JPWO2008099859A6 - 磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法、及び磁気ディスク - Google Patents

磁気記録媒体、磁気記録媒体の製造方法、及び磁気ディスク Download PDF

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Abstract

[課題]トラックエッジノイズを低減して、トラック密度を向上させる。また、磁気記録を行う場合に、記録領域の外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界の境界を急峻にする。
[解決手段]基板12と、基板12上に形成された垂直磁気記録層30を備える磁気記録媒体10であって、垂直磁気記録層30は、磁気信号を記録するグラニュラ層20と、グラニュラ層20と磁気的に結合する連続膜層24とを有し、連続膜層24は、グラニュラ層20に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部204と、複数の硬磁性部204の間に形成される磁気シールド部であって、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが前記硬磁性部より大きく、かつ残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部202とを含む。

Description

本発明は、磁気記録媒体、及び磁気記録媒体の製造方法に関する。特に、本発明は、垂直磁気記録方式HDD(ハードディスクドライブ)等に搭載される垂直磁気記録媒体及びその製造方法に関する。
近年の情報化社会は急激な高度化を続けており、HDD(ハードディスクドライブ)に代表される磁気記録装置では、2.5インチ径磁気ディスクにして、1枚辺り200Gバイトを超える情報記録容量が求められるようになってきた。磁気ディスクにおいて、これらの所要に応えるためには1平方インチ辺り200Gビット(200Gbit/in)を越える情報記録密度(面記録密度)を実現することが求められる。垂直二層媒体と単磁極ヘッドで構成された垂直磁気記録方式は高い記録分解能が得られることから、次世代の高密度記録方式として研究開発が行われている。
磁気ディスクにおいて、面記録密度の向上は、トラック密度の向上と線密度の向上とによって行われる。このうち、線密度を向上させる方法として、従来、グラニュラ層(Granular層)と連続膜層(Continuous層)とを設けたCGC(Coupled Granular and Continuous)媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。CGC媒体では、記録層の磁化遷移領域ノイズ低減、記録された信号の熱安定性向上、及び記録しやすさの3点をバランスよく実現可能であり、線密度を適切に向上させることができる。
また、近年、トラック密度の向上の手法として、DTR(ディスクリートトラック)媒体、パターンド(ビット・パターンド)媒体等が提案されている。DTR媒体やパターンド媒体等においては、磁気信号が記録される記録領域間に、例えば、機械的な方法で溝等の非磁性の分離領域を形成することにより、記録領域間を磁気的に分離する。これにより、隣接する記録領域間での影響を抑え、トラック密度を向上させることが可能になる。また、従来、DTR媒体を製造する方法として、所定の組成の薄膜に対して局所的にAgイオンを注入する方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。この方法においては、Agイオンが注入されていない部位が、より小さな保磁力を有する部位となる。
米国特許第6468670B1号明細書 特開2005−223177号公報
まず、第1発明について説明する。
[第1発明に関する発明の開示]
[第1発明に関する発明が解決しようとする課題]
DTR媒体やパターンド媒体等において、溝等の分離領域は、通常、磁気記録層の厚み全体に対して形成される。しかし、トラック密度が高まると、分離領域の幅は小さくなる。そのため、トラック密度が高まると、幅に対する深さの比(アスペクト比)が大きくなりすぎ、分離領域を高精度に加工することが困難になるおそれがある。また、例えば特許文献2に開示されている方法においても、磁気記録層となるべき薄膜の厚み全体に対してAgイオンを注入する必要がある。そのため、Agイオンが注入されない領域の設定を高い精度で行うことは困難になるおそれがある。
これに対し、本願の発明者は、例えばCGC媒体に対して、磁気記録層におけるグラニュラ層及び連続膜層のうちの、連続膜層のみに分離領域を形成することにより、記録領域間を磁気的に分離可能であることを見出した。このようにすれば、例えば15〜20nmある磁気記録層全体に分離領域を形成する必要がなくなるため、高い精度で分離領域を形成することが可能になる。また、CGC媒体に限らず、磁気信号を記録する主記録層と、主記録層と磁気的に結合する補助磁性層とを磁気記録層が有する場合に、補助磁性層のみに分離領域を形成することにより、記録領域間を磁気的に分離可能であることを見出した。
しかし、更に鋭意研究を行ったところ、例えば、トラック密度が高まり、分離領域の幅が更に小さくなると、補助磁性層に非磁性の分離領域を形成した構成では、記録領域間の磁気的な分離が不十分になる場合があることを見出した。例えば、磁気信号を記録領域に記録する場合に、記録磁界が分離領域を超えて広がり、隣接する記録領域に影響が生じるおそれがあることを見出した。
そこで、本第1発明は、上記の課題を解決できる磁気記録媒体、及び磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
[第1発明に関する課題を解決するための手段]
本願発明者は、鋭意研究により、補助磁性層に分離領域を形成する場合に、溝等の非磁性の領域ではなく、所定の磁気特性により磁界の通過を制限する領域(磁気シールド部)を形成することにより、記録磁界の影響が隣接する記録領域に及ぶことを適切に防止し得ることを見出した。本第1発明は、以下の構成を有する。
(構成1)基板と、基板上に形成された磁性層を備える磁気記録媒体であって、当該磁性層は、磁気信号を記録する主記録層と、主記録層と磁気的に結合する補助磁性層とを有し、補助磁性層は、主記録層に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部と、複数の硬磁性部の間に形成される磁気シールド部であって、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが前記硬磁性部より大きく、かつ残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部とを含む。
主記録層の複数の記録領域は、例えば、補助磁性層から受ける磁気的影響により区画される。磁界シールド部は、例えば、外部から磁場が加えられた場合に、当該磁場と反対方向の反磁場を発生することにより、内部の磁束密度を外部よりも小さくする。また、内部の磁束密度を小さくすることにより、例えば、複数の硬磁性部の間における基板の主表面と平行な方向への磁界の広がりを抑える。
このように構成すれば、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、例えば、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。また、これにより、例えばトラックエッジノイズが低減されるため、トラック幅(Erase幅)を低減し、トラック密度を向上させることが可能になる。
更には、このように構成すれば、各記録領域に磁気記録を行う場合に、磁気シールド部に対する磁界の通過を制限できる。これにより、記録領域の外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界の境界を急峻にできる。また、記録磁界の影響が隣接する記録領域に及ぶことを適切に防止できる。そのため、記録領域間の磁気的な分離をより適切に行うことができる。
ここで、この磁気記録媒体は、例えば、それぞれ組成が異なり、互いに交換結合する少なくとも2つの磁性層を有する。主記録層は、例えば、この2つの磁性層のうち、膜厚が厚い方、又は保磁力が大きい方の磁性層である。補助磁性層は、膜厚が薄い方、又は保磁力が小さい方の磁性層である。補助磁性層の磁気異方性定数Kuは、主記録層の磁気異方性定数Kuよりも大きいことが好ましい。
主記録層の記録領域とは、例えば、磁気記録媒体に対して相対的にヘッドが走査する方向へ延伸するトラックに相当する記録領域である。磁気記録媒体においては、複数のトラックが、例えば、隣接するトラックとの間に一定の隙間を空けて配置される。また、磁気記録媒体が磁気ディスクである場合、複数のトラックは、磁気ディスクの中心を囲む同心円状に配置される。補助磁性層の硬磁性部は、各トラックとそれぞれ重なる位置に形成される。
一方、磁界シールド部は、主記録層の非記録領域に対応する領域に形成される。例えば、磁界シールド部は、隣接するトラック間の隙間の領域であるガードバンド領域に形成される。尚、主記録層の記録領域は、トラック内における磁気記録の各ビットに相当する領域であってもよい。この場合、磁界シールド部は、例えば、トラック内の各ビットに挟まれる領域にも更に形成される。
磁界シールド部は、主記録層及び補助磁性層のうちの、実質的に補助磁性層にのみ形成されることが好ましい。このように構成すれば、アスペクト比が大きな磁界シールド部を形成する必要がなくなるため、例えば磁気記録層の厚み全体に対して磁界シールド部を形成する場合と比べ、容易かつ高い精度で磁界シールド部を形成できる。磁界シールド部が補助磁性層にのみ形成されるとは、例えば、磁界シールド部の形成の精度や工数に影響を与えない範囲で、主記録層の一部にまで磁界シールド部が形成されている場合も含む。
尚、補助磁性層は、硬磁性部における磁性粒子の粒界の幅が、主記録層における磁性粒子の粒界の幅より小さい磁性層であることが好ましい。補助磁性層の硬磁性部における磁性粒子は、基板の主表面と平行な方向において、主記録層の磁性粒子間の結合力よりも互いに強く交換結合することが好ましい。このように構成すれば、例えば、主記録層に記録された信号の熱安定性を向上させることができる。磁性粒子の粒界とは、例えば磁性粒子間の境界における原子配列が乱れた領域であり、例えば、磁化容易軸が揃った一様な磁性粒子間に析出した不純物が占める領域である。補助磁性層の硬磁性部における磁性粒子の粒界の幅が、主記録層における磁性粒子の粒界の幅より小さいとは、例えば、補助磁性層の硬磁性部がアモルファス構造の層等であって、実質的に粒界が存在しない場合も含む。
(構成2)磁界シールド部は、軟磁性である。このように構成すれば、磁界シールド部により、磁界の広がりを適切に抑えることができる。また、これにより、記録磁界の境界をより適切に急峻にできる。尚、磁界シールド部は、主記録層と補助磁性層とを合わせたその位置における磁性層全体の磁気特性が軟磁性特性を示す領域であってもよい。
(構成3)磁界シールド部は、基板の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する。このように構成すれば、隣接する記録領域に向かって広がる記録磁界をより適切に遮断できる。
(構成4)磁気記録媒体は、垂直磁気記録用の磁気記録媒体であり、補助磁性層の硬磁性部は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性領域であり、補助磁性層の磁界シールド部は、界面の状態が硬磁性部と異なり、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない磁性領域である。垂直磁気異方性とは、例えば、基板の主表面に対して垂直な方向に磁気モーメントが向きやすい磁気異方性である。
このように構成した場合、例えば、補助磁性部の界面の状態を変化させることにより、磁界シールド部を形成できる。そのため、このように構成すれば、容易かつ適切に磁界シールド部を形成できる。
(構成5)主記録層は、磁性粒子の粒界に非磁性物質が偏析したグラニュラ構造の層であり、補助磁性層の硬磁性部は、Co化合物の層とPd層又はPt層とを交互に積層した多層膜である。
このように構成した場合、磁気記録媒体は、例えばCGC媒体となる。このように構成すれば、補助磁性層に磁界シールド部を形成することにより、主記録層の記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させ、トラック密度を向上させることが可能になる。尚、上記の非磁性物質は、例えば酸化物である。この酸化物は、金属の酸化物であることが好ましい。
(構成6)基板と、基板上に形成された、磁気信号を記録する主記録層、及び主記録層と磁気的に結合する補助磁性層を有する磁性層とを備える磁気記録媒体の製造方法であって、主記録層を形成する主記録層形成工程と、補助磁性層を形成する補助磁性層形成工程とを備え、補助磁性層形成工程は、主記録層に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部と、複数の硬磁性部の間に形成される磁気シールド部であって、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが前記硬磁性部より大きく、かつ残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部とを形成する工程である。主記録層の複数の記録領域は、例えば、補助磁性層から受ける磁気的影響により区画される。このようにすれば、構成1と同様の効果を得ることができる。
(構成7)補助磁性層形成工程は、硬磁性層を形成し、当該硬磁性層の一部にイオンビームを照射して、イオンビームが照射された領域を軟磁性化することにより、磁界シールド部を形成する。
このようにすれば、簡便なプロセスにより、磁界シールド部を適切に形成できる。補助磁性層は、多層膜であることが好ましい。このようにすれば、例えばイオンビームを照射によって多層膜の界面の状態を変化させることにより、磁界シールド部を形成しやすくなる。
ここで、従来、ガードバンドを軟磁性材から形成する方法として、磁気記録層の下層にある軟磁性層(SUL層)をパターニングして行う方法も知られている(S.Takahashi,K.Yamakawa,K.Ouchi,and S.Iwasaki,J.MMM.287(2005)260)。しかし、この方法では、プロセスが複雑化してコストの上昇を招くおそれがある。また、軟磁性層のパターニングを必要とするため、高い記録密度に対して十分な精度での加工が困難になるおそれある。これに対し、構成7のようにすれば、著しく簡便化されたプロセスにより、磁気シールド部を形成できる。また、イオンビームの照射は、例えば軟磁性層のパターニングを行う場合と比べて極めて高い位置精度で行うことができる。これは、軟磁性層は、通常、10〜100nmと厚いため、高い精度で加工できないためである。これに対し、構成7のようにすれば、高い記録密度に対しても、十分な精度で磁界シールド部を形成できる。
尚、上記の構成1〜7において、補助磁性層における硬磁性部と磁界シールド部との磁気特性の違いは、例えば、主記録層と補助磁性層とを合わせたその位置における磁性層全体の磁気特性の違いであってもよい。磁気記録媒体は、CGC媒体に限らず、例えば補助磁性層として軟磁性層を有するエクスチェンジ・スプリング(Exchange Spring)媒体や、エクスチェンジ・カップルド・コンポジット(ECC:Exchange Coupled Composite)媒体等であってもよい。
本第1発明の他の態様は、上記の構成1〜7において、主記録層は、磁性粒子の粒界に非磁性物質が偏析したグラニュラ構造の層であり、補助磁性層は、前記主記録層と磁気的に結合する磁気的結合層である、態様である。
この態様では、(1)グラニュラー磁気記録層を有し、(2)磁気的結合層(連続層ではなく、単層)を有し、(3)磁気的結合層は、磁気記録層と磁気的結合し、(4)磁気的結合層に、硬磁性部と、硬磁性部よりも磁性が弱い軟磁性部、とを有している。また、磁気記録層と磁気的結合層とは接触している。
本第1発明の他の態様では、上記の構成1〜7及びその説明において、「補助磁性層」を「磁気的結合層」と読み替えた内容が適用される。
本第1発明の他の態様は、以下の構成が含まれる。
