JPWO2009123025A1 - 留置針組立体 - Google Patents
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Abstract
留置針組立体は、先端に鋭利な針先を有する内針と、内針の基端部に固定された内針ハブと、内針が挿通される中空の外針と、外針の基端部に固定され、基端部に樹脂で構成された凸部を有する外針ハブと、弾性を有し、凸部と係合し得る突出部を有する連結部材を備え、突出部と凸部とが係合することで、外針ハブに対して着脱自在に連結されるプロテクタとを有するものである。外針ハブの凸部は、突出部が摺動する摺動面を有し、連結部材は、突出部と凸部とが係合した第1の状態と、突出部と凸部との係合が外れた第2の状態とを採り得、連結部材が第1の状態から第2の状態に移行する際、突出部が凸部の摺動面に沿って摺動するよう構成されており、突出部の摺動面に接触する第1の接触部は、樹脂で構成されている。
Description
本発明は、例えば輸液の際に血管に穿刺し、留置する留置針組立体に関する。
患者に対し輸液を行う際などには、輸液ラインと接続される留置針を患者の血管に穿刺し、留置してこれを行う。
このような留置針(留置針組立体)は、中空の外針と、外針の基端に固着された外針ハブと、外針内に挿入され、先端に鋭利な針先を有する内針と、内針の基端に固着された内針ハブと、外針ハブに対して着脱自在に連結されるプロテクタとで構成されている。外針ハブには、外針の内腔に連通する流路を有する主管と、この流路から分岐した分岐流路を有する側管とが形成されており、側管に、輸液ラインが接続されるようになっている。(例えば、特許文献1参照)。
この留置針を患者の血管に穿刺する際には、内針を外針内に挿入し、内針の針先を外針の先端から突出させた組立状態で穿刺操作を行う。
内針の針先が血管内に到達すると、内針の先端部から血液が流入し、その血液は、途中で、内針の側部に形成された孔部から外針と内針の間の流路へ流入し、その流路を通り、透明な外針ハブの内部、すなわち、主管の流路に流入し、さらに、主管から側管の分岐流路に流入する(フラッシュバック)。これにより、内針が血管を確保したことが確認(視認)できる。
このフラッシュバックを確認したら、内針をガイドとして、外針を進め、当該外針を血管内に挿入(穿刺)する。
次いで、外針や外針ハブを一方の手で把持して固定しつつ、内針ハブを他方の手で把持して基端方向に移動させ、内針を外針から抜き取る。そして、接続された輸液ライン、外針ハブの側管、主管および外針を介して輸液剤を投与する。
ところで、図18に示すように、外針ハブ300の基端部(図18中右側の端部)には、リブ330が形成されている。
一方、プロテクタには、外針ハブ300のリブ330と係合し得る突出片9240を有するV字状のバネ920が設置されている(図6参照)。なお、図18には、バネ920の突出片9240を含む一部のみが描かれている。これらバネ920の突出片9240と外針ハブ300のリブ330とが係合することで、外針ハブ300に対してプロテクタが着脱自在に連結される。
また、バネ920は、弾性変形することによりその突出片9240と外針ハブ300のリブ330とが係合した状態で、内針の外周面に当接し、その係合状態が保持されており、内針を外針から抜き取る際、バネ920が内針の外周面から離間して復元し、そのバネ920が復元する際、突出片9240がリブ330に対して図18中下側に移動し、突出片9240とリブ330との係合が外れるようになっている。
しかしながら、外針ハブ300は、樹脂で構成されており、一方、バネ920は、金属で構成されているので、前記突出片9240がリブ330に対して図18中下側に移動する際、突出片9240のエッジ部(またはバリ等)がリブ330に噛み込んでしまい、これにより、突出片9240が移動し難くなり、その突出片9240とリブ330との係合が外れ難くなってしまうことがある。この場合は、外針ハブ300からプロテクタを離脱させるときに抵抗となり、留置した外針が血管から抜けてしまうおそれがある。
本発明の目的は、外針ハブからプロテクタを円滑に離脱させることができる留置針組立体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、
先端に鋭利な針先を有する内針と、
前記内針の基端部に固定された内針ハブと、
前記内針が挿通される中空の外針と、
前記外針の基端部に固定され、基端部に樹脂で構成された凸部を有する外針ハブと、
弾性を有し、前記凸部と係合し得る突出部を有する連結部材を備え、前記突出部と前記凸部とが係合することで、前記外針ハブに対して着脱自在に連結されるプロテクタとを有する留置針組立体であって、
前記外針ハブの凸部は、前記突出部が摺動する摺動面を有し、
前記連結部材は、前記突出部と前記凸部とが係合した第1の状態と、前記突出部と前記凸部との係合が外れた第2の状態とを採り得、前記連結部材が前記第1の状態から前記第2の状態に移行する際、前記突出部が前記凸部の摺動面に沿って摺動するよう構成されており、
前記突出部の前記摺動面に接触する第1の接触部は、樹脂で構成されていることを特徴とする留置針組立体である。
先端に鋭利な針先を有する内針と、
前記内針の基端部に固定された内針ハブと、
前記内針が挿通される中空の外針と、
前記外針の基端部に固定され、基端部に樹脂で構成された凸部を有する外針ハブと、
弾性を有し、前記凸部と係合し得る突出部を有する連結部材を備え、前記突出部と前記凸部とが係合することで、前記外針ハブに対して着脱自在に連結されるプロテクタとを有する留置針組立体であって、
前記外針ハブの凸部は、前記突出部が摺動する摺動面を有し、
前記連結部材は、前記突出部と前記凸部とが係合した第1の状態と、前記突出部と前記凸部との係合が外れた第2の状態とを採り得、前記連結部材が前記第1の状態から前記第2の状態に移行する際、前記突出部が前記凸部の摺動面に沿って摺動するよう構成されており、
前記突出部の前記摺動面に接触する第1の接触部は、樹脂で構成されていることを特徴とする留置針組立体である。
このような本発明によれば、外針ハブの凸部と突出部の第1の接触部とが、いずれも樹脂で構成されているので、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる際、プロテクタの連結部材の突出部が外針ハブの凸部の摺動面に沿って円滑に摺動することができ、これにより、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記第1の接触部は、前記摺動面に対し、点状または線状に接触するのが好ましい。
