JP4963789B2 - 蛍光体または造影剤を含有するラテックスポリマー粒子およびそれらの製造方法 - Google Patents

蛍光体または造影剤を含有するラテックスポリマー粒子およびそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、生体成分の検出、診断の技術分野で用いることのできる無機蛍光体または無機造影剤含有ラテックスポリマー粒子およびそれらの粒子の製造方法に関する。なお、本明細書では、「ラテックスポリマー粒子」とは、水性媒体中でラテックスを形成しうるポリマー粒子を意味する。
従来の生体成分の検出、診断等に用いられてきた無機金属含有ラテックスポリマー粒子として、疎水性のビニル芳香族モノマー(また、場合によりコモノマーを含んでもよい)および磁性粒子を分散させた有機層と乳化剤を含む水性溶液との乳化重合により製造されるものが挙げられる。そして、該ラテックス粒子中へ磁性粒子を効率よく封入するのに、水不溶性の有機化合物を共存させて乳化重合を行っている(例えば、特許文献1参照。)。
また、特許文献1に記載された方法において合成される「磁性粒子は、磁性体がポリマーによりコーティングされている形状で、核となる磁性体の粒子径の違いにより、大きさの異なる磁性粒子となる。このため、磁性粒子の大きさを均一に制御する方法は難しく、磁性体の粒子径が0.1〜1.0μmの範囲内での大きさの制御は特に困難である。また、合成操作が非常に繁雑である。」として、ポリスチレンまたはスチレン−ブタジエン共重合体であるラテックスポリマー粒子を予め有機溶媒および加熱を用いて膨潤させておき、磁性体または蛍光性物質を初めとする標識性物質を加えて混合撹拌することにより、ラテックスポリマー粒子の表層近傍に蛍光性物質等を包埋させる方法が提供されている(例えば、特許文献2)。
特許文献1に記載された乳化重合の際に、磁性体粒子をラテックスポリマー粒子中に封入する方法に随伴する短所が存在するためか、ラテックスポリマー粒子への磁性体または蛍光体の封入または包埋は、殆どが膨潤させたポリマー粒子を蛍光体等(必要により、キレート化合物とする。)の水性溶液と接触させて蛍光体等をポリマー粒子内へ混入または取り込ませる方法が採用されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。なお、特許文献3には、ラテックスポリマー粒子の水溶液中での安定性を高め、生理学的に反応性の種を共有結合または吸収によって該ポリマー粒子に固定するために、スチレン等の疎水性モノマーと、その他に、アクリルアミド等の非イオン性水溶性モノマーおよびアクリル酸等の陰イオン性モノマーを用いて得られたラテックスポリマー粒子が記載されている。また、特許文献4では、水媒体中での安定性に優れるだけでなく、タンパク質等の機能性物質を化学結合により安定に固定することが可能で、かつタンパク質等の非特異的吸着が起こりにくい反応性マイクロスフェアーを提供する目的で、片末端に重合可能なエチレン性基を有し、もう一つの片末端に活性エステル基を有するポリ(オキシアルキレン)セグメントからなるマクロマーがスチレンモノマー等のコモノマーとして用いられている。
なお、上記および下記において引用する文献は、次のとおりである。
特開昭56−164503号公報(特に、第1頁右下欄2−14行参照。) 特開平10−55911号公報(特に、第2頁右欄33−44行、第5頁左欄34−45行参照。) 特開昭61−218945号公報(特に、第4頁左下欄4−16行、第3頁右上欄2−15行参照。) 特開平8−133990号公報(特に、第2頁左欄[請求項1]、同右欄18−28行参照。)
特許文献2では、上述のとおり、ラテックスポリマー粒子の表層近傍に蛍光物質等が包埋されるが、その包埋を2官能性モノマー等の重合と同時に行い、高分子材料(ラテックスポリマー粒子)の表層にオリゴマー程度の分子量の大きくない重合体を付着させている。すなわち、このことは、特許文献2に記載の包埋方法のみでは、包埋された蛍光物質等が洗浄等によりポリマー粒子から放出される可能性があることを示唆する。他方、特許文献4には、反応性マイクロスフェアーのコア部に染料や顔料を滲込ませて機能性染料等として使用できることが記載されているが、如何にして滲込ませうるのかについて具体的に記載されていないし、現に、染料等がマイクロスフェアーのコア部に滲込んだものの記載もない。また、特許文献4には、タンパク質の非特異的吸着が起こりにくくなったマイクロスフェアーが記載されているが、さらなる改善が可能であれば、そのような手段を提供することが望ましいであろう。
したがって、本発明の第一の目的は、ラテックスポリマー粒子(殊に、例えば特許文献4に記載されるような、親水性をポリマー粒子に付与するマクロマー由来の領域を粒子の表層に有するもの)に効率よく、かつ、安定に蛍光体または造影剤を含有せしめる方法を提供することにある。さらなる本発明の目的は、蛍光体または造影剤を安定に含有し、しかも、望ましくないタンパク質等のラテックスポリマー粒子への非特異的吸着をより一層低減できるラテックスポリマー粒子を提供することにある。
上記の課題を解決すべく研究を重ねてきたところ、特許文献1における乳化重合中に磁性粒子を共存させ、さらに水不溶性の有機化合物をも共存させるのとは対照的に、ラテックスポリマー粒子を形成する際に、ラテックス形成性モノマーおよび水溶性(または親水性)のポリマーセグメントを有するマクロマーを用いて共重合させるにもかかわらず、該重合中に無機蛍光体または無機造影剤を共存させると、これらの蛍光体または造影剤が効率よく、かつ、安定にポリマー粒子中に封入または取り込まれることを見出した。また、かようなマクロマーとして、その片末端に特定の官能基を担持するポリ(エチレングリコール)セグメントを有する少なくとも2種類のマクロマーを用いると、1種のみのマクロマーを用いるよりは、望ましくないタンパク質等の非特異的吸着を有意に低減できることを見出した。
したがって、本発明によれば、(i)1種もしくは2種以上のラテックス形成性モノマー、
(ii)片末端に重合可能なエチレン性基を有し疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメントを有するマクロマー、
(iii)ラジカル重合開始剤、ならびに
(iv)無機蛍光体または無機造影剤
を含んでなる水性媒体中で、該水性媒体を撹拌しながら重合反応を行うことを特徴とする蛍光体を含有するラテックスポリマー粒子の製造方法が提供される。
また、別の態様の本発明として、a)1種もしくは2種以上のラテックス形成性モノマー0.5〜99.5重量%、および
b)片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介することなく他の片末端側に親水性ポリマーセグメントを有するマクロマー0.5〜99.5重量%[ここで、該マクロマーは、他の片末端にヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基、反応性の保護されたアミノ基およびC−Cアルコキシル基からなる群より選ばれる基を担持するポリ(エチレングリコール)セグメントを有し、そのエチレングリコール繰り返し単位が、5〜1200である少なくとも2種のマクロマーを含む。]
の水性媒体中でのラジカル重合によって形成される平均粒径0.001μm〜5μmのラテックスポリマー粒子であって、該粒子の疎水性コア領域に無機蛍光体または無機造影剤を含有する疎水性コア−親水性シェル型のラテックスポリマー粒子が提供される。
図1は、マクロマーの合成例1で得られたマクロマーのH−NMRスペクトラムである。
図2は、マクロマーの合成例2で得られたマクロマーのH−NMRスペクトラムである。
発明の具体的な形態の記述
本明細書では、「ラテックスポリマー粒子」とは、水性媒体中でラテックスを形成しうるポリマー粒子を意味する。ラテックスとは当業者に共通に認識されている意味内容で用いており、例えば、水を分散媒としたポリマー粒子の分散液である。水性媒体は、水と混和しうる有機溶媒、例えば、エタノール、メタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル等、さらには緩衝剤等を含み得る水溶液を意味し、特定例では純水である。
