JPWO2008001712A1 - スイッチング素子、半導体装置、書き換え可能な論理集積回路、およびメモリ素子 - Google Patents

スイッチング素子、半導体装置、書き換え可能な論理集積回路、およびメモリ素子 Download PDF

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Abstract

本発明の典型的なスイッチング素子は、開口部を有し、金属イオンの拡散を防止する材料からなる第1の絶縁層1003と、開口部に設けられ、金属イオンを供給可能な材料を含む第1電極104と、第1電極104の上面に接して設けられ、金属イオンを伝導可能なイオン伝導層105と、イオン伝導層105の上面に接して設けられ、金属イオンを供給しない材料からなる領域を含む第2電極106とを有し、第1電極104と第2電極106の間に電圧が印加されることで第1電極104と第2電極106との間の導通状態が制御される構成である。

Description

本発明は、イオン伝導体を用いるスイッチング素子、およびその製造方法と、それを用いた半導体装置、書き換え可能な論理集積回路およびメモリ素子とに関する。
現在、電子機器などでは、多くの集積回路が用いられている。電子機器で用いられている多くの集積回路は、いわゆる特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)であり、その電子機器のために設計された専用回路である。このような特定用途向け集積回路では、ロジックセル(AND回路およびOR回路などの単位となる論理回路)の配置やロジックセル相互の結線が集積回路製造工程で行われるため、製造後は回路構成の変更ができない。
近年、電子機器の開発競争が激化し、また、電子機器の小型化が進んでいる。このような状況のもとで、製造後においても、電子信号により回路構成を変更することで、1つのチップで多くの機能の中から特定の機能を選択可能にしたプログラマブルロジック(書き換え可能な論理集積回路)が注目を集めている。
プログラマブルロジックは、複数のロジックセルがスイッチを介して相互に結線された構成を有する。プログラマブルロジックの代表例としては、FPGA(Field−Programmable Gate Array)やDRP(Dynamically Reconfigurable Processor)がある。
このように注目を集めるプログラマブルロジックではあるが、これまでのところ、プログラマブルロジックの電子機器などへの実装は限られている。その理由は、以下のとおりである。今までのプログラマブルロジックでは、ロジックセル間を相互に結線するスイッチのサイズが大きく、そのオン抵抗が高い。このようなスイッチの設置数をできるだけ制限するために、トランジスタ数の多いロジックセルを少数設ける構成にしていた。その結果、ロジックセルの組み合わせの自由度が小さくなり、プログラマブルロジックの提供可能な機能が限られていた。つまり、これまでのプログラマブルロジックで用いられてきたスイッチのサイズの大きさとそのオン抵抗の高さが、プログラマブルロジックの機能を限定し、プログラマブルロジックの電子機器などへの実装を限定していた。
プログラマブルロジックの機能を多様化し、電子機器などへの実装を推進して行くためには、ロジックセル間を相互に結線するスイッチのサイズを小さくし、そのオン抵抗を小さくすることが必要となる。
かかる要件を満たし得るスイッチとして、イオン伝導体(イオンがその内部を自由に動き回ることのできる固体)中における金属イオン移動と電気化学反応を利用したスイッチング素子が「ジャーナル・オブ・ソリッド・ステート・サーキッツ、40巻、1号、168頁〜176頁、2005年」(以下では、文献1と称する)に開示されている。
文献1に開示された、イオン伝導層中における金属イオン移動と電気化学反応を利用したスイッチング素子は、イオン伝導層、このイオン伝導層に接して対向面に設置された第1電極および第2電極の3層から構成されている。このうち第1電極はイオン伝導層に金属イオンを供給するための役割を果たしている。第2電極からは金属イオンは供給されない。
このスイッチング素子の動作を簡単に説明する。第1の電極を接地して第2電極に負電圧を印加すると、第1電極の金属が金属イオンになってイオン伝導層に溶解する。そして、イオン伝導層中の金属イオンがイオン伝導層中に金属になって析出し、析出した金属により第1電極と第2電極を接続する金属架橋が形成される。金属架橋で第1電極と第2電極が電気的に接続することで、スイッチがオン状態になる。
一方、上記オン状態で第1電極を接地して、第2電極に正電圧を印加すると、金属架橋の一部が切れる。これにより、第1電極と第2電極との電気的接続が切れ、スイッチがオフ状態になる。なお、電気的接続が完全に切れる前の段階から第1電極および第2電極間の抵抗が大きくなったり、電極間容量が変化したりするなど電気特性が変化し、最終的に電気的接続が切れる。また、上記オフ状態からオン状態にするには、再び第1電極に負電圧を印加すればよい。
文献1では、イオン伝導体を介して2個の電極が配置され、それらの間の導通状態を制御する2端子型スイッチの場合の構成および動作が開示されている。「WO2005/008783号公報」(以下では、文献2と称する)では、この他にさらに1個の制御電極(第3電極)を配置して、その制御電極への電圧印加により、第1電極と第2電極間の導通状態を制御する3端子型のイオン伝導体スイッチング素子を提案している。
このようなイオン伝導体を用いるスイッチング素子は、一般的に用いられてきた半導体スイッチ(MOSFETなど)よりもサイズが小さく、オン抵抗が小さいという特徴を持っているため、プログラマブルロジックへの適用に有望であると考えられている。また、このスイッチにおいては、その導通状態(オンまたはオフ)は印加電圧をオフにしてもそのまま維持されるので、不揮発性のメモリ素子としての応用も考えられる。例えば、トランジスタなどの選択素子1個とイオン伝導体を用いたスイッチング素子1個とを含むメモリセルを基本単位として、このメモリセルを縦方向と横方向にそれぞれ複数配列する。このように配列することで、ワード線およびビット線で複数のメモリセルの中から任意のメモリセルを選択することが可能となる。そして、選択したメモリセルのスイッチング素子の導通状態をセンスし、スイッチング素子のオンまたはオフの状態から情報「1」または「0」のいずれの情報が格納されているかを読み取ることが可能な不揮発性メモリを実現できる(文献1参照)。
このようなスイッチング素子を集積回路中に製造する方法が、「米国特許6348365号公報」(以下では、文献3と称する)および「米国特許6838307号公報」(以下では、文献4と称する)に開示されている。
図1は文献3に開示されたスイッチング素子の構造を示す断面模式図である。文献3に記載された素子構造においては、図1に示すように、絶縁層(「絶縁材料13」と示されている)の開口部に、金属層(「金属材料41」と示されている)およびイオン伝導層(「イオン伝導材料51」と示されている)からなる積層構造が埋め込まれている。ここでは、イオン伝導層は、銀を含んだゲルマニウム・セレン層を材料とするカルコゲナイドとしている。この構造の作製方法は、イオン伝導層を開口部に埋め込んだ後に、リセス構造を形成し、そのリセス構造中に金属層を埋めこみ、光照射による拡散工程で所望の積層構造を形成するものである。図1に示すように、金属イオンを供給する金属層は絶縁層に接している。なお、開口部を有する絶縁層は、半導体基板10上に順に形成された絶縁材料11および導電材料12のその上に形成されている。
図2は文献4に開示されたスイッチング素子の構造を示す断面模式図である。文献4に記載された素子構造においては、絶縁層121の開口部に上部電極133の一部が埋め込まれ、その下層にはイオン伝導層107(文献4では「セルボディ」と称されている)が埋め込まれている。この絶縁層121の開口部の側壁には、スペーサ131が形成されている。そのため、イオン伝導層107の上面の一部分が上部電極133と接するように配置されている。スペーサ131は、上部電極133からイオン伝導層107へ金属イオンが供給される際に、開口部の絶縁層121とイオン伝導層107との境界に金属イオンが侵入しないようにする役割を果たす。その結果、金属イオンをイオン伝導層107に均一に供給することができる。
イオン伝導を利用したスイッチにおいては、金属イオンを供給する電極とイオン伝導層は接して配置され、金属イオンがイオン伝導体中に溶出し、伝導することが動作の前提となる。しかし、この動作はイオンの移動を伴うものであるため、適切に制御しなければスイッチングに伴って外部へのイオン漏出により、金属汚染を引き起こしてしまう。例えば、半導体デバイスの多層配線構造中にイオン伝導によるスイッチング素子を実装した場合、スイッチング素子から外部への金属イオンの漏出が生じると、金属イオンが層間絶縁膜中に拡散し、配線やビア間の絶縁性を劣化させ、また、配線寿命を短くしてしまうなどの様々な問題が生じる。
本発明の典型的な目的は、電極からの金属イオンの漏出を抑制し、信頼性を向上したスイッチング素子、ならびにそれを用いた半導体装置、書き換え可能な論理集積回路、およびメモリ素子を提供することである。
本発明の典型的なスイッチング素子は、開口部を有し、金属イオンの拡散を防止する材料からなる第1の絶縁層と、開口部に設けられ、金属イオンを供給可能な材料を含む第1電極と、第1電極の上面に接して設けられ、金属イオンを伝導可能なイオン伝導層と、イオン伝導層の上面に接して設けられ、金属イオンを供給しない材料からなる領域を含む第2電極とを有し、第1電極と第2電極の間に電圧が印加されることで第1電極と第2電極との間の導通状態が制御される構成である。
本発明によれば、金属イオンを供給する第1の電極が拡散防止機能を有する絶縁層に設けられた開口内に埋め込んで形成されているため、電極側面からの金属の拡散および漏出を抑制し、金属による汚染を効果的に防止することが可能となる。その結果、関連する素子よりも金属イオンの拡散および漏出を抑制することができる。そのため、本発明のスイッチング素子およびそれを用いる半導体装置について、信頼性が向上し、長期にわたって安定して使用することが可能となる。
