詳細な説明
本発明は、結合表面の設計の実現化に少なくとも一部基づく:(a)飽和量未満のリガンドを結合させることによって、接近することができる空間的配向性で支持体の結合表面全体にまばらに分散させられた、捕捉部分が含まれている複合体が得られ、そして状況に応じて、(b)タンデムにリガンドを配置し、その後、捕捉部分を含む複合体の他の構成成分の部分を、直線的またはほぼ直線的な構造(物理的)の配向性で配置することにより、リガンドの密度を大きくすることにより支持体表面を単純に密集させることによる結合表面の設計よりも、アッセイ(例えば、親和性アッセイ(例えば、免疫測定法または核酸アッセイ))を行うためのより望ましい量を有している結合表面を生じさせることができる。
結合表面を作製するための従来のアプローチは、通常は、リガンドの接近性および/または配向性には関係なく、支持体の単位面積あたりのリガンドの量を最大にすることを目的としており、多くの場合には、これにより支持体上にリガンドの密集が生じる。結合表面上の単位面積あたりのリガンドを最大にすることによっては、立体的な作用が少なくとも一部原因で、結合表面の性能の低下が生じる可能性がある。性能の低下はまた、結合表面からの過剰なリガンドの脱落によっても生じる可能性がある。
本明細書中で使用される場合は、「〜と結合した」またはその文法上の等価物は、2つの部分の間での共有結合もしくは非共有結合、または共有的相互作用もしくは非共有的相互作用を意味する。用語「〜と結合した」は、結合の配向性または方向性を暗示するようには意図されない。
本明細書中で使用される場合は、用語「融合タンパク質」には、組み換え体タンパク質(例えば、キメラタンパク質)、ハイブリッドタンパク質、および合成によって誘導されたタンパク質が含まれる。その使用法は当該分野で周知である。
本発明の不飽和である結合表面、または不飽和であり配向性を持つ結合表面には、支持体上に飽和量未満のリガンドを結合させることによって(例えば、支持体に直接結合させることによって、または支持体に結合させられる支持体連結器に結合させることによって)構築される結合表面が含まれる。リガンドに関して「不飽和である」結合表面は、支持体の単位表面積あたり最大密度には満たないリガンド、または支持体の単位重量あたり最大密度には満たないリガンドを有している結合表面である。本発明の特異的な実施形態においては、不飽和結合表面のリガンドは空間的に配向性を持つ。本明細書中で使用される場合には、用語「空間的に配向性を持つ」またはその文法上の等価物は、長さ全体または面積全体にわたって散りばめられた部分をいう。言い換えると、これらの部分は、これらが最も近いものと実質的に接することのないように、支持体表面上で配向性を持たせられるかまたは間隔をあけて配置される。
支持体の単位表面積あたりのリガンドの「最大に満たない」密度は、支持体表面上に存在することができるリガンドの数と比較して飽和していない結合表面をいう。例えば、リガンドで飽和した支持体表面は、100%によって表される、所定の条件の設定のもとで支持体表面上に配置することができるリガンドの最大の割合を有する(例えば、所定のリガンド::支持体連結器複合体、ここでは、支持体連結器はリガンドで飽和しており、複合体は、支持体に対するリガンド::支持体連結器複合体の最大の結合を促進する条件下で、支持体上にその最も可能な最大密度で配置される)。
不飽和である結合表面、または不飽和であり配向性を持つ結合表面は、免疫測定法に使用される結合表面に特に望ましいものであり得る。ほとんどの免疫測定法では、支持体上の結合表面が使用される。これらの用途の多くにおいては、支持体はマイクロ粒子またはマイクロタイタープレートであり、ここでは、分析物(例えば、抗原)を捕捉する部分は、分析物に結合する、捕捉部分を含む複合体を形成させるために、他の分子上に組み立てられる。この1つの限定ではない例は、マイクロ粒子上に固定された免疫グロブリンを有している免疫測定法である。免疫グロブリンは支持体上に直接固定される場合があり、また、免疫グロブリンは他の分子に(例えば、共有)結合させられ、次いで、他の分子が支持体に固定される場合もある。不飽和結合表面の調製は、両方の状況について本明細書中に記載される。免疫グロブリンまたはその断片は支持体に直接は結合させられないが、その代わりに、支持体に結合させられる他の部分と結合させられる状況についての詳細な例が提供される。
用語「結合」には、(a)共有結合(例えば、炭素−炭素結合、炭素−窒素結合、炭素−酸素結合などのうちの1つ以上による、直接または間接的のいずれか)、および(b)非共有結合(直接または間接的のいずれか)
互いに特異的に相互作用することが公知の物質を共有結合させることができる。特異的に相互作用することが公知であり、そして共有結合させることができる物質の1つの限定ではない例は、抗原とその特異的抗体である。これらは、例えば、カップリング化学反応によって共有結合させることができる。
互いに特異的には相互作用しない物質を共有結合させることができる。互いに特異的に相互作用することが明らかではなく、そして共有結合させることができる物質の1つの限定ではない例は、SAとBSAであり、これらは、例えば、カップリング化学反応によって共有結合させることができる。
非共有結合の例としては、親和性相互作用、イオン性相互作用、ファンデルワールス相互作用(例えば、双極性/双極性、またはLondon力)、水素結合相互作用(例えば、ポリヌクレオチド二本鎖の間)、および疎水性相互作用が挙げられる。結合が非共有結合である場合には、物質の間での結合は特異的であることが好ましい。特異的な非共有結合の限定ではない例としては、ビオチンと、ビオチン結合タンパク質(例えば、アビジン、SA、ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、ニュートラアビジンの断片、またはそれらの混合物)との間での結合相互作用;ビオチン化されたFab、ビオチン化された免疫グロブリン、またはその断片、ビオチン化された低分子(例えば、ホルモン、または受容体のリガンド)、ビオチン化されたポリヌクレオチド、ビオチン化されたマクロ分子(例えば、タンパク質、または天然のもしくは合成のポリマー)の、ビオチン結合タンパク質(例えば、アビジン、SA、ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、ニュートラアビジンの断片、またはそれらの混合物)に対する結合;基質のその酵素に対する結合;糖タンパク質の糖タンパク質に特異的なレクチンに対する結合;リガンドの、そのリガンドに特異的な受容体に対する結合;抗体の、その抗体が惹起させられる抗原に対する結合;ならびに、ポリヌクレオチドと、相補的なまたは実質的に相補的なポリヌクレオチドとの間での二本鎖の形成などが挙げられる。
マイクロ粒子に結合させられたビオチン化されたタンパク質(リガンド::支持体連結器複合体)を有しているマイクロ粒子についての特定の例が提供される。ここでは、ビオチン化されたタンパク質はSA(ビオチン結合部分)でコーティングされ、そしてSA−ビオチン化タンパク質でコーティングされたマイクロ粒子は、その後、アッセイにおいて分析物を捕捉するために、あるいは、アッセイにおいて分析物を捕捉するために使用される別の免疫グロブリンまたはその断片に結合させるために使用されるビオチン化された免疫グロブリンまたはそのビオチン化された断片(ビオチン化された捕捉部分)でコーティングされる。(例えば、ビオチン化されたGoat×Mouse IgGが、マウスIgG×抗原1(これは抗原1を捕捉するために使用される)を捕捉するために使用される。)支持体表面上のビオチン化されたタンパク質の不飽和の性質は、SAコーティングにおいて反映され、これもまた、分析物を捕捉するビオチン化された免疫グロブリン(またはビオチン化された免疫グロブリンの断片)の不飽和性、または分析物を捕捉するさらに別の免疫グロブリンもしくは断片を捕捉する、ビオチン化された免疫グロブリン(またはビオチン化された免疫グロブリンの断片)の不飽和性を生じる、それと会合するビオチンの不飽和である性質によって不飽和である。
本発明の様々な実施形態においては、リガンドは、支持体連結器に共有結合させることができ、また、支持体連結器に非共有結合させることもできる。特異的な実施形態においては、リガンドは支持体連結器に共有結合させられ、そしてリガンド結合基は少なくとも2価である。さらなる特異的な実施形態においては、リガンドはビオチンであり、これは支持体連結器に対して共有結合させられ、そしてリガンド結合基は、ストレプトアビジン、アビジン、またはニュートラアビジン、ストレプトアビジンの断片、アビジンの断片、ニュートラアビジンの断片、またはそれらの混合物のような、少なくとも2価の部分である。リガンド結合基が少なくとも2価である複数の実施形態においては、支持体連結器に対するリガンドの共有結合によって、過剰なリガンドの脱落が減少するかまたは回避されるので、より安定な結合表面を得ることができる。
他の実施形態においては、支持体連結器に対するリガンドの共有結合は随意的である。例えば、リガンドが1つの結合部位を有している抗体断片である場合には、リガンドは、支持体連結器と共有結合させることができる。
したがって、本発明には、免疫測定法のための飽和量ではない量の捕捉部分を提供するための方法と組成物が含まれる。この場合、捕捉部分は、不飽和である支持体表面に対する結合によって不飽和である。様々な実施形態においては、捕捉部分は、さらなる捕捉部分を捕捉するために使用することができる。例えば、SA(リガンド結合基)(これは、ビオチン化されたGoat×Mouse IgGでコーティングされる)でコーティングされたビオチン−BSAでコーティングされた支持体(リガンド::支持体連結器複合体)はさらに、例えば、Mouse IgG×TSHでコーティングすることができ、これはその後、TSH分析物を捕捉するために使用することができる。
支持体表面上の構成成分の密度は様々な方法で表現することができる。特定の支持体(例えば、マイクロ粒子)については、マイクロ粒子の単位重量に関して結合表面の構成成分の密度(例えば、マイクロ粒子1mgあたりの構成成分(例えば、リガンド(例えば、ビオチン);リガンド結合基(例えば、SA);捕捉部分(例えば、分析物特異的であるビオチン化IgG;など)のマイクロモル数)を議論することが一般的である。粒子ではない支持体(例えば、マイクロタイタープレート)については、支持体上の表面積に関して構成成分の密度(例えば、1平方メートルあたりのリガンド結合基のマイクロモル数)を議論することが一般的である。支持体表面上の構成成分の密度は、支持体表面上に構築されたリガンド(例えば、ビオチンの結合に関する複数の実施例のビオチン−BSAマイクロ粒子のビオチン)または任意の他の構成成分(例えば、マイクロ粒子と結合したSAに関する複数の実施例のビオチン−BSAマイクロ粒子、またはSAと結合した分析物特異的ビオチン化免疫グロブリン)について表現することができる。
支持体と(直接、または例えばタンパク質を介して間接的に)結合させられるリガンドの飽和量に満たない量が原因で、リガンド結合基の連続する層(successive layers)は不飽和であり、支持体に結合させられたリガンドの層上のリガンド結合基の密度には、連続する小さい密度(例えば、マイクロ粒子1mgあたり連続するより小さいマイクロモル数、または1平方メートルあたりの連続するより小さいマイクロモル数)が含まれるであろう。したがって、本発明のビオチン化されたマイクロ粒子の例については、支持体表面上のSAの密度は、BSA支持体連結器の密度よりも低く、これは、支持体表面上のビオチンリガンドの密度(SAの付加の前に推算した)よりも低いであろう。
したがって、支持体連結器がリガンドよりも有意に大きい(例えば、アルブミン支持体連結器は約66,000DaのM.W.を有し、そしてビオチンリガンドは、約244DaのM.W.を有する)粒子状の支持体(例えば、約1.0ミクロンの直径のマイクロ粒子)について、または非粒子状の支持体(例えば、マイクロタイタープレート)についての様々な実施形態においては、リガンド結合基(例えば、SA)の密度は、リガンド::支持体連結器複合体(例えば、ビオチン−BSA)の密度の約10%から約90%未満、様々な実施形態においては、リガンド::支持体連結器複合体の密度の約30%から約70%未満、そして様々な実施形態においては、リガンド::支持体連結器複合体の密度の約40%から約60%未満である。特異的な実施形態においては、リガンド結合基には、ビオチン結合部分(例えば、SA)が含まれ、リガンドには、支持体連結器(例えば、BSAもしくはオボアルブミン、またはそれらの混合物、あるいは、BSAもしくはオボアルブミンの断片、またはそれらの混合物)と結合したビオチンが含まれる。
様々な実施形態においては、リガンド結合基に結合させられた捕捉部分(ここでは、リガンド結合基は、順にリガンドと結合させられる)もまた不飽和である。様々な実施形態においては、マイクロ粒子またはナノ粒子支持体上の捕捉部分の密度は、リガンド結合基の密度の約10%から約90%未満であり、様々な実施形態においては、リガンド結合基の密度の約30%から約70%未満であり、そして様々な実施形態においては、リガンド結合基の密度の約40%から約60%未満である。
飽和のレベルを表現するための別の方法は、支持体と結合させることができるリガンドの最大量との比較である。様々な実施形態においては、リガンドと比較して飽和していない支持体表面は、結合させられたリガンドの100%未満を有するであろう。例えば、支持体表面上のリガンドの割合(%)は、支持体表面に配置することができるリガンドの最大量の約10%から約90%であり得る。あるいは、支持体表面上のリガンドの割合(%)は、支持体表面上に配置することができるリガンドの最大量の約20%から約80%であり得る。あるいは、支持体表面上のリガンドの割合(%)は、支持体表面上に配置することができるリガンドの最大量の約30%から約70%であり得る。支持体表面上のリガンドの最適な割合(%)(リガンドの最大量を100%として)は、最良のシグナル対ノイズ比、結合表面からのリガンドの最少量の解離、最良の安定性(用途に適した温度(単数または複数)で)、そして従来の結合表面と比較した検証実験における比較的低い分散(例えば、10%未満、より好ましくは5%、またはそれ未満)を提供するリガンドの割合(%)(または百分率の範囲)である。本出願のほかの場所に説明されるように、支持体連結器は随意的である。例えば、リガンドはビオチンまたはその誘導体であり得、これは、固相支持体表面と結合させられる。
支持体と(直接、または例えば、タンパク質を介して間接的に)結合させられるリガンドの飽和量に満たない量が原因で、リガンド結合基と捕捉部分の連続する層は不飽和であり、支持体と結合したリガンドの層の上のリガンド結合基と捕捉部分の連続する層の密度には、連続的なより小さい密度(例えば、マイクロ粒子1mgあたりの連続的なより小さいマイクロモル数、または1平方メートル当たりの連続的なより小さいマイクロモル数)が含まれるであろう。したがって、本発明のビオチン化されたマイクロ粒子の例については、支持体表面上のビオチン化されたIgG(ビオチン化された捕捉部分)の密度は、SA(ビオチン結合部分)の密度より低く、支持体表面上のSAの密度は、BSA支持体連結器(ビオチン−BSA)の密度よりも低く、これは、支持体表面上のビオチンの密度(ビオチン−BSA;SAの付加の前に推算したビオチンの密度)よりも低いであろう。
特異的な実施形態においては、表面には、ビオチン(ビオチン−BSA)が、マイクロ粒子1mgあたり約1×10−5から約5×10−2マイクロモルのビオチンの密度で、あるいは、マイクロ粒子1mgあたり約1.6×10−4から約4.9×10−4マイクロモルのビオチンの密度で含まれる。他の実施形態においては、表面には、BSA(ビオチン−BSA)が、マイクロ粒子1mgあたり約1.6×10−4から約4.9×10−4マイクロモルのBSAの密度で含まれるか、SAが、マイクロ粒子1mgあたり約1.0×10−4から約1.4×10−4マイクロモルのSAの密度で含まれるか、または、ビオチン化されたIgGが、マイクロ粒子1mgあたり約2.1×10−5から約4.1×10−5マイクロモルのビオチン化されたIgGの密度で含まれる。特異的な実施形態においては、粗い支持体表面には、ビオチン(ビオチン−BSA)が、1平方メートルあたり約1.9×10−2から約6.6×10−2マイクロモルのビオチンの密度で含まれ、BSA(ビオチン−BSA)が、1平方メートルあたり約1.6×10−2から約2.9×10−2マイクロモルのBSAの密度で含まれ、SAが、1平方メートルあたり約1.2×10−2から約1.9×10−2マイクロモルのSAの密度で含まれ、そして、ビオチン化されたIgGが、1平方メートルあたり約2.5×10−3から約5.5×10−3マイクロモルのビオチン化されたIgGの密度で含まれる。
任意のリガンドを使用する、不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ結合表面を含む支持体は、本明細書中の方法および組成物にしたがって調製することができる。例えば、オリゴヌクレオチド結合表面またはポリヌクレオチド結合表面は、支持体または支持体連結器に対するオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの、選択された入力比のうちの2つまたは3つまたは4つまたはそれ以上で、表面に対してオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを(直接、または支持体連結器を介して)結合させることによって不飽和とすることができる。それを用いて開始される通常の入力比は当該分野で公知の入力比であり、その後、段階的に(例えば、半分、8分の1、16分の1など)入力比が減少させられる。なぜなら、当該分野で公知の入力比は、一般的には、支持体表面上のリガンドの量を最大にするように選択されるからである。一旦、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが支持体表面に結合させられると、結合の効率を、当該分野で公知の任意の適切な方法(例えば、リガンドであるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに相補的な蛍光オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドについての結合した蛍光の定量)を使用して測定することができる。支持体連結器または支持体に対するリガンドオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの適切な入力比は、固定された量の結合表面(例えば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドリガンドでコーティングされた1ミクロンのマイクロ粒子のグラム数)についての表面によって生じるシグナルの量(例えば、蛍光が結合した相補性オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド)を測定することによって決定される。所望される飽和レベルは、マイクロ粒子の重量(全ての他の可変のおおよその定数)に対するシグナルの量の比が最大である場合に得られる。この一般的手順は、任意の所望される結合表面上での所望される飽和レベルを評価するために使用することができる。本明細書中で使用される場合は、オリゴヌクレオチドは、約30塩基の長さまたはそれ未満の核酸であり、ポリヌクレオチドは、約30塩基の長さまたはそれより長い核酸である。
所定の用途についての結合表面上のリガンドの最適な割合は、ビオチンをベースとする用途について本明細書中に記載される方法と同じ種類の方法を使用して当業者によって決定され得る。例えば、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドがビオチンの代わりにリガンドとして使用される場合には、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは支持体連結器(例えば、タンパク質またはヌクレオタンパク質)と結合させることができ、そして適切な固相を、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドとその支持体連結器でコーティングすることができる。安定性、脱落、または解離、シグナル対ノイズ、および検証の実験を、結合表面の単位表面積あたりのリガンドの最適な量(例えば、最大の10%から90%、最大の20%から80%、最大の30%から70%など)を得るために、本明細書中に記載されるものと同様に行うことができる。1つの従来のアプローチは、単位表面積あたりのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの量を最初に最大にし、その後、不飽和であり配向性をもつ表面を調製するために、(リガンド::支持体連結器複合体の調製において支持体連結器に対していくつかの低入力モル比のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドで)本明細書中に記載する方法を使用し、そして様々な調製物による安定性、解離、シグナル対ノイズ、および検証の結果を比較することである。
結合表面上のリガンドの配向には、リガンドの物理的な配向、すなわち、その周囲に対してリガンドの配置を調整することが含まれる。支持体連結器あたり最大量のリガンドを含む結合表面は、一般的には、複合体のリガンドに対する結合のための目的分子が入ってくることに関して、密接な間隔の隣接しているリガンドの間では立体的に接近することができずに競合する多くのリガンドが生じる。本明細書中で使用される場合は、「物理的な(構造的な)配向性」またはその文法上の等価物は、1つの部分が、複数の部分のうちの大多数が特定の方向に向いて配向される様式で操作されることを意味する。本発明の1つの実施形態においては、部分は、認識部位または結合部位が、支持体表面から実質的に離れた方向を向くように配向される。本発明の別の実施形態においては、物理的配向性を持つ部分はタンデムに結合させられる。
配向性を持たせること(orientating)は、任意のリガンド::支持体連結器の対について本明細書中の方法によって得ることができる。結合表面上のリガンドに配向性を持たせる1つの方法は、支持体連結器に対するリガンドの低入力モル比で、リガンド::支持体連結器複合体(ビオチン−BSA複合体の例が本明細書中で提供される)を調製することである。本明細書中の別の場所に記載されているように、支持体連結器に対するリガンドの低入力モル比を使用する目的は、支持体連結器あたりに結合させられたリガンドの数が制御されている複合体を作製することである。支持体連結器あたりのリガンドの数の制御(すなわち、最大未満)を行うことにより、表面上のリガンドのより良好な立体的接近性、隣接しているリガンドとの間でのより少ない相互作用、結合表面上のリガンドの間でのより均一な距離(平均)、および遊離のリガンドが実質的に含まれていない表面が提供されることによる、安定性の改善(例えば、リガンドの脱落の防止または減少)を得ることができる。
本発明の組成物および方法には、感度(シグナル対ノイズ比)、精度、アッセイの正確度(定量的アッセイ)、アッセイの再現性(定性的アッセイ)、および安定性を含むアッセイの性能についてのパラメーターに対する、ならびに、常磁性マイクロ粒子(PMP)製造プロセスの再現性(PMP製造可能性)のようなアッセイの製造についてのパラメーターに対する、またはそれらの組み合わせに対する改善が含まれる。本発明には、以下のための組成物と方法が含まれる:親和性アッセイにおいて使用される不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つビオチン結合分子(例えば、サンドイッチアッセイおよび競合アッセイにおいて固相捕捉抗体として使用される不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つビオチン化された抗体);非特異的結合または異好性界面に付随する、アッセイのノイズまたはバックグラウンドの減少;マイクロ粒子の分散の増大が原因であるアッセイシグナルの増大(利用することができる表面積および衝突頻度の増大、アッセイの拡散距離の減少);SAの不飽和または不飽和と配向性が原因である高いアッセイシグナル(大きいビオチン結合分子と小さいビオチン結合分子に結合する立体的自由度、これにより結合効率が改善される);ビオチンが結合した分子の不飽和または不飽和と配向性が原因である高いアッセイシグナル(大きいまたは小さい分析物結合基(ビオチン化された捕捉部分)および/または分析物を捕捉するかあるいはそれらに結合する立体的自由度、改善された分析物結合基(ビオチン化された捕捉部分および/または分析物の認識ならびに分析物結合基(ビオチン化された捕捉部分)特異的活性);高い生成物安定性(改善されたブロッキング効力と、表面からのSAの脱落の減少;ならびに/あるいは、マイクロ粒子表面上に不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つSAを調製するために使用されるプロセスの最適化が原因である、高い免疫測定法のロバスト性の増大とプロセスの再現性。様々な実施形態においては、不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ支持体表面上のシグナル対ノイズ比は、最適なシグナル対ノイズ比を得るために、リガンド(例えば、ビオチン)に対するリガンド結合基(例えば、SA)の様々なレベルを滴定すること、そして/またはリガンド結合基(例えば、SA)に対する捕捉部分(例えば、ビオチン化抗体)の様々なレベルを滴定することによって、高めることができる。
低入力比のビオチン化BSAでコーティングされ、ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108(BASFから入手することができる)でブロックされ、Pluronic(登録商標)F108とともに分散させられ、そしてSAでコーティングされたマイクロ粒子に基づく1つの実施形態においては、免疫測定法における最適なシグナル対のイズ比とIgG結合能力は、マイクロ粒子1mgあたり3から6マイクログラムのビオチン化IgGの、ビオチン化抗体の入力を使用して得られる。マイクロ粒子1mgあたり10マイクログラムを越えるビオチン化IgGのIgG入力を用いた場合には、IgG結合能力のシグナル対ノイズ比には有意な変化はなかった。マイクロ粒子1mgあたり3マイクログラム未満のビオチン化IgGのIgGの入力によっては、シグナル対ノイズ比とIgGの結合能力の有意な低下が生じ、抗体入力がゼロに近づくに伴い、ゼロに近づく。
本明細書中の考察と実施例、および添付の図面には、リガンドとしてビオチンを使用する本発明の実施形態が示されるが、本発明は、ビオチンを有している結合表面に限定されない。本明細書中に記載されるものは、記載される方法と組成物を使用してそのリガンドが不飽和であり得るかまたは不飽和であり配向性を持つ任意の結合表面について一般化することができる。リガンドとしてビオチンを有している結合表面についての以下の記載は、不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ結合表面を作製するための特定の組成物と方法を説明するために使用される。
さらに、本明細書中の別の場所で説明されるように、支持体連結器は随意的である。したがって、支持体連結器は本発明の1つの実施形態にすぎず、支持体連結器の記載は本発明を限定するようには意図されない。
不飽和であり配向性を持つリガンドを含む結合表面が提供される。結合表面は、目的の任意の分子を捕捉するために適している捕捉部分の表面を構築するために使用することができる。表面上のリガンドの不飽和の性質と配向性により、結合表面上へのその配置が下にあるリガンドの不飽和の性質と配向性を反映するさらなる構成成分(例えば、捕捉部分)の置換が可能である。
様々な実施形態においては、本明細書中に記載される方法にしたがって支持体連結器の上に最大数未満の数のリガンドが配置され、そして脱落が少なくなるように、支持体連結器に対してリガンドを低入力モル比で使用することによって作製される、リガンド::支持体連結器複合体が提供される。これらの複合体は、本発明の不飽和であり配向性を持つ結合表面を作製するために使用することができる。リガンド::支持体連結器複合体を作製することにおいて支持体連結器に対してリガンドを低入力比で使用する実施形態は、2価または多価のリガンド結合基が使用される場合(例えば、ビオチンがリガンドであり、2価または多価のビオチン結合タンパク質(例えば、SA)がリガンド結合基である)に特に有用であり得る。
結合表面を含むマイクロ粒子を作製するための分散剤および方法、ならびに、例えば、ビオチン結合部分(例えば、SA(リガンド結合基))を付加させる前にビオチン(リガンド)でコーティングされマイクロ粒子を分散させることにおいてPluronic(登録商標)ブロックコポリマーのようなブロックコポリマーを使用する、結合表面を有しているマイクロ粒子を作製するための方法が提供される。本明細書中で使用することができる特異的なPluronic(登録商標)ブロックコポリマー、およびそれらの数平均分子量としては、F108(約12,700〜17,400Da、約14,600Daの平均)、およびF127(約9,840〜14,600Da、約12,600Daの平均)が挙げられる。本明細書中に記載されるそれぞれのPluronic(登録商標)のブロック長は、製造業者によるおよその値である。なぜなら、正確なブロック長はバッチごとに異なるであろうからである。他の場所に明記されているか、または状況から明らかではない限りは、ブロックコポリマーの分子量は、数平均分子量として表される。
2つ以上のビオチン結合ドメイン(例えば、アミノ酸ビジン、SA、およびニュートラアビジン)を有する分子を捕捉するために使用されるコーティング表面において使用される、安定なビオチン化された分子(例えば、ビオチン−BSA、およびビオチン−オボアルブミン)を作製する方法が示される。したがってこれらは、結合アッセイの目的である他の分子を捕捉できるビオチン化された捕捉部分への結合に有用である(例えば、ビオチン化された抗体については、目的の分子は抗原である;ビオチン化された低分子については、目的の分子は酵素、抗体、またはその低分子に結合する結合タンパク質であり得る;など)。SAを捕捉するための支持体のコーティングに使用されるBSAをビオチン化する場合には、低入力比のビオチンを使用することによって調製された低入力比でビオチン化されたBSAを使用する特定の例が提供される。その後、SAを、適切なビオチン化された捕捉部分に対して複合体形成させることができる。
2つ以上のビオチン−結合ドメイン(例えば、アビジン、SA、またはニュートラアビジン)を有している分子の飽和量に満たない量を捕捉する、配向性を持たせる、および結合するための、支持体上へのビオチン化された分子のコーティングのための方法が示される。飽和量未満のSAを捕捉する、配向性を持たせる、および結合するために使用されるPMP表面上への低入力モル比でのビオチン−BSAコーティングを説明する特定の例が提供される。
ビオチン化された分子および/またはビオチン化されていない分子でコーティングされた支持体についてブロッキング剤としてブロックコポリマーを使用する方法が示される。低入力比のビオチン−BSAでコーティングされたPMPについてのブロッキング剤としてトリ−ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108を使用することを説明する特定の例が提供される。
ビオチン化された分子および/またはビオチン化されていない分子でコーティングされたマイクロ粒子について分散剤としてブロックコポリマーを使用するための方法が示される。低入力比のビオチン−BSAでコーティングされたPMPについての分散剤としてのPluronic(登録商標)F108の使用を説明する特定の例が提供される。
2つ以上のビオチン結合ドメイン(例えば、アビジン、SA、およびニュートラアビジン)を含む分子のコーティングの間に、ビオチン化された分子でコーティングされたマイクロ粒子についての分散剤としてブロックコポリマーを使用するための方法が示される。低入力比のビオチン−BSAでコーティングされたPMPの表面上にSAをコーティングする間に、分散剤としてPluronic(登録商標)F108を使用することを説明する特定の例が提供される(例えば、SAを付加させる前に低入力比のビオチン−BSAマイクロ粒子の単分散物を作製するためにPluronic(登録商標)F108を添加すること).
