JP2005514583A6 - 大容量アッセイ・プラットフォーム - Google Patents

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Abstract

ターゲット分子を結合することができる大容量アッセイ・プラットフォームは、支持体及び上記支持体に結合した重合体マトリックスを含む。前記重合体マトリックスは、複数の重合体分子を含む。ここで、前記重合体分子の少なくともいくつかが直接支持体に共有結合し、かつ、その分子の少なくともいくつかが他の重合体分子と架橋される。前記重合体分子のいくつかは、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、そして支持体上の重合体マトリックスの密度は、少なくとも2 μg/cm2である。

Description

本発明の分野
本願発明は、サンプル中又はそれからのターゲット分子、例えばポリペプチド、ヌクレオチド又は生体分子を分離、収集、検出、及び/又は定量化するためのアッセイ・プラットフォームに関する。より特に、本発明は、そこに分配されたリガンドの高密度結合を有する重合体マトリックスを担持するマルチウェル・アッセイ・プレート(multiwell assay plates)及び他のアッセイ・プラットフォームに関する。
本発明の背景
種々のアプローチと技術が、高速処理、複数サンプル・スクリーニングに提供のためのアッセイ・プラットフォームが提案、そして利用されてきた。マルチウェル・プレートは、例えば結合相互作用を検出するために処理された。これらのアッセイ・プレートは、比較的に低密度の機能的な結合リガンドしかもたない。その結果、これらのアッセイ・プレートの結合又は捕獲容量は、マイクログラム未満のレベルにあって、応用可能性は、一般に検出解析に制限される。
ポリスチレン、ポリプロピレン及びガラス製の固体支持体、例えばマルチウェルプレート、ガラススライド、固体クロマトグラフィー・ビーズ、シート及び管は、1 cm2につき数μgの量の、タンパク質、核酸及びポリペプチドを含む高分子量ターゲット分子の結合及び分離にふさわしくない。今まで、誰も、大量のタンパク質及び他の分子成分を結合するに適切な構造を有する高密度、大容量、3次元構造の固体支持体を開発することができなかった。合成及び天然重合体を支持体に共有結合させる試みは、受動的な吸着によって得られる支持体上の結合容量を顕著に増加させることに成功していなかった。
プロテオミクスの急成長分野において生体で発現された総タンパク質を分離及び同定する課題は、サンプルの準備、精製及び特徴づけのような技術の進歩を必要とする。現在のタンパク質及び他の分子の分離方法は、一般に時間がかるクロマトグラフィー又は電気泳動技術を使うことを含め、多くの努力を必要とする。現在の表面誘導体化マルチウェルプレート・システムは、タンパク質、核酸及び他の生体分子の特徴づけのために必要とされるマイクログラム量の迅速な分離のために十分な表面積、多孔度及びリガンド密度を欠いている。
タンパク質の分離及び特徴づけを可能にする、未精製の細胞抽出物からの1 cm2につき数μg量のタンパク質及び他の分子を迅速に、そして特異的に分離する方法を開発するための他の人々による試みは、不成功だった。先の失敗した試みは、大量の及び様々な天然及び合成分子を、標準的な有機又は光化学的手段を通して平らな表面に共有結合させることを含んでいた。
本発明の概要
本発明は、支持体及び上記支持体に結合された重合体マトリックスを含むアッセイ・プラットフォームを提供する。ここで、上記重合体マトリックスが、ターゲット分子を結合することができ、ここで、上記重合体マトリックスが、複数の重合体分子を含み、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、直接的に支持体に共有結合し、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、他の重合体分子と架橋され、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドを有し、並びにここで、支持体上の重合体マトリックスの密度が、少なくとも2 μg/cm2である。
本発明は、支持体及び上記支持体に結合された重合体マトリックスを含むアッセイ・プラットフォームを作製する方法をも提供する。ここで、上記重合体マトリックスは、以下のステップ:
上記支持体を、反復単位をもつ複数の重合体分子を含む重合体組成物と接触させ、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの反応基をもち、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、ここで、上記重合体分子が、少なくとも100 kDaの平均分子量をもち、かつ、ここで、重合体分子の少なくとも25%が、少なくとも1つの反応基及びそれに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもつ;そして
反応基を活性化して、少なくともいくつかの重合体分子を支持体に直接的に共有結合させ、かつ重合体分子の間の架橋を誘発して、支持体に結合した重合体マトリックスを形成する、
を含みターゲット分子が結合することを可能にする。
本発明は、反復単位をもつ複数の重合体分子を含む重合体組成物をも提供する。ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの反応基をもち、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、ここで、上記重合体分子が、少なくとも100 kDaの平均分子量をもち、かつ、ここで、重合体分子の少なくとも25%が、少なくとも1つの反応基及びそれに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもつ。
本発明の詳細な説明
本発明の大容量アッセイ・プラットフォームは、現在利用可能なプラットフォームに関係している結合容量制限を克服する。以下に記載されるとおり、本発明は、未精製の細胞抽出物からのタンパク質及び他のターゲット分子の数μg量の迅速で、かつ、特異的な分離を可能にする。本発明は、当業者が標準的な生化学的方法、例えばSDS-PAGE、質量分析、又はウエスタンブロッティングによって分離させられたターゲット分子を特徴づけることを可能にする。本願発明の驚異的で、有利な側面は、高密度な機能的リガンド及び制御可能な細孔径から成る3次元重合体マトリックスが、固体表面に結合されることができ、そして広範囲の分子量のタンパク質及び生体分子を分離するために使用されうることである。多孔性の制御可能な3次元マトリックスが、ターゲットの特異的な需要を満たすために調整されうる。
本発明のアッセイ・プラットフォームは、種々のターゲット分子、例えばペプチド、ポリペプチド、巨大タンパク質、抗体、糖タンパク質、DNA、RNA及び多糖を分離、検出、及び/又は定量化のために作製され、そして使用されうる。本明細書中に使用されるとき、ポリペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸をもつあらゆるペプチドである。ポリペプチドは、天然のポリペプチド、若しくは合成ポリペプチド、例えば組換え体、又はその組み合わせ物である。本発明のアッセイ・プラットフォームは、有機小分子、薬物、低分子タンパク質、ペプチド、化学的に修飾されたポリペプチド、オリゴヌクレオチド又は低分子重合体、及び低分子量の化合物を結合するために作製され、そして使用されうる。適切な細孔径の選択は、当業者が選択的、かつ、大きな結合容量を提供する形式を有利に開発することを可能にする。
本願発明のアッセイ・プラットフォームは、支持体及び上記支持体に共有結合した重合体マトリックスを含む。
前記支持体は、剛体又は半剛体の表面をもつ物質であるかもしれない。この表面は、平面、曲面及び/又はその両方である。その上、本発明のアッセイ・プラットフォームは、あらゆる所望の形式、サイズ及び形状で提供される。好適な支持体の例は、プラスチック、ガラス、ポリスチレン・ビーズ、磁性粒子、他の微粒子、ポリスチレン製マルチウェルプレート、ポリプロピレン製マルチウェルプレート、ポリカーボネート製のマルチウェルプレート、血漿によって処理されたポリスチレン表面、及びマトリックス支援レーザー・イオン化(MALDI)プレートを含む。MALDI質量分析は、分子量決定のために使用される。この方法は、プロテオミクスの分野で極めて重要であり、タンパク質分解断片、又は未精製若しくは精製された生物学的サンプルから得られたタンパク質全体を分析するために使用される。サンプルをMALDIプレートの特定の位置又は点に配置することによって、サンプルを、MALDI質量分析によって分析する。MALDIプレートは、サンプルを質量分析計にデリバリーするために使用される固体支持体であり、かつ、解析の間のレーザーの照射を処理することができるMALDIターゲット又はMALDIプローブとして知られてもいる。好ましいアッセイ・プラットフォームは、マルチウェルプレート、例えば48、96、384又は1536の個々のウェルを含むポリスチレン又はポリプロピレン製のマルチウェルプレートである。
本明細書中に使用されるとき、プラスチックは、多様な樹脂、樹脂性物質、重合体、セルロース誘導体、カゼイン材料及びタンパク質を含めた、それが柔らかいときに形成され、そして固められる、あらゆる合成又は天然の有機物質の群であると理解される。しばしば樹脂と呼ばれるプラスチック物質は、酸素、水素、窒素、炭素、ケイ素、フッ素及び硫黄のような元素を組み合わせた長い鎖(重合体と呼ばれる)に連結された原子又は分子の多くの繰り返し群から構成される。連鎖の長さも鎖のつながりを結合する機構も、物質の機械的及び物理的性質に直接関係する。プラスティック物質の特徴を、異なる種類の重合体と混合するか又は組み合わせることによって、そして非プラスチック物質を加えることによって変えることができる。粒子状の充填剤、例えば木、小麦粉、シリカ、砂、セラミックス、木炭粉末、小さなガラス玉及び粉末金属が、係数及び導電性を高めるために、熱又は紫外線への耐性を改善するために、コストを抑えるために加えられる。可塑剤が、係数を減少させ、そして柔軟性を増加させるために加えられる。他の添加剤が、紫外線及び熱への耐性を高めるために、又は酸化を防ぐために使用される。
本明細書中に使用されるとき、ガラスは、一般に溶解されたシリカ及びケイ酸塩と、ナトリウム及び石灰の融解によって形成される、もろい、非晶質の、通常透明又は半透明の物質であると知られている。ガラスは、結晶形成なしに融解状態から凝固する、一般に二酸化ケイ素、酸化ホウ素、酸化アルミニウム又は五酸化リンに基づく、一般的に透明又は半透明である、真の固体よりむしろ氷点下に冷却された液体と物理的にみなされる、非常に多様な機械的及び光学的性質をもつ物質の大きなクラスのいずれかであることがさらに知られている。
支持体に結合した重合体マトリックスは、複数の重合体分子を含む、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した結合リガンドを有する。本明細書中に使用されるとき、結合リガンドは、ターゲット分子と結合リガンドの間の共有又は非共有結合のいずれかの形成によって、ターゲット分子に結合する部分を意味すると理解されるものとする。共有結合は、電子の共有による結合リガンドとターゲット分子の間の強い化学結合である。非共有結合は、互いに近くに向き合わせられた原子の非特異的な引力から生じた弱い化学結合である。結合リガンドとターゲット分子の間の結合は、イオン、静電気、水素結合、又は疎水性/親水性相互作用、あるいは非共有であるかもしれない。
支持体上の重合体マトリックスの密度は、とりわけ利用された特定の重合体及び反応基の選択及び量によって制御されうる。重合体の分子量、反応基の数及び種類、そして結合リガンドの数及び分子量は、以下でさらに詳述されるように、そして実施例で説明されるように選ばれ、そして調整されうる。重合体マトリックスは、支持体の全体、又は支持体の一部だけに付される。例えば、ウェルのみ又はマルチウェルプレートのウェル部分に、重合体マトリックスが提供される。他の支持体の例は、重合体マトリックスによって完全に覆われたビーズを含む。
一般的に、支持体上の重合体マトリックスの密度(共有結合されたスペーサ及び反応基を含む重合体の総量)は、少なくとも2 μg/cm2である。好ましい態様において、重合体マトリックスは、4 μg/cm2〜30 μg/cm2、例えば6 μg/cm2〜15 μg/cm2の密度をもつ。
重合体マトリックスで提供される好適な結合リガンドの例は、これだけに制限されることなく、以下の:金属キレート、陰イオン交換体、陽イオン交換体、親和性リガンド、疎水性結合リガンド、クロマトグラフィー・リガンド、化学的反応性リガンド、共有結合部位、同質二官能性有機求核薬、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴdT、又は多価陽イオンを含む。ここで、多価陽イオンは、銅、亜鉛、コバルト、ガリウム、鉄及びニッケルから成る群から選ばれる。説明のための結合リガンドは、細胞膜レセプターに対するアゴニスト及びアンタゴニスト、毒素及び毒液、ウイルス・エピトープ、ホルモン、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、酵素、酵素支持体、補酵素、レクチン、染料、ヌクレオチド、フェニル・ホウ酸、糖、炭水化物、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、オリゴヌクレオチド、核酸、オリゴ糖、タンパク質、キレート、酵素阻害物質、及び抗体を含む。タンパク質親和性結合基は、ストレプトアビジン又はアビジンであり、そしてキレート化剤は、テトラデンテートニトリロ酢酸(tetradentate nitriloacetic acid)(NTA)であるかもしれない。
金属キレート化剤は、キレート組成物への金属又は金属酸化物の追加によって形成される。様々な金属キレート化剤が、現在入手可能であり、そして本発明の結合リガンドとして使用される。2000年4月24日出願の、「金属キレート組成物」と題された、米国特許出願番号第09/558,001号は、様々な好適な金属キレート、そしてそれらがどのように製造されるかを開示する。前記文献を本明細書中に援用する。さらなる金属キレート化剤が、当業者に知られており、イミノ二酢酸、ニトリロ酢酸又はそのアナログ、並びにジエチレントリアミン・ペント無水酢酸を含む。本願発明の最も好ましい態様において、金属キレートはニッケル、ガリウム又は鉄である。
イオン交換体は、荷電相互作用による酵素のような巨大分子を含む溶液中の分子に相互作用するか又は結合できる、重合体マトリックスに共有結合した塩基性又は酸性の分子である。イオン交換リガンドは、窒素基、カルボキシル基、リン酸基又はスルホン酸基を含む。イオン交換体結合リガンドの例は、ジエチルアミノエチル(DEAE)、ジエチル[2-ヒドロキシプロピル]アミノエチル(QAE)、カルボキシメチル(CM)及びスルホプロピル(SP)及びホスホリルを含む。Sigma Chemical Biochemicals and Reagents 2000-2001 catalog,, pages 1888-1899を参照のこと。
疎水性の結合リガンドは、疎水性相互作用によって酵素のような巨大分子を含む溶液中の分子に相互作用するか又は結合できる、疎水性を有する重合体マトリックスに共有結合した分子である。疎水性リガンドの例は、フェニル、ヘキシル、オクチル及びC18基である。Sigma Chemical Biochemicals and Reagents 2000-2001 catalog, pages 1936-1940を参照のこと。
結合リガンドは、ポリペプチド、例えば抗体、又はタンパク質−タンパク質相互作用に関係しているタンパク質でありうる。あるいは、結合リガンドは、ニッケル、ポリペプチドターゲット分子、ポリヌクレオチド又は他の生体分子を含むあらゆるターゲット分子をも結合することができる、あらゆる先に規定された例であるかもしれない。結合リガンドは、アミノ酸、例えばリジン、又は100 kDa超の分子量をもつポリペプチド、例えばIgGでありうる。
結合リガンドは、オリゴヌクレオチドでありうる。オリゴヌクレオチド結合リガンドは、mRNA、cDNA又はDNAに結合することができて、次にはRT-PCRを実施するために使用されうる。説明のための結合リガンドは、オリゴdTである。
重合体マトリックス中の結合リガンドの密度は、変化し、そしてマトリックスの重合体分子に共有結合したリガンドの数及び/又は分子量を変えることによって選ばれるか又は調節される。一般に、重合体マトリックス中の結合リガンドの密度は、少なくとも1 nM/cm2である。本発明のいくつかの態様において、結合リガンドの密度は、1.2 nM/cm2〜185 nM/cm2である。本発明の他の態様において、結合リガンドの密度は、1.5 nM/cm2〜90 nM/cm2、例えば1.8 nM/cm2〜15 nM/cm2である。
