは、パターニングを含む、任意の方法により形成してよい。
以上のように形成した複数の第1の導電膜102のそれぞれの上にエレクトレット103用のエレクトレット材料を形成し、複数の第2の導電膜104のそれぞれの上に第2の絶縁膜105を形成した後、エレクトレット103に電荷を帯電させる着電を行う。
エレクトレット103となるエレクトレット用材料に電荷を注入するには、コロナ放電を用いてよい。図3は、コロナ放電による着電方法を示す模式図である。図3に示すように、第1の直流高圧電源153を用いて電極150に例えば10kV程度の高電圧を印加して空中放電を生じさせる。
本実施の形態に示すように、第1の導電膜102とは別に第2の導電膜104を形成したエレクトレット電極100では、第2の導電膜104を設置しないで着電を行う、所謂フローティングを行うと、第2の導電膜104が帯電する。そして、第2の導電膜104が帯電すると、その帯電量によってエレクトレット103の帯電量にばらつきが生じる。この問題を回避するため、第2の導電膜104に所定の電圧(一定の電圧)を印加した状態で着電を行うことが好ましい。
この場合、エレクトレット電極100の第1の導電膜102をGNDに接地し、第3の直流高圧電源155により第2の導電膜104に例えば500〜700V程度の電圧を印加する(エレクトレット103への着電量を増やすためには、GNDとの電位差が大きければ大きいほどよい)。
上述の空中放電によりエレクトレット電極100は電荷を注入される。このとき第2の直流高圧電源154によりグリッド電極151に印加された電圧(例えば0.5〜2kV程度)で、注入量を制御する。
このように着電を行うことで、エレクトレット(エレクトレット用材料)103および第2の絶縁膜105が帯電した状態となる
このように、第2の絶縁膜105も帯電させることにより、第2の絶縁膜に帯電した電荷がエレクトレット103に着電された電荷との間で静電反発力を生じ、エレクトレット103に着電した電荷が第2の導電膜104等に流れることを抑制することができる。この結果、エレクトレット103により多くの電荷を着電できる。
本実施の形態において、エレクトレット103をシリコン酸化膜で形成し、第2の絶縁膜105をシリコン窒化膜により形成してよい。この場合、エレクトレット103を負に、第2の絶縁膜105を正に帯電して構成してよい。そのような構成においても、振動発電器に必要な特性(エレクトレット103と第2の絶縁膜105の電位差)を実現することが可能となる等、利用上の効果は大きい。
エレクトレット103として、シリコン酸化膜を用いた例を示したが、シリコン酸化膜以外のエレクトレット材料を用いてもよく、その場合にも、エレクトレット材料に応じて、第2の絶縁膜105の材料を適宜選択することによって、本願発明の効果を得ることができる。
これまでに説明した実施の形態では、第1の基板101上に第1の絶縁膜106を形成しているが、これに限定されるものではない。図4は、基板上に第1の絶縁膜を形成しないエレクトレット電極110の断面図である。
エレクトレット電極110では、第1の基板111として、ガラス基板等の絶縁基板または高抵抗のシリコン基板のように電気抵抗の大きな(絶縁性の高い)基板を用いている。このため、図4に示すように第1の導電膜112および第2の導電膜114を基板111上に直接形成しても、同様に本発明の効果が得られる。
なお、図1、図2、図4、図5、図8(図8(a)、図8(b))では、それぞれの図に示した符号の数字の下一桁が同じ場合は、それぞれ同一または対応する部材であることを示し(例えば、104、114、134、304はいずれも第2の導電膜を示す)、特に断らない限り、これら符号の数字の下一桁が同じ構成要素同士は、同一の構成を有してよい。また、エレクトレット電極100について説明した構成については、これ以外の本願発明に係るエレクトレット電極についても適用可能である。
図5は、第1の導電膜132の幅よりもエレクトレット133の幅が大きいエレクトレット電極130の断面図である。
