JP4311811B2 - 放射性廃液の処理方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力施設などから排出される放射性廃液の処理方法に関し、より詳細には放射性廃液の減容を図り、さらに水酸化ナトリウムの回収再利用を図る放射性廃液の処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在一般的に行われている低レベル放射性廃液の処理方法には、蒸発法、凝集沈殿法、イオン交換法およびこれらを組み合わせたものがある。蒸発法は、放射性廃液を加熱して水分を蒸発させることによって濃縮し減容を図るものであり、濃縮された廃液はセメントやプラスチックなどが加えられて固化される。また凝集沈殿法は、放射性廃液に凝集沈殿剤を加えて廃液中の放射性物質を凝集させた後、沈殿または濾過して除去するものであり、凝集物は固体廃棄物として別途処理される。イオン交換法は、イオン交換体を用いて放射性廃液中の放射性核種を捕集除去するものであり、使用済みのイオン交換体は固体廃棄物として別途処理される。
【0003】
高濃度のナトリウム塩を含む放射性廃液を上記従来法で処理した場合には次のような問題がある。すなわち蒸発法により処理する場合には、濃縮液に高濃度の塩が残留するため減容が十分に図れない。また凝集沈殿法により処理する場合には、放射性核種がどれだけ除去されたかを表す除染係数(以下、「DF」と記すことがある)が10〜30程度と廃液中の放射性核種の除去効率があまりよくないため、処理済み液に他の処理をさらに行う必要がある。凝集沈殿法では、凝集物はすべて不燃性の固体放射性廃棄物となり取り扱いにくいという問題がある。イオン交換法により処理する場合には、イオン交換体が目詰まりを起こすため作業性が悪く実用性に欠ける。
【0004】
そこで例えば特許第2731299号公報では、硝酸ナトリウムを含む廃液を陽イオン交換膜および陰イオン交換膜を備えた電解セルを用いて電解を行い、廃液から水酸化ナトリウムと硝酸を分離回収する技術が提案されている。しかしかかる技術では、一つの廃液処理槽に一対の電極が必要となり、多数の廃液処理槽を用いて大量に処理する場合には電極の数が多くなりその分水素及び酸素の発生量が増加する。また陽電極槽は酸性となるから陽電極は酸に対して耐性のある材質を使用しなければならないという材料選択上の制約がある。さらに処理する廃液中にはナトリウムのみならずセシウム(Cs)やコバルト(Co)、ストロンチウム(Sr)、ルテニウム(Ru)など金属陽イオンの放射性核種も含まれており、かかる金属陽イオンが陽イオン交換膜を通って水酸化ナトリウム液中に混入してしまい、回収された水酸化ナトリウムを再利用できる場所が原子力施設内に制限され、また漏洩などを防ぐため特別な管理が必要となる。
【0005】
また特公平8−29225号公報では、バイポーラ膜、陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜を組み合わせたイオン交換膜電気透析装置によって、硝酸塩を含む廃液から酸とアルカリを分離して再生回収する技術が提案されている。しかしながら、かかる技術でも、廃液中に含まれているCsやCo、Sr、Ruなど金属陽イオンの放射性核種が陽イオン交換膜を通って水酸化ナトリウム液中に混入し同様の問題が生じる。
【0006】
一方、原子力発電所などでは作業着などの洗濯によって、界面活性剤や汗などに由来する塩化物イオン(Cl-)、ナトリウムイオン(Na+)を含んだ放射性廃液が発生する。従来、かかる放射性廃液は水分を蒸発除去した後、残存物を粉体化、造粒して発電所内に保管していたが、収容量の限られた保管場にあっては、かかる残存物の一層の減容が望まれていた。一般に残存物の減容は焼却処理により行われていた。しかし放射性洗濯廃液のような塩化物イオンを含んでいる廃液の乾燥粉体には多量の塩素化合物が含まれ、かかる粉体を焼却処理すると腐食性の塩素ガスが発生する問題がある。
【0007】
放射性洗濯廃液からの塩化物イオンの除去に関しては、東北大学素材工学研究所報告「濃縮廃液からの塩化物イオンの捕集」(Vol.48,No.1/2Page9-18,1992)においては、各種無機イオン交換体を用いて濃縮廃液からの塩化物イオンの選択的捕集について検討されている。しかしイオン交換体を用いた塩化物イオンの捕集では、イオン交換体の吸着容量を超える塩化物イオンが廃液に含まれていると塩化物イオンの十分な除去ができないという問題がある。また使用済みのイオン交換体は二次廃棄物となり、結果的に放射性廃棄物の全体量がかえって増加し廃棄物の減容要請に反するという問題もある。