様々な重合体及び結合リガンドの選択及び組み合わせを通して、そしてマトリックス中の重合体分子の架橋を提供及び制御することによって、本発明のアッセイ・プラットフォームが、これまで達成されなかった範囲のターゲット分子の大容量捕獲を可能にする。
本発明のアッセイ・プラットフォームの重合体マトリックスは、少なくとも1 nM/cm2の量で、35 kDa未満の分子量をもつターゲット分子を結合することができる。
重合体マトリックスは、0.5μg/cm2〜20 μg/cm2量で35 kDa〜500 kDaの分子量をもつ、1 μg/cm2〜20 μg/cm2の量で10 kDa〜500 kDaの分子量をもつ、2 μg/cm2〜20 μg/cm2の量で10 kDa〜350 kDaの分子量をもつ、3 μg/cm2〜15 μg/cm2の量で10 kDa〜350 kDaの分子量をもつターゲット分子を結合することができるように構築される。いくつかの態様において、重合体マトリックスは、4 μg/cm2〜10 μg/cm2の量で10 kDa〜350 kDaの分子量をもつターゲット分子を結合することができる。ある態様において、重合体マトリックスは、重合体マトリックスの少なくとも2 μg/cm2の量で最大350 kDaの分子量をもつポリペプチド・ターゲット分子を結合することができる。
本発明のアッセイ・プラットフォームは、支持体を、反復単位をもつ複数の重合体分子を含む重合体組成物と接触させることにより作製される、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した少なくとも1つの反応基をもち、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、ここで、上記重合体分子は、少なくとも100 kDaの平均分子量をもち、そしてここで、上記重合体分子の少なくとも25%は、それに共有結合した少なくとも1つの反応基及び少なくとも1つの結合リガンドをもつ。前記反応基は、少なくともいくつかの重合体分子を直接支持体に共有結合させるために、及び支持体に取り付いた重合体マトリックスを形成するための重合体分子の間の架橋を誘発するために活性化される。
前記重合体分子は、同じか又は異なる反復単位をもち、かつ上記重合体分子は、線形又は分岐であるかもしれない。例えば、組成物の重合体分子がタンパク質又はポリペプチドであるとき、反復単位はアミノ酸である。重合体分子の組成物が炭水化物であるとき、反復単位はグリコシル基である。好ましい重合体は、非ポリヌクレオチドである。
前記重合体は、末端又は側鎖のグラフティングによって作製されるような、数個の異なる重合体タイプを含む。異なる重合体タイプのいくつかの例は、これだけに制限されることなく、セルロース・ベースの産物、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテート及び酪酸セルロース、アクリル、例えばヒドロキシエチル・アクリレート、ヒドロキシエチル・メタクリレート、グリセリル・アクリレート、グリセリル・メタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド及びメタクリルアミドを重合したもの、ビニール、例えばポリビニル・ピロリドン及びポリビニル・アルコール、ナイロン、例えばポリカプロラクタム、ポリラウリル・ラクタム、ポリヘキサメチレン・アジパミド及びポリヘキサメチレン・ドデカンジアミド;ポリウレタン、ポリ乳酸、線状の多糖、例えばアミロース、デキストラン、キトサン、ヘパリン及びヒアルロン酸、並びに分岐多糖、例えばアミロペクチン、ヒアルロン酸及びヘミセルロースを含む。2以上の異なる重合体分子の混合物が、使用されうる。例えば、1の態様において、重合体分子は、デキストランとヘパリンの混合物である。他の態様において、デキストランは、ポリLys-Gly(20のグリシンにつき1つのリジン)と混合される。
組成物の重合体は、天然又は合成重合体と修飾された天然又は修飾された合成重合体のいずれかである。前記重合体は、デキストラン重合体であるかもしれない。天然重合体は、生物系で産生された分岐又は線状重合体である。天然重合体の例は、これだけに制限されることなく、オリゴ糖、多糖、ペプチド、タンパク質、グリコーゲン、デキストラン、ヘパリン、アミロペクチン、アミロース、ペクチン、ペクチン多糖、スターチ、DNA、RNA及びセルロースを含む。使用される特定の修飾された天然重合体は、過ヨウ素酸酸化及び還元アミノ化、又は当業者に知られた他の方法を使った、デキストラン分子に沿った可変線状部位にリジンを共有的に挿入することによって製造されるデキストラン−リジン誘導体である。
合成重合体は、人造の分岐又は線状重合体である。合成重合体の例は、プラスティック、エラストマー、並びに付加、縮合又は触媒に促進された重合反応(すなわち、縮合重合)の結果として産生された接着剤、オリゴマー、同一分子性ポリマー及びコポリマーを含む。
修飾された天然重合体は、化学的に修飾された天然重合体である。化学修飾は、これだけに制限されることなく、酸化、又は光反応基、、親和性リガンド、イオン交換リガンド、疎水性リガンド、他の天然若しくは合成重合体、及びスペーサ分子の共有結合によって行われうる。
修飾された合成重合体は、化学的に修飾されていた合成重合体である。化学修飾は、これだけに制限されることなく、酸化、又は光反応基、親和性リガンド、イオン交換リガンド、疎水性リガンド、他の天然若しくは合成リガンドの共有結合によって行われうる。
重合体分子は、少なくとも100 kDa、例えば300 kDa〜6,000kDaの平均の分子量(共有結合された官能基を含む重合体全体の分子量)をもつ。いくつか態様において、重合体分子は、400 kDa〜3,000 kDaの平均分子量をもつ。他の態様において、重合体分子は、500 kDa〜2,000 kDaの平均分子量をもつ。本願発明の目的のために、平均分子量は、マルチ角光散乱と屈折率検出を使ったゲル濾過クロマトグラフィーによって計測される重合体の重量平均モル質量(Mw)値である。存在している全ての鎖の長さの重合体分布の平均Mwは、屈折率ベースラインの3倍であるところの開始及び終末ピークの選択基準の屈折率値である屈折率によって計測されるピークの選定に基づく。例に示されるとおり、好ましい重合体は、112 kDa〜19,220 kDaの分子量の範囲をもつ1,117 kDaの平均Mwをもつ。
支持体と接触させた組成物の重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドを有し、かつ、組成物の重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した少なくとも1つの反応基を有する。本明細書中に使用されるとき、反応基は、支持体に共有結合しうる化学的部分である。さらに、反応基は、組成物中の重合体分子に共有結合することもできる。重合体分子の間の反応基この相互作用は、3次元マトリックスを形成する架橋をもたらす。反応基は熱化学的に又は光化学的に(光反応基を含む重合体は、光標識されていると呼ばれる)反応する。
反応基は、これだけに制限されることなく、以下の;エポキシド、オキシラン、N-ヒドロキシサクシンイミド、アルデヒド、ヒドラジン、マレインイミド、メルカプタン、アミノ基、アルキルハライド、イソチオシアネート、カルボジイミド、ジアゾ化合物、塩化トレシル(tresyl chloride)、塩化トレシル(tosyl chloride)及びトリクロロ-S-トリアジンを含むクロマトグラフィー媒体の作製に使用された反応基を含む。例えば、Methods in Enzymology Volume 34, Affinity Techniques, Enzyme Purification Part B, edited by William B. Jakoby and Meir Wilchek, Academic Press, New York, 1974, pp 1-809を参照のこと、ここで、上記文献を本明細書中に援用する。
好ましい反応基は、α,β不飽和のケトン光反応性基である。本願発明の目的のために、光反応基は、光に晒すことによって高い反応性の種を形成する分子又は部分である。光反応基の例は、アジ化アリール、ジアザレン(diazarenes)、β-カルボニルジアゾ及びベンゾフェノンを含む。反応性の種は、ナイトレン、カルベン及びラジカルである。これらの反応性の種は、共有結合形成が一般に可能である。好ましい光反応基は、光で活性化されうる不飽和ケトン、例えばアセトフェノン、ベンゾフェノン及びその誘導体である。例えば、生化学及び分子生物学の実験室技術:生化学及び分子生物学の光で生成された試薬、Hagan Bayley, Elsevier, New York, 1983, pp 1-187を参照のこと、ここで、上記文献を本明細書中に援用する。
後に続く実施例は、光と接触したときに活性化されるようになり、そして固体支持体の表面に共有結合しうる光反応性を表す。例えば、その光反応性基は、光の強度と照射時間の継続時間に依存して、約3 J/cm2〜約6 J/cm2のUVに晒されることによって活性化される。露出時間は、光源の強度に依存して、0.5秒/cm2ほどの短さ〜約32分/cm2である。好ましい態様において、その光反応性基は、約1,000 mW/cm2〜約5,000 mW/cm2にて0.5秒/cm2〜5.0秒/cm2、又は約1,000 mW/cm2〜約3,000 mW/cm2、例えば1,500 mW/cm2〜2,500 mW/cm2の間、光に晒されることにより活性化される。
光活性化される重合体を炭化水素が豊富な支持体に結合させるために要求される総エネルギー(吸収量Jで計測された)をに与えうる多くのUV照射システムが存在する。照射は、明確で、既知の照射の波長パターンをもつ水銀灯によって提供される。照射の強度は、3〜6 J/cm2の範囲内のジュールを必要とする。ジュールの計測値は、時間的要因(1 J=W×秒)を含む。本願発明の態様において、照射は、マイクロ波放射によって動力を供給された無電極水銀灯によって提供される。1つの6インチ(15.24 cm)、500 W/in.のランプは、ランプと支持体の約2インチ(約5.08 cm)の距離にてUVAレンジで計測された2,500 mW/cm2の規定の出力を有する。ランプは、80%の電力、又は約2,000 mW/cm2にてうまく作動させることができた。サンプル・プレートは、約90 mW/cm2にて計測された照射強度(UVA/UVB、約250〜350 nm)を有し、かつ、良好な結合を提供する10 J/cm2(10,000 mJ)より高い総エネルギー必要とする、標準的な低強度UV照射箱を使用して作製した。これは、20分超の照射箱内でのサンプル・プレートのインキュベーション時間を必要とする。無電極水銀灯(2,000 mW/cm2)照射システムを使って加工されるプレートは、3.5 J/cm2の総エネルギー照射量のために1.75秒/cm2を必要とする。より高い強度の照射は、より効率よく光活性がある基を活性化して、その結果、より低い総エネルギー照射量しか必要とされない。
結合リガンド及び/又は反応基は、スペーサを介して重合体分子に共有結合される。本願発明の目的のために、スペーサは、重合体分子と、結合リガンド又は反応基のいずれかの1つ以上を接続する分子、あるいは共有結合分子の組み合わせ物である。スペーサは、あらゆる重合体、重合体組成物又は重合体マトリックスについて同じであるか又は異なる。当業者は、多くの種類のスペーサが利用可能であることを知っており、かつ、選択及び使用は、重合体マトリックス、例えばリジン分子又はアミノカプロン分子の意図された適用に依存する。
前記スペーサは、アミド基形成を含む多数の異なる化学反応によって光反応基に共有結合させることができる。例えば、炭化水素スペーサの使用は、重合体マトリックスの安定性性能を劇的に高める。スペーサをもつ光反応基は、総モノマー、グルコースに関して制御された比率にてアミド結合によって好ましい重合体デキストランの第1級アミンの一部につながれる。スペーサの例は、JakobyとWilchekによる論評を参照のこと、ここで、上記文献を本明細書中に援用する。1-809のIdにて。
スペーサを有する光反応性基は、これだけに制限されることなく、ベンゾベンゾイン・アミノカプロン酸、N-サクシンイミジル-N’-(4-アジド-サリチル)-6-アミノカプロエート、N-サクシンイミジル-N’-(4-アジド-2-ニトロフェニル)-アミノブチレート及びN-サクシンイミジル-(4-アジド-2-ニトロフェニル)-6-アミノカプロエートを含む。これらの光反応基をもつスペーサを、重合体と反応させてリジン、並びに光反応基に付された本来のスペーサをここで含むスペーサを製造する。前記スペーサは、追加のスペーサを含むか又は含まないで光反応基を付けるより前にリジン及びアミノカプロン酸のような複数の分子の取り込みによって製造されることもできる。重合体分子に共有結合した反応基の例は、アミノ基から反応性水素を喪失することによって反応基の1以上の化学的な構成要素に結合したリジンの部分又は残基を含むスペーサである。
重合体マトリックスの機能は、組成物中の重合体分子に共有結合している結合リガンドと反応基の間隔と数に依存している。本発明のこの位置は、実施例において説明される。
説明されるように、第1級アミンの密度は、リジン・スペーサが所望の結合リガンド及び反応基の密度を表す。第1級アミン又は他の部分、例えば1〜100重合体反復単位ごとに1つの部分の範囲にあるスペーサを含む修飾されたポリマーが本技術分野で知られる手順によって作製される。所望の量の反応基の選択的な組み入れのためのこれらの部分の修飾が、知られてもいる。例えば、リジン・スペーサによって導かれる第1級アミンの密度は、デキストラン重合体の12ごとに反復グルコース単位に対して平均1である。
この密度は、光反応基の所望の取り込み、例えば200の反復モノマーにつき1つ未満の光反応基に比べて非常に高い。光反応基の所望の取り込みが0.09 μM/mLに相当するが、重合体製造の間の溶液中の第1級アミンの濃度は、4.5 μM/mLである。従って、この例で、反応性エステルを介した必要とされる光反応基の取り込みに対して第1級アミンの50倍の超過がある。アミンのこの濃度にて、実施例に記載の方法を使って、取り込みの所望のレベルでの反応性エステルを介した光反応基の付加は、90%超の効率の取り込みとなる。反応性エステルを含む光反応基の量を変えることによって、200のモノマーにつき1つ未満の反応基のどんな取り込みレベルでも常に達成されうる。効率よく残留スペーサ部分又はアミンの各々を、リガンド・アタッチメント・ポイントを結合するように効率的に変換するために必要とされる方法は、本技術分野で知られている。反応性アミン、例えば反応性エステルの数倍の超過、誘導体化試薬が、1つのステップで直接的に、又は複数のステップを通して、結合リガンドの結合のために使用される。いくつかのケースにおいて、前記誘導体化試薬は、その反応性に依存して、続く結合リガンド結合のための化学量論に影響するであろう追加の反応基を示す。より低いリガンド密度が望まれるとき、最初のアミン反応性誘導体化試薬は、それに応じて下げられる。いくつかの例において、選択的な修飾の後に残った遊離のアミンは、一般にアセチル化により誘導体化される。
重合体分子が共有結合した反応基をもつとき、反応基の数は、好ましくは200の反復単位につき1つ未満の反応基である。他の態様において、前記重合体分子は、600の反復単位につき1つ未満の反応基をもつ。
重合体分子が共有結合した結合リガンドをもつとき、上記リガンドは、1の反復単位につき1つの結合リガンド〜100の反復単位につき1つの結合リガンドをもつ。他の態様において、それに共有結合した結合リガンドは、1の反復単位につき1つの結合リガンド〜20の反復単位につき1つの結合リガンドをもつ。
本発明の好ましい態様において、支持体と接触させた重合体分子は、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、そして重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した無反応基をもつ。それに共有結合した反応基及び結合リガンドの両方をもつ重合体分子の割合は、25%〜80%である。他の態様において、結合した反応基及びリガンドの両方の割合は、40%〜75%である。さらに他の態様において、結合した反応基及びリガンドの割合は、50%〜60%である。好ましい態様において、それに共有結合した反応基及び結合リガンドをもつ重合体分子の割合は、約50%である。反応基と一緒の及びそれなしの重合体分子混合物の使用は、3次元の重合体マトリックスの非常に有効な形成を促進する。
