JPWO2009116572A1 - 永久磁石同期モータ - Google Patents

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JPWO2009116572A1
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Abstract

ロータ20は、ロータ積層鉄心内に4極分の永久磁石(31A等)を埋め込んで形成される。内周積層鉄心と外周積層鉄心の間には、永久磁石と共に空隙(31G等)が配置される。1極分の永久磁石は2つの永久磁石(例えば、31A及び31B)から形成され、その2つの永久磁石間に空隙(例えば、31G)が配置される。永久磁石の両極間方向におけるおける厚みをTmとした場合、d軸方向における空隙の厚みは(1/2×Tm)以下とされる。

Description

本発明は、永久磁石が設けられたロータを有する永久磁石同期モータ、並びに、そのモータを利用するモータ駆動システム及び圧縮機に関する。
埋込磁石同期モータに代表される突極機の高速回転時においては、永久磁石に由来してモータ内で生じる誘起電圧の過度の上昇を抑えるべく弱め界磁制御(弱め磁束制御)が一般的に用いられる。
弱め界磁制御は、負のd軸電流を電機子巻線に流すことによって達成されるが、d軸電流を流す分、電機子巻線における銅損が増加する。このため、より少ないd軸電流にて必要な弱め界磁効果を実現する技術が求められる。
d軸電流の低減を狙ったモータ構造が既に幾つか提案されている。例えば、或る従来構造では、ロータ鉄心の円周表面に4個の永久磁石を異極の関係で配置し、更に、その4個の永久磁石の表面を覆うように磁性リングを設けている(例えば、下記特許文献1参照)。但し、このような磁性リングを設けた場合、隣接する永久磁石の境界近傍が磁気飽和しやすくなる。磁気飽和が生じるとd軸インダクタンスが低下するため、その分、d軸電流を増やす必要がある(周知の如く、弱め界磁磁束はd軸インダクタンスとd軸電流の積で表されるため)。即ち、この従来構造では、d軸電流の低減効果が少ない。
また、他の従来構造では、ロータ鉄心の周面に複数の永久磁石を配置すると共に永久磁石の表面上に磁性材料を配置し、ロータ鉄心の軸方向両端部に磁性材製のエンドリングを設けている(例えば、下記特許文献2参照)。このエンドリングは、空隙を介して永久磁石及び磁性材料と対峙している。但し、この構造では、エンドリングと永久磁石の間で働く磁気吸引力に起因して構造強度上の問題が生じやすい。従って、他のモータ構造の開発が求められる。
特開平7−298587号公報 特開平8−51751号公報
そこで本発明は、弱め界磁制御(弱め磁束制御)に必要なd軸電流の低減に寄与する永久磁石同期モータ、モータ駆動システム及び圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る永久磁石同期モータは、永久磁石、前記永久磁石よりも内周側に位置する内周鉄心及び前記永久磁石よりも外周側に位置する外周鉄心を結合して形成されるロータを備え、前記永久磁石の両極間方向における前記永久磁石の厚みをTとした場合、前記ロータの前記外周鉄心と前記内周鉄心の間に、(1/2×T)以下の厚みを有する空隙を設けたことを特徴とする。
上記のような空隙をロータの内周鉄心−外周鉄心間に配置することにより、d軸方向のパーミアンスを効果的に増大させることができ、必要な弱め界磁磁束を得るためのd軸電流を低減することが可能となる。また、d軸電流によって発生した磁束は、空隙側を優先的に通るため、永久磁石自身に反磁界が加わりにくくなって永久磁石の減磁の発生が抑制される。
具体的には例えば、前記永久磁石が作る磁束の向きにd軸をとった場合、(1/2×T)以下とされる前記空隙の厚みは、前記d軸方向における前記空隙の長さである。
更に例えば、前記空隙の厚みは、(1/5×T)以下である。
また具体的には例えば、前記永久磁石は、2つの永久磁石を含んで1極分の永久磁石を形成し、前記空隙は、前記2つの永久磁石間に配置される。
或いは例えば、前記空隙は、前記永久磁石の両極間方向に直交する方向における前記永久磁石の端面に隣接している。
また例えば、前記空隙と前記永久磁石は、前記ロータの回転軸に直交する面方向に隣接している。
そして例えば、前記ロータの前記内周鉄心及び前記外周鉄心は、前記ロータの回転軸方向に複数の鋼板を積層することによって形成される。
これにより、空隙を経由する永久磁石の磁束の磁気回路が鋼板の面方向に形成されることになり、その磁気回路が鋼板の積層方向に形成される場合と比べて、鉄損が低減される。
また例えば、前記ロータの前記内周鉄心及び前記外周鉄心は、夫々、前記ロータの回転軸方向に複数の鋼板を積層することによって形成される内周積層鉄心及び外周積層鉄心を含み、前記内周積層鉄心及び前記外周積層鉄心の夫々に対して、前記ロータの回転軸方向に突出した磁性材料から成る突出部が結合され、前記空隙は、前記内周積層鉄心に結合された突出部と前記外周積層鉄心に結合された突出部との間に設けられるようにしてもよい。
そして例えば、当該永久磁石同期モータは、前記ロータの回転軸方向における端部の外側に配置された、界磁巻線及び界磁巻線ヨークから成る界磁巻線部を更に備え、前記界磁巻線部による磁束発生時において、前記永久磁石の発生磁束と前記界磁巻線部の発生磁束の合成磁束が当該永久磁石同期モータのステータの電機子巻線を鎖交する。
このような構成によれば、界磁巻線部を用いて弱め界磁制御を行うことが可能となる。
より具体的には例えば、前記界磁巻線部の発生磁束が、前記突出部及び空隙を介しつつ、前記界磁巻線ヨーク、前記内周鉄心及び前記外周鉄心並びに前記ステータの鉄心を経由する磁路を通るように、前記突出部及び前記界磁巻線ヨークは形成されている。
これにより、界磁巻線部による磁界は永久磁石自体に直接加わらないため、永久磁石の減磁の惧れがない。
本発明に係るモータ駆動システムは、上記の永久磁石同期モータと、前記モータに電機子電流を供給して前記モータを駆動するインバータと、前記インバータを介して前記モータを制御するモータ制御装置と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る圧縮機は、上記モータ駆動システムに備えられた永久磁石同期モータの回転力を駆動源とする。
本発明によれば、弱め界磁制御(弱め磁束制御)に必要なd軸電流の低減に寄与する永久磁石同期モータ、モータ駆動システム及び圧縮機を提供することが可能となる。
本発明の意義ないし効果は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
本発明の第1実施形態に係るモータの全体構造を示す概略図である。 図1のロータの回転軸方向から見た、図1のステータの外観平面図である。 図1のロータの回転軸に直交する方向から見た、ロータの外観平面図である。 図1のロータの回転軸の直交面に沿った、ロータの断面図である。 図4の断面図上における永久磁石及び空隙の配置位置を説明するための図である。 本発明の第1実施形態に係り、永久磁石及び空隙の幅及び厚さを説明するための図である。 図4のロータ内に設けられる1極分の永久磁石を示す図である。 本発明の第1実施形態に係り、d軸電流によって生じた磁束の磁路を示す図である。 本発明の第1実施形態に係り、d軸電流によって生じた磁束の磁気回路図である。 本発明の第1実施形態に係り、d軸方向におけるパーミアンスの空隙厚み比率依存性を示すグラフである。 永久磁石に隣接する空隙を介して磁石磁束が漏れる様子を示す図である。 本発明の第1実施形態に係り、第1変形構造を採用したロータの断面図(回転軸の直交面に沿った断面図)である。 本発明の第1実施形態に係り、第2変形構造を採用したロータの断面図(回転軸の直交面に沿った断面図)である。 図13のロータの構造を更に変形した、ロータの断面図(回転軸の直交面に沿った断面図)である。 本発明の第1実施形態に係り、第3変形構造を採用したロータの断面図(回転軸の直交面に沿った断面図)である。 (a)及び(b)は、本発明の第1実施形態の第4変形構造を採用したロータの、回転軸に直交する方向から見た外観平面図及び回転軸方向から見た外観平面図である。 (a)及び(b)は、夫々、永久磁石を横切り且つ回転軸の直交面に沿った第4変形構造に係るロータの断面図、該回転軸の平行面に沿った該ロータの断面図である。 空隙を横切る、回転軸の直交面に沿った図16のロータの断面図(A−A断面図)である。 第4変形構造のロータにおける、永久磁石及び空隙の幅及び厚さを説明するための図である。 第4変形構造に係り、永久磁石に隣接する空隙を介して磁石磁束が漏れる様子を示す図である。 本発明の第1実施形態に係り、第5変形構造を採用したロータの断面図(回転軸の平行面に沿った断面図)である。 本発明の第1実施形態の第6変形構造に係るモータの構成要素名称を列記した図である。 (a)及び(b)は、夫々、ロータの回転軸方向から見た、第6変形構造に係るロータの外観平面図である。 (a)及び(b)は、第6変形構造に係るロータの、回転軸の直交面に沿った断面図である。 第6変形構造に係り、ステータの断面とロータ及び界磁巻線部のC−C’断面とを合成した図である。 図25におけるステータの断面を説明するための図である。 (a)及び(b)は、夫々、ロータの回転軸と一致するZ軸の正側及び負側から見た、第6変形構造に係るロータの外観平面図である。 第6変形構造に係り、ステータの断面とロータ及び界磁巻線部のY断面とを合成した図である。 第6変形構造に係り、ステータの断面とロータ及び界磁巻線部のX断面とを合成した図である。 (a)及び(b)は、夫々、第6変形構造に係る界磁巻線ヨークの外観斜視図及び分解図である。 ロータの回転軸方向が図面の左右方向に合致するような視点から見た、第6変形構造に係る界磁巻線ヨークの外観図である。 第6変形構造に係る界磁巻線ヨークの、XY座標面上への投影図である。 第6変形構造に係る界磁巻線部の発生磁束の磁路を説明するための図である。 本発明の第2実施形態に係るモータの全体構造を示す概略図である。 (a)及び(b)は、夫々、永久磁石を横切り且つ回転軸の直交面に沿った第2実施形態に係るロータの断面図、空隙を横切り且つ回転軸の直交面に沿った該ロータの断面図である。 回転軸の平行面に沿った、図34のロータ及びステータの断面図である。 本発明の第2実施形態に係り、第7変形構造を採用したロータ及びステータの断面図(回転軸の平行面に沿った断面図)である。 第7変形構造に係るロータの構造を説明するための図であって、回転軸が図面の左右方向に合致する方向から見た、図36のロータの外観平面図である。 本発明の第2実施形態の第8変形構造に係るモータの構成要素名称を列記した図である。 第8変形構造に係るロータの、回転軸の直交面に沿った断面図である。 (a)及び(b)は、夫々、ロータの回転軸方向から見た、第8変形構造に係るロータの外観平面図である。 第8変形構造に係り、ステータの断面とロータ及び界磁巻線部のD−D’断面とを合成した図である。 (a)及び(b)は、夫々、ロータの回転軸と一致するZ軸の正側及び負側から見た、第8変形構造に係るロータの外観平面図である。 第8変形構造に係り、ステータの断面とロータ及び界磁巻線部のY断面とを合成した図である。 第8変形構造に係り、ステータの断面とロータ及び界磁巻線部のX断面とを合成した図である。 ロータの回転軸方向が図面の左右方向に合致するような視点から見た、第8変形構造に係る界磁巻線ヨークの外観図である。 第8変形構造に係る界磁巻線ヨークの、XY座標面上への投影図である。 第8変形構造に係る界磁巻線部の発生磁束の磁路を説明するための図である。 本発明の第3実施形態に係るモータ駆動システムの全体ブロック図である。 図49のモータ駆動システムが搭載される圧縮機の外観図である。
符号の説明
1、201 モータ
10、210 ステータ
11、211 ステータ積層鉄心
12、212 スロット
13、213 ティース
20、20a〜20f、220、220a、220b ロータ
21、21a〜21f ロータ積層鉄心
22 シャフト
31A〜34A、31B〜34B、31Aa〜34Aa、31Ba〜34Ba、231〜234など 永久磁石
31G〜34G、31Ga〜34Ga、260など 空隙
25〜28、25a〜28a 非磁性体
240 内周積層鉄心
250 外周積層鉄心
500 圧縮機
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、モータの構造を表す図面において、図示の簡略化のため又は便宜上、外観上現れる部位の一部の図示を省略することがある。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態に係るモータ1の構造を説明する。図1は、モータ1の全体構造を示す概略図である。モータ1は、永久磁石を鉄心内に埋め込んで形成されたロータ20と、ロータ20の外側に固定配置されるステータ10と、を有する永久磁石同期モータであり、特に埋込磁石同期モータと呼ばれる。ロータ20は、ステータ10の内側に配置されるため、ロータ20はインナーロータであり、モータ1は、インナーロータ型のモータと呼べる。図1は、ロータ20の回転軸方向から見たモータ1の外観平面図であり、図2は、ロータ20の回転軸方向から見たステータ10の外観平面図である。また、図3は、ロータ20の回転軸に直交する方向から見たロータ20の外観平面図である。
ロータ20の中心部には回転軸方向に沿って伸びる円柱状のシャフト22が配置され、ロータ20はシャフト22と一体となってステータ10内で回転する。シャフト22をロータ20の構成要素と捉えることができる。尚、図1及び図2では、図示の便宜上、ステータ10の部材及びシャフト22を含むロータ20の部材が存在する部分に模様を付している。以下、ロータ20の回転軸をZ軸とする。
ステータ10は、磁性材料(強磁性体)である鋼板(ケイ素鋼板など)をロータ20の回転軸方向に複数枚積層することによって形成されたステータ積層鉄心11を有し、ステータ積層鉄心11には、6つのスロット12と内周方向に突出した6つのティース(歯)13が交互に形成されている。そして、コイルを配置するためのスロット12を利用して、各ティース13の周りにコイル(図2において不図示)を巻くことによってステータ10の電機子巻線が形成される。つまり、ステータ10は、所謂6コイル集中巻ステータである。尚、スロット数、ティース数及びコイル数は6以外であってもよい。
図4は、Z軸に直交する任意の面に沿ったロータ20の断面図、即ち、ロータ20のA−A’断面図(図3参照)である。断面位置の、Z軸方向における変化に対して、ロータ20の断面構造は不変である。
