JPWO2009072443A1 - 放射性廃液の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Abstract

ナトリウム塩を含有する放射性廃液の処理方法であって:ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜の両側に陽電極、陰電極を設置した電解槽の陽極室に、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種を含む放射性廃液を供給して、この放射性廃液の電気透析を行い;前記陰極室にて、前記透過膜を透過したナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして前記放射性廃液から分離し;前記陽極室に残留した放射性物質を、放射性物質濃縮溶液として前記放射性廃液から分離し;分離された前記水酸化ナトリウムおよび前記放射性物質濃縮溶液をそれぞれ回収する放射性廃液の処理方法。

Description

本発明は、放射性廃液の処理方法および処理装置に関する。さらに詳しくは、原子力施設、特に再処理施設から排出される炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムあるいは水酸化ナトリウムを主成分とする放射性廃液の電気透析を行い、ナトリウムを選択的に除去することにより、放射性物質を分離し、回収する放射性廃液の処理方法および処理装置に関する。
本願は、2007年12月05日に日本出願された特願2007−315152号に基づき優先権を主張し、その内容を取り込むものとする。
原子力施設、特に使用済み核燃料の再処理施設からは、主に無機塩として硝酸ナトリウム(NaNO)を多量に含む放射性廃液が発生する。この廃液中の硝酸ナトリウムからナトリウムを分離する分離除去技術の開発が進められている。
例えば、アメリカ合衆国エネルギー省(United States Department of Energy、DOE)では、Naイオン電導体膜(NASICON膜、Na Super Ionic Conductor)あるいは有機性陽イオン交換膜を用いて、硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃液からナトリウムイオン(Na)を分離する方法が検討されており、Naイオン電導体膜あるいは有機性陽イオン交換膜が、ナトリウムイオンを水酸化ナトリウム(NaOH)として回収可能なことが実証されている。
放射性廃液に含まれる放射性核種を、硝酸ナトリウムから分離する技術としては、廃液に多くの試薬を加えることにより、主要な核種毎に共沈させた後、限外ろ過膜などを介して、固形分を分離する方法が用いられている。この方法では、多くの試薬が加えられるため、廃液量が増加する。これに加え、特定の核種に関して、放射性核種がどの程度除去されたかを表す除染係数(DF)は100程度が限界であり、放射性廃液中の放射性核種の除去効率が低かった。
一方、再処理工程から発生する硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃液(低レベル濃縮廃液)の減容化を図る技術としては、ナトリウム選択透過膜を用いた電気透析法が挙げられる。この技術は、ナトリウムのみを放射性廃液から分離し、回収することにより、放射性廃液を減容化できる可能性がある。そのため、有機膜(Nafion(登録商標)など)、無機膜(NASICON膜)などを用いた廃液の処理試験が行われている。
ナトリウム選択透過膜を用いた電気透析法により、放射性物質を含む廃液および/または放射性物質を含まない廃液からナトリウムを回収する技術としては、非特許文献1〜5などの論文が公表され、公知の技術となっている。
非特許文献1〜5では、NASICON膜を用いた電気透析法により、硝酸ナトリウムを含む放射性廃液(低レベル放射性濃縮廃液)、あるいは、パルプ工場などから発生するナトリウムを含む廃液から、ナトリウムを回収する技術が開示されている。
この技術では、陽極室に対象とする廃液を供給し、陰極室に水酸化ナトリウム水溶液を充填し、電解槽の陽極室と陰極室の隔膜としてNASICON膜を用いて、電気透析を行うことにより、ナトリウムイオンを陽極室から陰極室へ移動させている。
また、非特許文献1〜4では、多種の放射性核種を含む放射性廃液から、ナトリウムと同族であるセシウム137(Cs−137)を含まずに、ナトリウムのみを分離して、回収することができる旨の報告がなされている。
また、放射性廃液の減容化を図る技術としては、次のような技術が開示されている。
