JPWO2010016289A1 - 量子ドットを含有する蛍光標識剤 - Google Patents

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Abstract

高い発光強度を有しながら、その発光特性が保存環境に依存して変動することが少なく高い環境安定性を有する量子ドットを含有する蛍光標識剤を提供する。本発明の蛍光標識剤は、量子ドットを含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの量子ドットと保護材とからなる蛍光標識剤コア部及び(2)当該蛍光標識剤コア部を被覆する有機表面被覆層とからなり、かつ当該蛍光標識剤コア部の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする。

Description

本発明は、高い発光強度と環境保存安定性を有する量子ドットを含有する蛍光標識剤に関する。
ナノテクノロジーにおける最近の進歩は、無機ナノ粒子を、検出、診断、感知及びその他の用途に使用することの可能性を示唆している。また、生物系と相互作用する無機ナノ粒子は、最近生物及び医学の分野で広く関心を集めている。これらの無機ナノ粒子は、感知(例えば画像化)及び治療目的(例えば薬物送達)の両方にとって新規血管内プローブとして有望であると考えられている。
一般に、無機ナノ粒子の中で、ナノ・メートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す物質からなるナノ粒子は、「量子ドット」と称されている。このような量子ドットは、半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。
したがって、量子ドットの大きさ又は物質組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができて様々な水準の波長帯のエネルギーを光として利用することができる可能性があると考えられている。このため、最近、当該半導体ナノ粒子を生物及び医学の分野で生体細胞を構成する化学物質・分子等に関する各種情報を得るための標識体として応用する技術の発展が期待されている。
ところで、生体分子検出のための標識剤としては、生体中での分散等に適するように必要な表面修飾官能基を付加した有機色素、蛍光蛋白、及び金ナノ粒子やCdSeなどの無機ナノ粒子等が用いられている。
フォトンを有効利用し、検出性の高い蛍光剤が好ましく用いられ、その中でも光退色に対する安定化の観点から、無機蛍光剤が有用である。無機蛍光剤には無機蛍光体粒子が用いられ、生体観察に適するように粒子サイズを50nm以下(ナノ粒子化)とする工夫が加えられてきた。
従来のナノ粒子化する製法としては、液相法、気相法、及び固相法による種々の方法が検討されているが、いずれの方法においても、ナノサイズ化したことによる、ナノ粒子表面の格子歪及び格子欠陥等の影響が、表面積の増大に伴って拡大し、発光強度が劣化するという問題が未だあり、特に水媒体中では検出に致命的な発光低下が生ずるという問題を抱えていた(例えば特許文献1及び2参照)。また、発光特性が、保存環境(pH、気温)に依存して変動するという問題も抱えていた。
特許第3636970号明細書 特許第3771925号明細書
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高い発光強度を有しながら、その発光特性が保存環境に依存して変動することが少なく高い環境安定性を有する量子ドットを含有する蛍光標識剤を提供することである。
本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.量子ドットを含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの量子ドットと保護材とからなる蛍光標識剤コア部及び(2)当該蛍光標識剤コア部を被覆する有機表面被覆層とからなり、かつ当該蛍光標識剤コア部の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする蛍光標識剤。
2.前記量子ドットが、シリコン(Si)を含有することを特徴とする前記第1項に記載の蛍光標識剤。
3.前記量子ドットが、賦活化蛍光体ナノ粒子であって、700〜2000nmの範囲内の波長の近赤外光の発光をする近赤外発光蛍光体ナノ粒子であり、その組成の少なくとも一部が、一般式(1):APO、または、一般式(2):AF(但し、式中、Aは、イットリウム(Y),ルテニウム(Lu)及びランタン(La)から選択される元素である。)で表され、かつ賦活剤として希土類元素を含有していることを特徴とする前記第1項に記載の蛍光標識剤。
4.前記希土類元素が、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)のいずれか一つ、又は複数の組合せであることを特徴とする前記第3項に記載の蛍光標識剤。
5.前記保護材が、SiO(但し、x=1.5〜2.0)又はZnSであることを特徴とする前記第1項から第4項のいずれか一項に記載の蛍光標識剤。
6.前記1蛍光標識剤当たりの量子ドットの数が、3〜10であることを特徴とする前記第1項から第5項のいずれか一項に記載の蛍光標識剤。
7.前記有機表面被覆層が、下記一般式(PEG)で表される化学構造を有する化合物で化学修飾されていることを特徴とする前記第1項から第6項のいずれか一項に記載の蛍光標識剤。
一般式(PEG):X−(CHCHO)−Y
(式中、Xは、有機表面被覆層を構成する化合物に連結可能な結合基を末端に含む連結基、Yは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及び生体分子に結合可能な官能基を末端に含む基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
本発明の上記手段によって、高い発光強度を有しながら、その発光特性が保存環境に依存して変動することが少なく高い環境安定性を有する量子ドットを含有する蛍光標識剤を提供することができる。
本発明の蛍光標識剤は、量子ドットを含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの量子ドットと保護材とからなるコア部及び(2)当該コア部を被覆する有機表面被覆層とからなり、かつ当該コア部の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする。この特徴は、請求の範囲第1項から第7項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記量子ドットが、シリコン(Si)を含有する態様であることが好ましい。