支持体の表面のコーティングの第1ステップは、コートすべき支持体表面を重合体組成物と接触させることである。表面と重合体組成物とを接触させるために使用される方法は、コートされる表面の大きさ及び形状に依存する。例えば、表面は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、シリカ、ガラス、ラテックス、プラスチック、金、酸化鉄、ポリアクリルアミド、核酸、脂質、リポソーム、合成高分子、タンパク質、ポリアミノ酸、アルブミン、抗体、酵素、ストレプトアビジン、ペプチド、ホルモン及び多糖から成る群から選ばれた物質から作られる。前記表面は、コーティングより前に誘導体化されうる。前誘導体化は、シリカ及びガラスのシラン化、並びにアミン、カルボキシル基、アルコール、アルデヒド及び他の反応基を取り込むためのポリスチレン若しくはポリプロピレンの血漿処理を含む当業者に知られた方法によって、あるいはその化学組成を変えるためのその表面の化学修飾によって行われうる。
必要ならば、支持体の表面は、重合体分子に担持される反応基との共有結合を容易にするために化学的に修飾される。そのような修飾は、炭化水素による気質表面処理、又は表面の血漿処理を含む。化学修飾の説明のための例は、ガラスのシラン化である。好ましい態様において、MALDIプレートは、クロロホルム中に溶かされた1 mg/mLのパラフィルム溶液中に浸されて、そして乾かされる。
0.1 mm2超のマルチウェルプレート、試験管、又はその表面若しくは一部をコーティングするとき、重合体組成物を、プレート、すなわちコーティングされるウェルの一部に重合体組成物を注ぐ、マイクロピペッティングする又は移動することにより表面と接触させる。あるいは、コートされる2 mm2超のプレート若しくは試験管の一部、又は表面は、表面が重合体組成物と接触するように表面の一部を重合体組成物の溶液に浸すことによってコートされることもできる。ビーズ又はチップのようなより小さい表面の場合に、重合体組成物の入った容器内に表面を分散させうる。ここで、前記より小さい表面を、重合体組成物と直接接触させる。さらに、ビーズ又はチップを重合体組成物の入った容器内に移すとすぐに、コートすべき表面を含む重合体組成物は、重合体組成物とコートすべき表面との接触に確実にするために、攪拌されるか、振とうされるか、又は混合されうる。
固体表面に付される重合体の量は、支持体に加えられる重合体組成物の濃度及び量を変えることによって調節されるか又は制御される。重合体組成物が表面と接触するとすぐに、この重合体組成物を、反応基を活性化するより前に、例えば通気しながら20〜50℃にて暗中でインキュベーとすることにより留去され、支持体上で乾燥させる。重合体組成物は、溶剤を取り除くために、凍結乾燥を使って、又は風乾を含む他の乾燥法によって留去されることもできる。使用されうる種々の乾燥法は、乾燥ステップにおける反応基の早まった活性化を提供しない。目に見える湿気が発見できないとき、支持体が十分に乾いているとみなされる。乾燥の間、重合体組成物の重合体分子は、支持体に結合するか、あるいは重合体組成物の他の重合体との間の分子内又は分子間架橋を促進するため互いに相互作用するようにそれら自体が配置される。
次に、乾燥したコートされた固体表面は、支持体に共有結合する反応基を増加させるように処理される。光反応基の場合に、それらは照射によって活性化される。活性化は、反応基の支持体への結合を引き起こす外的刺激の適用である。特に、共有結合、例えば炭素−炭素結合の形成は、支持体と反応基の間で形成される。
1の態様において、活性化は、約15,000 mJ/cm2の総エネルギーまでの、約30分間の9.0 mW/cm2でのUVA/UVB光の照射によって与えられる。好ましい態様において、活性化は、約3〜約4 J/cm2の総エネルギーまでの2,000 mW/cm2でのUVA/UVB光の照射への暴露によって与えられる。
使用したインキュベーション時間及び総エネルギー量は、重合体に結合した光反応基に従って変わる。最も好ましい態様において、活性化は、400 W/インチ(約157.48 W/cm)のランプ出力を有する8フィート/分(2.4384 m/分)にセットされたコンベヤベルトを伴い、2,000 mW/cm2にて照射する水銀無電極を使用するFusion UV Conveyor Systemを使用した光照射によって行われる。放射計、IL290 Light Bugを、3,000〜4,000 mJ/cm2の範囲の所望のエネルギーを確認するためにコンベヤベルトを通して作動させる。マルチウェルプレートは、1時間につき約800枚のプレート、又は4〜5秒につき約1枚のプレートにて光照射される。
本発明の重合体組成物の濃度は、溶剤の1 mLあたりの重合体の総量を変えることによって調節されうる。1 cm2あたりの重合体組成物又は重合体マトリックスのより高い濃度が有利である場合において、より少ない溶媒が組成物の重合体分子を溶解するために使用されうる。1 cm2あたりの重合体組成物又は重合体マトリックスのより低い濃度が有利である場合において、より多い溶媒が組成物の重合体分子を溶解するために使用されうる。すなわち、重合体組成物の濃度を0.02〜1.0 mg/mL溶媒に調節し、そして固体表面、例えばマルチウェルプレートをコーティングすることで、合計の結合重合体マトリックスの選択可能な範囲を有する表面が製造される。重合体組成物は、完全な溶解性重合体又は懸濁された不溶性重合体を含みうる。本発明の組成物の作製に使用されうる溶剤は、水、アルコール、ケトン及びこれらの一部又は全部の混合物を含む。この溶剤は、使用される支持体に適合する必要がある。組成物の重合体は互いに架橋されるので、流体様の溶液から成る組成物がゲルに変わることが可能である。あるいは、溶液は、スラリーの形態で製造される。組成物に使用される溶剤の例は、水、アルコール、ケトン及びこれらの一部又は全部の混合物を含む。
非結合重合体は、非結合重合体を溶かして、取り除くために好適な溶液中でインキュベートすることによって取り除かれる。例えば、マルチウェルプレートを、25℃で一晩にMOPSバッファー中でインキュベートし、MOPSバッファーと蒸留水でそれぞれ3回洗浄し、ヒビタン溶液で洗浄し、風乾し、包装し、そして大気温(2〜8℃)下で保存する。残留重合体は、重合体マトリックスを形成する。
残った重合体のうち、組成物の重合体分子の少なくともいくつかは、それに共有結合した少なくとも1つの反応基をもつ。いくつかの重合体分子が反応基によって支持体に直接的に結合するが、反応基のいくつかは重合体分子間で共有結合する。反応基は、組成物中の1以上の重合体分子に共有結合することができ、重合体分子間の反応基の相互作用は、重合体の3次元のマトリックスを形成する架橋をもたらす。
形成された重合体マトリックス中の所望の結合リガンドが、例えば異なる結合リガンドの付加、又は存在している結合リガンドの修飾のいずれかにより結合リガンドを非共有又は共有結合することによって、誘導体化される場合、それにより非常に幅広いターゲット分子の大容量の捕獲をさらに可能にする。本発明のこの結合リガンド修飾の特徴は、以下の実施例1、6、7及び9で説明される。
本発明のアッセイ・プラットフォームの作製において、支持体を、少なくとも2 μg/cm2の密度をもつ重合体マトリックスを提供するように、大量の重合体組成物と接触させる。好ましい態様において、重合体組成物を、4 μg/cm2〜30 μg/cm2、例えば6 μg/cm2〜15 μg/cm2の密度をもつ重合体マトリックスを提供するのに十分な量の支持体と接触させる。
その上、大量の重合体組成物を、少なくとも1 nM/cm2の結合リガンド密度をもつ重合体マトリックスを提供するように支持体と接触させる。他の態様において、重合体マトリックスは、1.2 nM/cm2〜185 nM/cm2の結合リガンド密度をもつ。最も好ましい態様において、重合体マトリックスは、1.5 nM/cm2〜90 nM/cm2、例えば1.8 nM/cm2〜15 nM/cm2の密度をもつ。
本発明のアッセイ・プラットフォームの1の態様において、支持体はマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、重合体分子はデキストラン重合体であり、結合リガンドはニッケル・キレートであり、そして重合体マトリックスは、1.5 nM/cm2〜7.5 nM/cm2の結合リガンド密度をもつ。本発明の他の態様において、結合リガンドはガリウム又は鉄キレートであるか、あるいは結合リガンドはグルタチオンである。
本発明の他の態様において、支持体はマルチウェル・ポリプロピレン・プレートであり、重合体分子はデキストラン重合体であり、そして結合リガンドはオリゴヌクレオチドである。元のマトリックスが支持体上で形成された後に、この結合リガンドが作製される。多くの場合、より高分子量のリガンドがマトリックス上の元のリガンドに加えられるとき、より大きなサイズの新しいリガンドのためリガンド密度が減少する。
本発明の他の態様において、支持体は、マルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、重合体分子はデキストラン重合体であり、結合リガンドはストレプトアビジンであり、そして重合体マトリックスは1.5 μg/cm2〜7.5 μg/cm2の結合リガンド密度をもつ。結合リガンドは、元のマトリックスが支持体上で形成された後に、作製される。
最後に、他の態様において、本発明は、支持体がマルチウェル・ポリスチレンであり、重合体分子がデキストラン重合体であり、結合リガンドがプロテインA、プロテインG、プロテインL又はその混合物から成る群から選ばれ、そして重合体マトリックスには1.5 μg/cm2〜7.5 μg/cm2の結合リガンド密度をもつ。結合リガンドは、元のマトリックスが支持体上で形成された後に作製される。
本発明のアッセイ・プラットフォームにおける前記の作製された例は、ターゲット分子を含む溶液からターゲット分子を分離するために使用することができる。例えば、重合体マトリックスでコートされたウェルをもつマルチウェルのMOPSプレートは、プレートの個々のウェルに加えられた溶液からターゲット分子を分離するために使用することができる。溶液をプレートに加えるとすぐに、ターゲット分子が重合体マトリックスと反応するための期間を割り当てる。先に示されるとおり、反応時間の長さは、ターゲット分子の機能、結合基及びプレートを使うための理由である。例えば、プレートが定量的な測定の道具として使用されるとき、より長い時間が、結合分子がターゲット分子と反応し、ターゲット分子のより多い分離を可能にする。プレートが精製様式で使用される場合、より長い時間が、結合分子がターゲット分子と反応し、特徴づけのために分離されるターゲット分子のより多い量の分離を可能にする。プレートが検出手段として使用される場合、ターゲット分子が重合体マトリックスと反応する時間の長さは、それが着目のターゲット分子の存在又は不存在であるので、相関関係がより低い。
プレートが定量的な測定道具として使用されるとき、プレートは、ターゲット・インキュベーション期間後に水又はバッファーで洗浄される。洗浄前の時間の長さは、ターゲット分子に従って変わる。さらに、プレートから非結合分子を取り除くために使用される洗浄液は、分離されるターゲット分子に依存する。例えば、疎水性リガンドが重合体マトリックスに利用されているとき、捕獲したターゲット分子を取り除いてしまうので、疎水性溶液をプレートの洗浄に使用しない。
洗浄後に、重合体マトリックスによってプレートに共有又は非共有結合したターゲット分子は、プレートから分離され、そして特徴づけ若しくは定量のために移されるか、標準的な検出化学薬品を使って検出するために表面に残されるか、あるいは検出若しくは特徴づけに先立ち新しいターゲット分子を捕獲するために生物学的若しくは人工的なサンプルとさらに反応するための新しい結合リガンドとして表面に残されるかのいずれかでありうる。分子がプレートから分離されるべきとき、プレートからターゲット分子を分離するために使用される溶剤は;ターゲット分子と重合体マトリックスの結合リガンドの間の結合の種類、及び分析又は特徴づけの選ばれた方法に依存する。例えば、結合が本質的に静電気的ならば、特定のイオン強度又はpHの溶液によるプレートの洗浄は、プレートからターゲット分子を分離するかもしれない。結合が本質的に疎水性ならば、分子は、水素結合を破壊する試薬、例えば尿素によってプレートから分離されうる。結合が本質的に電子対を共有していれば、ターゲット分子は、共有的な相互作用を破壊する試薬及び方法によってプレートから分離されうる。解離は、これだけに制限されることなく、化学的な酸若しくは塩基性加水分解、タンパク質分解による分割、及びジスルフィド還元によって達成される。
ターゲット分子の検出のみが望まれるとき、ターゲット分子は、重合体マトリックスの結合リガンドに結合したまま、さらに反応させ、そして検出されうる。すなわち、ターゲット分子は、結合リガンドから分離されるか又は支持体から取り除かれる必要がない。
様々な検出分子が、ターゲット分子と反応しうる。使用されたいくつかの検出分子は、修飾されていないか、又は例えば蛍光性プローブ若しくは酵素複合体のようなリポーター分子をもつように修飾されたかのいずれかの特異的な抗体を含む。ターゲットと反応するように使用された検出分子は、ターゲット分子の性質に依存してプレートに結合する。例えば、ターゲット分子がタンパク質ならば、蛍光標識した抗体を検出のために使用することができる。他の分子が、結合ターゲット分子への結合を示すために色が変わる分子、例えば抗体酵素複合体が使用される。当業者は、どのような種類の分子がプレート上のターゲット分子の存在を検出するために最もよく使用されうるか理解している。ターゲット分子の捕獲及び分析のための技術は、当業者に知られており、そして例は、Ed Harlow and David LaneによりAntibodies, A Laboratory Manual, Cold Springs Harbor Laboratory, 1998, pp中に概説され、ここで、上記文献の記載を本明細書中に援用する。
例として、患者の尿中の特異的なタンパク質の存在が、患者が特定の病状をもつことを示す場合、尿をコートされたプレートに晒した後に、ターゲット分子に結合する蛍光標識した抗体がプレートでインキュベートされうる。ターゲット分子が尿中に存在すれば、そのタンパク質はプレート上の重合体マトリックスに対応する結合リガンドに結合する。非結合物質を取り除くためにウェルを洗浄した後に、抗体を支持体に結合したターゲット分子に適用する。ターゲット分子蛍光抗体複合体を含むプレートをUVライトの中に置くことは、病状を定量的に計測する手段のためにターゲット分子を示す。同じものが、DNA及びRNA断片のような捕獲されたポリヌクレオチドを使って達成されうる。
実施例1
大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートの作製
デキストラン−リジンの作製:31 mLの、0.05 M酢酸ナトリウムpH 5.0バッファー中、2.5 g(0.014 M)のデキストラン(3,368 kDaの平均分子量及び400 kDa〜54,000 kDaの範囲)を加えることによって、過ヨウ素酸酸化デキストランを作製した。前記溶液を、溶解するまで室温で攪拌した。次に、デキストランを、氷浴中で10℃未満に冷やした。撹拌したデキストラン溶液に、3.6 mLの新たに調製した0.45 M過ヨウ素酸ナトリウム溶液(1.7 mM)を加えた。反応混合物を、遮光し、そして2時間氷浴中で撹拌した。次に、過ヨウ素酸酸化デキストラン溶液を、5.6 mLのアルコール度数200のエタノール及び1 mLのピリジン・ボランを補った75 mLの1.5 Mリジン(112.5 mM)の溶液に減光下でゆっくり加えた。この反応混合物を、遮光しながら室温で2時間撹拌した。前記の2時間の終了時に、5.83 mLの新たに作製した2 Mの水素化ホウ素ナトリウムを、前記反応混合物に加え、そして室温で2時間撹拌した。次に、この反応混合物を、最短で18時間の流水に対する連続的な透析のための透析管に移し、その後冷凍し、そして凍結乾燥させて、696 kDaの平均分子量、82 kDa〜11,000 kDaの分子量範囲をもつ白色の綿毛状の固体(2.5 g)を得た。
デキストラン−リジン−ベンゾフェノンの作製:7.5 mLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファーに、0.30 g(0.14 mMのアミン)の先に作製したデキストラン−リジンを加え、この混合物を均質状態まで撹拌した。5.0 Mの塩酸を、溶解時にもとの7.0にpHを調整するために使用した。2.6 mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、続いて無水DMF中、87 μLの12 mg/mLのベンゾベンゾイル・アミノカプロン酸n-ヒドロキシサクシンイミド(NHS)エステルの新たに作製した溶液を、撹拌している溶液にゆっくりと加えた。前記反応物を90分間遮光しながら室温で撹拌した。材料を水に対して透析し、そして凍結乾燥して、安定したデキストラン−リジン−ベンゾフェノン中間体(0.30 g)を得た。
デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−ビス(N,N-カルボキシメチル)システインの作製:0.30 gの先に作製したデキストラン−リジン−ベンゾフェノンの溶液に、凍結乾燥の前に、750 μLの、DMF中に新たに作製したマレイミド酪酸NHSエステルの200 mg/mL溶液をゆっくり加えた。濁った混合物を、室温での90分間撹拌した。撹拌した反応混合物に、63 μLの無水酢酸を加えた。反応物を、室温で15分間撹拌した。フルオレサミン・アッセイを使って、全てのアミンがブロックされたことの根拠を明らかにした。定容量限外濾過洗浄を、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファーにより10倍の洗浄液に相当する反応混合物で実施した。洗浄した反応混合物を、数分間アルゴンによって通気した。洗浄した反応混合物に、アルゴンによって通気した、351 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファー中の100 mg/mLビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン・リガンドの新たに作製した溶液を加えた。反応混合物を、遮光しながら2〜8℃で一晩撹拌した。この反応混合物を一晩流水に対して透析して、次に凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(0.30 g)を得た。
デキストラン−リジン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システインの作製:先に作製した0.3 gのデキストラン−リジンに、凍結乾燥前に、750 μLの新たに作製したDMF中のマレイミド酪酸NHSエステルの200 mg/mL溶液をゆっくりと反応混合物に加えた。濁った反応混合物を、室温で90分間撹拌した。撹拌した反応混合物に、63 μLの無水酢酸を加えた。反応物を室温で15分間撹拌した。フルオレサミン・アッセイを使って、全てのアミンがブロックされたことの根拠を明らかにした。定容量限外濾過洗浄を、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファーにより10倍の洗浄液に相当する反応混合物で実施した。洗浄した反応混合物を、数分間アルゴンによって通気した。洗浄した反応混合物に、アルゴンによって通気した、351 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファー中の100 mg/mLビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン・リガンドの新たに作製した溶液を加えた。反応混合物を、2〜8℃で一晩撹拌した。この反応混合物を一晩流水に対して透析して、次に凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(0.3 g)を得た。
大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートの作製:組織培養処理された(TCT)マルチウェルプレート(96ウェルプレート)の4列に、200 μLの、水中、デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システインの0.15 mg/mL溶液を加えた(100/0)。同じTCT96ウェルプレートのさらなる4列に、200 μLの、50%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン及び50%のデキストラン−リジン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システインの0.15 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(50/50)。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、プレートを、250 μLの水中に一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの水により2回洗浄し、1 mM硫酸ニッケル六水和物を含む、250 μLの3-(N-モルフォリノ)-ブタンスルホン酸(MOPS)生理食塩水pH 7.0を入れて、室温で一晩染み込ませた。ターゲット・ニッケル分子(59 Da)を結合リガンドに結合させた後、次に96ウェルプレートを、300 μLの0.05 M酢酸で1回、300 μLの水で1回、そして300 μLのMOPS pH 7.0で2回洗浄した。
デキストランの取り込み:先に記載のとおり作製された大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートを、96ウェルプレート上への総デキストランの取り込みを測定することによって試験した。アントロン・アッセイを使ってこのデータを得た。96ウェルプレートの各々の部分に200 μLのアントロン試薬を加えた。この96ウェルプレートを、80〜85℃で30分間オーブンで加熱し、発色させた。ブランク・ウェルにおける同じ96ウェルプレートによるデキストラン標準曲線に対してA620にて、この96ウェルプレートを読み取り、以下の表1に示すデータを得た。
タンパク質結合能力:先に記載のとおり作製した大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートを、この96ウェルプレートに捕獲されうるFLAG融解ペプチド(FLAG−細菌性アルカリホスファターゼ(FLAG-BAP))を含む組み換え金属キレート・タンパク質であるところの50 kDaのターゲット・タンパク質の総量を測定することにより同様に試験した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝化食塩液(TBS) pH 8.0中、0.15 mg/mL溶液のFLAG-BAP溶液を、室温で4時間96ウェルプレート上でインキュベートした。FLAG-BAPを、15 kDaの合成リボヌクレアーゼ(RNAse)-6-His-ビオチンの0.25 mg/mL溶液か、又は26 kDaのヒスチジン親和性タグを付けた(HAT)融合ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)タンパク質の0.225 mg/mL溶液に置換されもした。4時間のインキュベーションの後に、96ウェルプレートを、300 μLの、Tween20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBST)で3回、続いて300 μLの水で3回洗浄した。標準としてウシ血清アルブミン(BSA)を使ったビシンコニン酸(BCA)アッセイを、96ウェルプレートで行ない、96ウェルプレートに結合したタンパク質の総量を測定した。ブランク・ウェルにおいて同じ96ウェルプレートにおけるBSA標準曲線に対してA560にて96ウェルプレートを読み取り、以下の表1に示されるデータを得た。
精製されたFLAG-BAP(1ウェルにつき0.2 mlのバッファー中に30 μg)を、先に記載の全てのプレートに加えた。結合したFLAG-BAPを、BCAによってプレート上で直接的に定量化した。4枚の別個のプレート(A、B、C及びD)を、タンパク質結合能力について評価した。プレートAは、本願発明のアッセイ・プラットフォームを含んだ。プレートB、C及びDは、捕獲、精製及びヒスチジンの検出のために使用される固定されたニッケルを有する市販のプレートであって、以下のタンパク質を含む:プレートBは、Qiagen35061 Ni-NTA His Sorbプレートを含み、プレートCは、Pierce 15142 Reacti-Bind(商標)金属キレート・プレートである、透明な帯状プレートを含み、そしてプレートDは、Pierce 15143 Reacti-Bind(商標)金属キレート・プレートである、高い結合能力を含む。本願発明のアッセイ・プラットフォームだけが、1ウェルにつき10 μgのタンパク質(67 μgタンパク質/cm2)を結合したBCAアッセイを使って、いずれかの探知可能なシグナルを得た。市販のプレートであるプレートB、C及びDは、タンパク質結合能力を評価すべき探知可能なシグナルを生じなかった。検出の下限は、0.2 μgタンパク質/cm2に相当する0.3 μgタンパク質/ウェルだった。図1を参照のこと。
Figure 2005514583
特異性試験:96ウェルプレートの50/50部分の4つのウェルに、所望の組み換え金属キレートタンパク質、FLAG-BAPを含む、200 μLの未精製のエッシェリシア・コリ(Escherichia coli)(E.coli)抽出物(約5 mg/mLの総タンパク質)を加えた。96ウェルプレートの50/50部分の4つのウェルに、組み換え金属キレートタンパク質により約0.15 mg/mLにスパイクした200 μlの未精製の哺乳動物の抽出物を加えた。96ウェルプレートの同じ部分の4つのウェルに、200 μLの、TBS pH 8.0中、0.15 mg/mL組み換え金属キレート・タンパク質を加えた。このウェルを2〜8℃にて一晩インキュベートした。次に、この96ウェルプレートを、300 μLのPBSTで3回、そして300 μLの水で3回洗浄した。洗浄したウェルの各々に、200 μLの、TBS pH 8.0中、0.1 Mイミダゾール溶液を加えた。96ウェルプレートを、室温で30分間旋回型ミキサー上でインキュベートした。抽出されたタンパク質を、両方とも希釈し、そしてトリクロロ酢酸(TCA)沈殿物によってウェル全体に結合したタンパク質を表し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって純度についてアッセイした。前記ゲルは、E.コリと哺乳動物の未精製抽出物からの結合の特異性を証明した。なぜなら、精製された組み換え金属キレート対照タンパク質に相当する単一のバンドだけしか存在しなかったからである。
実施例2
疎水性96ウェルプレートの作製
デキストラン−ジアミノヘキサンの作製:実施例1において作製した過ヨウ素酸酸化溶液(1.25 g)を、5.6 mLのアルコール度数200のエタノールと1 mLのピリジン・ボランを補った、1.5 Mのジアミノヘキサン、pH 8.5の溶液30 mLに加えた。この反応混合物を、遮光しながら室温で2時間撹拌した。前記の2時間の終了時に、2.95 mLの新たに作製した2 Mの水素化ホウ素ナトリウムを、前記反応混合物に加え、そして室温で2時間撹拌した。次に、この反応混合物を、最短で18時間の流水に対する連続的な透析のための透析管に移した。
デキストラン−ジアミノヘキサンアセチル−ベンゾフェノンの作製:0.63 gの透析されたデキストラン−ジアミノヘキサンに、撹拌しながら、5.5 mLの0.5 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファー、続いて180 μLの、無水DMF中、12 mg/mLのベンゾベンゾイル・アミノカプロン酸NHSエステルを加えた。この反応物を、遮光しながら90分間室温で撹拌した。撹拌した溶液に、400 μL(4.2 mM)の無水酢酸を4つの部分で加え、各々の添加の間に15分間撹拌し、そして5.0 Mの水酸化ナトリウムを用いて、もとの7.0にpHを調整した。フルオレサミン・アッセイを使って全てのアミンがブロックされたことの根拠を明らかにした。次に、反応混合物を一晩流水に対して透析した。次に、産物を冷凍し、そして凍結乾燥して白色の綿毛状の固体(0.6 g)を得た。
デキストラン−ジアミノヘキサンアセチルの作製:0.63 gの透析されたデキストラン−ジアミノヘキサンに、400 μL(4.2 mM)の無水酢酸を4つの部分で加え、各々の添加の間に15分間撹拌し、そして5.0 Mの水酸化ナトリウムを用いて、もとの7.0にpHを調整した。フルオレサミン・アッセイを使って全てのアミンがブロックされたことの根拠を明らかにした。次に、反応混合物を一晩流水に対して透析した。次に、産物を冷凍し、そして凍結乾燥して白色の綿毛状の固体(0.6 g)を得た。
疎水性96ウェルプレートの作製:TCT96ウェルの4列に、200 μLの、水中、デキストラン−ジアミノヘキサンアセチル−ベンゾフェノンの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mL溶液のいずれかを加えた(100/0)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、50%のデキストラン−ジアミノヘキサンアセチル−ベンゾフェノン及び50%のデキストラン−ジアミノヘキサンアセチルの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(50/50)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、75%のデキストラン−ジアミノヘキサンアセチル−ベンゾフェノンと、25%のデキストラン−ジアミノヘキサンアセチルの0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(75/25)。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの水中に一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの0.3 M塩酸により2回洗浄し、300 μLの水により2回洗浄した。
デキストランの取り込み:先に記載のとおり作製された疎水性96ウェルプレートを、96ウェルプレート上への総デキストランの取り込みを測定することによって試験した。アントロン・アッセイを使ってこのデータを得た。96ウェルプレートの各々の部分に200 μLのアントロン試薬を加えた。この96ウェルプレートを、80〜85℃で30分間オーブンで加熱し、発色させた。ブランク・ウェルにおける同じ96ウェルプレートによるデキストラン標準曲線に対してA620にて、この96ウェルプレートを読み取り、以下の表2に示すデータを得た。
タンパク質結合能力:先に記載のとおり作製した疎水性96ウェルプレートを、この96ウェルプレートに捕獲されうるターゲット・タンパク質の総量を測定することにより同様に試験した。1.0 M硫酸ナトリウム中、ターゲット分子であるアルブミン66 kDaの1.0 mg/mL溶液を、2〜8℃で一晩96ウェルプレート上でインキュベートした。96ウェルプレートを、1.0 M硫酸ナトリウムで3回洗浄した。(負の対照である0.005 Mトリス pH 8.0中、アルブミンの1.0 mg/mL溶液を2〜8℃にて96ウェルプレート表面で一晩インキュベートした。この96ウェルプレートを1.0 M硫酸ナトリウムで3回洗浄した。)。ビシンコニン酸(BCA)アッセイを、96ウェルプレートで行ない、96ウェルプレートに結合したタンパク質の総量を測定した。ブランク・ウェルにおいて同じ96ウェルプレートにおけるBSA標準曲線に対してA560にて96ウェルプレートを読み取り、以下の表2に示されるデータを得た。
Figure 2005514583
実施例3
デキストラン−イミノビスプロピルアミン陰イオン交換96ウェルプレートの作製
デキストラン−イミノビスプロピルアミンの作製:先の実施例1において作製した過ヨウ素酸酸化デキストラン溶液(1.25 g)を、5.6 mLのアルコール度数200のエタノールと1 mLのピリジン・ボランを補った、1.5 M、pH 8.5のイミノビスプロピルアミンの溶液30 mLに加えた。この反応混合物を、遮光しながら室温で2時間撹拌した。前記の2時間の終了時に、2.95 mLの新たに作製した2.0 Mの水素化ホウ素ナトリウムを、前記反応混合物に加え、そして室温で2時間撹拌した。次に、この反応混合物を、最短で18時間の流水に対する連続的な透析のための透析管に移した。この透析されたデキストラン−イミノビスプロピルアミンを冷凍し、そして凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(1.25g)を得た。
デキストラン−イミノビスプロピルアミン−ベンゾフェノンの作製:44 mLの、水中、デキストラン−イミノビスプロピルアミンの14 mg/mL溶液に、撹拌しながら、4.4 mLの0.5 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファー、続いて180 μLの、無水DMF中、12 mg/mLのベンゾベンゾイル・アミノカプロン酸NHSエステルを加えた。この反応物を、遮光しながら90分間室温で撹拌した。次に、反応混合物を一晩流水に対して透析した。次に、産物を冷凍し、そして凍結乾燥して白色の綿毛状の固体(0.6 g)を得た。