例えば、高濃度のナトリウム塩を含む放射性廃液からナトリウムおよび酸を回収して、この廃液の減容化、並びに、ナトリウムおよび酸の再利用を図るための技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、陽電極と陰電極の間に、二枚のバイポーラ膜を配置し、このバイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交換膜、陰電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞれ配置して電気透析を行う。これにより、ナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして、ナトリウム塩を含む放射性廃液から分離し、回収することができるとともに、陰イオンを酸として、ナトリウム塩を含む放射性廃液から分離し、回収することができる。
また、再処理施設から発生する低レベル放射性濃縮廃液の主成分である硝酸ナトリウムを、廃ガス系に負荷を与えるNOxを発生させることなく、大幅減容するとともに、分解生成物を再利用して放射性処理系のクローズド化を図るための技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、使用済み核燃料の再処理施設から発生する低レベル放射性濃縮廃液を、カチオン交換膜およびアニオン交換膜を有する電解セルに供給する。これにより、陰極側に水酸化ナトリウムを生成して、放射性濃縮廃液から分離し、回収することができるとともに、陽極側に硝酸を生成して、放射性濃縮廃液から分離し、回収することができる。
S.Balagopal,et al.,Selective sodium removal from aqueous waste streams with NaSICON ceramics,Separation and Purification Technology 15(1999) 231−237. D.E.Kurath,et al.,Caustic recycle from high−salt nuclear wastes using a ceramic−membrane salt−splitting process,Separation and Purification Technology 11(1997) 185−198. D.T.Hobbs,Radioactive Demonstration of Caustic Recovery from Low−Level Alkaline Nuclear Waste by an Electrochemical Separation Process,WSRC−TR−97−00363(1998). Proceeding of Efficient Separations and Processing Crosscutting Program,1995,1996,1997. Ceramatec,Inc.,Energy Efficient Process for Recycling Sodium Sulfate Utilizing Ceramic Solid Electrolyte,DOE contact No.DE−FC02−95CE41158(1999). 特開2000−321395号公報 特開平4−283700号公報
上記のように、電気透析法により、硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃液(低レベル放射性濃縮廃液)から、ナトリウムを分離、回収した場合、陰極室には、放射性核種を含まない水酸化ナトリウムが生成し、低レベル放射性濃縮廃液をある程度、減容することができる。
しかしながら、陽極室には、放射性核種を含んだ硝酸が生成するため、減容化の観点からは、さらに硝酸を処理する必要がある。また、厚みが数mmの非常に薄いナトリウムイオン選択透過膜を介して、強アルカリと強酸の液が存在する状態のため、透過膜が破損した時の化学的危険性が非常に高いという問題がある。
また、NASICON膜を用いた電気透析法により、低レベル放射性濃縮廃液から、ナトリウムイオンを分離、回収した場合、時間の経過にともなって、ナトリウムイオンの移動効率の低下、および、浴電圧の上昇が見られる。これらの現象は、電気透析法によって低レベル放射性濃縮廃液の減容を実施する上では、コストの増加や器材への負荷上昇につながるため、不利である。
また、この電気透析法により、低レベル放射性濃縮廃液から、放射性核種を含まない水酸化ナトリウムを分離し、回収することができるものの、その一方で、放射性核種を含む硝酸が生成するため、放射性核種のみを濃縮し、効率よく減容化することができなかった。