ロータ20は、Z軸上に円心を有する円盤状の鋼板を絶縁膜を介して複数枚Z軸方向に積層することによって形成されるロータ積層鉄心21と、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22と、板状の永久磁石31A〜34A及び31B〜34Bと、各々が隣接する永久磁石間に位置する非磁性体25〜28とを有する。
ロータ積層鉄心21には、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴が設けられており、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴に、夫々、シャフト22、永久磁石31A〜34A及び31B〜34B、並びに、非磁性体25〜28を挿入し、それらを互いに結合して固定することによりロータ20が形成される。ロータ積層鉄心21を形成する各鋼板は、磁性材料(強磁性体)から成り、例えばケイ素鋼板である。ロータ積層鉄心21を形成する各鋼板は、上記シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴が形成されるように所定形状に成型されている。
今、図4の断面図上のシャフト22の中心に原点Oが存在するものとし、X軸、Y軸及びZ軸から成る実空間上の直交座標系を定義する。X軸はY軸及びZ軸に直交すると共にY軸はX軸及びZ軸に直交し、X軸、Y軸及びZ軸は原点Oにて交差する。原点Oを境界にして、任意の点のX軸座標値の極性は正と負に分類され、且つ、任意の点のY軸座標値の極性は正と負に分類される。図4及び後述の図6、図11〜図15、図17(a)、図18を含む、XY座標面に沿った断面図において、右側及び左側が夫々X軸の正側及び負側に対応し、上側及び下側が夫々Y軸の正側及び負側に対応する。
XY座標面上において、ロータ積層鉄心21の断面形状(外周形状)は円であると共にその円の中心は原点Oと合致し、シャフト22の断面形状は円であると共にその円の中心は原点Oと合致する。ロータ積層鉄心21の外周円を符号OCによって表す。
XY座標面上において、永久磁石31A〜34A及び31B〜34Bの夫々の断面形状は長方形であり、XY座標面上における第1、第2、第3及び第4象限に、夫々、永久磁石32B及び31A、永久磁石31B及び34A、永久磁石34B及び33A、並びに、永久磁石33B及び32Aが位置する。そして、永久磁石31A及び31B間、永久磁石32A及び32B間、永久磁石33A及び33B間並びに永久磁石34A及び34B間に、夫々、空隙31G、32G、33G及び34Gが設けられる。即ち、ロータ積層鉄心21の永久磁石挿入穴の一部には永久磁石が挿入されず、そこには空気が位置することになる。XY座標面上において、空隙31G〜34Gの夫々の断面形状は長方形である。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21の外周円OC内であって且つシャフト22、永久磁石31A〜34A及び31B〜34B、空隙31G〜34G及び非磁性体25〜28の何れもが存在しない部分には、ロータ積層鉄心21を形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
図5を参照して、永久磁石及び空隙の配置位置を詳細に説明する。今、XY座標面上に位置する点PA1〜PA4、PB1〜PB4、PG3及びPG4を想定し、各点のXY座標値を以下のように定義する。
XY座標面上において、点PA1〜PA4及びPG3は第1象限内に位置し、点PB1〜PB4及びPG4は第2象限内に位置する。
点PA1、PA2、PB1及びPB2のY座標値yは同じであり、
点PG3及びPG4のY座標値yは同じであり、
点PA3、PA4、PB3及びPB4のY座標値yは同じであり、y>y>yである。
点PA2及びPA3のX座標値xは同じであり、
点PA1、PA4及びPG3のX座標値xは同じであり、
点PB2、PB3及びPG4のX座標値xは同じであり、
点PB1及びPB4のX座標値xは同じであり、x>x>x>xである。
そして、点PA1〜PA4を4頂点とする長方形Qと点PB1〜PB4を4頂点とする長方形Qの形状及び大きさは同じであり、長方形Qと長方形QはY軸を対称軸とする線対称の関係を有する。また、点PB2、PA1、PG3及びPG4を4頂点とする長方形をQにて表す。
XY座標面上において、長方形Q、Q及びQ内に、夫々、永久磁石31A、永久磁石31B及び空隙31Gが配置される。即ち、永久磁石31A、永久磁石31B及び空隙31Gの断面形状である長方形は、夫々、長方形Q、Q及びQと合致する。
永久磁石31A〜34A及び31B〜34Bの形状及び大きさは同じであり、空隙31G〜34Gの形状及び大きさは同じである。そして、ロータ20はX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。つまり、
永久磁石31A、31B及び空隙31Gの配置位置を、Z軸を中心軸としてXY座標面の右回りに90度だけ回転移動した位置に永久磁石32A、32B及び空隙32Gが配置され、且つ、
永久磁石31A、31B及び空隙31Gの配置位置を、Z軸を中心軸としてXY座標面の右回りに180度だけ回転移動した位置に永久磁石33A、33B及び空隙33Gが配置され、且つ、
永久磁石31A、31B及び空隙31Gの配置位置を、Z軸を中心軸としてXY座標面の右回りに270度だけ回転移動した位置に永久磁石34A、34B及び空隙34Gが配置される。
各永久磁石が作る磁束の向きはZ軸に直交する。そして、XY座標面上において、
永久磁石31A及び31B内の夫々の下側に、それらのN極が位置し、
永久磁石32A及び32B内の夫々の右側に、それらのN極が位置し、
永久磁石33A及び33B内の夫々の上側に、それらのN極が位置し、
永久磁石34A及び34B内の夫々の左側に、それらのN極が位置する。
従って、永久磁石31A、31B、33A及び33Bが作る磁束の向きはY軸に対して平行であり、且つ、永久磁石32A、32B、34A及び34Bが作る磁束の向きはX軸に対して平行である。
XY座標面上において、非磁性体25〜28の断面形状は三角形又は三角形の類似形状であり、XY座標面における第1、第4、第3及び第2象限に、夫々、非磁性体25、26、27及び28が位置する。より具体的には、XY座標面上において、
永久磁石31Aの右側であって且つ永久磁石32Bの上側に非磁性体25が位置すると共に、永久磁石31A及び非磁性体25間と永久磁石32B及び非磁性体25間を含む、非磁性体25の周辺部には、ロータ積層鉄心21の一部であるブリッジ部が介在し、
永久磁石33Bの右側であって且つ永久磁石32Aの下側に非磁性体26が位置すると共に、永久磁石33B及び非磁性体26間と永久磁石32A及び非磁性体26間を含む、非磁性体26の周辺部には、ロータ積層鉄心21の一部であるブリッジ部が介在し、
永久磁石33Aの左側であって且つ永久磁石34Bの下側に非磁性体27が位置すると共に、永久磁石33A及び非磁性体27間と永久磁石34B及び非磁性体27間を含む、非磁性体27の周辺部には、ロータ積層鉄心21の一部であるブリッジ部が介在し、
永久磁石31Bの左側であって且つ永久磁石34Aの上側に非磁性体28が位置すると共に、永久磁石31B及び非磁性体28間と永久磁石34A及び非磁性体28間を含む、非磁性体28の周辺部には、ロータ積層鉄心21の一部であるブリッジ部が介在する。
尚、空隙31G〜34Gの配置位置を上述したそれよりも原点O側に移動させても構わない。つまり例えば、上述した空隙31Gの配置位置を基準として、空隙31Gの配置位置を原点O側に幾分平行移動させても良い。また、永久磁石31Aと空隙31G間及び/又は永久磁石31Bと空隙31G間にロータ積層鉄心21の一部を介在させてもよい(永久磁石32B及び空隙32Gなどに対しても同様)。
ロータ積層鉄心21は、永久磁石の内周側に位置する内周積層鉄心と、永久磁石の外周側に位置する外周積層鉄心と、上記ブリッジ部と、に大別される。内周積層鉄心は、ロータ積層鉄心21の内の、永久磁石31A〜34A及び31B〜34Bよりも原点O(Z軸)側に位置する部分を指し、外周積層鉄心は、ロータ積層鉄心21の内の、永久磁石31A〜34A及び31B〜34Bよりも外周円OC側に位置する部分を指す。
上述の如く、本実施形態に係るロータ20では、内周積層鉄心と外周積層鉄心との間であって且つ1つの連続する永久磁石挿入穴の一部に、空隙が設けられる。そして、その空隙の厚みは永久磁石の厚みの1/2以下とされる。
[空隙を設ける意義]
このような空隙を設けることの意義を説明する。空隙を介して隣接する2つの永久磁石(例えば、31Aと31B)によって1極分の永久磁石が形成され、全体として、モータ1には4極分の永久磁石が設けられている(即ち、モータ1の極数は4である)。今、図6に示す如く、1極分の永久磁石を形成する2つの永久磁石の幅をWm及びWmとする。そうすると、1極分の永久磁石のトータルの幅Wmは、Wm=Wm+Wm、で表される。更に、永久磁石の厚みをTmとする。
ここで、永久磁石の厚みとは、永久磁石の両極間方向における永久磁石の長さである。永久磁石の両極間方向とは、その永久磁石のN極とS極を結ぶ方向である。本例において、永久磁石の幅とは、永久磁石の両極間方向の直交方向であって且つXY座標面上における永久磁石の長さを指す。
また、着目した1極分の永久磁石が作る磁束の方向にd軸をとる。そして、その1極分の永久磁石に対して設けられた空隙の、d軸方向における長さを「空隙の厚み」と呼び、それをTaで表す。更に、或る空隙に関し、その空隙の厚み方向に直交する方向であって且つXY座標面上における空隙の長さを「空隙の幅」と呼び、それをWaにて表す。
説明の具体化のため、永久磁石31A及び31Bによって形成される1極分の永久磁石に着目する。そうすると、永久磁石31A及び31Bの幅(即ち、X軸方向における長さ)がそれぞれWm及びWmであり、永久磁石31A及び31Bの各厚み(即ち、Y軸方向における長さ)がTmである。そして、空隙31Gの幅(即ち、X軸方向における長さ)がWaであり、空隙31Gの厚み(即ち、Y軸方向における長さ)がTaである。また、永久磁石31A及び31Bによって形成される1極分の永久磁石を永久磁石31と呼ぶ(図7参照)。
永久磁石31近傍におけるd軸方向の磁気回路は、永久磁石31の磁気抵抗Rmと空隙31Gの磁気抵抗Raの並列接続回路と等価であると考えられる。従って、永久磁石31近傍におけるd軸方向の磁気抵抗Rdは、下記式(2)によって表される。磁気抵抗Rm及びRaは、式(1a)及び(1b)によって表される。尚、外周積層鉄心と内周積層鉄心とを繋ぐブリッジ部(図4の非磁性体25及び28近傍の鉄心部分)は、永久磁石によって十分に磁気飽和を起こしていると考えられるため、そのブリッジ部における磁気抵抗は十分に大きいと仮定して無視する。
Figure 2009116572
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ここで、Lは、Z軸方向におけるロータ20の長さである。本例において、各永久磁石(31Aなど)及び各空隙(31G)の、Z軸方向における長さもLである。μは真空の透磁率である。空気及び永久磁石の比透磁率はほぼ1であるため、空隙内における空気の透磁率及び永久磁石の透磁率はμに等しいと近似する。
ところで、埋込磁石同期モータに代表される突極機の高速回転時においては、永久磁石に由来してモータ内で生じる誘起電圧の過度の上昇を抑えるべく弱め界磁制御(弱め磁束制御)が一般的に用いられる。この弱め界磁制御は、負のd軸電流を電機子巻線に流すことによって達成される。d軸電流とは、ステータ10の電機子巻線に流れる電機子電流のd軸成分であり、負の極性を有するd軸電流は、永久磁石による電機子巻線の鎖交磁束を弱める方向に作用する。d軸電流をidによって表す。また、ステータ10の電機子巻線のインダクタンスのd軸成分をd軸インダクタンスと呼び、それをLdにて表す。
d軸電流を電機子巻線に流すことによって発生する磁束はLd・idにて表される。また、その磁束(Ld・id)は、d軸電流による起磁力Fdにより、d軸方向の磁気抵抗Rd及びロータ−ステータ間ギャップの磁気抵抗を流れる磁束とみなされる。ロータ−ステータ間ギャップとは、ロータ20とステータ10との間に介在する機械的なすき間である。
ロータ−ステータ間ギャップはロータ20の全周に存在するため、図8に示す如く、起磁力Fdによって生じる磁束は、d軸方向に沿って2極分の永久磁石部分及び2つのロータ−ステータ間ギャップを経由する磁路を通る。尚、図8では、2極分の永久磁石部分及び2つのロータ−ステータ間ギャップを経由する1つの磁路のみを、矢印付き曲線で表している(実際には、上下及び左右対称となるように、そのような磁路が全部で4つ分形成される)。従って、起磁力Fdによって生じる磁束Ld・idの磁気回路は、図9のように表すことができる。ここで、Rgは、1つ分のロータ−ステータ間ギャップの磁気抵抗を表す。尚、ステータ積層鉄心及びロータ積層鉄心の比透磁率は十分に大きな値(例えば、数百〜数万)を有しているため(後述の他の例についても同様)、それらの磁気抵抗は十分に小さいと仮定して無視する。
図9に示す磁気回路より下記式(3a)が導かれる。また、通常、磁気抵抗Rgは磁気抵抗Rdに対して十分に小さいため、式(3a)を式(3b)に近似することができる。つまり、d軸電流による磁束Ld・idは、Rdの逆数に略比例すると考えられる。Rdの逆数をPdとおくと、Pdは下記式(4)によって表される。磁気抵抗の逆数は一般にパーミアンスと呼ばれる。
Figure 2009116572
Figure 2009116572
(Wm+Wa)に対する空隙幅Waの比率(即ち、Wa/(Wm+Wa))を、以下単に空隙幅比率といい、Tmに対する空隙厚みTaの比率(即ち、Ta/Tm)を、以下単に空隙厚み比率という。空隙幅比率と空隙厚み比率を様々に変化させて、式(4)に基づきd軸方向におけるパーミアンスPdを計算した結果を図10に示す。図10のグラフにおいて、横軸は空隙厚み比率を表し、縦軸はパーミアンスPdを表す。曲線CV、CV、CV及びCVは、夫々、空隙幅比率を夫々5%、10%、20%及び30%とした時における、パーミアンスPdの、空隙厚み比率依存性を表している。但し、曲線CV、CV、CV及びCVの夫々は、Ta=Tmとした時のパーミアンスPdが1となるように正規化されている。
図10からも分かるように、空隙厚み比率が1から減少するにつれてパーミアンスPdが増加する。パーミアンスPdが大きいと、同じd軸電流でもより多くのd軸磁束(Ld・id)を発生させることができるため、効果的に弱め界磁制御を成すことが可能となる。結果、弱め界磁制御において、d軸電流による損失(銅損)増加を低減することができる。例えば、パーミアンスPdが2割増加すれば、同じd軸磁束(弱め界磁磁束)を発生するためのd軸電流を約2割低減することができ、その分の損失(銅損)が低減される。