また、前記量子ドットが、賦活化蛍光体ナノ粒子であって、700〜2000nmの範囲内の波長の近赤外光の発光をする近赤外発光蛍光体ナノ粒子であり、その組成の少なくとも一部が、一般式(1):APO、または、一般式(2):AF(但し、式中、Aは、イットリウム(Y),ルテニウム(Lu)及びランタン(La)から選択される元素である。)で表され、かつ賦活剤として希土類元素を含有している態様であることが好ましい。この場合、前記希土類元素が、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)のいずれか一つ、又は複数の組合せであることが好ましい。
本発明においては、前記保護材が、SiO(但し、X=1.5〜2.0)又はZnSであることが好ましい。更に、前記1蛍光標識剤当たりの量子ドットの数が、3〜10であることが好ましい。
本発明においては、前記有機表面被覆層が、下記一般式(PEG)で表される化学構造を有する化合物で化学修飾されている態様であることが好ましい。
一般式(PEG):X−(CHCHO)−Y
(式中、Xは、有機表面被覆層を構成する化合物に連結可能な結合基を末端に含む連結基、Yは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及び生体分子に結合可能な官能基を末端に含む基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための最良の形態・態様について詳細な説明をする。
(量子ドット)
本発明の蛍光標識剤は、量子ドットを含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの量子ドットと保護材とからなる蛍光標識剤コア部及び(2)当該蛍光標識剤コア部を被覆する有機表面被覆層とからなり、かつ当該蛍光標識剤コア部の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする。なお、1蛍光標識剤当たりの量子ドットの数は、3〜10であることが好ましい。
本発明に係る量子ドットの材料としては、公知の種々の蛍光発光性化合物及びその原料を用いることができる。例えば、後述する半導体材料のほかに、エルビウム(Er)、ホロミウム(Ho)、プラセオジウム(Pr)、ツリウム(Tm)、ネオジウム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)、サマリウム(Sm)およびセリウム(Ce)等の希土類元素及びこれらを含有するハロゲン化合物等を用いることができる。
本発明においては、量子ドットとしては、特に下記の半導体ナノ粒子を用いることが好ましい。
〈半導体ナノ粒子〉
本発明に係る半導体ナノ粒子の材料としては、公知の種々の蛍光発光性化合物及びその原料を用いることができる。例えば、従来、半導体ナノ粒子の材料として知られている種々の半導体材料を用いて形成することができる。具体的には、例えば、元素の周期表のIV族、II−VI族、及びIII−V族の半導体化合物及びこれらの化合物を構成する元素を含む原料化合物を用いることができる。
II−VI族の半導体の中では、特に、MgS、MgSe、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、HgS、HgSe及びHgTeを挙げることができる。
III−V族の半導体の中では、GaAs、GaN、GaPGaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb及びAlSを挙げることができる。
IV族の半導体の中では、Ge及びSiは特に適している。
上記の各種半導体材料のうち、安全性を満たす組成という観点から、特に、Si、Ge、InN、InPが好ましい材料として挙げられるが、これらのうちで、本発明に係る半導体ナノ粒子を構成する主要成分原子としては、シリコン(Si)及びゲルマニウム(Ge)が最も好ましい。なお、本願において、「半導体ナノ粒子を構成する主要成分原子」とは、当該半導体ナノ粒子を構成する原子のうち含有比率が最大である原子をいう。
なお、本発明においては、半導体ナノ粒子をコア/シェル構造を有する粒子にすることが好ましい。この場合、半導体ナノ粒子は半導体微粒子からなるコア粒子と当該コア粒子を被覆するシェルとで構成されるコア/シェル構造を有する半導体ナノ微粒子であって、該コア粒子とシェルの化学組成が相異するものであることが好ましい。これにより、シェルのバンドギャップは、コアより高くすることが好ましい。
シェルはコア粒子の表面欠陥を安定化し輝度を向上させるために必要であるし、表面修飾剤が吸着・結合しやすい面を形成するためにも重要となる。本発明の効果にとっても検出感度の精度を向上するうえで重要な構成である。
以下、コア粒子とシェルについて説明する。
〈コア粒子〉
コア粒子に用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、GaAs、GaP、GaSb、InGaAs、InP、InN、InSb、InAs、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si、又はこれらの混合物等が挙げられる。本発明において、特に好ましい半導体材料は、Siである。
本発明に係る量子ドット(半導体ナノ粒子)は、350nm〜1100nmの範囲に蛍光発光することを特徴とするが、生体細胞自らがもつ発光の影響をなくしSN比を向上するため、近赤外乃至赤外領域の波長領域において蛍光発光する、すなわち赤外発光するように、コアの平均粒径を調整することが好ましい。このため、本発明に係るコアの平均粒径に関しては、0.5〜15nmであることが好ましい。更に、好ましくは1〜5nmである。
なお、本発明において、半導体ナノ粒子の平均粒径は本来3次元で求める必要があるが、微粒子過ぎるため難しく、現実には二次元画像で評価せざるを得ないため、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて電子顕微鏡写真の撮影シーンを変えて数多く撮影し平均化することで求めることが好ましい。従って、TEMで撮影する粒子数としては100個以上が好ましい。
〈シェル〉
シェルに用いられる半導体材料としては、種々の半導体材料を用いることができる。具体例としては、例えば、ZnO、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdO、CdS、CdSe、CdTe、MgS、MgSe、GaS、GaN、GaP、GaAs、GaSb、InAs、InN、InP、InSb、AlAs、AlN、AlP、AlSb、又はこれらの混合物等が挙げられる。
本発明において、特に好ましい半導体材料は、SiO、GeO、及びZnSである。
なお、本発明に係るシェルは、コア粒子が部分的に露出して弊害を生じない限り、コア粒子の全表面を完全に被覆するものでなくてもよい。
〈ドーパント〉
