JP2000321395A - 放射性廃液の処理方法 - Google Patents

放射性廃液の処理方法

Info

Publication number
JP2000321395A
JP2000321395A JP11127419A JP12741999A JP2000321395A JP 2000321395 A JP2000321395 A JP 2000321395A JP 11127419 A JP11127419 A JP 11127419A JP 12741999 A JP12741999 A JP 12741999A JP 2000321395 A JP2000321395 A JP 2000321395A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sodium
waste liquid
radioactive
ions
positive electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11127419A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4311811B2 (ja
Inventor
Hisamitsu Shimoyama
久満 下山
Akira Wadamoto
章 和田本
Hideo Nishida
英夫 西田
Yoshiaki Tanaka
良明 田中
Junpei Nakayama
準平 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP12741999A priority Critical patent/JP4311811B2/ja
Publication of JP2000321395A publication Critical patent/JP2000321395A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4311811B2 publication Critical patent/JP4311811B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Water Treatment By Electricity Or Magnetism (AREA)
  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度のナトリウム塩を含む放射性廃液から
ナトリウム及び酸を回収して、該廃液の減容およびナト
リウム、酸の再利用を図ること、及び乾燥後焼却処理し
ても塩素ガスを発生させることなく廃棄物の低容化を図
ること。 【解決手段】 陽電極と陰電極の間に2枚のバイポーラ
膜を配置し、該バイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交
換膜、陰電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞ
れ配置して電気透析を行うことにより、ナトリウム塩を
含む放射性廃液からナトリウムイオンを水酸化ナトリウ
ムとして、陰イオンを酸としてそれぞれ分離回収する。
また陽電極と陰電極の間にナトリウムイオン選択透過膜
を配置して電気透析を行うことにより、塩化物イオン、
ナトリウムイオンを含む放射性廃液から塩化物イオンを
塩素ガス、ナトリウムイオンを水酸化ナトリウムとして
分離する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子力施設などか
ら排出される放射性廃液の処理方法に関し、より詳細に
は放射性廃液の減容を図り、さらに水酸化ナトリウムの
回収再利用を図る放射性廃液の処理方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】現在一般的に行われている低レベル放射
性廃液の処理方法には、蒸発法、凝集沈殿法、イオン交
換法およびこれらを組み合わせたものがある。蒸発法
は、放射性廃液を加熱して水分を蒸発させることによっ
て濃縮し減容を図るものであり、濃縮された廃液はセメ
ントやプラスチックなどが加えられて固化される。また
凝集沈殿法は、放射性廃液に凝集沈殿剤を加えて廃液中
の放射性物質を凝集させた後、沈殿または濾過して除去