Ta=Tmとする場合を基準として空隙厚み比率を小さくすればパーミアンスPdの増加が見込めるわけであるが、空隙厚み比率が1に近いとパーミアンスPdの増加効果及びそれに起因する損失低減効果は小さい。一方において、図10に見られるように、パーミアンスPdの増加は空隙厚み比率が0.5以下となる領域で顕著となる。そこで、本実施形態では、空隙厚み比率が0.5以下となるようなロータ20の断面構造を採用する。即ち、「Ta≦0.5×Tm」が成立するような空隙を内周積層鉄心−外周積層鉄心間に配置する。
また、十分に有益な損失低減効果を得るために、具体的には例えば、空隙幅比率が5%以下である場合は空隙厚み比率を0.2以下とすることが望ましく、空隙幅比率が10%以下である場合は空隙厚み比率を0.3以下とすることが望ましく、空隙幅比率が20%以下である場合は空隙厚み比率を0.4以下とすることが望ましく、空隙幅比率が30%以下である場合は空隙厚み比率を0.5以下とすることが望ましい。但し、空隙幅比率が比較的大きい場合に空隙厚み比率を小さくしすぎると、パーミアンスPdが大きくなりすぎて磁石磁束の漏れへの影響が大きくなる(図11の破線矢印LKに沿った漏れ磁気回路を経由して永久磁石の発生磁束は漏れる)。このため、空隙幅比率に応じて空隙厚み比率の下限を設定することが望ましい。例えば、空隙幅比率が20%以上である場合には、空隙厚み比率を0.1〜0.2以上とすることが望ましい。
上述の如く、「Ta≦0.5×Tm」を満たす空隙を内周積層鉄心−外周積層鉄心間に配置することにより、d軸方向のパーミアンスを効果的に増大させることができ、必要な弱め界磁磁束を得るためのd軸電流を低減することができる。結果、高速回転時における損失(銅損)を低減することができる。また、d軸電流によって発生した磁束は、永久磁石に隣接する空隙側を優先的に通るため、永久磁石自身に反磁界が加わりにくくなって永久磁石の減磁の発生が抑制される。
尚、内周積層鉄心−外周積層鉄心間に空隙を配置するロータ構造を採用する場合、その空隙を介した磁石磁束の漏れへの影響を考慮して、通常、その空隙の厚みは永久磁石の厚みと同じとされることが多い。その空隙に隣接すべき永久磁石を所望の位置に配置すべく(永久磁石の所謂「位置決め」のために)、空隙の厚みを永久磁石の厚みよりも若干短くすることは従来でもあったかもしれないが、磁石磁束の漏れへの影響を考慮し、空隙の厚みを積極的に永久磁石の厚みの半分以下にするという発想は従来において存在しなかった。
モータ1の構造の一部を変形することが可能である。モータ1の構造変形例として、以下に、第1〜第6変形構造を説明する。第1〜第6変形構造に係るモータ構造を採用しても、上述の同様の作用及び効果が得られる。尚、変形が施されていない、上述のモータ1の構造を、以下「モータ1の基本構造」又は単に「基本構造」と呼ぶ。
各変形構造の説明では、基本構造との相違点に特に着目する。各変形構造の説明において、特に述べられない技術的事項に対しては、基本構造のそれが適用される(或いは適用可能である)。尚、基本構造の説明において記載した事項を各変形構造に適用する場合、同一名称の部位間の符号の相違は、適宜、無視される。例えば、第1変形構造の説明において、ロータに対する符号に20aを用いるが、基本構造の説明において記載した事項を第1変形構造に適用する場合、符号20と20a間の相違は必要に応じて無視される。
[第1変形構造]
第1変形構造を説明する。第1変形構造では、モータ1の基本構造におけるロータ20の断面構造が変形される。この変形がなされたロータをロータ20aと呼ぶ。ロータ20aの回転軸をZ軸とする。図12は、Z軸に直交する任意の面に沿ったロータ20aの断面図である。断面位置の、Z軸方向における変化に対して、ロータ20aの断面構造は不変である。
ロータ20aは、基本構造のロータ積層鉄心21と同様にして形成されるロータ積層鉄心21aと、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22と、板状の永久磁石31Aa〜34Aa及び31Ba〜34Baと、非磁性体25a〜28aとを有する。ロータ積層鉄心21aには、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴が設けられており、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴に、夫々、シャフト22、永久磁石31Aa〜34Aa及び31Ba〜34Ba並びに非磁性体25a〜28aを挿入し、それらを互いに結合して固定することによりロータ20aが形成される。
図12の断面図上のシャフト22の中心に、X軸、Y軸及びZ軸を座標軸とする直交座標系の原点Oが存在するものとする。図12は、XY座標面に沿ったロータ20aの断面図である。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21aの断面形状(外周形状)は円であると共にその円の中心は原点Oと合致し、シャフト22の断面形状は円であると共にその円の中心は原点Oと合致する。ロータ積層鉄心21aの外周円OCは、基本構造におけるロータ積層鉄心21のそれと合致する。
ロータ20aは、基本構造におけるロータ積層鉄心21、永久磁石31A〜34A及び31B〜34B、非磁性体25〜28並びに空隙31G〜34Gを、夫々、ロータ積層鉄心21a、永久磁石31Aa〜34Aa及び31Ba〜34Ba、非磁性体25a〜28a並びに空隙31Ga〜34Gaに置き換えたものである。
XY座標面上において、各永久磁石の断面形状は長方形である。永久磁石31Aa及び31Ba間、永久磁石32Aa及び32Ba間、永久磁石33Aa及び33Ba間並びに永久磁石34Aa及び34Ba間に、夫々、空隙31Ga、32Ga、33Ga及び34Gaが設けられる。XY座標面上において、空隙31Ga〜34Gaの夫々の断面形状は長方形である。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21aの外周円OC内であって且つシャフト、永久磁石、空隙及び非磁性体の何れもが存在しない部分には、ロータ積層鉄心21aを形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
説明の簡略化上、基本構造における各永久磁石の形状及び大きさと、第1変形構造における各永久磁石の形状及び大きさは同じであるとする。XY座標面において、基本構造における永久磁石31Aの配置位置を、永久磁石31Aの中心を回転軸として反時計回りに角度εだけ回転させた位置に永久磁石31Aaは配置され、且つ、基本構造における永久磁石31Bの配置位置を、永久磁石31Bの中心を回転軸として時計回りに角度εだけ回転させた位置に永久磁石31Baは配置される(ここで、0°<ε<90°であって、例えば、10°<ε<40°)。空隙31Gaは、Y軸上に中心を有するように永久磁石31Aa及び31Ba間に配置される。XY座標面上において、永久磁石31Aaの断面形状である長方形の4辺の内、最も原点Oに近い辺61の両端点と、永久磁石31Baの断面形状である長方形の4辺の内、最も原点Oに近い辺62の両端点と、を頂点とする台形を想定した場合、例えば、空隙31Gaは、この台形内に位置する。また、永久磁石31Aaと空隙31Gaとの間、及び、永久磁石31Baと空隙31Gaとの間には、夫々、内周積層鉄心と外周積層鉄心を連結する、ロータ積層鉄心21aの一部が存在する。
そして、ロータ20aはX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。つまり、永久磁石31Aa、31Ba及び空隙31Gaの配置位置を、Z軸を中心軸としてXY座標面の右回りに90度、180度、270度だけ回転移動した位置に、夫々、永久磁石32Aa、32Ba及び空隙32Ga、永久磁石33Aa、33Ba及び空隙33Ga、永久磁石34Aa、34Ba及び空隙34Gaが配置される。
各永久磁石が作る磁束の向きはZ軸に直交する。永久磁石31Aa及び31Baによって、永久磁石32Aa及び32Baによって、永久磁石33Aa及び33Baによって、
永久磁石34Aa及び34Baによって、夫々、1極分の永久磁石が形成される。永久磁石31Aa及び31Baによって生成される1極分の永久磁石の磁束の向きと、永久磁石33Aa及び33Baによって生成される1極分の永久磁石の磁束の向きは、Y軸に対して平行である。永久磁石32Aa及び32Baによって生成される1極分の永久磁石の磁束の向きと、永久磁石34Aa及び34Baによって生成される1極分の永久磁石の磁束の向きは、X軸に対して平行である。
XY座標面上における非磁性体25a〜28aの配置位置は、基本構造の非磁性体25〜28の配置位置と略同じであるが、永久磁石がX軸又はY軸に対して傾けられたことに伴い、非磁性体25a〜28aの形状は基本構造のそれらから適宜変更される。
永久磁石31Aa及び31Baによって形成される1極分の永久磁石に着目した場合、永久磁石31Aa及び31Baの幅が夫々Wm及びWmとして、且つ、永久磁石31Aa及び31Baの各厚みがTmとして、且つ、Y軸及びX軸方向における空隙31aの長さが夫々Ta及びWaとして取り扱われ、基本構造で述べた空隙厚み比率の設定方法が第1変形構造にも適用される。尚、永久磁石31Aaと空隙31Gaとの間及び永久磁石31Baと空隙31Gaとの間に存在する鉄心部分は、永久磁石によって十分に磁気飽和を起こしていると考えられるため、空隙厚み比率の設定に際して、その存在を無視することができる。
[第2変形構造]
第1変形構造は、更に以下のように変形されうる。更なる変形が施された変形構造を第2変形構造とし、第2変形構造に係るロータをロータ20bと呼ぶ。ロータ20bの回転軸をZ軸とする。図13は、Z軸に直交する任意の面に沿ったロータ20bの断面図である。断面位置の、Z軸方向における変化に対して、ロータ20bの断面構造は不変である。第2変形構造において特に述べられない事項については、第1変形構造の記載が適用される。
ロータ20bは、基本構造のロータ積層鉄心21と同様にして形成されるロータ積層鉄心21bと、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22と、板状の永久磁石31Aa〜34Aa及び31Ba〜34Baと、非磁性体25a〜28aとを有する。
図13の断面図上のシャフト22の中心に、X軸、Y軸及びZ軸を座標軸とする直交座標系の原点Oが存在するものとする。図13は、XY座標面に沿ったロータ20bの断面図である。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21bの断面形状(外周形状)は円であると共にその円の中心は原点Oと合致し、シャフト22の断面形状は円であると共にその円の中心は原点Oと合致する。ロータ積層鉄心21bの外周円OCは、基本構造におけるロータ積層鉄心21のそれと合致する。
ロータ20bにおけるロータ積層鉄心21bには、空隙31G〜34G及び31G〜34Gが設けられる。図12のロータ20aにおける空隙31Ga、32Ga、33Ga、34Gaを、それぞれ、空隙31G及び31G、空隙32G及び32G、空隙33G及び33G、空隙34G及び34Gに置き換えて形成されるロータがロータ20bに相当する。ロータ積層鉄心21b内における永久磁石、非磁性体の形状、大きさ及び配置位置は、図12のロータ積層鉄心21a内におけるそれらと同じである。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21bの外周円OC内であって且つシャフト、永久磁石、空隙及び非磁性体の何れもが存在しない部分には、ロータ積層鉄心21bを形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
第1変形構造で述べたように、XY座標面上において、辺61の両端点と辺62の両端点とを頂点とする台形を想定した場合、例えば、空隙31G及び31Gは、この台形内に分離して位置する。空隙31G及び31Gの断面形状は四角形であり、空隙31Gの断面形状における四角形の一辺が辺61上に位置し、空隙31Gの断面形状における四角形の一辺が辺62上に位置する。また、空隙31G及び31G間には、内周積層鉄心と外周積層鉄心を連結する、ロータ積層鉄心21bの一部が存在する。
そして、ロータ20bはX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。つまり、永久磁石31Aa、31Ba並びに空隙31G及び31Gの配置位置を、Z軸を中心軸としてXY座標面の右回りに90度、180度、270度だけ回転移動した位置に、夫々、永久磁石32Aa、32Ba並びに空隙32G及び32G、永久磁石33Aa、33Ba並びに空隙33G及び33G、永久磁石34Aa、34Ba並びに空隙34G及び34Gが配置される。
永久磁石31Aa及び31Baによって形成される1極分の永久磁石に着目した場合、永久磁石31Aa及び31Baの幅が夫々Wm及びWmとして、且つ、永久磁石31Aa及び31Baの各厚みがTmとして取り扱われる。更に、空隙31G又は31GのY軸方向における長さがTaとして取り扱われ、空隙31GのX軸方向における長さ(平均的長さ)と空隙31GのX軸方向における長さ(平均的長さ)の合計長さがWaとして取り扱わる。その上で、基本構造で述べた空隙厚み比率の設定方法が第2変形構造にも適用される。尚、空隙31G及び31G間に存在する鉄心部分は、永久磁石によって十分に磁気飽和を起こしていると考えられるため、空隙厚み比率の設定に際して、その存在を無視することができる。
仮に、空隙の厚みを永久磁石の厚みと同程度に設定すると、ロータの断面図は図14のようになる。この場合においても、隣接する空隙間に内周積層鉄心と外周積層鉄心を繋ぐ鉄心連結部(図14の符号71)が存在し、そのような鉄心連結部を有するモータ構造を採用すると、その鉄心連結部をも空隙とする場合と比べてd軸インダクタンスが若干増加する(d軸方向におけるパーミアンスが若干増加する)。但し、上述したように、その鉄心連結部は磁気飽和を起こしていると考えられるため、弱め界磁磁束(Ld・id)の経路への寄与は小さい。一方、本実施形態で提案する構造では、ギャップ長の小さな空隙が存在するため、鉄心連結部が磁気飽和を起こしていたとしても高いd軸インダクタンスを得ることができる。
[第3変形構造]
第3変形構造を説明する。第3変形構造では、モータ1の基本構造におけるロータ20の断面構造が変形される。この変形がなされたロータをロータ20cと呼ぶ。ロータ20cの回転軸をZ軸とする。図15は、Z軸に直交する任意の面に沿ったロータ20cの断面図である。断面位置の、Z軸方向における変化に対して、ロータ20cの断面構造は不変である。