図1は関連するスイッチング素子の構造を示す断面模式図である。 図2は関連するスイッチング素子の他の構造を示す断面模式図である。 図3は第1の実施形態のスイッチング素子の一構成例を示す断面模式図である。 図4は実施例1のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図5Aは実施例1のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。 図5Bは実施例1のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。 図5Cは実施例1のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。 図5Dは実施例1のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。 図5Eは実施例1のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。 図5Fは実施例1のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。 図6は実施例2のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図7は実施例3のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図8は実施例4のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図9は実施例5のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図10は実施例6のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図11は実施例7のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図12は実施例8のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図13は実施例9のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図14は実施例10のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。 図15は第2の実施形態のセレクタ素子の一構成例を示す断面模式図である。 図16は第2の実施形態のセレクタ素子の他の構成例を示す断面模式図である。 図17は第2の実施形態のセレクタ素子の他の構成例を示す断面模式図である。 図18は半導体装置の多層配線構造内にスイッチング素子とMIMキャパシタとを形成した場合の一構成例を示す断面図である。 図19は第1の実施形態のスイッチング素子を用いたプログラマブルロジックの一構成例を示すブロック図である。 図20は第1の実施形態のスイッチング素子を用いたメモリ素子の一構成例を示すブロック図である。 図21は第4の実施形態のスイッチング素子の一構成例を示す断面模式図である。 図22は第4の実施形態のスイッチング素子の他の構成例を示す断面模式図である。 図23は第4の実施形態のスイッチング素子を用いたプログラマブルロジックの一構成例を示すブロック図である。 図24は第4の実施形態のスイッチング素子を用いたメモリ素子の一構成例を示すブロック図である。
符号の説明
1003 第1の絶縁層
1030 拡散防止層
104 第1電極
105 イオン伝導層
106 第2電極
113 第2拡散防止層
305 第3電極
(第1の実施形態)
本実施形態のスイッチング素子の構成を説明する。本実施形態のスイッチング素子は2端子型スイッチである。図3は本実施形態のスイッチング素子の一構成例を示す断面模式図である。図3に示すように、スイッチング素子は、開口を有する第1の絶縁層1003と、その開口に埋め込まれた第1電極104と、第1電極104の上面に接して形成されたイオン伝導層105と、イオン伝導層105の上面に接して形成された第2電極106とを有する構成である。図3では、第1電極104、イオン伝導層105、および第2電極106が基体上に積層して形成されている。なお、イオン伝導層はイオン伝導体や固体電解質層とも称される。以下では、イオン伝導層またはイオン伝導体の用語を用いる。
第1電極104はイオン伝導層105に金属イオンを供給可能な構成である。具体的には、電気化学反応によりその材質が金属イオンを供給可能な組成で構成されている。また、第1の絶縁層1003は第1の電極から供給される金属イオンの拡散を防止することの可能な材質で構成されている。第1の絶縁層1003を第1拡散防止層とも称する。第2電極106は金属イオンを供給しない構成である。具体的には、少なくともそのイオン伝導層105側の表面近傍は、イオン伝導層105に対して金属イオンを供給しない組成である。
次に、本実施形態のスイッチング素子の動作を説明する。本実施形態のスイッチング素子の動作は基本的には文献1に開示された2端子型スイッチング素子と同様であるため、ここでは、その動作を簡単に説明する。
第1電極と第2電極間に正負の電圧を印加することにより、両電極間の導通状態を制御して、スイッチとしてのオン/オフ状態を実現する。はじめに、スイッチをオフからオンに切り替える場合を説明する。イオン供給機能を有する第1電極104に対して負の電圧を第2電極106に印加すると、第1電極104の金属が金属イオンになってイオン伝導層に溶解する。そして、イオン伝導層105に含まれる金属イオンがイオン伝導層中に金属になって析出し、析出した金属により第1電極104と第2電極106を接続する金属架橋が形成される。金属架橋で第1電極104と第2電極106が電気的に接続することで、スイッチがオン状態になる。
続いて、スイッチをオンからオフに切り替える場合を説明する。このオン状態において、オフからオンに切り替える場合とは逆に第1電極104に対して正の電圧を第2電極106に印加すると、金属架橋の一部が切れる。これにより、第1電極104と第2電極106との電気的接続が切れ、スイッチがオフ状態になる。なお、このような電気的接続の完全な切断/短絡による動作ではなくとも、第1電極と第2電極間の電気抵抗が変化する、あるいは電極間容量が変化したりするなどの電気特性の変化をセンスして、スイッチあるいは記憶作用として用いることも当然可能であり、本発明ではこれらも含めて導通状態の変化をスイッチング動作とする。
本実施形態のスイッチング素子の基本構成によれば、金属イオン供給機能を有する第1電極を、拡散防止機能を有する第1の絶縁層中に埋め込んで形成しているので、第1電極側面から周囲構造に金属イオンが拡散/漏出することを防止できる。
また、第1電極を開口内に埋め込んだ構造とすることにより、イオン伝導体中を流れる電流パスを平面的に制限していることになり、これは同時に金属イオンの溶出による移動パスを制限することになる。したがって、イオン伝導層に溶け出した金属イオンが層内で広がってイオン伝導層外部に漏出してしまうことを効果的に防げる。これらにより、本発明のスイッチング素子は、金属イオンによる周囲構造の影響や汚染を防止しやすく、ひいては信頼性が高く、かつ高い製造歩留まりを実現できるものとなっている。
次に、本実施形態のスイッチング素子を作製する際、スイッチング素子を形成可能な基体について説明する。
本実施形態のスイッチング素子を種々の基体上に形成することが可能である。半導体デバイスの機能上必要な能動素子などが形成された半導体基板を基体として用いることが可能である。また、表面を絶縁膜で覆った半導体基板を基体としてもよい。この場合、半導体基板の表面に形成された能動素子を絶縁膜で覆うようにしてもよい。さらに、半導体基板上に層間絶縁膜と配線からなる多層配線構造が形成されたものを基体としてもよい。
特に、本実施形態のスイッチング素子をプログラマブルロジック回路のスイッチとして用いる場合には、半導体基板上に多層配線が形成された構造を基体として用いることが好適である。さらに、多層配線を有する基体上に本発明のスイッチング素子を形成する場合に限らない。多層配線を有する基体上にスイッチング素子を形成し、その上に層間絶縁膜を形成してスイッチング素子を被覆し、その層間絶縁膜の上層に配線を形成してもよい。この構造は、本発明のスイッチング素子を半導体デバイスの多層配線構造内に埋め込む形で形成することが可能である。
図3に示す構成では、半導体基板(不図示)上に下部層間絶縁層1001が形成されたものを基体としている。図には示さないが、半導体基板から下部層間絶縁層1001の間に素子や配線が形成されていてもよい。
次に、本実施形態のスイッチング素子を半導体装置に実装する場合について説明する。半導体装置の一例として、多層配線構造を有する半導体装置の層間絶縁膜中にスイッチング素子を実装する場合には、次に説明するような構成を採用することが望ましい。
図3に示すように、第1の絶縁層1003の開口は貫通孔であるため、第1電極104はその下面側が基体に接触することになる。電流が流れるとともに金属イオンが溶出するという現象を利用するスイッチング素子から見たときには、第1電極104の下面側の他部位との接触による汚染はスイッチング素子自体にはそれほど問題にならないが、金属イオンが層間絶縁膜や半導体基板などと直接接触させることは好ましくない場合がある。層間絶縁膜や半導体基板中に金属が漏出すると、金属が絶縁性を劣化させてしまうからである。このため図3に示すように、スイッチング素子が形成される基体において、第1電極104の下面に接する部分に下部配線102を設けることで、第1電極104が基体の絶縁膜部となる下部層間絶縁層1001と直接接触することを避けている。
また、下部配線102の図3の左右方向(横方向)の長さに相当する幅に関しては、第1電極104の下面の全面を被覆することが好ましい。第1電極104の下面からの金属イオンの拡散防止効果をより高めるためである。さらに、下部配線102上に第1の絶縁層1003の開口を形成する際のリソグラフィ工程における目合わせ精度を考慮して、下部配線102の幅方向の寸法を、図3に示すように、第1電極104の下面を全て覆った上でさらに余裕を持って大きめに形成しておくことがより望ましい。この第1電極104の下面に接して配置される下部配線102は、第1電極104と外部回路との電気接続をとる役割も兼ねることができる。
下部配線102に用いる材料について説明する。下部配線102に用いる材料は、特に限定されないが、半導体デバイスで通常用いられる導電材料であることが望ましい。導電材料として、例えば、LSIにおける多層配線の主材料として広く用いられている銅およびアルミニウム、ならびに多層配線のビアへの埋め込み材料として用いられているW(タングステン)などの高融点金属のうちいずれかの金属を用いることが可能である。また、それらの金属のうち複数の金属を含む合金、ならびにそれらの金属のうち少なくとも1つを含む窒化物およびシリサイドなどのいずれであってもよい。下部配線102を銅を主材料とする導電材料で構成する場合は、銅配線の形成工程において周知の通り、下部配線102の下面および側面にバリア膜として第1のバリアメタル1021を備えていることが望ましい。
上述のようにして下部配線102の幅方向の寸法を決め、下部配線102の材料に対応してバリア膜を設けることにより、スイッチング素子の第1電極104からの金属イオンの漏出を、第1電極104の下面側についても防止することができる。
イオン伝導層105のパターンと形状について説明する。イオン伝導層105は、第1電極104の少なくとも一部を覆っているが、第1電極104の上面の全てを覆っている方が望ましい。さらに、イオン伝導層105は第1の絶縁層1003上までそのパターンが達して形成されている方がより望ましい。このようにイオン伝導層105のパターンをより大きくすると、上述した電流パスを制限することができ、イオン漏出を防ぐ効果が向上する。
特に、図3に示すように、イオン伝導層105のパターンが第1の絶縁層1003上まで達していれば、第1電極104と第2電極106間で金属イオンの供給/吸収が生じ、スイッチがオン/オフ動作を行なったときでも、外部に対する金属の漏れを小さく抑えることが可能である。これは当然、長期信頼性を向上させる効果を同時にもたらすことになる。
