JPWO2009028528A1 - ベシクル−シリカ複合体含有組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

安定性が改善され、生体への投与又は皮膚表面への塗布時において薬剤や香料の放出速度が充分に抑制されたベシクル含有組成物を提供する。界面活性剤からなるベシクルを含有する水性組成物中に、特定構造の水溶性シラン誘導体を添加・混合することにより、ベシクルの外表面上でシリカの重合が進み、外表面上がシリカによって被覆されたベシクル−シリカ複合体が得られ、この結果、ベシクル含有組成物の安定性が改善され、生体への投与又は皮膚表面への塗布時における薬剤や香料の放出速度抑制効果が向上する。

Description

関連出願
本出願は、2007年08月31日付け出願の日本国特許出願2007−226827号の優先権を主張しており、ここに折り込まれるものである。
本発明はベシクル−シリカ複合体含有組成物及びその製造方法、特に界面活性剤からなるベシクル含有組成物の安定性の改善に関する。
親水性−疎水性の双方の性質を有する両親媒性の化合物のうち、例えば、リン脂質等のように、水性相中で二分子膜(ラメラ相)からなる球状の小胞体を形成するものがある。このような二分子膜小胞体をリポソームあるいはベシクルといい、これらは、その小胞体内部に水性成分を、あるいは小胞体膜内に油性成分を保持することができる。このため、薬剤や香料を保持させると、これらの放出速度が抑制され、例えば、薬剤内包ベシクルを生体内に投与した場合、薬剤の代謝が抑制されて、薬効を長期間にわたって維持することができ、あるいは香料内包ベシクルを皮膚表面に塗布した場合に、香料の発する匂いを長時間持続させることができる等の利点から、医薬、化粧品、食品分野等におけるマイクロカプセルとして用いられている。また、リポソームあるいはベシクルを形成することによって、外観(透明性)や使用感触の良好な組成物が得られるため、化粧料の基剤としての使用も期待されている。
近年、このようなベシクルを形成し得る両親媒性の化合物として、シリコーン系の界面活性剤が報告されている(例えば、特許文献1〜3参照)。シリコーン系界面活性剤により形成されるベシクルの特徴としては、例えば、他のベシクル形成性の界面活性剤を用いた場合と比べて、容易にベシクルを調製可能であること等が挙げられる。しかしながら、シリコーン系界面活性剤を用いて調製したベシクルにおいては、膜流動性が高いため、経時あるいは温度に対する安定性の点で十分なものとは言い難く、生体への投与又は皮膚表面への塗布時における薬剤又は香料の放出速度抑制効果が充分でなく、さらに他の共存物質の種類によっては、ベシクルが容易に崩壊してしまうという問題もあった。特に、化粧料用基剤としての使用を鑑みた場合には、実使用に耐え得る程度のさらなる安定性の改善が望まれていた。
特開平07−323222号公報 特開平08−239475号公報 特開平09−175930号公報
本発明は前記従来技術の課題に鑑みて行われたものであり、その目的は、安定性が改善され、生体への投与又は皮膚表面への塗布時において薬剤や香料の放出速度が充分に抑制されたベシクル含有組成物を提供することにある。
前記従来技術の課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を行った結果、界面活性剤からなるベシクルを含有する水性組成物中に、特定構造の水溶性シラン誘導体を添加・混合することにより、ベシクルの外表面上でシリカの重合が進み、外表面上がシリカによって被覆されたベシクル−シリカ複合体が得られ、この結果、ベシクル含有組成物の安定性が改善され、生体への投与又は皮膚表面への塗布時における薬剤や香料の放出速度抑制効果が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかるベシクル−シリカ複合体含有組成物は、(A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤と、(B)水とを含み、該(A)界面活性剤からなるベシクルの外表面上の一部又は全部がシリカにより被覆されたベシクル−シリカ複合体を含むことを特徴とするものである。
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物において、前記(A)界面活性剤が、ポリオキシアルキレン変性シリコーンであることが好適である。
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物において、前記(A)界面活性剤の配合量が、組成物全量に対して0.3〜5.0質量%であることが好適である。
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物において、2以上のベシクル粒子の凝集体がシリカにより結び付けられたベシクル−シリカ複合体粒子を含むことが好適である。
また、本発明にかかるベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法は、(A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤と、(B)水とを含む成分を混合し、該(A)界面活性剤からなるベシクルを形成する工程と、前記工程により得られたベシクル含有水性組成物中に、(C)下記一般式(1)で示される水溶性シラン誘導体を添加し、該(A)界面活性剤からなるベシクルの外表面上の一部又は全部においてシリカを形成する工程とを備えることを特徴とするものである。
