JP4427312B2 - 分析用キット - Google Patents

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Description

本発明は、分析用キットに関する。本明細書における「分析」には、分析対象物質の存在の有無を判定する「検出」と、分析対象物質の量を定量的又は半定量的に決定する「測定」とが含まれる。
生体内において、炭酸固定反応を触媒する物質の一つであるビオチンが、主に卵白中に存在するアビジンと強固に結合する性質があるため、ビオチンとアビジンとの組合せは、イムノアッセイやハイブリダイゼーションアッセイの測定系に広く用いられている。分析対象物質と特異的に結合するタンパク質(例えば、抗体又は抗原)や核酸プローブをビオチンと結合させるために、ビオチンにN−ハイドロキシサクシンイミド(NHS)を結合させた試薬が市販されている。NHSは、温和な条件下でアミノ基と結合することができるため、タンパク質や、アミノ基を導入した核酸プローブとビオチンとを容易に結合させることができる。
一方、アビジンと標識とを結合させた標識試薬は、ビオチン化化合物と容易に結合するので、イムノアッセイ系を構築する場合においては、各種測定項目に対してタグ抗体をビオチン化した試薬を調製するだけで済み、あるいはハイブリダイゼーションアッセイ系を構築する場合には、核酸プローブをビオチン化した試薬を調製するだけで済むため、ユニバーサル試薬として有用である。このような低分子リガンド(ビオチン)とその結合パートナー(アビジン)との組合せは、ビオチン−アビジンの組合せ以外にも、ビオチン−抗ビオチン抗体、ジゴキシン−抗ジゴキシン抗体や、ジニトロフェニル基−抗ジニトロフェニル基抗体など、低分子リガンドを分析対象物質に対する抗体(ハイブリダイゼーションアッセイでは、分析対象物質に対する核酸プローブ)に結合させ、その低分子リガンドと特異的に結合することのできる結合パートナーを標識試薬に用いた多くの組合せがユニバーサル試薬として開発されている。
イムノアッセイを高感度化するために、その標識試薬の改良が行われてきた。中でも、蛍光物質や発光物質を標識する場合においては、標識試薬に用いる抗体やアビジンなどのタンパク質に大量の蛍光物質や発光物質を結合させることで検出感度を向上させる試みがなされている。近年では、蛍光物質や発光物質を、抗体やアビジンなどのタンパク質のアミノ基と共有結合させて標識する方法では、抗体やアビジンの1分子へ結合させることができる標識分子数が限定されるため、巨大分子(例えば、サイログロブリンや合成高分子)に大量の蛍光物質や発光物質を結合させると共に、分析対象物質に対する抗体などのタンパク質を結合させる方法が開発されている。一方、酵素を標識として用いる方法においても同様に、酵素分子同士をグルタルアルデヒドなどの試薬によって架橋化して、酵素ポリマーを製造し、酵素ポリマーに抗体やアビジンなどのタンパク質を結合させる方法や、上記巨大分子に多数の酵素分子と抗体などのタンパク質を結合させる方法が開発されている。イムノアッセイと同様に、DNAやRNAを高感度に分析する試みとして、標識試薬に巨大分子を用いる方法も開発されている。
近年、標識試薬に用いる巨大分子の設計が盛んに行われてきており、直径が20nmを超える分子が開発されるようになっている。本発明者なども、スチレンをコアにもち、表面がポリエチレングリコールで覆われた親水性ナノ粒子(直径=65nm、106.7nm及び167nm)のスチレンコアに蛍光物質を封じ込めた標識体を開発し、イムノアッセイの高感度化に成功している(特許文献1)。
WO02/097436A1号パンフレット
標識試薬に巨大分子を用いる測定系は、蛍光物質、発光物質、又は酵素などの標識物質を大量に抗体やアビジンなどのタンパク質へ結合することが可能であり、シグナルを増幅させることができることから高感度分析を行うことができる。しかしながら、低分子リガンド(例えば、ビオチン)とそれらに特異的に結合する結合パートナー(例えば、アビジン)との組合せを用いたユニバーサル試薬において、このような巨大標識分子の使用は、しばしばその巨大標識分子の大きさが立体障害となり、イムノアッセイやハイブリダイゼーションアッセイにおいて検出感度を低下させる原因となっていた。そこで、低分子リガンド(例えば、ビオチン)とそれらに特異的に結合する結合パートナー(例えば、アビジン)との組合せを用いる測定系において、検出感度の低下を招かない分析方法の開発が望まれていた。
本発明者は、低分子リガンド(例えば、ビオチン)とそれらに特異的に結合する結合パートナー(例えば、アビジン)との組合せ、及び巨大標識分子を用いるユニバーサル試薬において、分析対象物質に対して特異的に結合する抗体や核酸プローブと低分子リガンドとの結合方法や、巨大標識分子への結合パートナーの結合方法を鋭意検討した結果、低分子リガンドと抗体や核酸プローブとの間に一定以上の長さのスペーサー分子を挿入させることによって、巨大標識分子の大きさによる立体障害の影響を受けずに、予想外の高感度で分析が可能になることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
(1)(a)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに結合可能であるか、又は分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナーに結合可能な反応性末端基を有するスペーサー基、及び(b)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した低分子リガンドを含む結合体、並びに
(2)(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び(b)前記結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体
を含むことを特徴とする、分析用キットに関する。
本発明の分析用キットの好ましい態様において、標識粒子は蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子である。
本発明の分析用キットの別の好ましい態様において、標識粒子の直径が40nm以上である。
本発明の分析用キットの更に別の好ましい態様において、スペーサー基が、長さ1nm以上の鎖状化合物基である。
本発明の分析用キットの更に別の好ましい態様において、低分子リガンドがビオチンであり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーがアビジン又はストレプトアビジンであるか、低分子リガンドが生理活性物質であり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーが、前記生理活性物質に対する抗体若しくはその断片であるか、あるいは低分子リガンドが生理活性物質であり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーが、前記生理活性物質に対するレセプター若しくはその断片である。
また、本発明は、
(1)(a)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナー、又は分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナー、(b)前記1次的特異的パートナー又は2次的特異的パートナーと反応性末端基を介して結合したスペーサー基、及び(c)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した低分子リガンドを含む結合体、並びに
(2)(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び(b)前記結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体
を含むことを特徴とする、分析用キットにも関する。