イオン伝導層105の形状は、典型的には図3に示すように平板状に形成されたものである。イオン伝導層105を平板状に形成することにより、第1電極104と第2電極106間の距離の制御に有利となり、スイッチング所用電圧の制御性が向上する。一方、イオン伝導層105を立体的に湾曲させて形成したり、第1電極104および第2電極106の界面に凸部や凹部を形成したりすることで、第1電極104と第2電極106間の最短距離を積極的に変えてもよい。例えば、第1電極104と第2電極106間の最短距離をより短くすることで、低電圧でスイッチング動作を行わせることが可能となる。
イオン伝導層105と第2電極106のパターンの関係を説明する。イオン伝導層105上に形成する第2電極106は、イオン伝導層105の上面において第1電極104と重なり部をもって形成されるが、第1電極104に対向する位置を被覆して形成されていることが望ましい。さらに、第2電極106がイオン伝導層105の上面全てを被覆していることが望ましい。そのように構成することで、第1電極104からイオン伝導層105中に溶解した金属イオンの析出を第2電極106の下面のみで行わせることが可能となり、金属イオンの外部漏出防止に有効であるからである。
また、イオン伝導層105の上面全てを被覆して第2電極106を形成する場合、リソグラフィ工程の際、両者を同一のマスクパターンで加工すればよいことになり、目合わせに有利であり、製造工程の簡略化を図れる。さらに、第2電極106がイオン伝導層105の上面からさらに側面までを被覆するような構成としてもよい。この構成はイオン伝導層105の側面からのイオン漏出防止に有効である。
図3に示した構成の他の利点を説明する。第2電極106から外部回路に接続する一構成例は、図3に示すように、スイッチング素子の直上において第2電極106と外部とをビアプラグ(図3では上部配線1007と示す)で接続するものである。この接続をビア接続と称する。この構成によれば、スイッチング素子の占める面積を最小限に抑えることができるため、微細化および集積化に有利である。
なお、このスイッチング素子直上でのビア接続を行う場合、ビアプラグの導電体(ビアプラグが積層構造の場合はその最下層)が第2電極106を兼ねていてもよい。また、第2電極106から外部回路に接続する別の構成として、第2電極106をスイッチング素子外に延長して設け、その延長部の上面あるいは下面に対してビア接続を行う構造を採用してもよい。第2電極106として、それ自体が外部への配線を兼ねている構造を採用してもよい。
また、イオン伝導体105および第2電極106の周囲を、さらに別の拡散防止層で被覆して金属イオンの漏出を防止する構造としてもよい。
さらに、本発明のスイッチング素子全体を絶縁層で被覆する構成としてもよい。半導体デバイスの多層配線構造においてはこの絶縁層を層間絶縁膜とすることができ、その層間絶縁膜中に、上述した第2電極への接続配線を形成することが可能である。
次に、本発明のスイッチング素子の主要部位について好適な材料を説明する。
イオン伝導層105の材料としては、金属または半導体と、酸素、硫黄、セレンおよびテルル等のカルコゲン元素との化合物が好ましい。特に、元素の周期律表における銅、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、チタンおよびコバルトの金属のうち少なくともいずれかを含む硫化物、酸化物、ならびに任意の硫黄−酸素比を持つ酸硫化物などは好適である。さらに、半導体デバイス中への実装を考えた場合には、金属酸化物、特に酸化タンタル(Ta)あるいは酸化チタン(TiO)が好ましい。その理由は、第1に、一般的な半導体デバイスで用いられている材料であるため、プロセスの整合性が高いためである。第2に、プログラマブルロジック用のスイッチング素子として考えた場合、金属酸化物をイオン伝導層として用いるとスイッチング電圧をロジック電圧よりも高くすることが可能であるためである。また、繰り返し動作に対する耐性も高く、高信頼性を確保できる。
イオン伝導層105の膜厚は5〜200nm程度の範囲内で設定することが可能であるが、特に10〜100nmの範囲とすることが好ましい。膜厚が10nm以下であると、トンネル電流やショットキー電流のためにオフ時にリーク電流が発生しやすくなり、一方、膜厚が100nm以上であると、スイッチング電圧が10V以上となって半導体デバイス等での実用が困難になるためである。なお、イオン伝導層105は典型的には単層膜で形成されるが、イオン伝導特性あるいは電気特性の異なる2種以上の膜からなる積層構造とすることも可能である。積層構造をとることによりスイッチング電圧(閾値電圧)やオフ時のリーク特性を制御することが可能となる。
第1電極104には、イオン伝導層105に対してイオン供給が可能な構成とするため、Cu、AgおよびPbのうち少なくともいずれかを主材料とする金属または合金を用いる。特に、半導体プロセスとの整合性を考慮すると、主材料はCuであることが望ましい。また、これらの金属または合金は、第1電極のうちの少なくともイオン伝導層105に接する面の一部に存在していればよい。したがって、図3に示すような、第1電極104全体を単層膜として構成する方法の他に、積層構造としてイオン伝導層105に接する層をCuなどで構成することが可能である。また、イオン伝導層105との接触面が、Cuなどのイオン供給可能な金属と、その他のイオン供給が生じない金属との複合面となるように構成してもよい。
第2電極106としては、イオン伝導層105との間で金属イオンの収受が生じにくい導電体を用いる。具体的には、白金、アルミニウム、金、チタン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、もしくはモリブデンなどの高融点金属、これらの金属のうち少なくともいずれかの窒化物、またはこれらの金属ののうち少なくともいずれかのシリサイド、またはこれらの金属のうち複数の金属を組み合わせた合金が好適である。第2電極106については、第2電極106のうちの少なくともイオン伝導層105に接する面が上記材料により構成されていればよい。したがって、図3に示すような、第2電極106全体を単層膜として構成する方法の他に、積層構造としてイオン伝導層105に接する層を上記材料で構成することが可能である。
第1の絶縁層1003は、スイッチング素子の動作においてイオン伝導層内に溶解/析出を生じる金属種の拡散を防止できる材料を用いる。例えば、第1電極104としてCuを用いる場合には、窒素を含有する絶縁膜、特にシリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、もしくはそれらの中に任意の量の炭素を含む材料(炭窒化シリコン)などを好適に用いることができる。第1の絶縁層1003の膜厚は用いる材料によるが、2nm程度以上あれば拡散防止機能を持たせることができ、5nm以上あれば十分である。
一方、上に述べた「窒素を含有する絶縁膜」は比較的誘電率が高い場合が多いため、拡散防止機能が確保できる限りにおいてできる限り薄く形成することが好ましい。具体的には、膜厚の上限は200nm程度以下とすることが望ましい。また、イオン伝導層105の側面や第2電極106の上面あるいは側面を拡散防止絶縁層で被覆する場合も、第1の絶縁層1003と同様の材料を用いればよい。
本発明のスイッチング素子を多層配線構造中に形成する場合の層間絶縁膜および配線としては、一般的に半導体デバイスにおいて用いられている材料から選ぶことができる。例えば配線材料としては銅または銅を主材料とする合金が好適であり、その周囲を覆うTa、TaNなどのバリアメタルと共に使用できる。また、層間絶縁膜としては酸化シリコンの他、有機系、無機系の低誘電率絶縁材料など、半導体プロセスで使用される絶縁材料のいずれでも用いることができる。
以上説明したとおり、本発明によれば、金属イオンが素子外部に拡散・漏出することを抑制し、長期信頼性に優れたスイッチング素子を実現できる。また、本発明のスイッチング素子は、その製造において高い歩留まりを容易に得ることができる。
なお、本発明スイッチング素子はイオン供給源となる第1電極を下部電極として用いることにより、特に第1電極としてCuを用いて半導体デバイス中に実装する場合に、高純度なイオン供給源を用いることが可能となるという更なる効果が得られる。イオン伝導層中の金属イオン移動を動作原理とするスイッチング素子においては、イオン供給機能を果たす電極は、その供給されるイオンとなる金属種によりできるだけ高純度に形成されていることが望ましい。
半導体デバイス中で配線主材料や電極として用いられるCuは電解メッキ法により形成されるが、その際、メッキに必要な電流を均一に供給する、あるいは、バリア金属との密着性を向上させるために銅のシード層を設ける。シード層にはエレクトロマイグレーション耐性の向上を目的としてアルミニウムなどの金属不純物を微量含有させる。このような手法で形成するCu膜は下面側に含有させたアルミニウムなどの金属不純物を有すること、および成膜初期膜(下面近傍)に高濃度の不純物を含有しているため、Cu電極を上部電極として用いてスイッチング素子を形成することが困難になっていた。本発明の構成によれば、イオン供給機能を果たすCuを、イオン伝導層に対する下部電極(第1電極)として設けることが可能である。このため、バリアメタルの存在という問題は回避され、かつCu膜の上層部をイオン供給源として用いることになるために高純度化も容易であり、高純度のイオン供給電極を実現できる。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子の一構成例を示すものである。図4は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。
図4に示すように、スイッチング素子は、基本的には図3に示した構造と同様であり、多層配線構造を形成するための基体上に、図3に示した第1の絶縁層1003に相当する拡散防止層1030の開口内に埋め込んで形成された第1電極104と、第1電極104の上面に接して形成されたイオン伝導層105と、イオン伝導層105の上面を覆う第2電極106とを有する構成である。拡散防止層1030に設けられた開口は、図3に示した構成と同様に、貫通孔である。
スイッチング素子が形成されている基体は、シリコン基板(不図示)上に図に示さない半導体素子および半導体素子を覆う絶縁膜が形成され、その上に下部層間絶縁層1001が形成されている。その下部層間絶縁層1001の配線用溝に下部配線102が形成され、下部配線102は第1電極104の下面に接している。第2電極106上には第2バリアメタル1071を介して上部配線1007が形成されている。拡散防止層1030の上には上部層間絶縁層108が設けられ、上部層間絶縁層108は、イオン伝導層105および第2電極106の露出面と、上部配線1007の底面および側面に形成された第2バリアメタル1071の側面とを覆っている。