Si−(OR (1)
(式中、Rは少なくとも1つが多価アルコール残基であり、その他はアルキル基であってもよい。)
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、前記(A)界面活性剤が、ポリオキシアルキレン変性シリコーンであることが好適である。
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、前記(A)界面活性剤の配合量が、組成物全量に対して0.3〜5.0質量%であることが好適である。
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、前記(C)水溶性シラン誘導体の配合量が、組成物全量に対して1.0〜10.0質量%であることが好適である。
また、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、2以上のベシクル粒子の凝集体がシリカにより結び付けられたベシクル−シリカ複合体粒子を形成することが好適である。
また、本発明にかかる化粧料は、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物からなることを特徴とするものである。
また、本発明にかかるフレグランス化粧料は、前記ベシクル−シリカ複合体含有組成物からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、界面活性剤により形成されるベシクルを含有する水性組成物中に、特定構造の水溶性シラン誘導体を添加・混合することにより、ベシクルの外表面上でシリカの重合が進み、外表面上がシリカによって被覆されたベシクル−シリカ複合体が得られ、この結果、ベシクル含有組成物の安定性が改善され、生体への投与又は皮膚表面への塗布時における薬剤や香料の放出速度抑制効果が向上する。
ポリオキシエチレン変性シリコーン及びグリセリン置換シラン誘導体を各種濃度で用いて調製したベシクル含有組成物の写真図である。 水溶性シラン誘導体濃度に対するベシクル含有組成物中の粒子径の変化を示した図である。 本発明の一実施例にかかるベシクル−シリカ複合体の界面活性剤の添加前後での粒子径の変化を測定した結果である。 未処理ベシクルの界面活性剤の添加前後での粒子径の変化を測定した結果である。 界面活性剤5質量%、水溶性シラン誘導体0.1質量%の条件で調製したベシクル−シリカ誘導体(単分散ベシクル)のTEM写真図である。 界面活性剤5質量%、水溶性シラン誘導体3.0質量%の条件で調製したベシクル−シリカ複合体(ベシクル凝集体)のTEM写真図である。
本発明にかかるベシクル−シリカ複合体含有組成物は、(A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤と、(B)水とを含み、該(A)界面活性剤からなるベシクルの外表面上の一部又は全部がシリカにより被覆されたベシクル−シリカ複合体を含むことを特徴とするものである。
(A)界面活性剤
本発明に用いられる(A)界面活性剤は、水中でベシクルを形成し得るものであれば、特に限定することなく用いることができる。(A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン変性シリコーンを好適に用いることができる。なお、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、疎水性基としてポリシロキサン構造、親水基としてポリオキシアルキレン構造を有する界面活性剤であり、より具体的には、下記一般式(2)に示すポリオキシアルキレン変性シリコーンを用いることができる。
Figure 2009028528
(式中、Rは、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。Aは、少なくともその1つが式: −(CH−(CO)−(CO)−R (式中、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、aは1〜6、bは0〜50、cは0〜50の整数であり、b+cは少なくとも5以上である。)で示されるポリオキシアルキレン基であり、その他のAは水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。mは1〜200、nは0〜50の整数である。)
ここで、上記一般式(2)において、Rは、主鎖のポリシロキサン構造における側鎖であって、水素又は炭素数1〜6のアルキル基である。また、これらは同一であっても、あるいは異なっていてもよい。例えば、Rがすべてメチル基である場合にはジメチルポリシロキサン構造、メチル基及びフェニル基である場合には、メチルフェニルポリシロキサン構造となる。また、Aは、主鎖のポリシロキサン構造において、ポリオキシアルキレン基が導入され得る箇所であり、少なくともその1つが式: −(CH−(CO)−(CO)−R (式中、Rは水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、aは1〜6、bは0〜50、cは0〜50の整数であり、b+cは少なくとも5以上である。)で示されるポリオキシアルキレン基である。