「無機蛍光体」は、蛍光性物質もしくは蛍光物質と互換可能に用いられており、外部からの種々な刺激により、かなり高い効率でルミネセンスを発する物質を称している。造影剤は核磁気共鳴画像形成(MRI)剤またはX線造影剤を意味する。限定されるものでないが、無機蛍光体または無機造影剤としては、周期表のランタノイドに属する希土類金属、例えば、ユーロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、サマリウム(Sm)およびガドリニウム(Gd)等を挙げることができ、また、ある一定の半導体、CdS、CdSe、InP等を挙げることができる。希土類金属は、キレート化合物またはキレート錯体として本発明に従うラテックスポリマー粒子中に含有せしめることができる。蛍光体を含有するラテックス粒子とは、後述する重合可能なエチレン性基を有するラテックス形成性モノマーとマクロマーのとの共重合によってもたらされるポリマー粒子の疎水性コア領域に蛍光体の全部もしくは一部分が封入されているかまたは取り込まれ、かような粒子の通常の洗浄等では殆どもしくは全く放出されない状態にある粒子を意味する。
このような粒子を形成するのに有利に用いることのできる希土類金属のキレート剤としては、限定されるものでないが、テノイルトリフルオロアセトン、ベンゾイルアセトン、アセチルアセトン、等の1,3−ジケトン類を挙げることができる。また、特に造影剤として、例えば、Gdを用いる場合には、ガドペント酸メグルミン、ガドジアミド水和物、等の一般名で最終製品として市販されているような錯体をそのまま用いてもよい。さらに、蛍光を発するために希土類金属を用いる場合には、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、フェナントロリン(Phen)等のルイス塩基を希土類金属化合物と一緒に用いてもよい。また、希土類金属以外のバリウム、バリウム塩等も、上記造影剤に包含されるものの例示である。
本発明で用いることのできる「ラテックス形成性モノマー」は、本発明の目的に沿う限り、水性媒体中でのラジカル重合反応によりラテックスを形成できるそれ自体既知のいかなるモノマーも包含する。それ自体既知とは、例えば、上記の特許文献1、特許文献2、特許文献3等に記載されているごとき当該技術分野で公知であることを意味する。限定されるものでないが、このようなモノマーとしては、疎水性ビニルモノマー、特に、ビニル芳香族化合物、例えば、置換もしくは未置換スチレン、1−ビニルナフタリン、より具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、エチルスチレン、p−ブロモスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン等、が挙げられ、その他、(メタ)アクリル酸C−Cアルキル、より具体的には、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル等が挙げられる。また、置換もしくは未置換の共役ジエン、例えばブタジエン等も含むことができる。このような疎水性モノマーは、本発明に従うラテックスポリマー粒子のポリマー総重量当たり、0.5〜99.5重量%、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜80重量%を用いることができる。また、これらのモノマーのうち、置換もしくは未置換スチレンを用いるのが一般に好ましいが、後述するマクロマーの重合可能なエチレン性基が芳香族モノマー由来の基である場合は、(メタ)アクリル酸C−Cアルキルも好ましく用いることができる。C−Cアルキルは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチルであることができる。さらに、これらのモノマーは、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、(メタ)アクリル酸と称する場合、上記の(メタ)アクリル酸エステル類の例示から明らかなように、アクリル酸またはメタクリル酸のいずれか、または両方を意味する。
上記の疎水性モノマーは、本発明にいうラテックス形成性モノマーとして必須であるが、これらのモノマーには、任意成分として水溶性モノマーを含めることができる。水溶性モノマーの代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、N−ビニルピロリドン等を挙げることができ、上記の疎水性モノマー量の一部、例えば、0〜99重量%を代替できる。さらにまた、架橋性モノマー、例えば、上記ビニル芳香族化合物のジビニル化合物または(メタ)アクリルエステルのビス化合物に相当するモノマー、具体的には、ジビニルベンゼン、ビス(メタ)アクリロイルエチル等を任意成分として、上記の疎水性モノマー量の一部、例えば、0〜99重量%を代替できる。
本発明では、ラテックスポリマー粒子のポリマーを構成する、さらなる必須のモノマーとして少なくとも親水性ポリマーセグメントを有するマクロマーを用いる。マクロマーはマクロモノマーとも称され、通常、分子量が数千〜数万の重合可能なポリマーを意味するが、本発明に関しては、分子量数百の、所謂オリゴマーに分類されるものも包含する意味で用いている。本発明で用いるマクロマーは、必須の構成セグメントとして親水性ポリマー(オリゴマーを包含する。以下、同じ。)セグメントを有する。親水性セグメントとは、マクロマー中のセグメントとしてではなく、相当する独立したポリマーとした場合に水に可溶性となるポリマー鎖からなるセグメントを意味する。
このような親水性セグメントは、非イオン性であることが好ましく、限定されるものでないが、ポリ(エチレングリコール)[以下、PEGと略記する場合があり、なお、ポリ(オキシエチレン)もしくはポリ(エチレンオキシド)と互換可能な用語である。]、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(デキストラン)、ポリ(デキストリン)、ゼラチン、等の主鎖からなる。上記のマクロマーは、このような親水性セグメントが、片末端で適当な連結基を介して重合可能なエチレン性基に結合している。「重合可能なエチレン性基」とは、通常のラジカル重合反応条件下で反応を進行することができる機能を有する基を意味する。したがって、限定されるものでないが、重合可能なエチレン性基は上記でラテックス形成性モノマーについて例示したモノマー由来の残基中に存在しうる基であることができる。このような残基の例としては、(メタ)アクリロイル、芳香族環が置換されたもしくは未置換のビニルベンジル、ビニルフェニル、等が挙げられる。前記の親水性ポリマーセグメントは、相当するマクロマーの調製法によって左右されるが、前記残基と酸素もしくは硫黄原子、カルボニル、カルボニルオキシ、オキシカルボニル、イミノ、カルボニルイミノ、イミノカルボニル、C−Cアルキレン、C−Cアルキニレンの1種または2種以上からなる連結基を介して結合されて、本発明で用いるマクロマーまたはマクロマーの部分となりうる。このようなマクロマーまたは部分は、相当する水溶性ポリマーの前記残基によるそれ自体既知の選択的末端化により形成することができる。例えば、合成ポリマーセグメントにあってはリビングポリマーの(メタ)アクリル酸もしくはその反応性エステルを用いる末端処理もしくはリビング重合開始剤としてビニルベンジルアルコール等のアルコール類を用いて、リビング重合を行うか、或いは天然水溶性ポリマーセグメントにあっては、相当するポリマーの(メタ)アクリル酸もしくはその反応性エステルを用いる片末端の選択的処理により、形成することができる。これらの処理または反応は、いずれも当業者に周知であるものが利用できる。
本発明で用いるマクロマーは、また、上記の連結基に加えて、疎水性ポリマーセグメントを介して、親水性ポリマーセグメントが結合していてもよい。疎水性ポリマーセグメントとは、上述した親水性ポリマーセグメントと対立する概念を表すものとして、本明細書では用いており、具体的には、該セグメントに相当する独立したポリマーが水に難溶性ないし不溶性であるものと、理解されている。限定されるものでないが、このような疎水性セグメントは、ポリ(ラクチド)鎖、ポリ(ε−カプロラクトン)鎖、ポリ(α−および/もしくはβ−ベンジルアスパラギン酸)鎖、ポリ(γ−ベンジルグルタミン酸)鎖であることができる。親水性セグメントとしてポリ(エチレングリコール)鎖を、そして疎水性セグメントとして前記に例示した鎖を有するポリマーまたはマクロマーの例は、例えば、米国特許第5,449,513号明細書(または特開平6−107565号公報)または米国特許第5,925,720号明細書(またはWO 96/33233)を参照されたい。これらのセグメントの鎖長は、本発明の目的に沿う限り、上述のオリゴマーに相当するものからポリマーに相当するものであることができ、PEGを例にとると、エチレングリコール単位が5〜1200の範囲内にあることが好ましい。当業者であれば、PEG以外の親水性ポリマーセグメントの鎖長も、上記のPEGを参考に決定できる。他方、疎水性ポリマーセグメントは0〜500、該ポリマーセグメントが存在する場合は、5〜500の範囲内にあることができる。このような疎水性ポリマーセグメントが存在する場合、該セグメントは上記の芳香族環が置換された(例えば、C−Cアルキル、ハロゲン原子、等により)もしくは未置換のビニルベンジル、(メタ)アクリロイル等の残基に、上記の酸素もしくは硫黄原子、カルボニル、カルボニルオキシ、オキシカルボニル、イミノ、カルボニルイミノ、イミノカルボニル、C−Cアルキレン、C−Cアルキニレンの1種または2種以上からなる連結基を介して結合することができる。また、疎水性ポリマーセグメントと親水性ポリマーセグメントとは、直接結合するか、または、前記連結基を介して結合することができる。
