JPWO2009144840A1 - ポリマーアロイの製造方法及びポリマーアロイ - Google Patents

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Abstract

本発明は、微細相分離構造を維持したまま脱泡や成型等を行うことのできるポリマーアロイの製造方法を提供することを目的とする。本発明は、少なくとも、常温常圧では互いに非相溶である2種類以上の樹脂と常温常圧で液状又は気体状である溶媒とを混合する工程1と、前記溶媒を加熱及び加圧して高温高圧流体又は超臨界流体とし、この状態で混合する工程2と、前記工程2で得られた混合物を常温常圧に戻す工程3と、前記工程3で得られた混合物に電離性放射線を照射する工程4とを有するポリマーアロイの製造方法である。

Description

本発明は、微細相分離構造を維持したまま脱泡や成型等を行うことのできるポリマーアロイの製造方法に関する。また、該ポリマーアロイの製造方法により製造したポリマーアロイに関する。
通常状態では非相溶である2種以上のポリマーをブレンドしたポリマーアロイは、単独のポリマーでは得られない性質を発揮できることから注目されている。とりわけ、2種以上のポリマーが微細相分離構造になっている場合には、それぞれの樹脂の特性が反映されたポリマーアロイを得ることができる。例えば、成形性は良いが耐熱性の悪い非晶性ポリマーに、耐熱性の良好な非晶性のポリマーを加えポリマーアロイを形成させることにより、成形性が良好であり、かつ、耐熱性にも優れたポリマーアロイを作製することができる。しかもポリマーアロイの製造に際しては、ブロックコポリマーやランダムコポリマー等の共重合体のように面倒な共重合操作を必要とすることもない。
通常状態では非相溶である2種以上のポリマーをブレンドし、微細相分離構造を有するポリマーアロイを得る方法としては、相溶化剤を併用した混練り法が用いられていた。しかし、相溶化剤は原料ポリマーに対応したものを選択する必要があるところ、微細相分離構造を形成させ所望の特性を有するポリマーアロイを得ることができる相溶化剤の選択は極めて困難であり、いまだに良好な相溶化剤が見出されていないポリマーの組み合わせもある。
これに対して、特許文献1には、2種類の重合体を常温常圧では気体である超臨界気体又は超臨界気体の混合物を用いて溶融させ、溶融した重合体混合物の粘度が少なくとも10%低下するまで充分な時間にわたって徹底的に混合し、次いで、重合体の溶融混合物の粘度が少なくとも再び当初の値に達するまで充分に時間をかけて混合を続けながら溶融混合物を充分に冷却した後に、混合容器を急激に解圧してポリマーアロイ微分散相分離構造体を製造する方法が開示されている。また、特許文献2には、常温常圧で液体の溶媒を高温高圧状態の流体に変えて非相溶な2種以上のポリマーを相溶化させ、次いで急激に圧力を低下させ溶媒を気化させて100nm以下の微細相分離構造を持つポリマーアロイを製造する方法が開示されている。
しかしながら、引用文献1、2に記載されたポリマーアロイの製造方法は、その製造過程において超臨界気体又は超臨界気体を含む混合物を加圧状態からの急激な解圧によって高温高圧の流体を気化させる、いわゆる断熱膨張による冷却工程を有することから、得られるポリマーアロイ中には大量の気泡が発生していた。このような気泡を有するポリマーアロイを用いて透明な成形品を得るためには、高温に加熱しながら混練を行う脱泡工程を要する。しかしながら、脱泡工程を行うと、ポリマーアロイの微細相分離構造が破壊されてしまうことがあった。また、仮に微細相分離構造を維持したまま脱泡できたとしても、成型のために再度加熱したときには微細相分離構造が破壊されてしまうため、これまで利用範囲は非常に限られていた。
また、特許文献3には、製造過程において超臨界気体又は超臨界気体を含む混合物を加圧状態からの急激な解圧を行わず、急速にガラス転移温度以下まで冷却することで脱泡工程を必要としないポリマーアロイの製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法によっても再度熱成型等の過酷な熱処理や混練を行った場合は微細相分離構造が破壊されてしまうことがあり、微細相分離構造を有するポリマーアロイを活用するためには不充分であった。また、急激な解圧を行わない冷却プロセスは連続的生産には不向きであるといった工業的な問題もあった。
特開平2−134214号公報 特開平10−330493号公報 米国特許第7129322号明細書
本発明は、上記現状に鑑み、微細相分離構造を維持したまま脱泡や成型等を行うことのできるポリマーアロイの製造方法を提供することを目的とする。更に、該ポリマーアロイの製造方法により製造したポリマーアロイを提供することを目的とする。
本発明は、少なくとも、常温常圧では互いに非相溶である2種類以上の樹脂と常温常圧で液状又は気体状である溶媒とを混合する工程1と、前記溶媒を加熱及び加圧して高温高圧流体又は超臨界流体とし、この状態で混合する工程2と、前記工程2で得られた混合物を常温常圧に戻す工程3と、前記工程3で得られた混合物に電離性放射線を照射する工程4とを有するポリマーアロイの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者らは、常温常圧では互いに非相溶である2種類以上の樹脂を高温高圧流体又は超臨界流体中で混合することにより形成されたポリマーアロイに、適当量の電離性放射線を照射することにより、微細相分離構造体が極めて安定となり、その後に高温に加熱しながら混練を行う脱泡工程を行ったり、成型のために過酷な熱処理や混練を行っても、微細相分離構造体が崩れにくいことを見出した。
通常、いったん形成されたポリマーアロイの微細相分離構造は、加熱して樹脂の流動性が上昇すると破壊されてしまう。しかしながら、電離性放射線を照射すると、ポリマーアロイを構成する各樹脂にラジカルが発生し、樹脂間に架橋反応が生じることにより、微細相分離構造が安定するものと考えられる。
なお、本明細書においてポリマーアロイとは、それぞれの樹脂が小さな樹脂ドメインとして均一に分散した混合状態にある相分離構造体を有する樹脂混合物を意味し、好ましくはそれぞれの樹脂ドメインが10μm以下(より好ましくは1μm以下)の大きさである超微小相分離構造体を有する樹脂混合物を意味する。また、本明細書においてポリマーアロイには、上記樹脂ドメインが限りなく小さくなり、樹脂同士が完全に相溶化している状態をも含む。
本発明のポリマーアロイの製造方法では、まず工程1において常温常圧では互いに非相溶である2種類以上の樹脂と常温常圧で液状又は気体状である溶媒とを混合する。
本発明のポリマーアロイに用いられる樹脂の組み合わせとしては、お互いに非相溶又は相溶性に乏しい樹脂であれば特に限定されず、結晶性樹脂と非結晶性樹脂の樹脂混合物、相溶性に乏しいカチオン性又はアニオン性のイオン性樹脂混合物、非極性樹脂と極性樹脂との樹脂混合物、ガラス転移点や融点が大きく異なる樹脂の混合物等や、粘度の大きく異なる樹脂の混合物等が挙げられる。なかでも、極性の大きく異なる樹脂の組み合わせはポリマーアロイとすることが困難であったが、本発明のポリマーアロイの製造方法によれば容易にポリマーアロイを得ることができる。このような極性の異なる樹脂の組み合わせとしては、例えば、低極性樹脂がノルボルネン樹脂であり、極性樹脂がポリビニルアルコールである場合等が挙げられる。