本発明に係る半導体ナノ粒子は、それを構成する主要成分原子と等価の価電子配置をもつ異種原子もしくは当該異種原子の原子対をドーパントとして含有し、かつ当該ドーパントが半導体ナノ粒子表面又はその近傍に均一に分布していることが好ましい。
なお、「価電子」とは、原子を構成する電子殻(K殻、L殻、M殻・・・)の最外殻に保有される電子のことをいう。従って、半導体ナノ粒子構成する主要成分原子をシリコン(Si)とした場合は、その価電子は4電子を最外殻に配置しているため、等価の価電子配置をとる原子もしくは原子対はBe−Be(Be対)、Mg−Mg(Mg対)、Geなどが挙げられる。
本発明に係る半導体ナノ粒子構成する主要成分原子をシリコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)にした場合、ドーパントとして、特にBe−Beが好ましい。
なお、本発明において、ドーパントの含有位置としては、半導体ナノ粒子の表面又はその近傍であることを要する。ここで、「表面の近傍」とは、半導体ナノ粒子の表面から半径の30%の範囲以内、特に好ましくは15%の以内範囲である。
本発明に係るドーパントの分布状態は、X線光電子分光分析法(XPS/ESCA;XPS:X−ray Photoelectron Spectroscopy/ESCA:Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)により観察・測定することができる。なお、X線光電子分光分析法は、単色の光(X線)照射で飛び出す電子の運動エネルギーを測定することにより、固体表面及びその近傍の状態(例えば元素の組成)を調べる方法である。
〈半導体ナノ粒子の粒径〉
本発明に係る無機ナノ粒子、例えば半導体ナノ粒子の平均粒径は、1〜10nmであることを特徴とする。好ましくは、1〜5nmである。
なお、本発明に係る半導体ナノ粒子のうち、電子の波長(10nm程度)より小さい粒子径を有するナノサイズの粒子は、量子サイズ効果として電子の運動に対するサイズ有限性の影響が大きくなってくるために、バルク体とは異なる特異な物性を示すことが知られている。一般に、ナノ・メートルサイズの半導体物質で量子閉じ込め(quantum confinement)効果を示す半導体ナノ粒子は、「量子ドット」とも称されている。このような量子ドットは、半導体原子が数百個から数千個集まった10数nm程度以内の小さな塊であるが、励起源から光を吸収してエネルギー励起状態に達すると、量子ドットのエネルギーバンドギャップに相当するエネルギーを放出する。したがって、量子ドットの大きさまたは物質組成を調節すると、エネルギーバンドギャップを調節することができて様々な水準の波長帯のエネルギーを利用することができる。また、量子ドット、すなわち半導体ナノ粒子は、同一組成で、粒径を変化させることで、発光波長をコントロールできるという特徴をもつ。
本発明に係る半導体ナノ粒子は、350〜1100nmの範囲の蛍光を発光するように調整することができるが、本発明においては、生体細胞自らがもつ発光の影響をなくしSN比を向上するため、近赤外領域の波長の発光も好ましく用いられる。
(半導体ナノ粒子の製造方法)
本発明に係る半導体ナノ粒子の製造方法としては、従来公知の液相法又は気相法による製造方法を用いることができる。
液相法の製造方法としては、沈殿法、共沈法、ゾル−ゲル法、均一沈殿法、還元法などがある。そのほかに、逆ミセル法、超臨界水熱合成法、などもナノ粒子を作製する上で優れた方法である(例えば、特開2002−322468号、特開2005−239775号、特開平10−310770号、特開2000−104058号公報等を参照)。
なお、液相法により、半導体ナノ粒子を製造する場合においては、当該半導体の前駆体を還元反応により還元する工程を有する製造方法であることが好ましい。また、当該半導体前駆体の反応を界面活性剤の存在下で行う工程を有する態様が好ましい。なお、本発明に係る半導体前駆体は、上記の半導体材料として用いられる元素を含む化合物であり、たとえば半導体がシリコン(Si)の場合、半導体前駆体としてはSiClなどが挙げられる。その他半導体前駆体としては、InCl、P(SiMe、ZnMe、CdMe、GeCl、トリブチルホスフィンセレンなどが挙げられる。
反応前駆体の反応温度としては、半導体前駆体の沸点以上かつ溶媒の沸点以下であれば、特に制限はないが、70〜110℃の範囲が好ましい。
〈還元剤〉
半導体前駆体を還元する還元剤としては、従来周知の種々の還元剤を反応条件に応じて選択し用いることができる。本発明においては、還元力の強さの観点から、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム(LiBH(sec−C)及び水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウムなどの還元剤が好ましい。特に、還元力の強さから水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)が好ましい。
〈溶媒〉
半導体前駆体の分散用溶媒としては、従来周知の種々の溶媒を使用できるが、エチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類、トルエン、デカン、ヘキサンなどの炭化水素類溶媒を使用することが好ましい。本発明においては、特に、トルエン等の疎水性の溶媒が分散用溶媒として好ましい。
〈界面活性剤〉
界面活性剤としては、従来周知の種々の界面活性剤を使用でき、陰イオン、非イオン、陽イオン、両性界面活性剤が含まれる。なかでも第四級アンモニウム塩系である、テトラブチルアンモニウムクロリド、ブロミド又はヘキサフルオロホスフェート、テトラオクチルアンモニウムブロミド(TOAB)、またはトリブチルヘキサデシルホスホニウムブロミドが好ましい。特に、テトラオクチルアンモニウムブロミドが好ましい。
なお、液相法による反応は、液中の溶媒を含む化合物の状態により大きく変化する。単分散性の優れたナノサイズの粒子を製造する際には、特に注意を要する必要がある。例えば、逆ミセル反応法では、界面活性剤の濃度や種類により、反応場となる逆ミセルの大きさや状態が変わってくるため、ナノ粒子が形成される条件が限られてしまう。したがって、適切な界面活性剤は溶媒との組み合わせが必要となる。
気相法の製造方法としては、(1)対向する原料半導体を電極間で発生させた第一の高温プラズマによって蒸発させ、減圧雰囲気中において無電極放電で発生させた第二の高温プラズマ中に通過させる方法(例えば特開平6−279015号公報参照)、(2)電気化学的エッチングによって、原料半導体からなる陽極からナノ粒子を分離・除去する方法(例えば特表2003−515459号公報参照)、(3)レーザーアブレーション法(例えば特開2004−356163号公報参照)、(4)高速スパッタリング法(例えば特開2004−296781号公報参照)などが用いられる。また、原料ガスを低圧状態で気相反応させて、粒子を含む粉末を合成する方法も、好ましく用いられる。