図1に示すエレクトレット電極100では、エレクトレット103は、第1の導電膜102と同じ幅で形成されているが、図5に示すエレクトレット電極130では、エレクトレット133の幅は第1の導電膜132の幅よりも大きく形成されている。このような構成を有するエレクトレット電極130がエレクトレット電極100と同様の効果を奏することは言うまでもない。例えば、エレクトレット133の幅が、第1の導電膜132の幅よりも5um程度大きくなるように形成すれば、エレクトレット133のパターニング時にマスクずれ等によるパターンずれが生じた場合においてもエレクトレット電極130の特性を確保することができ、安定なエレクトレット電極130を実現することが可能となる。
以上に述べた着電工程により、エレクトレット103および第2絶縁膜105を帯電させた後、第2の導電膜104を通電加熱し、第2の絶縁膜105に帯電した電荷を第2の絶縁膜105から除去する。
以下にこの工程の詳細を説明する。なお、以下ではエレクトレット100を例に説明するが、エレクトレット電極110、130のような本発明に係る他のエレクトレット電極についても適用可能であることはいうまでもない。
ソース端子107とドレイン端子108との間に電流を流すことにより、第2の導電膜104を通電加熱する。ソース端子107とドレイン端子108との間に流す電流は直流電流でもよく、また交流電流でもよい。
第2の導電膜104が加熱されることにより、第2の導電膜104の上部に位置する第2の絶縁膜105が加熱される。第2の絶縁膜105に帯電している電荷は、温度上昇により、帯電に係る安定なエネルギー準位から励起され、自らの作る電界に従って移動し、大気中もしくは第2の導電膜に捕獲される。この結果、第2の絶縁膜105に帯電している電荷が除去される(消失する)。
一方、エレクトレット103については、ほとんど加熱されることがないためそれほど温度が上がらず、着電工程により帯電した電荷をそのまま維持することができる。
このように、第2の導電膜104の上部にある第2の絶縁膜105に帯電された電荷を選択的に除去することにより、エレクトレット103のみに電荷を残すことが可能となる。
この結果、エレクトレット103の表面電位と第2の絶縁膜105の表面電位との電位差を大きくすることができる。このように構成されたエレクトレット電極100を振動発電器に用いることで、発電量を増加させことが可能となる。
この第2の絶縁膜に帯電する電荷を除去する工程において、第2の絶縁膜104は、好ましくは300℃以上、より好ましくは400℃〜600℃に加熱される。300℃以上に加熱することでより確実に電荷を除去(消失)でき、400℃〜600℃に加熱することで第2の絶縁膜105の特性を損なうことなく、迅速に電荷を除去できるからである。
(変形例)
図6は本実施形態の変形例に係る、複数の第2の導電膜104Aの配置を示す平面図である。図7は、図6に示した複数の第2の導電膜104Aのうちの1つの拡大図である。なお、図7においては、第2の導電膜104の長手方向(図7の上下方向)の中間部分は記載を省略している。
図6に示す実施形態では、第2の導電膜104Aが折り返し構造(「ミアンダ状」の構造)を有している点が図2に示した実施形態と異なる。
すなわち、第2の導電膜104Aは、互いに平行でかつ離間した複数の平行部と、この平行部の端部で2つの平行部を接続する折り返し部とを有し、これにより、第2の導電膜104Aの長さ(図7中に示す長さL)よりも遙かに長い(例えば、3倍以上、好ましくは5倍以上)導電経路を単一の第2の導電膜104Aの中に形成できる。
第2の導電膜104Aの2つの端部104A−1、104A−2は、それぞれ、例えば、第2の接続用導電膜109A、ソース端子107およびドレイン端子108のいずれか1つと接続されてよく、これにより図7に示すように複数の第2の導電膜104Aを電気的に直列に接続できる。
第2の導電膜104Aは、第2の導電膜104と比べて、同じ長さ(例えば、上述の長さL)で、より幅が狭くかつより長さの長い導電経路を内部に形成できる。このため、電気抵抗を高くできる(とりわけ、第2の接続用導電膜109A、ソース端子107およびドレイン端子108と比較して電気抵抗を高くできる)。この結果、同一の電流でより高い昇温効果を得ることができ、ソース端子107からドレイン端子109に至る導電経路の中で第2の導電膜104Aの部分を選択的に加熱できるという利点を有する。
図6に示す、複数の第2の導電膜104Aを用いたエレクトレット電極は、上述した以外の部分については、エレクトレット100と同じ構成を有してよい。
