JPWO2009034966A1 - 液状樹脂組成物、および該液状樹脂組成物を用いた硬化物 - Google Patents

液状樹脂組成物、および該液状樹脂組成物を用いた硬化物 Download PDF

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Abstract

ポリマー粒子を含みつつも粘性を低く抑えた液状樹脂組成物を提供することにある。また、液状樹脂組成物の粘性を高くすることなくポリマー粒子を多く含む液状樹脂組成物を提供することにある。本発明の液状樹脂組成物は、液状の樹脂構成成分と、二重結合を2以上有するモノマーを含む中間層で弾性コア層を被覆し、さらにシェル層で前記中間層を被覆したポリマー粒子とを含み、前記ポリマー粒子が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3以下で分散していることを特徴とする。

Description

本発明は、ポリマー粒子(より詳細には、コア層とシェル層との間に中間層を有するコアシェルポリマー粒子)が分散した低粘度の液状樹脂組成物、およびこの液状樹脂組成物から得られる硬化物に関する。
フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、あるいはエポキシ樹脂などに代表される硬化性樹脂は、耐熱性、機械的強度、あるいは寸法精度などに優れることから、種々の分野で広範囲に使用されている。その一方で、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂から得られる成形品は、破壊靭性が小さいため、非常に脆性的な性質を示すという問題がある。
上記問題を解決するために、これまでに、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂に、コアシェル構造のポリマー粒子を分散させる技術が開示されている(例えば、WO2004/108825号明細書参照)。かかる文献には、エポキシ樹脂(A)中にゴム状重合体粒子(B)が分散されてなるエポキシ樹脂組成物の製造方法であって、ゴム状重合体粒子(B)の水性ラテックスに、水に対し部分溶解性を示す有機媒体(C)を接触した後、さらに水に対する部分溶解性が有機媒体(C)未満の有機媒体(D)を接触することでゴム状重合体粒子(B)から水層を実質的に分離し、得られたゴム状重合体粒子(B)および混合有機媒体(C)および(D)からなる分散体(F)をエポキシ樹脂(A)と混合し、揮発成分を除去することを特徴とするエポキシ樹脂組成物の製造方法が開示されている。
しかしながら、上記方法では、エポキシ樹脂組成物中においてゴム状重合体粒子(B)が膨潤することから、エポキシ樹脂組成物の粘性が高くなって、成形品作製時の作業性を損なう場合があった。そのため、エポキシ樹脂組成物の粘性を低く抑えるには、ゴム状重合体粒子(B)の含有量を抑制せざるを得なかった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の課題はポリマー粒子を含みつつも粘性の低い液状樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の別の課題は、液状樹脂組成物の粘性を高くすることなくポリマー粒子を多く含む液状樹脂組成物を提供することにある。
本発明の液状樹脂組成物は、液状の硬化性樹脂、固体の硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液、または硬化性樹脂とポリマー鎖を形成することが可能な液状の有機化合物から選択される樹脂構成成分(A)と、二重結合を2以上有するモノマーを用いて形成される中間層で弾性コア層を被覆し、さらにシェル層で前記中間層を被覆したポリマー粒子(B)とを含み、前記ポリマー粒子(B)が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3以下(Mv/Mn≦3)で分散していることを特徴とする。
本発明で用いるポリマー粒子(B)は、弾性コア層とシェル層との間に中間層を有して構成される。そして、この中間層は、同一分子内に重合性(ラジカル重合性)二重結合を2以上有するモノマー(以下、「中間層形成用モノマー」と称する場合がある。)を用いて形成される。そして、二重結合の一つを介して、中間層形成用モノマーが弾性コア層を形成するポリマーにグラフト重合して、実質的に中間層とシェル層とを化学結合させるとともに、残りの二重結合を介して弾性コア層表面を架橋する。また、弾性コア層に多くの二重結合が配されることから、シェル層のグラフト効率が高められる。
本発明の液状樹脂組成物によれば、ここに含まれるポリマー粒子の弾性コア層の架橋密度が上がるためポリマー粒子が膨潤し難く、粘性を低く抑えることができる。その結果、作業性よく硬化物を得ることができる。また、硬化時の作業性の低下(すなわち、液状樹脂組成物の粘性の上昇)を防ぎつつ液状樹脂組成物中のポリマー粒子濃度を上げられることから、硬化物の特性をより一層改質し易くなる。さらに、本発明で用いるポリマー粒子は膨潤し難く、液状樹脂組成物の粘性の上昇を低く抑えることができることから、高粘度の樹脂構成成分とも混合して用いることができる。
なお、本明細書において「液状樹脂組成物」とは、それ単独で硬化する液状の硬化性樹脂組成物のみならず、液状あるいは固形(粉体)状の硬化性樹脂(モノマー)と混合して初めて硬化し得る液状の樹脂組成物をも包含するものである。
前記ポリマー粒子(B)100質量%中、前記中間層を0.2質量%以上7質量%以下含むことが、本発明の液状樹脂組成物の好ましい実施態様である。また、前記二重結合を2以上有するモノマーが、(メタ)アクリレート系多官能性モノマー、イソシアヌル酸誘導体、芳香族ビニル系多官能性モノマー、芳香族多価カルボン酸エステル類から選択される少なくとも1種であることが、本発明の液状樹脂組成物の好ましい実施態様である。上記構成によれば、弾性コア層表面にラジカル重合性二重結合がより十分に配されることとなる。なお、本明細書において、中間層を構成する中間層形成用モノマーの総質量を、上記中間層の質量として取り扱うこととする。
また、前記シェル層がヒドロキシル基、炭素−炭素二重結合、エポキシ基から選択される有機基を有する成分を少なくとも1種含むことが、本発明の液状樹脂組成物の好ましい実施態様である。上記構成によれば、本発明の液状樹脂組成物の硬化時において、ポリマー粒子(B)は樹脂構成成分、あるいは液状樹脂組成物と混合される固形(粉体)状の硬化性樹脂と化学結合を形成して硬化物中に組み込まれ得ることとなる。その結果、ポリマー粒子(B)は硬化物から排斥され難くなると推測される。
前記液状の硬化性樹脂がエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリレート樹脂から選択される1種であることが、本発明の液状樹脂組成物の好ましい実施態様である。また、前記液状の有機化合物が芳香族ジ(メタ)アリル化合物であることが、本発明の液状樹脂組成物の好ましい実施態様である。
また、前記ポリマー粒子(B)を含有する水性ラテックスを、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、前記ポリマー粒子(B)を凝集させる第1工程と、凝集した前記ポリマー粒子(B)を液相から分離して回収した後、再度有機溶媒と混合して、前記ポリマー粒子(B)の有機溶媒溶液を得る第2工程と、前記有機溶媒溶液をさらに前記液状の樹脂組成物成分と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程とを含んで調製されることが、本発明の液状樹脂組成物の好ましい実施態様である。上記構成により、ポリマー粒子(B)が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3以下で分散している液状樹脂組成物を容易に得ることができる。
また、前記第1工程と第2工程との間に、凝集した前記ポリマー粒子(B)を液相から分離して回収し、再度20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、前記ポリマー粒子(B)を凝集させる操作を1回以上行うことが好ましい実施態様である。上記構成により、液状樹脂組成物中に含まれる乳化剤などの水溶性の夾雑物が高度に除去されることとなる。
本発明には、前述の液状樹脂組成物を2種以上混合した液状樹脂組成物の混合物も含まれる。
本発明には、前記液状樹脂組成物(混合物)を硬化して得られることを特徴とする硬化物も含まれる。
本発明の液状樹脂組成物は、樹脂構成成分(A)の他にポリマー粒子(B)を含んで構成される。これにより、この液状樹脂組成物を硬化して得られる本発明の硬化物にポリマー粒子(B)由来の特性(例えば、靭性や耐熱性など)を付与することができる。
ここで、ポリマー粒子(B)は、重合性(ラジカル重合性)二重結合を2以上有するモノマーを含む中間層で弾性コア層を被覆し、さらにシェル層で中間層を被覆して構成される。これにより、ポリマー粒子(B)の弾性コア層の架橋密度が上がるため、ポリマー粒子(B)を樹脂構成成分(A)と混合しても膨潤し難くなる。その結果、液状樹脂組成物の粘性の上昇を防ぐことができる。また、弾性コア層に多くの二重結合が配されることとなるため、シェル層のグラフト効率が高められる。その結果、シェル層と弾性コア層とを、中間層を介してより一層強固に結合させることができる。
