JP2010006851A - 複合樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】力学特性や熱軟化性が改善された複合樹脂及びその製造方法を提供しようとする。
【解決手段】無機物のナノサイズ粒子が混合された超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を浸漬させる複合樹脂の製造方法であり、無機物のナノサイズ粒子と結晶性高分子との混練物を超臨界状態の炭酸ガスに浸漬させる複合樹脂の製造方法であり、超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子をポリマーの前駆体であるモノマーとともに浸漬させてモノマーを前記結晶性高分子内に導入したのち、導入された前記モノマーを重合させる複合樹脂の製造方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、力学特性や熱軟化性が改善された複合樹脂及びその製造方法に関する。
樹脂の耐熱軟化性の向上のためには、例えば熱可塑性ポリウレタンであれば、層状珪酸塩、または該層状珪酸塩をホストとし4級オニウムイオンをゲストとする層間化合物を含有させること(例えば、特許文献1参照)や、非架橋のポリオレフィン系樹脂であれば、分子中に極性基を有するポリオレフィン共重合体100重量部に対して、非ハロゲン系難燃剤を1〜300重量部添加して成るノンハロゲン樹脂組成物を成形して成ることを特徴とする難燃性成形品(例えば、特許文献2参照)などが開示されている。しかし、これらは汎用の結晶性高分子に適用される一般的な手法ではなく、汎用の結晶性高分子に適用される耐熱軟化性の向上の方法が望まれている。
特開平08−014315号公報 特開平10−287777号公報
本発明の目的は、結晶性高分子の力学特性や熱軟化性が改善された複合樹脂及びその製造方法を提供しようとすることである。
本発明の要旨とするところは、機能物質が樹脂内に導入されてなる複合樹脂の製造方法であって、前記機能物質が無機物からなり、前記機能物質のナノサイズ粒子が混合された超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を浸漬させる複合樹脂の製造方法であることにある。
また、本発明の要旨とするところは、機能物質が樹脂内に導入されてなる複合樹脂の製造方法であって、前記機能物質が無機物からなり、前記機能物質のナノサイズ粒子と結晶性高分子との混練物を超臨界状態の炭酸ガスに浸漬させる複合樹脂の製造方法であることにある。
さらに、本発明の要旨とするところは、機能物質が樹脂内に導入されてなる複合樹脂の製造方法であって、前記機能物質がポリマーからなり、超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を前記ポリマーの前駆体であるモノマーとともに浸漬させることにより、前記モノマーを前記結晶性高分子内に導入したのち、導入された前記モノマーを重合させる複合樹脂の製造方法であることにある。
前記複合樹脂の製造方法においては、超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を前記ポリマーの前駆体であるモノマーとともに浸漬させて前記モノマーを前記結晶性高分子内に導入したのち、浸漬状態で前記超臨界状態の炭酸ガスを加熱して、前記モノマーを重合させ得る。
前記モノマーはメチルメタアクリレートであり得る。
前記ナノサイズ粒子は、シリカまたはモンモリロナイトのナノサイズ粒子であり得る。
前記結晶性高分子は、ポリエチレンであり得る。
また、本発明の要旨とするところは、前記複合樹脂の製造方法により得られた複合樹脂であることにある。
本発明によると、力学特性や結晶性高分子の熱軟化性が改善された複合樹脂及びその製造方法が提供される。
本発明の複合樹脂の製造方法の態様を説明する。本発明の複合樹脂の製造方法は、力学特性や耐熱軟化性等の機能特性の向上の対象となる樹脂の内部に、その機能特性をもたらす機能物質が導入されてなる複合樹脂の製造方法である。
この機能物質が無機物からなる場合は、この機能物質のナノサイズ粒子が混合された超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を浸漬させることにより、本発明の複合樹脂が得られる。