図4では、多層配線構造の配線形成プロセスとの整合性から、下部層間絶縁層1001は第1層間絶縁層1011、第1保護絶縁層1012、第2層間絶縁層1013および第1ストップ絶縁層1014が順に形成された積層構造である。また、この下部層間絶縁層1001の配線用溝に形成された下部配線102は、その下面および側面に第1バリアメタル1021が設けられている。また、上部層間絶縁層108は、第3層間絶縁層1081および第2ストップ絶縁層1082が順に形成された積層構造である。第2ストップ絶縁層の上には第2保護絶縁層117が設けられている。上部層間絶縁層108のビアホール内に形成された上部配線1007は、その下面および側面に第2バリアメタル1071が設けられている。
次に、本実施例のスイッチング素子の製造方法を説明する。図5Aから図5Fは本実施例のスイッチング素子の製造方法を示す断面模式図である。図5A〜図5Cのそれぞれは[工程A]〜[工程C]のそれぞれに対応し、図5D〜図5Fのそれぞれは[工程D]〜[工程F]のそれぞれに対応している。
[工程A]シリコン基板(不図示)上に、一般的に知られている技術を用いて形成された半導体素子を含む基体を用意する。その後、第1層間絶縁層1011、第1保護絶縁層1012、第2層間絶縁層1013、および第1ストップ絶縁層1014を順に形成する。なお、第1層間絶縁層1011はシリコン窒化膜であり、第1層間絶縁層1011をCVD(化学的気相成長)法で形成している。
[工程B]フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、配線を形成するための開口部を第1保護絶縁層1012、第2層間絶縁層1013および第1ストップ絶縁層1014中に形成する。形成した開口部に第1バリアメタル1021および銅シード層(不図示)をCVD法により形成する。銅シード層の厚みを20〜100nm程度とし、銅シード層に少量の不純物(例えば、アルミニウム)を含有させる。そして、銅シード層上に銅の電解メッキを行う。銅の厚みは800〜1200nm程度でよい。続いて、第1ストップ絶縁層1014の開口部以外に堆積された不要な第1バリアメタルおよび銅をCMP(ケミカル・メカニカル・ポリッシング)法により削り取り、下部配線102を形成する。さらに、熱処理を行って不純物を下部配線102全体に拡散させる。この熱処理により下部配線102のエレクトロマイグレーション耐性が向上する。下部配線102の形成方法は半導体装置の配線形成工程として広く用いられている。その後、下部配線102上に、スパッタリング法またはCVD法により拡散防止層1030となる100nmの膜厚を有する炭窒化シリコン(窒化シリコンに炭素が含まれた材料)を形成する。
[工程C:第1電極形成]フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、第1電極104を配置するために開口部を拡散防止層1030に形成する。ここでは、開口部は下部配線102の上面にまで達する貫通孔である。形成した開口部に銅をスパッタリング法またはCVD法により形成する。銅の厚みは拡散防止層1030の膜厚(100nm)以上とする。次に、開口部以外に堆積された不要な銅をCMP法により削り取って銅の上面を平坦化し、第1電極104を形成する。第1電極104の上面を平坦化して段差をなくすことによって、本工程以後のリソグラフィ工程でフォトレジストを塗布する際に膜厚を均一に塗布できることや、膜形成の際に膜厚を均一に成膜できることなどの利点がある。
[工程D:イオン伝導層および第2電極の形成]スパッタリング法またはCVD法により、第1電極104上にイオン伝導層105として酸化タンタルを膜厚15nm形成し、その上に第2電極106を形成するための膜としてタンタルを膜厚50nm形成する。フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、第1電極104の上面を覆い、かつ拡散防止層103の一部にかかるようなパターン形状に酸化タンタルおよびタンタルを加工し、図5Dに示すようにイオン伝導層105および第2電極106を形成する。第2電極106は、後の[工程F]で行われる開口部のエッチングの際のストッパーの役割も果たし、エッチングによるイオン伝導層105へのダメージを最小限に抑制することができる。
[工程E:上部層間絶縁層形成]CVD法により、拡散防止層1030の上に、第2電極106を覆うシリコン酸化膜を形成する。ここで、シリコン酸化膜の上面には第2電極106およびイオン伝導層105による段差が存在するため、CMP法によりシリコン酸化膜を平坦化して第3層間絶縁層1081を形成する。第3層間絶縁層1081の膜厚は600nm程度あればよい。さらにその上に第2ストップ絶縁層1082を形成することで、第3層間絶縁層1081および第2ストップ絶縁層1082が積層された上部層間絶縁層108が形成される。
[工程F:接続プラグ形成]フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、上部配線1007を形成するための開口部を上部層間絶縁層108に形成する。エッチングの際、第2電極106がエッチングストッパーとなり、開口部内には第2電極106の上面の一部が露出する。形成した開口部に第2バリアメタル1071、および銅の一部となる銅シード層(不図示)をスパッタリング法またはCVD法により形成する。銅シード層の厚みは20〜100nm程度でよい。次に、銅シード層上に銅のメッキを行う。銅の厚みは800〜1200nm程度でよい。さらに、上部層間絶縁層108の開口部以外に堆積された不要な第2バリアメタル1071および銅をCMP法により削り取り、下面および側面に第2バリアメタル1071が設けられた上部配線1007を形成する。上部配線1007は、自身の配線としての役目の他、配線と第2電極106とを電気的に接続するための接続プラグとしての役目も果たす。さらに、必要に応じて、第2保護絶縁層117となる、膜厚50nmの炭窒化シリコンをスパッタリング法またはCVD法により第2ストップ絶縁層1082上に形成する。このようにして、スイッチング素子およびその周囲の層間絶縁膜および配線が完成する。
本実施例は、本実施形態における基本形態であるが、上述したとおり様々な変形を行うことが可能である。以下の実施例2〜実施例10において、その変形例を説明する。なお、以下の実施例においては、スイッチング素子を構成するに必要な基本要素のみを示すこととし、下層層間絶縁膜および上層層間絶縁膜中の積層構造の詳細な説明を省略するが、実施例1で説明したのと同様である。また、製法においても、実施例1との共通部分の詳細な説明を省略する。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子を変形させた一例として、第1の変形例を示す。図6は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例では、第2電極106がイオン伝導層105の側面および上面の全てを覆って形成されている。この構造は、イオン伝導層中に溶出した銅イオンが横方向に拡散し、イオン伝導層外に漏出することを防止できる。
本実施例の構造は、実施例1における[工程D]を以下のように変形することによって形成できる。
[工程D−1:イオン伝導層および第2電極の形成]イオン伝導層105として酸化タンタル15nmをスパッタリング法またはCVD法により第1電極104上に形成する。フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、第1電極104を覆い、かつ、拡散防止層1030の一部を覆うような形状にイオン伝導層105を加工する。次に、第2電極106を形成するために、膜厚50nm程度のタンタルをスパッタリング法またはCVD法により、拡散防止層1030の上にイオン伝導層105を覆うようにして形成する。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、イオン伝導層105を覆い、かつ、拡散防止層1030の一部を覆うような形状にタンタルを加工し、第2電極106を形成する。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第2の変形例を示す。図7は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例では、第2電極106が第2バリアメタル1071と共通になっている構成である。本実施例によれば、電極の共通化によって工程が簡単になる利点がある。
本実施例のスイッチング素子を製造するには、図5Dに示した[工程D]において、第2電極106となる金属膜の成膜工程およびそのパターニング工程を省略すればよい。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第3の変形例を示す。図8は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例では、第2電極106がイオン伝導層105の上面の全てではなく、イオン伝導層105の上面の内側の一部領域を被覆するように形成されている。
本実施例のスイッチング素子の製造方法は、図5Dに示した[工程D]を次のように変更すればよい。酸化タンタル膜を成膜した後、酸化タンタル膜をパターニングして、図8に示すようにイオン伝導層105のパターンを形成する。その後、イオン伝導層105上にタンタル膜を成膜し、タンタル膜をパターニングして第2電極106を形成する。または、これ以外の方法として、図5Dを参照して説明したようにイオン伝導層105と第2電極106を一括でエッチング加工する際、それぞれの材料のエッチングレートに差が付くような条件で加工を行なうことにより、本実施例の構造を形成することが可能である。なお、第2電極106のパターンは、イオン伝導層105を介して第1電極104のパターンと重なる位置に形成されるようにすることが望ましい。
このように第2電極106を形成することにより。本実施例においても、イオン伝導層に溶出した銅イオンがイオン伝導層外に漏出する可能性を低く抑えることができる。また、第2電極106およびイオン伝導層105のエッチングのマージンが広くなる利点がある。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第4の変形例を示す。図9は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。図9は、基体上に隣接して設けられた2つのスイッチング素子を並べて示している。本実施例では、図9に示すように、イオン伝導層105が2つ以上のスイッチング素子で共通に用いられている。
本発明のスイッチング素子を複数隣接して形成する場合、基本的には、イオン伝導層105をスイッチング素子毎に区画している。各スイッチング素子間での金属イオンの拡散が問題にならなくて、かつ金属イオンを含んでいない状態のイオン伝導層自体の抵抗が十分高い場合には、スイッチング素子毎に区画せず、複数のスイッチング素子がイオン伝導層を共有することが可能である。