本発明のポリマーアロイに用いられる樹脂の構造は、線状であっても分岐構造であってもよく、又は、橋架構造を有していてもよい。更に、それらの規則性は、アイソタクチック、シンジオタクチック又はアタックチックのいずれでもよい。また上記樹脂は、ブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体等の共重合体であってもよい。また、オリゴマーであっても、高分子量又は超高分子量重合体であってもよい。
本発明のポリマーアロイの製造方法が好適に適用できる樹脂としては特に限定されないが、電離性放射線に対して劣化耐性の高い樹脂、即ち、電離性放射線を照射したときに主鎖の切断が起こりにくい樹脂が好適である。
このような劣化耐性の高い樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール共重合体、メチルペンテン樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ウレタン樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、液晶ポリマー等が挙げられる。
ただし、電離性放射線に対する劣化耐性は、照射条件によっても大きく変化する。例えば、窒素雰囲気下や適切な温度条件下では劣化は起こりにくい。従って、一般に電離性放射線に対する劣化耐性が低いと考えられている樹脂であっても、条件を整えることにより用いることができることがある。
また、電離性放射線に対する劣化耐性が低いと考えられている樹脂であっても、変性を行うことにより劣化耐性を向上させることもできる。このような変性は一般的なものであれば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル変性、エポキシ変性、アミノ変性、カルボニル変性、ハロゲン変性、シラノール変性、イソシアネート変性、ヒドロキシル変性、ジアゾ変性、チオール変性、アクリロイル変性等が挙げられる。なかでも、電離性放射線に対して反応活性を示すものがより好ましい。
上記常温常圧で液体の溶媒としては、例えば、水、有機溶媒等が挙げられる。
上記有機溶媒としては、炭化水素系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、アルコール系有機溶剤、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
上記炭化水素系有機溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン等が挙げられる。
上記エーテル系有機溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
上記エステル系有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
上記ケトン系有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
上記アルコール系有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
上記常温常圧で気体状の溶媒としては、例えば、N、CO、NO、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、低分子量アルカン、エチレン等の低分子量アルケン、アンモニア等が挙げられる。
上記クロロフルオロカーボンとしては、例えば、クロロジフルオロメタン、ジクロロトリフルオロエタン等が挙げられる。
上記低分子量アルカンとしては、例えば、n−ブタン、プロパン、エタン等が挙げられる。
なかでも、25℃の常温、0.1MPaの常圧で液状であり、かつ、臨界温度、臨界圧力を有している溶媒が好適である。溶媒が常温常圧で気体状であると、解圧を徐々に行い発泡しないように調整する必要があるが、溶媒が常温常圧で液状であれば、解圧時に混合容器内の内圧がほとんど変わらず発泡のおそれがない。これらは単独で用いられても良いし、2種類以上併用されても良い。
なかでも、非相溶な2種類以上の樹脂の1つとして後述する熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含む場合には、溶媒として水を用いることが好ましい。常温常圧環境下では実用的にはシクロヘキサンにしか溶解しない熱可塑性ノルボルネン系樹脂であっても、高温高圧流体又は超臨界流体となり極性が減少した水に対しては充分に溶解させることができる。常温常圧環境下においては熱可塑性ノルボルネン系樹脂は水に溶解しないため取り出しやすく取扱いやすい。また、溶媒としてアルコールを用いることも好ましい。アルコールも比較的低温で高温高圧状態又は超臨界状態となるので、樹脂が熱分解を起こすことがなく好適に使用される。
上記溶媒は樹脂を攪拌できる程度の体積を占めていることが好ましい。即ち、常温常圧で液状の溶媒の体積は上記常温常圧では互いに非相溶である2種類以上の樹脂の体積の合計の1倍以上であることが好ましい。
高温高圧状態又は超臨界状態における溶媒の粘度は高く、樹脂の粘度より高くすることもできる。よって、通常の混合では粘度が高く、混合しにくい樹脂であっても高温高圧状態又は超臨界状態で高粘度となった溶媒による攪拌により他の樹脂と混合することができる。
上記溶媒には、必要に応じて相溶化剤を添加してもよい。
上記相溶化剤としては、ポリマーアロイを形成させたい各樹脂にそれぞれ相溶することができるセグメントが存在するオリゴマー又はポリマーが挙げられる。上記相溶化剤がポリマーであるときは、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマーのいずれでもよい。
また、ポリマーアロイを形成させたい各樹脂の構造の一部に対して変性を加えることにより、相溶化剤としての機能を持たせることもできる。このような相溶化剤としては、例えば、マレイン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、アミノ基末端ニトリルブタジエンラバー、カルボン酸変性ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、スルホン化ポリスチレン、水酸基末端ポリオレフィン、水酸基末端ポリブタジエン、マレイン酸変性エチレンブチレンラバー、エチレン/アクリル酸共重合体等が挙げられる。また、グラフト型ポリマー相溶化剤として有効なポリマーとしては、側鎖にビニルポリマーがグラフトされているポリオレフィン、側鎖にビニルポリマーがグラフトされているポリカーボネート等がある。市販の相溶化剤としては、例えば、「モディパー」(日本油脂社製)、「アドマー」(三井化学社製)等が挙げられる。