(構成8)非磁性の基板上に、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層と、磁気記録層に隣接し上記基板の面内方向に磁気的に連続した磁気的結合層とを、この順に積層した磁気ディスクであって、
上記磁気的結合層および磁気記録層のうちの少なくとも磁気的結合層は、磁気記録層に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部と、
上記隣接する硬磁性部間に形成される、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが上記硬磁性部より大きく、かつ、残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部とを有することを特徴とする磁気ディスク。
このように構成すれば、上述した構成1等と同様の効果を得ることができる。
例えば、このように構成すれば、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、例えば、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。また、これにより、例えばトラックエッジノイズが低減されるため、トラック幅(Erase幅)を低減し、トラック密度を向上させることが可能になる。
本第1発明の他の態様において、磁気的結合層は、グラニュラー構造の磁気記録層の上に垂直磁気異方性を示す薄膜である。また、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層の交換相互作用により、垂直磁気記録層と磁気的結合層は磁気的結合する。
本第1発明の他の態様は、更に、以下の構成が含まれる。
(構成9)上記磁気的結合層における硬磁性部は、磁気記録層の磁気信号が記録される記録領域に対応する位置に形成されており、上記軟磁性部は、それ以外の領域に形成されていることを特徴とする磁気ディスク。
(構成10)上記軟磁性部および硬磁性部は、上記円板状基板の中心に対して同心円状に形成されていることを特徴とする磁気ディスク。
(構成11)上記磁気記録層と磁気的結合層は接していることを特徴とする磁気ディスク。
(構成12)上記磁気的結合層は少なくともCoCrPtを有することを特徴とする磁気ディスク。
[第1発明に関する発明の効果]
本第1発明によれば、例えば、トラックエッジノイズを低減して、トラック密度を向上させることができる。また、例えば、磁気記録を行う場合に、記録領域の外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界の境界を急峻にできる。
[第1発明を実施するための最良の形態]
(実施形態1)
以下、本第1発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体10の一例を示す。図1(a)は、磁気記録媒体10の構成の一例を示す。磁気記録媒体10は、垂直磁気記録方式HDD(ハードディスクドライブ)に搭載される垂直二層媒体方式の磁気ディスクである。
本例において、磁気記録媒体10は、基板12、付着層14、軟磁性層16、下地層18、垂直磁気記録層30、保護層26、及び潤滑層28をこの順で備える。また、垂直磁気記録層30は、グラニュラ層20、カップリング制御層22、及び連続膜層24を有する。
基板12は、例えば基体用ガラスである。この基体用ガラスとしては、例えばアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ソーダタイムガラス等が挙げられるが、中でもアルミノシリケートガラスが好適である。また、アモルファスガラス、又は結晶化ガラスを用いることができる。例えば、軟磁性層16をアモルファス構造とする場合、基体用ガラスをアモルファスガラスとすると好ましい。また、化学強化したガラスを用いると、剛性が高く好ましい。
基板12の主表面の表面粗さは、Rmaxで3nm以下、Raで0.3nm以下であると好ましい。Rmax及びRaは、日本工業規格(JIS)に従う。このような平滑表面とすることにより、例えば、垂直磁気記録層30−軟磁性層16間の間隙を一定にすることができるので、ヘッド(磁気ヘッド)−垂直磁気記録層30−軟磁性層16間に好適な磁気回路を形成することができる。また、基板12は、表面が等方的な、テクスチャ無しの基板であってよい。
尚、例えば軟磁性層16の磁区制御のために、磁場中アニールが必要な場合、ガラス基体の基板12を用いることが特に好ましい。ガラス基体は耐熱性に優れるので、基板12の加熱温度を高くすることができる。
付着層14は、基板12と軟磁性層16との間の付着性を向上させる層(密着層)である。付着層14を設けることにより、軟磁性層16の剥離を防止することができる。付着層14の材料としては、例えばTi含有材料を用いることができる。実用上の観点から、付着層14の膜厚は、1〜50nmとすることが好ましい。本例において、付着層14は、アモルファスのCrTi層である。また、付着層14の膜厚は、例えば10nm程度である。
軟磁性層16は、ヘッドと垂直磁気記録層30との間に磁気回路を形成する層である。軟磁性層16は、軟磁気特性を示す磁性体により形成されていれば特に制限はないが、例えば、保磁力Hcで0.01〜80エルステッド、望ましくは0.01〜50エルステッドの磁気特性であることが好ましい。また、飽和磁束密度Bsは500emu/cc〜1920emu/ccの磁気特性であることが好ましい。
軟磁性層16の材料としては、例えば、Fe系、Co系の材料等が挙げられる。例えば、FeTaC系合金、FeTaN系合金、FeNi系合金、FeCoB系合金、FeCo系合金等のFe系軟磁性材料、CoTaZr系合金、CoNbZr系合金等のCo系軟磁性材料、或いはFeCo系合金軟磁性材料等を用いることができる。
軟磁性層16の膜厚は、例えば10〜200nm、望ましくは20〜100nmである。10nm未満では、ヘッド−垂直磁気記録層30−軟磁性層16間に好適な磁気回路を形成を形成することが困難になる場合があり、200nmを超えると、表面粗さが増加する場合がある。また、200nmを超えると、磁区制御が困難となる場合がある。
ここで、軟磁性層16には、大きな磁区ができやすい。また、大きな磁区が動くと、ノイズが発生するおそれがある。そのため、軟磁性層16は、反磁性結合(AFC:Anti−Ferro Magnetically Coupled)した複数の軟磁性材料層を有することが好ましい。このように構成すれば、磁区を動きにくくすることにより、ノイズの発生を抑えることができる。
本例において、軟磁性層16は、Ru層を挟んで反磁性結合する複数のCoTaZr層を有する。Ru層は、例えばhcp結晶構造の層である。Ru層の膜厚は、例えば0.9nm程度である。また、それぞれのCoTaZr層は、アモルファス構造の層である。それぞれのCoTaZr層の膜厚は、例えば20〜27.5nmである。
下地層18は、垂直磁気記録層30の結晶構造を制御する層である。下地層18は、複数種類の膜の多層膜であってよい。本例において、下地層18は、第1配向制御層、第2配向制御層、孤立化促進層、及び微細化促進層を、軟磁性層16上にこの順で有する。
第1配向制御層は、上層の第2配向制御層の結晶配向を制御する層である。本例において、第1配向制御層は、例えば、アモルファスに近いbcc結晶構造の、Ta層又はCoCrTa層である。第1配向制御層の膜厚は、例えば3nm程度である。第2配向制御層は、更に上層の配向性を向上させる層である。本例において、第2配向制御層は、hcp結晶構造のRu層である。第2配向制御層の膜厚は、例えば10nm程度である。
孤立化促進層は、上層の組成を分離させて結晶粒子の孤立化を促進させる層である。孤立化促進層は、例えば第2配向制御層のRu層の成膜時よりもガス圧が高い状態で、スパッタリング法で形成される。これにより、孤立化促進層は、結晶が小さく、かつ結晶粒子間が離れた層になる。本例において、孤立化促進層は、hcp結晶構造のRu層である。また、孤立化促進層の膜厚は、例えば10nm程度である。
微細化促進層は、上層の結晶粒子の微細化を促進する層である。本例において、微細化促進層は、非磁性のCoCr結晶粒子の粒界にSiOが偏析した、非磁性の結晶粒子のグラニュラ構造の層(CoCr−SiO層)である。微細化促進層において、CoCrの結晶構造は、例えばhcp結晶構造である。微細化促進層は、一部にbcc結晶構造のCoCrを含んでもよい。微細化促進層におけるSiOの含有量は、例えば12at%程度(例えば10〜16at%)である。微細化促進層の膜厚は、例えば2nm程度である。微細化促進層上には、垂直磁気記録層30のグラニュラ層20が形成される。
グラニュラ層20は、微細化された結晶粒子の粒界に酸化物が偏析したグラニュラ構造の層であり、主記録層の一例である。本例において、グラニュラ層20は、CoCrPt−SiO層であり、磁性粒子と、磁性粒子の粒界において磁性粒子間を磁気的に分離する非磁性物質とを含む。グラニュラ層20の膜厚は、例えば20nm以下、望ましくは8〜16nm、更に望ましくは7〜15nm(例えば9nm程度)である。
グラニュラ層20の磁性粒子は、垂直磁気異方性を示す結晶粒子であり、グラニュラ層20に記録される信号に応じて磁気モーメントを反転させる。本例において、この磁性粒子は、hcp結晶構造のCoCrPtである。この磁性粒子のサイズ(直径)は、例えば5〜20nm、望ましくは8〜15nmである。また、この磁性粒子の粒界の幅は、2nm以上であり、例えば2〜20nm、望ましくは4〜15nmである。尚、磁性粒子の粒界の幅とは、例えば、グラニュラ層20における磁性粒子の粒界の幅の平均値である。
また、グラニュラ層20に含まれる非磁性物質は、磁性粒子の粒界に偏析した非磁性の酸化物である。本例において、この非磁性物質は、例えば、酸化シリコン(SiO)である。非磁性物質としては、SiOの代わりに、例えば酸化チタン(TiO)を用いてもよい。グラニュラ層20におけるSiO等の含有率は、例えば10〜16at%、望ましくは12〜14%である。
尚、例えばSiO等の含有率を6at%以上にした場合、非磁性物質の微細化により、SN比の向上を高めることはできるが、グラニュラ層20単体での保磁力Hcや垂直磁気異方性等の劣化が生じるおそれもある。また、これにより、グラニュラ層20単体での熱安定性が低下するとも考えられる。しかし、本例においては、グラニュラ層20の上に、連続膜層24が形成されている。そのため、グラニュラ層20におけるSiO等の含有率を高めたとしても、これらの問題の発生を抑えることができる。
カップリング制御層22は、グラニュラ層20と連続膜層24との間の磁気的な結合の強さを制御する層である。本例において、カップリング制御層22は、例えばfcc結晶構造のPd層である。カップリング制御層22の膜厚は、例えば2nm以下であり、例えば0.5〜1.5nm、望ましくは0.7〜1.0nm(例えば0.8nm程度)である。カップリング制御層22は、Pt層であってもよい。
連続膜層24は、基板12の主表面に平行な方向における交換結合が連続的に広がっている層である。連続膜層24は、補助磁性層の一例であり、垂直磁気異方性を示す磁性粒子を含む。この磁性粒子は、基板12の主表面と垂直な方向において、グラニュラ層20の磁性粒子と磁気的に交換結合している。
また、この磁性粒子の粒界の幅は、グラニュラ層20の磁性粒子の粒界よりも小さく、例えば1nm以下であり、例えば0.1〜1nm、望ましくは0.3〜0.8nmである。これにより、基板12の主表面と平行な方向において、連続膜層24の磁性粒子は、グラニュラ層20の磁性粒子間の結合力よりも互いに強く交換結合する。そのため、このように構成すれば、例えば、連続膜層24の磁化をグラニュラ層20の磁化によってピン止め(Pinning)することによって、記録された信号の熱安定性を向上させることができる。連続膜層24の膜厚は、例えば1〜8nm、望ましくは3〜6nm、更に望ましくは4〜5nmである。
尚、グラニュラ層20の膜厚Aと、連続膜層24の膜厚Bとの比A/Bは、例えば2〜5、望ましくは3〜4である。このように構成すれば、交換結合による好適な垂直磁気記録特性を発揮できる。また、連続膜層24の磁性粒子の磁気異方性定数(最大異方性エネルギー)Kuは、例えば、軟磁性体より大きいことが好ましい。このように構成すれば、連続膜層24にできる磁壁幅を薄くできる。連続膜層24の磁気異方性定数Kuは、グラニュラ層20よりも大きくてよい。また、連続膜層24を構成する材料の保磁力Hcは、例えば、グラニュラ層20の磁性粒子を構成する材料の保磁力Hcよりも小さくてよい。
本例において、連続膜層24は、CoCr層106とPd層108とが交互に3層程度(例えば2〜3層)ずつ積層された多層膜から形成される。CoCr層106は、CoCrの磁性粒子を含む層である。CoCr層106の膜厚は、例えば0.35nm程度である。CoCr層106がこのように極めて薄い場合、CoCrの磁性粒子は、結晶構造になっていなくてもよい。CoCr層106は、例えばhpc結晶構造のCoCrの結晶粒子を含んでもよい。Pd層108は、fcc結晶構造の非磁性のPdの層である。Pd層108の膜厚は、例えば0.8nm程度である。このように構成した場合、CoCr層106とPd層108との界面において界面磁気異方性が生じる。また、例えばこれらを3層ずつ積層することにより、必要な垂直磁気異方性を得ることができる。これにより、例えば単層の連続膜層24を用いる場合と比べ、連続膜層24の膜厚を薄くできる。
連続膜層24は、Pd層108の代わりに、例えばPt層を有してもよい。また、連続膜層24は、CoCr層106の代わりに、CoB層を有してもよい。連続膜層24は、Co化合物の層とPd層又はPt層とを交互にn層ずつ積層した多層膜[CoX/Pd or Pt]nであってもよい。また、連続膜層24は、例えばPtの含有量の多い単層膜であってもよい。連続膜層24は、例えばCoCrPtや、CoPt、CoPd、FePt、CoPt、CoPd、アモルファスTbFeCoCr、SmCo、NdFe14B、Co20Pt80等の単層膜であってもよい。
また、本例において、連続膜層24の一部には、磁界シールド部202が形成される。磁界シールド部202は、例えばイオンビームの照射によって結晶構造を変化させることにより形成される。そして、連続膜層24において磁界シールド部202が形成されない領域は、硬磁性部204となる。磁界シールド部202及び硬磁性部204の詳細は後に詳しく説明する。
連続膜層24の上には、更に、保護層26及び潤滑層28が形成される。保護層26は、ヘッドの衝撃から垂直磁気記録層30を防護する層である。保護層26は、例えばダイアモンドライク構造の炭素系の膜である。潤滑層28は、ヘッドと磁気記録媒体10との間の潤滑性を高める層である。潤滑層28は、例えばディップコート法で形成されたPFPE(パーフロロポリエーテル)の膜である。
尚、磁気記録媒体10の製造工程において、付着層14〜連続膜層24の各層は、スパッタリング法で成膜することが好ましい。特に、DCマグネトロンスパッタリング法で形成すると、均一な成膜が可能となるので好ましい。また、保護層26は、CVD法で成膜することが好ましい。
また、連続膜層24のCoCr層106及びPd層108を成膜する場合、スパッタリングガスとしてKrを用いることが好ましい。このようにすれば、CoCr層106とPd層108との界面を清浄に形成することにより、界面磁気異方性をより適切に生じさせることができる。CoCr層106及びPd層108は、CVD法で成膜してもよい。
ここで、連続膜層24の磁界シールド部202及び硬磁性部204の形成方法について更に詳しく説明する。本例の磁気記録媒体10における垂直磁気記録層30は、グラニュラ層形成工程、カップリング制御層形成工程、及び連続膜層形成工程により製造される。グラニュラ層形成工程は、主記録層形成工程の一例であり、下地層18上にグラニュラ層20を形成する。カップリング制御層形成工程は、グラニュラ層20上にカップリング制御層22を形成する。連続膜層形成工程は、補助磁性層形成工程の一例であり、カップリング制御層22上に連続膜層24を形成する。
本例において、連続膜層形成工程は、硬磁性層形成工程及びイオンビーム照射工程を有する。硬磁性層形成工程は、カップリング制御層22上の全体に、CoCr層106とPd層108との多層膜からなる硬磁性層を形成する。イオンビーム照射工程は、この硬磁性層の一部にイオンビームを照射して、イオンビームが照射された領域を軟磁性化することにより、磁界シールド部202を形成する。また、イオンビームが照射されなかった領域を、硬磁性部204として残す。これにより、連続膜層形成工程は、連続膜層24に、磁界シールド部202及び硬磁性部204を形成する。