また、本発明の液状樹脂組成物は、ポリマー粒子(B)が一次粒子の状態で分散している。具体的には、ポリマー粒子(B)が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3以下で分散している。これにより、硬化物中にポリマー粒子(B)を含有させたことによる有意な効果を効率よく得ることができる。なお、このようなポリマー粒子(B)の分散性に優れた液状樹脂組成物は、後述する方法によって容易に調製することができる。
以下、本発明の液状樹脂組成物について詳述する。
1.樹脂構成成分(A)
本発明で用いる樹脂構成成分(A)は、液状の硬化性樹脂、固体の硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液、または硬化性樹脂とポリマー鎖を形成することが可能な液状の有機化合物から選択される。
1−1.液状の硬化性樹脂
本発明で用いることができる液状の硬化性樹脂としては、例えば、二重結合、メチロール基、環状エーテル、シアナート基を有する反応性ポリマー(もしくはモノマー)などであって、室温以下の融点(軟化点)を有するものが挙げられる。
二重結合を有する反応性ポリマー(モノマー)としては、例えば不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂が挙げられる。メチロール基を有する反応性ポリマー(モノマー)としては、例えばフェノール樹脂が挙げられる。環状エーテルを有する反応性ポリマー(モノマー)としては、例えばエポキシ樹脂、オキセタン樹脂が挙げられる。シアナート基を有する反応性モノマーとしては、例えばシアン酸エステル樹脂が挙げられる。これらの液状の硬化性樹脂は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
1−2.固体の硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液
本発明で用いることができる固体の硬化性樹脂としては、例えば、上記の反応性ポリマー(もしくはモノマー)などであって、室温以上の融点(軟化点)を有するものが挙げられる。
また、上記固体の硬化性樹脂を溶解するために用いる溶剤としては、後述する、ポリマー粒子(B)の有機溶媒溶液を得る工程において用いることのできる有機溶媒が挙げられる。
1−3.硬化性樹脂とポリマー鎖を形成し得る液状の有機化合物
本発明で用いることができる液状の有機化合物としては、芳香族ジ(メタ)アリル化合物や(メタ)アリル基含有イソシアヌル酸誘導体が挙げられる。これらとポリマー鎖を形成し得る硬化性樹脂は、例えばビスマレイミド樹脂(化合物)である。具体的には、4,4’−ビスフェノールAジアリルエーテル、4,4’−ビスフェノールFジアリルエーテル、4,4’−ビスフェノールAジメタリルエーテル、4,4’−ビスフェノールFジメタリルエーテル、トリ(メタ)アリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。これらの芳香族ジ(メタ)アリル化合物や(メタ)アリル基含有イソシアヌル酸誘導体は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書において、(メタ)アリルとは、アリルおよび/またはメタリルを意味する。
1−4.硬化の態様
上記硬化性樹脂のうち、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シアン酸エステルは熱硬化性樹脂として分類されるものである。また、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリレート樹脂は光(電子線)硬化性樹脂として分類されるものである。
本発明の液状樹脂組成物を熱硬化する場合には、液状樹脂組成物に硬化剤を添加してもよい。かかる硬化剤としては、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどのアミン系硬化剤;無水ヘキサヒドロ無水フタル酸などの酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、イミダゾール化合物、3級アミン、トリフェニルホスフィン、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、ポリメルカプタン、ジシアンジアミド、二塩基酸ジヒドラジド、N,N’−ジアルキル尿素誘導体、N,N’−ジアルキルチオ尿素誘導体、アルキルアミノフェノール誘導体、メラミン、グアナミンなどが挙げられる。これらの硬化剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明の液状樹脂組成物を光硬化する場合には、液状樹脂組成物に光重合開始剤を添加してもよい。かかる光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、メチル−O−ベンゾイルベンゾエート、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどの光ラジカル重合開始剤;ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロホスフェート、テトラフェニルボレートなどのアニオンとの芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩などのオニウム塩や、メタロセン塩などの光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)などが挙げられる。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2.ポリマー粒子(B)
本発明で用いるポリマー粒子(B)は、上述した様に、弾性コア層と、この弾性コア層を被覆する中間層と、この中間層をさらに被覆するシェル層とから構成される。そして、重合性(ラジカル重合性)二重結合を2以上有するモノマーを用いて中間層を形成することによって、弾性コア層の架橋密度を上げたり、シェル層のグラフト効率を上げている。以下、各層について具体的に説明する。
2−1.弾性コア層
本発明で用いるポリマー粒子(B)を構成する弾性コア層は、ゴムとしての性質を有することができる。ゴムとしての性質を有するためには、本発明の弾性コア層は、ゲル含量が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。なお、本明細書でいうゲル含量とは、凝固、乾燥により得られたクラム0.5gをトルエン100gに浸漬し、23℃で24時間静置した後に不溶分と可溶分を分別したときの、不溶分と可溶分の合計量に対する不溶分の比率を意味する。
ゴムとしての性質を有する弾性コア層を形成し得るポリマーとしては、天然ゴムや、ジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)および(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(第1モノマー)を50〜100質量%、および他の共重合可能なビニル系モノマー(第2モノマー)を0〜50質量%含んで構成されるゴム弾性体や、ポリシロキサンゴム系弾性体、あるいはこれらを併用したものが挙げられる。特に、硬化物の耐熱性を低下させることなく、低温での耐衝撃性を向上しようとする場合には、弾性コア層はポリシロキサンゴム系弾性体であることが好ましい。なお、本明細書において(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
弾性コア層の形成に用い得るジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエンなどが挙げられる。これらのジエン系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくは1,3−ブタジエンである。
また、弾性コア層の形成に用い得る(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環含有(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアルキル(メタ)アクリレートなどのグリシジル(メタ)アクリレート類;アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類;アリル(メタ)アクリレート、アリルアルキル(メタ)アクリレートなどのアリルアルキル(メタ)アクリレート類;モノエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートである。