陰イオン交換96ウェルプレートの作製:TCT96ウェルの4列に、200 μLの、水中、デキストラン−イミノビスプロピルアミン−ベンゾフェノンの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mL溶液のいずれかを加えた(100/0)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、50%のデキストラン−イミノビスプロピルアミン−ベンゾフェノン及び50%のデキストラン−イミノビスプロピルアミンの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(50/50)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、75%のデキストラン−ジアミノヘキサンアセチル−ベンゾフェノンと、25%のデキストラン−ジアミノヘキサンアセチルの0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(75/25)。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの水中に一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの0.3 M塩酸により2回洗浄し、300 μLの水により2回洗浄した。
デキストランの取り込み:先に記載のとおり作製された陰イオン交換96ウェルプレートを、96ウェルプレート上への総デキストランの取り込みを測定することによって試験した。アントロン・アッセイを使ってこのデータを得た。96ウェルプレートの各々の部分に200 μLのアントロン試薬を加えた。この96ウェルプレートを、80〜85℃で30分間オーブンで加熱し、発色させた。ブランク・ウェルにおける同じ96ウェルプレートによるデキストラン標準曲線に対してA620にて、この96ウェルプレートを読み取り、以下の表3に示すデータを得た。
タンパク質結合能力:先に記載のとおり作製した陰イオン交換96ウェルプレートを、この96ウェルプレートに捕獲されうるタンパク質の総量を測定することにより同様に試験した。0.005 Mトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス) pH 8.0中、アルブミンの1.0 mg/mL溶液を、2〜8℃で一晩96ウェルプレート上でインキュベートした。96ウェルプレートを、0.005 Mトリスで数回洗浄した。(負の対照は、0.5 M塩化ナトリウムを含む0.005 Mトリス pH 8.0中、アルブミンの1.0 mg/mL溶液を2〜8℃にて96ウェルプレート表面で一晩インキュベートしたものである。この96ウェルプレートを0.005 Mトリス pH 8.0で数回洗浄した。)。ビシンコニン酸(BCA)アッセイを、96ウェルプレートで行ない、96ウェルプレートに結合したタンパク質の総量を測定した。ブランク・ウェルにおいて同じ96ウェルプレートにおけるBSA標準曲線に対してA560にて96ウェルプレートを読み取り、以下の表3に示されるデータを得た。
Figure 2005514583
実施例4
デキストラン-リジン陰イオン交換96ウェルプレートの作製
陰イオン交換96ウェルプレートの作製:TCT96ウェルの4列に、200 μLの、水中、(実施例1にて作製した)デキストラン−リジン−ベンゾフェノンの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mL溶液のいずれかを加えた(100/0)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、50%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン及び50%の(実施例1にて作製した)デキストラン−リジンの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(50/50)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、75%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノンと、25%のデキストラン−リジンの0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(75/25)。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの水中に一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの0.3 M塩酸により2回洗浄し、300 μLの水により2回洗浄した。
デキストランの取り込み:先に記載のとおり作製された陰イオン交換96ウェルプレートを、96ウェルプレート上への総デキストランの取り込みを測定することによって試験した。アントロン・アッセイを使ってこのデータを得た。96ウェルプレートの各々の部分に200 μLのアントロン試薬を加えた。この96ウェルプレートを、80〜85℃で30分間オーブンで加熱し、発色させた。ブランク・ウェルにおける同じ96ウェルプレートによるデキストラン標準曲線に対してA620にて、この96ウェルプレートを読み取り、以下の表4に示すデータを得た。
タンパク質結合能力:先に記載のとおり作製した陰イオン交換96ウェルプレートを、この96ウェルプレートに捕獲されうるタンパク質の総量を測定することにより同様に試験した。0.005 Mトリス pH 8.0中、ターゲット分子であるアルブミンの1.0 mg/mL溶液を、2〜8℃で一晩96ウェルプレート上でインキュベートした。96ウェルプレートを、0.005 Mトリス pH 8.0で3回洗浄した。負の対照は、0.5 M塩化ナトリウムを含む0.005 Mトリス pH 8.0中、アルブミンの1.0 mg/mL溶液を2〜8℃にて96ウェルプレート表面で一晩インキュベートしたものであり、この96ウェルプレートを0.005 Mトリス pH 8.0で数回洗浄した。ビシンコニン酸(BCA)アッセイを、96ウェルプレートで行ない、96ウェルプレートに結合したタンパク質の総量を測定した。ブランク・ウェルにおいて同じ96ウェルプレートにおけるBSA標準曲線に対してA560にて96ウェルプレートを読み取り、以下の表4に示されるデータを得た。
Figure 2005514583
実施例5
陽イオン交換96ウェルプレートの作製
デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−サクシニレートの作製:実施例1で作製したデキストラン−リジン(0.63 g)を、44 mLの0.05 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファー中に溶解させた。緩衝化透析デキストラン−リジン−ベンゾフェノン溶液に、撹拌しながら180 μLの、無水DMF中、12 mg/mLベンゾベンゾイル・アミノカプロン酸NHSエステルをゆっくり加えた。前記反応物を、遮光しながら90分間室温で撹拌した。撹拌した反応混合物に、2つの部分として4.2 mMのサクシニル無水物を加え、各々の添加の間に15分間撹拌した、そして5.0 Mの水酸化ナトリウムを用いてもとの7.0にpHを調整した。フルオレサミン・アッセイは、デキストラン−リジン上の全ての遊離のアミンがサクシネート基によって完全にブロックされていないことを示した。追加の16 mLの、100 mg/mLサクシニル無水物を加え、15分間撹拌し、そしてpHを7.0に調整した。次に、100 μLの無水酢酸を、撹拌した反応混合物に加え、そして10分間撹拌した。次に、pHをもとの7.0に調整し、そしてフルオレサミン・アッセイは、遊離のアミンがサンプル中にもはや存在しないことを示した。次に、反応混合物を、一晩流水に対して透析した。次に、産物を、0.45 μmのフィルターを通してろ過し、冷凍し、そして凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(0.60 g)を得た。
デキストラン-リジン−サクシニレートの作製:実施例1で作製したデキストラン−リジン(0.63 g)を、44 mLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファー中に溶解させた。この溶液に、先のとおり、2つの部分として4.2 mMのサクシニル無水物を加えた。フルオレサミン・アッセイは、デキストラン−リジン上の全ての遊離のアミンがサクシネート基によって完全にブロックされていないことを示した。追加の16 mLの、100 mg/mLサクシニル無水物を加え、15分間撹拌し、そしてpHを7.0に調整した。次に、100 μLの無水酢酸も、撹拌した反応混合物に加え、そして10分間撹拌した。次に、pHをもとの7.0に調整し、そしてフルオレサミン・アッセイは、遊離のアミンがサンプル中にもはや存在しないことを示した。次に、反応混合物を、一晩流水に対して透析した。次に、産物を、0.45 μmのフィルターを通してろ過し、冷凍し、そして凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(0.60 g)を得た。
陽イオン交換96ウェルプレートの作製:TCT96ウェルの4列に、200 μLの、水中、デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−サクシニレートの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mL溶液のいずれかを加えた(100/0)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、50%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン−サクシニレート及び50%のデキストラン−リジン−サクシニレートの0.15 mg/mL又は0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(50/50)。同じTCT96ウェルプレートの4のさらなる列に、200 μLの、75%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン−サクシニレートと、25%のデキストラン−リジン−サクシニレートの0.5 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(75/25)。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの水中に一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの0.3 M塩酸により2回洗浄し、300 μLの水により2回洗浄した。
デキストランの取り込み:先に記載のとおり作製された陽イオン交換96ウェルプレートを、上記プレート上への総デキストランの取り込みを測定することによって試験した。アントロン・アッセイを使ってこのデータを得た。96ウェルプレートの各々の部分に200 μLのアントロン試薬を加えた。この96ウェルプレートを、80〜85℃で30分間オーブンで加熱し、発色させた。ブランク・ウェルにおける同じ96ウェルプレートによるデキストラン標準曲線に対してA620にて、この96ウェルプレートを読み取り、以下の表5に示すデータを得た。
タンパク質結合能力:先に記載のとおり作製した陽イオン交換96ウェルプレートを、この96ウェルプレートに捕獲されうるタンパク質の総量を測定することにより同様に試験した。0.005 M酢酸 pH 5.0中、68 kDaのターゲット・タンパク質であるアビジンの1.0 mg/mL溶液を、2〜8℃で一晩96ウェルプレート上でインキュベートした。96ウェルプレートを、0.005 M酢酸 pH 5.0で数回洗浄した。負の対照は、0.5 M塩化ナトリウムを含む0.005 M酢酸 pH 5.0中、アビジンの1.0 mg/mL溶液を2〜8℃にて96ウェルプレート表面で一晩インキュベートしたものであり、この96ウェルプレートを0.005 M酢酸 pH 8.0で数回洗浄した。ビシンコニン酸(BCA)アッセイを、96ウェルプレートで行ない、96ウェルプレートに結合したタンパク質の総量を測定した。ブランク・ウェルにおいて同じ96ウェルプレートにおけるBSA標準曲線に対してA560にて96ウェルプレートを読み取り、以下の表5に示されるデータを得た。
Figure 2005514583
実施例6
S-アセチルチオグリコール酸反応性96ウェルプレート作製
デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−s-アセチルチオグリコール酸の作製:7.6 mLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファーに、0.30 gの実施例1にて作製したデキストラン−リジンを加え、この混合物を均質状態まで撹拌した。5 Mの塩酸を、溶解時にもとの7.0にpHを調整するために使用した。2.6 mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、続いて無水DMF中、87 μLの12 mg/mLのベンゾベンゾイル・アミノカプロン酸n-ヒドロキシサクシンイミド(NHS)エステルの新たに作製した溶液を、撹拌している溶液にゆっくりと加えた。前記反応物を90分間遮光しながら室温で撹拌した。90分間が終了した時点で、775 μLの新たに作製した、DMF中s-アセチルチオグリコール酸(SATA)NHSエステルの200 mg/mL溶液を、反応混合物にゆっくり加えた。濁った混合物を、室温での90分間撹拌した。撹拌した反応混合物に、63 μLの無水酢酸を加えた。反応物を、室温で15分間撹拌した。フルオレサミン・アッセイを使って、全てのアミンがブロックされたことの根拠を明らかにした。この反応混合物を一晩流水に対して透析して、次に凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(0.30 g)を得た。
デキストラン−リジン−s-アセチルチオグリコール酸の作製:7.6 mLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0バッファーに、0.30 gの実施例1にて作製したデキストラン−リジンを加え、この混合物を均質状態まで撹拌した。5.0 Mの塩酸を、溶解時にもとの7.0にpHを調整するために使用した。次に、2.6 mLのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を、撹拌している溶液にゆっくりと加え、続いて775 μLの新たに作製した、DMF中SATA NHSエステルの200 mg/mL溶液を、反応混合物にゆっくり加えた。濁った混合物を、室温での90分間撹拌した。撹拌した反応混合物に、6 μLの無水酢酸を加えた。反応物を、室温で15分間撹拌した。フルオレサミン・アッセイを使って、全てのアミンがブロックされたことの根拠を明らかにした。この反応混合物を一晩流水に対して透析して、次に凍結乾燥して、白色の綿毛状の固体(0.30 g)を得た。
S-アセチルチオグリコール酸反応性96ウェルプレート(A)の作製:TCT96ウェルプレートに、200 μLの、水中、デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−s-アセチルチオグリコール酸の0.1 mg/mL溶液を加えた(100/0)。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、この96ウェルプレートを、250 μLの、0.15 Mの塩化ナトリウムを含む10 mMのMOPSに一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの、0.15 Mの塩化ナトリウムを含む10 mMのMOPSで3回、そして300 μLの水で3回洗浄した。
S-アセチルチオグリコール酸反応性96ウェルプレート(B)の作製:大量結合96ウェルプレートの4列に、200 μLの、水中、デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−s-アセチルチオグリコール酸の0.15 mg/mL溶液を加えた(100/0)。同じ大量結合96ウェルプレートのさらなる4列に、200 μLの、50%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン−s-アセチルチオグリコール酸及び50%のデキストラン−リジン−s-アセチルチオグリコール酸の0.15 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた(50/50)。96ウェルプレートを、その上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートに、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの0.025 M酢酸ナトリウム中に一晩浸した。次に、前記96ウェルプレートを、300 μLの0.025 M酢酸ナトリウムで3回、そして300 μLの水で3回洗浄した。