【0008】
また前記放射性洗濯廃液に含まれているナトリウムイオンは廃棄物として廃棄されており、資源として活用されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は高濃度のナトリウム塩を含む放射性廃液からナトリウム及び酸を回収して、該廃液の減容およびナトリウム、酸の再利用が図れる放射性廃液の処理法法を提供することにある。
【0010】
また本発明の目的は、乾燥後焼却処理しても塩素ガスを発生させることなく廃棄物の低容化が図れる放射性廃液の処理方法を提供することにある。
【0011】
さらに本発明の目的は、放射性核種の混入のない水酸化ナトリウムを放射性廃液から回収・再利用する放射性廃液の処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、陽電極と陰電極の間に2枚のバイポーラ膜を配置し、該バイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交換膜、陰電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞれ配置して電気透析を行うことにより、ナトリウム塩を含む放射性廃液からナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして、陰イオンを酸としてそれぞれ分離回収することを特徴とする放射性廃液の処理方法が提供される。
【0013】
また本発明によれば、陽電極と陰電極の間にナトリウムイオン選択透過膜を配置して電気透析を行うことにより、塩化物イオン、ナトリウムイオンを含む放射性廃液から塩化物イオンを塩素ガス、ナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして分離することを特徴とする放射性廃液の処理方法が提供される。
【0014】
ここで界面活性剤に対する汚染抵抗性や長寿命性、使用済み膜の発生量の低減などの点からナトリウムイオン選択透過膜はセラミックス製の膜が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、高濃度のナトリウム塩を含む放射性廃液から放射性核種の混入のない水酸化ナトリウム及び酸を回収し再利用することができないか鋭意検討した結果、バイポーラ膜、陰イオン交換膜、ナトリウムイオン選択透過膜を組み合わせてそれぞれ配置し電気透析を行うことにより上記目的が達成できることを見出し本願第1の発明をなすに至った。
【0016】
すなわち本願第1の発明の大きな特徴は、陽電極と陰電極の間に2枚のバイポーラ膜を配置し、該バイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交換膜、陰電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞれ配置して電気透析を行う点にある。電気透析装置の基本構造を図1に示す。電気透析装置は、ナトリウム選択透過膜3と陰イオン交換膜4とで仕切られた脱塩セル7と、それに隣接して陰極側にNaOHセル9、陽極側にHNO3セル8が設けられ、そしてNaOHセル9、HNO3セル8に隣接したそれぞれの電極側に電極液セル6が設けられている。脱塩セル7には、硝酸ナトリウム(NaNO3)の他、CsやCo、Sr、Ruなどの放射性核種を陽イオンあるいは有機物との錯イオンの形態で含んだ放射線廃液が循環して流され、NaOHセル9にはNaOH又は脱塩水、HNO3セル8にはHNO3又は脱塩水が循環して流される。また電極液セル6には電極液(例えばNaOH)が循環して流される。上記装置の両側に設けられた陽電極1、陰電極2に直流電流を印加すると、脱塩セル7を流れる放射性廃液中の陽イオン及び陰イオンが電界により逆極性の電極側へ移動する。陽イオンは陰電極側へ移動するが、ナトリウムイオンだけがナトリウム選択透過膜3を通過しNaOHセル9へ移動し、他の陽イオンは当該透過膜3を通過できずに脱塩セル3に留まる。NaOHセル9では陰極側に設置されたバイポーラ膜5により当該セル内の水の一部が水素イオンと水酸化イオンに電離され、電界作用により水酸化イオンはNaOHセル9内に、水素イオンは電極液セル6内に移動する。これらイオンの移動、すなわち脱塩セル7から移動してきたナトリウムイオンとバイポーラ膜5で発生した水酸化イオンとによりNaOHセル9でNaOHが生成し回収される。