〈半導体ナノ粒子形成後の後処理〉
本発明に係る半導体ナノ粒子の製造方法においては、半導体ナノ粒子形成後、特にシェル形成後にプラズマ、熱、放射線、又は超音波による処理のいずれかの後処理を行う工程を含む態様も好ましい。
プラズマ処理であれば、その粒子組成・結晶性・表面性を考慮し低温・高温プラズマ、マイクロ波プラズマ、大気圧プラズマなど適応するものを選択するが、マイクロ波プラズマが好ましい。
熱処理については、大気、真空、不活性ガス領域のいずれかを選択し、熱を施すが蛍光体粒子の構成によりその適用する温度領域は異なる。温度が高すぎた場合にはコアとシェルの間にひずみが生じたり、剥がれが生じることもある。低温では効果に乏しく100℃以上300℃以下が好ましく用いられる。
放射線処理は、高エネルギーを要するX線、γ線、中性子線が用いられたり、エネルギーは低いものの真空紫外線(VUV)、紫外線や短パルスレーザーなどが用いられる。その処理時間は放射線の種類によって異なる。X線などにおいては透過能が高いため、どのような組成においても比較的短時間で済むことが多く、紫外線においては比較的長時間の照射が必要となる。
これら後処理の効果については、原理的なものは解明できてないがコア/シェル型粒子のコアとシェルの界面の接合性を強化し、不動態化が促進した結果、発光効率が向上したと推定している。赤外発光体にはその影響が著しく現れ、特性に反映したものと推定する。
本発明においては、シェルのバンドギャップはコアより高いことが好ましい。シェルはコア粒子の表面欠陥を安定化し輝度を向上させるために必要であるし、蛍光標識剤とする為に表面修飾剤が吸着・結合しやすい面を形成するために重要となる。
(保護材)
本発明に係る保護材としては、有機ポリマーや無機材料など、保護対象である量子ドットの特性を損なわない材料が用いられる。量子ドットのバンドギャップより高いエネルギーのバンドギャップをもつ半導体や酸化物が好ましく用いられる。
保護材として好ましい半導体としては、例えば、ZnSが挙げられ、量子ドットの量子閉じ込め効果を高く発揮できる。例えば、量子ドットがSiを主成分とする場合は、保護材としては、酸化物のSiOを用いることができる。量子ドットがGeを主成分とする場合は、GeOを用いることができる。
(賦活化蛍光体ナノ粒子)
本発明の蛍光標識剤は、賦活化蛍光体ナノ粒子を含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの賦活化蛍光体ナノ粒子と保護材とからなる蛍光標識剤コア部及び(2)当該蛍光標識剤コア部を被覆する有機表面被覆層とからなり、かつ当該蛍光標識剤コア部の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする。
本発明に係る賦活化蛍光体ナノ粒子としては、賦活剤を含有し賦活化された種々の蛍光体ナノ粒子を用いることができる。当該賦活化蛍光体ナノ粒子としては、例えば、ZnSiO:Mnのように母体励起のエネルギーを賦活剤が吸収して発光する母体励起型蛍光体ナノ粒子であっても、賦活剤そのものが励起して発光する賦活剤励起型蛍光体ナノ粒子であってもよいが、本発明においては、後者が好ましい。
本発明においては、特に、以下に述べる近赤外発光蛍光体ナノ粒子が好ましい。
〈近赤外発光蛍光体ナノ粒子〉
本発明に係る近赤外発光蛍光体ナノ粒子は、平均粒径が2〜50nmであり、700〜900nmの範囲内の波長の近赤外光により励起されたときに、700〜2000nmの範囲内の波長の近赤外光の発光を示す近赤外発光蛍光体ナノ粒子であって、その組成の少なくとも一部が、一般式(1):APO、または、一般式(2):AF(但し、式中、Aは、イットリウム(Y),ルテニウム(Lu)及びランタン(La)から選択される元素である。)で表され、かつ賦活剤として希土類元素を含有していることが好ましい。
当該希土類元素としては、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)のいずれか一つ、又は複数の組合わせであることが好ましい。
また、共賦活剤として、Pr及びTbのうちの少なくともいずれかの元素を含有させることも好ましい。ここで「共賦活剤」とは、賦活剤の機能を助長する第2の成分をいう。
なお、最終的に形成する近赤外発光蛍光体ナノ粒子が50nm以下の粒子である場合、構成元素中の金属元素の数が4種類以上となったときや、10atm%以下の共賦活剤を含有すると、従来の固相法で製造された粒子に比べて、また、金属元素が3種類のときや、共賦活剤を含有しないときにと比べて、格段に発光強度が高くなる。
本発明の近赤外発光蛍光体ナノ粒子を製造するための製造方法としては、例えばNano Letters Vol.2,733−737(2002)もしくはChemistry of Materials Vol.15,4604−4616(2003)に記載の方法を適用することができる。
本発明の近赤外発光蛍光体ナノ粒子を製造するための原料としてはとしては、一般式(1)または一般式(2)に含まれている各種元素のハロゲン化物や硝酸塩等を用いることができる。例えば、塩化ネオジム、硝酸ネオジム、塩化イッテルビウム、硝酸イッテルビウム、塩化ランタン、硝酸ランタン、塩化イットリウム、硝酸イットリウム、塩化プラジオセム、塩化エルビウムなどを用いることができる。
リン酸源としては、オルトリン酸等、フッ化物源としてはフッ化ナトリウム等を用いることができる。
(有機表面被覆層)
本発明の蛍光標識剤は、量子ドットを含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの量子ドットと保護材とからなるコア部及び(2)当該コア部を被覆する有機表面被覆層とからなることを特徴とする。
当該有機表面被覆層を形成する方法としては、従来公知の種々の方法を用いることができる。また、当該有機表面被覆層を構成する材料としては、種々の材料を用いることができる。
当該有機表面被覆層を形成する一つの方法及び構成材料としては、基本的には、例えば、量子ドット(半導体ナノ粒子)の表面を過酸化水素水等を用いて水酸化させる。次に、水酸化された表面にメルカプト基又は/及びアミノ基等の官能基を有するシランカップリング剤を反応させる。その後、当該官能基と反応する官能基を持つポリエチレングリコール鎖を有する化合物(ポリエチレングリコール類)を反応させることにより、本発明に係る態様の有機表面被覆層を作製することができる。
本発明において用いることができるシランカップリング剤としては、下記一般式で表されるシラン化合物又はその誘導体を用いることができる。
一般式:X−A−Si(OR)R’n−3 但し、n=3
上記式中、Xは、官能基であり、例えば、アミノ基、メルカプト基、ハロゲン、エポキシ基、ビニル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、N−(アミノアルキル)−アミノ基などである。