本発明のポリマーアロイの製造方法では、次いで、上記溶媒を加熱及び加圧して高温高圧流体又は超臨界流体とし、この状態で混合する工程2を行う。
上記高温高圧流体又は超臨界流体の温度の好ましい下限は100℃、好ましい上限は700℃である。上記高温高圧流体又は超臨界流体の温度が100℃未満であると、得られるポリマーアロイの超微小相分離構造の形成が不充分となることがあり、700℃を超えると、樹脂が分解したり、昇温するために必要とするエネルギーが非常に大きくかつエネルギーロスが大きくなるため、コストが高くなり経済的でないことがある。上記高温高圧流体又は超臨界流体の温度のより好ましい上限は400℃である。
上記高温高圧流体又は超臨界流体の圧力の好ましい下限は0.5MPa、好ましい上限は100MPaである。上記高温高圧流体又は超臨界流体の圧力が0.5MPa未満であると、超微小相分離構造体の形成が不充分となることがあり、100MPaを超えると、圧力を大きくさせるために必要なエネルギーが非常に大きくなるため、コストが高くなり経済的でない。上記高温高圧流体又は超臨界流体の圧力のより好ましい上限は60MPaである。
樹脂を高温高圧状態又は超臨界状態で混合する処理時間は短時間であることが好ましい。混合時間が短時間であれば樹脂の分解を抑制することができる。なお、混合時間が長くなると得られる樹脂が分解してしまい液状となってしまうことがある。好ましい混合時間は処理温度により異なるが、400℃以上では30分以内、より好ましくは20分以内、更に好ましくは10分以内であり、400℃以下では1時間以内、より好ましくは30分以内である。
このように短時間で混合を完了させる方法としては、例えば、それぞれの樹脂をあらかじめ溶融混合しておく方法が挙げられる。即ち、それぞれの樹脂を予め溶融して混合しておけば、高温高圧状態又は超臨界状態にすることにより、すみやかにポリマーアロイとなる。また、これにより原料組成比と異なるポリマーアロイが得られる恐れがなく、原料組成比とほぼ同じ組成比のポリマーアロイが得られる。
また、高温高圧状態又は超臨界状態に達するまでの時間も短時間であることが好ましい。短時間であれば樹脂の分解を抑制することができる。短時間で高温高圧状態又は超臨界状態に達するための方法としては、例えば、混合された樹脂をあらかじめ常圧環境下で予熱しておく方法等が挙げられる。
本発明のポリマーアロイの製造方法では、混合開始前又は混合開始初期の製造容器内の温度と圧力を任意に設定することにより得られるポリマーアロイの相分離したドメイン粒子の大きさを調整することもできる。
本発明のポリマーアロイの製造方法では、次いで、上記工程2で得られた混合物を常温常圧に戻す工程3を行う。
上記工程3においては、高温高圧流体又は超臨界流体を解圧して断熱膨張による吸熱により冷却してもよいし、解圧せずに急速にガラス転移温度以下にまで冷却してもよい。
工程4において行う電子線処理の反応効率を高めるためには、非発泡のポリマーアロイを用いる方が好ましいことから、解圧せずに急速にガラス転移温度以下にまで冷却する方が好ましい。
上記解圧せずに急速にガラス転移温度以下にまで冷却すると、得られるポリマーアロイは気泡をほとんど含まないものとなり、その後の脱泡工程は不要となる。ただし、連続的な生産には不向きであり、工業的に大量のポリマーアロイを製造することは難しい。
上記解圧せずに急速にガラス転移温度以下にまで冷却する方法を採る場合には、製造温度からガラス転移温度までの降温速度を25℃/min以上とすることが好ましい。25℃/min未満であると、超時間高温に晒されることから、樹脂が劣化することがある。上記降温速度は、より好ましくは50℃/min以上である。
なお、ガラス転移温度が複数存在する場合には、最も低いガラス転移温度を示す樹脂のガラス転移温度まですみやかに急冷してもよいし、各樹脂のガラス転移温度まで段階的に急冷を繰り返してもよい。この場合、冷却速度を変えることにより、任意の相構造の形成が可能である。例えば、上限臨界共溶温度がマトリクス成分のガラス転移温度よりも高く、かつ、ドメイン成分のガラス転移温度がマトリクス成分のガラス転移温度よりも高い場合、マトリクス成分のガラス転移温度より高い温度に一定時間保持しドメイン成分を析出させた後に急冷すれば、完全相溶構造ではなく微小相分離構造を有するポリマーアロイを得ることができる。
また、樹脂のガラス転移温度が室温以下である場合には、少なくとも室温まで急冷すれば、相構造をある程度維持することができる。
本発明のポリマーアロイの製造方法において工程1〜3に用いる製造装置の一例を図1に示した。図1の製造装置では、製造容器1が金属塩3中に沈められており、金属塩3はヒーター2で加熱溶融され、その温度は熱電対4で制御される。
なお、図1の製造装置では加熱手段として金属塩溶融浴を用いたが、その他にも、例えば、電気ヒーター、バーナー、燃焼ガス、蒸気、熱媒、サンドバス等の加熱手段を用いることができる。
上記製造容器1としては、超臨界域又は超臨界域近傍になる過酷な条件下でも製造を行うため、この条件に耐えられる材質及び肉厚のものが使用される。
上記製造容器1の材質としては、例えば、炭素鋼、Ni、Cr、V 、Mo等の特殊鋼、オーステナイト系ステンレス鋼、ハステロイ、チタン又はこれらにガラス、セラミック、カーバイト等をライニング処理したもの、他の金属をクラッドしたもの等が挙げられる。
また、製造容器1の形状としては特に限定されず、例えば、槽型、管型、又は、特殊な形状のものでも使用できる。なかでも、耐熱、耐圧の問題を考えると槽型又は管型が好ましい。バッチ式の場合は、オートクレーブや管型反応管が好ましい。
上記製造容器1内には金属やセラミック等からなる硬質ボールや所定形状の障害物を置き、乱流を生じさせることが好ましい。製造容器1内に硬質ボールが備えられていると振とうにより乱流が発生するので攪拌効率が高められ反応効率を上げることができる。更に、製造容器1が硬質ボール等で充填されていると容器を振とうするだけで攪拌効率が高くなり好ましい。
また、上記硬質ポールの充填率は20〜80%であることが好ましい。この範囲外であると、攪拌効率が悪くなる。なお、直径の異なる2種以上の硬質ボールを用いることが好ましい。充填率を向上させることができ、攪拌効率を上げることができる。
また、上記製造容器1内にはオリフィスがあいている板が備えられていることが好ましい。製造容器1内にオリフィスがあいている板が備えられていると振とうにより乱流が発生するので攪拌効率が高められ反応効率を上げることができる。
図1に示した製造装置を用いて本発明のポリマーアロイを製造する方法としては、例えば、非相溶な2種以上の樹脂と溶媒とを、製造容器1に投入し、充分シールした後、上記金属塩溶融浴5に投入することにより、上記溶媒を加熱及び加圧して高温高圧流体又は超臨界流体にさせる。
この状態で所定の時間保持して、上記の2種以上の樹脂を相溶化させた後、製造容器1を冷却浴に素早く投入し、急速に冷却する。充分に冷却した後、製造容器1内に生成したポリマーアロイを取り出す方法が挙げられる。