ビオチン化された表面に対して2つ以上のビオチン結合部位(例えば、アミノ酸ビジン、SA、またはニュートラアビジン)を含む分子の飽和量に満たない量をコーティングする、配向性を持たせて配置する、および結合させるための方法が示される。低入力比のビオチン−BSAでコーティングされたPMPの表面上に、SAの飽和量に満たない量をコーティングすること、配向性を持たせて配置すること、および結合させることを説明する特定の例が提供される。
表面上にビオチン結合分子の飽和量に満たない量を結合させる、そして状況に応じて配向性を持たせて配置するための方法が示される。親和性アッセイ(例えば、免疫測定法)に使用されるSA(すなわち、不飽和であり配向性を持つSA)で特異的にコーティングされたPMPの表面上に、飽和量未満のビオチンを含む結合体(例えば、ビオチン化抗体、Fab断片、低分子、高分子、担体分子など)をコーティングすること、配向性を持たせて配置すること、および結合させることを説明する特定の例が提供される。
親和性アッセイには、分析物と分析物に優先的に結合する分子との間での特異的相互作用または比較的特異的な相互作用に基づいて、直接または間接的に、試料中の分析物の存在またはそれらが存在しないことを決定する、ならびに/あるいは、試料中の分析物の量を定量するアッセイが含まれる。親和性アッセイには、別の物質に対する1つの物質の特異的または比較的特異的である結合親和性に少なくとも一部依存するアッセイが含まれる。親和性アッセイには、受容体とリガンドとの間、酵素とその基質との間、ポリヌクレオチドとその相補物もしくは実質的な相補物との間、低分子とその低分子に特異性を有して結合する結合タンパク質との間などでの結合相互作用によるアッセイが含まれるが、これらに限定されない。免疫測定法には、例えば、抗原とその抗原を認識する抗体との間での相互作用によるアッセイが含まれる。免疫測定法にはまた、例えば、試料中の目的の抗原に結合する抗体またはその断片を使用するアッセイも含まれる。親和性アッセイにはまた、例えば、競合アッセイおよびサンドイッチアッセイも含まれる。そのようなアッセイには、試料中の目的の抗体を検出するために表面に結合した抗原の相互作用を使用するアッセイ、および試料中の目的の抗原を検出するために表面に結合した抗体またはその断片の相互作用を利用するアッセイが含まれる。本明細書中で使用される場合は、抗原はポリペプチドまたはタンパク質に限定されず、抗原には低分子(例えば、ハプテン)および抗体(例えば、抗体をそれらを認識する他の抗体を作製するための抗原として使用することができる)もまた含まれ得る。一般的には、本明細書中で使用される抗原には、本発明の組成物または方法を使用して抗体またはその断片を用いて免疫測定法される試料中の目的の任意の分析物が含まれる。
本明細書中に記載される組成物および方法の特定の実施形態の適用は、PMP表面上へのSAの飽和量未満の配向性を持たせた配置および結合の特定の場合について、図1Aおよび1Bに示される。このプロセスの様々な工程のさらに詳細な説明は、本明細書中の別の場所に提供される。
SAに結合でき、その後、例えば、免疫グロブリンまたはその断片のようなビオチン化された捕捉部分に結合することができる、ビオチン化されたBSAを含む表面の場合について、不飽和であり配向性を持つ表面を作製するプロセスの一般的な記載が提供される。提供される考察および実施例の多くは、ビオチン/SAシステムを議論するが、本発明は、ビオチン化された表面に限定されない。
考察および実施例でビオチンが使用され、そしてビオチンは通常、2価または多価のビオチン結合部分(例えば、SA)に結合させるために使用されるので、多価のビオチン結合部分を使用するという事実は、多価リガンド結合基を使用しない多くの結合表面と遭遇しない可能性があるという特定の問題点を示すことに留意しなければならない。これらの問題のうちの1つは、SAでコーティングされたビオチン化されたマイクロ粒子を使用する場合には、共有結合していないビオチンの脱落が結合表面の能力を妨害する可能性がある(例えば、遊離のビオチンが解離して、SAと複合体を形成する可能性がある)ことである。そのような場合には、この表現形は、任意の大過剰量のビオチンでBSAをビオチン化するよりもむしろ、BSAの低入力比でのビオチン化を行うことによって減少させることができる。なぜなら、低入力比でのビオチン化によっては、BSAと結合する共有結合以外によって結合させられたビオチンの量を減少させることができるからである。
また、マイクロ粒子上の多価の部分(例えば、SA)で支持体をコーティングする場合には、SAでのコーティングの間に凝集が起こる可能性もある。これは、個々のSA分子が1つ以上のビオチンの分子に結合することが原因である。SAは、およそ56,000Daの分子量を有している四量体タンパク質であり、これは、2つ以上のビオチン結合ドメインを有している生物学的分子の特異的な例である。アビジン−ビオチン相互作用は、タンパク質とリガンドとの間での知られている最も強い非共有相互作用であり、SAの4個のサブユニットはそれぞれ、Ka=1015M−1の結合定数でビオチンと結合する。SAの四量体構造は、分子の向かい合う面に配置されたその4個のビオチン結合ドメインを生じる。SAビオチン結合ドメインのうちの1つがビオチン化された表面に結合しても、3個の占有されていないビオチン結合ドメインのうちの少なくとも2つは、なおもビオチン化された捕捉部分に結合するために立体的に利用できるであろう。アビジンとニュートラアビジンは、4個のビオチン結合ドメインを有している四量体タンパク質の他の例である;これらは、それらのpI、溶解度、および非特異的結合特性においてSAとは異なる。
ビオチン化された表面がSAに曝されると、遊離のSAは表面のビオチンと結合するであろうが、表面と結合したSAは、その後、別のマイクロ粒子と結合したビオチンに結合できる。この方法では、大きなマイクロ粒子の凝集物が形成する可能性がある。これは、SA付加工程でマイクロ粒子の単分散物を作製することによって対処することができる。
簡単に説明すると、マイクロ粒子上にビオチン−BSA表面を作製するためのプロセスは、低入力比でのBSAのビオチン化を用いて開始される。その後、低入力比でビオチン化されたBSAは、PMPの表面官能基に対するビオチン−BSAのBSAの第1級アミンの共有結合によってPMPと結合させられる。得られるビオチン化されたPMPは、一旦適切なPluronic(登録商標)の中に懸濁させられ(ブロッキング工程)、リンスされ、その後、単離される。次に、ビオチン化されたPMPが適切なPluronic(登録商標)の中に懸濁させられ(改良された分散工程)、そしてSAが添加される。マイクロ粒子は、少しの間、室温でインキュベートされ、リンスされ、その後、単離される。一旦単離されると、適切なビオチン化された分子(例えば、ビオチン化された捕捉部分)を、任意の特定のアッセイ用途のために添加することができる。
適切なPluronic(登録商標)を使用する上記ブロッキング工程によっては、本発明のリガンドをベースとする複合体を作製するために必要な特異的結合を可能にしつつ、本発明の不飽和である結合表面の別の方法では占められていない結合部位が関与している非特異的な人工的な結合事象が最少となる(図5および7)。そのようなブロッキングによっては、それが形成されると、それらの部分が、本発明の個々のリガンドをベースとする複合体に結合し、その直線的な構造的配向を促進するので、本発明のリガンドをベースとする複合体の空間的(立体的)接近性を促進し、それにより、本発明の個々の得られる捕捉部分を含む複合体が、一例として、シグナル対ノイズ比が挙げられるがこれに限定されるようには意図されない、アッセイの性能のパラメーターを最適化するように機能する可能性が高くなる。さらに、そして免疫測定法について一般的に真であるように、ブロッキング工程によってはまた、限定ではない例としてシグナル対ノイズ比を含む、アッセイの性能のパラメーターに悪影響を及ぼす可能性がある望ましくない副生成物を生じる、その構成成分および/または支持体表面が関係している免疫測定法の人工的な結合事象として記載することができる非特異的結合も最少となる。シグナル対ノイズ比に対するそのような人工的な結合事象の有害な影響は、シグナルの減少、ノイズの増大、またはそれらの両方の形態をとる可能性がある。最後に、支持体表面と結合表面の両方との特異的結合が最適化されるので、これらの表面との非特異的結合が最少となっても、支持体およびマイクロ粒子またはマイクロプレートの結合表面からの本発明のリガンドをベースとする構成成分の脱落は、それと同時に最小となる。そのような理由から、適切なPluronic(登録商標)を用いたブロッキング工程により、アッセイの感度(シグナル対ノイズ比)、アッセイの精度、アッセイの正確度(定量的アッセイ)、アッセイの再現性(定性的アッセイ)、アッセイの安定性、またはPMP製造プロセスの再現性(PMP製造可能性)、あるいは、それらの組み合わせに対して好ましい影響を与える、性能および製造の改善が生じる。
マイクロ粒子上にビオチン−BSA表面を作製するプロセスの間の、SAの付加の前の適切なPluronic(登録商標)を使用する上記の改良された分散工程により、マイクロ粒子の凝集が減少し、同時に、マイクロ粒子上に露出させられる表面積が大きくなり(図6および10)、それによって、結合に利用することができないマイクロ粒子表面上のリガンドをベースとする複合体の数を最少にすることができる。そのようなPluronic(登録商標)によって媒介される凝集の阻害は、PMP製造可能性(PMPプロセスの再現性)を高めること、ならびに、そのようなPMPが使用されるアッセイおよびキットの性能を改善することが含まれるが、これらに限定されない用途に有用である。PMP製造可能性は、PMPの個々のロットのマイクロ粒子の凝集のレベルが、PMPの製造プロセスの前、その間、およびその後に制御可能である場合には、高くなる。PMP製造プロセスの後、そのようなPMPを使用するアッセイの性能は、免疫測定法の間の試料の添加の前にPluronic(登録商標)を含む溶液に対してマイクロ粒子を接触させること、および/または免疫測定法の間の基質の添加の前にPluronic(登録商標)を含む溶液に対してマイクロ粒子を接触させることを含む手段によって最適化することができる。そのような理由から、適切なPluronic(登録商標)を用いた改良された分散工程により、アッセイの感度(シグナル対ノイズ比)、アッセイの精度、アッセイの正確度(定量的アッセイ)、アッセイの再現性(定性的アッセイ)、アッセイの安定性、またはPMP製造プロセスの再現性(PMP製造可能性)、あるいは、それらの組み合わせに対して好ましい影響を与える、性能および製造の改善が生じる。
均一な大きさ(<5%CV)の1.0μmのMyOne(登録商標)トシル活性化(それ以上の表面の活性化は必要ない)Dynal(登録商標)PMP(Invitrogen Corporation)、低入力比(4ビオチン試薬:1BSA)でビオチン化されたBSA、Pluronic(登録商標)F108トリ−ブロックコポリマー(合成の非生物学的なもの;BASF)、SA21 SA−PLUS(登録商標)(凍結(決して凍結乾燥ではない);ProZyme(登録商標))、マイクロ粒子を分離し洗浄するため(緩衝液交換)の磁石を使用する特定の実施形態についてのプロセスを図1Aおよび1Bに示される。マイクロ粒子のプロセスには、25mgのPMP/mLの濃縮、オーバーヘッド混合、および(overhead mixing)、およびプロセスの再懸濁のためにマイクロ粒子を再懸濁させ分散させるための超音波処理、プロセスのインキュベーションのためのオーバーヘッド混合、高温(38〜42℃)および室温でのプロセスのインキュベーション、BSAの第1級アミノ基を介したマイクロ粒子表面のトシル基に対してビオチン化されたBSAを共有結合させるためのトシル化学、マイクロ粒子表面のブロッキングのためのPluronic(登録商標)F108トリ−ブロックコポリマー(受動的に吸着したタンパク質を除去すること、マイクロ粒子の表面に対するタンパク質の非特異的結合を最少にすること)、PMPの単分散のためのPluronic(登録商標)F108 tri−ブロックコポリマー、およびPluronic(登録商標)F108トリ−ブロックコポリマーの存在下でのビオチン−BSA PMP中間体に対するSAの二次的結合(親和性)(SAの結合プロセスの間のマイクロ粒子の凝集を減少させる)が含まれる。
不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ表面を作製することにおいて低入力比でのビオチン化の背景にある原理を明らかにするための便利な方法は、ポアソン分布のレンズを介してビオチン化プロセスを観察することである。以下のような説明が根底にある原理を、全てのリガンドと支持体連結器の対(ビオチンとBSAだけではなく)に適用することができる。支持体連結器に対して低入力比のリガンドを使用して調製されたリガンド::支持体連結器複合体は、リガンド支持体連結器が支持体上にコーティングされると、リガンド分子のさらに好ましい配向性を生じると考えられる。リガンド分子のこのより好ましい配向性は、支持体上のコーティングの立体的接近性に寄与する。任意の特定の支持体連結器またはリガンドだけには限定されないその原理の説明のために、表現形は、本明細書中のビオチン化されたBSAを使用して記載される。以下の説明は、任意のリガンドと支持体連結器に適用され、この場合、支持体連結器は、1つ以上のリガンドと結合することができる。ビオチンとBSA以外のリガンドと支持体連結器については、支持体連結器に対するリガンドの入力比は、所望される安定性を提供する入力比を選択すること、平均置換度(λ)を決定すること、そして、適切な分布(例えば、ポアソン分布)において配向性の効果を観察することによって、実施例1(表1を参照のこと)においてBSAとビオチンについて行ったように決定することができる。
BSAのビオチン化の場合には、第1級アミン反応性ビオチン化試薬であるスルホ−NHS−LC−ビオチンを使用してビオチン化させることができる多数の可能な部位が、BSAのアミノ酸配列の中に存在する。遊離の第1級アミンを含むアミノ酸であるリジンは、BSAのアミノ酸配列の中に59回現れる。しかし、アミン反応性ビオチン化試薬と反応させるために利用することができるリジンの第1級アミンは、BSAの中には約30から35個しか存在しない。例えば、N末端アミンは、BSAの三次構造においては埋まった状態である場合があり、また、ブロックされている場合もある。分子の表面(例えば、先端、底面、側面、溝、ポケットなど)上に配置されている第1級アミンだけが、ビオチン化に利用できる。BSA1モルあたり4モルのスルホ−NHS−LC−ビオチンのモル入力比でBSAをビオチン化することによっては、平均すると、BSA分子1個あたり約1.63のビオチン分子が生じる(表1を参照のこと)ことは、経験的に決定されている。
ビオチン化のためには、BSA分子を有しているスルホ−NHS−LC−ビオチン(1モルのBSAに対して4モルのスルホ−NHS−LC−ビオチン)のランダムな反応と、BSA分子1個あたり1.63個のビオチンの平均置換度(λ)を仮定すると、ビオチン化されたBSA分子の分布は、ポアソン分布を使用して概算することができる(図3を参照のこと:BSAのうちの20%は0個のビオチンを有する;BSAのうちの32%は1個のビオチンを有する;BSAのうちの26%は2のビオチンを有する;BSAのうちの14%は3個のビオチンを有する;BSAのうちの6%は4個のビオチンを有する;BSAのうちの2%は5個のビオチンを有する;そして、BSAのうちの<1%は6個のビオチンを有する)。図3に示されるように、ポアソン分布から、ビオチン−BSA複合体のうちの少なくとも50%が、選択されたビオチン:BSAのモル入力比で支持体連結器(すなわち、BSA)1個あたり3個未満または3個のビオチンを有することが明らかである。分布からはまた、選択されたモル入力比では、BSA分子1個当たり0個から6個のビオチンが結合させられることも明らかである。
低入力比でビオチン化されたBSAは、支持体と共有結合させることができる。なぜなら、BSAは、第1級アミン化学に利用することができる第1級アミンを30個から35個有しているからであり、ポアソン分布は、BSAの0個から6個の第1級アミンが、低入力比でのビオチン化の後にビオチンに結合させられると予想する。したがって、約24から35個の第1級アミンは、第1級アミン化学(例えば、トシル、エポキシ、カルボジイミドなど)により支持体に対してそれぞれのBSA分子を共有結合させるためになおも利用することができる。複数の利用することができる第1級アミンは、支持体の官能基に対するBSAの結合効率を改善する場合があり、そして、複数の結合点(すなわち、BSA分子1個あたり1個以上の支持体対BSA共有結合)によって安定性を改善する場合がある。
ビオチン化試薬についての製造業者の説明書(Pierce Chemical Co.,Avidin−Biotin Chemistry:A Handbook,M.Savageら、第2版,1992,34頁)にしたがうと、タンパク質1モルあたり2.5モルのビオチンでビオチン化タンパク質されたもまた、タンパク質のプールの間でガウス(ベル型)分布を生じることができる。プールの中のいくつかのタンパク質にはビオチンが取り込まれていない場合があるが、ほとんどのものには、2〜3モルのビオチンが取り込まれており、プールのうちの極めて小さな割合は、5モルのビオチンを取り込むことができる。ビオチンは任意の利用することができる第1級アミンと結合することができるので、それぞれのBSA分子上の様々な利用できるアミンに結合させられたビオチンと、様々なビオチン−BSA結合体が生じる可能性は極めて高い。
どこまで低い入力比でビオチン化されたBSAを使用できるかの説明は図4に示される。これは、ビオチン−BSA第1級アミノ基またはスルフヒドリル官能基に共有結合させるために使用された表面官能基(すなわち、カルボン酸、トシル活性化されたもの、エポキシなど)を有している1.0ミクロンのトシル活性化マイクロ粒子固相に対する、低入力比のビオチン−BSAの結合を示す。得られる支持体は不飽和であり、その表面上のビオチンに対して配向性を持つ。
ビオチン−BSA結合体(リガンド::支持体連結器複合体)は、BSA分子1個あたり様々な数のビオチンを有することができ、BSA分子の配向性と表面ビオチンの位置はランダムであるので、ビオチン−BSA結合体は、溶液中に伸びるそれらのビオチンが結合表面として立体的に利用でき、そして支持体表面に面しているこれらのビオチンが結合表面としては立体的には利用できないように支持体表面と結合するであろう。
最も商業的に利用されているマイクロ粒子はポリスチレン系のものであり、マイクロ粒子表面に対するタンパク質の吸着は受動的に(例えば、疎水性相互作用および/またはイオン性相互作用による)、そして非特異的に起こる。トシル活性化マイクロ粒子が示されているが、支持体は、ビオチン−BSA官能基(例えば、BSAの第1級アミノ基またはスルフヒドリル基)に共有結合することができる任意の適切な官能基(例えば、カルボン酸、エポキシなど)で活性化させることができる。BSA分子の表面上の個々のイプシロンアミンが同じpKを有する場合は、BSA表面上でのビオチンの分布は、ガウス分布であるはずである(Pierce Chemical Co.,Avidin−Biotin Chemistry:A Handbook.M.Savageら、第2版,1992,34頁)。図4は、1.0ミクロンの支持体に対して、BSA分子1個あたり1.63個のビオチンの平均置換度(λ)を有しているビオチン−BSAを共有結合させることによって作製された不飽和表面を説明する。説明から見ることができるように、本明細書中では、不飽和は、低入力比のビオチン化BSAで支持体をコーティングすることによって、少なくとも一部行われる。
支持体上に不飽和結合表面を得るための別の方法には、支持体連結器に対するリガンドの選択されたモル入力比で、リガンド::支持体連結器複合体を調製すること、得られるリガンド:支持体連結器複合体の稀釈された調製物を調製すること、およびリガンド::支持体連結器複合体を支持体と結合させるプロセスにおいて、リガンド::支持体連結器複合体の稀釈された調製物を使用して支持体をコーティングすることが含まれる。少なくとも2価のビオチン結合部分に結合するビオチン化された表面については、選択されるモル入力比は、脱落が原因である性能の低下を小さくするために、支持体連結器に対するビオチンの低いモル入力比が好ましい。この方法においては、低入力比は、得られる支持体の不飽和の特性の原因ではなく、これは、支持体と結合したリガンドの不飽和の性質が、支持体連結器あたりのリガンドの量を制限することによるのではなく、むしろ、支持体上の単位面積あたりのリガンド::支持体連結器複合体の濃度を制限することによって得られる。したがって、例えば、この方法を使用して、BSAを、BSA1モルあたり4モルのビオチンの過剰なモル入力比でビオチンと結合させることができるが、ビオチン化は、結合表面にある共有結合以外によって結合させられたビオチンの量を減少させるために、ビオチンの低入力比で行われることが好ましい。
多くの状況においては、支持体連結器に対するリガンドの高モル入力比(例えば、BSA1モルあたり約20モル以上のビオチン化試薬のモル入力比)でBSAをビオチン化させる(または、任意のリガンドを任意の支持体連結器と結合させる)ことは望ましくない、および/または無駄が多い可能性があるが、この方法を用いて、そのような高入力比で調製されたリガンド::支持体連結器複合体(例えば、ビオチン−BSA)はまた、不飽和である結合表面を作製するためにも使用できる。したがって、支持体連結器あたりのリガンド(例えば、BSAあたりのビオチン)の平均置換度(λ)を限定することとは無関係に、支持体上のリガンドの飽和度の限定は、支持体に対してリガンド::支持体連結器複合体を結合させる反応において、リガンド::支持体連結器複合対の濃度を限定することによって行うことができる。飽和の程度は、さらに、例えば、反応温度を制御すること(例えば、吸熱性の結合反応については冷却、または発熱性の結合反応については加熱)による反応の速度の制御、より遅いかまたは反応性の低い結合化学反応を選択すること、反応時間を制限することなどによって制御することができる。
上記のように、ほとんどの市販されているマイクロ粒子はポリスチレン系のものである。そのような表面に対する、例えば、疎水性相互作用および/またはイオン性相互作用を介する受動的なタンパク質の吸着は公知である。非特異的結合を減少させるためにブロッキング剤(例えば、少なくとも1つのPluronic(登録商標))を使用することが、本明細書中で議論される。そのような薬剤は、本明細書中の別の場所に詳細に開示され、これらは結合表面を含むマイクロ粒子の単分散物、または実質的に単分散性の調製物を作製することにおいても有用である。
固相についてのブロッキング剤としての、および低入力比のビオチン化BSAでコーティングされたマイクロ粒子についてのブロッキング剤としてPluronic(登録商標)ブロックコポリマーを使用する特定の場合についてのブロックコポリマーの使用が、図5に説明される。この説明はPluronic(登録商標)F108(M.W.約13,518Da;親水性親油性バランス(HLB)=27)についてのものである。Pluronic(登録商標)F108は、固相の露出している疎水性ポリマー表面をブロックし、共有結合したタンパク質を除去することなく受動的に吸着したタンパク質に置き換わる、除去する、または剥がし取る。その後、表面は、Pluronic(登録商標)テールの中に表面ヒドロキシルが存在することが原因で、親水性のままとなる。
支持体表面と結合する能力を有しており、周辺の媒体に向かって比較的親水性であるテールをもまた伸ばす任意の適切なブロックコポリマーを使用することができる。トリ−ブロックコポリマー(例えば、BASFによるPluronic(登録商標)F108)は、約17から約69個の単量体単位の長さの1つの疎水性ポリプロピレン(PRO)頭部基を有し、それぞれが1から約129個の単量体単位の長さの2つの親水性ポリエチレン(PEO)テールを有する。トリ−ブロックコポリマーの親水性親油性バランス(HLB)は、PPO頭部基とPEOテールの長さまたは大きさに直接関係があり、HLB値は1(水中で不溶性)から29(水中で高度に可溶性)までであり得る。PPO頭部基が少なくとも56個の単量体単位の長さである場合には、トリ−ブロックコポリマーの頭部基は、疎水性プローブとして作用できるだけではなく、疎水性表面に対して強く結合することもできるが、これは、同じ疎水性表面と競合し、そして別の分子に置き換わる可能性がある。両方のPEOテールが少なくとも105個の単量体単位の長さである場合には、これらは、固相表面から離れて溶液の中に向かって伸びるであろう。それぞれのPEOテールの末端にあるヒドロキシル基は、テールが十分に長く、溶液の中で左右に運動することに関して自由であり、そしてヒドロキシルテールが固相支持体表面に対する受動的なタンパク質の吸着または際吸着を妨げる立体的バリアとして作用するので、親水性の微環境を提供する。