するものであり、凝集物は固体廃棄物として別途処理さ
れる。イオン交換法は、イオン交換体を用いて放射性廃
液中の放射性核種を捕集除去するものであり、使用済み
のイオン交換体は固体廃棄物として別途処理される。
【0003】高濃度のナトリウム塩を含む放射性廃液を
上記従来法で処理した場合には次のような問題がある。
すなわち蒸発法により処理する場合には、濃縮液に高濃
度の塩が残留するため減容が十分に図れない。また凝集
沈殿法により処理する場合には、放射性核種がどれだけ
除去されたかを表す除染係数(以下、「DF」と記すこ
とがある)が10〜30程度と廃液中の放射性核種の除
去効率があまりよくないため、処理済み液に他の処理を
さらに行う必要がある。凝集沈殿法では、凝集物はすべ
て不燃性の固体放射性廃棄物となり取り扱いにくいとい
う問題がある。イオン交換法により処理する場合には、
イオン交換体が目詰まりを起こすため作業性が悪く実用
性に欠ける。
【0004】そこで例えば特許第2731299号公報
では、硝酸ナトリウムを含む廃液を陽イオン交換膜およ
び陰イオン交換膜を備えた電解セルを用いて電解を行
い、廃液から水酸化ナトリウムと硝酸を分離回収する技
術が提案されている。しかしかかる技術では、一つの廃
液処理槽に一対の電極が必要となり、多数の廃液処理槽
を用いて大量に処理する場合には電極の数が多くなりそ
の分水素及び酸素の発生量が増加する。また陽電極槽は
酸性となるから陽電極は酸に対して耐性のある材質を使
用しなければならないという材料選択上の制約がある。
さらに処理する廃液中にはナトリウムのみならずセシウ
ム(Cs)やコバルト(Co)、ストロンチウム(S
r)、ルテニウム(Ru)など金属陽イオンの放射性核
種も含まれており、かかる金属陽イオンが陽イオン交換
膜を通って水酸化ナトリウム液中に混入してしまい、回
収された水酸化ナトリウムを再利用できる場所が原子力
施設内に制限され、また漏洩などを防ぐため特別な管理
が必要となる。
【0005】また特公平8−29225号公報では、バ
イポーラ膜、陰イオン交換膜及び陽イオン交換膜を組み
合わせたイオン交換膜電気透析装置によって、硝酸塩を
含む廃液から酸とアルカリを分離して再生回収する技術
が提案されている。しかしながら、かかる技術でも、廃
液中に含まれているCsやCo、Sr、Ruなど金属陽
イオンの放射性核種が陽イオン交換膜を通って水酸化ナ
トリウム液中に混入し同様の問題が生じる。
【0006】一方、原子力発電所などでは作業着などの
洗濯によって、界面活性剤や汗などに由来する塩化物イ
オン(Cl-)、ナトリウムイオン(Na+)を含んだ放
射性廃液が発生する。従来、かかる放射性廃液は水分を
蒸発除去した後、残存物を粉体化、造粒して発電所内に
保管していたが、収容量の限られた保管場にあっては、
かかる残存物の一層の減容が望まれていた。一般に残存
物の減容は焼却処理により行われていた。しかし放射性
洗濯廃液のような塩化物イオンを含んでいる廃液の乾燥
粉体には多量の塩素化合物が含まれ、かかる粉体を焼却
処理すると腐食性の塩素ガスが発生する問題がある。
【0007】放射性洗濯廃液からの塩化物イオンの除去
に関しては、東北大学素材工学研究所報告「濃縮廃液か
らの塩化物イオンの捕集」(Vol.48,No.1/2Page9-18,19
92)においては、各種無機イオン交換体を用いて濃縮廃
液からの塩化物イオンの選択的捕集について検討されて
いる。しかしイオン交換体を用いた塩化物イオンの捕集
では、イオン交換体の吸着容量を超える塩化物イオンが
廃液に含まれていると塩化物イオンの十分な除去ができ
ないという問題がある。また使用済みのイオン交換体は
二次廃棄物となり、結果的に放射性廃棄物の全体量がか
えって増加し廃棄物の減容要請に反するという問題もあ
る。
【0008】また前記放射性洗濯廃液に含まれているナ
トリウムイオンは廃棄物として廃棄されており、資源と
して活用されていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題に鑑みなされたものであって、その目的は高濃度のナ
トリウム塩を含む放射性廃液からナトリウム及び酸を回
収して、該廃液の減容およびナトリウム、酸の再利用が
図れる放射性廃液の処理法法を提供することにある。
【0010】また本発明の目的は、乾燥後焼却処理して
も塩素ガスを発生させることなく廃棄物の低容化が図れ