本発明のポリマーアロイの製造方法において工程1〜3に用いる製造装置の別の一例を図2に示した。図2の製造装置では、原料樹脂はそれぞれ押出機6とシリンジフィーダー7から供給される。供給された樹脂はシースヒーター8により加熱され溶融混合される。一方、高温高圧流体又は超臨界流体となりうる流体は定量ポンプ9により金属塩溶融浴10で加熱される。加熱された流体は高温高圧流体又は超臨界流体となる。溶融状態の混合樹脂と高温の流体は混合され電気炉11で保温される。そして、冷却器12に達するまでに混合樹脂はポリマーアロイとなる。冷却器12により冷却され流体は高温高圧流体や超臨界流体ではなくなる。
得られたポリマーアロイは流体とともに背圧調整弁13を備えた回収タンク14に貯留される。
本発明のポリマーアロイの製造方法では、上記工程3で得られた混合物に電離性放射線を照射する工程4を行う。適当量の電離性放射線を照射することにより、形成されたポリマーアロイ微細相分離構造体が極めて安定となり、その後に高温に加熱しながら混練を行う脱泡工程を行ったり、成型のために過酷な熱処理や混練を行っても、ポリマーアロイ微細相分離構造体が崩れにくい。
上記電離性放射線とは、原子からの電離を誘発する性質を有した高エネルギー性の電磁波や粒子線を意味する。具体的には、電子線、X線、γ線、中性子線、高エネルギーイオン等の単独、又は、これらの混合放射線等が挙げられる。
上記電離性放射線の照射としては、具体的には例えば、NHVコーポレーション社製の電子線照射装置を用いて照射する方法等が挙げられる。
本発明のポリマーアロイの製造方法においては、上記電離性放射線の照射量が極めて重要である。即ち、電離性放射線の照射量が少ない場合には、充分なポリマーアロイ微細相分離構造体の安定化効果が得られない。電離性放射線の照射量が多い場合には、架橋が進みすぎて、加熱しても流動性が得られず成型ができなくなってしまう。更に多量の電離性放射線を照射した場合には、ポリマーアロイを構成する樹脂の主鎖の切断が発生し、劣化してしまう。
上記電離性放射線の照射量としては、ポリマーアロイについて示差走査熱量測定(DSC)測定によって観測される最も高い流動温度から20℃高温で測定した粘弾性測定のtanδ値がひずみ量0.1%、周波数10Hzの条件下で1以上であり、かつ、最も高い流動温度以上に加熱し冷却した後も相構造のサイズに変化がない程度に照射することが好ましい。上記tanδ値が1以上であると、得られるポリマーアロイは加熱時の流動性に優れ、容易に熱成型することができる。
なお、本明細書において上記DSC測定によって観測される最も高い流動温度とは、DSCを用い、室温から−50℃まで10℃/minで降温し、−50℃にて5分間維持、次いで、−50℃から樹脂分解温度まで10℃/minで昇温したときに観測される吸熱ピークのうち、樹脂の分解ピークを除いた最も高温のピークを意味する。
また、上記粘弾性測定の方法としては、一般的な測定方法であれば特に限定されず、例えばせん断測定モード、延伸測定モード、圧縮測定モード等が挙げられる。特に1mm程度の樹脂シートを用いたせん断測定モードは境界条件による誤差が生じにくいため好ましい。
上記電離性放射線の具体的な照射量は、用いる樹脂の種類による。例えば、ポリマーアロイが、後述する熱可塑性ノルボルネン樹脂とポリビニルアルコールとの組み合わせからなる場合には、電離性放射線の照射量の好ましい下限は2Mrad、好ましい上限は10Mradである。電離性放射線の照射量が2Mrad未満であると、充分なポリマーアロイ微細相分離構造体の安定化効果が得られず、10Mradを超えると、加熱しても流動性が得られず成型ができなくなる。
他の樹脂の組み合わせについては、実験を行って決定する他ない。しかしながら、熱可塑性ノルボルネン樹脂とポリビニルアルコールとの組み合わせの場合を参考に、比較的電離性放射線に対する劣化耐性が低い樹脂を含む場合には照射量を少なく、比較的電離性放射線に対する劣化耐性が高い樹脂を含む場合には照射量を多くするように設定していけば、容易に決定することができる。いずれの樹脂を組み合わせた場合であっても、電離性放射線の照射量の下限は0.01Mrad程度、好ましい上限は50Mrad程度である。
上記工程4においては、上記工程3で得られた混合物を予め0.01〜30mm程度の板状体に成型したうえで電離性放射線を照射することが好ましい。板状体としたうえで電離性放射線を照射することにより、樹脂全体に均一に電離性放射線を照射することが可能となる。
本発明のポリマーアロイの製造方法で得られたポリマーアロイは、微細相分離構造が極めて安定しており、脱泡工程や熱成型工程を経ても微細相分離構造が崩れることがない。従って、ポリマーアロイとしての性能を維持したまま、極めて透明性の高い成型体を得ることができる。
本発明のポリマーアロイの製造方法を用いてなるポリマーアロイもまた、本発明の1つである。
本発明のポリマーアロイは、示差熱量計を用いて相転移現象を観測したときに、少なくとも、用いた2種類以上の樹脂のなかのいずれかの樹脂についての相転移現象が消失するか、又は、それぞれの樹脂の相転移現象の起こる温度とは異なる温度において相転移現象が観測される。これは、ポリマーアロイが超微小相分離構造をとっていることを示すものである。
通常、ポリマーアロイが超微小相分離構造をとっているかどうかは、四酸化ルテニウム等により染色し電子顕微鏡により観察することにより確認することができる。ポリマーアロイが超微小相分離構造をとっていれば、それぞれの樹脂が小さな樹脂ドメインとして均一に分散した混合状態となっていることが観察できる。しかし、樹脂の種類によっては電子顕微鏡によって2種類以上の樹脂が完全に相互に溶解した状態として観察され、それぞれの樹脂ドメインが観察されない場合がある。この場合、予め示差熱量計を用いてそれぞれの樹脂の相転移温度を測定しておき、次いでこれらの樹脂を用いて得られたポリマーアロイの相転移温度を測定することによりポリマーアロイが超微小相分離構造をとっているかどうかを確認することができる。即ち、完全に相互に溶解している場合、又は、それぞれの樹脂が非常に小さな樹脂ドメインとして均一に分散した混合状態となっている分散状態である場合には相転移温度は単一なものとなる。従って、観測されていたいずれかの樹脂の相転移現象が消失し相転移開始温度に達しても観測されないか、又は、予め観測されていたそれぞれの樹脂の相転移現象とは異なる温度に新たに相転移現象を起こす相転移開始温度が観測されればポリマーアロイが形成されていると推定することができる。
上記樹脂ドメインの大きさは、ポリマーアロイに対して小角X線散乱測定を行い、散乱強度の角度依存性を測定し、下記式で表されるGuinierの式により算出することができる。
ln(I(s))=ln(I(0))−s・Rg/3
式中、Rgはドメインサイズを表し、I(0)は散乱角0の散乱強度を表す。
本発明のポリマーアロイが光学用途を目的とする場合には、樹脂としては透明性に優れたものを選択する。
上記透明性に優れる樹脂としては特に限定されず、例えば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等が挙げられる。また、それぞれの樹脂の屈折率が近い場合には、透明性を実現しやすく好ましい。また、光学用途の中には低屈折率を必要とする用途もあるが、そのような用途には屈折率の低い、熱可塑性ノルボルネン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン等の樹脂が好適である。