図1(b)は、イオンビームの照射方法の第1の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、シリコンのステンシルマスク40を用いて、連続膜層24上においてイオンビーム42が照射される領域を設定する。そして、この領域にイオンビーム42を照射することにより、磁界シールド部202を形成する。このようにすれば、イオンビーム42が照射される領域を高い精度で設定できる。そのため、本例によれば、磁界シールド部202を、高い精度で適切に形成できる。
ここで、イオンビーム照射工程は、例えば、イオンビーム42のエネルギーによって連続膜層24の結晶構造を変化させることにより、イオンビーム42が照射された領域に、軟磁性領域の磁界シールド部202を形成する。この場合、イオンビーム照射工程は、グラニュラ層20、カップリング制御層22、及び連続膜層24を合わせた垂直磁気記録層30全体で軟磁性特性を示すように、磁界シールド部202を形成してもよい。また、イオンビーム照射工程は、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する磁界シールド部202を形成することが好ましい。このようにすれば、磁界シールド部202により、基板12の主表面と平行な方向へ広がる記録磁界をより適切に遮断できる。
また、本例において、連続膜層24は、CoCr層106とPd層108との多層膜である。この多層膜は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す。そのため、イオンビームが照射されない硬磁性部204は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性領域である。
そして、この多層膜に対し、イオンビーム照射工程は、イオンビーム42を照射して、多層膜におけるCoB層106及びPd層108のそれぞれに含まれる金属の合金を形成することにより、磁界シールド部202を形成する。これにより、磁界シールド部202は、界面の状態が硬磁性部204と異なり、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない軟磁性領域となる。そのため、本例によれば、イオンビームの照射により、磁界シールド部202を適切に形成できる。また、垂直磁気記録層30に含まれる各層のうちの、実質的に連続膜層24のみに磁界シールド部202を形成できる。
図2は、磁界シールド部202及び硬磁性部204の位置を示す連続膜層24の上面図である。図中の硬磁性部204における白色の部分及び黒色の部分は、トラック内の各ビットに記録された情報の違いによる磁化の方向の違いを示す。本例において、磁界シールド部202は、隣接するトラック間の隙間の領域であるガードバンド領域に形成される。また、トラックに対応する領域は、硬磁性部204となる。これにより、グラニュラ層20において、複数のトラックは、連続膜層24から受ける磁気的影響により区画される。
このように構成すれば、磁界シールド部202によりトラック間が磁気的に分離される。そのため、磁気記録媒体10(図1参照)をDTR媒体として適切に機能させることができる。また、これにより、例えばトラックエッジノイズが低減されるため、トラック幅(Erase幅)を低減し、トラック密度を向上させることが可能になる。
更には、このように構成した場合、軟磁性領域である磁界シールド部202は、トラック間において、基板12(図1参照)の主表面と平行な方向への磁界の広がりを抑える。そのため、このように構成すれば、磁気信号をトラックに記録する場合に、トラックの外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界の境界を急峻にできる。また、これにより、記録磁界の影響が隣接するトラックに及ぶことを適切に防止できる。そのため、本例によれば、トラック間の磁気的な分離をより適切に行うことができる。
尚、磁気記録媒体10のトラック幅L1は、例えば100〜200nm、望ましくは135〜165nmである。また、トラックの中心から隣のトラックの中心までの距離であるトラックの間隔(トラックピッチ)L2は、例えば150〜250nm、望ましくは180〜220nmである。トラック幅方向における磁界シールド部202の幅L3は、例えば30〜70nm、望ましくは40〜60nmである。
磁界シールド部202は、トラック内に記録される各ビットに挟まれる領域に更に形成されてもよい。このように構成すれば、磁気記録媒体10をパターンド(ビット・パターンド)媒体として機能させることができる。
図3及び図4は、連続膜層24と同様の多層膜に対するイオンビームの照射による磁気特性の変化の様子を示すグラフである。また、表1は、図3及び図4のグラフに示した各磁気特性に対応するイオンビーム照射の条件と、各磁気特性における保磁力Hc及び角型比Sとを示す。
表1及び図3、4からわかるように、イオンビームの照射量(Dose)を1×1015〜5×1015/cmとした場合、保磁力Hcが小さくなる。これは、イオンビームが照射された領域が軟磁性化していることを示している。この結果から、例えば図1(b)を用いて説明した方法等によりイオンビームを照射する領域を設定すれば、連続膜層24に、磁界シールド部202及び硬磁性部204を適切に形成できることがわかる。また、イオンビームの照射量(Dose)を5×1015/cmとした場合、角型比Sが小さくなる。これは、イオンビームの照射により、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性領域が形成されていることを示している。
イオンビームの照射量(Dose)は、5×1014/cmよりも多くてもよい。例えば、イオンビームの照射量(Dose)は、1×1014〜5×1016/cmであってもよい。また、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性領域を形成する場合、イオンビームの照射量(Dose)は、例えば5×1014〜5×1016/cmとすることが好ましい。
尚、イオン照射のエネルギーは、5〜30KeV、更に望ましくは10〜30KeVとすることが好適である。エネルギーが小さすぎると、適切に軟磁性領域を形成できない。また、エネルギーが大きすぎると、イオンビームが層を通過し、下の層にまで影響を与えてしまうおそれがある。
イオンビーム照射工程は、例えばリンイオン(P+)等のイオンビームを照射してもよい。また、He、B、C、N、Ne、Ar、Cr、Co、Kr、Xe、Pt等のイオンビームを用いてもよい。
図5は、イオンビーム照射工程におけるイオンビームの照射方法の第2の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスク44を用いる。
このイオンビーム照射工程においては、図5(a)に示すように、例えば、ナノインプリント用の金型46を用いて、連続膜層24上に塗布されたレジスト膜に型押しを行うことにより、レジストマスク44を形成する。そして、図5(b)に示すように、このレジストマスク44をマスクとしてイオンビーム42の照射を行い、連続膜層24に磁界シールド部202を形成する。
磁界シールド部202の形成後には、図5(c)に示すように、例えば、アッシング及び洗浄により、レジストマスク44を除去する。このようにした場合も、磁界シールド部202を適切に形成できる。イオンビーム照射工程の後には、例えば、保護層形成工程において、図5(d)に示すように、連続膜層24上に、例えばカーボンオーバーコートの保護層26を形成する。
(実施形態2)
以下、本第1発明に係る他の実施形態を、図7を参照しながら説明する。
本例において、磁気記録媒体10は、基板12、付着層14、軟磁性層16、下地層18、垂直磁気記録層30、保護層26、及び潤滑層28をこの順で備える。また、垂直磁気記録層30は、グラニュラ層20と磁気的結合層24’(連続層ではなく、単層)とを、この順に積層して備える。
本例において、基板12、付着層14、軟磁性層16、下地層18、保護層26、及び潤滑層28に関しては、上記実施形態1と同様であるので、これらの説明は省略する。
実施形態2において、磁気的結合層は、グラニュラー構造の磁気記録層の上に垂直磁気異方性を示す薄膜を形成するものであり、磁気記録層と、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層の交換相互作用により、垂直磁気記録層と磁気的結合する。
磁気的結合層の例としては、CoCr、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPtTa、CoCrPtB等の合金系材料を挙げることができる。
磁気的結合層としては、少なくともCoCrPtが含まれていることが好ましく、CoCrPtが主体であると、グラニュラー層の高密度記録性と低ノイズ性に加えて、高熱耐性を付け加えることができる。
磁気的結合層は、磁性粒子の粒界(非磁性粒界)には金属の酸化物や窒化物を含有しない非グラニュラ構造を有する。
磁気的結合層の膜厚は、例えば1〜10nm、より好ましくは2〜9nmである。
磁気的結合層の膜厚は、グラニュラ層の膜厚の1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることが更に好ましい。膜厚の下限は、0より大きく、磁気的結合層としての機能を発現しうる膜厚とすることが好ましい。
実施形態2において、グラニュラ層は、CoCrPt−SiO−TiO層であることが好ましい。また、磁気的結合層の膜厚は、従前に比べ薄くすることが好ましい。これらの理由について、以下の述べる。
グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合においては、磁気的結合層の厚さをある程度厚くしないと高いSN比が得られない。しかし、磁気的結合層の厚さを厚くすると、保持力Hcが低下する。また、磁気的結合層の厚さが厚いと、厚み全体に対して特性変化させる必要あるため、イオンビーム照射による特性変化(例えば軟磁性化)が起こりにくい。
これに対し、グラニュラ層がCoCrPt−SiO−TiO層である場合においては、グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合に比べ、グラニュラ層における磁性粒子の粒界がよりはっきりするため、グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合に比べ保持力Hcが高くなる。したがって、磁気的結合層の厚さを従前に比べ相対的に薄くしても、相対的に高い保持力Hcが得られる。
磁気的結合層の厚さを薄くできると、イオンビーム照射による特性変化(例えば軟磁性化)が容易であることに加え、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、例えば、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。
また、本例において、磁気的結合層24’の一部には、磁気シールド部202が形成される。磁気シールド部202は、垂直磁気記録層30において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域間を磁気的に分離する領域である。本例において、磁気シールド部202は、軟磁性領域であり、例えばイオンビームの照射によって磁気的結合層24’の単層膜の結晶構造を変化させることにより形成される。また、磁気的結合層24’において磁気シールド部202が形成されない領域は、垂直磁気異方性を示す硬磁性部204となる。
以下、磁気的結合層24’の磁気シールド部202及び硬磁性部204の形成方法について更に詳しく説明する。本例において、磁気シールド部202及び硬磁性部204は、記録層形成工程、及びイオンビーム照射工程により形成される。記録層形成工程は、下地層18上にグラニュラ層20、及び磁気的結合層24’を形成する工程であり、磁気的結合層24’として、CoCrPt層又はCoCrPtB層の単層膜を形成する。
イオンビーム照射工程は、磁気的結合層24’の一部にイオンビームを照射する工程であり、イオンビームが照射された領域を軟磁性化することにより、磁気シールド部202を形成する。また、イオンビームが照射されなかった領域を、硬磁性部204として残す。これにより、イオンビーム照射工程は、磁気的結合層24’に、磁気シールド部202及び硬磁性部204を形成する。
図1(b)は、イオンビームの照射方法の第1の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、シリコンのステンシルマスク40を用いて、磁気的結合層24上においてイオンビーム42が照射される領域を設定する。そして、この領域にイオンビーム42を照射することにより、磁気シールド部202を形成する。このようにすれば、イオンビーム42が照射される領域を高い精度で設定できる。そのため、本例によれば、磁気シールド部202を、高い精度で適切に形成できる。
ここで、イオンビーム照射工程は、例えば、イオンビーム42のエネルギーによって磁気的結合層24の結晶構造を変化させることにより、イオンビーム42が照射された領域に、軟磁性の磁気シールド部202を形成する。この場合、イオンビーム照射工程は、グラニュラ層20、及び磁気的結合層24を合わせた垂直磁気記録層30全体で軟磁性特性を示すように、磁気シールド部202を形成してもよい。また、イオンビーム照射工程は、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する磁気シールド部202を形成することが好ましい。このようにすれば、磁気シールド部202により、基板12の主表面と平行な方向へ広がる記録磁界をより適切に遮断できる。
また、本例において、磁気的結合層24’は、CoCrPt層又はCoCrPtB層の単層膜である。この単層膜は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す。この単層膜に対し、イオンビーム照射工程は、イオンビーム42を照射して、単層膜に含まれる金属の合金を形成することにより、磁気シールド部202を形成する。これにより、磁気シールド部202は、イオンビームが照射されない領域である硬磁性部204と界面の状態が異なり、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない軟磁性領域となる。そのため、本例によれば、イオンビームの照射により、磁気シールド部202を適切に形成できる。また、垂直磁気記録層30に含まれる各層のうちの、実質的に磁気的結合層24’のみに磁気シールド部202を形成できる。
ここで、本例において、イオンビーム照射工程は、イオンビームの照射により磁気的結合層24’の界面の状態を変化させることにより、磁気シールド部202を形成する。この界面の状態の変化は、例えば、磁気的結合層24’の厚み全体の状態を変化させる場合と比べ、より少ないイオンビームの照射量(Dose)により生じる。そのため、本例によれば、少ないイオンビームの照射量で適切に磁気シールド部202を形成できる。また、この場合、例えば、イオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になるため、イオンビームの照射を、より高い精度で行うことができる。また、これにより、高い精度で磁気シールド部202を形成できる。
更には、軟磁性の磁気シールド部202は、例えば非磁性領域と比べ、より少ないイオンビームの照射量で形成できる。そのため、本例によれば、より少ないイオンビームの照射量で磁気シールド部202を形成できる。また、これにより、より高い精度で磁気シールド部202を形成できる。
図5は、イオンビーム照射工程におけるイオンビームの照射方法の第2の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスク44を用いる。
このイオンビーム照射工程においては、図5(a)に示すように、例えば、ナノインプリント用の金型46を用いて、磁気的結合層24上に塗布されたレジスト膜に型押しを行うことにより、レジストマスク44を形成する。そして、図5(b)に示すように、このレジストマスク44をマスクとしてイオンビーム42の照射を行い、磁気的結合層24に磁気シールド部202を形成する。