ロータ20cは、基本構造のロータ積層鉄心21と同様にして形成されるロータ積層鉄心21cと、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22と、板状の永久磁石31c〜34cと、非磁性体25〜28とを有する。ロータ積層鉄心21cには、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴が設けられており、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴に、夫々、シャフト22、永久磁石31c〜34c並びに非磁性体25〜28を挿入し、それらを互いに結合して固定することによりロータ20cが形成される。
図15の断面図上のシャフト22の中心に、X軸、Y軸及びZ軸を座標軸とする直交座標系の原点Oが存在するものとする。図15は、XY座標面に沿ったロータ20cの断面図である。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21cの断面形状(外周形状)は円であると共にその円の中心は原点Oと合致し、シャフト22の断面形状は円であると共にその円の中心は原点Oと合致する。ロータ積層鉄心21cの外周円OCは、基本構造におけるロータ積層鉄心21のそれと合致する。
ロータ20cは、基本構造におけるロータ積層鉄心21、永久磁石31A〜34A及び31B〜34B並びに空隙31G〜34Gを、夫々、ロータ積層鉄心21c、永久磁石31c〜34c並びに空隙31Gc〜34Gc及び31Gc〜34Gcに置き換えたものである。
XY座標面上において、図4の永久磁石31A及び31Bを左右方向に平行移動させて両永久磁石を結合したものが永久磁石31cに相当し、図4の永久磁石32A及び32Bを上下方向に平行移動させて両永久磁石を結合したものが永久磁石32cに相当し、図4の永久磁石33A及び33Bを左右方向に平行移動させて両永久磁石を結合したものが永久磁石33cに相当し、図4の永久磁石34A及び34Bを上下方向に平行移動させて両永久磁石を結合したものが永久磁石34cに相当する。但し、永久磁石31c及び33cの各中心はY軸上に位置し、永久磁石32c及び34cの各中心はX軸上に位置する。
空隙31Gc〜34Gc及び31Gc〜34Gcは、内周積層鉄心と外周積層鉄心の間に配置される。XY座標面上において、永久磁石31cの右端に隣接して空隙31Gcが設けられ、永久磁石31cの左端に隣接して空隙31Gcが設けられる。XY座標面上において、各永久磁石及び各空隙の断面形状は長方形である。図15の断面図では、永久磁石31cと空隙31Gcが直接接しているが、両者間にロータ積層鉄心21cの一部を介在させても良い(永久磁石31cと空隙31Gc間についても同様)。XY座標面上において、ロータ積層鉄心21cの外周円OC内であって且つシャフト、永久磁石、空隙及び非磁性体の何れもが存在しない部分には、ロータ積層鉄心21cを形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
そして、ロータ20cはX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。つまり、永久磁石31c並びに空隙31Gc及び31Gcの配置位置を、Z軸を中心軸としてXY座標面の右回りに90度、180度、270度だけ回転移動した位置に、夫々、永久磁石32c並びに空隙32Gc及び32Gc、永久磁石33c並びに空隙33Gc及び33Gc、永久磁石34c並びに空隙34Gc及び34Gcが配置される。
各永久磁石が作る磁束の向きはZ軸に直交する。第3変形構造では、永久磁石31c〜34cの夫々が、単体で1極分の永久磁石を形成する。永久磁石31c及び33cが作る磁束の向きは、それぞれ、Y軸に対して平行である。永久磁石32c及び34cが作る磁束の向きは、それぞれ、X軸に対して平行である。
XY座標面上において、
空隙31Gcの右側であって且つ空隙32Gcの上側に非磁性体25が位置すると共に、空隙31Gc及び非磁性体25間と空隙32Gc及び非磁性体25間を含む、非磁性体25の周辺部には、ロータ積層鉄心21cの一部であるブリッジ部が介在し、
空隙33Gcの右側であって且つ空隙32Gcの下側に非磁性体26が位置すると共に、空隙33Gc及び非磁性体26間と空隙32Gc及び非磁性体26間を含む、非磁性体26の周辺部には、ロータ積層鉄心21cの一部であるブリッジ部が介在し、
空隙33Gcの左側であって且つ空隙34Gcの下側に非磁性体27が位置すると共に、空隙33Gc及び非磁性体27間と空隙34Gc及び非磁性体27間を含む、非磁性体27の周辺部には、ロータ積層鉄心21cの一部であるブリッジ部が介在し、
空隙31Gcの左側であって且つ空隙34Gcの上側に非磁性体28が位置すると共に、空隙31Gc及び非磁性体28間と空隙34Gc及び非磁性体28間を含む、非磁性体28の周辺部には、ロータ積層鉄心21cの一部であるブリッジ部が介在する。
永久磁石31cに着目した場合、永久磁石31cの幅(即ち、永久磁石31cのX軸方向における長さ)がWmとして、且つ、永久磁石31cの厚み(即ち、永久磁石31cのY軸方向における長さ)がTmとして取り扱われる。更に、空隙31Gc又は31GcのY軸方向における長さがTaとして取り扱われ、空隙31GcのX軸方向における長さと空隙32GcのX軸方向における長さの合計長さがWaとして取り扱わる。その上で、基本構造で述べた空隙厚み比率の設定方法が第3変形構造にも適用される。
[第4変形構造]
第4変形構造を説明する。第4及び後述の第5変形構造では、空隙の幅が定義される方向が、上述の基本構造及び第1〜第3変形構造と異なる。第4変形構造におけるロータをロータ20dと呼び、ロータ20dの構造を詳細に説明する。
ロータ20dの回転軸をZ軸とする。図16(a)は、ロータ20dの回転軸に直交する方向から見たロータ20dの外観平面図であり、図16(b)は、ロータ20dの回転軸方向から見たロータ20dの外観平面図である。Z軸の直交面に沿う断面にてロータ20dを切って得られる断面図は、断面位置がロータ20dの中央付近の所定範囲内にある場合と、それ以外の場合とで異なる。前者の場合における断面はA−A’線に沿った断面であり、後者の場合における断面はA−A’線又はA−A’線に沿った断面である。図17(a)は、後者の場合に対応する、Z軸の直交面に沿ったロータ20dの断面図である。但し、図17(a)は、ロータ20dのA−A’断面図であるとする。A−A’線に沿ったロータ20dの断面構造はA−A’線に沿ったロータ20dの断面構造と同じである。
ロータ20dは、基本構造のロータ積層鉄心21と同様にして形成されるロータ積層鉄心21dと、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22と、永久磁石31Ad〜34Ad及び永久磁石31Bd〜34Bd(永久磁石31Bd〜34Bdは、図17(a)において不図示)と、非磁性体25〜28とを有する。ロータ積層鉄心21dには、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴が設けられており、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴に、夫々、シャフト22、永久磁石31Ad〜34Ad及び永久磁石31Bd〜34Bd並びに非磁性体25〜28を挿入し、それらを互いに結合して固定することによりロータ20dが形成される。
図17(a)の断面図上のシャフト22の中心に、X軸、Y軸及びZ軸を座標軸とする直交座標系の原点Oが存在するものとする。図17(a)は、XY座標面に沿ったロータ20dの断面図であるとする(即ち、図16(a)のA−A’線はXY座標面上に位置する、と考える)。
今、図16(b)に示す如く、Y軸に沿ったB−B’線を想定し、このB−B’線に沿ったロータ20dの断面図を図17(b)に示す。また、図17(b)の断面図上に、A−A’線及びA−A’線を重畳図示する。
XY座標面上において、ロータ積層鉄心21dの断面形状(外周形状)は円であると共にその円の中心は原点Oと合致し、シャフト22の断面形状は円であると共にその円の中心は原点Oと合致する。ロータ積層鉄心21dの外周円OCは、基本構造におけるロータ積層鉄心21のそれと合致する。XY座標面上において、各永久磁石31Ad〜34Adの断面形状は長方形であり、永久磁石31Ad及び33Adにおける該長方形の中心はY軸上に位置し且つ永久磁石32Ad及び34Adにおける該長方形の中心はX軸上に位置する。但し、永久磁石31Ad〜34Adは、夫々、原点Oから見て、Y軸の正側、X軸の正側、Y軸の負側及びX軸の負側に位置する。XY座標面上において、ロータ20dはX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。
各永久磁石が作る磁束の向きはZ軸に直交する。そして、XY座標面上において、
永久磁石31Adの下側に、永久磁石31AdのN極が位置し、
永久磁石32Adの右側に、永久磁石32AdのN極が位置し、
永久磁石33Adの上側に、永久磁石33AdのN極が位置し、
永久磁石34Adの左側に、永久磁石34AdのN極が位置する。
永久磁石31Ad及び33Ad(並びに31Bd及び33Bd)が作る磁束の向きはY軸に対して平行であり、且つ、永久磁石32Ad及び34Ad(並びに32Bd及び34Bd)が作る磁束の向きはX軸に対して平行である。
XY座標面上において、
永久磁石31Adの右側であって且つ永久磁石32Adの上側に非磁性体25が位置すると共に、永久磁石31Ad及び非磁性体25間と永久磁石32Ad及び非磁性体25間を含む、非磁性体25の周辺部には、ロータ積層鉄心21dの一部であるブリッジ部が介在し、
永久磁石33Adの右側であって且つ永久磁石32Adの下側に非磁性体26が位置すると共に、永久磁石33Ad及び非磁性体26間と永久磁石32Ad及び非磁性体26間を含む、非磁性体26の周辺部には、ロータ積層鉄心21dの一部であるブリッジ部が介在し、
永久磁石33Adの左側であって且つ永久磁石34Adの下側に非磁性体27が位置すると共に、永久磁石33Ad及び非磁性体27間と永久磁石34Ad及び非磁性体27間を含む、非磁性体27の周辺部には、ロータ積層鉄心21dの一部であるブリッジ部が介在し、
永久磁石31Adの左側であって且つ永久磁石34Adの上側に非磁性体28が位置すると共に、永久磁石31Ad及び非磁性体28間と永久磁石34Ad及び非磁性体28間を含む、非磁性体28の周辺部には、ロータ積層鉄心21dの一部であるブリッジ部が介在する。
図17(a)に示すように、ロータ20dのA−A’断面上には、内周積層鉄心−外周積層鉄心間の空隙が存在していないが、図17(b)に示すロータ20dのB−B’断面上において、その空隙が存在する。
説明の簡略化上、ロータ20d内に設けられる複数の永久磁石の形状及び大きさは全て同じであるとし、ロータ20d内に設けられる複数の空隙の形状及び大きさは全て同じであるとする。永久磁石31Adと永久磁石31Bdの磁束の向きは同じであり、それらによって1極分の永久磁石が形成され、永久磁石33Adと永久磁石33Bdの磁束の向きは同じであり、それらによって1極分の永久磁石が形成される。同様に、永久磁石32Adと永久磁石32Bdの磁束の向きは同じであり、それらによって1極分の永久磁石が形成され、永久磁石34Adと永久磁石34Bdの磁束の向きは同じであり、それらによって1極分の永久磁石が形成される(図17(a)又は(b)において、永久磁石32Bd及び34Bdを不図示)。
ロータ20dのB−B’断面上において、各永久磁石及び各空隙の断面形状は長方形である。Z軸方向において、永久磁石31Adと永久磁石31Bdとの間には空隙31Gdが配置される。図17(b)の断面図では、永久磁石31Adと空隙31Gdが直接接しているが、両者間にロータ積層鉄心21dの一部を介在させても良い(永久磁石31Bdと空隙31Gd間についても同様)。
永久磁石31Ad及び31Bd並びに空隙31Gdは、ロータ積層鉄心21dにおける内周積層鉄心と外周積層鉄心との間に配置される。永久磁石31Ad及び31Bd並びに空隙31Gdの配置位置を、Z軸を中心軸としてZ軸周りに90度、180度、270度だけ回転移動した位置に、夫々、永久磁石32Ad及び32Bd並びに空隙32Gd、永久磁石33Ad及び33Bd並びに空隙33Gd、永久磁石34Ad及び34Bd並びに空隙34Gdが配置される(図17(a)又は(b)において、空隙32Gd及び34Gdを不図示)。ロータ積層鉄心21dの外周面内であって且つシャフト、永久磁石、空隙及び非磁性体の何れもが存在しない部分には、ロータ積層鉄心21dを形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
また、ロータ20dのA−A’断面図を図18に示す。
第4及び後述の第5変形構造においては、Z軸方向における長さを幅方向と捉える。そして、図19に示す如く、1極分の永久磁石を形成する2つの永久磁石の幅をLm及びLmとし、1極分の永久磁石のトータルの幅Lmを、Lm=Lm+Lm、にて表す。更に、永久磁石の厚みをTmとする。永久磁石の厚みの定義は、基本構造におけるそれと同じである。第4及び後述の第5変形構造において、「空隙の幅」とは、Z軸方向における空隙の長さを指す。空隙の厚みの定義は、基本構造におけるそれと同じである。空隙の厚み及び幅をTa及びLaで表す。
永久磁石31Ad及び31Bdによって形成される1極分の永久磁石に着目すると、永久磁石31Ad及び31Bdの幅(即ち、Z軸方向における長さ)がそれぞれLm及びLmであり、永久磁石31Ad及び31Bdの各厚み(即ち、Y軸方向における長さ)がTmである。そして、空隙31Gdの幅(即ち、Z軸方向における長さ)がLaであり、空隙31Gdの厚み(即ち、Y軸方向における長さ)がTaである。そうすると、永久磁石31Ad及び31Bdの合成磁気抵抗Rmと空隙31Gdの磁気抵抗Raは、下記式(5a)及び(5b)によって表され、磁気抵抗RmとRaの並列接続抵抗Rdの逆数に近似されるd軸方向のパーミアンスPdは下記式(6)によって表される。ここで、Wは、d軸にもZ軸にも直交する方向における永久磁石の長さである。例えば、永久磁石31AdのX軸方向における長さがWと合致する(図18参照)。また、空隙31GdのX軸方向における長さもWであるとする。
Figure 2009116572
Figure 2009116572
従って、第4変形構造においては、(Lm+La)に対する空隙幅Laの比率(即ち、La/(Lm+La))を空隙幅比率として取り扱った上で、基本構造で述べた空隙厚み比率の設定方法を適用すればよい。これは、後述の第5変形構造にも当てはまる。