これにより、突出部と凸部の摺動面との接触部分の面積(接触面積)は、小さくなり、突出部と凸部の摺動面との摩擦抵抗は、低減する。これによって、より円滑に、凸部の摺動面に沿って突出部が摺動することができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記凸部のロックウェル硬度をa、前記第1の接触部のロックウェル硬度をbとしたとき、b/aは、0.3〜3であるのが好ましい。
これにより、連結部材の突出部は、凸部の摺動面に沿ってより円滑に摺動することができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記連結部材は、前記内針の外周面に当接することにより弾性変形した状態で前記第1の状態に保持されており、前記内針を前記外針から抜去する際、前記内針の外周面から離間して復元し、該連結部材が復元する際、前記突出部が前記凸部の摺動面に沿って摺動し、前記第2の状態になるよう構成されているのが好ましい。
これにより、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる際、抵抗(離脱抵抗)を低減することができ、よって、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブ3から離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記連結部材は、前記内針を前記外針から抜去する際、前記内針と接触して該内針が摺動する第2の接触部を有し、
前記第2の接触部は、樹脂で構成されているのが好ましい。
前記第2の接触部は、樹脂で構成されているのが好ましい。
これにより、内針が連結部材の外面に沿って円滑に摺動することができ、よって、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記連結部材は、帯状の部材を折り曲げた形状をなし、その一方の外面に、前記第2の接触部が固着されているのが好ましい。
これにより、例えば、外針ハブからプロテクタを離脱する操作中に、第2の接触部が不本意に離脱するのが確実に防止される。
また、本発明の留置針組立体では、前記連結部材は、その全体が樹脂で構成されているのが好ましい。
これにより、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる際、連結部材の突出部が凸部に噛み込んでしまうことを防止することができ、突出部が凸部の摺動面凸部に沿って円滑に摺動(移動)することができる。これによって、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記連結部材の復元により前記突出部が移動する方向は、前記内針の軸に対して略垂直な方向であり、
前記凸部は、前記外針ハブの外周面にその周方向に沿って形成されているのが好ましい。
前記凸部は、前記外針ハブの外周面にその周方向に沿って形成されているのが好ましい。
これにより、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブから離脱させる際、抵抗(離脱抵抗)を低減することができ、よって、内針を外針から抜去し、プロテクタを外針ハブ3から離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
また、本発明の留置針組立体では、前記内針または前記内針ハブと、前記プロテクタとを連結する連結手段を有し、
前記内針を前記外針から抜去する際は、前記内針ハブを基端方向に移動させ、これにより、前記プロテクタが基端方向に移動して前記外針ハブから離脱するよう構成されているのが好ましい。
前記内針を前記外針から抜去する際は、前記内針ハブを基端方向に移動させ、これにより、前記プロテクタが基端方向に移動して前記外針ハブから離脱するよう構成されているのが好ましい。
これにより、プロテクタが内針の針先から脱落するのが確実に防止され、よって、プロテクタが針先を覆った状態を確実に維持することができる。このため、内針等の廃棄処理等に際し、その作業者等が誤って針先で手指等を刺すという事故が確実に防止され、安全性が高い。
また、本発明の留置針組立体では、前記プロテクタは、前記内針を前記外針から抜去した際に、前記内針の少なくとも針先を覆うものであるのが好ましい。
これにより、内針等の廃棄処理等に際し、その作業者等が誤って針先で手指等を刺すという事故が確実に防止され、安全性が高い。
以下、本発明の留置針組立体を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の留置針組立体の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す留置針組立体の分解斜視図、図3は、図1に示す留置針組立体の外針ハブ、内針、内針ハブおよびプロテクタ等を示す断面図、図4は、図3中のA−A線断面図、図5は、図1に示す留置針組立体の外針ハブ、内針、内針ハブおよびプロテクタ等を示す断面図、図6は、図1に示す留置針組立体のプロテクタの連結部材を示す斜視図、図7および図8は、それぞれ、図1に示す留置針組立体の外針ハブおよびプロテクタの連結部材を模式的に示す底面図、図9および図10は、図1に示す留置針組立体のプロテクタの連結部材の突出片の他の構成例を模式的に示す斜視図である。
図1は、本発明の留置針組立体の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す留置針組立体の分解斜視図、図3は、図1に示す留置針組立体の外針ハブ、内針、内針ハブおよびプロテクタ等を示す断面図、図4は、図3中のA−A線断面図、図5は、図1に示す留置針組立体の外針ハブ、内針、内針ハブおよびプロテクタ等を示す断面図、図6は、図1に示す留置針組立体のプロテクタの連結部材を示す斜視図、図7および図8は、それぞれ、図1に示す留置針組立体の外針ハブおよびプロテクタの連結部材を模式的に示す底面図、図9および図10は、図1に示す留置針組立体のプロテクタの連結部材の突出片の他の構成例を模式的に示す斜視図である。
なお、以下では、図2、図3および図5中の左側を「基端」、右側を「先端」とし、また、図7および図8中の右側を「基端」、左側を「先端」として説明を行う。また、図7および図8では、プロテクタの連結部材は、第1の部位および突出片のみが描かれている。
各図に示す留置針組立体1は、中空の外針2と、外針2の基端部に固定された外針ハブ3と、外針2内に挿通される内針4と、内針4の基端部に固定された内針ハブ5と、外針ハブ3の側方部(または基端部)に、内腔71が外針2の内腔21と連通するように接続されたチューブ7とを有している。以下、各部の構成について説明する。