なお、上記一般式(2)において、Aの一部が前記ポリオキシアルキレン基である場合に、その他のAは水素又は炭素数1〜6のアルキル基であってもよい。例えば、末端の2つのAがポリオキシアルキレン基である場合、A−B−A型で示されるポリオキシアルキレン変性シリコーンとなる。他方、非末端のAのみがポリオキシアルキレン基である場合、ペンダント型のポリオキシアルキレン変性シリコーンとなる。ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン基のいずれであってもよい。非置換ポリシロキサン構造のモル数を示すmは1〜200であり、ポリオキシアルキレン置換ポリシロキサン構造のモル数を表すnは0〜50である。なお、nが0の場合には、末端の2つのAのいずれかあるいは両方が、ポリオキシアルキレン基である必要がある。
本発明に用いられるポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、さらに具体的には、ポリオキシエチレン(12モル)変性ジメチルポリシロキサン(直鎖状ジメチルポリシロキサンの側鎖メチル基をポリオキシエチレン(12モル)基により置換したペンダント型のポリオキシアルキレン変性シリコーン)、ポリオキシエチレン(8モル)変性ジメチルポリシロキサン、ポリオキシエチレン(20モル)変性ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。この他にABAタイプポリオキシエチレン−メチルシロキサン−ポリオキシエチレンブロックコポリマーなどがある。これらのポリオキシエチレン変性シリコーンの場合、全分子量中に占めるエチレンオキサイドの分子量は20〜60%であることが望ましい。なお、ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、公知の製法により製造することも可能であり、また、市販品を用いてもよい。市販のポリオキシアルキレン変性シリコーンとしては、例えば、SH3772M,SH3773M,SH3775M(いずれもダウ・コーニングシリコーン社製)、IM−22(Wacker Chemical社製)等が挙げられる。また、これらのポリオキシアルキレン変性シリコーンの1種または2種以上を任意に選択して組み合わせて用いてもよい。
上記(A)界面活性剤は、本発明にかかるベシクル−シリカ複合体含有組成物において、ベシクルとして含有している。なお、ベシクルの形成は、公知の方法によって容易に行うことができ、例えば、(A)界面活性剤と、(B)水を含む水性処方中に添加・混合することで、水性処方中に(A)界面活性剤からなるベシクルが形成される。なお、水性処方中には、(A)界面活性剤を溶解しやすくする目的で、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の水性溶媒を適当量配合することが好ましい。なお、ベシクル−シリカ複合体としての平均粒子径は、特に限定されるものではないが、通常、20〜500nm程度であり、好ましくは50〜200nmである。平均粒子径の測定は、例えば、動的光散乱法、レーザー回折法等によって行うことができる。
また、上記(A)界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることも可能である。(A)界面活性剤の配合量は、ベシクルを形成し得る量であれば特に限定されるものではないが、組成物全量に対して0.1〜10.0質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.3〜5.0質量%である。(A)界面活性剤の配合量が少ないとベシクル形成による効果が得られない場合があり、一方で、配合量が多すぎると、ベシクルの安定性に劣る場合がある。
(B)水
(B)水の配合量は、特に限定されるものではないが、組成物全量に対して(ベシクル形成の前後で添加された水の総量が)70.0〜90.0質量%であることが好ましく、さらに好ましくは80〜95質量%である。(B)水の配合量が少ないと、ベシクルを形成できない場合があり、一方で、配合量が多すぎると、(A)界面活性剤あるいは任意のベシクル内包成分の配合量が相対的に減少してしまい、ベシクルの形成あるいはベシクル内包成分の配合による効果が得られない場合がある。
製造方法
本発明にかかるベシクル−シリカ複合体含有組成物は、上記(A)界面活性剤及び(B)水を含み、(A)界面活性剤からなるベシクルを含有する水性組成物中に、(C)特定構造の水溶性シラン誘導体を添加・混合することによって、ベシクルの外表面上でシリカの重合が進み、外表面上がシリカによって被覆されたベシクル−シリカ複合体を含有する組成物として得られるものである。
本発明のベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法の一例を示し、製造方法についてさらに詳しく説明する。
1) まず最初に、(A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤と、(B)水とを含む成分とを混合し、該(A)界面活性剤からなるベシクルを形成する。
ここで、上記(A),(B)成分のほかに、(A)界面活性剤を溶解しやすくする目的で、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の水性溶媒を適当量配合することが好ましい。その他、任意の水性成分あるいは油性成分をベシクル内包成分として、上記(A),(B)成分とともに混合して、ベシクルを形成することができる。