理論的に有用な表面積に基づいて、1.5g/cm3の密度(マイクロ粒子1mgあたり38.83から48.77cm2)の密度を有している0.82から1.03ミクロンの球形のマイクロ粒子の滑らかな表面と、Pluronic(登録商標)F127分子の理論上の界面表面積(15.1から20.0nm2)を仮定すると、マイクロ粒子表面上のPluronic(登録商標)F127の理論上の単層は、マイクロ粒子1mgあたり約4.05×10−4から約5.43×10−4nmolのPluronic(登録商標)F127までであると計算される。5−(4,6−ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン(5−DTAF)で標識されたPluronic(登録商標)F127の蛍光分析は、約3.68×10−4から約8.37×10−4nmolのPluronic(登録商標)F127が、0.82から1.03ミクロンの球形のマイクロ粒子1マイクログラムあたりに結合することを示していた。
血球計による分析を使用して、全てのポリスチレン系PMPの凝集物を完全に破壊し、マイクロ粒子の単分散物を生じさせるために必要な、Pluronic(登録商標)F108、Pluronic(登録商標)F127、およびTetronic(登録商標)908の最少濃度を決定した。濃度の最適化実験は、Pluronic(登録商標)F108が、約5mM(0.007%w/v)から約500mM(0.67%w/v)までの濃度で、単量体と二量体だけのマイクロ粒子の単分散物を生じたことを示していた。Pluronic(登録商標)F127は、約6.67mM(0.009%w/v)から約33.33mM(0.043%w/v)までのマイクロ粒子の単量体、二量体、および三量体、ならびに、約50mM(0.064%w/v)から約667mM(0.850%w/v)までの単量体、二量体、および大きな凝集物を生じた。しかし、Tetronic(登録商標)908は、試験した最大濃度で凝集物を生じた。Pluronic(登録商標)F108は、約0.4%w/vから約0.6%w/vまでの濃度でビオチン−BSA PMPブロッキング剤として作用した。本発明の他の実施形態においては、Pluronic(登録商標)F108は、約0.1%w/vから約1.0%w/v、または約0.5%w/vから約0.75%w/vの濃度で添加された。
2つ以上のビオチン結合ドメインを有しているビオチン結合分子を付加する前の、ビオチン化分子でコーティングされたマイクロ粒子についての分散剤としてのブロックコポリマーの使用が、ビオチンでコーティングされたマイクロ粒子に対するSAの付加の前に分散剤としてPluronic(登録商標)F108を使用する特異的な実施形態について、図6に示される。示される説明においては、Pluronic(登録商標)F108は、単分散を促進するため、そして表面に対する非特異的結合をブロックするための両方に使用される。少なくとも2価のビオチン結合分子の付加は、Pluronic(登録商標)F108の存在下、またはそれが存在しない条件において示される。Pluronic(登録商標)F108が存在しない場合には、マイクロ粒子は、ビオチン結合分子の付加の間に凝集してしまう可能性がある。Pluronic(登録商標)F108の存在下では、マイクロ粒子は、ビオチン結合分子の付加の間およびその後は単分散物である。
分散工程は、最適な結果のための特定の状況下で行われることが好ましい。なぜなら、例えば、2つ以上のビオチン結合ドメイン(例えば、アビジン、SA、またはニュートラアビジン)を有しているビオチン結合部分と結合させられる、ビオチン−BSAを提示するビオチン化されたマイクロ粒子は、個々のビオチン結合部分の2つ以上のビオチン結合ドメインを介するビオチン化されたマイクロ粒子の架橋が原因で、凝集するかまたはかたまる傾向を示す。
(例えば、ビオチン結合部分1個あたり2個以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なリガンド結合基(ビオチン結合部分)でコーティングされた)ビオチン化されたマイクロ粒子は、別のビオチン化されたマイクロ粒子上にある結合されていない接近することが可能なビオチン(リガンド)を有している1つのビオチン化されたマイクロ粒子上のビオチン結合部分の占有されていない接近することが可能な結合ドメインの結合が原因で、凝集するまたはかたまる傾向を有する。マイクロ粒子の凝集は、極めて高濃度またはモル過剰量のビオチン結合部分(例えば、アビジン、SA、ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、またはニュートラアビジンの断片)を含む継続して混合される溶液に対して、ビオチン化されたマイクロ粒子をゆっくりと滴定する(すなわち、1滴ずつ添加する)ことによって減少させることができる。このアプローチは、架橋が起こり得る前に、ビオチン結合分子を有しているマイクロ粒子の表面のビオチンを飽和させることによって、マイクロ粒子の凝集を減らすことができる。しかし、滴定のアプローチは、極めてコスト効果が低く、確実な作業であり、その理由は、制御するための複数のパラメーターが存在し、そして特定のビオチン結合部分のコストが原因で極めて高価であり得るからであるが、これにより、選択されたビオチン結合部分でのコーティングの後にマイクロ粒子の単分散物を生じさせることができる。
Pluronic(登録商標)のようなブロックコポリマーの使用は、上記のゆっくりとした滴定のアプローチについての優れた代替えであり得る。Pluronic(登録商標)F108(BASFによって製造されたトリ−ブロックコポリマー)は、約56個の単量体単位の長さの1つの疎水性ポリプロピレン(PPO)頭部基と、約129個の単量体単位の長さの2つの親水性ポリエチレン(PEO)テールを有する。Pluronic(登録商標)F108のPPO頭部基は、疎水性プローブとして作用し、タンパク質または固相支持体表面(例えば、マイクロ粒子支持体表面)上の疎水性パッチまたは部位に対して強く結合する。結果として、Pluronic(登録商標)F108は、表面タンパク質の相互作用(すなわち、疎水性のタンパク質相互作用またはイオン性のタンパク質相互作用)が原因であるマイクロ粒子の凝集を破壊させるために使用することができる。PEOテールは、親水性微環境を提供し、疎水性相互作用またはイオン性相互作用が原因であるタンパク質の再結合を防ぐための立体的バリアとして作用することができる。結果として、一旦、マイクロ粒子がPluronic(登録商標)F108で処理されると、これらは、溶液の中では極めて親水性が高く単分散物となる。
本発明の1つの実施形態により、マイクロ粒子を含む改良された親和性アッセイが提供される。この実施形態においては、分散したマイクロ粒子の集団(例えば、マイクロ粒子の単分散集団)が、ブロックコポリマー(例えば、Pluronic(登録商標)F108またはF127)を使用して調製される。その後、分散したマイクロ粒子は、従来の親和性アッセイに取り込まれる。マイクロ粒子が分散させられていることが原因で、親和性アッセイは高い感度(シグナル対ノイズ比)、高いアッセイ精度、高いアッセイの正確度(定量的アッセイ)、および高いアッセイの再現性(定量的アッセイ)を有するであろう。
Pluronic(登録商標)F108およびSAでコーティングされたマイクロ粒子の特異的な場合についての分散工程においてブロックコポリマーを使用することの説明が、図6および図7に示される。
図7は、低入力比のビオチン化BSAでコーティングされ、Pluronic(登録商標)F108でブロックされたマイクロ粒子を示す。これらは、0.4%から0.6%(w/v%)のPluronic(登録商標)F108の中に分散させられたかまたは再懸濁させられる。一旦、ビオチン化されたマイクロ粒子が単分散物となると、SAが、ビオチン化されたマイクロ粒子をコーティングするために付加される。SA(M.W.約56kDa)はBSA(M.W.約66kDa)よりもわずかに小さいので、おそらく、1つのSA分子だけが1つのビオチン−BSA分子と立体的に結合できる(たとえ、BSAが複数の接近可能なビオチンを有している場合でも)。加えて、全てのBSA分子が利用できるビオチンを有しているわけではない(上記のポアソン分布についての議論を参照のこと)。したがって、結合表面上に捕捉されたSA分子の総数は、支持体表面と結合したBSA分子の総数よりも少なく、そして、SAは、結合表面上では不飽和であろう(単位表面積あたりのSA分子の最大量よりも少ないであろう)(実施例11を参照のこと)。
支持体表面がビオチン化された合成の分子または生物学的分子(リガンド::支持体連結器複合体)でコーティングされた後、これは、2つ以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なリガンド結合基(ビオチン結合部分)の飽和量に満たない量を捕捉するため、あるいはそれらを捕捉して配向性を持たせて配置するために使用することができる。ビオチン結合ドメインが、それぞれのビオチン結合部分の反対向き、もしくはほぼ反対向きの末端または側面に配置されると仮定すると、そのビオチン結合ドメインのうちの少なくとも1つは、固相ビオチンと結合し、一方、反対側にあるかもしくはほぼ反対側にあるその残りのビオチン結合ドメインは、ビオチン化された捕捉部分(例えば、ビオチン化された抗体または抗原)と結合するために利用されるであろう。
上記で議論されたように、ビオチン化されたマイクロ粒子は、ビオチン結合部分の付加の前に約0.4%から約0.6%のPluronic(登録商標)F108(トリ−ブロックコポリマー)の中にビオチン化されたマイクロ粒子を分散させることによって、または、極めて高濃度またはモル過剰量のビオチン結合部分を含む持続的に混合される溶液の中にビオチン化されたマイクロ粒子をゆっくりと滴定する(例えば、1滴ずつ)ことによって、マイクロ粒子を凝集させることなく、2個以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なリガンド結合基(ビオチン結合部分)でコーティングすることができる。
実際には、Pluronic(登録商標)F108は、約0.1%から約1.0%(w/v%)、あるいは約0.4%から約0.6%(w/v%)までの濃度で、低入力比のビオチン化BSAでコーティングされたマイクロ粒子を分散させた。一旦ビオチン化されると、マイクロ粒子は、約0.4%から約0.6%(w/v%)のPluronic(登録商標)F108溶液の中で処理され、分散させられると、低レベルのまたは少量のSAを、マイクロ粒子の凝集または塊を形成させることなく、ビオチン化されたマイクロ粒子に加えることができた。このプロセスによっては、特異的なビオチン結合部分(例えば、SA)のコーティングの後にマイクロ粒子の単分散物が生じた。このプロセスは、上記のマイクロ粒子の滴定方法よりもはるかにコスト効果が高く、2つ以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なリガンド結合基(ビオチン結合部分)を有しているビオチン化されたマイクロ粒子をコーティングするための極めて確実な(robust)再現性のある方法である。
したがって、少なくとも1つの実施形態においては、ブロックコポリマーを、非特異的結合を減少させるため、およびマイクロ粒子の単分散の促進を助けるための両方に、約0.1%w/vから約1.0%w/vまで、または約0.4%から約0.6%(w/v%)までの濃度で使用することができる。
不飽和であり配向性を持つ結合表面を作製することについての1つの目的は、親和性アッセイのための構成成分を構築するための土台または基礎を提供することである。本発明にしたがって構築された基部のリガンド::支持体連結器複合体は不飽和であり配向性を持つので、このリガンド::支持体連結器複合体上に組み立てられた任意の構成成分は、その不飽和である性質と配向性を反映するであろう。そのような構造の一例が図8に示される。
図8は、以下によって調製されたビオチン特異的マイクロ粒子結合表面上のビオチン化された捕捉部分のコーティングを示す:(1)低入力比のビオチン化されたBSAでの表面のコーティング;(2)トリ−ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108での表面のブロッキング;(3)2つ以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なビオチン結合部分(例えば、SA)の付加の前のPluronic(登録商標)F108の中へのマイクロ粒子の分散;および(4)表面へのSAの付加。得られるSAでコーティングされたマイクロ粒子は、目的の任意のビオチン化された捕捉部分の飽和量ではない量を配向性を持たせて配置し、そして捕捉するために使用することができる。
図8は、SAでコーティングされたマイクロ粒子が、以下を含む、目的の特定のビオチン化された捕捉部分の飽和量ではない量を配向性を持たせて配置し、そして捕捉するために使用される方法を説明する:(A)抗体のFab断片(Ig Fc領域が存在しないことにより、非特異的結合の問題を減少させるか、または緩和することができる);(B)免疫グロブリン(ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体);ならびに(C、D、およびE)それぞれ、合成のものであるか生物学的なものであるかにはかかわらず、低分子、中分子、および/または高分子。目的の任意のビオチン化された捕捉部分には、例えば、分子とビオチン部分との間にスペーサーが含まれ得る。
スペーサーは、比較的小さいビオチン化された分子の場合に特に有用であり得る。SA分子の中のビオチン結合ドメインは表面下に9オングストローム埋め込まれているおで、ビオチン化された低分子(例えば、約1.000Da未満の分子量を有しているもの)は、立体障害が原因で大きな免疫測定法のトレーサー(検出可能な結合基)によっては検出できない場合がある。より大きな結合能力とより高い検出感度は、それらに結合させられたスペーサーアームを有しているビオチン誘導体を使用することによって、または大きなビオチン化された分子(すなわち、担体分子)に対して低分子を結合させることによって実現することができる。
それらが有用である程度について、中分子または高分子から低分子を区別するための指針は以下の様式で表すことができる:低分子は、一般的には、約5,000Da未満の分子量であると考えられる;中分子は、約5,000以上から約150,000Daまでの分子量であると一般的に考えられる;高分子は、一般的には、約150,000Daを超える分子量のものであると考えられる。
本発明にしたがって結合表面を有しているマイクロ粒子を作製することにおける本発明の特定の態様は図9Aおよび9Bに説明される。
図9Aおよび9Bは、本発明にしたがって調製されたビオチン結合マイクロ粒子(例えば、SAでコーティングされたマイクロ粒子)上への、飽和量未満のビオチン化抗体またはビオチン化されたFab断片の配向性を持たせた配置とコーティングを説明する。
本発明にしたがって調製されたSAでコーティングされたPMPは、免疫測定法の感度を改善する(シグナル対ノイズ比を高める)ことができる。なぜなら、ビオチンに結合する固相は、ビオチン化された捕捉部分(例えば、分析物特異的であるビオチン化抗体またはFab断片)の飽和量に満たない量を配向性を持たせて配置し、そして捕捉するために使用することができる。アッセイの感度は、個々のSAでコーティングされたマイクロ粒子の支持体表面積あたりのSA分子の総数の減少により、ビオチン化された捕捉抗体の結合能力の低下が生じるので改善されるが、改善された立体的な自由度が原因で、ビオチン化された捕捉抗体の結合能力は改善される。すなわち、表面上に最大量に満たない量のSA分子を提供することの目的は、大きなビオチン化された捕捉部分(例えば、ビオチン化された抗体)に結合して、個々のSA分子の結合効率を改善するための、個々のSA分子の立体的自由度を改善することである。
図9Aは、従来の、または標準的なSAでコーティングされたマイクロ粒子表面を説明する。ここでは、SAは、第1級アミンまたは他の結合化学反応によってマイクロ粒子表面上に直接コーティングされ、そして表面はBSAを使用してブロックされる。そのような従来の、または標準的な表面上では、SA分子は、特異的に不飽和であることはないか、または表面上に配向性は持たない。すなわち、結合はランダムである。ビオチン化された抗体またはFab断片を付加することによっては、表面上でSAがランダムな配向性を持つことが原因で、主に不飽和ではないかまたは配向性を持たない結合表面が生じる。抗体またはFabが密集することによっては、特に、抗原が高分子である場合に、立体的なバリア(接近性が低い)が生じ得、そして抗原捕捉効率が低下し得る。
図9Bは、本発明にしたがって作製されたSAでコーティングされたマイクロ粒子結合表面を説明する。この結合表面上では、SA分子は不飽和であり(マイクロ粒子の単位結合表面積あたりのSA分子の総数の減少)、そして表面上に配向性を持つ。マイクロ粒子支持体表面は、低入力比のビオチン化されたBSAで共有結合によってコーティングされ、そしてPluronic(登録商標)F108でブロックされる。ビオチン化されたマイクロ粒子は、その後、SAの付加の前にPluronic(登録商標)F108の中に分散させられる。SAの結合は特異的であり、ランダムではない。
本発明にしたがって作製されたSAマイクロ粒子結合表面に対するビオチン化抗体またはビオチン化されたFab断片の結合は、SA分子もまた結合表面上で不飽和であり、配向性を持つことが原因で、不飽和であり配向性を持つ。ビオチン化抗体またはビオチン化されたFab断片の配向性と不飽和の性質は、特に抗原が高分子である場合に、抗原(分析物)捕捉効率を促進する(シグナルが大きくなる)。加えて、マイクロ粒子の表面は、Pluronic(登録商標)F108ブロッカーが原因で親水性であり、表面に対する非特異的結合は最少となるか、または排除される(ノイズが減少する)。
本発明の別の特徴が図10に示される。これは、マイクロ粒子の単分散に伴う利用可能な表面積の増大を示す。
図10、パネルAは、マイクロ粒子対マイクロ粒子の表面相互作用が原因でマイクロ粒子が凝集または凝塊することを示す。この凝集によっては、(1)利用することができるマイクロ粒子の全表面積(なぜなら、凝集の内側にある全ての表面積が立体的に利用できるわけではない(接近できるわけはないからである)と、(2)結合表面上のビオチン結合部分(例えば、SA)の結合能力と効力のいずれもが低下し、それにより、アッセイシグナルの低下が生じるであろう。
図10、パネルBは、本発明のマイクロ粒子が大きな結合表面積を有していることを示し、これにより、結合表面上へのビオチン結合部分(例えば、SA)の結合能力の改善と、結合効力の改善が生じ、これにより、アッセイシグナルの増大が生じる。単分散マイクロ粒子は、凝集したマイクロ粒子またはマイクロ粒子の塊よりも大きな合計の利用可能な表面積を有し、これらは、高い衝突頻度と低いアッセイの拡散距離が原因で、改善されたアッセイの運動速度論を提供するであろう。
本発明のマイクロ粒子は、低入力比でビオチン化されたBSA結合表面が、ブロックコポリマー(例えば、トリ−ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108)でブロックされ、ビオチン化されたマイクロ粒子が、上記のようにSA分子の付加の前にPluronic(登録商標)F108の中に分散させられるように設計される。もちろん、Pluronic(登録商標)F108は、この実施形態の一例にすぎない。本発明の任意のブロックコポリマーをこの様式で使用できることが理解される。
本発明のマイクロ粒子は、リガンドとしてのビオチンと、支持体連結器としてのBSAまたはオボアルブミンのいずれかを使用して作製された。SAでコーティングされたマイクロ粒子、ならびに、特異的な捕捉部分を有しているマイクロ粒子もまた作製された。これらの実験の結果は以下で、そして実施例において議論される。
ビオチン化反応においてビオチンのモル入力比を変化させることの効果を実験した。これは、実施例1に示される。3.4:1から30:1までの範囲のBSAに対するビオチンの様々なモル入力比でのBSAのビオチン化を行い、ビオチン化の程度を決定し、そして、4℃と37℃で3日間の安定性を決定した(表1を参照のこと)。安定性の低下は、少なくとも一部、ビオチン−BSA結合体からのビオチンまたはビオチン試薬の脱落あるいは解離を反映する(図11)。結果は、ビオチンの高いモル入力比(例えば、8:1、15:1、および30:1)で調製したビオチン−BSAは低い安定性を示すが、BSAに対するビオチン試薬のモル入力比が30:1から4:1にまで低下するに伴い、安定性は4%から100%まで改善することを示していた。したがって、支持体連結器に対するリガンドの比較的低い入力比を選択すること、そして固相に対してリガンド::支持対連結器複合体を結合させることにより、リガンドとしてビオチンを有している従来の方法で調製された結合表面よりも安定な結合表面が生じる。
任意の入力比で調製されたリガンド::支持体連結器複合体で(そして特に、支持体連結器に対するリガンドの高入力比で調製されたリガンド::支持体連結器複合体で)支持体表面をコーティングすることにより不飽和である結合表面を作製することは、その調製後に、支持体表面上にそれがコーティングされる前に、リガンド::支持体連結器複合体に対して適切な分散剤を付加することによってうまく進めることができる。この方法に適している分散剤は本明細書中で議論される。不飽和である表面を調製するためにBSAに対するビオチンの低入力比で調製されたビオチン−BSAとともに適切な分散剤を使用するための説明が本明細書中に提供されるが、分散剤を使用する方法はビオチン化コーティングに限定されない。
固相支持体(例えば、マイクロ粒子)の凝集を防ぐために適切な分散剤を使用して不飽和である結合表面を作製するための方法が提供される。この方法は、マイクロ粒子の比較的分散性のある(例えば、ほぼ単分散である)調製物が所望されるという観察に少なくとも一部基づく。
この方法は、マイクロ粒子の凝集が起こり得る場合、例えば、リガンドがビオチンであり、ビオチンがSAでコーティングされる場合に使用することができる。分散方法は、リガンド結合基が少なくとも2価である場合、すなわち、1つの少なくとも2価であるビオチン結合部分(例えば、SA)が、別のマイクロ粒子上にあるビオチン−BSA分子のビオチンと1つのマイクロ粒子上のビオチン−BSA分子のビオチンを架橋することができる場合に、特に有用である。リガンド::支持体連結器複合体がビオチン−BSAであり、リガンド結合基(ビオチン結合部分)がSAである場合の実施形態についての分散方法の説明が、以下、および実施例2において、本明細書中に提供される。しかし、先に説明されるように、この方法はビオチン/SA結合表面に限定されない。
分散剤(例えば、ブロックコポリマー)は、不飽和結合表面を作製するための方法において使用することができる。本明細書中に提供される説明においては、ブロックコポリマーは、2つ以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なビオチン結合部分(リガンド結合基)の付加の前に、合成のまたは生物学的なリガンド::支持体連結器複合体でコーティングされたマイクロ粒子について分散剤として使用される。本明細書中に提供される説明においては、ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108が使用される;しかし、この方法は、この説明の特定のブロックコポリマーに限定されない。
一般的には、図7は、2つ以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なビオチン結合部分(リガンド結合基)で、合成のまたは生物学的なビオチン化表面をコーティングすることを説明する。さらに具体的には、図7は、Pluronic(登録商標)F108でブロックされ、そしてSAの付加の前にPluronic(登録商標)F108の中に分散させられた、低入力比でビオチン化されたBSAマイクロ粒子結合表面表上へのSAのコーティングを説明する。