2.実施の形態2
図8(a)は、本願発明の実施の形態2に係るエレクトレット電極300の断面図であり、図8(b)は、図8(a)において、点線で囲んだ部分の拡大図である。
エレクトレット電極303では、1つの(単一の)第2の絶縁膜305が、複数の第1の導電膜302と複数の第2の導電膜304とを覆っている。第2の絶縁膜305は、第1の導電膜302の直上部が電荷を保持したエレクトレット部303となっており、第2の導電膜304直上部が電荷を実質的に保持しない(「実質的に保持しない」は、エレクトレット部303と比べて明らかに少量で、発電量にほとんど影響のない程度の電荷が帯電している場合も含む。)無電荷絶縁膜部となっている。
このような、単一の第2の絶縁膜305内のエレクトレット部303と無電荷絶縁膜部とは、例えば、上述したコロナ放電等の帯電方法により第2の絶縁膜305の表面全体に電荷を帯電させた後、第2の導電膜304を通電加熱し、第2の絶縁膜305のうち、第2の導電膜の上部のみについて加熱して帯電した電荷を消失(消去)させることにより、形成できる。
すなわち、本実施形態では、エレクトレット(エレクトレット用材料)と第2の絶縁膜とを別々に形成する第1の実施形態と比べて、簡素な構成で本願発明に係るエレクトレット電極を得ることができるため、製造コストを低減できるという利点を有する。
なお、第2の絶縁膜は単層膜でも積層膜でもよい。
また、図8(b)に示す実施形態では、第2の導電膜304は、第1の実施形態の変形例に係る第2の導電膜104Aと同様に、互いに平行でかつ離間した複数の平行部と、この平行部の端部で2つの平行部を接続する折り返し部とを備えた、折り返し構造を有している。
しかし、本実施形態における第2の導電膜は、この形態に限定されるものではなく、第1の実施形態に係る第2の導電膜104と同様に折り返し構造を有しなくてもよい。
図9は、エレクトレット電極300を得るために、第2の導電膜304を通電加熱した際の、第2の絶縁膜305の温度分布を示すシミュレーション結果である。
図9は、第2の絶縁膜305の厚さ方向の温度分布をより詳細に示すために、主面に平行な方向と比べて厚さ方向をより誇張して示している。
また、図9では、スケールに示したように、より温度の高い領域がより黒く、より温度の低い領域がより白くなるように白黒で温度分布を示している。
シミュレーション結果をより詳細に理解できるように本願発明者らは、本願の出願と同時に、図9に示すシミュレーション結果(温度分布)をカラーで示した図を物件提出書として提出している。必要に応じて物件提出書についても参照されたい。
シミュレーションは以下の条件により行った。
第1の絶縁体306はシリコン酸化膜(厚み1,000nm)とした。第1の導電体302および第2の導電体304は多結晶シリコン(厚み300nm)とし、エレクトレットを兼ねた第2の絶縁膜304は下側がシリコン酸化膜(第1の導電膜302および第2の導電膜304上で厚さ900nm)、上側がシリコン窒化膜(厚み150nm)である2層膜とした。第1の導電膜302の幅は100μmとした。第2の導電膜304については、幅が80μmで、図8(b)および図9に示すように、8つの平行部を有する折り返し構造とし、それぞれの平行部の幅(図8(b)の幅W)を5μmとした。第2の導電膜304の抵抗率を10Ω・cmとし、0.3mAの直流電流を流し続けた時の温度分布を求めたのが図9である。
シミュレーションには、Coventor Inc製の解析ソフトウエアCoventorWareを用いた。解析に必要な、材料の物性値等のパラメータは広く知られている値を用いた。図9は、熱収支がバランスし、温度が安定した定常状態の温度を示している。
図9中の(A)部、すなわち第1の導電膜302の上部では温度が100℃(373K)以下であるため、帯電した電荷が消失することなく、従ってエレクトレット部を形成している。
一方、図9中の(B)部、すなわち第2の導電膜304の上部では温度が500℃(773K)と高温に達するため、帯電した電荷が熱励起されて消え去り、従って、電荷を実質的に保持しない無電荷絶縁膜部を形成している。
3.実施の形態3
本発明の実施の形態3として、本願発明に係るエレクトレット電極を用いた振動発電器について説明する。図10は、本発明の実施の形態3に係る振動発電器413の断面図である。