る放射性廃液の処理方法を提供することにある。
【0011】さらに本発明の目的は、放射性核種の混入
のない水酸化ナトリウムを放射性廃液から回収・再利用
する放射性廃液の処理方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、陽電極
と陰電極の間に2枚のバイポーラ膜を配置し、該バイポ
ーラ膜間の陽電極側に陰イオン交換膜、陰電極側にナト
リウムイオン選択透過膜をそれぞれ配置して電気透析を
行うことにより、ナトリウム塩を含む放射性廃液からナ
トリウムイオンを水酸化ナトリウムとして、陰イオンを
酸としてそれぞれ分離回収することを特徴とする放射性
廃液の処理方法が提供される。
【0013】また本発明によれば、陽電極と陰電極の間
にナトリウムイオン選択透過膜を配置して電気透析を行
うことにより、塩化物イオン、ナトリウムイオンを含む
放射性廃液から塩化物イオンを塩素ガス、ナトリウムイ
オンを水酸化ナトリウムとして分離することを特徴とす
る放射性廃液の処理方法が提供される。
【0014】ここで界面活性剤に対する汚染抵抗性や長
寿命性、使用済み膜の発生量の低減などの点からナトリ
ウムイオン選択透過膜はセラミックス製の膜が好まし
い。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明者等は、高濃度のナトリウ
ム塩を含む放射性廃液から放射性核種の混入のない水酸
化ナトリウム及び酸を回収し再利用することができない
か鋭意検討した結果、バイポーラ膜、陰イオン交換膜、
ナトリウムイオン選択透過膜を組み合わせてそれぞれ配
置し電気透析を行うことにより上記目的が達成できるこ
とを見出し本願請求項1の発明をなすに至った。
【0016】すなわち本願請求項1の発明の大きな特徴
は、陽電極と陰電極の間に2枚のバイポーラ膜を配置
し、該バイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交換膜、陰
電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞれ配置し
て電気透析を行う点にある。電気透析装置の基本構造を
図1に示す。電気透析装置は、ナトリウム選択透過膜3
と陰イオン交換膜4とで仕切られた脱塩セル7と、それ
に隣接して陰極側にNaOHセル9、陽極側にHNO3
セル8が設けられ、そしてNaOHセル9、HNO3
ル8に隣接したそれぞれの電極側に電極液セル6が設け
られている。脱塩セル7には、硝酸ナトリウム(NaN
3)の他、CsやCo、Sr、Ruなどの放射性核種
を陽イオンあるいは有機物との錯イオンの形態で含んだ
放射線廃液が循環して流され、NaOHセル9にはNa
OH又は脱塩水、HNO3セル8にはHNO3又は脱塩水
が循環して流される。また電極液セル6には電極液(例
えばNaOH)が循環して流される。上記装置の両側に
設けられた陽電極1、陰電極2に直流電流を印加する
と、脱塩セル7を流れる放射性廃液中の陽イオン及び陰
イオンが電界により逆極性の電極側へ移動する。陽イオ
ンは陰電極側へ移動するが、ナトリウムイオンだけがナ
トリウム選択透過膜3を通過しNaOHセル9へ移動
し、他の陽イオンは当該透過膜3を通過できずに脱塩セ
ル3に留まる。NaOHセル9では陰極側に設置された
バイポーラ膜5により当該セル内の水の一部が水素イオ
ンと水酸化イオンに電離され、電界作用により水酸化イ
オンはNaOHセル9内に、水素イオンは電極液セル6
内に移動する。これらイオンの移動、すなわち脱塩セル
7から移動してきたナトリウムイオンとバイポーラ膜5
で発生した水酸化イオンとによりNaOHセル9でNa
OHが生成し回収される。
【0017】一方、前記放射性廃液に含まれる陰イオ
ン、ここでは硝酸イオンは、電界作用によって陽電極側
に引き寄せられる。硝酸イオンは陰イオン透過膜4を通
過しHNO3セル8へ移動し、HNO3セル8の陽電極側
に設置されたバイポーラ膜5で前述のように発生した水
素イオンと反応して硝酸を生成し回収される。
【0018】上記電気透析装置は説明のために必要最小
限の構成のみからなるものであるが、実使用にあたって
は図3に示すように複数のセルを並列的に並べたスタッ
ク構造のものが好適に使用される。
【0019】以上のようにして放射性廃液からナトリウ
ムイオン及び硝酸イオンが除去され、ナトリウムイオン
は水酸化ナトリウムとして、硝酸イオンは硝酸として回