本発明による分析用キットによれば、低分子リガンドを含む結合体(1)と、その低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体(2)との組合せによって測定系を構築する場合に、低分子リガンドを含む結合体(1)がスペーサー基を有しているので、標識粒子が巨大分子である場合でも、低分子リガンドと結合パートナーとの結合反応が妨害されることがなく、イムノアッセイやハイブリダイゼーションアッセイにおいて、巨大標的分子を使用することによる感度の低下を防ぐことができ、特に低濃度での著しい感度の向上を達成することが可能になる。
本発明による分析用キットは、前記の通り、
(1)低分子リガンドを含む結合体、及び
(2)前記結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体
を含む。
前記結合体(1)側に含まれる前記低分子リガンドと、前記標識体(2)側に含まれ、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーとの組合せは、従来公知のユニバーサル試薬における組合せと同様であることができ、例えば、ビオチン(低分子リガンド)−アビジン(結合パートナー)の組合せ、又はビオチン(低分子リガンド)−ストレプトアビジン(結合パートナー)の組合せを挙げることができる。
また、低分子リガンドが生理活性物質であり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーとして前記生理活性物質に対する抗体若しくはその断片を用いることもできる。このような組合せとしては、例えば、ビオチン(低分子リガンド)−抗ビオチン抗体若しくはその断片(結合パートナー)の組合せ、ジゴキシン(低分子リガンド)−抗ジゴキシン抗体若しくはその断片(結合パートナー)の組合せ、又はジニトロフェニル基(低分子リガンド)−抗ジニトロフェニル基抗体若しくはその断片(結合パートナー)の組合せを挙げることができる。なお、前記の抗体断片は、前記生理活性物質と特異的に結合する部位を含む断片である。
更に、低分子リガンドが生理活性物質であり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーとして前記生理活性物質に対するレセプター若しくはその断片を用いることもできる。このような組合せとしては、例えば、エストロジェン(低分子リガンド)−エストロジェンレセプター若しくはその断片(レセプター)の組合せを挙げることができる。なお、前記のレセプター断片は、前記生理活性物質と特異的に結合する部位を含む断片である。
前記の低分子リガンドを含む結合体(1)の第1の態様は、
(a1)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに結合可能なスペーサー基、又は
(a2)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナーに結合可能な反応性末端基を有するスペーサー基、及び
(b)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した低分子リガンド
を含む(以下、この態様の結合体を「未結合型結合体」と称することがある)。
前記の低分子リガンドを含む結合体(1)の第2の態様は、
(a1)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナー、又は
(a2)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナー、
(b)前記1次的特異的パートナー(a1)又は2次的特異的パートナー(a2)と反応性末端基を介して結合したスペーサー基、及び
(c)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した低分子リガンド
を含む(以下、この態様の結合体を「結合型結合体」と称することがある)。
分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーとは、分析対象物質がタンパク質である場合には、それに対して免疫学的に特異的に結合する免疫学的パートナーである。例えば、分析対象物質が抗原である場合には、1次的特異的パートナーは抗体であり、分析対象物質が抗体である場合には、1次的特異的パートナーは抗原である。また、分析対象物質が核酸(例えば、DNA又はRNA)である場合には、1次的特異的パートナーは、それに対してハイブリダイズ可能な核酸(例えば、DNA又はRNA)である。あるいは、分析対象物質としての生理活性物質に対し、1次的特異的パートナーとして、その生理活性物質に対するレセプターを使用することもでき、逆に、分析対象物質としてのレセプターに対し、1次的特異的パートナーとして、そのレセプターの特異的リガンドである生理活性物質を使用することもできる。
前記の1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナーとは、例えば、分析対象物質が抗原であり、1次的特異的パートナーとして、その抗原に対して免疫学的に特異的に結合する抗体を用いる場合に、2次的特異的パートナーとして、前記の1次的特異的パートナーに対して免疫学的に特異的に結合する抗体を用いることができる。
前記結合体において、前記のスペーサー基は、一方の末端に反応性末端基を有し、もう一方の末端に低分子リガンドを有している。前記の反応性末端基は、1次的特異的パートナー又は2次的特異的パートナーに結合することができる状態にある(未結合型結合体の場合)か、あるいは1次的特異的パートナー又は2次的特異的パートナーと結合している(結合型結合体の場合)。もう一方の端部は、低分子リガンドと結合している。従って、前記のスペーサー基は、反応性末端基として、例えば、サクシンイミド基、イソチオシアネート基、クロロスルホニル基、マレイミド基、アミノ基、又はヒドラジド基であることができる。前記のサクシンイミド基、イソチオシアネート基、又はクロロスルホニル基は、アミノ基と反応させることができる。前記のマレイミド基は、例えば、SH基と反応させることができ、前記のクロロスルホニル基は、フェノール性水酸基とも反応させることができる。前記のアミノ基は、リン酸基やカルボキシル基と反応させることができ、前記のヒドラジド基は、糖類と反応させることができる。
前記のスペーサー基において、反応性末端基と低分子リガンドとの中間に位置する2価中間鎖部は、任意の構造であることができるが、例えば、置換若しくは非置換で、飽和、一部飽和、若しくは不飽和の脂肪族基(窒素原子、酸素原子、硫黄原子、環状脂肪族基、及び/又は芳香族基が介在していることもできる)を挙げることができる。具体的には、例えば、式(I):
−[−(CH−A−]−(CH−R (I)
[式中、Rは、反応性末端基と結合可能な基であり、Rは、低分子リガンドと結合可能な基であり、Aは、−CH−、−N−、−O−、−S−、−NHCO−、置換若しくは非置換のフェニレン基、又は置換若しくは非置換の炭素数3〜8のシクロアルキル基であり、m、n、及びpは、それぞれ独立して、0又は1以上の整数である]
で表される化合物を挙げることができる。前記式(I)で表される化合物は、その主鎖における水素原子1又はそれ以上を、置換基[例えば、メチル基、オキソ基(=O)、アミノ基、又はカルボキシル基]で置換することもできる。
なお、式(I)におけるnが2以上である場合、繰り返し単位である[−(CH−A−]におけるmは、各繰り返し単位毎にそれぞれ独立して選択することができ、同じ数であることもできるし、異なる数であることもできる。同様に、式(I)におけるnが2以上である場合、繰り返し単位である[−(CH−A−]におけるAは、各繰り返し単位毎にそれぞれ独立して選択することができ、同じ基であることもできるし、異なる基であることもできる。また、前記式(I)におけるm、n、及びpは、式(I)で表される化合物の分子長が1nm〜30nmとなる値であることが好ましい。
前記スペーサー基の長さも特に限定されないが、1nm以上が好ましく、1.5nm以上がより好ましく、2nm以上が更に好ましい。スペーサー基の上限も特に限定されないが、30nm程度であることが好ましい。なお、前記のスペーサー基長が1nm未満になると、本発明の効果を得ることが困難になる場合があり、30nmを超えると、合成が困難になることがある。