図9に示すように、共通するイオン伝導層105の異なる場所に、対となる第1電極104および第2電極106をイオン伝導層105を介して対向させて、複数対設置することにより、基体上に複数のスイッチング素子を構成することが可能である。この構成によれば、イオン伝導層105の区画を行わないので、実施例1において説明した[工程D]におけるイオン伝導層105のエッチングを省くことができて工程が簡略化される。また、イオン伝導層105へのエッチングダメージなどを防止するにも有効である。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第5の変形例を示す。図10は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。図10は、基体上に隣接して設けられた2つのスイッチング素子を並べて示している。本実施例では、第2バリアメタル1071が第2電極の役目も果たす。
本実施例は、2つ以上のスイッチング素子のイオン伝導層105を区画形成せずに共通として用いる点で実施例5と共通する。また、スイッチング素子の第2電極を上部配線1007における第2バリアメタル1071と共通化させるという点で、実施例3と共通する。したがって、本実施例のスイッチング素子の製造工程においてイオン伝導層105のパターニング工程を簡略化できるという効果と第2電極の形成工程を簡略化できるという効果は、実施例3および実施例5のそれぞれと同様である。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第6の変形例を示す。図11は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例は、実施例1で説明したスイッチング素子の構造に対して、イオン伝導層105の側面に第2拡散防止層113を側壁状に形成した点に特徴がある。この構造によれば、イオン伝導層中に溶出した銅イオンが横方向に拡散して周囲構造に漏出することをより効果的に防止できる。
本実施例の構造は、以下の様な方法で製造することができる。イオン伝導層105および第2電極106を形成するところまでは実施例1と同様である。その後、第2拡散防止層113となる絶縁膜を、第2電極106の上面および側面と、拡散防止層1030の露出面と、イオン伝導層105の側面とを被覆するように形成する。ここでは、第2拡散防止層113の絶縁膜として炭窒化シリコン膜を用いる。炭窒化シリコン膜の成膜を例えばCVD法またはスパッタリング法で行い、炭窒化シリコン膜の膜厚を50nm程度とする。その後、この炭窒化シリコン膜に異方性エッチングを行って、拡散防止層1030の上面およびイオン伝導層105の上面に堆積した炭窒化シリコンを除去する。これにより、イオン伝導層105および第2電極106の側面のみに炭窒化シリコン膜が残存し、側壁状の第2拡散防止層113が形成される。その後、実施例1と同様に[工程E]以降を行って、スイッチング素子を完成する。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第7の変形例を示す。図12は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例は、実施例1で説明したスイッチング素子の構造に対して、第2電極106の上面および側面、イオン伝導層105の側面を被覆するように第2拡散防止層113を形成した点に特徴がある。この構造によれば、イオン伝導層中に溶出した銅イオンが横方向に拡散して周囲構造に漏出することをより効果的に防止できる。
本実施例の構造は、以下の様な方法で製造することができる。イオン伝導層105および第2電極106を形成するところまでは実施例1と同様である。その後、第2拡散防止層113となる絶縁膜を、第2電極106の上面および側面と、拡散防止層1030の露出面と、イオン伝導層105の側面とを被覆するように形成する。ここでは、第2拡散防止層113の絶縁膜として炭窒化シリコン膜を用いる。炭窒化シリコン膜の成膜を例えばCVD法またはスパッタリング法で行い、炭窒化シリコン膜の膜厚を50nm程度とする。その後、実施例1と同様に[工程E]以降を行って、上部層間絶縁層108の形成、開口部形成、および上部配線形成を行い、スイッチング素子を完成する。ただし、上部層間絶縁層108の開口部形成の際には、第2電極106の上面が露出するまでエッチングを行う。開口部に相当する、第2拡散防止層113の部分をエッチング除去することで、第2バリアメタル1071を介して上部配線1007と第2電極106との接続を取ることが可能となる。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第8の変形例を示す。図13は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例は、実施例3で説明したスイッチング素子の構造に対して、イオン伝導層105の側面を被覆するように第2拡散防止層113を形成した点に特徴がある。図13に示すように、第2バリアメタル1071がスイッチング素子の第2電極の役割を兼ねている。この点については、実施例3と同様である。または、本実施例の構造は、実施例8に示した第2拡散防止層113がスイッチング素子を被覆する構造において、第2バリアメタル1071が第2電極の役割を兼ねる場合としてもよい。この構造によれば、イオン伝導層中に溶出した銅イオンが横方向に拡散して周囲構造に漏出することをより効果的に防止できる。
本実施例の構造は、以下の様な方法で製造することができる。イオン伝導層105を形成するところまでは実施例1と同様である。その後、第2拡散防止層113となる絶縁膜を、拡散防止層1030の露出面と、イオン伝導層105の上面および側面とを被覆するように形成する。ここでは、第2拡散防止層113の絶縁膜として炭窒化シリコン膜を用いる。炭窒化シリコン膜の成膜を例えばCVD法またはスパッタリング法で行い、炭窒化シリコン膜の膜厚を50nm程度とする。その後、実施例3と同様にして、上部層間絶縁層108の形成、開口部形成、および上部配線形成を行い、スイッチング素子を完成する。ただし、上部層間絶縁層108の開口部形成の際には、イオン伝導層105の上面が露出するまでエッチングを行う。開口部に相当する、第2拡散防止層113の部分をエッチング除去することで、第2バリアメタル1071をイオン伝導層105に接触させることが可能となる。
本実施例は、第1の実施形態のスイッチング素子における第9の変形例を示す。図14は本実施例のスイッチング素子の構成を示す断面模式図である。本実施例では、スイッチング素子の下部電極1040が第3バリアメタル1041とイオン供給機能を果たす第1電極104の積層構造とによって構成されている点に構造上の特徴がある。
下部電極1040と外部配線との接続は、第3バリアメタル1041の下面に接して設けられた下部配線102により取られている。ここで、現在のLSIプロセスにより配線をCuで形成する場合、そこには不純物(例えば、アルミニウム)が少量含まれている。本実施例の構造によれば、下部配線102と第1電極104との間に、Al等の不純物拡散に対する障壁となる第3バリアメタル1041を挿入しているため、第3バリアメタル1041が拡散防止層としての役目を果たし、第1電極104に不純物が拡散するのを防止できる。このため、高純度のイオン供給電極を得ることが容易であり、スイッチング動作の制御性が向上する。
本実施例の構造は、以下の方法により製造することができる。実施例1で説明した製造方法にしたがって、拡散防止層1030への開口部形成までの工程を行う。ここでは、開口部は下部配線102の上面にまで達する貫通孔である。この後、開口部および拡散防止層1030を被覆するように、例えば、膜厚20nmのバリアメタル膜としてTaN膜と、膜厚100nmの銅とをスパッタリング法またはCVD法により順に形成する。次に、開口部以外に堆積した不要なTaN膜および銅をCMP法により削り取り、表面を平坦化する。これにより、第3バリアメタル1041と第1電極104とが積層した下部電極1040が形成される。この後、実施例1と同様にして、イオン伝導層105および第2電極106の膜形成およびパターニング、上部層間絶縁層の形成、上部配線の形成を順次行い、スイッチング素子を完成する。
実施例1の図5Bに示した拡散防止層1030、および実施例8の図12に示した第2拡散防止層113をシリコン窒化膜で形成する。このシリコン窒化膜の形成は、高密度プラズマCVD装置を用いて行う。さらに、そのシリコン窒化膜形成のためのCVD反応ガスに含まれる窒素源として、主にアンモニアを用いている。この方法により形成されたシリコン窒化膜は水素や水分の浸入を防ぐ性質があるため、拡散防止層1030または第2拡散防止層113の形成後に行われる工程において、下部配線102における銅の劣化を防止することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、基本的に1対の電極(第1電極および第2電極)と、その電極対に挟まれたイオン伝導層とを有するスイッチング素子の実施態様を述べた。隣接するスイッチング素子でイオン伝導層が共有される場合もあるが、電極対はスイッチング素子毎に独立していた。本実施形態では、1対の電極およびイオン伝導層を含むスイッチ要素が1つの場合に限らない、複数のスイッチ要素を複合して用いる場合を説明する。
本実施形態のスイッチング素子は、第1の実施形態のスイッチング素子を2つ以上配列し、イオン伝導層を挟む上下の電極のうち一方の側の電極を共通接続とすることにより、セレクタ素子を構成するものである。
図15は本実施形態のセレクタ素子の一構成例を示す断面模式図である。このセレクタ素子は、第1の実施形態のスイッチング素子を3個(それぞれのスイッチング素子を図の左側からスイッチ要素400A、400B、400Cとする)を隣接配置したものである。第1電極104に接続された下部配線102がスイッチ要素400A、400Bおよび400Cにおいて共通である。つまり、3つのスイッチの第1電極104同士が短絡された上で外部回路に接続されている。
一方、各スイッチ要素の第2電極106(上部電極)は各々独立に外部回路に接続される。各スイッチ要素におけるイオン伝導層105は、図15では複数のスイッチ要素で共通に用いられるため区分けされていないが、エッチングなどの加工によりスイッチ要素毎に区分けされていてもよい。ただし、図15に示すように区分けせずに用いる場合の方が微細化やダメージ低減の観点からは有利である。
図15に示すセレクタ素子の動作を簡単に説明する。図15に示す構造において、スイッチ要素400A、400Bおよび400Cのそれぞれに独立に接続された、複数の上部配線のなかからいずれかを選択して電圧を印加することにより、その選択された配線と第1電極間の導通状態を制御するセレクタ動作が可能となる。つまり、この構造では1対3のセレクタ素子が構成されていることになる。
なお、配列するスイッチ要素の数は2以上であれば特に限定はない。また、複数のスイッチ要素の配置の仕方は、図15に示すように1次元的に一列に配置するものであってもよく、図15に示す各スイッチ要素から図15の奥行き方向にもスイッチ要素を複数配置し、スイッチ要素を2次元的に(平面的に)配置するものであってもよい。
次に、本実施形態のセレクタの別の実施態様を説明する。別の実施態様は、複数のスイッチ要素を2つ以上配列し、イオン伝導層を挟む上下の電極のうち一方の電極だけではなく、他方の電極についても共通接続とするものである。図16は本実施形態のセレクタ素子の他の構成例を示す断面模式図である。