本明細書中に提供される方法および組成物は、固相支持体表面についての不飽和コーティングを調製することにおいて使用することができる。この場合、コーティングには、支持体表面と結合したリガンド::支持体連結器複合体、リガンド::支持体表面連結器複合体のリガンドと結合したリガンド結合基(ビオチン結合部分)、そしてリガンド結合基と結合した捕捉部分(例えば、ビオチン化された捕捉部分)が含まれる。捕捉部分は、任意の目的の分子(例えば、分析物)の捕捉を容易にするように選択することができる。ビオチン/SAシステムについての説明が、以下と、図8に提供されるが、本発明はビオチン/SAシステムに限定されない。
不飽和結合表面は、支持体表面上に2つ以上のビオチン結合ドメインを含む、合成のまたは生物学的なリガンド結合基(ビオチン結合部分)の飽和量に満たない量を配向性を持たせて配置すること、そして結合させることによって設計することができる。この表面は、マイクロ粒子(例えば、PMP)の表面上にSAの飽和量に満たない量を配向性を持たせて配置し、提供する例によって説明することができる。図8は、以下によって調製されたビオチンに結合するマイクロ粒子結合表面上にビオチン化された捕捉部分をコーティングすることによって作製された、不飽和であり配向性を持つ結合表面を説明する:(1)低入力比でビオチン化されたBSAで表面をコーティングすること;(2)トリ−ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108で表面をブロックすること;(3)(2つ以上のビオチン結合ドメインを含む合成のまたは生物学的なビオチン結合部分を付加する前に)Pluronic(登録商標)F108の中にマイクロ粒子を分散させること;そして、(4)ビオチン結合部分としてSAを付加すること。図8に示されるように、SAでコーティングされたマイクロ粒子を使用して、例えば、以下のようなビオチン化された捕捉部分の飽和量に満たない量を配向性を持たせて配置し、そして/または捕捉するために使用することができる:(A)抗体のFab断片(Ig Fc領域が存在しないことにより、非特異的結合の問題を減少させるか、または緩和することができる);(B)免疫グロブリン(ポリクローナルおよび/またはモノクローナル抗体);ならびに(C、D、およびE)それぞれ、合成のものであるか生物学的なものであるかにはかかわらず、低分子、中分子、および/または高分子。
図8は、ビオチン/SAシステムを使用する、不飽和である結合表面上のビオチン化された捕捉部分を説明する。マイクロ粒子の表面に共有結合した低入力比でビオチン化されたBSAは、トリ−ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108でブロックされ、マイクロ粒子はSAの付加の前にPluronic(登録商標)F108の中に分散させられ、SAが付加され、その後、所望されるビオチン化された捕捉部分が、不飽和であるSAでコーティングされた表面に露出させられる。示されるビオチン化された捕捉部分の例としては、(図8の左から右に向かって:ビオチン化されたFab断片(約30,000DaのM.W.)、ビオチン化された抗体(IgG、約150,000DaのM.W.);ビオチン化された低分子またはスペーサーアームを有しているビオチン化された低分子(例えば、約5,000Da未満のM.W.);ビオチン化された中分子または低分子用の担体としてのビオチン化された中分子(例えば、約5,000Daから約150,000DaのM.W.);および、ビオチン化された高分子(例えば、約150,000Daより大きいM.W.)が挙げられる。図8から見ることができるように、固相支持体の表面にあるビオチン−BSAの配向性と不飽和の性質は、不飽和であるSAでコーティングされた表面に反映され、不飽和である捕捉部分のコーティングにもまた反映される。Pluronic(登録商標)F108の疎水性の頭部基は、支持体表面と結合と結合した状態で示され、そしてPluronic(登録商標)F108の親水性テール基は、支持体表面から離れて伸びるように示される。
本発明の不飽和結合表面は、通常、市販されている結合表面よりも低い結合能力を有する。ビオチン/SAシステムを使用する一例が提供される(表2、実施例2を参照のこと)。単位表面積あたりより少ない数のSA分子でコーティングされた支持体は、本質的に、ビオチンに結合する能力が低いであろう。なぜなら、表面がより少ない数のビオチン結合部位を有しているからである。表面上に最大量に満たない量のSA分子を提供することの目的は、大きなビオチン化された捕捉部分(例えば、ビオチン化抗体)に結合する個々のSA分子の立体的自由度を改善すること、および個々のSA分子の結合効率を改善することである。
実施例2は、結合能力が低いが、アッセイシグナルを大きくする、結合表面上に配向性を持つ、飽和量未満の分子を持たせること、それによって、親和性アッセイのためのより良好な、そしてより効率のよい結合表面が得られることを説明する。本発明のマイクロ粒子は、同様の、商業的に利用されている、従来の、または標準的な製品との比較においては結合能力の低下を示すが(例えば、表2を参照のこと)、高いアッセイ能力を示す(例えば、表3および表4を参照のこと)。より低いバックグラウンドと高いシグナル応答が原因である高いシグナル対ノイズ比は、高いアッセイ性能を反映する。全体的には、これらの結果は、本発明によって、市販されているSAでコーティングされたマイクロ粒子よりも低い結合能力を有しているが、マイクロ粒子表面上でのストレプトアビジンの配向性と立体的な接近性、そして新規の結合表面のブロッキングが原因で高いアッセイの性能を有している、SAでコーティングされたマイクロ粒子の生産が可能となることをサポートする。
実施例3は、本発明の分散工程にしたがって作製したマイクロ粒子が、凝集物または塊を実質的に含まないマイクロ粒子の単分散物の集団を生じることを説明する。
図4は、SAでコーティングされたマイクロ粒子の特異的な実施形態においては、本発明のマイクロ粒子が、従来の、または標準的なマイクロ粒子と比較して、SAの不飽和である性質と配向性、高い表面ブロッキング、および改善された結合効率が原因で、さらに好ましいシグナル対ノイズ比の特徴を示すことを説明する。
実施例5は、本発明のマイクロ粒子を使用した非特異的結合の減少を説明する。本発明のマイクロ粒子における非特異的結合は、分析物が固相上のコーティングとの結合について優先性を有する、例えば、BSAについては、T3(トリヨードチロニン)およびT4(チロキシン)のような甲状腺ホルモンの優先性を有する場合は、アッセイにおいてさらに減少する。
実施例6は、支持体のコーティングのための本発明のプロセスが再現性があり信頼性があり、診断用の親和性アッセイについて望ましい特徴であることを確認実験を通じて立証する。
実施例7は、本発明のマイクロ粒子が、SAでコーティングされたマイクロ粒子の特定の実施形態について、複数の検証のロットにおいて高い安定性を示したことを示す。実施例8は、本発明のマイクロ粒子の中のリガンドの脱落が問題ではないことを立証し、そして実施例9は、BSAの代わりにオボアルブミンを用いて作製した本発明の結合表面を示す。
議論のほとんど、および実施例の多くは、それに対して複合体形成させられたリガンドを有している支持体連結器で支持体表面をコーティングすることにより、不飽和である表面を作製することを記載する。ここでは、支持体連結器にはタンパク質が含まれ、不飽和であるか、または不飽和であり配向性を持つ結合表面は、様々な方法において本発明を使用して得ることができる。例えば、支持体連結器は、非タンパク質、例えば、ポリマーであり得る。ポリマーは、リガンドと反応し、複合体を形成するように官能化させることができるか、あるいは、ポリマー/リガンド対を、ポリマー上に自然に存在する官能基が特異的な条件設定のもとでリガンドの官能性と結合するであろうように選択することができる。ポリマー上の反応基または官能基の数は、いくつかの反応基を不活化させることによって制御することができ、それにより、ポリマー分子1個当たり結合させられるリガンドをより少なくすることができる。
ポリマー/リガンド複合体はまた、ポリマーを含まないリガンドで稀釈することができ、希釈された混合物は、不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ結合表面を作製するために支持体表面をコーティングするために使用することができる。1種類のポリマー、またはポリマーの混合物を使用することができる。
したがって、様々な実施形態においては、本発明には、ポリマーに結合させられたリガンドを含む、親和性アッセイのための結合表面を含む支持体が含まれる。ここでは、リガンドは、表面上で不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ。その後、リガンドを含む支持体を、本明細書中に記載される任意の適切な方法にしたがって処理することができる。様々な実施形態においては、表面には、リガンドが全く結合させられていないポリマーの混合物と、リガンドが結合させられたポリマーが含まれる。様々な実施形態においては、支持体はマイクロ粒子であり、結合表面はブロックコポリマーでブロックされ、アッセイは免疫測定法であり、そしてリガンドは、それ自体が捕捉部分(例えば、修飾されたかもしくは未修飾の免疫グロブリンまたはその断片)と結合することができる少なくとも2価のリガンド結合基に結合する。
特定の実施形態においては、リガンドは、支持体連結器を使用することなく支持体表面に直接結合させることができる。これらの実施形態においては、リガンドと反応させることができる官能基を有している支持体表面が、リガンドを支持体に結合させるために十分な条件下でリガンドと接触させられる。様々な実施形態においては、結合は、活性化されたリガンドと、これもまた活性化させることができる支持体表面との間での共有結合である。リガンドの不飽和は、支持体表面に結合するリガンドの数を制御することによって行うことができる。様々な実施形態においては、支持体表面には、所定の条件設定のもとでリガンドと反応することができる複数の官能基が含まれる。支持体表面は、反応条件を操作するか、または支持体表面上の官能基の数を減少させる薬剤を添加するかのいずれかによって、リガンドと反応することができる官能基の数が少なくなるような様式で処理することができる。その後、リガンドを含む支持体表面を、本明細書中に記載される任意の適切な方法にしたがって処理することができる。
したがって、本発明によってはまた、リガンドでコーティングされた支持体表面も提供される。この場合、リガンドは、支持体表面の表面上では不飽和である。様々な実施形態においては、結合表面は、ブロックコポリマーでブロックされ、アッセイは免疫測定法であり、そしてリガンドは、それ自体が捕捉部分(例えば、修飾されたかもしくは未修飾の免疫グロブリンまたはその断片)と結合できる少なくとも2価のリガンド結合基に結合する。様々な実施形態においては、支持体表面上のリガンドの密度は、支持体連結器に結合させられたリガンドを記載している実施形態について本明細書中で記載された範囲内である。任意の適切なリガンド(例えば、免疫グロブリンまたはその断片、オリゴヌクレオチド、およびレクチン)を、支持体表面に直接結合させるために使用できる。他の実施形態においてそうであるように、リガンドにはリンカーが含まれ得、そしてリンカーを支持体表面に結合させることができる。
本発明は、マイクロ粒子(例えば、PMP)の表面上にSAのようなリガンドの飽和量に満たない量を配向性を持たせて配置し、そして結合させるために提供される。市販されているビオチン結合表面(例えば、Dynal(登録商標)DYNABEADS(登録商標)MyOne Streptavidin T1、およびDYNABEADS M−280 Streptavidin)は、最大のビオチン結合能力を有するように設計される。市販されているビオチン結合表面は、通常、マイクロ粒子の表面上にSAまたは他のビオチン結合分子を直接コーティングすることによって生産することができる。対照的に、本発明によっては、低入力比でビオチン化されたBSAでマイクロ粒子をコーティングするため、Pluronic(登録商標)F108でビオチン−BSAマイクロ粒子をブロッキングするため、Pluronic(登録商標)F108の中にブロックされたビオチン−BSAマイクロ粒子を分散させるため、最後に、SAでビオチン−BSAマイクロ粒子をコーティングするために提供される。
本発明のマイクロ粒子は、不飽和であること、および配向性、高い表面ブロッキング、そして改善された結合効率が原因で、より好ましいシグナル対ノイズ比の特徴を示す。これは、実施例で示されるように、SAでコーティングされた低入力比でビオチン化されたBSAマイクロ粒子について示される。
本発明の方法および組成物は、当該分野で公知の任意の適切なアッセイ(例えば、任意の適切な親和性アッセイ)または当該分野で公知の免疫測定法(不飽和であるかまたは不飽和であり配向性を持つ表面を有利であるように使用できる場合)(タンパク質−タンパク質親和性アッセイ、タンパク質−リガンド親和性アッセイ、核酸親和性アッセイ、間接的な蛍光抗体アッセイ(IFA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫測定法(RIA)、および酵素免疫測定法(EIA)、直接もしくは間接的なアッセイ、競合アッセイ、サンドイッチアッセイなどを含むがこれらに限定されない)と組み合わせて使用できる。適切なアッセイ形式としては、本明細書中の実施例において使用されるアッセイおよび形式が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法および組成物は、当該分野で公知の任意の支持体(例えば、適切な固体支持体)と組み合わせて使用することができる。そのような固相支持体の例が議論されるが、本発明は説明のために議論される支持体に限定されない。例えば、固相支持体は、粒子状の支持体、マイクロ粒子、ポリスチレンマイクロ粒子、マイクロタイタープレート、コーティングされたチューブなどに限定されない。他の固相支持体もまた本発明とともに使用することができ、これには、親和性アッセイと組み合わせて使用される当該分野で公知の任意の支持体が含まれるが、これらに限定されない。例えば、マイラーが裏打ちされた(mylar−backed)ニトロセルロース、および/またはナイロンを含む固相支持体を使用することができる。例えば、フィルターまたは膜を含む固相支持体を使用することができる。微小管、ナノ粒子、またはナノチューブ(例えば、カーボンナノチューブ)を含む固相支持体を使用することができる。固相支持体には、任意の大きさのマイクロ粒子が含まれ得、大きな平面的な表面積を有している固相支持体を使用することができる。
本発明の方法および組成物は、シグナル対ノイズ比の改善が所望される任意のアッセイと組み合わせて使用することができる。例えば、不飽和であり、適切なブロックコポリマー(例えば、Pluronic(登録商標))で処理された本発明の結合表面は、側方流動アッセイおよび/または拡散アッセイに使用される平面的な、または実質的に平面的な固相支持体の上に調製することができる。側方流動アッセイの一例は、試料が結合表面上に配置され(固定される場合も、固定されない場合もある)、そして液相中の1つ以上の分析用の試薬が試料の上に通過させられ(拡散アッセイにおいては、表面全体への拡散による)、そして分析物が、液相の中の試薬と接触した場合には適切なシグナルによって検出され、そして/または定量される場合である。側方流動アッセイの別の例は、1つ以上の分析用の試薬が結合表面上に配置され(固定される場合も、固定されない場合もある)、そして液相中の試料が1つ以上の分析用の試薬の上に通過させられ(拡散アッセイにおいては、表面全体への拡散による)、そして試料中の分析物が、結合表面上の1つ以上の分析試薬と接触した場合には適切なシグナルによって検出される、そして/または定量される場合である。側方流動アッセイの別の例は、本発明に従う不飽和結合表面を含む検査である。側方流動および/または拡散アッセイは、平面的な支持体の1つの結合表面を越えて液体が移動することを制限しない;そのようなアッセイには、膜またはフィルターを通り抜ける液体の移動が含まれ、この場合、膜またはフィルターには不飽和結合表面が含まれる。したがって、様々な実施形態においては、側方流動アッセイのため、および/または拡散アッセイのための結合表面が提供され、さらに、本明細書中に記載される任意の実施形態にしたがって、側方流動アッセイおよび/または拡散アッセイのための結合表面を作製するための方法と組成物が提供される。
別の態様においては、免疫測定法における本明細書中に記載される任意の方法および組成物の使用が提供される。様々な実施形態においては、支持体連結器と結合した支持体およびリガンド上に配置された複数の支持体連結器を含む不飽和結合表面を有している支持体の免疫測定法における使用が提供される。ここでは、リガンドは不飽和であり、そして立体的に接近可能なリガンドを提供する様式で表面上に配向性を持たせられる。特異的な実施形態においては、ビオチン化されたタンパク質を含む結合表面(リガンド::支持体結合体複合体)、アビジン、SA、ニュートラアビジン、SAの断片、アビジンの断片、ニュートラアビジンの断片、またはビオチン化されたタンパク質のビオチン部分と結合したそれらの混合物から選択される少なくとも2価のビオチン結合部分と、少なくとも2価のビオチン結合部分(リガンド結合基)と結合したビオチン化された免疫グロブリンまたはその断片(ビオチン化された捕捉部分)を有しているマイクロ粒子が、試料中の目的の分析物(例えば、抗原)の免疫測定法に使用される。別の実施形態においては、ビオチン化されたタンパク質のビオチン部分と結合させられる少なくとも2価のビオチン結合部分が、ビオチン化された抗原またはその断片(ビオチン化された捕捉部分)と結合させられ、そしてマイクロ粒子が、試料中の目的の分析物(例えば、抗体)についての免疫測定法に使用される。免疫測定法に使用される組成物の特徴と、組成物を作製する方法には、本明細書中に記載される特徴のうちのいずれか(例えば、表面の構成成分の密度を記載する特異的な実施形態を含む)が含まれる。
本発明の方法、組成物、およびキットは、任意の適切な免疫測定法システムとともに使用されるように適応させることができる。適切な免疫測定法システムの例としては、Access(登録商標)Immunoassay System、Access(登録商標)2 Immunoassay System、Synchron LXi(登録商標)725 Clinical System、UniCel(登録商標)DxI 800 Access(登録商標)Immunoassay System、IMMAGE(登録商標)Immunochemistry System(全てBeckman Coulter,Inc.による)、およびTriage(登録商標)システム(Biosite,Inc.)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの適切な免疫測定法アレイシステムは、A2(登録商標)Microassayシステム(Beckman Coulter,Inc.)である。
それについての親和性アッセイが設計される用途に応じて、分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対のメンバーのうちの1つ、あるいは他のメンバーとして機能する可能性がある物質の限定ではないリストが、以下に項目別に示される。そのような物質は、例えば、捕捉部分(分析物結合基)として使用することができ、また、本発明とともに使用することができる捕捉部分を作製するために(例えば、特異的な抗体を作製するためのハプテン/抗原としてそれらを使用することによって)使用することもできる。親和性アッセイ(免疫測定法を含む)は、それらが試料中の分析物である場合には、そのような物質の存在および/またはレベルを検出するために、本発明にしたがって設計することができる。特異的な実施形態においては、本発明の分析物に結合する捕捉部分は、以下の様式で試料中の分析物としてこれらの物質を検出するために使用することができる:捕捉部分は、本発明にしたがってSAでコーティングされた固相支持体表面で(例えば、低入力比でビオチン化されたBSAコーティングを用いて、それらの上にSAで)ビオチン化させ、それと結合させることができ、そのような物質を捕捉するために使用することができる。あるいは、以下に列挙される物質は、本発明にしたがってSAでコーティングされた固相支持体表面でビオチン化することができ、そしてそれと結合させることができ、そしてそれらと相互作用する分子(例えば、列挙される物質、結合タンパク質、または酵素に特異的な抗体あるいはそれらの断片)を捕捉するために使用することができる。
分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対のメンバーの一方、あるいは他方として機能し得る物質の限定ではないリストには以下が含まれる:誘導性一酸化窒素合成酵素(iNOS)、CA19−9、IL−1α、IL−1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−t、IL−5、IL−7、IL−10、IL−12、IL−13、sIL−2R、SIL−4R、sIL−6R、SIVコア抗原、IL−1RA、TNF−α、IFN−γ、GM−CSF;PSA(前立腺特異的抗原)のイソ型(例えば、PSA、pPSA、BPSA、inPSA、非−α1−抗キモトリプシン複合体化PSA、α1−抗キモトリプシン複合体化PSA)、前立腺カリクレイン(例えば、hK2、hK4、およびhK15、ek−rhK2、Ala−rhK2、TWT−rhK2、Xa−rhK2、HWT−rhK2、および他のカリクレイン);HIV−1 p24;フェリチン、Lフェリチン、トロポニンI、BNP、レプチン、ジゴキシン、ミオグロビン、B型ナトリウム利尿ペプチドまたは脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP);ヒト成長ホルモン、骨アルカリホスファターゼ、ヒト卵胞刺激ホルモン、ヒト黄体ホルモン、プロラクチン;ヒト絨毛性ゴナドトロピン(例えば、CGα、CGβ);サイログロブリン;抗サイログロブリン;IgE、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、B.anthracis防御抗原、B.anthracis致死因子、B.anthracis胞子抗原(spore antigen)、F.tularensis LPS、S.aureasエンテロトキシンB、Y.pestis莢膜F1抗原、インシュリン、αフェトプロテイン(例えば、AFP300)、ガン胎児性抗原(CEA)、CA 15.3抗原、CA 19.9抗原、CA 125抗原、HAV Ab、HAV Igm、HBc Ab、HBc Igm、HIV1/2、HBsAg、HBsAb、HCV Ab、抗p53、ヒスタミン;ネオプテリン;s−VCAM−1、セロトニン、sFas、sFasリガンド、sGM−CSFR、s1CAM−1、チミジンキナーゼ、IgE、EPO、内性因子Ab、ハプトグロビン、抗カルジオリピン、抗dsDNA、抗Ro、Ro、抗La、抗SM、SM、抗nRNP、抗ヒストン抗体、抗Scl−70、Scl−70、抗核抗体、抗セントロメア抗体、SS−A、SS−B、Sm、U1−RNP、Jo−1、CK、CK−MB、CRP、虚血によって修飾されるアルブミン(ischemia modified albumin)、HDL、LDL、oxLDL、VLDL、トロポニンT、トロポニンI、ミクロアルブミン、アミラーゼ、ALP、ALT、AST、GGT、IgA、IgG、プレアルブミン、抗ストレプトリジン、クラミジア、CMV IgG、toxo IgG、toxo IgM、アポリポタンパク質A、アポリポタンパク質B、C3、C4、プロペルジン因子B、アルブミン、α1−酸糖タンパク質、α1−抗トリプシン、α1−ミクログロブリン、α2−マクログロブリン、抗ストレプトリジンO、抗トロンビン−III、アポリポタンパク質A1、アポリポタンパク質B、β2−ミクログロブリン、セルロプラスミン、補体第3成分(complement C3)、補体第4成分、C反応性タンパク質、DNase B、フェリチン、遊離のκ軽鎖、遊離のλ軽鎖、ハプトグロビン、免疫グロブリンA、免疫グロブリンA(CSF)、免疫グロブリンE、免疫グロブリンG、免疫グロブリンG(CSF)、免疫グロブリンG(尿)、免疫グロブリンGサブクラス、免疫グロブリンM、免疫グロブリンM(CSF)、κ軽鎖、λ軽鎖、リポタンパク質(a)、ミクロアルブミン、プレアルブミン、プロペルジン因子B、リウマチ因子、フェリチン、トランスフェリン、トランスフェリン(尿)、風疹IgG、サイログロブリン抗体、トキソプラズマIgM、トキソプラズマIgG、IGF−I、IGF−結合タンパク質(IGFBP)−3、ヘプシン(hepsin)、pim−1キナーゼ、E−カドヘリン、EZH2、およびa−メチルアシル−CoAラセミ化酵素、TGF−β、IL6SR、GAD、IA−2、CD−64、好中球CD−64、CD−20、CD−33、CD−52、チトクロームP450のイソ型、s−VCAM−1、sFas、sICAM、B型肝炎表面抗原、トロンボプラスチン、HIV p24、HIV gp41/120、HCV C22、HCV C33、ヘモグロビンA1c、およびGAD65、IA2。