光学用途を目的として得られた本発明のポリマーアロイは、透明性、耐熱性、低吸湿性、低複屈折性及び成形性等に優れているため、その特性を活かし、例えば、一般カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、望遠鏡レンズ、眼鏡レンズ、レーザビーム用レンズ等のレンズ類、光学式ビデオディスク、オーディオディスク、文書ファイルディスク、メモリディスク等の光ディスク類、光ファイバー等の光学材料、受像転写シートや各種フィルム、シート等の光学的用途を中心に、その他、各種電子機器筺体、窓ガラス、プリント基板、封止剤、無機又は有機化合物のバインダー等の各種用途に広く用いることができる。
本発明のポリマーアロイが熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含有する場合には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の耐熱性や透明性を損なうことなく、成形性、透湿性、接着性等が改善される。また、溶融成形時の熱劣化や欠陥の発生を抑制することができる。
上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては特に限定されず、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(共重合体を含む)の水素添加物、ノルボルネン系モノマーとエチレン及び/又はα−オレフィン等のオレフィン系モノマーとの共重合体等を挙げることができる。これらはいずれも実質的に不飽和結合を有さないものである。
上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の原料となるノルボルネン系モノマーとしては、特開平5−39403号公報、特開平5−212828号公報、特許第3038825号、特許第3019741号、特許第3030953号等に記載されているものを用いることができ、例えば、ノルボルネン、メタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノオクタヒドロナフタレン、ジメタノドデカヒドロアントラセン、ジメタノデカヒドロアントラセン、トリメタノドデカヒドロアントラセン、又はそれらの置換体、ジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロシクロペンタジエン、メタノオクタヒドロベンゾインデン、ジメタノオクタヒドロベンゾインデン、メタノデカヒドロベンゾインデン、ジメタノデカヒドロベンゾインデン、メタノオクタヒドロフルオレン、ジメタノオクタヒドロフルオレン、又はそれらの置換体等を挙げることができる。なお、これらノルボルネン系モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記置換体における置換基としては特に限定されず、従来公知の炭化水素基又は極性基を用いることができ、例えば、アルキル基、アルキリデン基、アリール基、シアノ基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ピリジル基等が挙げられる。上記置換体としては、例えば、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メチル−2−ノルボルネン等が挙げられる。
上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の数平均分子量としては特に限定されないが、通常は5000〜20万であることが好ましい。5000未満であると、本発明のポリマーアロイから製造される成形品(特に光学フィルム等)の力学強度が不十分となることがあり、20万を超えると、成形性が悪くなることがある。より好ましくは7000〜35000、更に好ましくは8000〜3万である。なお、上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明で用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、上述のように、極性基を有する樹脂又は極性基を有しない樹脂のいずれであってもよい。極性基を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂の場合、極性基は光学特性、成形性等を損なわない範囲で存在してよく、むしろ、成形品に適度な透湿性を与えるためには、極性基の存在は好ましい。
このような極性基としては特に限定されず、例えば、ハロゲン基(塩素基、臭素基、フッ素基)、水酸基、カルボン酸基、エステル基、アミノ基、無水酸基、シアノ基、シリル基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、シラノール基等が挙げられる。なかでも、脱保護により反応性を与えることのできるエステル基や無水酸基が好適である。
上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂のうち、市販品として入手できるものとしては、例えば、極性基を有する樹脂として「アートン」(JSR社製)、極性基を有しない樹脂として「ゼオノア」(日本ゼオン社製)等が挙げられる。
本発明のポリマーアロイにおいて、上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いる場合、これと組み合わせてポリマーアロイを形成させる非相溶な樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとαオレフィンとの共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/エチルアクリレート共重合体等のエチレン/(メタ)アクリル酸エステル共重合体又はエチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリブタジエン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンオキサイド、ポリアリレート、ABS樹脂、フッ化プラスチック、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリサルホン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸等が挙げられる。なかでも、透明性が要求される光学フィルム等の用途に対しては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリサルホン、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコール等の非晶性樹脂や低結晶性樹脂、結晶性樹脂であっても結晶サイズの小さい樹脂が好適に用いられる。