また、電解槽の隔膜として、カチオン交換膜を用いた場合、ナトリウムイオンのみならず放射性核種も移行してしまう。また、ナトリウムを分離し、回収することにより生成した放射性核種を含む酸から、酸を回収するために、バイポーラ膜やアニオン交換膜が用いられる。しかしこの場合においても、カチオン交換膜の場合と同様に、陰イオンのみならず放射性核種も移行してしまうため、放射性核種を含まない酸のみを回収することができない。さらに、バイポーラ膜やアニオン交換膜は有機膜であるから、NASICON膜のような無機膜とは異なり、耐放射線性能が十分ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、放射性核種を含む硝酸を生成することなく、硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃液からナトリウムイオンを分離、回収し、安全かつより効率的に放射性廃液の減容化を行うことができる放射性廃液の処理方法および処理装置を提供することを目的とする。
本発明の放射性廃液の処理方法は、ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜の両側に陽電極、陰電極を設置した電解槽の陽極室に、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種を含む放射性廃液を供給した上で、この放射性廃液の電気透析を行い;前記陰極室にて、前記透過膜を透過したナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして前記放射性廃液から分離し;前記陽極室に残留した放射性物質を、放射性物質濃縮溶液として前記放射性廃液から分離し;分離された前記水酸化ナトリウムおよび前記放射性物質濃縮溶液をそれぞれ回収する。
前記水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種は、放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウムを塩転換することにより生成してもよい。
前記塩転換は、還元剤を用いる化学反応による処理方法および/または電解を用いてもよい。
前記還元剤を用いる化学反応による処理方法は、触媒存在下および/または高温高圧条件下において処理されてもよい。
本発明の放射性廃液の処理装置は、硝酸ナトリウムを、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種に塩転換する塩転換装置と;ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜、前記透過膜を介して設けられた陽極室および陰極室、並びに、前記透過膜の両側にそれぞれ設置された陽電極および陰電極を有する電気透析装置と;を備える。
本発明の放射性廃液の処理方法によれば、ナトリウム塩を含有する放射性廃液の処理方法であって、ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜の両側に陽電極、陰電極を設置した電解槽の陽極室に、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムの少なくとも1種を含む放射性廃液を供給して、この放射性廃液の電気透析を行う。そして、前記陰極室にて、前記透過膜を透過したナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして分離し、前記陽極室に残留した放射性物質を、放射性物質濃縮溶液として分離し、分離された水酸化ナトリウムおよび放射性物質濃縮溶液をそれぞれ回収する。そのため、放射性廃液から放射性核種を含まないナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして分離し、回収することができるとともに、放射性廃液から放射性核種のみを分離し、濃縮することが可能である。そのため、廃棄体の種類および総数を減らすことが可能となり、分離されたナトリウムの取り扱いが容易となる。
また、系内に硝酸イオンが存在することが無いため、硝酸イオンに起因する環境負荷をなくすことができる。
加えて、陽極室に放射性核種を含んだ硝酸が生成することはなく、厚みが数mmの非常に薄いナトリウムイオン選択透過膜を介して、強アルカリと強酸の液が存在せず、透過膜が破損した時の化学的危険を低減することが出来る。
さらに、従来の電気透析法を用いた放射性廃液の処理方法よりも減容率が高く、ナトリウムの移動効率が高く、かつ、電解槽に設けられた透過膜の寿命も長くなるので、処理費用および最終処分用地を大幅に削減することができる。
本発明の放射性廃液の処理装置によれば、ナトリウム塩を含有する放射性廃液の処理装置であって、硝酸ナトリウムを、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種に塩転換する塩転換装置と、ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜、前記透過膜を介して設けられた陽極室および陰極室、並びに、前記透過膜の両側にそれぞれ設置された陽電極および陰電極を有する電気透析装置と、を備えたので、放射性廃液から放射性核種を含まないナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして分離し、回収することができる。また、これとともに、放射性廃液から放射性核種のみを分離し、濃縮することができる。そのため、放射性廃液の減容率を高くすることができる。