本発明で用いるのに特に好ましいマクロマーは、疎水性ポリマーセグメントが存在せず、PEGを親水性ポリマーセグメントとして有するものである。このような親水性ポリマーセグメントは、上述した、非特異的タンパク質等の吸着を低減するのに役立つ。また、PEGセグメントは、重合可能なエチレン性基を有する末端に対して、もう一つの末端に、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、反応性の保護されたアミノ基(例えば、マレイミド)等の、場合により保護基の脱離後に生体分子、例えば、タンパク質、核酸、糖類、およびこれらの複合物中に存在する官能基との間で共有結合を形成しうる反応性の官能基を担持せしめたものが都合よく使用できる。また、上記PEGセグメントのもう一つの末端の基としては、生体分子等との反応性もしくは相互作用を抑制するように、C−Cアルコキシル基であるか、または、他の官能基へ化学的に転化できるような有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基であることができる。限定されるものでないが、有機スルホニルとしては、トシル、メシル等が挙げられる。なお、「活性エステル型の保護された」とは、当該保護されたヒドロキシル基およびカルボキシル基が、それぞれ、上述の生体分子中のカルボキシル基およびアミノ基もしくはヒドロキシル基と容易にエステルを形成しうるように保護されていることを意味し、当業者に周知の概念で用いている。例えば、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基を有するマクロマーの例としては、上記の特許文献4にも記載があり、また、上述のWO 96/33233には、疎水性ポリマーセグメントを有するマクロマーや、多種反応性官能基を片末端に導入する方法が記載されており、これらに準じて当業者であれば、上述した、疎水性ポリマーセグメントを有していない多種多様のマクロマーを容易に製造できる。このような(疎水性ポリマーセグメントを含む場合がある)マクロマーの代表例は次の一般式(I)で表すことができるであろう。
Figure 0004963789
式中、Rは水素原子またはC−Cアルキル基を表し、Lは、ラジカル重合可能なモノマーのビニル基以外の部分であり、例えば、メチレン、置換もしくは未置換のフェニレンもしくはフェニルアルキレン、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、およびそれらの組み合わさった連結基を表し、Bは、式
Figure 0004963789
を表し、
は、酸素原子、C−Cアルキレン、カルボニル、イミノ、およびこれらの2個以上が組み合わさった連結基を表し、
Xは、水素原子、C−Cアルキル、C−Cアルキレンカルボキシル、C−Cアルキレンカルボキシエステル(ここで、エステルは酸ハロゲン化物、C−Cアルキルエステル、その他の活性エステル等)、C−Cアルキレンアミノ、C−Cアルキレンメルカプト、C−Cアルキレンアセタール(例えば、
Figure 0004963789
ここでRは水素原子、もしくはC−Cアルキルである)、C−Cアルキレンオキシカルボニルイミダゾール(例えば、
Figure 0004963789
ここでRは水素原子もしくはC−Cアルキルである)を表し、mは0〜500の整数であり、nは5〜1200の整数である。
このようなマクロマーのうち、mがOを表し(すなわち、疎水性セグメントを有していない)、そしてXが水素原子またはC−Cアルキル(かようなアルキルの例示は、(メタ)アクリル酸エステルについて説明したのと同じである。)を表すマクロマーの1種(以下、非反応性PEGマクロマーともいう)と、Xが水素原子またはC−Cアルキル以外を表すマクロマー(以下、反応性PEGマクロマーともいう。)の少なくとも1種のマクロマーを組み合わせて用いるのが、特に好ましい。このように2種のマクロマーを組み合わせ使用して得られる蛍光体含有ラテックスポリマー粒子は、本発明者らの知る限りでは、従来文献に未載であり、新規である。そして、上記の2種のマクロマーを用いて調製したポリマー粒子は、マクロマーとして、反応性PEGマクロマーのみからなる反復単位を含む、例えば、特許文献4に記載の機能性物質固定化マイクロスフェアーに比べ、それらの表面への望ましくないタンパク質の非特異的吸着が有意に低減するとの予期せぬ効果を奏する。なお、このような新規の蛍光体または造影剤含有ラテックスポリマー粒子は、上述した本発明の方法によって都合よく製造できるが、蛍光体または造影剤をコア部に導入する方法としてはそれ自体既知の、蛍光体または造影剤不含のラテックスポリマー粒子を予め形成しておき、その後、適当な方法で蛍光体または造影剤を導入する方法によっても製造できる。
したがって、本発明では、別の態様のものとして、本発明の製造方法に限定されるものでない疎水性コア領域に蛍光体を含有する疎水性コア−親水性シェル型のラテックスポリマー粒子が提供される。ここで、非反応性PEGマクロマーと反応性PEGマクロマーにおけるPEG鎖長は同一かまたは前者の方が短くなるような組み合わせが好ましく、通常、前者のPEG鎖長は後者のPEG鎖長の20〜100%、好ましくは40〜90%であることができる。また、非反応性PEGマクロマーと反応性PEGマクロマーの使用割合は、モル比で、1:5000〜5000:1、好ましくは、1:3000〜3000:1、特に好ましくは1:100〜1000:1にある。このような割合で、2種のPEGマクロマーに由来する反復単位を有するラテックスポリマー粒子(蛍光体を含有する場合も)は、その表面へのタンパク質等の非特異的吸着が著しく低減できるので、かかる粒子を、例えば、in vivoでまたは生体由来の試料をin vitroで取り扱う場合には、特に好ましい。また、2種のマクロマーを用いて調製したポリマー粒子は、反応性PEGマクロマー由来の官能基の生体分子への結合性も改善できる。このような1種もしくは2種以上のマクロマーは、ラテックスポリマー粒子(蛍光体を含まない)の総重量当たり、0.5〜99.5重量%、好ましくは10〜90重量%、特に好ましくは20〜80重量%で用いられる。
本発明の方法によれば、上記のラテックス形成性モノマーと前記のマクロマーが、水性媒体中で、それ自体公知のラジカル重合に供される。そして、このラジカル重合中に蛍光体(場合によりキレート化合物として)が、上記のモノマーおよびマクロマーの総重量に対して、0.001〜90重量%、好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは1〜20重量%で共存せしめられる。
ラジカル重合反応は、水性媒体中に上記のラテックス形成性モノマー、マクロマー、蛍光体およびラジカル重合開始剤を存在せしめ、必要により、加熱(約100℃迄)して行う。この反応系は、通常、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下に置かれる。水性媒体中の該ラテックス形成性モノマーは0.1〜50重量/重量%となるように選ぶのが好都合である。上記の反応系を調製する順序は、重合反応を進行することができる限り、いかなる順序であってもよく、限定されないが、好ましくは後述の実施例に従うのがよい。反応時間は、反応温度およびモノマーの種類により最適条件が変動するが、一般に24時間行うのがよい。ラジカル重合開始剤は、慣用されている開始剤が制限なく使用できるが、代表的なものとしては、2,2’−アゾ・ビス・イソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート等の有機過酸化物を挙げることができる。このような開始剤は、総モノマー(マクロマーを含む)のモル数に対し、0.001〜10モル%、好ましくは1〜5モル%となるように用いることができる。