本発明のポリマーアロイにおいて用いる2種以上の樹脂の少なくとも1つが透明樹脂である場合、上記透明樹脂と非相溶な樹脂とが100nm以下の超微小分離構造を形成していることが好ましい。相分離構造が100nmを超えた場合には透明性、ヘイズ等が低下して光学用途等には不適当になってしまう可能性がある。また、透湿性の高い樹脂を混合し100nm以下の超微小分離構造とすることにより熱可塑性ノルボルネン系樹脂に透湿性を付与することもできる。
本発明のポリマーアロイにおいて、常温常圧では非相溶である2種類以上の樹脂の配合割合としては、ベースとなる樹脂100重量部に対して、上記ベース樹脂に非相溶である樹脂を0.01〜100重量部配合することが好ましい。上記ベース樹脂に非相溶である樹脂の配合量は、より好ましくは0.01〜15重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。
また、上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いる場合、熱可塑性ノルボルネン系樹脂とポリマーアロイを形成させる非相溶な樹脂の配合量を別の尺度から規定すると、得られるポリマーアロイが耐熱性や成形性を保持するために、上記熱可塑性ノルボルネン樹脂との配合によって生じるガラス転移温度の低下を30℃以内に維持できる範囲内にすることが好ましい。ガラス転移温度の低下が30℃を上回ると、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が本来備える耐熱性が損なわれ、光学フィルム等としての用途において、その使用範囲が大幅に制限されることがある。
本発明のポリマーアロイには、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を配合することができる。
上記酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
本発明のポリマーアロイが上記熱可塑性ノルボルネン系樹脂を含有する場合には、透明性、耐熱性、低吸湿性、低複屈折性及び成形性等に優れているため、その特性を活かし、例えば、一般カメラ用レンズ、ビデオカメラ用レンズ、望遠鏡レンズ、眼鏡レンズ、レーザビーム用レンズ等のレンズ類、光学式ビデオディスク、オーディオディスク、文書ファイルディスク、メモリディスク等の光ディスク類、光ファイバー等の光学材料、受像転写シートや各種フィルム、シート等の光学的用途を中心に、その他、各種電子機器筺体、窓ガラス、プリント基板、封止剤、無機又は有機化合物のバインダー等の各種用途に広く用いることができる。
本発明のポリマーアロイを用いてなる成形品、及び、透明成形品もまた、本発明の1つである。
本発明のポリマーアロイを用いてなる成形品は、公知の成形手段、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形等の成形手段を用いて作製することができる。
また、本発明のポリマーアロイを用いてなる成形品の表面に、無機化合物、シランカップリング剤等の有機シリコン化合物、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、メラニン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂等からなるハードコート層を形成してもよい。これにより、成形品の耐熱性、光学特性、耐薬品性、耐磨耗性、透湿性等を向上させることができる。
上記ハードコート層の形成手段としては、例えば、熱硬化法、紫外線硬化法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の公知の方法を挙げることができる。
本発明のポリマーアロイが熱可塑性ノルボルネン系樹脂を構成成分として含む場合は、その成形性、耐熱性に優れるという点を最大限に活かして、特に位相差フィルム、偏光板保護フィルム等の光学フィルムに適する。
本発明のポリマーアロイを用いてなる光学フィルムもまた、本発明の1つである。
本発明の光学フィルムは、引き裂き強度が0.1N以上であることが好ましい。0.1N未満であると、光学フィルムとしての使用範囲が限定されることがあり、特に10μm以下の薄膜の場合にはその傾向が顕著となる。
本発明の光学フィルムは、全光線透過率が60%以上であることが好ましい。60%未満であると、光学フィルムとしての使用範囲が限定されることがある。より好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上である。
本発明の光学フィルムは、ヘイズが20%以下であることが好ましい。20%未満であると、光学フィルムとしての使用範囲が限定されることがある。より好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下である。
本発明の光学フィルムは、例えば、押出成形法、プレス成形法等により製造することができる。本発明の光学フィルムの厚さは、通常10〜300μmである。
本発明のポリマーアロイの製造方法によって得られるポリマーアロイは、ベースとなる樹脂の優れた性質を損なうことなく、他の樹脂の性質も発現させることが可能であり、かつ、ポリマーアロイ形成後に再度溶融成型や高温脱泡処理等の加熱プロセスを経てもポリマーアロイの微細相分離構造が維持されるため、優れた性能を有した成型品を得ることができる。
本発明によれば、微細相分離構造を維持したまま脱泡や成型等を行うことのできるポリマーアロイの製造方法を提供することができる。また、該ポリマーアロイの製造方法により製造したポリマーアロイを提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した回分式の製造容器1(管型容器、SUS316製、Tube Bomb Reacter 、内容積100cc)に、表1に示した配合組成に従って所定の溶媒、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEON社製「ゼオノア1600」)、ポリビニルアルコール(PVA、クラレ社製「クラレポバールCP−1000」)を所定量投入し、充分に製造容器内を窒素置換した。
次いで、製造容器1をマイクロヒーター2(助川電気工業社製)を備えた金属塩溶融浴5(新日豊化学社製)中に沈め、表1に示した温度、圧力で所定時間処理した。その後、製造容器1を冷却浴により急速に冷却し、次いで氷冷した後得られたポリマーアロイを取り出して乾燥した。
乾燥後のポリマーアロイを185℃、2分間の熱プレスにより成型して、約0.8mm厚のシート状体を得た。得られたシート状体を電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)を用いて窒素雰囲気下、加速電圧500kVの電子線を表1に示した線量照射した。その後シート状体を220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(実施例2〜4、比較例2)