外針2は、ある程度の可撓性を有するものが好ましく用いられる。外針2の構成材料は、樹脂材料、特に、軟質樹脂材料が好適であり、その具体例としては、例えば、PTFE、ETFE、PFA等のフッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂またはこれらの混合物、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテルナイロン樹脂、前記オレフィン系樹脂とエチレン−酢酸ビニル共重合体との混合物等が挙げられる。
このような外針2は、その全部または一部が内部の視認性を有していてもよい。また、外針2の構成材料中には、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸ビスマス、タングステン酸のようなX線造影剤を配合し、造影機能を持たせることもできる。
外針2の基端部には、例えば、カシメ、融着(熱融着、高周波融着等)、接着剤による接着等の方法により、外針ハブ3が液密に固着(固定)されている。
外針ハブ3は、略筒状の部主管36と、主管36の流路31から分岐した分岐流路32を有し、略筒状の側管(分岐管)37とを備えている。
前述したように、主管36の先端側には、外針2の基端部が固定されており、流路31は、その先端側において、外針2の内腔21と連通している。流路31(主管36)は、その軸線(中心軸)が外針2の中心軸と略一致するように配置されている。
一方、分岐流路32(側管37)は、その軸線(中心軸)が、外針2の中心軸、すなわち、流路31(主管36)の軸線に対して所定角度傾斜するように配置されている。この場合、分岐流路32は、分岐流路32の基端側が図2中左側に位置するように傾斜している。なお、分岐流路32(側管37)の軸線は、流路31(主管36)の軸線に対して垂直であってもよい(傾斜していなくてもよい)。
また、チューブ7の先端部(一端部)は、外針ハブ3の側管37に接続されている。これにより、チューブ7を介して、外針2(外針ハブ3)に薬液(輸液)等の液体を供給することができる。
また、外針ハブ3の基端部には、リブ33が形成されている。このリブ33については、後に詳述する。
また、外針ハブ3の側方には、一対の翼12a、12bが外針ハブ3と一体的に形成されている。外針2および内針4を血管等に穿刺する際には、親指と中指とで内針ハブ5を摘んで穿刺し、外針2の先端が血管に入ったら、人指し指で後述する指当部916を押圧して外針ハブ3を押し進め、外針2のみを血管内に進めることができる。外針2を留置する際には、翼12a、12bを粘着テープ等により皮膚に固定する。
外針2には、先端に鋭利な針先41を備える内針4が挿通される。留置針組立体1は、内針4を外針2に挿通し、外針2の先端開口22から針先41が突出した状態、すなわち、図1、図3、図4および図7に示す状態で使用される。以下、この状態を「組立状態」と言う。
内針4の長さは、組立状態としたとき、少なくとも針先41が外針2の先端開口22から突出する程度の長さとされる。
内針4は、中空針であってもよいが、中実針でもよい。内針4を中実針にした場合、その外径を小さくしつつも十分な強度を確保することができる。また、内針4を中実針とすることにより、操作終了後、内針4を廃棄する際に、内針4の内部に血液が残留したり、その血液が流出する危険がなく、安全性が高い。
また、内針4が中空針である場合、当該内針4が血管を穿刺したときに血液が内針4の中空部に流入することにより、血液のフラッシュバックを確認するが、内針4を中実針とすることにより、血液が内針4と外針2との隙間に流入することとなり、血液のフラッシュバックをより早く確認することができる。
図示の構成では、内針4は、中空針であり、その途中の側部に図示しない孔部(側孔)が形成されている。これにより、内針4が血管を穿刺したときに、血液が内針4の中空部に流入し、その血液は、途中で、内針4の側部に形成された孔部から内針4と外針2との隙間に流入し、これによって血液のフラッシュバックをより早く確認することができるようになっている。
なお、内針4は、中空部と中実部との双方を有する構成(例えば、中空針の内腔の一部を充填することにより、先端側を中空とし、基端側を中実とする構成等)とすることもできるが、その全体を一つの部材で構成することにより、内針4のコストの削減を図ることができる。
また、内針4は、その外径が一定のものでもよく、また、その外径が異なる複数の部分を有しているものでもよい。
このような内針4の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。
内針4の基端部には、内針ハブ5が固着(固定)されている。この内針ハブ5は、その先端部に、組立状態で、後述するプロテクタ9の基端部が挿入(配設)され、後述する連結部材20が収納(配設)されるプロテクタ挿入部(連結部材収納部)51を有している。プロテクタ9および連結部材20は、それぞれ、プロテクタ挿入部51に対して移動し得るようになっている。
内針4の内針ハブ5に対する固定方法は、例えば、嵌合、カシメ、融着、接着剤による接着等の方法、あるいはこれらを併用した方法が挙げられる。なお、図示の構成では、内針4が中空であるので、血管に穿刺した際に逆流する血液が内針ハブ5の基端部から飛び出さないように封止されている。
このような内針ハブ5および前述した外針ハブ3は、それぞれ、好ましくは透明(無色透明)、着色透明または半透明の樹脂で構成され、内部の視認性が確保されている。これにより、外針2が血管を確保した際、前述した内針4を介して流入する血液のフラッシュバックを目視で確認することができる。
内針ハブ5の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール等の各種樹脂材料が挙げられる。
また、外針ハブ3は、樹脂(樹脂材料)で構成され、その構成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール(POM)等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
チューブ7は、可撓性を有しており、前述したように、その先端部が外針ハブ3の側管37に接続されている。チューブ7の基端部(他端部)には、コネクタ72が装着されている。このコネクタ72には、例えば、投与する輸液(薬液)を供給する輸液ラインの端部に装着されたコネクタ、薬液を収納したシリンジの口部(先端部)等が接続される。
なお、チューブ7の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル等が挙げられる。
また、留置針組立体1は、外針ハブ3の流路31に、その流路31を封止する封止手段として、円柱状(ブロック状)のシール部材(図示せず)を有している。このシール部材は、主管36の流路31の分岐流路32よりも基端側に設置(固定)されている。そして、本実施形態では、シール部材は、分岐流路32の近傍に配置されている。