1次的特異的パートナー又は2次的特異的パートナーとの結合反応(「結合型結合体」の場合)は、例えば、1次的特異的パートナー又は2次的特異的パートナー分子内アミノ基を利用した共有結合によって実施することができる。
本発明で用いることのできる結合体(1)の例としては、低分子リガンドがビオチンである場合を例にとると、例えば、
式:
Figure 0004427312

で表されるスルホ−NHS−LC−LC−ビオチン[sulfosuccinimidyl-6’-(biotinamido)-6-hexanamido hexanoate;分子長=2.24nm]、
式:
Figure 0004427312

で表されるNHS−LC−LC−ビオチン[succinimidyl-6’-(biotinamido)-6-hexanamido hexanoate;分子長=3.05nm]、
式:
Figure 0004427312

で表されるNHS−LC−ビオチン[succinimidyl-6-(biotinamido) hexanoate;分子長=2.24nm]、
式:
Figure 0004427312

で表されるNHS−PC−LC−ビオチン[photocleavable biotin, NHS ester;分子長=3.00nm]、
式:
Figure 0004427312

で表されるPEO−マレイミド−ビオチン[(+)-biotinyl-3-maleimidopropionamidyl-3,6-dioxaoctanediamine;分子長=2.91nm]、
式:
Figure 0004427312

で表されるビオチン−BMCC[1-biotinamido-4-[4’-(maleimidomethyl)cyclohexane-carboxamido] butane;分子長=3.26nm]、
式:
Figure 0004427312

で表されるビオチン−PEO−アミン[(+)-biotinyl-3,6-dioxaoctanediamine;分子長=2.040nm]、又は
式:
Figure 0004427312

で表されるビオチン−PEO−LC−アミン[(+)-biotinyl-3,6,9-dioxaundecanediamine;分子長=2.29nm]
(以上、PIERCE社)などを挙げることができる。
本発明の分析用キットに含まれる前記標識体(2)は、前記の通り、
(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び
(b)前記結合パートナーと結合した標識粒子
を含む。前記の標識粒子の大きさは、限定されるものではないが、標識粒子の直径が40nm以上である場合に、前記低分子リガンドにスペーサー基を結合させると優れた効果を得ることができる。標識粒子の直径が、特に60nm以上になると、顕著な効果を得ることができる。標識粒子直径の上限は特に限定されないが、1000nm程度になると、標識粒子の質量や体積が影響となって、分析対象物質と1次的特異的パートナーとの結合、または1次的特異的パートナーと2次的特異的パートナーとの結合の解離を引き起こすことがある。
本発明の分析用キットは、前記の標識粒子として、例えば、蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子を用い、公知の時間分解蛍光測定法用のキットとして利用するのが好ましい。時間分解蛍光測定法においては、公知の蛍光性希土類金属錯体を標識として用いることができ、例えば、蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子を標識として用いることができる。前記の蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子は、水不溶性高分子化合物を主成分とするコア部分の表面に、表層に反応性官能基を有する水溶性高分子化合物ブラシを有するコア−シェル型粒子であり、そのコア部分に蛍光性希土類金属錯体が封入されている。
以下、時間分解蛍光測定法で用いる蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子について説明する。
コア部分に蛍光性希土類金属錯体を封入することができるコア−シェル型粒子は、例えば、
(a)水不溶性高分子化合物を主成分とするコア部分と、(b)反応性官能基を有する水溶性高分子化合物を主成分とし、前記コア部分の表面をブラシ状に覆うシェル部分とからなる。
コア部分を形成するのに用いることのできる水不溶性高分子化合物は、水に溶解しない高分子化合物であって、しかも、コア部分を形成した際に、その内部に蛍光性希土類金属錯体を封入することができる高分子化合物である限り、特に限定されるものではない。前記水不溶性高分子化合物としては、例えば、疎水性ポリマー[例えば、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)ポリイソプレン、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸、ポリラクトン、又はポリラクタムなど]、水溶性ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリアリルアミン、又はポリアクリル酸など)の架橋ゲル、あるいは、水不溶性天然高分子化合物(例えば、ゼラチン又は多糖など)などを挙げることができる。
前記のコア部分は、前記の水不溶性高分子化合物1種類のみから実質的に形成されているか、又は前記の水不溶性高分子化合物2種類以上の組み合わせから実質的に形成されていることができる。
前記コア部分の形状は特に限定されるものではないが、一般的には大略球状あるいは大略楕球状である。また、前記コア部分の寸法も特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜変化させることができるが、大略球状のコア部分の直径は、一般的には5nm〜500nm程度である。
シェル部分を形成するのに用いることのできる水溶性高分子化合物は、直鎖状の高分子化合物であり、その一方の末端(結合末端)でコア部分の表面と結合することができると共に、もう一方の末端(自由末端)に反応性官能基を有するか、あるいは、反応性官能基を導入することができ、しかも、前記コア部分の表面にブラシ状に配置することが可能である限り、特に限定されるものではない。本明細書において、「コア部分の表面をブラシ状に覆うシェル部」とは、シェル部が多数の直鎖状水溶性高分子化合物からなり、それら直鎖状水溶性高分子化合物の各々が一方の結合末端でコア部分の表面と結合し、しかも、もう一方の自由末端が、少なくとも水溶性高分子化合物と結合パートナーとを反応させる反応液中において、その反応液の系中に糸状又は棒状に表面から突出していることを意味する。また、これらのブラシ状の水溶性高分子化合物鎖の自由末端には、それぞれ結合パートナーと結合可能な反応性官能基が存在するので、シェル部分の最外殻は、多数の反応性官能基で覆われている。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアミノ酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル、又はポリアリルアミンなどを挙げることができ、PEG又はポリビニルアルコールが好ましい。
シェル部を構成する水溶性高分子化合物鎖は、各水溶性高分子化合物鎖が前記の水溶性高分子化合物1種類のみから実質的に形成されているか、又は各水溶性高分子化合物鎖が相互に異なる前記の水不溶性高分子化合物2種類以上の組み合わせから実質的に形成されていることができる。また、それぞれの鎖の長さは同じである必要はなく、各水溶性高分子化合物鎖が1種類の水溶性高分子化合物のみから形成されている場合であっても、1種類の長さの鎖のみから実質的に形成されていることもできるし、あるいは、2種類以上の長さの鎖の組み合わせから実質的に形成されていることができる。更に、各水溶性高分子化合物鎖が相互に異なる水不溶性高分子化合物2種類以上の組み合わせから実質的に形成されている場合でも、それぞれ異なる鎖の長さを選択して組み合わせることも可能である。