図16に示す構成では、複数のスイッチ要素(図16においては3つのスイッチ要素)が並列接続されている。つまり、第2電極106は共通であるが、第1電極104が複数の電極要素104a、104b、104cからなるように構成されている。イオン伝導層105は、図16では複数のスイッチ要素で共通で用いられるため区分けされていないが、エッチングなどの加工によりスイッチ要素毎に区分けされていてもよい。
この構成によれば、電気回路的には単純なスイッチング素子と等価であるが、全体として低オン抵抗のスイッチング素子を構成することができる。また、下部配線102、イオン伝導層105、および第2電極106を共通化していることから微細化に有利である。なお、第2電極106から外部との接続を行なう配線プラグは1つ以上あればよく、図16は配線プラグが1つの場合を示している。図16に示す上部配線1007が配線プラグの役目を果たしている。
次に、本実施形態のスイッチング素子の特性および製造方法に関連する利点について説明する。
第1の実施形態において製造方法を説明したように、予め形成した絶縁膜の開口内に銅などの金属膜を成膜し、その後CMPにより金属膜の不要な部分を除去することにより第1電極104を形成することが可能である。しかし、CMPによる銅膜の加工工程に関しては、開口部の中心付近の方が周辺に比べて研磨が速く進行して表面に凹みが生じてしまうディッシングと呼ばれる現象が起こるおそれがある。この現象は、寸法の大きい開口部への埋め込みの際に顕著に起こることが知られている。
上述したように、スイッチング素子として低オン抵抗であることを重視する場合は、第1電極104のパターンと第2電極106のパターンとがイオン伝導層105を挟んで平面的に重なる面積が実効的なスイッチ面積となり、その実効的なスイッチ面積を広げるのが有利である。しかし、1対の電極対のままで単純にサイズを拡大すると上記ディッシングの問題が生じてしまい、第1電極とイオン伝導層との界面の平坦性が劣化する。これは、その後の製造工程の障害になる他、スイッチング電圧のバラツキの原因となってしまう。
一方、図15および図16に示したスイッチング素子構造は、第1の実施形態のスイッチング素子の第1電極104を複数個に分割してその各々を拡散防止層1030の開口部に埋め込んだと見ることができ、分割された個々の電極面積を小さく抑えることができる。このため本実施形態の構造によれば、オン抵抗を小さい値に保つともに、ディッシングの問題を回避しやすくなる。ディッシング現象自体はCuが特に顕著であるとはいえ、他の金属種についても生じる問題である。
したがって、図15および図16のように下部電極を複数の電極要素に分割して拡散防止層内に形成したスイッチ構造は、下部電極にイオン供給電極としてのCuを用いる場合に限らず、一般的に拡散防止層開口中に金属電極を埋め込んでスイッチング素子の電極とする、イオン伝導を利用した全てのスイッチにおいて有用である。
なお、図16の構造においては、複数の電極要素からなる下部電極を共通配線により短絡させているが、各々の電極要素に対して互いに独立の配線を接続することで、複数の電極要素を短絡させなくてよい。図17はその構成例を示す断面模式図である。
図17では、複数のスイッチ要素401A、401B、401Cのそれぞれの第1電極104が独立した下部配線102に接続されている。この場合、1:n(nは2以上の整数)のセレクタ回路として機能させることができる。図17は、1:3のセレクタ回路の場合である。この構造は、図15に示したものとは上下が逆転した形であり、複数個のスイッチ要素の上部電極が共通である。図17に示すセレクタ回路の動作においては、スイッチ要素401A、401B、401Cのそれぞれに独立に接続された、複数の下部配線102の中からいずれかを選択して電圧を印加することにより、その選択された配線と第2電極間の導通状態を制御するセレクタ動作が可能である。
(第3の実施形態)
本実施形態では、半導体デバイスの多層配線構造中にスイッチング素子を形成する場合の一応用例として、同一の配線層にMIM(金属/絶縁層/金属)キャパシタを形成した形態を説明する。
半導体装置におけるMIMキャパシタは、金属電極/誘電体/金属電極の3層構造を備えて絶縁層中に形成されるものであり、第1および第2の実施形態のスイッチング素子と類似する。また、小面積で大きな静電容量を得るために誘電率が大きな誘電材料を用いるが、その代表的な誘電体材料は酸化タンタルであり、これはイオン伝導層としても用いることができる材料である。したがって、MIMキャパシタと、イオン伝導を用いたスイッチング素子とは、同一配線層内に同一工程で形成するのに適している。
図18は、半導体装置の多層配線構造内にスイッチング素子(図の右側)とMIMキャパシタ(図の左側)とを形成した場合の一構成例を示す断面図である。キャパシタ200は、容量下部電極205、誘電体層206および容量上部電極207を有する構成である。容量上部電極207は接続プラグ209を介して配線(不図示)に接続され、容量下部電極205は第1電極204を介して配線214に接続されている。キャパシタ200の接続プラグ209はスイッチング素子100の上部配線1007に対応している。接続プラグ209の底面および側面は第2バリアメタル1071で覆われている。配線214の底面および側面は第1バリアメタル1021で覆われている。スイッチング素子100は、図3で説明した構成と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図18に示す構造は、第1の実施形態で説明したスイッチング素子の製造工程とほぼ同様の工程で、キャパシタ200を同時に形成することができる。以下に、製造方法を簡単に説明する。
キャパシタ部、スイッチ部ともに、下部層間絶縁層1001での配線の形成から拡散防止層1030の開口に第1電極104、204を形成するまでの工程は、スイッチ単独での製法と同様である。その後、キャパシタ部の容量下部電極205となる金属膜(例えば、タンタル)を形成し、その金属膜にパターニングを行って、キャパシタ形成予定部のみに金属膜を残存させ、第1電極204に接続された容量下部電極205をキャパシタ部に形成する。続いて、酸化タンタル膜の形成およびタンタル膜を形成した後、それらの膜にパターニングを行って、スイッチ部のイオン伝導層105および第2電極106と、キャパシタ部の誘電体層206および容量上部電極207を同時平行して形成する。さらに、上部層間絶縁層108、ならびに上部配線1007および接続プラグ209を形成し、図18に示した構造を完成させる。
このようにして、他の構造と同時にスイッチング素子を形成することが可能であり、工程を簡略化でき、高い歩留まりを得ることができる。
次に、本実施形態の構造の製造方法における注意点を説明する。MIMキャパシタは容量を確保するために、通常はスイッチング素子より基体表面に占める面積が大きくなる。また、容量を確保するという同じ目的のために、MIMキャパシタにおける誘電体層206の膜厚をなるべく薄くすることが望ましい。誘電体層206の膜厚がスイッチング素子のイオン伝導層105の膜厚と異なる場合、加工については同時に行うことは可能だが、成膜については個別に行う必要がある。なお、MIMキャパシタは、構造的にはスイッチング素子と似ているが、動作的には電気化学反応を利用するスイッチング素子とは全く異なり、電極間の電圧印加による金属架橋形成などを行わない。このため、容量上部電極207および容量下部電極205には、TaやTaNなどのイオン供給が生じない導電体を用いることが望ましい。
図18を参照して、スイッチング素子をMIMキャパシタと併用する場合を例にとって半導体装置への適用を説明したが、本実施形態の構造を、スイッチング素子を用いた種々の半導体装置に応用することが可能である。
第1および第2の実施形態のスイッチング素子を、背景技術で説明した、複数のロジックセルがスイッチを介して相互に結線される、FPGAやDRPなどのプログラマブルロジック回路への適用に非常に有利である。イオン伝導体を用いるスイッチが本来備える低いオン抵抗、サイズの小ささなどの特徴に加えて、周囲構造への汚染を防止したことによる高い信頼性により、このような回路への適用に最適なものとなっている。
第1の実施形態の2端子スイッチをプログラマブルロジックに適用した場合を説明する。図19はプログラマブルロジックの一構成例を示す図である。
図19に示すように、プログラマブルロジック90は、2次元配列状に配置された多数のロジックセル92と、ロジックセル間を接続するための配線、配線間の接続・非接続を切り替えるための多数のスイッチ97から構成される。2端子スイッチの接続状態(接続・非接続)を変えることにより、ロジックセル間の配線の構成、ロジックセルの機能等を設定し、仕様に合わせた論理集積回路を得ることが可能となる。
プログラム用のスイッチ97に第1の実施形態の2端子スイッチを適用している。図19に示すように、スイッチ97の2端子のうち一方の端子がロジックセル92に接続され、他方の端子がプログラマブルロジック90内の信号線96に接続されている。
オン状態に設定されたスイッチ97は、ロジックセル92と信号線96とが電気的に接続された状態を維持する。そして、ロジック信号が信号線96およびスイッチ97を介してロジックセル92に入る。その反対に、オフ状態に設定されたスイッチ97は、ロジックセル92と信号線96との接続が切れた状態を維持する。この場合、ロジック信号は、信号線96を介してスイッチ97に到達しても、ロジックセル92に入ることはできない。このようにして、プログラマブルロジック90では、ユーザによりロジックセル同士の接続状態を設定できる。
第1の実施形態の2端子スイッチをプログラマブルロジックのスイッチに適用することで、金属イオンの漏出を抑制し、プログラマブルロジックの信頼性が向上する効果が得られる。
また、第1および第2の実施形態のスイッチング素子をメモリに応用することも可能である。例えば、トランジスタなどの選択素子を1個と本発明のスイッチング素子1個とのセットをメモリセル単位としてこれを配列し、ワード線およびビット線で任意のメモリセルを選択できるようにすると、スイッチの導通状態をセンスすることで情報「1」/「0」を判断する不揮発性メモリが実現できる。このようなメモリ素子への適用においても、低いオン抵抗、サイズの小ささに加えて高い信頼性を確保したことにより、本発明のスイッチング素子は有利なものとなっている。
図20はメモリ素子の一構成例を示す図である。図20に示すように、メモリ素子は、情報を保持するためのスイッチング素子77と、スイッチング素子77の情報を読み出すためのトランジスタ素子72とを有する。このスイッチング素子77に第1の実施形態の2端子スイッチを適用する。
トランジスタ素子72は、ソース電極がビット線73に接続され、ゲート電極がワード線74に接続されている。スイッチング素子77は、2つの端子のうちの一方がビット線76に接続され、他方がトランジスタ素子72のドレイン電極に接続されている。
次に、メモリ素子への情報の書き込み方法について説明する。なお、保持する情報“1”と“0”のうち、スイッチング素子のオン状態を“1”とし、オフ状態を“0”とする。また、トランジスタ素子72の動作電圧をVRとする。
メモリ素子に情報“1”を書き込む場合には、ワード線74に電圧VRを印加してトランジスタ素子72をオンさせた状態で、スイッチング素子77をオン状態にする。これによりスイッチング素子77に情報“1”が書き込まれる。