上記第1モノマーと共重合可能なビニル系モノマー(第2モノマー)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのビニルアレーン類;アクリル酸、メタクリル酸などのビニルカルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンなどのアルケン類;ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーなどが挙げられる。これらのビニル系モノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に好ましくはスチレンである。
また、弾性コア層を構成し得るポリシロキサンゴム系弾性体としては、例えば、ジメチルシリルオキシ単位、ジエチルシリルオキシ単位、メチルフェニルシリルオキシ単位、ジフェニルシリルオキシ単位、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシ単位などの、アルキル或いはアリール2置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系ポリマーや、側鎖のアルキルの一部が水素原子に置換されたオルガノハイドロジェンシリルオキシ単位などの、アルキル或いはアリール1置換シリルオキシ単位から構成されるポリシロキサン系ポリマーが挙げられる。これらのポリシロキサン系ポリマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ジメチルシリルオキシ単位、メチルフェニルシリルオキシ単位、ジメチルシリルオキシ−ジフェニルシリルオキシ単位から構成されるポリマーが硬化物に耐熱性を付与する上で好ましく、ジメチルシリルオキシ単位から構成されるポリマーが容易に入手できて経済的でもあることから最も好ましい。
弾性コア層がポリシロキサンゴム系弾性体から形成される態様において、ポリシロキサン系ポリマー部位は、硬化物の耐熱性を損なわないために、弾性体全体を100質量%として80質量%以上(より好ましくは90質量%以上)含有していることが好ましい。
なお、本発明の液状樹脂組成物をビスマレイミド樹脂(化合物)と混合して用いる場合には、ビスマレイミド樹脂(化合物)の耐熱性を損なわないように、弾性コア層はポリシロキサンゴム系弾性体から形成されることが好ましい。
本発明で用いるポリマー粒子(B)の液状樹脂組成物中での分散安定性を保持する観点から、弾性コア層は、上記モノマーを重合してなるポリマー成分やポリシロキサン系ポリマー成分に架橋構造が導入されていることが好ましい。架橋構造の導入方法としては、一般的に用いられる手法を採用することができる。例えば、上記モノマーを重合してなるポリマー成分に架橋構造を導入する方法としては、ポリマー成分に多官能ビニル化合物やメルカプト基含有化合物等の架橋性モノマーを添加し、次いで重合する方法などが挙げられる。また、ポリシロキサン系ポリマーに架橋構造を導入する方法としては、重合時に多官能性のアルコキシシラン化合物を一部併用する方法や、ビニル反応性基、メルカプト基などの反応性基をポリシロキサン系ポリマーに導入し、その後ビニル重合性のモノマーあるいは有機過酸化物などを添加してラジカル反応させる方法、あるいは、ポリシロキサン系ポリマーに多官能ビニル化合物やメルカプト基含有化合物などの架橋性モノマーを添加し、次いで重合する方法などが挙げられる。
本発明において、弾性コア層のガラス転移温度(以下、単に「Tg」と称する場合がある)は0℃以下であることが好ましく、−10℃以下(例えば、−130℃〜−10℃)であることがより好ましい。
また、弾性コア層の体積平均粒子径は0.03〜2μmが好ましいが、0.05〜1μmがさらに好ましい。体積平均粒子径が0.03μm未満のものを安定的に得ることは難しい場合が多く、2μmを超えると最終成形体の耐熱性や耐衝撃性が悪くなる恐れがある。なお体積平均粒子径は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明のポリマー粒子(B)において、弾性コア層は、得られる硬化物の特性(例えば靭性など)を向上するために、ポリマー粒子(B)全体を100質量%として40質量%以上(より好ましくは60質量%以上)含有していることが好ましい。上限は、液状樹脂組成物中でのポリマー粒子(B)の分散状態を良好にするために、95質量%(より好ましくは88質量%)であることが好ましい。
本発明において、弾性コア層は単層構造であることが多いが、多層構造であってもよい。また、弾性コア層が多層構造の場合は、各層のポリマー組成が各々相違していてもよい。
2−2.中間層
本発明で用いるポリマー粒子(B)を構成する中間層は、同一分子内に重合性(ラジカル重合性)二重結合を2以上有するモノマー(中間層形成用モノマー)を用いて形成される。
本発明で用いることができる中間層形成用モノマーとしては、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレートなどの(メタ)アクリレート系の多官能性モノマー;ブタジエン、イソプレンなどのジエン類;ジビニルベンゼン、ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセンなどの芳香族ビニル系の多官能性モノマー;トリアリルベンゼントリカルボキシレート、ジアリルフタレートなどの芳香族多価カルボン酸エステル類;トリアリルアミンなどの三級アミン類;ジアリルイソシアヌレート、ジアリル−n−プロピルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレートなどのイソシアヌル酸誘導体;トリアリルシアヌレートに代表されるシアヌル酸誘導体;トリ(メタ)アクリロイルヘキサハイドロトリアジン;2,2'−ジビニルビフェニル、2,4'−ジビニルビフェニル、3,3'−ジビニルビフェニル、4,4'−ジビニルビフェニル、2,4'−ジ(2−プロペニル)ビフェニル、4,4'−ジ(2−プロペニル)ビフェニル、2,2'−ジビニル−4−エチル−4'−プロピルビフェニル、3,5,4'−トリビニルビフェニルなどのビフェニル誘導体などがあげられる。これらのモノマーは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、弾性コア層の架橋密度を上げたりシェル層のグラフト効率を高める点から、(メタ)アクリレート系の多官能性モノマーやイソシアヌル酸誘導体が好ましく、特にアリル(メタ)アクリレートやトリアリルイソシアヌレートが好ましい。さらに、ポリマー粒子(B)自体の耐熱性を向上させることができる点から、イソシアヌル酸誘導体(特にトリアリルイソシアヌレート)が好ましい。
本発明のポリマー粒子(B)において、中間層の含有率は、ポリマー粒子(B)全体を100質量%として0.2質量%以上(より好ましくは0.5質量%以上、さらには1.0質量%以上)、7質量%以下(より好ましくは5質量%以下、さらには2質量%以下)が好ましい。中間層の含有率が0.2質量%未満の場合には、弾性コア層の架橋密度を上げたりシェル層のグラフト効率を十分に高めることができない場合がある。また、中間層の含有率が7質量%を超える場合には、弾性コア層の架橋密度が高くなって弾性体としての能力が低下することとなって、ポリマー粒子(B)に由来する特性を硬化物に十分に付与できない場合がある。
2−3.シェル層
本発明で用いるポリマー粒子(B)を構成するシェル層は、シェル層の形成に用いるモノマー(以下、「シェル層形成用モノマー」と称する場合がある。)成分が中間層を形成するポリマーにグラフト重合して、実質的にシェル層と中間層とが化学結合して中間層を被覆するものである。
ここで、シェル層は、ヒドロキシル基、炭素−炭素二重結合、エポキシ基から選択される有機基を有する成分を少なくとも1種含んで構成されることが好ましい。かかる態様により、ポリマー粒子(B)が、樹脂構成成分(A)(あるいは、液状樹脂組成物に混合される固体(粉体)状の硬化性樹脂)との重合に関与し得ることとなる。例えば、シェル層がヒドロキシル基を有するポリマー粒子(B)は、メチロール基を有する反応性ポリマー(モノマー)(例えば、フェノール樹脂など)の重合に関与することができる。また、シェル層が炭素−炭素二重結合を有するポリマー粒子(B)は、二重結合を有する反応性ポリマー(モノマー)(例えば、不飽和ポリエステル樹脂やアクリレート樹脂やビスマレイミド樹脂(化合物)など)の重合に関与することができる。また、シェル層がエポキシ基を有するポリマー粒子(B)は、環状エーテルを有する反応性ポリマー(モノマー)(例えば、エポキシ樹脂やオキセタン樹脂など)の重合に関与することができる。
以上の観点から、シェル層形成用モノマーとしては、中間層を形成するポリマーにグラフト重合し得るように炭素−炭素二重結合を有すると伴に、さらに、ヒドロキシル基、炭素−炭素二重結合、エポキシ基から選択される有機基を少なくとも1つ有しているモノマー(以下、これらのモノマーを「機能性モノマー」と称する場合がある。)が好ましい。