ところで、上述の基本構造では、ロータ積層鉄心内の空隙を経由する、永久磁石の磁束の漏れ磁気回路(図11の破線矢印LKに沿った漏れ磁気回路)が、ロータ積層鉄心を形成する鋼板の面方向に形成される。即ち、負のd軸電流を電機子巻線に供給した際、内周積層鉄心から空隙、外周積層鉄心及び永久磁石を経由して内周積層鉄心に戻る磁気回路が形成され、永久磁石の磁束の一部が、この磁気回路を通ることにより、電機子巻線の鎖交磁束が減少して弱め界磁制御が実現される。これは、第1〜第3変形構造についても同様である。これに対し、第4変形構造では、永久磁石の磁束の漏れ磁気回路(図20の破線矢印LKに沿った漏れ磁気回路)が鋼板積層方向に形成される(第5変形構造についても同様)ため、その分、鉄損が大きくなる。故に、鉄損を考慮すると、基本構造及び第1〜第3変形構造を採用する方が好ましい。
尚、特開平8−51751号公報に記載された構造も、第4変形構造と同様、永久磁石の磁束の漏れ磁気回路が鋼板積層方向に形成されるため、その分、鉄損が大きくなる。また、その漏れ磁気回路を形成するエンドリングと永久磁石との間で磁気吸引力が働くため、構造強度上の問題が生じるものと考えられる。
[第5変形構造]
図4に対応する基本構造を図15に対応する第3変形構造へと変形したように、第4変形構造に係るロータに変形を加えてもよい。図21を参照して、この変形がなされた第5変形構造を説明する(特に述べない事項は、第4変形構造と述べたものと同様である)。図21は、第5変形構造に係るロータ20eのB−B’断面図である。尚、ロータ20eの回転軸であるZ軸に直交し且つロータ20e内の永久磁石を通る断面にてロータ20eを切った場合におけるロータ20eの断面構造は、第4変形構造に係るロータ20dのそれ(図17(a)参照)と同様である。
図17(b)に対応する第4変形構造においてロータの中央部に位置していた空隙31Gdが2つに分割され、分割によって得た2つの空隙31Ge及び31Geが、Z軸方向におけるロータ20eの端部に配置される。ロータ20e内に設けられる永久磁石31eは、第4変形構造における永久磁石31Ad及び31Bd(図17(b)参照)をZ軸方向に平行移動させて結合したものに相当する。
ロータ20eのB−B’断面上において、各永久磁石及び各空隙の断面形状は長方形である。Z軸方向における、永久磁石31eの一端面及び他端面にそれぞれ空隙31Ge及び31Geが配置される。Z軸方向において、永久磁石31eの一端面の一部は空隙31Geに接しており、その一端面の残部はロータ積層鉄心21eを形成する磁性材料に接している。Z軸方向において、永久磁石31eの他端面の一部は空隙31Geに接しており、その他端面の残部はロータ積層鉄心21eを形成する磁性材料に接している。尚、図21の断面図では、永久磁石31eと空隙31Geが直接接しているが、両者間にロータ20eのロータ積層鉄心21eの一部を介在させても良い(永久磁石31eと空隙31Ge間についても同様)。
ロータ20e内に設けられる残りの3極分の永久磁石に対しても同様の変形が成される。即ち例えば、第4変形構造における永久磁石33Ad及び33Bd(図17(b)参照)をZ軸方向に平行移動させて結合することにより永久磁石33eを形成し、永久磁石33eをロータ積層鉄心21e内に埋め込む。一方で、空隙33Gdを2つに分割し、分割によって得た2つの空隙33Ge及び33Geを、Z軸方向における永久磁石33eの端面に配置する。
永久磁石31e並びに空隙31Ge及び31Geは、ロータ積層鉄心21eにおける内周積層鉄心と外周積層鉄心との間に配置される。永久磁石31e並びに空隙31Ge及び31Geの配置位置を、Z軸を中心軸としてZ軸周りに90度、180度、270度だけ回転移動した位置に、残りの3極分の永久磁石及び空隙が配置される。ロータ積層鉄心21eの外周面内であって且つシャフト、永久磁石、空隙及び非磁性体の何れもが存在しない部分には、ロータ積層鉄心21eを形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
永久磁石31eに着目した場合、永久磁石31eの幅(即ち、永久磁石31eのZ軸方向における長さ)がLmとして、且つ、永久磁石31eの厚み(即ち、永久磁石31eのY軸方向における長さ)がTmとして取り扱われる。更に、空隙31Ge又は31GeのY軸方向における長さがTaとして取り扱われ、空隙31GeのZ軸方向における長さと空隙31GeのZ軸方向における長さの合計長さがLaとして取り扱わる。その上で、基本構造で述べた空隙厚み比率の設定方法が第5変形構造にも適用される。
[第6変形構造]
第6変形構造を説明する。一般的な弱め界磁制御は、負のd軸電流を電機子巻線に流すことによって達成されるが、第6変形構造に係るモータ1では、ロータの外側に設けられた界磁巻線から界磁磁束を注入することによって弱め界磁制御を実現可能である。
第6変形構造におけるロータをロータ20fと呼ぶ。図22に、説明の理解の容易化を図るため、第6変形構造におけるモータ1の構成要素名称を列記する。図22に示す全名称の意義は、後述の説明から明らかとなる。まず、ロータ20fの構造を詳細に説明する。
ロータ20fの回転軸をZ軸とする。図23(a)及び(b)の夫々は、ロータ20fの回転軸方向から見たロータ20fの外観平面図である。実際には、ロータ20fには突出部が設けられており、該突出部が図23(a)及び(b)の外観平面図上にも現れるはずであるが、図23(a)及び(b)では該突出部の図示を割愛している(突出部の詳細は後述される)。
ロータ20fに設けられた、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22の中心に、X軸、Y軸及びZ軸を座標軸とする直交座標系の原点Oが存在するものとする。ロータ20fの断面構造を説明するために、図23(a)のC−C’線に沿った断面(以下、C−C’断面という)を想定する。C−C’線は、Y軸上の正の点及びX軸上の正の点を夫々始点及び終点とし且つZ軸上にて折れ曲がる折れ線である。また、図23(b)の破線511に沿った断面、即ちY軸に沿った断面(以下、Y断面という)、及び、図23(b)の破線512に沿った断面、即ちX軸に沿った断面(以下、X断面という)を想定する。尚、Y断面は、図16(b)を参照して上述したB−B’断面と等価なものである。
図24(a)は、Z軸に直交する断面であって且つ後述の突出部を横切らない断面に沿ったロータ20fの断面図である。Z軸に直交する断面が後述の突出部を横切らない場合、断面位置の、Z軸方向における変化に対し、ロータ20fの断面構造は不変である。図24(a)に示されるロータの断面構造は、第4変形構造において示した図17(a)のそれと同様であり、特に述べない事項に関しては第4変形構造に係るロータ20dのA−A’断面の説明がロータ20fに適用される。この適用の際、第4変形構造における符号20d、21d、31Ad、32Ad、33Ad及び34Adを、夫々、符号20f、21f、31f、32f、33f及び34fに置き換えて考えればよい。
ロータ20fは、基本構造のロータ積層鉄心21と同様にして形成されるロータ積層鉄心21fと、Z軸を中心軸として有する円柱状のシャフト22と、永久磁石31f〜34fと、非磁性体25〜28とを有する。ロータ積層鉄心21fには、シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴が設けられている。シャフト挿入穴、永久磁石挿入穴及び非磁性体挿入穴に、夫々、シャフト22、永久磁石31f〜34f及び非磁性体25〜28が挿入されて互いに結合される。
ロータ積層鉄心21fは、永久磁石の内周側に位置する内周積層鉄心と、永久磁石の外周側に位置する外周積層鉄心と、ブリッジ部と、に大別される。内周積層鉄心は、ロータ積層鉄心21fの内の、永久磁石31f〜34fよりも原点O(Z軸)側に位置する部分を指し、外周積層鉄心は、ロータ積層鉄心21fの内の、永久磁石31f〜34fよりもロータ積層鉄心21fの外周円OC側に位置する部分を指す。
図24(b)において、符号100が付された斜線領域が内周積層鉄心に相当し、符号111〜114が付された斜線領域の全体が外周積層鉄心に相当し、ロータ積層鉄心21fの全体から内周積層鉄心及び外周積層鉄心を除いた残部領域がブリッジ部に相当する。符号111〜114が付された斜線領域の夫々は、外周積層鉄心の構成要素であり、それらを外周鉄心本体と呼ぶ(図22も参照)。
XY座標面上において、外周鉄心本体111は、永久磁石31fに隣接し且つ永久磁石31fよりもY軸の正方向側に位置し、外周鉄心本体112は、永久磁石32fに隣接し且つ永久磁石32fよりもX軸の正方向側に位置し、外周鉄心本体113は、永久磁石33fに隣接し且つ永久磁石33fよりもY軸の負方向側に位置し、外周鉄心本体114は、永久磁石34fに隣接し且つ永久磁石34fよりもX軸の負方向側に位置する。
上述のようなロータ積層鉄心21f、シャフト22、永久磁石31f〜34f及び非磁性体部25〜28を結合して成る部材に対して、更に突出部を結合することによりロータ20fが形成される。
図25は、ステータ10の断面とロータ20f及び界磁巻線部のC−C’断面とを合成した図である。但し、図25並びに後述の図28、図29及び図33におけるステータ10の断面は、ステータ10に含まれる6つのティース13の内の、第1のティース13(図25においてティース13)の中心、原点O及び第2のティース13(図25においてティース13)の中心を通る線521(図26参照)に沿ったステータ10の断面である。図25の左右方向はZ軸方向と合致し、図25の右側がZ軸の正側に対応する(後述の図28、図29及び図33においても同様)。
ロータ20fのC−C’断面において、永久磁石31fとシャフト22間には内周積層鉄心100の一部が存在するが、それを、内周鉄心本体101と呼ぶ。同様に、永久磁石32fとシャフト22間には内周積層鉄心100の他の一部が存在するが、それを内周鉄心本体102と呼ぶ。
図25の断面図上には(図22、図24(a)及び(b)も参照)、永久磁石31f及び32fと、外周積層鉄心の一部である外周鉄心本体111及び112と、内周鉄心本体101及び102と、ティース13と外周鉄心本体111との間の空隙AG及びティース13と外周鉄心本体112との間の空隙AGとが示されていると共に、ロータ積層鉄心21fに接合された突出部141a、142a、152a、151b、141b及び142bと、界磁巻線ヨークFY及び界磁巻線FWから成る界磁巻線部とが示されている。界磁巻線部は、ロータ20fの右側(Z軸方向における正側)に固定して配置される。
図25に示す如く、ステータ10の断面とロータ20fのC−C’断面を合成した図では、ティース13から見て、ティース13とティース13との間に、空隙AG、外周鉄心本体111、永久磁石31f、内周鉄心本体101、シャフト22、内周鉄心本体102、永久磁石32f、外周鉄心本体112及び空隙AGがこの順番で配置される。尚、永久磁石(永久磁石31fなど)内に示された矢印は、永久磁石内における磁束の向きを表している(後述の図28等においても同様)。各突出部は、鉄などの磁性材料の粉末を圧縮成型した圧粉磁性材料から成る(但し、それらを鋼板によって形成するようにしてもよい)。
図27(a)に、Z軸の正側から見た、ロータ20fの外観平面図を示す。図27(a)において、斜線が付された部分が、ロータ積層鉄心21fの端面からZ軸の正側に突出している部分であり、符号141aa、142aa及び152aaが付された破線領域内に、夫々、突出部141a、142a及び152aが位置する。図27(b)に、Z軸の負側から見た、ロータ20の外観平面図を示す。図27(b)において、斜線が付された部分が、ロータ積層鉄心21fの端面からZ軸の負側に突出している部分であり、符号151bb、141bb及び142bbが付された破線領域内に、夫々、突出部151b、141b及び142bが位置する。また、突出部141bは、永久磁石31fの、Z軸の負側における端面の一部を覆っており、Z軸の直交方向であるY軸方向において、突出部141bと突出部151bとの間には空隙141bAGが存在する。Z軸の負側から見た場合において、空隙141bAGが位置する部分は突出しておらず、その部分に、突出部を形成する圧粉磁性材料は存在しない。
突出部141a及び141bの夫々は、ロータ20fの内周鉄心本体101の、回転軸方向における端面から、回転軸方向に突出するように内周鉄心本体101に接合される。但し、突出部141aは、Z軸の正側における内周鉄心本体101の端面からZ軸の正の方向側に突出しており、突出部141bは、Z軸の負側における内周鉄心本体101の端面からZ軸の負の方向側に突出している。
突出部142a及び142bの夫々は、ロータ20fの内周鉄心本体102の、回転軸方向における端面から、回転軸方向に突出するように内周鉄心本体102に接合される。但し、突出部142aは、Z軸の正側における内周鉄心本体102の端面からZ軸の正の方向側に突出しており、突出部142bは、Z軸の負側における内周鉄心本体102の端面からZ軸の負の方向側に突出している。
突出部151bは、ロータ20fの外周鉄心本体111の、回転軸方向における端面から、回転軸方向に突出するように外周鉄心本体111に接合される。但し、突出部151bは、Z軸の負側における外周鉄心本体111の端面からZ軸の負の方向側に突出している。
突出部152aは、ロータ20fの外周鉄心本体112の、回転軸方向における端面から、回転軸方向に突出するように外周鉄心本体112に接合される。但し、突出部152aは、Z軸の正側における外周鉄心本体112の端面からZ軸の正の方向側に突出している。
尚、突出部142a及び152aが形成されたことに伴い、Z軸の正側における永久磁石32fの端面が突出部142a及び152aの端面に合うように、永久磁石32fもZ軸の正側に突出させるようにしてもよい。
また、図28に、ステータ10の断面とロータ20f及び界磁巻線部のY断面(図23(b)の破線511に沿った断面)とを合成した図を示し、図29に、ステータ10の断面とロータ20f及び界磁巻線部のX断面(図23(b)の破線512に沿った断面)とを合成した図を示す。図28の上方はY軸の正側に対応し、図28の下方はY軸の負側に対応する。図29の上方はX軸の負側に対応し、図28の下方はX軸の正側に対応する。図27(a)及び(b)からも分かるように、XY座標面上において、ロータ20fはX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。このため、図28の断面図上においては、Y軸の正側に位置する空隙141bAGに加えて、空隙141bAGに対応する、Y軸の負側の空隙141bAG’も観測される(図27(b)も参照)。
図30(a)に、界磁巻線ヨークFYの外観斜視図を示す。図30(b)に、界磁巻線ヨークFYの分解図を示す。図31に、Z軸方向が図面の左右方向に合致するような視点から見た、界磁巻線ヨークFYの外観図を示す。図32に、Z軸の負側から見た界磁巻線ヨークFYの、XY座標面上への投影図を示す。