すなわち、本発明の複合樹脂の製造方法のひとつの態様は、結晶性高分子とナノサイズ粒子を炭酸ガスとともに反応容器に同時に入れ,超臨界状態の炭酸ガス中でナノサイズ粒子をナノサイズ状態に分散させながら、超臨界状態の炭酸ガスがキャリア媒体となって,膨潤した結晶性高分子内部にナノサイズ粒子を導入させるもので,反応後減圧すれば、炭酸ガスだけが外部に抜けて、導入目的のナノサイズ粒子だけが結晶性高分子内部に残ることになる。
ナノサイズとは、数nmから100nmのサイズである。
あるいはまた、本発明の複合樹脂の製造方法の他の態様においては、この機能物質のナノサイズ粒子と結晶性高分子との混練物を超臨界状態の炭酸ガスに浸漬させることにより、本発明の複合樹脂が得られる。混練物は、このナノサイズ粒子と結晶性高分子とを溶融混練して得ることができる。あるいは、結晶性高分子に溶剤を加えてナノサイズ粒子と混練して得ることができる。
機能物質がポリマーからなる場合は、このポリマーの前駆体であるモノマーが混合された超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を浸漬させることにより、このモノマーをこの結晶性高分子内に導入させたのち、導入させたモノマーを熱や電子線や光線の照射で重合させることにより、本発明の複合樹脂が得られる。超臨界状態の炭酸ガスにはモノマーとともに重合開始剤や触媒等の重合のための助剤が混合されていることがことが好ましい。
モノマーが混合された超臨界状態の炭酸ガスに前記結晶性高分子を浸漬させて、前記モノマーを前記結晶性高分子内に導入した浸漬状態で、この超臨界状態の炭酸ガスを加熱して、導入されたモノマーを熱重合させてもよい。あるいは、モノマーが混合された超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を浸漬させたのち、このモノマーが導入された結晶性高分子を超臨界状態の炭酸ガスから取り出して、加熱あるいは電子線や光線照射により導入させたモノマーを重合させてもよい。
炭酸ガスは臨界温度:31.06℃、臨界圧力7.38MPaであり、超臨界状態の炭酸ガスは結晶性高分子の融解以下の温度で超臨界状態を維持することができる。また、臨界状態での圧力は通常の圧力容器を用いて実現することができる。結晶性高分子の融解以下の温度下での超臨界状態においては、結晶性高分子の結晶部は融解せず、結晶性高分子がこの状態で処理されると、この機能物質が結晶性高分子の非晶領域のみに侵入して、この非晶領域に含浸された状態となる。次いで超臨界状態の炭酸ガスから結晶性高分子を取り出すと、炭酸ガスは飛散し、非晶領域に機能物質が含浸された結晶性高分子が得られる。
結晶性高分子の基本的な熱特性や力学特性は結晶部の特性に大きく依存しているので、非晶領域に機能物質が含浸された結晶性高分子は、結晶部はもとのままであることにより、融点等の、結晶部の熱特性由来の性能や、結晶部の力学特性由来の性能が処理前にくらべて大きく低下することはない。加えて、非晶領域にナノサイズ粒子あるいはポリマーが含浸されていることにより、機能物質によりもたらされる特有の性質が処理後の結晶性高分子に付与される。
機能物質が無機物のナノサイズ粒子であると、結晶性高分子の非晶領域にナノサイズ粒子が存在していることにより、結晶性高分子の耐熱軟化性が向上する。また、また力学特性が向上する。
無機物のナノサイズ粒子を構成する素材としては、二酸化珪素、二酸化チタン等の金属酸化物、炭化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の金属化合物、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル等の金属、モンモリロナイト等の粘土鉱物、等が挙げられる。
機能物質がポリマーであると、結晶性高分子の非晶領域にこのポリマーがが存在している状態となる。このこのポリマーの前駆体であるモノマーをこの非晶領域で重合させることにより複合樹脂が得られる。これにより、結晶性高分子の非晶領域にこの結晶性高分子とは異なるポリマーが存在することとなり、この結晶性高分子の結晶部の特性をあまり損なうことなくこの結晶性高分子の力学特性や耐熱軟化性などの特性を向上させることができる。また重合させたポリマー特有の機能が結晶性高分子に付与される。