振動発電器413は、エレクトレット電極400を含む第1の基板401と、第1の基板401を、固定構造体407a、407bに接続する弾性構造体408a、408bを含む。さらに、固定構造体407a、407bは、支持体409a、409bにより、第2の基板410に接続されている。第2の基板410上には、導電膜(電極)411a、411b、411c、411d、411e(すなわち複数個の導電膜(電極))が並列して(または整列して)配置されている。エレクトレット電極400は、実施の形態1または実施の形態3に記載したエレクトレット電極である。
次に、振動発電器413の動作について説明を行う。
振動発電器413は、外部からの力または振動が加わると、弾性構造体408aおよび408bが伸縮し、これにより第1の基板401は第2の基板410に対して、矢印412に示す方向に相対的に変位する。この相対的な変位は、エレクトレット電極400のそれぞれのエレクトレットと第2の基板上の電極411a〜eのいずれかとの重なり面積の増減をもたらす。この重なり面積の増減により、電極411a〜eに誘起される電荷量が増減する。この電荷の増減を電気エネルギーとして取り出すことによって、発電を行う。第1の基板401が振動を続ける限り、この重なり面積の増減は続き、発電も継続される。
本実施の形態では、エレクトレット電極400は実施の形態1から実施の形態3のいずれかに係るエレクトレット電極を用いており、従来のエレクトレット電極を用いた場合と比較して発電量を向上することができる。この効果について、以下に詳細な説明を行う。
本実施の形態の振動発電器314では、エレクトレット電極400は微細なパターンで形成されているため、第1の基板401が同じ振幅であれば、従来のエレクトレット電極を用いた場合と比べて、1回の振幅あたりの重なり面積の増減回数が多くなる。
また実施の形態1から実施の形態3のいずれかに係るエレクトレット電極は、表面電位が高く、また第2の導電膜上に配置された第2の絶縁膜に対して十分に大きな電位差を有しているという特徴があり、重なり面積の増減により誘起される電荷量は、従来のエレクトレット電極を用いた場合に比べて多くなる。
図10に示す振動発電器413の例を示したが、本発明に係るエレクトレット電極を用いた振動発電器であれば、第1の基板401が、弾性構造体が接続された構造体に形成(接合)されている構造であっても同様の効果を得ることができることは言うまでも無い。
図10では、振動発電器の例を示したが、振動発電器以外の装置(またはデバイス)であって、パターン化したエレクトレットにおいて高い表面電荷密度が必要な装置(またはデバイス)に、本発明のエレクトレット電極を用いることは効果的である。例えば、本発明のエレクトレット電極は、アクチュエータを構成するために用いてよい。アクチュエータにおいて、エレクトレットはパターン化され、表面電荷密度が高いほど、電力の発生はより大きくなる。
4.実施の形態4
本発明の実施の形態4として、振動発電装置を説明する。図11は、振動発電装置500のブロック図である。図11において、振動発電器501は本発明の実施の形態4に係る振動発電器である。
図11に示す振動発電装置500は、振動発電器501、整流回路502、電圧変換回路503、出力切替回路504、蓄電回路505および電圧制御回路506を含む。振動発電器501から出力された交流電圧は、整流回路502により直流電圧に変換される。直流電圧は、電圧変換回路503に入力され、振動発電装置500の出力電圧レベルに電圧変換される。変換された電圧は、出力切替回路504により、電圧制御回路506または蓄電回路505に入力される。電圧制御回路506では、出力電圧が一定となるように電圧制御されて出力される。
以上のように構成された振動発電装置500の動作について、図12を参照して説明する。図12は振動発電装置500の各回路から出力される電圧波形を示している。図12(a)は、振動発電器501の出力電圧波形である。図12(a)では、簡単のため、第1の基板の変位方向が変わるときでも発電は効率よく行われていると仮定し、振動による重なり面積の増減により正弦波電圧が出力されるとしている。ここで、振動発電器501の出力電圧の電圧振幅Vgは、第1の基板の振動振幅、第1の基板と第2の基板との間のギャップ、エレクトレットの保持電荷量及び振動発電器501から見た外部インピーダンスの大きさ等により異なる。振動発電器501から出力された交流電圧は、整流回路502により直流電圧VDC1に変換される(図12(b))。VDC1は、振動発電装置500の出力電圧レベルVDC2まで、電圧変換回路503により電圧変換される。