Aは、炭化水素鎖などであり、例えば、−(CH−、−(CH−、−(CH−などが挙げられ、R及びR’は同一でも異なっていてもよく、直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、一般的には炭素数1〜6のものである。
当該シランカップリング剤の代表的なものとしては、例えば、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライドなどが挙げられる。本発明では、上記のうち、アミノ基又はメルカプト基を有するシラン化合物を好適に使用できる。
カップリング剤は、下記分散溶媒を使用した希釈液として使用することができ、一般的には水溶液として使用されるが、場合によっては酢酸を少量添加した水溶液の形態であってもよい。カップリング剤の濃度は,適宜好適な濃度として使用でき、例えば、0.001〜5.0%の濃度のもの、あるいは0.01〜1.0%の濃度のものを、量子ドット(半導体ナノ粒子)の分散液に添加してよい。
本発明において用いることができる分散溶媒としては、表面修飾化合物の種類により溶解性が異なるため一概には言えないが、水やアセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル類、メタノール、エタノールのようなアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジグリム、ヘキサメチルリン酸トリアミドのような非プロトン性極性溶媒、その他、ニトロメタン、アセトニトリル等が挙げられる。特に、水や水を混合したアルコールやケトンのような親水性有機溶剤が好適に用いうる。
また、本発明においては、有機表面被覆層を構成する材料として、各種有機高分子材料を用いることができる。
当該有機高分子材料としては、下記のような重合性単量体を重合して得られた重合体を用いることができる。
重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレンあるいはスチレン誘導体を挙げることができる。
また、重合性単量体として、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体を挙げることができる。
更に重合性単量体として、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体を挙げることができる。
これらビニル系単量体は単独あるいは組み合わせて使用することができる。
また、有機高分子を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが、さらに好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
本発明において、特に好ましい材料としては、スチレン、n−ブチルアクリレート、メタクリル酸などからなる単量体組成物から合成される共重合体である。具体例としては、スチレン(107質量部)、n−ブチルアクリレート(50質量部)、メタクリル酸(8質量部)、n−オクチルメルカプタン(連載移動剤;4質量部)からなる単量体組成物から合成される共重合体が挙げられる。
(有機表面被覆層の化学修飾)
本発明に係る有機表面被覆層は、下記一般式(PEG)で表される化学構造を有する化合物で化学修飾されていることが好ましい。
一般式(PEG):X−(OCHCH−Y
(式中、Xは、有機表面被覆層を構成する化合物に連結可能な結合基を末端に含む連結基、Yは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及び生体分子に結合可能な官能基を末端に含む基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
なお、「生体分子に結合可能な官能基を末端に含む基」とは、生体分子に結合可能な、例えば、カルボキシル基、アミノ基、フォスフォン酸基、スルフォン酸基、メルカプト基などを、下記の具体例のように、化学構造式の末端に含む基をいう。
本発明において用いることができるポリエチレングリコール鎖を有する化合物(ポリエチレングリコール類)としては、ポリエチレングリコール鎖を有する化合物であれば特に限定されないが、具体例としては、HS−C(OCHCH−OCH、NH−C−(OCHCH−OCH、C(=O)H−C−(OCHCH−OCH、NH−C−(CHCHO)−OC(=O)O−スクシンイミド、マレイミド−(CHC(=O)NHC−(CHCHO)−OC(=O)O−スクシンイミド、HO−(CHCHO)−CHCHC(=O)H、HO−(CHCHO)−CNH、HN(CH30(CHCHO)(CHC(=O)OH、ビオチン−(CHC(=O)NHC(CHCHO)−OC(=O)O−スクシンイミド等のポリエチレングリコール類を挙げることができる。なお、上記化合物において、nは1〜20の整数を表し、nの好ましい範囲は2〜10である。
化学修飾の方法としては、次のような方法を採用することが好ましい。
室温下で攪拌し脱水反応を行いアミド結合を得るような方法を挙げることができ、触媒を用いても良い。
(蛍光標識剤)
本発明の蛍光標識剤は、量子ドット(半導体ナノ粒子)の表面に適当な表面修飾化合物を配置することにより標的(ターゲット)物質を蛍光標識するための蛍光標識剤として適用できる。特に、当該粒子表面にその表面に生体に親和性を有する、もしくは、接合できる表面修飾化合物を配置し、タンパク質やペプチドなどの標的物質を蛍光標識するための生体分子蛍光標識剤(生体物質蛍光標識剤)とすることに適している。
なお、生体分子蛍光標識剤(生体物質蛍光標識剤)とする場合、近赤外〜赤外励起で赤外発光する特性を有するように半導体ナノ粒子の発光特性を粒径等により調整することが生体分子に対する非侵襲性、生体組織の透過性等の観点から好ましい。
本発明においては、表面修飾化合物としては、少なくとも1つの官能基と少なくとも1つの半導体ナノ粒子に結合する基を有する化合物であることが好ましい。後者は疎水性の半導体ナノ粒子に吸着できる基であり、他方は生体物質に親和性があり生体分子に結合する官能基である。互いの表面修飾化合物は互いをつなぐ各種のリンカーを使用してもよい。
例えば、半導体ナノ粒子に結合する基としては、当該半導体ナノ粒子を形成するための半導体材料に結合する官能基であれば良い。本発明においては、当該官能基として、特にメルカプト基(チオール基)が好ましい。
生体物質に親和的に結合する官能基としては、カルボキシル基、アミノ基、フォスフォン酸基、スルフォン酸基などが挙げられる。
なお、ここで、「生体物質」とは、細胞、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、蛋白質、抗体、抗原、小胞体、核、ゴルジ体等を指す。