電子線の線量を表1に示した用にした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(評価)
実施例1〜4及び比較例1、2で得られたフィルムについて、ガラス転移温度(融点)、tanδの値、相構造のサイズ変化、全光線透過率、透湿性を以下の方法で測定した。
結果を表1に示した。
(ガラス転移温度(融点)の測定)
TA Instruments社製DSC2920 Modulated DSCを用い、下記の温度プログラム条件において、昇温時のガラス転移温度(融点)を求めた。
.室温から−50℃まで10℃/minで降温し、−50℃にて5分間維持、次いで、−50℃から280℃まで10℃/minで昇温
(tanδの値の測定)
得られたフィルムを長さ約45mm、幅5mmにカットし、Reometrics社製RSA−2を用い、チャック間距離36mmで試料をセットして延伸測定モード(ひずみ量0.1%、周波数10Hz)にて昇温速度5℃/分の室温から220℃までの温度分散測定を行った。得られたtanδ値のうちDSC測定によって既知の最も高い流動温度から20℃高温でのtanδ値を読み取った。
(相構造のサイズ変化)
透過型電子顕微鏡を用いて相分離構造を観察した。220℃、10分間の熱プレス前後での相構造のサイズに変化が見られないものを○、サイズが5倍以上大きくなっているものを×と評価した。
例として、実施例1での220℃、10分間の熱プレス前の相構造の電顕写真を図3に、熱プレス後の相構造の電顕写真を図4に示した。また、比較例1での220℃、10分間の熱プレス前の相構造の電顕写真を図5に、熱プレス後の相構造の電顕写真を図6に示した。
(全光線透過率)
ヘイズメーター(東京電色社製、HCIIIDPK)を用い、JIS K 7150に準拠して測定した。
なお、フィルムの成型自体ができなかった場合には「−」と評価した。
(透湿性)
JIS Z 208 1976に準拠して測定した。
なお、フィルムの成型自体ができなかった場合には「−」と評価した。
Figure 2009144840
(実施例5)
図1に示した回分式の製造容器1(管型容器、SUS316製、Tube Bomb Reacter 、内容積100cc)に、表2に示した配合組成に従って所定の溶媒、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEON社製「ゼオノア1600」)、ポリビニルアルコール(PVA、クラレ社製「クラレポバールCP−1000」)を所定量投入し、充分に製造容器内を窒素置換した。
次いで、製造容器1をマイクロヒーター2(助川電気工業社製)を備えた金属塩溶融浴5(新日豊化学社製)中に沈め、表2に示した温度、圧力で所定時間処理した。その後、製造容器1を開放解圧し、得られたポリマーアロイを取り出して乾燥した。
乾燥後のポリマーアロイを185℃、2分間の熱プレスにより成型して、約0.8mm厚の発泡シート状体を得た。得られた発泡シート状体を充分に窒素置換した後、電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)を用いて窒素雰囲気下、加速電圧500kVの電子線を表1に示した線量照射した。電子線照射後のポリマーアロイを、プラストミル(東洋精機製社製、LABO PLASTOMILL MODEL 100C100)を用いて、230℃で混練することにより脱泡処理した。脱泡処理後のポリマーアロイを220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(実施例6〜8、比較例5)
電子線の線量を表2に示した用にした以外は、実施例5と同様にしてフィルムを得た。
(比較例3)
実施例5と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(比較例4)
実施例5と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、プラストミル(東洋精機製社製、LABO PLASTOMILL MODEL 100C100)を用いて、230℃で混練することにより脱泡処理した。脱泡処理後のポリマーアロイを220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(評価)
実施例5〜8及び比較例3〜5で得られたフィルムについて、ガラス転移温度(融点)、の、相構造のサイズ変化、全光線透過率、透湿性を上記の方法で測定した。
結果を表2に示した。
Figure 2009144840
(実施例9)
図1に示した回分式の製造容器1(管型容器、SUS316製、Tube Bomb Reacter 、内容積100cc)に、表3に示した配合組成に従って所定の溶媒、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEON社製「ゼオノア1600」)、ポリビニルアルコール(PVA、クラレ社製「クラレポバールCP−1000」)を所定量投入し、充分に製造容器内を窒素置換した。
次いで、製造容器1をマイクロヒーター2(助川電気工業社製)を備えた金属塩溶融浴5(新日豊化学社製)中に沈め、表3に示した温度、圧力で所定時間処理した。その後、製造容器1を冷却浴により急速に冷却し、次いで氷冷した後得られたポリマーアロイを取り出して乾燥した。
乾燥後のポリマーアロイを185℃、2分間の熱プレスにより成型して、約0.8mm厚のシート状体を得た。得られたシート状体を電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)を用いて窒素雰囲気下、加速電圧500kVの電子線を表2に示した線量照射した。その後シート状体を220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(比較例6)
実施例1と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(実施例10〜12)
株式会社テクノベル社製二軸混練機「KZW15TW−60MG−NH(−5000)」を用い表3に示した配合比率にしたがって熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEON社製「ゼオノア1600」)、ポリビニルアルコール(PVA、クラレ社製「クラレポバールCP−1000」)をフィーダーより所定量投入し、混練機回転数約1000rpmで原料を可塑化させた後、樹脂混練部より溶媒を所定量注入した。この樹脂混練部を表3に示した温度、樹脂圧に設定し金型部より押出した直後に冷却ロールにてシート化した後、得られたポリマーアロイを乾燥し約0.8mm厚のシート状物を得た。なお、表3に示した混合時間は原料樹脂投入後から金型部からの押出しまでに要する時間を計算上求めた値としている。