【0017】
一方、前記放射性廃液に含まれる陰イオン、ここでは硝酸イオンは、電界作用によって陽電極側に引き寄せられる。硝酸イオンは陰イオン透過膜4を通過しHNO3セル8へ移動し、HNO3セル8の陽電極側に設置されたバイポーラ膜5で前述のように発生した水素イオンと反応して硝酸を生成し回収される。
【0018】
上記電気透析装置は説明のために必要最小限の構成のみからなるものであるが、実使用にあたっては図3に示すように複数のセルを並列的に並べたスタック構造のものが好適に使用される。
【0019】
以上のようにして放射性廃液からナトリウムイオン及び硝酸イオンが除去され、ナトリウムイオンは水酸化ナトリウムとして、硝酸イオンは硝酸として回収、再利用される。
【0020】
本発明の処理方法で処理できるナトリウム塩としては特に制限はないが、例えば硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0021】
次に第2の発明に係る処理方法について説明する。本発明者等は、原子力施設などから排出される放射性廃液から塩化物イオンを除去し、且つ当該放射性廃液に含まれるナトリウムイオンを回収し再利用できないか鋭意検討した結果、ナトリウムイオン選択透過膜を用いて当該放射性廃液を電気透析すれば塩化物イオンを塩素ガスとして効率的に除去でき、またナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして回収、再利用できることを見出し本発明をなすに至った。
【0022】
すなわち第2の発明の大きな特徴は、陽電極と陰電極の間にナトリウムイオン選択透過膜を配置して前記放射性廃液の電気透析を行うことにある。図4に電気透析装置の基本構造を示す。図4に基づいて本発明を説明すると、電気透析装置は、ナトリウムイオン選択透過膜3によって、陽電極1を備えた陽電極槽28と陰電極2を備えた陰電極槽29とに分離され、陽電極槽28へは放射性洗濯廃液が、陰電極槽29へは低濃度の水酸化ナトリウム等の電極液が供給される。放射性洗濯廃液中には、塩化物イオン及びナトリウムイオン以外にも放射性核種が微量ながら含まれており、その大部分はCsやCoなど金属元素であって、陽イオンあるいは有機物との錯イオンの形態で放射性洗濯廃液中に含まれている。そこで陽電極槽28へ供給された放射性洗濯廃液中の陽イオンは、電界によって陰電極2へ引き寄せられる。しかしナトリウムイオン選択透過膜3によって、ナトリウムイオンだけが当該透過膜3を通過して陰電極槽29へ移動することができ、残る陽イオンは陰電極槽29へ移動することができずに陽電極槽28へ留まる。また、陰電極2表面では下記反応(1)が起こり、水酸化物イオンと水素が発生する。発生した水素は気体として気相側へ移動し、水酸化物イオンは陽電極槽28から移動してきたナトリウムイオンと結合し水酸化ナトリウムとなる。
2H2O+2e-→2OH-+H2↑ ・・・(1)
【0023】
一方、前記放射性洗濯廃液に含まれる塩化物イオンは、電界によって陽電極1へ引き寄せられる。陽電極1表面では下記反応(2)、(3)が起こり塩素及び酸素が発生する。発生した塩素の一部は放射性洗濯廃液中に溶解するが、陽電極槽28の上部を十分な流速で喚起すれば廃液中に溶解している塩素も気相側へ移動させることができる。
2Cl-→Cl2↑+2e- ・・・(2)
4OH-→2H2O+O2↑+4e- ・・・(3)
【0024】
なお上記反応(3)は、陽電極槽28のpHが高いときによくすすみ、塩素発生のための電流効率低下の原因となる。しかしナトリウムイオン選択透過膜3は従来の有機系カチオン交換膜とは異なり、陰電極槽29から陽電極槽28への水酸化物イオンの移動を阻止するため、陽電極槽28の水酸化物イオン濃度は電気透析開始後すぐに十分に低くなり、反応(2)が支配的となるから実用上支障はない。また陽電極1の材質を選択することによっても反応(3)を抑制することができる。陽電極の好ましい材質としては、例えば「DSA」、「DSE」(Oronzio de Nora Impianti Electrochimici社、Henry Beer社、Diamond Shamrock社製)のチタン合金製が挙げられる。