こうして製造できるラテックスポリマー粒子は、遠心分離、沈降分離、透析、限外濾過、ゲル濾過、等を単独または組み合わせて使用して精製することができる。こうして得られるラテックスポリマー粒子のうち、例えば、反応性PEGマクロマーに由来する単位を有する粒子は、必要により、保護基(例えば、アセタール)を脱離した後、それ自体既知の反応を用いて、抗体、抗原、ハプテン、レクチン、糖を共有結合を介して粒子上に固定できる。したがって、in vivoで標的指向性標識として、または、in vitroで、特に、2種のマクロマーを用いた場合には、タンパク質等の非特異的吸着を殆どもしくは全く伴わず、したがって、バックグランド等の低いアッセイ系で使用できる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
<測定装置と条件等>
(1) 分子量測定
東ソー製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)HLC−8020、検出器:Refractive Index Detector RID−6A、カラム:TSK−gel(super HZ−2500、super HZ−3000、super HZ−4000)、移動相:2%トリエチルアミン含有THF、流速:1mL/分間
(2) 核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)
日本電子製 JEOL EX−400(400MHz)、溶媒:DMSO−d=、測定温度:20℃
(3) 粒子径測定
大塚電子製 動的光散乱(DLS)光度計(DLS−7000)光源:Arレーザー
(4) 蛍光強度測定
日立製 分光蛍光光度計F−2500、得た各粒子懸濁水溶液を超純水にて500倍希釈し、下記測定条件にて蛍光強度を測定することにより、粒子1gあたりの蛍光強度を算出した。(下記の比較例1を基準とする)ホトアル電圧:700V、励起波長:340nm、蛍光波長:最大強度を示す波長(615〜616.5nm)
マクロマーの合成例1:VB−PEG−NHの合成
Figure 0004963789
アセトン−カリウムの調製法
テトラヒドロフラン(THF)35.2mL、3M水素化カリウム(KH)/THF溶液5mL(15mmol)、アセトン0.735mL(10mmol)をアルゴン下、室温で反応容器に加え、15分間攪拌して、0.25Mアセトン−カリウム/THF溶液を調製した。
VB−PEG−NHの合成法
2Mビニルベンジルアルコール(VBA)/THF溶液1mL(2mmol)、0.25Mアセトン−カリウムTHF溶液8ml(2mmol)をアルゴン下、室温で反応容器に加え、室温で15分間攪拌してVBAのカリウムアルコキシド溶液を得た。この反応混合物から減圧乾燥でアセトンを留去した。その後、THF60mLを加え、さらに冷却したシリンジでエチレンオキシド11.3mL(0.23mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行い、VB−PEG−OHを合成した。
この開環重合反応物にトリエチルアミン1.3mL(9.4mmol)を加え、これを溶液Aとする。メタンスルホニルクロリド0.5mL(6.5mmol)を加えたTHF10mL溶液を溶液Bとする。溶液Aを約1時間かけて溶液Bに滴下した。滴下後さらに2時間攪拌した後、反応混合溶液をろ過し、ろ液をエーテルに注ぎ、モノマーを沈殿させた。そのマクロマーをろ別し、減圧乾燥で溶媒を除去し、VB−PEG−メタンスルホニル(VB−PEG−Ms)を得た。
次いで、VB−PEG−Ms9.0g(2.34mmol)を蒸留水110mLに溶かし、これを溶液Cとする。25%アンモニア水500mLに、溶液Cを室温、約1時間で滴下した後、さらに室温で3日間攪拌した。この反応溶液からエバポレーターでアンモニアを留去し、さらに100mL程度まで濃縮した。この濃縮溶液を、−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、モノマーを沈殿させ、遠心分離操作(6000r.p.m.、40分間、−10℃)を行い、マクロマーを回収した。その後、ベンゼンにそのマクロマーを溶かし、凍結乾燥後にマクロマー(化合物1またはVB−PEG−NHともいう)を回収した。
得た化合物が目的物であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は3590、分子量分布Mw/Mn=1.04である。
VB−PEG−NHH−NMRスペクトラムを図1に示す。ビニル基の導入率、アミノ基の導入率はH−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
マクロマーの合成例2:VB−PEG−NHの合成その2
上記合成例1のアセトン−カリウムTHF溶液の代わりに水素化カリウム(KH)/THF溶液を用いてマクロマー(化合物1に相当する)を合成した。
KH/THF溶液の調製法
アルゴン雰囲気下の容器にKH/オイルを入れ、ヘキサンでオイル分を除去した。この操作を3回行い、減圧乾燥を1晩行い、完全にヘキサンを除去した。THFを加えて3M KH/THF溶液を調製した。
VB−PEG−NHの合成法
THF58mL、2M VBA/THF溶液1mL(2mmol)、3M KH/THF溶液0.8ml(2.4mmol)をアルゴン下、室温で反応容器に加え、室温で30分間攪拌してVBAのカリウムアルコキシド溶液を得た。この溶液を2時間静置して過剰なKHを沈降させ、上澄み溶液をアルゴン雰囲気下の容器に入れ、冷却したシリンジでエチレンオキシド11.3mL(0.23mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行い、VB−PEG−OHを合成した。この開環重合反応物にトリエチルアミン1.3mL(9.4mmol)を加え、これを溶液Aとする。メタンスルホニルクロリド0.5mL(6.5mmol)を加えたTHF10mL溶液を溶液Bとする。溶液Aを約1時間かけて溶液Bに滴下した。滴下後さらに2時間攪拌した後、反応混合溶液をろ過し、ろ液をエーテルに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。そのマクロマーをろ別し、減圧乾燥で溶媒を除去しVB−PEG−Msを得た。
次いで、VB−PEG−Ms7.7g(1.4mmol)を蒸留水110mLに溶かし、これを溶液Cとする。25%アンモニア水500mLに、溶液Cを室温、約1時間で滴下した後、さらに室温で3日間攪拌した。この反応溶液からエバポレーターでアンモニアを留去し、さらに100mL程度まで濃縮した。この濃縮溶液を、−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させ、遠心分離操作(6000r.p.m.、40分間、−10℃)を行い、モノマーを回収した。その後、ベンゼンにそのマクロマーを溶かし、凍結乾燥後に目的のマクロマーを回収した。
得た化合物が目的物であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は5460、分子量分布Mw/Mn=1.03である。ビニル基の導入率、アミノ基の導入率はH−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
マクロマーの合成例3:VB−PEG−OHの合成
Figure 0004963789
2M VBA/THF溶液1mL(2mmol)、0.25Mアセトン−カリウムTHF溶液8ml(2mmol)をアルゴン下、室温で反応容器に加え、室温で15分間攪拌してVBAのカリウムアルコキシド溶液を得た。この反応混合物から減圧乾燥でアセトンを留去した。その後、THF60mLを加え、さらに冷却したシリンジでエチレンオキシド6.8mL(0.14mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行った。その後、メタノール3mLを加えて反応を止めた。この反応混合溶液を、−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させ、遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)を行い、マクロマー(化合物2)を回収し、凍結乾燥して溶媒を除去した。