この重合させたポリマー特有の機能、あるいは、非晶領域に導入されたナノサイズ粒子の機能としては、その他に、アンカー効果による表面修飾(撥水性,親水性,耐油性,接着性,めっき前処理,表面硬さ,抗菌性)、導電性、芳香性、光学特性の付与が挙げられる。
本発明において用いられる結晶性高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系結晶性高分子、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリオキシメチレン,ポリフェニレンサルファイド、ポリ乳酸等の結晶性高分子が挙げられる。
本発明において用いられるモノマーとしては、メチルメタアクリレート、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、アクリル酸、塩化ビニリデン、フルオロエチレン、クロロエチレン、無水マレイン酸、エチレンオキサイド、アリルアミン、ビニルエーテルなどが挙げられるが、対象の結晶性高分子の融点未満の温度で重合するものであればこれらに限定されない。また、これらのモノマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を用いて共重合させてもよい。
以下に実施例にて本発明の態様と効果を説明する。
実施例、参考例における測定は以下のように行った。
融点、融解熱:理学電機(株)製示差走査熱量計DSC8230を用い、昇温速度10℃/minの条件で測定した。結晶化度を測定カーブから常法により算出した。
熱膨張係数(CTE):理学電機(株)製熱機械分析装置TMA8310を用い、幅5mmの試験片を、つかみ間距離15.0mm、昇温速度10℃/min、応力66.7mN/mm、温度範囲;室温〜90−100℃の条件で、窒素雰囲気中で測定した。
応力−ひずみ曲線:インストロン・ジャパン(株)製万能抗張力試験機5569型を用い、試料フィルムから幅4mmのダンベル形試験片を切り出し、つかみ間距離20.0mm、引張速度10mm/minの条件で測定した。測定された応力−ひずみ曲線から、引張り弾性率、降伏点応力、降伏点伸度、破断応力、破断伸度を求めた。降伏点応力、降伏点伸度は第一降伏点につき求めた。
実施例1
超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(三井化学(株))製ハイゼックス・ミリオン150M;Mw=1,573,000)の樹脂を、テクノサプライ(株)製卓上ホットプレスG−12を用い、ポリイミドフィルム(商品名:カプトン)に挟んで、温度150〜200℃で10分間予熱し、圧力40MPaで7分間加圧プレスして、厚み0.3mmのフィルムに成形した直後に、冷水で冷却したアルミ板に挟んで急冷して試料フィルム(超臨界処理用フィルム)を作成した。
この試料フィルムについて、日本分光(株)製炭酸ガス相溶化装置(容量50ml)を用いて超臨界炭酸ガス(以下scCOとも称す)による処理を行った。具体的には、この炭酸ガス相溶化装置の容器に炭酸ガスとこの試料フィルム(サイズ5mm×35mmの短冊形のものとサイズ8mm×60mmのダンベル形のもの)と機能物質とを封入して容器内を超臨界状態になるように温度、圧力を制御しscCOによる処理を行った。温度は90℃、圧力は20MPa、処理時間は3時間であった。
機能物質としてナノサイズ粒子であるシリカ粉末(関東化学(株)製;平均粒径26nm)0.2gを用いた。
処理前のフィルムの引張り弾性率が380.6MPaであるのに対して、処理後の引張り弾性率が434.4MPaと向上した。
実施例2
超臨界状態の温度を40℃とし、容器中に添加剤として信越化学(株)製シランカップリング剤(KBM−1003)2.0mlを加えたほかは、実施例1と同様にして超臨界処理を行った。処理後のフィルムの引張り弾性率が399.4MPaと向上した。
実施例1、実施例2の処理前後のフィルムの力学特性、融点、融解熱、結晶化度を表1に示す。
Figure 2010006851
実施例3
低密度ポリエチレン(LDPE)(SCIENTIFIC POLYMER PRODUCTS,INC.製♯042;分子量Mw=198,000)の樹脂を用い、実施例1と同様にして試料フィルムを作成した。