以下、実施例を用いて、本第1発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、アルミノシリケートガラスの基板12上に、付着層14、及び軟磁性層16を順次成膜する。このとき、付着層14は、厚さ10nmのCrTi層となるように、CrTiターゲットを用いて成膜する。また、軟磁性層16は、全厚50nmのアモルファスCoTaZr層となるように、CoTaZrターゲットを用いて成膜する。軟磁性層16は、磁区制御のために、厚さ0.9nmのRu層を挟む二層構造とする。
軟磁性層16の成膜後、連続して、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、下地層18として、第1配向制御層となるTa層(厚さ3nm)、第2配向制御層及び孤立化促進層となるRu層(厚さ20nm)を形成する。また、CoCrPt−SiOからなる硬磁性体のターゲットを用いて、厚さが9nmであり、hcp結晶構造の磁性粒子102を含むグラニュラ層20を形成する。
更に、低圧のArガスをスパッタリングガスとして、カップリング制御層22としてPd層(厚さ0.8nm)を、連続膜層24として[CoCr/Pd]層を形成する。CoCr層の厚さは、0.4nm、Pd層の厚さは、0.9nmとする。これらを交互に3層ずつ重ねた連続膜層24の膜厚は、4nm(3.9〜4nm)である。
連続膜層24まで形成された媒体に対して、図1(b)を用いて説明したように、ステンシルマスク40を用いて、30KeVのエネルギーで加速したアルゴンイオン(Ar+)のイオンビーム42を照射して、トラック間の領域に、磁界シールド部202を形成する。このイオンビーム照射において、イオンビームの照射量は、5×1015/cmとする。形成された磁界シールド部202のトラック幅方向における幅は、50nmである。尚、トラック幅は150nm、トラックの間隔は200nmである。
次に、Arに水素を30%含有させた混合ガスを用いて、カーボンターゲットをスパッタリングターゲットとして、水素化炭素(水素化カーボン)からなる保護層26を形成する。水素化炭素を用いることにより、膜硬度が向上するため、ヘッドからの衝撃に対して垂直磁気記録層30を適切に防護できる。この後、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層28をディップコート法により形成する。潤滑層28の膜厚は1nmである。このようにして、実施例1に係る磁気記録媒体10を作成する。
(比較例1)
カップリング制御層22及び連続膜層24を形成しない以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る磁気記録媒体を作成する。比較例1に係る磁気記録媒体は、グラニュラ媒体である。グラニュラ媒体とは、グラニュラ層20と同一又は同様の磁性層のみで垂直磁気記録層を構成する磁気記録媒体である。このグラニュラ媒体において、グラニュラ層の膜厚は30nmである。
(比較例2)
磁界シールド部202を形成しない以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る磁気記録媒体を作成する。比較例2に係る磁気記録媒体は、磁界シールド部202を設けていないCGC媒体(以下、従来型CGC媒体という)である。
(評価)
図6は、比較例1、2に係る磁気記録媒体に記録された情報の記録パターンのシミュレーション結果を示す。図6(a)は、比較例1に係る磁気記録媒体であるグラニュラ媒体における記録パターンを示す。
グラニュラ媒体においては、連続膜層が設けられていないため、例えばCGC媒体等と比べて、記録された信号の熱安定性が低くなる。そのため、記録トラック内において、熱揺らぎ現象等により、記録パターンの各ビットを示す領域の一部の磁化が反転している。このような磁化の反転は、記録された情報の消失を招くおそれがあり、記録密度の高密度化の妨げとなる。そのため、グラニュラ媒体により、例えば1平方インチ辺り200Gビットを超える記録密度を実現することは困難である。
図6(b)は、比較例2に係る磁気記録媒体である従来型CGC媒体における記録パターンを示す。従来型CGC媒体においては、連続膜層の磁化をグラニュラ層の磁化によってピン止め(Pinning)することによって、記録された信号の熱安定性を向上させることができる。そのため、熱揺らぎ現象等による磁化の反転は生じにくくなり、グラニュラ媒体と比べ、高密度化が可能になる。
しかし、従来型CGC媒体等においては、連続膜層を設けたことによって、トラック幅(Erase幅)方向における磁気記録領域の制御が非常に難しくなる。その結果、例えば、記録された信号の値が0と1との間の値になってしまうグレー領域がトラックの幅方向に広がり、トラックエッジノイズの低減が難しくなる。
これは、メインの記録層(主記録層)であるグラニュラ層に対して補助的な役割を担う補助磁性層である連続膜層には、基板の主表面と平行な方向において磁気的な結合力があるため、ヘッドからみて記録領域が広がってしまうためである。この記録領域に対して広がっている部分がグレー領域であり、この領域が多いと、トラック幅が広いこととなってしまう。
例えば、図6(b)に示した場合では、長方形50で示した記録トラックの幅の外側にグレー領域が広がる記録パターンが形成されている。このようなグレー領域は、トラックエッジノイズの発生源となる。そのため、従来型CGC媒体においては、例えば1平方インチ辺り200Gビットを超える記録密度を実現しようとする場合に、SN比が低下して、トラック密度を適切に向上させることが困難になる。
これに対し、実施例1に係る磁気記録媒体10では、CGC媒体構造により、例えば比較例1に係る磁気記録媒体と比べて、十分な熱安定性を得ることができる。また、磁界シールド部202を形成することにより、磁気信号をトラックに記録する場合に、トラックの外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界がトラックの外側に広がることを防止できる。これにより、実施例1においては、トラック幅の外側にグレー領域が広がることを抑えることができる。
そのため、例えば比較例2に係る磁気記録媒体と比べて、トラックエッジノイズを低減できる。例えば、実施例1に係る磁気記録媒体10では、比較例2に係る磁気記録媒体と比べ、SN比が約1.0〜3.5dB向上する。これにより、例えば1平方インチ辺り200Gビットを超える記録密度、更には、1平方インチ辺り500Gビットを超える記録密度が実現できる。
(実施例2)
真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、アルミノシリケートガラスの基板12上に、付着層14、及び軟磁性層16を順次成膜する(図7参照)。このとき、付着層14は、厚さ10nmのCrTi層となるように、CrTiターゲットを用いて成膜する。また、軟磁性層16は、全厚50nmのアモルファスCoTaZr層となるように、CoTaZrターゲットを用いて成膜する。軟磁性層16は、磁区制御のために、厚さ0.9nmのRu層を挟む二層構造とする。
軟磁性層16の成膜後、連続して、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、下地層18として、第1配向制御層となるTa層(厚さ3nm)、第2配向制御層及び孤立化促進層となるRu層(厚さ20nm)を形成する。また、CoCrPt−SiOからなる硬磁性体のターゲットを用いて、厚さが9nmであり、hcp結晶構造の磁性粒子102を含むグラニュラ層20を形成する。
更に、CoCrPtターゲット又はCoCrPtBターゲットを用い、低圧のArガスをスパッタリングガスとして、磁気的結合層24’としてCoCrPt層(厚さ7nm)又はCoCrPtB層(厚さ7nm)を形成する。
磁気的結合層24’まで形成された媒体に対して、図5(a)を用いて説明したように、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスク44を用いて、30KeVのエネルギーで加速したアルゴンイオン(Ar)のイオンビーム42を照射して、トラック間の領域に、磁界シールド部202を形成する。このイオンビーム照射において、イオンビームの照射量は、5×1015/cmとする。形成された磁界シールド部202のトラック幅方向における幅は、50nmである。尚、トラック幅は150nm、トラックの間隔は200nmである。
次に、Arに水素を30%含有させた混合ガスを用いて、カーボンターゲットをスパッタリングターゲットとして、水素化炭素(水素化カーボン)からなる保護層26を形成する。水素化炭素を用いることにより、膜硬度が向上するため、ヘッドからの衝撃に対して垂直磁気記録層30を適切に防護できる。この後、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層28をディップコート法により形成する。潤滑層28の膜厚は1nmである。このようにして、実施例1に係る磁気記録媒体10を作成する。
(比較例3)
磁界シールド部202を形成しない以外は実施例2と同様にして、比較例3に係る磁気記録媒体を作成する。
(評価)
実施例2に係る磁気記録媒体10では、磁界シールド部202を形成することにより、磁気信号をトラックに記録する場合に、トラックの外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界がトラックの外側に広がることを防止できる。これにより、実施例2においては、トラック幅の外側にグレー領域が広がることを抑えることができる。
そのため、例えば比較例3に係る磁気記録媒体と比べて、トラックエッジノイズを低減できる。例えば、実施例2に係る磁気記録媒体10では、比較例3に係る磁気記録媒体と比べ、SN比が約1.0〜3.5dB向上する。これにより、例えば1平方インチ辺り200Gビットを超える記録密度、更には、1平方インチ辺り500Gビットを超える記録密度が実現できる。
次に、第2発明について説明する。
[第2発明に関する発明の開示]
[第2発明に関する発明が解決しようとする課題]
上述したように、トラック密度が高まると、DTR媒体やパターンド媒体等において、トラック間の領域に形成される分離領域の幅は小さくなる。そのため、例えば分離領域として機械的な方法で溝等を形成する場合、幅に対する深さの比(アスペクト比)が大きくなりすぎ、分離領域を高精度に加工することが困難になる。
これに対し、本願の発明者は、溝の形成等の機械的な方法ではなく、磁気記録層にイオンビームの照射を行い、磁気記録層の一部の領域の磁気特性を変化させることにより、分離領域を形成することを検討した。イオンビームが照射される領域は、例えばステンシルマスクや、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスクを用いて設定される。この方法によれば、イオンビームが照射される領域を高い精度で設定できる。そのため、例えば溝等の分離領域を形成する場合と比べ、トラック密度が高まった場合でも、高い精度で分離領域を形成できる。
しかし、イオンビームの照射により分離領域を形成する場合であっても、必要なイオンビームの照射量(Dose)が多くなってしまうと、例えばイオンビームの照射の影響を受ける領域が広がり、高い精度で分離領域を形成することが困難になるおそれもある。そのため、イオンビームの照射により分離領域を形成する場合、より少ないイオンビームの照射量で分離領域を形成することが望まれる。
そこで、本発明は、上記の課題を解決できる磁気記録媒体の製造方法、及び磁気記録媒体を提供することを目的とする。
尚、上述したように、従来、DTR媒体を製造する方法としては、所定の組成の薄膜に対して局所的にAgイオンを注入する方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。この方法においては、Agイオンが注入されていない部位が、より小さな保磁力を有する部位となる。しかし、この場合、Agイオンが注入された領域が記録領域となるため、注入量を少なくした場合、記録領域の磁気特性のばらつきが大きくなるおそれがある。そのため、特許文献2のような方法では、イオンビームの照射量を小さくすることは困難であると考えられる。
[第2発明に関する課題を解決するための手段]
本願発明者は、より少ないイオンビームの照射量で分離領域を形成するのに適した構成について鋭意研究を行った。そして、例えば、軟磁性領域の分離領域であれば、非磁性の分離領域と比べて少ないイオンビームの照射量で形成可能であることを見出した。また、軟磁性及び非磁性のいずれの分離領域を形成する場合でも、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層であれば、界面の状態をイオンビームの照射により変化させることにより、少ないイオンビームの照射量で分離領域を形成可能であることを見出した。本第2発明は、以下の構成を有する。
(構成13)磁気記録媒体の製造方法であって、少なくとも一つの磁性層を有する磁気記録層を形成する記録層形成工程と、磁気記録層において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域の間の領域にイオンビームを照射することにより、磁性層における複数の記録領域の間に軟磁性領域を形成するイオンビーム照射工程とを備える。磁気記録層の磁性層においてイオンビームが照射されない領域は、例えば硬磁性部となる。
このようにした場合、軟磁性領域は、例えば、記録領域間を磁気的に分離する分離領域として機能する。そのため、このようにすれば、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。また、磁気記録媒体を、例えばDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。これにより、例えばトラックエッジノイズが低減されるため、トラック幅(Erase幅)を低減し、トラック密度を向上させることが可能になる。
また、軟磁性領域であれば、例えば非磁性領域と比べ、より少ないイオンビームの照射量で形成できる。そのため、このようにすれば、イオンビームの照射量を低減し、例えばイオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になる。また、これにより、イオンビームの照射を、より高い精度で行うことができる。そのため、トラック密度が高まった場合でも、十分な精度で分離領域を形成できる。
更には、例えば、トラック密度が高まり、分離領域の幅が小さくなると、非磁性の分離領域を形成した構成では、記録領域間の磁気的な分離が不十分になる場合がある。例えば、磁気信号を記録領域に記録する場合に、記録磁界が分離領域を超えて広がり、隣接する記録領域に影響が生じるおそれがある。これに対し、軟磁性の分離領域は、磁界の通過を制限する領域となり、磁界の広がりを抑える磁界シールド部として機能する。
そのため、構成13のようにすれば、各記録領域に磁気記録を行う場合に、記録領域の外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界の境界を急峻にできる。これにより、記録磁界の影響が隣接する記録領域に及ぶことを適切に防止できる。そのため、記録領域間の磁気的な分離をより適切に行うことができる。
ここで、磁気記録層の記録領域とは、例えば、磁気記録媒体に対して相対的にヘッドが走査する方向へ延伸するトラックに相当する記録領域である。磁気記録媒体においては、複数のトラックが、例えば、隣接するトラックとの間に一定の隙間を空けて配置される。また、磁気記録媒体が磁気ディスクである場合、複数のトラックは、磁気ディスクの中心を囲む同心円状に配置される。
分離領域となる軟磁性領域は、磁気記録層に磁気信号が記録されない非記録領域に形成される。例えば、軟磁性領域は、隣接するトラック間の隙間の領域であるガードバンド領域に形成される。この場合、磁気記録媒体は、例えばDTR媒体となる。磁気記録層の記録領域は、トラック内における磁気記録の各ビットに相当する領域であってもよい。この場合、軟磁性領域は、例えば、トラック内の各ビットに挟まれる領域にも形成される。また、この場合、磁気記録媒体は、例えばパターンド媒体となる。
尚、従来、ガードバンド領域を軟磁性材から形成する方法として、磁気記録層の下層にある軟磁性層(SUL層)をパターニングして形成された溝の中に磁気記録層を形成する方法も知られている(S.Takahashi,K.Yamakawa,K.Ouchi,and S.Iwasaki,J.MMM.287(2005)260)。しかし、この方法では、プロセスが複雑化してコストの上昇を招くおそれがある。また、軟磁性層のパターニングを必要とするため、高い記録密度に対して十分な精度での加工が困難になるおそれある。これは、軟磁性層は、通常、10〜100nmと厚いため、高い精度で加工できないためである。これに対し、構成13のようにすれば、著しく簡便化されたプロセスにより、軟磁性領域を形成できる。