このシール部材には、内針4を挿通可能で、かつ、挿通された内針4を抜去した際に閉塞する孔またはスリットが形成されている。本実施形態では、シール部材の略中央に、そのシール部材の長手方向に沿って貫通するスリット(図示せず)が形成されている。
スリットは、その形状が一文字状をなしている。これにより、閉状態のスリットを容易に開状態とすることができる。よって、内針4がシール部材(スリット)を円滑に挿通することができ、すなわち、後述するように内針4をガイドとして外針2を進めるとき、内針4の外面とスリットの内面との間の摩擦抵抗を低減することができる。このため、留置針組立体1の穿刺操作時の操作性がより向上する。
シール部材は、組立状態で、スリットに内針4が挿通され、かつ、挿通された内針4を抜去した際には、スリットがシール部材の自らの弾性力(復元力)により閉塞する自己閉塞性を有するものである。これにより、内針4を抜去した際に、外針ハブ3の基端からの液漏れを防止することができるとともに、外針ハブ3内の無菌性を維持することもできる。
このようなシール部材の構成材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムのような各種ゴム材料(特に加硫処理したもの)や、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、オレフィン系、スチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの混合物等の各種弾性材料が挙げられる。
また、留置針組立体1には、スリットの内面と内針4の外面との間の摩擦抵抗を低減する摩擦低減処理が施されているのが好ましい。
この摩擦低減処理としては、例えば、スリットの内面および内針4の外面(外周面)の少なくとも一方の面に潤滑剤を付与する処理、スリットの内面に低摩擦材料で構成され層(低摩擦層)を形成すること等が挙げられる。
このような摩擦低減処理により、内針4をガイドとして外針2を進めるとき、内針4とシール部材との間の摩擦抵抗を確実に低減することができる。これにより、外針2を円滑に移動させることができ、留置針組立体1が穿刺操作時の操作性に優れたものとなる。
また、留置針組立体1は、内針4を外針2から抜去した際に、内針4の少なくとも針先41を覆うプロテクタ9を有している。以下、このプロテクタ9について説明する。
プロテクタ9は、組立状態で、内針ハブ5のプロテクタ挿入部51に、挿入(配設)されている。
このプロテクタ9は、外針ハブ3に対して着脱自在に連結されるようになっており、図2、図3および図5に示すように、プロテクタ本体91と、プロテクタ本体91内に設けられた連結部材92とを有している。
プロテクタ本体91の先端部には、組立状態で外針ハブ3の基端部が挿入される有底の穴部911が形成されている。
プロテクタ本体91の構成材料は、特に限定されず、例えば、外針ハブ3および内針ハブ5の構成材料として挙げたものと同様のものを用いることができる。
また、プロテクタ本体91の穴部911の基端側には、連結部材92が収納されている。すなわち、プロテクタ本体91には、穴部911の底壁を構成する壁部912と、壁部912の基端側に配置された壁部913とが形成されており、連結部材92は、これら壁部912と壁部913との間に設置されている。
図3、図5および図6に示すように、連結部材92は、弾性を有し、外針ハブ3のリブ33と係合し得る板状の突出片(突出部)924を有している。プロテクタ9は、組立状態では、その穴部911に外針ハブ3の基端部が挿入された状態で、連結部材92の突出片924と外針ハブ3のリブ33とが係合することにより、外針ハブ3に対して着脱自在に連結される。
本実施形態では、連結部材92は、全体形状として、帯状の板部材(部材)を略V字状に折り曲げた形状(略V字状)をなしており、また、その板部材は、弾性(弾力性)を有している(弾性的に変形することができるものである)。具体的には、連結部材92は、第1の部位921と、第1の部位921の図6中上側に接続され、この第1の部位921とで略V字形状を形成する第2の部位922と、第1の部位921の図6中下側に配置された第3の部位923と、第3の部位923の基端から図6中上側に向かって突出する突出片924と、第1の部位921の途中であって基端側に配置されたシャッター部925とを有している。また、第2の部位922の図6中下側の部位は、上側に向かって湾曲または屈曲している。また、突出片924の後述するリブ33の摺動面331に対向する対向面926は、内針4の中心軸O1に対して略垂直である。
この連結部材92は、第1の部位921と第2の部位922との開き角度が変化(開閉)することにより、突出片924とリブ33とが係合した第1の状態(第1の形状)と、突出片924とリブ33との係合が外れた第2の状態(第2の状態)とを採り得る(変形し得る)ようになっている。
すなわち、図3、図4および図7に示すように、組立状態では、連結部材92は、開き角が小さくなるように折り畳んだ状態(弾性変形した状態)で収納され、第1の部位921が内針4の外周面に当接することにより、第1の状態に保持されている。この状態では、プロテクタ9は、外針ハブ3に対して連結されている。また、プロテクタ9および外針ハブ3は、内針4および内針ハブ5に対して、内針4の長手方向に相対的に移動可能である。
この状態から、内針ハブ5をプロテクタ9に対し基端方向へ移動させ、内針4の針先41が連結部材92の第1の部位921の基端側に至ると、図5および図8に示すように、連結部材92は、自らの弾性力(復元力)により開く(復元する)とともに、後述する連結部材20を介して基端方向に引っ張られて移動し、第2の状態となる。連結部材92の復元により突出片924が移動する方向は、内針4の中心軸O1に対して略垂直な方向である。この状態では、プロテクタ9と外針ハブ3との連結は、解除されている。また、連結部材92のシャッター部925が、内針4の中心軸O1上の針先41の先端側に位置し、これにより、針先41が連結部材92を超えて先端方向へ移動(通過)するのが阻止される。なお、内針ハブ5を基端方向へさらに移動させると、プロテクタ9は、後述する連結部材20を介して基端方向に引っ張られて移動し、外針ハブ3から離脱する。
連結部材92は、樹脂(樹脂材料)で構成され、その構成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリアセタール(POM)等の各種樹脂材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。連結部材92を樹脂で構成することにより、その成形を容易に行うことができる。