得た化合物が目的物(化合物2またはVB−PEG−OHという)であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。VB−PEG−OHのH−NMRスペクトルを図2に示す。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は2850、分子量分布Mw/Mn=1.04である。
ビニル基の導入率はH−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
マクロマーの合成例4:アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの合成
Figure 0004963789
カリウム−ナフタレン/THF溶液の調製法
ナフタレンの入ったアルゴン雰囲気下の容器にTHFを加え溶解させ、氷冷しながらナフタレンに対して1.05倍モル量の柱状カリウムを加え、1日間攪拌させた。この溶液を塩酸滴定して0.3263Mカリウム−ナフタレン/THF溶液を調製した。
アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルの合成
THF40mL、3,3’−ジエトキシ−1−プロパノール0.32mL(2mmol)をアルゴン雰囲気下の容器に室温で加え、0.3263Mカリウム−ナフタレン/THF溶液6.2mL(2mmol)を加え15分間攪拌してカリウムアルコキシド溶液を得た。この溶液に、冷却したシリンジでエチレンオキシド11.3mL(0.23mol)を加えて室温で2日間攪拌して開環重合を行い、アセタール−PEG−OHを合成した。この重合溶液に1mol/L DL−ラクチド/THF溶液8.4ml(8.4mmol)を加えて室温で3時間攪拌し、さらに重合反応を行った。その後、無水メタクリル酸4.5mL(28mmol)を加え、室温で2日間攪拌して反応を止めた。このマクロマー混合溶液を−15℃に冷却したイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)を行い、マクロマーを回収した。さらにマクロマーをイソプロピルアルコールに注ぎ、マクロマーを沈殿させた。遠心分離操作(6000r.p.m.,40分間、−10℃)によってマクロマーを精製する操作をした後、ベンゼンにマクロマーを溶解し凍結乾燥を行ってマクロマー(化合物3またはアセタール−PEG/PLA−メタクリロイルともいう)を回収した。
得た化合物が目的物であることは、上記に記載した測定条件にてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー製 HLC−8020)及び核磁気共鳴測定装置(日本電子製 JEOL EX−400(400MHz))により確認した。GPCの結果から、PEG鎖の分子量は5530、分子量分布Mw/Mn=1.03である。アセタール−PEG/PLA−メタクリロイルのラクチド鎖(PLA)の分子量はGPCの結果であるPEG鎖分子量及びH−NMRスペクトラムより算出し、150である。ビニル基の導入率はH−NMRスペクトラムより算出し、ほぼ定量的に導入されているのを確認した。
実施例1:蛍光物質封入アミノ末端コア−シェル型ラテックスの調製
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.4577g(0.5mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.3945g(1mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mmol)をアルゴン雰囲気下の容器に入れ、さらにメタノール20mLを加え超音波照射して溶解し、さらにスチレンモノマー0.5mL(4.35mmol)を加えた。これをキレートモノマー溶液とする。マクロマーの合成例1で得たVB−PEG−NH=0.25g(0.0487mmol)、アルゴン脱気した超純水20mLをアルゴン雰囲気下の容器に加え、スリーワンモーターで攪拌(500r.p.m.)しながら、上記キレートモノマー溶液を加えた。さらに室温で30分間攪拌後、60℃で24時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁溶液を透析、遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。さらに超遠心分離(80000r.p.m.、20分間、4℃)精製し、最終的に0.45μm親水性メンブレンフィルター処理をして、表面にアミノ基が結合し、コア部に蛍光物質を封入したコアーシェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。
反応に用いた粒子重量に対しての蛍光物質添加率および相対比(下記の比較例1基準)の算出結果を表−1にまとめて示す。本実施例においては、反応に用いた総モノマー重量は、比較例における粒子重量と相対する重量として算出に用いた。
得たコア−シェル型ラテックスの平均粒子径及び粒子径分布は、上記に記載した大塚電子製 動的光散乱(DLS)光度計(DLS−7000)を用いて測定した。また、日立製 分光蛍光光度計F−2500を用いて蛍光強度を測定し、粒子1g当たりの蛍光強度比(下記の比較例1基準)の各値を表−2に示す。
実施例2:
マクロマーの合成例1で得たVB−PEG−NH=0.4g(0.0779mmol)、ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.4577g(0.5mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.3945g(1mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mol)をアルゴン雰囲気下の容器に入れ、メタノール20mLを加えて超音波照射して溶解し、スチレンモノマー0.5mL(4.35mmol)を加えた。スリーワンモーターで攪拌(500r.p.m.)しながら、アルゴン脱気した超純水20mLを加えて、室温で30分間攪拌後、60℃で24時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁溶液を透析、遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.45μm親水性メンブレンフィルター処理をして、表面にアミノ基が結合し、コア部に蛍光物質を封入したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例3:
マクロマーの合成例1で得たVB−PEG−NH=0.12g(0.0234mmol)、マクロマーの合成例3で得たVB−PEG−OH 0.28g(0.0893mmol)、ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.4577g(0.5mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.3945g(1mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mol)をアルゴン雰囲気下の容器に入れ、メタノール20mLを加えて超音波照射して溶解し、スチレンモノマー0.5mL(4.35mmol)を加えた。スリーワンモーターで攪拌(500r.p.m.)しながら、アルゴン脱気した超純水20mLを加えて、室温で30分間攪拌後、60℃で24時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁溶液を透析、遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.45μm親水性メンブレンフィルター処理をして、表面にアミノ基が結合し、コア部に蛍光物質を封入したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例4:
マクロマーの合成例1で得たVB−PEG−NH=0.04g(0.00779mmol)、マクロマー合成例3で得たVB−PEG−OH 0.36g(0.115mmol)、ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.4577g(0.5mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.3945g(1mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mol)をアルゴン雰囲気下の容器に入れ、メタノール20mLを加えて超音波照射して溶解し、スチレンモノマー0.5mL(4.35mmol)を加えた。スリーワンモーターで攪拌(500r.p.m.)しながら、アルゴンで脱気した超純水20mLを加えて、室温で30分間攪拌後、60℃で24時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁溶液を透析、遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.45μm親水性メンブレンフィルター処理をして、表面にアミノ基が結合し、コア部に蛍光物質を封入したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例5:
マクロマーの合成例1で得たVB−PEG−NH=0.012g(0.00234mmol)、マクロマーの合成例3で得たVB−PEG−OH 0.388g(0.124mmol)、ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.4577g(0.5mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.3945g(1mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mol)をアルゴン雰囲気下の容器に入れ、メタノール20mLを加えて超音波照射して溶解し、スチレンモノマー0.5mL(4.35mmol)を加えた。スリーワンモーターで攪拌(500r.p.m.)しながら、アルゴンで脱気した超純水20mLを加えて、室温で30分間攪拌後、60℃で24時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁溶液を透析、遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.45μm親水性メンブレンフィルター処理をして、表面にアミノ基が結合し、コア部に蛍光物質を封入したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。参考例1:コア−シェル型ラテックスの調製
アルデヒド末端コア−シェル型ラテックス
アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)29.6mg(0.18mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにスチレン溶液2mL(17mmol)を加えて、これをスチレン溶液とする。超純水160mL、マクロマーの合成例4で得たアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル3.436g(0.625mmol)を別の容器に入れアルゴン置換し、これをモノマー溶液とする。この溶液をスリーワンモーターで撹拌(400r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間撹拌後、60℃で18時間攪拌し、さらに80℃で6時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁水溶液をろ紙でろ過を行い、表面にアセタール基が結合したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。
次いで、コア−シェル型ラテックス溶液を1M塩酸でpH2.0に調整した後、2時間攪拌した。その後、1M水酸化ナトリウム水溶液でpH5.0とし、保護基のアセタール基を脱保護し、表面をアルデヒド基にしたコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。
この懸濁水溶液を透析およびろ紙でろ過をし、脱塩を行なった。
このようにして得たアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの平均粒子径及び粒子径分布は、上記に記載した大塚電子製 動的光散乱(DLS)光度計(DLS−7000)を用いて測定し、粒子径は65nm、粒子径分布は0.151であった。
参考例2:アルデヒド末端コア−シェル型ラテックス
アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)388.2mg(2.4mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにスチレン溶液27mL(235mmol)を加えて、これをスチレン溶液とする。超純水400mL、マクロマーの合成例4で得たアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル8.59g(1.56mmol)を別の容器に入れアルゴン置換し、これをマクロマー溶液とする。この溶液をスリーワンモーターで攪拌(400r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間攪拌後、60℃で18時間攪拌し、さらに80℃で6時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁水溶液をろ紙でろ過を行い、表面にアセタール基が結合したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。
次いで、コア−シェル型ラテックス溶液を1M塩酸でpH2.0に調整した後、2時間攪拌した。その後、1M水酸化ナトリウム水溶液でpH5.0とし、保護基のアセタール基を脱保護し、表面をアルデヒド基にしたコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。
この懸濁水溶液を透析およびろ紙でろ過をし、脱塩を行なった。
このようにして得たアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの平均粒子径及び粒子径分布は、上記に記載した大塚電子製 動的光散乱(DLS)光度計(DLS−7000)を用いて測定し、粒子径は102.3nm、粒子径分布は0.0665であった。
参考例3:アミノ末端コア−シェル型ラテックス
アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにスチレン溶液0.5mL(4.35mmol)を加えて、これをスチレンモノマー溶液とする。マクロマーの合成例1で得たVB−PEG−NH=0.25g(0.0487mmol)をアルゴン雰囲気下で反応容器に加え、さらにアルゴンで脱気した超純水20mLを加えた。この溶液をスリーワンモーターで攪拌(500r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間攪拌後、60℃で20時間攪拌(400r.p.m.)し、さらに80℃で4時間攪拌して重合反応を行った。この粒子懸濁水溶液をろ紙でろ過を行い、表面にアミノ基が結合したコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。
このようにして得たアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの平均粒子径及び粒子径分布は、上記に記載した大塚電子製 動的光散乱(DLS)光度計(DLS−7000)を用いて測定し、粒子径は98.2nm、粒子径分布は0.087であった。
比較例:有機溶媒での膨潤作用による蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスの調製
比較例1:
塩化ユーロピウム6水和物水溶液(22mg/mL、0.06mmol)1mLに、テノイルトリフルオロアセトン(TTA)のアセトン溶液(37mg/mL、0.17mmol)1mLを加え、更にトリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)のアセトン溶液(87mg/mL、0.23mmol)2mLを加えて、ユーロピウムキレート溶液を調製した。
参考例1のアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの懸濁液(18.13mg/mL)5mLにアセトン5mLを加え、攪拌しながら、さらに上記のユーロピウムキレート溶液0.12mL(ユウロピウムキレートとして0.0018mmol)を加え、遮光下室温で25分間撹拌した。攪拌後、アセトンをエバポレーターで留去し、0.2μm親水性メンブレンフィルター処理し、過剰なユウロピウムキレートを除去して、アルデヒド末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。