また、放射性廃液に含まれる、濃縮した放射性核種の濃度を、高レベル放射性廃棄物に含まれる放射性核種の濃度と同等とすることにより、放射性廃液を二極化することができる。
さらに、従来の電気透析法を用いた放射性廃液の処理方法よりも減容率が高く、ナトリウムの移動効率が高く、かつ、電解槽に設けられた透過膜の寿命も長くなるので、処理費用および最終処分用地を大幅に削減することができる。
図1は、本発明の放射性廃液の処理装置の一実施形態を示す概略構成図である。
符号の説明
10 放射性廃液処理装置
11 塩転換装置
12 電気透析装置
13 透過膜
14 陽極室
15 陰極室
16 電解槽
17 放射性廃液貯留槽
18 陽極液受槽
19 蒸発装置
20 凝縮装置
21 凝縮水貯留槽
22 第一のガス処理装置
23 第二のガス処理装置
24 陰極液受槽
本発明の放射性廃液の処理方法および処理装置の実施形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
図1は、本発明の放射性廃液の処理装置の一実施形態を示す概略構成図である。
この実施形態の放射性廃液の処理装置(以下、「放射性廃液処理装置」と言う。)10は、塩転換装置11と、電気透析装置12と、放射性廃液貯留槽17と、陽極液受槽18と、蒸発装置19と、凝縮装置20と、凝縮水貯留槽21と、第一のガス処理装置22と、第二のガス処理装置23と、陰極液受槽24とから概略構成されている。
また、電気透析装置12は、電解槽16と、この電解槽16を陽極室14および陰極室15に分割する透過膜13と、陽極室14内に設置された陽電極(図示略)と、陰極室15内に設置された陰電極(図示略)とを備えている。すなわち、陽電極と陰電極は、透過膜13の両側にそれぞれ設置されている。
塩転換装置11は、放射性廃液貯留槽17から供給される放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウム(NaNO)を塩転換し、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)および炭酸ナトリウム(NaCO)のうち少なくとも1種とするための装置である。
この塩転換装置11としては、還元剤を用いる化学反応による処理方法、および/または、電解を用いた処理方法を用いた装置が挙げられる。還元剤を用いる化学反応による処理方法については、触媒存在下および/または高温高圧条件下において処理する方法を用いた装置でもよい。
還元剤を用いる化学反応による処理方法を用いた装置としては、例えば、硝酸ナトリウムを含む放射性廃液に、ホルマリン、ヒドラジンおよびギ酸のうち少なくとも1種を還元剤として投与して、還元反応を進行させる装置が挙げられる。
さらに、還元剤を用いる化学反応による処理方法であって、触媒存在下において処理する方法を用いた装置としては、例えば、銅触媒が共存する中で硝酸ナトリウムを含む廃液に還元剤を投与し、硝酸イオンを窒素やアンモニアに還元する装置が挙げられる。また、還元剤を用いる化学反応による処理方法であって、高温高圧条件下において処理する方法を用いた装置としては、例えば、硝酸ナトリウムを含む廃液に還元剤を加え、溶液を高温、高圧として硝酸イオンを分解する装置が挙げられる。
また、電解を用いた処理方法を用いた装置としては、例えば、硝酸イオンを含む廃液に塩化ナトリウムを溶解し、電解により生じる次亜塩素酸ナトリウムにより硝酸イオンを窒素(アンモニア)に還元することの出来る装置が挙げられる。
電気透析装置12の透過膜13としては、ナトリウムイオンを選択的に透過し、セラミックスなどからなる膜が用いられ、例えば、Naイオン電導体膜(NASICON膜、Na Super Ionic Conductor)、β−アルミナなどからなるナトリウムイオン選択透過膜などが挙げられる。
電気透析装置12の陽電極としては、寸法安定電極(Dimensionally Stable Electrode、DSE)、白金めっきしたチタン電極などが用いられる。
電気透析装置12の陰電極としては、白金めっきしたチタン電極などが用いられる。
電気透析装置12は、流路を介して、第一のガス処理装置22に接続されている。
この第一のガス処理装置22は、電気透析装置12における放射性廃液の電気透析により陽極室で発生した酸素または二酸化炭素を、吸着材に吸着させて回収するか、あるいは、安全な状態で外部へ排出するようになっている。また、第一のガス処理装置22は、電気透析中の陽極室14内の放射性廃液のpHの変化にともなって放出される放射性ガスを分離し、回収するようになっている。
第二のガス処理装置23は、電気透析装置12における放射性廃液の電気透析により陰極室で発生した水素に所定の空気を加え、触媒存在下で水に酸化させ外部に放出させる。