炭素−炭素二重結合とヒドロキシル基とを有するモノマー成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ直鎖アルキル(メタ)アクリレート(特に、ヒドロキシ直鎖C1−6アルキル(メタ)アクリレート);カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート;α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルなどのヒドロキシ分岐アルキル(メタ)アクリレート、二価カルボン酸(フタル酸など)と二価アルコール(プロピレングリコールなど)とから得られるポリエステルジオール(特に飽和ポリエステルジオール)のモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート類が挙げられる。
炭素−炭素二重結合を二つ以上有するモノマー成分としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。
炭素−炭素二重結合とエポキシ基とを有するモノマー成分としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートやグリシジルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのモノマー成分は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シェル層は、上記機能性モノマー成分の他に、他のモノマー成分を含んで形成されてもよい。他のモノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリレート、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミド誘導体、マレイミド誘導体、ビニルエーテル、カルボキシル基含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。これらの他のモノマー成分は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレートや、2−アミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。芳香族ビニル化合物としては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルビフェニル;α−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン;ブロモスチレン、クロロスチレンなどのハロゲン置換スチレン類が例示できる。シアン化ビニル化合物には、(メタ)アクリロニトリルおよび置換アクリロニトリルが含まれる。また、(メタ)アクリルアミド誘導体は、例えば(メタ)アクリルアミド(N−置換物を含む)などである。マレイミド誘導体には、例えばマレイン酸イミド(N−置換物を含む)が含まれる。ビニルエーテルとしては、アリルビニルエーテルなどが挙げられる。カルボキシル基含有ビニル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸などの不飽和カルボン酸、またはこれら不飽和カルボン酸の無水物などが挙げられる。
シェル層における機能性モノマー成分の含有率は、シェル層形成用モノマー成分の5質量%以上(より好ましくは10質量%以上)であることが好ましい。機能性モノマー成分の含有率が5質量%未満であると、樹脂構成成分(A)との反応に関与する機能をポリマー粒子(B)に十分に付与できない場合がある。
本発明のポリマー粒子(B)におけるシェル層の含有率は、ポリマー粒子(B)全体を100質量%として、5質量%以上(より好ましくは10質量%以上、さらには12質量%以上)、60質量%以下(より好ましくは50質量%以下、さらには40質量%以下)であることが好ましい。シェル層の含有率が5質量%未満の場合には、ポリマー粒子(B)の取扱い時に凝集し易く、操作性に問題が生じる場合がある。また、硬化物に期待する物性が得られない可能性がある。また、シェル層の含有率が60質量%を超えると、ポリマー粒子(B)における弾性コア層の含有率が低下することとなって、硬化物に対する靱性改良効果が低下する傾向がある。なお、弾性コア層と中間層とシェル層の含有率の合計は100質量%である。
本発明で用いるポリマー粒子(B)のシェル層のグラフト率は、70%以上(より好ましくは80%以上、さらには90%以上)であることが好ましい。グラフト率が70%未満の場合には、液状樹脂組成物の粘度が上昇する場合がある。なお、本明細書において、グラフト率の算出方法は下記の通りである。
先ず、ポリマー粒子(B)を含有する水性ラテックスを凝固・脱水し、最後に乾燥してポリマー粒子(B)のパウダーを得る。次いで、ポリマー粒子(B)のパウダー2gをメチルエチルケトン(MEK)100gに23℃で24時間浸漬した後にMEK可溶分をMEK不溶分と分離し、さらにMEK可溶分からメタノール不溶分を分離する。そして、MEK不溶分とメタノール不溶分との合計量に対するMEK不溶分の比率を求めることによって算出する。
2−4.ポリマー粒子(B)の粒子径
ポリマー粒子(B)の粒子径はその水性ラテックスを安定的に得ることができる範囲で設定できる。さらに、工業生産性も考慮すると、体積平均粒子径(Mv)は0.03μm以上(好ましくは0.05μm以上)、2μm以下(好ましくは1μm以下)が好ましい。なお、ポリマー粒子(B)の体積平均粒子径(Mv)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
2−5.ポリマー粒子(B)の製造方法
2−5−1.コア層の製造方法
本発明で用いるポリマー粒子(B)を構成する弾性コア層を形成するポリマーが、ジエン系モノマー(共役ジエン系モノマー)および(メタ)アクリレート系モノマーから選ばれる少なくとも1種のモノマー(第1モノマー)を含んで構成される場合には、弾性コア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2005/028546号明細書に記載の方法を用いることができる。
また、弾性コア層を形成するポリマーがポリシロキサン系ポリマーを含んで構成される場合には、弾性コア層の形成は、例えば、乳化重合、懸濁重合、マイクロサスペンジョン重合などによって製造することができ、例えばWO2006/070664号明細書に記載の方法を用いることができる。
2−5−2.中間層の形成方法
中間層は、上記弾性コア層(粒子)の存在下、中間層形成用モノマーを公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。弾性コア層を構成するゴム弾性体をエマルジョンとして得た場合には、中間層形成用モノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましい。
乳化重合において用いることができる乳化剤(分散剤)としては、ジオクチルスルホコハク酸やドデシルベンゼンスルホン酸などに代表されるアルキルまたはアリールスルホン酸、アルキルまたはアリールエーテルスルホン酸、ドデシル硫酸に代表されるアルキルまたはアリール硫酸、アルキルまたはアリールエーテル硫酸、アルキルまたはアリール置換燐酸、アルキルまたはアリールエーテル置換燐酸、ドデシルザルコシン酸に代表されるN−アルキルまたはアリールザルコシン酸、オレイン酸やステアリン酸などに代表されるアルキルまたはアリールカルボン酸、アルキルまたはアリールエーテルカルボン酸などの各種の酸類;これら酸類のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩などのアニオン性乳化剤(分散剤);アルキルまたはアリール置換ポリエチレングリコールなどの非イオン性乳化剤(分散剤);ポリビニルアルコール、アルキル置換セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸誘導体などの分散剤が挙げられる。これらの乳化剤(分散剤)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリマー粒子(B)の水性ラテックスの分散安定性に支障を来さない限り、乳化剤(分散剤)の使用量は少なくすることが好ましい。また、乳化剤(分散剤)は、その水溶性が高いほど好ましい。水溶性が高いと、乳化剤(分散剤)の水洗除去が容易になり、最終的に得られる硬化物への悪影響を容易に防止できる。
乳化重合法を採用する場合には、公知の開始剤、すなわち2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどを熱分解型開始剤として用いることができる。
また、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パラメンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ヘキシルパーオキサイドなどの有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物といった過酸化物と、必要に応じてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、グルコースなどの還元剤、および必要に応じて硫酸鉄(II)などの遷移金属塩、さらに必要に応じてエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムなどのキレート剤、さらに必要に応じてピロリン酸ナトリウムなどのリン含有化合物などを併用したレドックス型開始剤を使用することもできる。