反応に用いた粒子重量に対しての蛍光物質添加率および相対比(本例を基準の1とする)の算出結果を表−1にまとめて示す。本比較例においては、反応に用いた粒子重量は、実施例における反応に用いた総モノマー重量と相対する重量として算出に用いた。
得たコア−シェル型ラテックスの平均粒子径及び粒子径分布は、上記に記載した大塚電子製 動的光散乱(DLS)光度計(DLS−7000)を用いて測定した。また、日立製 分光蛍光光度計F−2500を用いて蛍光強度を測定し、粒子1g当たりの蛍光強度比(本例を基準とする)の各値を表−2に示す。
比較例2:
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)549.2mg(0.60mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)473.4mg(1.2mmol)にアセトン4mLを加えて、ユーロピウムキレート溶液を調製した。
参考例2のアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの懸濁液(10.0mg/mL、蒸留水)10mLにアセトン10mLを加え、攪拌しながら、さらに上記のユーロピウムキレート溶液0.24mL(ユウロピウムキレートとして0.036mmol)を加え、遮光下室温で30分間撹拌した。攪拌後、アセトンをエバポレーターで留去し、超純水で10mLにメスアップした。この水溶液を遠心分離(3000r.p.m.、30分間、4℃)し、0.2μm親水性メンブレンフィルター処理し、過剰なユウロピウムキレートを除去して、アルデヒド末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
比較例3:
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)32.96mg(0.036mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)28.4mg(0.072mmol)にアセトン10mLを加えて、ユーロピウムキレート溶液を調製した。
この溶液に、参考例2のアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの懸濁液(10.0mg/mL)10mLを攪拌しながら加え、遮光下室温で30分間撹拌した。攪拌後、アセトンをエバポレーターで留去し、蒸留水で10mLにメスアップした。この水溶液を遠心分離(3000r.p.m.、30分間、4℃)し、0.2μm親水性メンブレンフィルター処理し、過剰なユウロピウムキレートを除去して、アルデヒド末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
比較例4:
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)329.5mg(0.36mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)284.1mg(0.72mmol)にアセトン10mLを加えて、ユーロピウムキレート溶液を調製した。
この溶液に、参考例2のアルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの懸濁液(10.0mg/mL)10mLを攪拌しながら加え、遮光下室温で30分間撹拌した。攪拌後、アセトンをエバポレーターで留去し、蒸留水で10mLにメスアップした。この水溶液を遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)し、0.2μm親水性メンブレンフィルター処理し、過剰なユウロピウムキレートを除去して、アルデヒド末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
比較例5:
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)164.8mg(0.18mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)142.1mg(0.36mmol)にアセトン5mLを加えて、ユーロピウムキレート溶液を調製した。
この溶液に、参考例3のアミノ末端コア−シェル型ラテックスの懸濁液(10.0mg/mL)5mLを攪拌しながら加え、遮光下室温で30分間撹拌した。攪拌後、アセトンをエバポレーターで留去し、蒸留水で15mLにメスアップした。この水溶液を遠心分離(6000r.p.m.、30分間、4℃)し、0.45μm親水性メンブレンフィルター処理し、過剰なユウロピウムキレートを除去して、アルデヒド末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例6:蛍光物質封入アルデヒド末端コア−シェル型ラテックスの調製
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.2288g(0.25mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.1933g(0.49mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)49.3mg(0.30mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにアセトン10mL、スチレン溶液1mL(8.70mmol)を加えて、これをスチレン溶液とする。超純水80mL、マクロマーの合成例4で得たアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル1.72g(0.31mmol)を別の容器に入れアルゴン置換し、これをモノマー溶液とする。この溶液をスリーワンモーターで撹拌(400r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間撹拌後、60℃で24時間撹拌して(400r.p.m.)重合反応を行った。重合後、アセトンをエバポレーターで留去し、粒子懸濁溶液を遠心分離(2500r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.2μm親水性メンブレンフィルター処理をして、アセタール末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。
次いで、コア−シェル型ラテックス溶液を1M塩酸でpH2.0に調整した後、2時間撹拌した。その後、1M水酸化ナトリウム水溶液でpH5.0とし、保護基のアセタール基を脱保護し、表面をアルデヒド基にしたコア−シェル型ラテックス懸濁水溶液を得た。この懸濁水溶液を透析およびろ紙でろ過をし、脱塩を行った。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例7:蛍光物質封入アセタール末端コア−シェル型ラテックスの調製
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.0572g(0.062mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.0483g(0.12mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにアセトン5mL、スチレン溶液1.3mL(11.3mmol)を加えて、これをスチレン溶液とする。超純水20mL、マクロマーの合成例4で得たアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル0.43g(0.078mmol)を別の容器に入れアルゴン置換し、これをモノマー溶液とする。この溶液をスリーワンモーターで撹拌(400r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間撹拌後、60℃で24時間撹拌して(400r.p.m.)重合反応を行った。重合後、アセトンをエバポレーターで留去し、粒子懸濁溶液を遠心分離(10000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.2μm親水性メンブレンフィルター処理をして、アセタール末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例8:
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)0.5721g(0.62mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.4833g(1.23mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにアセトン5mL、スチレン溶液1.3mL(11.3mmol)を加えて、これをスチレン溶液とする。超純水20mL、マクロマーの合成例4で得たアセタールPEG/PLA−メタクリロイル0.43g(0.078mmol)を別の容器に入れアルゴン置換し、これをモノマー溶液とする。この溶液をスリーワンモーターで撹拌(400r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間撹拌後、60℃で24時間撹拌して(400r.p.m.)重合反応を行った。重合後、アセトンをエバポレーターで留去し、粒子懸濁溶液を遠心分離(10000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.2μm親水性メンブレンフィルター処理をして、アセタール末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
実施例9:
ユウロピウム(III)テノイルトリフルオロアセトン(Eu−TTA)1.1441g(1.25mmol)、トリオクチルフォスフィンオキシド(TOPO)0.9666g(2.45mmol)、アゾ−ビス−イソブチロニトリル(AIBN)20mg(0.12mmol)をアルゴン下で反応容器に加え、さらにアセトン5mL、スチレン溶液1.3mL(11.3mmol)を加えて、これをスチレン溶液とする。超純水20mL、マクロマーの合成例4で得たアセタール−PEG/PLA−メタクリロイル0.43g(0.078mmol)を別の容器に入れアルゴン置換し、これをモノマー溶液とする。この溶液をスリーワンモーターで撹拌(400r.p.m.)しながら、上記のスチレンモノマー溶液を加え、室温で30分間撹拌後、60℃で24時間撹拌して(400r.p.m.)重合反応を行った。重合後、アセトンをエバポレーターで留去し、粒子懸濁溶液を遠心分離(10000r.p.m.、30分間、4℃)精製をした。最終的に0.2μm親水性メンブレンフィルター処理をして、アセタール末端蛍光物質封入コア−シェル型ラテックスを得た。なお、各データについては実施例1と同様に下記の表−1および表−2にまとめて示す。
Figure 0004963789
Figure 0004963789
以上のデータから、本発明に従うラテックスポリマー粒子の製造方法はポリマー粒子に効率よく、かつ、安定に蛍光体または造影剤を含有するラテックスポリマー粒子を提供できることがわかる。
実施例10:
実施例1〜5および比較例1〜5の方法に従って得られた各粒子懸濁水溶液を超純水にて粒子濃度を2mg/mLとした。また、得られた各粒子懸濁水溶液を測定時の蛍光強度が約15000になるように超純水にて調整した。粒子濃度あるいは蛍光強度が揃えられた各粒子懸濁水溶液をさらに緩衝液(0.05wt%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む1/15M PBS,pH.7.4)にて500倍希釈し、下記測定条件にて時間分解蛍光測定により蛍光強度を測定した。その後、37℃で保存し、3日後、5日後、7日後に同様の条件で蛍光強度を測定した。緩衝液で希釈直後の蛍光強度を基準とし(100%)、各時間にて3回の測定値の平均値を用いて経時的な蛍光強度の変化率を算出し、各粒子の蛍光安定性を比較した。
<測定装置と条件等>
大日本製薬製 マルチディテクションミクロプレートリーダー パワースキャンHT
光源:10Wキセノンフラッシュランプ、励起波長:340nm,蛍光波長:標準 干渉フィルター620/40nm、感度:120、測定回数:50回、測定位置に移動後、光源照射までの時間:500μsec、測定間隔時間:10msec、遅延時間:200μsec、測定時間:400μsec
<結果>
粒子濃度を2mg/mLとなるように調整したときの蛍光強度とその経時的な推移を表−3に示す。イニシャル時の蛍光強度に関して、実施例1〜5と比較例1〜5とを比較すると実施例の方が明らかに蛍光強度は高かった。また、蛍光強度の経時的な推移を同様に実施例と比較例とを比べると、実施例では、37℃、7日後においてもイニシャル時の90%以上の強度を維持したが比較例では62〜85%に低下した。この結果は、実施例粒子の蛍光の方が安定であることを示している。
蛍光強度を約15000カウントと一定にしたときの蛍光強度の推移を表−4に示す。37℃、7日後の強度は、実施例では95%以上を維持したが比較例では、78〜84%に低下した。本発明粒子の方が比較例に比べて明らかに経時的に安定であることを示した。
Figure 0004963789
Figure 0004963789
本発明に従うラテックスポリマー粒子の製造方法はポリマー粒子に効率よく、かつ、安定に蛍光体または造影剤を含有するラテックスポリマー粒子を提供できることがわかる。したがって、限定されるものでないが、医療分野、診断薬製造業の分野で利用できる。

Claims (2)

  1. (i)1種もしくは2種以上のラテックス形成性モノマー、(ii)片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介するかもしくは介することなく、他の片末端側に親水性ポリマーセグメントを有するマクロマー、(iii)ラジカル重合開始剤、ならびに(iv)無機蛍光体または無機造影剤を含んでなる水性媒体中で、該水性媒体を撹拌しながら重合反応を行うことを含んでなると共に、
    ラテックス形成性モノマーが、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸C−Cアルキル、及び、置換または未置換の共役ジエンからなる群より選択され、
    親水性ポリマーセグメントが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(デキストラン)、ポリ(デキストリン)、およびゼラチンからなる群より選ばれる水溶性ポリマー由来のセグメントであり、
    疎水性セグメントが、ポリ(ラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(α−および/もしくはβ−ベンジルアスパラギン酸)、および(γ−ベンジルグルタミン酸)からなる群より選ばれる水難溶性ポリマー由来のセグメントである、蛍光体または造影剤を含有するラテックスポリマー粒子の製造方法。
  2. a)1種もしくは2種以上のラテックス形成性モノマー0.5〜99.5重量%、およびb)片末端に重合可能なエチレン性基を有し、疎水性ポリマーセグメントを介することなく他の片末端側に親水性ポリマーセグメントを有するマクロマー0.5〜99.5重量%の水性媒体中でのラジカル重合によって形成される平均粒径0.001μm〜5μmのラテックスポリマー粒子であって、該粒子の疎水性コア領域に無機蛍光体または無機造影剤を含有する疎水性コア−親水性シェル型のラテックスポリマー粒子であって、
    ラテックス形成性モノマーが、ビニル芳香族化合物、(メタ)アクリル酸C−Cアルキル、及び、置換または未置換の共役ジエンからなる群より選択され、
    疎水性セグメントが、ポリ(ラクチド)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(α−および/もしくはβ−ベンジルアスパラギン酸)、および(γ−ベンジルグルタミン酸)からなる群より選ばれる水難溶性ポリマー由来のセグメントであり、
    マクロマーが、親水性ポリマーセグメントとして、他の片末端にヒドロキシル基、カルボキシル基、アルデヒド基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、活性エステル型の保護されたヒドロキシル基、活性エステル型の保護されたカルボキシル基、アセタール型の保護されたアルデヒド基、有機スルホニルで保護されたヒドロキシル基およびC−Cアルコキシル基からなる群より選ばれる基を担持するポリ(エチレングリコール)セグメントを有し、そのエチレングリコールの繰り返し単位が、5〜1200である少なくとも2種のマクロマーを含む、疎水性コア−親水性シェル型のラテックスポリマー粒子。
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