次に、この放射性廃液処理装置10の作用を説明するとともに、この実施形態の放射性廃液の処理方法を説明する。
まず、塩転換装置11にて、放射性廃液貯留槽17に一時的に貯留されている、使用済み核燃料の再処理施設などの原子力施設から発生した放射性廃液を塩転換処理する。
この放射性廃液は、硝酸ナトリウムを主成分とし、放射性核種を含む液である。塩転換処理は、この放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウムを水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種とする処理である。
塩転換処理は、還元剤を用いる化学反応による処理方法、および/または、電解を用いた処理方法である。さらに、還元剤を用いる化学反応による処理方法は、触媒存在下および/または高温高圧条件下において処理する方法でもよい。
還元剤を用いる化学反応としては、例えば、硝酸ナトリウムを含む廃液に、ホルマリン、ヒドラジンおよびギ酸のうち少なくとも1種を還元剤として投与することによる還元反応が挙げられる。
さらに、還元剤を用いる化学反応による処理方法であって、触媒存在下において処理する方法としては、例えば、銅触媒が共存する中で硝酸ナトリウムを含む廃液に還元剤を投与し、硝酸イオンを窒素やアンモニアに還元させる反応が挙げられ、還元剤を用いる化学反応による処理方法であって、高温高圧条件下において処理する方法を用いた装置としては、例えば、硝酸ナトリウムを含む廃液に還元剤を加え、溶液を高温、高圧として硝酸イオンを分解する反応が挙げられる。
また、電解を用いた処理方法としては、例えば、硝酸イオンを含む廃液に塩化ナトリウムを溶解し、電解により生じる次亜塩素酸ナトリウムにより硝酸イオンを窒素(アンモニア)に還元する反応が挙げられる。
次いで、塩転換処理が施され、硝酸ナトリウムを水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種のナトリウム塩を高濃度に含有する放射性廃液を、陽極液受槽18へ送り込む。
ここで、ナトリウム塩を高濃度に含有する放射性廃液とは、具体的に、ナトリウム塩を1mol/L以上含有し、好ましくはナトリウム塩を1mol/L以上、35mol/L以下含有する液である。
次いで、陽極液受槽18内の放射性廃液が所定量に達したら、放射性廃液を電気透析装置12の陽極室14へ送り込む。
一方、電気透析装置12の陰極室15には、あらかじめ低濃度の水酸化ナトリウム水溶液を供給しておく。あらかじめ陰極室15に供給しておく水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、効率よく電気透析の行える濃度範囲とし、好ましくは、0.1mol/L以上、5mol/L以下とすることがよい。
次いで、電気透析装置12にて、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種のナトリウム塩を含有する放射性廃液の電気透析を行う。
電気透析を行う際の電気透析装置12の電解槽16(陽極室14および陰極室15)の温度は、放射性廃液に含まれるナトリウム塩の種類や濃度に応じて適宜設定されるが、室温(20℃)以上、100℃以下でもよい。
この放射性廃液の電気透析により、上記のナトリウム塩を起源とするイオン(ナトリウムイオン(Na)、水酸化物イオン(OH)、炭酸水素イオン(HCO )、炭酸イオン(CO ))のうち、ナトリウムイオン(Na)のみが選択的に透過膜13を透過し、陽極室14から陰極室15の水酸化ナトリウム水溶液中へ移動する。
一方、陽極室14にて、放射性廃液に含まれる水酸化ナトリウムは、電気透析中において、ナトリウムイオンの分離、回収の進行にともなって、水酸化物イオン(OH)が水として回収される。この時、陽極室14において、下記の式(1)に示す水酸化物イオンに関する化学反応が進行する。
4OH→2HO+O↑+4e (1)
また、陽極室14にて、炭酸水素ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムは、電気透析中において、ナトリウムイオンの分離、回収の進行にともなって、陽極室14内の放射性廃液のpHが低下する。そのため、炭酸水素イオン(HCO )および/または炭酸イオン(CO )が二酸化炭素として陽極室14から排出され、結果として水として回収される。この時、陽極室14において、下記の式(2)に示す炭酸水素イオンに関する化学反応が進行する。
2HCO +2OH→2HO+2CO↑+O↑+4e (2)
また、陽極室14において、下記の式(3)、(4)に示す炭酸イオンに関する化学反応が進行する。
CO +HO→HCO +OH (3)
2HCO +2OH→2HO+2CO↑+O↑+4e (4)
なお、電気透析装置12における放射性廃液の電気透析により発生した酸素や二酸化炭素は、第一のガス処理装置22へ送られ、吸着材に吸着させて回収されるか、あるいは、安全な状態で外部へ排出される。