レドックス型開始剤系を用いた場合には、前記過酸化物が実質的に熱分解しない低い温度でも重合を行うことができ、重合温度を広い範囲で設定できるようになり好ましい。中でもクメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物をレドックス型開始剤として用いることが好ましい。前記開始剤の使用量や、レドックス型開始剤を用いる場合には前記還元剤や遷移金属塩やキレート剤などの使用量は公知の範囲で用いることができる。また二重結合を2以上有するモノマーを重合するに際しては公知の連鎖移動剤を公知の使用範囲内で用いることができる。また、追加的に、公知の界面活性剤を公知の使用範囲内で用いることができる。
重合に際しての重合温度、圧力、脱酸素などの条件は、公知の範囲のものが適用できる。また、中間層形成用モノマーの重合は1段で行なっても2段以上で行なっても良い。例えば、弾性コア層を構成するゴム弾性体のエマルジョンに中間層形成用モノマーを一度に添加する方法や連続追加する方法の他、あらかじめ中間層形成用モノマーが仕込まれた反応器に弾性コア層を構成するゴム弾性体のエマルジョンを加えてから重合を実施する方法などを採用することができる。
2−5−3.シェル層の形成方法
シェル層は、中間層で被覆した弾性コア層(粒子)の存在下、シェル層形成用モノマーを、公知のラジカル重合により重合することによって形成することができる。中間層で被覆した弾性コア層(粒子)をエマルジョンとして得た場合には、シェル層形成用モノマーの重合は乳化重合法により行うことが好ましく、例えば、WO2005/028546号明細書に記載の方法に従って製造することができる。
3.液状樹脂組成物
本発明の液状樹脂組成物において、ポリマー粒子(B)の含有量は液状樹脂組成物中1質量%以上(好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上)であることが好ましく、60質量%以下(好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下)であることが好ましい。ポリマー粒子(B)の含有量が1質量%未満の場合には、液状樹脂組成物を用いて得られる本発明の硬化物において、目的とした耐衝撃性改良効果や強靭化効果が十分に得られない場合がある。また、ポリマー粒子(B)の含有量が60質量%を超える場合には、十分な分散性が得られない場合がある。
本発明の液状樹脂組成物に含まれるポリマー粒子(B)は、上述した通りの中間層を有することから、ポリマー粒子(B)を含有させたことによる液状樹脂組成物の粘度の上昇を低く抑えることができる。なお、液状樹脂組成物の粘度の測定方法については後述する。
本発明で用いるポリマー粒子(B)は、後述するように、ポリマー粒子(B)を凝固・乾燥することなく樹脂構成成分(A)と混合して用いられることから、液状樹脂組成物中で一次粒子の状態で分散している。より具体的には、ポリマー粒子(B)が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3以下(好ましくは2.5以下、より好ましくは2以下、さらに好ましくは1.5以下)で分散している。ポリマー粒子(B)が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3を超えて分散している液状樹脂組成物では、この液状樹脂組成物から硬化物を得ても、ポリマー粒子(B)を添加したことによる有意な効果(例えば、耐衝撃性など)を得難くなる。
なお、本明細書において、体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)は、後述するように、マイクロトラックUPA(日機装株式会社製)を用いて液状樹脂組成物中におけるポリマー粒子(B)の体積平均粒子径(Mv)と個数平均粒子径(Mn)とをそれぞれ測定し、体積平均粒子径(Mv)を個数平均粒子径(Mn)で除することによって求めることができる。
また、本発明の液状樹脂組成物は、分散度の異なる2種以上の本発明の液状樹脂組成物を混合して構成してもよい。
4.液状樹脂組成物の調製方法
本発明の液状樹脂組成物は、ポリマー粒子(B)を含有する水性ラテックス(詳細には、乳化重合によってポリマー粒子(B)を製造した後の反応混合物)を、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、ポリマー粒子(B)を凝集させる第1工程と、凝集したポリマー粒子(B)を液相から分離して回収した後、再度有機溶媒と混合して、ポリマー粒子(B)の有機溶媒溶液を得る第2工程と、この有機溶媒溶液をさらに樹脂構成成分(A)と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程とを含んで調製されることが好ましい。ここにおいて、水性ラテックス中におけるポリマー粒子(B)の体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)に対する、液状樹脂組成物中におけるポリマー粒子(B)の体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)の比率は2倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.8倍以下、さらに好ましくは1.6倍以下、よりさらに好ましくは1.4倍以下である。かかる構成により、ポリマー粒子(B)が一次粒子の状態で分散している液状樹脂組成物を容易に得ることができる。以下、液状樹脂組成物の調製方法についてより詳細に説明する。
4−1.第1工程
第1工程は、20℃における水に対する溶解度が好ましくは5質量%以上で、40質量%以下(特に30質量%以下)の有機溶媒と、乳化重合によって得られたポリマー粒子(B)を含有する水性ラテックスとを混合する操作を含む。かかる有機溶媒を用いることによって、上記混合操作の後、さらに水を添加すると(後述する)相分離することとなって、再分散が可能な程度の緩やかな状態で界面にポリマー粒子(B)を凝集させることができる。
有機溶媒の溶解度が5質量%未満の場合には、有機溶媒とポリマー粒子(B)を含有する水性ラテックスとの混合がやや困難になる場合がある。また、溶解度が40質量%を超える場合には、第2工程において(後述する)ポリマー粒子(B)を液相(主として水相)から分離・回収することが難しくなる場合がある。
20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトンなどのケトン類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロピランなどのエーテル類、メチラールなどのアセタール類、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコールなどのアルコール類などが挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1工程で用いる有機溶媒は、20℃における水に対する溶解度が全体として5質量%以上40質量%以下を示す限り、混合有機溶媒であってもよい。例えば、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトンなどのケトン類、ジエチルカーボネート、ギ酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類などの低水溶性の有機溶媒と、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、γ−バレロラクトン、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエステル類、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどの高水溶性の有機溶媒とを2種以上適宜組み合わせた混合有機溶媒が挙げられる。
また、第1工程で用いる有機溶媒は、後述する第2工程における液相(主として水相)の除去を容易にする観点から、比重が水よりも軽いものであることが好ましい。
水性ラテックスと混合する有機溶媒の混合量は、水性ラテックス100質量部に対して50質量部以上(特に60質量部以上)、250質量部以下(特に150質量部以下)であることが好ましい。有機溶媒の混合量が50質量部未満の場合には、水性ラテックスに含有されるポリマー粒子(B)の凝集体が生成し難くなる場合がある。また、有機溶媒の混合量が250質量部を超える場合には、その後ポリマー粒子(B)を凝集させるために要する水量が増大して、製造効率が低下する場合がある。
上記水性ラテックスと有機溶媒との混合操作には、公知のものが使用可能である。例えば、撹拌翼つきの撹拌槽などの一般的装置を使用してもよく、スタティックミキサ(静止混合器)やラインミキサ(配管の一部に撹拌装置を組み込む方式)などを使用してもよい。