それについての親和性アッセイが設計される用途に応じた、分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対の一方、あるいは他方のメンバーとして作用し得、そして本発明とともに使用することができる適切な物質には、WHO International Laboratories for Biological Standards(当該分野で周知の物質を列挙する、2005年6月30日に更新されたhttp:/www.who.int/bloodproducts/re_materialsで入手することができる;このリストは引用により本明細書中に組み入れられる)によって維持され、そして特性決定され、そして/または分け与えられる任意のWHO International Biological Reference Preparationsに特異的な部分(例えば、抗体またはその断片)も含まれる。
物質の後ろの括弧書きのWHOコードによって特定されるそのような適切な国際的な参照標準物の部分的なリストには以下が含まれる:ヒト組み換え体トロンボプラスチン(rTF/95)、ウサギトロンボプラスチン(RBT/90)、甲状腺刺激抗体(90/672)、組み換え体ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(98/714)、高分子量のウロキナーゼ(87/594)、前立腺特異的抗原(96/668)、前立腺特異的抗原90:10(96/700);ヒト血漿タンパク質C(86/622)、ヒト血漿タンパク質S(93/590)、関節リウマチ血清(W1066)、血清アミロイドAタンパク質(92/680)、ストレプトキナーゼ(00/464)、ヒトトロンビン(01/580)、ウシ結合トロンボプラスチン(bovine combined thromboplastin)(OBT/79)、抗Dポジティブ対照静脈内免疫グロブリン(02/228)、島細胞抗体(97/550)、リポタンパク質a(IFCC SRM 2B)、ヒトパルボウイルスB19 DNA(99/800)、ヒトプラスミン(97/536)、ヒトプラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(92/654)、血小板因子4(83/505)、プレカリクレイン活性化因子(82/530)、ヒト脳CJD対照およびヒト脳の散発性CJD調製物1およびヒトの脳の散発性CJD調製物2およびヒトの脳の変異体CJD(注釈;それぞれ、WHO TRS ECBS Report No.926、第53版Report、脳ホモジネートの中に記載されている)、ヒト血清補体成分C1q、C4、C5、B因子、および完全な機能的補体CH50(W1032)、ヒト血清免疫グロブリンE(75/502)、ヒト血清免疫グロブリンG、A、およびM(67/86)、ヒト血清タンパク質アルブミン、α−1−抗トリプシン、α−2−マクログロブリン、セルロプラスミン、補体第3成分、トランスフェリン(W1031)、抗−D陰性対照静脈内免疫グロブリン(02/226)、A型肝炎RNA(00/560)、B型肝炎表面抗原サブタイプadw2遺伝子型A(03/262および00/588)、B型肝炎ウイルスDNA(97/746)、C型肝炎ウイルスRNA(96/798)、HIV−1 p24抗原(90/636)、HIV−1 RNA(97/656)、HIV−1 RNA遺伝子型(10 I01/466のセット)、ヒトフィブリノーゲン濃縮物(98/614)、ヒト血漿フィブリノーゲン(98/612)、惹起させられたA2ヘモグロビン(89/666)、惹起させられたFヘモグロビン(85/616)、ヘモグロビンシアニド(98/708)、低分子量のヘパリン(85/600および90/686)、未分画のへパリン(97/578)、血液凝固因子VIIIおよびフォン・ヴィレブランド因子(02/150)、ヒト血液凝固因子VIII濃縮物(99/678)、ヒト血液凝固因子XIII血漿(02/206)、ヒト血液凝固因子II、VII、IX、X(99/826)、ヒト血液凝固因子IlおよびX濃縮物(98/590)、ヒトガン胎児性抗原(73/601)、ヒトC反応性タンパク質(85/506)、組み換え体ヒトフェリチン(94/572)、アポリポタンパク質B(SP3−07)、β−2−ミクログロビン(B2M)、ヒトβ−トロンボグロビン(83/501)、ヒト血液凝固因子IX濃縮物(96/854)、ヒト血液凝固因子IXa濃縮物(97/562)、ヒト血液凝固因子V Leiden、ヒトgDNA試料FV野生型、FVLホモ接合型、FVLヘテロ接合型(03/254、03/260、03/248)、ヒト血液凝固因子VII濃縮物(97/592)、ヒト血液凝固因子VIIa濃縮物(89/688)、ヒト抗梅毒血清(HS)、ヒト抗破傷風免疫グロブリン(TE−3)、ヒト抗トロンビン濃縮物(96/520)、ヒト血漿抗トロンビン(93/768)、ヒト抗サイログロブリン血清(65/93)、抗トキソプラズマ血清(TOXM)、ヒト抗トキソプラズマ血清(IgG)(01/600)、ヒト抗帯状疱疹ヘルペス免疫グロブリン(W1044)、アポリポタンパク質A−1(SP1−01)、ヒト抗インターフェロンβ血清(G038−501−572)、ヒト抗麻疹血清(66/202)、抗核リボヌクレオタンパク質血清(W1063)、抗核因子(同種)血清(66/233)、抗パルボウイルスB19(IgG)血清(91/602)、抗ポリオウイルス血清1型、2型、3型(66/202)、ヒト抗狂犬病免疫グロブリン(RAI)、ヒト抗風疹免疫グロブリン(RUBI−1−94)、抗平滑筋血清(W1062)、ヒト抗二本鎖DNA血清(Wo/80)、ヒト抗E完全血液型血清(human anti−E complete blood−typing serum)(W1005)、ヒト抗エキノコックス血清(ECHS)、ヒト抗A型肝炎免疫グロブリン(97/646)、ヒト抗B型肝炎免疫グロブリン(W1042)、ヒト抗E型肝炎血清(95/584)、抗ヒト血小板抗原−1a(93/710)、抗ヒト血小板抗原5b(99/666)、ヒト抗インターフェロンα血清(B037−501−572)、ヒトαフェトタンパク質(AFP)、アンクロッド(ancrod)(74/581)、ヒト抗A型血液血清(W1001)、ヒト抗B型血液血清(W1002)、ヒト抗C全血液型血清(W1004)、抗D(抗Rh0)全血液型試薬(99/836)、ヒト抗D(抗Rh0)不完全血液型血清(W1006)、およびヒト抗D免疫グロブリン(01/572)。
それについての親和性アッセイが設計される用途に応じて、分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対の1つあるいは他のメンバーとして機能し得る適切な物質の他の例には、化合物を認識することができる抗体を作製するためのハプテンとして使用することができる化合物が含まれ、これには、以下からなる任意の塩、エステル、またはエーテルが含まれるがこれらに限定されない:ホルモン(プロゲステロン、エストロゲン、およびテストステロン、プロゲスチン、コルチコステロイド、およびデヒドロエピアンドロステロンを含むがこれらに限定されない)ならびに、WHOによって国際的な参照基準として列挙されている任意の非タンパク質/非ポリペプチド抗原。物質の後ろに括弧書きされたWHOコードによって特定される、そのような適切な国際的な参照基準の部分的なリストには以下が含まれる:ビタミンB12(WHO81.563)、葉酸(WHO95/528)、ホモシステイン、トランスコバラミン、T4/T3、および引用により本明細書中に組み入れられるInternational Biological Reference PreparationsのWHOカタログ(WHOウェブサイト、例えば、2005年6月30日に更新されたページhttp://www.who.int/bloodproducts/ref_materials/で入手することができる)に開示されている他の物質。本明細書中に記載される方法および組成物には、上記のWHO参照標準物または参照標準物を含む混合物の1つ以上が含まれ得る。
少なくとも1つの実施形態においては、本発明により、2つ以上の様々な捕捉部分を有している結合表面が提供される。
それについての親和性アッセイが設計される用途に応じて、分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対の1つの、あるいは他のメンバーとして作用し得る物質の他の例としては、薬物の乱用(drugs of abuse)が挙げられる。薬物の乱用には、例えば、薬物とそれらの代謝物(例えば、血液中、尿中、および他の生物学的物質の中に存在する代謝物、ならびにそれらの任意の塩、エステル、またはエーテル)の以下のリストが挙げられる:ヘロイン、モルヒネ、ヒドロモルフォン、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニル、デメロール、メタドン、ダルフォン、スタドール、タルウィン、パレゴリック、ブプレネックス;覚醒剤、例えば、アンフェタミン、メタンフェタモン;メチルアンフェタミン、エチルアンフェタミン、メチルフェニデート、エフェドリン、シュードエフェドリン、エフェドラ、マ・フアン(ma huang)、メチレンジオキシアンフェタミン(MDS)、フェンタミン(phentermine)、フェニルプロパノールアミン;アミフェナゾール、ベミグリド、ベンズフェタミン、ブロマタン、クロロフェンタミン(chlorphentermine)、クロプロパミド、クロテタミド(crothetamide)、ジエチルプロピオン、ジメチルアンフェタミン、ドキサプラン、エタミバン、フェンカムファミン(fencamfamine)、メクロフェノキサート、メチルフェニデート、ニケタミド、ペモリン、ペンテトラゾール、フェンジメトラジン、フェンメトラジン、フェンテルミン(phentermine)、フェニルプロパノールアミン、ピクロトキシン、ピプラドール、プロリンタン、ストリキニーネ、シネフリン、フェンシクリジンおよびアナログ、例えば、エンジェルダスト(angel dust)、PCP、ケタミン;抑制剤、例えば、バルビツール酸誘導体、グルテチミド(gluthethimide)、メタカロン、およびメプロバメート、メトヘキシタール、チアミル、チオペンタール、アモバルビタール、ペントバルビタール、セコバルビタール、ブトアルビタール、ブトアバルビタール、タルブタール、およびアプロバルビタール、フェノバルビタール、メフォバルビタール;ベンゾジアゼピン、例えば、エスタゾラン、フラゼパム、テマゼパム、トリアゾラム、ミダゾラム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロアゼブ酸塩、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、キアゼパム、クロナゼパム、フルニトラゼパム;GBH薬、例えば、ガンマヒドロキシル酪酸およびガンマブチロラクトン;グルテチミド、メタクアロン(methaqualone)、メプロバメート、カリソプロドール、ゾルピデム、ザレプロン;カンナビノイド薬、例えば、テトラヒドロカンナビノールおよびアナログ;コカイン、3−4メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA);ハルシノジェン、例えば、メスカリンおよびLSD。
それについての親和性アッセイが設計される用途に応じて、分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対の1つの、あるいは他のメンバーとして作用し得る物質の他の例としては、認められている市場において一般的にめぐり合えるもの、または、性能向上補助剤(ergogenic aid)として使用されるもの)を含む、性能の強化に関係があるステロイドおよび他の薬物が挙げられ、例えば、以下の化合物、およびそれらの任意の塩、エステル、またはエーテルが含まれる:テストステロン(例えば、エナント酸塩、シピオン酸塩、およびプロピオン酸塩のような部分とのそのエステルを含む)、ジヒドロテストステロン(DHT)、テトラヒドロゲストリノン、ナンドロロン、ノルテストステロン、メテノロン、スタノゾロール、メタンドロステノロン、メタンジエノン、アンドロステンジオン(例えば、5a−アンドロスタン−3、17−ジオン)、アンドロステンジオール、例えば、1−アンドロステンジオール(3β,17β−ジヒドロキシ−5α−アンロドスト−1−エン;)、4−アンドロステンジオール(3b,17b−ジヒドロキシ−アンドロスト−4−エン)、5−アンドロステンジオール(3b,17b−ジヒドロキシ−アンドロスト−5−エン)、アンドロステンジオン、例えば、1−アンドロステンジオン([5a]−アンドロスト−1−エン−3,17−ジオン)、4−アンドロステンジオン(アンドロスト−4−エン−3,17−ジオン)、5−アンドロステンジオン(アンドロスト−5−エン−3,17−ジオン)、ノルアンドロステンジオン、19−ノルアンドロステンジオール、19−ノルアンドロステンジオン、ノルアンドロステンジオール、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、ボルデノン、フルオキシメステロン、メタンドリオール、メチルテストステロン、オキサドロロン、オキシメトロン、トレンボロン、クロステボール、デヒドロクロロメチルテストステロン、ドロモスタノロン、エピトレンボロン、ゲストリノン、メステロロン、メタンジエノン、メテノロン、ノルエタンドロロン、オキサドロロン、オキシメトロン、テトラヒドロゲストリノン(THG)、トレンボロン、クレンブトロール、および以下を含む、Anabolic Steroid Control Act of 2004(引用により本明細書中に組み入れられる)に含まれているステロイド:3b,17b−ジヒドロキシ−5a−アンドロスタン;3a,17b−ジヒドロキシ−5a−アンドロスタン;アンドロスタンジオン,ボラステロン(7a,17a−ジメチル−17b−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、ボルデノン(17b−ヒドロキシアンドロスト−1,4−ジエン−3−オン)、カルステロン(7b,17a−ジメチル−17b−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、クロステボール(4−クロロ−17b−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、デヒドロクロロメチルテストステロン(4−クロロ−17b−ヒドロキシ−17a−メチル−アンドロスト−1,4−ジエン−3−オン)、4−ジヒドロテストステロン(17b−ヒドロキシ−アンドロスタン−3−オン)、ドロスタノロン(17b−ヒドロキシ−2a−メチル−5a−アンドロスタン−3−オン)、エチルエストレノール(17a−エチル−17b−ヒドロキシエルテル−4−エン)、フルオキシメステロン(9−フルオロ−17a−メチル−11b,17b−ジヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、ホルメボロン(2−ホルミル−17a−メチル−11a,17b−ジヒドロキシアンドロスト−1,4−ジエン−3−オン)、フラザボール(17a−メチル−17b−ヒドロキシアンドロスタノ[2,3−c]−フラザン)、18a−ホモ−17b−ヒドロキシエルテル−4−エン−3−オン(13b−エチル−17b−ヒドロキシゴン−4−エン−3−オン)、4−ヒドロキシテストステロン(4,17b−ジヒドロキシ−アンドロスト−4−エン−3−オン)、4−ヒドロキシ−19−ノルテストステロン(4,17b−ジヒドロキシ−エステル−4−エン−3−オン)、エスタノロン(17a−メチル−17b−ヒドロキシ−5a−アンドロスタン−3−オン)、メステロロン(1a−メチル−17b−ヒドロキシ−[5a]−アンドロスタン−3−オン)、メタンジエノン(17a−メチル−17b−ヒドロキシアンドロスト−1,4−ジエン−3−オン)、メタンドリオール(17a−メチル−3b,17b−ジヒドロキシアンドロスト−5−エン)、メテノロン(1−メチル−17b−ヒドロキシ−5a−アンドロスト−1−エン−3−オン)、エチルテストステロン(17a−メチル−17b−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、ミボレロン(7a,17a−ジメチル−17b−ヒドロキシエルテル−4−エン−3−オン)、ナンドロロン(17b−ヒドロキシエルテル−4−エン−3−オン)、ノルアンドロステンジオール、19−ノル−4−アンドロステンジオール(3b,17b−ジヒドロキシエステル−4−エン)、19−ノル−4−アンドロステンジオール(3a,17b−ジヒドロキシエステル−4−エン)、19−ノル−5−アンドロステンジオール(3b,17b−ジヒドロキシエステル−5−エン)、19−ノル−5−アンドロステンジオール(3a,17b−ジヒドロキシエステル−5−エン)、ノルアンドロステンジオン、19−ノル−4−アンドロステンジオン(エステル−4−エン−3,17−ジオン)、19−ノル−5−アンドロステンジオン(エステル−5−エン−3,17−ジオン)、ノルボレトン(18a−ホモ−17b−ヒドロキシプレグナ−4−エン−3−オン)、ノルクロステボール(4−クロロ−17b−ヒドロキシエルテル−4−エン−3−オン)、ノルエタンドロロン(17a−エチル−17b−ヒドロキシエルテル−4−エン−3−オン)、オキサドロロン(17a−メチル−17b−ヒドロキシ−2−オキサ−[5a]−アンドロスタン−3−オン)、オキシメステロン(17a−メチル−4,17b−ジヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、オキシメトロン(17a−メチル−2−ヒドロキシメチレン−17b−ヒドロキシ−[5a]−アンドロスタン−3−オン)、スタノゾロール(17a−メチル−17b−ヒドロキシ−[5a]−アンドロスト−2−エノ[3,2−c]−ピラゾール)、ステンボロン(17b−ヒドロキシ−2−メチル−[5a]−アンドロスト−1−エン−3−オン)、テストラクトン(13−ヒドロキシ−3−オキソ−13,17−セコアンドロスタ−1,4−ジエノ−17−イック酸ラクトン)、1−テストステロン(17b−ヒドロキシ−5a−アンドロスト−1−エン−3−オン)、テストステロン(17b−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3−オン)、テトラヒドロゲストリノン(13b,17a−ジエチル−17b−ヒドロキシゴン−4,9,11−トリエン−3−オン)、トレンボロン(17b−ヒドロキシエルテル−4,9,11−トリエン−3−オン)。
それについての親和性アッセイが設計される用途に応じて、分析物結合基(捕捉部分)と分析物からなる結合対の1つの、あるいは他のメンバーとして作用し得る物質の他の例としては、抗生物質、および動物(ヒトを含む)に投与される他の薬物が挙げられ、それらの検出は臨床診療において有用であり、生物学的調製物の中のそれらの検出は、例えば、免疫測定法を使用して行うことができる。そのような薬物の例としては、抗生物質(例えば、WHO International Biological Reference preparations(引用により本明細書中に組み入れられる、2005年9月21日に更新された、http://www.who.int/bloodproducts/ref_materials/Ant−SeptO5.pdfで入手することができる)に列挙されている抗生物質が挙げられる。例としては、ゲンタマイシン(92/670)、ストレプトマイシン(76/539)、トブラマイシン(82/510)、およびバンコマイシン(50/020)が挙げられる。
少なくとも1つの実施形態においては、本発明により、2つ以上の様々な捕捉部分を有している結合表面を提供する。
本明細書中に記載される様々な実施形態の特徴のうちの任意のものを、開示される任意の他の実施形態と組み合わせて記載される特徴と組み合わせて使用することができる。例えば、本発明の組成物と組み合わせて開示される特徴は、本明細書中に記載される任意の方法において使用できるなどである。様々な、または特異的な実施形態と組み合わせて記載される特徴は、そのような排他性が明白に記載されるか、または状況から暗黙的に理解されない限りは、本明細書中に開示される他の実施形態と組み合わせて適切ではないとは解釈されない。
本発明の特定の実施形態は、添付の図面および実施例において説明される。これらは、本発明の特定の実施形態を説明するために提供され、本発明に限定を課すようには意味されない。
(実施例1)
ウシ血清アルブミンの低入力比でのビオチン化
BSAを、BSAに対するビオチンの様々なモル入力比で、スルホ−NHS−LC−ビオチン(スルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]ヘキサノエート;Pierce Biotechnology Inc./Thermo Scientific)でビオチン化した(表1を参照のこと)。簡単に説明すると、スルホ−NHS−LC−ビオチン(556.59g/mol)をDMF(ジメチルホルムアミド)の中に1ミリリットルあたり30ミリグラム(mg/mL)の濃度で溶解させ、凍結乾燥させたBSA(ウシ血清アルブミン、プロテアーゼを含まない;Celliance Corporation,a Serologicals Company;66,000g/mol)を0.05Mのホウ酸塩緩衝液(pH8.2)の中に15から20mg/mLの濃度で溶解させた。BSAに対するスルホ−NHS−LC−ビオチンの最終的なモル入力比を3.4から30(スルホ−NHS−LC−ビオチンのモル数:BSAのモル数)となるように、スルホ−NHS−LC−ビオチン溶液をBSA溶液に添加した。反応液を4℃で2時間インキュベートし、その後、直ちに、過剰のスルホ−NHS−LC−ビオチン(すなわち、ビオチン試薬、および加水分解されたビオチン試薬、遊離のビオチン)を取り除くために、0.05Mのホウ酸塩緩衝液(pH8.2)で透析した(すなわち、膜分離精製法(diafiltration)または透析(dialysis))。この一般的な手順を、低入力比でビオチン化されたBSAを調製することを通してずっと使用した。
ビオチン化の程度は、ビオチンを定量するための当該分野で公知の任意の方法を使用して推算することができる。1つの適切な方法はHABA比色アッセイであり、これは、ビオチンについて選択性がある4’−ヒドロキシアゾベンゼン−2−カルボン酸(HABA)を使用する。BSA1モルあたりに結合したビオチンのモル数は、HABA分析によって推算した。結果を表1に示す。