また、半導体ナノ粒子に結合させる方法としては、表面修飾に適するpHに調整することによりメルカプト基を粒子に結合させることができる。それぞれ他端にはアルデヒド基、アミノ基、カルボキシル基が導入され、生体のアミノ基、カルボキシル基とペプチド結合することができる。また、DNA、オリゴヌクレオチドなどにアミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基を導入しても同様に結合させることができる。
本発明に係る半導体ナノ粒子を用いて生体分子蛍光標識剤(生体物質蛍光標識剤)を作製する具体的方法としては、例えば、親水化処理された半導体ナノ粒子を有機分子を介して分子標識物質と結合させる方法を挙げることができる。この方法により作製された生体分子蛍光標識剤(生体物質蛍光標識剤)において、分子標識物質は、標的とする生体物質と特異的に結合及び/又は反応することにより、生体物質の蛍光標識が可能となる。
当該分子標識物質としては例えば、ヌクレオチド鎖、抗体、抗原およびシクロデキストリン等が挙げられる。
また、有機分子としては半導体ナノ粒子と分子標識物質とを結合できる有機分子であれば特に制限はないが、例えば、タンパク質中でも、アルブミン、ミオグロビンおよびカゼイン等、またタンパク質の一種であるアビジンをビオチンと共に用いることも好適に用いられる。上記結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着および化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合などの結合力の強い結合が好ましい。
具体的には、半導体ナノ粒子をメルカプトウンデカン酸で親水化処理した場合は、有機分子としてアビジンおよびビオチンを用いることができる。この場合親水化処理された当該ナノ粒子のカルボキシル基はアビジンと好適に共有結合し、アビジンがさらにビオチンと選択的に結合し、ビオチンがさらに分子標識物質と結合することにより生体分子蛍光標識剤(生体物質蛍光標識剤)となる。
〔半導体ナノ粒子の親水化処理〕
上述した半導体ナノ粒子表面は、一般的には、疎水性であるため、例えば生体分子標識試薬として使用する場合は、このままでは水分散性が悪く、粒子が凝集してしまう等の問題があるため、半導体ナノ粒子の表面を親水化処理することが好ましい。
親水化処理の方法としては、例えば、表面の親油性基をピリジン等で除去した後に粒子表面に表面修飾剤を化学的および/または物理的に結合させる方法がある。表面修飾剤としては、親水基として、カルボキシル基・アミノ基を持つものが好ましく用いられ、具体的にはメルカプトプロピオン酸、メルカプトウンデカン酸、アミノプロパンチオールなどがあげられる。具体的には、例えば、Ge/GeO型ナノ粒子10−5gをメルカプトウンデカン酸0.2gが溶解した純水10ml中に分散させて、40℃、10分間攪拌し、シェルの表面を処理することで半導体ナノ粒子の表面をカルボキシル基で修飾することができる。
なお、半導体ナノ粒子の表面修飾のための具体的調製は、例えば、Dabbousi等(1997)J.Phys.Chem.B101:9463、Hinesら(1996)J.Phys.Chem.100:468−471、Peng等(1997)J.Am.Chem.Soc.119:7019−7029、及びKuno等(1997)J.Phys.Chem.106:9869に記載されている方法に準拠して行うことができる。
(蛍光標識剤とそれを用いた生体分子検出システム)
本発明の蛍光標識剤は、上記特徴を有することにより、当該蛍光標識剤を標的となる生細胞又は生組織に供給し、半導体ナノ粒子の放射線励起により放出される蛍光を検出することにより当該標的となる生細胞又は生体組織における生体分子を検出することを特徴とする生体分子検出システムに好ましく適応できる。
標的(追跡)生体分子を有する生細胞もしくは生体組織に本発明に係る蛍光標識剤を添加することで、標的分子と結合もしくは吸着し、当該結合体もしくは吸着体に所定の波長の励起光(放射線)を照射し、当該励起光に応じて半導体ナノ粒子(蛍光半導体微粒子)から発生する所定の波長の蛍光を検出することにより、上記標的(追跡)生体分子の蛍光動態イメージングを行うことができる。すなわち、本発明に係る蛍光標識剤は、バイオイメージング法(生体物質を構成する生体分子やその動的現象を可視化する技術手段)に利用することができる。
なお、励起のための放射線としては、ハロゲンランプ、タングステンランプなどの可視光からLED、近赤外レーザ光、赤外レーザ光、X線、γ線などが含まれる。
〈分子・細胞イメージング法〉
本発明に係る量子ドット(半導体ナノ粒子)は、標的(ターゲット)とする細胞組織の内部若しくは表面に存在する分子に特異的に反応するプローブ分子(探索用分子)を結合させて蛍光標識剤として使用することができる。
本願において、「標的(ターゲット)」とは、半導体ナノ粒子の標的とする生体分子等をいい、例えば、組織および細胞で優先的に発現したりするタンパクであったり、細胞内のゴルジ体、核、膜タンパクなどである。なお、適当なターゲット物質としては、例えば、酵素および蛋白質、細胞表面受容体;核酸;脂質およびリン脂質を挙げることができるが、これらに限定されない。
本発明において、プローブ分子としては、生体内部の画像化、細胞内の物質動態計測等を目的として、標的(測定)物質に対応する適切なプローブ分子を採用することが好ましい。
本発明に係る半導体ナノ粒子を利用した蛍光標識剤(生体分子蛍光標識剤)は、従来公知の種々の分子・細胞イメージング法に適用することができる。例えば、レーザインジェクション法、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法などによる分子・細胞イメージング法が挙げられる。これらの方法うち、レーザインジェクション法による分子・細胞イメージング法に適用することが好ましい。
ここで、「レーザインジェクション法」とは、レーザ光を細胞に直接照射し、細胞に微細な穴を開けて遺伝子などの外来物質を導入する光学的方法をいう。
「マイクロインジェクション法」とは、微細な針(マイクロピペット、マイクロシリンジ)を用いて空気圧で機械的に、細胞内に遺伝子などの外来物質を直接注入して導入する方法をいう。
また、「エレクトロポレーション法」(「電気穿孔法」ともいう。)とは、細胞に電気的刺激を印加し、細胞の変形を誘起して細胞内に遺伝子などの外来物質を導入する物理的方法をいう。例えば、細胞懸濁液に数千V/cmの高電圧を数十マイクロ秒のパルスで与えた時に細胞膜に短時間生じる小孔を通して外液が取り込まれることを利用して、細胞外液にDNA等の注入したい試料を加えておき、これを細胞内に導入する方法である。
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
実施例1
<量子ドットの調整>
(Si/SiO・コア/シェル粒子の調製)