(構成14)記録層形成工程は、基板上に磁気記録層を形成し、イオンビーム照射工程は、基板の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性領域を形成する。このようにすれば、隣接する記録領域に向かって広がる記録磁界をより適切に遮断できる。
(構成15)記録層形成工程は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層を有する磁気記録層を形成し、イオンビーム照射工程は、イオンビームの照射により磁性層の界面の状態を変化させることにより、軟磁性領域を形成する。垂直磁気異方性とは、例えば、基板の主表面に対して垂直な方向に磁気モーメントが向きやすい磁気異方性である。
磁性層の界面の状態の変化は、例えば、磁性層の厚み全体の状態を変化させる場合と比べ、より少ないイオンビームの照射量により生じる。そのため、このようにすれば、より少ないイオンビームの照射量で分離領域を形成できる。
(構成16)記録層形成工程は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層を有する磁気記録層を形成し、イオンビーム照射工程は、磁性層においてイオンビームが照射された領域を、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない領域に変化させる。
このように形成した場合、磁性層において垂直磁気異方性を実質的に示さない領域が、分離領域として機能する。そのため、このようにすれば、分離領域を適切に形成できる。尚、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さないとは、例えば、磁気記録層に記録される磁気信号に対して、当該領域が示す垂直磁気異方性が問題にならない大きさであることをいう。
(構成17)磁気記録層の磁性層は多層膜であり、イオンビーム照射工程は、イオンビームの照射によって多層膜の各層に含まれる金属の合金を形成することにより、軟磁性領域を形成する。このようにすれば、より少ないイオンビームの照射量で、分離領域を適切に形成できる。
(構成18)磁気記録層は、磁気信号を記録する主記録層と、主記録層と磁気的に結合する補助磁性層とを有し、イオンビーム照射工程は、補助磁性層に対してイオンビームを照射して、主記録層及び補助磁性層のうちの、実質的に補助磁性層のみに軟磁性領域を形成する。
磁気記録層は、それぞれ組成が異なる複数の磁性層を有する場合がある。例えば、CGC媒体において、磁気記録層は、主記録層となるグラニュラ層と、補助磁性層となる連続膜層とを有する。このような磁気記録層に対して、例えば主記録層及び補助磁性層の両方に軟磁性領域を形成しようとすれば、イオンビームの必要な照射量が大きくなるおそれもある。
これに対し、本願の発明者は、主記録層にまで軟磁性領域を形成しなくても、補助磁性層のみに軟磁性の分離領域を形成することにより、記録領域間を磁気的に分離可能であることを見出した。このようにすれば、磁気記録層の厚さ全体に分離領域を形成する必要がなくなるため、より少ないイオンビームの照射量で、分離領域を適切に形成できる。また、これにより、より高い精度で分離領域を形成することが可能になる。
尚、補助磁性層は、例えば磁気記録層における補助的な磁性層であり、必ずしも磁気信号を記録する層でなくてもよい。補助磁性層は、例えば、主記録層よりも膜厚が小さな磁性層、又は主記録層よりも保磁力が小さな磁性層である。主記録層において、記録領域は、例えば、補助磁性層から受ける磁気的影響により区画される。補助磁性層に形成される軟磁性領域は、主記録層と補助磁性層とを合わせたその位置における磁気記録層全体の磁気特性が軟磁性特性を示す領域であってもよい。また、軟磁性領域を実質的に補助磁性層にのみ形成するとは、例えば、軟磁性領域の形成の精度や工数に影響を与えない範囲で、主記録層の一部にまで軟磁性領域を形成する場合も含む。
補助磁性層は、イオンビームが照射されない領域に含まれる磁性粒子の粒界の幅が、主記録層における磁性粒子の粒界の幅より小さい磁性層であることが好ましい。補助磁性層においてイオンビームが照射されない領域に含まれる磁性粒子は、基板の主表面と平行な方向において、主記録層の磁性粒子間の結合力よりも互いに強く交換結合することが好ましい。このようにすれば、例えば、主記録層に記録された信号の熱安定性を向上させることができる。磁性粒子の粒界とは、例えば磁性粒子間の境界における原子配列が乱れた領域であり、例えば、磁化容易軸が揃った一様な磁性粒子間に析出した不純物が占める領域である。補助磁性層においてイオンビームが照射されない領域に含まれる磁性粒子の粒界の幅が、主記録層における磁性粒子の粒界の幅より小さいとは、例えば、補助磁性層がアモルファス構造の層等であって、実質的に粒界が存在しない場合も含む。
尚、補助磁性層における、軟磁性領域とその他の領域との磁気特性の違いは、例えば、主記録層と補助磁性層とを合わせたその位置における磁性層全体の磁気特性の違いであってもよい。主記録層及び補助磁性層を有する磁気記録層を備える磁気記録媒体は、CGC媒体に限らず、例えば補助磁性層として軟磁性層を有するエクスチェンジ・スプリング(Exchange Spring)媒体や、エクスチェンジ・カップルド・コンポジット(ECC:Exchange Coupled Composite)媒体等であってもよい。
(構成19)主記録層は、磁性粒子の粒界に非磁性物質が偏析したグラニュラ構造の層であり、補助磁性層は、Co化合物の層とPd層又はPt層とを交互に積層した多層膜である。
このようにした場合、磁気記録媒体は、例えばCGC媒体となる。そして、この場合、補助磁性層に軟磁性領域を形成することにより、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させ、トラック密度を向上させることが可能になる。尚、上記の非磁性物質は、例えば酸化物である。この酸化物は、金属の酸化物であることが好ましい。
(構成20)垂直磁気記録方式用の磁気記録媒体の製造方法であって、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層を有する磁気記録層を形成する記録層形成工程と、磁気記録層において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域の間の領域にイオンビームを照射して、界面の状態を変化させることにより、磁性層においてイオンビームが照射された領域を、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない領域に変化させるイオンビーム照射工程とを備える。
このように形成した場合、磁性層において垂直磁気異方性を実質的に示さない領域が、分離領域として機能する。そのため、このようにすれば、分離領域を適切に形成できる。また、イオンビームが照射された領域を、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない領域に変化させることは、例えば、磁性層の界面の状態を変化させることで行うことができる。磁性層の界面の状態の変化は、例えば、磁性層の厚み全体の状態を変化させる場合と比べ、より少ないイオンビームの照射量により生じる。そのため、このようにすれば、より少ないイオンビームの照射量で分離領域を形成できる。
イオンビーム照射工程は、磁性層においてイオンビームが照射された領域に、例えば軟磁性領域を形成する。イオンビーム照射工程は、軟磁性領域に代えて、非磁性領域を形成してもよい。その他の点について、構成20は、構成13から19と同一又は同様であってよい。
(構成21)垂直磁気記録方式用の磁気記録媒体であって、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層を有する磁気記録層を備え、磁性層は、磁気記録層において磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す複数の硬磁性部と、複数の硬磁性部の間を磁気的に分離する分離領域であって、複数の硬磁性部の間に形成され、硬磁性部と界面の状態が異なることにより、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない分離領域とを含む。このように構成すれば、構成20と同様の効果を得ることができる。
本第2発明の他の態様は、上記の構成18等において、主記録層は、磁性粒子の粒界に非磁性物質が偏析したグラニュラ構造の層であり、補助磁性層は、前記主記録層と磁気的に結合する磁気的結合層である、態様である。
この態様では、(1)グラニュラー磁気記録層を有し、(2)磁気的結合層(連続層ではなく、単層)を有し、(3)磁気的結合層は、磁気記録層と磁気的結合し、(4)磁気的結合層に、硬磁性部と、硬磁性部よりも磁性が弱い軟磁性部、とを有している。また、磁気記録層と磁気的結合層とは接触している。
本第2発明の他の態様では、上記の構成18等及びその説明において、「補助磁性層」を「磁気的結合層」と読み替えた内容が適用される。また、本第2発明の他の態様では、上記の構成13〜17、20〜21及びその説明において、「磁性層」、「記録層」、又は「磁気記録層」を、「グラニュラー構造の磁気記録層と、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層とを、この順に積層した層」と読み替えた内容が適用される。
本第2発明の他の態様は、以下の構成が含まれる。
(構成22)非磁性の円板状基板上に、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層と、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層とを、この順に積層した磁気ディスクであって、
上記磁気的結合層および磁気記録層のうちの少なくとも磁気的結合層は、上記基板の半径方向に向かって、硬磁性部と軟磁性部とが互いに隣接し複数備えられていることを特徴とする磁気ディスク。
このように構成すれば、上述した構成13等と同様の効果を得ることができる。
例えば、このようにした場合、軟磁性領域は、例えば、記録領域間を磁気的に分離する分離領域として機能する。そのため、このようにすれば、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。また、磁気記録媒体を、例えばDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。これにより、例えばトラックエッジノイズが低減されるため、トラック幅(Erase幅)を低減し、トラック密度を向上させることが可能になる。
また、軟磁性領域であれば、例えば非磁性領域と比べ、より少ないイオンビームの照射量で形成できる。そのため、このようにすれば、イオンビームの照射量を低減し、例えばイオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になる。また、これにより、イオンビームの照射を、より高い精度で行うことができる。そのため、トラック密度が高まった場合でも、十分な精度で分離領域を形成できる。
本第2発明の他の態様において、磁気的結合層は、グラニュラー構造の磁気記録層の上に垂直磁気異方性を示す薄膜である。また、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層の交換相互作用により、垂直磁気記録層と磁気的結合層は磁気的結合する。
本第2発明の他の態様は、更に、以下の構成が含まれる。
(構成23)上記磁気的結合層における硬磁性部は、磁気記録層の磁気信号が記録される記録領域に対応する位置に形成されており、上記軟磁性部は、それ以外の領域に形成されていることを特徴とする磁気ディスク。
(構成24)上記軟磁性部および硬磁性部は、上記円板状基板の中心に対して同心円状に形成されていることを特徴とする磁気ディスク。
(構成25)上記磁気記録層と磁気的結合層は接していることを特徴とする磁気ディスク。
(構成26)上記磁気的結合層は少なくともCoCrPtを有することを特徴とする磁気ディスク。
[第2発明に関する発明の効果]
本発明によれば、例えば、記録領域間を磁気的に分離する分離領域をイオンビームの照射により形成する場合に、イオンビームの照射量(Dose)を低減できる。また、これにより、高い精度で分離領域を形成できる。
[2発明に関する発明を実施するための最良の形態]
(実施形態1)
以下、本第2発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
尚、第2発明における図1,2,5,7は、第1発明における図1,2,5,7において、「磁気シールド部202」が「分離領域202」に変更されたことを除き同じであるので、第1発明における図1,2,5,7を参照して説明する。また、第2発明における図3,4は、第1発明における図3,4と得られるデータが同じであるので、第1発明における図3,4を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体10の一例を示す。図1(a)は、磁気記録媒体10の構成の一例を示す。磁気記録媒体10は、垂直磁気記録方式HDD(ハードディスクドライブ)に搭載される垂直二層媒体方式の磁気ディスクである。
本例において、磁気記録媒体10は、基板12、付着層14、軟磁性層16、下地層18、垂直磁気記録層30、保護層26、及び潤滑層28をこの順で備える。また、垂直磁気記録層30は、グラニュラ層20、カップリング制御層22、及び連続膜層24を有する。
基板12は、例えば基体用ガラスである。この基体用ガラスとしては、例えばアルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス、ソーダタイムガラス等が挙げられるが、中でもアルミノシリケートガラスが好適である。また、アモルファスガラス、又は結晶化ガラスを用いることができる。例えば、軟磁性層16をアモルファス構造とする場合、基体用ガラスをアモルファスガラスとすると好ましい。また、化学強化したガラスを用いると、剛性が高く好ましい。
基板12の主表面の表面粗さは、Rmaxで3nm以下、Raで0.3nm以下であると好ましい。Rmax及びRaは、日本工業規格(JIS)に従う。このような平滑表面とすることにより、例えば、垂直磁気記録層30−軟磁性層16間の間隙を一定にすることができるので、ヘッド(磁気ヘッド)−垂直磁気記録層30−軟磁性層16間に好適な磁気回路を形成することができる。また、基板12は、表面が等方的な、テクスチャ無しの基板であってよい。
尚、例えば軟磁性層16の磁区制御のために、磁場中アニールが必要な場合、ガラス基体の基板12を用いることが特に好ましい。ガラス基体は耐熱性に優れるので、基板12の加熱温度を高くすることができる。
付着層14は、基板12と軟磁性層16との間の付着性を向上させる層(密着層)である。付着層14を設けることにより、軟磁性層16の剥離を防止することができる。付着層14の材料としては、例えばTi含有材料を用いることができる。実用上の観点から、付着層14の膜厚は、1〜50nmとすることが好ましい。本例において、付着層14は、アモルファスのCrTi層である。また、付着層14の膜厚は、例えば10nm程度である。
軟磁性層16は、ヘッドと垂直磁気記録層30との間に磁気回路を形成する層である。軟磁性層16は、軟磁気特性を示す磁性体により形成されていれば特に制限はないが、例えば、保磁力Hcで0.01〜80エルステッド、望ましくは0.01〜50エルステッドの磁気特性であることが好ましい。また、飽和磁束密度Bsは500emu/cc〜1920emu/ccの磁気特性であることが好ましい。
軟磁性層16の材料としては、例えば、Fe系、Co系の材料等が挙げられる。例えば、FeTaC系合金、FeTaN系合金、FeNi系合金、FeCoB系合金、FeCo系合金等のFe系軟磁性材料、CoTaZr系合金、CoNbZr系合金等のCo系軟磁性材料、或いはFeCo系合金軟磁性材料等を用いることができる。