また、例えば、(A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤を、クロロホルム等の溶媒に溶解し、ナス型フラスコ等の容器中でクロロホルムを蒸発させ、(A)界面活性剤の薄膜を得た後、(B)水を添加し、その後、超音波処理を行うことによってベシクルを形成することも可能である。
2) つづいて、前記工程により得られたベシクル含有水性組成物中に、(C)下記一般式(1)で示される水溶性シラン誘導体を添加し、該(A)界面活性剤からなるベシクルの外表面上の一部又は全部においてシリカを形成する。
Si−(OR (1)
(式中、Rは少なくとも1つが多価アルコール残基であり、その他はアルキル基であってもよい。)
(C)水溶性シラン誘導体
本発明に用いられる(C)水溶性シラン誘導体は、上記一般式(1)に示されるものである。上記一般式(1)に示される水溶性シラン誘導体において、Rは少なくとも1つが多価アルコール残基であり、その他はアルキル基であってもよい。多価アルコール残基は、多価アルコールにおける1つの水酸基が除かれた形として示される。なお、(C)水溶性シラン誘導体は、通常、テトラアルコキシシランと多価アルコールとの置換反応により調製することができ、Rの多価アルコール残基は、使用する多価アルコールの種類によって異なるが、例えば、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いた場合、Rは−CH−CH−OHとなる。なお、Rの少なくとも1つが、置換多価アルコール残基であればよく、その他は未置換のアルキル基であってもよい。
上記一般式(1)におけるRの多価アルコール残基としては、例えば、エチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、テトラエチレングリコール残基、ポリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、ヘキシレングリコール残基、グリセリン残基、ジグリセリン残基、ポリグリセリン残基、ネオペンチルグリコール残基、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基、マルチトール残基等が挙げられる。これらのうち、Rがエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、グリセリン残基のいずれかであることが好ましい。
本発明に用いられる(C)水溶性シラン誘導体としては、より具体的には、Si−(O−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CHOH−CH、Si−(O−CH−CHOH−CH−OH)等が挙げられる。
本発明に用いられる(C)水溶性シラン誘導体は、例えば、テトラアルコキシシランと多価アルコールとを、固体触媒の共存下で反応させることにより調製することができる。
テトラアルコキシシランは、ケイ素原子に4つのアルコキシ基が結合したものであればよく、特に限定されるものではない。水溶性シリケートモノマーの製造に用いるテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、入手のし易さ、及び反応副生成物の安全性の点から、テトラエトキシシランを用いるのが最も好ましい。
なお、テトラアルコキシシランの代替化合物として、モノ、ジ、トリハロゲン化アルコキシシラン、例えばモノクロロトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、モノブロモトリエトキシシラン等、あるいはテトラハロゲン化シラン、例えばテトラクロロシラン等を用いる事も考えられるが、これらの化合物は、多価アルコールとの反応において、塩化水素、臭化水素などの強酸を生成するため、反応装置の腐食が生じたり、さらには反応後の分離除去が困難であるため、実用的であるとは言い難い。
多価アルコールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。水溶性シリケートモノマーの製造に用いる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マルチトール等が挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンのいずれかを用いるのが好ましい。
固体触媒は、用いられる原料成分、反応溶媒、及び反応生成物に対して不溶な固体状の触媒であり、ケイ素原子上の置換基交換反応に対して活性を有する酸点及び/又は塩基点を有する固体であればよい。本発明に用いられる固体触媒としては、例えば、イオン交換樹脂、及び各種無機固体酸/塩基触媒が挙げられる。
固体触媒として用いられるイオン交換樹脂としては、例えば、酸性陽イオン交換樹脂及び塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのイオン交換樹脂の基体をなす樹脂としてはスチレン系、アクリル系、メタクリル系樹脂等が挙げられ、また、触媒活性を示す官能基としてはスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、4級アンモニウム、3級アミン、1,2級ポリアミン等が挙げられる。また、イオン交換樹脂の基体構造としては、ゲル型、ポーラス型、バイポーラス型等から、目的に応じて選択することができる。
酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRC76、FPC3500、IRC748、IRB120B Na、IR124 Na、200CT Na(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SK1B、PK208(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア650C、マラソンC、HCR−S、マラソンMSC(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。また、塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRA400J CL、IRA402BL CL、IRA410J CL、IRA411 CL、IRA458RF CL、IRA900J CL、IRA910CT CL、IRA67、IRA96SB(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SA10A、SAF11AL、SAF12A、PAF308L(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア550A、マラソンA、マラソンA2、マラソンMSA(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
固体触媒として用いられる無機固体酸/塩基触媒としては、特に限定されるものではない。無機固体酸触媒としては、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、Cr等の単元系金属酸化物、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−ZrO、TiO−ZrO、ZnO−Al、Cr−AlO3、SiO−MgO、ZnO−SiO等の複合系金属酸化物、NiSO、FeSO等の金属硫酸塩、FePO等の金属リン酸塩、HSO/SiO等の固定化硫酸、HPO/SiO等の固定化リン酸、HBO/SiO等の固定化ホウ酸、活性白土、ゼオライト、カオリン、モンモリロナイト等の天然鉱物又は層状化合物、AlPO−ゼオライト等の合成ゼオライト、HPW1240・5HO、HPW1240等のヘテロポリ酸等が挙げられる。また、無機固体塩基触媒としては、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、La、ZrO、ThO等の単元系金属酸化物、NaCO、KCO、KHCO、KNaCO、CaCO、SrCO、BaCO、(NHCO、NaWO・2HO、KCN等の金属塩、Na−Al、K−SiO等のアルカリ金属担持金属酸化物、Na−モルデナイト等のアルカリ金属担持ゼオライト、SiO−MgO、SiO−CaO、SiO−SrO、SiO−ZnO、SiO−Al、SiO−ThO、SiO−TiO、SiO−ZrO、SiO−MoO、SiO−WO、Al−MgO、Al−ThO、Al−TiO、Al−ZrO、ZrO−ZnO、ZrO−TiO、TiO−MgO、ZrO−SnO等の複合系金属酸化物等が挙げられる。
固体触媒は、反応終了後にろ過あるいはデカンテーション等の処理を行なうことによって、容易に生成物と分離することができる。
(C)水溶性シラン誘導体の製造においては、反応時に溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて各種溶媒を用いても構わない。反応に用いる溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、セロソルブ、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエステル、エーテル、ケトン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、さらにはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。ここで、原料として用いるテトラアルコキシシランの加水分解縮合反応を抑制するため、溶媒は予め脱水しておくことが好ましい。また、これらのうちで、反応時に副生成するエタノール等のアルコールと共沸混合物を形成して系外へと除去することで反応を促進することのできるアセトニトリル、トルエン等を用いることが好ましい。
(C)水溶性シラン誘導体は、単独で用いても、2種以上を混合して用いても構わない。(C)水溶性シラン誘導体の配合量は、特に限定されるものではないが、組成物全量中0.5〜10.0質量%であることが好適であり、さらに好ましくは1.0〜10.0質量%である。水溶性シラン誘導体の配合量が0.5質量%未満ではベシクルの安定化効果が得られない場合があり、10.0質量%を超えるとベシクル−シリカ複合体粒子が大きくなりすぎて分離沈殿しまい、使用感触に劣る場合がある。
なお、(C)水溶性シラン誘導体は、水中での加水分解・脱水縮合反応により、シリカゲルと多価アルコールとを生成する。そして、この際、水中において適当な足場となり得る物質が存在すると、この物質を足場として、シリカゲルの生成が進んで行く。このため、(A)界面活性剤からなるベシクルを含有する水性組成物中に、(C)水溶性シラン誘導体を添加・混合することにより、ベシクルの外表面上でシリカの重合が進み、外表面上がシリカによって被覆されたベシクル−シリカ複合体を含有する組成物として得られる。