〈HFエッチング法〉
熱処理したSiOx(x≦1.999)のフッ酸中溶解によりSiの半導体ナノ粒子(以下において「Si半導体微粒子」又は「Siコア粒子」ともいう。)を製造する場合、先ず、プラズマCVDによりシリコンウエハー上に成膜したSiOx(x≦1.999)を不活性ガス雰囲気中で1100℃、アニールを行う。これにより、SiO膜中にSi半導体微粒子(結晶)が析出する。アニール時間を調整させることによりサイズの異なるSi微粒子を析出させた。
次に、このシリコンウエハーを室温で1%程度のフッ酸水溶液で処理することによりSiO膜を除去し、液面に凝集した数nmサイズのSi半導体微粒子を回収する。なお、このフッ酸処理により、半導体微粒子(結晶)表面のSi原子のダングリングボンド(未結合手)が水素終端され、Si結晶が安定化する。その後、回収したSi半導体微粒子の表面を酸素雰囲気中800℃〜1000℃で約1.5時間加熱して熱酸化し、Si半導体微粒子からなるコアの周囲にSiOからなるシェル層を形成する。
(Si/ZnS・コア/シェル粒子の調製)
上記で得られたSiコア粒子をピリジン中に分散させ100℃に保温する。別途、Zn(Cと((CHSi)S、P(Cをアルゴンガス雰囲気下、超音波をかけながら100℃でゆっくり混合した。
これをピリジン分散液に滴下して添加する。添加後、温度を100℃に制御し、pH(8.0)を一定に保ちゆっくり30分攪拌した。これの遠心分離を行い沈降した粒子を捕集した。得た粒子の元素分析を行ってみたところSiとZnSが確認され、XPS分析によりZnSがSiの表面に被覆していることが分かった。
上記、Si/SiO、Si/ZnSのコア/シェル半導体ナノ粒子の平均粒径はシスメックス社ゼータサイザーを用いて測定し、その結果を表1に示した。
(蛍光標識剤コア部の調製)
シクロヘキサンとポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを混合し表1に記載の種類・粒径の量子ドットを水に分散させた液を水/界面活性剤の比が2.0になるように激しく攪拌しながら添加することによって逆ミセルを形成させた。水に対し1/100になるようにテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、量子ドットをコーティングし、NHOH水溶液を1滴を触媒として導入して、アルカリpH範囲でTEOSの加水分解を確実にした。更に混合溶液を密閉し、24時間攪拌を行い、コーティングを促進し沈降させ、蛍光標識剤コア部を得た。平均粒径はシスメックス社ゼータサイザーを用いて測定し、その結果を表1に示した。
また、蛍光標識剤コア部中の量子ドットの数についてはTEM(透過型電子顕微鏡)写真より、量子ドットの格子像でその個数を求めた。
尚、表1に示すように蛍光標識剤コア部中の量子ドットの個数は添加する量子ドット分散水溶液の濃度を調整することでコントロールした。
(表面修飾化合物の導入)
上記の溶液に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)のエタノール溶液を加え、pHを約6.5に調整して攪拌することによってAPSを光標識剤コア部表面にグラフト化した。更に激しく攪拌しながら0.02M酢酸/エタノール溶液を加え、ミセルを破壊した。この懸濁液をHPLC(Waters社製:Delta Preparation 3000HPLCsystem)を用いて、HR5/5カラム(Amersham Pharmacia Biotech製)に20μmのAPSで処理された球状シリカビーズを充填した。カラムの末端を量子ドットの蛍光ピーク波長を検出出来るようにセットしたUV−可視スペクトル検出器に連結した。無水エタノールを洗浄溶媒としてHPLCにポンプ給送して、APS導入したナノ標識剤をエタノール/水=7/3の溶液で回収した。フラクションコレクターを使用して、洗浄手順全体に渡りHPLCカラムからの溶出液を採取した。この採取した溶出液に対して日本油脂製のスクシンイミド基(NHS)とメトキシを末端に持つポリエチレングリコール化合物(分子量:表1記載)を加え、室温下で24時間攪拌した。これを再度、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC装置)を用いて未反応のポリエチレングリコール化合物との分離を行い、フラクションコレクターを使用して、GPCカラムからの溶出液を採取した。この溶出液を真空減圧条件でエタノールを除去しながら水を加え、繰り返して水に置換した。
(蛍光標識生体分子観察例)
上記で分取した標識剤含有水溶液を事前に羊血清アルブミン(SSA)と等濃度で混和し、個別にVero細胞へ取り込ませた。37℃2時間培養した後、トリプシン処理して5%FBS加DMEM再浮遊させ、同一ガラスボトムディッシュに播種した。37℃で一晩培養した細胞は4%ホルマリンで固定しDAPIで核を染色して、共焦点レーザースキャン顕微鏡(励起405nm)で蛍光観察を行った。
本標識の細胞質のエンドソームへ取り込みした集積状態を蛍光強度からわかる濃度と分散状態から評価した。即ち本標識が細胞へ取り込まれてエンドソームへ移動集積の移動効率が均一で高い場合はエンドソームでの蛍光強度が高く、その分布も均一で面積も広い。これは標識体のそのものの凝集・結合が無く、非特異的吸着が無い状況を示す。一方、凝集および非特異的吸着の影響で取り込み、移動率が低い場合には蛍光強度は低く、不均一な斑模様で発光は場所によって大きく強度が異なり発光累積面積も小さい。この観察の様子を表1に記した。
(標識剤環境条件への安定性検証)
上記で分取した標識剤含有水溶液のpH値、NaCl濃度、温度を変更し保存した場合の発光強度特性変化を追跡した。その結果を表2に示した。
表1に記載したように、本発明に係る蛍光体標識化合物は、凝集することなく分散性にすぐれ、目的の生体標識への検出性が非常に安定で鮮明であることがわかる。また表2に示すように、本発明の構成をとることにより高い環境条件に依存しない安定性を得ていることがわかる。すなわち、本発明により、高い発光強度を有しながら、その発光特性が保存環境に依存して変動することが少なく高い環境安定性を有する量子ドットを含有する蛍光標識剤を提供することができる。
実施例2
<賦活化蛍光体ナノ粒子の調整:LaPO:Nd(蛍光体1)の製造方法>
塩化ランタン、塩化ネオジムを用い、Chemistry of Materials Vol.15,4604−4616(2003)記載の方法により、LaPO:Ndナノ粒子を合成した。
上記、LaPO:Ndの平均粒径はシスメックス社ゼータサイザーを用いて測定し、平均粒径は4nmであった。
(蛍光標識剤コア部の調製)
シクロヘキサンとポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルを混合し、LaPO:Ndを水に分散させた液を水/界面活性剤(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)の比が2.0になるように激しく攪拌しながら添加することによって逆ミセルを形成させた。水に対し1/100になるように蛍光体の1/200の塩化ネオジムを含ませたテトラエトキシシラン(TEOS)を添加して、LaPO:Ndをコーティングし、NHOH水溶液1滴を触媒として導入して、アルカリpH範囲でTEOSの加水分解を確実にした。更に混合溶液を密閉し、24時間攪拌を行い、コーティングを促進し沈降させ、蛍光標識剤コア部を得た。平均粒径はシスメックス社ゼータサイザーを用いて測定し、その結果を表3に示した。
また、蛍光標識剤コア部中のLaPO:Ndの数については、TEM(透過型電子顕微鏡)写真より、その個数を求めた。
尚、表3に示すように、蛍光標識剤コア部中のLaPO:Ndの個数は、添加する分散水溶液の濃度を調整することでコントロールした。
(表面修飾化合物の導入)
上記の溶液に3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APS)のエタノール溶液を加え、pHを約6.5に調整して攪拌することによってAPSをコア標識剤表面にグラフト化した。更に激しく攪拌しながら0.02M酢酸/エタノール溶液を加え、ミセルを破壊した。この懸濁液をHPLC(Waters社製:Delta Preparation 3000HPLCsystem)を用いて、HR5/5カラム(Amersham Pharmacia Biotech製)に20μmのAPSで処理された球状シリカビーズを充填した。カラムの末端を量子ドットの蛍光ピーク波長を検出出来るようにセットしたUV−可視スペクトル検出器に連結した。無水エタノールを洗浄溶媒としてHPLCにポンプ給送して、APS導入したナノ標識剤をエタノール/水=7/3の溶液で回収した。フラクションコレクターを使用して、洗浄手順全体に渡りHPLCカラムからの溶出液を採取した。この採取した溶出液に対して日本油脂製のスクシンイミド基(NHS)とメトキシを末端に持つポリエチレングリコール化合物(分子量:表1記載)を加え、室温下で24時間攪拌した。これを再度、サイズ排除クロマトグラフィー(GPC装置)を用いて未反応のポリエチレングリコール化合物との分離を行い、フラクションコレクターを使用して、GPCカラムからの溶出液を採取した。この溶出液を真空減圧条件でエタノールを除去しながら水を加え、繰り返して水に置換し、標識剤を得た。同様に、表3記載の構成の標識剤を調製した。
更に乳癌の各ステージに特有に発現するバイオマーカーに特異的に吸着するタンパク質または抗体を4種、サイズの異なるSi/SiOコア/シェル粒子からなる表1記載の標識剤に吸着させた。
<比較品の調製>
比較品A:発光波長550nmになるように粒径を調製したSi/SiOを作製し、同様なコーティング、表面修飾化合物導入を行った。さらに前記同様にバイオマーカーに特異的なタンパク質または抗体を吸着させた。
比較品B:標識剤として近赤外色素を使用した、Vizen社の色素を乳癌組織に標識(ターゲッティング)できるように末端構造を変更し、ターゲットタンパク質(標的に結合するタンパク質)を吸着させた。
<疾患検査方法>
ステージが未知である5人の乳癌患者に対し静脈内へ、本発明の蛍光標識剤を注射で導入し、励起波長650nmのレーザーを乳房に向けて照射し、発光を冷却型高感度CCDカメラでとらえ、イメージング観察した。
さらに、比較品1も同様に乳癌患者に対して注射で導入し、400nm、650nmの励起光を照射しイメージング観察を行った。比較品2の近赤外色素も650nmの励起光照射し、発光のイメージング観察を行った。
以上の観察結果等をまとめて表3に示す。
表3から分かるように、本発明の蛍光標識剤は患部の検出が可能であるのに対し、比較品Aは全く検出されなかった。これは比較品Aの発光が可視光領域にあり生体中で吸収されたのに対し、本発明の賦活化蛍光体ナノ粒含有蛍光標識剤を含む光学的検出用標識剤は近赤外発光であるため生体組織を透過して検出されたことによる。比較品Bでは検出はされるが非常に微弱であり、本発明の蛍光標識剤に対し非常に検出精度が劣ることがわかった。
また、表3中の比較例1〜3との差異からわかるように本発明の構成をとることが光学的検出用標識剤薬として検出性に優れ、診断に有効であることがわかる。

Claims (7)

  1. 量子ドットを含有する蛍光標識剤であって、(1)1蛍光標識剤当たり少なくとも3つの量子ドットと保護材とからなる蛍光標識剤コア部及び(2)当該蛍光標識剤コア部を被覆する有機表面被覆層とからなり、かつ当該蛍光標識剤コア部の平均粒径が、10〜50nmであることを特徴とする蛍光標識剤。
  2. 前記量子ドットが、シリコン(Si)を含有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載の蛍光標識剤。
  3. 前記量子ドットが、賦活化蛍光体ナノ粒子であって、700〜2000nmの範囲内の波長の近赤外光の発光をする近赤外発光蛍光体ナノ粒子であり、その組成の少なくとも一部が、一般式(1):APO、または、一般式(2):AF(但し、式中、Aは、イットリウム(Y),ルテニウム(Lu)及びランタン(La)から選択される元素である。)で表され、かつ賦活剤として希土類元素を含有していることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の蛍光標識剤。
  4. 前記希土類元素が、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、イッテルビウム(Yb)のいずれか一つ、又は複数の組合せであることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の蛍光標識剤。
  5. 前記保護材が、SiO(但し、x=1.5〜2.0)又はZnSであることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の蛍光標識剤。
  6. 前記1蛍光標識剤当たりの量子ドットの数が、3〜10であることを特徴とする請求の範囲第1項から第5項のいずれか一項に記載の蛍光標識剤。
  7. 前記有機表面被覆層が、下記一般式(PEG)で表される化学構造を有する化合物で化学修飾されていることを特徴とする請求の範囲第1項から第6項のいずれか一項に記載の蛍光標識剤。
    一般式(PEG):X−(CHCHO)−Y
    (式中、Xは、有機表面被覆層を構成する化合物に連結可能な結合基を末端に含む連結基、Yは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、及び生体分子に結合可能な官能基を末端に含む基を表す。nは、1〜20の整数を表す。)
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