なお、連結部材92の一部は、例えば、カシメ、埋入、融着、接着剤による接着等の方法により、プロテクタ本体91に固定されていてもよい。また、連結部材92は、図示の構成に限らず、他の形状・構造のものであってもよい。
また、プロテクタ本体91の先端部には、指当部(タブ)916が突出形成されている(設けられている)。プロテクタ本体91と指当部916とは、一体的に形成されている。また、指当部916は、上方向に向かって突出している。この指当部916を指で先端方向に押圧することにより、内針4に対して外針2を先端方向に移動させることができる。
なお、プロテクタ本体91と指当部916とを別部材で形成し、それらを接合してもよい。この場合、指当部916の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、外針ハブ3および内針ハブ5の構成材料として挙げたものと同様のものを用いることができる。また、指当部916は、他の部位(部材)、例えば、外針ハブ3に突出形成されていてもよい。
また、図2、図3および図5に示すように、留置針組立体1は、プロテクタ9が内針4の針先41を覆ったときに当該プロテクタ9が針先41から脱落するのを防止する脱落防止手段の機能と、プロテクタ9と内針ハブ5とを連結する連結手段の機能とを有する連結部材20を有している。
この連結部材20は、プロテクタ9のプロテクタ本体91と内針ハブ5とを連結するよう構成されている。これにより、内針ハブ5を基端方向に移動させると、プロテクタ9が連結部材20を介して基端方向に引っ張られる(移動する)ようになっている。
また、連結部材20は、蛇腹状をなしており、このため伸縮自在である。そして、連結部材20は、最大に伸長した状態(伸びきった状態)において、内針4の針先41が連結部材92のシャッター部925よりも基端側に位置し、かつ、針先41がプロテクタ本体91内に収納される(プロテクタ本体91から脱落しない)程度の長さを有している。
このように、連結部材20は、プロテクタ本体91と内針ハブ5とを連結し、最大に伸長した状態において針先41がプロテクタ本体91内に収納される程度の長さを有しているので、プロテクタ9が内針4の針先41から脱落するのが確実に防止され、よって、プロテクタ9が針先41を覆った状態を確実に維持することができる。このため、内針4等の廃棄処理等に際し、その作業者等が誤って針先41で手指等を刺すという事故が確実に防止され、安全性が高い。
また、連結部材20は、組立状態では収縮し、すなわち、折り畳まれ、内針4が外針2から抜去され、プロテクタ9が針先41を覆った状態では伸長する、すなわち、展開する。
このような連結部材20は、組立状態で収縮し、この収縮した状態で、内針ハブ5のプロテクタ挿入部51のプロテクタよりも基端側に収納(配設)される。これにより、穿刺操作時に連結部材20が邪魔にならず、留置針組立体1の操作性が向上する。また、留置針組立体1の小型化を図ることができるという利点もある。
また、連結部材20が収縮した状態および伸長した状態で、内針4が当該連結部材20を貫通している。これにより、内針4が、連結部材20の伸縮するときの当該連結部材20のガイドとして機能する。よって、例えば、留置針組立体1を組立状態とする(製造する)とき、連結部材20が不本意な状態で収縮する、すなわち、内針ハブ5に収納されずに収縮するのを確実に防止することができる。
また、連結部材20は、その自然状態に戻ろうとする自己復元性(復元性)を有しており、自然状態よりも収縮した状態では、その復元力により、伸長する方向に付勢する付勢手段として機能し、また、自然状態よりも伸長した状態では、その復元力により、収縮する方向に付勢する付勢手段として機能する。「自然状態」とは、連結部材20に外力が付与されていない状態をいう。
なお、連結部材20は、プロテクタ9と内針4とを連結するよう構成されていてもよい。
さて、図2、図3、図5、図7および図8に示すように、この留置針組立体1の外針ハブ3は、その基端部に、前記プロテクタ9の連結部材92の突出片924と係合し得る凸部として、リブ(凸条)33を有している。
リブ33は、外針ハブ3の基端部の外周面に、その周方向に沿って形成されており、図示の構成では、環状をなしている。
このリブ33は、内針4の中心軸(軸)O1に対して略垂直で、突出片924が摺動する摺動面331を有しており、連結部材92が、図3、図4および図7に示す第1の状態から図5および図8に示す第2の状態に移行する際、連結部材92の突出片924は、その摺動面331に沿って摺動するよう構成されている。すなわち、連結部材92は、内針4を外針2から抜去する際、その第1の部位921が内針4の外周面から離間し、復元し、連結部材92が復元する際、突出片924がリブ33の摺動面331に沿って摺動し、第2の状態になる。
一方、前述したように、外針ハブ3のリブ33(本実施形態では、外針ハブ3全体)と、連結部材92の突出片924の摺動面331に接触する部位である第1の接触部(本実施形態では、連結部材92全体)は、いずれも樹脂(樹脂材料)で構成されている。
これにより、内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる際、連結部材92の突出片924がリブ33に噛み込んでしまうことを防止することができ、突出片924がリブ33の摺動面331に沿って円滑に摺動(移動)することができる。これによって、前記内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
また、外針ハブ3および連結部材92の構成材料としては、それぞれ、前述したものを用いることができるが、好ましい組み合わせとしては、連結部材92の構成材料を、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン等とし、外針ハブ3の構成材料を、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等とするのが好ましい。
そして、特に、外針ハブ3の樹脂材料と連結部材92の樹脂材料とは、同一であるのが好ましい。
また、外針ハブ3のリブ33のロックウェル硬度(JIS K 7202に規定)をa、連結部材92の突出片924(第1の接触部)のロックウェル硬度をbとしたとき、b/aは、0.3〜3.0程度であることが好ましく、0.6〜2.2程度であることがより好ましい。
これにより、連結部材92の突出片924は、リブ33の摺動面331に沿ってより円滑に摺動することができる。
また、外針ハブ3のリブ33のロックウェル硬度は、40〜120程度であることが好ましく、50〜110程度であることがより好ましい。
また、連結部材92の突出片924(第1の接触部)のロックウェル硬度は、40〜120程度であることが好ましく、50〜110程度であることがより好ましい。