軟磁性層16の膜厚は、例えば10〜200nm、望ましくは20〜100nmである。10nm未満では、ヘッド−垂直磁気記録層30−軟磁性層16間に好適な磁気回路を形成を形成することが困難になる場合があり、200nmを超えると、表面粗さが増加する場合がある。また、200nmを超えると、磁区制御が困難となる場合がある。
ここで、軟磁性層16には、大きな磁区ができやすい。また、大きな磁区が動くと、ノイズが発生するおそれがある。そのため、軟磁性層16は、反磁性結合(AFC:Anti−Ferro Magnetically Coupled)した複数の軟磁性材料層を有することが好ましい。このように構成すれば、磁区を動きにくくすることにより、ノイズの発生を抑えることができる。
本例において、軟磁性層16は、Ru層を挟んで反磁性結合する複数のCoTaZr層を有する。Ru層は、例えばhcp結晶構造の層である。Ru層の膜厚は、例えば0.9nm程度である。また、それぞれのCoTaZr層は、アモルファス構造の層である。それぞれのCoTaZr層の膜厚は、例えば20〜27.5nmである。
下地層18は、垂直磁気記録層30の結晶構造を制御する層である。下地層18は、複数種類の膜の多層膜であってよい。本例において、下地層18は、第1配向制御層、第2配向制御層、孤立化促進層、及び微細化促進層を、軟磁性層16上にこの順で有する。
第1配向制御層は、上層の第2配向制御層の結晶配向を制御する層である。本例において、第1配向制御層は、例えば、アモルファスに近いbcc結晶構造の、Ta層又はCoCrTa層である。第1配向制御層の膜厚は、例えば3nm程度である。第2配向制御層は、更に上層の配向性を向上させる層である。本例において、第2配向制御層は、hcp結晶構造のRu層である。第2配向制御層の膜厚は、例えば10nm程度である。
孤立化促進層は、上層の組成を分離させて結晶粒子の孤立化を促進させる層である。孤立化促進層は、例えば第2配向制御層のRu層の成膜時よりもガス圧が高い状態で、スパッタリング法で形成される。これにより、孤立化促進層は、結晶が小さく、かつ結晶粒子間が離れた層になる。本例において、孤立化促進層は、hcp結晶構造のRu層である。また、孤立化促進層の膜厚は、例えば10nm程度である。
微細化促進層は、上層の結晶粒子の微細化を促進する層である。本例において、微細化促進層は、非磁性のCoCr結晶粒子の粒界にSiOが偏析した、非磁性の結晶粒子のグラニュラ構造の層(CoCr−SiO層)である。微細化促進層において、CoCrの結晶構造は、例えばhcp結晶構造である。微細化促進層は、一部にbcc結晶構造のCoCrを含んでもよい。微細化促進層におけるSiOの含有量は、例えば12at%程度(例えば10〜16at%)である。微細化促進層の膜厚は、例えば2nm程度である。微細化促進層上には、垂直磁気記録層30のグラニュラ層20が形成される。
グラニュラ層20は、微細化された結晶粒子の粒界に酸化物が偏析したグラニュラ構造の層であり、主記録層の一例である。本例において、グラニュラ層20は、CoCrPt−SiO層であり、磁性粒子と、磁性粒子の粒界において磁性粒子間を磁気的に分離する非磁性物質とを含む。グラニュラ層20の膜厚は、例えば20nm以下、望ましくは8〜16nm、更に望ましくは7〜15nm(例えば9nm程度)である。
グラニュラ層20の磁性粒子は、垂直磁気異方性を示す結晶粒子であり、グラニュラ層20に記録される信号に応じて磁気モーメントを反転させる。本例において、この磁性粒子は、hcp結晶構造のCoCrPtである。この磁性粒子のサイズ(直径)は、例えば5〜20nm、望ましくは8〜15nmである。また、この磁性粒子の粒界の幅は、2nm以上であり、例えば2〜20nm、望ましくは4〜15nmである。尚、磁性粒子の粒界の幅とは、例えば、グラニュラ層20における磁性粒子の粒界の幅の平均値である。
また、グラニュラ層20に含まれる非磁性物質は、磁性粒子の粒界に偏析した非磁性の酸化物である。本例において、この非磁性物質は、例えば、酸化シリコン(SiO)である。非磁性物質としては、SiOの代わりに、例えば酸化チタン(TiO)を用いてもよい。グラニュラ層20におけるSiO等の含有率は、例えば10〜16at%、望ましくは12〜14%である。
尚、例えばSiO等の含有率を6at%以上にした場合、非磁性物質の微細化により、SN比の向上を高めることはできるが、グラニュラ層20単体での保磁力Hcや垂直磁気異方性等の劣化が生じるおそれもある。また、これにより、グラニュラ層20単体での熱安定性が低下するとも考えられる。しかし、本例においては、グラニュラ層20の上に、連続膜層24が形成されている。そのため、グラニュラ層20におけるSiO等の含有率を高めたとしても、これらの問題の発生を抑えることができる。
カップリング制御層22は、グラニュラ層20と連続膜層24との間の磁気的な結合の強さを制御する層である。本例において、カップリング制御層22は、例えばfcc結晶構造のPd層である。カップリング制御層22の膜厚は、例えば2nm以下であり、例えば0.5〜1.5nm、望ましくは0.7〜1.0nm(例えば0.8nm程度)である。カップリング制御層22は、Pt層であってもよい。
連続膜層24は、基板12の主表面に平行な方向における交換結合が連続的に広がっている層である。連続膜層24は、補助磁性層の一例であり、垂直磁気異方性を示す磁性粒子を含む。この磁性粒子は、基板12の主表面と垂直な方向において、グラニュラ層20の磁性粒子と磁気的に交換結合している。
また、この磁性粒子の粒界の幅は、グラニュラ層20の磁性粒子の粒界よりも小さく、例えば1nm以下であり、例えば0.1〜1nm、望ましくは0.3〜0.8nmである。これにより、基板12の主表面と平行な方向において、連続膜層24の磁性粒子は、グラニュラ層20の磁性粒子間の結合力よりも互いに強く交換結合する。そのため、このように構成すれば、例えば、連続膜層24の磁化をグラニュラ層20の磁化によってピン止め(Pinning)することによって、記録された信号の熱安定性を向上させることができる。連続膜層24の膜厚は、例えば1〜8nm、望ましくは3〜6nm、更に望ましくは4〜5nmである。
尚、グラニュラ層20の膜厚Aと、連続膜層24の膜厚Bとの比A/Bは、例えば2〜5、望ましくは3〜4である。このように構成すれば、交換結合による好適な垂直磁気記録特性を発揮できる。また、連続膜層24の磁性粒子の磁気異方性定数(最大異方性エネルギー)Kuは、例えば、軟磁性体より大きいことが好ましい。このように構成すれば、連続膜層24にできる磁壁幅を薄くできる。連続膜層24の磁気異方性定数Kuは、グラニュラ層20よりも大きくてよい。また、連続膜層24を構成する材料の保磁力Hcは、例えば、グラニュラ層20の磁性粒子を構成する材料の保磁力Hcよりも小さくてよい。
また、本例において、連続膜層24は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層の一例であり、CoCr層106とPd層108とが交互に3層程度(例えば2〜3層)ずつ積層された多層膜である。CoCr層106は、CoCrの磁性粒子を含む層である。CoCr層106の膜厚は、例えば0.35nm程度である。CoCr層106がこのように極めて薄い場合、CoCrの磁性粒子は、結晶構造になっていなくてもよい。CoCr層106は、例えばhpc結晶構造のCoCrの結晶粒子を含んでもよい。Pd層108は、fcc結晶構造の非磁性のPdの層である。Pd層108の膜厚は、例えば0.8nm程度である。このように構成した場合、CoCr層106とPd層108との界面において界面磁気異方性が生じる。また、例えばこれらを3層ずつ積層することにより、必要な垂直磁気異方性を得ることができる。これにより、例えば単層の連続膜層24を用いる場合と比べ、連続膜層24の膜厚を薄くできる。
連続膜層24は、Pd層108の代わりに、例えばPt層を有してもよい。また、連続膜層24は、CoCr層106の代わりに、CoB層を有してもよい。連続膜層24は、Co化合物の層とPd層又はPt層とを交互にn層ずつ積層した多層膜[CoX/Pd or Pt]nであってもよい。また、連続膜層24は、例えばPtの含有量の多い単層膜であってもよい。連続膜層24は、例えばCoCrPtや、CoPt、CoPd、FePt、CoPt、CoPd、アモルファスTbFeCoCr、SmCo、NdFe14B、Co20Pt80等の単層膜であってもよい。
また、本例において、連続膜層24の一部には、分離領域202が形成される。分離領域202は、垂直磁気記録層30において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域間を磁気的に分離する領域である。本例において、分離領域202は、軟磁性領域であり、例えばイオンビームの照射によって連続膜層24の多層膜の結晶構造を変化させることにより形成される。また、連続膜層24において分離領域202が形成されない領域は、垂直磁気異方性を示す硬磁性部204となる。分離領域202及び硬磁性部204の詳細は後に詳しく説明する。
連続膜層24の上には、更に、保護層26及び潤滑層28が形成される。保護層26は、ヘッドの衝撃から垂直磁気記録層30を防護する層である。保護層26は、例えばダイアモンドライク構造の炭素系の膜である。潤滑層28は、ヘッドと磁気記録媒体10との間の潤滑性を高める層である。潤滑層28は、例えばディップコート法で形成されたPFPE(パーフロロポリエーテル)の膜である。
尚、磁気記録媒体10の製造工程において、付着層14〜連続膜層24の各層は、スパッタリング法で成膜することが好ましい。特に、DCマグネトロンスパッタリング法で形成すると、均一な成膜が可能となるので好ましい。また、保護層26は、CVD法で成膜することが好ましい。
また、連続膜層24のCoCr層106及びPd層108を成膜する場合、スパッタリングガスとしてKrを用いることが好ましい。このようにすれば、CoCr層106とPd層108との界面を清浄に形成することにより、界面磁気異方性をより適切に生じさせることができる。CoCr層106及びPd層108は、CVD法で成膜してもよい。
以下、連続膜層24の分離領域202及び硬磁性部204の形成方法について更に詳しく説明する。本例において、分離領域202及び硬磁性部204は、記録層形成工程、及びイオンビーム照射工程により形成される。記録層形成工程は、下地層18上にグラニュラ層20、カップリング制御層22、及び連続膜層24を形成する工程であり、連続膜層24として、CoCr層106とPd層108との多層膜を形成する。
イオンビーム照射工程は、連続膜層24の一部にイオンビームを照射する工程であり、イオンビームが照射された領域を軟磁性化することにより、分離領域202を形成する。また、イオンビームが照射されなかった領域を、硬磁性部204として残す。これにより、イオンビーム照射工程は、連続膜層24に、分離領域202及び硬磁性部204を形成する。
図1(b)は、イオンビームの照射方法の第1の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、シリコンのステンシルマスク40を用いて、連続膜層24上においてイオンビーム42が照射される領域を設定する。そして、この領域にイオンビーム42を照射することにより、分離領域202を形成する。このようにすれば、イオンビーム42が照射される領域を高い精度で設定できる。そのため、本例によれば、分離領域202を、高い精度で適切に形成できる。
ここで、イオンビーム照射工程は、例えば、イオンビーム42のエネルギーによって連続膜層24の結晶構造を変化させることにより、イオンビーム42が照射された領域に、軟磁性の分離領域202を形成する。この場合、イオンビーム照射工程は、グラニュラ層20、カップリング制御層22、及び連続膜層24を合わせた垂直磁気記録層30全体で軟磁性特性を示すように、分離領域202を形成してもよい。また、イオンビーム照射工程は、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する分離領域202を形成することが好ましい。このようにすれば、分離領域202により、基板12の主表面と平行な方向へ広がる記録磁界をより適切に遮断できる。
また、本例において、連続膜層24は、CoCr層106とPd層108との多層膜である。この多層膜は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す。この多層膜に対し、イオンビーム照射工程は、イオンビーム42を照射して、多層膜におけるCoB層106及びPd層108のそれぞれに含まれる金属の合金を形成することにより、分離領域202を形成する。これにより、分離領域202は、イオンビームが照射されない領域である硬磁性部204と界面の状態が異なり、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない軟磁性領域となる。そのため、本例によれば、イオンビームの照射により、分離領域202を適切に形成できる。また、垂直磁気記録層30に含まれる各層のうちの、実質的に連続膜層24のみに分離領域202を形成できる。
ここで、本例において、イオンビーム照射工程は、イオンビームの照射により連続膜層24の界面の状態を変化させることにより、分離領域202を形成する。この界面の状態の変化は、例えば、連続膜層24の厚み全体の状態を変化させる場合と比べ、より少ないイオンビームの照射量(Dose)により生じる。そのため、本例によれば、少ないイオンビームの照射量で適切に分離領域202を形成できる。また、この場合、例えば、イオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になるため、イオンビームの照射を、より高い精度で行うことができる。また、これにより、高い精度で分離領域202を形成できる。
更には、軟磁性の分離領域202は、例えば非磁性領域と比べ、より少ないイオンビームの照射量で形成できる。そのため、本例によれば、より少ないイオンビームの照射量で分離領域202を形成できる。また、これにより、より高い精度で分離領域202を形成できる。
図2は、分離領域202及び硬磁性部204の位置を示す連続膜層24の上面図である。図中の硬磁性部204における白色の部分及び黒色の部分は、トラック内の各ビットに記録された情報の違いによる磁化の方向の違いを示す。本例において、イオンビーム照射工程は、隣接するトラック間の隙間の領域であるガードバンド領域にイオンビームを照射する。そのため、分離領域202は、ガードバンド領域に形成される。また、トラックに対応する領域は、硬磁性部204となる。そして、グラニュラ層20において、複数のトラックは、連続膜層24から受ける磁気的影響により区画される。
このように構成すれば、分離領域202によりトラック間が磁気的に分離される。そのため、磁気記録媒体10(図1参照)をDTR媒体として適切に機能させることができる。また、これにより、例えばトラックエッジノイズが低減されるため、トラック幅(Erase幅)を低減し、トラック密度を向上させることが可能になる。
更には、このように構成した場合、軟磁性領域である分離領域202は、トラック間において、基板12(図1参照)の主表面と平行な方向への磁界の広がりを抑える。そのため、このように構成すれば、磁気信号をトラックに記録する場合に、トラックの外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界の境界を急峻にできる。また、これにより、記録磁界の影響が隣接するトラックに及ぶことを適切に防止できる。そのため、本例によれば、トラック間の磁気的な分離をより適切に行うことができる。
尚、磁気記録媒体10のトラック幅L1は、例えば100〜200nm、望ましくは135〜165nmである。また、トラックの中心から隣のトラックの中心までの距離であるトラックの間隔(トラックピッチ)L2は、例えば150〜250nm、望ましくは180〜220nmである。トラック幅方向における分離領域202の幅L3は、例えば30〜70nm、望ましくは40〜60nmである。例えばトラックの間隔が大きい場合等で、軟磁性領域により記録磁界の広がりを遮断する必要がない場合等には、分離領域202として、非磁性領域を形成してもよい。
分離領域202は、トラック内に記録される各ビットに挟まれる領域に更に形成されてもよい。このように構成すれば、磁気記録媒体10をパターンド(ビット・パターンド)媒体として機能させることができる。
図3及び図4は、連続膜層24と同様の多層膜に対するイオンビームの照射による磁気特性の変化の様子を示すグラフである。また、表1は、図3及び図4のグラフに示した各磁気特性に対応するイオンビーム照射の条件と、各磁気特性における保磁力Hc及び角型比Sとを示す。