【0025】
以上のように、電位差を駆動力とする塩化物イオン及びナトリウムイオンの移動及び陽・陰電極表面での反応により、上記放射性洗濯廃液から塩化物イオン及びナトリウムイオンが除去され、ナトリウムイオンは陰電極槽において水酸化ナトリウムとして回収、再利用される。
【0026】
本発明で使用できるナトリウムイオン選択透過膜としては従来公知のものが挙げられるが、界面活性剤に対する汚染抵抗性や長寿命性、使用済み膜の発生量の低減などの点からセラミック製のものが好ましい。具体的商品としてはセラマテック・インコーポレーデッド社製の「ナシコン(NaSICON)」などが挙げられる。セラミック製のナトリウムイオン選択透過膜の結晶構造の一例を挙げると、当該透過膜には、ナトリウムと重金属イオンを含む珪石四面体が複数個集まってリング状の構造を形成した部分と、可動性ナトリウムで満たされた伝導チャンネル部分が存在し、伝導チャンネル部分がナトリウムイオンを選択的に透過させる。他のイオンあるいは分子は、電気的反発力あるいは伝導チャンネルの大きさによる制約によって透過が阻止される。このような原理によって高いナトリウム選択透過性が実現される。
【0027】
【実施例】
以下、図面に基づいて本発明の一実施例について説明する。まず図2に本願第1の発明に係る放射性廃液の処理方法を用いた廃液処理工程の概要を示す。放射性廃液は、廃液槽14からポンプ15により中性塩槽16へ移送された後、中性塩槽16から電気透析槽19の脱塩セル7を通り中性塩槽16に戻る循環管路を放射性廃液中のナトリウムイオン及び硝酸イオンが所定濃度以下になるまでポンプ17により循環される。このときHNO3セル8には、HNO3循環槽22からポンプ23によりHNO3液が供給循環され、NaOHセル9には、NaOH循環槽25からポンプ26によりNaOH液が供給循環され、また電極液セル6には電極液槽20から電極液(NaOH)が供給循環される。
【0028】
脱塩セル7を循環する放射性廃液中のナトリウムイオン及び硝酸イオンが所定濃度以下になると、ポンプ17を停止して廃液循環を止め、処理済み廃液を中性塩槽16から脱塩液槽18へ移送する。また同様にしてHNO3セル8を循環するHNO3液が所定濃度以上になるとポンプ23を停止し循環を止め、HNO3液をHNO3循環槽22からHNO3回収槽24へ移送する。NaOH液についても同様にして循環しているNaOH液が所定濃度以上になるとポンプ26を停止して循環を止め、NaOH液をNaOH回収槽27へ移送する。
【0029】
以上の処理により放射性廃液の脱塩ができて大幅な減容が図れ、図2には示していないが、上記処理後の放射性廃液は濃縮乾燥されて粉体化・造粒され、必要により焼却処理される。なお放射性廃液に界面活性剤などが含まれていると、濃縮乾燥処理において該界面活性剤に起因する発泡が生じ、蒸気側へ不純物が移行し分離水が汚染されるといった問題が生じることがある。このため、廃液の濃縮乾燥前に発泡抑制の前処理を行ってもよい。かかる前処理としては、例えばアルカリ土類金属と鉱酸との水溶性塩類化合物を廃液に添加して界面活性剤を予め沈殿性塩類に変化させる方法、あるいは活性炭などの吸着剤と廃液に添加混合する方法などが挙げられる。もちろん発泡作用の抑制された界面活性剤を使用してもよい。
【0030】
また回収したHNO3およびNaOHは試薬として再利用が可能であり、特にNaOHについては、CsやCoなどの放射性核種の混入がないため、原子力施設以外で再利用が可能であり、また廃棄処分する場合でも非放射性廃棄物として処理できるため、放射性廃棄物に比べ取り扱いが格段によくなる。
【0031】
次に本願第2の放射性廃液の処理方法を用いた廃液処理工程の一実施例を図5示す。図5を参照して、ポンプ31によって放射性洗濯廃液は洗濯廃液槽30から洗濯廃液循環槽32へ移送される。ここで放射性洗濯廃液は、洗濯廃液循環槽32と電気透析装置34の陽電極槽28の循環管路中を塩化物イオン及びナトリウムイオンが所定濃度以下になるまでポンプ33によって循環される。また陽電極1表面で発生する塩素は陽電極槽28上部から系外へ排気される。放射性洗濯廃液中の塩化物イオン及びナトリウムイオンが所定濃度以下になると、廃液循環を停止して、塩化物イオン及びナトリウムイオンが除去された放射性洗濯廃液は脱塩液槽35へ移送される。その後当該放射性洗濯廃液は濃縮乾燥されて粉体化・造粒され、焼却処理される。なお、本発明の廃液処理後に行われる濃縮乾燥処理における界面活性剤に起因する発泡を抑制するために、本発明の廃液処理前又は後に当該放射性洗濯廃液にアルカリ土類金属と鉱酸との水溶性塩類化合物を添加して界面活性剤を予め沈殿性塩類に変化させておいてもよい。