ビオチン化されたBSAの17個の個々のビオチン化のロットの安定性分析は、0.1Mのホウ酸緩衝液(pH9.0〜9.5)の中で、ビオチン−BSAで37〜42℃で18〜24時間、25mg/mLのトシル活性化PMP(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Tosylactivated,1.0ミクロンの直径、Invitrogen Corporation)(PMP1mgあたり0.030〜0.050ミリグラムのビオチン−BSA)をコーティングすること、マイクロ粒子をTBS(0.02MのTris、0.15Mの塩化ナトリウム)(pH7.4)で3回洗浄すること、ビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子表面を、TBS(pH7.4)中の0.4%〜0.6%(w/v)のトリ−ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108(Pluronic(登録商標)F−108 NF Prill;BASF)で4〜4.5時間、37〜42℃でブロックすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、ビオチン−BSAマイクロ粒子を、TBS(pH7.4)中の0.4%〜0.6%(w/v)のPluronic(登録商標)F108の中に分散させること、ビオチン−BSAマイクロ粒子をTBS(pH7.4)中のSA(凍結(決して凍結乾燥ではない)、SA21 SA−plus,Prozyme,Inc.)で30〜50分間、室温でコーティングすること(ビオチン−BSA PMP1mgあたり0.025〜0.050ミリグラムのSA)、マイクロ粒子をアジ化ナトリウム(0.1%w/v)を含むTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、マイクロ粒子を、Access(登録商標)Free T4アッセイ特異的マイクロ粒子緩衝液で3回洗浄すること、25mg/mLから0.35mg/mLのマイクロ粒子をAccess(登録商標)Free T4アッセイ特異的マイクロ粒子緩衝液で稀釈すること、ビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子を4℃または37℃で3日間インキュベートすること、そして、ビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子の、Access(登録商標)Free T4 Assay(Beckman Coulter,Inc.)の中でビオチン化されたFree T4特異的抗体に結合する能力を試験することによって完了した。安定性は、個々のFree T4較正器RLU(相対的な光単位、シグナル、または応答)の回収値(recovery)の平均を計算することによって決定した。Access(登録商標)Free T4アッセイでは、6つの異なる較正器(S0、S1、S2、S3、S4、およびS5)が、0ng/mLから6ng/mLまでの抗原レベルで使用した(表4を参照のこと)。回収値は、37℃の較正器でのRLU応答を、4℃の較正器でのRLU応答で割り算し、結果に100%を掛け算することによって計算した。安定性は、6個の較正器全てについての回収値を平均することによって計算した。結果を表1に示す。
安定性は、4℃または37℃で3日間、固相をインキュベーションした後のSA結合能力の変化の指標であった。安定性の低下は、ビオチン−BSA結合体からの受動的に結合したビオチンまたはビオチン試薬の脱落または解離と(図11を参照のこと;点線:37℃;実線:4℃)、その後のSAによる遊離のビオチンまたはビオチン試薬の経時的な捕捉が原因である。結果は、高モル入力比(すなわち、8:1、15:1、30:1)で調製されたビオチン−BSAが極めて低い安定性を示すことを明らかにしていた。BSAに対するビオチン試薬のモル入力比が30:1から4:1まで小さくなるに伴い、安定性は4%から100%まで改善された。
BSAを、BSA1モルあたり30モルのスルホ−NHS−LC−ビオチンのモル入力比でビオチン化した。30:1のビオチン化されたBSAを、0.1Mのホウ酸塩緩衝液(pH9.0〜9.5)(PMP1mgあたり0.030〜0.050ミリグラムのビオチン−BSA)の中で、37〜42℃で18〜24時間、ビオチン−BSAで、25mg/mLのトシル活性化PMPをコーティングすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、ビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子表面を、TBS(pH7.4)中の0.4%から0.6%(w/v)のPluronic(登録商標)F108で、37〜42℃で4〜4.5時間ブロックすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、ビオチン−BSAマイクロ粒子を、TBS(pH7.4)中の0.4%〜0.6%(w/v)のPluronic(登録商標)F108の中に分散させること、ビオチン−BSAマイクロ粒子をTBS(pH7.4)中のSAで、室温で30〜50分間コーティングすること(PMP1mgあたり0.025〜0.050ミリグラムのSA)、そしてマイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄することによって、Dynal(登録商標)MyOneトシル活性化PMPに結合させた。25mg/mLのビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたPMPを、4℃または37℃に3日間置いておき、PMPを分離する(4℃または37℃の緩衝液からマイクロ粒子を取り除く)ために磁石の上に10分間置いた。4℃および37℃のマイクロ粒子を含まない上清液を回収し、この上清液をサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC−HPLC;Beckman Coulter System Gold HPLC System,32 KARAT(登録商標)5.0ソフトウェア、Phenomenex 300×7.80mm BioSep−SEC−S 3000カラム、PBS(pH7.2)移動相、1.0mL/分の流速、0.050mLの試料容量、17分間の実行時間、200から400nmのフォトダイオードアレイ検出)を使用して分析した。
37℃の上清液の210nmでのSEC−HPLC分析により、4℃の上清液と比較して、10.8分の保持時間(RT)と12.4分のRTのいずれでも、低分子量の分析物の有意に高いレベルが明らかとなった。これらのピークは、30:1(ビオチン試薬:BSA)の入力比でのビオチン化プロセスの間にBSA分子に受動的に吸着させられたビオチンおよび/またはビオチン試薬と考えられ、これらは、透析または脱塩によっては取り除くことができなかった。結果はまた、上清液の中には検出可能なBSAまたはSAが存在しなかった(この方法の検出限界を下回る)(7.8から8.2分のRT)こと、そしてビオチン−BSA結合体および/またはSAが固相から脱落していないことをも示している。
SEC−HPLCの結果は、30のビオチン試薬:1のBSA試料が、4℃と比較して37℃での安定性(安定性の95.9%の低下、すなわち、4.1%の安定性)の最も有意な低下を有しており、そしてこれはまた、4℃の上清液と比較して37℃の上清液の中での低分子量の分析物(単数または複数)の有意な量の存在を示した点で、安定性の結果をサポートする(表1を参照のこと)。安定性の低下は、ビオチン−BSA結合体からの受動的に結合したビオチンまたはビオチン試薬の脱落または解離、そしてその後のSAによる経時的な遊離のビオチンまたはビオチン試薬の捕捉が原因である。
ビオチン−BSAコーティングプロセスを、BSA1モルあたり4モルのスルホ−NHS−LC−ビオチンを使用してBSAをビオチン化すること、マイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Tosylactivated、1.0ミクロンの直径、Invitrogen Corporation)1mgあたり30、40、50、または60マイクログラムのビオチン−BSAを提供すること、ビオチン−BSAをマイクロ粒子とともに、37℃または40℃で2時間、4時間、または18時間、0.1Mのホウ酸塩(pH9.5)とともにインキュベートすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、マイクロ粒子を0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むTBS(pH7.4)で37℃で4時間ブロックすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、ビオチン−BSAマイクロ粒子を、0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むTBSの中に分散させること、マイクロ粒子1mgあたり35マイクログラムのSAを添加することによりSAを結合させること、室温で30分間インキュベートすること、そして、ビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄することによって、最適化した。
アッセイの性能試験(Access(登録商標)Free T4およびAccess(登録商標)AccuTnlアッセイ;Beckman Coulter,Inc.)と、ビオチン化されたIgGの結合能力試験の結果は、ビオチン−BSAコーティングプロセスは、0.1Mのホウ酸塩緩衝液(pH9.5)の中で、30から50μgのビオチン−BSAがマイクロ粒子1mgあたりに、25mg/mLのマイクロ粒子濃度で付加され、そして37℃から42℃で18から24時間インキュベートされる場合には確実な作業であることを示していた。簡単に説明すると、125Iで標識されたビオチン化されたIgGの方法は、標準的なヨウ素化手順を使用して125Iでビオチン化されたIgGとビオチン化されていないIgGを標識することによって結合能力を評価するために使用される(抗体とビオチン化された抗体はそれぞれ、室温で、Na125IおよびクロラミンT三水和物とともにインキュベートされ、それぞれの反応は、メタ重亜硫酸ナトリウムで停止させられ、125Iで標識された非ビオチン化抗体と125Iで標識されたビオチン化抗体が、それぞれ、0.5%のBSA/PBS/0.1%のアジ化ナトリウムで予め馴化させられたSEPHADEX G−50を使用して精製される)。1mgのビオチン化された125I−IgGおよびビオチン化されていない125I−IgGあたりの全CPM(1分あたりの数)をガンマカウンターを使用して計算し、SAでコーティングされたマイクロ粒子を、モル過剰量の125I−ビオチン−IgG(ビオチン結合ドメインを介する活発な吸着)または125I−IgG(受動的な吸着または非特異的結合)のいずれかに提供し、マイクロ粒子を洗浄緩衝液で5回洗浄し、洗浄したマイクロ粒子をガンマカウンターの中に置いて、全CPMを決定し、特異的に捕捉されたビオチン−IgGの量を、125I−ビオチン−IgG SAマイクロ粒子のCPMから125I−IgGでコーティングされたSAマイクロ粒子(非特異的結合についての対照)のCPMを引き算することによって決定した。
(実施例2)
不飽和は結合能力を低下させるが、アッセイシグナルを増大させる
ビオチン/SAシステムを使用する不飽和であり配向性を持つ結合表面を、PMPを使用して、BSAに対するビオチンの低モル入力比(4:1)で調製したビオチン−BSAを用いて調製した。簡単に説明すると、不飽和であり配向性を持つ結合表面を有しているマイクロ粒子のバッチを、Dynal(登録商標)AKT−100トシル活性化PMPを低入力比でビオチン化されたBSAでコーティングすること、ビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108でブロックすること、ブロックされたビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108の中に分散させること、そして最後に、ビオチン−BSAマイクロ粒子をSAでコーティングすることによって調製した。表2の「BCI試料」を参照のこと。比較のために、市販されているビオチン結合マイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Streptavidin T1,Invitrogen Corporation)を試験した。表2の「Dynal(登録商標)対照」を参照のこと。不飽和である表面と、市販されているビオチン−結合表面をそれぞれ、同じ生のマイクロ粒子(Invitrogen Corporationによる、Dynal(登録商標)MyOne トシル活性化された1.0ミクロンのPMP)を使用して調製した。
不飽和である、市販されているビオチンに結合する(すなわち、SAでコーティングされた)表面を、14C−ビオチン結合能力試験(Invitrogen Corporation)を使用してそれらのビオチン結合能力について試験した。結果を表2に示す。較正器のレベルは、1mLあたりのナノグラム数で示される。市販されているマイクロ粒子のビオチン結合能力は、1,400pmolビオチン/mgであり、一方、本発明にしたがって調製された不飽和結合表面を有しているマイクロ粒子のビオチン結合能力は、わずかに、214pmolビオチン/mgであった。したがって、市販されているビオチンに結合するマイクロ粒子は、本発明にしたがって調製された同じ直径のマイクロ粒子よりも6倍大きい、ビオチンに対する結合能力を示した。
マイクロ粒子を、ビオチン化されたIgGに結合するそれらの能力についても試験した。市販されているマイクロ粒子は、マイクロ粒子1mgあたり20.0マイクログラムのビオチン化されたIgGのビオチン化されたIgGに結合する能力を示したが、本発明のマイクロ粒子は、マイクロ粒子1mgあたり6.7マイクログラムのビオチン化されたIgGの結合能力を示した。したがって、市販されているビオチンに結合するマイクロ粒子は、本発明のマイクロ粒子よりも約3倍大きい、ビオチン化されたIgGに結合する能力を示した。しかし、市販されているマイクロ粒子のビオチン結合能力は、本発明のマイクロ粒子よりも6倍大きかった。
市販されているビオチンに結合するマイクロ粒子の機能的能力を、タンパク質であるトロポニンIについてのアッセイにおいて、本発明にしたがって調製した不飽和であるマイクロ粒子の能力と比較した。簡単に説明すると、組み換え体SAでコーティングした市販されている1ミクロンの直径のビオチンに結合するマイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Streptavidin T1,Invitrogen Corporation)と、本発明にしたがってSAでコーティングした不飽和である1ミクロンの直径のマイクロ粒子を、ビオチン化された抗トロポニンIでSAでコーティングされたマイクロ粒子を処理し、そして、トロポニンI較正器(Beckman Coulter,Inc.)に対するアッセイ応答を測定することによって、Access(登録商標)AccuTnl Assay(Beckman Coulter,Inc.)、サンドイッチアッセイを使用するトロポニンIについてのアッセイに使用した。結果を表3に示す。
表3は、較正器レベル(S1からS5)の範囲全体にわたって、本発明の不飽和であるマイクロ粒子が、市販されているマイクロ粒子よりも高いRLUの読み取り値、そして市販されているマイクロ粒子よりも低いバックグラウンドのRLU読み取り値(S0)を示すことを説明している。この結果は、本発明の不飽和であるマイクロ粒子が市販されているビオチンに結合するマイクロ粒子よりも低いビオチン結合能力を示す(表2を参照のこと)との理由から驚くべきであり、予想外である。較正器応答は、ほぼ全範囲にわたって不飽和であるマイクロ粒子よりも高かった。S0(CV=変動係数)の%CV較正器応答として測定したアッセイの精度は、不飽和であるマイクロ粒子については2倍を超えて大きかった。しかし、不飽和であるマイクロ粒子は、市販されているマイクロ粒子と比較して有意に低いS0 RLU応答を有しており(8,116対13,023)、そして繰り返しの間でのRLUの小さな相違は、RLUシグナルが低下するのに伴って、より大きな%CVを生じる可能性がある。%CV較正器量として表したアッセイの正確度は、平均して、不飽和であるマイクロ粒子について有意に低かった。ダイナミックレンジに関して、S1/S0とS5/S0の比は、不飽和であるマイクロ粒子よりも約2倍高かった。したがって、本発明のマイクロ粒子はビオチンにはほとんど結合しない(したがって、ビオチン化されたIgGにほとんど結合しない)が、これらは、機能的な親和性アッセイにおいては予想以上に良好な能力を発揮し、市販されているマイクロ粒子と比較してノイズまたは非特異的結合が減少した。
市販されている2.8ミクロンの直径のSAでコーティングされたマイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS M−280 Streptavidin、ビオチン1mgあたりの650から900ピコモルのビオチンのビオチン結合能力,Invitrogen Corporation)の能力を、本発明にしたがって調製した1.0ミクロンのSAでコーティングされたマイクロ粒子の能力(1mgあたり約214ピコモルのビオチンのビオチン結合能力;表2を参照のこと)と、Access(登録商標)Free T4アッセイ(Beckman Coulter,Inc.)において比較した。Free T4を、Access(登録商標)Free T4アッセイ、競合アッセイを使用して、本発明にしたがってビオチン化された抗T4でSAでコーティングされたマイクロ粒子(「Dynal(登録商標)法」については、市販されているSAでコーティングされた2.8ミクロンの直径のPMP;「BCI法」については、本発明にしたがって調製された1.0ミクロンの直径のSAでコーティングされたPMP)を処理すること、そして、T4較正器(Beckman Coulter,Inc.)に対するアッセイ応答を測定することによってアッセイした。アッセイは、Access(登録商標)2 Immunoassay System(Beckman Coulter,Inc.)上で行い、このシステム上で得られたRLUの結果を表4に示す。
表4に示すように、本発明にしたがって調製した1.0ミクロンのSAでコーティングされたマイクロ粒子は、市販されている2.8ミクロンの直径のSAでコーティングされたマイクロ粒子とほぼ同じ分析物(Free T4)についてのシグナルを生じた。この結果は、本発明の不飽和であるマイクロ粒子が、市販されている抗ビオチンマイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS M−280 Streptavidin、ビオチン1mgあたり650から900ピコモルのビオチンのビオチン結合能力、Invitrogen Corporation)よりも低いビオチン結合能力を示すことの理由から、驚くべきであり、予想外である。上記の表に示したような本発明のマイクロ粒子の調製(表2、3、および4を参照のこと)により結合表面の不飽和性が生じ、結果として、リガンド(ビオチン)の数が減少する。本発明のマイクロ粒子は、ほとんど結合しない(市販されているDYNABEADS M−280マイクロ粒子については、1mgあたり650から900ピコモルと比較して、本発明のマイクロ粒子については1mgあたり214ピコモルであり、DYNABEADS MyOne SA T1マイクロ粒子についての1mgあたり1,000ピコモルを上回る)が,これらはより良好に機能する(表3および表4を参照のこと)。本発明の1.0ミクロンのマイクロ粒子は、2.8ミクロンのマイクロ粒子よりもわずかに少なく結合するが、本発明のマイクロ粒子はより大きなシグナルを生じる。
総合的には、結果から、本発明の不飽和であるマイクロ粒子が、これらは市販されているマイクロ粒子よりも低い結合能力を有しているが、市販されているマイクロ粒子と同様に良好な、またはそれよりも優れたアッセイシグナルを生じることが立証される。これは、市販されているマイクロ粒子よりも有意に低い結合能力を有している本発明の結合表面についてもなお、そのとおりである。
(実施例3)
分散工程を使用した不飽和である表面の作製
BSAに対するビオチン化試薬の低モル入力比(4:1)を使用して調製したビオチン−BSAを、不飽和である結合表面を作製するための分散方法において使用した。簡単に説明すると、ビオチン−BSA(上記のように調製した)を、上記に記載したように、Dynal(登録商標)マイクロ粒子に共有結合させて、単位支持体表面積あたりのビオチンの数に関して不飽和である表面を得た。コーティングされたマイクロ粒子を、その後、SAの付加の前の分散工程において使用した。
最初の実験では、血球計(顕微鏡分析)を使用して、上記に記載したように調製した、ビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子の凝集状態を(1)SAの付加の前、(2)SAの継続的に混合される溶液(1mLあたり0、125、250、375、500、750、または1000マイクログラムのSA)に対する、10mg/mLのビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子の溶液の滴下の後、および(3)10mg/mLのビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子の継続的に混合される溶液に対する18mg/mLのSA溶液の様々な量(マイクロ粒子1mgあたり25、50、75、100、150、または200マイクログラムのSA)の添加後に、評価した。血球計の結果は、単量体(1つのマイクロ粒子)、二量体(2つのマイクロ粒子が凝集する)、三量体(3個のマイクロ粒子が凝集する)、小さい凝集物(4個から10個のマイクロ粒子が凝集する)、および大きな凝集物(10個を超えるマイクロ粒子が凝集する)として記録した。凝集物は、SAの架橋による2つ以上のビオチン−BSAマイクロ粒子の結合として定義される(すなわち、SAは、4個のサブユニットを持つ多価のものであり、個々のサブユニットは1つのビオチン結合ドメインを有する)。血球計の結果は、ビオチン−BSAマイクロ粒子はSAの付加の前には単分散物(単量体と二量体のみ)であり、1ミリリットルあたり750マイクログラムまでのSAのSA溶液の中にビオチン−BSAマイクロ粒子が滴定(滴下)された場合にはほとんどが凝集し(大きな凝集物)、ビオチン−BSAマイクロ粒子が1ミリリットルあたり1000マイクログラムのSAのSA溶液の中に滴定(滴下)された場合には単分散物(三量体、二量体、および単量体)であり、そして、試験した全ての濃度でビオチン−BSAマイクロ粒子に対してSAが添加された場合には、高度に凝集した(大きな凝集物)ことを示していた。本明細書中で使用される場合は、用語「実質的に単分散」は、実質的に、単量体および二量体としてのみ存在するマイクロ粒子の集団を意味する。
SAの混合溶液に対してビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子を滴下することによって、またはビオチン−BSAマイクロ粒子の混合溶液に対してSA溶液を添加することによって調製したビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子は、混合しながら超音波エネルギー(2×300ワットで60秒間)にSAでコーティングされたマイクロ粒子を曝すことによって一次的に単分散の状態(ほとんどが三量体であり、二量体と単量体を含む)になるように導くことができたが、マイクロ粒子は、長時間にわたり単分散の状態のままでいることはなく、再び高度に凝集した状態になった。超音波エネルギーによっては、永久的な単分散のビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子を生じさせることはできず、SAの架橋が原因で凝集するビオチン−BSAマイクロ粒子の傾向を減少させることはできなかった。