乾燥後のポリマーアロイシート状物を電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)を用いて窒素雰囲気下、加速電圧500kVの電子線を表2に示した線量照射した。電子線照射後のポリマーアロイを、プラストミル(東洋精機製社製、LABO PLASTOMILL MODEL 100C100)を用いて、230℃で混練することにより脱泡処理した。脱泡処理後のポリマーアロイを220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(比較例7〜9)
実施例10〜12と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、プラストミル(東洋精機製社製、LABO PLASTOMILL MODEL 100C100)を用いて、230℃で混練することにより脱泡処理した。脱泡処理後のポリマーアロイを220℃、10分間の熱プレスにより成型して、約55μm厚のフィルムを得た。
(評価)
実施例9〜12及び比較例6〜9で得られたフィルムについて、ガラス転移温度(融点)、tanδの値、相構造のサイズ変化、全光線透過率、透湿性を上記の方法で測定した。
結果を表3に示した。
Figure 2009144840
(実施例13〜16)
図1に示した回分式の製造容器1(管型容器、SUS316製、Tube Bomb Reacter 、内容積100cc)に、表4に示した配合組成に従って所定の溶媒、熱可塑性ノルボルネン系樹脂(ZEON社製「ゼオノア1600」)、ポリビニルアルコール(PVA、クラレ社製「クラレポバールCP−1000」)、ポリビニレンブチラール(PVB、積水化学社製「エスレックBM−1」)、ポリスチレン(PS、日本ポリスチレン社製「G757」)を所定量投入し、充分に製造容器内を窒素置換した。
次いで、製造容器1をマイクロヒーター2(助川電気工業社製)を備えた金属塩溶融浴5(新日豊化学社製)中に沈め、表4に示した温度、圧力で所定時間処理した。その後、製造容器1を冷却浴により急速に冷却し、次いで氷冷した後得られたポリマーアロイを取り出して乾燥した。
乾燥後のポリマーアロイを表4に示すシート化温度にて2分間熱プレスすることで成型し、約0.8mm厚のシート状体を得た。得られたシート状体を電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)を用いて窒素雰囲気下、加速電圧500kVの電子線を表3に示した線量照射した。その後シート状体を表3に示す成形温度にて10分間熱プレスすることで成型し、約55μm厚のフィルムを得た。
(比較例10〜13)
実施例13〜16と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、表4に示す成形温度にて10分間熱プレスすることで成型し、約55μm厚のフィルムを得た。
(評価)
実施例13〜16及び比較例10〜13で得られたフィルムについて、ガラス転移温度(融点)、tanδの値、相構造のサイズ変化、全光線透過率を上記の方法で測定した。
結果を表4に示した。
Figure 2009144840
(実施例17〜21)
株式会社テクノベル社製二軸混練機「KZW15TW−60MG−NH(−5000)」を用い表5に示した配合比率にしたがって低密度ポリエチレン(LLDPE、ダウ社製「AFFINITY PL1850」)、ポリビニルアルコール(PVA、クラレ社製「クラレポバールCP−1000」)、ポリビニレンブチラール(PVB、積水化学社製「エスレックBM−1」)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR、JSR社製「N222L」)、ナイロン6(PA6、宇部興産社製「UBEナイロン1022B」)をフィーダーより所定量投入し、混練機回転数約1000rpmで原料を可塑化させた後、樹脂混練部より溶媒を所定量注入した。この樹脂混練部を表5に示した温度、樹脂圧に設定し金型部より押出した直後に冷却ロールにてシート化した後、得られたポリマーアロイを乾燥し約0.8mm厚のシート状物を得た。なお、表5に示した混合時間は原料樹脂投入後から金型部からの押出しまでに要する時間を計算上求めた値としている。
得られたシート状体を電子線照射装置(NHVコーポレーション社製)を用いて窒素雰囲気下、加速電圧500kVの電子線を表4に示した線量照射した。その後シート状体を表5に示す成形温度、時間熱プレスすることで成型し、約300μm厚のシートを得た。
(比較例14〜18)
実施例17〜21と同様の方法により得られた乾燥後のポリマーアロイを、電子線処理を施すことなく、表5に示す成形温度、時間熱プレスすることで成型し、約300μm厚のシートを得た。
(評価)
実施例17〜21及び比較例14〜18で得られたフィルムについて、ガラス転移温度(融点)、tanδの値、相構造のサイズ変化を上記の方法で測定した。
結果を表5に示した。
Figure 2009144840
本発明によれば、微細相分離構造を維持したまま脱泡や成型等を行うことのできるポリマーアロイの製造方法を提供することができる。また、該ポリマーアロイの製造方法により製造したポリマーアロイを提供することができる。
本発明のポリマーアロイを製造する製造装置の一例を示す模式図である。 本発明のポリマーアロイを製造する製造装置の一例を示す模式図である。 実施例1での220℃、10分間の熱プレス前の相構造の電顕写真である。 実施例1での220℃、10分間の熱プレス後の相構造の電顕写真である。 比較例1での220℃、10分間の熱プレス前の相構造の電顕写真である。 比較例1での220℃、10分間の熱プレス後の相構造の電顕写真である。
符号の説明
1 製造容器
2 ヒーター
3 金属塩
4 熱電対
5 金属塩溶融浴
6 押出機
7 シリンジフィーダー
8 シースヒーター
9 定量ポンプ
10 金属塩溶融浴
11 電気炉
12 冷却機
13 背圧調整弁
14 回収タンク

Claims (3)

  1. 少なくとも、
    常温常圧では互いに非相溶である2種類以上の樹脂と常温常圧で液状又は気体状である溶媒とを混合する工程1と、
    前記溶媒を加熱及び加圧して高温高圧流体又は超臨界流体とし、この状態で混合する工程2と、
    前記工程2で得られた混合物を常温常圧に戻す工程3と、
    前記工程3で得られた混合物に電離性放射線を照射する工程4とを有する
    ことを特徴とするポリマーアロイの製造方法。
  2. 工程4において、得られるポリマーアロイについて示差走査熱量測定(DSC)測定によって観測される最も高い流動温度から20℃高温で測定した粘弾性測定のtanδ値がひずみ量0.1%、周波数10Hzの条件下で1以上であり、かつ、最も高い流動温度以上に加熱し冷却した後も相構造のサイズに変化がない範囲の照射量で電離性放射線を照射することを特徴とする請求項1記載のポリマーアロイの製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のポリマーアロイの製造方法を用いてなることを特徴とするポリマーアロイ。
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