次いで、透過膜13を透過し、陽極室14から陰極室15へ移動したナトリウムイオンにより、陰極室15中の水酸化ナトリウム水溶液の濃度が次第に高くなる。そして、その濃度が所定濃度に達したら、水酸化ナトリウム水溶液を陰極液受槽24へ送り込む。
次いで、陰極液受槽24にて、一部の水酸化ナトリウム水溶液が回収される。陰極液受槽24に残された水酸化ナトリウム水溶液は、所定濃度に希釈され、再び陰極室15へ送り込まれ、電気透析装置12における放射性廃液の電気透析に用いられる。
また、電気透析装置12における放射性廃液の電気透析が進行し、陽極室14におけるナトリウム濃度を所定濃度まで減少させた後、この放射性核種を含む溶液(放射性核種濃度は、電気透析前後で変化しない。(濃縮前))を、陽極液受槽18を介して、蒸発装置19へ送り込む。
次いで、蒸発装置19にて、陽極室14から送られてきた溶液を蒸留し、この溶液から放射性核種を分離し、回収する。
そして、この分離、回収された放射性核種は、ガラス固化設備あるいはセメント固化設備へ送られ、ガラスあるいはセメントにより固化される。
また、この蒸留工程によって生成した水を、凝縮装置20にてさらに凝縮し、ここで生成した凝縮水を凝縮水貯留槽21に貯留する。
また、蒸留後の溶液の一部は、陽極液受槽18を介して、再び陽極室14へ送り込まれ、電気透析装置12における放射性廃液の電気透析に用いられる。
この実施形態の放射性廃液処理装置10およびこれを用いた放射性廃液の処理方法によれば、放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウムを塩転換処理して、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種のナトリウム塩とした後、ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜を用いて、このナトリウム塩を含有する放射性廃液の電気透析を行う。そのため、放射性廃液から放射性核種を含まないナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして分離し、回収することができるとともに、放射性廃液から放射性核種のみを分離し、濃縮することができる。その結果、放射性廃液の減容率を高くすることができる。具体的には、放射性廃液を、その処理前の原液の1/1000〜1/100程度以下に減容化することができる。減容化することにより、廃棄体の種類および総数を減らすことが可能となる。また、分離されたナトリウムの取り扱いが容易となる。また、従来の電気透析法を用いた放射性廃液の処理方法よりも減容率が高く、ナトリウムの移動効率が高く、かつ、電解槽に設けられた透過膜の寿命も長くなるので、処理費用および最終処分用地を大幅に削減することができる。
また、放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウムを塩転換処理してナトリウム塩を生成し、このナトリウム塩を含む放射性廃液の電気透析を行うので、放射性核種を含む酸(硝酸)などが発生しない。そのため、濃縮された放射性廃液の処理を簡素化することができる。さらに、硝酸ナトリウムを塩転換処理してナトリウム塩を生成することにより、硝酸イオンに起因する環境負荷をなくすことができる。
なお、この実施形態では、放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウムを塩転換処理して、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種のナトリウム塩とした後、ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜を用いて、このナトリウム塩を含有する放射性廃液の電気透析を行った場合を例示した。しかし、本発明はこれに限定されず、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種のナトリウム塩を含む放射性廃液の電気透析でもよい。この場合も上述の実施形態と同様の効果を奏する。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
図1に示す放射性廃液処理装置を用いて、塩転換処理と電気透析について、別々に試験を実施した。
(実施例1:塩転換処理)
触媒の存在下、還元剤を用いた化学反応による硝酸イオンの塩転換処理に係わる反応性を確認するために、以下の試験を行った。
硝酸イオン(NO )濃度が80000mg/mLの硝酸ナトリウム(NaNO)溶液0.5Lに、白金−銅(Pd−Cu)系触媒を加えて攪拌し、さらに、還元剤として、所定量のヒドラジンまたはホルムアルデヒドを加えた。
反応開始から所定時間毎に、この溶液の液相を採取して、この液相を化学分析するとともに、生成したガスの組成分析を行うことにより、酸化還元反応に係わる化学種を定量した。