第1工程は、上記水性ラテックスと有機溶媒とを混合する操作の後、さらに過剰の水を添加して混合する操作を含む。これにより、相分離することとなって、緩やかな状態でポリマー粒子(B)を凝集させることができる。また、あわせて、水性ラテックスの調製に際して使用した水溶性の乳化剤もしくは分散剤、水溶性を有する重合開始剤、あるいは還元剤などの電解質の大半を水相に溶出させることができる。
水の混合量は、水性ラテックスと混合させる際に使用した上記有機溶媒100質量部に対し40質量部以上(特に60質量部以上)、300質量部以下(特に250質量部以下)であることが好ましい。水の混合量が40質量部未満では、ポリマー粒子(B)を凝集させることが困難となる場合がある。また、水の混合量が300質量部を超える場合には、凝集したポリマー粒子(B)中の有機溶媒濃度が低くなるため、後述する第2工程において凝集したポリマー粒子(B)を再分散させるのに要する時間が長期化するなど、ポリマー粒子(B)の分散性が低下する場合がある。
上記水の混合は、ポリマー粒子(B)が部分的に未凝集となることを防ぐ観点から、撹拌下あるいは撹拌と同等の流動性を付与することができる流動条件下で実施することが望ましい。具体的には、撹拌機を備えた撹拌槽での回分操作あるいは連続操作が挙げられる。また、水の添加方法は、連続的に添加する方法や一括して添加する方法などが挙げられる。
4−2.第2工程
第2工程は、凝集したポリマー粒子(B)を液相から分離して回収して、ポリマー粒子(B)ドープを得る操作を含む。かかる操作によって、ポリマー粒子(B)から乳化剤などの水溶性の夾雑物を分離・除去することができる。
凝集したポリマー粒子(B)を液相から分離して回収する方法としては、例えば、凝集したポリマー粒子(B)は液相に対し一般に浮上性があるため、第1工程で撹拌槽を用いた場合には、撹拌槽の底部から液相(主として水相)を排出したり、濾紙、濾布や比較的開き目の粗い金属製スクリーンを使って濾過したりする方法が挙げられる。
ポリマー粒子(B)の凝集体に含まれる有機溶媒の量は、ポリマー粒子(B)全体の質量に対して30質量%以上(特に35質量%以上)であることが好ましく、75質量%以下(特に70質量%以下)であることが好ましい。有機溶媒の含有量が30質量%未満では、後の工程でポリマー粒子(B)の凝集体を有機溶媒へ再度分散させる段階で要する時間が長期化したり、凝集体が残存し易くなったりするなどの不都合が生じる場合がある。また、有機溶媒の含有量が75質量%を超える場合には、その有機溶媒に水が多量に溶解・残存することとなることから、第3工程においてポリマー粒子(B)が凝集する原因となる場合がある。
なお、本明細書において、ポリマー粒子(B)の凝集体に含まれる有機溶媒量は、ポリマー粒子(B)の凝集体を精秤後120℃で15分間乾燥させ、乾燥減量を測定することによって求めた。
第2工程は、ポリマー粒子(B)の凝集体を有機溶媒と混合する操作を含む。ポリマー粒子(B)は緩やかな状態で凝集していることから、上記有機溶媒と混合することによって、ポリマー粒子(B)を有機溶媒中に1次粒子の状態で容易に再分散させることができる。
第2工程で用いる有機溶媒としては、第1工程で例示した有機溶媒を挙げることができる。かかる有機溶媒を用いることにより、後述する第3工程において有機溶媒を留去する際に水と共沸して、ポリマー粒子(B)に含まれる水分を除去することができる。また、第2工程で用いる有機溶媒は、第1工程で用いた有機溶媒と異なっていてもよいが、第2工程において、凝集体の再分散をより確実にするという観点から、第1工程で用いた有機溶媒と同一種であることが好ましい。
第2工程で用いる有機溶媒の混合量は、ポリマー粒子(B)の凝集体100質量部に対して、40質量部以上(より好ましくは200質量部以上)、1400質量部以下(より好ましくは1000質量部以下)である。有機溶媒の混合量が40質量部未満では、有機溶媒中にポリマー粒子(B)が均一に分散し難くなり、凝集したポリマー粒子(B)が塊として残ったり、粘度が上昇して取り扱いが難しくなったりする場合がある。また、有機溶媒の混合量が1400質量部を超えると、後述する第3工程において有機溶媒を蒸発留去するに際して多量のエネルギーおよび大規模な装置を必要として不経済となる。
本発明においては、第1工程と第2工程との間に、凝集したポリマー粒子(B)を液相から分離して回収し、再度20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合してポリマー粒子(B)を凝集させる操作を1回以上行うことが好ましい。これにより、ポリマー粒子(B)ドープ中に含まれる乳化剤などの水溶性の夾雑物の残存量をより低くすることができる。
4−3.第3工程
第3工程は、第2工程で得たポリマー粒子(B)の有機溶媒溶液中の有機溶媒を液状の樹脂構成成分(A)に置換する操作を含む。かかる操作によって、ポリマー粒子(B)が均一に分散し、かつ乳化剤などの夾雑物残存量の少ない液状樹脂組成物を得ることができる。また、ポリマー粒子(B)に残存する水分を共沸留去することができる。
第3工程で用いる樹脂構成成分(A)の混合量は、最終的に望む液状樹脂組成物中のポリマー粒子(B)濃度に応じて適宜調整すればよい。
有機溶媒を液状の樹脂構成成分(A)に置換する方法としては、公知の方法が適用できる。例えば、槽内に有機溶媒溶液と樹脂構成成分(A)との混合物を仕込み、加熱減圧留去する方法、槽内で乾燥ガスと上記混合物を向流接触させる方法、薄膜式蒸発機を用いるような連続式の方法、脱揮機構を備えた押出機あるいは連続式撹拌槽を用いる方法などが挙げられる。有機溶媒を留去する際の温度や所要時間などの条件は、得られる液状樹脂組成物の品質を損なわない範囲で適宜選択することができる。また、液状樹脂組成物に残存する揮発分の量は、液状樹脂組成物の使用目的に応じて問題のない範囲で適宜選択できる。
5.硬化物
本発明には、上記液状樹脂組成物を硬化して得られる硬化物が含まれる。本発明の樹脂組成物では、ポリマー粒子(B)が一次粒子の状態で分散していることから、これを硬化することによって、ポリマー粒子(B)が均一に分散した硬化物を容易に得ることができる。また、ポリマー粒子(B)が膨潤し難く、液状樹脂組成物の粘性が低いことから、硬化物を作業性よく得ることができる。
なお、本発明の液状樹脂組成物が、液状の有機化合物とポリマー粒子(B)とを含んで構成され、硬化性樹脂は含まない場合には、公知の混合方法によって液状樹脂組成物に硬化性樹脂を混合した後に硬化すればよい。本発明の液状樹脂組成物は、ポリマー粒子(B)が一次粒子の状態で分散していることから、特別の分散操作を行うことなく硬化性樹脂と混合してもポリマー粒子(B)は樹脂組成物中で均一に分散することとなって、ポリマー粒子(B)が均一に分散した硬化物を得ることができる。
本発明の液状樹脂組成物の硬化は、硬化性樹脂の態様によって適宜選択すればよく、例えば硬化剤や触媒、あるいは熱や光(紫外線など)や放射線(電子線など)の作用、およびこれらの組み合わせなど、公知の硬化方法によって行うことができる。また、例えば、本発明の液状樹脂組成物から、トランスファー成型法、インジェクション成型法、圧縮成型法、注型法、塗布焼付やステレオリソグラフィー法などの従来公知の成型法によって硬化物を得ることもできる。
6.用途
液状樹脂組成物やその硬化物の用途は、樹脂構成成分(A)に応じて例示でき、例えば不飽和ポリエステル樹脂は、繊維強化プラスチック(FRP)のバインダー;テラスやカーポートなどの建築資材;浴槽ユニットや浄化槽などの住宅機材;自動車やモーターボートやヨットなどの輸送機器;電気部品などとして用いることができる。また、ビニルエステル樹脂は、タンクやダクトなどのFRP品あるいは樹脂ライニング;石油タンクなどのライニング;ソルダレジストインキのオリゴマー;あるいは高速艇や大型ヨットや自動車などの構造部材などとして用いることができる。また、アクリレート樹脂は、接着剤;金属用、プラスチック用、建築用などの塗料;モルタル混和用などに用いることができる。また、フェノール樹脂は、電気部品や電子部品;自動車のエンジン回りの電装部品;ディスクブレーキのピストンなどとして用いることができる。また、エポキシ樹脂のうち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、接着剤や塗料、あるいはガラス繊維との積層用材料などとして用いることができる。また、脂環式エポキシ樹脂は、電気絶縁材料などとして用いることができる。また、オキセタン樹脂は、反射防止膜、帯電防止膜、ハードコート、カラーフィルターなどのディスプレイ関連部材;フォトレジスト、あるいは立体造形物などに用いることができる。また、シアン酸エステル樹脂は、航空宇宙用耐熱複合材などに用いることができる。さらに、樹脂構成成分(A)として液状の有機化合物を用いる場合には、ビスマレイミド樹脂(化合物)と混合して、航空宇宙用耐熱複合材などに用いることができる。