また、内針4を外針2から抜去する際は、内針4は、連結部材92の第1の部位921の外面を摺動する。そして、前述したように、内針4は、金属(金属材料)で構成されている。
しかし、前述したように、連結部材92の第1の部位921の、内針4を外針2から抜去する際に内針4の外周面と接触して内針4が摺動する部位である第2の接触部(本実施形態では、連結部材92全体)は、樹脂(樹脂材料で)構成されているので、内針4は、第1の部位921の外面に沿って円滑に摺動することができる。これにより、内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
なお、外針ハブ3のリブ33の摺動面331と、連結部材92の突出片924の対向面926(第1の接触部)とのいずれか一方、または、双方に、例えば、シリコーンオイル、界面活性剤等の潤滑剤が付与(塗布)されていてもよい。これにより、突出片924とリブ33の摺動面331との摩擦抵抗(摺動抵抗)が低減し、より円滑に、リブ33の摺動面331に沿って連結部材92の突出片924が摺動(移動)することができる。
また、連結部材92の第1の部位921の外面の、内針4の外周面と接触する部位(第2の接触部)にも、潤滑剤が付与(塗布)されているのが好ましい。これにより、内針4の外周面と第1の部位921の外面との摩擦抵抗が低減し、より円滑に、連結部材92の第1の部位921の外面に沿って内針4が摺動することができる(プロテクタ9に対する内針4の移動をより円滑に行うことができる)。
また、本実施形態では、連結部材92の突出片924(第1の接触部)は、外針ハブ3のリブ33の摺動面331に対し、面状に接触するよう構成されているが、突出片924(第1の接触部)は、点状または線状に接触するよう構成されているのが好ましい。これにより、突出片924とリブ33の摺動面331との接触部分の面積(接触面積)は、小さくなり、突出片924とリブ33の摺動面331との摩擦抵抗は、低減する。これによって、より円滑に、リブ33の摺動面331に沿って突出片924が摺動することができる。以下、これらの構成例について説明する。
図9に示す構成例では、連結部材92の突出片924の対向面926に、第1の接触部として、丸みを帯びた突起927が形成されている。これにより、突出片924は、リブ33の摺動面331に対し、点状に接触する。
図10に示す構成例では、連結部材92の突出片924の対向面926に、第1の接触部として、直線状の角部928が形成されている。これにより、突出片924は、リブ33の摺動面331に対し、線状に接触する。なお、突出片924は、連結部材92の復元により、角部928の直線の方向に移動するようになっている。
また、本実施形態では、リブ33の摺動面331は、内針4の中心軸O1に対して略垂直であるが、このリブ33の摺動面331は、内針4の中心軸O1に対して傾斜しているのが好ましい。これにより、内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる際、抵抗(離脱抵抗)を低減することができる。これによって、前記内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる操作をより円滑かつ確実に行うことができる。また、摺動面331が傾斜しているので、突出片924とリブ33の摺動面331との接触部分の面積(接触面積)は、小さく、これにより、突出片924とリブ33の摺動面331との摩擦抵抗は、小さい。これによって、より円滑に、リブ33の摺動面331に沿って突出片924が摺動することができる。
次に、留置針組立体1の使用方法の一例(血管に穿刺する場合)(作用)について、詳細に説明する。
[1] 留置針組立体1を組立状態(図1、図3、図4、図7参照)とし、予めコネクタ72に、輸液ラインの端部に装着されたコネクタを接続し、輸液ラインからの輸液を供給可能とする。
なお、このとき、チューブ7または輸液ライン上の所定箇所を例えばクランプ(流路開閉手段の一例)により挟み、その内腔を閉塞しておく。
[2] 次に、前記クランプ等によるチューブ7または輸液ラインの閉塞を解除し、輸液ラインからの輸液をチューブ7を介して外針ハブ3内に導入する。
外針ハブ3内に導入された輸液は、分岐流路32およびシール部材より先端側の流路31を満すとともに、外針2の内腔21に導入され、これにより、外針2の内腔21が輸液によりプライミングされる。このとき、輸液の一部は、外針2の先端開口22より流出する。
[3] 以上のようにしてプライミングが完了したら、チューブ7または輸液ラインをクランプ等により再び閉塞しておき、内針ハブ5を把持して、一体化された外針2および内針4を患者の血管(静脈または動脈)に穿刺する。
外針2により血管が確保されると、血管の内圧(血圧)により血液が、内針4を介して外針2の内腔21を基端方向へ逆流するので、視認性を有する外針2、外針ハブ3、内針ハブ5またはチューブ7のうちの少なくとも1箇所において、これを確認することができる。
そして、これを確認した後、さらに、内針4をガイドとし、内針4に沿って、外針2を微小距離先端方向へ進める。
また、このような血管への穿刺に際しては、外針2の内腔21が輸液によりプライミングされているため、誤って血管内に気泡が侵入することが確実に防止され、安全性が極めて高い。
[4] 外針2により血管が確保されたら(外針2が目的位置まで移動したら)、外針2または外針ハブ3を一方の手で固定し、他方の手で内針ハブ5を把持して基端方向へ引っ張る。これにより、内針4が外針2から抜去される動作から、プロテクタ9が外針ハブ3から離脱するまでのすべての各操作(動作)が、順次、連続して行なわれる。すなわち、まずは、内針4が基端方向へ移動し、外針2から抜去される。
[5] さらに、内針4が基端方向へ移動し、針先41がスリット内を通過すると、自己閉塞性を有するシール部材は、自らの弾性力によりスリットを閉塞する。これにより、スリットを介して液漏れが生じることはなく、また、外針ハブ3内や輸液ラインの無菌性も確保される。
[6] さらに、内針4が基端方向へ移動し、針先41が連結部材92の第1の部位921の基端側に至ると、図5および図8に示すように、連結部材92は、自らの弾性力(復元力)により開く(復元する)とともに、連結部材20を介して基端方向にも引っ張られて移動し、第2の状態となる。このように、連結部材92が第2の状態になると、内針4の針先41が再び先端方向へ戻るように移動しようとしても、針先41が連結部材92のシャッター部925に当接し、戻ることはできない。
[7] さらに、内針ハブ5が基端方向へ移動し、これにより、プロテクタ9は、連結部材20を介して基端方向に引っ張られて移動し、外針ハブ3から分離される(離脱する)。
連結部材20は、最大に伸長した状態において針先41がプロテクタ本体91内に収納される程度の長さを有しているので、プロテクタ9が針先41から脱落するのを確実に防止することができ、よって、プロテクタ9が針先41を覆った状態を確実に保持することができる。