デキストランの取り込み:先に記載のとおり作製したS-アセチルチオグリコール酸反応性96ウェルプレート(B)を、96ウェルプレート上への総デキストランの取り込みを測定することによって試験した。アントロン・アッセイを使ってこのデータを得た。96ウェルプレートの各々の部分に200 μLのアントロン試薬を加えた。この96ウェルプレートを、80〜85℃で30分間オーブンで加熱し、発色させた。ブランク・ウェルにおける同じ96ウェルプレートによるデキストラン標準曲線に対してA620にて、この96ウェルプレートを読み取り、以下の表6に示すデータを得た。
Figure 2005514583
リガンド密度:プレート(B)のSATAリガンド密度は、50/50及び100/0マトリックスについて、それぞれ1.56及び2.60 nM/cm2であると予測された。
実施例7
ストレプトアビジン・コートされた96ウェルプレートの作製
ストレプトアビジン・コート96されたウェルプレート(A)の作製:実施例6で作製されたS-アセチルチオグリコール酸反応性96ウェルプレート(A)を、ストレプトアビジン・コートされた96ウェルプレートの作製に使用した。コートされた96ウェルプレート上の全てのウェルに、200 μLの0.1 Mリン酸ナトリウム pH 6.5中、ヒドロキシルアミンの0.1 M溶液を加えた。この96ウェルプレートを、旋回型ミキサーにより素速く混合しながら5分間室温でインキュベートした。前記96ウェルプレートを吸引した。
200 μLの、アルゴンを通気した0.1 Mリン酸ナトリウム pH 7.0中、60 kDaのターゲット分子であるストレプトアビジン−マレイミドの0.1 mg/mL溶液を、S-アセチルチオグリコール酸プレートの半分、48ウェルに加え、そして200 μLの、ストレプトアビジン−マレイミドの0.05 mg/mL溶液を、残りの48ウェルに加えた。この96ウェルプレートを、涼しい場所で一晩インキュベートし、共有結合させた。数個のウェルの上清を合わせて、そして約50%のストレプトアビジン−マレイミドがプレートに共有結合したことを判断するためにブラッドフォード・アッセイを実施した。結合は、0.05及び0.1 mg/mL溶液について、それぞれ3.3及び6.67 μgストレプトアビジン/cm2であると算定された。次に、プレートを、300 μLの0.1 Mリン酸ナトリウム pH 7.0で3回洗浄し、そして200 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウム中、1.0 mMのβ-メルカプトエタノールを加え、旋回型ミキサーにより混合しながら15分間室温で遊離のマレイミドと反応させた。次に、プレートを、300 μLの0.1 Mリン酸ナトリウム pH 7.0により3回洗浄し、その後200 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウム pH 7.0中、1.0 mM ブロモ酢酸を加えて、そして旋回型ミキサーで混合しながら室温で1時間インキュベートして遊離のメルカプト基をブロックした。次に、ストレプトアビジン・プレートを300 μLの水で3回洗浄し、そして乾燥させた。
ストレプトアビジン・コートされた96ウェルプレート(B)の作製:実施例6にて作製したS-アセチルチオグリコール酸反応性96ウェルプレート(B)を、ストレプトアビジン・コートされた96ウェルプレートに作製に使用した。コートされた96ウェルプレートの全てのウェルに、200 μLの、0.15 M塩化ナトリウム、0.02 Mリン酸ナトリウム、0.001 Mエチレンジアミン四酢酸(EDTA)pH 6.8中、ヒドロキシルアミンの0.05 M溶液を加えた。96ウェルプレートを、旋回型ミキサーで素速く混合しながら45分間室温でインキュベートした。この96ウェルプレートを吸引した。
次に、200 μLの、0.15 M塩化ナトリウム、0.02 Mリン酸ナトリウム、0.001 M EDTA pH 6.8中、ストレプトアビジン−マレイミドの0.05 mg/mL溶液を、各々の列2-4及び8-10に加えた。前記96ウェルプレートを、旋回型ミキサーで混合しながら4時間室温で、その後涼しい場所で一晩インキュベートした。数個のウェルの上清を合わせて、そして、それをバッファーブランクと、及び96ウェルプレートに加えられた0.05 mg/mLのストレプトアビジン−マレイミドの溶液と比較するために、A280を読み取った。結果は、50/50及び100/0について、それぞれ4.18及び4.38 μgストレプトアビジン/cm2を示した。
タンパク質結合能力:(A)にて先に作製したストレプトアビジン・コートされたプレートに、PBS中、ビオチン−ウシ血清アルブミン(BSA)の0.15 mg/mL溶液を加えた。このプレートを、旋回型ミキサーで混合しながら1時間室温でインキュベートした。ブラッドフォード・アッセイを行ない、3.3及び6.67 μgストレプトアビジン/cm2プレートについて、それぞれ1.13及び1.76 cm2ビオチン化アルブミン/μgであることを証明した。
ビオチン化オリゴ結合容量:まず結合の特異性を、PBS中、5'-ビオチン-dT10フルオレセイン-3'の1.3 μM溶液を、遊離ビオチンの濃度を変えて、先の(A)にて作製したストレプトアビジン・プレートに加え、そして室温で15分間インキュベートすることによって決定された。次に、このプレートを洗浄し、そしてプレート・リーダーによりあらゆる結合した5'-ビオチン-dT10フルオレセイン-3'の蛍光を測定した。結果は、遊離のビオチンが結合リガンドの特異的な親和性を証明するストレプトアビジン・プレートへの結合を抑えることを示す。第2に、0〜10 μMの範囲の様々な濃度の、PBS中、5'-ビオチン-dT10-フルオレセイン-3'を、遊離のビオチンの不存在下プレートに加え、そして室温で15分間インキュベートした。次に、プレートを洗浄し、あらゆる結合5'-ビオチン-dT10-フルオレセイン-3'の蛍光をプレート・リーダーで読み取った。結果は、ウェルが、約25 μMの濃度にて5'-ビオチン-dT10フルオレセイン-3'により飽和していることを示した。5'-ビオチン-dT10-フルオレセイン-3'、つまり新しい結合リガンドの結合は、ターゲット分子としての抗FITC抗体を使って定量された。
実施例8
ニッケル・キレート・コートされたマトリックス支援レーザーイオン化(MALDI)プレートの作製
ニッケル・キレートMALDIプレートの作製:前もってメタノールにより掃除した20の個々のサンプル・スポットを含むステンレスMALDIプレートを、クロロホルム中に溶かしたパラフィルムの1 mg/mL溶液中に浸した。コートされたMALDIプレートに、3 μLの、50%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン(1,117 kDaの平均分子量、かつ、112 kDa〜19,220 kDaの範囲)、及び実施例1にて作製した50%のデキストラン−リジン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン(696 kDaの平均分子量、かつ、82 kDa〜11,080 kDaの範囲)の0.75 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた。このMALDIプレートを、その上に送風しながら30分間乾燥させた。乾燥したMALDIプレートに、約9.0 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、MALDIプレートを、3 μLの、水中、0.01 Mの硫酸ニッケル溶液を適用することによって2〜8℃にて30分間ターゲット分子を染み込ませた。蒸発を防ぐ助けとなるように、ターゲットを冷蔵容器内に保存した。次にこのMALDIプレートを20分間水中に浸した。
ニッケル・キレートMALDIプレートのタンパク質の捕獲:ニッケル・キレート結合リガンドを有するマトリックスを含むMALDIプレートを、サンプル・スポットあたり3 μLの、TBS pH 8.0中、未精製のE.コリ抽出物が存在するか又はしないターゲット分子FLAG-BAPの0.5 mg/mL溶液と一緒に2〜8℃にて4時間インキュベートした。蒸発を防ぐ助けとなるように、MALDIプレートを、冷蔵容器内でインキュベートした。次に、MALDIプレートを、0.01 Mの重炭酸アンモニウム中に20分間浸した。MALDIプレートを、MALDIプレート・ドライヤーによって乾燥させた。次に、70%のアセトニトリル、0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA)中、シナピン酸を、MALDIプレート上の各々のサンプル・スポットに加え、そして乾燥させた。Kratos Kompact Discovery SEQ MALDI-TOF質量分析計を使って分析を行った。研究からの結果は、FLAG-BAPタンパク質が検出され、そして精製された又は未精製のサンプルから捕獲されたかどうかにかからわず純粋であることが判明したことを示す。加えて、FLAG-BAPタンパク質が、親和性捕獲の特異性を証明する、0.01 Mの重炭酸アンモニウムに浸す前に、100 mMのイミダゾールを含むTBS pH 8.0中に30分間浸したMALDIプレートで検出されなかった。
ニッケル・キレートMALDIプレートにおける合成のタンパク質の捕獲:MALDIプレートを、サンプル・スポットあたり3 μLの、TBS pH 8.0中、化学的に合成した15 kDaターゲット分子、RNAse-6-His-ビオチンの0.5 mg/mL溶液と一緒に2〜8℃にて4時間インキュベートした。蒸発を防ぐ助けとなるように、MALDIプレートを、冷蔵容器内でインキュベートした。4時間のインキュベーション終了時に、MALDIプレートを、0.01 Mの重炭酸アンモニウム中に20分間浸した。MALDIプレートを、MALDIプレート・ドライヤーによって乾燥させ、次に1 μLの、70%のアセトニトリル、0.1%のTFA中、シナピン酸を、MALDIプレートの各々のサンプル・スポットに直接加え、そして乾燥させた。Kratos Kompact Discovery SEQ MALDI-TOF質量分析計を使って分析を行った。研究からの結果は、RNAse-6-His-ビオチンが捕獲されることを証明した。加えて、RNAse-6-His-ビオチンが、0.01 Mの重炭酸アンモニウムに浸す前に、100 mMのイミダゾールを含むTBS pH 8.0中に30分間浸したMALDIプレートで検出されなかった。
ニッケル・キレートMALDIプレートにおけるペプチドの捕獲:MALDIプレートを、サンプル・ポイントあたり3 μLの、TBS pH 8.0中、ビオチンタグを有するペプチドを含む32 kDaの合成ポリペプチド・ターゲット分子、ヒスチジンの0.1 mg/mL溶液と一緒に2〜8℃で4時間インキュベートした。蒸発を防ぐ助けとなるように、MALDIプレートを冷蔵容器内に保存した。4時間のインキュベーション時間終了時に、MALDIプレートを水に浸して非結合物質を取り除いた。MALDIプレート上のサンプル・スポットのいくつかに、2 μLの、TBS pH 8.0中、0.1 mg/mLのビオチンを含むか又は含まないストレプトアビジンの0.1 mg/mL溶液を加えた。このMALDIプレートを2〜8℃にて2時間インキュベートした。次に、MALDIプレートを、0.5 M塩化ナトリウムを含むTBS pH 8.0中に20分間、その後0.01 Mの重炭酸アンモニウム中に20分間浸した。前記MALDIプレートを、プレート・ドライヤーにより乾燥させ、次に1 μLの、70%のアセトニトリル、0.1%のTFA中、α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸をペプチドを含むサンプル・スポットに加え、シナピン酸を、ペプチド及びストレプトアビジンを含むスポットについてα-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸の代わりに使用した。このMALDIプレートを乾燥させた。Kratos Kompact Discovery SEQ MALDI-TOF質量分析計を使って分析を行った。研究からの結果は、ペプチドが全ての場合において検出され、キレート結合リガンドに対する高い親和性を示した。さらに、ストレプトアビジンが、遊離のビオチンの存在なしにインキュベートしたウェルで検出され、新しく形成された「ビオチン・タグを有するキレート・ヒスチジン含有ペプチド」結合リガンドがストレプトアビジン親和性捕獲特性があることを示した。
実施例9
大容量ニッケル・キレート・プレートの多孔性の研究
多孔性の研究:大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートを、実施例1に規定に表されるとおり、0.2 mLの、水中、0.2 mg/mL及び0.4 mg/mLにて1部デキストラン−リジン−ベンゾフェノン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン及び1部デキストラン−リジン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン(50/50)の混合物を使って作製された。重合体の平均分子量は、737 kDaであり、300 kDa〜10,000 kDaの範囲である。
200 μLのFLAG-BAPタンパク質の0.15 mg/mL溶液を、プレートの各々の部分の9つのウェルに加え、涼しい場所で一晩インキュベートした。翌朝、このプレートを、自動化されたプレートウォッシャーにより300 μLのPBSTで3回洗浄した。その時、200 μLの、150 kDaのマウス・モノクローナル抗体、Anti-FLAG(登録商標)M2(シグマ製品コードF3165)の25 μg/mL溶液を、6つのウェルに加え、室温で5時間インキュベートして、抗体をFLAG-BAPタンパク質に結合させ、自動化されたウォッシャーにより300 μLのPBSTで3回洗浄した。高い結合能力のためにウェルが最初に飽和していなかったので、Anti-FLAG(登録商標)M2ステップを繰り返した。200 μLの、Anti-FLAG(登録商標)M2の100 μl/mL溶液を加え、そして涼しい場所で一晩インキュベートした。このプレートを、自動化されたプレートウォッシャーによりPBSTで3回洗浄した。最後に、200 μLの、150 kDaの抗マウスIgG FITC抱合体の100 μg/mL溶液を、FLAG-BAPタンパク質とAnti-FLAG(登録商標)M2から成るタンパク質−タンパク質相互作用複合体を含むウェルの3つに加えた。これを、振とうすることなく室温で2時間インキュベートし、そして振とうしながら室温で1時間インキュベートして抗マウスIgG FITC抱合体の、Anti-FLAG(登録商標)M2への結合を確実のものにした。次に、このプレートを、自動化されたプレートウォッシャーにより300 μLのPBSTで3回洗浄した。BCA試薬を37℃にて1時間発色させて、そしてA560を、プレート・リーダーで測定した。全体的な結果は、350 kDaまでの多孔性において制限がなかったことを示した。
実施例10
Anti-FLAG(登録商標)M2コートされた96ウェルプレートの作製
Anti-FLAG(登録商標)M2マレイミド抱合体の作製:1 mLの、PBS中、Anti-FLAG(登録商標)M2の4.4 mg/mL溶液に、0.5 mLの0.2 Mリン酸ナトリウム・バッファーpH 6.7を加えた。撹拌した溶液に、10 μLの、無水DMF中、マレイミドカプロン酸NHSエステルの0.03 μM/μL溶液を加えた。この溶液を、室温で1時間インキュベートし、そしてセファデックスG50カラムにより脱塩した。この画分を、A280で観察し、約13 mg/mLで28 mLの産物を与える画分4〜6中に産物を得た。
Anti-FLAG(登録商標)M2コートされた96ウェルプレートの作製:実施例6にて作製したSATA反応性96ウェルプレート(A)に、200 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 6.5中、ヒドロキシルアミンの0.1 M溶液を加えた。96ウェルプレートを、旋回型ミキサーで素速く混合しながら5分間室温でインキュベートした。この96ウェルプレートを、300 μLの0.1 Mリン酸ナトリウム・バッファーpH 7.0で3回洗浄し、そしてアルゴンを通気した。