以下、実施例および比較例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、前記及び後記の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更して実施することが可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお下記実施例および比較例において「部」、「%」とあるのは、それぞれ質量部、質量%を意味する。
評価方法
先ず、実施例および比較例によって製造した液状樹脂組成物の評価方法について、以下説明する。
[1]平均粒子径および分散度の測定
水性ラテックスおよび液状樹脂組成物中に分散しているポリマー粒子の体積平均粒子径(Mv)および個数平均粒子径(Mn)は、マイクロトラックUPA150(日機装株式会社製)を用いて測定した。水性ラテックスについては脱イオン水で希釈、液状樹脂組成物についてはメチルエチルケトンで希釈したものを測定試料として用いた。測定は、水、またはメチルエチルケトンの屈折率、およびそれぞれのポリマー粒子の屈折率を入力し、計測時間600秒、Signal Levelが0.6〜0.8の範囲内になるように試料濃度を調整して行った。分散度はMv、Mnの値からMv/Mnを算出して求めた。
[2]粘度の測定
液状樹脂組成物中の粘度は、BROOKFIELD社製デジタル粘度計DV−II+Pro型を用いて測定した。粘度領域によってスピンドルCPE−41またはCPE−52を使い分け、測定温度50℃、Shear Rate(ずり速度)10(1/s)における粘度を測定した。
1.コア層の形成
製造例1−1;ポリブタジエンゴムラテックス(R−1)の調製
100L耐圧重合機中に、脱イオン水200質量部、リン酸三カリウム0.03質量部、リン酸二水素カリウム0.25質量部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)0.002質量部、硫酸第一鉄・7水和塩(Fe)0.001質量部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS)1.5質量部を投入し、撹拌しつつ十分に窒素置換を行なって酸素を除いた後、ブタジエン(BD)100質量部を系中に投入し、45℃に昇温した。パラメンタンハイドロパーオキサイド(PHP)0.015質量部、続いてナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(SFS)0.04質量部を投入し重合を開始した。重合開始から4時間目に、PHP0.01質量部、EDTA0.0015質量部およびFe0.001質量部を投入した。重合10時間目に減圧下残存モノマーを脱揮除去して重合を終了し、ポリブタジエンゴム粒子を含むラテックス(R−1)を得た。得られたラテックスに含まれるポリブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.10μmであった。
製造例1−2;スチレン−ブタジエンゴムラテックス(R−2)の調製
製造例1において、BD100質量部に変えて、BD75質量部およびスチレン(ST)25質量部を系中に投入した以外は製造例1と同様にして、スチレン−ブタジエンゴム粒子を含むラテックス(R−2)を得た。得られたラテックスに含まれるスチレン−ブタジエンゴム粒子の体積平均粒子径は0.10μmであった。
製造例1−3;ポリオルガノシロキサンゴムラテックス(R−3)の調製
脱イオン水200質量部、SDS1.0質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸1.0質量部、平均分子量2000の末端ヒドロキシポリジメチルシロキサン97.5質量部およびγ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシシラン2.5質量部の混合物をホモミキサーにより10000rpmで5分間撹拌後、高圧ホモジナイザーに500barの圧力下で3回通過させてシロキサンエマルジョンを調製した。このエマルジョンを速やかに温度計、撹拌器、還流冷却器、窒素流入口、モノマーと乳化剤などの副原料の添加装置を有するガラス反応器に一括して投入した。系を撹拌しながら、30℃で反応を開始させた。6時間後、23℃に冷却して20時間放置後、系のpHを炭酸水素ナトリウムで6.8に戻して重合を終了し、ポリオルガノシロキサンゴム粒子を含むラテックス(R−3)を得た。得られたラテックスに含まれるポリオルガノシロキサンゴム粒子の体積平均粒子径は0.28μmであった。
製造例1−4;アクリルゴムラテックス(R−4)の調製
温度計、撹拌機、還流冷却器、窒素流入口、モノマーと乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180質量部、EDTA0.002質量部、Fe0.001質量部、SFS0.04質量部およびSDS0.5質量部を仕込み、窒素気流中で撹拌しながら45℃に昇温した。次にn−ブチルアクリレート(BA)98質量部、アリルメタクリレート(ALMA)2質量部およびクメンハイドロパーオキサイド(CHP)0.02質量部の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記のモノマー混合物の添加とともに、1質量部のSDSを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。モノマー混合物添加終了から1時間撹拌を続けて重合を完結し、アクリルゴム粒子を含むラテックス(R−4)を得た。得られたラテックスに含まれるアクリルゴム粒子の体積平均粒子径は0.11μmであった。
2.ポリマー粒子の調製(中間層とシェル層の形成)
製造例2−1〜2−4;コアシェルポリマーラテックス(L−1〜L−4)の調製
3Lガラス容器に、脱イオン水440質量部および製造例1−1〜1−4で得たラテックス(R−1〜R−4)を固形分相当で450質量部仕込み、窒素置換を行いながら50℃で30分撹拌した。EDTA0.012質量部、Fe0.006質量部、SFS0.24質量部を加えた後、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)12質量部を一括添加した。続いてt−ブチルハイドロパーオキサイド(TBP)0.04質量部を投入し重合を開始した。1時間撹拌を続けた後、ST78質量部、アクリロニトリル(AN)36質量部、グリシジルメタクリレート(GMA)36質量部およびTBP0.12質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−1〜L−4)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径を測定した結果を表1に示す。
製造例2−5;コアシェルポリマーラテックス(L−5)の調製
3Lガラス容器に、天然ゴムラテックス(SeLatex3821:SRIハイブリッド株式会社製)750質量部(天然ゴム粒子450質量部相当)および脱イオン水1080質量部を仕込み、窒素置換を行いながら50℃で撹拌した。助触媒であるテトラエチレンペンタミン(TEPA)0.6質量部を加えた後、TAIC12質量部を一括添加した。続いてTBP0.04質量部を投入し重合を開始した。1時間撹拌を続けた後、SDS12質量部、および中和するための酸としてドデシルベンゼンスルホン酸(DBSA)15質量部を添加して、系のpHを7に調整した。その後、EDTA0.012質量部、Fe0.006質量部、SFS0.24質量部を加え、ST72質量部、AN36質量部、GMA36質量部、ALMA6質量部およびTBP0.12質量部の混合物を2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−5)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.83μmであった(表1)。
製造例2−6〜2−8;コアシェルポリマーラテックス(L−6〜L−8)の調製
製造例2−1において添加したTAICの量または種類を表1に示すとおりに代えたこと以外は製造例2−1と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−6〜L−8)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径を測定した結果を表1に示す。
製造例2−9〜2−13;コアシェルポリマーラテックス(L−9〜L−13)の調製
製造例2−1〜2−5において、TEPA(製造例2−5のみ)、TAICおよびTBPを投入して1時間撹拌を続ける工程を省き、SFSを加えた後直接グラフト重合を行ったこと以外は製造例2−1〜2−5と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−9〜L−13)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径を測定した結果を表2に示す。
製造例2−14、2−15;コアシェルポリマーラテックス(L−14、L−15)の調製