出力切替回路504は、振動発電装置500から電圧を出力する必要がない場合、電圧変換回路503からの出力を電圧制御回路506に送らず、蓄電回路505に送る役割をする。蓄電回路505は、発電された電力を蓄える。出力切替回路504は、振動発電装置500からの電圧出力が必要である場合には、電圧制御回路506から電力が出力されるように、回路を切り替える。出力切替回路504は、さらに、発電量が小さい場合には、蓄電回路505に蓄えられた電力を出力するように、回路を切り替える。出力切替回路504からの出力は、電圧制御回路506により所望の出力電圧VOUTに制御されて、振動発電装置500外へ出力される(図12(c))。
前述したように、振動発電器500の出力電圧は、さまざまな要因で変動する。これに対応するため、VDC2は、最終的に出力される電圧VOUTよりも若干高い電圧に設定することが望ましい。このように設定を行うことにより、微小な電圧変動に対しても、出力電圧を一定とすることが可能となる。例として、1.8Vの電圧(電圧VOUT)で電力を出力する場合について説明する。この場合において、VDC2が1.8Vに設定されていて、かつ振動発電器の出力電圧が減少すると、振動発電器300の出力電圧も減少する。しかし、例えば、VDC2を2Vに設定しておけば、0.2Vの電圧減少に対しても十分に制御が可能となる。したがって、VDC2>VOUTに設定することにより、出力電圧を一定にして安定して電力を供給できる。
5.実施の形態5
図13は、自動車に搭載されるタイヤ空気圧モニタリングシステムにおいて使用される通信装置のブロック図である。図13において、発電装置601は、実施の形態4に係る振動発電装置を示す。
図13に示す通信装置600は、振動により発電を行う発電装置601、通信装置の主電源または発電装置601のサブ電源としての電池602、発電装置601からの出力と電池602からの出力を切り替えて回路部に供給する電源制御部603、タイヤの空気圧を測定する圧力センサ604、圧力センサからの出力を処理し、通信部に伝える処理部605、処理部605からの入力信号を高周波信号に変換してアンテナ607へ伝える通信部606およびアンテナ607を含む。
以上のように構成された通信装置600の動作について説明を行う。
圧力センサ604、処理部605および通信部606が動作するのに必要な電力を、電源制御部603を介して、発電装置601および電池602の少なくとも一方から供給する。圧力センサ604は、タイヤの空気圧を測定し、測定結果を電圧信号に変換して処理部605へ入力する。処理部605で処理された信号は、通信部606へ入力され、高周波信号としてアンテナ607から伝搬される。
このように作動する通信装置600において、本発明に係る振動発電装置を電源として利用することにより、電池交換等のメンテナンス作業回数を低減することができ、或いは電池交換を不要とすることができる。このことは、通信装置それ自体の利便性を向上させるとともに、省資源および環境保護にも寄与する。
図13に示す実施の形態では、振動発電装置と電池とを併用する例を示した。しかし、振動発電装置601からの出力電力が、圧力センサ604、処理部605、通信部606等の回路で消費する電力、および通信に必要な電力を十分に供給することができる限り、振動発電装置601のみを電源として用いてよい。この場合、電池、602及び電源制御部603が不要となり、通信装置600の更なる小型化ができるという利点を有する。
図13に示す実施の形態では、実施の形態3に示す振動発電器、および実施の形態4に示す振動発電装置を用いる例を示した。振動発電器は、外部からの力または振動を電力に変換可能である限りにおいて、他の振動発電器であってもよく、その場合において同様の効果が得られることは言うまでもない。
本発明の振動発電器および振動発電装置は、通信装置以外の電気機器において、主電源または副電源として使用してよい。具体的には、腕時計、体温計、温度計、歩数計、リモートコントローラ、携帯オーディオ製品、キーレスエントリー用携帯機、補聴器、心臓ペースメーカー、携帯電話およびゲーム機等において、使用することができる。