前記シェル部分を構成する水溶性高分子化合物鎖は、前記のコア部分の全表面を実質的に完全に覆っているのが好ましい。また、前記シェル部分を構成する各水溶性高分子化合物鎖は、それぞれ、実質的に同じ長さである必要はないが、各水溶性高分子化合物鎖の自由末端によって大略球状又は大略楕球状のシェル部分外殻表面が形成されるのが好ましい。
前記コア部分の直径と前記シェル部分の厚さとの比率は、用途に応じて適宜変化させることができる。例えば、コア部分の直径を、例えば、5nm〜500nmとすることができ、また、シェル部分の厚さを、例えば、5nm〜500nmとすることができる。
前記水溶性高分子化合物鎖の自由末端に存在する反応性官能基は、前記水溶性高分子化合物の一方の末端(結合末端)をコア部分表面に結合させる前からもう一方の末端(自由末端)に存在するか、あるいは、前記水溶性高分子化合物の一方の末端(結合末端)をコア部分表面に結合させた後からもう一方の末端(自由末端)に導入するができる。これらの反応性官能基は、いずれも水(又は水系溶媒)中で安定であり、しかも、前記蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子を標識物質として使用する際の結合パートナーと反応可能な官能基である限り、特に限定されるものではなく、例えば、アルデヒド基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、マレイミド基、ビニルスルホン基、又はメタンスルホニル基などを挙げることができ、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシル基、又はマレイミド基が好ましい。
また、蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子を標識粒子として使用する際の結合パートナーの導入量を調節するために、自由末端に存在する反応性官能基を持たない水溶性高分子化合物鎖(例えば、水素原子、メチレン基、又は水酸基などを自由末端に有する水溶性高分子化合物鎖)を任意の割合で混合することも可能である。この場合、導入させる結合パートナーと自由末端に存在する官能基の反応に干渉させないために、反応性官能基を持たない水溶性高分子化合物鎖の長さを、反応性官能基を持つ水溶性高分子化合物鎖より短くすることが望ましい。
水不溶性高分子化合物を主成分とするコア部分の表面に、表層に反応性官能基を有する水溶性高分子化合物ブラシを有するコア−シェル型粒子を調製する方法としては、これまで報告されている様々な公知方法が適用可能である。前記公知方法としては、例えば、
(1)(a)反応性官能基を有する親水性セグメントと疎水性セグメントとを結合したブロック共重合体(親−疎水型ブロック共重合体)と、(b)疎水性ポリマーとを混合して粒子を調製するエマルジョン法;
(2)反応性官能基を有する水溶性高分子マクロモノマーを分散剤として、疎水性モノマーを重合させる分散重合法;又は
(3)ハイドロゲル粒子表面に水溶性高分子化合物ブラシを導入する方法
などを挙げることができる。
前記のエマルジョン法(1)で用いる親−疎水型ブロック共重合体の合成方法、及び前記の分散重合法(2)で用いる反応官能基を有する水溶性高分子マクロモノマーの合成方法としては、例えば、既に本発明者及びその共同研究者が開発した方法(例えば、WO96/33233号公報、WO99/571743号公報、特開平11−322917号公報、又は特開2001−324507号公報)を用いることができる。
前記の親−疎水型ブロック共重合体又は水溶性高分子マクロモノマーとして使用することのできる化合物としては、例えば、WO96/33233号公報に記載の式(IA):
Figure 0004427312
[式中、R1A及びR2Aは、独立して、炭素数1〜10のアルコキシ基、アリールオキシ基、又はアリール−(炭素数1〜3のアルキルオキシ)基であるか、あるいは、R1A及びR2Aは、一緒になって、炭素数1〜6のアルキル基で置換されていてもよい式:
−O−CH(R’)−CH−O−
(ここでR’は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である)
で表されるエチレンジオキシであるか、あるいは、R1A及びR2Aは、一緒になって、オキシ(=O)であり、
Lは、式:
−CH(R3A)−O−CO−CH(R4A)−
又は
−(CH
で表される2価の基であり、ここで、R3A及びR4Aは、独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、又はアリール−(炭素数1〜3のアルキルオキシ)基であり、rは2〜5の整数であり、mは2〜10,000の整数であり、nは2〜10,000の整数であり、pは1〜5の整数であり、qは0又は1〜20の整数であり、そして、Zは、qが0であるとき、水素原子、アルカリ金属、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、シンナモイル基、p−トルエンスルホニル基、2−メルカプトプロピオニル基、2−アミノプロピオニル基、アリル基、又はビニルベンジル基であり、qが1〜20の整数であるとき、炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基、カルボキシルメルカプト基、又はアミノ基である]
で表されるヘトロテレケリックブロックコポリマーを挙げることができる。前記の式(IA)で表されるヘトロテレケリックブロックコポリマーは、例えば、WO96/33233号公報に記載の製造方法により調製することができる。
また、前記の親−疎水型ブロック共重合体又は水溶性高分子マクロモノマーとして使用することのできる化合物としては、例えば、WO99/571743号公報に記載の式(IB):
Figure 0004427312
(式中、A’及びB’は、相互に独立して、有機シリル型のアミノ保護基を表すか、あるいは、それらが結合する窒素原子と一緒になって、4〜7員のジシラ−アザシクロヘテロ環式環を形成することのできる有機シリル型のアミノ保護基であり、
Yは、水素原子、アルカリ金属、又は適当な反応によりアルカリ金属に代えて導入可能な有機基であり、
Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、
は1〜20,000の整数であり、そして、
は0〜20,000の整数である)
で表されるポリオキシエチレン誘導体を挙げることができる。前記の式(IB)で表されるポリオキシエチレン誘導体は、例えば、WO99/571743号公報に記載の製造方法により調製することができる。
また、前記の親−疎水型ブロック共重合体又は水溶性高分子マクロモノマーとして使用することのできる化合物としては、例えば、特開平11−322917号公報に記載の式(IC):
Figure 0004427312
(式中、R1C、R2C、及びR3Cは、相互に独立して、直鎖若しくは分岐のアルキル基又はアラルキル基を表し、
は、水素原子、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニルベンジル基、アリル基、パラトルエンスルホニル基、モノ−若しくはジ−低級アルキル置換アミノ基、カルボキシル基若しくはそのエステル基を有するアルキル基、アルデヒド基若しくはそのアセタール基を有するアルキル基、及びアルカリ金属からなる群より選ばれ、
は0又は1であり、
は0〜20,000の整数であり、そして、
は正数2又は3であるが、
但し、mとnは同時に0とならない)
で表される有機シリルスルフィド基含有化合物又はポリオキシエチレン誘導体を挙げることができる。前記の式(IC)で表される有機シリルスルフィド基含有化合物又はポリオキシエチレン誘導体は、例えば、特開平11−322917号公報に記載の製造方法により調製することができる。
更に、前記の親−疎水型ブロック共重合体又は水溶性高分子マクロモノマーとして使用することのできる化合物としては、例えば、特開2001−324507号公報に記載の式(ID):
A−L−(CHCHO)m−L−(B)n−L−CR=CH (ID)
[式中、Aは官能基を表し、Bは、
Figure 0004427312