【0032】
一方、電極液としての低濃度の水酸化ナトリウム液は、水酸化ナトリウム循環槽36と電気透析槽34の陰電極槽29との循環管路中を循環し、この間陰電極槽29では前記反応により水酸化ナトリウムが生成される。また陰電極2表面で発生する水素は、陰電極槽29上部から系外へ排気される。水酸化ナトリウム濃度が所定濃度以上となると循環を止め、当該水酸化ナトリウム液は水酸化ナトリウム回収槽38へ移送される。かかる水酸化ナトリウムは、ナトリウム選択透過膜によってCsやCoなどの放射性核種の混入が阻止されているため、再利用あるいは処分にあたって放射性物質取扱の制約を受けず、例えば試薬として使用することできる。
【0033】
【発明の効果】
本願第1の発明によれば、放射性廃液に含まれるナトリウム塩を効率的に除去することができ、放射性廃棄物の大幅な減容が図れる。また当該廃液から回収されたナトリウムは放射性核種を含まない水酸化ナトリウムとして原子力施設以外にも広く使用することができ、他方当該廃液から回収された酸は例えば試薬として使用することができる。
【0034】
また第2の発明によれば、放射性廃液に含まれるナトリウムイオン及び塩化物イオンを効率的に除去することができ、放射性廃棄物の大幅な減容が図れる。また上記第1の発明同様、廃液から回収されたナトリウムは放射性核種を含まない水酸化ナトリウムとして原子力施設以外にも広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1の発明で使用する電気透析槽の基本構造を示す図である。
【図2】本願第1の放射性廃液の処理工程の一例を示す図である。
【図3】本願第1の発明で使用する電気透析槽の一例を示す図である。
【図4】本願第2の発明で使用する電気透析槽の基本構造を示す図である。
【図5】本願第2の放射性廃液の処理工程の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 陽電極
2 陰電極
3 ナトリウムイオン選択透過膜
4 陰イオン交換膜
5 バイポーラ膜
19,34 電気透析槽
28 陽電極槽
29 陰電極槽
Claims (3)
- 陽電極と陰電極の間に2枚のバイポーラ膜を配置し、該バイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交換膜、陰電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞれ配置し、該陰イオン交換膜と該ナトリウムイオン選択透過膜との間にナトリウム塩を含む放射性廃液を流して電気透析を行うことにより、前記放射性廃液からナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして、陰イオンを酸としてそれぞれ分離回収することを特徴とする放射性廃液の処理方法。
- 陽電極と陰電極の間にナトリウムイオン選択透過膜を配置して、前記陽電極と前記ナトリウムイオン選択透過膜との間を陽電極槽、前記陰電極と前記ナトリウムイオン選択透過膜との間を陰電極槽とし、該陽電極槽の外部に設けられた洗濯廃液循環槽と該陽電極槽との間で塩化物イオン、ナトリウムイオンを含む放射性廃液を循環させて電気透析を行うことにより該放射性廃液から塩化物イオンを塩素ガス化して除去し、前記陰電極槽の外部に設けられた水酸化ナトリウム液循環槽と前記陰電極槽との間で電極液としての水酸化ナトリウム液を循環させてナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして分離回収することを特徴とする放射性廃液の処理方法。
- 前記ナトリウムイオン選択透過膜がセラミックス製の膜である請求項1又は2記載の放射性廃液の処理方法。
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