界磁巻線ヨークFYは、Z軸上に円心を有する円柱状の磁性材料に、シャフト22を通すための、Z軸方向に伸びる穴部135と、界磁巻線FWを配置するためのスロット(窪み)132と、を設けたものである。分解して考えると、界磁巻線ヨークFYは、円筒形状を有する底面ヨーク部130の上に、夫々が円筒形状を有する内周ヨーク部131及び外周ヨーク部133を、それらの円心が全てZ軸上にのるように接合したもの、と捉えることができる。外周ヨーク部133における内周側の円の半径は内周ヨーク部131における外周側の円の半径よりも大きい。Z軸方向から見た場合において、外周ヨーク部133は内周ヨーク部131の外側に位置し、スロット132は外周ヨーク部133と内周ヨーク部131との間に位置している。界磁巻線FWは、内周ヨーク部131の外周に沿ってZ軸周りに巻かれる。また、内周ヨーク部131及び外周ヨーク部133の端面(底面ヨーク部130の反対側に位置する端面)は、Z軸に直交する同一平面上にのる。
界磁巻線ヨークFYは、鉄などの磁性材料の粉末を圧縮成型した圧粉磁性材料から成る(但し、それらを鋼板によって形成するようにしてもよい)。
図25を再び参照しつつ、上記のように構成された界磁巻線部の配置位置を詳細に説明する。Z軸方向から見た場合において、界磁巻線ヨークFYの外周の半径(換言すれば、外周ヨーク部133における外周側の円の半径)は、ロータ20の外周の半径と一致或いは略一致している。
そして、界磁巻線ヨークFYの内周ヨーク部131と突出部141a及び142aとが対向し、且つ、界磁巻線ヨークFYの外周ヨーク部133と突出部152aとが対向するように、界磁巻線ヨークFYを配置する。突出部141a及び142aの端面と内周ヨーク部131の端面は微小な空隙を介して面し、且つ、突出部152aの端面と外周ヨーク部133の端面は微小な空隙を介して面する。
次に、図33を参照して、界磁巻線FWに電流を流した時における磁束の様子を説明する。図33の矢印付き折れ線530は、界磁巻線FWに電流を流すことによって発生した磁束の磁路及び該磁束の向きを表している。但し、矢印付き折れ線530における向きは、永久磁石による界磁磁束を弱める方向の電流を界磁巻線FWに流した場合における向きである。
以下、永久磁石31f〜34fから得られる界磁磁束を主界磁磁束(第1界磁磁束)と呼び、界磁巻線FWに電流を流すことによって発生した磁束を副界磁磁束(第2界磁磁束)と呼ぶ。また、界磁巻線FW(及び後述の界磁巻線FW’)に供給される電流を界磁電流と呼ぶこともある。
図33において、Z軸近傍の破線533内に位置する、矢印付き折れ線530の一部は、副界磁磁束が界磁巻線ヨークFYの底面ヨーク部130を円周方向に沿って通る様子を示しており、Z軸近傍の破線534内に位置する、矢印付き折れ線530の一部は、副界磁磁束が突出部142b及び141b間における磁性材料中をシャフト22の円周方向に沿って通る様子を示している。また、矢印付き折れ線530の両端531及び532は、ティース13及び13を含むステータ積層鉄心11により、極めて微小な磁気抵抗で接続される。
永久磁石の比透磁率は1に近い値(例えば、1.1)を有する一方で、ステータ積層鉄心、界磁巻線ヨーク、ロータ積層鉄心及びロータ積層鉄心に接合される突出部の比透磁率は十分に大きな値(例えば、数百〜数万)を有する。このため、副界磁磁束の磁路は、以下に示す、第1磁路及び第2磁路を、磁束の主経路として有する。第2磁路は、第1磁路の一部の分岐路に相当する。
界磁巻線ヨークFYの底面ヨーク部130を起点にして考える。第1磁路は、破線534に対応する部分を含む磁路である。具体的には、第1磁路は、底面ヨーク部130を起点として、内周ヨーク部131の内の、突出部142aに面している部分と、突出部142aと、内周鉄心本体102と、突出部142bと、突出部141bと、空隙141bAGと、突出部151bと、外周鉄心本体111と、空隙AGと、ティース13及び13を含むステータ積層鉄心11と、空隙AGと、外周鉄心本体112と、突出部152aと、外周ヨーク部133の内の、突出部152aに面している部分と、を通じて底面ヨーク部130に至る磁路である。
第2磁路は、破線533に対応する部分を含む磁路である。具体的には、第2磁路は、底面ヨーク部130と、内周ヨーク部131の内の、突出部141aに面している部分と、突出部141aと、内周鉄心本体101と、突出部141bと、を結ぶ経路を経由する磁路であり、突出部141bにおいて、第1及び第2磁路は合流する。
内周鉄心本体101及び102を含む内周積層鉄心100と内周積層鉄心100に接合される突出部(141a、141b、142a及び142bを含む)は、全体として「ロータ内周鉄心」を形成し、外周鉄心本体111及び112を含む外周積層鉄心と外周積層鉄心に接合される突出部(151b及び152aを含む)は、全体として「ロータ外周鉄心」を形成する。そして、上記のような副界磁磁束の磁路が形成されるように、ロータ内周鉄心及びロータ外周鉄心並びに界磁巻線部を形成及び配置する。これにより、副界磁磁束の発生時には、永久磁石による主界磁磁束と界磁巻線による副界磁磁束の合成磁束が、ステータ10の電機子巻線の鎖交磁束となる。
尚、基本構造等に関して上述した事項を第6変形構造に適用する場合は、適宜、内周積層鉄心及び外周積層鉄心という用語をロータ内周鉄心及びロータ外周鉄心という用語に置き換えて考えればよい(第2実施形態における第8変形構造についても同様)。基本構造においては、ロータ内周鉄心が内周積層鉄心のみから形成されていると共にロータ外周鉄心が外周積層鉄心のみから形成されている(第1変形構造等においても同様)。
上記の如くモータを構成すれば、ロータの端部外側に設けられた界磁巻線に界磁電流を供給することによって弱め界磁制御を実現可能である。この際、界磁巻線による磁界は永久磁石自体に直接加わらないため、永久磁石の減磁の惧れがない。また、弱め界磁制御を実現するに当たり、電機子巻線に負のd軸電流を流す必要がないため、d軸電流による電機子巻線の発熱増加が解消される(発熱箇所が分散される)。また、d軸電流が必要な場合は、その分だけq軸電流(トルクに関与する電流成分)を減少させる必要が生じるが、第6変形構造によればq軸電流を減少させる必要性がなくなるため、高速回転時における発生トルクの低下も抑制される。
加えて、ロータ内周鉄心とロータ外周鉄心を結ぶ磁気回路を形成する界磁巻線ヨークをロータ端部外側に配置する構成であるため、ロータ端部外側のスペースを利用するだけで済み、モータの小型化が図られる。更に、副界磁磁束の磁気回路にバックヨーク(ステータ巻線よりも外側に位置し、モータフレームの一部を形成するヨーク)が含まれないため、副界磁磁束がモータフレームの周辺部材を経由して漏れる惧れもない。
尚、上述の説明から明らかであるが、外周鉄心本体111の界磁巻線ヨークFY側には、突出部を設けない(図33参照)。仮に、外周鉄心本体111の界磁巻線ヨークFY側にも突出部を設けたならば、図33の断面図上のティース13及びシャフト22間に位置するロータ鉄心部分と界磁巻線ヨークFYとで閉磁路が形成されてしまい、副界磁磁束がステータ10の電機子巻線を鎖交しなくなるからである。このような事態の発生を避けるべく、外周鉄心本体111と外周ヨーク部133との間の空隙長を十分に大きくとる。例えば、その空隙長をステータ−ロータ間の空隙長(即ち、空隙AG及びAGの長さ)の5倍〜数10倍とする。
図25及び図28にも見られるように、ロータ20fのC−C’断面及びY断面上において、永久磁石の断面形状及び突出部間の空隙(141bAG及び141bAG’)の断面形状は長方形である。第6変形構造においては、第4及び第5変形構造を同様、Z軸方向における長さを幅方向と捉える。従って、第4及び第5変形構造を同様、1極分の永久磁石の幅(即ち、Z軸方向における永久磁石31f、32f、33f又は34fの長さ)が幅Lmとして捉えられると共に、1極分の永久磁石の厚み(即ち、両極間方向における永久磁石31f、32f、33f又は34fの長さ)が厚みTmとして捉えられる。第6変形構造において、空隙の幅Laは、Z軸方向における空隙141bAG(又は141bAG’)の長さを指す。第6変形構造において、空隙の厚みTaは、d軸方向における空隙141bAG(又は141bAG’)の長さを指し、それは、Y軸方向における空隙141bAG(又は141bAG’)の長さに等しい(図27(b)も参照)。
第6変形構造においても、第4及び第5変形構造を同様、(Lm+La)に対する空隙幅Laの比率(即ち、La/(Lm+La))を空隙幅比率として取り扱った上で、基本構造で述べた空隙厚み比率の設定方法を適用すればよい。
<<第2実施形態>>
第1実施形態ではインナーロータ型のモータの構造を説明したが、第1実施形態で述べた技術的内容をアウターロータ型のモータに適用することもできる。アウターロータ型のモータであるモータ201の構造を第2実施形態として説明する。
図34は、ロータの回転軸方向から見た、モータ201の全体構造を示す概略図である。モータ201は、永久磁石を鉄心内に埋め込んで形成されたロータ220と、ロータ220の内側に固定配置されるステータ210と、を有する永久磁石同期モータであり、特に埋込磁石同期モータと呼ばれる。ロータ220は、ステータ210の外側に配置されるため、ロータ220はアウターロータである。尚、図34では、図示の便宜上、ステータ210及びロータ220の部材が存在する部分に模様を付している。
ステータ210は、磁性材料(強磁性体)である鋼板(ケイ素鋼板など)をロータ220の回転軸方向に複数枚積層することによって形成されたステータ積層鉄心211を有し、ステータ積層鉄心211には、6つのスロット212と外周方向に突出した6つのティース(歯)213が交互に形成されている。そして、コイルを配置するためのスロット212を利用して、各ティース213の周りにコイル(図34において不図示)を巻くことによってステータ210の電機子巻線が形成される。つまり、ステータ210は、所謂6コイル集中巻ステータである。尚、スロット数、ティース数及びコイル数は6以外であってもよい。また、ロータ220の回転軸方向に沿った、ステータ積層鉄心211の中央部には穴が開いている。
第2実施形態では、ロータ220の回転軸をZ軸とする。図35(a)は、Z軸の直交面に沿ったロータ220の断面図である。ロータ220には複数の永久磁石が埋め込まれているが、断面位置によっては、断面がそれらの永久磁石を横切らない。図35(a)は、それらの永久磁石を横切る断面にてロータ220を切って得た断面図であるとする。今、図35(a)の断面図上の中心に原点Oが存在するものとし、X軸、Y軸及びZ軸から成る実空間上の直交座標系を定義する。X軸はY軸及びZ軸に直交すると共にY軸はX軸及びZ軸に直交し、X軸、Y軸及びZ軸は原点Oにて交差する。原点Oを境界にして、任意の点のX軸座標値の極性は正と負に分類され、且つ、任意の点のY軸座標値の極性は正と負に分類される。図35(a)及び後述の図35(b)の断面図において、右側及び左側が夫々X軸の正側及び負側に対応し、上側及び下側が夫々Y軸の正側及び負側に対応する。
ロータ220は、所定形状を有する磁性材料の鋼板(ケイ素鋼板など)を絶縁膜を介して複数枚Z軸方向に積層することによって形成されたロータ積層鉄心と、4つの永久磁石231〜234と、を有し、それらを互いに結合することによって形成される。永久磁石231〜234は、Z軸上に円心を持つ1つの円筒形状の永久磁石を、Z軸に平行な切断面に沿って4等分したものに相当する。永久磁石231〜234の形状及び大きさは同じである。原点Oから見て、永久磁石231〜234の中心は、夫々、Y軸の正側、X軸の正側、Y軸の負側及びX軸の負側に位置する。原点Oと永久磁石の中心との間の距離は、永久磁石231〜234間で同じである。永久磁石231のN極の方が永久磁石231のS極よりも原点Oに近く、永久磁石232のS極の方が永久磁石232のN極よりも原点Oに近く、永久磁石233のN極の方が永久磁石233のS極よりも原点Oに近く、永久磁石234のS極の方が永久磁石234のN極よりも原点Oに近い。
ロータ積層鉄心は、内周積層鉄心240及び外周積層鉄心250と、両者を結合するブリッジ部(不図示)から形成される。内周積層鉄心240は、永久磁石231〜234の内周側に位置し(永久磁石231〜234の原点O側に位置し)、外周積層鉄心250は、永久磁石231〜234の外周側に位置する。外周積層鉄心250及び内周積層鉄心240は、共に、Z軸上に円心を有する円筒形状の部材である。内周積層鉄心240は径方向に厚みを有する円筒形状の部材であるため、内周積層鉄心240の半径には内周円半径と外周円半径が存在する。外周積層鉄心250についても同様である。外周積層鉄心250の内周円の半径は内周積層鉄心240の外周円の半径よりも大きく、両者間に永久磁石231〜234が挟まれて結合され、ロータ積層鉄心と永久磁石231〜234が一体となってZ軸周りを回転する。図35(a)及び後述の図35(b)において、内周積層鉄心240内に示された4つの四角形は、隣接する永久磁石間近傍に位置する、内周積層鉄心240内に設けられた非磁性体を表す。
内周積層鉄心240と外周積層鉄心250との間には、図35(a)の断面図上には現れない、Z軸上に円心を有する円筒形状の空隙が設けられている。図35(b)に、その空隙を横切る、Z軸の直交面に沿ったロータ220の断面図を示す。図35(b)において、符号260が付された白領域が空隙の配置位置を表している。尚、空隙260の配置位置及び形状は、後述の図36を併せて参照することにより明確化される。
空隙260は径方向に厚みを有する円筒形状の空隙であるため、空隙260の半径には内周円半径と外周円半径が存在する。XY座標面上において、空隙260の内周円は内周積層鉄心240の外周円に合致し、空隙260の外周円の半径は外周積層鉄心250の内周円の半径よりも小さい。但し、空隙260の内周円と内周積層鉄心240の外周円との合致は必須ではない。
内周積層鉄心240の内周面と外周積層鉄心250の外周面との間であって且つ永久磁石及び空隙の何れもが配置されない部分には、ロータ積層鉄心を形成する磁性材料(鋼板材料)が存在する。
図36は、Y軸に沿った断面にてロータ220及びステータ210を切った時に得られる、ロータ220及びステータ210の断面図である。図示しないが、X軸に沿った断面にてロータ220及びステータ210を切った時に得られる、それらの断面図も、図36と同様となる。