のユニットを表し、Rは、水素原子又は低級アルキル基であり、Rは、水素原子、メチル基、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、2−ベンジルオキシカルボニルエチル基、又はベンジルオキシカルボニルメチル基であり、Lは、式:
−(CH)q−O−
(ここで、qは1〜6の整数である)の連結基を表し、Lは、原子価結合又は式:
−CHCHNH−
の連結基を表し、Lは、カルボニル基、メチレン基、
Figure 0004427312
の基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表し、mは10〜20,000の整数であり、そして、nは0〜10,000の整数である]
で表されるホモポリマー又はブロックコポリマーを挙げることができる。なお、官能基Aは、特に限定されるものではないが、例えば、アルデヒド基(−CHO)、アミノ基(−NH)、メルカプト基(−SH)、水酸基(−OH)、カルボキシル基(−COOH)を挙げることができる。前記の式(ID)で表されるホモポリマー又はブロックコポリマーは、例えば、特開2001−324507号公報に記載の製造方法により調製することができる。
コア−シェル型粒子の前記エマルジョン法(1)によれば、前記の式(IA)、式(IB)、式(IC)、又は式(ID)で表される各化合物(すなわち、親−疎水型ブロック共重合体)と、疎水性ポリマーとを混合することにより、コア−シェル型粒子(すなわち、蛍光性希土類金属錯体を封入する前の粒子)を調製することができる。
また、コア−シェル型粒子の前記分散重合法(2)によれば、前記の式(IA)、式(IB)、式(IC)、又は式(ID)で表される各化合物(すなわち、水溶性高分子マクロモノマー)を分散剤として、疎水性モノマーを重合させることにより、コア−シェル型粒子(すなわち、蛍光性希土類金属錯体を封入する前の粒子)を調製することができる。
また、コア−シェル型粒子の前記分散重合法(2)によれば、水溶性高分子マクロモノマーを分散剤として、蛍光性希土類金属錯体と疎水性モノマーを懸濁させた後に重合させることにより、蛍光性希土類金属錯体の封入とコア−シェル型粒子の調製を同時に行うことができる。更に、例えば、前記の式(IA)における基Z、式(IB)における基Y、又は式(IC)における基Zとして、蛍光性希土類金属と錯体を形成できる官能基であるカルボキシル基、β−ジケトン配位子、又はフェロイン系配位子を導入し、蛍光性希土類金属錯体を安定化した蛍光性希土類金属錯体の封入とコア−シェル型粒子を調製することも可能である。
時間分解蛍光測定において使用することのできる蛍光性希土類金属錯体は、コア−シェル型粒子のコア部分に封入した状態でも、そのシグナルをコア−シェル型粒子の外側から分析(検出及び測定を含む)することのできる物質である限り、特に限定されるものではなく、例えば、ランタノイド(例えば、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、又はルテチウム)、イットリウム、又はスカンジウム等の各錯体を挙げることができ、ランタノイド錯体が好ましく、ユーロピウム、サマリウム、テルビウム、又はジスプロシウムの各錯体がより好ましい。
蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子の直径も、用途に応じて適宜変化させることができるが、大略球状の粒子の場合、10nm〜1mm程度であることができる。
時間分解蛍光測定法で用いることのできる蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子は、例えば、公知の製造方法(例えば、国際公開第WO02/097436号パンフレットに記載の製造方法)により調製することができる。
例えば、国際公開第WO02/097436号パンフレットに記載の製造方法では、例えば、先に説明した種々の公知方法により調製したコア−シェル型粒子(すなわち、蛍光性希土類金属錯体を封入する前の粒子)に、蛍光性希土類金属錯体を封入するのに、まず、コア−シェル型粒子のコア部分を形成する水不溶性高分子化合物を膨潤させる有機溶媒(例えば、アセトン又はトルエン等)が一定比率で含まれる溶液中に、前記コア−シェル型粒子及び蛍光性希土類金属錯体を浸漬させる。前記浸漬により、前記水不溶性高分子化合物は膨潤し、その膨潤に伴って蛍光性希土類金属錯体がコア部分に取り込まれる。続いて、この混合物から、有機溶媒を除去すると、前記水不溶性高分子化合物は収縮するが、疎水的な蛍光性希土類金属錯体はコア部分から外に出ることができず、コア部分に封入される。所望により、コア部分に取り込まれなかった蛍光性希土類金属錯体を除去することにより、蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子を得ることができる。
前記製造方法において、前記混合物から有機溶媒を除去する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、エバポレートなどにより有機溶媒を蒸発乾固する方法、あるいは、非溶媒中で収縮させる方法(例えば、有機溶媒を含有する溶液を、前記有機溶媒を含有しない溶液に置換する方法)などを挙げることができる。
また、コア部分を膨潤するのに用いる前記有機溶媒含有溶液における有機溶媒の割合は、蛍光性希土類金属錯体が水不溶性高分子化合物に取り込まれる程度まで、前記水不溶性高分子化合物を膨潤させることができる割合である限り、特に限定されるものではないが、例えば、40〜60(vol/vol)%であることができる。
本発明の分析用キットにおいて用いる標識体(2)においては、蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子の表面に存在する反応性官能基に、導入物として、前記結合パートナーを結合させることができる。前記結合パートナーと、蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子の表面に存在する反応性官能基とを結合させる方法は、公知の結合方法の中から、前記導入物及び反応性官能基の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、反応性官能基がアルデヒド基である場合には、結合パートナーのアミノ基とシッフベースを形成させることにより、結合することができる。
また、反応性官能基がカルボキシル基である場合には、結合パートナーのアミノ基との間を、縮合剤(例えば、カルボジイミドなど)を用いて結合することができる。あるいは、予めカルボキシ基をスクシンイミド又はマレイミド等で活性化しておいて、その状態のまま、結合パートナーと混合することにより結合させることもできる。
蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型粒子としては、これまで述べた種々の粒子を用いることができるが、寿命の長い蛍光を持つユーロピウムキレートを中心の核となるスチレン部分に多量に含み、外部表面は親水性のポリエチレングリコール(PEG)がブラシ状に生えていて親水性を持ち、PEG末端の官能基に化学修飾によって結合パートナーを、活性を保ったまま結合することができるという性質を持った高機能性粒子が好ましい。
この粒子に350nm付近に波長特性を持つ励起光をパルスで照射し、マイクロ秒単位の時間をおいてから615nmに波長特性を持つ蛍光を測定すると、まわりの蛍光に影響を受けず高いSN比で検出することができる。また、この粒子は観測時に溶液を必要とせず、蛍光物質同様乾燥状態で測定することができる。一個のユーロピウムキレートでは測定感度に限界があるが、粒子にユーロピウムキレート分子を多数封入したこの試薬は酵素と発光基質を用いた検出系より高感度に測定することができる。
本発明による分析用キットで分析可能な対象物(すなわち、分析対象物質)は、それに特異的な結合可能なパートナーが存在する限り、特に限定されるものではないが、例えば、タンパク質(例えば、抗原、抗体、又はレセプターなど)、核酸(例えば、DNA又はRNA)、又は生理活性を持つ化学物質などである。また、本発明による分析用キットで分析可能な被検試料は、前記分析対象物質を含む可能性のある試料であれば、特に限定されず、特には生体試料、例えば、血液、血清、血漿、尿、髄液、又は細胞若しくは組織破砕液などを挙げることができる。