収、再利用される。
【0020】本発明の処理方法で処理できるナトリウム
塩としては特に制限はないが、例えば硝酸ナトリウム、
硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0021】次に請求項2の発明に係る処理方法につい
て説明する。本発明者等は、原子力施設などから排出さ
れる放射性廃液から塩化物イオンを除去し、且つ当該放
射性廃液に含まれるナトリウムイオンを回収し再利用で
きないか鋭意検討した結果、ナトリウムイオン選択透過
膜を用いて当該放射性廃液を電気透析すれば塩化物イオ
ンを塩素ガスとして効率的に除去でき、またナトリウム
イオンを水酸化ナトリウムとして回収、再利用できるこ
とを見出し本発明をなすに至った。
【0022】すなわち請求項2の発明の大きな特徴は、
陽電極と陰電極の間にナトリウムイオン選択透過膜を配
置して前記放射性廃液の電気透析を行うことにある。図
4に電気透析装置の基本構造を示す。図4に基づいて本
発明を説明すると、電気透析装置は、ナトリウムイオン
選択透過膜3によって、陽電極1を備えた陽電極槽28
と陰電極2を備えた陰電極槽29とに分離され、陽電極
槽28へは放射性洗濯廃液が、陰電極槽29へは低濃度
の水酸化ナトリウム等の電極液が供給される。放射性洗
濯廃液中には、塩化物イオン及びナトリウムイオン以外
にも放射性核種が微量ながら含まれており、その大部分
はCsやCoなど金属元素であって、陽イオンあるいは
有機物との錯イオンの形態で放射性洗濯廃液中に含まれ
ている。そこで陽電極槽28へ供給された放射性洗濯廃
液中の陽イオンは、電界によって陰電極2へ引き寄せら
れる。しかしナトリウムイオン選択透過膜3によって、
ナトリウムイオンだけが当該透過膜3を通過して陰電極
槽29へ移動することができ、残る陽イオンは陰電極槽
29へ移動することができずに陽電極槽28へ留まる。
また、陰電極2表面では下記反応(1)が起こり、水酸
化物イオンと水素が発生する。発生した水素は気体とし
て気相側へ移動し、水酸化物イオンは陽電極槽28から
移動してきたナトリウムイオンと結合し水酸化ナトリウ
ムとなる。 2H2O+2e-→2OH-+H2↑ ・・・(1)
【0023】一方、前記放射性洗濯廃液に含まれる塩化
物イオンは、電界によって陽電極1へ引き寄せられる。
陽電極1表面では下記反応(2)、(3)が起こり塩素
及び酸素が発生する。発生した塩素の一部は放射性洗濯
廃液中に溶解するが、陽電極槽28の上部を十分な流速
で喚起すれば廃液中に溶解している塩素も気相側へ移動
させることができる。 2Cl-→Cl2↑+2e- ・・・(2) 4OH-→2H2O+O2↑+4e- ・・・(3)
【0024】なお上記反応(3)は、陽電極槽28のp
Hが高いときによくすすみ、塩素発生のための電流効率
低下の原因となる。しかしナトリウムイオン選択透過膜
3は従来の有機系カチオン交換膜とは異なり、陰電極槽
29から陽電極槽28への水酸化物イオンの移動を阻止
するため、陽電極槽28の水酸化物イオン濃度は電気透
析開始後すぐに十分に低くなり、反応(2)が支配的と
なるから実用上支障はない。また陽電極1の材質を選択
することによっても反応(3)を抑制することができ
る。陽電極の好ましい材質としては、例えば「DS
A」、「DSE」(Oronzio de Nora Impianti Electro
chimici社、Henry Beer社、Diamond Shamrock社製)の
チタン合金製が挙げられる。
【0025】以上のように、電位差を駆動力とする塩化
物イオン及びナトリウムイオンの移動及び陽・陰電極表
面での反応により、上記放射性洗濯廃液から塩化物イオ
ン及びナトリウムイオンが除去され、ナトリウムイオン
は陰電極槽において水酸化ナトリウムとして回収、再利
用される。
【0026】本発明で使用できるナトリウムイオン選択
透過膜としては従来公知のものが挙げられるが、界面活
性剤に対する汚染抵抗性や長寿命性、使用済み膜の発生
量の低減などの点からセラミック製のものが好ましい。
具体的商品としてはセラマテック・インコーポレーデッ
ド社製の「ナシコン(NaSICON)」などが挙げら
れる。セラミック製のナトリウムイオン選択透過膜の結
晶構造の一例を挙げると、当該透過膜には、ナトリウム
と重金属イオンを含む珪石四面体が複数個集まってリン
グ状の構造を形成した部分と、可動性ナトリウムで満た