図36に示す断面図上において、永久磁石231に隣接する部分に空隙260の一断面である空隙261が現れ、永久磁石233に隣接する部分に空隙260の一断面である空隙263が現れる。図36に示す断面図上に現れる、永久磁石231及び233並びに空隙261及び263の外形は長方形である。図36に示す断面図上において、永久磁石231の外形である長方形の一辺281はロータ220の一端面上に位置し、空隙261の外形である長方形の一辺282はロータ220の他端面上に位置する(ここにおけるロータ220の端面とは、ロータ220の、Z軸方向における端面である)。また、図36に示す断面図上において、永久磁石231の外形である長方形の四辺の内の、辺281の反対側に位置する辺の一部が、空隙261の外形である長方形の四辺の内の、辺282の反対側に位置する辺と合致する。辺281に隣接する、永久磁石231の残りの2辺はZ軸に平行であり、辺282に隣接する、空隙261の残りの2辺はZ軸に平行である。
XY座標面上において、ロータ220はX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。
このように、Z軸方向から見た永久磁石231は円弧状の外形を有しているが(図35(a)参照)、Z軸方向から見た永久磁石231の一端面の一部は空隙260に接し且つその一端面の残部はロータ積層鉄心を形成する磁性材料に接している(図35(b)及び図36参照)。同様に、Z軸方向から見た永久磁石232〜234の各一端面の一部は空隙260に接し且つそれらの一端面の残部はロータ積層鉄心を形成する磁性材料に接している。尚、図36の断面図では、永久磁石と空隙が直接接しているが、両者間にロータ220のロータ積層鉄心の一部を介在させても良い。
ロータ220では、永久磁石231〜234の夫々が、単体で1極分の永久磁石を形成する。各永久磁石の磁束の向きはZ軸に直交する。
第1実施形態と同様、第2実施形態でも、永久磁石の厚みを永久磁石の両極間方向における長さと捉える。一方において、永久磁石の幅をZ軸方向における永久磁石の長さと捉える。永久磁石の厚み及び幅を夫々Tm’及びLm’にて表す。また、第1実施形態と同様、着目した1極分の永久磁石が作る磁束の方向にd軸をとる。そして、その1極分の永久磁石に対して設けられた空隙の、d軸方向における長さを「空隙の厚み」と定義し、それをTa’にて表す。更に、Z軸方向における空隙の長さを「空隙の幅」と呼び、それをLa’にて表す。
具体的には、Tm’は、Z軸に直交する方向における永久磁石231の厚みであり、Lm’は、Z軸方向における永久磁石231の長さである。Ta’は、Z軸に直交する方向における空隙260の厚みであり、La’は、Z軸方向における空隙260の長さである。
更に、XY座標面上における空隙260の外周円の円周長の1/4をW’とおく。そうすると、上記式(5a)、(5b)及び(6)におけるTm、Lm、Ta、La及びWを夫々Tm’、Lm’、Ta’、La’及びW’に置き換えた磁気回路に関する式が成立する。このため、(Lm’+La’)に対する空隙幅La’の比率(即ち、La’/(Lm’+La’))を空隙幅比率として、且つ、Tm’に対する空隙厚みTa’の比率(即ち、Ta’/Tm’)を空隙厚み比率として取り扱った上で、第1実施形態の基本構造の説明で述べた空隙厚み比率の設定方法を適用すればよい。即ち、「Ta’≦0.5×Tm’」が成立するような空隙を内周積層鉄心−外周積層鉄心間に配置すると共に、空隙幅比率に応じて空隙厚み比率の下限を設定すればよい。
[第7変形構造]
尚、上述のモータ構造では、内周積層鉄心−外周積層鉄心間の空隙をZ軸方向におけるロータ端部に配置しているが、その空隙をZ軸方向に平行移動させてもよい。このような変形を施したモータの変形構造を第7変形構造と呼ぶ。第7変形構造を説明する(特に述べない事項は、上述した事項が適用される)。この平行移動に伴い、永久磁石231、232、233、234は、夫々、永久磁石231A及び231B、永久磁石232A及び232B、永久磁石233A及び233B、永久磁石234A及び234Bに分割される(永久磁石232A、232B、234A及び234Bは下記図37において不図示)。第7変形構造に係るロータをロータ220aと呼ぶ。
図37は、Y軸に沿った断面にてロータ220a及びステータ210を切った時に得られる、ロータ220a及びステータ210の断面図である。ロータ220aの内周積層鉄心240aと外周積層鉄心250aとの間に、Z軸上に円心を有する円筒形状の空隙290が配置されることになり、且つ、その空隙290は、Z軸方向において複数の永久磁石間に挟まれることになる(空隙290の全体像は不図示)。図37に示す断面図上において、符号291が付された破線矩形は永久磁石231A及び231Bに挟まれる空隙290の一断面を表し、符号293が付された破線矩形は永久磁石233A及び233Bに挟まれる空隙290の一断面を表す。
第7変形構造では、Lm’は1極分の永久磁石のトータル幅として取り扱われる。即ち、Lm’は永久磁石231A及び231BのZ軸方向における幅の合計値として取り扱われる。Tm’は、Z軸に直交する方向における永久磁石231A又は231Bの厚みである。Ta’は、Z軸に直交する方向における空隙290の厚みであり、La’は、Z軸方向における空隙290の長さである。
図38を参照してロータ220aの構造を補足説明する。図38は、Z軸が図面の左右
方向に合致する方向から見た、図36に対応するロータ220の外観平面図である。ロータ220の回転軸に直交する2つの断面としてC−C’断面及びC−C’断面を想定する。C−C’断面は、ロータ220内に設けられた4つの永久磁石231〜234の夫々を2等分する断面であり、C−C’断面は、ロータ220内の永久磁石231〜234と空隙260との境界面を通る断面である。ロータ220をC−C’断面とC−C’断面に沿って切ることにより、ロータ220を、永久磁石部分を含む第1及び第2構成要素と永久磁石部分を含まない第3構成要素とに分割し、第3構成要素を、第1及び第2構成要素との間に挟むことによって、新たなロータを生成する。この新たに生成されたロータの構造がロータ220aの構造に相当する。C−C’断面に沿って永久磁石231、232、233、234を2等分したものが、夫々、永久磁石231A及び231B、永久磁石232A及び232B、永久磁石233A及び233B、永久磁石234A及び234Bである。
[第8変形構造]
また、アウターロータ型のモータにおいても、第1実施形態に係る第6変形構造と同様、モータに界磁巻線部を設けると共に、ロータ内周鉄心−ロータ外周鉄心間の空隙をロータ積層鉄心に接合された突出部間に設けるようにしてもよい。このような変形を施したモータ201の変形構造を第8変形構造と呼ぶ。第8変形構造を説明する(特に述べない事項は、上述した事項が適用される)。
第8変形構造におけるロータをロータ220bと呼ぶ。図39に、説明の理解の容易化を図るため、第8変形構造におけるモータ201の構成要素名称を列記する。図39に示す全名称の意義は、後述の説明から明らかとなる。
ロータ220bの回転軸をZ軸とする。図40は、後述の突出部を横切らない断面であって且つZ軸を直交する断面に沿った、ロータ220bの断面図である。ロータ220bは、所定形状を有する磁性材料の鋼板(ケイ素鋼板など)を絶縁膜を介して複数枚Z軸方向に積層することによって形成されたロータ積層鉄心と、4つの永久磁石231b〜234bと、を有し、それらを互いに結合することによって形成される。ロータ220bにおけるロータ積層鉄心は、内周積層鉄心240b及び外周積層鉄心250bと両者を結合するブリッジ部(不図示)とから形成される。
図35(a)における符号220、231〜234、240及び250を夫々符号220b、231b〜234b、240b及び250bに読み替えたならば、図40におけるロータ220fの断面構造は、図35(a)におけるロータ220の断面構造と同じであり、矛盾なき限り、ロータ220に対して説明した事項がロータ220bにも適用される(同一名称部位間の符号の相違は、適宜、無視される)。但し、上述したモータ201の構造では内周積層鉄心−外周積層鉄心間に空隙が設けられていたが、第8変形構造では内周積層鉄心−外周積層鉄心間に空隙は設けられない。
即ち、上述の図36及び後述の図42との比較からも理解されるが、Z軸方向における永久磁石の第1及び第2端面とZ軸方向におけるロータ積層鉄心の第1及び第2端面とが夫々に同一平面上に位置するように、永久磁石231の幅Lm’を拡大したものが永久磁石231bである(永久磁石232b〜234bについても同様)。永久磁石の幅が異なる点を除き、永久磁石231b〜234bの形状、磁極及び原点Oとの位置関係等は、永久磁石231〜234のそれらと同様である。永久磁石の幅の拡大に伴って、外周積層鉄心の断面形状は、図36に示されるそれから後述の図42に示されるそれへと変形される。第8変形構造では、Z軸に直交する断面が後述の突出部を横切らない場合、断面位置の、Z軸方向における変化に対し、ロータ220fの断面構造は不変である。
図41(a)及び(b)の夫々は、ロータ220bの回転軸方向から見たロータ220bの外観平面図である。実際には、ロータ220bには突出部が設けられており、該突出部が図41(a)及び(b)の外観平面図上にも現れるはずであるが、図41(a)及び(b)では該突出部の図示を割愛している(突出部の詳細は後述される)。
上述したようにX軸、Y軸及びZ軸は原点Oにて互いに直交する。ロータ220bの断面構造を説明するために、図41(a)のD−D’線に沿った断面(以下、D−D’断面という)を想定する。D−D’線は、Y軸上の正の点及びX軸上の正の点を夫々始点及び終点とし且つZ軸上にて折れ曲がる折れ線である。また、図41(b)の破線561に沿った断面、即ちY軸に沿った断面(以下、Y断面という)、及び、図41(b)の破線562に沿った断面、即ちX軸に沿った断面(以下、X断面という)を想定する。
上述のようなロータ積層鉄心及び永久磁石231b〜234bを結合して成る部材に対して、更に突出部を結合することによりロータ220bが形成される。
図42は、ステータ210の断面とロータ220b及び界磁巻線部のD−D’断面とを合成した図である。但し、図42並びに後述の図44、図45及び図48におけるステータ210の断面は、第6変形構造と同様(図26も参照)、ステータ210の2つのティース213の中心と原点Oとを通る線に沿ったステータ210の断面である。図42の左右方向はZ軸方向と合致し、図42の右側がZ軸の正側に対応する(後述の図44、図45及び図48においても同様)。
ロータ220bのD−D’断面において、永久磁石231bとステータ210間には内周積層鉄心240bの一部が存在するが、それを、内周鉄心本体241と呼ぶ。同様に、永久磁石232bとステータ210間には内周積層鉄心240bの他の一部が存在するが、それを内周鉄心本体242と呼ぶ(図39も参照)。また、ロータ220bのD−D’断面において、永久磁石231bの外周側に外周積層鉄心250bの一部が存在するが、それを外周鉄心本体251と呼ぶ。同様に、永久磁石232bの外周側に外周積層鉄心250bの他の一部が存在するが、それを外周鉄心本体252と呼ぶ(図39も参照)。更に、内周鉄心本体241とステータ積層鉄心211との間の空隙をAGにて表し、内周鉄心本体242とステータ積層鉄心211との間の空隙をAGにて表す。尚、永久磁石231b内に示された矢印は、夫々、永久磁石231b内における磁束の向きを表している(他の永久磁石においても同様)。
図42の断面図上には、ロータ積層鉄心等に加えて、ロータ積層鉄心に接合された突出部351a、341a、352a、342b及び352bと、界磁巻線ヨークFY’及び界磁巻線FW’から成る界磁巻線部とが示されている。ロータ220bにおける界磁巻線部は、ロータ220bの右側(Z軸方向における正側)に固定して配置される。各突出部は、鉄などの磁性材料の粉末を圧縮成型した圧粉磁性材料から成る(但し、それらを鋼板によって形成するようにしてもよい)。
また、図43(a)に、Z軸の正側から見た、ロータ220bの外観平面図を示す。図43(a)において、斜線が付された部分が、ロータ積層鉄心(内周積層鉄心240b及び外周積層鉄心250b)の端面からZ軸の正側に突出している部分であり、符号351aa、341aa及び352aaが付された破線領域内に、夫々、突出部351a、341a及び352aが位置する。図43(b)に、Z軸の負側から見た、ロータ220bの外観平面図を示す。図43(b)において、斜線が付された部分が、ロータ積層鉄心(内周積層鉄心240b及び外周積層鉄心250b)の端面からZ軸の負側に突出している部分であり、符号342bb及び352bbが付された破線領域内に、夫々、突出部342b及び352bが位置する。また、突出部352bは、永久磁石232bの、Z軸の負側における端面の一部を覆っており、Z軸の直交方向であるX軸方向において、突出部342bと突出部352bとの間には空隙352bAGが存在する。Z軸の負側から見た場合において、空隙352bAGが位置する部分は突出しておらず、その部分に、突出部を形成する圧粉磁性材料は存在しない。
突出部351a、341a及び352aは、夫々、外周鉄心本体251、内周鉄心本体241及び外周鉄心本体252の、回転軸方向における端面から、回転軸方向に突出するように外周鉄心本体251、内周鉄心本体241及び外周鉄心本体252に接合される。但し、突出部351a、341a及び352aは、夫々、Z軸の正側における、外周鉄心本体251、内周鉄心本体241及び外周鉄心本体252の端面からZ軸の正の方向側に突出している。
突出部342b及び352bは、夫々、内周鉄心本体242及び外周鉄心本体252の、回転軸方向における端面から、回転軸方向に突出するように内周鉄心本体242及び外周鉄心本体252に接合される。但し、突出部342b及び352bは、夫々、Z軸の負側における、内周鉄心本体242及び外周鉄心本体252の端面からZ軸の負の方向側に突出している。
尚、突出部351a及び341aが形成されたことに伴い、Z軸の正側における永久磁石231bの端面が突出部351a及び341aの端面に合うように、永久磁石231bもZ軸の正側に突出させるようにしてもよい。
また、図44に、ステータ210の断面とロータ220b及び界磁巻線部のY断面(図41(b)の破線561に沿った断面)とを合成した図を示し、図45に、ステータ210の断面とロータ220b及び界磁巻線部のX断面(図41(b)の破線562に沿った断面)とを合成した図を示す。図44の上方はY軸の正側に対応し、図44の下方はY軸の負側に対応する。図45の上方はX軸の負側に対応し、図45の下方はX軸の正側に対応する。図43(a)及び(b)からも分かるように、XY座標面上において、ロータ220bはX軸を対称軸とする線対称の構造を有すると共にY軸を対称軸とする線対称の構造を有する。このため、図45の断面図上においては、X軸の正側に位置する空隙352bAGに加えて、空隙352bAGに対応する、X軸の負側の空隙352bAG’も観測される(図43(b)も参照)。