表1及び図3、4からわかるように、イオンビームの照射量(Dose)を1×1015〜5×1015/cmとした場合、保磁力Hcが小さくなる。これは、イオンビームが照射された領域が軟磁性化していることを示している。この結果から、例えば図1(b)を用いて説明した方法等によりイオンビームを照射する領域を設定すれば、連続膜層24に、分離領域202及び硬磁性部204を適切に形成できることがわかる。また、イオンビームの照射量(Dose)を5×1015/cmとした場合、角型比Sが小さくなる。これは、イオンビームの照射により、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性領域が形成されていることを示している。
イオンビームの照射量(Dose)は、5×1014/cmよりも多くてもよい。例えば、イオンビームの照射量(Dose)は、1×1014〜5×1016/cmであってもよい。また、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する軟磁性領域を形成する場合、イオンビームの照射量(Dose)は、例えば5×1015〜5×1016/cmとすることが好ましい。イオンビームの照射量(Dose)が少な過ぎると、イオンビームが照射された領域が軟磁性にならない。また、多過ぎると、工程の時間がかかり、効率的でなくなる。また、イオンビームが照射された領域がエッチングされてしまうおそれもある。
イオン照射のエネルギーは、5〜30KeV、更に望ましくは10〜30KeVとすることが好適である。エネルギーが小さすぎると、適切に軟磁性領域を形成できない。また、エネルギーが大きい場合、イオンビームが照射された領域には、非磁性の分離領域202が形成される。尚、エネルギーが大きすぎると、イオンビームが層を通過し、下の層にまで影響を与えてしまうおそれがある。
イオンビーム照射工程は、例えばリンイオン(P+)等のイオンビームを照射してもよい。また、He、B、C、N、Ne、Ar、Cr、Co、Kr、Xe、Pt等のイオンビームを用いてもよい。
図5は、イオンビーム照射工程におけるイオンビームの照射方法の第2の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスク44を用いる。
このイオンビーム照射工程においては、図5(a)に示すように、例えば、ナノインプリント用の金型46を用いて、連続膜層24上に塗布されたレジスト膜に型押しを行うことにより、レジストマスク44を形成する。そして、図5(b)に示すように、このレジストマスク44をマスクとしてイオンビーム42の照射を行い、連続膜層24に分離領域202を形成する。
分離領域202の形成後には、図5(c)に示すように、例えば、アッシング及び洗浄により、レジストマスク44を除去する。このようにした場合も、分離領域202を適切に形成できる。イオンビーム照射工程の後には、例えば図5(d)に示すように、連続膜層24上に、カーボンオーバーコートの保護層26を形成する。
(実施形態2)
以下、本第2発明に係る他の実施形態を、図7を参照しながら説明する。
本例において、磁気記録媒体10は、基板12、付着層14、軟磁性層16、下地層18、垂直磁気記録層30、保護層26、及び潤滑層28をこの順で備える。また、垂直磁気記録層30は、グラニュラ層20と磁気的結合層24’(連続層ではなく、単層)とを、この順に積層して備える。
本例において、基板12、付着層14、軟磁性層16、下地層18、保護層26、及び潤滑層28に関しては、上記実施形態1と同様であるので、これらの説明は省略する。
実施形態2において、磁気的結合層は、グラニュラー構造の磁気記録層の上に垂直磁気異方性を示す薄膜を形成するものであり、磁気記録層と、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層の交換相互作用により、垂直磁気記録層と磁気的結合する。
磁気的結合層の例としては、CoCr、CoCrTa、CoCrPt、CoCrPtTa、CoCrPtB等の合金系材料を挙げることができる。
磁気的結合層としては、少なくともCoCrPtが含まれていることが好ましく、CoCrPtが主体であると、グラニュラー層の高密度記録性と低ノイズ性に加えて、高熱耐性を付け加えることができる。
磁気的結合層は、磁性粒子の粒界(非磁性粒界)には金属の酸化物や窒化物を含有しない非グラニュラ構造を有する。
磁気的結合層の膜厚は、例えば1〜10nm、より好ましくは2〜9nmである。
磁気的結合層の膜厚は、グラニュラ層の膜厚の1/2以下であることが好ましく、1/3以下であることが更に好ましい。膜厚の下限は、0より大きく、磁気的結合層としての機能を発現しうる膜厚とすることが好ましい。
実施形態2において、グラニュラ層は、CoCrPt−SiO−TiO層であることが好ましい。また、磁気的結合層の膜厚は、従前に比べ薄くすることが好ましい。これらの理由について、以下の述べる。
グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合においては、磁気的結合層の厚さをある程度厚くしないと高いSN比が得られない。しかし、磁気的結合層の厚さを厚くすると、保持力Hcが低下する。また、磁気的結合層の厚さが厚いと、厚み全体に対して特性変化させる必要あるため、イオンビーム照射による特性変化(例えば軟磁性化)が起こりにくい。
これに対し、グラニュラ層がCoCrPt−SiO−TiO層である場合においては、グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合に比べ、グラニュラ層における磁性粒子の粒界がよりはっきりするため、グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合に比べ保持力Hcが高くなる。したがって、磁気的結合層の厚さを従前に比べ相対的に薄くしても、相対的に高い保持力Hcが得られる。
磁気的結合層の厚さを薄くできると、イオンビーム照射による特性変化(例えば軟磁性化)が容易であることに加え、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、例えば、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。
また、本例において、磁気的結合層24’の一部には、分離領域202が形成される。分離領域202は、垂直磁気記録層30において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域間を磁気的に分離する領域である。本例において、分離領域202は、軟磁性領域であり、例えばイオンビームの照射によって磁気的結合層24’の単層膜の結晶構造を変化させることにより形成される。また、磁気的結合層24’において分離領域202が形成されない領域は、垂直磁気異方性を示す硬磁性部204となる。
以下、磁気的結合層24’の分離領域202及び硬磁性部204の形成方法について更に詳しく説明する。本例において、分離領域202及び硬磁性部204は、記録層形成工程、及びイオンビーム照射工程により形成される。記録層形成工程は、下地層18上にグラニュラ層20、及び磁気的結合層24’を形成する工程であり、磁気的結合層24’として、CoCrPt層又はCoCrPtB層の単層膜を形成する。
イオンビーム照射工程は、磁気的結合層24’の一部にイオンビームを照射する工程であり、イオンビームが照射された領域を軟磁性化することにより、分離領域202を形成する。また、イオンビームが照射されなかった領域を、硬磁性部204として残す。これにより、イオンビーム照射工程は、磁気的結合層24’に、分離領域202及び硬磁性部204を形成する。
図1(b)は、イオンビームの照射方法の第1の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、シリコンのステンシルマスク40を用いて、磁気的結合層24上においてイオンビーム42が照射される領域を設定する。そして、この領域にイオンビーム42を照射することにより、分離領域202を形成する。このようにすれば、イオンビーム42が照射される領域を高い精度で設定できる。そのため、本例によれば、分離領域202を、高い精度で適切に形成できる。
ここで、イオンビーム照射工程は、例えば、イオンビーム42のエネルギーによって磁気的結合層24の結晶構造を変化させることにより、イオンビーム42が照射された領域に、軟磁性の分離領域202を形成する。この場合、イオンビーム照射工程は、グラニュラ層20、及び磁気的結合層24を合わせた垂直磁気記録層30全体で軟磁性特性を示すように、分離領域202を形成してもよい。また、イオンビーム照射工程は、基板12の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する分離領域202を形成することが好ましい。このようにすれば、分離領域202により、基板12の主表面と平行な方向へ広がる記録磁界をより適切に遮断できる。
また、本例において、磁気的結合層24’は、CoCrPt層又はCoCrPtB層の単層膜である。この単層膜は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す。この単層膜に対し、イオンビーム照射工程は、イオンビーム42を照射して、単層膜に含まれる金属の合金を形成することにより、分離領域202を形成する。これにより、分離領域202は、イオンビームが照射されない領域である硬磁性部204と界面の状態が異なり、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない軟磁性領域となる。そのため、本例によれば、イオンビームの照射により、分離領域202を適切に形成できる。また、垂直磁気記録層30に含まれる各層のうちの、実質的に磁気的結合層24’のみに分離領域202を形成できる。
ここで、本例において、イオンビーム照射工程は、イオンビームの照射により磁気的結合層24’の界面の状態を変化させることにより、分離領域202を形成する。この界面の状態の変化は、例えば、磁気的結合層24’の厚み全体の状態を変化させる場合と比べ、より少ないイオンビームの照射量(Dose)により生じる。そのため、本例によれば、少ないイオンビームの照射量で適切に分離領域202を形成できる。また、この場合、例えば、イオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になるため、イオンビームの照射を、より高い精度で行うことができる。また、これにより、高い精度で分離領域202を形成できる。
更には、軟磁性の分離領域202は、例えば非磁性領域と比べ、より少ないイオンビームの照射量で形成できる。そのため、本例によれば、より少ないイオンビームの照射量で分離領域202を形成できる。また、これにより、より高い精度で分離領域202を形成できる。
図5は、イオンビーム照射工程におけるイオンビームの照射方法の第2の例を示す。本例において、イオンビーム照射工程は、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスク44を用いる。
このイオンビーム照射工程においては、図5(a)に示すように、例えば、ナノインプリント用の金型46を用いて、磁気的結合層24上に塗布されたレジスト膜に型押しを行うことにより、レジストマスク44を形成する。そして、図5(b)に示すように、このレジストマスク44をマスクとしてイオンビーム42の照射を行い、磁気的結合層24に分離領域202を形成する。
以下、実施例を用いて、本第2発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、アルミノシリケートガラスの基板12上に、付着層14、及び軟磁性層16を順次成膜する。このとき、付着層14は、厚さ10nmのCrTi層となるように、CrTiターゲットを用いて成膜する。また、軟磁性層16は、全厚50nmのアモルファスCoTaZr層となるように、CoTaZrターゲットを用いて成膜する。軟磁性層16は、磁区制御のために、厚さ0.9nmのRu層を挟む二層構造とする。
軟磁性層16の成膜後、連続して、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、下地層18として、第1配向制御層となるTa層(厚さ3nm)、第2配向制御層及び孤立化促進層となるRu層(厚さ20nm)を形成する。また、CoCrPt−SiOからなる硬磁性体のターゲットを用いて、厚さが9nmであり、hcp結晶構造の磁性粒子を含むグラニュラ層20を形成する。
更に、低圧のArガスをスパッタリングガスとして、カップリング制御層22としてPd層(厚さ0.8nm)を、連続膜層24として[CoCr/Pd]層を形成する。CoCr層の厚さは、0.4nm、Pd層の厚さは、0.9nmとする。これらを交互に3層ずつ重ねた連続膜層24の膜厚は、4nm(3.9〜4nm)である。
連続膜層24まで形成された媒体に対して、図1(b)を用いて説明したように、ステンシルマスク40を用いて、30KeVのエネルギーで加速したアルゴンイオン(Ar+)のイオンビーム42を照射して、トラック間の領域に、軟磁性の分離領域202を形成する。このイオンビーム照射において、イオンビームの照射量は、5×1015/cmとする。形成された分離領域202のトラック幅方向における幅は、50nmである。尚、トラック幅は150nm、トラックの間隔は200nmである。
次に、Arに水素を30%含有させた混合ガスを用いて、カーボンターゲットをスパッタリングターゲットとして、水素化炭素(水素化カーボン)からなる保護層26を形成する。水素化炭素を用いることにより、膜硬度が向上するため、ヘッドからの衝撃に対して垂直磁気記録層30を適切に防護できる。この後、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層28をディップコート法により形成する。潤滑層28の膜厚は1nmである。このようにして、実施例1に係る磁気記録媒体10を作成する。
実施例1に係る磁気記録媒体10では、CGC媒体構造により、高い熱安定性を得ることができる。また、分離領域202を形成することにより、磁気記録媒体10をDTR媒体として機能させることができる。更には、分離領域202を軟磁性領域とすることにより、磁気信号をトラックに記録する場合に、トラックの外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界がトラックの外側に広がることを防止できる。そのため、実施例1によれば、トラックエッジノイズを適切に低減できる。例えば、実施例1に係る磁気記録媒体10では、分離領域202を形成しない場合と比べ、SN比が約1.0〜3.5dB向上する。
更には、実施例1においては、分離領域202が軟磁性領域である。また、[CoCr/Pd]層の連続膜層24を用い、イオンビームの照射で界面の状態を変化させることにより分離領域202を形成する。そのため、実施例1では、少ないイオンビームの照射量で、分離領域202を形成できる。
この場合、イオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になる。また、イオンビームの照射を、高い精度で行うことができる。そのため、実施例1によれば、高い精度で分離領域202を形成できる。これにより、トラック密度を向上させることが可能になり、例えば1平方インチ辺り200Gビットを超える記録密度、更には、例えば1平方インチ辺り500Gビットを超える記録密度が実現できる。
(実施例2)
真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、アルミノシリケートガラスの基板12上に、付着層14、及び軟磁性層16を順次成膜する(図6参照)。このとき、付着層14は、厚さ10nmのCrTi層となるように、CrTiターゲットを用いて成膜する。また、軟磁性層16は、全厚50nmのアモルファスCoTaZr層となるように、CoTaZrターゲットを用いて成膜する。軟磁性層16は、磁区制御のために、厚さ0.9nmのRu層を挟む二層構造とする。
軟磁性層16の成膜後、連続して、DCマグネトロンスパッタリング法にて、Ar雰囲気中で、下地層18として、第1配向制御層となるTa層(厚さ3nm)、第2配向制御層及び孤立化促進層となるRu層(厚さ20nm)を形成する。また、CoCrPt−SiOからなる硬磁性体のターゲットを用いて、厚さが9nmであり、hcp結晶構造の磁性粒子102を含むグラニュラ層20を形成する。