また、上記(C)水溶性シラン誘導体の配合量に応じて、(1)単分散ベシクル−シリカ複合体、すなわち、1つのベシクル粒子がシリカで被覆されたベシクル−シリカ複合体が得られる場合と、(2)ベシクル凝集体−シリカ複合体、すなわち、2つ以上のベシクル粒子が凝集体構造を形成した状態でシリカによって結び付けられたベシクル−シリカ複合体粒子が得られる場合とがあり、いずれの場合も本発明のベシクル−シリカ複合体含有組成物として有用であるが、特に後者の(2)ベシクル凝集体構造を有するベシクル−シリカ複合体を好適に用いることができる。また、(C)水溶性シラン誘導体の配合量が1.0質量%を超えると、特に(2)ベシクル凝集体−シリカ複合体が得られやすくなる。
以上のようにして得られるベシクル−シリカ複合体含有組成物は、例えば、化粧料として好適に用いることができる。化粧料として用いる場合には、上記(A)〜(C)の必須成分の他に、通常、医薬品、化粧品に用いられる成分を、ベシクルあるいはシリカの形成、およびこれらの安定性について悪影響の無い範囲で、任意に配合してもよい。なお、他の処方成分は、ベシクル形成前、ベシクル形成後あるいはベシクル−シリカ複合体形成後のいずれの時点で配合しても構わない。例えば、任意の水性(あるいは油性の)薬剤成分を処方中に配合してベシクルを形成し、その後、外相を置換することによって、内相中(あるいはベシクル二分子膜中)にのみ薬剤成分が存在するマイクロカプセル組成物とすることも可能である。
本発明にかかる化粧料の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、化粧水、ヘアリキッド等の一般的な化粧料として使用することができ、また、特に香料成分の放出抑制効果を期待したフレグランス化粧料として好適に使用することが可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下、特に断りの無い限り、配合量は質量%で示す。
まず最初に、本発明において用いられる水溶性シラン誘導体の製造方法について説明する。
合成例1:グリセリン置換シラン誘導体
テトラエトキシシラン60.1g(0.28モル)と、グリセリン106.33g(1.16モル)とを混合し、無溶媒下、固体触媒として強酸性イオン交換樹脂(DowEX 50W−X8:ダウ・ケミカル社製)1.1gを添加した後、85℃で混合攪拌した。約3時間の後、混合物は一層透明溶液となった。さらに5時間30分反応を続けた後、得られた溶液を終夜静置した。減圧下、固体触媒をろ過分離した後、少量のエタノールで洗浄した。さらにこの溶液からエタノールを留去して、透明の粘性液体112gを得た。生成物は、同量の水と室温で混合することにより、やや発熱し、均一で透明なゲルを形成した(収率:97%)。
本発明者らは、上記合成例に準じてグリセリン置換シラン誘導体を調製し、これを界面活性剤によるベシクル含有溶液中に混合することによってベシクル‐シリカ複合体の調製を試み、得られた生成物についての検討を行った。
ベシクル‐シリカ複合体
界面活性剤としてポリオキシエチレン(12モル)ジメチルポリシロキサン(SH3773M:東レ・ダウコーニング社製)10質量部を、エタノール10質量部に溶解し、さらに水80質量部に溶解することで、ポリオキシエチレン変性シリコーンからなるベシクル含有水溶液を得た、つづいて、これを10質量%エタノール水溶液で希釈することで、界面活性剤濃度が、それぞれ0.5、1.0、2.0、5.0質量%となるように調整した各種のベシクル含有水溶液を得た。得られた各種界面活性剤濃度のベシクル含有水溶液に対して、グリセリン置換シラン誘導体を、それぞれ、0.1、0.5、1.0、2.0、3.0、5.0質量%となるように添加して、室温で1週間静置した。
以上のようにして得られた各種ベシクル含有組成物を撮影した写真図を図1に示す。
図1に示されるように、界面活性剤濃度及び水溶性シラン誘導体の濃度が薄い場合には、外観がほぼ透明の分散状態であるものの、これらの濃度が増加するにしたがい、1.0質量%を超えると系が白濁し、さらに濃くなると、沈殿が生じていることがわかった。
また、上記試験において、界面活性剤濃度を5質量%とした条件で、水溶性シラン誘導体の濃度を適宜変化させ、得られたベシクル含有組成物の粒子径を、動的光散乱法(ゼータサイザーNano−ZS:Malvern Instruments社製)により測定した。
水溶性シラン誘導体濃度に対する粒子径の変化を図2に示す。
図2に示されるように、水溶性シラン誘導体0.5質量%未満では、約100nmの粒子のみが確認され、単分散のベシクルであることがわかった。一方で、水溶性シラン誘導体0.5質量%では、約100nmと、数100nmの2つの粒子の存在が確認され、大きい方の粒子はベシクルの凝集体であると考えられた。また、さらに水溶性シラン誘導体の濃度を1.0質量%以上に増やすと、数100nmの凝集体のみが確認され、その大きさは水溶性シラン誘導体の濃度に応じて増大し、3質量%を超えると、沈殿が生じた。