本発明の分析用キットは、任意の分析方法に用いることが可能であり、例えば、以下の各工程を含む分析方法に用いることができる。
(1)分析対象物質に対して特異的に結合する特異的結合パートナーを不溶性担体表面上に固定化する工程;
(2)前記の特異的結合パートナーを固定化して担持した不溶性担体に、分析対象物質を含む可能性のある被検試料を接触させる工程;
(3)前記の特異的結合パートナーを固定化して担持し、被検試料と接触させた不溶性担体に、
(a)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナー、(b)前記1次的特異的パートナーと反応性末端基を介して結合したスペーサー基、及び(c)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した結合した低分子リガンドを含む結合体を接触させる工程;
(4)前記不溶性担体上に固定化された前記特異的結合パートナーに結合した前記分析対象物質とは未反応の結合体を前記不溶性担体から除去する工程;
(5)前記の特異的結合パートナーを固定化して担持し、被検試料と接触させ、更に前記結合体と接触させた不溶性担体に、
(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び(b)前記結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体を接触させる工程;
(6)前記不溶性担体上に固定化された前記特異的結合パートナーに結合した前記分析対象物質に更に結合した結合体とは未反応の標識体を前記不溶性担体から除去する工程;
(7)前記不溶性担体上に固定化された前記特異的結合パートナーに結合した前記分析対象物質に更に結合した結合体に更にまた結合した標識体の標識に由来する信号を分析する工程
を含むことを特徴とする、分析方法。
また、本発明の分析用キットは、例えば、以下の各工程を含む分析方法に用いることができる。
(1)不溶性担体と分析対象物質を含む可能性のある被検試料とを接触させ、不溶性担体上に分析対象物質を固定化する工程;
(2)前記分析対象物質を固定化して担持した不溶性担体に、前記分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーを接触させる工程;
(3)前記分析対象物質を固定化して担持し、1次的特異的パートナーと接触させた不溶性担体に、
(a)1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナー、(b)前記2次的特異的パートナーと反応性末端基を介して結合したスペーサー基、及び(c)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した結合した低分子リガンドを含む結合体を接触させる工程;
(4)前記不溶性担体上に固定化された前記分析対象物質に結合した前記1次的特異的パートナーとは未反応の結合体を前記不溶性担体から除去する工程;
(5)前記分析対象物質を固定化して担持し、1次的特異的パートナーと接触させ、更に前記結合体と接触させた不溶性担体に、
(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び(b)前記結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体を接触させる工程;
(6)前記不溶性担体上に固定化された前記分析対象物質に結合した前記1次的特異的パートナーに更に結合した結合体とは未反応の標識体を前記不溶性担体から除去する工程;
(7)前記不溶性担体上に固定化された前記分析対象物質に結合した前記1次的特異的パートナーに更に結合した結合体に更にまた結合した標識体の標識に由来する信号を分析する工程
を含むことを特徴とする、分析方法。
本発明の分析用キットを用いて、例えば、2ステップサンドイッチイムノアッセイを実施する場合に関して以下に説明する。
最初に、分析対象物質(例えば、抗原A)に結合することのできるタンパク質(例えば、抗体B)を反応容器に固定化させ、分析対象物質(例えば、抗原A)を含む可能性のある被検試料と接触させ、分析対象物質(例えば、抗原A)を、前記タンパク質(例えば、抗体B)を介して反応容器上に結合させる。未反応の分析対象物質(例えば、抗原A)を洗浄除去した後、前記の結合型結合体、すなわち、
(a)分析対象物質(例えば、抗原A)に対して特異的に結合する1次的特異的パートナー(例えば、抗体C)、
(b)前記1次的特異的パートナー(例えば、抗体C)と反応性末端基を介して結合したスペーサー基、及び
(c)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した結合した低分子リガンド(例えば、ビオチン)
を含む結合型結合体と接触させ、反応容器上に結合されている前記分析対象物質(例えば、抗原A)と、前記1次的特異的パートナー(例えば、抗体C)とを結合させることによって、結合型結合体を、前記分析対象物質(例えば、抗原A)を介して反応容器上に結合させる。続いて、未反応の結合型結合体を洗浄除去した後、前記の標識体、すなわち、
(a)前記低分子リガンド(例えば、ビオチン)と特異的に結合する結合パートナー(例えば、アビジン)、及び
(b)前記結合パートナー(例えば、アビジン)と結合した標識粒子を含む標識体
と接触させ、反応容器上に結合されている結合型結合体の低分子リガンド(例えば、ビオチン)と、前記標識体の結合パートナー(例えば、アビジン)とを結合させ、前記標識体を反応容器上に結合させる。この際に、前記結合型結合体がスペーサー基を含んでいるため、低分子リガンド(例えば、ビオチン)と結合パートナー(例えば、アビジン)との結合が立体障害によって妨害されることがない。続いて、未反応の標識体を洗浄除去した後、例えば、時間分解蛍光測定法によって標識粒子の信号を分析する。
前記の2ステップサンドイッチイムノアッセイの他に、1ステップサンドイッチイムノアッセイ、ディレイド1ステップイムノアッセイ、直接競合イムノアッセイ、又は間接競合イムノアッセイなど、任意のイムノアッセイにおいても適応可能である。分析対象物質が抗原の場合には、1次的特異的パートナーは抗体であり、逆に、分析対象物質が抗体の場合には、1次的特異的パートナーは抗原となる。更に、レセプターバインディングアッセイの場合では、分析対象物質がレセプターであれば、1次的特異的パートナーはリガンドとなり、その逆に、分析対象物質がリガンドであれば、1次的特異的パートナーはレセプターとなる。ハイブリダイゼーションアッセイにおいては、分析対象物質がDNA若しくはRNAの場合には、1次的特異的パートナーは相補的にハイブリダイズする配列をもつプローブである。
本発明の分析用キットは、任意の反応容器に関して適用可能であり、例えば、マイクロタイトレーションプレート、スチレンボール、マイクロビーズ、フェライトビーズやガラスプレートなどに適応可能である。また、反応に固相を必要としない液体中の低分子リガンドと、その低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーと結合した標識粒子を含む標識体の組合せの反応系にも応用可能である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例においては、低分子リガンドとしてビオチン、結合パートナーとしてストレプトアビジン(SA)、更に標識粒子としてユーロピウム(Eu)錯体封入ナノ粒子(直径:167nm及び65nm)を用いて、2ステップサンドイッチ法を行った。また、以下の実施例において、「NHS」は、N−ハイドロキシサクシンイミドであり、「NHS−LC−LC−ビオチン」は、サクシンイミジル−6’−(ビオチンアミド)−6−ヘキサンアミドヘキサノエート[Succinimidyl-6’-(biotinamido)-6-hexanamido hexanoate]であり、「LC−SPDP」はサクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ヘキサノエート[Succinimidyl-3-(2-pyridyldithio)hexanoate]である。