このようにして外針2から内針4を抜去した後は、内針4および内針ハブ5は不用となるため、廃棄処分に供される。
内針4は、その針先41がプロテクタ9で覆われており、特に、針先41が連結部材92のシャッター部925を超えてそれより先端側へ移動し、プロテクタ9の先端から突出することがないため、廃棄処理を行う者等が針先41で誤って手指等を刺すという事故が防止される。
[8] 次に、翼12a、12bを粘着テープ等により皮膚に固定するとともに、前記クランプによるチューブ7または輸液ラインの閉塞を解除し、輸液の供給を開始する。
輸液ラインから供給される輸液は、コネクタ72、チューブ7、外針ハブ3および外針2の各内腔を経て、患者の血管内に注入される。
以上説明したように、この留置針組立体1によれば、内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる際、連結部材92の突出片924がリブ33に噛み込んでしまうことを防止することができ、突出片924がリブ33の摺動面331に沿って円滑に摺動することができる。これによって、前記内針4を外針2から抜去し、プロテクタ9を外針ハブ3から離脱させる操作を円滑かつ確実に行うことができる。
なお、本発明では、連結部材92は、外針ハブ3のリブ33の摺動面331に接触する部位である第1の接触部のみが樹脂で構成されていればよく、第1の接触部以外の部位は、樹脂以外の構成材料で構成されていてもよい。
また、本発明では、外針ハブ3は、リブ(凸部)33のみが樹脂で構成されていればよく、外針ハブ3のリブ33以外の部位は、樹脂以外の構成材料で構成されていてもよい。
<第2実施形態>
図11は、本発明の留置針組立体の第2実施形態におけるプロテクタの連結部材を示す斜視図である。
図11は、本発明の留置針組立体の第2実施形態におけるプロテクタの連結部材を示す斜視図である。
以下、第2実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図11に示すように、第2実施形態の留置針組立体1では、連結部材92のうち、突出片(突出部)924のみが樹脂で構成され、その他の部位は、他の構成材料で構成されている。
この連結部材92は、例えば、突出片924以外の部位(構造体)については、弾性(弾力性)を有する(弾性的に変形する)帯状の板部材を折り曲げて(曲げ加工して)形成し、その構造体に、突出片924を接着または融着等により固着(接合)することにより製造することができる。
また、連結部材92の突出片924以外の部位の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅合金等の各種金属材料が挙げられる。
この留置針組立体1によれば、前述した第1実施形態の留置針組立体1と同様の効果が得られる。
なお、この第2実施形態は、後述する第4実施形態にも適用することができる。
なお、この第2実施形態は、後述する第4実施形態にも適用することができる。
<第3実施形態>
図12は、本発明の留置針組立体の第3実施形態におけるプロテクタの連結部材を示す斜視図である。
図12は、本発明の留置針組立体の第3実施形態におけるプロテクタの連結部材を示す斜視図である。
以下、第3実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図12に示すように、第3実施形態の留置針組立体1では、連結部材92のうち、内針4を外針2から抜去する際に内針4の外周面と接触して内針4が摺動する部位である第2の接触部929のみが樹脂で構成され、その他の部位は、他の構成材料で構成されている。
この連結部材92は、例えば、第2の接触部929以外の部位(構造体)については、弾性(弾力性)を有する(弾性的に変形する)帯状の板部材を折り曲げて(曲げ加工して)形成し、その構造体に、第2の接触部929を接着または融着等により固着(接合)することにより製造することができる。
第2の接触部929は、連結部材92のV字の一方を構成する第1の部位921の外面(外側の面)に固着されており、また、第2の接触部929には、内針4を案内する溝(凹部)9291が形成されているのが好ましい。
また、連結部材92の第2の接触部929以外の部位の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅合金等の各種金属材料が挙げられる。
また、本実施形態では、さらに、突出片(突出部)924も樹脂で構成するのが好ましい。
この留置針組立体1によれば、前述した第1実施形態の留置針組立体1と同様の効果が得られる。
なお、この第3実施形態は、後述する第4実施形態にも適用することができる。
なお、この第3実施形態は、後述する第4実施形態にも適用することができる。
<第4実施形態>
図13は、本発明の留置針組立体の第4実施形態を示す分解斜視図、図14および図15は、それぞれ、図13に示す留置針組立体の外針ハブ、内針およびプロテクタ等を示す断面図、図16は、図13に示す留置針組立体のプロテクタの連結部材を示す斜視図、図17は、図13に示す留置針組立体のプロテクタのシャッター部材を示す斜視図である。
図13は、本発明の留置針組立体の第4実施形態を示す分解斜視図、図14および図15は、それぞれ、図13に示す留置針組立体の外針ハブ、内針およびプロテクタ等を示す断面図、図16は、図13に示す留置針組立体のプロテクタの連結部材を示す斜視図、図17は、図13に示す留置針組立体のプロテクタのシャッター部材を示す斜視図である。
なお、以下では、図13、図14および図15中の左側を「基端」、右側を「先端」として説明を行う。
以下、第4実施形態について、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図13〜図17に示すように、第4実施形態の留置針組立体1では、プロテクタ9は、プロテクタ本体91と、プロテクタ本体91内に設けられた連結部材92、シャッター部材93およびリング94とを有している。また、内針4の先端側には、外径の大きい(外径が拡径した)大径部(拡径部)42が形成されている。そして、連結部材92には、シャッター部925が設けられておらず、また、連結部材20は、省略されている。
すなわち、図14および図15に示すように、プロテクタ本体91の壁部913の基端側には、壁部914が形成されており、シャッター部材93は、この壁部914の基端側に設置されている。
図17に示すように、シャッター部材93は、弾性を有する板部材で構成されており、その中央部には、組立状態で内針4が挿通する孔部931が形成されている。また、シャッター部材93には、複数の切り欠きが形成されており、これにより、シャッター部材93が容易に変形し得るようになっている。