血球計による実験は、疎水性のマイクロ粒子の単分散物(1.03ミクロンのポリスチレンPMP,Cat.No.M1−070/40,EMD Biosciences,Inc.)に必要なPluronic(登録商標)F108(0μMから1000μMまでの17の希釈レベルの、水中のPluronic(登録商標)F108)の量を決定するために完全なものとした。これらの実験の結果は、M1−070/40マイクロ粒子が、27.04μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子(稀釈レベル6)から2027.7μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子(稀釈レベル15)までのPluronic(登録商標)F108濃度では、実質的に単分散(すなわち、単量体と二量体だけ)であることを示していた。マイクロ粒子は、27.04μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子未満のPluronic(登録商標)F108濃度、および2027.7μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子より大きい濃度では凝集した(トリ−ブロックコポリマーの多層の積み重ねがおそらく原因である)。表面積の計算から、Pluronic(登録商標)F108の理論上の単層には、少なくとも4.1μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子が必要であると予想し、Pluronic(登録商標)F108分子1個あたり20nm2の界面の表面積と、(1.03μmの滑らかな表面を持つ完全なる球形に基づいて)38.38cm2/mgのマイクロ粒子表面積を推測した。M1−070/40マイクロ粒子は大きさが均一ではなく、滑らかな表面を持たず(不均質な大きさの分布)、そして1.03ミクロン未満の直径(Beckman Coulter LS13 320レーザー回折粒子寸法測定器を使用したマイクロ粒子の大きさの分析に基づく)の微粒子の大きな集団を含むことに留意しなければならない。マイクロ粒子の細かさと、ざらざらしたマイクロ粒子表面の両方が、M1−070/40マイクロ粒子が上記で計算したよりも大きな1mgあたりの表面積を有することを示す。血球計による結果はこの仮説をサポートする。なぜなら、マイクロ粒子の単分散には、27μgよりも大きなPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子が必要であるからである。この実験の結果は、Pluronic(登録商標)F108が、27.04から2027.7μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子(稀釈レベル6から15)の濃度でマイクロ粒子の単分散物を生じ得ることを示していた。
ビオチン−BSAでコーティングされたマイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Tosylactivated、1.0ミクロンの直径、Invitrogen Corporation)の特異的なロットは、74から84cm2/mg(分析の証書に記載されている;Invitrogen Corporation)までの表面積を有している。これらの値と、上記のPluronic(登録商標)F108血球計の実験に基づいて、1mLあたり25mgのビオチン−BSAマイクロ粒子を含む0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108溶液(または4mg/mL)が、およそ160μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子を提供することを計算した。Pluronic(登録商標)F108血球計での実験に使用した1.03ミクロンのM1−070/40マイクロ粒子(EMD Biosciences,Inc.)は、38.38cm2/mgより大きな表面積を有しており、27.04から2027.7μgのPluronic(登録商標)F108/mgのマイクロ粒子までの濃度では単分散であったので、0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108溶液、または160μgのPluronic(登録商標)F108/mgマイクロ粒子を、ビオチン−BSAマイクロ粒子の単分散を促進するために十分な量のPluronic(登録商標)F108が存在することを確実にするための最初の分散実験に使用した。
0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108(Pluronic(登録商標)F−108 NF Prill,BASF)を含むPBS(20mMリン酸ナトリウム、150mMの塩化ナトリウム、pH7.2)緩衝液、または0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むTBS(20mMのTris、150mMの塩化ナトリウム、pH7.2)緩衝液の中に分散させた25mg/mLのビオチン−BSAマイクロ粒子に対してSA(25から50μgのSA/mgマイクロ粒子)を付加することによって調製したビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子は、SAの付加後は単分散であった。
ビオチン−BSAマイクロ粒子がSAとそれらを結合させる前に0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含む溶液の中に分散させられる限りは、SAの付加の程度(すなわち、SAに対して1滴ずつ添加されたビオチン−BSAマイクロ粒子、またはビオチン−BSAマイクロ粒子に対して加えられたSA)とは無関係に、マイクロ粒子は単分散を維持した。上記のような超音波の使用とは異なり、ビオチン−BSAでコーティングされた、SAでコーティングされたマイクロ粒子は、ビオチン−BSAマイクロ粒子がSAとのそれらの結合の前にPluronic(登録商標)F108を含む緩衝液の中に分散させられた場合には、単分散を維持した。したがって、0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108は、マイクロ粒子のコロイド安定性(マイクロ粒子支持体表面の疎水性の低下、Pluronic(登録商標)F108のぶら下がっているヒドロキシル基が原因であるマイクロ粒子支持体表面の負電荷の増加、表面対表面の負電荷の斥力が原因であるマイクロ粒子の斥力の増大)を改善することによって、そして、マイクロ粒子の架橋が起こり得る前に利用できる(結合していない、接近できる)全てのマイクロ粒子の表面ビオチンに対してSA分子を結合させることによって、SAとのビオチン−BSAマイクロ粒子の結合の前および後のいずれでも、ビオチン−BSAマイクロ粒子の単分散を促進するための分散剤としてうまく働くことができる。架橋は、マイクロ粒子であるビオチンを利用することができ、4つのSA結合ドメインのうちの少なくとも2つが、2つの異なるマイクロ粒子上の結合していない、接近することができるビオチンと結合できる場合にのみ起こり得る。
Pluronic(登録商標)F108が、0.4%から0.6%(w/v)の濃度で、低入力比でビオチン化されたBSAでコーティングされたマイクロ粒子についての分散剤として作用することは経験的に決定されている。簡単に説明すると、SA入力比(10、15、25、および35μgのSA/mgビオチン−BSAマイクロ粒子)、インキュベーション時間(30分および60分)、そしてPluronic(登録商標)F108の割合(0.4から0.6%w/v)の組み合わせを、分散工程を最適化するために評価した。アッセイの性能試験(Access(登録商標)Free T4およびAccess(登録商標)AccuTnlアッセイ;Beckman Coulter,Inc.)と、ビオチン化されたIgGに結合する能力の試験の結果は、分散プロセスが、25から35μgのSAをビオチン−BSAマイクロ粒子1mgあたりに、25mgのビオチン−BSAマイクロ粒子/mLのマイクロ粒子濃度で、0.4%から0.6%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むTBS緩衝液(20mMのTris、150mMの塩化ナトリウム、pH7.2)に付加し、そして30から60分間インキュベートした場合には、確実な作業であることを示していた。
一旦、ビオチン化されたマイクロ粒子を試験し、0.4%から0.6%(w/v%)のPluronic(登録商標)F108溶液の中に分散させると、低レベルまたは少量のSAを、マイクロ粒子の凝集物または塊を形成させることなく、ビオチン化されたマイクロ粒子に付加することがでっきた。このプロセスにより、SAでのマイクロ粒子のコーティングの後にマイクロ粒子の単分散物が得られた。このプロセスの説明は図6に示す。これは、Pluronic(登録商標)F108が存在しない条件下でのコーティングされたマイクロ粒子のSA処理を示しており、そして、Pluronic(登録商標)F108での処理によって生じる単分散を説明する。
(実施例4)
SAの不飽和と配向性、高い表面ブロッキング、および結合効率の改善が原因である高いシグナル対ノイズ比
従来のマイクロ粒子のシグナル対ノイズ比と、SAの不飽和と配向性、高い表面ブロッキング、および改善された結合効率を特徴とする本発明の不飽和であるマイクロ粒子のシグナル対ノイズ比の間での比較を、2つのアッセイプラットフォーム上で行った。
B型ナトリウム利尿ペプチドまたは脳ナトリウム利尿ペプチド(BNP)に特異的な結合表面を、マイクロ粒子の表面に対するGxBiotin(ヤギ抗ビオチン)抗体の一次コーティング、続いて、BNPに特異的なビオチン化されたOMNICLONAL(登録商標)(Biosite,Inc.)Fab断片での二次コーティングを使用することによって、従来のマイクロ粒子(M1−070/40マイクロ粒子、EMD Biosciences)上に構築した。簡単に説明すると、GxBiotin IgGでの一次コーティングは、マイクロ粒子表面のカルボキシル基(70から100μmolのCOOH/g)を、MES(pH5.5)中の表面カルボキシル1モルあたりおよそ6から10molのEDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミドヒドロクロライド;Pierce Biotechnology Inc./Thermo Scientific)と6から10molのスルホ−NHS(n−ヒドロキシスルホスクシンイミド;Pierce Biotechnology Inc./Thermo Scientific)で活性化させること、30から35分間、マイクロ粒子を活性化剤とともにインキュベートすること、過剰な活性化剤を、MES(pH5.5)で3回マイクロ粒子を洗浄することによって除去すること、活性化されたマイクロ粒子1mgあたり40マイクログラムのGxBiotin IgGを添加すること、活性化させられたマイクロ粒子をGxBiotin IgGとともに120から135分間インキュベートすること、過剰なGxBiotin IgGを除去すること、そして残りの活性化されたカルボキシル基をグリシンをベースとする緩衝液でクエンチすること、受動的に吸着したGxBiotin IgGを、界面活性剤TRITON(登録商標)X−100(ポリエチレングリコールp−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニルエーテル)を含む低pH(pH2.5)および高pH(pH8.0)の緩衝液を使用して剥がし取ること、そしてマイクロ粒子表面をBSAでブロックすることによって、カルボジイミド化学を使用して、10mg/mLのマイクロ粒子に対して行った。
二次コーティングは、GxBiotin IgGで一次コーティングしたマイクロ粒子をBNPアッセイ特異的希釈剤の中で洗浄すること、GxBiotinマイクロ粒子1mgあたり10マイクログラムのビオチン化されたBNP Fabを添加すること、ビオチン化されたBNP Fabをマイクロ粒子とともに90から135分間室温でインキュベートすること、過剰なビオチン化されたBNP Fabを除去するためにマイクロ粒子を洗浄すること、そしてBNPでコーティングされたマイクロ粒子を、BNPアッセイ特異的希釈剤を用いて1.0mg/mLに稀釈することによって行った。
本発明の不飽和であるマイクロ粒子は、Dynal(登録商標)AKT−100トシル活性化PMPに対して低入力比でビオチン化されたBSAを共有結合させることによって調製した。この場合、BSAは、1モルのBSAに対して4モルのビオチンのモル入力比でビオチン化し、続いて、Pluronic(登録商標)F108でビオチン−BSAマイクロ粒子をブロックし、ブロックされたビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108の中に分散させ、最後に、ビオチン−BSAマイクロ粒子をSAでコーティングした。ビオチン化されたモノクローナル抗体の入力比は、従来のコーティングされたマイクロ粒子および不飽和であるマイクロ粒子と同じであった。ビオチン化されたOMINCLONAL FabはBNPに特異的であった。従来のコーティングされたマイクロ粒子および不飽和であるマイクロ粒子を同じマイクロ粒子濃度(1.0mg/mL)で評価し、そして同じAccess(登録商標)アッセイ形式(Beckman Coulter,Inc.)で、同じ試薬、対照資料、および患者試料を用いて試験した。結果を表5に示す。
シグナル対ノイズ比を、2つのアッセイプラットフォーム(Beckman Coulter,Inc.):UniCel(登録商標)DxI 800 Access(登録商標)Immunoassay System(比較的高スループットのシステム)およびAccess(登録商標)2 Immunoassay System(比較的低スループットのシステム)のそれぞれの上で、従来のマイクロ粒子について、および不飽和であるマイクロ粒子について測定した。較正器応答を、較正器レベルの範囲全体にわたって、そして13の別々の患者試料について測定した。結果は、RLUとして、従来のマイクロ粒子について(表5の「対照」)、そして不飽和であるマイクロ粒子について(表5の「Dev3」)示す。「%Bias」として表されるアッセイのプラットフォームの偏りは、対照と不飽和のマイクロ粒子の両方について同じ様式で決定した。用語「偏り」は、ハードウェエア、設計、およびスループットの差(すなわち、Access(登録商標)2 Immunoassay Systemは、1時間あたり100の試験を完了することができ、UniCel(登録商標)DxI 800 Access(登録商標)Immunoassay Systemは1時間あたり400の試験を完了することができる)が原因で、いずれのプラットフォームでも同じ試薬および供給品が使用されてもなお、Access(登録商標)2 Immunoassay SystemおよびUniCel(登録商標)DxI 800 Access(登録商標)Immunoassay Systemを含む任意のアッセイシステムの間で起こり得るアッセイ量の差をいう。任意の偏りは、個々のプラットフォームがマイクロ粒子試薬を超音波処理する、混合する、洗浄する、そしてインキュベートする方法の差に起因し得る。平均用量は、従来のマイクロ粒子について、そして不飽和であるマイクロ粒子について計算した。
表5に示すように、本発明のマイクロ粒子についての偏りの測定は、従来のマイクロ粒子よりも全体的に良好であった。表5はまた、不飽和であるマイクロ粒子について:(1)バックグラウンドが低かった(S1〜S5に対してS0を比較する)、(2)バックグラウンドに対するシグナルが、全ての較正器レベルおよび全ての患者試料にわたってより好ましかった、そして(3)感度が、全ての較正器レベルおよび全ての患者試料について高かったことも明らかにしている。したがって、不飽和であるマイクロ粒子は、アッセイシグナルの増大をもたらし(例えば、DxIプラットフォームを使用した場合は、本発明の不飽和であるマイクロ粒子についてのS5での23×106RLUと比較して、従来のマイクロ粒子についてはS5で13×106RLU)、そしてアッセイノイズまたはバックグラウンドの有意な減少(例えば、DxIプラットフォームを使用した場合には、本発明の不飽和であるマイクロ粒子についてのS0での7×103RLUと比較して、従来のマイクロ粒子についてのS0での10×103RLU)をもたらした。
本発明のマイクロ粒子と市販されている結合性のマイクロ粒子の別の比較を行った(マイクロ粒子の記載についての表2を参照のこと)。この比較においては、Dynal(登録商標)AKT−100トシル活性化PMPを組み換え体SAで一次コーティングすることによって作製された市販されているDynal(登録商標)マイクロ粒子(Invitrogen Corporation)を入手した。市販されているSAでコーティングされたマイクロ粒子の性能を、Dynal(登録商標)AKT−100トシル活性化PMPを低入力比でビオチン化されたBSAでコーティングすること、ビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108でブロックすること、ブロックされたビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108の中に分散させること、そして最後に、ビオチン−BSAマイクロ粒子をSAでコーティングすることによって生産した本発明のマイクロ粒子と比較した。市販されているマイクロ粒子と不飽和であるマイクロ粒子はいずれも、捕捉部分としてTnIに対するビオチン化抗体を使用するトロポニンIアッセイ(Access(登録商標)AccuTnl Assay;Beckman Coulter,Inc.)において使用した。市販されているマイクロ粒子と本発明の不飽和であるマイクロ粒子を、いずれも、同じマイクロ粒子濃度で評価し、同じアッセイ形式において同じ試薬、対照試料、および患者試料を用いて試験した。結果を表6に示す。
本発明の不飽和であるマイクロ粒子は、市販されているマイクロ粒子と比較したアッセイシグナルの有意な増大(例えば、S5では、9.6×10
6RLUから12.4×10
6RLUに増大した)と、アッセイのノイズまたはバックグラウンドの有意な低下(例えば、S0では13×10
3RLUから8×10
3RLUに低下した)を生じた。したがって、本発明の不飽和であるマイクロ粒子は、マイクロ粒子結合表面上のSAの不飽和の性質と配向性、その後に付加されたビオチン化抗体に対するその累積的な不飽和と配向性の効果が原因で、アッセイのシグナル対ノイズ比の増大を示した。上記Dynal(登録商標)法とBCI法の比較では、最適化された(市販されている製品である、Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Streptavidin T1;Invitrogen Corporation)Dynal(登録商標)法(最適化されたBCI Methodではない)を使用したことに留意された。最適化されたBCI法を使用する不飽和であるマイクロ粒子のその後のTnI試験(Access(登録商標)AccuTnl Assay)は、アッセイシグナルのなおさらに有意な増大(すなわち、S1=80,000RLU、S5=18,300,000RLU)、同様のアッセイのノイズまたはバックグラウンド(すなわち、S0=8,500RLU)、そして増大した比率曲線(すなわち、S1/S0=9.4、S5/S0=2,130)を生じた。
(実施例5)
非特異的結合の減少
非特異的結合が多くのアッセイ形式において望ましくない表現形であるので、本発明にしたがって作製したマイクロ粒子を使用する非特異的結合の減少を明らかにする実験を行った。非特異的結合は、例としてシグナル対ノイズ比を含むがこれに限定されないアッセイの性能のパラメーターに有害な影響を与える可能性がある望ましくない副生成物を生じる、その構成成分および/または支持体表面が関係している、免疫測定法における人工的な結合事象を記載する。非特異的結合には、固相支持体表面自体への結合、および/または支持体表面上にコーティングされたリガンド::支持体連結器複合体に対する結合が含まれ得る。支持体連結器としてBSAを使用するマイクロ粒子の特異的な実施形態を試験した。
BSAはアルブミン(ウシ血清アルブミン)であり、アルブミンは甲状腺ホルモンに結合することができる。BSAは、甲状腺ホルモンT3およびT4についての結合タンパク質として同定されている。固相支持体表面がBSAでコーティングされると、結合表面は、それがうまくブロックされない限りは、そのような甲状腺ホルモンを捕捉するかまたはそのような甲状腺ホルモンに結合するであろう。
不飽和であるSAマイクロ粒子は、マイクロ粒子をビオチン化されたBSAでコーティングすること、表面をPluronic(登録商標)F108でブロックすること、そしてビオチン−BSA表面をSAでコーティングすることによって生産されるので、不飽和であるSAマイクロ粒子は、それらの表面がうまくブロックされない限りは、T3およびT4のような甲状腺ホルモンに結合する可能性がある。具体的には、不飽和であるSAマイクロ粒子をT3アルカリホスファターゼ結合体とともにインキュベートすると、表面がブロックされて非特異的結合が減少させられるかもしくは排除されない限りは、マイクロ粒子はT3−結合体に結合し得、アッセイにおいては非特異的結合(NSB)シグナルが生じ得る。バックグラウンドの増大に加えて、較正器シグナルの上昇がT3結合体の非特異的結合によって生じる可能性がある。Pluronic(登録商標)F108が、0.4%から0.6%(w/v)までの濃度で、低入力比でビオチン化されたBSAでコーティングされたマイクロ粒子をブロックすることを経験から決定した。
最初のブロック実験で、ビオチン化されたBSAでコーティングしたトシル活性化常磁性マイクロ粒子についてのブロッキング剤として、0.1MのTris(pH8.0)中の0.1%(w/v)BSAと、0.1MのTris(pH8.0)中の0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を評価した。ビオチン−BSAマイクロ粒子を、0.1%(w/v)のBSAまたは0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108ブロッキング緩衝液とともに37℃で18時間インキュベートし、モル過剰量のSAの中にビオチン−BSAマイクロ粒子をゆっくりと滴定することによってSAでコーティングした。ビオチン−BSAマイクロ粒子をブロッキングの前に3回洗浄し、ブロッキングの後、以下の緩衝液のうちの1つを使用してまた洗浄した:PBS(pH7.4)、0.1%(w/v)のTRITON X−100を含むPBS(pH7.4)、0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むPBS(pH7.4)、TBS(pH7.4)、0.1%(w/v)のTRITON x−100を含むTBS(pH7.4)、または0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むTBS。アッセイの性能の試験(Access(登録商標)AccuTnl Assay;Beckman Coulter,Inc.)の結果は、0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108ブロッキング緩衝液およびBS(pH7.4)での洗浄により、最も低いバックグラウンドシグナル(最も低いS0 RLU)、最も高い較正器シグナル(最も高いS1およびS5 RLU)、最も高いアッセイのダイナミックレンジ、そして最も高いシグナル対ノイズ比が生じたことを示していた。
その後のブロッキングの最適化実験では、スルホ−NHS−LC−ビオチン、スルホ−HHS−LC−LC−ビオチン、またはPFPビオチンでビオチン化されたBSAを用いて調製し、TBS(pH7.4)で3回洗浄し、0.1%(w/v)のBSAまたは0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108ブロッキング緩衝液で、37℃で4時間または37℃で18時間ブロックし、TBS(pH7.4)で3回洗浄し、そしてSAまたはニュートラアビジンで、モル過剰量のSAまたはニュートラアビジンの中にビオチン−BSAマイクロ粒子をゆっくりと滴定することによってコーティングした、ビオチン−BSAマイクロ粒子の性能を評価した。アッセイの性能の試験(Access(登録商標)AccuTnl Assay;Beckman Coulter,Inc.)の結果は、0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108で37℃で4時間ブロックし、そしてSAまたはニュートラアビジンでコーティングしたスルホ−NHS−LC−ビオチンBSAマイクロ粒子およびPFP−ビオチンBSAマイクロ粒子が、最も低いバックグラウンドシグナル(S0)、最も高い較正器シグナル(S1およびS5)、最も高いアッセイのダイナミックレンジ、そして最も高いシグナル対ノイズ比を生じたことを示していた。