次に、200 μLの、先に作製したAnti-FLAG(登録商標)M2マレイミド抱合体の0.15 mg/mL溶液、アルゴンを通気した0.1 Mのリン酸ナトリウムpH 7.0を、プレートの2列の各々のウェルに加えた。Anti-FLAG(登録商標)M2マレイミド抱合体と一緒にインキュベートしなかったプレートの列を、アッセイ目的のための対照ウェルとした。この96ウェルプレートを、旋回型ミキサーで混合しながら室温で4時間インキュベートし、そして涼しい場所で一晩インキュベートした。次に、96ウェルプレートを、200 μLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0で3回洗浄した。200 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0中、1.0 mMのβ-メルカプトエタノール溶液を、前もってAnti-FLAG(登録商標)M2マレイミド抱合体と一緒にインキュベートし、旋回型ミキサーで混合しながら室温で15分間インキュベートしたウェルに加えた。次に、プレートを0.1 Mリン酸ナトリウム・バッファーpH 7.0で3回洗浄した。Anti-FLAG(登録商標)M2マレイミド抱合体とインキュベートした1列、及びAnti-FLAG(登録商標)M2マレイミド抱合体とインキュベートしなかった1列に、200 μLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0中、1.0 mMのブロモ酢酸溶液を加え、そして旋回型ミキサーで混合しながら室温で1時間インキュベートした。ブロモ酢酸溶液を加えなかったウェルを、アッセイ目的の対照ウェルとした。次に、このプレートを、300 μLの水で3回洗浄した。
96ウェルプレート上へのAnti-FLAG(登録商標)M2の取り込み:先に記載のとおり作製したAnti-FLAG(登録商標)M2プレートを、SATA反応性96ウェルプレート上に捕獲された総タンパク質を測定することによって試験した。ブロモ酢酸によりブロックされたか若しくはされなかった残りの遊離スルフィドリル基でプレートに捕獲されたAnti-FLAG(登録商標)M2の量を測定するために、そしてブロモ酢酸によりブロックされたか若しくはされていないAnti-FLAG(登録商標)M2と一緒にインキュベートしなかったウェルと対照して、BCAアッセイを行った。このアッセイで生じた数は、標準としてBSAを使うことに関係があった。前記プレートをA560で読み取った。アッセイの結果は、Anti-FLAG(登録商標)M2が、ブロックされていない及びブロックされたものについて、それぞれ約3.90及び4.04 μg/cm2バックグラウンドを上回るまで取り込まれたことを示す。
実施例11
ポリdTポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プレートの作製
オリゴ-dT-30 C6アミン−マレイミド抱合体の作製:0.5 μMのオリゴdT-30 C6アミン(9.1 kDa)を含むバイアルに、0.5 mLの純水を加えた。次に、この溶液を、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0で1:2に希釈した。攪拌した、曇った反応混合物に、21 μLの無水DMF中、マレイミド酪酸NHSエステルの10 mg/mL溶液を加えた。反応物を、室温で1.5時間攪拌した。反応混合物の一部を取り出し、PBSバッファーpH 7.0で0.01 μmole/mLに希釈し、そして0.5 Mの終濃度まで塩化ナトリウムを補った。いくつかの5倍段階希釈を、10,000、2,000、400、80及び16 pmoles/mLの活性化されたオリゴdTの濃度を得るために作製した。
ポリプロピレン・デキストラン-SATA 96ウェルPCRプレートの作製:PCR 96ウェル・ポリプロピレン・プレートに、50 μLの、水中、デキストラン−リジン−ベンゾフェノン-s-アセチルチオグリコール酸の0.15 mg/mLの総デキストラン溶液を加えた。96ウェルプレートを、そのプレート上への送風を伴う40℃のオーブンで一晩乾燥させた。次に、乾燥した96ウェルプレートを、約90 mW/cm2にて32分間光照射した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの0.025 M酢酸ナトリウムに一晩浸した。次に、96ウェルプレートを、300 μLの0.025M酢酸ナトリウムで3回、そして300 μLの水で2回洗浄した。
ポリプロピレン・デキストラン-オリゴ-dT 96ウェルPCRプレートの作製:先に記載のとおり作製したデキストランSATA 96ウェル・ポリプロピレンPCRプレートに、100 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 6.5中、0.1 Mヒドロキシルアミンを加え、旋回型ミキサーで混合しながら室温で15分間インキュベートした。次に、このプレートを、300 μLの0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0で3回洗浄し、50 μLの様々な濃度レベルの91 kDaのターゲット分子、オリゴdT-30 C6アミン−マレイミド抱合体を加え、そして旋回型ミキサーで素速く混合しながら2〜8℃にて一晩インキュベートした。次に、この96ウェルプレートを、200 μLの0.1 MナトリウムpH 7.0で3回洗浄した。50 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0中、1.0 mM β-メルカプトエタノール溶液を、ウェルに加え、そして旋回型ミキサーで素速く混合しながら室温にて15分間インキュベートした。次に、このプレートを、0.1 Mリン酸ナトリウムバッファーpH 7.0で3回洗浄した。プレートの各々のウェルに、300 μLの、0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0中、1 mMのn-エチルマレイミド溶液を加え、そして旋回型ミキサーで混合しながら室温で1時間インキュベートした。次に、プレートを0.1 Mリン酸ナトリウムpH 7.0で3回洗浄した。オリゴdTプレートは、mRNAの捕獲、そして次々にそれらをRT-PCRを実施するための使用に好適だった。
実施例12
高速処理技術を使用した大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートの作製
大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートの作製:1つの96ウェルプレートを満たすために必要な量の少なくとも10倍を分配することによって最初に準備されたOyster Bayディスペンサーを使用して、TCT 96ウェルプレートを、200 μLの、ともに実施例1作製した、50%のデキストラン−リジン−ベンゾフェノン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システイン、及び50%のデキストラン−リジン−ビス(N,N'-カルボキシメチル)システインの0.15 mg/mL溶液で満たした。重合体の平均分子量は、1,104 kDaであり、300 kDa〜10,000 kDaの範囲であった。満たされたプレートの重量が各々のウェルにて200 μLの溶液を表す指定された重量の範囲内にあることを確実にするために、チェックプレートを30分ごとに作製した。96ウェルプレートを、大きな乾燥トレーの上に置き、そして遮光した状態で、40〜50℃にて乾燥戸棚中で一晩乾燥させた。次に、乾燥させた96ウェルプレートに、8フィート/分(2.4384 m/分)にセットしたコンベヤベルトと、400 W/インチ(約157.48 W/cm)のランプ出力をもつFusion UV Converyorシステムを使って光照射した。放射計、IL290 Light Bugを、3,000〜4,000 mJ/cm2の範囲の所望のエネルギーを確認するためにコンベヤベルトを通して作動させた。プレートを、1時間につき約800〜960プレートで光照射した。次に、96ウェルプレートを、Oyster Bayによって分配された250 μLの水に一晩浸した。同様に、Oyster Bayを使用して、96ウェルプレートを、250 μLの水で2回洗浄し、そして250 μLの、1 mMの硫酸ニッケル六水化物を含む3-(N-モノフォリノ)-ブタンスルホン酸(MOPS)生理的食塩水pH 7.0を加え、そして室温で一晩染み込ませた。次に、96ウェルプレートを、300 μLの0.05M酢酸で1回、300 μLの水で1回、そして300 μLのMOPS-ヒビタンpH 7.0バッファーで2回洗浄した。そしてこのプレートを積み重ねて、使用前に室温で乾燥させた。
タンパク質結合容量:先に記載のとおり作製した大容量ニッケル・キレート96ウェルプレートを、ウェルあたりの捕獲されうる組み換え金属キレート・タンパク質、FLAG-BAPの総量を測定することにより試験した。TBS pH 8.0中、FLAG-BAP溶液の0.15 mg/mL溶液を、ウェル内、室温で4時間インキュベートした。4時間のインキュベート後に、このウェルを、300 μLのPBSTで3回、その後300 μLの水で3回洗浄した。ウェルあたりの結合したタンパク質の総量を測定するために、BCAタンパク質アッセイを、4枚の異なるプレートからのウェルの無作為サンプル抽出によって行なった。タンパク質結合容量の結果は、1つのウェルにつき約6 μgのタンパク質、又は1 cm2につき4.2 μgタンパク質であった。
本発明によるアッセイ・プラットフォームのポリペプチド結合容量と、3枚の市販のプレートのポリペプチド結合容量との比較である。

Claims (112)

  1. 支持体及び当該支持体に結合した重合体マトリックスを含むアッセイ・プラットフォームであって、ここで、上記重合体マトリックスがターゲット分子に結合することができ、上記重合体マトリックスが複数の重合体分子を含み、上記重合体分子の少なくともいくつかが上記支持体に直接共有結合し、上記重合体分子の少なくともいくつかが他の重合体分子と架橋され、上記重合体分子の少なくともいくつかがそれに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、そして上記支持体上の重合体マトリックスの密度が少なくとも2 μg/cm2である、前記アッセイ・プラットフォーム。
  2. 前記支持体上の重合体マトリックスの密度が、4 μg/cm2〜30 μg/cm2である、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  3. 前記支持体上の重合体マトリックスの密度が、6 μg/cm2〜15 μg/cm2である、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  4. 前記重合体マトリックスが、少なくとも1 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  5. 前記重合体マトリックスが、1.2 nmol/cm2〜185 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  6. 前記重合体マトリックスが、1.5 nmol/cm2〜90 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  7. 前記重合体マトリックスが、1.8 nmol/cm2〜15 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  8. 前記支持体が、マルチウェルプレートである、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  9. 前記マルチウェルプレートが、96、384又は1536ウェル・ポリスチレン又はポリプロピレン・マルチウェルプレートである、請求項8に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  10. 前記支持体がMALDIプレートである、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  11. 前記支持体がガラスである、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  12. 前記支持体がプラスチックである、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  13. 前記重合体分子が天然重合体である、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  14. 前記重合体分子がデキストラン重合体である、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  15. 前記重合体分子が合成重合体である、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  16. 前記重合体マトリックスが、3.5 kDa未満の分子量をもつターゲット分子を少なくとも1 nmol/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  17. 前記重合体マトリックスが、3.5 kDa〜500 kDaの分子量をもつターゲット分子を0.5 μg/cm2〜20 μg/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  18. 前記重合体マトリックスが、10 kDa〜500 kDaの分子量をもつターゲット分子を1 μg/cm2〜20 μg/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  19. 前記重合体マトリックスが、10 kDa〜350 kDaの分子量をもつターゲット分子を2 μg/cm2〜20 μg/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  20. 前記重合体マトリックスが、10 kDa〜350 kDaの分子量をもつターゲット分子を3 μg/cm2〜15 μg/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  21. 前記重合体マトリックスが、10 kDa〜350 kDaの分子量をもつターゲット分子を4 μg/cm2〜10 μg/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  22. 前記結合リガンドが、ポリペプチド・ターゲット分子を結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  23. 前記重合体マトリックスが、最大350 kDaの分子量をもつポリペプチド・ターゲット分子を少なくとも2 μg/cm2の量で結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  24. 前記結合リガンドが金属キレートを含む、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  25. 前記金属キレートが、イミノ二酢酸、ニトリロ酢酸又はそのアナログである、請求項24に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  26. 前記結合リガンドが、ポリヌクレオチド・ターゲット分子を結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  27. 前記結合リガンドが、mRNAターゲット分子を結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  28. 前記結合リガンドが、DNAターゲット分子を結合することができる、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  29. 前記結合リガンドがポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  30. 前記結合リガンドが、スペーサを介して重合体分子に共有結合する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  31. 前記スペーサがリジン分子を含む、請求項30に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  32. 前記スペーサがさらにアミノカプロン酸分子を含む、請求項30に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  33. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがニッケル・キレートであり、かつ、前記重合体マトリックスが、1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  34. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがガリウム若しくは鉄キレートであり、かつ、前記重合体マトリックスが、1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  35. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがグルタチオンであり、かつ、前記重合体マトリックスが、1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  36. 前記支持体がマルチウェル・ポリプロピレン又はポリカーボネート・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、かつ、前記結合リガンドがオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  37. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレート又はマルチウェル・ポリプロピレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがストレプトアビジンであり、かつ、前記重合体マトリックスが、1.5 μg/cm2〜7.5 μgの/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  38. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドが、プロテインA、プロテインG、プロテインL又はその混合物から成る群から選ばれ、かつ、前記重合体マトリックスが、1.5 μg/cm2〜7.5 μg/cm2の結合リガンド密度を有する、請求項1に記載のアッセイ・プラットフォーム。