酸化還元反応に対する触媒添加量、還元剤添加量、温度および反応溶液(ここでは、硝酸ナトリウム溶液)のpHの影響を調べて、還元剤の添加終了後、速やかに反応が終了点に到達する適正条件を見出した。
硝酸ナトリウムに関する主な酸化還元反応は、下記の式(5)、(6)で表される。
この実施例では、硝酸イオンの90%以上が窒素(N)となり、微量のアンモニウムイオン(NH )、アンモニア(NH)、亜酸化窒素(NO)などが生成することが明らかとなり、硝酸ナトリウムが、水酸化ナトリウムあるいは、炭酸ナトリウムに塩転換された。
4NaNO+5N→7N+4NaOH+8HO (5)
4NaNO+5HCHO+6NaOH→2N+5NaCO+8HO (6)
一例として、ヒドラジンと硝酸ナトリウムとの比率と、分解率(硝酸+亜硝酸)との関係において、還元剤の添加量を反応当量(N/NaNO=1.25(mol/mol))付近に調整することにより、硝酸イオンと還元剤の残留濃度は最小になることから、還元剤の添加量を制御することによって、硝酸イオンの分解効率を非常に高くすることができることが確認された。
(実施例2:電気透析1)
硝酸ナトリウムを塩転換して、炭酸ナトリウムを生成し、この炭酸ナトリウムを含有する溶液の電気透析を行った場合、電気透析中のナトリウムイオンの回収時に、炭酸イオンが分解し、二酸化炭素が発生することが予測される。このような炭酸イオンの分解反応を確認するために、以下の試験を行った。
透過膜として、カチオン交換膜(Nafion N−450膜、Du Pon社製)、陽電極として寸法安定電極(DSE)、陰電極として白金めっきしたチタン電極を用いた電気透析装置の陽極室に、1.8mol/L(ナトリウム換算で3.6mol/L)の炭酸ナトリウム水溶液を供給した。一方、この電気透析装置の陰極室に、3.6mol/L(ナトリウム換算で3.6mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液を供給した。
次いで、室温にて、炭酸ナトリウム水溶液の電気透析を行い、電気透析中の水溶液を採取して、この水溶液を化学分析するとともに、生成したガスの組成分析を行った。
その結果、電気透析による陰極室へのナトリウムの移動が確認されるとともに、陽極室のpHの低下にともなって、二酸化炭素が発生することが確認された。これにより、炭酸イオンが、電気透析によるナトリウムイオンの分離、回収中に分解して、二酸化炭素が発生することが確認された。さらに、陽極室において、炭酸水素ナトリウムの結晶が析出しても、電気透析によるナトリウムイオンの陽極室から陰極室への移動が継続することも確認された。
(実施例3:電気透析2)
以下のような、水酸化ナトリウム水溶液の電気透析試験を行った。
透過膜として、NASICON膜、陽電極および陰電極として白金めっきしたチタン電極を用いた電気透析装置の電解槽(陽極室および陰極室)に、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を供給した。
次いで、40℃にて、水酸化ナトリウム水溶液の電気透析を行い、反応開始から所定時間毎に、電気透析中の水溶液を採取して、この水溶液を化学分析し、ナトリウム濃度の変化を調べた。また、反応開始から終了までの電解電圧および電流密度を測定した。
その結果、陰極室からナトリウムを95重量%除去することができた。この場合の電流効率は95%以上と高く、透過膜としてNASICON膜を用いた電気透析法により、水酸化ナトリウム水溶液から大量のナトリウムを効率良く除去できることが確認された。
(実施例4:電気透析3)
以下のような、炭酸ナトリウム水溶液の電気透析試験を行った。
透過膜として、NASICON膜、陽電極および陰電極として白金めっきしたチタン電極を用いた電気透析装置の電解槽(陽極室および陰極室)に、2.5mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液を供給した。
次いで、60℃にて、炭酸ナトリウム水溶液の電気透析を行い、反応開始から所定時間毎に、電気透析中の水溶液を採取して、この水溶液を化学分析し、ナトリウム濃度の変化を調べた。また、反応開始から終了までの電解電圧および電流密度を測定した。
その結果、陰極室に供給した水溶液の炭酸ナトリウム濃度が0.5mol/L以下となった時点で、抵抗の上昇にともなって電解電圧が上昇し、電流効率の低下が見られたものの、陰極室からナトリウムを95重量%除去することができた。この場合の電流効率は95%以上と高く、透過膜としてNASICON膜を用いた電気透析法により、炭酸ナトリウム水溶液から大量のナトリウムを効率良く除去できることが確認された。また、電気透析中に二酸化炭素が発生していることが確認された。
(実施例5:電気透析4)
以下のような、水酸化ナトリウム水溶液に放射性核種を添加した溶液を対象とした電気透析試験を行った。