以上の結果から、水溶性シラン誘導体濃度の低い領域では、単分散ベシクル粒子の周囲に優先的にシリカが形成され、ベシクル−シリカ複合体として水中に分散しているものの、水溶性シラン誘導体の濃度が濃くなり、1.0質量%を超えると、複数のベシクル粒子同士がシリカによって結び付けられて凝集体を形成し、これが大きくなることで分散しきれなくなって沈殿が生じているものと考えられる。
つづいて、上記試験と同様にして、界面活性剤0.5質量%、水溶性シラン誘導体1.0質量%の条件で調製したベシクル−シリカ複合体含有組成物に、ドデシル硫酸ナトリウムを0.02、及び0.05質量%を添加し、添加前後の粒子径を動的光散乱法により測定した。なお、比較として、水溶性シラン誘導体無添加のベシクル含有水溶液を用いて同様の試験を行った。
ベシクル−シリカ複合体の粒子径の測定結果を図3に、未処理ベシクルの粒子径の測定結果を図4に示す。
図3及び4に示されるように、未処理のベシクルでは、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウムを0.02質量%添加することによって、ベシクル構造が崩壊し、粒子径が40nm前後から数nmまで小さくなっていることがわかる。これに対して、ベシクル−シリカ複合体では、粒子径は約100nmと未処理ベシクルに対して大きく、ドデシル硫酸ナトリウムを0.05質量%添加しても、その粒子径はまったく変化することがなかった。
この結果から、水溶性シラン誘導体を添加することによって、界面活性剤からなるベシクルの外表面上においてシリカが形成され、シリカがあたかも被膜のようになることで、ベシクル構造が非常に安定化されているものと考えられる。
さらに、上記試験により調製したベシクル−シリカ複合体について、凍結レプリカ法により透過型顕微鏡(TEM)写真の撮影を行った(H−7000:日立製作所製)。
界面活性剤5質量%、水溶性シラン誘導体0.1質量%の条件で調製したベシクル−シリカ誘導体(単分散ベシクル)のTEM写真図を図5に、界面活性剤5質量%、水溶性シラン誘導体3.0質量%の条件で調製したベシクル−シリカ複合体(ベシクル凝集体)のTEM写真図を図6に示す。
図5に示されるように、単分散のベシクル−シリカ複合体では、未処理のベシクルと比較して粒子径が大きく、ベシクル粒子の外表面がシリカにより被覆されていることがわかる。
また、図6に示されるように、水溶性シラン誘導体濃度を増加した条件(1.0質量%以上)で調整したベシクル−シリカ複合体では、粒子内部に複数のベシクル粒子が存在しており、複数のベシクル粒子同士が凝集した状態でシリカによって結び付けられ、1つのベシクル−シリカ複合体粒子を形成していることが確認される。
化粧料
つづいて、本発明者らは、以上に説明したベシクル−シリカ複合体を用いた化粧料(化粧水)の調製を試み、外観、使用感触、ベシクル安定性及び香料の匂い持続効果のそれぞれについて評価を行った。また、比較として、未処理ベシクルと微粒子シリカゲルとを配合した化粧料を調製し、同様の評価を行った。試験に用いた各種化粧料の組成と、評価結果とを併せて表1に示す。なお、評価基準は以下のとおりである。
(1)外観
各種実施例及び比較例の化粧料(化粧水)について、目視により外観の評価を行った。
(2)使用感触
各種実施例及び比較例の化粧料(化粧水)を使用した際の使用感触(肌なじみ、塗布時の広がり感、べたつき感)について、専門パネラー10名による実使用試験を実施した。評価基準は以下のとおりである。
〈評価基準〉
◎:パネラー8名以上が、使用感触が良いと認めた。
○:パネラー6名以上8名未満が、使用感触が良いと認めた。
△:パネラー3名以上6名未満が、使用感触が良いと認めた。
×:パネラー3名未満が、使用感触が良いと認めた。
(3)ベシクル安定性
各種実施例及び比較例の化粧料(化粧水)について、界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム)を添加し、添加の前後でのベシクル粒子径にを測定し、ベシクル安定性の評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
〈評価基準〉
◎:界面活性剤添加の前後でベシクル粒子径がまったく変化しなかった。
○:界面活性剤添加の前後でベシクル粒子径がほとんど変化しなかった。
×:界面活性剤添加の前後でベシクル粒子径が変化した。
(4)香料の匂い持続効果
各種実施例及び比較例の化粧料(化粧水)を使用した際の香料の匂い持続効果について、専門パネラー10名による実使用試験を実施した。評価基準は以下のとおりである。
◎:パネラー8名以上が、匂いが持続すると認めた。
○:パネラー5名以上8名未満が、匂いが持続すると認めた。
×:パネラー5名未満が、匂いが持続すると認めた。
Figure 2009028528
(製造方法) PEG(12)ジメチルポリシロキサン、水、ジプロピレングリコール及び香料を混合してベシクルを形成した後、グリセリン置換シラン誘導体を添加して静置した。その後、残余の配合成分及び水を添加して、化粧水を調製した。
表1に示されるように、実施例1及び2の化粧料は、外観が透明又は白濁の分散状態であり、使用感触に優れ、ベシクル安定性も良好であり、さらに香料の匂い持続効果にも優れていることがわかった。これに対して、実施例1及び2のグリセリン置換水溶性シラン誘導体に代えて微粒子シリカとグリセリンとを同量配合した比較例1及び2の化粧水では、微粒子シリカが分離沈殿してしまい、使用感触に劣り、ベシクル安定性及び香料の匂い持続効果も不十分なものであった。さらに、実施例1及び2のグリセリン置換水溶性シラン誘導体の全量をグリセリンに置き換えた比較例3及び4では、透明で使用感触も比較的良好であったものの、ベシクル安定性及び香料の匂い持続効果の点で劣っているものであった。