更に、CoCrPtターゲット又はCoCrPtBターゲットを用い、低圧のArガスをスパッタリングガスとして、磁気的結合層24’としてCoCrPt層(厚さ7nm)又はCoCrPtB層(厚さ7nm)を形成する。
磁気的結合層24’まで形成された媒体に対して、図5(a)を用いて説明したように、ナノインプリント技術で形成されたレジストマスク44を用いて、30KeVのエネルギーで加速したアルゴンイオン(Ar)のイオンビーム42を照射して、トラック間の領域に、分離領域202を形成する。このイオンビーム照射において、イオンビームの照射量は、5×1015/cmとする。形成された分離領域202のトラック幅方向における幅は、50nmである。尚、トラック幅は150nm、トラックの間隔は200nmである。
次に、Arに水素を30%含有させた混合ガスを用いて、カーボンターゲットをスパッタリングターゲットとして、水素化炭素(水素化カーボン)からなる保護層26を形成する。水素化炭素を用いることにより、膜硬度が向上するため、ヘッドからの衝撃に対して垂直磁気記録層30を適切に防護できる。この後、PFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層28をディップコート法により形成する。潤滑層28の膜厚は1nmである。このようにして、実施例1に係る磁気記録媒体10を作成する。
(評価)
実施例2に係る磁気記録媒体10では、分離領域202を形成することにより、磁気記録媒体10をDTR媒体として機能させることができる。更には、分離領域202を軟磁性領域とすることにより、磁気信号をトラックに記録する場合に、トラックの外側に広がる記録磁界を遮断して、記録磁界がトラックの外側に広がることを防止できる。そのため、実施例2によれば、トラックエッジノイズを適切に低減できる。例えば、実施例2に係る磁気記録媒体10では、分離領域202を形成しない場合と比べ、SN比が約1.0〜3.5dB向上する。
更には、実施例1においては、分離領域202が軟磁性領域である。また、CoCrPt層又はCoCrPtB層の単層膜24’を用い、イオンビームの照射で状態を変化させることにより分離領域202を形成する。
この場合、イオンビームの影響を受ける範囲を狭めることが可能になる。また、イオンビームの照射を、高い精度で行うことができる。そのため、実施例2によれば、高い精度で分離領域202を形成できる。これにより、トラック密度を向上させることが可能になり、例えば1平方インチ辺り200Gビットを超える記録密度、更には、例えば1平方インチ辺り500Gビットを超える記録密度が実現できる。
実施例2に係る磁気記録媒体10では、グラニュラ層がCoCrPt−SiO−TiO層であることにより、グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合に比べ、グラニュラ層における磁性粒子の粒界がよりはっきりするため、グラニュラ層がCoCrPt−SiO層である場合に比べ保持力Hcが高くなる。したがって、磁気的結合層の厚さを従前に比べ相対的に薄くしても、相対的に高い保持力Hcが得られる。
磁気的結合層の厚さを薄くできると、イオンビーム照射による特性変化(例えば軟磁性化)が容易であることに加え、記録領域間の磁気的な分離を適切に行うことができる。そのため、磁気記録媒体をDTR媒体又はパターンド媒体として適切に機能させることができる。
実施例2では、少ないイオンビームの照射量で、分離領域202を形成できる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
本発明は、例えば磁気記録媒体に好適に利用できる。
本発明の一実施形態に係る磁気記録媒体10の一例を示す図である。図1(a)は、磁気記録媒体10の構成の一例を示す。図1(b)は、イオンビーム照射工程におけるイオンビームの照射方法の第1の例を示す。 磁界シールド部202及び硬磁性部204の位置を示す連続膜層24の上面図である。 イオンビームの照射による磁気特性の変化の様子を示すグラフである。 イオンビームの照射による磁気特性の変化の様子を示すグラフである。 イオンビーム照射工程におけるイオンビームの照射方法の第2の例を示す図である。 比較例1、2に係る磁気記録媒体に記録された情報の記録パターンのシミュレーション結果を示す。図6(a)は、比較例1に係る磁気記録媒体であるグラニュラ媒体における記録パターンを示す。図3(b)は、比較例2に係る磁気記録媒体である従来型CGC媒体における記録パターンを示す。 本発明の他の実施形態に係る磁気記録媒体10の一例を示す図である。
符号の説明
10・・・磁気記録媒体、12・・・基板、14・・・付着層、16・・・軟磁性層、18・・・下地層、20・・・グラニュラ層(主記録層)、22・・・カップリング制御層、24・・・連続膜層(補助磁性層)、24’・・・磁気的結合層、26・・・保護層、28・・・潤滑層、30・・・垂直磁気記録層、40・・・ステンシルマスク、42・・・イオンビーム、44・・・レジストマスク、46・・・金型、50・・・長方形、106・・・CoB層、108・・・Pd層、202・・・磁界シールド部又は分離領域(軟磁性領域)、204・・・硬磁性部

Claims (26)

  1. 基板と、前記基板上に形成された磁性層を備える磁気記録媒体であって、
    前記磁性層は、磁気信号を記録する主記録層と、前記主記録層と磁気的に結合する補助磁性層とを有し、
    前記補助磁性層は、
    前記主記録層に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部と、
    前記複数の硬磁性部の間に形成される磁気シールド部であって、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが前記硬磁性部より大きく、かつ残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部と
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 前記磁界シールド部は、軟磁性であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 前記磁界シールド部は、前記基板の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有することを特徴とする請求項2に記載の磁気記録媒体。
  4. 前記磁気記録媒体は、垂直磁気記録用の磁気記録媒体であり、
    前記補助磁性層の前記硬磁性部は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性領域であり、
    前記補助磁性層の前記磁界シールド部は、界面の状態が硬磁性部と異なり、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない磁性領域であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  5. 前記主記録層は、磁性粒子の粒界に非磁性物質が偏析したグラニュラ構造の層であり、
    前記補助磁性層の前記硬磁性部は、Co化合物の層とPd層又はPt層とを交互に積層した多層膜であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  6. 基板と、前記基板上に形成された、磁気信号を記録する主記録層、及び前記主記録層と磁気的に結合する補助磁性層を有する磁性層とを備える磁気記録媒体の製造方法であって、
    前記主記録層を形成する主記録層形成工程と、
    前記補助磁性層を形成する補助磁性層形成工程と
    を備え、
    前記補助磁性層形成工程は、前記主記録層に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部と、前記複数の硬磁性部の間に形成される磁気シールド部であって、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが前記硬磁性部より大きく、かつ残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部とを形成する工程であることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  7. 前記補助磁性層形成工程は、硬磁性層を形成し、当該硬磁性層の一部にイオンビームを照射して、前記イオンビームが照射された領域を軟磁性化することにより、前記磁界シールド部を形成することを特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  8. 非磁性の基板上に、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層と、磁気記録層に隣接し上記基板の面内方向に磁気的に連続した磁気的結合層とを、この順に積層した磁気ディスクであって、
    上記磁気的結合層および磁気記録層のうちの少なくとも磁気的結合層は、磁気記録層に磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される複数の硬磁性部と、
    上記隣接する硬磁性部間に形成される、磁化曲線を測定した場合に、印加磁場が0の領域において磁化曲線の傾きが上記硬磁性部より大きく、かつ、残留磁気分極が前記硬磁性部よりも小さい磁界シールド部とを有することを特徴とする磁気ディスク。
  9. 上記磁気的結合層における硬磁性部は、磁気記録層の磁気信号が記録される記録領域に対応する位置に形成されており、上記軟磁性部は、それ以外の領域に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の磁気ディスク。
  10. 上記軟磁性部および硬磁性部は、上記円板状基板の中心に対して同心円状に形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の磁気ディスク。
  11. 上記磁気記録層と磁気的結合層は接していることを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の磁気デ
    ィスク。
  12. 上記磁気的結合層は少なくともCoCrPtを有することを特徴とする請求項8〜11のいずれか一項に記載の磁気ディスク。
  13. 磁気記録媒体の製造方法であって、
    少なくとも一つの磁性層を有する磁気記録層を形成する記録層形成工程と、
    前記磁気記録層において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域の間の領域にイオンビームを照射することにより、前記磁性層における前記複数の記録領域の間に軟磁性領域を形成するイオンビーム照射工程と
    を備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  14. 前記記録層形成工程は、基板上に前記磁気記録層を形成し、
    前記イオンビーム照射工程は、前記基板の主表面と平行な面内方向に磁化容易軸を有する前記軟磁性領域を形成することを特徴とする請求項13に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  15. 前記記録層形成工程は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す前記磁性層を有する前記磁気記録層を形成し、
    前記イオンビーム照射工程は、前記イオンビームの照射により前記磁性層の界面の状態を変化させることにより、前記軟磁性領域を形成することを特徴とする請求項13又は14に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  16. 前記記録層形成工程は、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す前記磁性層を有する前記磁気記録層を形成し、
    前記イオンビーム照射工程は、前記磁性層において前記イオンビームが照射された領域を、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない領域に変化させることを特徴とする請求項13から15のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  17. 前記磁気記録層の前記磁性層は多層膜であり、
    前記イオンビーム照射工程は、前記イオンビームの照射によって前記多層膜の各層に含まれる金属の合金を形成することにより、前記軟磁性領域を形成することを特徴とする請求項13から16のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  18. 前記磁気記録層は、磁気信号を記録する主記録層と、前記主記録層と磁気的に結合する補助磁性層とを有し、
    前記イオンビーム照射工程は、前記補助磁性層に対してイオンビームを照射して、前記主記録層及び前記補助磁性層のうちの、実質的に前記補助磁性層のみに前記軟磁性領域を形成することを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。
  19. 前記主記録層は、磁性粒子の粒界に非磁性物質が偏析したグラニュラ構造の層であり、
    前記補助磁性層は、Co化合物の層とPd層又はPt層とを交互に積層した多層膜であることを特徴とする請求項18に記載の磁気記録媒体の製造方法。
  20. 垂直磁気記録方式用の磁気記録媒体の製造方法であって、
    界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層を有する磁気記録層を形成する記録層形成工程と、
    前記磁気記録層において磁気信号がそれぞれ記録される複数の記録領域の間の領域にイオンビームを照射して、界面の状態を変化させることにより、前記磁性層において前記イオンビームが照射された領域を、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない領域に変化させるイオンビーム照射工程と
    を備えることを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
  21. 垂直磁気記録方式用の磁気記録媒体であって、
    界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す磁性層を有する磁気記録層を備え、
    前記磁性層は、
    前記磁気記録層において磁気信号が記録される記録領域に対応する位置にそれぞれ形成される、界面磁気異方性により垂直磁気異方性を示す複数の硬磁性部と、
    前記複数の硬磁性部の間を磁気的に分離する分離領域であって、前記複数の硬磁性部の間に形成され、前記硬磁性部と界面の状態が異なることにより、界面磁気異方性による垂直磁気異方性を実質的に示さない分離領域と
    を含むことを特徴とする磁気記録媒体。
  22. 非磁性の円板状基板上に、柱状に連続して成長した磁性粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の磁気記録層と、磁気記録層中の磁性粒子と磁気的に結合する磁気的結合層とを、この順に積層した磁気ディスクであって、
    上記磁気的結合層および磁気記録層のうちの少なくとも磁気的結合層は、上記基板の半径方向に向かって、硬磁性部と軟磁性部とが互いに隣接し複数備えられていることを特徴とする磁気ディスク。
  23. 上記磁気的結合層における硬磁性部は、磁気記録層の磁気信号が記録される記録領域に対応する位置に形成されており、上記軟磁性部は、それ以外の領域に形成されていることを特徴とする請求項22に記載の磁気ディスク。
  24. 上記軟磁性部および硬磁性部は、上記円板状基板の中心に対して同心円状に形成されていることを特徴とする請求項22又は23に記載の磁気ディスク。
  25. 上記磁気記録層と磁気的結合層は接していることを特徴とする請求項22〜24のいずれか一項に記載の磁気デ
    ィスク。
  26. 上記磁気的結合層は少なくともCoCrPtを有することを特徴とする請求項22〜25のいずれか一項に記載の磁気ディスク。
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