図46に、Z軸方向が図面の左右方向に合致するような視点から見た、界磁巻線ヨークFY’の外観図を示す。図47に、Z軸の負側から見た界磁巻線ヨークFY’の、XY座標面上への投影図を示す。
界磁巻線ヨークFY’は、Z軸上に円心を有する円柱状の磁性材料に、ロータ220bの回転軸を中心線として有する穴部335と、界磁巻線FW’を配置するためのスロット(窪み)332と、を設けたものである。穴部335には、ステータ210が配置される。分解して考えると、界磁巻線ヨークFY’は、円筒形状を有する底面ヨーク部330の上に、夫々が円筒形状を有する内周ヨーク部331及び外周ヨーク部333を、それらの円心が全てZ軸上にのるように接合したもの、と捉えることができる。外周ヨーク部333における内周側の円の半径は内周ヨーク部331における外周側の円の半径よりも大きい。Z軸方向から見た場合において、外周ヨーク部333は内周ヨーク部331の外側に位置し、スロット332は外周ヨーク部333と内周ヨーク部331との間に位置している。界磁巻線FW’は、内周ヨーク部331の外周に沿ってZ軸周りに巻かれる。また、内周ヨーク部331及び外周ヨーク部333の端面(底面ヨーク部330の反対側に位置する端面)は、Z軸に直交する同一平面上にのる。
界磁巻線ヨークFY’は、鉄などの磁性材料の粉末を圧縮成型した圧粉磁性材料から成る(但し、それらを鋼板によって形成するようにしてもよい)。
図42を再び参照して、上記のように構成された界磁巻線部の配置位置を詳細に説明する。Z軸方向から見た場合において、界磁巻線ヨークFY’の外周の半径(換言すれば、外周ヨーク部333における外周側の円の半径)は、ロータ220bの外周の半径と一致或いは略一致している。
そして、界磁巻線ヨークFY’の内周ヨーク部331と突出部341aとが対向し、且つ、界磁巻線ヨークFY’の外周ヨーク部333と突出部351a及び352aとが対向するように、界磁巻線ヨークFY’を配置する。突出部341aの端面と内周ヨーク部331の端面は微小な空隙を介して面し、且つ、突出部351a及び352aの端面と外周ヨーク部333の端面は微小な空隙を介して面する。
次に、図48を参照して、界磁巻線FW’に電流を流した時における磁束の様子を説明する。図48の矢印付き折れ線580は、界磁巻線FW’に電流を流すことによって発生した磁束の磁路及び該磁束の向きを表している。但し、矢印付き折れ線580における向きは、永久磁石による界磁磁束を弱める方向の電流を界磁巻線FW’に流した場合における向きである。第8変形構造では、永久磁石231b〜234bから得られる界磁磁束が主界磁磁束(第1界磁磁束)として機能し、界磁巻線FW’に電流を流すことによって発生した磁束が副界磁磁束(第2界磁磁束)として機能する。
界磁巻線ヨークFY’の底面ヨーク部330を起点にして副界磁磁束の磁路を考える。この磁路は、底面ヨーク部330を起点として、外周ヨーク部333の内の、突出部351aに面している部分と、突出部351aと、外周鉄心本体251及び252と、突出部352bと、空隙352bAGと、突出部342bと、内周鉄心本体242と、空隙AGと、ステータ積層鉄心211と、空隙AGと、内周鉄心本体241と、突出部341aと、内周ヨーク部331の内の、突出部341aに面している部分と、内周ヨーク部331と、を通じて底面ヨーク部330に至る磁路である。
内周鉄心本体241及び242を含む内周積層鉄心240bと内周積層鉄心240bに接合される突出部(341a及び342bを含む)は、全体として「ロータ内周鉄心」を形成し、外周鉄心本体251及び252を含む外周積層鉄心250bと外周積層鉄心250bに接合される突出部(351a、352a及び352bを含む)は、全体として「ロータ外周鉄心」を形成する。そして、上記のような副界磁磁束の磁路が形成されるように、ロータ内周鉄心及びロータ外周鉄心並びに界磁巻線部を形成及び配置する。これにより、副界磁磁束の発生時には、永久磁石による主界磁磁束と界磁巻線による副界磁磁束の合成磁束が、ステータ210の電機子巻線の鎖交磁束となる。
第8変形構造に係るモータでも、第6変形構造に係るモータ(図25等参照)と同様の作用及び効果が得られる。
また、上述の説明から明らかであるが、内周鉄心本体242の界磁巻線ヨークFY’側には、突出部を設けない(図48参照)。仮に、内周鉄心本体242の界磁巻線ヨークFY’側にも突出部を設けたならば、図48の断面図上のステータ210下方に位置するロータ鉄心部分と界磁巻線部とで閉磁路が形成されてしまい、副界磁磁束がステータ210の電機子巻線を鎖交しなくなるからである。このような事態の発生を避けるべく、内周鉄心本体242と内周ヨーク部331との間の空隙長を十分に大きくとる。例えば、その空隙長をステータ−ロータ間の空隙長(即ち、空隙AG及びAGの長さ)の5倍〜数10倍とする。
ロータ内周鉄心−ロータ外周鉄心間に設けられる空隙(352bAG又は352bAG’)について説明を加える。空隙352bAGと空隙352bAG’の形状は同じであるため、空隙352bAGに注目して説明を行う。図43(b)に示す如く、XY座標面上において、空隙352bAGは、第1の扇型から第2の扇型を除去して残る弓形図形を成す。第1及び第2の扇型の中心角は90度である。XY座標面上において、第2の扇型の半径は、内周積層鉄心240bの外周円の半径と合致し(但し、この合致は必須ではない)、第1の扇型の半径は、内周積層鉄心240bの外周円の半径よりも大きいが外周積層鉄心250bの内周円の半径よりも小さい。
第8変形構造では(図36及び図42も参照)、永久磁石232bの両極間方向における永久磁石232bの長さ(即ち、Z軸に直交する方向における永久磁石231bの長さ)を永久磁石の厚みTm’と捉えると共に、Z軸方向における永久磁石232bの長さを永久磁石の幅Lm’と捉える。更に、Z軸に直交する方向における空隙352bAGの長さ(即ち、図42の上下方向における、空隙352bAGの長さ)を空隙の厚みTa’として捉えると共に、Z軸方向における空隙352bAGの長さ(即ち、図42の左右方向における、空隙352bAGの長さ)を空隙の幅La’として捉える。空隙の厚みは、上述したように、d軸方向における空隙352bAGの長さである。
そして、(Lm’+La’)に対する空隙幅La’の比率(即ち、La’/(Lm’+La’))を空隙幅比率として、且つ、Tm’に対する空隙厚みTa’の比率(即ち、Ta’/Tm’)を空隙厚み比率として取り扱った上で、第1実施形態の基本構造の説明で述べた空隙厚み比率の設定方法を適用すればよい。即ち、「Ta’≦0.5×Tm’」が成立するような空隙(352bAG又は352bAG’)をロータ内周鉄心−ロータ外周鉄心間に配置すると共に、空隙幅比率に応じて空隙厚み比率の下限を設定すればよい。
<<第3実施形態>>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態では、第1又は第2実施形態で説明したモータを利用したモータ駆動システムを説明する。
図49は、第3実施形態に係るモータ駆動システムの全体ブロック図である。モータ駆動システムは、モータ401と、モータ401内の電機子巻線に電機子電流を供給してモータ401内のロータを回転駆動するPWM(Pulse Width Modulation)インバータ402と、マイクロコンピュータ等にて形成され、PWMインバータ402を介してモータ401を制御するモータ制御装置403と、電流センサ411と、を備える。
モータ401は、第1又は第2実施形態で述べた任意のモータである。モータ401に設けられたステータの各スロットにコイルを巻き、各コイルを適切に結線することにより、モータ401は、三相式の永久磁石同期モータとして形成される。このため、モータ401のステータには、U相、V相及びW相の電機子巻線が設けられる。
PWMインバータ402からモータ401に供給される電機子電流のU相成分、V相成分及びW相成分は、電流センサ411によって検出され、モータ制御装置403は、その検出値に基づいて、モータ410におけるロータが所望の回転速度で回転するようにPWMインバータ402を制御する。PWMインバータ402は、その制御に従った三相交流電圧を電機子巻線に印加して電機子電流を供給することにより、ロータを回転駆動する。
モータ制御装置403は、PWMインバータ402を制御する際、公知のベクトル制御を用いることができる。そして、モータ401の高速回転域では、必要に応じて、負のd軸電流がモータ401の電機子巻線に供給されるようにPWMインバータ402を制御することにより弱め界磁制御を実現する。尚、ベクトル制御の際に導出すべきd軸の位相(いわゆる磁極位置)は、電流センサ411の検出値に基づく推定処理によって、或いは、磁極位置センサ(ホール素子、レゾルバ等)を用いた検出処理によって導出される。また、界磁巻線部を有するモータ(上述の第6又は第8変形構造に係るモータ)をモータ401として用いる場合は、界磁巻線FW又はFW’に界磁電流を供給するための界磁回路をPWMインバータ402に含めておき、電機子巻線に負のd軸電流を供給する代わりに、界磁巻線FW又はFW’に界磁電流を供給することによって弱め界磁制御を実現することができる。
また、上記のモータ駆動システムが適用される機器として、圧縮機500を図50に示す。図50は、圧縮機500の外観図である。図49に示すモータ駆動システムが、圧縮機500に設けられる。圧縮機500は、モータ401の回転力(厳密にはモータ401におけるロータの回転力)を駆動源として冷媒ガス(不図示)の圧縮を行う。圧縮機500の種類は任意である。例えば、圧縮機500は、スクロール圧縮機、レシプロ圧縮機またはロータリ圧縮機である。
<<変形等>>
上述した説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。上述の実施形態の変形例または注釈事項として、以下に、注釈1〜注釈3を記す。各注釈に記載した内容は、矛盾なき限り、任意に組み合わせることが可能である。
[注釈1]
第1及び第2実施形態において、1つのロータ内に設けられる複数の永久磁石の形状及び大きさがその複数の永久磁石間で全て同じである場合を上述したが、それらは複数の永久磁石間で異なっていてもよい。同様に、第1実施形態において、1つのロータ内に設けられる複数の空隙の形状及び大きさがその複数の空隙間で全て同じである場合を上述したが、それらは複数の空隙間で異なっていてもよい。
[注釈2]
第1及び第2実施形態に述べたロータ内に設けられる非磁性体(図4の非磁性体25〜28など)は、空気で満たされるべき、単なる空間であってもよい。
[注釈3]
モータ制御装置403の機能の一部または全部は、例えば汎用マイクロコンピュータ等に組み込まれたソフトウェア(プログラム)を用いて実現される。勿論、ソフトウェア(プログラム)ではなく、ハードウェアのみによって、或いは、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって、モータ制御装置403を形成することも可能である。

Claims (12)

  1. 永久磁石、前記永久磁石よりも内周側に位置する内周鉄心及び前記永久磁石よりも外周側に位置する外周鉄心を結合して形成されるロータを備え、
    前記永久磁石の両極間方向における前記永久磁石の厚みをTとした場合、
    前記ロータの前記外周鉄心と前記内周鉄心の間に、(1/2×T)以下の厚みを有する空隙を設けた
    ことを特徴とする永久磁石同期モータ。
  2. 前記永久磁石が作る磁束の向きにd軸をとった場合、
    (1/2×T)以下とされる前記空隙の厚みは、前記d軸方向における前記空隙の長さである
    ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石同期モータ。
  3. 前記空隙の厚みは、(1/5×T)以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の永久磁石同期モータ。
  4. 前記永久磁石は、2つの永久磁石を含んで1極分の永久磁石を形成し、
    前記空隙は、前記2つの永久磁石間に配置される
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の永久磁石同期モータ。
  5. 前記空隙は、前記永久磁石の両極間方向に直交する方向における前記永久磁石の端面に隣接している
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の永久磁石同期モータ。
  6. 前記空隙と前記永久磁石は、前記ロータの回転軸に直交する面方向に隣接している
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の永久磁石同期モータ。
  7. 前記ロータの前記内周鉄心及び前記外周鉄心は、前記ロータの回転軸方向に複数の鋼板を積層することによって形成される
    ことを特徴とする請求項6に記載の永久磁石同期モータ。
  8. 前記ロータの前記内周鉄心及び前記外周鉄心は、夫々、前記ロータの回転軸方向に複数の鋼板を積層することによって形成される内周積層鉄心及び外周積層鉄心を含み、
    前記内周積層鉄心及び前記外周積層鉄心の夫々に対して、前記ロータの回転軸方向に突出した磁性材料から成る突出部が結合され、
    前記空隙は、前記内周積層鉄心に結合された突出部と前記外周積層鉄心に結合された突出部との間に設けられる
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の永久磁石同期モータ。
  9. 前記ロータの回転軸方向における端部の外側に配置された、界磁巻線及び界磁巻線ヨークから成る界磁巻線部を更に備え、
    前記界磁巻線部による磁束発生時において、前記永久磁石の発生磁束と前記界磁巻線部の発生磁束の合成磁束が当該永久磁石同期モータのステータの電機子巻線を鎖交する
    ことを特徴とする請求項8に記載の永久磁石同期モータ。
  10. 前記界磁巻線部の発生磁束が、前記突出部及び空隙を介しつつ、前記界磁巻線ヨーク、前記内周鉄心及び前記外周鉄心並びに前記ステータの鉄心を経由する磁路を通るように、前記突出部及び前記界磁巻線ヨークは形成されている
    ことを特徴とする請求項9に記載の永久磁石同期モータ。
  11. 請求項1〜請求項3の何れかに記載の永久磁石同期モータと、
    前記モータに電機子電流を供給して前記モータを駆動するインバータと、
    前記インバータを介して前記モータを制御するモータ制御装置と、を備えた
    ことを特徴とするモータ駆動システム。
  12. 請求項11に記載のモータ駆動システムに備えられた永久磁石同期モータの回転力を駆動源とする圧縮機。
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