された伝導チャンネル部分が存在し、伝導チャンネル部
分がナトリウムイオンを選択的に透過させる。他のイオ
ンあるいは分子は、電気的反発力あるいは伝導チャンネ
ルの大きさによる制約によって透過が阻止される。この
ような原理によって高いナトリウム選択透過性が実現さ
れる。
【0027】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の一実施例につ
いて説明する。まず図2に本願請求項1の発明に係る放
射性廃液の処理方法を用いた廃液処理工程の概要を示
す。放射性廃液は、廃液槽14からポンプ15により中
性塩槽16へ移送された後、中性塩槽16から電気透析
槽19の脱塩セル7を通り中性塩槽16に戻る循環管路
を放射性廃液中のナトリウムイオン及び硝酸イオンが所
定濃度以下になるまでポンプ17により循環される。こ
のときHNO3セル8には、HNO3循環槽22からポン
プ23によりHNO3液が供給循環され、NaOHセル
9には、NaOH循環槽25からポンプ26によりNa
OH液が供給循環され、また電極液セル6には電極液槽
20から電極液(NaOH)が供給循環される。
【0028】脱塩セル7を循環する放射性廃液中のナト
リウムイオン及び硝酸イオンが所定濃度以下になると、
ポンプ17を停止して廃液循環を止め、処理済み廃液を
中性塩槽16から脱塩液槽18へ移送する。また同様に
してHNO3セル8を循環するHNO3液が所定濃度以上
になるとポンプ23を停止し循環を止め、HNO3液を
HNO3循環槽22からHNO3回収槽24へ移送する。
NaOH液についても同様にして循環しているNaOH
液が所定濃度以上になるとポンプ26を停止して循環を
止め、NaOH液をNaOH回収槽27へ移送する。
【0029】以上の処理により放射性廃液の脱塩ができ
て大幅な減容が図れ、図2には示していないが、上記処
理後の放射性廃液は濃縮乾燥されて粉体化・造粒され、
必要により焼却処理される。なお放射性廃液に界面活性
剤などが含まれていると、濃縮乾燥処理において該界面
活性剤に起因する発泡が生じ、蒸気側へ不純物が移行し
分離水が汚染されるといった問題が生じることがある。
このため、廃液の濃縮乾燥前に発泡抑制の前処理を行っ
てもよい。かかる前処理としては、例えばアルカリ土類
金属と鉱酸との水溶性塩類化合物を廃液に添加して界面
活性剤を予め沈殿性塩類に変化させる方法、あるいは活
性炭などの吸着剤と廃液に添加混合する方法などが挙げ
られる。もちろん発泡作用の抑制された界面活性剤を使
用してもよい。
【0030】また回収したHNO3およびNaOHは試
薬として再利用が可能であり、特にNaOHについて
は、CsやCoなどの放射性核種の混入がないため、原
子力施設以外で再利用が可能であり、また廃棄処分する
場合でも非放射性廃棄物として処理できるため、放射性
廃棄物に比べ取り扱いが格段によくなる。
【0031】次に本願請求項2の放射性廃液の処理方法
を用いた廃液処理工程の一実施例を図5示す。図5を参
照して、ポンプ31によって放射性洗濯廃液は洗濯廃液
槽30から洗濯廃液循環槽32へ移送される。ここで放
射性洗濯廃液は、洗濯廃液循環槽32と電気透析装置3
4の陽電極槽28の循環管路中を塩化物イオン及びナト
リウムイオンが所定濃度以下になるまでポンプ33によ
って循環される。また陽電極1表面で発生する塩素は陽
電極槽28上部から系外へ排気される。放射性洗濯廃液
中の塩化物イオン及びナトリウムイオンが所定濃度以下
になると、廃液循環を停止して、塩化物イオン及びナト
リウムイオンが除去された放射性洗濯廃液は脱塩液槽3
5へ移送される。その後当該放射性洗濯廃液は濃縮乾燥
されて粉体化・造粒され、焼却処理される。なお、本発
明の廃液処理後に行われる濃縮乾燥処理における界面活
性剤に起因する発泡を抑制するために、本発明の廃液処
理前又は後に当該放射性洗濯廃液にアルカリ土類金属と
鉱酸との水溶性塩類化合物を添加して界面活性剤を予め
沈殿性塩類に変化させておいてもよい。
【0032】一方、電極液としての低濃度の水酸化ナト
リウム液は、水酸化ナトリウム循環槽36と電気透析槽
34の陰電極槽29との循環管路中を循環し、この間陰
電極槽29では前記反応により水酸化ナトリウムが生成
される。また陰電極2表面で発生する水素は、陰電極槽
29上部から系外へ排気される。水酸化ナトリウム濃度