この試料フィルムについて、実施例1と同様の装置を用いてscCOによる処理を行った。添加剤として和光純薬工業(株)製特級メチルメタアクリレート(MMA)のモノマー2.0mlと、ラジカル開始剤として同社製特級アゾイソブチロニトリル(AIBN)を0.033g(0.2mol)を添加し、図1に示す条件(1)ならびに図2に示す条件(2)でそれぞれ超臨界処理を行った。
処理により、条件(1)で引張り弾性率が約13%向上し、融点は若干低くなった。条件(2)で融点が若干高くなった。
また、処理前後のフィルムの熱軟化挙動の測定結果を図3に示す。測定は、理学電機(株)製熱機械分析装置TMA8310を用いたペネトレーション法により、直径約5mmのフィルム表面に直径約1mmの石英ピンを当て、10mNの荷重を加えた状態で、昇温速度10℃/min、温度範囲;室温〜200℃の条件で、窒素雰囲気中で測定した。図3はフィルムの測定温度におけるピン貫入率(%)の変化を示し、縦軸のピン貫入率が軟化挙動を示している。
未処理のフィルム(試料フィルム)は,温度の上昇とともに軟化し、60℃付近から膨らむ方向に変形が始まる。一方、超臨界処理により条件(1)でMMA含浸重合処理されたフィルムは軟化がほとんど起こらず、条件(2)でMMA含浸重合処理されたフィルムで40℃以上で軟化が起こった。
実施例4
低密度ポリエチレン(LDPE)に代えて高密度ポリエチレン(HDPE)(旭化成ケミカルズ(株)製サンテックHD F184;Mw=890,000)を用いたほかは実施例3と同様にして超臨界処理を行った。
処理により、条件(1)、条件(2)で融点が若干高くなった。引張り弾性率も、条件(1)で約13%、条件(2)で約18%向上した。
処理前後の試料フィルムの熱軟化挙動の測定結果を図4に示す。処理前後で特徴的な大きな違いがみられた。つまり、未処理の試料フィルムでは,温度の上昇とともに,大きく軟化する一方、MMA含浸重合処理されたフィルムでは条件(1)(2)とも、100℃付近まで,ほとんど変形せず、100℃を越えてから膨張する方向に挙動が変化した。これは、PE鎖とPMMA鎖が形成したIPN構造とPMMAのガラス転移の影響によって温度上昇しても維持され、壊れにくいためと考えられる
未処理の試料フィルム、条件(1)で処理された試料フィルム、PMMAのキャストフィルム(Scientific Polymer Products,INC.製PMMA#037B;厚さ0.005mm)を透過法によりそれぞれ赤外分析した結果、図5に示すように、超臨界含浸重合後のフィルム(HDPE+PMMA)には、1720〜1730cm−1付近にPMMAに由来するカルボニル基の大きな吸収ピークが現れ、明らかにポリエチレン中にPMMA構造がマクロ的には導入形成されていることが確認できた。
条件(1)で処理された、高密度ポリエチレン(HDPE)試料フィルム(厚さ1.7mm)のフィルム表面からの含浸距離を赤外分析で確認した結果を図6に示す。図はフィルム表面から90μmごとにカルボニル基の赤外透過率を測定したものである。
表面から0.3mmまではほぼ均一にMMAが含浸しているが,それ以上深くなると含浸量は急激に少なくなっており、内部中心までは均一に行き渡っていないことがわかった。
実施例5
低密度ポリエチレン(LDPE)に代えて超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)(三井化学(株))製ハイゼックス・ミリオン150M;Mw=1,573,000)を用いたほかは実施例3と同様にして超臨界処理を行った。
処理により、条件(1)、条件(2)で融点が若干高くなった。引張り弾性率が、条件(1)で約40%、条件(2)で約38%向上した。
処理前後の試料フィルムの熱軟化挙動の測定結果を図7に示す。未処理のフィルムでは,温度の上昇とともに,大きく軟化する一方、MMA含浸重合処理されたフィルムでは条件(1)(2)とも、100℃付近まで,ほとんど変形せず、100℃を越えてから膨張する方向に挙動が変化した。また、融点以上にさらに温度が上昇しても形状は10%以内の変形しかなく,すぐれた形状安定傾向を示した。
実施例6
試料フィルムとして、延伸フィルム(作新工業(株)製UHMWPE(150M);厚み0.05mmの1軸延伸フィルム)を用いたほかは実施例3と同様にして超臨界処理を行った。
処理により、条件(1)、条件(2)で融点が若干高くなった。引張り弾性率が、条件(1)で約23%、条件(2)で約7%向上した。