本明細書において開示された実施の形態において、すべての構成要素は例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記の説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
本発明のエレクトレット電極の構成は、エレクトレットを微細化しても高い表面電位または表面電荷密度を得ることを可能とするので、静電誘導型振動発電器のエレクトレット電極として有用である。また、本発明の振動発電器は、小電力の無線通信モジュール等の用途において、電源として非常に有用である。
100,110,130,300 エレクトレット電極
102,112,132,302 第1の導電膜
103,113,133,303 エレクトレット(エレクトレット部)
104,104A,114,134,304 第2の導電膜
105,115,135,305 第2の絶縁膜
106,116,306 第1の絶縁膜
107 ソース端子
108 ドレイン端子
109A 第2の接続用導電膜
109B 第1の接続用導電膜
500 振動発電装置
501 振動発電器
600 通信装置

Claims (8)

  1. 基板と、
    前記基板の1つの主面に並列して配置された複数の第1の導電膜と、
    前記基板の前記1つの主面上でかつ前記複数の第1の導電膜が形成されていない領域に形成された複数の第2の導電膜と、
    前記複数の第1の導電膜のそれぞれの上に形成されているエレクトレットと、
    前記複数の第2の導電膜のそれぞれの上に形成されている絶縁膜と、
    を含み、
    前記第1の導電膜と前記第2の導電膜が交互に配置され、
    前記複数の第2の導電膜は互いに直列に接続され、
    直列に配置された前記複数の第2の導電膜に電流を流すためのソース端子とドレイン端子とを更に含むことを特徴とするエレクトレット電極。
  2. 前記第2の導電膜が、内部に互いに離間した平行部と、2つの平行部を接続する複数の折り返し部とを有することを特徴とする請求項1に記載のエレクトレット電極。
  3. 前記第2の導電膜が、第1の導電膜よりも電気抵抗が大きいことを特徴とする請求項1または2に記載のエレクトレット電極。
  4. 単一の絶縁膜において、前記エレクトレットが電荷を有する部分として形成され、かつ前記絶縁膜が電荷を実質的に有しない部分として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトレット電極。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエレクトレット電極を用いた振動発電器。
  6. 請求項5に記載の振動発電器と、
    前記振動発電器からの交流出力電圧を整流して直流電圧に変換する整流回路と、
    前記整流回路から出力された直流電圧を所定の電圧レベルに変換する電圧変換回路と、
    前記振動発電器からの出力が不要な場合に、前記振動発電器により発電された電力を蓄える蓄電回路と、
    前記電圧変換回路または前記蓄電回路からの出力電圧を、所定の電圧に制御する電圧制御回路と、
    前記電圧変換回路からの出力が送られる回路を、蓄電回路および電圧制御回路のいずれか一方から他方に切り替える出力切替回路と、
    を備えた振動発電装置。
  7. 請求項6に記載の振動発電装置を含む通信装置。
  8. 基板上に、第1の導電膜と第2の導電膜とを交互にかつ互いに離間して配置する工程と、
    前記第1の導電膜上にエレクトレット用材料を形成する工程と、
    前記第2の導電膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記第1のエレクトレット用材料および前記絶縁膜を同時に帯電させる工程と、
    前記第2の導電膜を通電加熱することにより前記絶縁膜を加熱し、前記絶縁膜に帯電した電荷を除去すると、
    を含むことを特徴とするエレクトレット電極の製造方法。
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