最後のPluronic(登録商標)F108ブロッキング最適化実験では、Dynal(登録商標)MyOneトシル活性化マイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Tosylactivated、1.0ミクロンの直径、Invitrogen Corporation)上に、0.1Mのホウ酸塩(pH9.5)中で40℃で18時間、低入力比のスルホ−NHS−LC−ビオチン結合BSA(マイクロ粒子1mgあたり40マイクログラムのビオチン−BSA)をコーティングすることによって調製したビオチン−BSAマイクロ粒子を使用した。ビオチン−BSAマイクロ粒子を、TBS(pH7.4)で3回洗浄し、TBS(pH7.4)中の0.2%、0.4%、0.6%、または0.8%(w/v)のPluronic(登録商標)F108で40℃で2時間、4時間、または24時間ブロックし、TBS(pH7.4)で3回洗浄し、そして0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108を含むTBS(pH7.4)中にビオチン−BSAマイクロ粒子を分散させることによってSAでコーティングし、その後、マイクロ粒子1mgあたり35マイクログラムのSAを付加した。アッセイの性能の試験(Access(登録商標)Free T4およびAccess(登録商標)AccuTnI assays;Beckman Coulter,Inc.)と、ビオチン化されたIgGに結合する能力の試験の結果は、0.4%から0.6%(w/v)のPluronic(登録商標)F108で4時間ブロックされたマイクロ粒子が最も低いバックグラウンドシグナル、最も高い較正器シグナル、最も高いアッセイのダイナミックレンジ、最も高いシグナル対ノイズ比、そして再現性のあるビオチン化されたIgGに結合する能力を生じたことを示していた。
不飽和であるSAでコーティングされたマイクロ粒子の非特異的結合を評価するために、不飽和であるSAでコーティングされたマイクロ粒子のロットを、4℃または37℃で3日間インキュベートし、T4を含まない免疫測定法において、Access(登録商標)Free T4較正器およびAccess(登録商標)Free T4 Reagent Packs(Beckman Coulter,Inc.)を使用して試験した。ビオチン化されたFree T4特異的抗体を含めずに試験した試料(「No AB」)はマイクロ粒子表面に対するT3−結合体の非特異的結合を評価した。オボアルブミンとビオチン化抗体、およびInvitrogen CorporationによるDynal(登録商標)DYNABEADS M−280 Streptavidinマイクロ粒子(2.8ミクロンのマイクロ粒子)を使用した市販されているマイクロ粒子アッセイ(Access(登録商標)Free T4)によって生じたシグナルと比較した、SAでコーティングされたビオチン化されたBSAを有している本発明のマイクロ粒子についての結果を表7に示す。
結果は、4℃および37℃のいずれの不飽和である試料おいても、ビオチン化させられたFree T4特異的抗体が試薬のパックから除去された場合(No Ab)には、S0アッセイシグナルは<8,500RLUであったので、結合体の非特異的結合が起こらなかったことを示している。非特異的結合が起こる場合、またはビオチン化されたFree T4特異的抗体がアッセイの中に存在する場合には、SA表面が、ビオチン化されたFree T4特異的抗体を補足し、この捕捉されたFree T4特異的抗体がT3結合体に結合したので、アッセイシグナルだけが生じたはずである(すなわち、S0>1.5×10
6RLU)。非特異的結合を減少させるために、市販されているマイクロ粒子には、オボアルブミン(BSAではない)とともにSAマイクロ粒子が使用されている。不飽和であるマイクロ粒子では低入力比でビオチン化されたBSAを使用したにもかかわらず、これらは良好に機能した。総合的には、結果は、長期間にわたる高温(37℃で3日間)でもなお、非特異的結合が観察されなかったことを示しており、このことは、Pluronic(登録商標)F108がこれらの条件下では不飽和であるマイクロ粒子から外れることはないことを示唆している。したがって、Pluronic(登録商標)F108でブロックされた、ビオチン−BSAでコーティングされ、SAでコーティングされた結合表面は、高温で長時間でもなお、T3アルカリホスファターゼ結合体の非特異的結合の減少または最少化を生じる。
(実施例6)
コーティングプロセスの再現性
SAコーティングについてのプロセスの検証を、本発明の不飽和であり、配向性を持つマイクロ粒子について行った。結果を表8と、図12および図13に示す。プロセスの検証のためのマイクロ粒子は本発明にしたがって調製した。簡単に説明すると、Dynal(登録商標)AKT−100トシル活性化PMP(Invitrogen Corporation)を低入力比でビオチン化されたBSAでコーティングし、ビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108でブロックし、ブロックされたビオチン−BSAマイクロ粒子をPluronic(登録商標)F108の中に分散させ、そして、ビオチン−BSAマイクロ粒子をSAでコーティングした。
アッセイは、別々に調製したSAコーティング(「プロセス」)、マイクロ粒子ロット(「トシル活性化PMPロット」)、低入力比でビオチン化されたBSAロット(「低入力比でビオチン化されたBSAロット」)、Pluronic(登録商標)F108ロット(ブロックコポリマーPluronic(登録商標)F108ロット))、およびSAロット(「SAロット」)の様々な組み合わせを用いて行った。表8においては、用語「プロセス」は、低入力比でビオチン化されたBSAでのマイクロ粒子のコーティング、Pluronic(登録商標)F108でのマイクロ粒子のブロッキング、マイクロ粒子のPluronic(登録商標)F108の中への分散、およびビオチン−BSAマイクロ粒子上のSAのコーティングをいう;「オペレーター」は、SAコーティングまたは「プロセス」が4人の様々な人間オペレーターによって行われたことを示す。
5つの別々の市販されている対照(「Bio−Rad Liquid 1」、「Bio−Rad Liquid 2」、「Bio−Rad 1」、「Bio−Rad 2」、および「Bio−Rad 3」;Bio−Rad Laboratories,Inc.)と、プールされた患者の血清の2つ試料(「患者プール1」および「患者プール2」)、ならびに3つの個々の試料(「試料1」、「試料2」、および「試料3」)を使用した、11の検証ロットについてのFree T4アッセイを使用するさらなる検証実験の結果(図12を参照のこと)は、十分な一致を明らかにしており、約5%未満または約5%のCVを有していた。対照的に、従来どおり調製されたマイクロ粒子(例えば、DYNABEADS M−280 SAマイクロ粒子)は、少なくともおよそ10%のCVを有する。
抗原が血清にスパイクされた対照の3つのセット(対照A、B、およびC)と、3人の患者の血清対照(QC患者1、2、および3)を使用した、BPH−Aマーカーを使用する10の検証ロットについてのさらなる検証実験(図13を参照のこと)は同様の知見を生じた。
SAコーティングプロセスの検証の結果は、全ての検証事項が全てのロットについて満たされていたことを明らかにした。さらに、これらの結果は、本発明のマイクロ粒子を作製するプロセスには、付随する変異の程度は低く、再現性があり、そして信頼できるものであることを示している。
(実施例7)
不飽和であるマイクロ粒子の安定性の増大
較正器または試料の中でのT4の回収率によって測定した、加速型の安定性試験を、ビオチン化された抗T4抗体を有している不飽和であるSAでコーティングされたマイクロ粒子の複数の検証ロットについて、Access(登録商標)Free T4アッセイ(Beckman Coulter,Inc.)においてAccess(登録商標)Free T4較正器を4℃および37℃で4日間、そして4℃および37℃で127日間使用して行った。結果を、表9と、図14Aおよび14Bに示す。
表9は、4℃で4日間と比較した、37℃で4日間インキュベートした不飽和であるSAでコーティングされたマイクロ粒子の検証ロットについての平均の較正器、対照量、および患者量の回収率を示す。表9から見ることができるように、全てのロットについての平均の回収率は、100%であったか、またはほぼ100%であった。
図14Aおよび14Bにおいては、回収率は、4℃で127日の後にFT4についてアッセイすることによって測定したRLUと比較した、37℃で127日の後にFT4についてアッセイすることによって測定したRLUの割合(「回収率」)として表す。較正器レベルは、S0=0.0ng/mL、S1=0.54ng/mL、S2=1.01ng/mL、S3=1.98ng/mL、S4=3.00ng/mL、そしてS5=6.11ng/mLであった。較正器から離れて、アッセイした試料には、Bio−Rad対照1=0.64ng/mL、Bio−Rad対照2=2.18ng/mL、およびBio−Rad対照3=4.19ng/mL(「Bio−Rad lypho」)、および5つの異なる患者試料(「患者#」)(患者1=1.02ng/mL、患者2=1.12ng/mL、患者3=1.83ng/mL、患者4=2.74ng/mL、および患者5=3.80ng/mLを含む)を含めた。全般的には、回収率は100%またはほぼ100%であり、これは高温での長時間にわたる処理が不飽和であるマイクロ粒子の性能に悪影響を与えないことを示している。比較の目的のために、市販されているSAでコーティングされたマイクロ粒子(Access(登録商標)Free T4アッセイ;Beckman Coulter,Inc.)を使用したfree T4アッセイについての記載を図14Aおよび14Bに含めた(「現在のFT4 Assayの詳細」)。不飽和であるマイクロ粒子は、市販されているfree T4アッセイの記載に含まれた。
全般的には、加速型の安定性試験によって、個別に生産されたSAでコーティングされたマイクロ粒子のロットが極めて安定であることを確認した。4℃で3日間または37℃で3日間インキュベートした検証ロットの間では有意な差は観察されなかった。較正器シグナルは極めて似ており(99.1%から113.5%の較正器回収率)、平均の対照量および患者量の回収率は、全て、97.2%から102.9%であった。
1つのロットを4℃または37℃で127日間インキュベートした場合には、性能の有意な差は観察されなかった。較正器シグナルは極めて似ており(95.1%から109.6%の較正器回収率)、比率曲線は極めて似ており(91.3%から105.1%の回収率(%))、そして平均の対照量および患者量の回収率は全て、93.7%から107.6%であった。
(実施例8)
不飽和であるマイクロ粒子の脱落の分析
本発明にしたがって作製した不飽和であるマイクロ粒子の脱落について実験を行った。ビオチン−BSAを使用し、SAでコーティングした本発明にしたがって作製したマイクロ粒子の中には、およそ8.7〜14.0μgのビオチン−BSA/mg PMPと、5.6〜7.8μgのSA/mg PMPが存在していた(実施形態11を参照のこと)。タンパク質のうちの1%が10mgの全PMPから脱落した場合には、溶液中にはおよそ0.7〜1.0μgのタンパク質が存在する。脱落の分析を、そのようなSAでコーティングされたマイクロ粒子について行った。HPLC(SEC−HPLC)上でのサイズ排除クロマトグラフィーの結果は、210nmでは検出できるSAまたはBSAを示さなかったか、あるいは、1%未満の脱落を示した。SAおよび/またはビオチン−BSAが溶液の中で遊離している状態である場合には、これらは、SEC−HPLC法の検出限界を下回った(図15Aおよび15Bを参照のこと)。図15Bにおいては、ガンマグロブリンおよびオボアルブミンSEC標準物のピーク(ピーク高さ約1,400mAU)は、210nmで83.5μgの全タンパク質を示す。5mAU(ミリ吸着単位)のピーク高さは、0.3μgのタンパク質を示す。210nmでのサイズ排除HPLC分析は、マイクロ粒子に37℃で3日間のストレスをかけた後の溶液の中に検出可能なビオチン−BSAまたはSA分子は存在しなかったことを示していた(例えば、マイクロ粒子表面からのタンパク質の脱落はなかった)。したがって、脱落は、本発明にしたがって作製したマイクロ粒子に付随する問題を示すことはない。上記に示した安定性のデータは、SEC−HPLC SAの脱落分析の結果をサポートする。なぜなら、アッセイシグナル、そしておそらくはビオチン化されたIgGへの結合は、37℃で127日までマイクロ粒子にストレスをかけることによっては影響を受けなかったからである(図14A〜B)。
(実施例9)
オボアルブミンの低入力比でのビオチン化
本発明のマイクロ粒子を、ビオチンと結合させたBSAの代わりに、ビオチンと結合させたオボアルブミンを用いて作製した。オボアルブミンは、実施例1でBSAについて記載したように、オボアルブミンに対するビオチンの様々なモル入力比(表10を参照のこと)で、スルホ−NHS−LC−ビオチン(スルホスクシンイミジル−6−[ビオチンアミド]ヘキサノエート、Pierce Biotechnology Inc./Thermo Scientific)でビオチン化した。簡単に説明すると、様々な入力比のスルホ−NHS−LC−ビオチンで、ホウ酸塩緩衝液(pH8.2)およびDMFの中のオボアルブミン(1.253mL中の20mg)をビオチン化するために、4つの異なるビオチン化ロットを、表10に示すように準備した。
ビオチンに対する収率(%)は、2の入力比については75.6%;4の入力比については83.3%;6の入力比については85.1%;そして8の入力比については79.1%であった。HABA(4’−ヒドロキシアゾベンゼン−2−カルボン酸)分析を、それぞれの入力比について行った。結果を表11に示す。
ビオチン化されたオボアルブミンの4つの別々のビオチン化ロットの安定性分析を、25mg/mLのトシル活性化PMP(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Tosylactivated,1.0ミクロンの直径、Invitrogen Corporation)をオボアルブミン−ビオチンで、37℃で18〜24時間、0.1Mホウ酸塩緩衝液(pH9.5)(PMP1mgあたり0.050mgのオボアルブミン−ビオチン)の中でコーティングすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、オボアルブミン−ビオチンでコーティングされたマイクロ粒子表面をTBS(pH7.4)中の0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108で37℃で4時間ブロックすること、マイクロ粒子をTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、オボアルブミン−ビオチンマイクロ粒子をTBS(pH7.4)中の0.4%(w/v)のPluronic(登録商標)F108の中に分散させること、オボアルブミン−ビオチンマイクロ粒子を、TBS(pH7.4)中のSAで室温で30分間コーティングすること(オボアルブミン−ビオチンPMP1mgあたり0.035mgのSA)、マイクロ粒子を、アジ化ナトリウム(0.1%w/v)を含むTBS(pH7.4)で3回洗浄すること、マイクロ粒子をAccess(登録商標)Free T4アッセイ特異的マイクロ粒子緩衝液で3回洗浄すること、25mg/mLから0.35mg/mLのマイクロ粒子をAccess(登録商標)Free T4アッセイ特異的マイクロ粒子緩衝液で稀釈すること、オボアルブミン−ビオチン−SAでコーティングされたマイクロ粒子を4℃または37℃で3日間インキュベートすること、そして、Access(登録商標)Free T4アッセイ(Beckman Coulter,Inc.)においてビオチン化された抗Free T4抗体に結合するオボアルブミン−ビオチン−SAマイクロ粒子の能力を試験することによって完了した。安定性は、個々のfree T4較正器RLU回収率の平均を計算することによって決定した。Access(登録商標)Free T4アッセイでは、0ng/mLから6ng/mLまでの抗原レベルを有している6つの異なる較正器(S0、S1、S2、S3、S4、およびS5)を使用した(表4を参照のこと)。回収率は、37℃の較正器RLU応答を4℃の較正器RLU応答で割り算し、結果に100%を掛け算することによって計算した。安定性は、6個の較正器全てについて回収率を平均することによって計算した。結果を表11に示す。
安定性は、4℃または37℃で3日間、固相をインキュベーションした後のSA結合能力の変化の指標である。安定性の低下は、オボアルブミン−ビオチン結合体からの受動的に結合したビオチンもしくはビオチン試薬の脱落または解離、ならびに、その後のSAによる遊離のビオチンもしくはビオチン試薬の経時的な捕捉が原因である。
表11は、BSA以外のタンパク質(例えば、オボアルブミン)を、本明細書中に記載される低入力比でのビオチン化を使用して効率よく調製できることを立証する。オボアルブミン−ビオチンの安定性試験の結果は、先に記載したビオチン−BSA安定性試験の結果と極めて似ていた(表1を参照のこと)。結果は、高モル入力比(すなわち、8:1)で調製したオボアルブミン−ビオチンが、低い安定性を示すことを示していた。オボアルブミンに対するビオチン試薬のモル入力比が8:1から2:1に低下するに伴い、安定性は、82%から97%に改善された(表11を参照のこと)。
(実施例10)
親和性アッセイのためのマイクロ粒子の表面上のビオチン、SA、および免疫グロブリンの密度
本発明のPMPを、支持体連結器としてBSAを、そしてリガンドとしてビオチンを使用して作製した。SAを、捕捉部分としてのビオチン化されたIgGに結合させるために使用した。
簡単に説明すると、Dynal(登録商標)PMPs(Invitrogen Corporation)を、実施例1の手順にしたがって作製した(すなわち、PMPを、実施例1のプロトコールにしたがって調製した低入力比のビオチン−BSAでコーティングした)。マイクロ粒子を本発明にしたがって調製し、低入力比のビオチン−BSA、次いで、SAで、本発明にしたがってコーティングした。その後、SAでコーティングされたPMPを、ビオチン化されたIgGで処理した。以下のIgGを使用した:ビオチン化されたM06 IgG(これは、Access(登録商標)AccuTnl Assay(Beckman Coulter,Inc.)において検出抗体(すなわち、アルカリホスファターゼに結合させられた)として使用したMc×Access(登録商標)AccuTnlモノクローナル抗体である)、およびビオチン化された399.4 IgG(これは、Access(登録商標)Free PSA Assay(Beckman Coulter,Inc.)において捕捉抗体(すなわち、これはヤギ抗ビオチンPMP上にコーティングされた)として使用されたMc×FPSAモノクローナル抗体である)。本発明にしたがって調製したSA PMPの様々なロットを、M06 IgGまたは399.4 IgGでコーティングして、先に記載したように125Iで標識されたビオチン化されたIgG法を使用して、SA PMPロットのビオチン化されたIgGに結合する能力を評価した。マイクロ粒子についての記述と、表面の構成成分の表面密度に関する結果を表12に示す。
表12のデータはモル値に変換することができる。この変換によって、示した例において約2.46×10(μmolビオチン)/(mg PMP)が存在することが明らかである(Aを参照のこと)。7.7×10
−3m
2/(mg PMP)の表面を有している約1ミクロンの直径のマイクロ粒子については、約3.19×10
−2(μmolビオチン)/(m
2 PMP)が存在していた。
上記のロットに加えて、ビオチン化されたPMPを本発明にしたがって作製し、これは、7.7m2/gの表面積を有している1.10ミクロンのPMPについて15.1(μgのビオチン−BSA)/(mg PMP)の密度を有することが明らかになった。
上記のロットに加えて、3つのさらなる検証ロットを同じ様式で準備した。これらのさらなるロットを表13に記載する。
モル数に関して表13のデータを見ると、約6.1(μgのSA)/(mg PMP)が存在し、SAについての56kDaの分子量を使用すると仮定すると、約1.41×10
−2(μmolのSA)/(m
2 PMP)が存在する。したがって、表12のデータと比較すると、ビオチンとしてのマイクロ粒子上のSAの量の約半分であると見られる。
(実施例11)
上記で記載した実施例において調製したロットについて、BSA、ビオチン、SA、およびIgGの表面密度の計算を行った。良好な安定性を示した(13のロット)表1の低入力比でのビオチン化ロットを使用して、マイクロ粒子についての表面密度を得た。マイクロ粒子について、および粒子ではない支持体についての実際の表面密度の計算(マイクロ粒子に基づく)を、図16Aおよび16Bに、そして表14に以下に示す。滑らかな表面を仮定する、マイクロ粒子についての表面密度の計算、および粒子ではない支持体についての表面密度の計算(「滑らかな」マイクロ粒子データに基づく)を、図16A、16C、16D、そして以下の表15に示す。
表面密度の計算は、物理的な試験のパラメーターに基づいた。簡単に説明すると、コーティング工程の間に表面上にコーティングされたBSAおよびSAの量を、コーティング工程の後に上清液の分析によって、タンパク質濃度の決定のBCA方法(BCA Protein Assay[ビシンコニン酸];Pierce Biotechnology Inc./Thermo Scientific)および/または280nmでの吸光度(BSAとSAについて)を使用して測定した。HABA分析を使用して、BSA上のビオチンの量を定量した。125Iの結合を使用して、ビオチン−IgGの結合能力を評価した。簡単に説明すると、TBS中のマイクロ粒子に既知の量のBSAを加え、インキュベートし、マイクロ粒子を上清液から分離させた。上清液の中に残っているタンパク質を測定し、加えたタンパク質の量から引き算した、マイクロ粒子を洗浄し、タンパク質含有量について洗浄物を分析した。TRIS−緩衝化生理食塩水(pH7.4)を、マイクロ粒子に対する抗体のカップリング、さらには結合のために使用した。計算は、(a)マイクロ粒子の製造業者によって提供される実際の測定された表面積と、(b)マイクロ粒子の直径と滑らかであるとの仮定に基づいて計算した表面積に基づいて行った。
表14に示した表面密度の測定のために、マイクロ粒子の表面積(乾燥固体の重量を使用した計算に基づく)は、7.4m2/gの最小から8.4m2/gの最大までの範囲にあり、7.7m2/gの中央域を有していた。
表14(市販されているマイクロ粒子(Dynal(登録商標)DYNABEADS MyOne Tosylactivated,1.0ミクロンの直径;Invitrogen Corporation)の測定に基づく)において見ることができるように、一旦、リガンド(例えば、ビオチン)が不飽和であれば、その後の結合表面の層もまた不飽和であろう。特異的な実施形態においては、約0.0077m
2/mgの表面積を有しており、示された量のビオチン化されたBSAおよびSAでコーティングされた、1ミクロンのマイクロ粒子は、PMP1mgあたり2.1×10
−5μmolのビオチン−IgGに結合した。
表15に示した表面密度の測定については、マイクロ粒子の表面積(滑らかであるとの仮定に基づく、0.90から1.10μmまでのマイクロ粒子の直径、および1.4から1.8g/cm3のマイクロ粒子の密度)は、0.0030m2/mgの最小から0.0048m2/mgの最大までの範囲であった。
表15では滑らかな表面を仮定する。重ねて、表15において見ることができるように、一旦リガンド(例えば、ビオチン)が不飽和であれば、その後の結合表面の層もまた不飽和であろう。しかし、滑らかであるとの仮定が原因で、表面密度の計算により、滑らかであると仮定しなかった表面密度の計算(表14を参照のこと)と比較して、1平方メートルあたりのリガンド(ビオチン)のより大きなμmol数、1平方メートルあたりの支持体連結器(BSA)のより大きなμmol数、1平方メートルあたりのリガンド結合基(SA)のより大きなμmol数、および1平方メートルあたりの捕捉部分(ビオチン−IgG)のより大きなμmol数が生じる。表面密度の増大は、μmol/mgのビオチン、BSA、SA、またはビオチン−IgGは一定であるが、滑らかであると仮定したマイクロ粒子表面の全表面積が、滑らかさの補正をしなかったマイクロ粒子の全表面積よりも小さいという事実が原因である。例えば、2つのマイクロ粒子が同じ直径と形状を有しているが、1つのマイクロ粒子が多孔性であり、他方のマイクロ粒子が完全に滑らかである場合には、多孔性のマイクロ粒子は、滑らかなマイクロ粒子よりも、単位質量あたりより大きな利用可能な表面積(m
2/mg)を有するであろう。いずれのマイクロ粒子もりに結合でき、これらがいずれも、同じ量のリガンドを提供する場合には、多孔性のマイクロ粒子は、滑らかなマイクロ粒子よりも1平方メートル当たりより少ない数のリガンドに結合するであろう。