処理前後の試料フィルムの熱軟化挙動の測定結果を図8に示す。一軸延伸フィルムはすでに延伸処理が施されて分子が伸びきった状態であるため、未処理のフィルムでは,温度上昇に対して軟化し、ピンの貫入距離は大きく変化した。MMA含浸重合処理されたフィルムでは条件(1)(2)とも、40℃付近までは形状が維持された。融点付近の温度までの上昇過程では徐々に軟化傾向を示し、融点以上では大きく膨らんで複雑な熱変形挙動を示した。
実施例3〜実施例6につき、処理前後のフィルムの力学特性、融点、融解熱、結晶化度を表2に示す。
Figure 2010006851
実施例7
高密度ポリエチレン(HDPE)(旭化成ケミカルズ(株)製サンテックHD F184;Mw=890,000)と、日本ポリエチレン(株)製マレイン酸グラフト重合HDPE:ADTEX DH0200(MA−PE)と、ナノサイズ粒子構造のモンモリロナイト(クニミネ工業(株)製クニピア−F(密度2.5)とを重量比70:30:0.3で溶融混練した混練物を実施例1と同様にしてフィルムに成形して試料フィルムを作成した。
混練には東洋精機(株)製ラボプラストミル100MR3を用い、温度190〜200℃、20rpm、15分間混練して調製し、その後自然冷却してから(株)ホーライ製粉砕機UG−280KGSにより粉砕し混練樹脂を得た。
この試料フィルムについて、日本分光(株)製炭酸ガス相溶化装置(容量50ml)を用いてscCOによる処理を行った。具体的には、この炭酸ガス相溶化装置の容器に炭酸ガスとこの試料フィルム(サイズ5mm×35mmの短冊形のものとサイズ8mm×60mmのダンベル形のもの)を封入して容器内を超臨界状態になるように温度、圧力を制御しscCOによる処理を行った。圧力は20MPa温度は40℃、処理時間は3時間とした。
処理後のフィルムの引張り弾性率が処理前のフィルムの引張り弾性率に対して約11%大きくなった。降伏点応力も向上した。
参考例1
混練樹脂のかわりに実施例7で使用した高密度ポリエチレン(HDPE)を用いたほかは実施例7と同様にして試料フィルムを作成した。
参考例2
混練物として、実施例7で使用した、高密度ポリエチレン(HDPE)とマレイン酸グラフト重合HDPEとを重量比70:30で混ぜて溶融混練したものを用いたほかは実施例7と同様にして試料フィルムを作成した。
実施例8
モンモリロナイトに代えて実施例1で用いたシリカ粉末を用いたほかは実施例7と同様にして試料フィルムを作成した。この試料フィルムについて、実施例7と同様にしてscCOによる処理を行った。
処理後のフィルムの引張り弾性率が処理前のフィルムの引張り弾性率に対して約11%大きくなった。参考例1の試料フィルムの引張り弾性率に対しては約15%大きかった。降伏点応力も処理前に比べ向上した。また、処理により破断応力が約10%、破断伸度が約5%増大した。参考例1の試料フィルムに比べ、破断応力が約20%、破断伸度が約14%増大した。
実施例9
実施例7で使用した高密度ポリエチレン(HDPE)と実施例7で使用したマレイン酸グラフト重合HDPEとを重量比70:30で溶融混練した混練物を実施例1と同様にしてフィルムに成形して試料フィルムを作成した。
この試料フィルムについて、日本分光(株)製炭酸ガス相溶化装置(容量50ml)を用いてscCOによる処理を行った。具体的には、この炭酸ガス相溶化装置の容器に炭酸ガスとこの試料フィルム(サイズ5mm×35mmの短冊形のものとサイズ8mm×60mmのダンベル形のもの)を、実施例7で使用したモンモリロナイト0.2gとともに封入して容器内を超臨界状態になるように温度、圧力を制御しscCOによる処理を行った。圧力は20MPa温度は40℃、処理時間は3時間とした。
処理後のフィルムの引張り弾性率が処理前のフィルムの引張り弾性率に対して約17%大きくなった。参考例1で得た試料フィルムに対しても引張り弾性率が約13%大きくなった。
実施例10
高密度ポリエチレン(HDPE)とマレイン酸グラフト重合HDPEとの重量比を90:10としたほかは実施例9と同様にして試料フィルムを作成した。この試料フィルムについて、実施例7で使用したモンモリロナイト0.2gとともに実施例9と同様にしてscCOによる処理を行った。
処理後のフィルムの引張り弾性率が処理前のフィルムの引張り弾性率に対して約23%大きくなった。参考例1で得た試料フィルムに対しては引張り弾性率が約21%大きくなった。