シャッター部材93が自然状態のときの孔部931の径は、内針4の大径部42の径よりも小さく、かつ、内針4のその他の部位の径よりも大きく設定されている。これにより、シャッター部材93が自然状態のときは、大径部42は、孔部931を通過することができない。
また、シャッター部材93は、組立状態、すなわち、内針4の大径部42がシャッター部材93の先端側に位置している状態から内針4が基端方向に移動し、大径部42が孔部931を通過する際は、変形して、孔部931の径が大径部42の径よりも大きくなるように構成されている。これにより、大径部42は、孔部931を通過することができる。
一方、シャッター部材93は、内針4の大径部42がシャッター部材93の基端側に位置している状態から内針4が先端方向に移動し、大径部42が孔部931を通過しようとしても、壁部914により変形が阻止され(自然状態に保持され)、これにより、大径部42は、孔部931を通過することができない。
これによって、針先41がプロテクタ9の先端から突出することが阻止される。
これによって、針先41がプロテクタ9の先端から突出することが阻止される。
また、プロテクタ本体91の基端側(シャッター部材93よりも基端側)には、リング94が設置されている。リング94の孔の径は、内針4の大径部42の径よりも小さく、かつ、内針4のその他の部位の径よりも大きく設定されている。これにより、大径部42は、リング94の孔を通過することができない。これによって、プロテクタ9が内針4の針先41から脱落するのが確実に防止され、また、プロテクタ9と内針4とが連結する。
このように、リング94は、プロテクタ9が内針4の針先41を覆ったときに当該プロテクタ9が針先41から脱落するのを防止する脱落防止手段の機能と、プロテクタ9と内針4とを連結する連結手段の機能とを有している。
この留置針組立体1によれば、前述した第1実施形態の留置針組立体1と同様の効果が得られる。
以上、本発明の留置針組立体を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、留置針組立体を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
また、本発明の留置針組立体は、血管内に挿入して使用されるものに限定されず、例えば、腹腔内、胸腔内、リンパ管内、脊柱管内等に挿入して使用されるものに適用することもできる。
また、本発明では、シール部材のスリットの形状は、一文字状に限定されず、例えば、十文字状、Y字状、T字状(ト字状)、H字状等であってもよい。
また、本発明では、プロテクタは、図示の構成のものに限定されず、外針ハブに対して着脱自在に連結されるものであればよい。特に、内針を外針から抜去した際に、内針の少なくとも針先を覆うものであれば、種々の構成のものを用いることができる。
本発明の留置針組立体は、先端に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の基端部に固定された内針ハブと、前記内針が挿通される中空の外針と、前記外針の基端部に固定され、基端部に樹脂で構成された凸部を有する外針ハブと、弾性を有し、前記凸部と係合し得る突出部を有する連結部材を備え、前記突出部と前記凸部とが係合することで、前記外針ハブに対して着脱自在に連結されるプロテクタとを有する留置針組立体であって、前記外針ハブの凸部は、前記突出部が摺動する摺動面を有し、前記連結部材は、前記突出部と前記凸部とが係合した第1の状態と、前記突出部と前記凸部との係合が外れた第2の状態とを採り得、前記連結部材が前記第1の状態から前記第2の状態に移行する際、前記突出部が前記凸部の摺動面に沿って摺動するよう構成されており、前記突出部の前記摺動面に接触する第1の接触部は、樹脂で構成されている。そのため、外針ハブからプロテクタを円滑に離脱させることができる。従って、本発明の留置針組立体は、産業上の利用可能性を有する。
Claims (10)
- 先端に鋭利な針先を有する内針と、
前記内針の基端部に固定された内針ハブと、
前記内針が挿通される中空の外針と、
前記外針の基端部に固定され、基端部に樹脂で構成された凸部を有する外針ハブと、
弾性を有し、前記凸部と係合し得る突出部を有する連結部材を備え、前記突出部と前記凸部とが係合することで、前記外針ハブに対して着脱自在に連結されるプロテクタとを有する留置針組立体であって、
前記外針ハブの凸部は、前記突出部が摺動する摺動面を有し、
前記連結部材は、前記突出部と前記凸部とが係合した第1の状態と、前記突出部と前記凸部との係合が外れた第2の状態とを採り得、前記連結部材が前記第1の状態から前記第2の状態に移行する際、前記突出部が前記凸部の摺動面に沿って摺動するよう構成されており、
前記突出部の前記摺動面に接触する第1の接触部は、樹脂で構成されていることを特徴とする留置針組立体。 - 前記第1の接触部は、前記摺動面に対し、点状または線状に接触する請求項1に記載の留置針組立体。
- 前記凸部のロックウェル硬度をa、前記第1の接触部のロックウェル硬度をbとしたとき、b/aは、0.3〜3である請求項1に記載の留置針組立体。
- 前記連結部材は、前記内針の外周面に当接することにより弾性変形した状態で前記第1の状態に保持されており、前記内針を前記外針から抜去する際、前記内針の外周面から離間して復元し、該連結部材が復元する際、前記突出部が前記凸部の摺動面に沿って摺動し、前記第2の状態になるよう構成されている請求項1に記載の留置針組立体。
- 前記連結部材は、前記内針を前記外針から抜去する際、前記内針と接触して該内針が摺動する第2の接触部を有し、
前記第2の接触部は、樹脂で構成されている請求項1に記載の留置針組立体。 - 前記連結部材は、帯状の部材を折り曲げた形状をなし、その一方の外面に、前記第2の接触部が固着されている請求項5に記載の留置針組立体。
- 前記連結部材は、その全体が樹脂で構成されている請求項1に記載の留置針組立体。
- 前記連結部材の復元により前記突出部が移動する方向は、前記内針の軸に対して略垂直な方向であり、
前記凸部は、前記外針ハブの外周面にその周方向に沿って形成されている請求項1に記載の留置針組立体。 - 前記内針または前記内針ハブと、前記プロテクタとを連結する連結手段を有し、
前記内針を前記外針から抜去する際は、前記内針ハブを基端方向に移動させ、これにより、前記プロテクタが基端方向に移動して前記外針ハブから離脱するよう構成されている請求項1に記載の留置針組立体。 - 前記プロテクタは、前記内針を前記外針から抜去した際に、前記内針の少なくとも針先を覆うものである請求項1に記載の留置針組立体。
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