が所定濃度以上となると循環を止め、当該水酸化ナトリ
ウム液は水酸化ナトリウム回収槽38へ移送される。か
かる水酸化ナトリウムは、ナトリウム選択透過膜によっ
てCsやCoなどの放射性核種の混入が阻止されている
ため、再利用あるいは処分にあたって放射性物質取扱の
制約を受けず、例えば試薬として使用することできる。
【0033】
【発明の効果】本願請求項1の発明によれば、放射性廃
液に含まれるナトリウム塩を効率的に除去することがで
き、放射性廃棄物の大幅な減容が図れる。また当該廃液
から回収されたナトリウムは放射性核種を含まない水酸
化ナトリウムとして原子力施設以外にも広く使用するこ
とができ、他方当該廃液から回収された酸は例えば試薬
として使用することができる。
【0034】また請求項2の発明によれば、放射性廃液
に含まれるナトリウムイオン及び塩化物イオンを効率的
に除去することができ、放射性廃棄物の大幅な減容が図
れる。また上記請求項1の発明同様、廃液から回収され
たナトリウムは放射性核種を含まない水酸化ナトリウム
として原子力施設以外にも広く使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願請求項1の発明で使用する電気透析槽の基
本構造を示す図である。
【図2】本願請求項1の放射性廃液の処理工程の一例を
示す図である。
【図3】本願請求項1の発明で使用する電気透析槽の一
例を示す図である。
【図4】本願請求項2の発明で使用する電気透析槽の基
本構造を示す図である。
【図5】本願請求項2の放射性廃液の処理工程の一例を
示す図である。
【符号の説明】
1 陽電極 2 陰電極 3 ナトリウムイオン選択透過膜 4 陰イオン交換膜 5 バイポーラ膜 19,34 電気透析槽 28 陽電極槽 29 陰電極槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西田 英夫 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所大阪支社内 (72)発明者 田中 良明 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所大阪支社内 (72)発明者 中山 準平 大阪市中央区備後町4丁目1番3号 株式 会社神戸製鋼所大阪支社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽電極と陰電極の間に2枚のバイポーラ
    膜を配置し、該バイポーラ膜間の陽電極側に陰イオン交
    換膜、陰電極側にナトリウムイオン選択透過膜をそれぞ
    れ配置して電気透析を行うことにより、ナトリウム塩を
    含む放射性廃液からナトリウムイオンを水酸化ナトリウ
    ムとして、陰イオンを酸としてそれぞれ分離回収するこ
    とを特徴とする放射性廃液の処理方法。
  2. 【請求項2】 陽電極と陰電極の間にナトリウムイオン
    選択透過膜を配置して電気透析を行うことにより、塩化
    物イオン、ナトリウムイオンを含む放射性廃液から塩化
    物イオンを塩素ガス化して除去し、ナトリウムイオンを
    水酸化ナトリウムとして分離回収することを特徴とする
    放射性廃液の処理方法。
  3. 【請求項3】 前記ナトリウムイオン選択透過膜がセラ
    ミックス製の膜である請求項1又は2記載の放射性廃液
    の処理方法。
JP12741999A 1999-05-07 1999-05-07 放射性廃液の処理方法 Expired - Lifetime JP4311811B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12741999A JP4311811B2 (ja) 1999-05-07 1999-05-07 放射性廃液の処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12741999A JP4311811B2 (ja) 1999-05-07 1999-05-07 放射性廃液の処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000321395A true JP2000321395A (ja) 2000-11-24
JP4311811B2 JP4311811B2 (ja) 2009-08-12