陽極液に水酸化ナトリウム濃度を5mol/Lに調整した溶液にCs−137、Ce−139、Ru−106、Sr−85、Am−241、Np−237を添加し調整した溶液を、NASICON膜を隔膜とした電解槽に供給し、40 ℃において電気透析試験を行った。使用した放射性核種の濃度は、Cs−137(2000 Bq/mL)、Ce−139(1000 Bq/mL)、Ru−106(300 Bq/mL)、Sr−85(4000 Bq/mL)、Am−241(10 Bq/mL)、Np−237(10 Bq/mL)である。陰極液には、4mol/Lの水酸化ナトリウムを使用した。
30hの電気透析の結果、約70%のNaが陽極室から回収された。その時点での陰極液中の放射能濃度は、Cs−137を除き、検出限界以下であった。Cs−137については、微量ながら陰極液中への透過が見られた。
その結果、NASICON膜を用いた電気透析試験により、放射性核種を陽極側に濃縮し、ナトリウムの回収が行えることが確認された。
(実施例6:電気透析5)
以下のような、炭酸ナトリウム水溶液に放射性核種を添加した溶液を対象とした電気透析試験を行った。
陽極液に炭酸ナトリウム濃度を1.5mol/Lに調整した溶液にCs−137、Ce−139、Ru−106、Sr−85、Am−241、Np−237を添加し調整した溶液を、NASICON膜を隔膜とした電解槽に供給し、60 ℃において電気透析試験を行った。使用した放射性核種の濃度は、Cs−137(2000 Bq/mL)、Ce−139(1000 Bq/mL)、Ru−106(300 Bq/mL)、Sr−85(2000 Bq/mL)、Am−241(30 Bq/mL)、Np−237(30 Bq/mL)である。陰極液には、4mol/Lの水酸化ナトリウムを使用した。
30hの電気透析の結果、約70%のNaが陽極室から回収された。その時点での陰極液中の放射能濃度は、Cs−137を除き、検出限界以下であった。Cs−137については、微量ながら陰極液中への透過が見られた。
その結果、NASICON膜を用いた電気透析試験により、放射性核種を陽極側に濃縮し、ナトリウムの回収が行えることが確認された。
上記の(実施例5:電気透析4)および(実施例6:電気透析5)の試験結果から、NASICON膜を用いた電気透析法により、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウム中に含まれる放射性核種を陽極液側に濃縮し、陰極側にナトリウムを回収できることが確認された。
本発明の放射性廃液の処理方法および処理装置によれば、放射性核種を含む硝酸を生成することなく、硝酸ナトリウムを主成分とする放射性廃液からナトリウムイオンを分離、回収し、安全かつより効率的に放射性廃液の減容化を行うことができる。

Claims (5)

  1. ナトリウム塩を含有する放射性廃液の処理方法であって:
    ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜の両側に陽電極、陰電極を設置した電解槽の陽極室に、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種を含む放射性廃液を供給した上で、この放射性廃液の電気透析を行い;
    前記陰極室にて、前記透過膜を透過したナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして前記放射性廃液から分離し;
    前記陽極室に残留した放射性物質を、放射性物質濃縮溶液として前記放射性廃液から分離し;
    分離された前記水酸化ナトリウムおよび前記放射性物質濃縮溶液をそれぞれ回収する放射性廃液の処理方法。
  2. 前記水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種が、放射性廃液に含まれる硝酸ナトリウムを塩転換することにより生成する請求項1に記載の放射性廃液の処理方法。
  3. 前記塩転換が、還元剤を用いる化学反応による処理方法および/または電解を用いた処理方法である請求項2に記載の放射性廃液の処理方法。
  4. 前記還元剤を用いる化学反応による処理方法が、触媒存在下および/または高温高圧条件下において処理される請求項3に記載の放射性廃液の処理方法。
  5. ナトリウム塩を含有する放射性廃液の処理装置であって:
    硝酸ナトリウムを、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムのうち少なくとも1種に塩転換する塩転換装置と;
    ナトリウムイオンを選択的に透過する透過膜、前記透過膜を介して設けられた陽極室および陰極室、並びに、前記透過膜の両側にそれぞれ設置された陽電極および陰電極を有する電気透析装置と;を備えた放射性廃液の処理装置。
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