  39. 支持体及び当該支持体に結合した重合体マトリックスを含むアッセイ・プラットフォームの製造方法であって、以下のステップ:
    上記支持体と、反復単位をもつ複数の重合体分子を含む重合体組成物とを、接触させ、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの反応基をもち、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、上記重合体分子が、少なくとも100 kDaの平均分子量をもち、かつ、上記重合体分子の少なくとも25%が、それに共有結合した少なくとも1つの反応基及び少なくとも1つの結合リガンドをもつ;そして
    反応基を活性化して、少なくともいくつかの重合体分子を直接支持体に共有結合させ、かつ、支持体に結合した重合体マトリックスを形成するように重合体分子間の架橋を誘発する、
    を含む、ここで、上記重合体マトリックスがターゲット分子を結合することができる上記製造方法。
  40. 前記重合体分子の全てが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、かつ、前記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した反応基をもたない、請求項39に記載の方法。
  41. 反応基を活性化する前に、前記支持体上の重合体組成物を乾燥させるステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
  42. 異なる結合リガンドをそれに結合させることにより形成された重合体マトリックス内の結合リガンドを誘導体化するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  43. 前記反応基が、スペーサを介して重合体分子に共有結合する、請求項39に記載の方法。
  44. 前記スペーサがリジン分子を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記スペーサがアミノカプロン酸分子をさらに含む、請求項43に記載の方法。
  46. 前記反応基が、α、β不飽和ケトン光反応基であり、かつ、上記光反応基が、約1,000 mW/cm2〜約5,000 mW/cm2の光に晒されることによって活性化される、請求項39に記載の方法。
  47. 前記反応基が、α、β不飽和ケトン光反応基であり、かつ、上記光反応基が、約1,000 mW/cm2〜約3,000 mW/cm2の光に晒されることによって活性化される、請求項39に記載の方法。
  48. 前記反応基が、α、β不飽和ケトン光反応基であり、かつ、上記光反応基が、約1,500 mW/cm2〜約2,500 mW/cm2の光に晒されることによって活性化される、請求項39に記載の方法。
  49. 前記反応基が、α、β不飽和ケトン光反応基であり、かつ、上記光反応基が、約3 J/cm2〜約6 J/cm2の光に晒されることによって活性化される、請求項39に記載の方法。
  50. 前記反応基がベンゾフェノン基であり、かつ、上記光反応基が、0.5秒/cm2〜50秒/cm2の間光に晒されることによって活性化される、請求項39に記載の方法。
  51. 大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて4 μg/cm2〜30 μg/cm2の密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  52. 大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて6 μg/cm2〜15 μg/cm2の密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  53. 大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて少なくとも1 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  54. 大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.2 nmol/cm2〜185 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  55. 大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.5 nmol/cm2〜90 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  56. 大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.8 nmol/cm2〜15 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  57. 反応基が共有結合した前記重合体分子が、200の反復単位につき1つ未満の反応基をもつ、請求項39に記載の方法。
  58. 反応基が共有結合した前記重合体分子が、600の反復単位につき1つ未満の反応基をもつ、請求項39に記載の方法。
  59. 結合リガンドが共有結合した前記重合体分子が、1の反復単位につき1つの結合リガンド〜100の反復単位につき1つの結合リガンドをもつ、請求項39に記載の方法。
  60. 結合リガンドが共有結合した前記重合体分子が、1の反復単位につき1つの結合リガンド〜20の反復単位につき1つの結合リガンドをもつ、請求項39に記載の方法。
  61. 前記重合体分子が、300 kDa〜6,000 kDaの平均分子量をもつ、請求項39に記載の方法。
  62. 前記重合体分子が、400 kDa〜3,000 kDaの平均分子量をもつ、請求項39に記載の方法。
  63. 前記重合体分子が、500 kDa〜2,000 kDaの平均分子量をもつ、請求項39に記載の方法。
  64. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、25%〜80%である、請求項39に記載の方法。
  65. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、40%〜75%である、請求項64に記載の方法。
  66. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、50%〜60%である、請求項65に記載の方法。
  67. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、約50%である、請求項66に記載の方法。
  68. 前記結合リガンドが、スペーサを介して重合体分子に共有結合する、請求項39に記載の方法。
  69. 前記スペーサがリジン分子を含む、請求項68に記載の方法。
  70. 前記スペーサがアミノカプロン酸分子をさらに含む、請求項68に記載の方法。
  71. 前記支持体がマルチウェルプレートである、請求項39に記載の方法。
  72. 前記マルチウェルプレートが、96ウェル・ポリスチレン・プレート、96ウェル・ポリプロピレン・プレート、384ウェル・ポリスチレン・プレート及び384ウェル・ポリプロピレン・プレートから成る群から選ばれる、請求項71に記載の方法。
  73. 前記支持体がMALDIプレートである、請求項39に記載の方法。
  74. 前記支持体がガラスである、請求項39に記載の方法。
  75. 前記支持体がプラスチックである、請求項39に記載の方法。
  76. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがニッケル・キレートであり、かつ、大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  77. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがガリウム又は鉄キレートであり、かつ、大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  78. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがグルタチオンであり、かつ、大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  79. 前記支持体がマルチウェル・ポリプロピレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがオリゴdTであり、かつ、大量の前記重合体組成物を支持体と接触させて1.5 nmol/cm2〜7.5 nmol/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  80. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレート又はマルチウェル・ポリプロピレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドがストレプトアビジンであり、かつ、大量の前記重合体組成物を支持体に接触させて1.5 μg/cm2〜7.5 μg/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  81. 前記支持体がマルチウェル・ポリスチレン・プレートであり、前記重合体分子がデキストラン重合体であり、前記結合リガンドが、プロテインA、プロテインG、プロテインL又はその混合物から成る群から選ばれ、かつ、大量の前記重合体組成物を支持体に接触させて1.5 μg/cm2〜7.5 μg/cm2の結合リガンド密度を有する重合体マトリックスを提供する、請求項39に記載の方法。
  82. 請求項39に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  83. 請求項40に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  84. 請求項41に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  85. 請求項57に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  86. 請求項58に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  87. 請求項59に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  88. 請求項60に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  89. 請求項61に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  90. 請求項62に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  91. 請求項73に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  92. 請求項74に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  93. 請求項75に記載の方法によって製造されたアッセイ・プラットフォーム。
  94. 反復単位をもつ複数の重合体分子を含む重合体組成物であって、ここで、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの反応基をもち、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、上記重合体分子が、少なくとも100 kDaの平均分子量をもち、そして上記重合体分子の少なくとも25%が、それに共有結合した少なくとも1つの反応基及び少なくとも1つの結合リガンドをもつ上記重合体組成物。
  95. 前記重合体分子が、少なくとも300 kDaの平均分子量をもつ、請求項94に記載の重合体組成物。
  96. 前記重合体分子の全てが、それに共有結合した少なくとも1つの結合リガンドをもち、かつ、上記重合体分子の少なくともいくつかが、それに共有結合した反応基をもたない、請求項94に記載の重合体組成物。
  97. 反応基が共有結合した前記重合体分子が、200の反復単位につき1つ未満の反応基をもつ、請求項94に記載の重合体組成物。
  98. 反応基が共有結合した前記重合体分子が、600の反復単位につき1つ未満の反応基をもつ、請求項94に記載の重合体組成物。
  99. 結合リガンドが共有結合した前記重合体分子が、1の反復単位につき1つの結合リガンド〜100の反復単位につき1つの結合リガンドをもつ、請求項94に記載の重合体組成物。
  100. 結合リガンドが共有結合した前記重合体分子が、1の反復単位につき1つの結合リガンド〜20の反復単位につき1つの結合リガンドをもつ、請求項94に記載の重合体組成物。
  101. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、25%〜80%である、請求項94に記載の重合体組成物。
  102. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、40%〜75%である、請求項101に記載の重合体組成物。
  103. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、50%〜60%である、請求項102に記載の重合体組成物。
  104. 反応基及び結合リガンドの両方が共有結合した重合体分子の割合が、約50%である、請求項103に記載の重合体組成物。
  105. 前記重合体分子が天然重合体である、請求項94に記載の重合体組成物。
  106. 前記重合体分子がデキストラン重合体である、請求項94に記載の重合体組成物。
  107. 前記重合体分子が合成重合体である、請求項94に記載の重合体組成物。
  108. 前記結合リガンドが金属キレートを含む、請求項94に記載の重合体組成物。
  109. 前記結合リガンドがポリヌクレオチドに結合することができる、請求項94に記載の重合体組成物。
  110. 前記結合リガンドがmRNAを含む、請求項94に記載の重合体組成物。
  111. 前記結合リガンドがDNAを含む、請求項94に記載の重合体組成物。
  112. 前記結合リガンドがポリヌクレオチドを含む、請求項94に記載の重合体組成物。
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