メモリ素子に情報“0”を書き込む場合には、ワード線74に電圧VRを印加してトランジスタ素子72をオンさせた状態で、スイッチング素子77をオフ状態にする。これによりスイッチング素子77に情報“0”が書き込まれる。
次に、メモリ素子に保持された情報の読み出し方法について説明する。
ワード線74に電圧VRを印加してトランジスタ素子72をオンさせ、ビット線73とビット線76との間の抵抗値を求める。この抵抗値はトランジスタ素子72のオン抵抗とスイッチング素子77との合成抵抗値となる。この合成抵抗値が測定できないほど大きい場合にはスイッチング素子77がオフ状態と判定でき、メモリ素子に保持された情報が“0”であることがわかる。一方、合成抵抗値が所定の値より小さい場合にはスイッチング素子77がオン状態と判定でき、メモリ素子に保持された情報が“1”であることがわかる。
本発明の2端子スイッチをメモリ素子の情報保持のためのスイッチング素子に用いることで、金属イオンの漏出を抑制できる。そのため、メモリ素子がアレイ状に複数配置されたメモリデバイスに本実施形態のメモリ素子を用いれば、メモリデバイスの信頼性が向上する。なお、トランジスタ素子の代わりにダイオードを用いてもよい。
(第4の実施形態)
第1および第2の実施形態では2端子型スイッチング素子について説明したが、本実施形態は、2端子型スイッチング素子の構造に対してイオン伝導層に接する第3の電極を設けた3端子型スイッチング素子である。
図21は本実施形態のスイッチング素子の一構成例を示す断面模式図である。
図21の右半分はイオン伝導層105の上下を上部電極と下部電極とで挟んだ構造であり、この部分は第1の実施形態と同様である。ここでは、図13に示した実施例9のスイッチング素子を用いているため、上部電極は第2のバリアメタル1071であり、下部電極は第1電極104である。図21の左半分に示すように、本実施形態では、イオン伝導層105に接した第3電極304が設けられている。第3電極304は、拡散防止層1030の開口に設けられ、下部層間絶縁層1001に設けられた配線314と接続されている。配線314はその底面および側面が第1バリアメタル1021で覆われている。第3電極304は、銅など、イオン供給機能を有する材料で構成されている。イオン伝導層105の上面および側面は第2拡散防止層113で被覆されている。
本実施形態のスイッチング素子の構造上の特徴は、イオン伝導層105が第1電極104と第2バリアメタル1071に挟まれた領域から外部(図21では左側)に延長して設けられ、その延長して設けられた部位に接した第3電極304を備えている点である。そして、動作の上では、第3電極304を制御電極として、これに印加する電圧を制御することにより、第1電極104と第2電極間の導通状態を制御する点に特徴がある。以下では、第2バリアメタル1071を第2電極1071として説明する。
このような構造において、第1電極104と第2電極1071の間の導通状態を制御する第1の方法として、次のような方法がある。第1電極104および第2電極1071に対して正の電圧を印加すると、第3電極304から金属イオンがイオン伝導層中に供給され、イオン伝導層中を拡散して第2電極1071と第1電極104間に析出し、第1電極104と第2電極1071間が、析出した金属で接続されてオン状態が実現できる。逆に、オン状態からオフ状態に移行する際は、第1電極104および第2電極1071に対して第3電極304に負の電圧印加を行うか、または、通常の2端子型のオフ動作と同様の電圧を印加して、金属架橋を消失させる。
また、第1電極104と第2電極1071の間の導通状態を制御する第2の方法として、次のような方法も可能である。初期状態からオン状態にする際に、最初に、第1電極104と第2電極1071の間に通常の2端子型のオン動作と同様の電圧を印加して第1電極104からのイオン供給を行わせ、第1電極104と第2電極1071を結ぶ金属架橋を形成する。次に、第1電極104および第2電極1071に対して第3電極304に正電圧を印加して、第3電極304からのイオン供給を行わせ、先に形成された金属架橋をさらに増加させて太らせる。これによりオン抵抗が低いスイッチング素子を実現できる。オン状態からオフ状態に移行する際は、第1電極104および第2電極1071に対して第3電極304に負の電圧印加を行うか、または、通常の2端子型のオフ動作と同様の電圧を印加して、金属架橋を消失させる。
さらに、第1電極104と第2電極1071の間の導通状態を制御する第3の方法として、次のような方法も可能である。初期状態からオン状態にする際に、最初に、第1電極104と第2電極1071の間に通常の2端子型のオン動作と同様の電圧を印加して第1電極104からのイオン供給を行わせ、第1電極104と第2電極1071を結ぶ金属架橋を形成する。オン状態からオフ状態に移行する際は、通常の2端子型のオフ動作と同様の電圧を印加して、金属架橋を消失させる。
なお、第1の制御方法による場合、図21に示した構造の3端子型スイッチング素子においては、第1電極104は必ずしもイオン供給可能な電極でなくてもよい。例えば、第1電極104および第2電極1071をタンタルで形成し、第3電極304のみを銅で構成する、などの構成も可能である。
また、第3の方法による場合、図21に示した構造の3端子型スイッチング素子においては、第1電極104は銅などからなるイオン供給可能な電極、第2電極1071および第3電極304はタンタルなどのイオン供給が生じない電極として構成としてよい。したがって、図21におけるイオン伝導層105の延長部の下面側に形成するのではなく、上面側に第3電極304を設置してもかまわない。図22は第3電極をイオン伝導層の上面側に設けた場合である。図22の左側に示すように、第3電極305がイオン伝導層105に接して、上部層間絶縁層108内に設けられている。第3電極305の材料は第2バリアメタル1071と共通である。この場合、第3電極305および配線315の形成プロセスと、第2バリアメタル1071および上部配線1007の形成プロセスと共通化できるため、製造工程が簡略化できる。
このような3端子型のスイッチング素子においても、イオン供給機能を持つ電極を拡散防止機能を有する絶縁層の開口部に埋め込んで形成することにより、周囲構造への金属イオンの漏出を防止しやすくなるという効果に変わりはない。
次に、本実施形態のスイッチング素子をプログラマブルロジックのプログラム用スイッチに適用した場合を説明する。図23はプログラマブルロジックの一構成例を示すブロック図である。
図23に示すように、プログラマブルロジック90は、2次元配列状に配置された多数のロジックセル92と、ロジックセル間を接続するための配線、配線間の接続・非接続を切り替えるための多数のスイッチ94から構成される。3端子スイッチの接続状態(接続・非接続)を変えることにより、ロジックセル間の配線の構成、ロジックセルの機能等を設定し、仕様に合わせた論理集積回路を得ることが可能となる。
スイッチ94は、ドレイン電極D、ソース電極S、およびゲート電極Gからなるトランジスタ素子である。本実施形態の3端子スイッチをプログラム用スイッチに適用することで、第1電極がドレイン電極Dに相当し、第2電極がソース電極Sに相当し、第3電極がゲート電極Gに相当する。そして、図22に示すようにソース電極Sがロジックセル92に接続され、ドレイン電極Dがプログラマブルロジック90内の信号線96に接続されている。
オン状態に設定されたスイッチ94は、ソース電極Sとドレイン電極Dが電気的に接続された状態を維持する。そして、ロジック信号が信号線96を介してドレイン電極Dに到達すると、ソース電極Sを経由してロジックセル92に入る。その反対に、オフ状態に設定されたスイッチ94は、ソース電極Sとドレイン電極Dが電気的に接続が切れた状態を維持する。この場合、ロジック信号は、信号線96を介してドレイン電極Dに到達しても、ソース電極Sに接続されたロジックセル92に入ることはできない。このようにして、プログラマブルロジック90では、ユーザによりロジックセル同士の接続状態を設定できる。
本実施形態の3端子スイッチをプログラマブルロジックのスイッチに用いることで、金属イオンの漏出を抑制し、信頼性が向上する。
次に、本実施形態のスイッチング素子をメモリ素子に適用した場合を説明する。図24はメモリ素子の一構成例を示すブロック図である。
図24に示すように、メモリ素子は、情報を保持するためのスイッチング素子71と、スイッチング素子71の情報を読み出すためのトランジスタ素子72とを有する。このスイッチング素子71に本実施形態の3端子スイッチを適用する。スイッチング素子71はドレイン電極、ソース電極およびゲート電極からなるトランジスタの構成と同様であり、それぞれの電極が本実施形態の3端子スイッチの第1電極、第2電極および第3電極のそれぞれに対応している。
トランジスタ素子72は、ソース電極がビット線73に接続され、ゲート電極がワード線74に接続されている。スイッチング素子71は、ソース電極がビット線76に接続され、ゲート電極がワード線75に接続されている。そして、スイッチング素子71のドレイン電極はトランジスタ素子72のドレイン電極に接続されている。
次に、メモリ素子への情報の書き込み方法について説明する。なお、保持する情報“1”と“0”のうち、スイッチング素子のオン状態を“1”とし、オフ状態を“0”とする。また、スイッチング素子のスイッチング電圧をVtとし、トランジスタ素子72の動作電圧をVRとする。
メモリ素子に情報“1”を書き込む場合には、ワード線75に電圧Vtを印加し、ビット線76の電圧を0Vにする。そして、ビット線73に電圧(Vt/2)を印加する。スイッチング素子71は、オン状態になり、情報“1”が書き込まれる。メモリセ素子に情報“0”を書き込む場合には、ワード線75の電圧を0Vにして、ビット線76に電圧Vtを印加する。そして、ビット線73に電圧(Vt/2)を印加する。スイッチング素子71は、オフ状態になり、情報“0”が書き込まれる。
なお、メモリ素子に保持された情報の読み出し方法については、第3の実施形態で説明した方法と同様であるため、その説明を省略する。
本発明の3端子スイッチをメモリ素子の情報保持のためのスイッチング素子に用いることで、金属イオンの漏出を抑制できる。そのため、メモリ素子がアレイ状に複数配置されたメモリデバイスに本実施形態のメモリ素子を用いれば、メモリデバイスの信頼性が向上する。
上述の第2、第3および第4の実施形態ではそれぞれの基本的な形態のみを説明したが、各々のスイッチング素子部分については、第1の実施形態で示したような各種の変形が可能であり、また各部材料の変更も可能であることはいうまでもない。また、本発明は上記の実施の形態に限定されることなく、発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることはいうまでもない。
この出願は、2006年6月26日に出願された日本出願の特願2006−175872の内容が全て取り込まれており、この日本出願を基礎として優先権を主張するものである。

Claims (33)

  1. 開口部を有し、金属イオンの拡散を防止する材料からなる第1の絶縁層と、
    前記開口部に設けられ、前記金属イオンを供給可能な材料を含む第1電極と、