実施例1:牛乳アレルゲンのイムノアッセイ
(1)抗ヒトIgEマウスモノクローナル抗体(IgG)へのビオチンの結合
抗ヒトIgEマウスモノクローナル抗体1mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)1mLに溶解した。ジメチルホルムアミドで4.26mg/mLに調整したNHS−ビオチン(分子長:1.35nm)10μL、又はジメチルホルムアミドで7.1mg/mLに調整したNHS−LC−LC−ビオチン(分子長:3.05nm)10μLを前記抗体溶液に添加し、室温で1時間反応させた。未反応のビオチン試薬をセファデックスG−25カラム(1.5cm×12cm;溶離液,0.15M−NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)で除去し、2種のビオチン結合抗体画分を得た。
(2)Eu錯体封入ナノ粒子へのSAの結合
(a)マレイミド基導入Eu錯体封入ナノ粒子の調製
粒子表面がアミノ基で覆われたEu錯体封入ナノ粒子(直径:167nm)の蒸留水懸濁液(5.18mg/mL)1.4mLに、4/3Mリン酸緩衝液(pH7.0)22μLを添加し、攪拌した。得られた懸濁液へ、ジメチルホルムアミドで50mg/mLに調整した2架橋性試薬〔N−サクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート;SMCC〕66μLを添加し、室温にて遮光下で1時間振とうすることによって、粒子表面のアミノ基をマレイミド基へ変換した。続いて、14,000rpmで10分間遠心分離を行って沈殿を除去し、更に、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターでろ過した。ろ液(1.4mL)をセファロースCL−6Bカラム〔1.5cm×90cm;溶離液=1mM−EDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0);流速=20mL/min;分画=2mL/フラクション〕に添加し、マレイミド基導入Eu錯体封入ナノ粒子画分を得た。
(b)SH基導入SAの調製
0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)で0.95mg/mLに調整したSA(ケミコン社製)1mLに、ジメチルホルムアミドで20mg/mLに調整したLC−SPDP(ピアス社製)6.75μLを添加し、室温で1時間振とうした。次いで、50mM酢酸緩衝液(pH4.2)で250mMに調整したジチオスレイトール200μLを添加し、室温で30分間振とうした。反応液全量をセファデックスG−25カラム〔1.5cm×12cm;溶離液=1mM−EDTAを含む0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)〕にアプライし、SH基導入SA画分を得た。
(c)SA結合Eu錯体封入ナノ粒子の調製
1mM−EDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁されたマレイミド基導入Eu錯体封入ナノ粒子(3.8mg/3.57mL)と、前記と同じ緩衝液に溶解されたSH基導入SA(0.863mg/3mL)を混合し、室温で遮光下にて18時間転倒混和した。粒子上に残存するマレイミド基をブロックするために、反応液へ蒸留水で1mg/mLに調製された2−メルカプトエチルアミン50μLを添加し、室温で遮光下にて1時間転倒混和した。反応液をセファロースCL−6Bカラム(1.5cm×90cm;溶離液=0.15M NaClを含む50mM−Tris−HCl(pH7.8);流速=20mL/min,分画=2mL/フラクション)にアプライし、SA結合Eu錯体封入ナノ粒子画分を得た。
(d)抗ヒトIgEマウスモノクローナル抗体結合Eu錯体封入ナノ粒子の調製
1mM−EDTAを含む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)に懸濁されたマレイミド基導入Eu錯体封入ナノ粒子(3.8mg/3.57mL)と、前記と同じ緩衝液に溶解された抗ヒトIgEマウスモノクローナル抗体Fab’(0.662mg/3mL)を混合し、室温で遮光下にて18時間転倒混和した。粒子上に残存するマレイミド基をブロックするために、反応液へ蒸留水で1mg/mLに調製された2−メルカプトエチルアミン50μLを添加し、室温で遮光下にて1時間転倒混和した。反応液をセファロースCL−6Bカラム〔1.5cm×90cm;溶離液=0.15M−4NaClを含む50mM−Tris−HCl(pH7.8);流速=20mL/min,分画=2mL/フラクション〕にアプライし、抗ヒトIgE Fab’結合Eu錯体封入ナノ粒子画分を得た。
(3)アレルゲン固定化マイクロプレートの調製
アレルゲンとして、牛乳タンパク質を選択した。96穴プレート(ヌンク社製;フルオロヌンクモジュールプレート・マキシソープ)へ牛乳タンパク質溶液50μLを入れ、4℃で一夜静置した。溶液を吸引除去した後、ブロッキング溶液(1%BSA,2%ショ糖を含む50mM炭酸水素ナトリウム水溶液)200μLを添加し、37℃で2時間静置した。アレルゲン固定化ウェルは、イムノアッセイに使用するまで4℃で保存した。
(4)アレルゲン特異IgE抗体の2ステップサンドイッチイムノアッセイ
ブロッキング溶液を除去した牛乳アレルゲン固定化ウェルへ、抗牛乳ヒトIgE抗体を含む陽性検体及び陰性検体をそれぞれ100μLの量で添加し、37℃で1時間振とう反応した。ウェルを洗浄液〔0.1%Tween−20を含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)〕300μLで2回洗浄した後、結合体溶解液〔0.2%BSA、0.15M−NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)〕で調製したビオチン結合抗ヒトIgEマウスモノクローナル抗体溶液(抗体量:50ng/テスト)100μLを添加し、37℃で1時間振とう反応した。洗浄液300μLで2回洗浄した後、結合体溶解液に調製されたSA結合Eu錯体封入ナノ粒子懸濁液(総蛍光量:300万カウント/50μL/テスト)を添加し、37℃で1時間、振とう反応した。洗浄液300μLで4回洗浄した後、抗原抗体反応によってウェル上に結合したEu錯体封入ナノ粒子の蛍光強度を蛍光光度計(Wallac社製;DELFIA蛍光光度計)で測定した。
反応系にビオチン−SAを使用しない測定系として、上記のアムノアッセイ手順において、牛乳アレルゲン固定化ウェルと検体を反応させて洗浄したウェルへ、結合体溶解液で調製した抗ヒトIgE−Fab’結合Eu錯体封入ナノ粒子懸濁液(総蛍光量:300万カウント/50μL/テスト)を添加し、37℃で1時間、振とう反応した。洗浄液300μLで4回洗浄した後、抗原抗体反応によってウェル上に結合したEu錯体封入ナノ粒子の蛍光強度を蛍光光度計(Wallac社製;DELFIA蛍光光度計)で測定した。
(5)牛乳アレルゲン特異IgE抗体イムノアッセイの結果
ビオチン結合抗体とSA結合ナノ粒子を用いて、牛乳アレルゲン特異IgE抗体を測定した結果を図1に示す。牛乳アレルゲン陰性検体の測定値は、スペーサーの短い(分子長:1.35nm)ビオチン結合抗体とスペーサーの長い(分子長:3.05nm)ビオチン結合抗体では差は認められなかった。一方、陽性検体では、スペーサーの長いビオチン結合抗体の測定値は、スペーサーの短い結合抗体の測定値に比べて、およそ7倍高かった。これらの結果から、ビオチンと抗体との間にスペーサーを導入することによって、巨大標識粒子であるEu錯体封入ナノ粒子上に結合したSAが、容易にビオチンと反応することが可能となることが明らかとなった。