Family

ID=14959507

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12741999A Expired - Lifetime JP4311811B2 (ja) 1999-05-07 1999-05-07 放射性廃液の処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4311811B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009072443A1 (ja) 2007-12-05 2009-06-11 Jgc Corporation 放射性廃液の処理方法および処理装置
WO2010116591A1 (ja) 2009-04-08 2010-10-14 日揮株式会社 放射性廃液の処理方法および処理装置
JP2012073118A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 洗濯廃液の処理方法
JP5038160B2 (ja) * 2006-01-19 2012-10-03 日本原燃株式会社 使用済核燃料の湿式再処理におけるナトリウム塩リサイクルシステム
JP2015108591A (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 株式会社東芝 洗濯廃液処理装置および洗濯廃液処理方法
JP2016186100A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 国立大学法人秋田大学 銅イオン含有水溶液の製造方法及び製造装置
JP2017203680A (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 吸着除去装置及び吸着除去方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101398546B1 (ko) * 2012-06-26 2014-05-27 한국수력원자력 주식회사 방사성 금속폐기물 제염 폐액의 처리 방법

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5038160B2 (ja) * 2006-01-19 2012-10-03 日本原燃株式会社 使用済核燃料の湿式再処理におけるナトリウム塩リサイクルシステム
EP2192595A1 (en) * 2007-12-05 2010-06-02 JGC Corporation Method for treating radioactive waste solution and treatment apparatus
US20100185036A1 (en) * 2007-12-05 2010-07-22 Jgc Corporation Method for treating radioactive liquid waste and apparatus for the same
WO2009072443A1 (ja) 2007-12-05 2009-06-11 Jgc Corporation 放射性廃液の処理方法および処理装置
US8476481B2 (en) 2007-12-05 2013-07-02 Jgc Corporation Method for treating radioactive liquid waste and apparatus for the same
EP2192595A4 (en) * 2007-12-05 2012-10-03 Jgc Corp PROCESS FOR TREATING A RADIOACTIVE WASTE SOLUTION AND TREATMENT APPARATUS
WO2010116591A1 (ja) 2009-04-08 2010-10-14 日揮株式会社 放射性廃液の処理方法および処理装置
CN102396034A (zh) * 2009-04-08 2012-03-28 日挥株式会社 放射性废液的处理方法及处理装置
JP2010243392A (ja) * 2009-04-08 2010-10-28 Jgc Corp 放射性廃液の処理方法および処理装置
JP2012073118A (ja) * 2010-09-29 2012-04-12 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 洗濯廃液の処理方法
JP2015108591A (ja) * 2013-12-05 2015-06-11 株式会社東芝 洗濯廃液処理装置および洗濯廃液処理方法
JP2016186100A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 国立大学法人秋田大学 銅イオン含有水溶液の製造方法及び製造装置
JP2017203680A (ja) * 2016-05-11 2017-11-16 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 吸着除去装置及び吸着除去方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4311811B2 (ja) 2009-08-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101796592B (zh) 放射性废液的处理方法及处理装置
EA024210B1 (ru) Способ извлечения металлов
EA025677B1 (ru) Низкоэнергетическая система и способ опреснения морской воды
US5804057A (en) Method of removing metal salts from solution by electrolysis an electrode closely associated with an ion exchange resin
JP2010243392A (ja) 放射性廃液の処理方法および処理装置
JP5791484B2 (ja) 放射性核種で汚染された海水廃液の処理方法
JP2014163843A (ja) 洗浄用酸の再生利用方法および再生処理設備
JP4311811B2 (ja) 放射性廃液の処理方法
JP2009023847A (ja) ヨウ化水素酸の製造方法
Loza et al. Electrodialysis concentration of sulfuric acid
JP3821921B2 (ja) 焼却炉スクラバー廃液処理方法およびその装置
JP2014139530A (ja) 溶離液の再生方法及びその再生装置
Epimakhov et al. Reverse-osmosis filtration based water treatment and special water purification for nuclear power systems
JP4132182B2 (ja) 放射性廃液の処理方法とその装置
JP6534752B1 (ja) 放射性廃液処理システム
JP5818053B2 (ja) ホウ素含有地下水の処理方法
JP2019203832A (ja) 放射性廃液処理システム
JP2014163841A (ja) 下水汚泥焼却灰の処理方法
JP6752300B2 (ja) 放射性廃液処理システム
Guiragossian et al. The extraction of heavy metals by means of a new electrolytic method
JP6137972B2 (ja) 原子炉構造物の腐食抑制方法及び腐食抑制装置
JP2000176457A (ja) 半導体製造工場の廃液処理装置
JP3137837B2 (ja) 混合廃液処理方法およびその装置
JPH1085741A (ja) フォトレジスト現像廃液の処理方法
JP3044306B1 (ja) 放射性廃棄物の除染システム及びその運転方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040803

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080916

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090428

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090512

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120522

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130522

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140522

Year of fee payment: 5

EXPY Cancellation because of completion of term