    前記第1電極の上面に接して設けられ、前記金属イオンを伝導可能なイオン伝導層と、
    前記イオン伝導層の上面に接して設けられ、前記金属イオンを供給しない材料からなる領域を含む第2電極とを有し、
    前記第1電極と前記第2電極の間に電圧が印加されることで該第1電極と該第2電極との間の導通状態が制御される、スイッチング素子。
  2. 前記第1電極は前記イオン伝導層との接する部分の少なくとも一部が前記金属イオンを前記イオン伝導層中に供給可能な組成であることを特徴とする請求の範囲1記載のスイッチング素子。
  3. 前記第2電極は少なくとも前記イオン伝導層に接する部分が前記金属イオンを前記イオン伝導層中に供給しない組成であることを特徴とする請求の範囲1または2に記載のスイッチング素子。
  4. 前記第1の絶縁層は前記金属イオンの拡散を防止する機能を持つ絶縁体であることを特徴とする請求の範囲1から3のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  5. 前記第1の絶縁層および前記第1電極が基体上に設けられていることを特徴とする請求の範囲1から4のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  6. 前記基体はその表面に下部絶縁層と該下部絶縁層に設けられた下部配線とを有し、該下部配線の上面が前記第1電極の下面と接していることを特徴とする請求の範囲5に記載のスイッチング素子。
  7. 前記第1電極の下面が前記下部配線の上面と接していることを特徴とする請求の範囲6記載のスイッチング素子。
  8. 前記イオン伝導層が、前記第1電極の上面を被覆するとともに、前記第1の絶縁層の一部を被覆することを特徴とする請求の範囲1から7のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  9. 前記第2電極は、前記イオン伝導層上面において少なくとも前記第1電極に対向する位置の該イオン伝導層の表面を覆っていることを特徴とする請求の範囲1から8のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  10. 前記第2電極は、前記イオン伝導層の上面全てを覆っていることを特徴とする請求の範囲1から8のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  11. 前記第2電極は、前記イオン伝導層の上面および側面を覆っていることを特徴とする請求の範囲1から8のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  12. 前記第2の電極の前記イオン伝導層と接する面に対して反対側の面に、前記金属イオンの拡散防止機能を有する絶縁体からなる第2の絶縁層が設けられたことを特徴とする請求の範囲1から11のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  13. 前記イオン伝導層の側面に、前記金属イオンの拡散防止機能を有する絶縁体からなる第2の絶縁層が設けられたことを特徴とする請求の範囲1から11のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  14. 前記イオン伝導層および前記第2電極からなる積層構造の上面および側面を被覆し、前記金属イオンの拡散防止機能を有する絶縁体からなる第2の絶縁層が設けられたことを特徴とする請求の範囲1から11のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  15. 前記第1の絶縁層は複数の前記開口部を有し、
    前記第1電極は前記複数の開口部に設けられた複数の電極要素を有し、
    前記複数の電極要素は、それぞれの上面が前記イオン伝導層に接し、かつ、それぞれの下面が共通の下部配線により接続されていることを特徴とする請求の範囲1から14のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  16. 前記第1の絶縁層は複数の前記開口部を有し、
    前記開口部毎に前記第1電極が設けられ、
    複数の前記第1電極は、それぞれの上面が前記イオン伝導層に接し、かつ、それぞれの下面が異なる下部配線に接続され、
    複数の前記下部配線のうちいずれかの下部配線に電圧が印加されることで、該下部配線と前記第2電極間の導通状態が変化してセレクタ動作することを特徴とする請求の範囲1から14のいずれかに記載のスイッチング素子。
  17. 開口部を有し、金属イオンの拡散を防止する材料からなる第1の絶縁層と、
    前記開口部に設けられ、前記金属イオンを供給可能な材料を含む第1電極と、
    前記第1電極の上面に接して設けられ、前記金属イオンを伝導可能なイオン伝導層と、
    前記第1電極に前記イオン伝導層を介して対向して配置され、前記金属イオンを供給しない材料からなる領域を含む第2電極と、
    前記イオン伝導層に接して設けられ、前記金属イオンを供給可能な材料を含み、電圧が印加されることにより前記第1電極と前記第2電極との間の導通状態を制御する第3電極と、
    を有するスイッチング素子。
  18. 2つの開口部を有し、金属イオンの拡散を防止する材料からなる第1の絶縁層と、
    前記2つの開口部の一方に設けられた第1電極と、
    前記第1電極の上面に接して設けられ、前記金属イオンを伝導可能なイオン伝導層と、
    前記第1電極に前記イオン伝導層を介して対向して設けられた第2電極と、
    前記2つの開口部の他方に設けられ、前記イオン伝導層に接し、前記金属イオンを供給可能な材料を含み、電圧が印加されることにより前記第1電極と前記第2電極との間の導通状態を制御する第3電極とを有し、
    前記第1電極および前記第2電極のうちいずれか一方が前記金属イオンを供給可能な材料を有し、他方が前記金属イオンを供給しない材料からなる領域を有する、スイッチング素子。
  19. 前記金属イオンを供給可能な材料は、前記イオン伝導層との接する部分の少なくとも一部が前記金属イオンを前記イオン伝導層中に供給可能な組成であることを特徴とする請求の範囲17または18に記載のスイッチング素子。
  20. 前記金属イオンを供給しない材料は、前記イオン伝導層に接する部分が前記金属イオンを前記イオン伝導層中に供給しない組成であることを特徴とする請求の範囲17から19のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  21. 前記第1の絶縁層は前記金属イオンの拡散を防止する機能を持つ絶縁体であることを特徴とする請求の範囲17から20のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  22. 前記金属イオンを前記イオン伝導層中に供給しない組成が、白金、アルミニウム、金、チタン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、もしくはモリブデンのいずれかの金属、またはこれらの金属のうちの少なくともいずれかの窒化物、またはこれらの金属のうちの少なくともいずれかのシリサイド、またはこれらの金属のうちの複数の組み合わせを含むものであることを特徴とする請求の範囲1から21のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  23. 前記イオン伝導層が、銅、タングステン、タンタル、モリブデン、クロム、チタンおよびコバルトの金属のうち少なくともいずれかを含む硫化物、酸化物、ならびに任意の硫黄−酸素比を持つ酸硫化物より少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求の範囲1から22のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  24. 前記金属イオンを前記イオン伝導層中に供給可能な組成が、Cu、AgおよびPbのうち少なくともいずれかを主材料とする金属または合金を含むことを特徴とする請求の範囲1から23のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  25. 前記金属イオンの拡散を防止する材料が、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜、または、これらのいずれかの膜に炭素を含有させた膜であることを特徴とする請求の範囲1から24のいずれか1項に記載のスイッチング素子。
  26. 複数の開口部を有し、金属イオンの拡散を防止する材料からなる第1の絶縁層と、
    前記開口部毎に設けられた電極要素が共通配線で接続され、該共通配線で接続された複数の電極要素を含む第1電極と、
    前記複数の電極要素の上面に接して設けられ、金属イオンが伝導可能なイオン伝導層と、
    前記イオン伝導層の上面に接して設けられ、前記第1電極との間に電圧が印加されることで該第1電極との導通状態が制御される第2電極とを有し、
    前記第1電極および前記第2電極のうちいずれか一方が前記金属イオンを供給可能な材料を有し、他方が前記金属イオンを供給しない材料からなる領域を有する、スイッチング素子。
  27. 前記第1の絶縁層は、アンモニアを窒素源とするプラズマCVD法によって形成されたシリコン窒化膜である、請求の範囲1から5、請求の範囲17から21および請求の範囲26のいずれか1項記載のスイッチング素子。
  28. 請求の範囲1から27のいずれか1項記載のスイッチング素子が基体上に複数配置され、
    複数の前記スイッチング素子のうち少なくとも2つについて、区分けされていない、連続して設けられた前記イオン伝導層に対して互いに所定の距離だけ離れて前記第1電極および前記第2電極が配置されていることを特徴とする半導体装置。
  29. 請求の範囲1から27のいずれか1項記載のスイッチング素子が、半導体基板上に形成された多層配線構造内に設けられていることを特徴とする半導体装置。
  30. 請求の範囲1から27のいずれか1項記載のスイッチング素子とMIMキャパシタとが、半導体基板上に形成された多層配線構造内に設けられていることを特徴とする半導体装置。
  31. 2つの金属電極に挟まれたイオン伝導層中の金属架橋の形成により動作するスイッチング素子と、前記2つの金属電極のうち少なくとも一方の種類が異なる2つの金属電極および該2つの金属電極間に挟まれた誘電体層からなるMIMキャパシタとが半導体基板上に形成された多層配線構造の同一配線層に設けられ、
    前記スイッチング素子のイオン伝導層と前記MIMキャパシタにおける誘電体層とが同一の材料であることを特徴とする半導体装置。
  32. 請求の範囲1から27のいずれか1項記載のスイッチング素子とトランジスタまたはダイオードとを含むメモリセルを基本単位とするメモリ素子。
  33. 請求の範囲1から27のいずれか1項記載のスイッチング素子をプログラム用スイッチに用いた、書き換え可能な論理集積回路。
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