実施例11
モンモリロナイトに代えて実施例1で用いたシリカ粉末を用いたほかは実施例9と同様にして試料フィルムを作成し、実施例9と同様にしてscCOによる処理を行った。
処理後のフィルムの引張り弾性率が処理前のフィルムの引張り弾性率に対して約17%大きくなった。参考例1で得た試料フィルムに対しては引張り弾性率が約13%大きくなった。
実施例12
高密度ポリエチレン(HDPE)とマレイン酸グラフト重合HDPEとの重量比を90:10としたほかは実施例11と同様にして試料フィルムを作成した。この試料フィルムについて、実施例9と同様にしてscCOによる処理を行った。
処理後のフィルムの引張り弾性率が処理前のフィルムの引張り弾性率に対して約27%大きくなった。参考例1で得た試料フィルムに対しては引張り弾性率が約25%大きくなった。
表3に参考例1、参考例2の試料フィルム、および実施例7〜実施例12における処理前後のフィルムの力学特性、融点を示す。
Figure 2010006851
その他、本発明は、主旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変更を加えた態様で実施できるものである。
本発明の実施例における超臨界炭酸ガスによる処理の条件ダイアグラムを示すチャート図である。 本発明の実施例における超臨界炭酸ガスによる処理の他の条件ダイアグラムを示すチャート図である。 熱機械分析装置により測定された、フィルムの熱軟化挙動を示すグラフである。 熱機械分析装置により測定された、フィルムの熱軟化挙動を示すグラフである。 赤外線吸収スペクトルチャートである。 フィルムの厚さ方向の赤外線吸収度のプロファイルを示すチャートである。 熱機械分析装置により測定された、フィルムの熱軟化挙動を示すグラフである。 熱機械分析装置により測定された、フィルムの熱軟化挙動を示すグラフである。

Claims (8)

  1. 機能物質が樹脂内に導入されてなる複合樹脂の製造方法であって、前記機能物質が無機物からなり、前記機能物質のナノサイズ粒子が混合された超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を浸漬させる複合樹脂の製造方法。
  2. 機能物質が樹脂内に導入されてなる複合樹脂の製造方法であって、前記機能物質が無機物からなり、前記機能物質のナノサイズ粒子と結晶性高分子との混練物を超臨界状態の炭酸ガスに浸漬させる複合樹脂の製造方法。
  3. 機能物質が樹脂内に導入されてなる複合樹脂の製造方法であって、前記機能物質がポリマーからなり、超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を前記ポリマーの前駆体であるモノマーとともに浸漬させることにより、前記モノマーを前記結晶性高分子内に導入したのち、導入された前記モノマーを重合させる複合樹脂の製造方法。
  4. 超臨界状態の炭酸ガスに結晶性高分子を前記ポリマーの前駆体であるモノマーとともに浸漬させて前記モノマーを前記結晶性高分子内に導入したのち、浸漬状態で前記超臨界状態の炭酸ガスを加熱して、前記モノマーを重合させる請求項3に記載の複合樹脂の製造方法。
  5. 前記モノマーがメチルメタアクリレートである請求項3または4に記載の複合樹脂の製造方法。
  6. 前記ナノサイズ粒子がシリカまたはモンモリロナイトのナノサイズ粒子である請求項1または2に記載の複合樹脂の製造方法。
  7. 前記結晶性高分子がポリエチレンである請求項1から6のいずれかに記載の複合樹脂の製造方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の複合樹脂の製造方法により得られた複合樹脂。
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JPN6010064749; 澤口孝志(ほか5名): '超臨界二酸化炭素流体におけるシンジオタクチックポリスチレンとポリメタクリル酸メチルのブレンドの創製' 高分子論文集 Vol. 62, No. 6, 20050625, 第251-260頁, 高分子学会 *

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