3Lガラス容器に、製造例1−1で得たラテックス(R−1)1575質量部(ポリブタジエンゴム粒子510質量部相当)および脱イオン水315質量部を仕込み、窒素置換を行いながら50℃で撹拌した。EDTA0.012質量部、Fe0.006質量部、SFS0.24質量部を加えた後、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)12質量部を一括添加した。続いてt−ブチルハイドロパーオキサイド(TBP)0.04質量部を投入し重合を開始した。1時間撹拌を続けた後、表3に示す組成のグラフトモノマー(L−14;ST42質量部、メチルメタクリレート(MMA)12質量部、GMA36質量部、L−15;ST42質量部、MMA21質量部、BA18質量部、ALMA9質量部)、およびTBP0.08質量部の混合物を1.2時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−14、15)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径を測定した結果を表3に示す。
製造例2−16、2−17;コアシェルポリマーラテックス(L−16、L−17)の調製
製造例2−14、2−15において、TAICとTBPを投入して1時間撹拌を続ける工程を省き、SFSを加えた後直接グラフト重合を行ったこと以外は製造例2−14、2−15と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−16、17)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径を測定した結果を表4に示す。
製造例2−18;コアシェルポリマーラテックス(L−18)の調製
3Lガラス容器に、製造例1−2で得たラテックス(R−2)1480質量部(スチレン−ブタジエンゴム粒子480質量部相当)および脱イオン水380質量部を仕込み、窒素置換を行いながら50℃で撹拌した。EDTA0.012質量部、Fe0.006質量部、SFS0.24質量部を加えた後、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)12質量部を一括添加した。続いてt−ブチルハイドロパーオキサイド(TBP)0.04質量部を投入し重合を開始した。1時間撹拌を続けた後、ST60質量部、AN24質量部、GMA36質量部およびTBP0.10質量部の混合物を1.6時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−18)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2−19;コアシェルポリマーラテックス(L−19)の調製
製造例2−18において、TAICとTBPを投入して1時間撹拌を続ける工程を省き、SFSを加えた後直接グラフト重合を行ったこと以外は製造例2−18と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−19)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.11μmであった。
製造例2−20;コアシェルポリマーラテックス(L−20)の調製
3Lガラス容器に、製造例1−3で得たラテックス(R−3)1530質量部(ポリオルガノシロキサンゴム粒子498質量部相当)および脱イオン水348質量部を仕込み、窒素置換を行いながら50℃で撹拌した。EDTA0.012質量部、Fe0.006質量部、SFS0.24質量部を加えた後、TAIC12質量部を一括添加した。続いてTBP0.04質量部を投入し重合を開始した。1時間撹拌を続けた後、ST54質量部、AN24質量部、GMA12質量部、ALMA12質量部およびTBP0.10質量部の混合物を1.6時間かけて連続的に添加しグラフト重合した。添加終了後、更に2時間撹拌して反応を終了させ、コアシェルポリマーのラテックス(L−20)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.30μmであった。
製造例2−21;コアシェルポリマーラテックス(L−21)の調製
製造例2−20において、TAICとTBPを投入して1時間撹拌を続ける工程を省き、SFSを加えた後直接グラフト重合を行ったこと以外は製造例2−20と同様にして、コアシェルポリマーのラテックス(L−21)を得た。得られたラテックスに含まれるコアシェルポリマーの体積平均粒子径は0.30μmであった。
実施例1〜23、比較例1〜15;液状樹脂組成物M−1〜M−38の調製
25℃の1L混合槽にメチルエチルケトン(MEK)126gを導入し、撹拌しながら、それぞれ前記製造例2−1〜2−21で得られたコアシェルポリマーの水性ラテックス(L−1〜L−21)を126g投入した。均一に混合後、水200gを80g/分の供給速度で投入した。供給終了後、速やかに撹拌を停止したところ、浮上性の凝集体および有機溶媒を一部含む水相からなるスラリー液を得た。次に、一部の水相を含む凝集体を残し、水相350gを槽下部の払い出し口より排出させた。得られた凝集体にMEK90gを追加して均一に混合し、コアシェルポリマーを均一に分散した分散体を得た。表1〜表6に示す樹脂構成成分を表1〜表6に示す量(ただし、表1〜表6は固形分相当量)で混合後、MEKを減圧留去し、コアシェルポリマーを含む液状樹脂組成物(M−1〜M−38)を得た。これらの液状樹脂組成物をMEKで希釈し、液状樹脂組成物中に分散しているコアシェルポリマーの平均粒子径をマイクロトラックUPA150により測定した結果、および液状樹脂組成物の粘度測定結果を表1〜表6に示す。
Figure 2009034966
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実施例1〜23、および比較例1〜15の結果から、中間層を有するポリマー粒子を用いて構成される液状樹脂組成物は、中間層を有さないポリマー粒子を用いて構成される液状樹脂組成物に比して粘度が低いことが分かる。
本発明で用いるポリマー粒子は、ポリマー粒子を含む液状樹脂組成物の粘性を低く抑えることができる。このため、本発明の液状樹脂組成物は、種々の用途に適した硬化物を得るために好適に利用することができる。

Claims (10)

  1. 液状の硬化性樹脂、固体の硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂溶液、または硬化性樹脂とポリマー鎖を形成することが可能な液状の有機化合物から選択される樹脂構成成分(A)と、
    二重結合を2以上有するモノマーを用いて形成される中間層で弾性コア層を被覆し、さらにシェル層で前記中間層を被覆したポリマー粒子(B)と
    を含み、前記ポリマー粒子(B)が体積平均粒子径(Mv)/個数平均粒子径(Mn)3以下で分散していることを特徴とする液状樹脂組成物。
  2. 前記ポリマー粒子(B)100質量%中、前記中間層を0.2質量%以上7質量%以下含む請求項1に記載の液状樹脂組成物。
  3. 前記二重結合を2以上有するモノマーが、(メタ)アクリレート系多官能性モノマー、イソシアヌル酸誘導体、芳香族ビニル系多官能性モノマー、芳香族多価カルボン酸エステル類から選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の液状樹脂組成物。
  4. 前記シェル層がヒドロキシル基、炭素−炭素二重結合、エポキシ基から選択される有機基を有する成分を少なくとも1種含む請求項1から3のいずれか一項に記載の液状樹脂組成物。
  5. 前記液状の硬化性樹脂がエポキシ樹脂、オキセタン樹脂、アクリレート樹脂から選択される1種である請求項1から4のいずれか一項に記載の液状樹脂組成物。
  6. 前記液状の有機化合物が芳香族ジ(メタ)アリル化合物である請求項1から5のいずれか一項に記載の液状樹脂組成物。
  7. 前記ポリマー粒子(B)を含有する水性ラテックスを、20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、前記ポリマー粒子(B)を凝集させる第1工程と、
    凝集した前記ポリマー粒子(B)を液相から分離して回収した後、再度有機溶媒と混合して、前記ポリマー粒子(B)の有機溶媒溶液を得る第2工程と、
    前記有機溶媒溶液をさらに前記樹脂構成成分(A)と混合した後、前記有機溶媒を留去する第3工程と
    を含んで調製される請求項1から6のいずれか一項に記載の液状樹脂組成物。
  8. 前記第1工程と第2工程との間に、凝集した前記ポリマー粒子(B)を液相から分離して回収し、再度20℃における水に対する溶解度が5質量%以上40質量%以下の有機溶媒と混合した後、さらに過剰の水と混合して、前記ポリマー粒子(B)を凝集させる操作を1回以上行う請求項7に記載の液状樹脂組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載の液状樹脂組成物を2種以上混合した液状樹脂組成物。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の液状樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
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