以下、本発明にかかる化粧料のその他の処方例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
処方例1 フレグランス (質量%)
PEG−12ジメチコン(HLB=8) 10
香料 0.8
デカメチルシクロペンタシロキサン 3.2
エタノール 5
グリセリン置換シラン誘導体 3
1,3−ブチレングリコール 2
EDTA・3Na・2HO 0.05
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
水 残 量
以上により得られた処方例1のフレグランスは、外観が透明で、使用感触に優れ、さらにベシクルの安定性も良好であり、香料の匂い持続効果も良好なものであった。
処方例2 化粧水 (質量%)
PEG−12ジメチコン(HLB=8) 0.3
ジプロピレングリコール 2
グリセリン置換シラン誘導体 3
EDTA・3Na・2HO 0.05
クエン酸 0.02
クエン酸ナトリウム 0.08
ビタミンEアセテート 0.01
PEG−400 0.05
ビタミンC 1
水 残 量
以上により得られた処方例2の化粧水は、外観が透明で、使用感触に優れ、さらにベシクルの安定性も良好なものであった。

Claims (11)

  1. (A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤と、
    (B)水と
    を含み、該(A)界面活性剤からなるベシクルの外表面上の一部又は全部がシリカにより被覆されたベシクル−シリカ複合体を含むことを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物。
  2. 請求項1に記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物において、前記(A)界面活性剤が、ポリオキシアルキレン変性シリコーンであることを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物において、前記(A)界面活性剤の配合量が、組成物全量に対して0.3〜5.0質量%であることを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物において、2以上のベシクル粒子の凝集体がシリカにより結び付けられたベシクル−シリカ複合体粒子を含むことを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物。
  5. (A)水中でベシクルを形成し得る界面活性剤と、
    (B)水と
    を含む成分を混合し、該(A)界面活性剤からなるベシクルを形成する工程と、
    前記工程により得られたベシクル含有水性組成物中に、
    (C)下記一般式(1)で示される水溶性シラン誘導体
    を添加し、該(A)界面活性剤からなるベシクルの外表面上の一部又は全部においてシリカを形成する工程と
    を備えることを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法。
    Si−(OR (1)
    (式中、Rは少なくとも1つが多価アルコール残基であり、その他はアルキル基であってもよい。)
  6. 請求項5に記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、前記(A)界面活性剤が、ポリオキシアルキレン変性シリコーンであることを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法。
  7. 請求項5又は6に記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、前記(A)界面活性剤の配合量が、組成物全量に対して0.3〜5.0質量%であることを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法。
  8. 請求項5から7のいずれかに記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、前記(C)水溶性シラン誘導体の配合量が、組成物全量に対して1.0〜10.0質量%であることを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法。
  9. 請求項5から8のいずれかに記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法において、2以上のベシクル粒子の凝集体がシリカにより結び付けられたベシクル−シリカ複合体粒子を形成することを特徴とするベシクル−シリカ複合体含有組成物の製造方法。
  10. 請求項1から4のいずれかに記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物からなることを特徴とする化粧料。
  11. 請求項1から4のいずれかに記載のベシクル−シリカ複合体含有組成物からなることを特徴とするフレグランス化粧料。
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