一方、測定系にビオチンとSAとの組合せを用いずに、抗ヒトIgE−Fab’結合Eu錯体封入ナノ粒子を標識粒子として用いて、牛乳アレルゲン特異IgE抗体を測定した結果を図2に示す。この抗ヒトIgE−Fab’結合Eu錯体封入ナノ粒子によって、前記と同じ陰性検体及び陽性検体に関してイムノアッセイを実施した結果は、図1に示した結果の内、スペーサーの長い(3.05nm)ビオチン結合抗体とSA結合Eu錯体封入ナノ粒子とを用いた測定値とほとんど一致した。従って、ビオチンと抗体との間にスペーサー(3.05nm)を導入することで、巨大分子(Eu錯体封入ナノ粒子)の大きさに全く影響されずに、粒子上に結合されたSAがビオチンと結合することができることが、より強く証明された。
実施例2:AFPのイムノアッセイ
(1)抗AFPウサギポリクローナル抗体(F(ab’))へのビオチンの結合
抗AFPウサギポリクローナル抗体1mgを0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)1mLに溶解した。ジメチルホルムアミドで2.4mg/mLに調整したNHS−ビオチン(分子長:1.35nm)10μL、又はジメチルホルムアミドで4.0mg/mLに調整したNHS−LC−LC−ビオチン(分子長:3.05nm)10μLを、前記の懸濁液に添加し、室温で1時間反応させた。未反応のビオチン試薬をセファデックスG−25カラム〔1.5cm×12cm;溶離液=0.15M−NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)〕で除去し、2種のビオチン結合抗体画分を得た。
(2)Eu錯体封入ナノ粒子へのSAの結合
粒子表面がアルデヒド基で覆われたEu錯体封入ナノ粒子(直径:65nm)の蒸留水懸濁液(186mg/mL)25μLへ0.2M炭酸緩衝液(pH9.5)250μLを添加し、混合した後、0.15M−NaClで5mg/mLに調整したSA185μLを加えた。そこへ、蒸留水で40%に調整したポリエチレングリコール6000を25μLの量で添加し、攪拌した後、300mg/mLに調整したNaCNBH水溶液15μLを添加し、37℃で18時間転倒混和した。反応液をセファクリルS−300HRカラム〔1cm×45cm;溶離液=50mM−Tris−HCl緩衝液(pH7.8);流速=10mL/min;分画=1mL/フラクション〕にアプライし、SA結合Eu錯体封入ナノ粒子画分を得た。
(3)抗AFPマウスモノクローナル抗体固定化マイクロプレートの調製
96穴プレート(ヌンク社製;フルオロヌンクモジュールプレート・マキシソープ)へ0.1M炭酸緩衝液(pH9.6)で3μg/mLに調整した抗AFPマウスモノクローナル抗体溶液50μLを入れ、4℃で一夜静置した。溶液を吸引除去した後、ブロッキング溶液(1%BSA,2%ショ糖を含む50mM炭酸水素ナトリウム水溶液)200μLを添加し、37℃で2時間静置した。抗体固定化ウェルは、イムノアッセイに使用するまで4℃で保存した。
(4)AFPの2ステップサンドイッチイムノアッセイ法
ブロッキング溶液を除去した抗AFP抗体固定化ウェルへ、AFPの高値ヒト血清及びAFPを含まないヒト血清から調製した希釈列をそれぞれ100μLの量で添加し、37℃で1時間振とう反応した。ウェルを洗浄液〔0.1%Tween−20を含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)〕300μLで2回洗浄した後、結合体溶解液〔0.2%BSA、0.15M−NaClを含む20mMリン酸緩衝液(pH7.0)〕で調製したビオチン結合抗AFPウサギポリクローナル抗体溶液(抗体量:50ng/テスト)100μLを添加し、37℃で1時間振とう反応した。洗浄液300μLで2回洗浄した後、結合体溶解液に調製されたSA結合Eu錯体封入ナノ粒子懸濁液(総蛍光量:300万カウント/50μL/テスト)を添加し、37℃で1時間、振とう反応した。洗浄液300μLで4回洗浄した後、抗原抗体反応によってウェル上に結合したEu錯体封入ナノ粒子の蛍光強度を蛍光光度計(Wallac社製;DELFIA蛍光光度計)で測定した。
(5)AFPイムノアッセイの結果
粒径65nmのEu錯体封入ナノ粒子及びビオチン結合抗AFP抗体を用いたAFPの2ステップサンドイッチイムノアッセイの結果を図3に示す。ビオチン結合抗AFP抗体において、ビオチンと抗AFP抗体間のスペーサーの長い(分子長:3.05nm)ビオチン結合抗体を用いた反応性は、スペーサーの短い(分子長:1.35nm)ビオチン結合抗体の反応性に比べて、およそ6倍であった。よって、粒径が65nmの巨大粒子を用いた場合においても、巨大粒子上に結合されたSAは、ビオチン結合抗体のスペーサーを長くすることによって、容易にビオチンと反応することができることが明らかとなった。
本発明による分析用キットは、標識粒子が巨大分子である場合でも、低分子リガンドと結合パートナーとの結合反応が妨害させることがなく、イムノアッセイやハイブリダイゼーションアッセイにおいて、巨大標的分子を使用することによる感度の低下を防ぐことができ、特に低濃度での著しい感度の向上を達成することが可能になる。
ビオチン結合抗体とSA結合Eu錯体封入ナノ粒子(直径:167nm)とを用いて、牛乳アレルゲン特異IgE抗体を測定した結果を示すグラフである。 抗ヒトIgE Fab’結合Eu錯体封入ナノ粒子(直径:167nm)を標識物質として用いて、牛乳アレルゲン特異IgE抗体を測定した結果を示すグラフである。 ビオチン結合抗体とSA結合Eu錯体封入ナノ粒子(直径:65nm)を用いて、AFPを測定した結果を示すグラフである。

Claims (7)

  1. (1)(a)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに結合可能であるか、又は分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナーに結合可能な反応性末端基を有するスペーサー基、及び(b)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した低分子リガンドを含む長さ3.05nm以上の結合体、並びに
    (2)(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び(b)前記結合パートナーと結合した蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型標識粒子を含む標識体
    を含むことを特徴とする、分析用キット。
  2. 標識粒子の直径が40nm以上である、請求項1に記載の分析用キット。
  3. 低分子リガンドがビオチンであり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーがアビジン又はストレプトアビジンである、請求項1又は2に記載の分析用キット。
  4. 低分子リガンドが生理活性物質であり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーが、前記生理活性物質に対する抗体若しくはその断片である、請求項1又は2に記載の分析用キット。
  5. 低分子リガンドが生理活性物質であり、前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナーが、前記生理活性物質に対するレセプター若しくはその断片である、請求項1又は2に記載の分析用キット。
  6. 時間分解蛍光測定法である、請求項1〜のいずれか一項に記載の分析用キット。
  7. (1)(a)分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナー、又は分析対象物質に対して特異的に結合する1次的特異的パートナーに対して特異的に結合する2次的特異的パートナー、(b)前記1次的特異的パートナー又は2次的特異的パートナーと反応性末端基を介して結合したスペーサー基、及び(c)前記スペーサー基の前記反応性末端基とは反対側端部に結合した低分子リガンドを含む長さ3.05nm以上の結合体、並びに
    (2)(a)前記低分子リガンドと特異的に結合する結合パートナー、及び(b)前記結合パートナーと結合した蛍光性希土類金属錯体封入コア−シェル型標識粒子を含む標識体
    を含むことを特徴とする、分析用キット。
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